(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024027814
(43)【公開日】2024-03-01
(54)【発明の名称】口紅の付着安定化用組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 8/73 20060101AFI20240222BHJP
A61Q 1/04 20060101ALI20240222BHJP
A61K 8/25 20060101ALI20240222BHJP
A61K 8/9794 20170101ALI20240222BHJP
A61K 8/9789 20170101ALI20240222BHJP
【FI】
A61K8/73
A61Q1/04
A61K8/25
A61K8/9794
A61K8/9789
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022130941
(22)【出願日】2022-08-19
(71)【出願人】
【識別番号】522334070
【氏名又は名称】高橋 美香
(74)【代理人】
【識別番号】100108947
【弁理士】
【氏名又は名称】涌井 謙一
(74)【代理人】
【識別番号】100117086
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 典弘
(74)【代理人】
【識別番号】100124383
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 一永
(74)【代理人】
【識別番号】100173392
【弁理士】
【氏名又は名称】工藤 貴宏
(74)【代理人】
【識別番号】100189290
【弁理士】
【氏名又は名称】三井 直人
(72)【発明者】
【氏名】高橋 美香
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AA111
4C083AA112
4C083AB171
4C083AB172
4C083AB431
4C083AB432
4C083AB441
4C083AB442
4C083AD241
4C083AD242
4C083CC13
4C083DD17
4C083EE01
4C083EE06
(57)【要約】
【課題】口紅の付着安定性を高め、口紅の色落ち、色移りなどの問題発生を抑制する口紅の付着安定化用組成物。
【解決手段】米粉を30質量%~90質量%で含む口紅の付着安定化用組成物。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
米粉を30質量%~90質量%で含む口紅の付着安定化用組成物。
【請求項2】
小麦粉、コーンスターチ、馬鈴薯澱粉の中のいずれか一種又は複数種を、更に、含む請求項1記載の口紅の付着安定化用組成物。
【請求項3】
タルク、カオリン、セリサイト、無水ケイ酸の中のいずれか一種又は複数種を、更に、含む請求項1又は2記載の口紅の付着安定化用組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は口紅の付着を安定化させる目的で使用される付着安定化用組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
口紅は着色料を油材、等に分散して製造されることが一般的である。着色料を油材、等に分散しているのは、唇への付着性や伸びを良くして展着性を良くするという目的からである。
【0003】
上述したように、着色料が油材、等に分散されて製造されていることから、口紅が塗布された後の唇が他の物に接触したときに、二次付着が起こり、色落ち、色移りなどの問題が発生する原因になる。
【0004】
例えば、口紅を唇に塗布した後に紅茶を飲むと、唇が接触したティーカップなどの縁に二次付着が発生して、色落ち、色移りなどが生じることがある。また、近年の生活様式で、口紅を唇に塗布した後にマスクを装着すると、唇に接触したマスクの面に二次付着が発生して、色落ち、色移りなどが生じることがある。
【0005】
これは、唇への付着性や伸びを良くする目的で口紅に配合されている油材などの過剰により付着安定性が十分ではないことから生じると考えられている。
【0006】
従来から、口紅や油性ファンデーション、等の油性メイクアップ化粧料におけるカップ等への口紅の転着、衣服などへの付着、等を抑制する目的で種々の提案が行われている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
この発明は、口紅の付着安定性を高め、口紅の色落ち、色移りなどの問題発生を抑制する口紅の付着安定化用組成物を提供することを目的にしている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本願発明者は、口紅を唇に塗布した後に付着安定性を低下させる要因となる過剰な油材を、吸油性の高い付着安定組成物によって吸油することで、付着安定性を高めて、色落ち、色移りなどの発生を抑制できることを見出して、本願発明を完成させた。
【0010】
前記において、吸油性の高い付着安定組成物として米粉を使用することができ、本願発明は以下のように例示できる。
[1]
米粉を30質量%~90質量%で含む口紅の付着安定化用組成物。
【0011】
[2]
小麦粉、コーンスターチ、馬鈴薯澱粉の中のいずれか一種又は複数種を、更に、含む[1]の口紅の付着安定化用組成物。
【0012】
[3]
タルク、カオリン、セリサイト、無水ケイ酸の中のいずれか一種又は複数種を、更に、含む[1]又は[2]の口紅の付着安定化用組成物。
【発明の効果】
【0013】
この発明によれば、口紅の付着安定性を高め、口紅の色落ち、色移りなどの問題発生を抑制する口紅の付着安定化用組成物を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本願発明に係る口紅の付着安定化用組成物は、米粉を30質量%~90質量%で含む。
【0015】
米粉は吸油性が高い。そこで、米粉を30質量%~90質量%で含む本願発明に係る口紅の付着安定化用組成物は、口紅の付着安定性を低下させる要因となる過剰な油材を吸油し、口紅の付着安定性を高めて、上述したような色落ち、色移りなどが発生することを抑制できる。
【0016】
このような目的を達成する上で、米粉は、本願発明に係る口紅の付着安定化用組成物に、少なくとも、30質量%の割合で配合されていることが望ましい。
【0017】
また、本願発明に係る口紅の付着安定化用組成物に対して90質量%を越える割合で米粉を配合すると、口紅に配合されている油材による唇への付着性や伸びを良くして展着性を良くするという目的を阻害するおそれがあるので好ましくない。
【0018】
本願発明に係る口紅の付着安定化用組成物の使用形態としては、唇に塗布されている口紅の上に重ねて塗る使用形態を例示することができる。唇に塗布されている口紅の上に重ねて塗ることで、上述した作用・機能を発揮して、その目的を達成することができる。
【0019】
すなわち、本願発明に係る口紅の付着安定化用組成物に30質量%~90質量%の割合で含まれている米粉は、上述したようにして使用されることで、口紅の過剰な油材を吸油して二次付着を防ぎ、唇への口紅の付着性を強くして色移りや、色落ちの発生を抑制する。また、米粉は、油材を吸油すると透明になることから、口紅の本来の色に大きな影響を与えることが無い。
【0020】
更に、自然物であって喫食の対象である米からなる米粉は、口紅が塗布される唇に安全で、人間の口に入っても無害である。
【0021】
上述した本発明に係る口紅の付着安定化用組成物は、小麦粉、コーンスターチ、馬鈴薯澱粉の中のいずれか一種又は複数種を、更に、含む構成にすることができる。
【0022】
これらの植物性の構成成分は、本願発明に係る口紅の付着安定化用組成物の転着性、分散性、付着性の調整剤として用いることができる。
【0023】
上述した本発明に係る口紅の付着安定化用組成物は、タルク、カオリン、セリサイト、無水ケイ酸の中のいずれか一種又は複数種を、更に、含む構成にすることができる。
【0024】
これらの鉱物性の構成成分も、本願発明に係る口紅の付着安定化用組成物の転着性、分散性、付着性の調整剤として用いることができる。
【0025】
本発明に係る口紅の付着安定化用組成物は、粉末状になっている上述の各構成成分を混合して製造することができる。
【0026】
<口紅の付着安定化用組成物の実施例1>
以下の配合割合で口紅の付着安定化用組成物を調製した(単位は質量%)。
米粉 : 80%
小麦粉 : 8%
コーンスターチ: 6%
カオリン : 6%
合計:100%
上述の各構成成分をそれぞれ粉末状にした上で混合して実施例1に係る口紅の付着安定化用組成物を調製した。
【0027】
<口紅の付着安定化用組成物の実施例2>
以下の配合割合で口紅の付着安定化用組成物を調製した(単位は質量%)。
米粉 : 70%
馬鈴薯澱粉: 5%
セリサイト: 10%
無水ケイ酸: 15%
合計:100%
上述の各構成成分をそれぞれ粉末状にした上で混合して実施例2に係る口紅の付着安定化用組成物を調製した。
【0028】
<比較検討試験1>
市販されている3種類の口紅をそれぞれ被検者の唇に塗布し、塗布後10分経過してからそれぞれの唇にティッシュを押し付けて、ティッシュへの色移りを目視観察した。
【0029】
次に、上記と同様に、市販されている3種類の口紅をそれぞれ被検者の唇に塗布し、引き続いて、唇に塗布された前記口紅の上に、実施例1に係る口紅の付着安定化用組成物を重ねて塗布した。
【0030】
実施例1に係る口紅の付着安定化用組成物を重ねて塗布した後10分経過してからそれぞれの唇にティッシュを押し付けて、ティッシュへの色移りを目視観察した。
【0031】
市販されている3種類の口紅だけを塗布していた場合では、いずれも、ティッシュへの色移りが認められた。
【0032】
一方、実施例1に係る口紅の付着安定化用組成物を口紅の上に重ねて塗布していた場合では、いずれでも、ティッシュへの色移りは認められなかった。
【0033】
<比較検討試験2>
比較検討試験1に用いた市販されている3種類の口紅をそれぞれ被検者の唇に塗布し、塗布後10分経過してからそれぞれの唇にティッシュを押し付けて、ティッシュへの色移りを目視観察した。
【0034】
次に、上記と同様に、市販されている3種類の口紅をそれぞれ被検者の唇に塗布し、引き続いて、唇に塗布された前記口紅の上に、実施例2に係る口紅の付着安定化用組成物を重ねて塗布した。
【0035】
実施例2に係る口紅の付着安定化用組成物を重ねて塗布した後10分経過してからそれぞれの唇にティッシュを押し付けて、ティッシュへの色移りを目視観察した。
【0036】
市販されている3種類の口紅だけを塗布していた場合では、いずれも、ティッシュへの色移りが認められた。
【0037】
一方、実施例2に係る口紅の付着安定化用組成物を口紅の上に重ねて塗布していた場合では、いずれでも、ティッシュへの色移りは認められなかった。
【0038】
比較検討試験1、2の結果から、本発明の構成をとる口紅の付着安定化用組成物は、唇に塗布された口紅の上に重ねて塗布することで、口紅の付着安定性を高め、口紅の色落ち、色移りなどの問題発生を抑制できるものであることを確認できた。
【0039】
以上、本発明の実施形態、実施例を説明したが、本発明は上述した実施形態、実施例に限定されず、特許請求の範囲の記載から把握される技術的範囲において種々に変更可能である。