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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024027795
(43)【公開日】2024-03-01
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/822 20060101AFI20240222BHJP
【FI】
H01L27/04 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022130896
(22)【出願日】2022-08-19
(71)【出願人】
【識別番号】514315159
【氏名又は名称】株式会社ソシオネクスト
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】越智 小百合
【テーマコード(参考)】
5F038
【Fターム(参考)】
5F038CD02
5F038CD16
5F038EZ20
(57)【要約】
【課題】電源端子の配置密度が互いに異なる領域において、電源電圧を供給する回路への電源供給能力に差が生じることを抑制する。
【解決手段】半導体装置は、第1電源線と、第2電源線と、第1電源線に接続された複数の第1電源端子が、平面視で第1密度で配置された第1領域と、第1電源線に接続された複数の第2電源端子が、平面視で第1密度より低い第2密度で配置された第2領域とを有する回路領域と、第1領域に設けられ、第1電源線を第2電源線に接続する複数の第1電源スイッチ回路と、第2領域に設けられ、第1電源線を第2電源線に接続する複数の第2電源スイッチ回路と、を有し、第1電源線および第2電源スイッチ回路を含む回路による第2電源線への第2電源供給能力は、第1電源線および第1電源スイッチ回路を含む回路による第2電源線への第1電源供給能力より高い。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1電源線と、
第2電源線と、
前記第1電源線に接続された複数の第1電源端子が、平面視で第1密度で配置された第1領域と、前記第1電源線に接続された複数の第2電源端子が、平面視で前記第1密度より低い第2密度で配置された第2領域とを有する回路領域と、
前記第1領域に設けられ、前記第1電源線を前記第2電源線に接続する複数の第1電源スイッチ回路と、
前記第2領域に設けられ、前記第1電源線を前記第2電源線に接続する複数の第2電源スイッチ回路と、
を有し、
前記第1電源線および前記第2電源スイッチ回路を含む回路による前記第2電源線への第2電源供給能力は、前記第1電源線および前記第1電源スイッチ回路を含む回路による前記第2電源線への第1電源供給能力より高い
半導体装置。
【請求項2】
前記複数の第1電源スイッチ回路の各々は、前記第1電源線を前記第2電源線に接続する第1トランジスタを有し、
前記複数の第2電源スイッチ回路の各々は、前記第1電源線を前記第2電源線に接続する第2トランジスタを有し、
前記第2トランジスタのサイズは、前記第1トランジスタのサイズより大きい
請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記複数の第1電源スイッチ回路の各々と、前記複数の第2電源スイッチ回路の各々とは、互いに同じ回路構成であり、
前記複数の第2電源スイッチ回路の配置密度は、前記複数の第1電源スイッチ回路の配置密度より高い
請求項1に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記第2領域に配線される前記第1電源線の幅は、前記第1領域に配線される前記第1電源線の幅より太い
請求項1に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記第2領域に配線される前記第1電源線の配置密度は、前記第1領域に配線される前記第1電源線の配置密度より高い
請求項1に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記第2領域に配線される前記第1電源線の配置ピッチは、前記第1領域に配線される前記第1電源線の配置ピッチより小さい
請求項5に記載の半導体装置。
【請求項7】
前記第2領域に配線される前記第1電源線の数は、前記第1領域に配線される前記第1電源線の数より多い
請求項5に記載の半導体装置。
【請求項8】
前記第1領域における前記複数の第1電源端子の配置密度と前記第1電源供給能力との積で示される第1パラメータは、前記第2領域における前記複数の第2電源端子の配置密度と前記第2電源供給能力との積で示される第2パラメータと等しい
請求項1ないし請求項6のいずれか1項に記載の半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置のスタンダードセル領域などに、電源電圧の供給のオン/オフを切り替える電源スイッチ回路を設け、低消費電力を図る技術がある。複数種の電源スイッチ回路を設け、電源スイッチ回路を順次オンすることで、急激な電源電圧の供給により供給元の電源電圧が低下するラッシュ電流(突入電流)を抑制する技術がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011-243794号公報
【特許文献2】特開2020-004763号公報
【特許文献3】特開2010-283269号公報
【特許文献4】米国特許第8390331号明細書
【特許文献5】国際公開第2017/208888号
【特許文献6】特開2010-153535号公報
【特許文献7】特開2005-286082号公報
【特許文献8】特開2018-190760号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
大規模な回路領域に複数の電源スイッチ回路を配置する場合、電源電圧の供給を受ける電源端子から複数の電源スイッチ回路までの配線抵抗に差が生じると、抵抗値の高い箇所においてIRドロップが生じることがある。また、電源端子がバンプとして設けられる半導体装置において、電源端子の配置密度が他に比べて低い領域において、電源端子から電源スイッチ回路までの配線抵抗が増加するとIRドロップの程度に差が生じることがある。これにより、電源端子の配置密度が互いに異なる領域において、電源電圧を供給する回路への電源供給能力に差が生じてしまう。
【0005】
本発明は、上記の点に鑑みてなされたもので、電源端子の配置密度が互いに異なる領域において、電源電圧を供給する回路への電源供給能力に差が生じることを抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様では、半導体装置は、第1電源線と、第2電源線と、前記第1電源線に接続された複数の第1電源端子が、平面視で第1密度で配置された第1領域と、前記第1電源線に接続された複数の第2電源端子が、平面視で前記第1密度より低い第2密度で配置された第2領域とを有する回路領域と、前記第1領域に設けられ、前記第1電源線を前記第2電源線に接続する複数の第1電源スイッチ回路と、前記第2領域に設けられ、前記第1電源線を前記第2電源線に接続する複数の第2電源スイッチ回路と、を有し、前記第1電源線および前記第2電源スイッチ回路を含む回路による前記第2電源線への第2電源供給能力は、前記第1電源線および前記第1電源スイッチ回路を含む回路による前記第2電源線への第1電源供給能力より高い。
【発明の効果】
【0007】
開示の技術によれば、電源端子の配置密度が互いに異なる領域において、電源電圧を供給する回路への電源供給能力に差が生じることを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】第1の実施形態における半導体装置のレイアウトの一例を示す図である。
図2図1のスタンダードセルブロックに配置される回路の概要を示す回路ブロック図である。
図3図1のスタンダードセルブロックのレイアウトの概要を示す平面図である。
図4図2の電源スイッチ回路PSWのレイアウトの一例を示す平面図である。
図5図4のX1-X1'線に沿う断面を示す断面図である。
図6図4のY1-Y1'線に沿う断面を示す断面図である。
図7図2の電源スイッチ回路LPSWのレイアウトの一例を示す平面図である。
図8】第2の実施形態におけるスタンダードセルブロックのレイアウトの概要を示す平面図である。
図9】第3の実施形態におけるスタンダードセルブロックのレイアウトの概要を示す平面図である。
図10】第4の実施形態におけるスタンダードセルブロックのレイアウトの概要を示す平面図である。
図11】第5の実施形態におけるスタンダードセルブロックのレイアウトの概要を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を用いて実施形態を説明する。以下では、信号を示す符号は、信号値、信号線または信号端子を示す符号としても使用される。電源電圧を示す符号は、電源電圧が供給される電源線または電源端子を示す符号としても使用される。
【0010】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態における半導体装置のレイアウトの一例を示す。例えば、図1に示す半導体装置SEMは、SoC(System on Chip)でもよく、単体のFPGA(Field-Programmable Gate Array)またはASIC(Application Specific Integrated Circuit)等でもよい。
【0011】
半導体装置SEMは、各々がバンプBMPに接続された複数のI/OセルIOC、IOCPを有する。I/OセルIOCは、入力信号、出力信号または入出力信号等の信号SIG用のインタフェース回路である。I/OセルIOCPは、電源電圧または接地電圧用のインタフェース回路である。
【0012】
各I/OセルIOC、IOCPは、内部回路領域INTRに接続される。例えば、内部回路領域INTRには、スタンダードセルが設けられる複数のスタンダードセルブロックSCBを有する。なお、内部回路領域INTRには、スタンダードセル以外の論理回路が搭載されてもよく、メモリが搭載されてもよい。なお、I/OセルIOC、IOCPの数および比率は、図1に示す例に限定されない。
【0013】
半導体装置SEMは、例えば、半導体装置SEMの表面に設けられる複数のバンプBMPを介して配線基板WBRDの表面の図示しないパッドに接続される。配線基板WBRDの裏面には、外部接続端子(例えば、バンプ)が設けられる。
【0014】
図2は、図1のスタンダードセルブロックSCBに配置される回路の概要を示す回路ブロック図である。スタンダードセルブロックSCBは、電源スイッチ回路PSW(または電源スイッチ回路LPSW)とスタンダードセル領域SCAとを有する。スタンダードセル領域SCAは、電気的に仮想電源線VVDDおよび接地線VSSに接続され、仮想電源線VVDDから電源電圧の供給を受けて動作する。
【0015】
電源スイッチ回路PSW(または電源スイッチ回路LPSW)は、スイッチトランジスタSWTと制御回路CNTLとを有する。電源スイッチ回路LPSWは、電源スイッチ回路PSWに比べて、スイッチトランジスタSWTのサイズが大きく、電源供給能力が高いことを除き、電源スイッチ回路PSWと同様の構成である。
【0016】
電源スイッチ回路PSWは、第1電源スイッチ回路の一例である。電源スイッチ回路LPSWは、第2電源スイッチ回路の一例である。電源スイッチ回路PSWのスイッチトランジスタSWTは、第1スイッチトランジスタの一例である。電源スイッチ回路LPSWのスイッチトランジスタSWTは、第2スイッチトランジスタの一例である。
【0017】
スイッチトランジスタSWTは、例えば、ソースが電源線VSSに接続され、ドレインが仮想電源線VVDDに接続されたpチャネルトランジスタであり、制御回路CNTLからのスイッチ制御信号SWCNTをゲートで受けて動作する。なお、図2では、簡単化のため、1つのスイッチトランジスタSWTを示すが、電源線VDDと仮想電源線VVDDとの間には、複数のスイッチトランジスタSWTが配置されてもよい。電源線VDDは、第1電源線の一例であり、仮想電源線VVDDは、第2電源線の一例である。
【0018】
スイッチトランジスタSWTがオンしている間、電源線VDDと仮想電源線VVDDとが電気的に接続され、電源電圧VDDが仮想電源線VVDDに供給される。スイッチトランジスタSWTがオフしている間、電源線VDDと仮想電源線VVDDとの電気的な接続が遮断され、仮想電源線VVDDは、フローティング状態に設定される。
【0019】
制御回路CNTLは、例えば、バッファ回路である。制御回路CNTLは、スタンダードセル領域SCA内の回路を動作させる場合、スイッチ制御信号SWCNTをロウレベルに設定し、電源線VDDから仮想電源線VVDDに電源電圧を供給する。制御回路CNTLは、スタンダードセル領域SCA内の回路の動作を停止する場合、スイッチ制御信号SWCNTをハイレベルに設定し、電源線VDDから仮想電源線VVDDへの電源電圧の供給を停止する。
【0020】
図3は、図1のスタンダードセルブロックSCBのレイアウトの概要を示す平面図である。図3では、スタンダードセルブロックSCBの領域の一部を、半導体装置SEMの表面(バンプBMPの形成面)から見た状態(平面視)を示している。図3では、バンプBMPにより隠れる配線を見やすくするために、各バンプBMPをリング状に示している。なお、説明の簡単化のため、各バンプBMPの大きさは、実際よりも小さくしている。実際のバンプBMPの大きさのイメージは、図5および図6に示される。
【0021】
電源線VDD(GL2)および接地線VSS(GL2)は、バンプBMPに最も近いグローバル配線層GL2を使用して図3のX方向に沿って配線される。電源線VDD(GL1)および接地線VSS(GL1)は、グローバル配線層GL2に対してバンプBMPと反対側に位置するグローバル配線層GL1を使用して図3のY方向に沿って配線される。グローバル配線層GL2、GL1は、半導体装置SEMの表面側に設けられる。
【0022】
電源線VDD(GL2)と電源線VDD(GL1)とは、図示しないビアを介して相互に接続される。接地線VSS(GL2)と接地線VSS(GL1)とは、図示しないビアを介して相互に接続される。なお、説明の簡単化のため、グローバル配線層GL2、GL1を使用して配線される信号線SIGおよび電源線VDDMの記載は省略する。バンプBMP(VDDM)および電源線VDDMは、スタンダードセルブロックSCBにメモリが設けられる場合、メモリに電源電圧を供給するために使用される。
【0023】
図3の領域Ra、Rbに配置される電源線VDD(GL1)または接地線VSS(GL1)の幅Wa、Wbは、互いに等しい。また、領域Ra、Rbに配置される電源線VDD(GL1)または接地線VSS(GL1)の配置ピッチPa、Pbは、互いに等しい。領域Raは、第1領域の一例であり、領域Rbは、第2領域の一例である。特に限定されないが、図3では、領域Raには、6個の電源スイッチ回路PSWが配置され、領域Rbには、6個の電源スイッチ回路LPSWが配置される。
【0024】
例えば、電源スイッチ回路PSW、LPSWは、半導体装置SEMの裏面側(バンプBMPが配置される表面と反対側)の半導体層および配線層を使用して設けられるが、見やすさを考慮して、図3の一番手前に位置させている。
【0025】
例えば、電源スイッチ回路LPSWのスイッチトランジスタSWT(図2)のサイズは、電源スイッチ回路PSWのスイッチトランジスタSWTのサイズの2.5倍に設定される。ここで、スイッチトランジスタSWTのサイズは、バンプBMP(VDD)の配置密度および電源線VDDの配線抵抗を考慮しない場合の各電源スイッチ回路LPSW、PSWの仮想電源線VVDDへの電源供給能力を示す。例えば、スイッチトランジスタSWTがFinFET(Fin Field Effect Transistor)の場合、スイッチトランジスタSWTのサイズおよび各電源スイッチ回路LPSW、PSW単独での仮想電源線VVDDへの電源供給能力は、ゲートの数とフィンの数との積で示される。
【0026】
領域Raには、平面視で10個のバンプBMP(VDD)を含む20個のバンプBMPが配置される。領域Rbには、平面視で3個のバンプBMP(VDD)を含む15個のバンプBMPが配置される。このため、領域RbのバンプBMP(VDD)の配置密度(3/15=0.2)は、領域RaのバンプBMP(VDD)の配置密度(10/20=0.5)の40%である。
【0027】
領域Raに配置されるバンプBMP(VDD)は、第1電源端子の一例である。領域Rbに配置されるバンプBMP(VDD)は、第2電源端子の一例である。領域RaのバンプBMP(VDD)の配置密度は、第1密度の一例である。領域RbのバンプBMP(VDD)の配置密度は、第2密度の一例である。
【0028】
この実施形態では、例えば、各領域Ra、Rbにおいて、バンプBMP(VDD)の配置密度とスイッチトランジスタSWTのサイズとの積は、互いに等しく設定される。このため、バンプBMP(VDD)の配置密度が領域Raに比べて低い場合にも、領域Rbにおける仮想電源線VVDDへの実際の電源供給能力を、領域Raにおける仮想電源線VVDDへの実際の電源供給能力と同等以上にすることができる。
【0029】
図4は、図2の電源スイッチ回路PSWのレイアウトの一例を示す平面図である。図4に示す凡例において、符号LIは、ローカル配線を示し、符号FINはフィンを示す。符号GTは、スイッチトランジスタSWTのゲートを示す。符号M1は、第1配線層を示し、符号M2は、第2配線層を示す。符号VIA1は、配線層M1とローカル配線LIとを接続するビアを示す。
【0030】
電源スイッチ回路PSWは、図2に示すスイッチトランジスタSWTおよび制御回路CNTLを含む。制御回路CNTLは、電源線VDD(M1)と接地線VSS(M1)とに接続されたインバータIV1、IV2を有する。インバータIV1、IV2は、直列に接続され、バッファとして動作する。インバータIV1は、入力端子IN1で受ける信号のレベルを反転して出力端子OUT1に接続されたスイッチ制御信号線SWCNTにスイッチ制御信号SWCNTとして出力する。
【0031】
スイッチ制御信号SWCNTは、スイッチトランジスタSWTに設けられるpチャネルトランジスタPのゲートGTと、インバータIV2の入力端子I2とに供給される。pチャネルトランジスタPは、四隅が円弧状の破線の矩形枠により示される。スイッチ制御信号SWCNTによりスイッチトランジスタSWTのpチャネルトランジスタPのオンとオフとが制御され、電源線VDDから仮想電源線VVDDへの電源電圧の供給が制御される。図4に示すスイッチトランジスタSWTは、6本のゲートGTと8本のフィンFINとの交点に設けられる48個のpチャネルトランジスタPを有する。電源スイッチ回路PSWに設けられるpチャネルトランジスタPは、第1トランジスタの一例である。
【0032】
インバータIV2は、入力端子I2で受けるスイッチ制御信号SWCNTのレベルを反転して出力端子OUT2から出力する。例えば、出力端子OUT2から出力される信号は、図4に示す電源スイッチ回路PSWのY方向に隣接して配置される他の電源スイッチ回路PSW(図示せず)の制御回路CNTLの入力端子IN1に供給されてもよい。
【0033】
複数のpチャネルトランジスタPの各々は、ソースが電源線VDD(M1)に電気的に接続され、ドレインが仮想電源線VVDD(M1)に電気的に接続され、ゲートGTがスイッチ制御信号線SWCNT(M1)に電気的に接続される。ここで、pチャネルトランジスタPのソースは、ゲートを挟んで対向するフィンFINの一方に設けられる。pチャネルトランジスタPのドレインは、ゲートを挟んでソースに対向するフィンFINの他方に設けられる。
【0034】
フィンFINの一方は、ローカル配線LIを介して電源線VDD(M1)に接続され、フィンFINの他方は、ローカル配線LIを介して仮想電源線VVDD(M1)に接続される。スイッチトランジスタSWTに接続される仮想電源線VVDD(M1)は、X方向に沿って延在され、スタンダードセル領域SCAに接続される。
【0035】
図5は、図4のX1-X1'線に沿う断面を示す断面図である。半導体装置SEMの表面側に設けられるバンプBMP(VDD)は、絶縁膜INS1を開口して設けられるパッドPADを介して電源線VDD(GL2)に接続される。電源線VDD(GL2)は、ビアVIA-G2を介して電源線VDD(GL1)に接続される。
【0036】
電源線VDD(GL1)は、絶縁膜INS2を開口して設けられるビアVIA-G1および絶縁膜INS3に設けられる図示しないTSV等を介して、半導体装置SEMの裏面側に設けられる電源線VDD(M1)に接続される。そして、電源線VDD(M1)は、フィンFINに設けられるpチャネルトランジスタPのソースに接続される。すなわち、バンプBMP(VDD)は、各層の電源線VDDを介してpチャネルトランジスタP(図4)のソースに電気的に接続される。なお、半導体基板SUBの表面には、絶縁膜としてSTI(Shallow Trench Isolation)膜が形成される。
【0037】
図6は、図4のY1-Y1'線に沿う断面を示す断面図である。図5と同様の要素については、同じ符号を付し詳細な説明は省略する。バンプBMP(VDD)からビアVIA-G1までの配線構造は、図5と同様である。仮想電源線VVDD(M1)は、ビアVIA1を介してローカル配線LIに接続され、さらに、スイッチトランジスタSWTに設けられるフィンFINに接続される。フィンFINは、半導体基板SUB上に設けられる。なお、ゲートGTとフィンFINとの間に形成されるゲート絶縁膜は、図示を省略する。
【0038】
図7は、図2の電源スイッチ回路LPSWのレイアウトの一例を示す平面図である。図4に示した電源スイッチ回路PSWと同様の要素については、同じ符号を付し詳細な説明は省略する。
【0039】
電源スイッチ回路LPSWは、ゲートGTの数が9本であることを除き、図4に示した電源スイッチ回路PSWと同様の構成を有する。すなわち、電源スイッチ回路LPSWのゲートGTの数は、電源スイッチ回路PSWのゲートGTの数(6本)の1.5倍である。換言すれば、1つの電源スイッチ回路LPSWのスイッチトランジスタSWTのサイズは、1つの電源スイッチ回路PSWのスイッチトランジスタSWTのサイズのほぼ1.5倍である。図7に示すスイッチトランジスタSWTは、9本のゲートGTと8本のフィンFINとの交点に設けられる72個のpチャネルトランジスタPを有する。電源スイッチ回路LPSWに設けられるpチャネルトランジスタPは、第2トランジスタの一例である。
【0040】
このため、電源線VDDの配線抵抗が互いに同じ場合、電源スイッチ回路LPSW単独での仮想電源線VVDDへの電源供給能力を、電源スイッチ回路PSW単独での仮想電源線VVDDへの電源供給能力のほぼ1.5倍にすることができる。これにより、バンプBMP(VDD)の配置密度が低い場合にも、電源配線の配線抵抗の上昇を抑制して、電源電圧VDDのIRドロップを軽減することができ、仮想電源線VVDDへの電源供給能力の低下を抑制することができる。この結果、バンプBMP(VDD)の配置密度が領域Raに比べて低い領域Rbにおける仮想電源線VVDDへの実際の電源供給能力を、領域Raにおける仮想電源線VVDDへの実際の電源供給能力と同等にすることができる。
【0041】
なお、この実施形態および後述する実施形態において、領域Rbにおける仮想電源線VVDDへの電源供給能力を、領域Raにおける仮想電源線VVDDへの電源供給能力と同等にする条件は、式(1)により求めることができる。但し、電源スイッチ回路PSW、LPSWのpチャネルトランジスタPの閾値電圧は、互いに等しいとする。なお、領域Ra、Rbでの各電源線VDD(GL2)の幅は、互いに等しく、領域Ra、Rbでの各電源線VDD(GL2)の配置密度は、互いに等しいとする。
Ba×(Ga×Fa×Pa×Wa×Da)=Bb×(Gb×Fb×Pb×Wb×Db) …(1)
【0042】
式(1)に示す符号の意味は、以下の通りである。
Ba:領域RaでのバンプBMP(VDD)の配置密度
Ga:領域Raでの各スイッチトランジスタSWTのゲートGTの数
Fa:領域Raでの各スイッチトランジスタSWTのフィンFINの数
Pa:領域Raでの電源スイッチ回路PSWの数(配置密度)
Wa:領域Raでの各電源線VDD(GL1)の幅
Da:領域Raでの電源線VDD(GL1)の配置ピッチ(配置密度)
Bb:領域RbでのバンプBMP(VDD)の配置密度
Gb:領域Rbでの各スイッチトランジスタSWTのゲートGTの数
Fb:領域Rbでの各スイッチトランジスタSWTのフィンFINの数
Pb:領域Rbでの電源スイッチ回路PSWの数(配置密度)
Wb:領域Rbでの各電源線VDD(GL1)の幅
Db:領域Rbでの電源線VDD(GL1)の配置ピッチ(配置密度)
【0043】
式(1)の"Ga×Fa×Pa×Wa×Da"は、バンプBMP(VDD)の配置密度を考慮しない場合の領域Raでの仮想電源線VVDDへの電源供給能力(電源線VDDおよび電源スイッチ回路PSWを含む回路単独での電源供給能力)を示す。式(1)の"Gb×Fb×Pb×Wb×Db"は、バンプBMP(VDD)の配置密度を考慮しない場合の領域Rbでの仮想電源線VVDDへの電源供給能力(電源線VDDおよび電源スイッチ回路LPSWを含む回路単独での電源供給能力)を示す。領域Raでの回路単独の仮想電源線VVDDへの電源供給能力は、第1電源供給能力の一例である。領域Rbでの回路単独の仮想電源線VVDDへの電源供給能力は、第2電源供給能力の一例である。
【0044】
この実施形態では、"フィンFINの数Fa"="フィンFINの数Fb"、"電源スイッチ回路PSWの数Pa"="電源スイッチ回路LPSWの数Pb"である。また、"各電源線VDD(GL1)の幅Wa"="各電源線VDD(GL1)の幅Wb"、"電源線VDD(GL1)の配置ピッチDa"="電源線VDD(GL1)の配置ピッチDb"である。このため、式(1)は、式(2)に変形できる。
Ba×Ga=Bb×Gb …(2)
【0045】
式(2)の"Ga"は、領域RaにおけるバンプBMP(VDD)の配置密度を考慮しない、回路単独での仮想電源線VVDDへの電源供給能力を示す。式(2)の"Gb"は、領域RbにおけるバンプBMP(VDD)の配置密度を考慮しない、回路単独での仮想電源線VVDDへの電源供給能力を示す。式(2)の左辺"Ba×Ga"は、領域Raにおいて、バンプBMP(VDD)の配置密度と回路単独での電源供給能力との積で示される仮想電源線VVDDへの実際の電源供給能力を示す。式(2)の右辺"Bb×Gb"は、領域Rbにおいて、バンプBMP(VDD)の配置密度と電源供給能力との積で示される仮想電源線VVDDへの実際の電源供給能力を示す。"Ba×Ga"は、第1パラメータの一例である。Bb×Gb"は、第2パラメータの一例である。
【0046】
バンプBMP(VDD)の配置密度Ba、Bbは、図3で説明したように、それぞれ"0.5"、"0.2"である。また、ゲートGTの数Ga、Gbは、それぞれ6本、9本である。この場合、式(2)の左辺は、"3"になり、式(2)の右辺は、"1.8"になる。
【0047】
したがって、領域Rbにおける仮想電源線VVDDへの実際の電源供給能力は、領域Raにおける仮想電源線VVDDへの実際の電源供給能力に対して不足する。例えば、各電源スイッチ回路LPSWのスイッチトランジスタSWTのゲートGTの数Gbを15本とすることで、式(2)の右辺を"3"にすることができ、式(2)の左辺と等しくすることができる。
【0048】
なお、電源スイッチ回路LPSWのpチャネルトランジスタPの閾値電圧を電源スイッチ回路PSWのpチャネルトランジスタPの閾値電圧より低く設定してもよい。この場合、例えば、電源スイッチ回路LPSWのゲートGTの数Gbが9本の場合にも、領域Rbにおける仮想電源線VVDDへの実際の電源供給能力を、領域Raにおける仮想電源線VVDDへの実際の電源供給能力と同等以上にすることができる。
【0049】
また、後述する第2の実施形態から第5の実施形態(図8図9図10図11)の1つまたは複数において、領域Rbの電源スイッチ回路PSWの代わりに、電源スイッチ回路LPSWを配置してもよい。
【0050】
以上、この実施形態では、電源スイッチ回路PSWに比べて電源供給能力が高い電源スイッチ回路LPSWが、バンプBMP(VDD)の配置密度が領域Raに比べて低い領域Rbに配置される。このため、領域Rbにおいて、バンプBMP(VDD)と電源スイッチ回路LPSWとの間に設けられる電源線VDDの配線抵抗の上昇を抑制することができ、電源電圧VDDのIRドロップを軽減することができる。
【0051】
この結果、領域Rbでの仮想電源線VVDDへの実際の電源供給能力の低下を抑制することができ、領域Rbにおける仮想電源線VVDDへの実際の電源供給能力を、領域Raにおける仮想電源線VVDDへの実際の電源供給能力と同等以上にすることができる。すなわち、バンプBMP(VDD)の配置密度が互いに異なる領域Ra、Rbにおいて、仮想電源線VVDDを供給するスタンダードセル領域SCA内の回路への電源供給能力に差が生じることを抑制することができる。
【0052】
(第2の実施形態)
図8は、第2の実施形態におけるスタンダードセルブロックSCBのレイアウトの概要を示す平面図である。図3に示したスタンダードセルブロックSCBと同様の要素については、同じ符号を付し詳細な説明は省略する。図8に示すスタンダードセルブロックSCBは、図1と同様に、半導体装置SEMの内部回路領域INTRに設けられ、図2と同じ回路構成を有する。
【0053】
この実施形態では、バンプBMP(VDD)の配置密度Ba、Bbは、図3と同様に、それぞれ"0.5"、"0.2"である。また、図8では、領域Rbには、図3の複数の電源スイッチ回路LPSWの代わりに複数の電源スイッチ回路PSWが配置される。すなわち、領域Ra、Rbには、互いに同じ回路構成を有する電源スイッチ回路PSWが配置される。
【0054】
スタンダードセルブロックSCBのその他の構成は、図3と同じである。例えば、領域Rbに配置される電源スイッチ回路PSWの数Pbは、領域Raに配置される電源スイッチ回路PSWの数Paの2倍である。すなわち、領域Rbに配置される電源スイッチ回路PSWの配置密度Pbは、領域Raに配置される電源スイッチ回路PSWの配置密度Pbの2倍である。なお、電源スイッチ回路PSWは、半導体装置SEM内に積層して配置されてもよい。
【0055】
これにより、第1の実施形態と同様に、領域Rbにおいて、バンプBMP(VDD)と電源スイッチ回路PSWとの間に設けられる電源線VDDの配線抵抗の上昇を抑制することができ、電源電圧VDDのIRドロップを軽減することができる。この結果、領域Rbでの仮想電源線VVDDへの実際の電源供給能力の低下を抑制することができ、領域Rbにおける仮想電源線VVDDへの実際の電源供給能力を、領域Raにおける仮想電源線VVDDへの実際の電源供給能力と同等以上にすることができる。
【0056】
この実施形態においても、領域Rbにおける仮想電源線VVDDへの実際の電源供給能力を、領域Raにおける仮想電源線VVDDへの実際の電源供給能力と同等にする条件は、上述した式(1)により求めることができる。式(1)において、バンプBMP(VDD)の配置密度Ba、Bbおよび電源スイッチ回路PSWの数Pa、Pb以外の各要素は、左辺と右辺と同じであるため、式(1)は、式(3)に変形できる。
Ba×Pa=Bb×Pb …(3)
【0057】
式(3)の"Pa"は、領域RaにおけるバンプBMP(VDD)の配置密度を考慮しない、回路単独での仮想電源線VVDDへの電源供給能力を示す。式(3)の"Pb"は、領域RbにおけるバンプBMP(VDD)の配置密度を考慮しない、回路単独での仮想電源線VVDDへの電源供給能力を示す。
【0058】
式(3)の左辺"Ba×Pa"は、領域Raにおいて、バンプBMP(VDD)の配置密度と電源供給能力との積で示される仮想電源線VVDDへの実際の電源供給能力を示す。式(1)の右辺"Bb×Pb"は、領域Rbにおいて、バンプBMP(VDD)の配置密度と電源供給能力との積で示される仮想電源線VVDDへの実際の電源供給能力を示す。式(3)の左辺"Ba×Pa"は、第1パラメータの一例である。式(3)の右辺"Bb×Pb"は、第2パラメータの一例である。
【0059】
バンプBMP(VDD)の配置密度Ba、Bbは、図3で説明したように、それぞれ"0.5"、"0.2"である。また、電源スイッチ回路PSWの数Pa、Pbは、それぞれ"8"、"12"である。この場合、式(3)の左辺は、"4"になり、式(3)の右辺は、"2.4"になる。
【0060】
したがって、領域Rbにおける電源スイッチ回路PSW単独での仮想電源線VVDDへの電源供給能力は、領域Raにおける電源スイッチ回路PSW単独での仮想電源線VVDDへの電源供給能力に対して不足する。ここで、電源スイッチ回路PSW単独での電源供給能力は、バンプBMP(VDD)の配置密度と電源線VDDの配線抵抗とを考慮しない電源スイッチ回路PSWのみでの仮想電源線VVDDへの電源供給能力である。
【0061】
しかしながら、例えば、領域Rbに設ける電源スイッチ回路PSWの数Pbを20個とすることで、式(3)の右辺を"4"にすることができ、式(3)の左辺と等しくすることができる。
【0062】
なお、電源スイッチ回路LPSWのpチャネルトランジスタPの閾値電圧を電源スイッチ回路PSWのpチャネルトランジスタPの閾値電圧より低く設定してもよい。この場合、例えば、領域Rbに設ける電源スイッチ回路PSWの数Pbが12個の場合にも、領域Ra、RbにおけるバンプBMP(VDD)の配置密度と、電源線VDDおよび電源スイッチ回路PSWを含む回路単独での電源供給能力との積を互いに等しくすることができる。
【0063】
また、第1の実施形態(図3)および後述する第3の実施形態から第5の実施形態(図9図10図11)の1つまたは複数において、領域Rbの電源スイッチ回路PSW(または、LPSW)の数Pbを、領域Raの電源スイッチ回路PSWの数Paより多くしてもよい。
【0064】
以上、この実施形態においても第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。例えば、バンプBMP(VDD)の配置密度Bbが領域Raに比べて低い領域Rbでの電源スイッチPSWの配置密度を、領域Raでの電源スイッチ回路PSWの配置密度より高くする。
【0065】
これにより、既存の電源スイッチ回路PSWを使用して、領域RbにおいてバンプBMP(VDD)と電源スイッチ回路LPSWとの間に設けられる電源線VDDの配線抵抗の上昇を抑制することができ、電源電圧VDDのIRドロップを軽減することができる。この結果、領域RbでのバンプBMP(VDD)の配置密度Bbが相対的に低い場合にも、領域Rbにおける仮想電源線VVDDへの実際の電源供給能力を、領域Raにおける仮想電源線VVDDへの実際の電源供給能力と同等以上にすることができる。
【0066】
(第3の実施形態)
図9は、第3の実施形態におけるスタンダードセルブロックSCBのレイアウトの概要を示す平面図である。図3に示したスタンダードセルブロックSCBと同様の要素については、同じ符号を付し詳細な説明は省略する。図9に示すスタンダードセルブロックSCBは、図1と同様に、半導体装置SEMの内部回路領域INTRに設けられ、図2と同じ回路構成を有する。
【0067】
この実施形態では、バンプBMP(VDD)の配置密度Ba、Bbは、図3と同様に、それぞれ"0.5"、"0.2"である。また、領域Rbに設けられる電源線VDD(GL1)および接地線VSS(GL1)の幅Wbは、領域Raに設けられる電源線VDD(GL1)および接地線VSS(GL1)の幅Waより太く設定される。なお、電源線VDD(GL1)は、半導体装置SEM内に積層して設けられてもよい。
【0068】
領域Rbには、図3の複数の電源スイッチ回路LPSWの代わりに複数の電源スイッチ回路PSWが配置される。領域Rbに配置される電源スイッチ回路PSWの数は、領域Raに配置される電源スイッチ回路PSWの数と等しい。すなわち、領域Rb、Raにおける各スイッチトランジスタSWTのゲートGTの数は互いに等しく、領域Rb、Raにおける各スイッチトランジスタSWTのフィンFINの数は互いに等しい。
【0069】
また、領域Rb、Raにおける電源線VDD(GL1)および接地線VSS(GL1)の配置密度(配置ピッチ)Db、Daは、互いに等しい。スタンダードセルブロックSCBのその他の構成は、図3と同じである。
【0070】
この実施形態においても、領域Rbにおける仮想電源線VVDDへの実際の電源供給能力を、領域Raにおける仮想電源線VVDDへの実際の電源供給能力と同等にする条件は、上述した式(1)により求めることができる。式(1)において、バンプBMP(VDD)の配置密度Ba、Bbおよび各電源線VDD(GL1)の幅Wa,Wb以外の各要素は、左辺と右辺と同じであるため、式(1)は、式(4)に変形できる。
Ba×Wa=Bb×Wb …(4)
【0071】
式(4)の"Wa"は、領域RaにおけるバンプBMP(VDD)の配置密度を考慮しない、回路単独での仮想電源線VVDDへの電源供給能力を示す。式(4)の"Wb"は、領域RbにおけるバンプBMP(VDD)の配置密度を考慮しない、回路単独での仮想電源線VVDDへの電源供給能力を示す。
【0072】
式(4)の左辺"Ba×Wa"は、領域Raにおいて、バンプBMP(VDD)の配置密度と電源供給能力との積で示される仮想電源線VVDDへの実際の電源供給能力を示す。式(4)の右辺"Bb×Wb"は、領域Rbにおいて、バンプBMP(VDD)の配置密度と電源供給能力との積で示される仮想電源線VVDDへの実際の電源供給能力を示す。式(4)の左辺"Ba×Wa"は、第1パラメータの一例である。式(4)の右辺"Bb×Wb"は、第2パラメータの一例である。
【0073】
この実施形態では、領域Rbにおける各電源線VDD(GL1)の幅Wbを領域Raにおける各電源線VDD(GL1)の幅Waより太くすることで、領域Rb、Raにおける仮想電源線VVDDへの実際の電源供給能力を互いに同等にすることができる。なお、領域Rbにおける電源スイッチ回路PSWのpチャネルトランジスタPの閾値電圧を、領域Rbにおける電源スイッチ回路PSWのpチャネルトランジスタPの閾値電圧より低く設定してもよい。
【0074】
また、第1の実施形態(図3)、第2の実施形態(図8)、後述する第4の実施形態(図10)および後述する第5の実施形態(図11)の1つまたは複数において、領域Rbの電源線VDD(GL1)の幅Wbを、領域Raの電源線VDD(GL1)の幅Waより太くしてもよい。また、領域Ra、RbがY方向に並べて配置される場合、領域Rbに設けられる電源線VDD(GL2)の幅を、領域Raに設けられる電源線VDD(GL2)の幅より太くしてもよい。
【0075】
以上、この実施形態においても上述した実施形態と同様の効果を得ることができる。例えば、バンプBMP(VDD)の配置密度Bbが領域Raに比べて低い領域Rbでの各電源線VDD(GL1)の幅Wbを、領域Raでの各電源線VDD(GL1)の幅Waより太くする。
【0076】
これにより、領域RbにおいてバンプBMP(VDD)と電源スイッチ回路LPSWとの間に設けられる電源線VDDの配線抵抗の上昇を抑制することができ、電源電圧VDDのIRドロップを軽減することができる。この結果、領域RbでのバンプBMP(VDD)の配置密度Bbが相対的に低い場合にも、領域Rbにおける仮想電源線VVDDへの実際の電源供給能力を、領域Raにおける仮想電源線VVDDへの実際の電源供給能力と同等以上にすることができる。
【0077】
(第4の実施形態)
図10は、第4の実施形態におけるスタンダードセルブロックSCBのレイアウトの概要を示す平面図である。図3に示したスタンダードセルブロックSCBと同様の要素については、同じ符号を付し詳細な説明は省略する。図10に示すスタンダードセルブロックSCBは、図1と同様に、半導体装置SEMの内部回路領域INTRに設けられ、図2と同じ回路構成を有する。
【0078】
この実施形態では、バンプBMP(VDD)の配置密度Ba、Bbは、図3と同様に、それぞれ"0.5"、"0.2"である。また、領域Rbに設けられる電源線VDD(GL1)および接地線VSS(GL1)の配置密度Dbのそれぞれは、領域Raに設けられる電源線VDD(GL1)および接地線VSS(GL1)の配置密度Daより高く設定される。
【0079】
すなわち、領域Rbに設けられる電源線VDD(GL1)および接地線VSS(GL1)の配置ピッチDbのそれぞれは、領域Raに設けられる電源線VDD(GL1)および接地線VSS(GL1)の配置ピッチDaより小さく設定される。
【0080】
例えば、領域Rbに設けられる電源線VDD(GL1)の数は、図3の領域Rbに設けられる電源線VDD(GL1)の数の4倍である。領域Rbに設けられる接地線VSS(GL1)の数は、図3の領域Rbに設けられる接地線VSS(GL1)の数の2倍である。なお、電源線VDD(GL1)は、半導体装置SEM内に積層して設けられてもよい。
【0081】
領域Rbに配置される電源スイッチ回路PSWの数Pbは、領域Raに配置される電源スイッチ回路PSWの数Paと等しい。領域Rb、Raにおける各スイッチトランジスタSWTのゲートGTの数Gb、Gaは互いに等しく、領域Rb、Raにおける各スイッチトランジスタSWTのフィンFINの数Fb、Faは互いに等しい。また、領域Ra、Rbに設けられる電源線VDD(GL1)の幅Wa、Wbは互いに等しい。スタンダードセルブロックSCBのその他の構成は、図3と同じである。
【0082】
この実施形態においても、領域Rbにおける仮想電源線VVDDへの実際の電源供給能力を、領域Raにおける仮想電源線VVDDへの実際の電源供給能力と同等にする条件は、上述した式(1)により求めることができる。式(1)において、バンプBMP(VDD)の配置密度Ba、Bbと、電源線VDD(GL1)の配置ピッチDa、Db以外の各要素は、左辺と右辺と同じであるため、式(1)は、式(5)に変形できる。
Ba×Da=Bb×Db …(5)
【0083】
式(5)の"Da"は、領域RaにおけるバンプBMP(VDD)の配置密度を考慮しない、回路単独での仮想電源線VVDDへの電源供給能力を示す。式(5)の"Db"は、領域RbにおけるバンプBMP(VDD)の配置密度を考慮しない、回路単独での仮想電源線VVDDへの電源供給能力を示す。
【0084】
式(5)の左辺"Ba×Da"は、バンプBMP(VDD)の配置密度と電源供給能力との積で示される仮想電源線VVDDへの実際の電源供給能力を示す。式(5)の右辺"Bb×Db"は、仮想電源線VVDDへの実際の電源供給能力を示す。式(5)の左辺"Ba×Da"は、第1パラメータの一例である。式(5)の右辺"Bb×Db"は、第2パラメータの一例である。
【0085】
この実施形態では、領域Rbにおける電源線VDD(GL1)の配置ピッチDbを、領域Raにおける電源線VDD(GL1)の配置ピッチDaより小さくすることで、領域Rb、Raにおける仮想電源線VVDDへの実際の電源供給能力を互いに同等にすることができる。なお、領域Rbにおける電源スイッチ回路PSWのpチャネルトランジスタPの閾値電圧を、領域Rbにおける電源スイッチ回路PSWのpチャネルトランジスタPの閾値電圧より低く設定してもよい。
【0086】
また、第1の実施形態から第3の実施形態(図3図8図9)の1つまたは複数において、領域Rbに設けられる電源線VDD(GL1)の配線ピッチDbを、領域Raに設けられる電源線VDD(GL1)の配線ピッチDaより小さくしてもよい。また、領域Ra、RbがY方向に並べて配置される場合、領域Rbに設けられる電源線VDD(GL2)の配線ピッチを、領域Raに設けられる電源線VDD(GL2)の配線ピッチより小さくしてもよい。
【0087】
以上、この実施形態においても上述した実施形態と同様の効果を得ることができる。例えば、バンプBMP(VDD)の配置密度Bbが領域Raに比べて低い領域Rbでの各電源線VDD(GL1)の配線ピッチDbを、領域Raでの各電源線VDD(GL1)の配線ピッチDaより小さくする。
【0088】
これにより、領域RbにおいてバンプBMP(VDD)と電源スイッチ回路LPSWとの間に設けられる電源線VDDの配線抵抗の上昇を抑制することができ、電源電圧VDDのIRドロップを軽減することができる。この結果、領域RbでのバンプBMP(VDD)の配置密度Bbが相対的に低い場合にも、領域Rbにおける仮想電源線VVDDへの実際の電源供給能力を、領域Raにおける仮想電源線VVDDへの実際の電源供給能力と同等以上にすることができる。
【0089】
(第5の実施形態)
図11は、第5の実施形態におけるスタンダードセルブロックSCBのレイアウトの概要を示す平面図である。図3に示したスタンダードセルブロックSCBと同様の要素については、同じ符号を付し詳細な説明は省略する。図11に示すスタンダードセルブロックSCBは、図1と同様に、半導体装置SEMの内部回路領域INTRに設けられ、回路ブロックは、図2と同様である。
【0090】
この実施形態では、バンプBMP(VDD)の配置密度Ba、Bbは、図3と同様に、それぞれ"0.5"、"0.2"である。また、領域Rbに設けられる電源線VDD(GL1)および接地線VSS(GL1)の配置密度Dbのそれぞれが、領域Raに設けられる電源線VDD(GL1)および接地線VSS(GL1)の配置密度Daより高く設定される。
【0091】
これにより、領域Rbに設けられる電源線VDD(GL1)の数を、領域Raに設けられる電源線VDD(GL1)の数より相対的に多くすることができ、配線抵抗を下げることができる。例えば、領域Rbに設けられる電源線VDD(GL1)の数は、図3の領域Rbに設けられる電源線VDD(GL1)の数の6倍である。領域Rbに設けられる接地線VSS(GL1)の数は、図3の領域Rbに設けられる接地線VSS(GL1)の数と等しい。なお、電源線VDD(GL1)は、半導体装置SEM内に積層して設けられてもよい。
【0092】
領域Rbに配置される電源スイッチ回路PSWの数Pbは、領域Raに配置される電源スイッチ回路PSWの数Paと等しい。領域Rb、Raにおける各スイッチトランジスタSWTのゲートGTの数Gb、Gaは互いに等しく、領域Rb、Raにおける各スイッチトランジスタSWTのフィンFINの数Fb、Faは互いに等しい。また、領域Ra、Rbに設けられる電源線VDD(GL1)の幅Wa、Wbは互いに等しい。スタンダードセルブロックSCBのその他の構成は、図3と同じである。
【0093】
この実施形態では、領域Rbにおける電源線VDD(GL1)の配置密度Dbを、領域Raにおける電源線VDD(GL1)の配置密度Daより高くすることで、領域Rb、Raにおける仮想電源線VVDDへの実際の電源供給能力を互いに同等にすることができる。なお、領域Rbにおける電源スイッチ回路PSWのpチャネルトランジスタPの閾値電圧を、領域Rbにおける電源スイッチ回路PSWのpチャネルトランジスタPの閾値電圧より低く設定してもよい。
【0094】
また、第1の実施形態から第3の実施形態(図3図8図9)の1つまたは複数において、領域Rbに設けられる電源線VDD(GL1)の配置密度Dbを、領域Raに設けられる電源線VDD(GL1)の配置密度Daより高くしてもよい。また、領域Ra、RbがY方向に並べて配置される場合、領域Rbに設けられる電源線VDD(GL2)の配置密度を、領域Raに設けられる電源線VDD(GL2)の配置密度より高くしてもよい。
【0095】
以上、この実施形態においても上述した実施形態と同様の効果を得ることができる。例えば、バンプBMP(VDD)の配置密度Bbが領域Raに比べて低い領域Rbでの各電源線VDD(GL1)の配置密度Dbを、領域Raでの各電源線VDD(GL1)の配線密度Daより高くする。
【0096】
これにより、領域RbにおいてバンプBMP(VDD)と電源スイッチ回路LPSWとの間に設けられる電源線VDDの配線抵抗の上昇を抑制することができ、電源電圧VDDのIRドロップを軽減することができる。この結果、領域RbでのバンプBMP(VDD)の配置密度Bbが相対的に低い場合にも、領域Rbにおける仮想電源線VVDDへの実際の電源供給能力を、領域Raにおける仮想電源線VVDDへの実際の電源供給能力と同等以上にすることができる。
【0097】
以上、各実施形態に基づき本発明の説明を行ってきたが、上記実施形態に示した要件に本発明が限定されるものではない。これらの点に関しては、本発明の主旨をそこなわない範囲で変更することができ、その応用形態に応じて適切に定めることができる。
【符号の説明】
【0098】
BMP バンプ
CNTL 制御回路
FIN フィン
GL1、GL2 グローバル配線層
GT ゲート
IN1、IN2 入力端子
INS 絶縁膜
INTR 内部回路領域
IOC、IOCP I/Oセル
IV1、IV2 インバータ
LI ローカル配線
M1、M2 配線層
OUT1、OUT2 出力端子
P pチャネルトランジスタ
PAD パッド
PSW、LPSW 電源スイッチ回路
Ra、Rb 領域
SCA スタンダードセル領域
SCB スタンダードセルブロック
SEM 半導体装置
SIG 信号
STI 絶縁膜
SUB 半導体基板
SWCNT スイッチ制御信号
SWT スイッチトランジスタ
VDD、VDDM 電源線
VIA1、VIA2 ビア
VIA-G1、VIA-G2 ビア
VSS 接地線
VVDD 仮想電源線
WBRD 配線基板
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11