(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024027819
(43)【公開日】2024-03-01
(54)【発明の名称】燃料電池装置
(51)【国際特許分類】
H01M 8/04 20160101AFI20240222BHJP
H01M 8/2475 20160101ALI20240222BHJP
F16L 57/00 20060101ALI20240222BHJP
【FI】
H01M8/04 Z
H01M8/2475
F16L57/00 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022130950
(22)【出願日】2022-08-19
(71)【出願人】
【識別番号】000109026
【氏名又は名称】ダイニチ工業株式会社
(72)【発明者】
【氏名】田中 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】神林 達也
【テーマコード(参考)】
3H024
5H126
5H127
【Fターム(参考)】
3H024CA03
5H126FF10
5H127AB23
5H127AC14
5H127BA02
5H127BA05
5H127BA13
5H127BA33
5H127BA34
5H127BB02
5H127BB12
5H127BB18
5H127BB19
5H127BB37
5H127EE02
5H127EE03
5H127EE25
5H127EE29
5H127GG04
5H127GG10
(57)【要約】
【課題】配管を保護するための保護カバーの着脱を容易に行うことができるようにすることで、メンテナンス性を低下させることなく信頼性に優れた燃料電池装置を提供すること。
【解決手段】外装ケース50の側面パネルに、配管の継手を保護する配管カバー70が着脱自在に設けられる燃料電池装置100であって、配管カバー70は側面パネルを締結する締結部材80に係止する係止部74を有している。配管カバー70は、締結部材80を取り外すことなく係止させることができるので、着脱を容易に行うことができメンテナンス性に優れる。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料ガスと酸素含有ガスを用いて発電を行う燃料電池と、
前記燃料電池を動作させるための補機と、
流体が流れる配管と、を外装ケース内に収容し、
前記配管と接続される配管継手が、前記外装ケースを構成する側面パネルに取り付けられた燃料電池装置であって、
前記側面パネルには、前記配管継手を覆う配管カバーが着脱自在に設けられ、
前記配管カバーは、前記側面パネルを締結する締結部材に係止する係止部を有している燃料電池装置。
【請求項2】
前記係止部が係止する前記締結部材は、段付きネジである請求項1記載の燃料電池装置。
【請求項3】
前記配管カバーは、前記配管継手を上方から覆う第一面と、一方の側方から覆う第二面と、前方から覆う第三面とから構成される請求項1または2記載の燃料電池装置。
【請求項4】
前記係止部は、前記第一面および前記第二面の内側に設けられ、前記第三面に向かって延びている請求項3記載の燃料電池装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料電池装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
水素を含有する燃料ガスと酸素含有ガス(空気)とを用いて発電を行ない、電気を外部に供給する燃料電池装置が知られている。このような燃料電池装置では、発電に必要な燃料や水を外部から供給するための配管や、発電に伴って生成される温水を取り出すための配管等を有している。
【0003】
例えば特許文献1では、外装ケースの側板に切り欠き部を設け、この切り欠き部にケーブル固定部と、燃料ガス供給管、高温水出口管、純水供給管、排水管などの各種配管を固定する配管固定部が設置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、一般に燃料電池装置は屋外に設置され、これら配管の接続部は常に風雨に晒されることになる。寒冷地においては雪の影響も小さくはない。もし、配管が外れたり損傷したりすると燃料電池装置の運転に支障をきたすことになるため、配管類を保護するために保護カバーを設置することがある。しかしながら、メンテナンスの際には保護カバーを着脱しなければならないため、作業性を損なうおそれがあった。
【0006】
本発明は、上記課題を解決するためのもので、配管を保護するための保護カバーの着脱を容易に行うことができるようにすることで、メンテナンス性を低下させることなく信頼性に優れた燃料電池装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、燃料ガスと酸素含有ガスを用いて発電を行う燃料電池と、
前記燃料電池を動作させるための補機と、
流体が流れる配管と、を外装ケース内に収容し、
前記配管と接続される配管継手が、前記外装ケースを構成する側面パネルに取り付けられた燃料電池装置であって、
前記側面パネルには、前記配管継手を覆う配管カバーが着脱自在に設けられ、
前記配管カバーは、前記側面パネルを締結する締結部材に係止する係止部を有している
燃料電池装置である。
【発明の効果】
【0008】
上述のように構成することにより、容易に保護カバーを着脱することができるため、メンテナンス性を低下させることがなく、信頼性に優れた燃料電池装置となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本実施形態の燃料電池装置のシステム構成図である。
【
図2】燃料電池装置と配管カバーの取付を説明する図である。
【
図4】燃料電池装置に配管カバーを取り付けた状態を示す図である。
【
図6】燃料電池装置の梱包状態を表す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
好適と考える本発明の実施形態を、本発明の作用を示して簡単に説明する。
【0011】
本発明は、外装ケースの側面パネルに、配管の継手を保護する配管カバーが着脱自在に設けられる燃料電池装置であって、配管カバーは側面パネルを締結する締結部材に係止する係止部を有している。これにより、締結部材を取り外すことなく、配管カバーを係止することができるので、着脱を容易に行うことができる。また、配管カバーを取り付けるための専用の部材を設ける必要がないため、コストの上昇も抑制することができる。
【0012】
また、係止部が係止する締結部材には段付きネジを使用することで、段付きネジに係止部を引っ掛けるだけでよく、容易に着脱することができる。
【0013】
また、配管カバーは、配管の継手を上方から覆う第一面と、一方の側方から覆う第二面と、前方から覆う第三面とから構成される。これにより、燃料電池装置の梱包時に、配管カバーを外装ケースの角に引っ掛けるようにして配置することができるため、梱包材の寸法を大きくすることなく燃料電池装置に同梱することができ、梱包にかかるコストを抑えることができる。
【0014】
また、係止部は、第一面および第二面の内側に設けられ、第三面に向かって延びている。係止部は、配管カバーを強度を向上させる補強部材となるため、配管カバーの破損や変形を抑制することができる。
【実施例0015】
以下、本発明の一実施例を図面により説明する。
【0016】
図1は本実施形態の燃料電池装置のシステム構成図である。燃料電池装置100は、燃料電池モジュール1を含み、燃料電池モジュール1を作動させるための、第1熱交換器2、蓄熱タンク3、凝縮水タンク4、放熱器5、空気供給装置14、燃料供給装置15、改質水供給装置16等の複数の補機が外装ケース50内に納められている。外装ケース50内には上述の装置全てが収められる必要はなく、例えば、第1熱交換器2や蓄熱タンク3を外装ケース50の外部に設けてもよい。また、上述の装置の一部を省略した燃料電池装置も可能である。
【0017】
燃料電池モジュール1は、箱状の収納容器10の内部に、燃料ガスと酸素含有ガスとで発電を行なう燃料電池11と、燃料電池11に供給する燃料ガスを生成する改質器12と、を収容して構成される。
【0018】
燃料電池11の構成については特に限定はしないが、例えば、複数の燃料電池セルが配列されてなるセルスタック構造を有していてもよい。セルスタック構造の燃料電池11は、例えば、各燃料電池セルの下端を、ガラスシール材等の絶縁性接合材を用いて、マニホールドに固定することによって構成される。
【0019】
改質器12は、天然ガス、LPガス等の原燃料ガスを水蒸気改質し、燃料電池11に供給する燃料ガスを生成する。改質器12には、原燃料ガスを供給する燃料供給装置15と、改質水を供給する改質水供装置16が接続されており、原燃料ガスと改質水は加熱された改質器12で改質反応し、水素を含む燃料ガスが生成される。
【0020】
燃料電池11には、改質器12で生成された燃料ガスと、空気供給装置14によって導入された空気(酸素含有ガス)が供給される。燃料ガスは、燃料電池セル内を通過するときに酸素含有ガスと反応して発電が行われる。発電に使用されなかった燃料ガスと酸素含有ガスは、燃料電池11の上部で合流して燃焼する。この燃料ガスの燃焼によって高温の排ガスが生成され、改質器12はこの熱によって加熱される。このようにして燃料電池モジュール1内で生じた排ガスは、第1熱交換器2に供給される。
【0021】
第1熱交換器2には配管を介して、蓄熱タンク3、熱媒ポンプP1および放熱器5が接続され、第1熱媒循環ラインHC1が形成されている。この第1熱媒循環ラインHC1には熱媒体が導入されており、第1熱交換器2ではこの熱媒体と前述の排ガスとで熱交換が行われて熱媒体が加熱される。熱媒体としては水などを用いることができ、蓄熱タンク3は熱交換により温度が上昇した熱媒体を蓄える。蓄熱タンク3に蓄えられた熱媒体は、放熱器5に送られて冷却され、再び第1熱交換器2で排ガスと熱交換を行った後、蓄熱タンク3に還流する。これにより、蓄熱タンク3には上部から温度の高い熱媒体が蓄えられ温度成層が形成される。
【0022】
また、第1熱交換器2には、凝縮水回収路20を介して凝縮水タンク4が接続されている。燃料電池モジュール1で発生した排ガスが熱交換によって冷却されると、排ガス中に含まれる水蒸気が水と気体に分離され、分離された水は、凝縮水回収流路20を通って凝縮水タンク4に回収される。凝縮水タンク4では、イオン交換器(図示せず)などを経て、回収した水から不純物を取り除いて純水化する。純水化した水は水供給装置16により改質器12に供給され、改質水として使用される。一方で、水分が取り除かれた気体は、排気流路21を通ってから外装ケース50の外に排出される。
【0023】
凝縮水タンク4には、排水流路25と補水流路26が接続されている。凝縮水タンク4からオーバーフローしたドレンは、排水流路25を通って外装ケース50の外に排出される。また、補水流路26は、外部の水供給源に接続された供給流路27から分岐して設けられており、燃料電池装置100の設置時や、運転中に凝縮水が不足するときには、補水流路26を通じて凝縮水タンク4に水道水が供給される。
【0024】
改質器12に原燃料を供給する燃料供給装置15は、燃料の供給源から繋がる原燃料流路22上に、第1電磁弁V1、圧力センサPS、脱硫器DS、ガス流量計FM1、燃料ポンプB1、第2電磁弁V2等の補機が設けられている。改質器12に改質水を供給する改質水供給装置16は、凝縮水タンク4から繋がる改質水流路23上に改質水ポンプP3等の補機が設けられている。燃料電池モジュール1に酸素含有ガスを供給する空気供給装置14は、酸素含有ガス流路24上に、空気流量計FM2、ブロワB2等の補機が設けられている。なお、ここに挙げた補機は一例であって、この他の補機を備える構成としてもよい。
【0025】
さらに、燃料電池装置100には、各種機器の動作を制御する制御装置30が設けられているほか、燃料電池モジュール1にて発電された直流電力を交流電力に変換し、変換された電気の外部負荷への供給量を調整するための供給電力調整部(パワーコンディショナ)40を備えている。
【0026】
また、燃料電池装置100は、第2熱交換器6、蓄熱タンク3から熱媒を循環させる与熱ポンプP2およびこれらを繋ぐ配管を含む第2熱媒循環ラインHC2を備えていてもよい。第2熱媒循環ラインHC2では、外部から水供給流路27を介して供給された水道水を、蓄熱タンク3に貯留された高温の熱媒体を用いて第2熱交換器6で加温する。加温された水を外部の給湯器等の再加熱装置に向けて水送給流路28を介して送給することができる。燃料電池装置100は、外部への温水供給を行わない、いわゆるモノジェネレーションシステムであってもよい。
【0027】
図2は、燃料電池装置と配管カバーの取付を説明する図であり、
図3は、締結部材を説明する図であり、
図4は、燃料電池装置に配管カバーを取り付けた状態を示す図である。燃料電池装置100の外装ケース50は、直方体形状であって、底板51と、上面パネル52と、複数の側面パネル53~56を備えている。側面パネルは、左側面パネル53、右側面パネル54、正面パネル55、背面パネル56から構成される。また、燃料電池装置100には、メンテナンスを行うメンテナンス面があらかじめ設定されていて、上面パネル52と、複数の側面パネル53~56の一部は、メンテナンス時に取り外されるメンテナンスパネルである。本実施形態では、右側面パネル54と正面パネル55がメンテナンスパネルになっている。
【0028】
右側面パネル54は、上部パネル541と下部パネル542から構成されている。上部パネル541は、開閉可能なカバー部541aを備えていて、このカバー部541aを外すと燃料電池装置100の電源スイッチやブレーカスイッチを操作することができるようになっている。そして、メンテナンスの際には下部パネル542は取り付けたまま、上部パネル541だけを取り外すことができるようになっている。また、下部パネル542には、燃料や水等の配管が継手を介して接続されている。ここでは継手の一例として、原燃料流路22に接続される原燃料継手60、水供給流路27に接続される水供給継手61、水送給流路28に接続される水送給継手62、排水流路25に接続される排水継手63を有している。
【0029】
そして、右側面パネル54には、これらの継手と配管を風雨から保護するための配管カバー70を取り付けることができる。
【0030】
右側面パネル54を構成する上部パネル541と下部パネル542は、ネジ等の締結部材80、81を用いて他のパネルと結合されている。また、配管カバー70には、外装ケース50に係止させるための係止部74が設けられている。パネルを結合する締結部材80、81のうち幾つかは、配管カバー70の係止部74が係止する被係止部材であって、本実施形態では、第1ネジ80(80a、80b)に係止部74(74a、74b)が係止するようになっている。つまり、パネルを締結するための第1ネジ80a、80bが、配管カバー70を取り付けるための被係止部として使用される。これにより、配管カバー70を取り付けるための専用の部材を設ける必要がないため、コストダウンを図ることができる。また、取り付けの際には、締結部材80を取り外すことなく配管カバー70を係止させることができるので、着脱を容易に行うことができる
【0031】
第1ネジ80には段付きネジを用いてもよい。
図3に示すように、段付きネジ80は、外装パネル50から突出して配管カバー70の係止部74を引っ掛ける突出部801と、突出部801と外装パネル50の間に介在する樹脂ワッシャ802を備える。樹脂ワッシャ802を介在させることで、突出部801と外装パネル50との間から装置内部へ雨水が侵入することを防止し、外装パネル50のキズも抑制する。第1ネジ80以外の締結部材81は、外装パネル50に密着する一般的なネジが用いられる。
【0032】
さらに、燃料電池装置は第2ネジ82を備えていてもよい。第2ネジ82は化粧ネジであって、ドライバーを用いることなく、素手で着脱が可能である。配管カバー70には、この第2ネジ82に対応するネジ孔75が設けられており、係止部74を第1ネジ80に係止した後、第2ネジ82で固定することができる。
【0033】
配管カバー70は3つの面を有しており、継手を上方から覆う第一面71と、一方の側方から覆う第二面72と、前方から覆う第三面73とから構成される。一般家庭に設置される燃料電池装置100は、正面パネル55もしくは背面パネル56を住宅の外壁Wに向かい合わせることを想定して設計されている。そして、狭小地であってもメンテナンスが可能なように、外壁Wと対向しない複数のパネルを取り外し可能にしている。本実施形態では、
図4に示すように、背面パネル56を住宅の外壁Wに向かい合わせて設置し、右側面パネル54と正面パネル55をメンテンナンス面として設定している。外壁Wに面している背面パネル56側からは雨が吹き込みにくいので、継手は、上方、一方の側方、前方、の三方向から覆うことができれば風雨の影響を低減することができる。よって、配管カバー70は、第一面71、第二面72、第三面73の三面から構成される。なお、第二面72が覆う一方の側方とは、正面パネル55側を指しているが、燃料電池装置100の設置方向によっては背面パネル56側となることもある。
【0034】
図5は、配管カバー70の詳細構造図である。配管カバー70の内面には、第一面71と、第二面72に、係止部74(74a、74b)が設けられている。係止部74は、第1ネジに係止する切欠が形成された小片部741と、小片部741から第三面73に向かって延びる延設部742を有している。これにより係止部74は、配管カバー70の強度を向上させる補強部材となる。特に、本実施形態の配管カバー70は三面で構成されているので、強度不足となるおそれがあるが、このように延設部742を設けて強度を向上させることで、配管カバー70の破損や変形を効果的に抑制することができる。延設部742は、第三面73に到達するまで延びていてもよいし、面の途中までしか設けられなくてもよい。
【0035】
図6は、燃料電池装置の梱包状態を表す斜視図である。燃料電池装置100と配管カバー70の位置関係を示すため、外箱90を破線で示している。配管カバー70は、第一面71、第二面72、第三面73の三面から構成されるため、梱包時には燃料電池装置100の外装ケース50上部の角に引っ掛けるようにして配置することができる。そのため、梱包材の寸法を大きくすることなく燃料電池装置100に同梱することができ、梱包にかかるコストを抑えることができる。なお、外装ケース50と配管カバー70の間には適宜緩衝材を配置することで、配管カバー70の固定と、燃料電池装置100のキズを防止することができる。