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特開2024-27799両開き扉対向部の電磁シールド構造および両開き扉
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  • 特開-両開き扉対向部の電磁シールド構造および両開き扉 図1
  • 特開-両開き扉対向部の電磁シールド構造および両開き扉 図2
  • 特開-両開き扉対向部の電磁シールド構造および両開き扉 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024027799
(43)【公開日】2024-03-01
(54)【発明の名称】両開き扉対向部の電磁シールド構造および両開き扉
(51)【国際特許分類】
   E06B 7/22 20060101AFI20240222BHJP
   E06B 5/00 20060101ALI20240222BHJP
   H05K 9/00 20060101ALI20240222BHJP
【FI】
E06B7/22 F
E06B5/00 Z
H05K9/00 Q
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022130903
(22)【出願日】2022-08-19
(71)【出願人】
【識別番号】594052755
【氏名又は名称】サンレイズ工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100085316
【弁理士】
【氏名又は名称】福島 三雄
(74)【代理人】
【識別番号】100171572
【弁理士】
【氏名又は名称】塩田 哲也
(74)【代理人】
【識別番号】100213425
【弁理士】
【氏名又は名称】福島 正憲
(74)【代理人】
【識別番号】100221707
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 洋介
(74)【代理人】
【識別番号】100104259
【弁理士】
【氏名又は名称】寒川 潔
(74)【代理人】
【識別番号】100224915
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 茉友
(72)【発明者】
【氏名】西澤 賢志
【テーマコード(参考)】
2E036
2E239
5E321
【Fターム(参考)】
2E036AA07
2E036BA01
2E036CA03
2E036DA09
2E036EA03
2E036EB02
2E036GA07
2E036HB15
2E239AC02
5E321AA45
5E321AA50
5E321CC16
5E321CC22
5E321GG05
(57)【要約】
【課題】両開き扉対向部の電磁シールドを簡易な構造で安価に実現できる両開き扉対向部の電磁シールド構造および両開き扉を提供する。
【解決手段】2枚の扉3が蝶番4を支点として回動可能に設けられた両開き扉1において、扉3の先端側が互いに向き合う対向部の電磁シールド構造であって、扉3の先端側端面のそれぞれに、扉3の高さ方向の全長にわたり、扉3を閉鎖したときに相互に接触して弾性変形しながら扉3の先端側の間隙Gを塞いで電磁シールドを形成する弾性フラップ52を備えたシール材5を配置する。これにより、扉3を閉じることで、シール材5によって扉3の対向部が電磁シールドされる。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
蝶番を支点として回動可能に設けられた2枚の扉で開口部を閉鎖する両開き扉において、前記扉が閉鎖状態にあるときに、前記扉の先端側が互いに向き合う対向部の電磁シールド構造であって、
前記扉の先端側端面のそれぞれに、前記扉の高さ方向の全長にわたり、前記扉を閉鎖したときに、相互に接触して弾性変形しながら前記扉の先端側端面間に形成される間隙を塞いで前記対向部の電磁シールドを形成する弾性フラップを有するシール材が配置されている
ことを特徴とする両開き扉対向部の電磁シールド構造。
【請求項2】
前記2枚の扉のうち、少なくとも一方の扉に配置された前記弾性フラップは、当該一方の扉の先端側端面から正面側または背面側に向かって斜めに起立して設けられていることを特徴とする請求項1に記載の両開き扉対向部の電磁シールド構造。
【請求項3】
前記シール材は、前記扉の先端側端面に取り付けられる基台部と、この基台部から斜めに起立して設けられた弾性フラップとを有して構成されることを特徴とする請求項1に記載の両開き扉対向部の電磁シールド構造。
【請求項4】
前記シール材は、前記扉の先端側端面に交換可能に取り付けられていることを特徴とする請求項1または2に記載の両開き扉対向部の電磁シールド構造。
【請求項5】
蝶番を支点として回動可能に設けられた2枚の扉で開口部を閉鎖する両開き扉であって、前記扉を閉鎖したときに、前記扉の先端側が互いに向き合う対向部の電磁シールド構造として請求項4に記載の両開き扉対向部の電磁シールド構造を備えていることを特徴とする両開き扉。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、両開き扉対向部の電磁シールド構造および両開き扉に関し、より詳細には、無線通信機器が使用される劇場やスタジオなどの出入口に適した両開き扉の電磁シールド技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、劇場、映画館、スタジオなど大勢の人員を収容する施設では、スタッフ間の連絡や観客向けのガイド放送などに無線通信(たとえば、インターカムやワイヤレスイヤホンなど)が使用されることが多くなっており、それに伴って、これらの無線通信の電波が室外に漏れ出さないように、室内と室外の仕切り部分に電磁シールドが設けられるようになっている。
【0003】
電磁シールドは、周知のとおり、部屋の周囲(天井、床、壁など)に電磁波を遮断する導体(たとえば、導電性を有する金網やシート材など)を配置することにより構成される。一方、劇場、映画館、スタジオなど無線通信が使用される施設では、大勢の人が出入りし易いように、出入口には両開き扉が用いられることが多い。そのため、この種の施設に用いられる両開き扉には、電磁シールド構造が備えられている(たとえば、特許文献1参照)。
【0004】
特許文献1は、両開き扉の召し合わせ部(2枚の扉の先端側が互いに向き合う対向部)の電磁シールド構造を開示している。特許文献1の電磁シールド構造は、扉本体を扉枠に押し込む(扉を閉じる)ことで扉本体に設けられた駆動カムを作動させ、これにより、扉本体の先端側に収容されたシール材を突出横移動させて互いのシール材を突き合わせて、召し合わせ部に電磁シールドを施すようになっている。そして、扉を開いて電磁シールドを解除するときには、駆動カムを作動前の状態に復帰させることでシール材を退入横移動させ、これにより、シール材を扉本体内に収容している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005-240322号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、このような従来のやり方には以下の問題があった。
(1)扉の開閉に連動する駆動カムを使ってシール材を出し入れする(突出・退入させる)構造は、シール材の出し入れに関する機構が複雑となるため、扉本体の製造コストが高くなるとともに、当該機構部分のメンテナンスも必要になることから、扉設置後の維持費も高額になるという問題がある。
【0007】
(2)扉本体を扉枠に押し込むことで駆動カムを作動させる構造は、扉本体を扉枠にしっかりと押し込まなければシール材がが作動しないため、扉本体を扉枠側に付勢する機構(たとえば、ドアハンドルなど)を設ける必要が生じる。そのため、扉本体の部品点数が増加し、この点も製造コストや維持費を上昇させる要因になっていた。
【0008】
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、両開き扉対向部の電磁シールドを簡易な構造で安価に実現できる両開き扉対向部の電磁シールド構造および両開き扉を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、本発明に係る両開き扉対向部の電磁シールド構造は、蝶番を支点として回動可能に設けられた2枚の扉で開口部を閉鎖する両開き扉において、上記扉が閉鎖状態にあるときに、上記扉の先端側が互いに向き合う対向部の電磁シールド構造であって、上記扉の先端側端面のそれぞれに、上記扉の高さ方向の全長にわたり、上記扉を閉鎖したときに、相互に接触して弾性変形しながら上記扉の先端側端面間に形成される間隙を塞いで上記対向部の電磁シールドを形成する弾性フラップを有するシール材が配置されていることを特徴とする。
【0010】
そして、好適な実施態様として、以下の特徴を有している。
(1)上記2枚の扉のうち、少なくとも一方の扉に配置された上記弾性フラップは、当該一方の扉の先端側端面から正面側または背面側に向かって斜めに起立して設けられていることを特徴とする。
【0011】
(2)上記シール材は、上記扉の先端側端面に取り付けられる基台部と、この基台部から斜めに起立して設けられた弾性フラップとを有して構成されることを特徴とする。
【0012】
(3)上記シール材は、上記扉の先端側端面に交換可能に取り付けられていることを特徴とする。
【0013】
また、本発明に係る両開き扉は、蝶番を支点として回動可能に設けられた2枚の扉で開口部を閉鎖する両開き扉であって、上記扉を閉鎖したときに、上記扉の先端側が互いに向き合う対向部の電磁シールド構造として上述の両開き扉対向部の電磁シールド構造を備えていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、2枚の扉の先端側が互いに向き合う対向部の電磁シールド構造が、2枚の扉の先端側端面のそれぞれに、上記扉の高さ方向の全長にわたり、弾性フラップを有するシール材を配置することによって構成されるので、極めて簡易かつ安価な構成によって両開き扉対向部の電磁シールドを提供することができる。
【0015】
しかも、この電磁シールドは、2枚の弾性フラップが相互に接触して弾性変形することで形成されるので、電磁シールドの形成に際して、扉を付勢する機構のような特別な構造は必要なく、また、電磁シールド構造の維持に特別なメンテナンスも必要としない。そのため、本発明によれば、製造コストや維持費の上昇を最小限に抑制しつつ両開き扉対向部に電磁シールド機能を付与することができる。
【0016】
また、本発明は、上記2枚の扉のうち、少なくとも一方の扉に配置された弾性フラップが、当該一方の扉の先端側端面から斜めに起立して設けられているので、当該扉を閉鎖としたときに、斜めに起立した弾性フラップが他方の扉の弾性フラップと接触し易い。そのため、両開き扉対向部の電磁シールド確実に施すことができる。
【0017】
また、上記シール材が上記扉の先端側端面に交換可能に取り付けられているので、たとえば、シール材の経年劣化によって電磁シールド作用が低下したようなときには、シール材を交換することによって容易かつ簡単に電磁シールド作用を維持することができる。すなわち、簡単なメンテナンス作業で両開き扉の電磁シールド機能を安価に維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明に係る両開き扉対向部の電磁シールド構造の一例を示しており、図1(a)は、同電磁シールド構造を備えた両開き扉を閉鎖した状態を模式的に示した横断面図を、図1(b)は、同両開き扉を開放した状態を模式的に示した横断面図を示している。
図2】同電磁シールド構造におけるシール材の概略構成の一例を示しており、図2(a)は、断面略ト字状に形成されたシール材を、図2(b)は断面略レ字状に形成されたシール材を示している。
図3】本発明に係る両開き扉対向部の電磁シールド構造の他の一例を示しており、図3(a)は当該電磁シールド構造を備えた両開き扉を閉じた状態を模式的に示した横断面図を、図3(b)は同両開き扉を開いた状態を模式的に示した横断面図を示している。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、図面全体にわたって同一の符号は同一の構成部材または要素を示している。
【0020】
実施形態1
図1は、本発明を適用した両開き扉1の概略構成を示している。
両開き扉1は、電磁シールドが施された部屋の出入口に用いられる扉であって、当該扉自体も電磁シールドの一部を構成するようになっている。この両開き扉1は、電磁シールドが施された劇場、映画館、スタジオなど、大勢の人が出入りする部屋の出入口用の扉として好適に用いられる。
【0021】
両開き扉1は、戸枠2と、2枚の扉3とを主要部として構成される。
戸枠2は、室内への出入口となる開口部10を形成する矩形状の枠体であって、図示しない上枠および下枠と、左右の縦枠2a,2bとで構成されている。
【0022】
そして、この戸枠2は、扉3とともに電磁シールドを構成することから、その全部または一部に導電性材料(たとえば、金属製材料など)が用いられており、扉3とともに上記開口部10から電磁波が室外に漏れ出すのを防止するようになっている。そのため、戸枠2は、直接または隣接する壁(より正確には、壁中に配設される金網などの導電性製材料)を介して電気的に接地されている。
【0023】
また、図1に示すように、戸枠2には、その内周面に導電性を有する戸当り21が設けられている。戸当り21は、扉3が室内に向かって開くのを防止する部材であって、戸枠2の内周面から内側に突出状態で設けられている。戸当り21は、少なくとも戸枠2の左右の縦枠2a,2bに設けられるが、図示しない上枠および/または下枠にも設けられていてもよい。
【0024】
本実施形態では、この戸当り21には、シールドガスケット22が配設されている。シールドガスケット22は、扉3を閉鎖(開口部10を閉鎖)したときに、戸当り21と扉3とを電気的に導通させる部材であって、本実施形態では、導電性を有し、かつ、弾性と復元力を有するガスケットが用いられている。そして、このシールドガスケット22は、戸当り21の扉3側の面に配設されており、扉3を閉鎖することで、扉3と戸当り21との間に挟まれて弾性変形し、これによって、扉3および戸枠2の双方と接触して両者を導通状態とするようになっている。
【0025】
ここで、このシールドガスケット22は、左右の縦枠2a,2bの高さ方向の全長にわたって配設される。戸枠2の上枠および/または下枠にも戸当り21が設けられる場合には、これら上枠、下枠のそれぞれにも左右方向の全長にわたってシールドガスケット22が配設される。
【0026】
なお、シールドガスケット22は、導電性を有し、かつ、弾性と復元力を有するガスケットであれば、たとえば、スポンジ片の周囲を金網で覆ってなる金属メッシュ型のガスケットや、導電性材料が混入された樹脂成型品のガスケットなどが好適に使用される。
【0027】
扉3は、左右一対の扉本体3a,3bで構成される。
扉本体3a,3bは、両開き扉1の各扉を構成する部材であって、これら扉本体3a,3bによって開口部10が閉鎖されるようになっている。本実施形態では、これら扉本体3a,3bは、いずれも正面視矩形状を呈する厚みのある金属製の箱状体で構成されており、その内部には、図示しない吸音材などの機能材が充填・配設されている。
【0028】
扉本体3a,3bは、図1に示すように、基端側の端部がそれぞれ蝶番4によって戸枠2(縦枠2a,2b)と連結されており、この蝶番4を支点として、各扉本体3a,3bがそれぞれ回動可能に戸枠2に取り付けられている(図1(a),(b)参照)。
【0029】
ここで、本発明に係る両開き扉1では、扉本体3a,3bの先端側が互いに向き合う対向部に間隙Gが形成されるように、扉本体3a,3bが戸枠2に取り付けられている。この間隙Gは、扉3を閉鎖したときに、シール材5によって閉塞される隙間であって、この間隙Gは、たとえば、扉本体3a,3bの先端側端面間に数mm乃至十数mm程度の空間が形成されるように設けられている。
【0030】
シール材5は、扉本体3a,3bの先端側の対向部に電磁シールドを形成する部材であって、このシール材5には、扉3を閉鎖したとき(開口部10を閉鎖したとき)に、相互に接触して弾性変形しながら間隙Gを塞ぐ弾性フラップ52を備えている。
【0031】
具体的には、シール材5は、当該シール材5を扉3に取り付ける際の取付しろとなる基台部51と、基台部51から起立して設けられる弾性フラップ52とを備えており、本実施形態では、このシール材5は、導電性材料(たとえば、銀などの金属粉)が混入された弾性を有する樹脂の成型品で構成されている。
【0032】
図2は、このようなシール材5の一例を示している。図2(a)は、基台部51と弾性フラップ52とが略ト字状に配置されたシール材を、また、図2(b)は、基台部51と弾性フラップ52とが略レ字状に配置されたシール材を示しており、いずれのシール材も弾性フラップ52は基台部51から斜めに起立して設けられている。なお、このシール材5は、図2の紙面に対して垂直方向の寸法が長い長尺の部材である。
【0033】
このように構成されたシール材5は、扉本体3a,3bの各先端側端面に、その高さ方向の全長にわたって配設される。より詳細には、シール材5の基台部51が扉本体3a,3bの先端側端面に交換可能、すなわち、取り外し可能に取り付けられている。たとえば、接着またはねじ止め等の方法で取り付けられるが、いずれの取付方法による場合においても、シール材5は扉本体3a,3bと電気的に導通するように取り付けられている。
【0034】
また、各扉本体3a,3bへのシール材5の取り付けは、図1(a)に示すように、扉3を閉鎖することによって、左右の扉本体3a,3bに取り付けられたシール材5の弾性フラップ52が交差するように、すなわち、扉3を閉鎖することによって左右の弾性フラップ52の先端付近が相互に接触し、弾性変形するように取り付けられている(なお、説明の都合上、図1(a)では、弾性フラップ52の取り付け状態(特に、弾性フラップ52の斜め起立状態)が理解できるように、弾性変形を無視して描いている)。
【0035】
なお、このシール材5の取り付けにあたり、図示例では、弾性フラップ52が扉3の背面側(室内側)に向かって斜めに起立するようにシール材5を取り付けた場合を示したが(図1(a)参照)、これとは反対に、弾性フラップ52が扉の正面側(室外側)に向かって斜めに起立すようにシール材5を取り付けてもよい。
【0036】
しかして、このように構成された両開き扉1では、扉3を閉鎖することにより、シール材5の弾性フラップ52が相互に接触して弾性変形しながら扉3の高さ方向の全長にわたって間隙Gを塞ぐことになるので、扉本体3a,3b間の隙間Gに対して、シール材5による電磁シールドが施される。すなわち、扉3の先端側が互いに向き合う対向部の電磁シールドが形成される(図1(a)参照)。
【0037】
一方、扉3を開放することにより、弾性変形しながら隙間Gを塞いでいた弾性フラップ52の接触状態が解除され、これにより、対向部の電磁シールドが解除される(図1(b)参照)。
【0038】
このように、本発明によれば、2枚の扉3の先端側が互いに向き合う対向部の電磁シールド構造が、2枚の扉3の先端側端面のそれぞれに、扉3の高さ方向の全長にわたり、弾性フラップ52を有するシール材5を配置することによって構成されるので、極めて簡易かつ安価な構成で、両開き扉対向部の電磁シールドを提供できる。
【0039】
しかも、この電磁シールドは、2枚の弾性フラップ52が相互に接触して弾性変形することで形成されるので、電磁シールドの形成に際して、扉3を付勢する機構(たとえば、グレモンハンドルのようなハンドル機構)は必要としない。そのため、部品点数の増加を伴うことなく安価に両開き扉対向部の電磁シールド構造を提供することができる。加えて、複雑な機構を必要としないので、電磁シールド構造の維持に際して特別なメンテナンスも必要とせず、維持費を安価に抑制することができる。
【0040】
さらに、シール材5が扉3に交換可能に取り付けられることで、たとえば、シール材の経年劣化によって電磁シールド作用が低下したようなときには、シール材5を交換することで容易かつ簡単に電磁シールド作用を維持することができる。
実施形態2
【0041】
次に、本発明の他の実施形態について、図3に基づいて説明する。
図3は、実施形態1に示した両開き扉1のシール材5の弾性フラップ52の形状を改変した両開き扉1を示しており、弾性フラップの形状以外の構成は上述した実施形態1と共通する。したがって、構成が共通する部分には同一符号を付して説明を省略する。
【0042】
この実施形態では、シール材5の弾性フラップ53は、シール材5の基台部51から略垂直に起立して設けられている。このように弾性フラップ53を基台部51から垂直に起立させる構造は、シール材5の構造が単純であり、シール材5として市販のガスケットを使用できることから、製造コストをより安価に抑制することができる。しかしその一方で、図3のような構成では、扉3の閉鎖時に、弾性フラップ53が他方の弾性フラップ53と確実に接触せず接触不良を起こすおそれがある。
【0043】
そのため、たとえば、2枚の扉本体3a,3bのうち、一方の扉(たとえば、扉本体3a)に配置する弾性フラップを基台部51から正面側または背面側に向かって斜めに起立した弾性フラップ52の形態とし、他方の扉(たとえば、扉本体3b)に配置する弾性フラップは基台部51から垂直に起立する弾性フラップ53とすることで、扉3を閉鎖としたときに、斜めに起立した弾性フラップ52が他方の扉の弾性フラップ53と確実に接触することになる。つまり、少なくとも一方の扉3に配置する弾性フラップを斜めに起立した弾性フラップ52とすることで、両開き扉1の対向部の電磁シールド確実に実施することができるようになる。
【0044】
なお、上述した実施形態はあくまでも本発明の好適な実施態様を示すものであって、本発明はこれらに限定されることなくその範囲内で種々の設計変更が可能である。
【0045】
たとえば、上述した実施形態では、導電性材料を混入してなる樹脂の成型品でシール材5を構成した場合を示したが、シール材5は、弾性変形可能な弾性フラップ52,53が基台部51から起立して設けられる構成であれば樹脂以外の材料、たとえば、ゴムで構成されていてもよい。
【0046】
また、上述した実施形態では、シール材5として、基台部51と弾性フラップ52とが略ト字状または略レ字状に配置された場合を図示したが、基台部51から弾性フラップ52が起立して設けられる構造であれば、シール材5はこれら以外の形状で構成されていてもよい。
【0047】
また、上述した実施形態では、扉本体3a,3bを中空の金属製の箱状体で構成として構成し、内部に吸音材を充填した場合を示したが、扉本体3a,3bの内部には吸音材以外の機能材が充填されていてもよい。また、扉本体3a,3bは、電磁シールドを構成できるように導電性材料が配置された構造であれば、その全体が金属製で構成されていなくてもよい。
【符号の説明】
【0048】
1 両開き扉
2 戸枠
2a,2b 縦枠
21 戸当り
22 シールガスケット
3 扉
3a,3b 扉本体
4 蝶番
5 シール材
51 基台部
52,53 弾性フラップ
G 間隙
図1
図2
図3