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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024002769
(43)【公開日】2024-01-11
(54)【発明の名称】ピュリファイヤ
(51)【国際特許分類】
   B07B 9/00 20060101AFI20231228BHJP
   B07B 1/46 20060101ALI20231228BHJP
   B07B 4/08 20060101ALI20231228BHJP
   A23L 7/10 20160101ALN20231228BHJP
【FI】
B07B9/00 Z
B07B1/46 K
B07B4/08 A
A23L7/10 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022102170
(22)【出願日】2022-06-24
(71)【出願人】
【識別番号】000001812
【氏名又は名称】株式会社サタケ
(74)【代理人】
【識別番号】100121728
【弁理士】
【氏名又は名称】井関 勝守
(74)【代理人】
【識別番号】100170900
【弁理士】
【氏名又は名称】大西 渉
(72)【発明者】
【氏名】笠田 正明
(72)【発明者】
【氏名】川野 博幸
【テーマコード(参考)】
4B023
4D021
【Fターム(参考)】
4B023LG06
4B023LG08
4B023LG10
4B023LP02
4B023LP20
4B023LT51
4D021AA01
4D021CA07
4D021DA13
4D021DB20
4D021EA02
4D021FA09
4D021GA23
4D021GB01
4D021GB02
4D021HA02
(57)【要約】
【課題】製粉工場内の設備の大型化や複雑化を抑制可能なピュリファイヤを提供する。
【解決手段】ピュリファイヤ2は、ストックを篩9により篩分け可能な篩箱4と、篩9の網目を通過することができなかったオーバー物を篩箱4から排出する第1排出路7aを有する装置本体3と、一端側が篩箱4に接続されたサクション管11と、装置本体3に取り付けられるとともに、サクション管11の他端側に接続された集塵機12とを備える。集塵機12は、サクション管11を介して篩箱4の内部から吸い出した空気に含まれるストックを分離するフィルタ12dと、フィルタ12dにおいてストックを分離することで清浄になった空気を大気に排気する排気管部12iと、第1~第3排出路7a~7cに接続され、第1排出路7aを流れるオーバー物にフィルタ12dにおいて分離したストックを合流させる連絡管12hとを備えている。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ストックを篩により篩分け可能な選別部、及び、前記篩の網目を通過することができなかったオーバー物を前記選別部から排出する排出路部を有する装置本体と、一端側が前記選別部に接続されたサクション管と、を備えるピュリファイヤであって、
前記装置本体に取り付けられるとともに、前記サクション管の他端側に接続された集塵部を更に有し、
前記集塵部は、前記サクション管を介して前記選別部の内部から吸い出した空気に含まれる前記ストックを分離する分離部と、当該分離部において前記ストックを分離することで清浄になった空気を大気に排気する排気部と、前記排出路部に接続され、当該排出路部を流れる前記オーバー物に前記分離部において分離した前記ストックを合流させる連絡管部と、を備えていることを特徴とするピュリファイヤ。
【請求項2】
請求項1に記載のピュリファイヤにおいて、
前記集塵部は、前記装置本体の内部に収容されていることを特徴とするピュリファイヤ。
【請求項3】
請求項2に記載のピュリファイヤにおいて、
前記選別部は、水平方向に所定の間隔を空けて複数設けられ、
前記集塵部は、前記選別部の各々に対応するように複数設けられるとともに、前記複数の選別部の間に配設されていることを特徴とするピュリファイヤ。
【請求項4】
請求項3に記載のピュリファイヤにおいて、
前記集塵部は、前記選別部との間において当該複数の選別部の並設方向と交差する水平方向に沿って並べられていることを特徴とするピュリファイヤ。
【請求項5】
請求項3又は4に記載のピュリファイヤにおいて、
前記選別部の各々には、当該選別部の内部を外部から視認可能な監視窓部と、前記篩を交換可能な交換口部と、が設けられており、
前記監視窓部は、前記複数の選別部の並設方向において前記集塵部と対向する面の反対側の面に設けられ、
前記交換口部は、前記選別部の各々における当該選別部の並設方向と交差する水平方向の端面に設けられていることを特徴とするピュリファイヤ。
【請求項6】
請求項3又は4に記載のピュリファイヤにおいて、
前記集塵部は、上部に前記サクション管の他端側が接続される一方、下部に前記分離部にて分離した前記ストックを回収する回収部を有するサイクロン集塵機であり、
前記排出路部は、前記選別部から排出された前記オーバー物を下方に案内するように構成され、
前記連絡管部は、前記回収部と前記排出路部とを接続するように構成されていることを特徴とするピュリファイヤ。
【請求項7】
請求項3又は4に記載のピュリファイヤにおいて、
前記サクション管は、前記装置本体の高さ寸法よりも短いエルボ管で構成され、その一端側が前記選別部における前記篩の上方部分に接続されていることを特徴とするピュリファイヤ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、小麦の製粉工程において用いられるピュリファイヤに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、小麦の製粉工程では、製粉用ロール機によって小麦を挽砕し、得られたストックをシフターと称される篩機によって粒度別に分けた後、粒度毎にピュリファイヤに投入される。篩機では、ストックの大きさの違いを利用して篩い分けを行うものであるが、ふすまと称される表皮の破片は、一旦小麦粉の中に入ってしまうと分けることができなくなるため、そうなる前に、セモリナと称される胚乳の粒とふすまとを分けるために、ピュリファイヤに供給される。ピュリファイヤでは、ストックの粒度と比重の違いを利用した選別ができるため、比重の大きいセモリナと比重の小さいふすまとに選別される。
【0003】
例えば、特許文献1に開示されているピュリファイヤは、篩と、当該篩の上方に設けられたサクション管とを備え、ピュリファイヤの装置本体に投入されたストックを篩で篩分けるとともに、サクション管に接続された集塵機で吸引することで、ストックからふすまを取り除いて、純粋なセモリナを得るようになっている。
【0004】
ところで、一般的な製粉工場では、上述の如きピュリファイヤが複数台設置されている。各ピュリファイヤには、それぞれにサクション管の一端が接続される一方、当該各サクション管の他端側が集約されるとともに大型の集塵機に接続されている。そして、この大型の集塵機には、ファン等の送風部及びフィルタ等の分離部が備えられており、該送風部を稼働させることで、各サクション管を介して各ピュリファイヤの装置本体の内部から空気を吸引するとともに、該吸引した空気に含まれるふすまを分離部において分離して回収するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010-253371号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、集塵機で回収されたふすま等の回収物には、小麦粉に製粉可能なものも含まれている。そのため、歩留まり向上の観点から、該集塵機の回収物をそのまま廃棄するのではなく、ピュリファイヤから集塵された該回収物から小麦粉を製粉したいという要求がある。しかし、従来の製粉工場では、例えば、複数のピュリファイヤのふすまを一台の大型の集塵機で回収するようになっているので、その大型の集塵機の回収物には様々な粒度のものが入り混じっている。したがって、このような回収物から小麦粉を製粉しようとすると、該回収物を再びシフターにおいて粒度別に分けた後、粒度毎に異なるピュリファイヤに投入する必要があるので、製粉工場内に配管等が錯綜し、設備の大型化或いは複雑化を来たしてしまうおそれがある。
【0007】
本発明は、斯かる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、製粉工場内の設備の大型化や複雑化を伴わず、小麦粉の歩留向上を可能にするピュリファイヤを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するために、本発明は、清浄になった空気を大気に排出可能な集塵部をピュリファイヤの装置本体に取り付けるとともに、集塵部において分離したふすま(ストック)を排出路部内を流れるオーバー物(篩を通過しなかったもの)に合流させるようにしたことを特徴とする。
【0009】
具体的には、ストックを篩により篩分け可能な選別部、及び、前記篩の網目を通過することができなかったオーバー物を前記選別部から排出する排出路部を有する装置本体と、一端側が前記選別部に接続されたサクション管と、を備えるピュリファイヤを対象とし、次のような解決手段を講じた。
【0010】
すなわち、第1の発明では、前記装置本体に取り付けられるとともに、前記サクション管の他端側に接続された集塵部を更に有し、前記集塵部は、前記サクション管を介して前記選別部の内部から吸い出した空気に含まれる前記ストックを分離する分離部と、当該分離部において前記ストックを分離することで清浄になった空気を大気に排気する排気部と、前記排出路部に接続され、当該排出路部を流れる前記オーバー物に前記分離部において分離した前記ストックを合流させる連絡管部と、を備えていることを特徴とする。
【0011】
第2の発明では、第1の発明において、前記集塵部は、前記装置本体の内部に収容されていることを特徴とする。
【0012】
第3の発明では、第2の発明において、前記選別部は、水平方向に所定の間隔を空けて複数設けられ、前記集塵部は、前記選別部の各々に対応するように複数設けられるとともに、前記複数の選別部の間に配設されていることを特徴とする。
【0013】
第4の発明では、第3の発明において、前記集塵部は、前記選別部との間において当該複数の選別部の並設方向と交差する水平方向に沿って並べられていることを特徴とする。
【0014】
第5の発明では、第3又は第4の発明において、前記選別部の各々には、当該選別部の内部を外部から視認可能な監視窓部と、前記篩を交換可能な交換口部と、が設けられており、前記監視窓部は、前記複数の選別部の並設方向において前記集塵部と対向する面の反対側の面に設けられ、前記交換口部は、前記選別部の各々における当該選別部の並設方向と交差する水平方向の端面に設けられていることを特徴とする。
【0015】
第6の発明では、第3又は第4の発明において、前記集塵部は、上部に前記サクション管の他端側が接続される一方、下部に前記分離部にて分離した前記ストックを回収する回収部を有するサイクロン集塵機であり、前記排出路部は、前記選別部から排出された前記オーバー物を下方に案内するように構成され、前記連絡管部は、前記回収部と前記排出路部とを接続するように構成されていることを特徴とする。
【0016】
第7の発明では、第3又は第4の発明において、前記サクション管は、前記装置本体の高さ寸法よりも短いエルボ管で構成され、その一端側が前記選別部における前記篩の上方部分に接続されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
第1の発明では、集塵部により選別部から吸い出された空気に含まれるふすま(ストック)は、該集塵部において吸い出された空気と分離されて回収されるようになるので、従来の如き複数のピュリファイヤに接続された大型の集塵機のように、その回収物に様々な粒度のふすまが入り混じるのを防ぐことができる。これにより、集塵部の回収物を再度シフターにおいて粒度別に分けずに、排出路部を流れるオーバー物と合流させることができるので、再度シフターやピュリファイヤに回収物を搬送するための配管等をなくすことができる。また、集塵部がピュリファイヤの装置本体に取り付けられるとともに、集塵部の排気部から清浄になった空気が大気に排気されるようになるので、従来の如きピュリファイヤと当該ピュリファイヤと離れた場所に設置された大型の集塵機とを接続する配管等が必要なくなる。したがって、製粉工場内に配管等が錯綜し、設備の大型化或いは複雑化を招いてしまうのを防ぐことができる。
【0018】
第2の発明では、集塵部が装置本体の内側に位置するので、集塵部が装置本体の外側のスペースを占有してピュリファイヤが外側に張り出す外形になってしまうことにより、設備が大型化してしまうといったことを防ぐことができる。
【0019】
第3の発明では、集塵部が両選別部の間に位置するので、集塵部の稼働音が選別部によって遮られるようになる。したがって、集塵部を選別部外に配置するものと比べて、集塵部から出る稼働音がピュリファイヤから外部へと漏れ出るのを低減して、ピュリファイヤによる騒音を下げることが可能となる。
【0020】
第4の発明では、2つの集塵部が両選別部の並設方向と直交する水平方向に並ぶ配置になっているので、2つの集塵部が両選別部の間に位置する状態で両選別部を互いに接近配置させ易くなり、ピュリファイヤ全体を両選別部の並設方向にコンパクトにすることができる。
【0021】
第5の発明では、集塵部が各選別部の監視窓部や交換口部を避けた位置に配設されるようになるので、例えば、作業者等が監視窓部から選別部の内部を視認する作業や交換口部を介して篩を交換する作業の際に、集塵部が作業の邪魔になるのを防ぐことができる。
【0022】
第6の発明では、サクション管と連結管部とが集塵部の上下に分かれて接続されるようになるので、サクション管と連絡管部とが干渉するのを抑制することができる。
【0023】
第7の発明では、選別部における篩の上方位置と集塵部の上部との間がピュリファイヤ本体の高さ寸法よりも短いエルボ管で接続されることで、集塵部の下部にピュリファイヤにおける装置本体の高さ寸法よりも長いエルボ管で接続する場合に比べてピュリファイヤを上下方向にコンパクトにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明の実施形態に係る小麦の製粉工程を示す図である。
図2】本発明の実施形態に係るピュリファイヤを示す斜視図である。
図3】本発明の実施形態に係るピュリファイヤの内部構成を示す分解斜視図である。
図4】本発明の実施形態に係るピュリファイヤの内部構成を示す斜視図である。
図5図1のステップS5の純化工程を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。尚、以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎない。
【0026】
図1は、本発明の実施形態に係る小麦の製粉工程1を示す。製粉工場に搬入された小麦は、図1のステップS1~S5に示す製粉工程1を実施することにより、小麦粉に製粉されるようになっている。
【0027】
ステップS1の精選工程では、製粉工場に搬入された小麦から、図示しない選別機を用いて小麦以外の不純物(石ころや他の穀物など)が取り除かれる。
【0028】
ステップS2の調質工程では、小麦粉の水分値を好適なものにするため、また小麦を粉砕しやすくするために小麦に水を加えた状態で約1日間程度放置する。
【0029】
ステップS3の挽砕工程では、図示しない製粉用ロール機を用いて小麦を挽砕し、ストックを得る。該ストックには、セモリナと称される胚乳の粒とふすまと称される表皮の破片とが含まれている。
【0030】
ステップS4の篩工程では、ステップS3において得たストックをシフターと称される篩機にかけて、粒度別に篩分ける。
【0031】
ステップS5の純化工程では、ステップS4において粒度別に篩分けられたストックが、該粒度毎に異なるピュリファイヤ2(図2参照)に供給され、ストックがセモリナとふすまとに選別される。ピュリファイヤ2において選別されたセモリナは、必要に応じて更に挽砕や篩分けがなされて、小麦粉に製粉される。
【0032】
次に、図2図4を用いて、本発明の実施形態に係るピュリファイヤ2について詳述する。
【0033】
ピュリファイヤ2は、製粉工場内のフロアに設置され、かつ、略直方体状をなす装置本体3を備えている。該装置本体3は、水平方向において所定間隔をあけて2列に並んだ篩箱4と、複数の篩箱4の間に位置する2つのサイクロン式の集塵機12とを備えており(図3及び図4参照)、2種類のストックをそれぞれの篩箱4において個別に処理可能な複式構造となっている。なお、本実施形態では、便宜上、複数の篩箱4の並設方向を「装置幅方向」と、篩箱4の並設方向と交差する水平方向を「装置長手方向」とする。
【0034】
装置本体3は、図2に示すように、第1カバー3a、第2カバー3b、第3カバー3c、第4カバー3d、及び、第5カバー3eを備え、第1カバー3a~第5カバー3eの内側に篩箱4が配設されるようになっている。そして、第1カバー3aが装置本体3の装置長手方向一側の領域、第2カバー3bが装置本体3の装置長手方向他側の領域、第3カバー3cが装置本体3における装置幅方向一側の領域、第4カバー3dが装置本体3における装置幅方向他側の領域、及び、第5カバー3eが装置本体3における上側領域の外殻を構成している。なお、ピュリファイヤ2の内部構成を説明する便宜上、図3では第1カバー3a~第5カバー3e、図4では第1カバー3a~第4カバー3dをそれぞれ省略している。
【0035】
装置本体3における第1カバー3aの上部、つまり、装置本体3の装置長手方向一端側の上部には、供給口5が設けられている。該供給口5には、ステップS4の篩工程を実行するシフターに接続されており、当該シフターにおいて粒度別に篩分けられたストックが供給されるようになっている。
【0036】
装置本体3の下部には、第1落下路6a及び第2落下路6bが装置長手方向一側から順に設けられている。該第1落下路6a及び第2落下路6bを介して、篩箱4において選別されたセモリナがピュリファイヤ2から排出され、次工程に送られるようになっている。
【0037】
装置本体3における第2カバー3bの下部、つまり、装置本体3の装置長手方向他端側の下部には、第1排出路7a、第2排出路7b及び第3排出路7cが装置幅方向一側から順に設けられている。該第1排出路7a~第3排出路7cは、篩箱4において選別されなかった物、つまり、第1落下路6a及び第2落下路6bから排出されなかったオーバー物が排出されるようになっている。
【0038】
次に、図3図5を用いて、装置本体3の内部構成について詳述する。
【0039】
装置本体3は、図3及び図4に示すように、平面視で矩形枠状をなすベースフレーム8を備え、該ベースフレーム8は、製粉工場のフロアに設置されるとともに、その上面に篩箱4が2つ取り付けられている。
【0040】
該篩箱4の各々には、装置長手方向一端面に第1開口部4a及び交換口4b、装置幅方向一側かつ斜め上方に向く面に監視窓4c、及び、上面に第2開口部4dが設けられるとともに、下面に選別物排出樋4eが取り付けられ、篩箱4の各々の内部には、複数の篩9(例えば、金属製の篩網からなる)がセットされている。
【0041】
第1開口部4aは、篩箱4における装置長手方向一端面をなす壁の上部に形成された装置長手方向に貫通する孔であり、供給口5に供給されたストックを篩箱4の内部に導入可能になっている。
【0042】
交換口4bは、篩箱4の各々における複数の篩箱4の並設方向と交差する水平方向、つまり、装置長手方向の一端面をなす壁の中途部から下部に亘る領域に形成された装置長手方向に貫通する孔であり、作業者等が篩箱4の内部にセットされた篩9を装置長手方向一側にスライドさせることで篩箱4の外側へと取り出せるようになっている。そして、例えば、作業者等が網目の異なる篩9を交換口4bから装置長手方向他側にスライドさせて篩箱4の内部にセットすることで、篩9を交換することが可能となっている。
【0043】
監視窓4cは、図3及び図4に示すように、複数の篩箱4の並設方向において集塵機12に対向する面の反対側の面の壁を貫通する孔であり、例えばガラス板が開口領域を覆うように取り付けられていて、作業者等が篩箱4の内部の状態を外側から確認するために監視窓4cを介して篩箱4の内部を視認可能となっている。
【0044】
第2開口部4dは、篩箱4における上面をなす壁を上下に貫通するとともに装置長手方向に沿って延びる形状をなす孔である。
【0045】
篩9は、図5に示すように、篩箱4の内部において装置長手方向に沿って複数並べられ、装置長手方向他端側にいくにしたがって下方位置となるように傾斜配置されている。本実施形態では、篩9は、相互に上下方向に間隔をあけた上下三段の構成であり、段毎に4つの篩9を有していて、最上段にセットされた篩9の上方部分が第2開口部4dに対応している。
【0046】
各篩箱4の上面には、第2開口部4dを上方から覆うようにそれぞれフード10が取り付けられていて、該各フード10は、装置幅方向から見て略三角形状をなすとともに、中空構造となっている。
【0047】
また、各フード10の上端部は、装置本体3から外部に露出して設けられたサクション管11の一端側がそれぞれ接続されている。該各サクション管11は、その管長が装置本体3の高さ寸法よりも短いエルボ管で構成され、その他端側が集塵機12にそれぞれ接続されている。
【0048】
集塵機12は、篩箱4との間において複数の篩箱4の並設方向と交差する水平方向、つまり、装置長手方向に沿って並べられ、篩箱4の各々に対応する、つまり、篩箱4の各々に接続されている。
【0049】
集塵機12には、上下に延びる円筒、多角筒などの筒状をなす上側本体部12aと、当該上側本体部12aの下方に連続して設けられ、且つ、下方に行くにつれて次第に縮径する略円錐状をなす下側本体部12bと、上側本体部12aの上方に連続して設けられ、略円盤状をなす送風部12cとが設けられ、図示しないブラケットを介して装置本体3のベースフレーム8等に取り付けられている。なお、本実施形態では、各集塵機12は、1つの篩箱4に対応する能力(例えば、出力、電圧、風量)に設定されているため、従来の複数のピュリファイヤからの回収物を集約して回収する大型の集塵機に比べて、ピュリファイヤ2の装置本体3の内部に収容可能なほどコンパクトになっている。
【0050】
上側本体部12aの外面には、吸入管部12eが径方向外側に向けて突設され、該吸入管部12eには、サクション管11の他端側が接続されるようになっている。また、上側本体部12aの内部かつ中央には、円筒状かつ袋状の濾布で構成されたフィルタ12dが吊り下げられている(図5参照)。
【0051】
下側本体部12bの内側には、ふすまを回収可能な回収部12fが設けられている。該回収部12fの下部には、ロータリーバルブ12gが設けられる。さらに、前記ロータリーバルブ12gは、連絡管12hによって第1排出路7aと接続される。このほか、前記ロータリーバルブ12gは、連絡管12hによって第2排出路7b又は第3排出路7cに接続するようにしてもよい。
【0052】
送風部12cは、その内部に図示しないファンが収容されているとともに、外面から径方向外側に向けて排気管部12iが突設されている。ファンが電気モータ等により回転駆動されると、集塵機12の内側に負圧が発生するようになり、該負圧によって、サクション管11を介して集塵機12と接続された篩箱4の内部からふすま(ストック)が含まれた空気を吸い出すことが可能となっている。
【0053】
次に、図5を用いて、ピュリファイヤ2の作用について説明する。
【0054】
供給口5から装置本体3にストックが供給されると、該ストックが第1開口部4aを介して篩箱4の内部に導入され、最上段かつ装置長手方向一端側、つまり、最上流側に配置された篩9の上におかれるようになる。そして、図示しない電動モータを用いて篩9振動させることで、ピュリファイヤ2が輸送機能、成層機能、分級機能、及び、篩分機能の4つの機能を発揮して、供給されたストックからセモリナを選別するようになっている。
【0055】
輸送機能は、篩9を装置長手方向に振動させることで、篩9の上を装置長手方向一端側から装置長手方向他端側、つまり、下流側に向かってストックを輸送するものである。また、成層機能は、篩9が振動してストックが篩9の上でゆり動かされることにより、ストックのうち比較的重い粒子が下方に移動するとともに、比較的軽い粒子が上方に移動して、比較的軽い粒子の上側層と比較的重い粒子の下側層の上下2層に分かれるものである。そして、分級機能は、集塵機12の送風部12cを稼働させることで生成される篩9の篩面を下から上へと通過する上昇気流によって、比較的重い粒子(セモリナ)を篩9の上に残しつつ比較的軽い粒子(ふすま)を篩9から浮き上がらせるものである。さらに、篩分機能は、ストックの中のセモリナが篩9の網目を通過して篩9の下に抜けることで、セモリナを篩分けるものである。
【0056】
本実施形態では、篩箱4の内部において、篩9は、装置長手方向一側から他側に向けて順次目幅が大きくなるように、かつ、上段から下段にいくにしたがって順次目幅が小さくなるように各篩9の目幅が設定されているので、小さな粒子のセモリナほど、装置長手方向一端側、つまり、上流側において上下三段の篩9を通過して選別物排出樋4eに落下する。該選別物排出樋4eのセモリナ、つまり、選別されたセモリナは、第1落下路6a、或いは、第2落下路6bを通って、次工程に送られ、必要に応じて更に挽砕や篩分けがなされることで小麦粉に製粉される。
【0057】
一方、篩9の網目よりも大きい、つまり、篩9の網目を通過することができなかったオーバー物は、各段の篩9毎に配設された第1排出路7a~第3排出路7cに排出される。該排出されたオーバー物は、上下方向に延びる各排出路の内部を下方に案内された後、選別されたセモリナが送られる工程、つまり、第1落下路6aや第2落下路6bを介して送られる工程とは別工程の製粉用ロール機やシフターに送られ、小麦粉に製粉されるようになっている。
【0058】
また、篩9を振動させるのに加えて、集塵機12の送風部12cを稼働させると、篩箱4の内部において篩9の篩面を下から上へと通過する上昇気流が発生し、篩箱4の内部からふすま(ストック)が含まれた空気が吸い出される。吸い出された空気は、フード10、サクション管11及び吸入管部12eを順に通過して集塵機12の上側本体部12aに導入され、該上側本体部12aの内面に沿って流れる旋回流となる。そして、該旋回流の遠心力により、一部のふすまが上側本体部12aの内面に衝突後に落下して下側本体部12bの回収部12fに回収される。残りのふすまは、フィルタ12dを通過する際にフィルタ12dに付着することで空気と分離される。そして、フィルタ12dに付着したふすまは、例えば、圧縮エアをフィルタ12dに供給することで、落下させて回収部12fにおいて回収される。該回収部12fに回収されたふすま(ストック)は、ロータリーバルブ12g及び連絡管12hを介して第1排出路7aに送られて該第1排出路7aを流れるオーバー物と合流し、該オーバー物と同じ工程で処理されることで、小麦粉に製粉される。一方、フィルタ12dを通過して清浄になった空気は、ピュリファイヤ2の装置本体3の上端に設けられた排気管部12iから大気に排気される。
【0059】
以上より、本実施形態によれば、集塵機12により篩箱4から吸い出された空気に含まれるふすま(ストック)は、該集塵機12において吸い出された空気と分離されて回収されるようになるので、従来の如き複数のピュリファイヤに接続された大型の集塵機のように、その回収物に様々な粒度のふすまが入り混じるのを防ぐことができる。これにより、集塵機12の回収物を再度シフターにおいて粒度別に分けずに、第1排出路7aを流れるオーバー物と合流させることができるので、再度シフターやピュリファイヤに回収物を搬送するための配管等をなくすことができる。また、集塵機12がピュリファイヤ2の装置本体3に取り付けられるとともに、集塵機12の排気管部12iから清浄になった空気が大気に排気されるようになるので、従来の如きピュリファイヤと当該ピュリファイヤと離れた場所に設置された大型の集塵機とを接続する配管等が必要なくなる。したがって、製粉工場内に配管等が錯綜し、設備の大型化或いは複雑化を招いてしまうのを防ぐことができる。
【0060】
また、集塵機12が装置本体3の内側に位置するので、集塵機12が装置本体3の外側のスペースを占有してピュリファイヤ2が外側に張り出す外形になってしまうことにより、設備が大型化してしまうといったことを防ぐことができる。
【0061】
また、集塵機12が両篩箱4の間に位置するので、集塵機12の稼働音が篩箱4に遮られるようになる。したがって、集塵機12から出る稼働音がピュリファイヤ2から外部へと漏れ出るのを低減して、ピュリファイヤ2による騒音を下げることが可能となる。
【0062】
また、2つの集塵機12が両篩箱4の装置幅方向と直交する水平方向に並ぶ配置になっているので、2つの集塵機12が両篩箱4の間に位置する状態で両篩箱4を互いに接近配置させ易くなり、ピュリファイヤ2全体を両篩箱4の装置幅方向にコンパクトにすることができる。
【0063】
また、集塵機12が各篩箱4の監視窓4cや交換口4bを避けた位置に配設されるようになるので、例えば、作業者等が監視窓4cから篩箱4の内部を視認する作業や交換口4bを介して篩9を交換する作業の際に、集塵機12が作業の邪魔になるのを防ぐことができる。
【0064】
また、サクション管11と連絡管12hとが集塵機12の上下に分かれて接続されるようになるので、サクション管11と連絡管12hとが干渉するのを抑制することができる。
【0065】
また、集塵機12における篩9の上方位置と集塵機12の上部との間がピュリファイヤ2の装置本体3の高さ寸法よりも短いエルボ管で接続されることで、集塵機12の下部にピュリファイヤ2における装置本体3の高さ寸法よりも長いエルボ管で接続する場合に比べてピュリファイヤ2を上下方向にコンパクトにすることができる。
【0066】
なお、本実施形態では、ピュリファイヤ2は、2つの篩箱4を備えた複式構造であったが、1つの篩箱4を備えた単式構造、或いは、ピュリファイヤを上下に二段重ねた構造としてもよい。
【0067】
また、本実施形態では、篩箱4は、上下三段の篩9を備えていたが、上下三段よりも少ない段数、或いは、上下三段よりも多い段数としてもよい。
【0068】
また、本実施形態では、篩箱4は、段毎に4つの篩9を備えていたが、段毎に4つ未満、或いは、5つ以上の篩9を備えるようにしてもよい。
【0069】
また、本実施形態では、サクション管11はエルボ管で構成されていたが、エルボ管以外の管(例えば、ベンド管や金属製の管)を用いてもよい。
【0070】
また、本実施形態では、集塵機12は、サイクロン式であったが、サイクロン式以外の方式の集塵機であってもよい。
【0071】
また、本実施形態では、集塵機12は、装置本体3の内部に収容されていたが、装置本体3の外面(例えば、第1カバー3a~第5カバー3e)に取り付けられるようにしてもよい。
【0072】
また、本実施形態では、集塵機12は、装置長手方向に沿って並べられていたが、装置幅方向に沿って並べるようにしてもよい。
【0073】
また、本実施形態では、集塵機12は、篩箱4毎に備えられたが、篩箱4の数よりも少ない、或いは、篩箱4の数よりも多い集塵機を備えるようにしてもよい。篩箱4毎に2つの集塵機が備えられる場合、つまり、篩箱4の上流側領域(装置長手方向一端側の領域)と下流側領域(装置長手方向他端側の領域)とにそれぞれフードが設けられる場合、上流側領域のフードに接続された集塵機の回収物を第1排出路7aに送るとともに、下流側領域のフードに接続された集塵機の回収物を第2排出路7b或いは第3排出路7cに送るようにしてもよい。
【0074】
また、本実施形態では、連絡管12hが第1排出路7aに接続されていたが、第2排出路7bや第3排出路7cに接続されるようにしてもよく、或いは、連絡管を第1排出路7a~第3排出路7cに接続するとともに、集塵機12の回収物の粒度や比重等の性状に応じて、第1排出路7a~第3排出路7cのいずれの排出路に送るかどうかを切替可能な切替機構を連絡管に設けるようにしてもよい。
【0075】
また、本実施形態では、ピュリファイヤ2は、小麦の製粉工程1で使用される例について説明したが、小麦以外の穀物(例えば、蕎麦、大豆、小豆、トウモロコシなど)の製粉工程で使用してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0076】
本発明は、小麦の製粉工程において用いられるピュリファイヤに適している。
【符号の説明】
【0077】
2 ピュリファイヤ
3 装置本体
4 篩箱(選別部)
4b 交換口(交換口部)
4c 監視窓(監視窓部)
7a 第1排出路(排出路部)
7b 第2排出路(排出路部)
7c 第3排出路(排出路部)
11 サクション管
12 集塵機(集塵部、サイクロン集塵機)
12a 上側本体部(分離部)
12d フィルタ(分離部)
12f 回収部
12h 連結管(連絡管部)
12i 排気管部(排気部)
図1
図2
図3
図4
図5