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  • 特開-ノイズ吸収フィルター 図1
  • 特開-ノイズ吸収フィルター 図2
  • 特開-ノイズ吸収フィルター 図3
  • 特開-ノイズ吸収フィルター 図4
  • 特開-ノイズ吸収フィルター 図5
  • 特開-ノイズ吸収フィルター 図6
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024027730
(43)【公開日】2024-03-01
(54)【発明の名称】ノイズ吸収フィルター
(51)【国際特許分類】
   H03H 7/09 20060101AFI20240222BHJP
   H01F 17/06 20060101ALI20240222BHJP
   H01F 27/36 20060101ALI20240222BHJP
【FI】
H03H7/09 A
H01F17/06 F
H01F27/36 101
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022130780
(22)【出願日】2022-08-18
(71)【出願人】
【識別番号】711002018
【氏名又は名称】貝塚 眞生
(72)【発明者】
【氏名】貝塚 眞生
【テーマコード(参考)】
5E070
5J024
【Fターム(参考)】
5E070AB06
5E070AB08
5E070BA16
5E070BB03
5E070DA17
5J024AA01
5J024BA19
5J024CA06
5J024CA14
5J024DA01
5J024DA26
5J024DA35
5J024EA09
5J024KA01
(57)【要約】
【課題】EMC抑制手段として、ノイズ発生の両端子間をショートする様にキャパシタを使用するが、対象となる端子間の距離がキャパシタの端子間距離より大きく、キャパシタに至る配線の寄生インダクタンスが大きく、結果的に、想定した効果が出ないと言う課題がある。
【解決手段】
寄生インダクタンスを有する配線にノイズ吸収フィルターを装着する事で、前記インダクタンスが発生する電磁エネルギーを吸収し熱に変える。結果的にインダクタンスのQが下がり、ノイズ源のノイズレベルおよび輻射EMCの抑制が達成される。
【選択図】図2

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電磁波吸収効果を有する、炭素素材もしくは炭素素材を混入した樹脂を材料にした円筒状の部品で、ノイズ源とノイズ除去用のキャパシタを接続する配線を該円筒の中心穴を通過するように配置する事で、ノイズ吸収フィルターとする事を特徴とする電子部品。
【請求項2】
請求項1の電子部品で、材料素材に透磁率が10以上になる様に磁性材料を混入し、対応周波数領域を低周波領域に拡張した特徴を持つ電子部品。
【請求項3】
請求項1もしくは請求項2の電子部品で、円筒の外周を金属などの導電物質で囲い、輻射EMIを抑制した特徴を持つ電子部品。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、EMI対策用のノイズ吸収フィルターに関するものである。
【背景技術】
【0002】
EMC対策として、高周波特性の良いキャパシタをノイズ発生の両端子間に挿入する事は一般的に行われているが、上記の端子間隔が挿入するキャパシタのサイズに比べて大きい場合には効果が限定的になる事が知られている。
【0003】
解析の結果、効果が限定的になる原因は、それぞれのノイズ発生端子とキャパシタを結ぶ配線の寄生インダクタンスが機能し、ノイズの高周波成分がキャパシタに伝わらない事が判明した。
【0004】
結果的に端子のノイズ・エネルギーは該寄生インダクタンスとキャパシタ間を交互に移動する状況となり、短い配線をアンテナとして、輻射ノイズとして拡散してしまうと考えられる。
【0005】
この改善策として、該寄生インダクタンスのQを低下させることで、ノイズ・エネルギーを熱に変換し、端子間のノイズを低減させる事で、輻射ノイズを低減するノイズ吸収型フィルターを提案する。
【0006】
図1に本提案に基づくフィルターの外観を示す。図2に使用例を示す。図2に示すように本フィルターは寄生インダクタンスを有し、キャパシタの機能を低減させる配線が通過するように装着することで、ノイズ吸収フィルターとして機能する。外観、使用方法共にフェライトビーズと類似するが、材質は炭素もしくは炭素を主体とした樹脂を使用する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第6635361号
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】特願2015-018919
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
解決しようとする問題点は、EMC対策に於いてキャパシタを投入しても寄生インダクタンスの為にキャパシタの効果が期待ほど無い事である。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、寄生インダクタンスのQを低下させ、疑似的に生ずる抵抗成分によって、ノイズ・エネルギーを吸収する事で、輻射EMCおよびノイズ源のノイズ強度を低減させる事を特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明のノイズ吸収フィルターは、比較的安価な材料で構成され、装着に特別な構造を必要としない。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1はノイズ吸収フィルターの外観を示した図である。
図2図2はDCモータのノイズ低減用に使用した説明図である。(実施例1)
図3図3課題を説明するに使用したシミュレーション回路。
図4図4は上記シミュレーションの結果。
図5図5発明の効果を説明するためのシミュレーション回路。
図6図6は上記シミュレーションの結果。
【発明を実施するための形態】
【0013】
ノイズ吸収フィルター単体は円筒状の部品で、ノイズ源端子とノイズ低減用キャパシタの端子を接続する配線が円筒を通過するように装着する。
【実施例0014】
図1は、本発明部品を装着した実施例であって、1はモータケース、2はモータの軸、3,4はノイズ源となっているモータ端子である。5、6はそれぞれモータ端子からキャパシタンス(9)に繋ぐ配線で、ノイズ吸収フィルターを各々6個装着している。9のキャパシタの両端子から、最終的なモータ駆動信号を取り出す。
【0015】
図2の実施例では、配線5,6に本発明のノイズ吸収フィルターが装着されている。実施前はこれらのフィルターは装着されていない。図3のシミュレーション回路は共通のノイズ源V1からノイズ信号が供給され、P1⇒S1とP2⇒S2の2通りの負荷回路に供給し、両者の結果を比較できる様に構成されている。図3のP1⇒S1のルートは配線5,6の寄生インダクタンスが無い前提で構築した回路でP2⇒S2は配線長から推測した寄生インダクタンス6nHを挿入した回路である。
【0016】
図4はシミュレーションの結果である。信号P1とS1はキャパシタを挿入する事で期待できる効果である。P1端子のノイズレベルは100kHzから降下し始め、100MHzで飽和する。しかしながら、寄生インダクタンスを考慮したS2端子については100kHz超でS1よりもより多く降下し、P2端子は2MHzでP1より降下するピークがあるも、2MHzを超えると徐々に増加し、100MHzではノイズ源と同じ100dBに戻る。
【0017】
図5はP1⇒S1の経路をノイズ吸収フィルターに置き換えた回路である。配線にノイズ吸収フィルターを取り付けたときの等価回路として、元の寄生インダクタンスをL1とし、L1と相互インダクタンス係数1を持つ、インダクタンスL5を配し、そのL5の端子を抵抗で短絡し、等価回路としている。実際の回路の抵抗値は周波数への依存性を持つと思われるがこのシミュレーションでは無視している。なお、L5の片端子を高抵抗100KΩで設置している抵抗R6は単にシミュレータを安定に動作させるための負荷回路である。
【0018】
図6はシミュレーション結果である。P2,S2は図4と同じ物であり、P3、S3がノイズ吸収フィルターの効果を示す。短絡抵抗R5を小さくすると図4のP1⇒S1の挙動に近づく事が判る。
【産業上の利用可能性】
【0019】
電子機器の高度化で、EMCに対する要求仕様も厳しい方向に移行している。その為にEMC対策のコストが上昇しており、製品価格に上乗せとなる。安価で効果的なEMC対策は重要である。
図1
図2
図3
図4
図5
図6