(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024027684
(43)【公開日】2024-03-01
(54)【発明の名称】誤操作防止装置、誤操作防止システム、及び誤操作防止方法
(51)【国際特許分類】
H02G 1/02 20060101AFI20240222BHJP
H01R 4/66 20060101ALI20240222BHJP
H01R 13/64 20060101ALI20240222BHJP
【FI】
H02G1/02
H01R4/66 Z
H01R13/64
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022130680
(22)【出願日】2022-08-18
(71)【出願人】
【識別番号】000003171
【氏名又は名称】株式会社戸上電機製作所
(71)【出願人】
【識別番号】520039179
【氏名又は名称】NTTアノードエナジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114627
【弁理士】
【氏名又は名称】有吉 修一朗
(74)【代理人】
【識別番号】100182501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 靖之
(74)【代理人】
【識別番号】100175271
【弁理士】
【氏名又は名称】筒井 宣圭
(74)【代理人】
【識別番号】100190975
【弁理士】
【氏名又は名称】遠藤 聡子
(72)【発明者】
【氏名】片渕 健
(72)【発明者】
【氏名】大西 健太
(72)【発明者】
【氏名】庭 正樹
(72)【発明者】
【氏名】後川 知仁
【テーマコード(参考)】
5E021
5G352
【Fターム(参考)】
5E021FA02
5E021FB07
5E021FB21
5E021FC38
5E021JA05
5E021KA08
5E021KA11
5G352AE01
(57)【要約】
【課題】復電作業時における作業員の誤操作を防止し、作業員の安全性を確保することができる誤操作防止装置、誤操作防止システム、及び誤操作防止方法を提供することを目的とする。
【解決手段】誤操作防止装置5は、開閉器3が設置された電柱7に装備された開閉器側送信機51、短絡接地具4と一体化された接地側送信機52、及び作業員Hが携帯する受信機53により構成され、これら誤操作防止装置5は、所定の近距離通信手段により信号の送受信が行われる。受信機53に備えられた判定部532は、開閉器側送信機51、及び短絡接地具4から送信される第1の信号、第2の信号、及び第3の信号の各信号の受信順序が、予め定めた受信順序とは異なると判定した場合には、作業員Hによる作業手順に誤操作があるとして警報を発する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
商用電源系統と需要家の受電設備との間に設けられた開閉器の近傍に設置され、第1のパターンで動作する第1の信号を送信する開閉器側送信機と、
電路を接地するために該電路と接地点との間に接続された短絡接地具に設けられ、該短絡接地具によって前記電路が接地された場合に第2のパターンで動作する第2の信号を送信し、前記電路の接地が解除された場合に第3のパターンで動作する第3の信号を送信する接地側送信機と、
作業員が携帯し、前記開閉器側送信機と前記接地側送信機との間で通信自在に接続され、前記開閉器側送信機、及び前記接地側送信機から送信された各信号を一時的に記憶する記憶部、及び該記憶部に記憶された前記各信号の受信順序が予め定められた順序であるか否かを判定する判定部を有する受信機と、を備える
誤操作防止装置。
【請求項2】
前記判定部は、
前記受信機が、前記第1の信号と、前記第2の信号と、前記第3の信号と、前記第1の信号と、をこの順序で受信した場合には、作業手順が正常に行われたものと判定する
請求項1に記載の誤操作防止装置。
【請求項3】
前記判定部は、
前記受信機が、前記第1の信号と、前記第2の信号と、前記第1の信号と、をこの順序で受信した場合には、前記短絡接地具が接続された状態であると判定して警報を発する
請求項1または請求項2に記載の誤操作防止装置。
【請求項4】
前記判定部は、
前記受信機が、前記第1の信号を受信して所定期間経過後に、前記第2の信号、及び前記第3の信号を受信することなく、再度前記第1の信号を受信した場合には、前記短絡接地具が接続されていないか、或いは前記接地側送信機が故障したものと判定して警報を発する
請求項1または請求項2に記載の誤操作防止装置。
【請求項5】
前記判定部は、
前記受信機が、前記第1の信号と、前記第2の信号と、前記第3の信号と、前記第2の信号と、をこの順序で受信した場合には、前記短絡接地具の再接続が行われたと判定して、前記記憶部に記憶されている信号の受信履歴のうち、前記第2の信号、及び前記第3の信号の受信履歴をクリアする
請求項1または請求項2に記載の誤操作防止装置。
【請求項6】
前記開閉器側送信機、及び前記接地側送信機は、磁芯に巻回されたコイルに交流電流を生じさせることにより磁界信号を発生する磁界式送信機であるとともに、前記受信機は前記磁界信号を受信する磁界センサであり、
該磁界センサは、基準となるセンサを中心として多方向に指向する複数のセンサ群により構成されている
請求項1または請求項2に記載の誤操作防止装置。
【請求項7】
前記開閉器側送信機、及び前記接地側送信機は、電波法に定められた微弱無線の要件を満たす電波信号を送信し、
前記受信機は、前記電波信号を受信し、前記記憶部において一時的に記憶する
請求項1または請求項2に記載の誤操作防止装置。
【請求項8】
商用電源系統と需要家の受電設備との間に設けられた開閉器と、
該開閉器の近傍に設置され、第1のパターンで動作する第1の信号を送信する開閉器側送信機と、
電路を接地するために該電路と接地点との間に接続された短絡接地具と、
該短絡接地具に設けられ、前記電路が接地された場合に第2のパターンで動作する第2の信号を送信し、前記電路の接地が解除された場合に第3のパターンで動作する第3の信号を送信する接地側送信機と、
作業員が携帯し、前記開閉器側送信機と前記接地側送信機との間で通信自在に接続され、前記開閉器側送信機、及び前記接地側送信機から送信された各信号を一時的に記憶する記憶部、及び該記憶部に記憶された前記各信号の受信順序が予め定められた順序であるか否かを判定する判定部を有する受信機と、を備える
誤操作防止システム。
【請求項9】
前記短絡接地具は、接地用部材を把持可能な把持部を有し、該把持部は第1の把持部、及び該第1の把持部に対して開閉自在に軸支された第2の把持部を含み、
前記接地側送信機は、前記第2の把持部が開方向に移動した際に、該第2の把持部に当接する操作ロッドの押し引き操作により、前記接地側送信機から送信される前記第1の信号、又は前記第2の信号がON又はOFFされる切換部を有する
請求項8に記載の誤操作防止システム。
【請求項10】
前記開閉器側送信機は、前記開閉器が設置される電柱の所定の高さ位置に設けられている
請求項8または請求項9に記載の誤操作防止システム。
【請求項11】
開閉器の操作を行う第1の作業エリア内において第1のパターンで動作する第1の信号、前記第1の作業エリアとは異なる第2の作業エリア内において電路を接地した際に第2のパターンで動作する第2の信号、前記第2の作業エリア内において電路の接地を解除した際に第3のパターンで動作する第3の信号がそれぞれ送信される場合に、
前記各信号の受信順序が予め定められた順序であるか否かを判定する方法を備える
誤操作防止方法。
【請求項12】
前記各信号の受信順序が予め定められた順序であるか否かを判定する方法は、
前記第1の信号と、前記第2の信号と、前記第3の信号と、前記第1の信号と、をこの順序で受信した場合には作業手順が正常に行われたものと判定する
請求項11に記載の誤操作防止方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、誤操作防止装置、誤操作防止システム、及び誤操作防止方法に関する。詳しくは復電作業時における作業員の誤操作を防止し、作業員の安全性を確保することができる誤操作防止装置、誤操作防止システム、及び誤操作防止方法に係るものである。
【背景技術】
【0002】
一般的に、送電線や高圧受電設備などで年次点検や電気工事を行う際には、該当部分を停電状態にして作業が行われるが、停電作業時でもその電路に誘導電流が誘起されることがある。そのため、作業員の感電事故を防止するために、短絡接地具を用いて対象電路を確実に短絡接地したうえで点検作業が行われる。このように電路に対して短絡接地を施しておけば、誤って通電してしまった場合に引き起こされる感電事故から作業員を保護することができる。
【0003】
また、短絡接地具を取り付ける際にも、不用意な感電事故から作業員を保護するために、その接地手順が決められている。例えば、需要家の高圧受電設備の点検を行う場合には、まず短絡接地具を接地端子に取り付け、その後、電力会社と需要家の責任分界点に設けられている柱上気中開閉器(PAS)により商用電力系統の切り離しが行われる。そして、高圧受電設備の断路器(DS)を解放した後に、断路器の一次側に短絡接地具が取り付けられて点検等の作業が行われる。
【0004】
そして、例えば特許文献1には、正しい取り付け手順に従い使用することができる短絡接地具が開示されている。具体的には、短絡接地具の導電クランプを接地端子に取り付けることで、導電クランプから引き抜くことができるキー部材が設けられている。そして、このキー部材を短絡接地具に固定しなければ、短絡接地具を電路に取り付けることができないようになっている。従って、短絡接地具を電路に取り付けるためには、まず導電クランプを接地端子に取り付けてキー部材を得る手順に誘導されるため、作業員は短絡接地具の取り付け手順を誤ることがない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、作業員は、一連の点検作業が終了すると、短絡接地具を取り外して復電作業を行う。その際、誤って短絡接地具を取り付けたままの状態で復電作業を行うと、通電する際に変電所のリレーが動作し、本来送電していた箇所も停電する虞がある。また、短絡時に流れる大電流(短絡電流)により、例えば高圧受電設備内の導体が発熱、及び膨張し、最悪の場合には爆発を誘発することも懸念される。
【0007】
前記した特許文献1に開示の短絡接地具によれば、短絡接地具の取り付け作業については正しい手順に誘導することができるものの、復電作業時における短絡接地具の取り外し作業については考慮されておらず、依然として誤操作を誘発するものとなっている。
【0008】
本発明は、以上の点に鑑みて創案されたものであり、復電作業時における作業員の誤操作を防止し、作業員の安全性を確保することができる誤操作防止装置、誤操作防止システム、及び誤操作防止方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記の目的を達成するために、本発明の誤操作防止装置は、商用電源系統と需要家の受電設備との間に設けられた開閉器の近傍に設置され、第1のパターンで動作する第1の信号を送信する開閉器側送信機と、電路を接地するために該電路と接地点との間に接続された短絡接地具に設けられ、該短絡接地具によって前記電路が接地された場合に第2のパターンで動作する第2の信号を送信し、前記電路の接地が解除された場合に第3のパターンで動作する第3の信号を送信する接地側送信機と、作業員が携帯し、前記開閉器側送信機と前記接地側送信機との間で通信自在に接続され、前記開閉器側送信機、及び前記接地側送信機から送信された各信号を一時的に記憶する記憶部、及び該記憶部に記憶された前記各信号の受信順序が予め定められた順序であるか否かを判定する判定部を有する受信機と、を備える。
【0010】
ここで、商用電源系統と需要家の受電設備との間に設けられた開閉器の近傍に設置され、第1のパターンで動作する第1の信号を送信する開閉器側送信機を備えることにより、作業員が開閉器の所定の範囲に近づくと、後記する作業員が携帯する受信機で、第1の信号を受信することができる。
【0011】
また、電路を接地するために電路と接地点との間に接続された短絡接地具に設けられ、短絡接地具によって電路が接地された場合に第2のパターンで動作する第2の信号を送信し、電路の接地が解除された場合に第3のパターンで動作する第3の信号を送信する接地側送信機を備えることにより、電路に対する接地状態に応じて、作業員は、携帯する受信機で、パターンの異なる信号をそれぞれ受信することができる。
【0012】
また、作業員が携帯し、開閉器側送信機と接地側送信機との間で通信自在に接続され、開閉器側送信機、及び接地側送信機から送信された各信号を一時的に記憶する記憶部、及び記憶部に記憶された各信号の受信順序が予め定められた順序であるか否かを判定する判定部を有する受信機を備えることにより、記憶部で記憶された各信号の受信順序に基づいて、作業員が行う作業が所定の作業手順に沿って行われたものであるか否かを判定することができる。
【0013】
また、判定部は、受信機が、第1の信号と、第2の信号と、第3の信号と、第1の信号と、をこの順序で受信し、作業手順が正常に行われたものと判定する場合には、作業員は、開閉器と電路との切り離し、短絡接地具の接続、短絡接地具の取り外し、及び開閉器の投入の各手順が正しく行われたことを各信号の受信順序に基づいて判定することができる。
【0014】
また、判定部は、受信機が、第1の信号と、第2の信号と、第1の信号と、をこの順序で受信すると、短絡接地具が接続された状態であると判定して警報を発する場合には、作業員に対して短絡接地具の取り外しを促すことができる。即ち、判定部は、短絡接地具を接続した際に送信される第2の信号を受信した後に、短絡接地具を取り外した際に送信される第3の信号を受信することなく、開閉器に近接する範囲に送信される第1の信号を受信していることから、作業員の作業手順が誤っていると判定する。
【0015】
また、判定部は、受信機が、第1の信号を受信して所定期間経過後に、第2の信号、及び第3の信号を受信することなく、再度第1の信号を受信すると、短絡接地具が接続されていないか、或いは接地側送信機が故障したものと判定して警報を発する場合には、作業員に対して短絡接地具の接続状態の確認、或いは接地側送信機の故障診断を促すことができる。即ち、判定部は、短絡接地具の接続状態を示す第2の信号、及び第3の信号の受信が確認できないことから、短絡接地具が何らかの原因で取り外された、或いは接地側送信機そのものが故障していると判定する。
【0016】
また、判定部は、受信機が、第1の信号と、第2の信号と、第3の信号と、第2の信号と、をこの順序で受信すると、短絡接地具の再接続が行われたと判定して、記憶部に記憶されている信号の受信履歴のうち、第2の信号、及び第3の信号の受信履歴をクリアする場合には、記憶部で既に受信した第2の信号と第3の信号との受信履歴をクリアすることで、再度、第2の信号の受信から判定をスタートさせることができる。即ち、判定部は、第3の信号を受信した後に、再度第2の信号を受信したことにより、作業員が何らかの理由に基づいて短絡接地具を再接続したと判定する。
【0017】
また、開閉器側送信機、及び接地側送信機は、磁芯に巻回されたコイルに交流電流を生じさせることにより磁界信号を発生する磁界式送信機であるとともに、受信機は磁界信号を受信する磁界センサである場合には、所定の範囲内において、簡易な構成により送受信機との間で安定した通信を実現することができる。
【0018】
また、磁界センサは、基準となるセンサを中心として多方向に指向する複数のセンサ群により構成されている場合には、作業員が受信機を携帯しながら作業を行う場合であっても、磁界信号を確実に受信し、受信感度の低下を防止することができる。
【0019】
また、開閉器側送信機、及び接地側送信機は、電波法に定められた微弱無線の要件を満たす電波信号を送信し、受信機は、電波信号を受信し、記憶部において一時的に記憶する場合には、免許の申請や届出を必要とすることなく、またノイズの影響を受けにくく、限られた送信範囲において精度のよい通信環境を実現することが可能となる。
【0020】
前記の目的を達成するために、本発明の誤操作防止システムは、商用電源系統と需要家の受電設備との間に設けられた開閉器と、該開閉器の近傍に設置され、第1のパターンで動作する第1の信号を送信する開閉器側送信機と、電路を接地するために該電路と接地点との間に接続された短絡接地具と、該短絡接地具に設けられ、前記電路が接地された場合に第2のパターンで動作する第2の信号を送信し、前記電路の接地が解除された場合に第3のパターンで動作する第3の信号を送信する接地側送信機と、作業員が携帯し、前記開閉器側送信機と前記接地側送信機との間で通信自在に接続され、前記開閉器側送信機、及び前記接地側送信機から送信された各信号を一時的に記憶する記憶部、及び該記憶部に記憶された前記各信号の受信順序が予め定められた順序であるか否かを判定する判定部を有する受信機とを備える。
【0021】
以上の構成により、前記した通り、作業員が、短絡接地具が接続された状態のまま開閉器の投入を行うことを確実に防止し、所定の手順に従った作業を作業員に対して意識付けさせ、作業員の安全性を確保することができる。
【0022】
また、短絡接地具は、接地用部材を把持可能な把持部を有し、把持部は第1の把持部、及び第1の把持部に対して開閉自在に軸支された第2の把持部を含み、接地側送信機は、第2の把持部が開方向に移動した際に、第2の把持部に当接する操作ロッドの押し引き操作により、接地側送信機から送信される第2の信号、又は第3の信号がON又はOFFされる切換部を有する場合には、短絡接地具と接地側送信機が一体化された構成であるため、作業開始前、或いは作業終了後の接地側送信機の着脱操作が不要となり、作業効率を高めることができる。
【0023】
また、開閉器側送信機は、開閉器が設置される電柱の所定の高さ位置に設けられている場合には、作業員の作業動線上に開閉器側送信機が設置されているため、開閉器側送信機から送信される第1の信号の送信範囲が限定されたとしても、作業員は、受信機により第1の信号を確実に受信することができる。
【0024】
前記の目的を達成するために、本発明の誤操作防止方法は、開閉器の操作を行う第1の作業エリア内において第1のパターンで動作する第1の信号、前記第1の作業エリアとは異なる第2の作業エリア内において電路を接地した際に第2のパターンで動作する第2の信号、前記第2の作業エリア内において電路の接地を解除した際に第3のパターンで動作する第3の信号がそれぞれ送信される場合に、前記各信号の受信順序が予め定められた順序であるか否かを判定する方法を備える。
【0025】
以上の構成により、第1の信号、第2の信号、及び第3の信号の各信号の受信順序に基づいて、作業員の作業手順の正誤を判定することができるため、作業員による誤った作業手順に起因する事故を未然に防止し、作業員の安全性を確保することができる。
【0026】
また、各信号の受信順序が予め定められた順序であるか否かを判定する方法は、第1の信号と、第2の信号と、第3の信号と、第1の信号と、をこの順序で受信した場合には作業手順が正常に行われたものと判定する場合には、作業員は、短絡接地具の接続、短絡接地具の取り外し、及び開閉器の投入の各手順が正しく行われたことを各信号の受信状況に基づいて判定することができる。
【発明の効果】
【0027】
本発明に係る誤操作防止装置、誤操作防止システム、及び誤操作防止方法は、復電作業時における作業員の誤操作を防止し、作業員の安全性を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】本発明の第1の実施形態に係る誤操作防止システムの概略図である。
【
図2】本発明の第1の実施形態に係る開閉器側送信機の送信アンテナの概略図である。
【
図3】本発明の第1の実施形態に係る接地側送信機の取り付け状態を示す概略図である。
【
図4】本発明の第1の実施形態に係る受信機の磁界センサの概略図である。
【
図5】本発明の第1の実施形態に係る誤操作防止方法を示すフロー図である。
【
図6】本発明の第2の実施形態に係る誤操作防止装置の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明の実施形態に係る誤操作防止装置、誤操作防止システム、及び誤操作防止方法について図面を参照しながら説明し、本発明の理解に供する。
【0030】
1 第1の実施形態
まず、
図1を用いて、本発明の第1の実施形態に係る誤操作防止システム1の全体概要について説明する。第1の実施形態に係る誤操作防止システム1は、例えば需要家の受電設備2の定期的な保守点検を行う場合に、点検作業後に行わる復電作業時に、作業員Hが誤った操作を行うことを防止するためのシステムであり、主に開閉器3、短絡接地具4、及び誤操作防止装置5から構成されている。
【0031】
[受電設備]
受電設備2は、電力事業者が展開している商用電力系統から需要家が電力を受電するための設備であり、大規模工場、プラント、高層ビル、共用施設、又は商業施設などに設けられた公知の電源設備である。受電設備2は、電路8の開閉を行う断路器(DS)21、及び電流を遮断する際に電極間に発生するアーク放電を構成する物質を高真空内で拡散させてアークを消滅させる真空遮断器(VCB)22が収容されており、その他にも、図示しないが、変圧器、測定機器、コンデンサ、及び保護継電器等を備えている。
【0032】
[開閉器]
開閉器3は、電柱7の上部であって商用電源系統と受電設備2との間に設置された所謂柱上開閉器(PAS)であり、商用電力系統から需要家への電流の流れを一時的に遮断し、需要家の自家用構内を商用電力系統から切り離す際に使用される。開閉器3は公知の構成であるため、その詳細についての説明は省略するが、例えば金属製の本体ケースと、この本体ケースの開口部を閉塞する蓋ケースが本体ケースに対して着脱可能に設けられている。また、開閉器3内には、主に、電気的な接続、及び遮断を可能とする電路開閉機構、開閉器3を制御する制御機器に電源を供給する変圧器、雷により生じる過渡的な異常高電圧から各種の電源機器を保護するための避雷器、及び配電経路の電圧検出用センサとしての電圧検出用コンデンサをはじめとする各種の電源機器が収納されている。
【0033】
ここで、必ずしも、開閉器3は柱上開閉器である必要はない。例えば、地中配電線を利用している施設等においては、柱上開閉器に代えて地上設置型開閉器(UGS)を採用することができる。なお、以下では、説明の便宜上、開閉器3は柱上開閉器を前提として説明する。
【0034】
[短絡接地具]
短絡接地具4は、受電設備2の保守点検時に停電作業を行う場合、開閉器3を開放して商用電源系統からの電力を遮断させる際に、誤送電などに対して作業の安全性を確保するために、電路8の所定の作業箇所を短絡接地するために用いられる公知の短絡アース用器具である。
【0035】
短絡接地具4は、電路8に取り付ける高圧側把持部41と、接地線9(例えば大地、大地に接続された接地端子、或いは接地された導電性部材等)に取り付ける接地側把持部42と、高圧側把持部41と接地側把持部42とを接続するケーブル43から構成されている。なお、
図1に示す高圧側把持部41は、説明の便宜上、単線図で表現した短絡接地具を示すが、三相交流用の短絡接地具の場合には、ケーブル43の一端が3つの短絡線に枝分かれし、それぞれの短絡線に高圧側把持部41が接続された構成となる。
【0036】
短絡接地具4は公知の構成であるため、詳細な説明は省略するが、
図3に示すように、高圧側把持部41、及び接地側把持部42は、第1の把持部411、421、及び第1の把持部411、421に対して開閉自在に軸支された第2の把持部412、422からなる、所謂、鰐口クリップであり、そのクリップで電路8、及び接地線9を把持することができる。
【0037】
[誤操作防止装置]
誤操作防止装置5は、受電設備2の点検作業時における、作業員Hの一連の接地作業が所定の手順により行われているか否かを判定するための近距離通信装置であり、開閉器側送信機51、接地側送信機52、及び受信機53から構成されている。
【0038】
<開閉器側送信機>
開閉器側送信機51は、開閉器3が設置されている電柱7の所定の高さ位置(地面から1m程度の位置)に装備され、例えば開閉器側送信機51を中心として半径1mの範囲内に、常時、第1のパターンで動作する信号(第1の信号)が送信される。そして、作業員Hが開閉器3を操作するために、開閉器側送信機51が設置されている電柱7に近づくと、後記する作業員Hが携帯する受信機53で第1の信号を受信することが可能となる。
【0039】
ここで、必ずしも、開閉器側送信機51は、地面から1m程度の高さ位置に装備されている必要はない。但し、作業員Hは、点検作業時に障害とならないように、受信機53を腰部に装着して作業を行うことが多く、この場合、平均的な成人身長を考慮して、腰部の高さ位置である地面から1m程度の位置に開閉器側送信機51を設置することで、作業員Hが電柱7に近づいた際に、確実に第1の信号を受信することが可能となる。
【0040】
また、必ずしも、第1の信号の送信範囲として、開閉器側送信機51から半径1mの範囲内である必要はなく、作業現場の状況に応じて、1mよりも狭い範囲、或いは広い範囲を送信範囲とすることもできる。なお、第1の信号の送信範囲の上限としては、後記する接地側送信機52から送信される第2の信号、或いは第3の信号との干渉が生じない程度の送信範囲である。
【0041】
開閉器側送信機51は、図示しない電源ボタンをONにすると、常時、第1の信号が送信される。作業員Hは、受電設備2の点検作業等を行う場合には、まず開閉器側送信機51を電柱7に設置するとともに開閉器側送信機51の電源をONにし、作業期間中は常に第1の信号が送信されるようにする。そして、受電設備2の点検作業が完了した後に、開閉器側送信機51の電源をOFFにして、電柱7から開閉器側送信機51を取り外して回収することで作業完了となる。
【0042】
図2は開閉器側送信機51に含まれる送信アンテナ512を示す概略図である。
図2(a)の下段の図(正面図)に示すように、送信アンテナ512は、ボビン514の長軸方向に沿ってコイル513を巻装して構成される電磁結合方式からなる近距離通信機器である。開閉器側送信機51の内部回路に組み込まれた信号送信機511から出力された信号電流がコイル513に流れると、ボビン514の長軸方向に沿って磁界が誘起され、係る磁界が磁界信号として第1のパターンからなる第1の信号が送信される。
【0043】
第1の信号は、
図2(a)の上段の図(平面図)に示すように、送信アンテナ512を中心として360度の範囲に送信されるため、受信機53による受信感度を高めることができる。なお、コイルの巻数、或いは印加する電流を変化させることにより、第1の信号の動作パターンや送信範囲を自在に変更することができる。
【0044】
また、
図2(b)に示すように、ボビン514の長軸方向にアンテナ磁心515を設置することもできる。ボビン514のみから構成する場合に比べて、コイル513を小型化することができる。さらに、アンテナ磁心515の長さを変化させることにより、磁界信号の出力信号を自在に変更することも可能となる。
【0045】
また、
図2(c)に示すように、複数の送信アンテナ512を、それぞれ鉛直方向に配置するようにしてもよい(
図2(c)の例では3つの送信アンテナを配置)。この場合、3つの送信アンテナ512、512a、512bに共通する回路に組み込まれた信号送信機511から出力された信号電流が、各送信アンテナ512、512a、512bのコイルに流れることでアンテナ磁心515の長軸方向に沿って磁界が誘起され、鉛直方向の受信範囲を拡大することが可能となる。
【0046】
<接地側送信機>
接地側送信機52は、
図1に示すように、前記した開閉器側送信機51の構成と同じく、内部に送信アンテナ522、及び送信アンテナ522に信号電流を送信する信号送信機521を有し、接点523のON/OFFにより短絡接地具4に対してループ回路が構成される。なお、短絡接地具4の送信アンテナ522は、前記した開閉器側送信機51の構成と同様であるため、説明は省略する。
【0047】
作業員Hは、図示しない電源ボタンをONにして、接地側送信機52の電源を投入するとともに、接地側送信機52から延びる2本のリード線のうち、一方のリード線524aが短絡接地具4の高圧側把持部41に接続され、他方のリード線524bが短絡接地具4の接地側把持部42に接続されると、接点がONとなり内部回路が閉じたループ回路が構成され、第2のパターンで動作する信号(第2の信号)が送信される。
【0048】
一方、高圧側把持部41、又は接地側把持部42に接続されているリード線524a、524bが開放されると、接点がOFFとなり内部回路が開放状態となる。このとき、接地側送信機52は、第3のパターンで動作する信号(第3の信号)が一定時間だけ送信される。即ち、接地側送信機52は、短絡接地具4の短絡接地の状態に応じて、第2の信号と第3の信号がそれぞれ送信される。
【0049】
接地側送信機52の内部回路の接点523は、高圧側把持部41、及び接地側把持部42の開閉操作に連動する接地ユニット6によりON/OFFの切換が行われる。接地ユニット6は、
図3に示すように、一端側に貫通孔62が形成された固定板61と、固定板61の一端側に向けて付勢するスプリング63を介してスライド自在に取り付けられたスライド板64と、スイッチ66を押圧可能であり、スライド板64と一体構成された操作ロッド65から構成されている。
【0050】
接地ユニット6の高圧側把持部41への取り付けは、固定板61の一端の貫通孔62にボルトナットを挿通して第1の把持部411、421に固定され、このとき操作ロッド65の一端が第2の把持部412、422に当接した状態となる。そして、高圧側把持部41を操作して、第2の把持部412、422を第1の把持部411、421に対して開方向に操作すると、スライド板64がスプリング63の付勢力に抗してスライド移動する(
図3中の吹出図(a)(b)参照)。
【0051】
スライド板64がスライド移動することにより、第2の把持部412、422に当接された操作ロッド65がスイッチ66を押圧し、接地ユニット6のスイッチ66がONとなる。そして、高圧把持部41で電路8を把持すると、操作ロッド65はスイッチ66を押圧したON状態が維持される。接地ユニット6の接地側把持部42への取り付けも同様であり、接地側把持部42を操作して接地線9を把持すると、接地ユニット6のスイッチ66がONとなる。
【0052】
接地ユニット6のスイッチ66のそれぞれがONになると、接地側送信機52の内部回路の接点がONとなり、接地側送信機52から第2の信号が送信される。一方、高圧側把持部41、及び接地側把持部42の両方が、把持している電路8、又は接地線9から取り外されると、スライド板64がスプリング63の付勢方向にスライド移動することで、操作ロッド65とスイッチ66の押圧状態が解除され、スイッチ66がOFFとなる。スイッチ66の何れか一方がOFFとなることで、接地側送信機52の内部回路の接点523がOFFとなり、それに伴い接地側送信機52から第3の信号が送信される。
【0053】
ここで、必ずしも、高圧側把持部41、及び接地側把持部42の何れか一方が取り外された場合に接地側送信機52の内部回路の接点523がOFFとする必要はない。例えば高圧側把持部41、及び接地側把持部42の両方が取り外された場合に、接点がOFFとなるように構成してもよい。このように構成することで、高圧側把持部41、及び接地側把持部42の何れか一方が不用意に外れた場合に第3の信号が送信されることにより、作業が所定の手順通りに進んでいるものと誤診断されることを防止することができる。
【0054】
<受信機>
受信機53は、作業員Hが身体の一部に携帯して、前記した開閉器側送信機51、及び接地側送信機52から送信される第1の信号、第2の信号、及び第3の信号(第1の信号乃至第3の信号をまとめて単に「信号」という。)をそれぞれ受信する装置であり、信号を受信する磁界センサ534、受信した信号を一時的に記憶する記憶部531、信号の受信順序が所定の順序に従って受信されたか否かを判定する判定部532、判定部532の判定結果に応じて警報を外部に出力する警報出力部533から主に構成されている。
【0055】
磁界センサ534は、例えば、
図4(a)に示すように、平面視で基準となる第1の磁界センサ534aの周囲に等角度(
図4(a)で90度の間隔)で第2の磁界センサ534b、第3の磁界センサ534c、第4の磁界センサ534d、及び第5の磁界センサ534eからなる合計5個のセンサ群から構成されている。なお、センサ群の構成としては、
図4(b)に示すように、第1の磁界センサ534aを基準として、紙面に向かって左右方向に第2の磁界センサ534b、第3の磁界センサ534c、第4の磁界センサ534d、及び第5の磁界センサ534eをそれぞれ均等配置するようにしてもよい。
【0056】
ここで、必ずしも、磁界センサ534は、前記したように複数のセンサ群から構成されている必要はなく、一つの磁界センサ534から構成されていてもよい。但し、作業員Hは受信機53を携帯した状態で点検作業等を行うため、受信機53の位置が定まらず、点検作業時の作業員Hの姿勢によっては、信号の受信感度が弱くなる虞がある。そのため、受信感度を高めるという観点でも、磁界センサ534は複数のセンサ群から構成されていることが好ましい。
【0057】
磁界センサ534で信号を受信すると、それぞれの磁界センサ534で受信した感度が、事前に記憶されている閾値と対比され、センサ群のうち、何れか一つの磁界センサ534の感度が閾値を超えていれば、受信機53は当該信号を受信したと判定される。
【0058】
以上が、本発明の第1の実施形態に係る誤操作防止システム1の構成である。次に、誤操作防止装置5を用いた受電設備2の点検作業時における誤操作防止方法について
図5のフロー図に基づいて説明する。
【0059】
<S101:停電作業>
受電設備2の点検作業に際しては、商用電力系統の電路8と受電設備2との責任分界点に設けられている開閉器3を開放することで、商用電力系統からの電力の供給を停止する。また、このとき作業員Hは、開閉器3が設置されている電柱7の所定の高さ位置に開閉器側送信機51を装着し、開閉器側送信機51の電源をONにする。
【0060】
<S102:第1の信号の受信判定>
開閉器側送信機51の電源がONされると、第1の信号が送信される。そして、受信機53においては、この第1の信号の受信判定が行われる。受信機53で第1の信号を受信すると、その受信履歴が受信機53の記憶部531に一時的に記憶される。
【0061】
<S103:短絡作業>
開閉器3を開放して停電作業が完了した後に、作業員Hは点検対象となる受電設備2のある作業エリアまで移動して、接地側送信機52が一体となった短絡接地具4を接続する。短絡接地具4の接続は、高圧側把持部41を断路器21の一次側に接続し、接地側把持部42を接地線9に接続する。
【0062】
<S104:第2の信号の受信判定>
短絡接地具4の接続により、接地側送信機52の内部回路の接点がONされ、第2の信号が送信される。そして、受信機53においては、この第2の信号の受信判定が行われる。受信機53で第2の信号を受信すると、その受信履歴が受信機53の記憶部531に一時的に記憶される。
【0063】
<S105:点検作業>
第2の信号を受信した後に、作業員Hは受電設備2の点検作業を開始する。
【0064】
<S106:第3の信号の受信判定>
受電設備2の点検作業が完了すると、復電作業に先立ち、作業員Hは短絡接地具4の取り外し作業を行う。そして、短絡接地具4を取り外すと、接地側送信機52の内部回路の接点がOFFされることにより第3の信号が送信される。そして、受信機53においては、この第3の信号の受信判定が行われる。受信機53が、第3の信号を受信すると、その受信履歴が受信機53の記憶部531に一時的に記憶される。
【0065】
<S107:第2の信号の受信判定>
S106において第3の信号を受信すると、続いて第2の信号の受信判定が行われる。S107で、受信機53が第2の信号を受信したと判定すると(S107で「YES」の場合)、短絡接地具4の高圧側把持部41、又は接地側把持部42の何れか一方が外れていた等の理由で、短絡接地具4の短絡作業が再度行われたものと判定する。そして、これまでの第2の信号、及び第3の信号の受信履歴をクリアして、2回目に受信した第2の信号を記憶部531に記憶しS105に戻る。一方、S107において、第2の信号を受信しないと判定されると(S107で「NO」の場合)、S108に進む。
【0066】
<S108:第1の信号の受信判定>
続いて、第1の信号の受信判定が行われる。受電設備2での点検作業を終えた作業員Hは、復電作業を行うために、開閉器3が設置されている電柱7に移動し、第1の信号が送信される作業エリアに近づくと、受信機53が第1の信号を受信する。
【0067】
<S109:復電作業>
S108において受信機53が第1の信号が受信されたと判定すると、判定部532は、これまでの信号の受信履歴(第1の信号、第2の信号、第3の信号、及び第1の信号の順序で受信)に基づいて、作業員Hによる作業工程が予め定めた正しい手順に従って行われたものと判定する。これにより作業員Hは、開閉器3を投入して復電作業を実行することができる。
【0068】
<S110:第1の信号の受信判定>
一方、S104において、短絡接地具を接続した際に送信される第2の信号を受信することなく(S104で「NO」の判定)、S110において第1の信号を受信すると、判定部532は、これまでの信号の受信履歴(第1の信号を受信後に、再度、第1の信号を受信)に基づいて、短絡接地具4が接続されていないか、或いは接地側送信機52が故障しているものと判定して受信機53から警報が発せられる(S111)。警報が発せられると、作業員Hは、再度、短絡接地具4による短絡作業を実施する。
【0069】
さらに、S106において、短絡接地具を取り外した際に送信される第3の信号を受信することなく(S106で「NO」の判定)、S112において第1の信号を受信すると、判定部532は、これまでの信号の受信履歴(第1の信号、第2の信号、及び第1の信号の順序で受信)に基づいて、短絡接地具4が接続された状態のまま作業員Hが復電作業を行うと判定し、受信機53から作業者に対して、短絡接地具の取り外し忘れを通知するための警報が発せられる(S113)。
【0070】
以上のように、判定部532は、記憶部531に記憶された信号履歴に基づいて、信号の受信順序が予め定められた順序(第1の信号、第2の信号、第3の信号、及び第1の信号の順序)ではないと判定した場合に警報を発することで、短絡接地具4を接続したまま復電作業を行うことによる事故を未然に防止することができ、さらには接地側送信機52の故障診断も行うことが可能となる。
【0071】
以上が、本発明の第1の実施形態に係る誤操作防止方法であるが、例えば判定部532が、予め定めた信号の受信順序で受信したと判定した場合でも警報を発するようにしてもよい。この場合、予め定められた受信順序で受信した場合と、それ以外の場合とで、警報の種類を変更することで、作業員Hは、これまでの作業手順の正誤を瞬時に把握することが可能となる。
【0072】
また、受信機53から発せられる警報の報知手段としては、例えばブザー等の音をはじめとして、音声メッセージ、表示メッセージ、光の点灯や点滅、或いはバイブレーション等が用いられ、さらには作業員Hが所持するモバイル端末にこれら警報の出力信号を送信し、モバイル端末を通じて警報を発するようにしてもよい。
【0073】
また、第1の信号、第2の信号、及び第3の信号を受信機53において受信した際にも、これら各信号を受信したことを作業員Hに通知するために、警報を発するようにしてもよい。この場合、各信号の受信時の警報の種類を変更することが好ましい。
【0074】
2 第2の実施形態
次に、本発明の第2の実施形態に係る誤操作防止装置5について
図6に基づいて説明する。なお、以下の説明においては、第1の実施形態と共通する構成については同一の符号を用い、さらに重複する説明については省略し、相違する構成のみ詳細に説明する。
【0075】
第2の実施形態に係る誤操作防止装置5は、開閉器側送信機51、及び接地側送信機52と受信機53との通信方式が第1の実施形態とは異なり、それ以外の構成は同一である。即ち、第2の実施形態に係る誤操作防止システム1の通信方式は、300MHz帯微弱無線による電波方式を採用する。
【0076】
開閉器側送信機51は、第1の信号を送信する電波送信機516が設けられ、接地側送信機52には、第2の信号を送信する電波送信機524が設けられている。そして、受信機53には、第1の信号、及び第2の信号を受信するための電波受信機535が設けられている。
【0077】
このように、通信方式として300MHz帯微弱無線による電波方式を採用することで、電波法に基づく無線免許が不要で利便性が高いとともに、ノイズの影響を受けにくく、限られた送信範囲において精度のよい通信環境を実現することが可能となる。
【0078】
以上、本発明に係る誤操作防止装置、誤操作防止システム、及び誤操作防止方法は、復電作業時における作業員の誤操作を防止し、作業員の安全性を確保することができるものとなっている。
【符号の説明】
【0079】
1 誤操作防止システム
2 受電設備
21 断路器
22 真空遮断器
3 開閉器
4 短絡接地具
41 高圧側把持部
411 第1の把持部
412 第2の把持部
42 接地側把持部
421 第1の把持部
422 第2の把持部
43 ケーブル
5 誤操作防止装置
51 開閉器側送信機
511 信号送信機
512、512a、512b 送信アンテナ
513 コイル
514 ボビン
515 アンテナ磁心
516 電波送信機
52 接地側送信機
521 信号送信機
522 送信アンテナ
523 接点
524 電波送信機
53 受信機
531 記憶部
532 判定部
533 警報出力部
534 磁界センサ
534a 第1の磁界センサ
534b 第2の磁界センサ
534c 第3の磁界センサ
534d 第4の磁界センサ
534e 第5の磁界センサ
535 電波受信機
6 接地ユニット
61 固定板
62 貫通孔
63 スプリング
64 スライド板
65 操作ロッド
66 スイッチ
7 電柱
8 電路
9 接地線
H 作業員