(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024027720
(43)【公開日】2024-03-01
(54)【発明の名称】制御装置、制御方法、制御システム、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G01N 33/24 20060101AFI20240222BHJP
【FI】
G01N33/24 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022130766
(22)【出願日】2022-08-18
(71)【出願人】
【識別番号】000004226
【氏名又は名称】日本電信電話株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】801000027
【氏名又は名称】学校法人明治大学
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】100164471
【弁理士】
【氏名又は名称】岡野 大和
(74)【代理人】
【識別番号】100176728
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 慎吾
(72)【発明者】
【氏名】小林 大樹
(72)【発明者】
【氏名】荒武 淳
(72)【発明者】
【氏名】櫻田 洋介
(72)【発明者】
【氏名】登尾 浩助
(57)【要約】
【課題】土壌水分量を計測するための回帰式を容易に算出することができる。
【解決手段】本開示に係る制御装置は、水槽に収容された水の水位dを示す水位情報の入力を受け付ける入力部31と、衛星から送信され、受信機によって受信された、電磁波の直接波Pdと、該電磁波が水の水面にて反射した反射波Prとに基づく受信波を示す受信波情報を取得する受信波情報取得部32と、受信波を示す信号の信号対雑音比を、衛星仰角を変数とする正弦関数にフィッティングしたときの、該正弦関数における位相φを算出する位相算出部33と、水位と位相との関係を示す回帰式を算出する回帰式算出部34と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水槽に収容された水の水位を示す水位情報の入力を受け付ける入力部と、
衛星から送信され、受信機によって受信された、電磁波の直接波と、該電磁波が前記水の水面にて反射した反射波とに基づく受信波を示す受信波情報を取得する受信波情報取得部と、
前記受信波を示す信号の信号対雑音比を、衛星仰角を変数とする正弦関数にフィッティングしたときの、該正弦関数における位相を算出する位相算出部と、
前記水位と前記位相との関係を示す回帰式を算出する回帰式算出部と、
を備える、制御装置。
【請求項2】
前記入力部は、受信機による衛星からの電磁波の受信に関する条件を示す条件情報の入力を受け付け、
前記回帰式と、該回帰式に対応する条件情報とを含む回帰式情報を出力する出力部をさらに備える、請求項1に記載の制御装置。
【請求項3】
前記水槽は、複数の、水を収容する水槽サブユニットによって構成され、
前記受信波情報取得部は、水が収容されていた前記水槽サブユニットのうちの一部の前記水槽サブユニットから水が排水されるごとに、前記受信波情報を取得し、
前記位相算出部によって算出された位相と、該位相が算出されたときに水が収容されている前記水槽サブユニットを識別する水槽サブユニット情報とを記憶する位相記憶部と、
前記位相記憶部に直近で記憶された2つの前記位相の差分に基づいて、前記受信波情報に基づいて土壌水分量が検出される検出範囲を決定する検出範囲判定部と、を備える請求項1又は2に記載の制御装置。
【請求項4】
前記水槽は、複数の、水を収容する水槽サブユニットによって構成され、
前記複数の水槽サブユニットは、前記受信機の周囲に設置され、
前記衛星の位置に基づいて、前記複数の水槽サブユニットのうちの、前記水を収容する水槽サブユニットを決定する水槽決定部をさらに備え、
前記入力部は、前記決定された前記水槽サブユニットに収容された水の水位を示す水位情報の入力を受け付ける、請求項1又は2に記載の制御装置。
【請求項5】
制御装置が実行する制御方法において、
水槽に収容された水の水位を示す水位情報の入力を受け付けるステップと、
衛星から送信され、受信機によって受信された、電磁波の直接波と、該電磁波が前記水の水面にて反射した反射波とに基づく受信波を示す受信波情報を取得するステップと、
前記受信波を示す信号の信号対雑音比を、衛星仰角を変数とする正弦関数にフィッティングしたときの、該正弦関数における位相を算出するステップと、
前記水位と前記位相との関係を示す回帰式を算出するステップと、
を含む、制御方法。
【請求項6】
土壌が収容されている水槽に前記土壌の水分が飽和するまで水を供給するステップと、
前記土壌に含まれる水分量である土壌水分量を計測する計測ステップと、
衛星から送信され、受信機によって受信された、電磁波の直接波と、前記電磁波が前記土壌の表面にて反射した反射波とに基づく、前記土壌水分量が計測されたときの受信波を示す受信波情報を取得する取得ステップと、
前記受信波を示す信号の信号対雑音比を、衛星仰角を変数とする正弦関数にフィッティングしたときの、該正弦関数における位相を算出する位相算出ステップと、
前記土壌水分量と前記位相との関係を示す回帰式を算出する回帰式算出ステップと、
所定回数以上、前記回帰式が算出されたか否かを判定する第1の判定ステップと、
前記所定回数以上、前記回帰式が算出されていないと判定されると、前記土壌水分量が所定の土壌水分量閾値未満であるか否かを判定する第2の判定ステップと、を含み、
前記土壌水分量が所定の土壌水分量閾値以上であると判定されると、前記所定回数以上、前記回帰式が算出されたと判定されるか、又は前記土壌水分量が所定の土壌水分量未満であると判定されるまで、前記計測ステップと、前記前記取得ステップと、前記位相算出ステップと、前記回帰式算出ステップとを順に繰り返す、制御方法。
【請求項7】
衛星から送信された電磁波を受信する受信機と、制御装置とを備える制御システムにおいて、
前記制御装置は、
水槽に収容された水の水位を示す水位情報の入力を受け付ける入力部と、
衛星から送信され、受信機によって受信された、電磁波の直接波と、該電磁波が前記水の水面にて反射した反射波とに基づく受信波を示す受信波情報を取得する受信波情報取得部と、
前記受信波を示す信号の信号対雑音比を、衛星仰角を変数とする正弦関数にフィッティングしたときの、該正弦関数における位相を算出する位相算出部と、
前記水位と前記位相との関係を示す回帰式を算出する回帰式算出部と、
を有する、制御システム。
【請求項8】
コンピュータを、請求項1又は2に記載の制御装置として機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、制御装置、制御方法、制御システム、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、土砂災害の予測、農地の管理、気象予報等を目的として土壌水分量を計測することが知られている。これまで、土壌水分量の計測においては、接触式センサを用いたTDR法が知られている。この方法では、高い精度で土壌水分量を計測することができるが、計測範囲は数cm(センチメートル)程度の狭い範囲に限られる。
【0003】
近年では、全球測位衛星システム(Global Navigation Satellite System(GNSS))の衛星から送信され、マルチパスで伝搬する電磁波を用いて、土壌水分量を計測する技術が発達している。具体的には、GNSS受信機によって受信された、衛星から送信された電磁波の直接波と、衛星から送信された電磁波が地面で反射した反射波とに基づく電磁波の信号対雑音比(Signal-to-Noise Ratio(SNR))の位相は、土壌水分量に依存する。そこで、SNRの位相に基づいて土壌水分量が計測される(非特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】Larson, K. M., et al. (2010). "GPS Multipath and Its Relation to Near-Surface Soil Moisture Content." IEEE Journal of Selected Topics in Applied Earth Observations and Remote Sensing 3(1): 91-99.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、信号対雑音比の位相と土壌水分量との関係を示す回帰式は、予め算出されている必要がある。このため、予め、受信した電磁波のSNRを算出し、土壌水分計を用いて該電磁波が受信されたときの土壌水分量を計測するという作業を複数回にわたって行う必要がある。また、土壌水分計による1回の計測で水分が計測される土壌の範囲は、実運用にて計測の対象となる土壌の全範囲に比べて小さいため、土壌の全範囲に適用される回帰式を算出するために、複数の土壌水分計を面的に設置する必要があり、その負荷が大きくなる。
【0006】
さらに、信号対雑音比の位相と土壌水分量との関係を示す回帰式は、電磁波を送信する衛星、電磁波の周波数、電磁波を受信する受信機、受信機に設けられているアンテナ、及び地面からの受信機の高さを含む条件に依存する。このため、条件ごとの、位相と土壌水分量との関係を算出するために、条件ごとに、土壌水分量計を用いて土壌水分量を計測しなければならず、その負荷が大きくなっている。また、仮に、条件の合わない環境にて、上述した回帰式を用いて土壌水分量を計測した場合、計測の精度は低くなる。
【0007】
かかる事情に鑑みてなされた本開示の目的は、土壌水分量を計測するための回帰式を容易に算出することができる制御装置、制御方法、制御システム、及びプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、本開示に係る制御装置は、水槽に収容された水の水位を示す水位情報の入力を受け付ける入力部と、衛星から送信され、受信機によって受信された、電磁波の直接波と、該電磁波が前記水の水面にて反射した反射波とに基づく受信波を示す受信波情報を取得する受信波情報取得部と、前記受信波を示す信号の信号対雑音比を、衛星仰角を変数とする正弦関数にフィッティングしたときの、該正弦関数における位相を算出する位相算出部と、前記水位と前記位相との関係を示す回帰式を算出する回帰式算出部と、を備える。
【0009】
上記課題を解決するため、本開示に係る制御方法は、制御装置が実行する制御方法において、水槽に収容された水の水位を示す水位情報の入力を受け付けるステップと、衛星から送信され、受信機によって受信された、電磁波の直接波と、該電磁波が前記水の水面にて反射した反射波とに基づく受信波を示す受信波情報を取得するステップと、前記受信波を示す信号の信号対雑音比を、衛星仰角を変数とする正弦関数にフィッティングしたときの、該正弦関数における位相を算出するステップと、前記水位と前記位相との関係を示す回帰式を算出するステップと、を含む。
【0010】
上記課題を解決するため、本開示に係る制御方法は、土壌が収容されている水槽に前記土壌の水分が飽和するまで水を供給するステップと、前記土壌に含まれる水分量である土壌水分量を計測する計測ステップと、衛星から送信され、受信機によって受信された、電磁波の直接波と、前記電磁波が前記土壌の表面にて反射した反射波とに基づく、前記土壌水分量が計測されたときの受信波を示す受信波情報を取得する取得ステップと、前記受信波を示す信号の信号対雑音比を、衛星仰角を変数とする正弦関数にフィッティングしたときの、該正弦関数における位相を算出する位相算出ステップと、前記土壌水分量と前記位相との関係を示す回帰式を算出する回帰式算出ステップと、所定回数以上、前記回帰式が算出されたか否かを判定する第1の判定ステップと、前記所定回数以上、前記回帰式が算出されていないと判定されると、前記土壌水分量が所定の土壌水分量閾値未満であるか否かを判定する第2の判定ステップと、を含み、前記土壌水分量が所定の土壌水分量閾値以上であると判定されると、前記所定回数以上、前記回帰式が算出されたと判定されるか、又は前記土壌水分量が所定の土壌水分量未満であると判定されるまで、前記計測ステップと、前記前記取得ステップと、前記位相算出ステップと、前記回帰式算出ステップとを順に繰り返す。
【0011】
上記課題を解決するため、本開示に係る制御システムは、衛星から送信された電磁波を受信する受信機と、制御装置とを備える制御システムにおいて、前記制御装置は、水槽に収容された水の水位を示す水位情報の入力を受け付ける入力部と、衛星から送信され、受信機によって受信された、電磁波の直接波と、該電磁波が前記水の水面にて反射した反射波とに基づく受信波を示す受信波情報を取得する受信波情報取得部と、前記受信波を示す信号の信号対雑音比を、衛星仰角を変数とする正弦関数にフィッティングしたときの、該正弦関数における位相を算出する位相算出部と、前記水位と前記位相との関係を示す回帰式を算出する回帰式算出部と、を有する。
【0012】
上記課題を解決するため、本開示に係るプログラムは、コンピュータを、上述した制御装置として動作させる。
【発明の効果】
【0013】
本開示に係る制御装置、制御方法、制御システム、及びプログラムによれば、土壌水分量を計測するための回帰式を容易に算出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】第1の実施形態に係る制御システムの一例を示す概略図である。
【
図2】
図1に示す受信機の配置の一例を示す概略図である。
【
図3】
図2に示す水槽の水位と、受信機によって受信された受信波における信号対雑音比の位相との関係の一例を示すグラフである。
【
図4A】
図1に示す受信機の配置の他の例を示す概略図である。
【
図4B】
図1に示す受信機の配置のさらに他の例を示す概略図である。
【
図5】
図1に示す制御システムによって算出された回帰式を用いて土壌水分量を計測する計測装置の一例を示す概略図である。
【
図6】
図1に示す制御装置の動作を示すフローチャートである。
【
図7】
図5に示す計測装置の動作を示すフローチャートである。
【
図8】第2の実施形態に係る制御システムの一例を示す概略図である。
【
図9】
図8に示す受信機の配置の一例を示す概略図である。
【
図10】
図8に示す制御装置の動作を示すフローチャートである。
【
図11】第3の実施形態に係る制御システムの一例を示す概略図である。
【
図12】
図11に示す受信機の配置の一例を示す概略図である。
【
図14】
図11に示す制御装置の動作を示すフローチャートである。
【
図15】第4の実施形態に係る制御システムの一例を示す概略図である。
【
図17】
図15に示す制御装置の動作を示すフローチャートである。
【
図18】制御システムの変形例が備える循環システムの一例を示す概略図である。
【
図19】
図1に示す制御装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
<<第1の実施形態>>
図1を参照して第1の実施形態の全体構成について説明する。
図1は、第1の実施形態に係る制御システム100の一例を示す概略図である。
【0016】
図1に示すように、制御システム100は、水位計1と、受信機2と、制御装置3とを備える。
【0017】
水位計1は、
図2に示すような、水槽AQに収容されている水Wの水位dを計測する。水位計1は、任意の方法によって水位dを計測することができる。
【0018】
受信機2は、GNSSの衛星STから送信されたGNSS信号を受信する。受信機2は、GNSSアンテナを備えるGNSS受信機とすることができる。第1の実施形態では、受信機2は、水槽AQに収容される水Wの最大の水位dより高い位置に配置されるように設けられている。
図2に示す例では、水槽AQ内に設置台ISが配置され、受信機2は、該設置台ISの上に設けられている。
【0019】
<制御装置の構成>
図1に示すように、制御装置3は、入力部(第1の入力部)31と、受信波情報取得部(第1の受信波情報取得部)32と、位相算出部33と、回帰式算出部34と、判定部35と、出力部(第1の出力部)36とを備える。制御装置3は、受信機2と一体に構成されていてもよい。
【0020】
入力部31は、入力インターフェースによって構成される。入力インターフェースは、マウス、キーボード等であってもよいし、通信インターフェースであってもよい。通信インターフェースには、例えば、イーサネット(登録商標)、FDDI(Fiber Distributed Data Interface)、Wi-Fi(登録商標)等の規格が用いられてもよい。受信波情報取得部32、位相算出部33、回帰式算出部34、及び判定部35は、コントローラによって構成される。コントローラは、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)等の専用のハードウェアによって構成されてもよいし、プロセッサによって構成されてもよいし、双方を含んで構成されてもよい。出力部36は、出力インターフェースによって構成される。出力インターフェースは、有機EL(Electro Luminescence)、液晶パネル等のディスプレイであってもよいし、通信インターフェースであってもよい。
【0021】
入力部31は、水槽AQに収容された水Wの水位dを示す水位情報の入力を受け付ける。水位dは、上述したように水位計1によって計測されてもよい。なお、制御システム100は水位計1を備えなくてもよく、このような構成によって、入力部31は、制御システム100に含まれない任意の水位計によって計測された水位dを示す水位情報の入力を受け付ける。
【0022】
また、入力部31は、受信機2による衛星STからの電磁波の受信に関する条件を示す条件情報の入力を受け付ける。条件情報は、例えば、衛星ST、電磁波の周波数又は波長、受信機2、アンテナ、及びアンテナ高さHを示す情報を含むことができる。衛星STを示す情報とは、衛星STを識別するための情報であってもよいし、衛星STの種類を識別するための情報であってもよい。受信機2及びアンテナをそれぞれ示す情報についても同様である。アンテナ高さHは、水槽AQの底面からのアンテナの高さである。
【0023】
受信波情報取得部32は、衛星STから送信され、受信機2によって受信された受信波を示す受信波情報を取得する。
図2に示すように、受信波は、衛星STから送信された電磁波の直接波Pdと、衛星STから送信された電磁波が水Wの水面にて反射した反射波Prとに基づく電磁波である。具体的には、受信波は、直接波Pdと反射波Prとの干渉によって形成される干渉波である。
【0024】
図1に戻って、位相算出部33は、受信波情報に含まれる受信波を示す信号の信号対雑音比を、衛星仰角Eを変数とする正弦関数にフィッティングしたときの、該正弦関数における位相φを算出する。衛星仰角Eは、GNSSの衛星STから送信された電磁波の進行方向と、該電磁波が入射する、水槽AQに収容されている水Wの水面とがなす鋭角である。
【0025】
具体的には、位相算出部33は、受信波情報取得部32によって取得された受信波情報が示す受信波の信号対雑音比を算出する。そして、位相算出部33は、所定の範囲(例えば、5°以上で20°以下)の衛星仰角Eにおける信号対雑音比を抽出する。さらに、位相算出部33は、信号対雑音比のトレンドを除去し、以下の式(1)で示される、衛星仰角Eを変数とする正弦関数にフィッティングすることにより、位相φを算出する。なお、式(1)において、A、h、及びλは、それぞれ正弦関数によって示される正弦波の振幅、水面からのアンテナの高さ、及び受信波の波長である。
【数1】
【0026】
回帰式算出部34は、水位dと位相φとの関係を示す回帰式を算出する。具体的には、回帰式算出部34は、
図3に示すような、入力部31によって入力が受け付けられた水位dと、位相算出部33によって算出された位相φとの関係を示す回帰式(
図3の例では、直線で表されている回帰線を示す式)を算出する。回帰式算出部34は、公知の回帰分析により回帰式を算出することができる。
【0027】
判定部35は、回帰式算出部34によって回帰式が算出されると、所定回数以上、回帰式が算出されたか否かを判定する。判定部35は、所定回数以上、回帰式が算出されたと判定されると、回帰式算出部34によって最後に算出された回帰式を含む回帰式情報を出力部36に出力させる。
【0028】
回帰式情報は、回帰式算出部34によって算出された回帰式を含む。また、回帰式情報は、回帰式とともに、該回帰式に対応する条件情報をさらに含んでもよい。回帰式に対応する条件情報とは、回帰式の算出に用いられた受信波情報に含まれる受信波に関する条件情報である。例えば、「GPS No.1」で識別される衛星STから、周波数「L1」の電磁波を、「A社 製品名x」で識別される受信機2が有する「チョークリング」のアンテナによって受信して、回帰式が算出された場合、判定部35は、該回帰式とともに、衛星ST「GPS No.1」、周波数「L1」、受信機2「A社 製品名x」、及びアンテナ「チョークリング」という条件を示す条件情報を含む回帰式情報を出力部36に出力させる。
【0029】
また、判定部35は、所定回数以上、回帰式が算出されていないと判定されると、水位dが所定の水位閾値未満であるか否かを判定する。所定の水位閾値は、例えば、水槽AQの深さaとすることができる。判定部35は、水位dが所定の水位閾値以上である(所定の水位閾値が水槽AQの深さaである場合、水位dが所定の水位閾値と等しい)と判定されると、回帰式算出部34によって最後に算出された回帰式を含む回帰式情報を出力部36に出力させる。
【0030】
判定部35は、水位dが所定の水位閾値未満であると判定されると、水位dを変化させるための命令を出力部36に出力させる。なお、判定部35は、出力部36によって出力された命令に基づいて水槽AQに水が給排水されて水位dが変化すると、水位計によって再び計測された水位dを示す情報、受信機2によって受信された受信波に関する受信波情報に基づいて、上述した処理を再び実行することができる。
【0031】
出力部36は、判定部35の制御により、回帰式情報を出力する。出力部36は、有機EL(Electro Luminescence)、液晶パネル等の表示装置に回帰式情報を表示させてもよいし、通信ネットワークを介して他の装置に回帰式情報を送信してもよい。
【0032】
また、出力部36は、判定部35の制御により、水位dを変化させるための命令を出力する。出力部36は、給排水設備を制御する給排水制御装置に該命令を出力してもよいし、表示装置に該命令を表示させてもよい。
【0033】
なお、
図4Aに示すように、制御システム100は、互いに異なるアンテナ高さHk(kは自然数であり、
図4Aに示す例ではk=1~3である)となるように設置された複数の受信機2を備えてもよい。このような構成において、入力部31は、受信機2、衛星ST、衛星STからの電磁波の周波数又は波長、アンテナ、及びアンテナ高さHkを含む条件を示す条件情報の入力を受け付ける。そして、回帰式算出部34は、複数の受信機2それぞれで受信された受信波を含む受信波情報に基づいて回帰式を算出し、出力部36は、回帰式それぞれと、それぞれに対応する条件情報とを含む回帰式情報を出力する。このように、制御装置3は、異なるアンテナ高さHkを含む異なる条件それぞれについての回帰式を算出することができる。したがって、受信機2のアンテナ高さHkが様々である場合にも、制御装置3を用いて算出された回帰式のうち、条件に沿った回帰式を用いることによって、高い精度で土壌水分量を算出することができる。
【0034】
また、
図4Bに示すように、受信機2は、鉛直方向に移動可能であるように設けられていてもよい。このような構成において、入力部31は、受信機2が互いに異なるアンテナ高さHとなるときのそれぞれについて、アンテナ高さHを含む条件を示す条件情報の入力を受け付ける。そして、回帰式算出部34は、複数の受信機2それぞれで受信された受信波を含む受信波情報に基づいて回帰式を算出し、出力部36は、回帰式それぞれと、それぞれに対応する条件とを含む回帰式情報を出力する。このように、制御装置3は、異なるアンテナ高さHを含む異なる条件それぞれについての回帰式を算出することができる。したがって、受信機2のアンテナ高さHが様々である場合にも、制御装置3を用いて算出された回帰式のうち、条件に沿った回帰式を用いることによって、高い精度で土壌水分量を算出することができる。
【0035】
<計測装置の構成>
ここで、
図5を参照して、制御装置3によって算出された回帰式を用いて、土壌水分量を計測する計測装置4について説明する。
図5は、第1の実施形態に係る計測装置4の一例を示す概略図である。
【0036】
図5に示すように、計測装置4は、入力部(第2の入力部)41と、受信波情報取得部(第2の受信波情報取得部)42と、回帰式記憶部43と、土壌水分量計測部44と、出力部(第2の出力部)45とを備える。入力部41は、入力インターフェースによって構成される。受信波情報取得部42及び土壌水分量計測部44は、コントローラによって構成される。回帰式記憶部43は、メモリによって構成される。メモリは、ASIC、FPGA等のハードウェアにおけるレジスタによって構成されてもよいし、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)、ROM(Read-Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)等によって構成されてもよい。出力部45は、出力インターフェースによって構成される。
【0037】
入力部41は、条件情報の入力を受け付けることができる。条件情報は、衛星ST、受信機2、衛星STから送信される電磁波の周波数又は波長、アンテナ、地面からのアンテナの高さ等の条件を含んでよい。
【0038】
受信波情報取得部42は、衛星STから送信され、受信機2によって受信された、電磁波の直接波Pdと、該電磁波が土壌の表面にて反射した反射波Prとに基づく受信波を示す受信波情報を取得する。
【0039】
回帰式記憶部43は、上述した制御装置3によって算出された回帰式を記憶している。回帰式記憶部43は、条件情報に対応して回帰式を記憶することができる。
【0040】
土壌水分量計測部44は、受信波情報取得部42によって取得された受信波情報と、回帰式記憶部43に記憶されている回帰式とに基づいて、土壌水分量を計測する。土壌水分量計測部44は、入力部41によって入力が受け付けられた条件情報と、受信波情報と、条件情報に対応する回帰式とに基づいて、土壌水分量を計測してもよい。
【0041】
具体的には、土壌水分量計測部44は、受信波情報に含まれる受信波を示す信号の信号対雑音比を、衛星仰角Eを変数とする正弦関数にフィッティングしたときの、該正弦関数における位相φを算出する。そして、土壌水分量計測部44は、該位相φと回帰式とに基づいて土壌水分量を計測する。具体的には、土壌水分量計測部44は、回帰式記憶部43によって記憶されている回帰式において位相φに対応する水位dを算出して、該水位dに相当する量を土壌水分量として計測する。
【0042】
上述したように、入力部41が条件情報の入力を受け付け、回帰式記憶部43が、条件情報に対応して回帰式を記憶する構成において、土壌水分量計測部44は、条件情報に対応して記憶されている回帰式において位相φに対応する水位dを算出して、該水位dに相当する量を土壌水分量として計測する。なお、条件情報に地面からのアンテナの高さが含まれる構成において、土壌水分量計測部44は、地面からのアンテナの高さに相当するアンテナ高さHに対応付けられている回帰式を用いて土壌水分量を計測する。
【0043】
また、出力部45は、土壌水分量計測部44によって計測された土壌水分量を示す土壌水分量情報を出力してもよい。例えば、出力部45は、表示装置に土壌水分量情報を表示させてもよいし、通信ネットワークを介して他の装置に土壌水分量情報を送信してもよい。
【0044】
<制御装置の動作>
ここで、第1の実施形態に係る制御装置3を用いた動作について、
図6を参照して説明する。
図6は、第1の実施形態に係る制御装置3を用いた動作の一例を示すフローチャートである。
図6を参照して説明する制御装置3を用いた動作は第1の実施形態に係る制御装置3が実行する制御方法を含む。
【0045】
ステップS11において、給水設備が、水槽AQに水Wを供給する。ここで、不図示の給排水制御装置が、水槽AQに水Wを供給するよう給水設備を制御してもよいし、管理者が、水槽AQに水Wを供給するよう給水設備を操作してもよい。
【0046】
ステップS12において、水位計1が水位dを計測する。
【0047】
ステップS13において、ステップS12で計測された水位dを示す水位情報を制御装置3に入力する。これにより、入力部31が、水槽AQに収容された水Wの水位dを示す水位情報の入力を受け付ける。
【0048】
ステップS14において、受信波情報取得部32が、衛星STから送信され、受信機2によって受信された、電磁波の直接波Pdと、該電磁波が水Wの水面にて反射した反射波Prとに基づく受信波を示す受信波情報を取得する。
【0049】
ステップS15において、位相算出部33が、受信波情報に含まれる受信波を示す信号の信号対雑音比を、衛星仰角Eを変数とする正弦関数にフィッティングしたときの、該正弦関数における位相φを算出する。
【0050】
ステップS16において、回帰式算出部34が、水位dと位相φとの関係を示す回帰式を算出する。
【0051】
ステップS17において、判定部35が、所定回数以上、回帰式が算出されたか否かを判定する。
【0052】
ステップS17で、所定回数以上、回帰式が算出されたと判定されると、ステップS18において、判定部35が、最後にステップS16で算出された回帰式を含む回帰式情報を出力部36に出力させる。
【0053】
ステップS17で、所定回数以上、回帰式が算出されていないと判定されると、ステップS19において、判定部35が、水位dが所定の水位閾値未満であるか否かを判定する。
【0054】
ステップS19で、水位dが所定の水位閾値以上である(所定の水位閾値が水槽AQの深さaである場合、水位dが所定の水位閾値に等しい)と判定されると、ステップS18において、判定部35が、最後にステップS16で算出された回帰式を含む回帰式情報を出力部36に出力させる。
【0055】
ステップS19で、水位dが所定の水位閾値未満であると判定されると、判定部35が、水位dを変化させるための命令を出力部36に出力させ、ステップS11に戻って処理が繰り返される。
【0056】
なお、上述したステップS11で、給水設備が、水槽AQに水Wを供給したが、これに限られない。例えば、水槽AQに水Wが満たされている初期状態から動作が開始されて、ステップS11において、排水設備が、水槽AQから水Wを排出してもよい。また、判定部35が、水Wを供給又は排出させるように給排水制御装置に命令を送信してもよいし、管理者が、判定部35による判定の結果を参照して、給水設備又は排水設備を操作してもよい。
【0057】
次に、第1の実施形態に係る計測装置4の動作について、
図7を参照して説明する。
図7は、第1の実施形態に係る計測装置4の動作の一例を示すフローチャートである。
図7を参照して説明する計測装置4の動作は第1の実施形態に係る計測装置4が実行する計測方法に相当する。計測装置4の回帰式記憶部43は、上述した制御装置3によって出力された回帰式情報を記憶している。
【0058】
ステップS21において、受信波情報取得部42が、受信機2によって受信された直接波Pdと反射波Prとに基づく受信波を示す受信波情報を取得する。
【0059】
ステップS22において、土壌水分量計測部44が、受信波情報に含まれる受信波を示す信号の信号対雑音比を、衛星仰角Eを変数とする正弦関数にフィッティングしたときの、該正弦関数における位相φを算出し、該位相φに基づいて、回帰式を用いて算出した水位dにより土壌水分量を計測する。
【0060】
ステップS23において、出力部45が土壌水分量を示す土壌水分量情報を出力する。
【0061】
上述したように、第1の実施形態によれば、制御装置3は、水槽AQに収容された水Wの水位dを示す水位情報の入力を受け付ける入力部31と、衛星STから送信され、受信機2によって受信された、電磁波の直接波Pdと、該電磁波が水Wの水面にて反射した反射波Prとに基づく受信波を示す受信波情報を取得する受信波情報取得部32と、受信波を示す信号の信号対雑音比を、衛星仰角Eを変数とする正弦関数にフィッティングしたときの、該正弦関数における位相φを算出する位相算出部33と、水位dと位相φとの関係を示す回帰式を算出する回帰式算出部34と、を備える。これにより、制御装置3は、位相φと土壌水分量との関係を示す回帰式を容易に算出することができる。具体的には、従来のように、計測の対象となる土壌の面積の全体にわたって設けられた土壌水分計によって土壌水分量を計測することに比べて、水槽AQに収容された水Wの水位dを所望の値に設定することは容易である。したがって、水位dを様々な値に設定し、該設定それぞれでの水位dと受信波の位相φとの関係を示す回帰式を算出することは、土壌水分計によって計測された土壌水分量と受信波の位相φとの関係を示す回帰式を算出することに比べて容易である。
【0062】
また、第1の実施形態によれば、制御装置3において、入力部31は、受信機2による衛星STからの電磁波の受信に関する条件を示す条件情報の入力を受け付け、回帰式と、該回帰式に対応する条件情報とを含む回帰式情報を出力する出力部36をさらに備える。これにより、制御装置3は、条件ごとに、土壌水分量を計測するための回帰式を容易に算出することができる。したがって、条件ごとの回帰式を用いることによって、高い精度での土壌水分量を計測することが可能となる。
【0063】
<<第2の実施形態>>
図8を参照して第2の実施形態の全体構成について説明する。
図8は、第2の実施形態に係る制御システム100-1の一例を示す概略図である。第2の実施形態において、第1の実施形態と同一の機能部については同じ符号を付加し、説明を省略する。本実施形態では、
図9に示すように、水槽AQには、土壌SLが収容されている。
【0064】
第2の実施形態において、水槽AQに収容されている土壌SLの土性は、計測対象の土壌の土性に類似していることが好ましい。例えば、水槽AQに収容されている土壌SLの粒径と、計測対象の土壌の粒径との差分は、閾値以下とすることができる。また、水槽AQに収容されている土壌SLが含有する所定の有機物の量と、計測対象の土壌が含有する所定の有機物の量との差分は閾値以下とすることができる。なお、この例に限られず、塩、イオン等に関する土性に基づいて、水槽AQに収容される土壌SLが選定されてもよい。
【0065】
図8に示すように、制御システム100-1は、受信機2と、制御装置3-1と、土壌水分計5とを備える。
【0066】
土壌水分計5は、土壌SLの中の水分の量である土壌水分量を計測する。土壌水分計5は、任意の方法によって土壌水分量を計測することができる。例えば、土壌水分計5は、TDR(Time Domain Reflectometer system)又はTDT(Time Domain Transmissometry)により土壌水分量を計測してもよいし、土壌SLの電気抵抗値に基づいて土壌水分量を計測してもよい。また、土壌水分計5は、水分を含む土の重量を計測することによって土壌水分量を計測してもよい。
【0067】
<制御装置の構成>
制御装置3-1は、入力部31-1と、受信波情報取得部32と、位相算出部33と、回帰式算出部34-1と、判定部35と、出力部36とを備える。入力部31-1は、入力インターフェースによって構成される。回帰式算出部34-1は、コントローラによって構成される。
【0068】
入力部31-1は、土壌水分計5によって計測された土壌水分量を示す土壌水分量情報の入力を受け付ける。
【0069】
回帰式算出部34-1は、土壌水分量情報が示す土壌水分量と、位相算出部33によって算出された位相φとの関係を示す回帰式を算出する。回帰式算出部34-1は、公知の回帰分析により回帰式を算出することができる。
【0070】
<制御装置の動作>
次に、第2の実施形態に係る制御装置3-1を用いた制御方法について説明する。
図10は、第2の実施形態に係る制御装置3-1を用いて実行する動作の一例を示すフローチャートである。
図10を参照して説明する制御装置3-1を用いて実行する動作は第2の実施形態に係る制御方法を含む。
【0071】
ステップS31において、土壌SLが収容されている水槽AQに土壌SLの水分が飽和するまで水Wを供給する(水供給ステップ)。
【0072】
ステップS32において、土壌水分計5が、土壌SLに含まれる水分量である土壌水分量を計測する(計測ステップ)。
【0073】
ステップS33において、ステップS32で計測された土壌水分量を示す土壌水分量情報を制御装置3-1に入力する。ここで、土壌水分計5が有するコントローラが、制御装置3-1に土壌水分量情報を出力してもよいし、管理者が、土壌水分計5によって計測された土壌水分量情報を入力する操作を行ってもよい。これにより、入力部31-1が、土壌水分量情報の入力を受け付ける。
【0074】
ステップS34において、受信波情報取得部32が、衛星STから送信され、受信機2によって受信された、電磁波の直接波Pdと、電磁波が土壌SLの表面にて反射した反射波Prとに基づく、土壌水分量が計測されたときの受信波を示す受信波情報を取得する(取得ステップ)。
【0075】
ステップS35において、位相算出部33が、受信波を示す信号の信号対雑音比を、衛星仰角Eを変数とする正弦関数にフィッティングしたときの、該正弦関数における位相φを算出する(位相算出ステップ)。
【0076】
ステップS36において、回帰式算出部34-1が、土壌水分量と位相φとの関係を示す回帰式を算出する(回帰式算出ステップ)。
【0077】
ステップS37において、判定部35が、所定回数以上、回帰式が算出されたか否かを判定する(第1の判定ステップ)。
【0078】
ステップS37で、所定回数以上、回帰式が算出されたと判定されると、ステップS38において、出力部36が、最後にステップS16で算出された回帰式を出力する。
【0079】
ステップS37で、所定回数以上、回帰式が算出されていないと判定されると、ステップS39において、判定部35が、土壌水分量が所定の土壌水分量閾値未満であるか否かを判定する(第2の判定ステップ)。
【0080】
ステップS39で、土壌水分量が所定の土壌水分量閾値未満であると判定されると、ステップS38において、出力部36が、最後にステップS36で算出された回帰式情報を出力する。
【0081】
ステップS39で、土壌水分量が所定の土壌水分量閾値以上であると判定されると、ステップS32に戻って処理が繰り返される。すなわち、制御装置3-1は、所定回数以上、回帰式が算出されたと判定されるか、又は土壌水分量が所定の土壌水分量未満であると判定されるまで、計測ステップと、取得ステップと、位相算出ステップと、回帰式算出ステップとを順に繰り返す。
【0082】
また、第1の実施形態における計測装置4は、第2の実施形態の制御装置3-1によって算出された回帰式を記憶し、該回帰式を用いて、土壌水分量を計測してもよい。
【0083】
上述したように、第2の実施形態によれば、土壌SLにおいて水分量が飽和している状態から、徐々に乾燥する経過に沿って、効率的に、位相φと土壌水分量との関係を示す回帰式を算出することができる。
【0084】
<<第3の実施形態>>
図11を参照して第3の実施形態の全体構成について説明する。
図11は、第3の実施形態に係る制御システム100-2の一例を示す概略図である。第3の実施形態において、第1の実施形態と同一の機能部については同じ符号を付加し、説明を省略する。
【0085】
図11に示すように、制御システム100-2は、水位計1と、受信機2と、制御装置3-2とを備える。
【0086】
第3の実施形態では、
図12に示すように、水槽AQは、複数の、水Wを収容する水槽サブユニットAQsによって構成される。水槽サブユニットAQsにおける、水平方向の辺の長さは、衛星STから送信される電磁波の波長(例えば、20cm)以上の長さとすることができる。
【0087】
複数の水槽サブユニットAQsは、受信機2の周囲に設置されている。例えば、受信機2を設置する設置台ISを中心に、一方向にM個、該一方向に直交する方向にL個の水槽サブユニットAQsが設置されていてもよい。
図13に示す例では、受信機2を設置する設置台ISを中心に、x軸方向に7個、y軸方向に7個の水槽サブユニットAQsが配列されている。
【0088】
<制御装置の構成>
図11に示すように、制御装置3-2は、入力部31-2と、受信波情報取得部32-2と、位相算出部33と、出力部36-2と、位相記憶部37と、検出範囲判定部38とを備える。入力部31-2は、入力インターフェースによって構成される。出力部36-2は、出力インターフェースによって構成される。位相記憶部37は、メモリによって構成される。受信波情報取得部32-2及び検出範囲判定部38は、コントローラによって構成される。
【0089】
受信波情報取得部32-2は、水Wが収容されていた水槽サブユニットAQsのうちの一部の水槽サブユニットAQsから水Wが排水されるたびに、受信波情報を取得する。
【0090】
位相記憶部37は、位相算出部33によって算出された位相φと、該位相φが算出されたときに水Wが収容されている水槽サブユニットAQsを識別する水槽サブユニット情報とを記憶する。
【0091】
検出範囲判定部38は、位相記憶部37に直近で記憶された2つの位相φの差分に基づいて、受信波情報に基づいて土壌水分量が検出される検出範囲を決定する。
【0092】
具体的には、検出範囲判定部38は、位相算出部33によって位相φが算出されると、位相記憶部37に直近で記憶された2つの位相φの差分が所定の閾値以上であるか否かを判定する。検出範囲判定部38は、差分が所定の閾値以上であると判定されると、位相記憶部37に直近に記憶された位相φに対応して記憶されている水槽サブユニット情報に対応する水槽サブユニットAQsによって構成される範囲を土壌水分量の検出範囲として判定する。検出範囲判定部38は、検出範囲を示す検出範囲情報を出力部36-2に出力させる。また、検出範囲判定部38は、制御装置3-2が備える記憶部(メモリ)に検出範囲情報を記憶させてもよい。
【0093】
また、出力部36-2は、検出範囲判定部38によって判定された検出範囲を示す検出範囲情報を出力してもよい。例えば、出力部36-2は、表示装置に検出範囲情報を表示させてもよいし、通信ネットワークを介して他の装置に検出範囲情報を送信してもよい。
【0094】
検出範囲判定部38は、差分が所定の閾値未満であると判定されると、さらに一部の水槽サブユニットAQsから水Wが排出された後に取得された受信波情報に基づいて算出され、位相記憶部37に記憶された位相φに基づいて、同様の処理を繰り返す。
【0095】
<制御装置の動作>
次に、第3の実施形態に係る制御装置3-2を用いた動作について説明する。
図14は、第3の実施形態に係る制御装置3-2を用いた動作の一例を示すフローチャートである。
図14参照して説明する制御装置3-2の動作は第3の実施形態に係る制御装置3-2が実行する制御方法を含む。
【0096】
ステップS41において、給水設備が、全ての水槽サブユニットAQsに水Wを供給する。ここで、不図示の給排水制御装置が、各水槽サブユニットAQsに水Wを供給するよう給水設備を制御してもよいし、管理者が、水槽サブユニットAQsに水Wを供給するよう給水設備を操作してもよい。
【0097】
ステップS42において、排水設備が、一部の水槽サブユニットAQsから水Wを排水する。水Wが排水される水槽サブユニットAQsは、
図13に示すように、受信機2からの距離が遠い所定数の水槽サブユニットAQsであってもよい(
図13に示す例では、水位「0.0」が示されている水槽サブユニットAQsから水Wが排水されている)。また、水Wが排水される水槽サブユニットAQsは、受信機2からの距離と軌道情報に基づく衛星の位置によって決定されてもよい。例えば、水Wが排水される水槽サブユニットAQsは、衛星STの位置と、受信機2が有するアンテナの位置とに基づいて、衛星STから送信され、受信機2によって受信される反射波Prの反射位置にある水槽サブユニットAQsからの距離が遠い所定数の水槽サブユニットAQsとしてもよい。
【0098】
なお、ステップS42において、不図示の給排水制御装置が、各水槽サブユニットAQsから水Wを排水するよう排水設備を制御してもよいし、管理者が、水槽サブユニットAQsから水Wを排水するよう排水設備を操作してもよい。
【0099】
ステップS43において、受信波情報取得部32-2が、衛星STから送信され、受信機2によって受信された、電磁波の直接波Pdと、該電磁波が水Wの水面にて反射した反射波Prとに基づく受信波を示す受信波情報を取得する。
【0100】
ステップS44において、位相算出部33が、受信波情報に含まれる受信波を示す信号の信号対雑音比を、衛星仰角Eを変数とする正弦関数にフィッティングしたときの、該正弦関数における位相φを算出する。
【0101】
ステップS45において、位相記憶部37が、位相算出部33によって算出された位相φを、該位相φが算出されたときに水Wが収容されている水槽サブユニットAQsを識別する水槽サブユニット情報とともに記憶する。
【0102】
ステップS46において、検出範囲判定部38が、位相記憶部37に直近で記憶された2つの位相φの差分が所定の閾値以上であるか否かを判定する。
【0103】
ステップS46で差分が所定の閾値以上であると判定されると、ステップS47において、検出範囲判定部38が、位相記憶部37に直近で記憶された位相φに対応して記憶されている水槽サブユニット情報に対応する水槽サブユニットAQsによって構成される範囲を土壌水分量の検出範囲と判定する。
【0104】
ステップS46で差分が所定の閾値未満であると判定されると、制御装置3-2は、ステップS42に戻って処理を繰り返す。
【0105】
ステップS48において、出力部36-2が検出範囲情報を出力する。
【0106】
なお、制御装置3-2は、回帰式算出部34と、判定部35とをさらに備えてもよい。このような構成において、制御装置3-2は、上述したように検出範囲情報を判定すると、判定された検出範囲にある水槽サブユニットAQsを用いて、第1の実施形態と同様の動作を実行してもよい。
【0107】
以上、第3の実施形態によれば、水槽AQは、複数の、水Wを収容する水槽サブユニットAQsによって構成され、受信波情報取得部32-2は、水Wが収容されていた水槽サブユニットAQsのうちの一部の水槽サブユニットAQsから水Wが排水されるごとに、受信波情報を取得し、位相算出部33によって算出された位相φと、該位相φが算出されたときに水Wが収容されている水槽サブユニットAQsを識別する水槽サブユニット情報とを記憶する位相記憶部37と、位相記憶部37に直近で記憶された2つの位相φの差分に基づいて土壌水分量の検出範囲を判定する検出範囲判定部38と、を備える。
【0108】
受信機2によって受信された受信波に基づいて土壌水分量を検出することができる検出範囲は、受信機2のアンテナの位置、衛星STに依存する。第3の実施形態の制御装置3-2は、上述のように構成されることによって、土壌水分量の検出範囲を適切に判定することができる。
【0109】
<<第4の実施形態>>
図15を参照して第4の実施形態の全体構成について説明する。
図15は、第4の実施形態に係る制御システム100-3の一例を示す概略図である。第4の実施形態において、第1の実施形態と同一の機能部については同じ符号を付加し、説明を省略する。
【0110】
図15に示すように、制御システム100-3は、水位計1と、受信機2と、制御装置3-3とを備える。
【0111】
第4の実施形態では、第3の実施形態と同様に、
図12に示すように、水槽AQは、複数の、水Wを収容する水槽サブユニットAQsによって構成される。
【0112】
<制御装置の構成>
図15に示すように、制御装置3-3は、入力部31-3と、受信波情報取得部32と、位相算出部33と、回帰式算出部34と、判定部35と、出力部36-3と、水槽決定部39とを備える。入力部31-3は、入力インターフェースによって構成される。出力部36-3は、出力インターフェースによって構成される。水槽決定部39は、コントローラによって構成される。
【0113】
水槽決定部39は、衛星STの位置に基づいて、複数の水槽サブユニットAQsのうちの、水Wを収容する水槽サブユニットAQsを決定する。なお、衛星STの位置(予定されている軌道)は、該衛星STを運用する機関等によって公開されており、例えば、受信波情報取得部32が、通信ネットワークを介して、該機関等から取得することができる。
【0114】
例えば、水槽決定部39は、衛星STの位置と、受信機2が有するアンテナの位置とに基づいて、衛星STから送信され、受信機2によって受信される反射波Prの反射位置を算出する。そして、水槽決定部39は、反射位置に配置されている水槽サブユニットAQsを、水Wを収容する水槽サブユニットAQsとして決定してもよい。また、水槽決定部39は、反射位置に配置されている水槽サブユニットAQsと、該水槽サブユニットAQsに隣接している水槽サブユニットAQsとを、水Wを収容する水槽サブユニットAQsとして決定してもよい。
図16に示す例では、水槽決定部39は、太線の矩形で囲まれている、反射位置に配置されている水槽サブユニットAQsと、該水槽サブユニットAQsに隣接している水槽サブユニットAQsとを、水Wを収容する水槽サブユニットAQsとして決定する。
【0115】
これにより、水槽決定部39によって決定された水槽サブユニットAQsに水Wが収容され、水槽決定部39によって決定されなかった水槽サブユニットAQsには水Wが収容されないようにすることができる。
図16に示す例では、各水槽サブユニットAQsに記載されている数値は、水Wの水位dを示している。本例では、水Wを収容する水槽サブユニットAQsであると決定された、太線の矩形で囲まれている水槽サブユニットAQsに収容されている水Wの水位dは、0.1m(メートル)であり、水Wを収容する水槽サブユニットAQsであると決定されなかった、太線の矩形で囲まれていない水槽サブユニットAQsに収容されている水Wの水位dは0.0mである。
【0116】
入力部31-2は、水槽決定部39によって決定された水槽サブユニットAQsに収容された水Wの水位dを示す水位情報の入力を受け付けることができる。
【0117】
出力部36-3は、水槽決定部39によって決定された、水Wを収容する水槽サブユニットAQsを示す水槽情報を出力する。出力部36-3は、表示装置に水槽情報を表示させてもよいし、通信ネットワークを介して他の装置に水槽情報を送信してもよい。他の装置は、例えば、水槽サブユニットAQsに水Wを給水する給水設備、又は水槽サブユニットAQsから排水する排水設備を制御する給排水制御装置であってもよい。これにより、給排水制御装置は、給水設備が、水槽決定部39によって決定された水槽サブユニットAQsに水Wを供給したり、排水設備が、水槽サブユニットAQsから排水したりするよう制御することができる。
【0118】
<制御装置の動作>
次に、第4の実施形態に係る制御装置3-3を用いた動作について説明する。
図17は、第4の実施形態に係る制御装置3-3を用いた動作の一例を示すフローチャートである。
図17を参照して説明する制御装置3-3の動作は第4の実施形態に係る制御装置3-3が実行する制御方法を含む。
【0119】
ステップS51において、受信波情報取得部32が、衛星STの位置を示す位置情報を取得する。
【0120】
ステップS52において、水槽決定部39が、位置情報によって示される、衛星STの位置に基づいて、複数の水槽サブユニットAQsのうちの、水Wを収容する水槽サブユニットAQsを決定する。
【0121】
ステップS53において、給水設備が、ステップS52で決定された水槽サブユニットAQsに水Wを供給する。
【0122】
ステップS54において、水位計1が、水位dを計測する。
【0123】
ステップS55において、ステップS54で計測された水位dを示す水位情報を制御装置3-2に入力する。これにより、入力部31が、水位dを示す水位情報の入力を受け付ける。
【0124】
ステップS56において、受信波情報取得部32が、衛星STから送信され、受信機2によって受信された、電磁波の直接波Pdと、該電磁波が水Wの水面にて反射した反射波Prとに基づく受信波を示す受信波情報を取得する。
【0125】
ステップS57において、位相算出部33が、ステップS56で取得された受信波情報に含まれる受信波を示す信号の信号対雑音比を、衛星仰角Eを変数とする正弦関数にフィッティングしたときの、該正弦関数における位相φを算出する。
【0126】
ステップS58において、回帰式算出部34が、水位dと位相φとの関係を示す回帰式を算出する。
【0127】
ステップS59において、判定部35が、所定回数以上、回帰式が算出されたか否かを判定する。
【0128】
ステップS59で、所定回数以上、回帰式が算出されたと判定されると、ステップS60において、判定部35が、最後にステップS58で算出された回帰式を含む回帰式情報を出力部36-3に出力させる。
【0129】
ステップS59で、所定回数以上、回帰式が算出されていないと判定されると、ステップS61において、判定部35が、水位dが所定の水位閾値未満であるか否かを判定する。
【0130】
ステップS61で、水位dが所定の水位閾値以上である(所定の水位閾値が水槽AQの深さaである場合、水位dが所定の水位閾値と等しい)と判定されると、ステップS60において、判定部35が、最後にステップS58で算出された回帰式を含む回帰式情報を出力部36-3に出力させる。
【0131】
ステップS61で、水位dが所定の水位閾値未満であると判定されると、判定部35が、水位dを変化させる命令を出力部36-3に出力させ、ステップS51に戻って処理が繰り返される。
【0132】
なお、上述したステップS53で、給水設備が、水槽情報に示される水槽サブユニットAQsに水Wを供給したが、これに限られない。例えば、水槽情報に示される水槽サブユニットAQsに水Wが満たされている初期状態から動作が開始されて、ステップS53において、排水設備が、水槽情報に示される水槽サブユニットAQsから水Wを排出してもよい。
【0133】
また、第1の実施形態における計測装置4は、第4の実施形態の制御装置3-3によって算出された回帰式を記憶し、該回帰式を用いて、土壌水分量を計測してもよい。
【0134】
上述したように、第4の実施形態によれば、水槽AQは、複数の、水Wを収容する水槽サブユニットAQsによって構成され、複数の水槽サブユニットAQsは、受信機2の周囲に設置され、制御装置3-3は、衛星STの位置に基づいて、複数の水槽サブユニットAQsのうちの、水Wを収容する水槽サブユニットAQsを決定する水槽決定部39をさらに備え、入力部31-3は、決定された水槽サブユニットAQsに収容された水Wの水位dを示す水位情報の入力を受け付ける。これにより、水槽AQを構成する複数の水槽サブユニットAQsのうちの一部の水槽サブユニットAQsのみに水Wを収容することによって回帰式を算出することができる。したがって、回帰式の算出に用いられる水Wの量を節減することができる。
【0135】
<変形例>
なお、上述した第1の実施形態において、制御システム100は、さらに、水槽AQに給排水する水Wの循環システム600を備えてもよい。循環システム600は、例えば、
図18に示すように、ドレインパン61と、グレーチング62と、ポンプ63と、排水管64と、貯水タンク65と、給水管66と、弁67と、給排水制御装置68と、タンク水位計69とを備える。
【0136】
ドレインパン61は、水槽AQから排出された水Wを収容する。
【0137】
グレーチング62は、1つ以上の脚部621と、棚部622とを備える。脚部621において、鉛直方向の一方の端部がドレインパン61の底部に取り付けられ、他方の端部がドレインパン61の上端部より高い位置に配置される。棚部622は、板状の部材であって、該部材が有する平面が略水平となるように、脚部621の他方の端部の上側に取り付けられている。水槽AQは、棚部622の上側の面に設けられている。これによって、ドレインパン61の底面と、グレーチング62の棚部622とによって、二重床が構成される。
【0138】
ポンプ63は、ドレインパン61に収容されている水Wを汲み上げて、排水管64を介して、貯水タンク65に送出する。
【0139】
排水管64は、ポンプ63と貯水タンク65との間を接続する管である。ポンプ63から送出された水は、排水管64を通って、貯水タンク65に搬送される。
【0140】
貯水タンク65は、ポンプ63から送出され、排水管64を通って搬送された水Wを貯える。
【0141】
給水管66は、貯水タンク65の排水口に接続されている菅である。貯水タンク65から送出された水Wは、給水管66を通って、水槽AQに供給される。
【0142】
弁67は、給水管66に取り付けられている。弁67が、給排水制御装置68の制御によって開くことによって、給水管66を通って水槽AQに水Wが供給される。また、弁67が、給排水制御装置68の制御によって閉じることによって、水槽AQへの水Wの供給が停止される。弁67は電磁弁とすることができる。
【0143】
給排水制御装置68は、水槽AQにおける水Wの供給及び排出を制御する。具体的には、給排水制御装置68は、ポンプ63がドレインパン61に収容されている水Wを汲み上げて、排水管64を介して送出するよう制御する。また、給排水制御装置68は、貯水タンク65から水槽AQに水Wが供給されるように弁67を開くように制御し、貯水タンク65から水槽AQへの水Wの供給が停止されるように弁67を閉じるように制御する。
【0144】
タンク水位計69は、貯水タンク65に収容されている水Wの水位dを計測する。これにより、例えば、給排水制御装置68は、貯水タンク65に収容されている水Wの水位dが所定の閾値以上である場合に、ポンプ63が、貯水タンク65への水Wの送出を停止するように制御してもよい。
【0145】
また、第3の実施形態に係る制御システム100-2、又は第4の実施形態に係る制御システム100-3が、同様にして、ドレインパン61と、グレーチング62と、ポンプ63と、排水管64と、貯水タンク65と、給水管66と、弁67と、給排水制御装置68と、タンク水位計69とをさらに備えてもよい。
【0146】
<プログラム>
上述した制御装置3、3-1、3-2、及び3-3並びに計測装置4は、コンピュータ101によって実現することができる。また、上述した制御装置3、3-1、3-2、及び3-3、並びに計測装置4として機能させるためのプログラムが提供されてもよい。また、該プログラムは、記憶媒体に記憶されてもよいし、ネットワークを通して提供されてもよい。
図19は、制御装置3として機能するコンピュータ101の概略構成を示すブロック図である。制御装置3-1、3-2、及び3-3並びに計測装置4としてそれぞれ機能するコンピュータも、コンピュータ101と同様に構成されてよい。ここで、コンピュータ101は、汎用コンピュータ、専用コンピュータ、ワークステーション、PC(Personal Computer)、電子ノートパッドなどであってもよい。プログラム命令は、必要なタスクを実行するためのプログラムコード、コードセグメントなどであってもよい。
【0147】
図19に示すように、コンピュータ101は、プロセッサ110と、ROM(Read Only Memory)120と、RAM(Random Access Memory)130と、ストレージ140と、入力部150と、出力部160と、通信インターフェース(I/F)170とを備える。各構成は、バス180を介して相互に通信可能に接続されている。プロセッサ110は、具体的にはCPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)、SoC(System on a Chip)などであり、同種又は異種の複数のプロセッサにより構成されてもよい。
【0148】
プロセッサ110は、各構成の制御、及び各種の演算処理を実行する。すなわち、プロセッサ110は、ROM120又はストレージ140からプログラムを読み出し、RAM530を作業領域としてプログラムを実行する。プロセッサ110は、ROM120又はストレージ140に記憶されているプログラムに従って、上記各構成の制御及び各種の演算処理を行う。上述した実施形態では、ROM120又はストレージ140に、本開示に係るプログラムが記憶されている。
【0149】
プログラムは、コンピュータ101が読み取り可能な記憶媒体に記憶されていてもよい。このような記憶媒体を用いれば、プログラムをコンピュータ101にインストールすることが可能である。ここで、プログラムが記憶された記憶媒体は、非一時的(non-transitory)記憶媒体であってもよい。非一時的記憶媒体は、特に限定されるものではないが、例えば、CD-ROM、DVD-ROM、USB(Universal Serial Bus)メモリなどであってもよい。また、このプログラムは、ネットワークを介して外部装置からダウンロードされる形態としてもよい。
【0150】
ROM120は、各種プログラム及び各種データを記憶する。RAM530は、作業領域として一時的にプログラム又はデータを記憶する。ストレージ140は、HDD(Hard Disk Drive)又はSSD(Solid State Drive)により構成され、オペレーティングシステムを含む各種プログラム及び各種データを記憶する。
【0151】
入力部150は、ユーザの入力操作を受け付けて、ユーザの操作に基づく情報を取得する1つ以上の入力インターフェースを含む。例えば、入力部150は、ポインティングデバイス、キーボード、マウスなどであるが、これらに限定されない。
【0152】
出力部160は、情報を出力する1つ以上の出力インターフェースを含む。例えば、出力部160は、情報を映像で出力するディスプレイ、又は情報を音声で出力するスピーカであるが、これらに限定されない。なお、出力部160は、タッチパネル方式のディスプレイである場合には、入力部150としても機能する。
【0153】
通信インターフェース(I/F)170は、外部の装置と通信するためのインターフェースである。
【0154】
本明細書に記載された全ての文献、特許出願および技術は、個々の文献、特許出願、および技術が参照により取り込まれることが具体的かつ個々に記載された場合と同程度に、本明細書中に参照により取り込まれる。
【0155】
上述の実施形態は代表的な例として説明したが、本開示の趣旨及び範囲内で、多くの変更及び置換ができることは当業者に明らかである。したがって、本発明は、上述の実施形態によって制限するものと解するべきではなく、請求の範囲から逸脱することなく、種々の変形又は変更が可能である。
【符号の説明】
【0156】
1 水位計
2 受信機
3、3-1、3-2、3-3 制御装置
4 計測装置
5 土壌水分計
31、31-1、31-2、31-3 入力部(第1の入力部)
32、32-2 受信波情報取得部(第1の受信波情報取得部)
33 位相算出部
34、34-1 回帰式算出部
35 判定部
36、36-2、36-3 出力部(第1の出力部)
37 位相記憶部
38 検出範囲判定部
39 水槽決定部
41 入力部(第2の入力部)
42 受信波情報取得部(第2の受信波情報取得部)
43 回帰式記憶部
44 土壌水分量計測部
45 出力部(第2の出力部)
61 ドレインパン
62 グレーチング
63 ポンプ
64 排水管
65 貯水タンク
66 給水管
67 弁
68 給排水制御装置
69 タンク水位計
100、100-1、100-2 制御システム
101 コンピュータ
110 プロセッサ
120 ROM
130 RAM
140 ストレージ
150 入力部
160 出力部
170 通信インターフェース
180 バス
600 循環システム
621 脚部
622 棚部
AQ 水槽
AQs 水槽サブユニット
GR 地面
IS 設置台
Pd 直接波
Pr 反射波
SL 土壌
ST 衛星
W 水