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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024027727
(43)【公開日】2024-03-01
(54)【発明の名称】エネルギー供給を制御するシステム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/06 20240101AFI20240222BHJP
【FI】
G06Q50/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022130775
(22)【出願日】2022-08-18
(71)【出願人】
【識別番号】519170058
【氏名又は名称】ユビ電株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100098626
【弁理士】
【氏名又は名称】黒田 壽
(74)【代理人】
【識別番号】100128691
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 弘通
(72)【発明者】
【氏名】山口 典男
(72)【発明者】
【氏名】中村 泰大
(72)【発明者】
【氏名】白石 辰郎
(72)【発明者】
【氏名】大西 周平
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049CC06
(57)【要約】
【課題】複数の供給対象にエネルギーを同時に供給するときに、供給可能な最大エネルギー供給率の範囲内で複数の供給対象へのエネルギー供給をオンデマンド且つダイナミックに調整する。
【解決手段】システムは、複数のエネルギー供給装置のうち少なくとも一のエネルギー供給装置に接続された供給対象にエネルギーが供給されているエネルギー供給中に、他のエネルギー供給装置を介した新規利用の供給対象へのエネルギー供給の要求があったとき、複数のエネルギー供給装置の全体に対する単位時間当たりの全体エネルギー供給率の予測値が上限値以下か否かを判定し、全体エネルギー供給率の予測値が上限値を超える場合は、新規利用の供給対象へのエネルギー供給を待機状態にして全体エネルギー供給率の予測値が上限値以下になったときに待機状態にあった新規利用の供給対象へのエネルギー供給を開始する。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のエネルギー供給装置を介した複数の供給対象へのエネルギー供給を制御するシステムであって、
前記複数のエネルギー供給装置のうち少なくとも一のエネルギー供給装置に供給対象が接続されて前記供給対象にエネルギーが供給されているエネルギー供給中に、前記少なくとも一のエネルギー供給装置以外の他のエネルギー供給装置を介した新規利用の供給対象へのエネルギー供給の要求を受ける要求受け部と、
前記エネルギー供給中に前記新規利用の供給対象へのエネルギー供給の要求があったとき、前記新規利用の供給対象へエネルギー供給を想定した前記複数のエネルギー供給装置の全体に対する単位時間当たりの全体エネルギー供給率の予測値が、所定の上限値以下か否かを判定する判定部と、
前記全体エネルギー供給率の予測値が前記上限値以下の場合は、前記新規利用の供給対象へのエネルギー供給を開始し、前記全体エネルギー供給率の予測値が前記上限値を超える場合は、前記新規利用の供給対象へのエネルギー供給を待機状態にして前記全体エネルギー供給率の予測値が前記上限値以下になったときに前記待機状態にあった新規利用の供給対象へのエネルギー供給を開始する制御部と、
を備える、ことを特徴とするシステム。
【請求項2】
請求項1のシステムにおいて、
前記制御部は、前記待機状態になる新規利用の供給対象が複数の場合、所定の優先度に基づいて前記エネルギー供給を開始する順番を決定した待ち行列を設定し、前記待ち行列に基づいて前記複数の新規利用の供給対象への前記エネルギー供給を順に開始する、
ことを特徴とするシステム。
【請求項3】
請求項2のシステムにおいて、
前記優先度は、ハードウェア的要素と社会的要素と商業的要素とを含む複数の要素の少なくとも1つの要素に基づいて決定され、
前記ハードウェア的要素は、前記全体エネルギー供給率の契約内容、前記エネルギー供給時のエネルギー供給率及び前記供給対象のエネルギーの受容量の少なくとも1つのパラメータを含み、
前記社会的要素は、前記供給対象に対応する利用者の優先権限保持の有無、前記利用者の事情、前記利用者の属性の少なくとも1つのパラメータを含み、
前記商業的要素は、前記エネルギー供給のサービスの契約条件及び他サービスとの連携の少なくとも1つのパラメータを含む、
ことを特徴とするシステム。
【請求項4】
請求項1のシステムにおいて、
前記新規利用の供給対象へのエネルギー供給を待機状態にする場合、前記エネルギー供給が開始可能になる予測時刻、又は、前記エネルギー供給が開始可能になるまでの待ち時間を、前記新規利用の供給対象に対応する利用者が操作する端末装置に通知する通知部を備える、ことを特徴とするシステム。
【請求項5】
請求項1のシステムにおいて、
前記制御部は、前記供給対象へのエネルギー供給中に他の供給対象へのエネルギー供給の融通が可能であるか否かに関する融通可否情報に基づいて、前記新規利用の供給対象へのエネルギー供給を開始し、又は、前記エネルギー供給中の既存の供給対象と前記新規利用の供給対象との間におけるエネルギー供給率の調整を行う、ことを特徴とするシステム。
【請求項6】
請求項5のシステムにおいて、
前記複数の供給対象に対応する複数の利用者について前記融通可否情報を事前登録して管理する管理部を備える、ことを特徴とするシステム。
【請求項7】
請求項5のシステムにおいて、
前記エネルギー供給中に前記新規利用の供給対象へのエネルギー供給の要求があったときに、前記エネルギー供給中の既存の供給対象に対応する利用者の端末装置に、前記エネルギー供給の融通の希望を申請して前記融通可否情報を問い合わせる問合部を備える、ことを特徴とするシステム。
【請求項8】
請求項5のシステムにおいて、
前記エネルギー供給中の既存の供給対象と前記新規利用の供給対象との間におけるエネルギー供給率の調整の内容は、ハードウェア的要素と社会的要素と商業的要素とを含む複数の要素の少なくとも1つの要素に基づいて決定され、
前記ハードウェア的要素は、前記全体エネルギー供給率の契約内容、前記エネルギー供給時のエネルギー供給率及び前記供給対象のエネルギーの受容量の少なくとも1つのパラメータを含み、
前記社会的要素は、前記供給対象に対応する利用者の優先権限保持の有無、前記利用者の事情、前記利用者の属性の少なくとも1つのパラメータを含み、
前記商業的要素は、前記エネルギー供給のサービスの契約条件及び他サービスとの連携の少なくとも1つのパラメータを含む、
ことを特徴とするシステム。
【請求項9】
請求項1のシステムにおいて、
前記複数のエネルギー供給装置を管理する管理システムと、前記複数のエネルギー供給装置を介した複数の供給対象へのエネルギー供給を制御する制御システムとを備え、
前記管理システムは、前記要求受け部と前記判定部とを有し、通信網を介して前記複数の供給対象に対応する複数の端末装置と通信可能であり、
前記制御システムは、前記制御部を有し、通信網を介して前記管理システムと通信可能である、ことを特徴とするシステム。
【請求項10】
請求項1のシステムにおいて、
前記複数のエネルギー供給装置を管理する管理システムと、前記複数のエネルギー供給装置を介した複数の供給対象へのエネルギー供給を制御する制御システムとを備え、
前記制御システムは、前記要求受け部と前記判定部と前記制御部とを有し、通信網を介して前記複数の供給対象に対応する複数の端末装置及び前記管理システムと通信可能である、ことを特徴とするシステム。
【請求項11】
請求項1乃至10のいずれかのシステムにおいて、
前記供給対象は、バッテリーを搭載した車両であり、
前記供給対象に供給されるエネルギーは、前記車両に搭載されたバッテリーの充電に用いられる電気エネルギーであり、
前記エネルギー供給装置は充電器である、ことを特徴とするシステム。
【請求項12】
請求項11のシステムにおいて、
前記複数のエネルギー供給装置を管理する管理システムは、前記複数の充電器のそれぞれについて、前記充電器を介した前記車両による充電の利用料金を、前記車両の充電サービスの利用者、前記車両、前記車両に搭載されたバッテリー及び前記利用者が操作する端末装置の少なくとも一つに対して課金する処理を行う課金処理手段を備える、ことを特徴とするシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の充電等に用いられる電力等のエネルギーの供給を制御するシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電力源等のエネルギー源から供給される電力等のエネルギーを分岐して複数の車両等の供給対象に供給するシステムが知られている。例えば、特許文献1には、外部の電力線から供給される電力を分岐して複数の電力線を介して車両充電に用いられる複数のコンセントから出力する電力出力装置を備えたシステムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010-284039号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来の複数の車両等の供給対象に電力を同時に供給可能なシステムにおいて、供給可能な最大電力(エネルギー供給率)の範囲内で複数の供給対象への電力供給をオンデマンド且つダイナミックに調整することができない、という課題がある。なお、このような課題は、電力以外のエネルギーを供給する場合にも同様に発生し得る。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様に係るシステムは、複数のエネルギー供給装置を介した複数の供給対象へのエネルギー供給を制御するシステムである。このシステムは、前記複数のエネルギー供給装置のうち少なくとも一のエネルギー供給装置に供給対象が接続されて前記供給対象にエネルギーが供給されているエネルギー供給中に、前記少なくとも一のエネルギー供給装置以外の他のエネルギー供給装置を介した新規利用の供給対象へのエネルギー供給の要求を受ける要求受け部と、前記エネルギー供給中に前記新規利用の供給対象へのエネルギー供給の要求があったとき、前記新規利用の供給対象へエネルギー供給を想定した前記複数のエネルギー供給装置の全体に対する単位時間当たりの全体エネルギー供給率の予測値が、所定の上限値以下か否かを判定する判定部と、前記全体エネルギー供給率の予測値が前記上限値以下の場合は、前記新規利用の供給対象へのエネルギー供給を開始し、前記全体エネルギー供給率の予測値が前記上限値を超える場合は、前記新規利用の供給対象へのエネルギー供給を待機状態にして前記全体エネルギー供給率の予測値が前記上限値以下になったときに前記待機状態にあった新規利用の供給対象へのエネルギー供給を開始する制御部と、を備える。
【0006】
前記システムにおいて、前記制御部は、前記待機状態になる新規利用の供給対象が複数の場合、所定の優先度に基づいて前記エネルギー供給を開始する順番を決定した待ち行列を設定し、前記待ち行列に基づいて前記複数の新規利用の供給対象への前記エネルギー供給を順に開始してもよい。
【0007】
ここで、前記優先度は、例えば、ハードウェア的要素と社会的要素と商業的要素とを含む複数の要素の少なくとも1つの要素に基づいて決定されてもよい。また、前記ハードウェア的要素は、例えば、前記全体エネルギー供給率の契約内容、前記エネルギー供給時のエネルギー供給率及び前記供給対象のエネルギーの受容量の少なくとも1つのパラメータを含み、前記社会的要素は、例えば、前記供給対象に対応する利用者の優先権限保持の有無、前記利用者の事情、前記利用者の属性の少なくとも1つのパラメータを含み、前記商業的要素は、例えば、前記エネルギー供給のサービスの契約条件及び他サービスとの連携の少なくとも1つのパラメータを含んでもよい。なお、ここに記載した複数の要素はそれぞれあくまでも一例であり、例示した要素以外の要素に基づいて、前記優先度を決定してもよい。また、ここに記載した複数のパラメータはそれぞれあくまでも一例であり、前記ハードウェア的要素、前記社会的要素及び前記商業的要素はそれぞれ、例示したパラメータ以外のパラメータを含んでもよい。
【0008】
前記システムにおいて、前記新規利用の供給対象へのエネルギー供給を待機状態にする場合、前記エネルギー供給が開始可能になる予測時刻、又は、前記エネルギー供給が開始可能になるまでの待ち時間を、前記新規利用の供給対象に対応する利用者が操作する端末装置に通知する通知部を備えてもよい。
【0009】
前記システムにおいて、前記制御部は、前記供給対象へのエネルギー供給中に他の供給対象へのエネルギー供給の融通が可能であるか否かに関する融通可否情報に基づいて、前記新規利用の供給対象へのエネルギー供給を開始し、又は、前記エネルギー供給中の既存の供給対象と前記新規利用の供給対象との間におけるエネルギー供給率の調整を行ってもよい。
【0010】
前記システムにおいて、前記複数の供給対象に対応する複数の利用者について前記融通可否情報を事前登録して管理する管理部を備えてもよい。
【0011】
前記システムにおいて、前記エネルギー供給中に前記新規利用の供給対象へのエネルギー供給の要求があったときに、前記エネルギー供給中の既存の供給対象に対応する利用者の端末装置に、前記エネルギー供給の融通の希望を申請して前記融通可否情報を問い合わせる問合部を備えてもよい。
【0012】
前記システムにおいて、前記エネルギー供給中の既存の供給対象と前記新規利用の供給対象との間におけるエネルギー供給率の調整の内容は、例えば、ハードウェア的要素と社会的要素と商業的要素とを含む複数の要素の少なくとも1つの要素に基づいて決定されてもよい。また、前記ハードウェア的要素は、例えば、前記全体エネルギー供給率の契約内容、前記エネルギー供給時のエネルギー供給率及び前記供給対象のエネルギーの受容量の少なくとも1つのパラメータを含み、前記社会的要素は、例えば、前記供給対象に対応する利用者の優先権限保持の有無、前記利用者の事情、前記利用者の属性の少なくとも1つのパラメータを含み、前記商業的要素は、例えば、前記エネルギー供給のサービスの契約条件及び他サービスとの連携の少なくとも1つのパラメータを含んでもよい。なお、ここに記載した複数の要素はそれぞれあくまでも一例であり、例示した要素以外の要素に基づいて、前記エネルギー供給率の調整の内容を決定してもよい。また、ここに記載した複数のパラメータはそれぞれあくまでも一例であり、前記ハードウェア的要素、前記社会的要素及び前記商業的要素はそれぞれ、例示したパラメータ以外のパラメータを含んでもよい。
【0013】
前記システムにおいて、前記複数のエネルギー供給装置を管理する管理システムと、前記複数のエネルギー供給装置を介した複数の供給対象へのエネルギー供給を制御する制御システムとを備え、前記管理システムは、前記要求受け部と前記判定部とを有し、通信網を介して前記複数の供給対象に対応する複数の端末装置と通信可能であり、前記制御システムは、前記制御部を有し、通信網を介して前記管理システムと通信可能であってもよい。
【0014】
前記システムにおいて、前記複数のエネルギー供給装置を管理する管理システムと、前記複数のエネルギー供給装置を介した複数の供給対象へのエネルギー供給を制御する制御システムとを備え、前記制御システムは、前記要求受け部と前記判定部と前記制御部とを有し、通信網を介して前記複数の供給対象に対応する複数の端末装置及び前記管理システムと通信可能であってもよい。
【0015】
前記システムにおいて、前記供給対象は、車両であり、前記供給対象に供給されるエネルギーは、車両に搭載されたバッテリーの充電に用いられる電気エネルギーであり、前記エネルギー供給装置は充電器であってもよい。
【0016】
前記システムにおいて、前記複数のエネルギー供給装置を管理する管理システムは、前記複数の充電器のそれぞれについて、前記充電器を介した前記車両による充電の利用料金を、前記車両の充電サービスの利用者、前記車両、前記車両に搭載されたバッテリー及び前記利用者が操作する端末装置の少なくとも一つに対して課金する処理を行う課金処理手段を備えてもよい。
【0017】
本発明によれば、複数の供給対象にエネルギーを同時に供給するときに、供給可能な最大エネルギーの範囲内で複数の供給対象へのエネルギー供給をオンデマンド且つダイナミックに調整することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】実施形態に係る充電サービス提供システムの全体の概略構成の一例を示す説明図。
図2】実施形態に係る充電サービス提供システムの要部構成の一例を示す説明図。
図3】(a)~(c)はそれぞれ、実施形態に係るコンセントに付した画像の一例を示す説明図。
図4】実施形態に係る充電管理サーバの主要な機能の構成の一例を示すブロック図。
図5】実施形態に係る充電サービス提供システムを構成する充電ステーションに設置されたN台の充電器と充電サービスの利用者が操作する端末装置との関係の一例を示す説明図。
図6図5の充電ステーションにおいて新規利用者からの充電要求があったときの処理の一例を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
本発明の実施形態に係るシステムは、エネルギー出力部からエネルギー供給対象へのエネルギー供給サービスを管理して提供するシステムである。エネルギー出力部は、例えば、エネルギー供給サービスにおいてエネルギー提供を行う提供者によって所有又は管理されるものである。供給されるエネルギーは、例えば、石油、天然ガス、石炭などの形態の一次エネルギーでもよいし、電気、水素、ガソリン、軽油、重油、都市ガス、アルコールなどの形態の二次エネルギーであってもよい。
【0020】
エネルギーが供給される供給対象は、例えば、外部から充電可能なバッテリー搭載のモータで駆動される電動の移動体(例えば、EV(Electric Vehicle)、PHEV(Plug-in Hybrid Vehicle)等の電動車両)である。移動体は、電動車両や燃料電池車両(例えば、FCV(Fuel Cell Vehicle))等の地上の移動体でもよいしドローンなどの空中の移動体、海などの水上を移動する船舶等の移動体であってもよい。移動体は、四輪以上の車両、三輪車(トライスクル)、二輪車(バイク、自転車)、トラック、バス、自家用車、事業用車両などの車両であってもよい。バッテリーは、利用者自身が所有するものであってもよいし、リース会社からリースされたものであってもよいし、利用者とは異なる事業者が所有するものであってもよい。また、供給対象は、携帯型又は設置型の家電機器、オフィス機器、通信端末装置等の電気機器や電子機器であってもよい。
【0021】
なお、以下の実施形態では、一例として、利用者が利用する利用対象のエネルギーが電気エネルギーであり、そのエネルギーを供給するエネルギー供給装置が電気エネルギーを供給する充電器であり、エネルギーが出力されるエネルギー出力部が電気エネルギーを出力する充電器のコンセントであり、エネルギーが供給される供給対象が車両に組み込まれた駆動用のバッテリーであり、充電器のコンセントから出力される電力で車両のバッテリーを充電する充電サービス(エネルギー供給サービス)を管理する充電サービス提供システムの場合について説明する。実施形態における利用者は例えば充電サービスのエンドユーザであり、実施形態における供給対象の車両は例えば電気自動車等の電動車両(EV)である。
【0022】
また、以下の実施形態において、出力のコンセントを有するエネルギー供給装置は、例えば直流電流で車両のバッテリーを比較的短い時間で急速充電可能な充電器であってもよい。
【0023】
図1は、実施形態に係る充電サービス提供システムの概略構成の一例を示す説明図である。本実施形態の充電サービス提供システムは、複数の充電器25(1)~25(8)のコンセント20から電力が供給される複数の供給対象(充電対象)としての電気自動車などの車両30の充電を管理するシステム(充電管理システム)である。図1の例では、1つの充電ステーション(「充電サイト」又は「充電スタンド」ともいう。)において8個の25(1)~25(8)のコンセント20から8台の車両30に充電可能なシステムの例を示しているが、1つの充電ステーションにおける充電器25、コンセント20及び車両30のそれぞれの数は2~7であってもよいし、又は、9以上であってもよい。
【0024】
充電サービス提供システムは、複数の充電ステーションのそれぞれにおいて、充電制御システム100を有する分岐装置としての充電HUB装置(以下「充電HUBユニット」ともいう。)10を備える。充電HUB装置10は、電力会社の外部の電力線から施設の配電設備に引き込まれた一次側エネルギー供給経路(電力供給経路)としての一次側電力線11を、複数の二次側エネルギー供給経路(電力供給経路)としての複数の二次側電力線12(1)~12(8)に分岐する。一次側電力線11で供給される電力のうち一部の電力は複数の二次側電力線12に供給され、残りの電力は別の電力線13を介して施設の別の負荷に供給される。
【0025】
充電HUB装置10の充電制御システム100は、無線又は優先の通信回線を介して、移動通信網、インターネットなどの通信網60に設けられた管理装置としての充電管理サーバ70と通信することができる。なお、充電制御システム100は、充電管理サーバ70と直接通信してもよいし、又は、充電HUB装置10を遠隔的に保守管理する保守管理サーバ75を介して充電管理サーバ70と通信してもよい。また、充電管理サーバ70の一部の処理は保守管理サーバ75で実行してもよいし、保守管理サーバ75の一部又は全部の処理は充電管理サーバ70で実行してもよい。
【0026】
充電HUB装置10に接続された複数の二次側電力線12(1)~12(8)の端部のそれぞれは、駐車場等の複数の駐車スペース(車室)それぞれの近傍に配置された複数のエネルギー出力部としての充電器(電力出力部)25(1)~25(8)に接続されている。複数の充電器25(1)~25(8)はそれぞれ、充電スタンド(例えば自立ポール)24に設けられた複数のコンセント20に接続されている。充電制御システム100を有する充電HUB装置10と、二次側電力線12(1)~12(8)と、充電器(電力出力部)25(1)~25(8)とにより、複数組(図示の例では8組)の充電回路が構成され、最大N台(図示の例では8台)までの車両30を同時に充電することができる。
【0027】
複数の充電スタンド24のコンセント20それぞれの近くにはコード画像21が付されている。また、複数の充電スタンド24のコンセント20のそれぞれには、車両30からの電源ケーブル40を接続することができる。
【0028】
図2は、実施形態に係る充電サービス提供システムの要部構成の一例を示す説明図。図2において、実施形態の供給対象は、充電器25のコンセント20からの電力で充電される車両30のバッテリー31である。充電器25のコンセント20からの電力供給は、例えば、有線の電源ケーブル(充電ケーブル)40及びプラグ41を介して行われる。充電器25のコンセント20からの電力供給は、電磁誘導、マイクロ波等の電波による給電、レーザー光等の光による給電などの無線給電で行ってもよい。また、充電器25のコンセント20から供給される電圧(電流)は交流(例えば、AC200V、最大3~4kW/15~20A出力)であってもよいし、直流(例えば、DC50~500V、最大50kW、又は、DC50~800V、最大900kW)であってもよい。
【0029】
図2(後述の図3も同様)における充電器25のコンセント20は、図中手前側に凸状に形成されたコンセント本体部分の下面にAC200V(定格:20A,250V、アース端子あり)用のプラグ差し込み口20aを有するEV・PHEV用の充電コンセントの例である。コンセント20は、コンセント不使用時にプラグ差し込み口20aをカバーする開閉可能なコンセントカバーを有してもよい。また、コンセント20は、プラグ差し込み口20aに差し込まれたプラグ41の脱落を防止する機能を有してもよい。また、コンセント20は、AC100V(定格:15A,1500V、アース端子あり)用のプラグ差し込み口20aを有してもよい。なお、コンセント20及びプラグ差し込み口20aの種類及び構成は、図2及び後述の図3に例示したものに限定されない。
【0030】
充電サービス提供システムは、電力(電気エネルギー)利用を管理する管理装置としての充電管理サーバ70と、充電HUB装置10等の機器の制御及び保守を遠隔的に行う保守管理サーバ75とを備える。充電管理サーバ70及び保守管理サーバ75はそれぞれ、単体のコンピュータ装置で構成してもよいし、複数のコンピュータ装置を連携させるように構成してもよいし、ネットワーク上のクラウドシステムで構成してもよい。
【0031】
電力(電気エネルギー)を出力可能な電力出力部(エネルギー出力部)としての充電器25のコンセント20は、例えば、駐車場、一戸建住宅、マンション等の共同住宅、オフィスビル、イベント会場、工場などの施設の壁、屋外又は屋内の駐車場や充電設備(充電ステーション)のスタンドなどの施設に設けられたコンセントである。コンセント20は、用途が限定されていない汎用のコンセントでもよいし、用途限定の専用のコンセントであってもよい。また、コンセント20は、利用者が限定されていないコンセントでもよいし、特定の利用者のみ利用可能なコンセントであってもよい。
【0032】
図3(a)~(c)はそれぞれ実施形態に係るコンセント20に付した画像の一例を示す説明図である。図3(a)のコンセント20には、コード画像(例えば、QRコード(登録商標)の画像)21が付されている。コード画像21は、1次元コード画像でもよいし、2次元コード画像であってもよい。コード画像21は、たとえば、コンセント20の名前、識別番号、設置場所、設置主体などの情報が符号化された画像である。ード画像21は、利用者又は設置主体などがシール部材26に印刷してコンセント20の脇に貼り付けてもよい。
【0033】
図3(b)のコンセント20には、利用者又は設置主体などが任意に付けたコンセント20の識別補助画像としての文字(例えば手書き文字)21'の画像が付されている。また、図3(c)のコンセント20には、利用者又は設置主体などが任意に付けた識別補助画像としてのイラスト21''の画像が付されている。文字21'又はイラスト21''は、コンセント20に付してもよい。コンセント20の文字21'及びイラスト21''は、利用者又は設置主体などがシール部材26に描いてコンセント20の脇に貼り付けてもよい。なお、識別補助画像は、文字及びイラストのほか、図柄やマークであってもよい。
【0034】
コンセント20から供給される電力を利用しようとする利用者50の端末装置51は、移動通信網、インターネットなどの通信網60を介して充電管理サーバ70と通信することができる。端末装置51は、キー、ボタン、タッチパネルなどの操作部、液晶ディスプレイなどの表示部、コンセントのコード画像や識別補助画像などを撮像するカメラなどの撮像部などを備える。端末装置51は、利用者が操作することにより、予め組み込んだ所定の電力利用のアプリケーション(例えば、充電サービス利用のアプリケーション)を起動して実行することができる。端末装置51は、自装置の現在位置の情報を取得するGNSS受信機などの現在位置取得部を備えてもよい。端末装置51は、例えば、第4世代又は第5世代以降の世代の移動通信網を介して通信可能な携帯電話やスマートフォンなどの移動局(「移動機」、「ユーザ装置(UE)」等ともいう。)であってもよい。
【0035】
車両30は、車載装置の外部通信部32により、通信網60を介して充電管理サーバ70と通信することができる。外部通信部32は、例えば、車載ネットワーク(CAN:Controller Area Network)にゲートウェイを介して接続された遠隔制御ユニット(TCU:テレマティック コントロール ユニット)であってもよい。遠隔制御ユニット(TCU)は、通信網60を介した通信機能のほか、無線LANやブルートゥース(登録商標)等の近距離無線通信機能を有してもよい。車載ネットワーク(CAN)には、遠隔制御ユニット(TCU)のほか、バッテリー31を管理するバッテリー管理システム(BMS)や、その他の各部の制御する一又は複数の電子制御ユニット(ECU)が接続されている。
【0036】
バッテリー31の充電に利用された電力に関する電力利用情報(例えば、バッテリー識別情報、電力量、充電開始時間、充電終了時間)は、例えば、バッテリー管理システム(BMS)から遠隔制御ユニット(TCU)を介して充電管理サーバ70に送信することができる。また、車両の識別情報や電力受容量(例えば、バッテリーの容量、受け入れ可能な電力)などの車両情報は、例えば、車両の基本情報を記憶したメモリを有する電子制御ユニット(ECU)から遠隔制御ユニット(TCU)を介して充電管理サーバ70に送信することができる。これらの情報の充電管理サーバ70への送信は、例えば、端末装置51で起動しているアプリケーションが生成した送信要求に基づいて実行される。端末装置51からの送信要求は、例えば無線LANやブルートゥース(登録商標)等の近距離無線通信を介して車両の遠隔制御ユニット(TCU)が受信してもよい。
【0037】
なお、充電管理サーバ70は、前述の電力利用情報、車両の識別情報、車両の電力受容量等の車両関連情報を、例えば車両のメーカごと又は車種ごとに設けられた車両管理サーバから取得してもよい。
【0038】
図4は、実施形態に係る充電管理サーバ70の主要な機能の構成の一例を示すブロック図である。図4において、充電管理サーバ70は、充電管理システム700と端末通信部701と供給対象通信部702と認証処理部703と記憶部(DB:データベース)704と充電制御通信部705とを備える。充電管理システム700は、複数の充電ステーションのそれぞれにおける各充電器25の状態を管理する充電器状態管理部706と、複数の充電ステーションのそれぞれにおける各充電器25の制御を管理する充電器制御管理部707と、を含む。
【0039】
なお、端末通信部701、供給対象通信部702及び充電制御通信部705は、一体構成の通信装置(例えば移動通信モジュール)で構成してもよい。
【0040】
端末通信部701は、通信網60を介して、又は、他の公衆回線若しくは専用回線を介して、利用者50の端末装置51と通信する機能を有する。
【0041】
充電サービス管理の一例において、端末通信部701は、利用者50の端末装置51から、コンセント20に付されているコード画像(例えばQRコード(登録商標)の画像)21(図3(a)参照)の読取データと、利用者50又は端末装置51の識別情報と、コンセント20から電力が供給される供給対象の識別情報(例えば、車両30又はバッテリー31の識別情報)とを受信する。コード画像21の読取データは、例えば、コード画像21を端末装置51のカメラで撮像した画像データでもよいし、その画像データを復号化して得られたデータであってもよい。
【0042】
また、充電サービス管理の別の例において、端末通信部701は、利用者50の端末装置51から、コンセント20に付されている識別補助画像21'又は21''(図3(a)及び図3(c)参照)の読取データと、端末装置51の位置情報と、利用者50又は端末装置51の識別情報と、コンセント20から電力が供給される供給対象の識別情報(例えば、車両30又はバッテリー31の識別情報)とを受信する。識別補助画像21'、21''の読取データは、例えば、識別補助画像21'、21''を端末装置51のカメラで撮像した画像データである。端末装置51の位置情報は、例えば、端末装置51のGNSS受信機で測位した端末装置51の位置情報(緯度、経度、高度)である。
【0043】
供給対象通信部702は、通信網60を介して、又は、他の公衆回線若しくは専用回線を介して、供給対象の車両30と通信する機能を有する。供給対象通信部702は、例えば、車両30から、供給対象の識別情報(例えば、車両30又はバッテリー31の識別情報)と、コンセント20から供給されて車両30で利用された電力利用情報としての充電情報(例えば、バッテリー識別情報、電力量、充電開始時間、充電終了時間)とを受信する。供給対象通信部702は、供給対象の識別情報や電力受容量などの車両関連情報及び充電情報を前述の車両管理サーバから受信してもよい。
【0044】
充電制御通信部705は、通信網60を介して、又は、他の公衆回線若しくは専用回線を介して、充電HUB装置10と通信する機能を有し、情報受信手段、情報生成手段及び情報送信手段として機能する。
【0045】
充電制御通信部705は、例えば、一次側電力線11のエネルギー供給状況である電力、電流若しくは電力量の計測結果の情報、及び、複数の二次側電力線12(1)~12(8)のエネルギー供給状況である電力、電流若しくは電力量の計測結果の情報、又は、その両方の計測結果の情報を、充電HUB装置10の充電制御システム100から受信する。
【0046】
また、充電制御通信部705は、前記一次側若しくは二次側の計測結果の情報に基づいて、又は、前記一次側及び二次側の計測結果の情報に基づいて生成された、前記複数組の充電回路における二次側電力線12(1)~12(8)のそれぞれを個別に開閉するための制御情報を、充電HUB装置10の充電制御システム100に送信する。また、充電制御通信部705は、複数の充電器25(1)~25(8)を制御する制御情報を、充電制御システム100に送信する。
【0047】
充電制御システム100は、充電管理サーバ70から受信した制御情報に基づいて、複数の充電器25(1)~25(8)を介した車両30の充電を制御する。
【0048】
前記制御情報は、例えば、複数の二次側電力線12(1)~12(8)のそれぞれの電力、電流若しくは電力量の計測結果の情報に基づいて各駐車スペース(車室)で充電されている状況を監視し、複数の二次側電力線12(1)~12(8)のそれぞれを介した複数の充電を時分割で分散実行するように制御する制御情報であってもよい。
【0049】
前記制御情報は、例えば、一次側電力線11のエネルギー供給状況である電力、電流若しくは電力量の計測結果が所定の閾値(例えば、目標デマンド値)を超えた場合又は前記計測結果が前記閾値を超えると予測される場合、前記8組の充電回路における二次側電力線12(1)~12(8)の少なくとも一つを閉じるように制御する制御情報であってもよい。この制御情報に基づいて、充電HUB装置10は、複数の二次側電力線12(1)~12(8)の少なくとも一つを閉じるように制御することにより、一次側電力線11の全体の電力、電流及び電力量を低下させ、一次側電力線11を共用する駐車場、一戸建住宅、マンション等の共同住宅、オフィスビル、イベント会場、工場などの施設での予期せぬ電源断を回避することができる。
【0050】
前記制御情報は、例えば、8組の充電回路における二次側電力線12(1)~12(8)のそれぞれに対する電力供給の優先順位(充電の優先順位)の情報を含んでもよい。この優先順位の情報に基づいて、充電HUB装置10は、複数の二次側電力線12(1)~12(8)の一部に対して優先的に電力を供給する優先充電を実行するように制御する。
【0051】
また、前記制御情報は、8組の充電回路における二次側電力線12(1)~12(8)における割り込み電力供給(割り込み充電)の情報を含んでもよい。この割り込み電力供給(割り込み充電)の情報に基づいて、充電HUB装置10は、複数の二次側電力線12(1)~12(8)のうち、電力供給中の二次側電力線に対する電力供給を停止し、他の電力供給停止中の二次側電力線に対する電力供給を開始する割込充電を実行するように制御する。
【0052】
上記電力供給の優先順位(充電の優先順位)、上記割り込み電力供給(割り込み充電)及び後述の新規利用の電力供給の開始の優先度は、例えば、ポリシーベース、ルールベース、機械学習モデル等の方法に基づいて、8組の充電回路における二次側電力線12(1)~12(8)を介したコンセントからの充電の全体について充電効率又は課金運用が最大になるように決定される。ポリシーベースの方法は、例えば、予め設定したポリシー情報に基づいて作成されたプログラムにより、現在の充電状況の情報及び供給対象の情報等に基づいて、充電対象の複数の車両30における優先順位(充電の優先順位)及び車両30に対する割込充電の許否を決定する方法である。ルールベースの方法は、例えば、予め設定したルールに基づいて作成された変換テーブルにより、現在の充電状況の情報及び供給対象の情報等から、充電対象の複数の車両30における優先順位(充電の優先順位)及び車両30に対する割込充電の許否を決定する方法である。機械学習モデルの方法は、例えば、予め設定した機械学習モデルについて過去の充電サービス実行時の充電情報や車両情報のデータを用いて学習を行うことにより、学習済みモデルを作成し、学習済みモデルと現在の充電状況の情報及び供給対象の情報等とに基づいて、充電対象の複数の車両30における優先順位(充電の優先順位)及び車両30に対する割込充電の許否を決定する方法である。
【0053】
認証処理部703は、利用者50又は端末装置51の識別情報と供給対象の識別情報(例えば、車両30又はバッテリー31の識別情報)とに基づいて、電力を利用としている利用者の認証(利用者認証)と、供給対象(例えば車両30又はバッテリー31)の認証(供給対象認証)の少なくとも一方を行う。
【0054】
例えば、認証処理部703は、端末装置51から受信した利用者50の識別情報(利用者ID)と、充電管理サーバ70に予め登録されている利用者の識別情報(利用者ID)とを比較することにより、利用者50が所定の充電サービスに予め登録された正規の利用者であるかを確認する利用者認証を行ってもよい。この場合、正規の利用者のときは充電サービスの利用を許可し、正規の利用者でないときは充電サービスの利用を制限(例えば利用を不許可)にしてもよい。
【0055】
また、例えば、認証処理部703は、端末装置51から受信した供給対象の識別情報(例えば、車両30又はバッテリー31の識別情報)と、車両30から受信した供給対象の識別情報(例えば、車両30又はバッテリー31の識別情報)とを比較することにより、供給対象(例えば、車両30又はバッテリー31)が所定の電力利用管理サービスに予め登録された正規の供給対象であるかを確認する供給対象認証を行ってもよい。この場合、正規の供給対象のときは当該電力利用管理サービスの利用を許可し、正規の供給対象でないときは電力利用管理サービスの利用を制限(例えば利用を不許可)にしてもよい。なお、この認証においては、端末装置51又は車両30から受信した供給対象の識別情報(例えば、車両30又はバッテリー31の識別情報)を、充電管理サーバ70に予め登録されている供給対象の識別情報と比較して認証処理を行ってもよい。
【0056】
充電サービス管理の一例において、記憶部(DB)704は、コード画像の読取データに基づいてコンセント20の識別情報及びそのコンセント20が接続されている充電HUB装置10の識別情報を特定し、コンセント20の識別情報(コンセントID)と充電HUB装置10の識別情報(HUBID)と利用者50又は端末装置51の識別情報と供給対象の識別情報(例えば、車両30又はバッテリー31の識別情報)と電力利用情報とを互いに対応付けて記憶する。例えば表1に示すように、一連の電力利用のトランザクションごとに、コンセントIDと利用者IDと端末ID(例えばIMEI)と車両IDと電力利用情報とを互いに対応付けた1レコードが記憶され、全体として、電力利用トランザクションテーブル(電力利用台帳)が形成される。
【0057】
【表1】
【0058】
充電サービス管理の他の例において、記憶部(DB)704は、前述の識別補助画像の読取データと端末装置51の現在位置情報とに基づいてコンセント20の識別情報を特定し、コンセント20の識別情報(コンセントID)と利用者50又は端末装置51の識別情報と供給対象の識別情報(例えば、車両30又はバッテリー31の識別情報)と電力利用情報とを互いに対応付けて記憶する。
【0059】
また、記憶部(DB)704には、複数のコンセントを介した充電サービス管理に用いられる各種テーブルが格納されている。例えば、記憶部(DB)704には、表2のコンセント管理テーブルと、表3のユーザ管理テーブルと、表4の車両管理テーブルを格納されている。
【0060】
【表2】
【0061】
【表3】
【0062】
【表4】
【0063】
コンセント管理テーブル、ユーザ管理テーブル及び車両管理テーブルはそれぞれ、本実施形態の充電管理サーバ70で提供されるコンセント20を介した充電サービスを利用するためのコンセント20、利用者50(端末装置51)及び車両30(バッテリー31)の新規登録があったときに新規レコードが追加される。また、表2のコンセント管理テーブルを参照することにより、本実施形態の充電管理サーバ70で提供される充電サービスにおいて利用者が新規に登録することができる公開コンセントの位置を示す公開コンセント仮想空間を構築することできる。この公開コンセント仮想空間を実空間の地図上に重ね合わせて表示することにより、利用者が新規登録可能な公開コンセントの位置を容易に把握してアクセスすることができる。
【0064】
表3に示すユーザ管理テーブルでは、例えば、利用者50の識別情報である利用者IDに対応付けて、利用者50が所持して使用するスマートフォン等の端末装置51の識別情報である端末ID及びその他の利用者関連情報が格納されている。利用者関連情報は、例えば、充電サービスの利用開始時に登録された課金特典のフラグ情報(1:特典あり、0:特典なし)、利用者50の属性情報、融通可否のフラグ情報(1:融通可能、0:融通不可)、優先充電権限のフラグ情報(1:権限あり、0:権限なし)、充電サービの契約電力、充電サービスの契約条件などである。
【0065】
融通可否のフラグ情報は、例えば、同一の充電ステーションにおいて同時に充電を行う新規の利用者50の車両30があったときに、その新規の利用者50の車両30への電力供給の融通が可能であるか(許容するか)否かに関する融通可否情報である。
【0066】
優先充電権限の情報は、同一の充電ステーションにおいて充電サービスを優先的に利用するプライオリティ権限を保持しているか否か(例えば、充電サービスのプレミアム会員であるか否か、又は、身体障がい者・妊婦等の社会的弱者であるか否か)に関する情報である。
【0067】
表4に例示する車両管理テーブルには、車両の電力受容量(エネルギーの受容量)として、例えば、車両30に搭載された充電対象(供給対象)であるバッテリーの容量[kWh]の情報と、車両30が受け入れ可能な電力[kW]の情報とが格納されている。
【0068】
また、記憶部(DB)704には、表5に示す登録コンセントテーブルを格納してもよい。この登録コンセントテーブルには、利用者が新規にコンセント20を登録したときにレコードが追加される。登録コンセントテーブルと前述の各種テーブルとを連結して参照することにより、本実施形態の充電管理サーバ70で提供される充電サービスにおいて利用者が使用できる登録済みのコンセントの位置を示すマイ・コンセント仮想空間を構築することできる。このマイ・コンセント仮想空間を実空間の地図上に重ね合わせて表示することにより、利用者が登録して利用可能なコンセントの位置を容易に把握してアクセスすることができる。
【表5】
【0069】
充電管理システム700の充電器状態管理部706は、複数の充電器25のうち少なくとも一の充電器25に供給対象が接続されて車両30に電気エネルギーが供給されている充電中(エネルギー供給中)に、充電中の充電器以外の他の充電器を介した新規利用者の車両への充電の要求を受ける要求受け部としても機能する。
【0070】
充電管理システム700の充電器制御管理部707は、前記充電中(エネルギー供給中)に新規利用者の車両30への充電の要求があったとき、その新規利用者の車両30へ充電を想定した同一充電ステーションにおける複数の充電器25の全体に対する電力(単位時間当たりの全体エネルギー供給率)の予測値が、所定の上限値である上限電力以下か否かを判定する判定部としても機能する。
【0071】
上記上限電力は、例えば、1つの充電ステーションの全体で車両の充電に用いることができる電力であり、充電ステーション毎に、充電HUB装置10の一次側電力線11で供給可能な契約電力に基づいて設定される。
【0072】
本実施形態において、充電管理サーバ70は課金処理部708を備えてもよい。課金処理部708は、コンセント20を介した車両30による電力利用の利用料金について、利用者50、供給対象(車両30又はバッテリー31)及び端末装置51の少なくとも一つに対して課金する処理を行う。例えば、コンセント20を介した車両30による電力利用の利用料金の全額又は一部を、利用者50に課金したり、端末装置51の利用料金に加算するように課金したりしてもよい。車両30やバッテリー31がレンタル会社からレンタルした場合やリース会社からリースされた場合は、コンセント20を介した車両30による電力利用の利用料金の全額又は一部を、レンタル会社やリース会社に課金してもよい。
【0073】
特に、本実施形態では、上記構成の充電サービス提供システムで提供される充電サービスにおける充電器25の利用者50、車両30の管理者などの関係者内で利用料金の融通ができる。
【0074】
また、電力利用の課金処理は、課金に関する各種の特典(課金特典)を考慮して行ってもよい。例えば、風力、太陽光、バイオマスなどの再生可能エネルギーが持つ環境価値を証書化した「グリーン電力証書」、「Jクレジット」、「非化石証書」等の環境価値証書又はそれと同等の価値のあるもの(以下、「環境価値証書等の環境価値」という。)が、コンセント20を介して車両30に供給される電流に付加されるとみなされる場合、このような環境価値証書等の環境価値の付加状況を例えば表3のユーザ管理テーブルの課金特典の欄のフラグ(1:特典あり、0:特典なし)で管理し、電力量と並行して環境価値に対する課金(増額または減額)を行ってもよい。また、このような環境価値証書等の環境価値の購入等の課金特典の有無は、例えば、表3のユーザ管理テーブルの課金特典の欄のフラグで管理することができる。
【0075】
実施形態に係る充電HUB装置10(図1参照)において、ターミナルボックス(TB)及び充電用のサーキットブレーカー(CB)を介して一次側電力線11が接続されている。また、一次側電力線11は、TBにおいて分岐され、他のサーキットブレーカー(CB)を介して車両充電回路以外の別の負荷(例えば、駐車場の充電以外の各種の電気機器、一戸建住宅やマンション等の共同住宅の居住部の電気機器、オフィスビルの各オフィスの電気機器、イベント会場の電気機器、工場の電気機器など)に接続されている。
【0076】
充電HUB装置10に接続された一次側電力線11は、複数組(図1の例では8組)の充電回路における二次側電力線12(1)~12(8)に分岐されている。
【0077】
充電HUB装置10は、充電制御システム100のほか、制御データ変換装置としてのインターフェースコンバータと、二次側電力線12(1)~12(8)を開閉する開閉手段としての複数のリモコンリレーを有するリモコンブレーカと、二次側電力線12(1)~12(8)の電力量を計測する計測手段としての電力量モニタ装置とを備える。
【0078】
電力量モニタ装置は、例えば、二次側電力線12(1)~12(8)のそれぞれに取り付けられた電流センサとしての分割型変流器に、専用のケーブルを介して接続されている。電力量モニタ装置で計測された二次側電力線12(1)~12(8)のそれぞれの電力量の計測データは、専用のインターフェース(例えばRS485のシリアルインターフェース)のケーブルを介して充電制御システム100に送られる。
【0079】
充電制御システム100は、例えば、二次側電力線12(1)~12(8)の開閉制御及び充電器25(1)~25(8)の制御などを行うための所定の制御プログラムを読み出して実行可能なマイコンで構成され、充電管理サーバ70又は保守管理サーバ75と通信する機能を有する。
【0080】
また、充電制御システム100は、充電管理サーバ70から受信した制御情報に基づいて、充電器25を介した車両30の充電を制御する。例えば、本実施形態において、充電制御システム100は、充電中(エネルギー供給中)に新規利用者の車両30への充電の要求があったとき、その新規利用者の車両30へ充電を想定した同一充電ステーションにおける複数の充電器25の全体に対する電力(単位時間当たりの全体エネルギー供給率)の予測値が、所定の上限電力以下か否かを判定した判定結果を含む制御情報を受信する。ここで、上限電力は、充電HUB装置10から複数の充電器25の全体に対して供給可能な最大電力(単位時間当たりの全体エネルギー供給率の許容最大値)である。
【0081】
充電制御システム100は、上記判定結果を含む制御情報に基づき、同一充電ステーションにおける複数の充電器25の全体に対する全体電力の予測値が上限値以下の場合は、新規利用の車両30への電力供給を開始し、全体電力の予測値が上限値を超える場合は、新規利用の車両30への電力供給を待機状態にして全体電力の予測値が上限値以下になったときに待機状態にあった新規利用の車両30へのエネルギー供給を開始する制御部としても機能する。
【0082】
充電制御システム100の制御部は、前記待機状態になる新規利用の車両30が複数の場合、所定の優先度に基づいて電力供給を開始する順番を決定した待ち行列を設定し、その待ち行列に基づいて複数の新規利用の車両30への電力供給を順に開始してもよい。
【0083】
ここで、新規利用の電力供給の開始の優先度、並びに、前述の電力供給の優先順位(充電の優先順位)及び割り込み電力供給(割り込み充電)は、例えば、ハードウェア的要素と社会的要素と商業的要素とを含む複数の要素の少なくとも1つの要素に基づいて決定されてもよい。また、前述の電力供給の優先順位(充電の優先順位)及び割り込み電力供給(割り込み充電)についても、例えば、ハードウェア的要素と社会的要素と商業的要素とを含む複数の要素の少なくとも1つの要素に基づいて決定されてもよい。なお、ここに記載した複数の要素はそれぞれあくまでも一例であり、例示した要素以外の要素に基づいて、前記優先度、前記電力供給の優先順位(充電の優先順位)及び前記割り込み電力供給(割り込み充電)を決定してもよい。
【0084】
前記ハードウェア的要素は、例えば、充電に用いる電力の契約内容(契約電力)、充電時の電力及び車両30のエネルギーの受容量の少なくとも1つのパラメータを含んでもよい。前記社会的要素は、例えば、車両30に対応する利用者50の優先権限(優先充電権限)保持の有無、利用者50の事情、利用者50の属性の少なくとも1つのパラメータを含んでもよい。前記商業的要素は、例えば、充電サービスの契約条件及び他サービスとの連携の少なくとも1つのパラメータを含んでもよい。なお、ここに記載した複数のパラメータはそれぞれあくまでも一例であり、前記ハードウェア的要素、前記社会的要素及び前記商業的要素はそれぞれ、例示したパラメータ以外のパラメータを含んでもよい。
【0085】
なお、本実施形態の充電サービス提供システムにおいて、充電管理サーバ70は、新規利用の車両30への電力供給を待機状態にする場合、車両30への電力供給開始(充電開始)可能になる予測時刻、又は、車両30への電力供給開始(充電開始)可能になるまでの待ち時間を、当該新規利用の車両30に対応する利用者50が操作する端末装置51に通知する通知部を備えてもよい。この通知により、利用者50は、電力供給(充電)開始の待ち行列に入るか否かを判断できる。
【0086】
また、本実施形態の充電サービス提供システムにおいて、充電制御システム100の制御部は、車両30への電力供給中(充電中)に他の車両30への電力供給の融通が可能であるか否かに関する融通可否情報に基づいて、新規利用の車両30への電力供給を開始し、又は、電力供給中(充電中)の既存の車両30と新規利用の車両30との間における電力の調整を行ってもよい。
【0087】
また、本実施形態の充電サービス提供システムにおいて、充電管理サーバ70の充電管理システム700は、複数の車両30に対応する複数の利用者50について前述の融通可否情報を事前登録して管理する管理部を備えてもよい。
【0088】
本実施形態の充電サービス提供システムにおいて、充電管理サーバ70の充電管理システム700は、電力供給中(充電中)に新規利用の車両30への電力供給(充電)の要求があったときに、電力供給中(充電中)の既存の車両30に対応する利用者50の端末装置51に、電力供給の融通の希望を申請して前述の融通可否情報を問い合わせる問合部を備えてもよい。
【0089】
本実施形態の充電サービス提供システムにおいて、電力供給中(充電中)の既存の車両30と新規利用の車両30との間における電力の調整の内容は、前述のハードウェア的要素と社会的要素と商業的要素とを含む複数の要素の少なくとも1つの要素に基づいて決定されてもよい。
【0090】
なお、本実施形態では、電力供給中(充電中)に新規利用者の車両30への充電の要求があったとき、その新規利用者の車両30へ充電を想定した同一充電ステーションにおける複数の充電器25の全体に対する電力の予測値が上限値以下か否かを、充電管理サーバ70で判定しているが、当該判定を充電制御システム100で行ってもよい。この場合、充電制御システム100は、前述の充電HUB装置10の全体で利用可能な電力の上限値の情報を保持している。
【0091】
上記構成の充電サービス提供システムは、複数の車両30を同時に充電可能な複数の充電器25があり、その全体制御を行う充電制御システム100を備える。充電制御システム100は契約している電力の最大値を把握しており、電力範囲の中で各充電器25の出力電力を制御することができる。充電管理サーバ70は充電制御システム100と無線通信により接続され、情報をやり取りしながら充電制御システム100の制御を行う。同時に、充電管理サーバ70は利用者50が保持するスマートフォンや携帯電話等の端末装置51と接続し、利用者50の充電器利用状況や認証を行うことができる。
【0092】
本実施形態では、上記構成の充電サービス提供システムにおいて、例えば、次のような充電サービスの利用開始時の充電開始の制御及び電力融通の管理を伴う制御をオンデマンド且つダイナミックに行う。
【0093】
[利用開始時]
・新規利用者50が充電器25を利用しようとした際に、その充電器25に設定可能な最低出力であっても上限電力に達してしまう場合は新規利用者50の車両30の充電開始を他の利用者の車両30の充電が終わり、余剰電力ができるまで待機する。更に新規利用者が追加された場合は先着順を基本とした待ち行列を設定する。ここで、余剰電力は、充電HUB装置10が複数の充電器25を介して同時に供給可能な最大電力である上限電力から、複数の充電器25を介して実際に充電に使用されている電力を差し引いた電力である。
・新規利用者50が待機する場合、充電開始可能となる予測時間を新規利用者の端末装置51に通知して示すことで新規利用者50が待ち行列に入るかどうかを判断できる。
・充電利用中の利用者50の充電が終わり、新規利用者の充電に使用可能な余剰電力ができた時点で、上記待ち行列の先頭の利用者50の充電を開始する。
【0094】
[電力融通の管理]
・充電を利用するときに利用者50は、自分の端末装置51を操作して充電管理サーバ70にアクセスし、自分の充電電力の融通が可能であるかどうかの意思表示を行う。
・新規利用者50が充電器25を利用しようとした際に、余剰電力がなく待ち行列に入ってしまう場合において、充電中の利用者50の中に電力融通が可能な利用者(既ユーザ)50が存在すれば、既ユーザの端末装置51に充電管理サーバ70を介して電力融通を依頼し、自分の車両30の充電を優先的に開始することができる。
・電力融通の依頼があった場合、既ユーザは承認依頼に対して承認又は否認する応答を行うことができる。既ユーザについて電力融通が可能と設定されている場合は、既ユーザからの応答を受けることなく、電力融通の処理を行ってもよい。また、既ユーザについて電力融通が可能と設定されていても、承認依頼が来た時点で、改めて電力融通したくないとなった場合は、承認依頼があったときに電力融通を否認することもできる。
【0095】
図5は、実施形態に係る充電サービス提供システムを構成する充電ステーションに設置されたN台の充電器と充電サービスの利用者が操作するスマートフォン(端末装置)との関係の一例を示す説明図である。図5において、実線は無線通信を表し、破線は有線通信又は利用者による直接操作を表している。充電管理システム700を搭載する充電管理サーバ70は、無線通信経路を含む通信網を介して、充電HUB装置10に搭載された充電制御システム100と通信することができるとともに、複数の車両30(1)~30(N)それぞれのユーザ50(1)~50(N)が操作する端末装置(スマートフォン)51(1)~51(N)と通信することができる。充電制御システム100には、複数(N台)の充電器25(1)~25(N)が有線接続されている。ユーザ50(1)~50(N)はそれぞれ、各自の車両30の充電ケーブルを充電器25に有線接続し、スマートフォン51(1)~51(N)を直接操作して充電管理サーバ70にアクセスし、充電サービスの利用を要求する充電要求を送信することにより、各自の車両30のバッテリーを充電することができる。充電制御システム100は、その上限電力の範囲内で、最大N台の車両30(1)~30(N)のバッテリーを同時に充電することができる。
【0096】
図6は、図5の充電ステーションにおいて新規利用者からの充電要求があったときの処理の一例を示すフローチャートである。
図6において、新規利用者からの充電要求がある前は、駆動用のバッテリーを積載した車両(電動車)30に対して充電可能なN台の充電器25(1)~25(N)が設置されている充電ステーションにて、充電のために2人のユーザ50(1)、50(2)が充電器25(1)、25(2)を利用している。
【0097】
この状態で、新たに1人のユーザ50(3)が充電のために充電ステーションを訪れ、車両30(3)と充電器25(3)を充電ケーブルで接続し、端末装置(スマートフォン)51(3)を操作して所定の充電アプリを起動して充電管理サーバ70にアクセスし、充電管理サーバ70に充電要求を送信し、充電を開始しようとする(S101)。
【0098】
充電管理サーバ70の充電管理システム700は、新規ユーザ50(3)の車両30(3)の充電に必要な充電電力を確認し(S102)、車両30(3)を充電可能な余剰電力があるか否かを判断する(S103)。ここで、例えば、新規ユーザ50(3)の車両30(3)の充電を急いでおらず余剰電力以下の最低限の充電電力で車両30を充電できる場合、又は、新規ユーザ50(3)の車両30(3)の充電を急いるが、その急ぎの充電に必要な充電電力が余剰電力以下である場合、充電管理システム700は、充電可能な余剰電力があると判断し(S103でYes)、充電制御システム100を介して、新規ユーザ50(3)の車両30(3)の充電を開始する(S104)。
【0099】
一方、新規ユーザ50(3)の車両30(3)の充電を急いでいないが最低限の充電電力が余剰電力よりも大きい場合、又は、新規ユーザ50(3)の車両30(3)の充電を急いでおり、その急ぎの充電に必要な充電電力が余剰電力よりも大きい場合、充電管理システム700は、充電可能な余剰電力がないと判断する(S103でNo)。例えば、新たに訪れた新規ユーザ50(3)は急いでおり、15分で可能な限り充電を行いたいが、既に充電ステーションの電力は契約電力上限に近い状態で2台の車両30(1),30(2)を充電しており、最低限の充電電力しか新規ユーザ50(3)の車両30(3)に供給できない場合、充電管理システム700は、充電可能な余剰電力がないと判断する(S103でNo)。
【0100】
充電管理サーバ70の充電管理システム700は、新規ユーザ50(3)の端末装置(スマートフォン)51(3)に上記判断の結果を通知してもよい。
【0101】
車両30(3)を充電可能な十分大きな余剰電力がないと判断した場合(S103でNo)、充電管理サーバ70の充電管理システム700は、ユーザのDBを参照し、既存の充電中のユーザ50(1)、50(2)の中に、電力融通可能に事前設定しているユーザ(以下「対象ユーザ」ともいう。)が存在するか否かを確認する(S106)。充電管理システム700は、新規ユーザ50(3)の端末装置(スマートフォン)51(3)に上記確認の結果を通知してもよい。
【0102】
電力融通可能な対象ユーザ(充電速度が遅くなってもよいユーザ)が存在する場合(S106でYes)、充電管理サーバ70の充電管理システム700は、その対象ユーザ50の端末装置(スマートフォン)51に、電力融通の承認依頼を送信する(S107)。例えば、新規ユーザ50(3)が端末装置(スマートフォン)51(3)の充電アプリで電力融通可能な対象ユーザ(充電速度が遅くなってもよいユーザ)として2人のユーザ50(1)、50(2)の存在を発見できたとき、新規ユーザ50(3)が充電アプリ上で電力融通の希望を申請すると、充電管理システム700は、新規ユーザ50(3)からの申請に基づいて、対象ユーザである2人のユーザ50(1)、50(2)の端末装置(スマートフォン)51(1)、51(2)に、電力融通の承認依頼を送信する。
【0103】
上記承認依頼の結果、上記電力融通の承認依頼を受信した対象ユーザが電力融通を承認し、その承認の結果を返答した場合(S108でYes)、充電管理サーバ70の充電管理システム700は、対象ユーザからの返答に基づいて、電力融通を承認した対象ユーザの最大充電電力(個別上限電力)を抑制し、余剰の電力を新規ユーザへ割り当てるための制御情報を生成し、その制御情報を、充電HUB装置10の充電制御システム100に送信する(S109,S110)。充電制御システム100は、充電管理サーバ70から受信した制御情報に基づいて各充電器25(1)~25(3)から供給される充電電力を制御し、新規ユーザ50(3)の車両30(3)への受電電力の供給を開始する(S104)。なお、充電管理システム700は、上記承認の結果の返答を対象ユーザから受信したとき、充電制御システム100に制御情報を送信して対象ユーザの充電器を一旦停止させてもよい。
【0104】
例えば、充電管理サーバ70の充電管理システム700は、上記申請の結果、充電中の2人のユーザ50(1),50(2)からの承認の返答を確認すると、充電制御システム100を介して2人の対象ユーザ50(1),50(2)に接続されていた充電器25(1)、25(2)を一旦停止し、利用可能な電力を確認する。更に、充電管理システム700は、確認した利用可能な電力を、充電を急いでいる新規ユーザ50(3)に接続されている充電器25(3)に対して大きく割り当てて充電電力の上限値(個別上限電力)を設定し、残りの2人の対象ユーザ50(1),50(2)に接続されている充電器25(1)、25(2)に対して残電力を等分にして割り当てて充電電力の上限値(個別上限電力)を設定する。
【0105】
なお、上記対象ユーザへの承認依頼(S107)を行わずに、各ユーザが充電終了までの時間が遅くなってもよいかどうか(電力融通可能か否か)を充電開始要求時に充電アプリで設定した設定情報に基づいて、後から来た新規ユーザが電力融通を希望した場合に、充電管理システム700で電力融通可能なユーザと電力融通を希望する新規ユーザとのマッチングを自動的に行って各充電器25の充電速度の調整を行い、新規ユーザ50(3)の承認依頼の手続きを省略してもよい。
【0106】
図6において、充電中のユーザの中に電力融通可能なユーザが存在しないことを確認した場合(S106でNo)又は対象ユーザが電力融通を承認しない場合(S108でNo)、充電管理システム700は、充電可能な余剰電力ができるまで新規ユーザ50(3)の充電の順番待ちを継続し(S111、S112)、充電可能な余剰電力ができたときに(S112でYes)新規ユーザ50(3)の車両30(3)への充電を開始するように制御情報を生成して充電HUB装置10の充電制御システム100に送信する。充電HUB装置10の充電制御システム100は、充電管理サーバ70の充電管理システム700から受信した制御情報に基づいて、新規ユーザ50(3)の車両30(3)への充電を開始するように充電器25(3)へ電力を供給して充電器25(3)を制御する。
【0107】
なお、図6の処理フロー(S101~S112)のうち充電管理サーバ70の充電管理システム700が行っている処理の一部を、充電HUB装置10の充電制御システム100が行うようにしてもよい。
【0108】
また、図6の処理フローにおいて、充電可能な余剰電力がないと判断された場合(S103でNo)、S105~S110の処理を省略し、S105~S110、S104の処理を行うようにしてもよい。
【0109】
以上、本実施形態によれば、複数の車両30に電力を同時に供給するときに、供給可能な最大電力の範囲内で複数の車両30への電力供給をオンデマンド且つダイナミックに調整することができる。
【0110】
特に、本実施形態によれば、供給可能な電力に上限がある複数台の充電器25を備えた充電ステーション(充電サイト)の設備で、新規利用の利用者50の要望・要請に応じてダイナミックに出力を変更して給電することができるので、当該充電ステーション(充電サイト)の全体の上限電力までの電力供給範囲内に収めた上で、電力供給サービス(充電サービス)の利用者の満足を得られる。
【0111】
また、本実施形態によれば、複数の二次側電力線12(1)~12(8)の充電回路で充電されている状況を監視し、電気自動車等の車両30の充電に必要な充電制御を、クラウドシステムで構成した充電管理サーバ70から遠隔的に行うことができる。
【0112】
また、本実施形態によれば、充電サービス提供システムは、ポリシーベース、ルールベース、機械学習モデル、ハードウェア的要素、社会的要素、商業的要素などに基づいた優先充電、割込充電、新規車両への充電開始の制御を実行する拡張性を備える。
【0113】
また、本実施形態によれば、充電器25及びコンセント20に追加装置を設けることなく、コンセント20から供給されて車両30のバッテリー31の充電に利用される電力について認証を伴う電力利用管理を実現することができる。
【0114】
なお、本明細書で説明された処理工程並びにサーバ(情報処理装置)、管理システム、制御システム、端末装置、車両の車載装置などの構成要素は、様々な手段によって実装することができる。例えば、これらの工程及び構成要素は、ハードウェア、ファームウェア、ソフトウェア、又は、それらの組み合わせで実装されてもよい。
【0115】
ハードウェア実装については、実体(例えば、コンピュータ装置、サーバ、端末装置(ユーザ装置、移動局、通信端末)、車両の車載装置、ハードディスクドライブ装置、又は、光ディスクドライブ装置)において前記工程及び構成要素を実現するために用いられる処理ユニット等の手段は、1つ又は複数の、特定用途向けIC(ASIC)、デジタルシグナルプロセッサ(DSP)、デジタル信号処理装置(DSPD)、プログラマブル・ロジック・デバイス(PLD)、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA)、プロセッサ、コントローラ、マイクロコントローラ、マイクロプロセッサ、電子デバイス、本明細書で説明された機能を実行するようにデザインされた他の電子ユニット、コンピュータ、又は、それらの組み合わせの中に実装されてもよい。
【0116】
また、ファームウェア及び/又はソフトウェア実装については、前記構成要素を実現するために用いられる処理ユニット等の手段は、本明細書で説明された機能を実行するプログラム(例えば、プロシージャ、関数、モジュール、インストラクション、などのコード)で実装されてもよい。一般に、ファームウェア及び/又はソフトウェアのコードを明確に具体化する任意のコンピュータ/プロセッサ読み取り可能な媒体が、本明細書で説明された前記工程及び構成要素を実現するために用いられる処理ユニット等の手段の実装に利用されてもよい。例えば、ファームウェア及び/又はソフトウェアコードは、例えば制御装置において、メモリに記憶され、コンピュータやプロセッサにより実行されてもよい。そのメモリは、コンピュータやプロセッサの内部に実装されてもよいし、又は、プロセッサの外部に実装されてもよい。また、ファームウェア及び/又はソフトウェアコードは、例えば、ランダムアクセスメモリ(RAM)、リードオンリーメモリ(ROM)、不揮発性ランダムアクセスメモリ(NVRAM)、プログラマブルリードオンリーメモリ(PROM)、電気的消去可能PROM(EEPROM)、フラッシュメモリ、フロッピー(登録商標)ディスク、コンパクトディスク(CD)、デジタルバーサタイルディスク(DVD)、磁気又は光データ記憶装置、などのような、コンピュータやプロセッサで読み取り可能な媒体に記憶されてもよい。そのコードは、1又は複数のコンピュータやプロセッサにより実行されてもよく、また、コンピュータやプロセッサに、本明細書で説明された機能性のある態様を実行させてもよい。
【0117】
また、前記媒体は非一時的な記録媒体であってもよい。また、前記プログラムのコードは、コンピュータ、プロセッサ、又は他のデバイス若しくは装置機械で読み込んで実行可能であればよく、その形式は特定の形式に限定されない。例えば、前記プログラムのコードは、ソースコード、オブジェクトコード及びバイナリコードのいずれでもよく、また、それらのコードの2以上が混在したものであってもよい。
【0118】
また、本明細書で開示された実施形態の説明は、当業者が本開示を製造又は使用するのを可能にするために提供される。本開示に対するさまざまな修正は当業者には容易に明白になり、本明細書で定義される一般的原理は、本開示の趣旨又は範囲から逸脱することなく、他のバリエーションに適用可能である。それゆえ、本開示は、本明細書で説明される例及びデザインに限定されるものではなく、本明細書で開示された原理及び新規な特徴に合致する最も広い範囲に認められるべきである。
【符号の説明】
【0119】
10 :充電HUB装置
20、20(1)~20(8) :コンセント
21、21(1)~21(8) :コード画像
25、25(1)~25(8)、25(N) :電力出力部(充電器)
30、30(1)~30(3)、30(N) :車両
31 :バッテリー
32 :外部通信部
40 :電源ケーブル
41 :プラグ
50、50(1)~50(3)、50(N) :利用者
51、51(1)~51(3)、51(N) :端末装置(スマートフォン)
60 :通信網
70 :充電管理サーバ
75 :保守管理サーバ
100 :充電制御システム
700 :充電管理システム
701 :端末通信部
702 :供給対象通信部
703 :認証処理部
704 :記憶部
705 :充電制御通信部
706 :充電器状態管理部
707 :充電器制御管理部
708 :課金処理部
図1
図2
図3
図4
図5
図6