IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 積水樹脂株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-塀 図1
  • 特開-塀 図2
  • 特開-塀 図3
  • 特開-塀 図4
  • 特開-塀 図5
  • 特開-塀 図6
  • 特開-塀 図7
  • 特開-塀 図8
  • 特開-塀 図9
  • 特開-塀 図10
  • 特開-塀 図11
  • 特開-塀 図12
  • 特開-塀 図13
  • 特開-塀 図14
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024027800
(43)【公開日】2024-03-01
(54)【発明の名称】塀
(51)【国際特許分類】
   E04H 17/16 20060101AFI20240222BHJP
【FI】
E04H17/16 104
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022130905
(22)【出願日】2022-08-19
(71)【出願人】
【識別番号】000002462
【氏名又は名称】積水樹脂株式会社
(72)【発明者】
【氏名】上田 樹
【テーマコード(参考)】
2E142
【Fターム(参考)】
2E142AA01
2E142AA03
2E142DD13
2E142DD23
2E142EE02
2E142EE12
2E142HH01
2E142HH12
2E142HH22
(57)【要約】
【課題】パネルを支柱へ強固に取り付けることができる塀を提供する。
【解決手段】パネルを架設する支柱の外面に雌ねじ部材を溶接によって固定し、この雌ねじ部材へ螺結する雄ねじ部材によって支持部材を支柱に取り付け、この支持部材へパネルの縦枠を取り付けており、支持部材は前記雌ねじ部材へ接続する接続部と、この接続部の幅方向の両側にそれぞれ配置する当接部を備え、この当接部の端部を支柱の外面近傍に配置させて当接させる、又は当接可能とする。強風を受けるなどの要因でパネルが強い外力を受けたときに、支持部材へ伝達された力が前記当接部を介して支柱外面へ分散されて、前記雄ねじ部材や雌ねじ部材への力の集中が抑制されるので、各ねじ部材の折損や破損などが生じにくく、前記パネルが支柱から脱離しにくくなされる。
【選択図】 図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
間隔をあけて立設された支柱と、該各支柱の間に架設されたパネルを備える塀であって、
前記支柱は、外面に雌ねじ部材が溶接によって固定され、該雌ねじ部材へ螺結する雄ねじ部材によって支持部材が前記支柱に取り付けられ、前記支持部材へ前記パネルの縦枠が取り付けられており、
前記支持部材は、前記雄ねじ部材によって前記雌ねじ部材へ接続する接続部と、該接続部の幅方向の両側にそれぞれ配置されて支柱へ向かう当接部を備え、該各当接部の端部が前記支柱の外面近傍に配置されて該外面へ当接している、又は当接可能となされていることを特徴とする塀。
【請求項2】
前記支持部材は、前記雄ねじ部材によって前記雌ねじ部材へ接続する接続部の幅方向の両側にそれぞれ配置されてパネルの縦枠へ向かう取付部を備えており、前記縦枠は前記各取付部に当接されて前記支持部材へ取り付けられていることを特徴とする請求項1に記載の塀。
【請求項3】
前記支持部材は、前記各取付部の根元にそれぞれ筒壁部を備え、該各筒壁部は内側の中空部の全周を囲う筒状に形成されると共に、前記接続部の一部が前記各筒壁部の筒壁をそれぞれ構成していることを特徴とする請求項2に記載の塀。
【請求項4】
前記各当接部が前記各筒壁部の近傍にそれぞれ形成されていることを特徴とする請求項3に記載の塀。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば住宅やマンション等の敷地境界や、鉄道や道路等と住宅地等との境界部に沿って立設される塀に関するものである。
【背景技術】
【0002】
間隔をあけて配置した支柱間にパネルを取り付けて形成する塀は従来から利用されている。支柱間にパネルやビームなどを取り付ける塀や柵においては、パネル等を支柱へ取り付ける構成について種々の発明がなされている。
【0003】
例えば、特許文献1には、支柱の間に横材を結合部材を用いて取り付けてあり、結合部材は横材の端部を覆う構造であって、支柱に結合部材を支柱の軸線のまわりに移動・固定自在に取付け、結合部材に横材の端部を水平軸のまわりに回動自在に連結してあることを特徴とした柵の発明が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10-205175号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に示される柵1は、断面円形の支柱2にボルト15をねじ込む雌ねじ孔5を複数個設け、このボルト15と雌ねじ孔5を利用して横材3の端部の結合部材4を支柱2へ取付ける構成が請求項5や図2等に示されている。しかしながら、前記雌ねじ孔5を支柱2の筒壁に形成しているので、横材が外力を受けたときに雌ねじ部分が破損してボルトが脱離するなどの問題が懸念された。
【0006】
本発明は、パネルを支柱へ強固に取り付けることができる塀を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明は以下のような構成としている。
すなわち本発明に係る塀は、間隔をあけて立設された支柱と、該各支柱の間に架設されたパネルを備える塀であって、前記支柱は、外面に雌ねじ部材が溶接によって固定され、該雌ねじ部材へ螺結する雄ねじ部材によって支持部材が前記支柱に取り付けられ、前記支持部材へ前記パネルの縦枠が取り付けられており、前記支持部材は、前記雄ねじ部材によって前記雌ねじ部材へ接続する接続部と、該接続部の幅方向の両側にそれぞれ配置されて支柱へ向かう当接部を備え、該各当接部の端部が前記支柱の外面近傍に配置されて該外面へ当接している、又は当接可能となされていることを特徴とするものである。
【0008】
本発明に係る塀によれば、パネルの端部を取り付ける支柱の外面に雌ねじ部材を固定するので、支柱の内側に雌ねじ部材を配置する場合よりも容易に雌ねじを支柱へ設けることができる。また、支柱の外面へ前記雌ねじ部材を溶接によって固定するので、雌ねじ部材を支柱へ強固に固定することができる。また、前記雌ねじ部材に螺結する雄ねじ部材によって支持部材を前記支柱に取り付け、前記支持部材へ前記パネルの縦枠を取り付けるので、支柱へ強固に取り付けた支持部材を介してパネルを支柱へ取り付けることができる。
また、前記支持部材が、前記雄ねじ部材によって前記雌ねじ部材へ接続する接続部と、この接続部の幅方向の両側にそれぞれ配置して支柱へ向かう当接部を備え、この各当接部の端部を前記支柱の外面近傍に配置してこの外面へ当接させる、又は当接可能とするので、支持部材がパネルから受ける力が当接部の当接部分を介して支柱の外面へ至るようになされる。このように支持部材を設けることで、強風を受けるなどの要因でパネルが強い外力を受けたときに、支持部材へ伝達された力が前記当接部を介して支柱外面へ分散されて、前記雄ねじ部材や雌ねじ部材への力の集中が抑制されるので、各ねじ部材の折損や破損などが生じにくく、前記パネルが支柱から脱離しにくくなされる。
【0009】
また、前記雄ねじ部材によって前記雌ねじ部材へ接続する接続部と、この接続部の幅方向の両側にそれぞれ配置してパネルの縦枠へ向かう取付部を前記支持部材に設け、前記縦枠を前記各取付部に当接させて前記支持部材へ取り付ければ、縦枠を支持部材へより強固に取り付けることができるので、好ましい。
【0010】
また、前記各取付部の根元にそれぞれ筒壁部を備えさせ、この各筒壁部を内側の中空部の全周を囲う筒状に形成すると共に、前記接続部の一部で前記各筒壁部の筒壁をそれぞれ構成させれば、取付部と接続部とが接続している部分の剛性が向上して変形しにくくなされる。このように支持部材を設けることで、外力を受けたパネルから伝達される力が前記各取付部を介して接続部へ至り、更に前記当接部を介して支柱の外面へ分散されるので、前記雄ねじ部材や雌ねじ部材の折損や破損などが抑制され、好ましい。
【0011】
また、前記各当接部を前記各筒壁部の近傍にそれぞれ形成すれば、外力を受けたパネルから伝達される力が前記各取付部を介して前記各当接部へ伝達されやすくなされるので、前記当接部を介して伝達される支柱外面への力の分散の効果が向上し、前記雄ねじ部材や雌ねじ部材の折損や破損などが抑制され、好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明の塀によれば、パネルを支柱へ強固に取り付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明に係る塀の実施の一形態を示す正面図である。
図2図1の平面図である。
図3】支柱付近の横断面を示す図1のA-A断面図である。
図4図1のパネルを示す正面図である。
図5】パネルの上枠付近の縦断面を示す図4のA-A断面図である。
図6】パネルの縦枠付近の横断面を示す図4のB-B断面図である。
図7図3の当接部材を示す平面図である。
図8図3の取付部材を示す平面図である。
図9図3の支柱を示す正面図である。
図10】支柱の横断面を示す図9のA-A断面図である。
図11図10の支柱へ図7の当接部材と図8の取付部材を取り付ける前の状態を示す図である。
図12図11の支柱へ支持部材を取り付けた状態を示す図である。
図13図12の支持部材へ図6の縦枠を当接させた状態を示す図である。
図14】支柱付近の横断面を示す図1のB-B断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の実施の形態を図面に基づき具体的に説明する。
図1は本発明に係る塀Wの実施の一形態を示す正面図であり、図2図1の平面図である。
以降の説明において、図1の図中上下方向を縦方向とし、縦方向に対して垂直な図中左右方向を横方向とする。
また、後述するパネル1や支持部材Sの説明において、縦方向と横方向とに対して垂直な方向を幅方向とする。
図1、2に示す塀Wは、設置面Gに間隔をあけて立設させた支柱9の間にパネル1を架設させている。パネル1は縦方向へ2個段積み状に配置して各支柱9へ取り付けている。
【0015】
図1、2に示す塀Wは、平面視円形の外形に設けた支柱9Aの横方向左側に平面視矩形の外形に設けた支柱9Bを配置し、各支柱9A、9Bの間にパネル1Aを縦方向に2個並べて架設させている。更に、この支柱9Bの横方向左側にパネル1Cを2個配置して、その端部を支柱9Bへ取り付けている。
また、図2に示すように、前記支柱9Aの平面視右斜め方向に支柱9Bを配置し、この支柱9Bと支柱9Aとの間にパネル1Bを縦方向に2個並べて架設させている。更に、この支柱9Bの平面視右斜め方向へパネル1Cを2個配置して、その端部を支柱9Bへ取り付けている。
【0016】
各パネル1Aは、矩形平板状の板体10を有し、その縦方向両端に上枠2A、下枠2Bを配置し、横方向両端に縦枠3を配置して、それぞれ取り付けている。
各パネル1B、1Cは、それぞれパネル1Aと同一形状に形成している。
【0017】
図3は支柱9A付近の横断面を示す図1のA-A断面図である。
各パネル1Aは前記縦枠3を支柱9Aへ接続させており、具体的には、支柱9Aへ取り付けた支持部材Sを介して縦枠3を前記支柱9Aへ取り付けている。
前記支持部材Sは、取付部材7と当接部材8とを備えている。それぞれ別体に形成した取付部材7と当接部材8は六角ボルトからなる雄ねじ部材B1によって支柱9Aへ取り付けている。前記雄ねじ部材B1は支柱9Aの外面へ溶接によって固定した雌ねじ部材91へ螺結させている。
前記縦枠3はねじB2によって取付部材7へ取り付けており、ねじB2は取付部材7に固定した雌ねじ部材Nへ螺結させている。
尚、図3に示すパネル1Bは、パネル1Aと同様に上記の方法によって、支持部材Sを介して縦枠3を支柱9Aへ取り付けている。
【0018】
図4図1のパネル1Aを示す正面図であり、図5はパネル1Aの上枠2A付近の縦断面を示す図4のA-A断面図である。
パネル1Aの板体10は、全体の厚みが均一な平板であり、ポリカーボネート樹脂で形成している。板体10の端部にはビスを幅方向へ螺挿して取り付けており、幅方向の大きさが板厚よりも大きな抜止部11を形成している。抜止部11は、板体10の四辺の端部にそれぞれ複数箇所ずつ形成している。
【0019】
上枠2Aは、略矩形の断面形状を有する長尺体であり、金属材料で形成している。具体的には、アルミニウムの押出形材で形成しており、横方向へ向けた長手方向の全長に亘って同じ断面形状に設けている。
上枠2Aには、板体10の端部を挿入して内部に収納する溝20を形成している。
溝20は開口縁付近の溝幅よりも大きな溝幅に設けた部位を溝内部に有する袋溝状に形成しており、その開口部分の溝幅の大きさを前記板体10の板厚よりも大きく設け、前記抜止部11の幅方向の大きさよりも小さく設けている。このように上枠2Aを設けることで、溝20の内部からの板体10の端部の脱抜が規制されている。
【0020】
前記板体10の端部と上枠2Aとの間には、パッキンPを配置して取り付けている。
パッキンPは、略帯状のシート状に形成しており、溝20の内部に挿入した板体10の端部の略全体を覆うように取り付けている。パッキンPを取り付けることにより、溝20の内部への水や砂、埃などの侵入を抑制できる。また、パッキンPが溝20の開口縁部分と板体10の板面とへ当接することにより、上枠2Aに対する板体10の移動が抑制され、溝20の内部からの板体10の端部の脱抜が規制される。また、パッキンPが溝20の開口縁部分と板体10の板面とへ当接することにより、風などを受けたときの板体10の振動や音の発生を抑制できる。
尚、図4に示す下枠2Bは、前記上枠2Aと同一形状に形成しており、上枠2Aと同様に上記の方法で板体10へ取り付けている。
【0021】
図6はパネル1Aの縦枠3付近の横断面を示す図4のB-B断面図である。
縦枠3は、長手方向を縦方向へ向けた長尺体であり、第一枠材4、第二枠材5、連結枠材6を有している。
異なる断面形状に形成した第一枠材4、第二枠材5、及び連結枠材6はそれぞれアルミニウムの押出形材で形成しており、長手方向において各々の断面形状を全長に亘り同じ形状に設けている。
【0022】
縦枠3は、第一枠材4と第二枠材5をそれぞれ連結枠材6へ取り付け、ビスB3で固定することで一体的に構成している。
縦枠3は、前記第一枠材4と第二枠材5との間に溝30を形成しており、溝30はその開口縁付近の溝幅よりも大きな溝幅に設けた部位を溝内部に有する袋溝形状に形成している。溝30は、上枠2Aの前記溝20と同様に、その開口部分の溝幅の大きさを前記板体10の板厚よりも大きく設け、前記抜止部11の幅方向の大きさよりも小さく設けており、内部へ挿入して収納させた板体10の端部の脱抜を規制している。
また、縦枠3は、前記支持部材Sへ取り付けるための支持部69を連結枠材6の幅方向の端に配置して設けており、支持部69は横方向外側へ向けて突出する略矩形平板形状に形成している。
【0023】
また、前記板体10の端部と縦枠3との間には、パッキンPを配置して取り付けている。
縦枠3に取り付けたパッキンPは、略帯状のシート状に形成して板体10の端部の略全体を覆うように取り付けており、上枠2Aへ取り付けた前記パッキンPと同様に、溝30の内部への水や砂、埃などの侵入を抑制し、溝30の内部からの板体10の端部の脱抜を規制し、風などを受けたときの板体10の振動や音の発生を抑制している。
【0024】
縦枠3を構成する前記第一枠材4と第二枠材5は長手方向の大きさを同じ大きさに形成している。また、前記連結枠材6は第一枠材4と第二枠材5よりも長手方向の大きさを大きく形成しており、その縦方向の両側の端部6a、6b(図示せず)を第一枠材4や第二枠材5の端より突出させている。前記上枠2A及び下枠2Bは、長手方向両側の端部をそれぞれ前記端部6a、6bの横方向の端に当接させてビス(図示せず)で固定することで、各縦枠3へ固定させると共に、パネル1Aを一体的に構成している。
【0025】
図7図3の当接部材8を示す平面図である。
当接部材8は、長手方向を縦方向へ向けた断面略コの字形状の長尺体であり、その縦方向の大きさをパネル1Aの縦枠3の前記連結枠材6と同じ大きさに形成している。当接部材8は、金属板を曲げ加工して形成しており、その断面形状を長手方向の全長に亘って同じ形状に設けている。
当接部材8は、第2接続部81と当接部82とを備えている。
前記第2接続部81は、両方の板面を横方向へむけた略矩形平板状に設けており、横方向へ貫通する貫通孔81aを形成している。各貫通孔81aは、前記雄ねじ部材B1の雄ねじ部分を挿通可能な大きさに設けており、第2接続部81の幅方向の中央に配置して、縦方向に間隔をあけて2個形成している。
当接部82は、前記第2接続部81の幅方向の端から横方向へ突出する矩形平板形状に設けており、第2接続部81の両端にそれぞれ1個ずつ合計2個形成している。
【0026】
図8図3の取付部材7を示す平面図である。
取付部材7は、長手方向を縦方向へ向けた略断面コの字形状の長尺体であり、金属材料で形成している。具体的には、取付部材7はアルミニウムの押出形材で形成しており、その断面形状を長手方向の全長に亘って同じ形状に設けている。また、取付部材7は、その縦方向の大きさを前記当接部材8や前記連結枠材6と同じ大きさに形成している。
取付部材7は、第1接続部71と、第1接続部71から横方向へ突出する取付部72、取付部73を備えている。
前記第1接続部71は、両方の板面を横方向へ向けた略矩形平板状に設けており、前記雄ねじ部材B1の雄ねじ部分を挿通可能な貫通孔71aを形成している。貫通孔71aは、第1接続部71の幅方向の中央付近に配置し、縦方向に間隔をあけて前記各貫通孔81aに対応する位置に2個形成している。
【0027】
取付部72は、前記第1接続部71の幅方向の一方の端に配置して、横方向へ突出する矩形平板形状に設けている。
また、取付部72と前記第1接続部71とが接続する部分には、断面略台形状の筒壁部75を形成している。
筒壁部75は、その筒壁の一部を前記第1接続部71と取付部72とで構成しており、内部の中空部75aの全周を囲う筒状に形成している。取付部材7は、筒壁部75を設けることでその剛性を向上させ、曲がりや歪みなどの変形が生じにくくなされるように設けている。
【0028】
取付部73は、前記取付部72とは逆側の幅方向の端に配置して、横方向へ突出する略矩形平板状に設けている。取付部73は、横方向への大きさを前記取付部72よりも小さく形成している。取付部73には、幅方向外側の板面部分に内側へ向けて窪む凹溝73aを形成しており、この凹溝73aの底部分を貫通する貫通孔73bを形成している。
【0029】
取付部73と前記第1接続部71とが接続する部分には、断面略矩形状の筒壁部76を形成している。
筒壁部76は、その筒壁の一部を前記第1接続部71と取付部73とで構成しており、内部の中空部76aの全周を囲う筒状に形成している。取付部材7は、筒壁部76を設けることでその剛性を向上させ、曲がりや歪みなどの変形が生じにくくなされるように設けている。
【0030】
図9図3の支柱9Aを示す正面図であり、図10は支柱9Aの横断面を示す図9のA-A断面図である。
支柱9Aは、長手方向を縦方向へ向けた円筒状の長尺体であり、丸形鋼管からなる柱部95の上端に、開口部分を塞ぐキャップ96を取り付けている。支柱9Aは、柱部95の下端を設置面Gへ埋設させて立設するように設けている。
【0031】
柱部95の外面には、雌ねじ部材91を固定している。
雌ねじ部材91は六角ナットであり、柱部95の外面へ溶接によって固定している。また、柱部95には、雌ねじ部材91の雌ねじに対応する位置の筒壁部分に円形の貫通孔95aを形成している。
雌ねじ部材91は縦方向に間隔をあけて2個1組に配置しており、前記取付部材7の各貫通孔71aや、前記当接部材8の各貫通孔81aに対応する間隔に配置している。
図10において、支柱9Aには、柱部95の図中横方向左側の外面に縦方向に間隔をあけて2組の雌ねじ部材91を固定しており、柱部95の図中右斜め下方側の外面に縦方向に間隔をあけて2組の雌ねじ部材91を固定している。即ち、図9、10に示す支柱9Aには、前記雌ねじ部材91を合計4組8個固定している。
【0032】
図11図10の支柱9Aへ図7の当接部材8と図8の取付部材7を取り付ける前の状態を示す図である。
図11は、支柱9Aの横方向左側に、当接部材8と取付部材7からなる支持部材Sを取り付ける状況を示している。
取付部材7は、各取付部72、73を支柱9Aの逆側へ向け、第1接続部71に形成した貫通孔71aを支柱9Aの前記雌ねじ部材91に対応する位置に配置している。
当接部材8は、前記当接部材7と支柱9Aとの間に配置して、第2接続部81に形成した貫通孔81aを支柱9Aの前記雌ねじ部材91に対応する位置に配置している。
即ち、前記取付部材7と当接部材8は、それぞれ平面状に形成した第2接続部81の外面と第1接続部71の外面とを相対させ、各貫通孔71aと各貫通孔81aとの位置を一致させて、配置している。
【0033】
図11に示す支持部材Sの取付部材7は、取付部73に雌ねじ部材Nを取り付けている。雌ねじ部材Nは、所謂かしめナットであり、内周面部分に雌ねじを形成した略円筒状の筒部Naと、筒部Naの一方の端部に配置され外径が外方へ膨出するように形成されたフランジ部Nbとを備えている。雌ねじ部材Nは、筒部Naを前記貫通孔73bの内側へ嵌め込むようにして挿入して、取付部73へ取り付けている。また雌ねじ部材Nは、フランジ部Nbの全体を凹溝73aの内側に収納させて取り付けている。
雌ねじ部材Nは、筒部Naの内側の雌ねじへ雄ねじ部材を螺結させる力によって、筒部Naの外面を取付部73の近傍で拡径するように変形させて係合させ、貫通孔73bから脱抜不能に取り付けている。
【0034】
取付部材7と当接部材8は、前記雄ねじ部材B1の雄ねじを前記各貫通孔71aと各貫通孔81aとへ挿通し、前記雌ねじ部材91へ螺結させることで支柱9Aへ取り付けられ、支持部材Sを構成する。
図12図11の支柱9Aへ支持部材Sを取り付けた状態を示す図である。
図12に示す取付部材7と当接部材8は、第1接続部71の外面と第2接続部81の外面とを当接させ、各貫通孔71aと各貫通孔81aとへ雄ねじを挿通させた雄ねじ部材B1を雌ねじ部材91へ螺結させて、支柱9Aへ取り付けている。雄ねじ部材B1は、雌ねじ部材91へ螺結させた雄ねじの先端部分を前記貫通孔95aを通じて柱部95の内側へ挿入させている。
【0035】
図12に示す支持部材Sの当接部材8は、前記各当接部82の端部を前記支柱9Aの外面へそれぞれ当接させている。
また、支持部材Sの取付部材7は、各当接部82の近傍に前記取付部72、73をそれぞれ配置させている。即ち、各当接部82の近傍に前記筒壁部75や筒壁部76を配置させている。
【0036】
前記パネル1Aは、前記雌ねじ部材Nへ螺結可能なねじB2によって、縦枠3を支持部材Sへ取り付けるように設けている。
図13図12の支持部材Sへ図6の縦枠3を当接させた状態を示す図である。
図13に示すパネル1Aは、連結枠材6に形成した前記支持部69の内側の面を、支持部材Sの前記取付部73の外側面へ当接させている。
また、パネル1Aは、幅方向において前記支持部69が形成されている逆側の外面を当接面68として、前記取付部72の内側の面へ当接させている。
【0037】
図13に示すパネル1Aは、支持部69に形成した貫通孔69aへねじB2の雄ねじを挿通させ、雌ねじ部材Nへ螺結させて、縦枠3が支持部材Sへ取り付けられる。
図13に示すパネル1Aは、ねじB2を雌ねじ部材Nへ螺結させることで、図3に示すパネル1Aの状態となされる。
また、前記パネル1Aは、ねじB2を雌ねじ部材Nから螺脱させることで、支持部材Sから容易に取り外すことができる。
尚、図3の図中右斜め下側に配置した前記パネル1Bの縦枠3も、パネル1Aと同様に上記の方法によって、支柱9Aへ取り付けられている。
【0038】
図3に示す支柱9Aへ取り付けた各支持部材Sは、支柱9Aへ溶接によって固定した雌ねじ部材91を介して取り付けることで、支柱9Aへ強固に取り付けられている。
【0039】
また、図3に示す各支持部材Sは、当接部材8の接続部81を前記雌ねじ部材91へ当接させると共に、各当接部82の先端部分を支柱9Aへ当接させることで、各パネル1A、1Bの縦枠3を支柱9Aへ安定的に取り付けることができる。例えば、板体10へ強風が吹き付けられる等してパネル1A、1Bが幅方向へ向かう強い外力を受けたときに、支持部材Sへ伝達された力が支柱9Aへ当接する当接部82へ分散されるので、雌ねじ部材91や雄ねじ部材B1への力の集中が低減し、雌ねじ部材91や雄ねじ部材B1の破損や折損などの損傷を抑制できる。
【0040】
図3に示す各支持部材Sは、幅方向の両側に配置した各取付部72、73をそれぞれ当接させて縦枠3を取り付けているので、縦枠3を強固に取り付けることができる。
例えば、板体10へ強風が吹き付けられる等してパネル1A、1Bが幅方向へ向かう強い外力を受けたときに、前記各取付部72、73を介して前記幅方向への力が支持部材Sへ伝達されやすくなされる。そして、支持部材Sへ伝達された力は前記各当接部82へ分散されて、雌ねじ部材91や雄ねじ部材B1の損傷が抑制される。
特に、図3に示す支持部材Sは、各取付部72、73を各当接部82の近傍に配置しているので、各取付部72、73を介して伝達された幅方向への力が各当接部82へ分散されやすくなされている。更に、各取付部72、73と第一接続部71とが接続する部分に前記筒壁部75、76を形成しているので、筒壁部75、76の部位における剛性が向上し、各取付部72、73を介して伝達された幅方向への力が各当接部82へより分散されやすくなされている。
【0041】
図3に示す支柱9Aは、溶接によって固定する雌ねじ部材91の位置へ前記支持部材Sを取り付けて、パネル1の縦枠3を取り付けることができる。即ち、図3に示すように各雌ねじ部材91を固定することで、支柱9Aへ取り付けたパネル1に対し、パネル1Bを平面視斜め方向へ取り付けることができる。また、雌ねじ部材91を支柱9Aの直径上に配置して固定することで、支柱9Aへ取り付ける2個のパネル1を平面視直線状に配置して取り付けることができる。更に、図3には支柱9Aの縦方向の同じ高さ位置にパネル1A、1Bの各縦枠3を取り付けているが、支柱9Aの縦方向の同じ高さ位置に3個以上のパネル1の縦枠3をそれぞれ取り付けることもできる。
【0042】
図14は支柱9B付近の横断面を示す図1のB-B断面図である。
支柱9Bは、長手方向を縦方向へ向けた矩形筒状の長尺体であり、角形鋼管で形成している。
支柱9Bには、外面の横方向の両側にそれぞれ取付部材7を取り付けている。図14に示す各取付部材7は、図8に示す前記取付部材7と同一形状であり、前記接続部71の外面を支柱9Bの外面へ当接させ、貫通孔71aへ挿通させたねじ部材B4によって支柱9Bへ取り付けている。
前記ねじ部材B4は、支柱9Bを貫通する六角ボルトと、この雄ねじへ螺結する六角ナットとを備え、各取付部材7の貫通孔71aへ挿通させた前記六角ボルトの雄ねじへ前記六角ナットを螺結させることで、各取付部材7を支柱9Bへ取り付けている。
【0043】
図14に示す各パネル1A、1Cは、支柱9Aへ取り付けた前記パネル1Aと同様の方法で、縦枠3を取付部材7へ取り付けている。即ち、図14に示す各取付部材7は、取付部73にかしめナットからなる雌ねじ部材Nを取り付けており、取付部72、73へそれぞれ縦枠3の前記当接面68と前記支持部69とを当接させ、支持部69の貫通孔69aに挿通させたねじB2の雄ねじを雌ねじ部材Nへ螺結させることで、各パネル1A、1Cを取付部材7へ取り付けている。
【0044】
尚、本発明に係る塀Wは、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
例えば、前記塀Wの支持部材Sは、取付部材7と当接部材8とを別体に形成しているが、これに限るものではなく、取付部材7と当接部材8を一つの部材で形成してもよい。例えば、取付部材7の第1接続部71の幅方向両端から前記各当接部82に該当する部位をそれぞれ延設させて形成してもよい。
【0045】
また、前記塀Wは、支柱9Aへ取り付けた支持部材Sの各当接部82が支柱9Aの外面に当接しているが、これに限るものではない。例えば、各当接部82と支柱9Aとの間が極僅かに離間し、パネル1A、1Bが強い外力を受けたときに、支持部材Sの第1接続部71や第2接続部81が歪んで、当接部82と支柱9Aとが当接するように設けてもよい。このように支持部材Sを設けることで、パネル1A、1Bが強い外力を受けたときに、各当接部82によって力を分散させる前記の効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0046】
1 パネル
10 板体
11 抜止部
2A 上枠
2B 下枠
20 溝
3 縦枠
4 第一枠材
5 第二枠材
6 連結枠材
7 取付部材
71 第1接続部
72 取付部
73 取付部
75 筒壁部
76 筒壁部
8 当接部材
81 第2接続部
82 当接部
9 支柱
91 雌ねじ部材
95 柱部
96 キャップ
B1 雄ねじ部材
P パッキン
S 支持部材
W 塀

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14