(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024027803
(43)【公開日】2024-03-01
(54)【発明の名称】アクチュエータ
(51)【国際特許分類】
F16H 25/24 20060101AFI20240222BHJP
F16H 25/20 20060101ALI20240222BHJP
F16H 25/22 20060101ALI20240222BHJP
【FI】
F16H25/24 G
F16H25/20 E
F16H25/22 K
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022130923
(22)【出願日】2022-08-19
(71)【出願人】
【識別番号】000004204
【氏名又は名称】日本精工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】塚越 賢治
(72)【発明者】
【氏名】白濱 康平
(72)【発明者】
【氏名】杉田 澄雄
【テーマコード(参考)】
3J062
【Fターム(参考)】
3J062AB22
3J062AC07
3J062BA25
3J062CD02
3J062CD23
3J062CD57
3J062CG83
(57)【要約】
【課題】ナット回転式において、ボールネジ軸の振れ回りを調整すること。
【解決手段】ハウジング2Aと、ハウジング2Aに対して中心軸CLの周りに回転可能に設けられるロータ2Baと、ロータ2Baに固定されるボールナット2Cと、中心軸CLが延びるX方向(軸方向)に延びてボールナット2Cに挿通係合されてボールナット2Cの回転に伴いX方向に移動可能に設けられるボールネジ軸2Dと、ボールナット2Cとロータ2Baとの相対位置について中心軸CLの傾きを調整する傾き調整機構60と、ボールナット2Cとハウジング2Aとの相対位置について中心軸CLの平行位置を調整する偏心調整機構と、を含む。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジングと、
前記ハウジングに対して中心軸の周りに回転可能に設けられるロータと、
前記ロータに固定されるボールナットと、
軸方向に延びて前記ボールナットに挿通係合されて前記ボールナットの回転に伴い前記軸方向に移動可能に設けられるボールネジ軸と、
前記ボールネジ軸の前記中心軸の傾きを調整する傾き調整機構と、
前記ボールネジ軸の前記中心軸の平行位置を調整する偏心調整機構と、
を含む、アクチュエータ。
【請求項2】
前記傾き調整機構は、前記ボールナットと前記ロータとの相対位置について前記中心軸の傾きを調整する、請求項1に記載のアクチュエータ。
【請求項3】
前記傾き調整機構は、
前記ボールナットと前記ロータとの前記軸方向の間に形成された隙間と、
前記ボールナットと前記ロータとを前記隙間を介在して前記軸方向で締め付け固定する固定部材と、
を含む、請求項2に記載のアクチュエータ。
【請求項4】
前記傾き調整機構は、
前記ボールナットと前記ロータとの前記軸方向の間に形成された隙間と、
前記隙間に介在されるスペーサと、
前記ボールナットと前記ロータとを前記スペーサを介在して前記軸方向で締め付け固定する固定部材と、
を含む、請求項2に記載のアクチュエータ。
【請求項5】
前記ハウジングに対して前記ロータを回転可能に支持する軸受を含み、
前記傾き調整機構は、前記軸受と前記ハウジングとの相対位置において前記中心軸の傾きを調整する、請求項1に記載のアクチュエータ。
【請求項6】
前記偏心調整機構は、前記ボールナットと前記ハウジングとの相対位置について前記中心軸の平行位置を調整する、請求項1に記載のアクチュエータ。
【請求項7】
前記偏心調整機構は、
前記ボールナットと前記ハウジングとの間に挿入されて径方向に拡大可能に形成された挿入部材と、
前記挿入部材に前記軸方向から挿入されて前記挿入部材を拡大させる楔部材と、
を含む、請求項6に記載のアクチュエータ。
【請求項8】
前記偏心調整機構は、
前記ハウジングに径方向で締め込まれ、前記ボールナットに当接可能に設けられた押付部材を含む、請求項6に記載のアクチュエータ。
【請求項9】
前記ハウジングに対して前記ロータを回転可能に支持する軸受を含み、
前記偏心調整機構は、前記軸受と前記ハウジングとの相対位置において前記中心軸の平行位置を調整する、請求項1に記載のアクチュエータ。
【請求項10】
前記傾き調整機構と前記偏心調整機構とは、前記ボールナットの周方向で重複しない位置に設けられている、請求項1に記載のアクチュエータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アクチュエータに関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、モータによって回転運動するボールネジ軸と、ボールネジ軸の回転によって直線運動するボールネジナットと、ボールネジナットが固定されるスライド部と、直線運動方向に沿う溝部と、溝部を転動してスライド部を移動可能に支持する転動体と、スライド部に固定される作業軸と、を有するアクチュエータが示されている。このアクチュエータでは、ボールネジ軸の先端の振れを抑えるため、ボールネジ軸の先端に設けられてスライド部に固定されるロッドの孔の内周面に接触する弾性部材を有する。
【0003】
また、例えば、特許文献2には、ネジ軸と、ネジ軸に第一転動体を介して捩じ込まれるナット部材と、ナット部材と共に移動可能な可動体と、可動体をネジ軸が延びる軸方向に移動可能に支持する案内手段と、ネジ軸の周方向に第二転動体を配置する溝を有してナット部材と可動体とを軸方向において連結する連結手段と、を有するボールネジ式のアクチュエータが示されている。このアクチュエータでは、可動体に伝わる回転時の振れを抑えるため、連結手段の溝が、軸方向から視て非円形、もしくは、軸方向から視てねじ軸の軸心と中心が一致しない円形に形成されている。
【0004】
また、例えば、特許文献3には、パラレルリンクを直列につないだロボットが示されている。
【0005】
また、例えば、特許文献4には、穴加工工具の振れ調整を行う技術が示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2020-041706号公報
【特許文献2】特開2017-053431号公報
【特許文献3】独国実用新案第212013000250号公報
【特許文献4】特開2015-213968号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1,2に示されるアクチュエータは、ネジ軸が回転することでネジ軸に沿ってナットが移動し、このナットの移動に伴って移動する作動軸や可動体を移動させる。
【0008】
この特許文献1,2に示されるアクチュエータとは別の構成として、ナット側を回転させ、ネジ軸を移動させるアクチュエータが考えられる。ナット回転式のアクチュエータは、ナットの回転をネジ軸の軸方向推力に変換することで、高い精度での位置決めが可能であり、比較的小型のアクチュエータを実現できるが、ネジ軸の振れ回りを抑えることが望まれている。
【0009】
また、特許文献3に示されるようなロボットの場合、駆動するアクチュエータから離れた位置の作業点での高い精度が要求される。そのとき、1軸アクチュエータがまっすぐ走ることが精度を高くするために非常に重要になり、1軸アクチュエータの振れ回りを抑制する必要がある。
【0010】
また、特許文献4に示されている振れ調整機構は、ネジを差し込んで振れ調整を行うものであるが、使用中にもネジを押し付けて調整を行う。このため、アクチュエータにおいて、運転動作中でのネジを押し付けての調整では、ネジ軸に負荷が加わり好ましくない。
【0011】
本開示は、上記の課題に鑑みてなされたものであって、ナット回転式において、ボールネジ軸の振れ回りを調整することのできるアクチュエータを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記の目的を達成するため、本開示の一態様のアクチュエータは、ハウジングと、前記ハウジングに対して中心軸の周りに回転可能に設けられるロータと、前記ロータに固定されるボールナットと、軸方向に延びて前記ボールナットに挿通係合されて前記ボールナットの回転に伴い前記軸方向に移動可能に設けられるボールネジ軸と、前記ボールネジ軸の前記中心軸の傾きを調整する傾き調整機構と、前記ボールネジ軸の前記中心軸の平行位置を調整する偏心調整機構と、を含む。
【0013】
上記アクチュエータの望ましい態様として、前記傾き調整機構は、前記ボールナットと前記ロータとの相対位置について前記中心軸の傾きを調整する。
【0014】
上記アクチュエータの望ましい態様として、前記傾き調整機構は、前記ボールナットと前記ロータとの前記軸方向の間に形成された隙間と、前記ボールナットと前記ロータとを前記隙間を介在して前記軸方向で締め付け固定する固定部材と、を含む。
【0015】
上記アクチュエータの望ましい態様として、前記傾き調整機構は、前記ボールナットと前記ロータとの前記軸方向の間に形成された隙間と、前記隙間に介在されるスペーサと、前記ボールナットと前記ロータとを前記スペーサを介在して前記軸方向で締め付け固定する固定部材と、を含む。
【0016】
上記アクチュエータの望ましい態様として、前記ハウジングに対して前記ロータを回転可能に支持する軸受を含み、前記傾き調整機構は、前記軸受と前記ハウジングとの相対位置において前記中心軸の傾きを調整する。
【0017】
上記アクチュエータの望ましい態様として、前記偏心調整機構は、前記ボールナットと前記ハウジングとの相対位置について前記中心軸の平行位置を調整する。
【0018】
上記アクチュエータの望ましい態様として、前記偏心調整機構は、前記ボールナットと前記ハウジングとの間に挿入されて径方向に拡大可能に形成された挿入部材と、前記挿入部材に前記軸方向から挿入されて前記挿入部材を拡大させる楔部材と、を含む。
【0019】
上記アクチュエータの望ましい態様として、前記偏心調整機構は、前記ハウジングに径方向で締め込まれ、前記ボールナットに当接可能に設けられた押付部材を含む。
【0020】
上記アクチュエータの望ましい態様として、前記ハウジングに対して前記ロータを回転可能に支持する軸受を含み、前記偏心調整機構は、前記軸受と前記ハウジングとの相対位置において前記中心軸の平行位置を調整する。
【0021】
上記アクチュエータの望ましい態様として、前記傾き調整機構と前記偏心調整機構とは、前記ボールナットの周方向で重複しない位置に設けられている。
【発明の効果】
【0022】
本開示によれば、ナット回転式において、ボールネジ軸の振れ回りを調整することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】
図1は、実施形態のアクチュエータの構成例を表す斜視図である。
【
図2】
図2は、実施形態のアクチュエータの傾き調整機構の第一構成例を表す断面図である。
【
図3】
図3は、実施形態のアクチュエータの傾き調整機構の第一構成例を表す正面図である。
【
図4】
図4は、実施形態のアクチュエータの傾き調整機構の第二構成例を表す断面図である。
【
図5】
図5は、実施形態のアクチュエータの傾き調整機構の第二構成例を表す正面図である。
【
図6】
図6は、実施形態のアクチュエータの偏心調整機構の第一構成例を表す断面図である。
【
図7】
図7は、実施形態のアクチュエータの偏心調整機構の第一構成例を表す斜視図である。
【
図8】
図8は、実施形態のアクチュエータの偏心調整機構の第一構成例を表す断面斜視図である。
【
図9】
図9は、実施形態のアクチュエータの偏心調整機構の第一構成例を表す斜視図である。
【
図10】
図10は、実施形態のアクチュエータの偏心調整機構の第一構成例を表す断面斜視図である。
【
図11】
図11は、実施形態のアクチュエータの偏心調整機構の第一構成例を表す正面図である。
【
図12】
図12は、実施形態のアクチュエータの偏心調整機構の第一構成例の他の構成を表す正面図である。
【
図13】
図13は、実施形態のアクチュエータの偏心調整機構の第二構成例を表す断面図である。
【
図14】
図14は、実施形態のアクチュエータの偏心調整機構の第二構成例を表す正面図である。
【
図15】
図15は、実施形態のアクチュエータの傾き調整機構および偏心調整機構の第三構成例を表す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、発明を実施するための形態につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、下記の形態により本発明が限定されるものではない。また、下記形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。さらに、下記形態で開示した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。
【0025】
実施形態のアクチュエータは、例えば、医療機器や産業機器など精密な位置決め精度が求められるロボットに適用される。
【0026】
図1および
図2に示すように、アクチュエータ1は、ナット回転式として構成され、アクチュエータ本体2と、ガイド部3と、を含む。
【0027】
アクチュエータ本体2は、ハウジング2Aと、駆動源であるモータ2Bと、ボールナット2Cと、ボールネジ軸2Dと、エンコーダ2Eと、を含む。
【0028】
ハウジング2Aは、矩形状で箱型に形成される。ハウジング2Aは、一方向に長く形成され、当該方向をZ方向とする。また、ハウジング2Aは、Z方向に対して直交(交差)する二つの方向をそれぞれX方向とY方向とし、これらX方向およびY方向において略正方形に形成される。なお、ハウジング2Aは、箱型に限らず、モータ2B、ボールナット2C、およびエンコーダ2Eを支持する構成であればよい。
【0029】
モータ2Bは、
図2に示すように、ハウジング2Aの内部に収容される。モータ2Bは、ロータ(回転子)2Baと、ステータ(固定子)2Bbと、を有する。ロータ2Baは、ハウジング2Aに対して軸受2Fを介して取り付けられ、Z方向に延びる中心軸CLの周りに回転可能に設けられている。中心軸CLが延びるZ方向を軸方向ともいう。ロータ2Baは、中心軸CL上でZ方向に貫通する円形の貫通孔からなる中空部2Baaが形成されている。ロータ2Baは、その外周面に永久磁石2Babが固定されている。永久磁石2Babは、中心軸CLの周りの周方向に間隔をおいて複数配置される。ステータ2Bbは、ロータ2Baの周りを囲むように中心軸CLを中心とした筒状に形成されている。ステータ2Bbは、中心軸CLの周りの周方向に間隔をおいて複数設けられた芯部に、電磁コイルが絶縁材を介して巻き付けられている。従って、モータ2Bは、ステータ2Bbの電磁コイルへの通電によってロータ2Baが中心軸CLの周りに回転駆動される。
【0030】
ロータ2Baをハウジング2Aに取り付ける軸受2Fは、Z方向の一方側(ボールナット2Cが配置される側)と、Z方向の他方側(エンコーダ2Eが配置される側)とに設けられる。そのうち、Z方向の一方側の軸受2Fは、ハウジング2Aに対するZ方向への移動を、ハウジング2Aの内周面に形成された段部2Aaと突起2Abとの間に挟まれて規制される。Z方向の一方側の軸受2Fは、ロータ2Baに対するZ方向の移動を、ロータ2Baの外周面に突出した突起2Bacと、ロータ2Baの外周面に設けられる固定リング4との間に挟まれて規制される。固定リング4は、円環状に形成された内周面に雌ネジが形成され、ロータ2Baの外周面に形成された雌ネジ部に螺合してZ方向に締め付けられる。これにより、ロータ2Baとハウジング2Aとは、軸受2Fを介してZ方向への相対移動を規制される。
【0031】
ボールナット2Cは、
図2に示すように、モータ2Bのロータ2Baと一体に接続される。ボールナット2Cは、Z方向の一方側において、ロータ2Baの中空部2Baaに遊嵌される円柱形状の本体部2Caと、ロータ2BaのZ方向の一方の端に当接する円環形状のフランジ部2Cbと、を一体に有する。即ち、ボールナット2Cの本体部2Caは、ロータ2Baの中空部2Baaに対し、相互間に動くことのできる隙間がある遊びをもった状態で嵌る。ボールナット2Cは、固定リング4に締結される固定ネジ5を介してフランジ部2Cbがロータ2Baに接続される。従って、ボールナット2Cは、モータ2Bの駆動によって中心軸CLの周りに回転駆動される。ボールナット2Cは、Z方向に沿って中心軸CLの周りに螺旋状の溝2Ccが形成され、当該溝2Ccにボールが配置されており、回転駆動によってボールが溝を転動して循環するように設けられる。
【0032】
ボールネジ軸2Dは、
図2に示すように、ハウジング2Aの内部に収容され、一部がハウジング2Aの外部に延びて設けられる。ボールネジ軸2Dは、ハウジング2Aの内部において、ボールナット2Cに挿通係合し、モータ2Bのロータ2Baの中空部2Baaに一部が挿通して設けられる。ボールネジ軸2Dは、その外周面に中心軸CLの周りに沿う螺旋状の溝2Daが形成され、当該溝2Daにボールナット2Cのボールが転動可能に係合する。従って、ボールネジ軸2Dは、ボールナット2Cの回転駆動によって中心軸CLに沿ってZ方向に移動可能に設けられる。
【0033】
エンコーダ2Eは、ハウジング2Aの外部に設けられる。エンコーダ2Eは、ハウジング2Aの内部から外部に延びるロータ2Baに接続される。エンコーダ2Eは、モータ2Bの駆動によって中心軸CLの周りに回転するロータ2Baの回転数を検出し出力する。即ち、エンコーダ2Eは、ロータ2Baおよびボールナット2Cの回転数を検出し出力する。
【0034】
ガイド部3は、
図1に示すように、アクチュエータ本体2に取り付けられ、連結部材3Aと、ガイドレール3Bと、第一リニアガイド3Cと、第二リニアガイド3Dと、を含む。
【0035】
連結部材3Aは、連結部3Aaと、支持部3Abと、を有する。連結部3Aaは、ボールネジ軸2Dにおいてボールナット2C(ハウジング2A)から突出した端部に連結される。連結部3Aaは、ボールネジ軸2Dの端部からX方向の一方に延びて形成される。支持部3Abは、連結部3Aaに対して一体に接続され、連結部3AaのX方向に延びた端部から折れ曲がるようにZ方向に延びてハウジング2Aの外部に沿って配置される。従って、連結部材3Aは、ボールネジ軸2Dと共に中心軸CLに沿ってZ方向に移動可能に設けられる。連結部材3Aは、ガイドレール3B、第一リニアガイド3C、第二リニアガイド3Dを介してハウジング2Aに支持される。
【0036】
ガイドレール3Bは、支持部3Abに固定される。ガイドレール3Bは、支持部3Ab共にZ方向に延びて形成される。ガイドレール3Bは、Z方向に平行して2本設けられ、支持部3Abを間にしてY方向で相反する方向に向けて設けられる。従って、ガイドレール3Bは、連結部材3Aを介してボールネジ軸2Dと共に中心軸CLに沿ってZ方向に移動可能に設けられる。
【0037】
第一リニアガイド3Cは、固定部材3Eを介してハウジング2Aに固定される。固定部材3Eは、ハウジング2AのX方向の一方側に固定され、X方向に立ち上がる2つの固定片3EaがY方向で対向して配置される。従って、固定部材3Eは、Z方向から視てL字形状の部材と板部材とによってX方向の一方側に開放するように全体としてコ字形状に形成される。また、固定部材3Eは、図には明示しないが、開放部が塞がれるカバーが設けられる。第一リニアガイド3Cは、この固定部材3Eの各固定片3Eaの対向面においてY方向で対向して2つ設けられる。各第一リニアガイド3Cは、
図4に示すように、X方向から視た際に、ボールネジ軸2D(中心軸CL)を基にY方向で対称の位置にある。各第一リニアガイド3Cは、各ガイドレール3Bにそれぞれ係合し、ガイドレール3BをZ方向に移動可能に支持する。従って、第一リニアガイド3Cは、ガイドレール3BのZ方向への移動を案内する。即ち、第一リニアガイド3Cは、ガイドレール3Bおよび連結部材3Aを介してボールネジ軸2DのZ方向への移動を案内する。
【0038】
第二リニアガイド3Dは、固定部材3Eを介してハウジング2Aに固定される。第二リニアガイド3Dは、第一リニアガイド3Cと同様に構成される。
【0039】
第一リニアガイド3Cおよび第二リニアガイド3Dは、Z方向で並んで固定部材3Eに固定される。第一リニアガイド3Cは、Z方向において、ボールネジ軸2Dがボールナット2C(ハウジング2A)から突出移動する側に配置され、第二リニアガイド3Dは、Z方向において、ボールネジ軸2Dがボールナット2Cに引込移動する側に配置されている。言い換えると、第一リニアガイド3Cは、ハウジング2AのZ方向の一方側に配置され、第二リニアガイド3Dは、ハウジング2AのZ方向の他方側に配置されている。
【0040】
アクチュエータ1は、上述した構成例について傾き調整機構および偏心調整機構を含む。傾き調整機構および偏心調整機構は、アクチュエータ1においてボールネジ軸2Dの振れ回りを抑えるように調整するためのものである。傾き調整機構は、ボールナット2Cとロータ2Baとの相対位置について中心軸CLの傾きを調整する。偏心調整機構は、ボールナット2Cとハウジング2Aとの相対位置について中心軸CLの平行位置を調整する。ボールナット2Cとロータ2Baとの相対位置での中心軸CLの傾きや、ボールナット2Cとハウジング2Aとの相対位置での中心軸CLの平行位置は、個々のアクチュエータ1において予め計測により求められたもので、当該計測に基づいて傾き調整機構および偏心調整機構によって調整される。以下、傾き調整機構および偏心調整機構の詳細について説明する。
【0041】
図2は、実施形態のアクチュエータの傾き調整機構の第一構成例を表す断面図である。
図3は、実施形態のアクチュエータの傾き調整機構の第一構成例を表す正面図である。
【0042】
第一構成例の傾き調整機構60は、ボールナット2Cとロータ2BaとのZ方向(軸方向)の間に形成された隙間6と、ボールナット2Cとロータ2Baとを隙間を介在してZ方向で締め付け固定する固定ネジ(固定部材)5と、を含む。
【0043】
隙間6は、軸受2Fを介してロータ2Baをハウジング2Aに位置決めする固定リング4と、ボールナット2Cのフランジ部2Cbとの間に設けられる。隙間6は、ロータ2BaがZ方向の一方側に長く形成されてボールナット2Cのフランジ部2Cbが固定リング4から離れることによって設けられる。
【0044】
隙間6を構成する一方であるボールナット2Cのフランジ部2Cbには、切欠部2Cdが形成されている。切欠部2Cdは、フランジ部2CbをZ方向で貫通して形成され、かつ円環形状のフランジ部2Cbに対して中心軸CLから離れる径方向の外側に向けて開口するようにU字形状に形成される。切欠部2Cdは、中心軸CLを中心とした周方向に複数(実施形態では4個)が等間隔で配置される。
【0045】
固定ネジ5は、上述したように、ボールナット2Cをロータ2Baに固定するため、固定リング4に締結されるものである。固定ネジ5は、固定リング4に螺合する雄ネジ部5aと雄ネジ部5aの基部に設けられる頭部5bとを含む。固定ネジ5は、固定リング4に螺合する雄ネジ部5aがフランジ部2Cbの切欠部2CdにZ方向で貫通し、頭部5bがフランジ部2Cbに当接する。従って、固定ネジ5は、切欠部2Cdに対応して中心軸CLを中心とした周方向に複数(実施形態では4個)が等間隔で配置される。固定ネジ5は、例えば、六角レンチなどの工具で締め付けられる。
【0046】
第一構成例の傾き調整機構60は、固定ネジ5の固定リング4への締め付け量に伴ってボールナット2Cのフランジ部2Cbが隙間6を介してZ方向の固定リング4側に押圧される。この押圧によって、ボールナット2Cとロータ2Baとは、遊嵌された相互の隙間が調整代となって相対位置での中心軸CLの傾きが変化する。固定ネジ5は、中心軸CLを中心とした周方向に複数配置されるため、予め計測により求められた傾きに基づいて各所固定ネジ5の締め付け量を調整することで、ボールナット2Cとロータ2Baとの相対位置での中心軸CLの傾きを0または限りなく0に近づけることができる。
【0047】
図4は、実施形態のアクチュエータの傾き調整機構の第二構成例を表す断面図である。
図5は、実施形態のアクチュエータの傾き調整機構の第二構成例を表す正面図である。
【0048】
第二構成例の傾き調整機構70は、ボールナット2Cとロータ2BaとのZ方向(軸方向)の間に形成された上述の隙間6と、隙間6に介在されるスペーサ7と、ボールナット2Cとロータ2Baとをスペーサ7を介在してZ方向で締め付け固定する上述した固定ネジ(固定部材)5と、を含む。
【0049】
スペーサ7は、ロータ2Baが挿通される挿通孔7aを有して円環形状に形成される。スペーサ7は、切欠部7bが形成されている。切欠部7bは、スペーサ7をZ方向で貫通して形成され、かつ中心軸CLから離れる径方向の外側に向けて開口するように形成される。切欠部7bは、中心軸CLを中心とした周方向に複数(実施形態では90度間隔で4個)が等間隔で配置される。この切欠部7bは、ボールナット2Cのフランジ部2Cbの切欠部2CdとZ方向で一致するように設けられる。スペーサ7は、予め計測により求められた傾きに基づいてZ方向の厚みが設定される。なお、スペーサ7は、切欠部7bとは別に切欠部7cが形成される。切欠部7cは、スペーサ7をZ方向で貫通して形成され、かつ中心軸CLから離れる径方向の外側に向けて開口するように形成される。切欠部7cは、中心軸CLを中心とした周方向に複数(実施形態では4個)が等間隔で配置される。この切欠部7cは、後述する第一構成例の偏心調整機構80の係合部2CeとZ方向で一致するように設けられる。つまり、第二構成例の傾き調整機構70は、第一構成例の偏心調整機構80と共に設けることができる。
【0050】
スペーサ7は、固定ネジ5によって固定される。即ち、第二構成例の傾き調整機構70は、固定ネジ5の固定リング4への締め付けに伴ってボールナット2Cのフランジ部2Cbがスペーサ7の厚さ分固定リング4側に押し付けられる。この押し付けによって、ボールナット2Cとロータ2Baとは、遊嵌された相互の隙間が調整代となって相対位置での中心軸CLの傾きが変化する。スペーサ7は、予め計測により求められた傾きに基づいて厚さが設定されているため、固定ネジ5を締め付けることで、ボールナット2Cとロータ2Baとの相対位置での中心軸CLの傾きを0または限りなく0に近づけることができる。
【0051】
図6は、実施形態のアクチュエータの偏心調整機構の第一構成例を表す断面図である。
図7は、実施形態のアクチュエータの偏心調整機構の第一構成例を表す斜視図である。
図8は、実施形態のアクチュエータの偏心調整機構の第一構成例を表す断面斜視図である。
図9は、実施形態のアクチュエータの偏心調整機構の第一構成例を表す斜視図である。
図10は、実施形態のアクチュエータの偏心調整機構の第一構成例を表す断面斜視図である。
図11は、実施形態のアクチュエータの偏心調整機構の第一構成例を表す正面図である。
図12は、実施形態のアクチュエータの偏心調整機構の第一構成例の他の構成を表す正面図である。
【0052】
第一構成例の偏心調整機構80は、ボールナット2Cとハウジング2Aとの間に挿入されて中心軸CLと直交する径方向に拡大可能に形成された挿入部材8Aと、挿入部材8AにZ方向(軸方向)から挿入されて挿入部材8Aを拡大させる楔部材8Bと、を含む。
【0053】
挿入部材8Aは、
図6から
図8に示すように、一端から他端に延びる柱形状において、他端側に開口する有り底の雌ネジ穴8Aaが形成されている。挿入部材8Aは、雌ネジ穴8Aaの開口から一端に向かってスリット8Abが形成される。スリット8Abは、挿入部材8Aの柱形状における径方向で対向して設けられ、これにより挿入部材8Aは、径方向で対向する舌片8Acが形成される。舌片8Acは、径方向に撓んで変形することが可能である。また、挿入部材8Aは、各舌片8Acの両側であって各スリット8Abが設けられた外周面に平面部8Adが形成される。なお、実施形態の挿入部材8Aは、その挿入の先端となる他端の形状が先細りになるテーパで形成されているが、フラットな端面として形成されていてもよい。
【0054】
楔部材8Bは、
図6、
図9および
図10に示すように、雌ネジ穴8Aaに締め込まれるように外周面に雄ネジ部8Baを有する。また、楔部材8Bは、例えば、六角レンチなどの工具で締め込まれる。なお、実施形態の楔部材8Bは、その挿入の先端の形状が先細りになるテーパで形成されているが、フラットな端面として形成されていてもよい。また、挿入部材8Aと楔部材8Bの先端形状は、双方が同様でなくてもよく、一方がテーパまたはフラットで、他方がフラットまたはテーパに形成されていてもよい。
【0055】
ボールナット2Cのフランジ部2Cbには、
図6および
図11に示すように、挿入部材8Aが係合される係合部2Ceが形成されている。係合部2Ceは、フランジ部2CbをZ方向で貫通して形成され、かつ円環形状のフランジ部2Cbに対して中心軸CLから離れる径方向の外側に向けて開口するように形成される。係合部2Ceは、中心軸CLを中心とした周方向に複数(実施形態では4個)が等間隔で配置される。実施形態では、係合部2Ceは、上述した切欠部2Cdを配置していない位置に設けられている。即ち、係合部2Ceは、傾き調整機構60,70にかかる切欠部2Cdとは、相互が干渉しないように、ボールナット2Cの周方向で重複しない位置に設けられている。また、係合部2Ceは、挿入部材8Aの平面部8Adが当接する当接面2Ceaが形成されている。挿入部材8Aは、当接面2Ceaに平面部8Adが当接するように係合部2Ceに対してZ方向に差し込まれることで係合部2Ceに係合する。
【0056】
第一構成例の偏心調整機構80は、係合部2Ceに係合された挿入部材8Aが、ボールナット2Cとハウジング2Aとの間に挿入される。挿入部材8Aは、係合部2Ceへの係合状態において、各舌片8Acがボールナット2Cとハウジング2Aとに当接することとなる。そして、この挿入部材8Aに楔部材8Bが締め込まれる。楔部材8Bが締め込まれた挿入部材8Aは、各舌片8Acが径方向外側に広がるように変形する。このため、挿入部材8Aは、各舌片8Acがボールナット2Cとハウジング2Aとを径方向外側に押圧する。この押圧によって、ボールナット2Cとロータ2Baとは、遊嵌された相互の隙間が調整代となって相対位置での中心軸CLの平行位置が変化する。これにより、ボールナット2Cは、ハウジング2Aとの相対位置での中心軸CLの平行位置が変化する。実施形態のアクチュエータ1は、ハウジング2Aにガイド部3が設けられ、このガイド部3のガイドレール3Bとハウジング2Aとの関係により基準の中心軸が設定され、この基準の中心軸に対してボールナット2Cの中心軸CLの平行位置がずれることでボールネジ軸2Dの振れ回りを生じさせる。従って、第一構成例の偏心調整機構80は、予め計測により求められた中心軸CLに対するボールナット2Cの平行位置のずれに基づき、係合部2Ceを選択し、この係合部2Ceに挿入部材8Aを挿入し楔部材8Bを締め込むことで、ボールナット2Cの中心軸CLの平行位置を調整し、基準の中心軸に一致または限りなく一致に近づけることができる。
【0057】
なお、第一構成例の偏心調整機構80は、
図12に示すように、挿入部材8Aが平面部8Adを1箇所に有し、係合部2Ceが当接面2Ceaを1箇所に有して形成された構成としてもよい。
【0058】
図13は、実施形態のアクチュエータの偏心調整機構の第二構成例を表す断面図である。
図14は、実施形態のアクチュエータの偏心調整機構の第二構成例を表す正面図である。
【0059】
第二構成例の偏心調整機構90は、ハウジング2Aに径方向で締め込まれ、ボールナット2Cに当接可能に設けられた押付部材9を含む。
【0060】
押付部材9は、外周面に雄ネジ部9aを有するネジ部材として構成される。押付部材9は、ハウジング2Aにおいて中心軸CLと直交する径方向に沿って貫通して形成された雌ネジ孔2Acに径方向で螺合し締め付けられる。従って、押付部材9は、ハウジング2Aに径方向で締め込まれることでハウジング2Aの内部に先端が突出する。押付部材9は、例えば、六角レンチなどの工具で締め込まれる。ハウジング2Aの雌ネジ孔2Acは、ボールナット2Cのフランジ部2Cbの周縁2Cfに向けて形成されている。
【0061】
第二構成例の偏心調整機構90は、ハウジング2Aに径方向で締め込また押付部材9の先端がハウジング2Aの内部でボールナット2Cのフランジ部2Cbの周縁2Cfに当接する。なお、押付部材9がフランジ部2Cbに当接する位置は、傾き調整機構60,70にかかる切欠部2Cdとは、相互が干渉しないように、ボールナット2Cの周方向で重複しない位置とする。ボールナット2Cのフランジ部2Cbの周縁2Cfに当接した押付部材9は、ボールナット2Cを径方向に押圧する。この押圧によって、ボールナット2Cとロータ2Baとは、遊嵌された相互の隙間が調整代となって相対位置での中心軸CLの平行位置が変化する。これにより、ボールナット2Cは、ハウジング2Aとの相対位置での中心軸CLの平行位置が変化する。実施形態のアクチュエータ1は、ハウジング2Aにガイド部3が設けられ、このガイド部3のガイドレール3Bとハウジング2Aとの関係により基準の中心軸が設定され、この基準の中心軸に対してボールナット2Cの中心軸CLの平行位置がずれることでボールネジ軸2Dの振れ回りを生じさせる。従って、第一構成例の偏心調整機構は、予め計測により求められた中心軸CLに対するボールナット2Cの平行位置のずれに基づいたボールナット2Cのフランジ部2Cbの周縁2Cfの位置に合わせて押付部材9を締め込むことで、ボールナット2Cの中心軸CLの平行位置を調整し、基準の中心軸に一致または限りなく一致に近づけることができる。
【0062】
なお、上述した第一構成例の傾き調整機構60は、第一構成例の偏心調整機構80または第二構成例の偏心調整機構90と組み合わせることができる。また、上述した第二構成例の傾き調整機構70は、第一構成例の偏心調整機構80または第二構成例の偏心調整機構90と組み合わせることができる。このため、実施形態のアクチュエータ1は、傾き・偏心の両方を調整できる。ここで、傾き調整機構70と、偏心調整機構80,90との組み合わせにおいては、偏心調整機構80,90の挿入部材8Aおよび楔部材8B、押付部材9に偏心を調整したら、固定ネジ5でしっかりと固定することで偏心調整の状態が維持される。その際の傾き調整はスペーサ7で行っている。また、挿入部材8Aおよび楔部材8B、押付部材9は、偏心および傾きの調整が済んで固定ネジ5によって固定した後に取り外される。
【0063】
図15は、実施形態のアクチュエータの傾き調整機構および偏心調整機構の第三構成例を表す正面図である。
【0064】
第三構成例の傾き調整機構100および第三構成例の偏心調整機構110は、ハウジング2Aに径方向で締め込まれ、軸受2Fに当接可能に設けられた押付部材10を含む。
【0065】
押付部材10は、外周面に雄ネジ部10aを有するネジ部材として構成される。押付部材10は、ハウジング2Aにおいて中心軸CLと直交する径方向に沿って貫通して形成された雌ネジ孔2Adに径方向で螺合し締め付けられる。従って、押付部材10は、ハウジング2Aに径方向で締め込まれることでハウジング2Aの内部に先端が突出する。押付部材10は、例えば、六角レンチなどの工具で締め込まれる。ハウジング2Aの雌ネジ孔2Adは、軸受2Fに対してその外面に向けて形成されている。実施形態のアクチュエータ1では、軸受2Fは、上述したように、Z方向の一方側(ボールナット2Cが配置される側)と、Z方向の他方側(エンコーダ2Eが配置される側)とに設けられる。ハウジング2Aの雌ネジ孔2Adは、Z方向の一方側の軸受2Fと、Z方向の他方側の軸受2Fと、の位置に設けられる。また、ハウジング2Aの雌ネジ孔2Adは、中心軸CLを中心とした周方向に複数(例えば4個)が等間隔で配置される。
【0066】
第三構成例の傾き調整機構100は、ハウジング2Aに径方向で締め込また押付部材10の先端がハウジング2Aの内部で軸受2Fに当接する。軸受2Fに当接した押付部材10は、軸受2Fを径方向に押圧する。この押圧によって、軸受2Fは、Z方向の一方側である場合、ボールナット2C側が径方向に押し付けられ、Z方向の他方側である場合、エンコーダ2E側が径方向に押し付けられることで、軸受2Fで支持されたロータ2Baの中心軸CLの傾きが変化する。第三構成例の傾き調整機構100は、予め計測により求められた中心軸CLに対するボールネジ軸2Dの傾きに基づいて押付部材10を締め込むことで、ボールネジ軸2Dの中心軸CLの傾きを0または限りなく0に近づけることができる。例えば、ボールナット2C側の2列の軸受2Fは、固定ネジ5の締め付けで内輪に荷重がかかってがっちり固定される。この固定の際に径方向にずれて固定されることがあり、エンコーダ2E側の軸受2Fの支持点との軸がずれるので、結果、傾きにも影響する。従って、この傾きを予め測定してずれ量を確認してから、再度固定ネジ5を緩めて締め込み直すこと中心軸CLの傾きを調整できる。
【0067】
また、第三構成例の偏心調整機構110は、ハウジング2Aに径方向で締め込また押付部材10の先端がハウジング2Aの内部で軸受2Fに当接する。軸受2Fに当接した押付部材10は、軸受2Fを径方向に押圧する。この押圧によって、軸受2Fは、Z方向の一方側である場合、ボールナット2C側が径方向に押し付けられ、Z方向の他方側である場合、エンコーダ2E側が径方向に押し付けられることで、各軸受2Fで支持されたロータ2Baの中心軸CLの平行位置が変化する。第三構成例の偏心調整機構110は、予め計測により求められた中心軸CLに対するボールネジ軸2Dの平行位置のずれに基づいて押付部材10を締め込むことで、ボールネジ軸2Dの中心軸CLの平行位置を基準の中心軸に一致または限りなく一致に近づけることができる。例えば、ボールナット2C側の2列の軸受2Fは、固定ネジ5の締め付けで内輪に荷重がかかってがっちり固定される。この固定の際に径方向にずれて固定されることがあり、結果、ボールネジ軸2Dの中心軸CLの平行位置にも影響する。従って、この平行位置のずれを予め測定してずれ量を確認してから、再度固定ネジ5を緩めて締め込み直すこと中心軸CLの平行位置を調整できる。
【0068】
なお、上述した第三構成例の傾き調整機構100および第三構成例の偏心調整機構110は、後述した傾き調整機構60,70や偏心調整機構80,90と組み合わせることができる。即ち、傾き調整機構60,70によってボールナット2Cとロータ2Baとの相対位置について中心軸CLの傾きを調整すると共に、傾き調整機構100によって軸受2Fとハウジング2Aとの相対位置において中心軸CLの傾きを調整できる。また、偏心調整機構80,90によってボールナット2Cとハウジング2Aとの相対位置について中心軸CLの平行位置を調整すると共に、偏心調整機構110によって軸受2Fとハウジング2Aとの相対位置において中心軸CLの平行位置を調整できる。
【0069】
実施形態のアクチュエータ1は、上述したように、ハウジング2Aと、ハウジング2Aに対して中心軸CLの周りに回転可能に設けられるロータ2Baと、ロータ2Baに固定されるボールナット2Cと、中心軸CLが延びるX方向(軸方向)に延びてボールナット2Cに挿通係合されてボールナット2Cの回転に伴いX方向に移動可能に設けられるボールネジ軸2Dと、ボールネジ軸2Dの中心軸CLの傾きを調整する傾き調整機構60,70,100と、ボールネジ軸2Dの中心軸CLの平行位置を調整する偏心調整機構80,90,110と、を含む。
【0070】
このアクチュエータ1によれば、傾き調整機構60,70および偏心調整機構80,90を有することで、ボールナット2Cとロータ2Baとの相対位置について中心軸CLの傾きや、ボールナット2Cとハウジング2Aとの相対位置について中心軸CLの平行位置を適宜調整できる。この結果、実施形態のアクチュエータ1は、ナット回転式において、ボールネジ軸の振れ回りを調整することができる。
【0071】
また、実施形態のアクチュエータ1では、傾き調整機構60,70は、ボールナット2Cとロータ2Baとの相対位置について中心軸CLの傾きを調整する。従って、このアクチュエータ1によれば、傾き調整機構60,70を有することで、ボールナット2Cとロータ2Baとの相対位置について中心軸CLの傾きを適宜調整できる。
【0072】
また、実施形態のアクチュエータ1では、傾き調整機構(第一構成例の傾き調整機構)60は、ボールナット2Cとロータ2BaとのZ方向の間に形成された隙間6と、ボールナット2Cとロータ2Baとを隙間6を介在してZ方向で締め付け固定する固定ネジ(固定部材)5と、を含む。従って、このアクチュエータ1によれば、ボールナット2Cとロータ2Baとの相対位置について中心軸CLの傾きを適宜調整できる。
【0073】
また、実施形態のアクチュエータ1では、傾き調整機構(第二構成例の傾き調整機構)70は、ボールナット2Cとロータ2BaとのZ方向の間に形成された隙間6と、隙間6に介在されるスペーサ7と、ボールナット2Cとロータ2Baとをスペーサ7を介在してZ方向で締め付け固定する固定ネジ(固定部材)5と、を含む。従って、このアクチュエータ1によれば、ボールナット2Cとロータ2Baとの相対位置について中心軸CLの傾きを適宜調整できる。
【0074】
また、実施形態のアクチュエータ1では、偏心調整機構80,90は、ボールナット2Cとハウジング2Aとの相対位置について中心軸CLの平行位置を調整する。従って、このアクチュエータ1によれば、偏心調整機構80,90を有することで、ボールナット2Cとハウジング2Aとの相対位置について中心軸CLの平行位置を調整できる。
【0075】
また、実施形態のアクチュエータ1では、ハウジング2Aに対してロータ2Baを回転可能に支持する軸受2Fを含み、傾き調整機構100は、軸受2Fとハウジング2Aとの相対位置において中心軸CLの傾きを調整する。従って、このアクチュエータ1によれば、傾き調整機構100を有することで、軸受2Fとハウジング2Aとの相対位置において中心軸CLの傾きを調整できる。
【0076】
また、実施形態のアクチュエータ1では、偏心調整機構(第一構成例の偏心調整機構)80は、ボールナット2Cとハウジング2Aとの間に挿入されて径方向に拡大可能に形成された挿入部材8Aと、挿入部材8AにZ方向から挿入されて挿入部材8Aを拡大させる楔部材8Bと、を含む。従って、このアクチュエータ1によれば、ボールナット2Cとハウジング2Aとの相対位置について中心軸CLの平行位置を適宜調整できる。
【0077】
また、実施形態のアクチュエータ1では、偏心調整機構(第二構成例の偏心調整機構)90は、ハウジング2Aに径方向で締め込まれ、ボールナット2Cに当接可能に設けられた押付部材9を含む。従って、このアクチュエータ1によれば、ボールナット2Cとハウジング2Aとの相対位置について中心軸CLの平行位置を適宜調整できる。
【0078】
また、実施形態のアクチュエータ1では、ハウジング2Aに対してロータ2Baを回転可能に支持する軸受2Fを含み、偏心調整機構110は、軸受2Fとハウジング2Aとの相対位置において中心軸CLの平行位置を調整する。従って、このアクチュエータ1によれば、偏心調整機構110を有することで、軸受2Fとハウジング2Aとの相対位置において中心軸CLの平行位置を調整できる。
【0079】
また、実施形態のアクチュエータ1では、傾き調整機構60,70と偏心調整機構80.90とは、ボールナット2Cの周方向で重複しない位置に設けられている。従って、このアクチュエータ1によれば、傾き調整機構60,70と偏心調整機構80.90との相互の構成の干渉を防止できる。
【符号の説明】
【0080】
1 アクチュエータ
2A ハウジング
2C ボールナット
2Ba ロータ
2D ボールネジ軸
5 固定ネジ(固定部材)
6 隙間
7 スペーサ
8A 挿入部材
8B 楔部材
9 押付部材
60 傾き調整機構(第一構成例の傾き調整機構)
70 傾き調整機構(第二構成例の傾き調整機構)
80 偏心調整機構(第一構成例の偏心調整機構)
90 偏心調整機構(第二構成例の偏心調整機構)
100 傾き調整機構(第三構成例の傾き調整機構)
110 偏心調整機構(第三構成例の偏心調整機構)
CL 中心軸