(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024027724
(43)【公開日】2024-03-01
(54)【発明の名称】電子部品の外観検査装置および電子部品の外観検査方法
(51)【国際特許分類】
G01N 21/956 20060101AFI20240222BHJP
【FI】
G01N21/956 Z
【審査請求】有
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022130771
(22)【出願日】2022-08-18
(71)【出願人】
【識別番号】715007004
【氏名又は名称】マシンビジョンライティング株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】591009705
【氏名又は名称】株式会社 東京ウエルズ
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(74)【代理人】
【識別番号】100091982
【弁理士】
【氏名又は名称】永井 浩之
(72)【発明者】
【氏名】増村 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】秋本 孝之
【テーマコード(参考)】
2G051
【Fターム(参考)】
2G051AA61
2G051AB01
2G051AB03
2G051AB05
2G051AB08
2G051AC21
2G051BA01
2G051BA08
2G051BA20
2G051BB02
2G051CA03
2G051CA04
2G051CB01
2G051CB05
(57)【要約】
【課題】電子部品の稜線近傍の外観を精度良く検出する。
【解決手段】第1照射装置11から電子部品Wに光を照射して第1画像を取得し、第2照射装置12から電子部品Wに光を照射して第2画像を取得し、第3照射装置13から電子部品Wに光を照射して第3画像を取得する。画像処理装置25において、第1画像と第2画像と第3画像とに基づいて、上面1の欠陥a1、稜線3の欠陥a2および側面2の欠陥a3を検出する。
【選択図】
図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも上面と、側面と、前記上面と前記側面との間の稜線とを有する電子部品の外観を検査する電子部品の外観検査装置において、
前記電子部品を支持する支持部と、
前記電子部品の上面に対して光を照射し、前記電子部品の上面からの反射光、前記稜線からの反射光、および前記側面からの反射光を含む第1反射光を得る第1照射装置と、
前記電子部品の稜線に対して光を照射し、前記電子部品の稜線からの反射光、前記上面からの反射光、および前記側面からの反射光を含む第2反射光を得る第2照射装置と、
前記電子部品の側面に対して光を照射し、前記電子部品の側面からの反射光、前記上面からの反射光、および前記稜線からの反射光を含む第3反射光を得る第3照射装置と、
前記電子部品からの第1反射光、第2反射光、および第3反射光を受光して第1画像、第2画像、および第3画像を得る撮像装置と、
前記撮像装置に接続された画像処理装置と、を備え、
前記画像処理装置は、前記第1画像、前記第2画像、および前記第3画像に基づいて、前記上面、前記稜線、または前記側面に存在する欠陥を検出する、電子部品の外観検査装置。
【請求項2】
前記電子部品からの第1反射光、前記電子部品からの第2反射光、および前記電子部品からの第3反射光を前記撮像装置へ導く反射装置、を更に備えた、請求項1記載の電子部品の外観検査装置。
【請求項3】
前記反射装置は、前記第1照射装置からの光による直接反射光、前記第2照射装置からの光による直接反射光、および前記第3照射装置からの光による直接反射光を前記撮像装置へ導く、請求項2記載の電子部品の外観検査装置。
【請求項4】
前記画像処理装置は、前記第1画像上で前記上面、前記稜線、および前記側面に関して2値化されたデータと、前記第2画像上で前記上面、前記稜線、および前記側面に関して2値化されたデータと、前記第3画像上で前記上面、前記稜線、および前記側面に関して2値化されたデータを含む検査データパターンを作成するとともに、前記検査データパターンを前記検査データパターンに対応して予め定められた基準データパターンと比較しながら、前記上面、前記稜線または前記側面のいずれかに存在する欠陥を検出する、請求項3記載の電子部品の外観検査装置。
【請求項5】
前記反射装置は、前記電子部品の外周に複数配置され、前記第1照射装置、前記第2照射装置、前記第3照射装置の各々の光に基づいて複数の第1画像、第2画像、および第3画像を得る、請求項2または3記載の電子部品の外観検査装置。
【請求項6】
前記反射装置は、ミラー、またはプリズムを含む、請求項2記載の電子部品の外観検査装置。
【請求項7】
前記第1照射装置は第1波長範囲の光を発光し、前記第2照射装置は前記第1波長範囲と異なる第2波長範囲の光を発光し、前記第3照射装置は前記第1波長範囲および前記第2波長範囲と異なる第3波長範囲の光を発光する、請求項1記載の電子部品の外観検査装置。
【請求項8】
前記撮像装置は、前記第1反射光、前記第2反射光、および前記第3反射光を受光して第1画像、第2画像、および第3画像を得るイメージセンサまたは光センサを有する、請求項1記載の電子部品の外観検査装置。
【請求項9】
前記電子部品は電子部品本体と、前記電子部品本体に境界線を介して連結された電極と有し、
前記画像処理装置は、前記電子部品の前記境界線に直交するとともに互いに対向する一対の稜線について、前記第1画像上で前記上面、前記稜線、および前記側面に関するグレースケール画像データと、前記第2画像上で前記上面、前記稜線、および前記側面に関するグレースケール画像データと、前記第3画像上で前記上面、前記稜線、および前記側面に関するグレースケール画像データを作成して合体し、一方の稜線に関し前記第1画像と前記第2画像と前記第3画像のグレースケール画像を合体して得られたグレースケール画像と、他方の稜線に関し前記第1画像と前記第2画像と前記第3画像のグレースケール画像を合体して得られたグレースケール画像とを互いに接近させて比較することにより、相関度の低く差異のある個所を特定し、前記上面、前記稜線または前記側面のいずれかに存在する欠陥を検出する、請求項3記載の電子部品の外観検査装置。
【請求項10】
少なくとも上面と、側面と、前記上面と前記側面との間の稜線とを有する電子部品の外観を検査する電子部品の外観検査方法において、
前記電子部品の上面に対して第1照射装置から光を照射し、前記電子部品の上面からの反射光、前記稜線からの反射光、および前記側面からの反射光を含む第1反射光を得る工程と、
前記電子部品の稜線に対して第2照射装置から光を照射し、前記電子部品の稜線からの反射光、前記上面からの反射光、および前記側面からの反射光を含む第2反射光を得る工程と、
前記電子部品の側面に対して第3照射装置から光を照射し、前記電子部品の側面からの反射光、前記上面からの反射光、および前記稜線からの反射光を含む第3反射光を得る工程と、
前記電子部品からの第1反射光、第2反射光、および第3反射光を撮像装置により受光して第1画像、第2画像、および第3画像を得る工程と、
画像処理装置により、前記第1画像、前記第2画像、および前記第3画像に基づいて、前記上面、前記稜線、および前記側面に存在する欠陥を検出する工程とを備えた、電子部品の外観検査方法。
【請求項11】
前記電子部品からの第1反射光、前記電子部品からの第2反射光、前記電子部品からの第3反射光を反射装置により前記撮像装置へ導く工程を更に備えた、請求項10記載の電子部品の外観検査方法。
【請求項12】
前記反射装置は、前記第1照射装置からの光による直接反射光、前記第2照射装置からの光による直接反射光、および前記第3照射装置からの光による直接反射光を前記撮像装置へ導く、請求項11記載の電子部品の外観検査方法。
【請求項13】
前記画像処理装置は、前記第1画像上で前記上面、前記稜線、および前記側面に関して2値化されたデータと、前記第2画像上で前記上面、前記稜線、および前記側面に関して2値化されたデータと、前記第3画像上で前記上面、前記稜線、および前記側面に関して2値化されたデータを含む検査データパターンを作成するとともに、前記検査データパターンを前記検査データパターンに対応して予め定められた基準データパターンと比較しながら、前記上面、前記稜線または前記側面のいずれかに存在する欠陥を検出する、請求項12記載の電子部品の外観検査方法。
【請求項14】
前記第1照射装置は第1波長範囲の光を発光し、前記第2照射装置は前記第1波長範囲と異なる第2波長範囲の光を発光し、前記第3照射装置は前記第1波長範囲および前記第2波長範囲と異なる第3波長範囲の光を発光する、請求項10記載の電子部品の外観検査方法。
【請求項15】
前記電子部品は電子部品本体と、前記電子部品本体に境界線を介して連結された電極と有し、
前記画像処理装置は、前記電子部品の前記境界線に直交するとともに互いに対向する一対の稜線について、前記第1画像上で前記上面、前記稜線、および前記側面に関するグレースケール画像データと、前記第2画像上で前記上面、前記稜線、および前記側面に関するグレースケール画像データと、前記第3画像上で前記上面、前記稜線、および前記側面に関するグレースケール画像データを作成して合体し、一方の稜線に関し前記第1画像と前記第2画像と前記第3画像のグレースケール画像を合体して得られたグレースケール画像と、他方の稜線に関し前記第1画像と前記第2画像と前記第3画像のグレースケール画像を合体して得られたグレースケール画像とを互いに接近させて比較することにより、相関度の低く差異のある個所を特定し、前記上面、前記稜線または前記側面のいずれかに存在する欠陥を検出する、請求項12記載の電子部品の外観検査方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は電子部品の外観検査装置および電子部品の外観検査方法に係り、とりわけ電子部品の稜線およびその近傍において、精度良くかつ確実に外観検査を行なうことができる電子部品の外観検査装置および電子部品の外観検査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より稜線の外観検査方法として、検査対象物の中心から稜線にかけて法線に近い角度の斜視像を撮像手段によって撮像し、稜線の斜視像を検査する方法が用いられている。
例えばこのような従来の外観検査方法としては、稜線に対して複数の角度から均一な照明を照射し、稜線に不良があれば輝度変化の傾向が変わる現象を利用して検出する外観検査を行なう方法がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来より電子部品の稜線およびその近傍について精度良くかつ確実に外観を検査する方法は開発されていない。
本開示はこのような点を考慮してなされたものであり、とりわけ検査対象となる電子部品の稜線およびその近傍に対して精度良くかつ確実に外観を検出することができる電子部品の外観検査装置および電子部品の外観検査方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示は、少なくとも上面と、側面と、前記上面と前記側面との間の稜線とを有する電子部品の外観を検査する電子部品の外観検査装置において、前記電子部品を支持する支持部と、前記電子部品の上面に対して光を照射し、前記電子部品の上面からの反射光、前記稜線からの反射光、および前記側面からの反射光を含む第1反射光を得る第1照射装置と、前記電子部品の稜線に対して光を照射し、前記電子部品の稜線からの反射光、前記上面からの反射光、および前記側面からの反射光を含む第2反射光を得る第2照射装置と、前記電子部品の側面に対して光を照射し、前記電子部品の側面からの反射光、前記上面からの反射光、および前記稜線からの反射光を含む第3反射光を得る第3照射装置と、前記電子部品からの第1反射光、第2反射光、および第3反射光を受光して第1画像、第2画像、および第3画像を得る撮像装置と、前記撮像装置に接続された画像処理装置と、を備え、前記画像処理装置は、前記第1画像、前記第2画像、および前記第3画像に基づいて、前記上面、前記稜線、または前記側面に存在する欠陥を検出する、電子部品の外観検査装置である。
【0006】
本開示は、前記電子部品からの第1反射光、前記電子部品からの第2反射光、および前記電子部品からの第3反射光を前記撮像装置へ導く反射装置、を更に備えた、電子部品の外観検査装置である。
【0007】
本開示は、前記反射装置は、前記第1照射装置からの光による直接反射光、前記第2照射装置からの光による直接反射光、および前記第3照射装置からの光による直接反射光を前記撮像装置へ導く、電子部品の外観検査装置である。
【0008】
本開示は、前記画像処理装置は、前記第1画像上で前記上面、前記稜線、および前記側面に関して2値化されたデータと、前記第2画像上で前記上面、前記稜線、および前記側面に関して2値化されたデータと、前記第3画像上で前記上面、前記稜線、および前記側面に関して2値化されたデータを含む検査データパターンを作成するとともに、前記検査データパターンを前記検査データパターンに対応して予め定められた基準データパターンと比較しながら、前記上面、前記稜線または前記側面のいずれかに存在する欠陥を検出する、電子部品の外観検査装置である。
【0009】
本開示は、前記反射装置は、前記電子部品の外周に等間隔をおいて複数配置され、前記第1照射装置、前記第2照射装置、前記第3照射装置の各々の光に基づいて複数の第1画像、第2画像、および第3画像を得る、電子部品の外観検査装置である。
【0010】
本開示は、前記反射装置は、ミラー、またはプリズムを含む、電子部品の外観検査装置である。
【0011】
本開示は、前記第1照射装置は第1波長範囲の光を発光し、前記第2照射装置は前記第1波長範囲と異なる第2波長範囲の光を発光し、前記第3照射装置は前記第1波長範囲および前記第2波長範囲と異なる第3波長範囲の光を発光する、電子部品の外観検査装置である。
【0012】
本開示は、前記撮像装置は、前記第1反射光、前記第2反射光、および前記第3反射光を受光して第1画像、第2画像、および第3画像を得るイメージセンサまたは光センサを有する、電子部品の外観検査装置である。
【0013】
本開示は、前記電子部品は電子部品本体と、前記電子部品本体に境界線を介して連結された電極と有し、前記画像処理装置は、前記電子部品の前記境界線に直交するとともに互いに対向する一対の稜線について、前記第1画像上で前記上面、前記稜線、および前記側面に関するグレースケール画像データと、前記第2画像上で前記上面、前記稜線、および前記側面に関するグレースケール画像データと、前記第3画像上で前記上面、前記稜線、および前記側面に関するグレースケール画像データを作成して合体し、一方の稜線に関し前記第1画像と前記第2画像と前記第3画像のグレースケール画像を合体して得られたグレースケール画像と、他方の稜線に関し前記第1画像と前記第2画像と前記第3画像のグレースケール画像を合体して得られたグレースケール画像とを互いに接近させて比較することにより、相関度の低く差異のある個所を特定し、前記上面、前記稜線または前記側面のいずれかに存在する欠陥を検出する、電子部品の外観検査装置である。
【0014】
本開示は、少なくとも上面と、側面と、前記上面と前記側面との間の稜線とを有する電子部品の外観を検査する電子部品の外観検査方法において、前記電子部品の上面に対して第1照射装置から光を照射し、前記電子部品の上面からの反射光、前記稜線からの反射光、および前記側面からの反射光を含む第1反射光を得る工程と、前記電子部品の稜線に対して第2照射装置から光を照射し、前記電子部品の稜線からの反射光、前記上面からの反射光、および前記側面からの反射光を含む第2反射光を得る工程と、前記電子部品の側面に対して第3照射装置から光を照射し、前記電子部品の側面からの反射光、前記上面からの反射光、および前記稜線からの反射光を含む第3反射光を得る工程と、前記電子部品からの第1反射光、第2反射光、および第3反射光を撮像装置により受光して第1画像、第2画像、および第3画像を得る工程と、画像処理装置により前記第1画像、前記第2画像、および前記第3画像に基づいて、前記上面、前記稜線、および前記側面に存在する欠陥を検出する工程とを備えた、電子部品の外観検査方法である。
【0015】
本開示は、本開示は、前記電子部品からの第1反射光、前記電子部品からの第2反射光、前記電子部品からの第3反射光を反射装置により前記撮像装置へ導く工程を更に備えた、電子部品の外観検査方法である。
【0016】
本開示は、前記反射装置は、前記第1照射装置からの光による直接反射光、前記第2照射装置からの光による直接反射光、および前記第3照射装置からの光による直接反射光を前記撮像装置へ導く、電子部品の外観検査方法である。
【0017】
本開示は、前記画像処理装置は、前記第1画像上で前記上面、前記稜線、および前記側面に関して2値化されたデータと、前記第2画像上で前記上面、前記稜線、および前記側面に関して2値化されたデータと、前記第3画像上で前記上面、前記稜線、および前記側面に関して2値化されたデータを含む検査データパターンを作成するとともに、前記検査データパターンを前記検査データパターンに対応して予め定められた基準データパターンと比較しながら、前記上面、前記稜線または前記側面のいずれかに存在する欠陥を検出する、電子部品の外観検査方法である。
【0018】
本開示は、前記第1照射装置は第1波長範囲の光を発光し、前記第2照射装置は前記第1波長範囲と異なる第2波長範囲の光を発光し、前記第3照射装置は前記第1波長範囲および前記第2波長範囲と異なる第3波長範囲の光を発光する、電子部品の外観検査方法である。
【0019】
本開示は、前記電子部品は電子部品本体と、前記電子部品本体に境界線を介して連結された電極と有し、前記画像処理装置は、前記電子部品の前記境界線に直交するとともに互いに対向する一対の稜線について、前記第1画像上で前記上面、前記稜線、および前記側面に関するグレースケール画像データと、前記第2画像上で前記上面、前記稜線、および前記側面に関するグレースケール画像データと、前記第3画像上で前記上面、前記稜線、および前記側面に関するグレースケール画像データを作成して合体し、一方の稜線に関し前記第1画像と前記第2画像と前記第3画像のグレースケール画像を合体して得られたグレースケール画像と、他方の稜線に関し前記第1画像と前記第2画像と前記第3画像のグレースケール画像を合体して得られたグレースケール画像とを互いに接近させて比較することにより、相関度の低く差異のある個所を特定し、前記上面、前記稜線または前記側面のいずれかに存在する欠陥を検出する、
電子部品の外観検査方法である。
【発明の効果】
【0020】
本開示によれば、電子部品における稜線およびその近傍を精度良く外観検査するができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1A】
図1Aは本開示による電子部品の外観検査装置の一実施の形態を示す側面図。
【
図1B】
図1Bは電子部品の外観検査装置の変形例を示す側面図。
【
図2】
図2は電子部品を撮像して得られた第1画像と第2画像と第3画像を合体した図。
【
図3】
図3は電子部品を撮像して得られた第1画像を示す図。
【
図4】
図4は電子部品を撮像して得られた第2画像を示す図。
【
図5】
図5は電子部品を撮像して得られた第3画像を示す図。
【
図6】
図6は第1画像と第2画像と第3画像を含む基準データパターンを示す図。
【
図7】
図7は第1照射装置から電子部品に光を照射して第1画像を得る状態を示す側面図。
【
図8A】
図8Aは第2照射装置から電子部品に光を照射して第2画像を得る状態を示す側面図。
【
図8B】
図8Bは第2照射装置から電子部品に光を照射して第2画像を得る状態を示す平面図。
【
図9】
図9は第3照射装置から電子部品に光を照射して第3画像を得る状態を示す側面図。
【
図11】
図11は電子部品の外観検査方法を示すフローチャート。
【
図12】
図12は本開示による電子部品の外観検査装置の変形例を示す図であって、第1画像と第2画像と第3画像を合体した、電子部品本体と電極との間の理想的な境界線を示す図。
【
図13】
図13は第1画像と第2画像と第3画像を合体した図であって、電子部品本体と電極との間の歪んだ境界線を示す図。
【
図14A】
図14Aは対向する稜線に関し、第1画像と第2画像と第3画像を合体した図。
【
図14B】
図14Bは一方の稜線に関し、第1画像と第2画像と第3画像を合体した図。
【
図15】
図15は対向する一対の稜線に関するグレースケール画像を比較する図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
<本開示の一実施の形態>
以下、図面を参照して本開示の実施の形態について説明する。
図1A乃至
図11は本開示による電子部品の外観検査装置および電子部品の外観検査方法の実施の形態を示す図である。
【0023】
まず、電子部品の外観検査装置により検査される被検査対象となる電子部品Wについて、
図10により説明する。
【0024】
図10に示すように、電子部品Wは電子部品本体W1と、電子部品本体W1の両側に設けられた一対の電極W2,W2とを有する。そして電子部品Wは、全体として上面1と、側面2と、上面1と側面2との間の稜線3とを有する直方体形状をもつ。
【0025】
このような電子部品Wとしては、例えばチップ抵抗器、チップインダクタ、積層セラミックコンデンサ及びチップLED等の半導体が考えられる。
【0026】
本実施の形態による電子部品の外観検査装置は、上記の電子部品Wのうち、とりわけ稜線3、および稜線3近傍の上面1および稜線3近傍の側面2の外観を検査するものである。
【0027】
このような電子部品Wを検査する電子部品の外観検査装置10は、
図1Aに示すように電子部品Wを支持するテーブル(支持部)14と、テーブル14上の電子部品Wのうち、主としてその稜線3近傍の上面1に対して光を照射する第1照射装置11と、テーブル14上の電子部品Wのうち、主としてその稜線3に対して光を照射する第2照射装置12と、テーブル14上の電子部品Wのうち、主としてその稜線3近傍の側面2に対して光を照射する第3照射装置13とを備えている。
【0028】
このうち第1照射装置11は電子部品Wの稜線3近傍の上面1に対して光を照射し、電子部品Wの上面1からの反射光、稜線3からの反射光、および側面2からの反射光を含む第1反射光を生成する。
【0029】
また第2照射装置12は電子部品Wの稜線3に対して光を照射し、電子部品Wの稜線3からの反射光、上面1からの反射光、および側面2からの反射光を含む第2反射光を生成する。
【0030】
さらに第3照射装置13は電子部品Wの稜線3近傍の側面2に対して光を照射し、電子部品Wの側面2からの反射光、上面1からの反射光、および稜線3からの反射光を含む第3反射光を生成する。
【0031】
そして電子部品Wからの第1反射光、第2反射光、および第3反射光は、反射装置15により撮像装置20側へ導かれ、この撮像装置20により第1反射光、第2反射光、および第3反射光が受光される。そして撮像装置20により第1反射光に基づいて第1画像が生成され、第2反射光に基づいて第2画像が生成され、第3反射光に基づいて第3画像が得られる。
【0032】
また撮像装置20には、画像処理装置25が接続され、この画像処理装置25により第1画像、第2画像、および第3画像に基づいて電子部品Wのうち稜線3上の欠陥a2、稜線3近傍の上面1上の欠陥a1、および稜線3近傍の側面2上の欠陥a3が検出される。
【0033】
本実施の形態において、電子部品Wからの第1反射光、電子部品Wからの第2反射光、および電子部品Wからの第3反射光は、いずれも後述するミラー、プリズム等の反射装置15により撮像装置20側へ導かれる。この場合、反射装置15は第1照射装置11からの光による直接反射光、第2照射装置12からの光による直接反射光、および第3照射装置13からの光による直接反射光を各々撮像装置20側へ導くようになっている。なお反射装置15としては、ミラー、プリズムに限らず、可視光域や特定の波長を反射する波長カットフィルタ等を用いることもできる。
【0034】
また撮像装置20は、撮像装置本体21と、撮像装置本体21の下端に設けられたレンズ22とを有する。
【0035】
なお、電子部品Wは直方体形状をなし、直方体形状の上面1をもつ(
図10参照)。そして電子部品Wの上面1の4辺、すなわち4本の稜線3およびその近傍の上面1および側面2の欠陥を検出することができるよう、ミラー、プリズム等からなる反射装置15は上面1の4辺に対応して上面1の4辺の外側上方に合計4箇所に設けられていることが好ましい。あるいは、反射装置15は更に、上面1の4つの角部外側上方に、追加で4箇所に設けられ、合計8箇所に設けられていてもよい。
【0036】
あるいは、少なくとも反射装置15は、上面1の対向する一対の辺に対応して、上面1の対向する一対の辺の外側上方に合計2個設けられている。
【0037】
また
図1Aに示すように、第1照射装置11と、第2照射装置12と、第3照射装置13は、それぞれ異なる波長域の照明光を照射し、それにより効率よく直接反射光と散乱反射光を分けることで、それぞれに適した欠陥検査を行なうことができる。
【0038】
本実施の形態において、例えば第1照射装置11から照射される光は波長300nm以上550nm以下の青色光となっており、第2照射装置12から照射される光は波長470nm以上620nm以下の緑色光となっており、第3照射装置13から照射される光は波長580nm以上1000nm以下の赤色光となっている。
【0039】
ここで第1照射装置11から照射される光は上面1に向かい、上面1から直接反射光が生じ、この上面1からの直接反射光は反射装置15を経て撮像装置20へ送られる(
図7参照)。第2照射装置12から照射される光は稜線3に向かい、稜線3から直接反射光が生じ、この稜線3からの直接反射光は反射装置15を経て撮像装置20へ送られる(
図8Aおよび
図8B参照)。第3照射装置13から照射される光は側面2に向かい、側面2から直接反射光が生じ、この側面2からの直接反射光は反射装置15を経て撮像装置20へ送られる(
図9参照)。
【0040】
また、撮像装置20の撮像装置本体21は3色以上の色を区別できるフルカラーの撮像手段を有する。
【0041】
撮像装置20の撮像装置本体21は、例えば第1画像、第2画像および第3画像を生成する1個の撮像板、または各画像に対応する複数撮像板を有するCCD(Charge Coupled Device)カメラやCMOS(Complementary Metal-Oxide Semiconductor)カメラからなる。
【0042】
また電子部品Wを支持するテーブル14は透明支持体からなる。ここでテーブル14を構成する透明支持体の「透明」とは、分光光度計(島津製作所製「UV-3100PC」JISK 0115準拠品)を用いて測定波長380nm~780nmの範囲内で測定したときの、各波長における透過率の平均値として特定される可視光透過率が、50%以上、好ましくは80%以上であることを意味する。
【0043】
テーブル14を構成する透明支持体は、例えばガラスからなり、透明支持体は任意の形状であり、任意の垂直方向回転軸を中心として回転可能であってもよい。テーブル14が回転可能となっている場合、検査対象となる電子部品Wは透明支持体からなるテーブル14の中心からずれた位置、言い換えるとテーブル14の回転軸からずれた位置に載置されている。
【0044】
上述のように、検査対象となる電子部品Wには、その上面1に欠陥a1が存在し、稜線3に欠陥a2が存在し、側面2に欠陥a3が存在することがある。
【0045】
ここで電子部品Wに形成された欠陥a1,a2,a3とは例えば割れ、欠け、汚れ、傷、クラック、電極W2の断線、異物の付着、バリ等からなる。
【0046】
例えば電極W2の稜線3上の配線が断線している場合、その電子部品Wを実装した基盤に通電しても電気が流れず、電子部品Wを実装した基盤を含む電気製品が機能しない。あるいは異物が付着したまま電気を放出した場合、異物が電気ショートして火災が発生することも考えられる。
【0047】
本実施の形態によれば電子部品Wにおける稜線3、およびその近傍に存在する欠陥a1,a2,a3を確実に検出することで、電子部品の歩留まりを向上させることができる。
【0048】
次に
図1Aにより第1照射装置11、第2照射装置12および第3照射装置13について更に述べる。
【0049】
図1Aに示すように、第1照射装置11は撮像装置20と電子部品Wとの間に設けられ、ミラー等の反射装置15よりも撮像装置20により近い位置に配置されている。
【0050】
例えば第1照射装置11は特定範囲(例えば300nm以上550nm以下)の波長をもつ平行光もしくは略平行光(若しくは平面半角で10°以下の照射立体角を持つ照射光)を照射するものであり、第1照射装置11は例えばLEDライトからなる。
【0051】
図1Aに示すように、第2照射装置12は撮像装置20と電子部品Wとの間に設けられ、ミラー等の反射装置15の上方近傍に設けられている。
【0052】
第2照射装置12は特定範囲(例えば470nm以上620nm以下)の波長をもつ平行光もしくは略平行光(若しくは平面半角で10°以下の照射立体角を持つ照射光)を照射するものであり、第2照射装置12は例えばLEDライトからなる。
【0053】
図1Aに示すように、第3照射装置13は撮像装置20から見て電子部品Wと同程度の位置もしくは後方に配置され、本実施の形態において、第3照射装置13は、テーブル14の下方に配置されている。
【0054】
第3照射装置13は特定範囲(例えば580nm以上1000nm以下)の波長を照射する平行光もしくは略平行光(若しくは平面半角で10°以下の照射立体角を持つ照射光)を照射するものであり、第3照射装置13は例えばLEDライトからなる。
【0055】
図1Aに示す第1照射装置11、第2照射装置12および第3照射装置13は、いずれも平面上上方からみて電子部品Wを外方から囲むような構造をもつ。本実施の形態において、第1照射装置11、第2照射装置12および第3照射装置13は、いずれも電子部品Wを外方から囲むような平面上リング形状をもつことが好ましい。
【0056】
なお、
図1Aに示す実施の形態において、電子部品Wをテーブル14上に載置し、テーブル14により電子部品を支持する構造を示したが、これに限らず、
図1Bに示すように、電子部品Wを吸着ノズル18aを有する搬送装置18に保持するとともに、反射装置15の下方の所定位置まで搬送してもよい。
【0057】
図1Bにおいて、吸着ノズル18aを有する搬送装置18は電子部品Wを支持する支持部を構成する。
【0058】
次にこのような構成からなる本実施の形態の作用、すなわち電子部品の外観検査方法について、
図11に示すフローチャートにより説明する。
【0059】
まずテーブル14上に、
図10に示す電子部品Wを載置する。
【0060】
次に
図7に示すように、第1照射装置11から電子部品Wの稜線3近傍の上面1に直接光が照射され、上面1、稜線3および側面2からの第1反射光が反射装置15を経て撮像装置20へ送られる。次に
図8Aおよび
図8Bに示すように、第2照射装置12から電子部品Wの稜線3に直接光が照射され、上面1、稜線3および側面2からの第2反射光が反射装置15を経て撮像装置20へ送られる。次に
図9に示すように、第3照射装置13から電子部品Wの稜線3近傍の側面2に直接光が照射され、上面1、稜線3および側面2からの第2反射光が反射装置15を経て撮像装置20へ送られる。
【0061】
なお、第1照射装置11からの上面1に対する直接光の照射、第2照射装置12からの稜線3に対する直接光の照射、および第3照射装置13からの側面に対する直接光の照射は、この順で順次実行してもよく、同時に実行することもできる。
【0062】
まず第1照射装置11から電子部品Wに直接光が照射される作用について述べる。第1照射装置11は電子部品Wを外方から囲むリング形状をもち、このため第1照射装置11から電子部品Wの上面1、とりわけ稜線3近傍の上面1に対して電子部品Wの全周外方から直接光を照射することができる(
図7参照)。
【0063】
図7は第1照射装置11から主として電子部品Wの上面1に対して直接光を照射した状態を示す図である。
【0064】
図7において、第1照射装置11から主として電子部品Wの上面1に対して直接光を照射した場合、上面1のうち欠陥のない部分で直接反射が生じ、上面1からの直接反射光は反射装置15を経て撮像装置20へ導かれる。この場合、上面1に欠陥a1が存在すると、第1照射装置11からの直接光により、欠陥a1において散乱反射が生じる。欠陥a1で生じた散乱反射光は、欠陥a1から四方へ散乱する光となる。
【0065】
直接光が電子部品Wの上面1の欠陥のない部分で反射して生成された直接反射光は、強い光となって撮像装置20へ導かれるが、他方上面1の欠陥a1で反射して生成された散乱反射光はほとんど撮像装置20へ導かれることはない。
【0066】
同様に第1照射装置11から主として電子部品Wの上面1に対して直接光を照射した場合、稜線3のうち欠陥がない部分で直接反射光が生じるが、稜線3からの直接反射光は反射装置15を経て撮像装置20へ導かれることはない。この場合、稜線3に欠陥a2が存在すると、第1照射装置11からの直接光により欠陥a2において散乱反射が生じる。欠陥a2で生じた散乱反射光は、欠陥a2から四方へ散乱するが、その一部が反射装置15を経て撮像装置20へ導かれる。
【0067】
直接光が電子部品Wの稜線3の欠陥のない部分で反射して生成された直接反射光は、反射装置15から撮像装置20側へ導かれることはないが、他方稜線3の欠陥a2で反射して生成された散乱反射光はその一部が反射装置15から撮像装置20側へ導かれる。
【0068】
同様に第1照射装置11から主として電子部品Wの上面1に対して直接光を照射した場合、側面2のうち欠陥がない部分で直接反射光が生じるが、側面2からの直接反射光は反射装置15を経て撮像装置20へ導かれることはない。この場合、側面2に欠陥a3が存在すると、第1照射装置11からの直接光により欠陥a3において散乱反射が生じる。欠陥a3で生じた散乱反射光は欠陥a3から四方へ散乱し、その一部が反射装置15を経て撮像装置20へ導かれる。
【0069】
このように、電子部品Wの側面2の欠陥のない部分で反射して生成された直接反射光は、反射装置15から撮像装置20側へ導かれることはないが、他方、側面2の欠陥a3で反射して生成された散乱反射光はその一部が反射装置15から撮像装置20側へ導かれる。
【0070】
以上のように、第1照射装置11から主として電子部品Wの上面1に対して直接光を照射することにより、電子部品Wの上面1において、欠陥のない部分で主として直接反射が生じ、稜線3および側面2において、欠陥のある部分で主として散乱反射が生じ、直接反射および散乱反射により生じた直接反射光および散乱反射光は第1反射光となって反射装置15を経て撮像装置20へ送られる(
図6参照)。
【0071】
次に撮像装置20の撮像装置本体21では、電子部品Wの上面1、稜線3および側面2から反射して生成された第1反射光が受光されて第1画像が得られる(
図3参照)。
【0072】
次に撮像装置20からの第1画像は画像処理装置25へ送られる。上述のように第1照射装置11からの直接光が上面1に照射されることにより、上面1のうち欠陥のない部分からの直接反射光は反射装置15を経て撮像装置20へ送られ、上面1の欠陥a1で生じた散乱反射光はほとんど反射装置15から撮像装置20へ送られることはない。
【0073】
このため第1画像上で、上面1の欠陥のない部分は明るく表れるが上面1の欠陥a1は黒く鮮明に表れる。
【0074】
このように、画像処理装置25において、第1画像上で上面1の欠陥a1を鮮明に検出することができる。
【0075】
一方、第1画像上で稜線3の欠陥のない部分からの直接反射光は反射装置15から撮像装置20側へ導かれることはないので、暗くなる。稜線3の欠陥a2で生じる散乱反射光はその一部が反射装置15から撮像装置20側へ導かれるため、稜線3の欠陥a2は多少明るく表れる。
【0076】
このようにして、画像処理装置25において、第1画像上で稜線3の欠陥a2をある程度の確かさで検出することができる。
【0077】
同様に、第1画像上で側面2の欠陥のない部分からの直接反射光は反射装置15から撮像装置20側へ導かれることはないので、暗く表される。側面2の欠陥a3で生じる散乱反射光はその一部が反射装置15から撮像装置20側へ導かれるため、側面2の欠陥a3は多少明るく表れる。
【0078】
画像処理装置25において、第1画像上で側面2の欠陥a3をある程度の確かさで検出することができる。
【0079】
なお、本実施の形態において、直接反射光とは、光を照射した際、直接反射(正反射)が生じて正反射する光の成分を多く含む反射光をいい、散乱反射光とは光を照射した際、散乱反射(拡散反射ともいう)により生じる反射光をいう。
【0080】
次に、第2照射装置12から電子部品Wに直接光が照射される作用について述べる。第2照射装置12は電子部品Wを囲むリング形状をもち、このため第2照射装置12から電子部品Wの稜線3に対して電子部品Wの全周外方から直接光を照射することができる(
図8Aおよび
図8B参照)。
【0081】
図8Aは第2照射装置12から主として電子部品Wの稜線3に対して直接光を照射した状態を側面からみた図であり、
図8Bはその平面図である。
図8Bに示すように第2照射装置12からの直接光は反射装置15の脇を通り、反射装置15と干渉することなく、電子部品Wに達することができる。
【0082】
図8Aにおいて、第2照射装置12から主として電子部品Wの稜線3に対して直接光を照射した場合、稜線3のうち欠陥のない部分で直接反射が生じ、稜線3からの直接反射光は反射装置15を経て撮像装置20へ導かれる。この場合、稜線3に欠陥a2が存在すると、第2照射装置12からの直接光により、欠陥a2において散乱反射が生じる。欠陥a2で生じた散乱反射光は、欠陥a2から四方へ散乱する光となる。
【0083】
直接光が電子部品Wの稜線3の欠陥のない部分で反射して生成された直接反射光は、強い光となって撮像装置20へ導かれるが、他方稜線3の欠陥a2で反射して生成された散乱反射光はほとんど撮像装置20へ導かれることはない。
【0084】
同様に第2照射装置12から主として電子部品Wの稜線3に対して直接光を照射した場合、上面1のうち欠陥がない部分で直接反射光が生じるが、上面1からの直接反射光は反射装置15を経て撮像装置20へ導かれることはない。この場合、上面1に欠陥a1が存在すると、第2照射装置12からの光により欠陥a1において散乱反射が生じる。欠陥a1で生じた散乱反射光は、欠陥a1から四方へ散乱するが、その一部が反射装置15を経て撮像装置20へ導かれる。
【0085】
直接光が電子部品Wの上面1の欠陥のない部分で反射して生成された直接反射光は、反射装置15から撮像装置20側へ導かれることはないが、他方上面1の欠陥a1で反射して生成された散乱反射光はその一部が反射装置15から撮像装置20側へ導かれる。
【0086】
同様に第2照射装置12から主として電子部品Wの稜線3に対して直接光を照射した場合、側面2のうち欠陥がない部分で直接反射光が生じるが、側面2からの直接反射光は反射装置15を経て撮像装置20へ導かれることはない。この場合、側面2に欠陥a3が存在すると、第2照射装置12からの直接光により欠陥a3において散乱反射が生じる。欠陥a3で生じた散乱反射光は欠陥a3から四方へ散乱するが、その一部が反射装置15を経て撮像装置20へ導かれる。
【0087】
このように、電子部品Wの側面2の欠陥のない部分で反射して生成された直接反射光は、反射装置15から撮像装置20側へ導かれることはないが、他方、側面2の欠陥a3で反射して生成された散乱反射光はその一部が反射装置15から撮像装置20側へ導かれる。
【0088】
以上のように、第2照射装置12から主として電子部品Wの稜線3に対して直接光を照射することにより、電子部品Wの稜線3において、欠陥のない部分で主として直接反射が生じ、上面1および側面2において、欠陥のある部分で主として散乱反射が生じ、直接反射および散乱反射により生じた直接反射光および散乱反射光は第2反射光となって反射装置15を経て撮像装置20へ送られる(
図6参照)。
【0089】
次に撮像装置20の撮像装置本体21では、電子部品Wの上面1、稜線3および側面2から反射して生成された第2反射光が受光されて第2画像が得られる(
図4参照)。
【0090】
次に撮像装置20からの第2画像は画像処理装置25に送られる。上述のように第2照射装置12からの直接光が稜線3に照射されることにより、稜線3のうち欠陥のない部分からの直接反射光は反射装置15を経て撮像装置20へ送られ、稜線3の欠陥a2で生じた散乱反射光はほとんど反射装置15から撮像装置20側へ送られることはない。
【0091】
このため第2画像上で、稜線3の欠陥のない部分は明るく表れるが稜線3の欠陥a2は黒く鮮明に表れる。
【0092】
このように、画像処理装置25において、第2画像上で稜線3の欠陥a2を鮮明に検出することができる。
【0093】
一方、第2画像上で上面1の欠陥のない部分からの反射光は反射装置15から撮像装置20側へ導かれることはないので、暗くなる。上面1の欠陥a1で生じる散乱反射光はその一部が反射装置15から撮像装置20側へ導かれるため、上面1の欠陥a1は多少明るく表れる。
【0094】
このように、画像処理装置25において、第2画像上で上面1の欠陥a1をある程度の確かさで検出することができる。
【0095】
同様に、第2画像上で側面2の欠陥のない部分からの反射光は反射装置15から撮像装置20側へ導かれることはないので、暗くなる。側面2の欠陥a3で生じる散乱反射光はその一部が反射装置15から撮像装置20側へ導かれるため、側面2の欠陥a3は多少明るく表れる。
【0096】
このようにして、画像処理装置25において、第2画像上で側面2の欠陥a3をある程度の確かさで検出することができる。
【0097】
次に第3照射装置13から電子部品Wに直接光が照射される作用について述べる。第3照射装置13はリング形状をもち、このため第3照射装置13から電子部品Wの側面2、とりわけ稜線3近傍の側面2に対して電子部品Wの全周外方から直接光を照射することができる(
図9参照)。
【0098】
図9は第3照射装置13から主として電子部品Wの側面2に対して直接光を照射した状態を示す図である。
【0099】
図9において、第3照射装置13から主として電子部品Wの側面2に対して直接光を照射した場合、側面2のうち欠陥のない部分で直接反射が生じ、側面2からの直接反射光は反射装置15を経て撮像装置20へ導かれる。この場合、側面2に欠陥a3が存在すると、第3照射装置13からの直接光により、欠陥a3において散乱反射が生じる。欠陥a3で生じた散乱反射光は、欠陥a3から四方へ散乱する光となる。
【0100】
直接光が電子部品Wの側面2の欠陥のない部分で反射して生成された直接反射光は、強い光となって撮像装置20へ導かれるが、他方側面2の欠陥a3で反射して生成された散乱反射光はほとんど撮像装置20へ導かれることはない。
【0101】
同様に第3照射装置13から主として電子部品Wの側面2に対して直接光を照射した場合、上面1のうち欠陥がない部分で反射光が生じるが、上面1からの反射光は反射装置15を経て撮像装置20へ導かれることはない。この場合、上面1に欠陥a1が存在すると、第3照射装置13からの光により欠陥a1において散乱反射が生じる。欠陥a1で生じた散乱反射光は、欠陥a1から四方へ散乱するが、その一部が反射装置15を経て撮像装置20へ導かれる。
【0102】
直接光が電子部品Wの上面1の欠陥のない部分で反射して生成された反射光は、反射装置15から撮像装置20側へ導かれることはないが、他方上面1の欠陥a1で反射して生成された散乱反射光はその一部が反射装置15から撮像装置20側へ導かれる。
【0103】
同様に第3照射装置13から主として電子部品Wの側面2に対して直接光を照射した場合、稜線3のうち欠陥がない部分で反射光が生じるが、稜線3からの反射光は反射装置15を経て撮像装置20へ導かれることはない。この場合、稜線3に欠陥a2が存在すると、第3照射装置13からの光により欠陥a2において散乱反射が生じる。欠陥a2で生じた散乱反射光は欠陥a2から四方へ散乱するが、その一部が反射装置15を経て撮像装置20へ導かれる。
【0104】
このように、電子部品Wの稜線3の欠陥のない部分で反射して生成された直接反射光は、反射装置15から撮像装置20側へ導かれることはないが、他方稜線3の欠陥a2で反射して生成された散乱反射光はその一部が反射装置15から撮像装置20側へ導かれる。
【0105】
以上のように、第3照射装置13から主として電子部品Wの側面2に対して直接光を照射することにより、電子部品Wの側面2において欠陥のない部分で主として直接反射が生じ、上面1および稜線3において、欠陥のある部分で主として散乱反射が生じ、直接反射および散乱反射により生じた直接反射光および散乱反射光は第3反射光となって反射装置15を経て撮像装置20へ送られる(
図6参照)。
【0106】
次に撮像装置20の撮像装置本体21では、電子部品Wの上面1、稜線3および側面2から反射して生成された第3反射光が受光されて第3画像が得られる(
図5参照)。
【0107】
次に撮像装置20からの第3画像は画像処理装置25に送られる。上述のように第3照射装置13からの直接光が側面2に照射されることにより、側面2のうち欠陥のない部分からの直接反射光は反射装置15を経て撮像装置20へ送られ、側面2の欠陥a3で生じた散乱反射光はほとんど反射装置15から撮像装置20側へ送られることはない。
【0108】
このため第3画像上で、側面2の欠陥のない部分は明るく表れるが側面2の欠陥a3は黒く鮮明に表れる。
【0109】
このようにして、画像処理装置25において、第3画像上で側面2の欠陥a3を鮮明に検出することができる。
【0110】
一方、第3画像上で上面1の欠陥のない部分からの反射光は反射装置15から撮像装置20側へ導かれることはないので、暗くなる。他方、上面1の欠陥a1で生じる散乱反射光はその一部が反射装置15から撮像装置20側へ導かれるため、上面1の欠陥a1は多少明るく表れる。
【0111】
このようにして、画像処理装置25において、第3画像上で上面1の欠陥a1をある程度の確かさで検出することができる。
【0112】
同様に、第3画像上で稜線3の欠陥のない部分からの反射光は反射装置15から撮像装置20側へ導かれることはないので、暗くなる。稜線3の欠陥a2で生じる散乱反射光はその一部が反射装置15から撮像装置20側へ導かれるため、稜線3の欠陥a2は多少明るく表れる。
【0113】
このようにして、画像処理装置25において、第3画像上で稜線3の欠陥a2をある程度の確かさで検出することができる。
【0114】
以上のように本実施の形態によれば、第1照射装置11から電子部品Wに対して直接光を照射することにより第1画像が得られ、画像処理装置25において、この第1画像上に鮮明に表れる上面1の欠陥a1を精度良く検出することができる。同時に画像処理装置25において、稜線3の欠陥a2および側面2の欠陥a3もある程度の確かさで検出することができる。
【0115】
また第2照射装置12から電子部品Wに対して直接光を照射することにより第2画像が得られ、画像処理装置25において、この第2画像上に鮮明に表れる稜線3の欠陥a2を精度良く検出することができる。同時に画像処理装置25において、上面1の欠陥a1および側面2の欠陥a3もある程度の確かさで検出することができる。
【0116】
また第3照射装置13から電子部品Wに対して直接光を照射することにより第3画像が得られ、画像処理装置25において、この第3画像上に鮮明に表れる側面2の欠陥a3を精度良く検出することができる。同時に画像処理装置25において、上面1の欠陥a1および稜線3の欠陥a2もある程度の確かさで検出することができる。
【0117】
次に画像処理装置25は、得られた第1画像、第2画像および第3画像の各々に対して2値化処理を施す。
【0118】
ここで2値化処理とは、例えば画像の最も明るい部分を100%、最も暗い部分を0%とし、その他の部分の明るさを0~100%の範囲で規定し、明るさが0%以下50%未満の部分を暗部、50%以上100%以下の部分を明部とする処理である。
【0119】
画像処理装置25において、第1画像、第2画像、および第3画像に対して上述した2値化処理を施す。
【0120】
本実施の形態においては、画像処理装置25内に基準となる電子部品から得られた第1画像、第2画像および第3画像の各々に対して2値化処理を施すことにより予め作成された基準データパターンが格納されている。この基準データパターンは第1画像の2値化されたデータと、第2画像の2値化されたデータと、第3画像の2値化されたデータとを含む。
【0121】
この基準データパターンを
図6に示す。
図6に示す基準データパターンにおいて、第1画像上で上面1は欠陥のない部分が主として、直接反射光により明部(100%)となり、稜線3と側面2は欠陥のない部分が主として散乱反射光により暗部(0%)となる。
【0122】
また、第1画像上で上面1の欠陥a1は0%として表れ、稜線3の欠陥a2は100%として表れ、側面2の欠陥a3は100%として表れる。
【0123】
また第2画像上で稜線3は欠陥のない部分が主として直接反射光により明部(100%)となり、上面1と側面2は欠陥のない部分が主として散乱反射光により暗部(0%)となる。
【0124】
この第2画像上で稜線3の欠陥a2は0%として表れ、上面1の欠陥a1は100%として表れ、側面2の欠陥a3は100%として表れる。
【0125】
さらに第3画像上で側面2は欠陥のない部分が主として直接反射光により明部(100%)となり、上面1と稜線3は欠陥のない部分が主として散乱反射光により暗部(0%)となる。
【0126】
また第3画像上で側面2の欠陥a3は0%として表れ、上面1の欠陥a1は100%として表れ、側面2の欠陥a3は100%として表れる。
【0127】
他方、上述のように、画像処理装置25は、検査対象となる電子部品Wに対して外観検査を施すことにより撮像装置20により得られた第1画像、第2画像および第3画像の各々に対して2値化処理を施す。このことにより
図6に示す基準データパターンに対応する検査データパターンを得ることができる。本実施の形態において、検査データパターンは実際に電子部品Wに対して外観検査を施すことにより得られた第1画像、第2画像、および第3画像の二値化されたデータを含む。
【0128】
その後、画像処理装置25は得られた検査データパターンと、基準データパターンとを比較する。
【0129】
上述のように、基準データパターンにおいて上面1の欠陥a1は、第1画像上で0%、第2画像上で100%、第3画像上で100%と表される。
【0130】
他方、検査対象となる電子部品Wを検査して得られた検査データパターンにおいて、上面1の欠陥a1が第1画像上で0%、第2画像上で100%、第3画像上で100%として示された場合、上面1の欠陥a1に関し検査データパターンが基準データパターンに対応するため、検査対象となる電子部品Wから得られた上面1の欠陥a1は正しく検出されたと検証することができる。
【0131】
これに対して、上面1上の欠陥a1、稜線3上の欠陥a2あるいは側面2上の欠陥a3のいずれかについて、基準データパターンと検査データパターンとの間で相違する場合、検査対象となる電子部品Wから得られた欠陥が正しく検出されたか否か再度確認することができる。例えば、検査データパターンにおいて、上面1の欠陥a1が第1画像上で0%となっているが、第2画像上および第3画像上でも同様に0%となっている場合、基準データパターンのように上面1の欠陥a1が第1画像上で0%、第2画像上で100%、第3画像上で100%となっていないため、上面1の欠陥a1の検出精度を再度確認することができる。
【0132】
なお、上面1の欠陥a1が通常の欠陥でなく、黒い異物、欠け、あるいは膨れの不良箇所が黒く変色した場合、上面1の欠陥a1は、第1画像上で0%となって示され、第2画像上および第3画像上でも同様に0%となってことがあるため、この場合の欠陥a1の特性(黒い異物、欠け等)を特定することもできる。あるいは、上面1の欠陥a1が第1画像上で0%となって示され、第2画像上および第3画像上で100%として示されている場合、第1画像上で0%となっている欠陥a1を見落とした場合でも、第2画像上および第3画像上で100%として示される欠陥a1を確実に検出することも可能となる。
【0133】
本実施の形態によれば、画像処理装置25において、予め求められた基準データパターンと、検査対象となる電子部品Wに対して外観検査を施すことにより得られた検査データパターンとを比較する。そして基準データパターンと検査データパターンとが一致しているか否か検証することにより、検査対象となる電子部品Wを検査して得られた上面1の欠陥a1、稜線3の欠陥a3あるいは側面2の欠陥a2を精度良く検出することができる。
【0134】
次に画像処理装置25では、得られた第1画像と第2画像と第3画像を合体する(
図2参照)。上述のように第1照射装置11から電子部品Wに照射される光と、第2照射装置12から電子部品Wに照射される光と、第3照射装置13から照射される光は各々別々の色の光、例えば青色光、緑色光および赤色光となっている。
【0135】
図2に示すように、画像処理装置25において合体された第1画像、最2画像および第3画像は各々異なる色をもつ画像となっているため、合体された画像において第1画像上で検出される欠陥と、第2画像上で検出される欠陥と、第3画像上で検出される欠陥を各々区別して認識することができる。
【0136】
以上のように本実施の形態によれば、第1照射装置11から電子部品Wに対して直接光を照射することにより第1画像が得られ、画像処理装置25において、この第1画像上に鮮明に表れる上面1の欠陥a1を精度良く検出することができる。
【0137】
また第2照射装置12から電子部品Wに対して直接光を照射することにより第2画像が得られ、画像処理装置25において、この第2画像上に鮮明に表れる稜線3の欠陥a2を精度良く検出することができる。
【0138】
また第3照射装置13から電子部品Wに対して直接光を照射することにより第3画像が得られ、画像処理装置25において、この第3画像上に鮮明に表れる側面2の欠陥a3を精度良く検出することができる。
【0139】
このように画像処理装置25において、第1照射装置11から光を照射して得られた第1画像に基づいて上面1上の欠陥a1を確実に検出することができ、第2照射装置12から光を照射して得られた第2画像に基づいて稜線3上の欠陥a2を確実に検出することができ、第3照射装置13から光を照射して得られた第3画像に基づいて側面2の欠陥a3を確実に検出することができる。
【0140】
また本実施の形態によれば、画像処理装置25において、予め求められた基準データパターンと、検査対象となる電子部品Wに対して外観検査を施すことにより得られた検査データパターンとを比較する。そして基準データパターンと検査データパターンとが互いに対応しているか否か検証することにより、検査対象となる電子部品Wを検査して得られた上面1の欠陥a1、稜線3の欠陥a3あるいは側面2の欠陥a2を精度良く検出することができる。
【0141】
この場合、基準データパターンおよび検査データパターンは、いずれも主として直接反射光により得られた上面1と、主として散乱反射光により得られた稜線3および側面2とを含む第1画像と、主として直接反射光により得られた稜線3と、主として散乱反射光により得られた上面1および側面2とを含む第2画像と、主として直接反射光により得られた側面2と、主として散乱反射光により得られた上面1および稜線3とを含む第3画像を有する。
【0142】
このように画像処理装置25は、直接反射光と散乱反射光とにより得られた基準データパターンと、直接反射光と散乱反射光とにより得られた検査データパターンを用い、両者を比較することにより、検査対象となる電子部品を検査して得られた欠陥a1,a2,a3の精度を検証することができる。このように直接反射光と散乱反射光の双方を用いて、検査対象となる電子部品を検査して得られた欠陥a1,a2,a3を検証しながら、確実にこれら欠陥a1,a2,a3を検出することができる。
【0143】
また本実施の形態によれば、直方体形状の電子部品Wの上面1の4辺、すなわち4本の稜線3に対応して上面1の4辺の外側上方に、4個の反射装置15が設けられている。このことにより、電子部品Wの上面1の4辺すなわち4本の稜線3全周に渡ってこれらの稜線3、および各稜線3近傍の上面1および側面2に存在する欠陥a1,a2,a3を精度良くかつ確実に検出することができる。あるいは、反射装置15が、上面1の4つの角部外側上方に、追加で4箇所に設けられ、合計 8箇所に設けられている場合、電子部品Wの上面1の4辺、すなわち4本の稜線、および4つの角部に渡って、これらの稜線3、および各稜線3近傍の上面1および側面2に存在する欠陥a1,a2,a3を精度良くかつ確実に検出することができる。
【実施例0144】
次に本実施の形態の具体的作用について更に述べる。
【0145】
まずテーブル14を構成するガラス板上に検査対象となる電子部品Wを載置する。
【0146】
その後、
図1Aに示すように、第1照射装置11から電子部品Wの上面1に直接光を照射し、上面1から主として直接反射成分を多く含む反射光が反射され、稜線3および側面2から主として散乱反射成分を多く含む反射光が反射される。
【0147】
また、第2照射装置12から電子部品Wの稜線3に直接光を照射し、稜線3からの直接反射成分を多く含む反射光が反射され、上面1および側面2から主として散乱反射成分を多く含む反射光が反射される。また、第3照射装置13から電子部品Wの側面2に直接光を照射し、側面2から主として直接反射成分を多く含む反射光が反射され、上面1および稜線3から散乱反射成分を多く含む反射光が反射される。
【0148】
反射成分は、例えば以下の計算式により表され、材質や表面状態で係数Ka,Kd,Ksが決定される。
I=KaIa+Ii(Kdcosα+Kscosnr)
【0149】
ここでKaIaは環境成分であり、Kdcosαは散乱成分であり、Kscosnrは直接反射成分である。
【0150】
例えば、電子部品Wの上面1に欠陥a1が生じている場合、第1照射装置11から光を電子部品Wに照射すると電子部品Wの欠陥a1では直接反射の反射方向が乱れ、ミラー等の反射装置15を経て撮像装置20に入射する光が少なくなるため、第1画像に写る電子部品Wの欠陥a1は黒くなる。
【0151】
第2照射装置12から光を電子部品Wに照射すると電子部品Wの欠陥a1では反射角度が変わることで直接反射の反射方向を含む散乱反射光が得られるようになり、ミラー等の反射装置15を経て撮像装置20に入射する光が多くなるため、第2画像に写る電子部品Wの欠陥a1は明るい灰色となる。
【0152】
また第3照射装置13から光を電子部品Wに照射すると電子部品Wの欠陥a1から、ミラー等の反射装置15を経て撮像装置20に入射する光は直接反射の反射方向を含む散乱反射となり、第3画像に写る電子部品の欠陥a1は明るい灰色となる。
【0153】
例えば電子部品Wの稜線3に欠陥a2が生じている場合、第1照射装置11から電子部品Wに光を照射すると電子部品Wの欠陥a2は反射角度が変わることで直接反射の反射方向を含む散乱反射光が得られるようになり、ミラー等の反射装置15を経て撮像装置20に入射する光が多くなる。このため、第1画像に写る電子部品Wの欠陥a2は明るい灰色となる。
【0154】
また第2照射装置12から電子部品Wに光を照射すると電子部品Wの欠陥a2では直接反射の反射方向が乱れ、ミラー等の反射装置15を経て撮像装置20に入射する光が少なくなるため、第2画像に写る電子部品Wの欠陥a2は黒くなる。
【0155】
また第3照射装置13から光を電子部品Wに照射すると電子部品Wの欠陥a2では反射角度が変わることで直接反射の反射方向を含む散乱反射光が得られる。このためミラー等の反射装置15を経て撮像装置20に入射する光が多くなるため、第3画像に写る電子部品Wの欠陥a2は明るい灰色となる。
【0156】
例えば、電子部品Wの側面2に欠陥a3が生じている場合、第1照射装置11から電子部品Wに光を照射すると電子部品Wの欠陥a3では反射角度が変わることで直接反射の反射方向を含む散乱反射光が得られ、この散乱反射光はミラー等の反射装置15を経て撮像装置20に入射するため、第1画像に写る電子部品Wの欠陥a3は明るい灰色となる。
【0157】
第2照射装置12から電子部品Wに光を照射すると電子部品Wの欠陥a3では、反射角度が変わることで直接反射の反射方向を含む散乱反射光を得られるようになり、ミラー等の反射装置15を経て撮像装置20に入射する散乱反射光により第2画像に写る電子部品Wの欠陥a3は明るい灰色となる。
【0158】
第3照射装置13から電子部品Wに光を照射すると電子部品Wの欠陥a3では直接反射の反射方向が乱れ、ミラー等の反射装置15を経て撮像装置20に入射する光が少なくなるため、第3画像に写る電子部品Wの欠陥a3は黒くなる。
【0159】
次にこのようにして得られた第1画像、第2画像、第3画像に対して上述した二値化処理が施されて検査データパターンが得られ、このようにして得られた検査データパターンと、予め求められた基準データパターンとを比較することによって、第1画像、第2画像および第3画像上の欠陥a1,a2,a3の検出精度が検証される。
【0160】
<変形例>
次に本開示の変形例について、
図12乃至
図15により説明する。ここで、
図12は本開示による電子部品の外観検査装置の変形例を示す図であって、第1画像と第2画像と第3画像を合体した、電子部品本体と電極との間の理想の境界線を示す図、
図13は第1画像と第2画像と第3画像を合体した図であって、電子部品本体と電極との間の歪んだ境界線を示す図、
図14Aは対向する稜線に関し、第1画像と第2画像と第3画像を合体した図、
図14Bは一方の稜線に関し、第1画像と第2画像と第3画像を合体した図、
図15は対向する一対の稜線に関するグレースケール画像を比較する図である。
このうち、
図12は電子部品本体W1と、電子部品本体W1の両側に設けられた一対の電極W2,W2とを有する電子部品Wを撮像して得られた第1画像、第2画像、第3画像の各々のグレースケール画像を合体した図である。
図12において、稜線3の斜め上方から見た電子部品Wが示されている。
【0161】
図12に示すように、電子部品Wの電子部品本体W1と一対の電極W2,W2との間には稜線3と直交する理想的な境界線L1が形成されている。
【0162】
図12において、電子部品Wには白く示された電極W2の上面1に黒い欠陥a1が存在し、黒く示された電子部品本体W1の側面2に白く示された欠陥a3が存在する。ただし、実際には、第1画像と第2画像と第3画像を二値化して合体すると、電子部品本体W1は全体として黒くなり、電極W2,W2の欠陥a1も黒く示される。そして電極W2,W2は全体として白くなり、電子部品本体W1の欠陥a3も白くなる。
【0163】
この場合、電子部品本体W1と電極w2との間の境界線L2は、黒く示された欠陥a1と、白く示された欠陥a3とによって、稜線3に対して直交することなく、歪んだ状態で示され、このとき、黒い欠陥a1と白い欠陥a3は見落とされてしまう。
【0164】
本変形例においては、電子部品Wの一方の稜線3近傍を撮像して得られた第1画像、第2画像、第3画像のグレースケール画像を合体する(
図14A参照)。次に電子部品Wの他方の稜線3A近傍を撮像して得られた第1画像、第2画像、第3画像のグレースケール画像を合体する(
図14B参照)。
図14Aおよび
図14Bにおいて、他方の稜線3Aは上面1と他方の側面2Aとの間に形成されている。次に、電子部品Wの一方の稜線3近傍を撮像して得られた第1画像、第2画像、第3画像のグレースケール画像を合体した画像(
図14A参照)と、電子部品Wの他方の稜線3A近傍を撮像して得られた第1画像、第2画像、第3画像のグレースケール画像を合体した画像(
図14B)を互いに接近させ、電子部品Wの一方の稜線3近傍の合体したグレースケール画像と、他方の稜線3A近傍の合体したグレースケール画像とが互いに重なるよう画像処理を施す(
図14A参照)。
【0165】
次に、
図15に示すように、電子部品Wの一方の稜線3近傍を撮像して得られた第1画像、第2画像、第3画像のグレースケール画像を合体した画像(
図14A参照)と、電子部品Wの他方の稜線3A近傍を撮像して得られた第1画像、第2画像、第3画像のグレースケール画像を合体した画像(
図14B)の相関度を比較する。このことによって、一方の稜線3に関し、電子部品本体W1と電極W2との間の境界線L1の周囲の相関度の低く差異のある個所を特定し、このことによって一方の稜線3に関し、電極W2上面1の欠陥a1と電子部品本体W1の側面の欠陥a3を正しく認識して検出することができる。