(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024027775
(43)【公開日】2024-03-01
(54)【発明の名称】内装壁の補修改修構造及びこの構造に用いる補修改修具
(51)【国際特許分類】
E04F 13/07 20060101AFI20240222BHJP
【FI】
E04F13/07 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022130866
(22)【出願日】2022-08-19
(71)【出願人】
【識別番号】522330843
【氏名又は名称】川▲崎▼ 峻吾
(74)【代理人】
【識別番号】100105980
【弁理士】
【氏名又は名称】梁瀬 右司
(74)【代理人】
【識別番号】100121027
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 公一
(74)【代理人】
【識別番号】100178995
【弁理士】
【氏名又は名称】丸山 陽介
(72)【発明者】
【氏名】川▲崎▼ 峻吾
(57)【要約】
【課題】素人であっても、家屋内装の壁を簡単に補修・改修できるようにする。
【解決手段】壁板材1の厚みAと補修改修部材5の厚みBとの差に相当する長さLの頭部4aを有する補修改修具4を複数個準備し、頭部4aを表面側に向けて準備した複数個の補修改修具4を下地板材に3に取り付け、下地板材3の周縁部をねじ7により壁板材に固定し、穴2内に嵌め込んだ補修改修部材5をねじ8により下地板材3に固定し、補修改修具4の頭部4aが壁板材1及び下地板材3に当接して壁板材1の厚みAと補修改修部材5の厚みBとの差に相当する間隔(=L)を保持した状態で、補修改修具4を壁板材1と下地板材3との間に介在させ、壁板材1の表面と補修改修部材5の表面を同一面に保持する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
家屋内装の壁を補修・改修するものであって、
前記壁を構成する壁板材に形成された穴の奥部に配置される前記穴よりも大きな寸法を有する下地板材と、
前記穴の周縁部の前記壁板材の裏面と前記下地板材の周縁部との間に頭部が配置されておねじ部が前記下地板材に取り付けられたビス状の補修改修具と、
前記穴とほぼ同じ寸法で前記穴内に嵌め込まれる補修改修部材とを備え、
前記下地板材は、その周縁部が固定手段により前記壁板材に固定され、
前記補修改修部材は、他の固定手段により前記下地板材に固定され、
前記補修改修具の頭部は、前記壁板材または前記補修部材及び前記下地板材に当接して前記壁板材の厚みと前記補修改修部材の厚みとの差に相当する間隔を保持した状態で前記壁板材と前記下地板材との間、または、前記補修改修部材と前記下地板材との間に介在する
ことを特徴とする内装壁の補修改修構造。
【請求項2】
請求項1に記載の内装壁の補修改修構造に使用される補修改修具であって、
おねじ部と、頭部とを備え、
前記頭部は、
前記おねじ部に一体的に繋がって設けられ前記おねじ部の径よりも大なる径方向寸法を有し、かつ、前記おねじ部の軸方向に所定長を有する径大部と、前記径大部の前記おねじ部が繋がる端面と反対側端面に一体形成され前記径大部と同じ径方向寸法または前記径大部よりも大なる径方向寸法を有する当接部とを有し、
当該補修改修具は、
前記径大部の前記おねじ部の軸方向への長さの異なる複数種類が準備され、
前記壁板材の厚みと前記補修改修部材の厚みとの多様な差に応じた長さの前記径大部を有するものが当該補修改修具として選択され、
前記当接部及び前記径大部が、前記壁板材及び前記下地板材、または、前記補修改修部材及び前記下地板材に当接することにより、前記壁板材または前記補修改修部材と前記下地板材との間に隙間を形成する
ことを特徴とする補修改修具。
【請求項3】
請求項1に記載の内装壁の補修改修構造に使用される補修改修具であって、
おねじ部と、頭部とを備え、
前記頭部は、
前記おねじ部に一体的に繋がって設けられ前記おねじ部の径よりも大なる径方向寸法を有し、かつ、前記おねじ部の軸方向に所定長を有する径大部と、前記径大部の前記おねじ部が繋がる端面と反対側端面に一体形成され前記径大部と同じ径方向寸法または前記径大部よりも大なる径方向寸法を有する当接部とを有し、
当該補修改修具は、
前記頭部の前記おねじ部の軸方向への長さを、前記壁板材の厚みと前記補修部材の厚みとの多様な差に応じて可変できる構造を有し、
前記頭部の長さを、前記壁板材と前記下地板材との間に前記壁板材の厚みと前記補修部材の厚みとの差に応じて可変設定しておき、前記当接部及び前記径大部が、前記壁板材及び前記下地板材、または、前記補修改修部材及び前記下地板材に当接することにより、前記壁板材または前記補修改修部材と前記下地板材との間に隙間を形成する
ことを特徴とする補修改修具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、家屋の内装壁を補修や改修する内装壁の補修改修構造及びこの構造に用いる補修改修具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、家屋のリフォームにおいて壁板材に開いた穴を塞ぐ補修や壁板剤の表面のデザインを凹凸状にする改修を行う場合、例えば特許文献1に記載のような補修具が使用される。
【0003】
この補修具は、2枚の薄いシートからなり、一方のシートは他方のシートよりも面積が小さく且つより強靭な樹脂や硝子繊維等のシートであり、壁面の穴等を覆うように壁に接着される下当てシートとし、他方のシートは一方のシートよりも面積が大きく且つ外周縁を不規則な波形状とし、下当てシートの上から壁面に接着される紙やプラスチック等の上当てシートとしたものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記し従来の補修具は小さな穴の補修には適しているが、シート構成であるため直径数cm以上の大きな穴の表面を塞ぐことはできても、シート裏面側の穴全体を埋めることができず、シートの背面側に空間が残ったままとなりシートを押さえると凹みが生じて穴部分の壁が平坦にならず、完全に穴を埋める補修ができないという問題がある。
【0006】
また、大きな穴の場合、補修部材を穴に嵌め込んで埋めることが考えられるが、単に穴と同じ大きさの補修部材を嵌め込んだだけでは補修部材を穴内に固定できないため、壁板材の穴部分の背面側に下地板材を配置して壁板材に固定し、この下地板材に補修部材を接着剤やねじなどにより固定することが行われるが、補修部材の厚みが壁板材の厚みよりも小さい場合には穴を平坦に埋めることができない。例えば、近年の壁板材には所定厚み(12.5mm)のパーティクルボードが一般的に使用され、このパーティクルボードと同じ厚みの補修部材を準備すれば問題はないが、古い家屋では壁板材としてパーティクルボードよりも薄い9mmのベニヤ板が用いられていることが多く、このベニヤ板のような薄い壁板材の穴を補修する際に、厚さ12.5mmのパーティクルボードと同じ厚さの補修部材を用いる場合には、穴を平坦に埋めることができない。
【0007】
このとき、種々の厚みの壁板材に対処できるように種々の厚みの補修部材を準備することも考えられるが、コストを考慮すると壁板材の想定される最大厚みよりも厚みを有する1種類の補修部材を準備するのが普通であり、このように補修部材の厚みが大きいと、補修現場で補修部材を壁板材と同じ厚みまで削ったり、補修部材の厚みと壁板材の厚みとの差に相当する隙間をあけた状態で下地板材を壁板材の背面側に固定したりして対処しているが、このように補修部材を削る場合には、削り作業が必要になる分だけ補修作業の全体効率が悪くなる、加えて、補修部材の厚みと壁板材の厚みとの差に相当する隙間をあけて下地板材を固定するには熟練の勘や技が必要になるため、当該隙間をあけて下地板材を固定するのが非常に難しくて熟練者でなければできないため、素人による補修作業が困難になり、素人では壁板材の穴を簡単かつ美麗に埋めることできない。また、壁のデザインとして、凹凸を付けるなどの改修を施したい場合にも、素人では壁板材の美麗に改修することができない。
【0008】
本発明は、上記した課題を解決するためになされたものであり、素人であっても、加家屋の装の壁を簡単に補修・改修できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記した目的を達成するために、本発明の内装壁の補修改修構造は、家屋内装の壁を補修・改修するものであって、前記壁を構成する壁板材に形成された穴の奥部に配置される前記穴よりも大きな寸法を有する下地板材と、前記穴の周縁部の前記壁板材の裏面と前記下地板材の周縁部との間に頭部が配置されておねじ部が前記下地板材に取り付けられたビス状の補修改修具と、前記穴とほぼ同じ寸法で前記穴内に嵌め込まれる補修改修部材とを備え、前記下地板材は、その周縁部が固定手段により前記壁板材に固定され、前記補修改修部材は、他の固定手段により前記下地板材に固定され、前記補修改修具の頭部は、前記壁板材または前記補修部材及び前記下地板材に当接して前記壁板材の厚みと前記補修改修部材の厚みとの差に相当する間隔を保持した状態で前記壁板材と前記下地板材との間、または、前記補修改修部材と前記下地板材との間に介在することを特徴としている。
【0010】
また、この内装壁の補修改修構造に使用される補修改修具として、おねじ部と、頭部とを備え、前記頭部は、前記おねじ部に一体的に繋がって設けられ前記おねじ部の径よりも大なる径方向寸法を有し、かつ、前記おねじ部の軸方向に所定長を有する径大部と、前記径大部の前記おねじ部が繋がる端面と反対側端面に一体形成され前記径大部と同じ径方向寸法または前記径大部よりも大なる径方向寸法を有する当接部とを有し、当該補修改修具は、前記径大部の前記おねじ部の軸方向への長さの異なる複数種類が準備され、前記壁板材の厚みと前記補修改修部材の厚みとの多様な差に応じた長さの前記径大部を有するものが当該補修改修具として選択され、前記当接部及び前記径大部が、前記壁板材及び前記下地板材、または、前記補修改修部材及び前記下地板材に当接することにより、前記壁板材または前記補修改修部材と前記下地板材との間に隙間を形成するとよい。
【0011】
また、この内装壁の補修改修構造に使用される補修改修具として、おねじ部と、頭部とを備え、前記頭部は、前記おねじ部に一体的に繋がって設けられ前記おねじ部の径よりも大なる径方向寸法を有し、かつ、前記おねじ部の軸方向に所定長を有する径大部と、前記径大部の前記おねじ部が繋がる端面と反対側端面に一体形成され前記径大部と同じ径方向寸法または前記径大部よりも大なる径方向寸法を有する当接部とを有し、当該補修改修具は、前記頭部の前記おねじ部の軸方向への長さを、前記壁板材の厚みと前記補修部材の厚みとの多様な差に応じて可変できる構造を有し、前記頭部の長さを、前記壁板材と前記下地板材との間に前記壁板材の厚みと前記補修部材の厚みとの差に応じて可変設定しておき、前記当接部及び前記径大部が、前記壁板材及び前記下地板材、または、前記補修改修部材及び前記下地板材に当接することにより、前記壁板材または前記補修改修部材と前記下地板材との間に隙間を形成するとよい。
【発明の効果】
【0012】
本発明の補修改修構造によれば、壁板材の厚みと補修改修部材の厚みとの差に相当する長さの頭部を有する補修改修具を準備し、準備した補修改修具を下地板材に取り付け、下地板材の周縁部をねじ、ビス、釘等の固定手段により壁板材に固定し、穴内に嵌め込んだ補修改修部材をねじ、ビス、釘、接着剤等の固定手段により下地板材に固定することにより、補修具の頭部が壁板材及び下地板材、または、補修改修部材及び下地板材に当接して壁板材の厚みと補修改修部材の厚みとの差に相当する間隔を保持した状態で、補修改修具を壁板材と下地板材、または、補修改修部材と下地板材との間との間に介在させることができるため、壁板材の表面と補修改修部材の表面を同一面に保持することができ、素人であっても、壁板材の穴を埋めることができるとともに、壁板材の穴を容易に平坦に補修することが可能になる。ここで、補修改修具の頭部の長さを適宜選択することで、補修改修部材の表面を壁板材の表面から凹ましたり凸出させたりして、壁に凹凸のデザインを簡単に形成することができる。
【0013】
また、本発明の補修改修具によれば、補修改修具として、径大部のおねじ部の軸方向への長さの異なる複数種類(例えば、1mmすつ長さの異なる数10種類)が準備され、壁板材の厚みと補修改修部材の厚みとの多様な差に応じた長さの径大部を有するものが当該補修改修具として選択可能であるため、補修改修具の当接部及び径大部が、壁板材及び下地板材、または、補修改修部材及び下地板材に当接することにより、壁板材または補修改修部材と下地板材との間に壁板材の厚みと補修改修部材の厚みとの差に相当する隙間を容易に形成することができると同時に、壁板材の表面と補修改修部材の表面を同一面に保持することができ、このような補修改修具を使用することで、素人であっても、壁板材の表面を平坦面に保持しつつ穴を容易に埋めることが可能になる。
【0014】
また、本発明の補修改修具によれば、補修具として、頭部のおねじ部の軸方向への長さを、壁板材の厚みと補修改修部材の厚みとの多様な差に応じて可変できる構造を有するため、補修改修具の当接部及び径大部が、壁板材及び下地板材、または、補修改修部材及び下地板材に当接することにより、壁板材または補修改修部材と下地板材との間に壁板材の厚みと補修改修部材の厚みとの差に相当する隙間を容易に形成することができると同時に、壁板材の表面と補修改修部材の表面を同一面に保持することができ、このような補修具を使用することで、素人であっても、壁板材の表面を平坦面に保持しつつ穴を容易に埋めることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の補修改修構造の一実施形態の断面図である。
【
図3】本発明の補修改修構造の変形例の断面図である。
【
図4】本発明の補修改修具の他の例の正面図である。
【
図5】本発明の補修改修具のさらに異なる例の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の一実施形態について、
図1ないし
図3を参照して詳細に説明する。
【0017】
(構成)
図1は壁板材の補修改修構造を示しており、家屋の壁板材1に生じた穴2を補修するものである。そして、
図1に示すように、壁板材1の表面側から見て穴2よりも大きな寸法を有する例えば木製の下地板材3が穴2の裏面側奥部に配置される。この下地板材3には壁板材1の表面側からビス状の補修改修具4のおねじ部4bが螺合され、穴2の周縁部の壁板材1の裏面と下地板材3の周縁部との間に、補修改修具4の頭部4aが配置された状態で補修改修具4が下地板材3に取り付けられる。
【0018】
ここで、
図2に示すように、補修改修具4は横断面円形の頭部4a及びおねじ部4bを備え、頭部4aは、おねじ部4bに一体的に繋がって設けられおねじ部4bの径よりも大なる径方向寸法を有し、かつ、おねじ部4bの軸方向に所定長さを有する円柱状の径大部4a1と、この径大部4a1のおねじ部4bが繋がる面と反対側端面に一体形成された径大部4a1よりも大なる径方向寸法である直径を有する円形フランジ状の当接部4a2とを有する。なお、当接部4a2の中央には例えばプラスドライバやマイナスドライバ、六角レンチ等の締結工具穴が形成されている。
【0019】
さらに、穴2とほぼ同じ寸法を有する例えば木製の補修部材5が穴2内に嵌め込まれ、固定手段であるねじ7が壁板材1の穴2の周縁部に表面側から螺合されることにより下地板材3の周縁部が壁板材1に固定され、補修改修部材5に表面側から他の固定手段である別のねじ8が螺合されて、補修改修部材5が下地板材3に固定される。
【0020】
このとき、補修改修具4の頭部4aの長さLとして、壁板材1の厚みと補修改修部材5の厚みとの多様な差に応じた頭部4aの長さLを有する補修改修具4が複数準備され、例えば頭部4aの長さLが1mm単位で異なる補修具4を数10種類準備し、実施に補修する壁板材1の厚みAと補修改修部材5の厚みB(>A)との差(=B-A)に相当する頭部4aの長さLを有する補修改修具4を選択して補修・改修に使用する。なお、おねじ部4bの長さについても、下地板材3の複数の厚みに対応すべく、おねじ部4bの長さの異なる補修改修具4を複数種類準備しておくのが好ましい。
【0021】
(補修改修作業の手順)
補修改修作業の具体的な手順について説明すると、
図1に示すように、壁板材1の厚みAと補修改修部材5の厚みB(B>A)との差(=B-A)に相当する頭部4aの長さL(=B-A)を有する補修改修具4を複数個準備し、準備した補修改修具4のフランジ状の当接部4a2及び径大部4a1を壁板材1及び下地板材3にそれぞれ当接させるべく穴2の外側に補修改修具4が位置するように、複数個の補修改修具4を下地板材3に螺合して取り付ける。その後、下地板材3を穴2の裏面側奥部に配置し、ねじ7により下地板材3を壁板材1の裏面側に固定し、補修改修部材5を穴2内に嵌め込み表面側からねじ8を螺合することにより、補修改修部材5を下地板材3に固定する。
【0022】
これにより、壁板材1の厚みAと補修改修部材5の厚みBとの差(=B-A)に相当する間隔(隙間)を保持した状態で、補修改修具4を壁板材1と下地板材3との間に介在させる。こうして、下地板材3に固定した長さLの補修改修具4の頭部4aにより、壁板材1と下地板材3との間に、壁板材1の厚みAと補修改修部材5の厚みBとの差(=B-A)に相当する隙間を形成することができる。
【0023】
さらに、補修改修部材5の固定が完了した後、壁板材1に穴2を隠す所望の壁紙やクロス材を貼り付けることにより、壁板材1の穴2を平坦な状態に見栄えよく補修することができる。
【0024】
(異なる補修改修作業の手順)
異なる補修改修作業の手順について説明すると、
図3に示すように、壁板材1の厚みAよりも補修改修部材5の厚みCが薄い(C<A)場合、両者の差(=A-C)に相当する頭部4aの長さL’(=A-C)を有する補修改修具4を複数個準備し、準備した補修改修具4の径大部4a1及びフランジ状の当接部4a2を下地板材3及び補修改修部材5にそれぞれ当接させるべく穴2の外側に補修改修具4が位置するように、複数個の補修改修具4を下地板材3に螺合して取り付ける。その後、下地板材3を穴2の裏面側奥部に配置し、ねじ7により下地板材3を壁板材1の裏面側に固定し、補修改修部材5を穴2内に嵌め込み表面側からねじ8を螺合することにより、補修改修部材5のほぼ中央を下地板材3に固定する。
【0025】
これにより、壁板材1の厚みAと補修改修部材5の厚みC(C<A)との差(=A-C)に相当する間隔(隙間)を保持した状態で、補修改修具4を壁板材1と下地板材3との間に介在させる。こうして、補修改修部材5が壁板材1よりも薄い場合であっても、下地板材3に固定した長さL’の補修改修具4の頭部4aにより、壁板材1と下地板材3との間に、壁板材1の厚みAと補修改修部材5の厚みCとの差(=A-C)に相当する隙間を形成することができる。
【0026】
したがって、上記した実施形態によれば、壁板材1の厚みAと補修改修部材5の厚みBとの差に相当する長さLの頭部4aを有する補修改修具4を複数個準備し、頭部4aを表面側に向けて各補修改修具4を下地板材3に取り付け、下地板材3の周縁部をねじ7により壁板材に固定し、穴2内に嵌め込んだ補修改修部材5をねじ8により下地板材3に固定し、補修改修具4の頭部4aが、壁板材1または補修改修部材5と下地板材3とにそれぞれ当接して壁板材1の厚みと補修改修部材5の厚みとの差に相当する間隔(=L、L’)を保持した状態で、補修改修具4を壁板材1と下地板材3、または補修改修部材5と下地板材3との間に介在させ、壁板材1の表面と補修改修部材5の表面を同一面に保持することができる。
【0027】
そのため、壁板材1と下地板材3との間に、壁板材1の厚みと補修改修部材5の厚みとの差に相当する隙間(=L、L’)を簡単に形成し、壁板材1の表面と補修改修部材5の表面を同一面に保持した状態で、その後の仕上げとして、補修部材5を穴2内に嵌め込んでねじ8により下地板材3に固定し壁板材1の表面に壁紙やクロス材を貼り付けて穴2を隠すことにより、素人であっても、家屋の壁板材1の穴2を簡単かつ美麗に埋めることができ、壁板材1の穴2を容易に平坦に補修することができる。
【0028】
また、補修改修具4として、例えば
図2に示すように頭部4aの長さLが長いものの他、
図4に示すように頭部4aの長さLが短いものなど、径大部4a1のおねじ部4bの軸方向への長さL’の異なる複数種類(例えば、1mm単位で異なる複数種類)のものを準備しておくことにより、壁板材1の厚みと補修改修部材5の厚みとの多様な差に応じた長さLの径大部4a1を有するものを補修具4として選択可能になるため、実際に補修すべき壁板材1の厚みと補修改修部材5の厚みとの差に相当する長さL、L’)を有する補修改修具4を複数個選択することで、選択した補修改修具4を取り付けた下地板材3を、ねじ7により壁板材1に固定することによって、補修改修具4のフランジ状当接部4a2及び径大部4a1が壁板材1または補修部材5及び下地板材3にそれぞれ当接して、壁板材1と下地板材3との間に、壁板材1の厚みと補修改修部材5の厚みとの差に相当する隙間を簡単に形成して、壁板材1の表面と補修部材5の表面を同一面に保持することができる。
【0029】
その結果、壁板材1の厚みと補修改修部材5の厚みとの差がどれくらいであっても、壁板材1と下地板材3材との間に壁板材1の厚みと補修部改修材5の厚みとの差に相当する隙間を容易に形成することが可能になり、熟練度に関係なく素人でも壁板材1の穴2を容易に平坦に補修することができる。また、補修改修具4の頭部4aの長さを適宜選択することで、補修改修部材5の表面を壁板材1の表面から凹ましたり凸出させたりすることができるため、壁に凹凸のデザインを簡単に形成することもできる。
【0030】
また、補修改修具4の頭部4aは、径大部4a1よりもさらに大きな寸法、大きな面積のフランジ状お当接部4a2を備えるため、壁板材1に大面積の補修改修具4の頭部4aが当接することになり、当接時の単位面積当たりの圧力の強さを緩和することができる。
【0031】
なお、本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて上記したもの以外に種々の変更を行なうことが可能である。
【0032】
例えば、補修改修具4の当接部4a2は径大部4a1よりも径大である必要はなく、
図5に示すように、当接部4a2は径大部4a1と同じ径を有するものであってもよく、このとき当接部4a2を径大部4a1と一体的に形成し、当接部4a2の端面にプラスドライバ等の締結工具穴を形成しておくとよい。
【0033】
また、他の実施形態として、補修改修具4の頭部4aのおねじ部4bの軸方向への長さを、壁板材1の厚みAと補修改修部材5の厚みBとの多様な差に応じて可変できる構造を有するとよい。
【0034】
具体的には、例えば補修改修具4の頭部4aの当接部4a2を径大部4a1に対して着脱自在に嵌着できる構成にし、径大部4a1の上面中央に、プラスドライバやマイナスドライバ、六角レンチ等の締結工具穴を形成し、当接部の中央に締結工具穴を覗く透孔を形成し、例えば1mm単位で厚みの異なる複数種類の当接部を準備しておき、このようなフランジ部を有する補修改修具4を下地板材3に固定したときの頭部4aの長さが、壁板材1の厚みと補修改修部材5の厚みとの差に相当するような厚みの当接部を選択して径大部4a1に嵌着できるようにして、頭部4aのおねじ部4bの軸方向への長さを可変できる構造とするのが望ましい。この場合、最適な厚みの当接部を嵌着しておくことで、壁板材1または補修改修部材5と下地板材3との間に、壁板材1の厚みと補修改修部材5の厚みとの差に相当する隙間を形成することができる。
【0035】
また、補修改修具4の頭部4aのフランジ部4a2の下面におねじ部4bを接合し、径大部4a1は当接部4a2と分離した状態でおねじ部4bに別途螺合可能な構成にしておき、、種々の厚みを有するワッシャ或いはナット類の如きスペーサ部材を準備して最適な厚みのスペーサ部材を当接部4a2と径大部4a1との間に着脱自在に装着できるようにして、頭部4aのおねじ部4bの軸方向への長さを可変できる構造としてもよい。こうすると、補修改修具4を下地板材3に固定したときの頭部4aの長さが、壁板材1の厚みと補修改修部材5の厚みとの差に相当するような厚みのスペーサ部材を選択して、径大部4a1と当接部4a2との間に装着することにより、壁板材1または補修改修部材5と下地板材3との間に、壁板材1の厚みと補修改修部材5の厚みとの差に相当する隙間を形成することができる。
【0036】
また、上記した実施形態では、補修改修具4の頭部4aとして円柱状の径大部4a1と円形フランジ状の当接部4a2を備える構成について説明したが、補修改修具4の頭部4aとして、径大部4a1は断面多角形の柱状で、当接部4a2も径大部4a1の断面と相似な多角形の板状を有するものであってもよい。
【0037】
また、下地板材2を壁板材1に固定する固定手段、及び、補修改修部材5を下地板材3に固定する固定手段は、上記したねじ7、ねじ8に限らず、ビズや釘、ボルト・ナットであってもよく、補修改修部材5の下地板材3への固定には接着剤固定手段として用いてもよい。
【0038】
また、上記したように、補修改修具4として頭部4aの長さが異なるだけではなく、おねじ部4bの長さの異なるものを複数種類準備するようにしてもよい。
【0039】
そして、本発明は、家屋内装の壁を補修・改修する補修改修構造及びこれに用いる補修改修具に対して適用することができる。
【符号の説明】
【0040】
1 …壁板材
2 …穴
3 …下地板材
4 …補修改修具
4a …頭部
4a1…径大部
4a2…当接部
4b …おねじ部
5 …補修改修部材
7,8…ねじ(固定手段)