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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024027738
(43)【公開日】2024-03-01
(54)【発明の名称】電池パック
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/00 20060101AFI20240222BHJP
【FI】
H02J7/00 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022130793
(22)【出願日】2022-08-18
(71)【出願人】
【識別番号】000006231
【氏名又は名称】株式会社村田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001357
【氏名又は名称】弁理士法人つばさ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山本 幹雄
【テーマコード(参考)】
5G503
【Fターム(参考)】
5G503AA01
5G503BA02
5G503BB01
5G503CA11
5G503DB01
5G503GA11
5G503GA12
(57)【要約】
【課題】ユーザの利便性を高めることができる電池パックを得る。
【解決手段】本開示の一実施の形態に係る電池パックは、蓄電池と、蓄電池の正端子および負端子のうちの一方に第1の電源経路を介して導かれた第1の端子と、他方に第2の電源経路を介して導かれた第2の端子と、第2の電源経路に設けられ、蓄電池を充電する第1の方向の電流を遮断可能な第1のスイッチと、蓄電池を放電する第2の方向の電流を遮断可能な第2のスイッチとを有するスイッチ部と、スイッチ部の両端間をバイパスするバイパス経路に設けられたバイパススイッチと、蓄電池を監視可能であり、第2の端子の電圧を検出可能であり、第1のスイッチおよび第2のスイッチをオンオフ可能な制御回路とを備える。制御回路は、バイパススイッチがオン状態になった場合に、第2の端子の電圧に基づいて、第2のスイッチをオフ状態からオン状態に変化させる第1の動作を行うことが可能である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力を蓄えることが可能な蓄電池と、
前記蓄電池の正端子および負端子のうちの一方に第1の電源経路を介して導かれた第1の端子と、
前記蓄電池の正端子および負端子のうちの他方に第2の電源経路を介して導かれた第2の端子と、
前記第2の電源経路に設けられ、前記蓄電池を充電する第1の方向の電流を遮断可能な第1のスイッチと、前記蓄電池を放電する第2の方向の電流を遮断可能な第2のスイッチとを有するスイッチ部と、
前記スイッチ部の両端間をバイパスするバイパス経路に設けられたバイパススイッチと、
前記蓄電池を監視可能であり、前記第2の端子の電圧を検出可能であり、前記第1のスイッチおよび前記第2のスイッチをオンオフ可能な制御回路と
を備え、
前記制御回路は、前記バイパススイッチがオン状態になった場合に、前記第2の端子の電圧に基づいて、前記第2のスイッチをオフ状態からオン状態に変化させる第1の動作を行うことが可能である
電池パック。
【請求項2】
前記第1の電源経路から前記制御回路への電源供給をオンオフ可能な電源スイッチをさらに備え、
前記制御回路は、前記電源スイッチがオン状態になった場合に、前記第1のスイッチをオン状態にするとともに、前記第2のスイッチをオフ状態にする第2の動作を行うことが可能であり、前記第2の動作以降に前記第1の動作を行うことが可能である
請求項1に記載の電池パック。
【請求項3】
前記第2の電源経路における、前記スイッチ部と前記蓄電池とを結ぶ経路から前記制御回路への電源供給をオンオフ可能な電源スイッチをさらに備え、
前記制御回路は、前記電源スイッチがオン状態になった場合に、前記第1のスイッチをオン状態にするとともに、前記第2のスイッチをオフ状態にする第2の動作を行うことが可能であり、前記第2の動作を行った後に前記第1の動作を行うことが可能である
請求項1に記載の電池パック。
【請求項4】
前記バイパススイッチは、外力がかかる場合にオン状態になり、外力がかからない場合にオフ状態になる
請求項1に記載の電池パック。
【請求項5】
前記電池パックが機器に装着された場合に、前記機器と接する接触面を有する筐体をさらに備え、
前記バイパススイッチは、前記接触面に設けられた
請求項4に記載の電池パック。
【請求項6】
前記バイパススイッチは、ユーザによる外力に基づいてオンオフ可能である
請求項5に記載の電池パック。
【請求項7】
前記バイパススイッチは、前記機器における、前記筐体の前記接触面に対向する面に設けられた突起に接触したときの外力に基づいてオン状態になることが可能である
請求項5に記載の電池パック。
【請求項8】
前記電池パックは、前記筐体の前記接触面が前記機器と接触した状態でスライドすることにより前記機器に装着可能であり、
前記バイパススイッチは、前記電池パックをスライドさせることによりオン状態からオフ状態に変化可能である
請求項7に記載の電池パック。
【請求項9】
前記電源スイッチは、外力に基づいてオンオフ可能である
請求項2または請求項3に記載の電池パック。
【請求項10】
前記電池パックが機器に装着された場合に、前記機器と接する接触面を有する筐体をさらに備え、
前記電源スイッチは、前記接触面に設けられた
請求項9に記載の電池パック。
【請求項11】
前記電源スイッチは、オン状態またはオフ状態に維持可能である
請求項9に記載の電池パック。
【請求項12】
前記電池パックは、前記筐体の前記接触面が前記機器と接触することにより前記機器に装着可能であり、
前記電源スイッチは、前記機器における前記接触面に対向する面に接触したときの外力に基づいてオン状態に維持可能である
請求項10に記載の電池パック。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、蓄電池を備えた電池パックに関する。
【背景技術】
【0002】
蓄電池を備えた電池パックでは、蓄電池の動作状態を監視する監視回路がしばしば設けられる。例えば特許文献1には、監視回路への電源供給経路に遮断回路を設け、電池パックの保管時など、電池パックが使用されない期間において、監視回路への電源供給を停止する電池パックが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008-271690号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
電池パックの利用においては、ユーザの利便性が高いことが望まれており、さらなるユーザの利便性の向上が期待されている。
【0005】
ユーザの利便性を高めることができる電池パックを提供することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一実施の形態における電池パックは、蓄電池と、第1の端子と、第2の端子と、スイッチ部と、バイパススイッチと、制御回路とを備えている。蓄電池は、電力を蓄えることが可能なものである。第1の端子は、蓄電池の正端子および負端子のうちの一方に第1の電源経路を介して導かれたものである。第2の端子は、蓄電池の正端子および負端子のうちの他方に第2の電源経路を介して導かれたものである。スイッチ部は、第2の電源経路に設けられ、蓄電池を充電する第1の方向の電流を遮断可能な第1のスイッチと、蓄電池を放電する第2の方向の電流を遮断可能な第2のスイッチとを有するものである。バイパススイッチは、スイッチ部の両端間をバイパスするバイパス経路に設けられたものである。制御回路は、蓄電池を監視可能であり、第2の端子の電圧を検出可能であり、第1のスイッチおよび第2のスイッチをオンオフ可能なものである。制御回路は、バイパススイッチがオン状態になった場合に、第2の端子の電圧に基づいて、第2のスイッチをオフ状態からオン状態に変化させる第1の動作を行うことが可能である。
【0007】
本開示の一実施の形態における電池パックによれば、ユーザの利便性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本開示の一実施の形態に係る電池パックの一構成例を表す回路図である。
図2図1に示した電池パックを装着する機器の一例を表す外観図である。
図3図1に示した電池パックの一構成例を表す外観図である。
図4図1に示した電池パックを機器に装着する装着手順の一例を表すフローチャートである。
図5図1に示した電池パックの一動作状態を表す説明図である。
図6図1に示した電池パックの他の一動作状態を表す説明図である。
図7図1に示した電池パックの他の一動作状態を表す説明図である。
図8図1に示した電池パックの他の一動作状態を表す説明図である。
図9】変形例に係る電池パックの一構成例を表す回路図である。
図10】他の変形例に係る電池パックの一構成例を表す回路図である。
図11】他の変形例に係る電池パックの一構成例を表す回路図である。
図12】他の変形例に係る電池パックの一構成例を表す回路図である。
図13】他の変形例に係る電源スイッチおよびバイパススイッチの一構成例を表す説明図である。
図14図13に示した電源スイッチの一動作例を表す説明図である。
図15図13に示した電源スイッチおよびバイパススイッチの一動作例を表す説明図である。
図16】他の変形例に係る電池パックを装着する機器の一例を表す外観図である。
図17図16に示した電池パックに係る電源スイッチおよびバイパススイッチの一構成例を表す説明図である。
図18図17に示した電源スイッチの一動作例を表す説明図である。
図19図17に示した電源スイッチおよびバイパススイッチの一動作例を表す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0010】
<実施の形態>
[構成例]
図1は、一実施の形態に係る電池パック(電池パック1)の一構成例を表すものである。電池パック1は、正端子TPと、負端子TNと、蓄電池11と、電源スイッチSWPと、スイッチ部12と、バイパススイッチSWBと、抵抗素子R1と、制御回路13とを有している。
【0011】
正端子TPおよび負端子TNは、電池パック1と、充電器や電池パック1が装着された機器などとの間で電力のやりとりを行うように構成される。正端子TPは、電源線PLPを介して蓄電池11の正極EPに接続される。負端子TNは、電源線PLNを介して蓄電池11の負極ENに接続される。
【0012】
蓄電池11は、電力を蓄えるように構成される。例えば、電池パック1に充電器を接続した場合には、正端子TP、蓄電池11、トランジスタDFET、トランジスタCFET、負端子TNの順に充電電流が流れることにより、蓄電池11は充電される。また、電池パック1を負荷である機器に接続した場合には、負端子TN、トランジスタCFET、トランジスタDFET、蓄電池11、正端子TPの順に放電電流が流れることにより、蓄電池11は放電されるようになっている。
【0013】
蓄電池11は、複数の電池セルBC(この例では3つの電池セルBC1~BC3)を有している。電池セルBC1~BC3のそれぞれは、この例ではリチウムイオン二次電池を用いて構成される。この例では、電池セルBC1~BC3は直列に接続される。具体的には、電池セルBC1の正極は電池セルBC2の負極に接続され、負極は蓄電池11の負極ENに接続される。電池セルBC2の正極は電池セルBC3の負極に接続され、負極は電池セルBC1の正極に接続される。電池セルBC3の正極は蓄電池11の正極EPに接続され、負極は電池セルBC3の正極に接続される。
【0014】
電池セルBCにおける、負極および正極の間のセル電圧は、その電池セルBCにおける蓄電量に応じて変化し得る。電池パック1は、3つの電池セルBCのそれぞれのセル電圧が、正常電圧範囲の範囲内である場合に使用することができ、セル電圧がその正常電圧範囲の範囲外である場合には、使用することができない。例えば、セル電圧が正常電圧範囲の上限電圧を超えている場合には、その電池セルBCは過充電状態であり、それ以上充電されるべきではなく、セル電圧が正常電圧範囲の範囲内の電圧になるまで放電される必要がある。また、例えば、セル電圧が正常電圧範囲の下限電圧を下回っている場合には、その電池セルBCは過放電状態であり、それ以上放電されるべきではなく、セル電圧が正常電圧範囲の範囲内の電圧になるまで充電される必要がある。電池パック1では、3つの電池セルBC1~BC3のそれぞれのセル電圧が制御回路13により監視されるようになっている。
【0015】
電源スイッチSWPは、オン状態になることにより、蓄電池11の正極EPにおける電圧を、制御回路13の電源端子TVCCに電源電圧として供給するように構成される。電源スイッチSWPは、外力に応じてオンオフするスイッチである。電源スイッチSWPは、この例ではスライドスイッチであり、ユーザがつまみを一方方向にスライドさせることによりオン状態になり、ユーザがつまみを他方方向にスライドさせることによりオフ状態になる。よって、電源スイッチSWPは、オン状態またはオフ状態に維持可能である。電源スイッチSWPをオン状態にすることにより、制御回路13には電源電圧が供給されるので、制御回路13は動作する。また、電源スイッチSWPをオフ状態にすることにより、制御回路13には電源電圧が供給されないので、制御回路13は動作しない。このように、電池パック1では、例えば保管時など、電池パック1を使用しない場合に、電源スイッチSWPをオフ状態にすることにより、消費電力を低減することができるようになっている。この電源スイッチSWPは、後述するように、電池パック1が電子機器に装着された場合において、ユーザにより操作できない位置に配置される。
【0016】
スイッチ部12は、電源線PLNに設けられ、電源線PLNに流れる電流を遮断可能に構成される。スイッチ部12は、トランジスタCFET,DFETを有する。
【0017】
トランジスタCFETは、Nチャネル型の電界効果トランジスタである。トランジスタCFETのゲートには制御回路13から制御電圧が供給され、ソースは負端子TNに接続され、ドレインはトランジスタDFETのドレインに接続される。トランジスタCFETは、トランジスタ本体に加え、ボディダイオードを有している。このボディダイオードは、トランジスタCFETの寄生素子であり、アノードはトランジスタ本体のソースに接続され、カソードはトランジスタ本体のドレインに接続される。トランジスタCFETは、例えば、充電時に過電流が生じ、あるいは電池セルBCが過充電状態になった場合に、制御回路13から供給された制御電圧に基づいてオフ状態になる。これにより、トランジスタCFETは、ドレインからソースに向かって流れる電流を遮断することにより、蓄電池11の充電を制限するようになっている。
【0018】
トランジスタDFETは、Nチャネル型の電界効果トランジスタである。トランジスタDFETのゲートには制御回路13から制御電圧が供給され、ソースは蓄電池11の負極ENに接続され、ドレインはトランジスタCFETのドレインに接続される。トランジスタDFETは、トランジスタ本体に加え、ボディダイオードを有している。このボディダイオードは、トランジスタDFETの寄生素子であり、アノードはトランジスタ本体のソースに接続され、カソードはトランジスタ本体のドレインに接続される。トランジスタDFETは、例えば、放電時に過電流が生じ、あるいは電池セルBCが過放電状態になった場合に、制御回路13から供給された制御電圧に基づいてオフ状態になる。これにより、トランジスタDFETは、ドレインからソースに向かって流れる電流を遮断することにより、蓄電池11の放電を制限するようになっている。
【0019】
バイパススイッチSWBは、オン状態になることにより、スイッチ部12をバイパスし、蓄電池11の負極ENおよび電池パック1の負端子TNを互いに接続するように構成される。バイパススイッチSWBは、スイッチ部12をバイパスしつつ蓄電池11の負極ENおよび電池パック1の負端子TNを結ぶバイパス電源線PLBに設けられる。バイパススイッチSWBは、外力に応じてオンオフするスイッチである。バイパススイッチSWBは、この例では押しボタンスイッチであり、ユーザがボタンを押している場合にオン状態になり、ユーザがボタンを押していない場合にオフ状態になる。バイパススイッチSWBをオン状態にすることにより、スイッチ部12(トランジスタCFET,DFET)はバイパスされ、蓄電池11の負極ENおよび電池パック1の負端子TNが互いに接続される。例えば、後述するように、ユーザが、電源スイッチSWPをオン状態にした後に、このバイパススイッチSWBをオン状態にすることにより、制御回路13は、電池パック1の動作状態を、放電可能な状態に復帰させることができるようになっている。このバイパススイッチSWBは、後述するように、電池パック1が機器に装着された場合において、ユーザにより操作できない位置に配置される。
【0020】
抵抗素子R1の一端は、電池パック1の負端子TNに接続され、他端は制御回路13の検出端子TDETに接続される。
【0021】
制御回路13は、例えば集積回路を用いて構成され、電池パック1の動作状態を監視するように構成される。制御回路13は、電源端子TVCCと、基準電源端子TGNDと、検出端子TDETとを有している。制御回路13の電源端子TVCCには、蓄電池11の正極EPにおける電圧が電源スイッチSWPを介して電源電圧として供給され、基準電源端子TGNDには、蓄電池11の負極ENにおける電圧が基準電源電圧として供給される。検出端子TDETは、負端子TNの電圧を検出するための入力端子であり、抵抗素子R1を介して電池パック1の負端子TNに接続される。
【0022】
制御回路13は、例えば、電池セルBC1~BC3のそれぞれのセル電圧を監視する。具体的には、制御回路13は、電池セルBC1の正極および電池セルBC2の負極の電圧を電圧V1として検出し、電池セルBC2の正極および電池セルBC3の負極の電圧を電圧V2として検出する。電池セルBC1のセル電圧は、基準電源端子TGNDにおける電圧および電圧V1の差電圧であり、電池セルBC2のセル電圧は、電圧V1および電圧V2の差電圧であり、電池セルBC3のセル電圧は、電圧V2および電源端子TVCCにおける電圧の差電圧である。制御回路13は、これらの電圧V1,V2に基づいて、電池セルBC1~BC3のそれぞれのセル電圧を監視する。そして、制御回路13は、その監視結果に基づいて、トランジスタCFET,DFETの動作を制御する。具体的には、制御回路13は、例えば、ある電池セルBCのセル電圧が正常電圧範囲の上限電圧を上回っている場合には、その電池セルBCが過充電状態であると判断してトランジスタCFETをオフ状態にする。また、制御回路13は、ある電池セルBCのセル電圧が正常電圧範囲の下限電圧を下回っている場合には、その電池セルBCが過放電状態であると判断してトランジスタDFETをオフ状態にするようになっている。
【0023】
また、制御回路13は、例えば、電池パック1の充電電流および放電電流を監視する。電池パック1を充電する場合には、正端子TPから蓄電池11を介して負端子TNに向かって充電電流が流れる。また、電池パック1を放電する場合には、負端子TNから蓄電池11を介して正端子TPに向かって放電電流が流れる。充電電流や放電電流が流れると、電池パック1の負端子TNと蓄電池11の負極ENの間には、トランジスタCFET,DFETのオン抵抗により、電流量に応じた差電圧が生じる。制御回路13は、検出端子TDETにおける電圧および基準電源端子TGNDにおける電圧の差電圧に基づいて、充電電流や放電電流を監視する。そして、制御回路13は、その監視結果に基づいて、トランジスタCFET,DFETの動作を制御する。具体的には、制御回路13は、例えば、充電電流が所定の電流値よりも過大である場合には、充電時の過電流が生じたと判断してトランジスタCFETをオフ状態にする。また、制御回路13は、放電電流が所定の電流値よりも過大である場合には、放電時の過電流が生じたと判断してトランジスタDFETをオフ状態にするようになっている。
【0024】
また、制御回路13は、電池パック1の正端子TPおよび負端子TNの間の短絡を監視する。例えば、電池パック1の外部において正端子TPおよび負端子TNが互いに接続されている場合には、例えば、正端子TPの電圧と負端子TNの電圧が互いにほぼ同じになり、過大な放電電流が流れる。制御回路13は、例えば、検出端子TDETにおける電圧に基づいて、正端子TPおよび負端子TNの間の短絡を監視する。そして、制御回路13は、その監視結果に基づいて、トランジスタCFET,DFETの動作を制御する。具体的には、制御回路13は、例えば、正端子TPおよび負端子TNの間に短絡が生じている場合には、トランジスタDFETをオフ状態にするようになっている。
【0025】
このように、制御回路13は、電池パック1の動作状態を監視し、その監視結果に基づいて、トランジスタCFET,DFETの動作を制御するようになっている。
【0026】
図2は、電池パック1が装着された機器の外観構成の一例を表すものである。この例では、電池パック1は、ビデオカメラ100に装着される。このビデオカメラ100は、レンズ101と、電子ビューファインダ102とを有している。ビデオカメラ100は、例えば、Z方向前方の被写体を撮像する。この例では、電池パック1は、ビデオカメラ100の後部における、電子ビューファインダ102の下に装着される。具体的には、この例では、ユーザは、電池パック1を、ビデオカメラ100の後部に対してZ方向に押し込み、その後に電池パック1をY方向にスライドさせる。これにより、電池パック1は、ビデオカメラ100に装着される。すなわち、電池パック1は、電池パック1の筐体における1つの面が、ビデオカメラ100の筐体に接した状態で装着される。
【0027】
図3は、電池パック1の筐体(筐体10)の一例を表すものである。筐体10は、電池パック1がビデオカメラ100に装着された状態において、ビデオカメラ100の筐体に接する面S1を有する。この面S1は、XY平面内の面であり、この面S1におけるY方向に延伸する2辺に対応する端部の付近には、この例では4つのガイドGが設けられている。この4つのガイドGは、電池パック1がビデオカメラ100の後部に押し込まれた後にY方向にスライドされる際に、電池パック1をY方向に導くとともに、電池パック1をビデオカメラ100に固定させる。電源スイッチSWPおよびバイパススイッチSWBは、この面S1に設けられる。電池パック1がビデオカメラ100に装着された状態では、この面S1はビデオカメラ100の筐体に接する。これにより、電池パック1がビデオカメラ100に装着された状態では、ユーザは、電源スイッチSWPおよびバイパススイッチSWBを操作することができないようになっている。
【0028】
なお、この例では、電池パック1をビデオカメラ100に装着したが、これに限定されるものではなく、様々な機器に装着することができる。具体的には、電池パック1は、例えばビデオカメラやデジタルカメラなどの様々な電子機器の他、各種電動工具(Power Tool)、OPE(Output Power Equipment)機器などの様々な機器に装着することができる。
【0029】
ここで、蓄電池11は、本開示における「蓄電池」の一具体例に対応する。正端子TPは、本開示における「第1の端子」の一具体例に対応する。電源線PLPは、本開示における「第1の電源経路」の一具体例に対応する。負端子TNは、本開示における「第2の端子」の一具体例に対応する。電源線PLNは、本開示における「第2の電源経路」の一具体例に対応する。スイッチ部12は、本開示における「スイッチ部」の一具体例に対応する。トランジスタCFETは、本開示における「第1のスイッチ」の一具体例に対応する。トランジスタDFETは、本開示における「第2のスイッチ」の一具体例に対応する。バイパススイッチSWBは、本開示における「バイパススイッチ」の一具体例に対応する。バイパス電源線PLBは、本開示における「バイパス経路」の一具体例に対応する。制御回路13は、本開示における「制御回路」の一具体例に対応する。電源スイッチSWPは、本開示における「電源スイッチ」の一具体例に対応する。
【0030】
[動作および作用]
続いて、本実施の形態の電池パック1の動作および作用について説明する。
【0031】
(全体動作概要)
まず、図1を参照して、電池パック1の全体動作概要を説明する。蓄電池11は電力を蓄える。電源スイッチSWPは、オン状態になることにより、蓄電池11の正極EPにおける電圧を、制御回路13の電源端子TVCCに電源電圧として供給する。制御回路13は、電池パック1の動作状態を監視し、監視結果に基づいてトランジスタCFET,DFETの動作を制御する。トランジスタCFETは、例えば、充電時に過電流が生じ、あるいは電池セルBCが過充電状態になった場合に、制御回路13から供給された制御電圧に基づいてオフ状態になることにより、蓄電池11の充電を制限する。トランジスタDFETは、例えば、放電時に過電流が生じ、あるいは電池セルBCが過放電状態になった場合に、制御回路13から供給された制御電圧に基づいてオフ状態になることにより、蓄電池11の放電を制限する。バイパススイッチSWBは、オン状態になることにより、スイッチ部12をバイパスし、蓄電池11の負極ENおよび電池パック1の負端子TNを互いに接続する。ユーザが、電源スイッチSWPをオン状態にした後に、このバイパススイッチSWBをオン状態にすることにより、制御回路13は、電池パック1の動作状態を、電池パック1を放電可能な状態に復帰させる。
【0032】
例えば、電池パック1を充電する場合には、まず、ユーザは、電池パック1の電源スイッチSWPをオン状態する。これにより、電池パック1の制御回路13は動作を開始する。このとき、電池パック1は、充電可能であり放電できない状態になる。そして、ユーザが電池パック1に充電器を接続すると、電池パック1は充電され、充電可能でありかつ放電可能な状態になる。
【0033】
例えば、電池パック1を機器に接続する場合には、まず、ユーザは、電池パック1の電源スイッチSWPをオン状態する。これにより、電池パック1の制御回路13は動作を開始する。このとき、電池パック1は、充電可能であり放電できない状態になる。そして、ユーザがバイパススイッチSWBのボタンを押す。これにより、電池パック1は、充電可能でありかつ放電可能な状態になる。
【0034】
(詳細動作)
図4は、ユーザが、電池パック1を機器に装着する操作手順の一例を表すものである。この例では、ユーザは、保管された電池パック1を、例えば図2に示したビデオカメラ100のような機器に装着する。
【0035】
図5は、保管時における電池パック1の一動作状態を表すものである。この図5では、電源スイッチSWP、トランジスタCFET,DFET、およびバイパススイッチSWBを、オンオフ状態を示すスイッチとして示している。保管時では、電源スイッチSWPおよびバイパススイッチSWBのそれぞれはオフ状態に設定される。電源スイッチSWPはオフ状態であるので、制御回路13の電源端子TVCCには電源電圧が供給されないため、制御回路13は動作しない。よって、トランジスタCFET,DFETはオフ状態である。これにより、電池パック1では、充電および放電を行うことができないので、安全に保管することができる。また、このように、制御回路13に電源電圧が供給されないので、電池パック1では、制御回路13は電力を消費しない。すなわち、電池パック1では、電池セルBCにおける自己消費電力以外の消費電力はほぼゼロであるので、消費電力を低減することができる。その結果、保管時における蓄電池11の蓄電量の低下を抑えることができるので、電池パック1の保存期間を延ばすことができる。
【0036】
保管された電池パック1を機器に装着しようとする場合には、ユーザは、まず、図4に示したように、電池パック1の電源スイッチSWPをオン状態にする(ステップS101)。具体的には、ユーザは、電池パック1の筐体10(図3)の面S1に設けられた電源スイッチSWPのつまみをスライドさせることにより、電源スイッチSWPをオフ状態からオン状態に変化させる。
【0037】
図6は、電源スイッチSWPがオン状態である場合における電池パック1の一動作状態を表すものである。電源スイッチSWPがオン状態になることにより、制御回路13の電源端子TVCCには電源電圧が供給されるので、制御回路13は動作を開始する。制御回路13は、電源起動時の初期状態において、トランジスタCFETのゲートに高レベルHの制御電圧を供給することにより、トランジスタCFETをオン状態にし、トランジスタDFETのゲートに低レベルLの制御電圧を供給することにより、トランジスタDFETをオフ状態にする。トランジスタCFETがオン状態であるので、電池パック1は、充電可能な状態になる。一方、トランジスタDFETがオフ状態であるので、電池パック1は放電できない。このように電池パック1は放電できないので、例えば、電池パック1の正端子TPおよび負端子TNの間に短絡が生じている場合でも、放電されないので、安全性を高めることができる。
【0038】
次に、ユーザは、電池パック1のバイパススイッチSWBのボタンを押す(ステップS102)。具体的には、ユーザは、電池パック1の筐体10(図3)の面S1に設けられたバイパススイッチSWBのボタンを短時間だけ押すことにより、バイパススイッチSWBを短時間だけオン状態にする。
【0039】
図7は、バイパススイッチSWBをオン状態である場合における電池パック1の一動作状態を表すものである。図8は、バイパススイッチSWBをオン状態からオフ状態に変化した後における電池パック1の一動作状態を表すものである。
【0040】
ユーザがバイパススイッチSWBのボタンを押すと、図7に示したように、バイパススイッチSWBがオン状態になる。これにより、まず、バイパス電源線PLBが有効になり、蓄電池11の負極ENおよび電池パック1の負端子TNが、オン状態であるバイパススイッチSWBを介して互い接続され、蓄電池11の負極ENにおける電圧が、制御回路13の検出端子TDETに供給される。電池パック1の外部において、電池パック1の負端子TNは開放されているので、バイパス電源線PLBには電流は流れない。よって、制御回路13の検出端子TDETにおける電圧は、蓄電池11の負極ENにおける電圧とほぼ等しい。制御回路13は、基準電源端子TGNDにおける電圧と、検出端子TDETにおける電圧とがほぼ等しいので、トランジスタDFETのゲートに高レベルHの制御電圧を供給することにより、トランジスタDFETをオン状態にする。すなわち、バイパススイッチSWBをオン状態にする代わりに、仮に電池パック1に充電器を接続すると、電池パック1は充電されるので、制御回路13は、トランジスタDFETをオン状態にし、放電可能な状態にする。このように充電器を接続しなくても、ユーザがバイパススイッチSWBのボタンを押すと、基準電源端子TGNDにおける電圧と、検出端子TDETにおける電圧とがほぼ等しくなるので、制御回路13は、充電されたときと同じように、トランジスタDFETをオン状態にする。これにより、トランジスタCFETおよびトランジスタDFETの両方がオン状態になるので、電池パック1は、充電可能であり、かつ放電可能な状態になる。すなわち、電池パック1は、使用可能な状態になる。
【0041】
そして、ユーザがバイパススイッチSWBのボタンを離すと、図8に示したように、バイパススイッチSWBはオフ状態になる。これにより、バイパス電源線PLBは無効になるので、蓄電池11の負極ENおよび電池パック1の負端子TNは、トランジスタCFET,DFETを介して互いに接続される。トランジスタCFETおよびトランジスタDFETの両方がオン状態であるので、電池パック1は、使用可能な状態である。
【0042】
次に、ユーザは、電池パック1を機器に装着する(ステップS103)。具体的には、例えば、電池パック1を、図2に示したビデオカメラ100に装着する場合、ユーザは、電池パック1を、ビデオカメラ100の後部に対してZ方向に押し込み、その後に電池パック1をY方向にスライドさせる。電池パック1における4つのガイドGは、電池パック1がビデオカメラ100の後部に押し込まれた後にY方向にスライドされる際に、電池パック1をY方向に導くとともに、電池パック1をビデオカメラ100に固定させる。これにより、電池パック1は、ビデオカメラ100に装着される。電池パック1では、電池パック1の筐体10における、電源スイッチSWPおよびバイパススイッチSWBが設けられた面S1が、ビデオカメラ100の筐体に接した状態で装着される。
【0043】
以上で、ユーザが、電池パック1を機器に装着する手順は終了する。これにより、この例では、電池パック1は、蓄えられた電力を、この例ではビデオカメラ100に供給することができる。
【0044】
電池パック1では、電池パック1の筐体10における、電源スイッチSWPおよびバイパススイッチSWBが設けられた面S1が、ビデオカメラ100などの機器の筐体に接した状態で装着される。よって、電池パック1が機器に装着された状態では、ユーザは、電源スイッチSWPおよびバイパススイッチSWBを操作することができないので、電源スイッチSWPがオフ状態になることはなく、また、バイパススイッチSWBがオン状態になることはない。仮に、電池パック1が機器に装着された状態において、電源スイッチSWPがオフ状態になった場合には、電池パック1は充放や放電が出来なくなってしまう。また、仮に、充電時や放電時においてバイパススイッチSWBがオン状態になった場合には、充電電流や放電電流は、トランジスタCFET,DFETを介さずに、バイパススイッチSWBを介して流れてしまう。この場合には、例えばトランジスタCFET,DFETをオフ状態にしても充電電流や放電電流がバイパススイッチSWBを介して流れてしまうので、制御回路13は、電池パック1の制御を行うことが出来なくなってしまう。電池パック1では、電池パック1の筐体10における、電源スイッチSWPおよびバイパススイッチSWBが設けられた面S1が、ビデオカメラ100などの機器の筐体に接した状態で装着されるので、電池パック1が機器に装着された状態において、電源スイッチSWPがオフ状態になることはなく、バイパススイッチSWBがオン状態になることはない。よって、電池パック1は、継続しては充放や放電を行うことができる。また、充電電流や放電電流は、トランジスタCFET,DFETを介して流れるので、制御回路13は、電池パック1の制御を適切に行うことができる。
【0045】
このように、電池パック1では、電力を蓄えることが可能な蓄電池11と、蓄電池11の正極EPに第1の電源経路(電源線PLP)を介して導かれた第1の端子(正端子TP)と、蓄電池11の負極ENに第2の電源経路(電源線PLN)を介して導かれた第2の端子(負端子TN)と、第2の電源経路(電源線PLN)に設けられ、蓄電池11を充電する第1の方向の電流を遮断可能な第1のスイッチ(トランジスタCFET)と、蓄電池11を放電する第2の方向の電流を遮断可能な第2のスイッチ(トランジスタDFET)とを有するスイッチ部12と、スイッチ部12の両端間をバイパスするバイパス経路(バイパス電源線PLB)に設けられたバイパススイッチSWBと、蓄電池11を監視可能であり、第2の端子(負端子TN)の電圧を検出可能であり、第1のスイッチ(トランジスタCFET)および第2のスイッチ(トランジスタDFET)をオンオフ可能な制御回路13とを備えるようにした。そして、制御回路13は、バイパススイッチSWBがオン状態になった場合に、第2の端子(負端子TN)の電圧に基づいて、第2のスイッチ(トランジスタDFET)をオン状態にする第1の動作を行うことが可能なようにした。これにより、例えば、制御回路13が起動され、図6に示したようにトランジスタCFETがオン状態でありトランジスタDFETがオフ状態になった場合において、バイパススイッチSWBをオフ状態からオン状態に変化させることにより、トランジスタCFET,DFETをオン状態にし、電池パック1を使用できる状態にすることができるので、ユーザの利便性を高めることができる。
【0046】
すなわち、例えば、電池パック1における制御回路13は、図6に示したように、トランジスタCFETをオン状態にするとともにトランジスタDFETをオフ状態にした後に、電池パックを使用可能な状態にするためには、トランジスタDFETをオン状態にする必要がある。トランジスタDFETをオン状態する方法には、例えば、電池パックに充電器を接続する方法があり得る。これにより、電池パック1は充電されるので、制御回路は、電池パック1を使用可能な状態にするために、トランジスタDFETをオン状態にする。しかしながら、この場合には、例えば、電池パック1を、図2に示したビデオカメラ100のような、負荷となる機器に装着する場合に、事前に電池パック1に充電器を接続する必要があるので、充電器のような外部電源が必要になるとともに、手間がかかる。
【0047】
一方、電池パック1では、トランジスタCFETがオン状態でありトランジスタDFETがオフ状態になった場合において、バイパススイッチSWBをオン状態にすることにより、制御回路13が、検出端子TDETにおける電圧に基づいて、第2のスイッチ(トランジスタDFET)をオフ状態からオン状態に変化させることができる。このように、電池パック1では、充電器を接続することなく、バイパススイッチSWBをオン状態にすることにより、電池パック1を使用可能な状態にすることができる。これにより、電池パック1では、ユーザの利便性を高めることができる。
【0048】
また、電池パック1では、第1の電源経路(電源線PLP)から制御回路13への電源供給をオンオフ可能な電源スイッチSWPをさらに備え、制御回路13は、電源スイッチSWPがオン状態になった場合に、第1のスイッチ(トランジスタCFET)をオン状態にするとともに、第2のスイッチ(トランジスタDFET)をオフ状態にする第2の動作を行うことが可能であり、この第2の動作以降に第1の動作を行うこと可能なようにした。これにより、電池パック1では、例えば保管時など、電池パック1を使用しない場合に、電源スイッチSWPをオフ状態にすることにより、電池パック1における消費電力を低減することができるので、保存期間を延ばすことができる。その結果、電池パック1では、ユーザの利便性を高めることができる。
【0049】
また、電池パック1では、バイパススイッチSWBは、外力がかかる場合にオン状態になり、外力がかからない場合にオフ状態になるようにした。これにより、例えばユーザは、バイパススイッチSWBのボタンを短時間だけ押すことによりバイパススイッチSWBを短期間だけオン状態にすることができ、電池パック1が使用可能な状態になった後はバイパススイッチSWBをオフ状態に維持することができる。これにより、電池パック1が使用可能な状態では、バイパススイッチSWBはオフ状態に維持されるので、充電電流や放電電流は、トランジスタCFET,DFETを介して流れる。よって、制御回路13は、トランジスタCFET,DFETの動作を制御することにより、電池パック1の制御を適切に行うことができる。
【0050】
また、電池パック1では、電池パック1が機器に装着された場合に、機器と接する接触面(面S1)を有する筐体10をさらに備えるようにした。そして、バイパススイッチSWBは、この接触面(面S1)に設けられるようにした。これにより、電池パック1が機器に装着された状態では、バイパススイッチSWBは、ユーザにより操作されないのでオフ状態に維持される。よって、充電電流や放電電流は、トランジスタCFET,DFETを介して流れるので、制御回路13は、トランジスタCFET,DFETの動作を制御することにより、電池パック1の制御を適切に行うことができる。
【0051】
また、電池パック1では、電源スイッチSWPは、外力に基づいてオンオフ可能なようにした。特に、電源スイッチSWPは、オン状態またはオフ状態に維持可能なようにした。これにより、例えばユーザが電源スイッチSWPのつまみをスライドして電源スイッチSWPをオン状態にすることができ、電池パック1が使用可能な状態になった後も、電源スイッチSWPをオン状態に維持することができる。これにより、電池パック1は、継続して充電や放電を行うことができる。
【0052】
また、電池パック1では、電池パック1が機器に装着された場合に、機器と接する接触面(面S1)を有する筐体10をさらに備えるようにした。そして、電源スイッチSWPは、この接触面(面S1)に設けられるようにした。これにより、電池パック1が機器に装着された状態では、電源スイッチSWPは、ユーザに操作されないので、電源スイッチSWPはオン状態に維持される。これにより、電池パック1は、継続して充電や放電を行うことができる。
【0053】
[効果]
以上のように本実施の形態では、電力を蓄えることが可能な蓄電池と、蓄電池の正極に第1の電源経路を介して導かれた第1の端子と、蓄電池の負極に第2の電源経路を介して導かれた第2の端子と、第2の電源経路に設けられ、蓄電池を充電する第1の方向の電流を遮断可能な第1のスイッチと、蓄電池を放電する第2の方向の電流を遮断可能な第2のスイッチとを有するスイッチ部と、スイッチ部の両端間をバイパスするバイパス経路に設けられたバイパススイッチと、蓄電池を監視可能であり、第2の端子の電圧を検出可能であり、第1のスイッチおよび第2のスイッチをオンオフ可能な制御回路とを備えるようにした。そして、制御回路は、バイパススイッチがオン状態になった場合に、第2の端子の電圧に基づいて、第2のスイッチをオフ状態からオン状態に変化させる第1の動作を行うことが可能なようにした。これにより、ユーザの利便性を高めることができる。
【0054】
本実施の形態では、第1の電源経路から制御回路への電源供給をオンオフ可能な電源スイッチをさらに備え、制御回路は、電源スイッチがオン状態になった場合に、第1のスイッチをオン状態にするとともに、第2のスイッチをオフ状態にする第2の動作を行うことが可能であり、この第2の動作以降に第1の動作を行うこと可能なようにした。これにより、ユーザの利便性を高めることができる。
【0055】
本実施の形態では、バイパススイッチは、外力がかかる場合にオン状態になり、外力がかからない場合にオフ状態になるようにした。これにより、電池パックでは、電池パックが機器に装着された状態では、バイパススイッチSWBはオフ状態に維持されるので、制御回路は、トランジスタCFET,DFETの動作を制御することにより、電池パックの制御を適切に行うことができる。
【0056】
本実施の形態では、電池パックが機器に装着された場合に、機器と接する接触面を有する筐体をさらに備えるようにした。そして、バイパススイッチは、この接触面に設けられるようにした。これにより、電池パックでは、電池パックが機器に装着された状態では、バイパススイッチSWBはオフ状態に維持されるので、制御回路は、トランジスタCFET,DFETの動作を制御することにより、電池パックの制御を適切に行うことができる。
【0057】
本実施の形態では、電源スイッチは、外力に基づいてオンオフ可能なようにした。特に、電源スイッチは、オン状態またはオフ状態に維持可能なようにした。これにより、電池パックでは、電源スイッチはオン状態に維持されるので、継続して充電や放電を行うことができる。
【0058】
本実施の形態では、電池パックが機器に装着された場合に、機器と接する接触面を有する筐体をさらに備えるようにした。そして、電源スイッチは、この接触面に設けられるようにした。これにより、電池パックでは、電源スイッチはオン状態に維持されるので、継続して充電や放電を行うことができる。
【0059】
[変形例1]
上記実施の形態では、制御回路13、トランジスタDFET、およびトランジスタCFETを設けたが、これらは、例えば個別の半導体部品であってもよいし、例えば図9に示す電池パック1Aのように、1チップに集積されていてもよい。電池パック1Aは、集積回路14Aを備えている。集積回路14Aは、制御回路13およびトランジスタCFET,DFETを含んでいる。なお、これに限定されるものではなく、例えば、制御回路13およびトランジスタCFET,DFETに加え、さらに抵抗素子R1を集積してもよい。
【0060】
[変形例2]
上記実施の形態では、制御回路13は、検出端子TDETにおける電圧および基準電源端子TGNDにおける電圧の差電圧に基づいて、充電電流や放電電流を監視したが、これに限定されるものではない。これに代えて、例えば、図10に示す電池パック1Bのように、電源線PLNに抵抗素子R2を設け、この抵抗素子R2の両端間の電圧差に基づいて、充電電流や放電電流を監視してもよい。この電池パック1Bは、抵抗素子R2と、制御回路13Bとを備えている。抵抗素子R2の一端は蓄電池11の負極ENに接続され、他端はトランジスタDFETのソースおよびバイパススイッチSWBに接続される。制御回路13Bの基準電源端子TGNDは、抵抗素子R2の他端、トランジスタDFETのソース、およびバイパススイッチSWBに接続される。制御回路13Bは、蓄電池11の負極ENの電圧を電圧V0として検出する。電池セルBC1のセル電圧は、電圧V0および電圧V1の差電圧である。制御回路13Bは、電圧V0,V1に基づいて、電池セルBC1のセル電圧を監視する。また、制御回路13Bは、電圧V0および基準電源端子TGNDにおける電圧の差電圧に基づいて、充電電流や放電電流を監視する。
【0061】
[変形例3]
上記実施の形態では、電源線PLNにトランジスタCFET,DFETを設けたが、これに限定されるものではない。これに代えて、例えば、図11に示す電池パック1Cや、図12に示す電池パック1Dのように、電源線PLPにトランジスタCFET,DFETを設けてもよい。
【0062】
図11に示した電池パック1Cは、制御回路13Cを有している。電源スイッチSWPは、オン状態になることにより、蓄電池11の正極EPにおける電圧を、制御回路13Cの電源端子TVCCに電源電圧として供給するように構成される。スイッチ部12は、電源線PLPに設けられ、電源線PLPに流れる電流を遮断可能に構成される。スイッチ部12のトランジスタCFETは、Nチャネル型の電界効果トランジスタであり、トランジスタCFETのゲートには制御回路13Cから制御電圧が供給され、ソースは蓄電池11の正極EPに接続され、ドレインはトランジスタDFETのドレインに接続される。トランジスタCFETは、例えば、充電時に過電流が生じ、あるいは電池セルBCが過充電状態になった場合に、制御回路13Cから供給された制御電圧に基づいてオフ状態になる。これにより、トランジスタCFETは、ドレインからソースに向かって流れる電流を遮断することにより、蓄電池11の充電を制限する。トランジスタDFETは、Nチャネル型の電界効果トランジスタであり、トランジスタDFETのゲートには制御回路13Cから制御電圧が供給され、ソースは正端子TPに接続され、ドレインはトランジスタCFETのドレインに接続される。トランジスタDFETは、例えば、放電時に過電流が生じ、あるいは電池セルBCが過放電状態になった場合に、制御回路13Cから供給された制御電圧に基づいてオフ状態になる。これにより、トランジスタDFETは、ドレインからソースに向かって流れる電流を遮断することにより、蓄電池11の放電を制限する。バイパススイッチSWBは、オン状態になることにより、スイッチ部12をバイパスし、蓄電池11の正極EPおよび電池パック1の正端子TPを互いに接続するように構成される。抵抗素子R1の一端は、電池パック1の正端子TPに接続され、他端は制御回路13Cの検出端子TDETに接続される。制御回路13Cは、電池パック1Cの動作状態を監視し、その監視結果に基づいて、トランジスタCFET,DFETの動作を制御する。制御回路13Cは、電源線PLPに設けられたトランジスタCFET,DFETを駆動することができる。制御回路13Cの検出端子TDETは、正端子TPの電圧を検出するための入力端子であり、抵抗素子R1を介して電池パック1の正端子TPに接続される。ここで、負端子TNは、本開示における「第1の端子」の一具体例に対応する。電源線PLNは、本開示における「第1の電源経路」の一具体例に対応する。正端子TPは、本開示における「第2の端子」の一具体例に対応する。電源線PLPは、本開示における「第2の電源経路」の一具体例に対応する。
【0063】
図12に示した電池パック1Dは、制御回路13Dを有している。電源スイッチSWPは、オン状態になることにより、蓄電池11の負極ENにおける電圧を、制御回路13Dの基準電源端子TGNDに基準電源電圧として供給するように構成される。スイッチ部12、バイパススイッチSWB、抵抗素子R1については、図11に示した電池パック1Cと同様である。制御回路13Dは、電池パック1Dの動作状態を監視し、その監視結果に基づいて、トランジスタCFET,DFETの動作を制御する。制御回路13Dは、電源線PLPに設けられたトランジスタCFET,DFETを駆動することができる。制御回路13Dの電源端子TVCCには、蓄電池11の正極EPにおける電圧が電源電圧として供給され、基準電源端子TGNDには、蓄電池11の負極ENにおける電圧が電源スイッチSWPを介して基準電源電圧として供給される。制御回路13Dの検出端子TDETは、正端子TPの電圧を検出するための入力端子であり、抵抗素子R1を介して電池パック1の正端子TPに接続される。
【0064】
[変形例4]
上記実施の形態では、スライド式のスイッチを用いて電源スイッチSWPを構成したが、これに限定されるものではなく、例えば、オン状態およびオフ状態を維持することが可能な様々なスイッチを用いることができる。具体的には、例えば、ユーザがボタンを一度押すことによりオン状態になり、ボタンをもう一度押すことによりオフ状態になるような、ラッチ式のスイッチを用いることができる。
【0065】
[変形例5]
上記実施の形態では、電源スイッチSWPおよびバイパススイッチSWBを、ユーザが直接的に操作するように構成したが、これに限定されるものではない。これに代えて、例えば、ユーザが電池パックを機器に装着する操作を行うことにより、電源スイッチSWPおよびバイパススイッチSWBを間接的に操作するように構成してもよい。以下に、本変形例について、詳細に説明する。
【0066】
図13は、本変形例に係る電池パック1Eにおける電源スイッチSWPおよびバイパススイッチSWBの一構成例を表すものであり、(A)は電池パック1Eの筐体10Eにおける面S1の一構成例を示し、(B)は電池パック1Eが装着される機器における、電池パック1Eの面S1と対向する面(面S100)の一構成例を示す。図14は、電源スイッチSWPの一動作例を表すものであり、(A)はオフ状態である場合を示し、(B)はオン状態である場合を示す。なお、バイパススイッチSWBについても同様である。
【0067】
電池パック1Eの筐体10Eにおける面S1には、図13(A)に示したように、電源スイッチSWPおよびバイパススイッチSWBが設けられている。電源スイッチSWPおよびバイパススイッチSWBは、突起31を有している。電源スイッチSWPの突起31は、面S1から突出している。面S1には、凹部21Eが設けられている。バイパススイッチSWBは、この凹部21Eに設けられており、バイパススイッチSWBの突起31は、この凹部21Eの底面から突出している。
【0068】
例えば電源スイッチSWPの突起31は、図14に示したように、外力により押されることが出来るように構成される。突起31には、例えばばねなどの弾性体により、図14における右向きの弾性力がかかっている。外力がかかっていない場合には、突起31は、図14(A)に示したように、基体32から突出する。この場合、電源スイッチSWPはオフ状態である。右側からの外力がかかっている場合には、突起31は、図14(B)に示したように、基体32の内部にほぼ押し込められる。この場合には、電源スイッチSWPはオン状態である。
【0069】
電池パック1Eが装着される機器の面S100における、電源スイッチSWPの突起31が接触し得る領域RPは、平坦な領域である。この面S100における、凹部21Eに対応する領域の一部には、突起121Eが設けられている。突起121Eは、面S100から突出している。電池パック1Eが機器に装着されると、機器の突起121Eは、電池パック1Eの筐体10Eの凹部21Eの空間内に収まるようになっている。面S100における、バイパススイッチSWBの突起31が接触し得る領域RBの一部は、この突起121Eが設けられた領域と重なっており、領域RBの残りの部分は平坦な領域である。
【0070】
図15は、ユーザが電池パック1Eを機器に装着する際の、電源スイッチSWPおよびバイパススイッチSWBの一動作例を表すものである。上記実施の形態の場合と同様に、ユーザは、まず、電池パック1Eを機器に対して押し込み、その後に電池パック1Eを下方向にスライドさせる。これにより、電源スイッチSWPおよびバイパススイッチSWBの状態は、状態SE1、状態SE2、状態SE3の順に変化する。
【0071】
状態SE1では、電池パック1Eは、機器とは離れた位置にある。この場合、電源スイッチSWPの突起31は突出しており、バイパススイッチSWBの突起31は突出している。よって、電源スイッチSWPおよびバイパススイッチSWBは、ともにオフ状態である。
【0072】
次に、ユーザは、電池パック1Eを機器に対して押し込む(状態SE2)。これにより、電池パック1Eの筐体10Eの面S1は、機器の面S100に接触する。電源スイッチSWPの突起31は、機器の面S100により押され、基体32の内部にほぼ押し込められる。これにより、電源スイッチSPはオン状態である。機器の突起121Eは、電池パック1Eの筐体10Eの凹部21Eの空間内に収まる。この凹部21Eに設けられたバイパススイッチSWBの突起31は、機器の突起121Eにより押され、基体32の内部にほぼ押し込められる。これにより、バイパススイッチSWBはオン状態になる。
【0073】
次に、ユーザは、電池パック1Eを下方向にスライドさせる(状態SE3)。電源スイッチSWPもまた、機器の面S100に沿って下方向に移動する。電源スイッチSWPの突起31は、機器の面S100により押されたままである。これにより、電源スイッチSWPは、オン状態を維持する。電池パック1Eの筐体10Eの凹部21Eもまた、機器の面S100に沿って下方向に移動する。その結果、この凹部21Eの空間内において、機器の突起121Eは相対的に上方向に移動する。バイパススイッチSWBは、機器の面S100に沿って下方向に移動する。これにより、バイパススイッチSWBの位置は突起121Eの位置から外れ、バイパススイッチSWBの突起31は、突起121Eにより押されないようになる。これにより、バイパススイッチSWBはオフ状態になる。
【0074】
このようにして、電源スイッチSWPは、状態SE1ではオフ状態であり、状態SE2,SE3ではオン状態である。また、バイパススイッチSWBは、状態SE1ではオフ状態であり、状態SE2ではオン状態であり、状態SE3ではオフ状態である。状態SE1は、上記実施の形態における図5の状態に対応し、状態SE2は、上記実施の形態における図7の状態に対応し、状態SE3は、上記実施の形態における図8の状態に対応する。このようにして、電池パック1Eは、上記実施の形態に係る電池パック1と同様に動作を行う。
【0075】
[変形例6]
上記実施の形態では、電池パック1を機器に装着する際、電池パック1を機器に対して押し込み、その後に電池パック1をスライドさせるようにした、これに限定されるものではなく、電池パックの装着方法は、様々な方法があり得る。以下に、本変形例について、詳細に説明する。
【0076】
図16は、本変形例に係る電池パック1Fが装着された機器の外観構成の一例を表すものである。この例では、電池パック1Fは、デジタルカメラ200に装着される。このデジタルカメラ200はレンズ201を有している。この例では、ユーザは、電池パック1Fを、デジタルカメラ200の下部からデジタルカメラ200の内部に向かって挿入することにより、電池パック1Fをデジタルカメラ200に装着する。この場合においても、電源スイッチSWPおよびバイパススイッチSWBは、電池パック1Fをデジタルカメラ200に装着したときに、電池パック1Fの筐体における、デジタルカメラ200に接する面に配置することができる。これにより、電池パック1Fがデジタルカメラ200に装着された状態では、ユーザは、電源スイッチSWPおよびバイパススイッチSWBを操作することができないようにすることができる。
【0077】
電源スイッチSWPおよびバイパススイッチSWBは、上記実施の形態のように、ユーザが直接的に操作するように構成してもよい。また、例えば、変形例5のように、ユーザが電池パックを機器に装着する操作を行うことにより、電源スイッチSWPおよびバイパススイッチSWBを間接的に操作するように構成してもよい。後者の例について、以下に詳細に説明する。
【0078】
図17は、本変形例に係る電池パック1Fにおける電源スイッチSWPおよびバイパススイッチSWBの一構成例を表すものであり、(A)は電池パック1Fの筐体10Fにおける面S1の一構成例を示し、(B)は電池パック1Fが装着される機器における、電池パック1Fの面S1と対向する面(内面S200)の一構成例を示す。図18は、電源スイッチSWPの一動作例を表すものであり、(A)はオフ状態である場合を示し、(B)はオン状態である場合を示す。なお、バイパススイッチSWBについても同様である。
【0079】
電池パック1Fの筐体10Fにおける面S1には、図17(A)に示したように、電源スイッチSWPおよびバイパススイッチSWBが設けられている。電源スイッチSWPおよびバイパススイッチSWBは、突起51を有している。電源スイッチSWPの突起51は、面S1から突出している。面S1には、凹部41Fが設けられている。この凹部41Fは、面S1における上端まで延伸するように設けられる。バイパススイッチSWBは、この凹部41Fに設けられており、バイパススイッチSWBの突起51は、この凹部41Fの底面から突出している。
【0080】
電源スイッチSWPの突起51は、先端部51Aと、支持部51Bとを有する。先端部51Aは、突起51の先端に設けられ、突起51の先端に近づくほど幅が狭くなるような三角形の断面形状を有している。支持部51Bは、先端部51Aを支持するように構成される。この電源スイッチSWPの突起51は、外力により押されることが出来るように構成される。突起51には、例えばばねなどの弾性体により、図18における右向きの弾性力がかかっている。外力がかかっていない場合には、突起51は、図18(A)に示したように、基体52から突出する。この場合、電源スイッチSWPはオフ状態である。右側からの外力がかかっている場合には、図18(B)に示したように、突起51の支持部51Bが基体52の内部にほぼ押し込められる。この場合には、電源スイッチSWPはオン状態である。
【0081】
電池パック1Fが装着される機器の内面S200における、電源スイッチSWPの突起51が接触し得る領域RPは、平坦な領域である。この内面S200における、凹部41Fに対応する領域の一部には、突起241Fが設けられている。突起241Fは、内面S200から突出している。突起241Fは、電源スイッチSWPの突起51の先端部51Aと同様に、先端に近づくほど幅が狭くなるような三角形の断面形状を有している。電池パック1Fが機器に装着されると、機器の突起241Fは、電池パック1Fの筐体10Fの凹部41Fの空間内に収まるようになっている。内面S200における、バイパススイッチSWBの突起51が接触し得る領域RBの一部はこの突起241Fが設けられた領域と重なっており、領域RBの残りの部分は平坦な領域である。
【0082】
図19は、ユーザが電池パック1Fを機器に装着する際の、電源スイッチSWPおよびバイパススイッチSWBの一動作例を表すものである。ユーザは、電池パック1Fを機器に対して挿入する。これにより、電源スイッチSWPおよびバイパススイッチSWBの状態は、状態SF1、状態SF2、状態SF3の順に変化する。
【0083】
ユーザは、電池パック1Fを機器に対して挿入し始める(状態SF1)。これにより、電池パック1Fの筐体10Fの面S1は、機器の内面S200に接触する。電源スイッチSWPの突起51は、また機器の筐体の位置に到達しておらず、電源スイッチSWPの突起51は突出している。機器器の突起241Fは、電池パック1Fの筐体10Fの凹部41Fの空間内に収まる。凹部41Fに設けられたバイパススイッチSWBの突起51は、機器の内面S200に沿って上方向に移動する。バイパススイッチSWBの突起51は、機器の突起241Fの位置に到達しておらず、バイパススイッチSWBの突起51は突出している。よって、電源スイッチSWPおよびバイパススイッチSWBは、ともにオフ状態である。
【0084】
次に、ユーザは、電池パック1Fを機器に対してさらに挿入する(状態SF2)。電源スイッチSWPの突起51は、機器の筐体の位置に到達し、内面S200により押される。すなわち、電源スイッチSWPの突起51の先端部51Aは、三角形の断面形状を有しているので、先端部51Aと機器の筐体の縁とが接触することにより、電源スイッチSWPの突起51は押され、支持部51Bは基体52の内部にほぼ押し込められる。これにより、電源スイッチSPはオン状態になる。バイパススイッチSWBの突起51は、機器の突起241Fの位置に到達し、この突起241Fにより押される。電源スイッチSWPと同様に、バイパススイッチSWBの突起51の支持部51Bは基体52の内部にほぼ押し込められる。これにより、バイパススイッチSWBはオン状態になる。
【0085】
次に、ユーザは、電池パック1Fを機器に対してさらに押し込む(状態SF3)。電源スイッチSWPの位置は、機器の内面S200に沿って上方向に移動する。電源スイッチSWPの突起51は、機器の内面S200により押されたままである。これにより、電源スイッチSWPは、オン状態を維持する。バイパススイッチSWBの位置は、機器の内面S200に沿って上方向に移動する。これにより、バイパススイッチSWBの位置は突起241Fの位置から外れ、バイパススイッチSWBの突起51は、突起241Fにより押されないようになる。これにより、バイパススイッチSWBはオフ状態になる。
【0086】
このようにして、電源スイッチSWPは、状態SF1ではオフ状態であり、状態SF2,SF3ではオン状態である。また、バイパススイッチSWBは、状態SF1ではオフ状態であり、状態SF2ではオン状態であり、状態SF3ではオフ状態である。状態SF1は、上記実施の形態における図5の状態に対応し、状態SF2は、上記実施の形態における図7の状態に対応し、状態SF3は、上記実施の形態における図8の状態に対応する。このようにして、電池パック1Fは、上記実施の形態に係る電池パック1と同様に動作を行う。
【0087】
[その他の変形例]
また、これらの変形例のうちの2以上を組み合わせてもよい。
【0088】
以上、実施の形態を挙げて本技術を説明したが、本技術はこれらの実施の形態等には限定されず、種々の変形が可能である。
【0089】
例えば、上記の実施の形態等では、図1に示したように、3つの電池セルBCを設けたが、これに限定されるものではなく、2つ以下または4つ以上の電池セルBCを設けてもよい。
【0090】
本明細書中に記載された効果はあくまで例示であり、本開示の効果は、本明細書中に記載された効果に限定されない。よって、本開示に関して、他の効果が得られてもよい。
【0091】
さらに、本開示は、以下の態様を取り得る。
<1>
電力を蓄えることが可能な蓄電池と、
前記蓄電池の正端子および負端子のうちの一方に第1の電源経路を介して導かれた第1の端子と、
前記蓄電池の正端子および負端子のうちの他方に第2の電源経路を介して導かれた第2の端子と、
前記第2の電源経路に設けられ、前記蓄電池を充電する第1の方向の電流を遮断可能な第1のスイッチと、前記蓄電池を放電する第2の方向の電流を遮断可能な第2のスイッチとを有するスイッチ部と、
前記スイッチ部の両端間をバイパスするバイパス経路に設けられたバイパススイッチと、
前記蓄電池を監視可能であり、前記第2の端子の電圧を検出可能であり、前記第1のスイッチおよび前記第2のスイッチをオンオフ可能な制御回路と
を備え、
前記制御回路は、前記バイパススイッチがオン状態になった場合に、前記第2の端子の電圧に基づいて、前記第2のスイッチをオフ状態からオン状態に変化させる第1の動作を行うことが可能である
電池パック。
<2>
前記第1の電源経路から前記制御回路への電源供給をオンオフ可能な電源スイッチをさらに備え、
前記制御回路は、前記電源スイッチがオン状態になった場合に、前記第1のスイッチをオン状態にするとともに、前記第2のスイッチをオフ状態にする第2の動作を行うことが可能であり、前記第2の動作以降に前記第1の動作を行うことが可能である
<1>記載の電池パック。
<3>
前記第2の電源経路における、前記スイッチ部と前記蓄電池とを結ぶ経路から前記制御回路への電源供給をオンオフ可能な電源スイッチをさらに備え、
前記制御回路は、前記電源スイッチがオン状態になった場合に、前記第1のスイッチをオン状態にするとともに、前記第2のスイッチをオフ状態にする第2の動作を行うことが可能であり、前記第2の動作を行った後に前記第1の動作を行うことが可能である
<1>記載の電池パック。
<4>
前記バイパススイッチは、外力がかかる場合にオン状態になり、外力がかからない場合にオフ状態になる
<1>から<3>のいずれか1つに記載の電池パック。
<5>
前記電池パックが機器に装着された場合に、前記機器と接する接触面を有する筐体をさらに備え、
前記バイパススイッチは、前記接触面に設けられた
<4>記載の電池パック。
<6>
前記バイパススイッチは、ユーザによる外力に基づいてオンオフ可能である
<5>記載の電池パック。
<7>
前記バイパススイッチは、前記機器における、前記筐体の前記接触面に対向する面に設けられた突起に接触したときの外力に基づいてオン状態になることが可能である
<5>記載の電池パック。
<8>
前記電池パックは、前記筐体の前記接触面が前記機器と接触した状態でスライドすることにより前記機器に装着可能であり、
前記バイパススイッチは、前記電池パックをスライドさせることによりオン状態からオフ状態に変化可能である
<7>記載の電池パック。
<9>
前記電源スイッチは、外力に基づいてオンオフ可能である
<2>または<3>に記載の電池パック。
<10>
前記電池パックが機器に装着された場合に、前記機器と接する接触面を有する筐体をさらに備え、
前記電源スイッチは、前記接触面に設けられた
<9>記載の電池パック。
<11>
前記電源スイッチは、オン状態またはオフ状態に維持可能である
<9>または<10>に記載の電池パック。
<12>
前記電池パックは、前記筐体の前記接触面が前記機器と接触することにより前記機器に装着可能であり、
前記電源スイッチは、前記機器における前記接触面に対向する面に接触したときの外力に基づいてオン状態に維持可能である
<10>記載の電池パック。
【符号の説明】
【0092】
1,1A,1B,1C,1D,1E,1F…電池パック、10,10E,10F…筐体、11…蓄電池、12…スイッチ部、13,13B,13C,13D…制御回路、14A…集積回路、21E…凹部、31…突起、32…基体、41F…凹部、51…突起、51A…先端部、51B…支持部、52…基体、100…ビデオカメラ、101…レンズ、102…電子ビューファインダ、121E…突起、200…デジタルカメラ、201…レンズ、BC,BC1,BC2,BC3…電池セル、CFET,DFET…トランジスタ、EN…負極、EP…正極、G…ガイド、PLB…バイパス電源線、PLP,PLN…電源線、RB,RP…領域、R1,R2…抵抗素子、SWB…バイパススイッチ、SWP…電源スイッチ、TDET…検出端子、TGND…基準電源端子、TN…負端子、TP…正端子、TVCC…電源端子。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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図8
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図10
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