(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024027787
(43)【公開日】2024-03-01
(54)【発明の名称】給水栓
(51)【国際特許分類】
A62C 35/68 20060101AFI20240222BHJP
E03C 1/02 20060101ALI20240222BHJP
E03C 1/08 20060101ALI20240222BHJP
【FI】
A62C35/68
E03C1/02
E03C1/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022130885
(22)【出願日】2022-08-19
(71)【出願人】
【識別番号】000000295
【氏名又は名称】沖電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100140958
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 学
(74)【代理人】
【識別番号】100137888
【弁理士】
【氏名又は名称】大山 夏子
(74)【代理人】
【識別番号】100190942
【弁理士】
【氏名又は名称】風間 竜司
(72)【発明者】
【氏名】岡嵜 智憲
【テーマコード(参考)】
2D060
2E189
【Fターム(参考)】
2D060AA01
2D060AB00
2D060AC01
2D060AC03
2D060CC03
2D060CC11
2D060CC16
2E189CA04
2E189CC02
2E189CD05
(57)【要約】
【課題】建物への導入のし易さが向上された、火災時に放水を行う仕組みを提供する。
【解決手段】外部から水の供給を受ける、第1の素材および前記第1の素材よりも熱耐性が低い第2の素材を含む導管部を備え、前記導管部によって導かれた水は、第1排出口から外部に排出され、前記導管部のうち前記第2の素材からなる部分が熱により変質すると、第2排出口が露出し、前記第2排出口から水が排出される、給水栓。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部から水の供給を受ける、第1の素材および前記第1の素材よりも熱耐性が低い第2の素材を含む導管部を備え、
前記導管部によって導かれた水は、第1排出口から外部に排出され、
前記導管部のうち前記第2の素材からなる部分が熱により変質すると、第2排出口が露出し、前記第2排出口から水が排出される、
給水栓。
【請求項2】
前記導管部は、
外部から水の供給を受ける、前記第1の素材を含む第1導管部と、
前記第1導管部に接続され、前記第1導管部から水の供給を受ける第2導管部と、
を備え、
前記第1導管部は、前記第2排出口を介して前記第2導管部に水を供給し、
前記第2導管部は、前記第2の素材からなる部分を備え、
前記第2導管部によって導かれた水は、前記第1排出口から排出される、
請求項1に記載の給水栓。
【請求項3】
前記第1の素材は、不燃性の素材であり、
前記第2の素材は、可燃性の素材である、
請求項1または2に記載の給水栓。
【請求項4】
前記第2導管部は、前記給水栓を利用する利用者の操作によって開閉可能な通水孔を有し、
前記第1排出口は、前記通水孔が開放されると、前記第2導管部によって導かれた水を排出する、
請求項2に記載の給水栓。
【請求項5】
前記第2導管部のうち、前記第1導管部から水の供給を受ける部分から前記通水孔までの部分が、前記第2の素材からなる、
請求項4に記載の給水栓。
【請求項6】
前記第2排出口は、シャワー状、棒状、または霧状に前記水を排出する、請求項1または2に記載の給水栓。
【請求項7】
前記第1導管部は、生活用水を排出する水道蛇口に接続され、前記水道蛇口から水の供給を受ける、請求項2に記載の給水栓。
【請求項8】
前記水道蛇口から水が排出される方向と、前記第2排出口から水が排出される方向は、異なる方向である、請求項7に記載の給水栓。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、給水栓に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、建物内で火災が発生した場合に建物内で水を放水するための技術が開発されている。例えば、特許文献1には、火災報知器が火災を検出すると、給湯器からの熱水と水道水とを混合して、スプリンクラーヘッドから消火用水を放水する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1におけるスプリンクラーヘッドは、電源系統を必要とするため、火災により電源系統が壊れると動作しないという問題があった。また、特許文献1におけるスプリンクラーヘッドは、スプリンクラー設備を持つ建物にしか導入できないという問題もあった。
【0005】
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、火災時に放水を行うことが可能な、建物への導入のし易さが向上された、新規かつ改良された給水栓を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、外部から水の供給を受ける、第1の素材および前記第1の素材よりも熱耐性が低い第2の素材を含む導管部を備え、前記導管部によって導かれた水は、第1排出口から外部に排出され、前記導管部のうち前記第2の素材からなる部分が熱により変質すると、第2排出口が露出し、前記第2排出口から水が排出される、給水栓が提供される。
【0007】
前記導管部は、外部から水の供給を受ける、前記第1の素材を含む第1導管部と、前記第1導管部に接続され、前記第1導管部から水の供給を受ける第2導管部と、を備え、前記第1導管部は、前記第2排出口を介して前記第2導管部に水を供給し、前記第2導管部は、前記第2の素材からなる部分を備え、前記第2導管部によって導かれた水は、前記第1排出口から排出されてもよい。
【0008】
前記第1の素材は、不燃性の素材であり、前記第2の素材は、可燃性の素材であってもよい。
【0009】
前記第2導管部は、前記給水栓を利用する利用者の操作によって開閉可能な通水孔を有し、前記第1排出口は、前記通水孔が開放されると、前記第2導管部によって導かれた水を排出してもよい。
【0010】
前記第2導管部のうち、前記第1導管部から水の供給を受ける部分から前記通水孔までの部分が、前記第2の素材からなってもよい。
【0011】
前記第2排出口は、シャワー状、棒状、または霧状に前記水を排出してもよい。
【0012】
前記第1導管部は、生活用水を排出する水道蛇口に接続され、前記水道蛇口から水の供給を受けることでもよい。
【0013】
前記水道蛇口から水が排出される方向と、前記第2排出口から水が排出される方向は、異なる方向であってもよい。
【発明の効果】
【0014】
以上説明したように本発明によれば、建物への導入のし易さが向上された、火災時に放水を行う仕組みを提供することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の一実施形態による給水栓10の外観構成を示す説明図である。
【
図2】本発明の一実施形態による可燃部110の断面図を示す説明図である。
【
図3】露出したノズル部103の排出口の一例を示す説明図である。
【
図4】露出したノズル部103の排出口の他の例を示す説明図である。
【
図5】露出したノズル部103の排出口の他の例を示す説明図である。
【
図6】給水栓10による、火災発生時の水の排出について説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0017】
<1.給水栓の構成>
本発明の実施形態は、火災時に放水を行うことが可能な給水栓に関する。まず、
図1および
図2を参照して、本発明の実施形態による給水栓の構成を説明する。
【0018】
図1は、本発明の一実施形態による給水栓10の外観構成を示す説明図である。
図2は、本発明の一実施形態による可燃部110の断面図を示す説明図である。
【0019】
図1に示すように、給水栓10は、水道蛇口20と接続される。水道蛇口20は、一般家庭またはオフィスビル等の建物に設置される、水道管から供給される生活用水を排出する蛇口である。水道蛇口20は、排出口201およびハンドル202を備える。利用者は、ハンドル202の回転を操作することにより、排出口201から水を排出させたり、排出を停止させたりすることが可能である。水道蛇口20は、水道管から供給される生活用水を排出できれば、構成は特に限定されない。例えば、ハンドル202はレバー式であってもよい。
【0020】
図1に示したように、本発明の一実施形態による給水栓10は、不燃部100および可燃部110を含む。
【0021】
(不燃部100)
不燃部100は、不燃性の素材を含む、外部から水の供給を受ける部材である。不燃性の素材は、第1の素材の一例である。外部から供給される水は、例えば、水道蛇口20から排出される生活用水である。不燃部100は不燃性の素材のみからなってもよいし、一部に可燃性の素材を含んでもよい。ただし、不燃部100は、火災による熱の影響を受けた際にも、外部から供給を受けた水を後述のノズル部103から排出する役割を保つよう構成される。そのため、不燃部100のうち、火災による火が燃え移りやすい、外部に晒される箇所は、不燃性の素材のみからなることが好ましい。不燃性の素材は、例えば、真鍮、ステンレス、またはアルミニウム合金等の金属である。不燃部100は、
図1に示すように、接続部101、不燃導管部102およびノズル部103を含む。
【0022】
(接続部101)
接続部101は、生活用水を排出する水道蛇口20と不燃導管部102とを接続する。接続部101は、内周に螺合面を有し、当該螺合面が水道蛇口20の排出口201の外周の螺合面に螺合することによって接続される。なお、水道蛇口20と不燃導管部102の接続方法は上記で説明した方法に限定されず、例えば、水道蛇口20の外径と略同一の内径をもつ不燃導管部102が、水道蛇口20の排出口201を覆うように取り付けられ、複数のネジによって固定されてもよい。
【0023】
(不燃導管部102)
不燃導管部102は、外部から水の供給を受ける、内部が中空の、管体の部材である。また、不燃導管部102は、屈曲形状を有する。このため、不燃導管部102においては、水の流れる方向が変化する。
図1に示した例では、不燃導管部102は、天井方向を上方向、地面方向を下方向として、下方向に供給された水を上方向に導くような形状を有する。不燃導管部102は、外部から供給された水を、ノズル部103へ導く。不燃導管部102は、ノズル部103を介して、後述の可燃導管部111に水を供給する。不燃導管部102は、第1導管部の一例である。
【0024】
(ノズル部103)
ノズル部103は、不燃導管部102によって導かれた水を排出する部材である。ノズル部103は、不燃性の素材からなる。ノズル部103は、不燃導管部102によって導かれた水を排出する。ノズル部103は、シャワー状、棒状、または霧状等で水を排出する。
【0025】
ノズル部103の水の排出口は、火災が発生していない通常時には、外部に露出しない。通常時には、ノズル部103から排出された水は、可燃部110に供給される。ノズル部103は、接着剤によって不燃導管部102に取り付けられてもよいし、不燃導管部102との螺合によって不燃導管部102に取り付けられてもよい。
【0026】
(可燃部110)
可燃部110は、可燃性の素材を含む、水を外部に排出する部材である。可燃性の素材は、不燃性の素材よりも熱耐性が低い、第2の素材の一例である。熱耐性が低いとは、素材が変質する温度がより低いことを示す。可燃部110は、可燃性の素材からなる部分を備える。可燃性の素材は、熱により変質する。より具体的には、可燃性の素材は、熱により酸素と化合し、二酸化炭素等に変質する。なお、可燃性の素材は、不燃性の素材よりも熱耐性が低く、耐水性および耐久性を有するものであれば特に限定されず、例えばカーボンまたは繊維強化プラスチック等の樹脂であってもよい。可燃部110は、可燃性の素材のみからなってもよいし、一部に不燃性の素材を含んでもよい。
【0027】
可燃部110は、
図1および
図2に示すように、可燃導管部111、排出口112およびハンドル113、弁棒114、弁棒ネジ115、弁体116および通水孔117を含む。
【0028】
(可燃導管部111)
可燃導管部111は、ノズル部103から水の供給を受ける、内部が中空の、管体の部材である。可燃導管部111は、第2導管部の一例である。
【0029】
(排出口112)
排出口112は、可燃導管部111が有する、水の排出口である。排出口112は、可燃導管部111によって導かれた水を排出する。排出口112は、第1排出口の一例である。排出口112は、水道蛇口20から水が排出される方向と同じ方向に水を排水する。そのため、給水栓10の利用者は、水道蛇口20を利用する際の実用性を損なわずに生活用水を使用することが可能である。
【0030】
(ハンドル113)
ハンドル113は、利用者によって回転の操作がされる部材である。ハンドル113は、弁棒114に、例えばネジを用いた螺合によって取り付けられる。利用者は、ハンドル113の回転を操作することにより、弁棒114を回転させることが可能である。
【0031】
(弁棒114、弁棒ネジ115)
弁棒114は、弁棒ネジ115を周囲に有する棒体である。弁棒ネジ115は可燃導管部111が有する螺合面と螺合する。利用者がハンドル113を回転させることで、弁棒114は、ハンドル113を上方向、排出口112を下方向として、上下方向に移動する。弁棒ネジ115は、例えば接着剤によって弁棒114に取り付けられる。
【0032】
(弁体116、通水孔117)
弁体116は、利用者の操作によって通水孔117を開閉するための、弁棒114の、ハンドル113が取り付けられた側と反対側の先端に取り付けられる部材である。通水孔117は、利用者の操作によって開閉可能な孔である。具体的には、利用者のハンドル113の操作により弁棒114が下方向に移動すると、弁体116は通水孔117を閉鎖する。通水孔117が閉鎖されると、可燃導管部111に供給された水の、排出口112からの排出が停止される。また、利用者のハンドル113の操作により弁棒114が上方向に移動すると、通水孔117が開放される。通水孔117が開放されると、可燃導管部111によって導かれた水は、排出口112から排出される。
【0033】
<2.火災発生時の放水の流れ>
ここまで、本実施形態における給水栓10の構成について説明した。続いて、本実施形態における給水栓10による、火災発生時の放水の流れについて説明する。
【0034】
火災発生時には、熱により可燃部110が変質すると、ノズル部103が有する排出口が露出する。
図3は、露出したノズル部103の排出口の一例を示す説明図である。
図3には、可燃導管部111が接続される方向を上として、上からノズル部103を見た図が示されている。
図3に示すように、ノズル部103は、排出口104aおよび溝部105を備える。排出口104は、第2排出口の一例である。ノズル部103は、複数の排出口104aを備えることにより、シャワー状に水を排出してもよい。溝部105が不燃導管部102と嵌合し、接着されることにより、ノズル部103と不燃導管部102が接続される。
【0035】
図4は、露出したノズル部103の排出口の他の例を示す説明図である。
図4には、可燃導管部111が接続される方向を上として、横からノズル部103を見た図が示されている。
図4に示すように、ノズル部103のうち、火災発生時に露出する部分がドーム状に形成され、複数の排出口104bが形成されることにより、排出口104bは、シャワー状に、様々な方向へ水を排出してもよい。排出口104がシャワー状に水を排出することにより、周囲全体に放水されるため、火災時の延焼拡大の遅延および延焼拡大範囲の縮小を効果的に実現できる。
【0036】
図5は、露出したノズル部103の排出口の他の例を示す説明図である。
図5には可燃導管部111が接続される方向を上として、上からノズル部103を見た図が示されている。
図5に示すように、排出口104cが形成されることにより、排出口104cは、棒状に水を排出してもよい。火元となり得る特定の場所がある場合には、排出口104が当該特定の場所に対して棒状に放水するように給水栓10を設置しておくことで、火災時の延焼拡大の遅延および延焼拡大範囲の縮小を効果的に実現できる。
【0037】
なお、水道蛇口20から水が排出される方向と、排出口104から水が排出される方向は、異なる方向であってもよい。通常の水道蛇口20から水が排出される方向は地面に向かう向きである。しかし、水が天井方向に放水されことにより水が散乱し、火災時の延焼拡大の遅延および延焼拡大範囲の縮小を効果的に実現できる。そのため、排出口104から水が排出される方向は、天井方向であってもよい。
【0038】
図6は、給水栓10による、火災発生時の水の排出について説明するための説明図である。
図6に示すように、熱により可燃部110が変質すると、ノズル部103の排出口104が露出する。
図6には、可燃部110が火災により焼失した例が示されている。
【0039】
通常時において、通水孔117が閉鎖されている場合、水道蛇口20から供給された水は外部に排出されない。しかし、火災発生時には、可燃導管部111のうち不燃導管部102から水の供給を受ける部分から通水孔117までの部分が、熱により変質し、排出口104が露出する。これにより、水道蛇口20から供給された水が、排出口104から外部に排出される。つまり、可燃性の素材が熱によって変質することにより排出口104が外部に露出するよう、可燃部110のうち可燃性の素材からなる部分が設けられる。例えば、不燃導管部102から水の供給を受ける部分から通水孔117までの部分が可燃性の素材からなってもよい。また、不燃導管部102から水の供給を受ける部分から通水孔117までの部分のうちの、一部分の一周だけが可燃性の素材であってもよい。一方、例えばハンドル113は、不燃性の素材からなってもよい。
【0040】
不燃部100は、可燃部110のうち可燃性の素材からなる部分よりも熱耐性が高い素材を含むため、当該可燃性の素材からなる部分が熱により変質した際にも変質せず、水を排出することが可能である。
【0041】
なお、水道蛇口20が有するハンドル202が、水道管からの生活用水を、排出口201が排出する状態にされている場合にのみ、火災発生時に放水を行うことが可能である。そのため、水道蛇口20が有するハンドル202は、常に水道管からの生活用水を排出口201が排出する状態にされることが好ましい。このような状態にされた場合、通常使用時には、利用者はハンドル113を操作することによって、排出口112からの水の排出を操作できる。
【0042】
熱により可燃部110が熱により変質した際には、排出口104からの水の排出は、利用者が水道管からの生活用水を排出口201が排出しないようにハンドル202を操作することにより、停止される。また、利用者が水道局に連絡し、水道局によって水道管への給水が停止されることによっても排出口104からの水の排出を停止され得る。
【0043】
<3.作用効果>
以上説明した本発明の一実施形態による給水栓10は多様な作用効果を奏する。以下、本発明の一実施形態による給水栓10が奏する作用効果を例示する。
【0044】
本発明の一実施形態によれば、可燃導管部111のうち可燃性の素材からなる部分が熱により変質すると、排出口104から水が排出される。かかる構成によれば、火災発生時に、自動的に放水が開始される。なお、本発明における放水は、初期消火ではなく、給水栓10にまで火が燃え広がっている際に行われる、消火活動の補助としての放水であり、延焼拡大の遅延および延焼拡大範囲の縮小を可能とする。
【0045】
また、かかる構成によれば、電気系統を使用することなく、放水が実現できる。また、かかる構成によれば、外部から水の供給を受けられれば、火災時に放水できるため、スプリンクラー設備を持たない建物にも導入可能である。つまり、建物内で放水を行う仕組みの建物への導入のし易さが向上される。
【0046】
また、本発明の一実施形態によれば、不燃導管部102は、生活用水を排出する水道蛇口20に接続され、水道蛇口20から水の供給を受ける。水道蛇口20は建物に一般的に設置される設備であるため、建物内で放水を行う仕組みの建物への導入のし易さがより向上される。
【0047】
<4.補足>
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0048】
例えば、上記実施形態では、不燃部100が不燃性の素材を含み、可燃部110が可燃性の素材を含む例を説明した。しかし、不燃部100および可燃部110が含む素材は、不燃部100が含む素材よりも可燃部110が含む素材の熱耐性が低ければ、これに限定されない。
【0049】
例えば、可燃部110のうち可燃性の素材からなる部分は、可燃性の素材に代えて、不燃性の素材で、不燃部100が含む不燃性の素材よりも融点が低い素材からなってもよい。不燃部100が含む不燃性の素材よりも融点が低い素材は、例えば、低融点合金であってもよい。不燃部100が含む素材よりも融点が低い不燃性の素材は、第2の素材の一例である。可燃部110が、可燃性の素材に代えて、不燃部100が含む不燃性の素材よりも融点が低い素材が使用される場合には、火災発生時には熱によって当該素材からなる部分が溶けて液体に変質することにより、排出口104が露出する。
【0050】
また、上記実施形態では、導管部が不燃導管部102と可燃導管部111とを有する例を説明した。しかし、給水栓10は、外部から水の供給を受ける、第1の素材および当該第1の素材よりも熱耐性が低い第2の素材を含む導管部を備えれば、この例に限定されない。ただし、導管部によって導かれた水は、第1排出口から外部に排出され、当該導管部のうち第2の素材からなる部分が熱により変質すると、第2排出口が露出し、第2排出口から水が排出される。
【0051】
例えば、可燃部110は不燃性の素材からなり、不燃導管部102と可燃導管部111は一の連続する管体の部材であってもよい。この場合、ノズル部103に代えて、可燃導管部111に複数の穴(第2排出口)が設けられ、当該複数の穴が可燃性の素材で塞がれてもよい。この場合には、可燃導管部111内の、当該複数の穴と第1排出口との間に、通水孔117が設けられる。
【0052】
また、上記実施形態では、水道蛇口20から供給された水が不燃導管部102を通ってノズル部103に導かれる例について説明したが、水道蛇口20とノズル部103は不燃導管部102を介さずに、直接接続されてもよい。この場合には、ノズル部103は地面と平行する方向に水を排出するような排出口104を有してもよい。
【符号の説明】
【0053】
10 給水栓
20 水道蛇口
100 不燃部
101 接続部
102 不燃導管部
103 ノズル部
104 排出口
105 溝部
110 可燃部
111 可燃導管部
112 排出口
113 ハンドル
114 弁棒
115 弁棒ネジ
116 弁体
117 通水孔