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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024027781
(43)【公開日】2024-03-01
(54)【発明の名称】スライド式電子部品
(51)【国際特許分類】
   H01C 10/44 20060101AFI20240222BHJP
   H01H 15/02 20060101ALI20240222BHJP
   H01C 10/00 20060101ALI20240222BHJP
【FI】
H01C10/44 A
H01H15/02 H
H01C10/00 B
H01C10/00 Q
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022130876
(22)【出願日】2022-08-19
(71)【出願人】
【識別番号】000215833
【氏名又は名称】帝国通信工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100094226
【弁理士】
【氏名又は名称】高木 裕
(74)【代理人】
【識別番号】100087066
【弁理士】
【氏名又は名称】熊谷 隆
(72)【発明者】
【氏名】永井 伸明
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 仁
【テーマコード(参考)】
5E030
5G010
【Fターム(参考)】
5E030CA05
5E030CB03
5E030CC01
5E030EA02
5E030HA01
5G010AA03
5G010AB03
5G010AB13
5G010AB27
5G010AD01
5G010KB09
5G010KF04
5G010LB06
(57)【要約】
【課題】塵芥が摺動子と摺接パターンの摺接部分に侵入して接触不良を起こすことがなく、またつまみのスムーズなスライド操作を行うことができるスライド式電子部品を提供する。
【解決手段】スライド方向Aに移動するつまみ30と、つまみ30と共にスライド移動する移動体100と、移動体100に取り付けられる摺動子130と、摺動子130が摺接する摺接パターン83を有する回路基板80とを具備する。移動体100に取り付けた摺動子130の摺動接点133は、つまみ30に対向する方向を向く。つまみ30と移動体100は、回路基板80を挟んだその上下でスライド自在に一体に接続される。回路基板80は回路基板80よりもつまみ30側に設置した取付板60に取り付けられる。取付板60には、つまみ本体部31を覆い且つつまみ操作部51を挿通する挿通孔13を有するカバー10が取り付けられる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
スライド方向に移動するつまみと、
前記つまみと共にスライド移動する移動体と、
前記移動体に取り付けられる摺動子と、
前記摺動子が摺接する摺接パターンを有する回路基板と、
を有し、
前記移動体に取り付けた摺動子の摺動接点は、前記つまみに対向する方向を向き、前記つまみと前記移動体は、前記回路基板を挟んだその上下でスライド自在に一体に接続されることを特徴とするスライド式電子部品。
【請求項2】
請求項1に記載のスライド式電子部品であって、
前記つまみは、つまみ本体部と、当該つまみ本体部に接続されて当該つまみ本体部を操作するつまみ操作部とを有して構成され、
前記回路基板は当該回路基板よりも前記つまみ側に設置した取付板に取り付けられ、
当該取付板には、前記つまみ本体部を覆い且つ前記つまみ操作部を挿通する挿通孔を有するカバーが取り付けられていることを特徴とするスライド式電子部品。
【請求項3】
請求項2に記載のスライド式電子部品であって、
前記取付板には、前記つまみと前記移動体間を連結する連結部を挿通する連結部挿通溝が設けられ、
当該連結部挿通溝は、スライド式電子部品をその上下方向から投影した際に、少なくとも前記回路基板の摺接パターンを形成した部分の外側に設けられていることを特徴とするスライド式電子部品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スライド式可変抵抗器やスライド式スイッチなどのスライド式電子部品に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、スライド式電子部品の中には、例えば特許文献1に示すように、カバー(11)の下面側の開口内に、抵抗体(12)と、刷子(15)を取り付けたスライダー(14)とを収納し、その下部に覆い板(16)を設置する構成のものがある。そしてスライダー(14)をスライド移動すれば、抵抗体(12)の下面を刷子(15)が摺動することで抵抗値が変化する。
【0003】
この種のスライド式電子部品においては、スライダー(14)の操作レバー(14D)を突出させるためにカバー(11)に直線状スリット(11B)を設けているが、この直線状スリット(11B)から侵入した塵芥が前記刷子(15)と抵抗体(12)の摺接部分に介在し、接触不良を起こす虞があった。特許文献1では、上記接触不良を防止するため、刷子(15)が摺接する抵抗体(12)の面をその下面としているが、例えばスライダー(14)の上面に載った塵芥が刷子(15)に付着して上記接触不良を引き起こす虞などは解消できなかった。
【0004】
一方、カバー(11)の直線状スリット(11B)から塵芥が侵入しないように、中央に操作レバー挿通用のスリットを設けた防塵シートをカバー(11)の上面に貼り付ける方法も考えられる。しかしこのように構成すると、操作レバー(14D)をスライド移動する際に操作レバー(14D)が前記防塵シートのスリットに擦れて操作レバー(14D)の操作力が大きくなり、スライダー(14)のスムーズな移動ができなくなる虞があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002-124405号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は上述の点に鑑みてなされたものでありその目的は、塵芥が摺動子と摺接パターンの摺接部分に侵入して接触不良を起こすことがなく、またスムーズなスライド操作を行うことができるスライド式電子部品を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、スライド方向に移動するつまみと、前記つまみと共にスライド移動する移動体と、前記移動体に取り付けられる摺動子と、前記摺動子が摺接する摺接パターンを有する回路基板と、を有し、前記移動体に取り付けた摺動子の摺動接点は、前記つまみに対向する方向を向き、前記つまみと前記移動体は、前記回路基板を挟んだその上下でスライド自在に一体に接続されることを特徴とするスライド式電子部品にある。
上記スライド式電子部品によれば、つまみを上側とした場合、回路基板の上側につまみ、下側に移動体が設置され、下側の移動体に上向きに摺動子が取り付けられ、回路基板の下面に設けた摺接パターンに上向きの摺動接点が摺接する構成なので、つまみ側から侵入する塵芥は、つまみと回路基板とを乗り越えて回路基板の下面側に回り込んだ上、さらに上向きの摺動接点が摺接する回路基板下面の摺接パターン上にまで移動しなければ、摺動接点の摺接部分にたどり着けない。つまり、塵芥は摺動子と摺接パターンの摺接部分に侵入しにくく、当該摺接部分での接触不良は生じにくい。
また上述のように摺動子と摺接パターンの摺接部分に塵芥が侵入し難いので、防塵シートを別途設置する必要がなく、このためつまみのスムーズなスライド操作を行うことができる。
【0008】
また本発明は、上記特徴に加え、前記つまみは、つまみ本体部と、当該つまみ本体部に接続されて当該つまみ本体部を操作するつまみ操作部とを有して構成され、前記回路基板は当該回路基板よりも前記つまみ側に設置した取付板に取り付けられ、当該取付板には、前記つまみ本体部を覆い且つ前記つまみ操作部を挿通する挿通孔を有するカバーが取り付けられていることを特徴としている。
本発明によれば、取付板の両面に回路基板とカバーを取り付けるので、これら各固定側の部材を容易に一体化することができる。同時に、回路基板とつまみの間に取付板がさらに介在するので、取付板が防塵用の仕切りとなって、つまみ側から侵入する塵芥はさらに摺接パターンと摺動子の摺接部分に侵入しにくくなり、当該摺接部分での接触不良が生じにくくなる。
【0009】
また本発明は、上記特徴に加え、前記取付板には、前記つまみと前記移動体間を連結する連結部を挿通する連結部挿通溝が設けられ、当該連結部挿通溝は、スライド式電子部品をその上下方向から投影した際に、少なくとも前記回路基板の摺接パターンを形成した部分の外側に設けられていることを特徴としている。
連結部は、移動体側に設けても良いし、つまみ側に設けても良い。
本発明によれば、摺接パターン上を摺接する摺動子のスライド方向への移動が阻害されることなく、連結したつまみと移動体をスムーズに移動させることができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、つまみのスムーズなスライド操作を維持しつつ、塵芥による摺動子と摺接パターンの摺接部分における接触不良を効果的に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】スライド式電子部品1の概略断面図(図2のC-C概略断面図)である。
図2】スライド式電子部品1の要部斜視図である。
図3A】スライド式電子部品1の上側の部品の分解斜視図である。
図3B】スライド式電子部品1の下側の部品の分解斜視図である。
図4】つまみ30をその裏面側から見た斜視図である。
図5】回路基板80をその裏面側から見た斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態を、図面を参照して詳細に説明する。図1は本発明の1実施形態にかかるスライド式電子部品1の概略断面図(図2のC-C概略断面図)、図2はスライド式電子部品1の要部斜視図、図3A図3Bは、スライド式電子部品1の分解斜視図(図3Aは上側の部品、図3Bは下側の部品)である。
【0013】
これらの図に示すように、スライド式電子部品1は、取付板60の上側につまみ30とカバー10を配置し、取付板60の下側に回路基板80と摺動子130,130を取り付けた移動体100を配置して構成されている。なお以下の説明において、「上」とは回路基板80からつまみ30側を見る方向をいい、「下」とはその反対方向をいうものとするが、これはスライド式電子部品1を使用する際の方向を限定する趣旨ではなく、実際の使用時はスライド式電子部品1の上下が逆であっても良いし、その他の角度に傾いていても良い。
【0014】
カバー10は、板体を下面が開放された箱型形状に形成して構成されている。カバー10の上面11には、下記するつまみ30がスライド移動する方向(スライド方向A)に向かって形成された貫通孔からなる細長矩形状の挿通孔13が形成されている。またカバー10のスライド方向Aに沿う左右両側面15,17の下辺には、下方向に向かって突出する小突起状の係止部19(図3Aでは側面17側は図示せず)が所定間隔毎に複数本ずつ形成されている。カバー10の上面11と左右両側面15,17によって囲まれた内側空間は、下記するつまみ30のつまみ本体部31をスライド自在に収納するつまみ収納部21となっている。カバー10はこの例では金属板を折り曲げることで構成しているが、合成樹脂の成形品で構成しても良く、その材質は問わない。
【0015】
図4はつまみ30をその裏面側から見た斜視図である。図4及び図1乃至図3Bに示すように、つまみ30は、つまみ本体部31と、つまみ本体部31の上面から突出するつまみ操作部51とを具備して構成されている。
【0016】
つまみ本体部31は合成樹脂を上から見て略H形状に成形して構成された成形品であり、左右一対の棒状のスライドガイド部33,33と、両スライドガイド部33,33間を連結すると同時につまみ操作部51を取り付ける基部35とを具備して構成されている。
【0017】
スライドガイド部33,33は、前記カバー10のつまみ収納部21内においてつまみ30をスライド方向Aにスライド移動自在にガイドするものである。つまみ本体部31の幅方向(スライド方向Aに直交する方向)Bの寸法(幅寸法)、即ち両スライドガイド部33,33の両外側面間の寸法は、前記カバー10のつまみ収納部21の幅寸法(左右両側辺15,17の内面間の寸法)よりも少し狭い寸法に形成されている。
【0018】
基部35の上面中央には矩形状の穴からなる操作部取付部37(図1参照)が形成されている。操作部取付部37は、下記するつまみ操作部51の本体取付部53を挿入できる寸法形状に形成されている。両スライドガイド部33,33の中間位置には、それぞれ被連結部35,37が設けられている。両被連結部35,37は形状が異なっており、一方の被連結部35は、矩形状の上下に貫通する貫通孔によって形成され、他方の被連結部37は、スライドガイド部33の外側側面を切り欠いた凹部によって形成されている。なおこれら被連結部35,37に種々の変形が可能であることはいうまでもない。
【0019】
つまみ操作部51は、平板状の金属板を略T字形状に形成して構成されており、下方に延びる本体取付部53と、本体取付部53の上部に接続され水平方向に延びる操作部55とを具備している。
【0020】
そしてつまみ本体部31の成形時につまみ操作部51をインサート成形して一体化することでつまみ30が構成されている。
【0021】
取付板60は金属板をスライド方向Aに長尺な略矩形板状に形成して構成されている。取付板60のスライド方向Aに向かう左右両側辺の、前記カバー10の各係止部19に対向する位置には、それぞれ凹状の被係止部61が形成されている。取付板60上面の左右両側位置には、スライド方向Aに向かって延びるスリット状の貫通孔からなる一対の連結部挿通溝63,65が形成されている。取付板60の前記一対の連結部挿通溝63,65の間の上面には、小孔からなる複数の回路基板取付孔67が所定の位置に形成されている。取付板60はこの例では金属板で形成しているが、合成樹脂の成形品で構成しても良く、その材質は問わない。
【0022】
図5は回路基板80をその裏面側から見た斜視図である。図5及び図1乃至図3Bに示すように、回路基板80は、帯状のフレキシブル回路基板81と、このフレキシブル回路基板81の上面側に一体に取り付けられる基板取付体91とを具備して構成されている。フレキシブル回路基板81は、基板取付体91にインサート成形されている。
【0023】
フレキシブル回路基板81は、可撓性を有する合成樹脂フィルムの一方の面(図では下面)に、スライド方向Aに延びる4本の摺接パターン83を形成して構成されている。なおフレキシブル回路基板81の代わりに硬質の回路基板を用いても良い。
【0024】
基板取付体91は、略矩形で長尺な板状の成形品であって、フレキシブル回路基板81の摺接パターン83を形成した面を下側に向けて露出した状態で、その上面と左右側辺とを覆うように成形して構成されている。基板取付体91の上面の、前記取付板60の各回路基板取付孔67に対向する位置には、これら回路基板取付孔67に挿入される小突起からなる取付部93が設けられている。基板取付体91の左右両側辺には、スライド方向Aに向かって延びる薄板レール状の移動体支持ガイド部95,95が形成されている。
【0025】
移動体100は、合成樹脂の一体成形品であり、略矩形平板状の移動体本体部101と、移動体本体部101の左右両側辺の略中央から上方向に向かって突出する一対の連結部103,105とを具備して構成されている。移動体本体部101の上面には、小突起状の摺動子取付部107が2つ突設されている。連結部103,105のそれぞれ根元の両側には、上方向に向かって突出する基部109Aと基部109Aの上部を内側に屈曲させた係止部109Bとを有するスライド移動ガイド部109が設けられている。スライド移動ガイド部109の係止部109Bの下側には凹状のガイド部挿通部109Cが形成される。連結部103,105は、前記取付板60の連結部挿通溝63,65に挿入される位置に設けられ、また連結部103,105の対向面間の離間寸法は、回路基板80の幅寸法よりも大きい寸法に形成されている。
【0026】
摺動子130は導電性を有する弾性金属板からなり、略矩形状の摺動子基部131と、摺動子基部131の外周の一辺から突出する一対のアーム部132とを有し、当該アーム部132の途中の部分を上方向に略180度折り返し、その先端を上向きに突出するように屈曲させて摺動接点133として構成されている。摺動子基部131には、前記移動体100の摺動子取付部107を挿入する寸法形状の小孔からなる取付部135が形成されている。
【0027】
スライド式電子部品1を組み立てるには、まず予め移動体100の移動体本体部101の上面に一対の摺動子130の摺動子基部131を載置し、その際各摺動子130に設けた取付部135に移動体100の各摺動子取付部107を挿入し、それら摺動子取付部107の先端を熱カシメすることで固定しておく。
【0028】
次に、移動体100を回路基板80の下面側に配置するが、そのとき移動体100の各ガイド部挿通部109Cに回路基板80の両移動体支持ガイド部95,95を挿入する。これによって移動体100は回路基板80の下面側をスライド方向Aに向かってスライド自在に取り付けられる。このとき同時に摺動子130の各摺動接点133は、フレキシブル回路基板81の各摺接パターン83に当接する。
【0029】
次に、前記回路基板80を前記取付板60の下面側に配置し、その際、回路基板80の各取付部93を、取付板60の各回路基板取付孔67に挿入し、挿入した各取付部93の先端を熱カシメすることで、取付板60と回路基板80を一体化する。このとき前記回路基板80に取り付けた移動体100の各連結部103,105を、取付板60の各連結部挿通溝63,65に挿入し、各連結部103,105の上部を取付板60の上面側に突出する。
【0030】
次に、前記取付板60の上につまみ30を載置し、その際、取付板60の上面側に突出している前記移動体100の各連結部103,105をつまみ30の各被連結部35,37に挿入する。
【0031】
次に、前記つまみ30の上にカバー10を被せ、その際つまみ30のつまみ操作部51を、カバー10の挿通孔13に挿通してカバー10の上面から突出させる。このときカバー10は取付板60上に載置され、同時にカバー10の各係止部19は取付板60の各被係止部61に挿入される。
【0032】
そして前記カバー10の各係止部19を取付板60の下面側に折り曲げれば、カバー10が取付板60に固定され、スライド式電子部品1の組み立てが完了する。なお上記組立手順はその一例であり、他の各種異なる組立手順を用いて組み立てても良いことはいうまでもない。
【0033】
以上のようにして組み立てられたスライド式電子部品1において、つまみ30はカバー10内をスライド方向Aにスライド移動可能である。またつまみ30の被連結部35,37と移動体100の連結部103,105が連結されることで移動体100もつまみ30と一体にスライド方向Aにスライド移動可能である。カバー10と取付板60と回路基板80は、一体化されている。
【0034】
そして、つまみ操作部51をスライド方向Aに押圧することで移動すると、これと一体に移動体100がスライド移動し、移動体100に取り付けた摺動子130の摺動接点133がフレキシブル回路基板81の各摺接パターン83上を摺接し、その出力が変化する。
【0035】
一方、カバー10の挿通孔13からカバー10の内部に塵芥が侵入した場合、取付板60の上に摺動子130や摺接パターン83は存在しないので、それらの摺接部分に塵芥が介在する虞はない。言い換えれば、回路基板80とつまみ30の間に取付板60が介在するので、取付板60が防塵用の仕切りとなって、つまみ30側から侵入する塵芥の前記摺接部分への侵入が生じにくくなり、当該摺接部分での接触不良が生じにくくなる。
【0036】
またさらに取付板60上の塵芥が、取付板60の連結部挿通溝63,65を介して移動体100の移動体本体部101上に侵入したとしても、上記スライド式電子部品1によれば、回路基板80のつまみ30とは反対側の面(即ち下面)に摺接パターン83が位置し、且つ当該摺接パターン83に摺接する摺動子130の摺動接点133は上向きなので、移動体本体部101上の塵芥は、摺接パターン83と摺動子130の摺接部分に付着しにくく、当該摺接部分での接触不良は生じにくい。またこのため防塵シートを別途設置する必要もなく、つまみ30のスムーズなスライド操作を行うことができる。
【0037】
また、取付板60に回路基板80とカバー10を取り付けているので、これら各固定側の部材を一体化することができ、このためこのスライド式電子部品1を、各種機器の所定の位置に取り付ける場合、その取り付けを容易に行うことができる。
【0038】
また上記スライド式電子部品1によれば、取付板60に設けた連結部挿通溝63,65を、このスライド式電子部品1をその上下方向から投影した際に、回路基板80の摺接パターン83を形成した部分の外側に設けたので、摺接パターン83上を摺接する摺動子130のスライド方向Aへの移動を阻害することなく、つまみ30と移動体100を連結することができる。
【0039】
以上本発明の実施形態を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲、及び明細書と図面に記載された技術的思想の範囲内において種々の変形が可能である。なお直接明細書及び図面に記載がない何れの形状や構造や材質であっても、本願発明の作用・効果を奏する以上、本願発明の技術的思想の範囲内である。例えば、上記実施形態ではスライド移動方向として直線方向を示したが、スライド移動方向は、円弧方向やその他の曲線方向など、直線方向以外の各種方向を含む概念である。
【0040】
また上記実施形態では、移動体100に連結部103,105を設け、つまみ30に被連結部35,37を設けたが、これとは逆に、つまみ30に連結部を設け、移動体100に被連結部を設けてもよい。また連結部と被連結部は一対ずつに限らず、1組のみ又は3組以上設置してもよい。
【0041】
また上記実施形態では、つまみ本体部31とつまみ操作部51を別部品で構成したが、これらを一体の成形品で構成しても良いし、場合によってはつまみ操作部51は省略しても良い。また取付板60と基板取付体91についてもこれらを一体の成形品として構成しても良い。また上記実施形態では取付板60に回路基板80を取り付けているが、回路基板80の基板取付体91に連結部挿通溝63,65を設けても良く、その場合は取付板60を省略しても良い。また基板取付体91の下面に直接摺接パターン83を形成することで、フレキシブル回路基板81を省略しても良い。また上記実施形態で設置したカバー10はこれを省略しても良い。
【0042】
上記記載及び各図で示した実施形態は、その目的及び構成等に矛盾がない限り、互いの記載内容を組み合わせることが可能である。また、上記記載及び各図の記載内容は、その一部であっても、それぞれ独立した実施形態になり得るものであり、本発明の実施形態は上記記載及び各図を組み合わせた一つの実施形態に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0043】
1 スライド式電子部品
10 カバー
13 挿通孔
30 つまみ
31 つまみ本体部
35,37 被連結部
51 つまみ操作部
60 取付板
63,65 連結部挿通溝
80 回路基板
81 フレキシブル回路基板
83 摺接パターン
91 基板取付体
100 移動体
103,105 連結部
130 摺動子
133 摺動接点
A スライド方向
図1
図2
図3A
図3B
図4
図5