(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024027821
(43)【公開日】2024-03-01
(54)【発明の名称】燃料電池装置
(51)【国際特許分類】
H01M 8/04 20160101AFI20240222BHJP
H01M 8/2475 20160101ALI20240222BHJP
【FI】
H01M8/04 Z
H01M8/2475
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022130952
(22)【出願日】2022-08-19
(71)【出願人】
【識別番号】000109026
【氏名又は名称】ダイニチ工業株式会社
(72)【発明者】
【氏名】神林 達也
(72)【発明者】
【氏名】堀米 孝宏
(72)【発明者】
【氏名】田中 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】横尾 直樹
【テーマコード(参考)】
5H126
5H127
【Fターム(参考)】
5H126FF10
5H127AB23
5H127AC14
5H127BA02
5H127BA05
5H127BA13
5H127BA18
5H127BA33
5H127BA34
5H127BA37
5H127BA57
5H127BA59
5H127BB02
5H127BB12
5H127BB18
5H127BB19
5H127BB37
5H127EE02
5H127EE03
5H127EE29
5H127GG04
5H127GG10
(57)【要約】
【課題】パネルを外した際に内部の機器に容易にアクセスするのできる、メンテナンス性に優れた燃料電池装置を提供すること。
【解決手段】燃料電池装置100は、上面パネル52と、複数の側面パネル53~56と、底板51と、を有する直方体状の筐体50を有しており、複数の側面パネル53~56は一組の短側面パネル53、54と一組の長側面パネル55、56とを備え、短側面パネル53、54は底板51に係止して自立し、長側面パネル55、56は底板51および短側面パネル53、54に係止して仮固定される。これにより、パネルを固定するためのフレームを用いることなく、底板51に側面パネル53~56を取り付けることができる。これにより、フレームが邪魔をして修理対象の機器に手が届き難いという問題が発生しないので、メンテナンス性に優れることとなる。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面パネルと、複数の側面パネルと、底板と、を有する直方体状の筐体内に、
燃料ガスと酸素含有ガスを用いて発電を行う燃料電池モジュールが配設された燃料電池装置であって、
前記複数の側面パネルは、一組の短側面パネルと、一組の長側面パネルとを備え、
前記短側面パネルは、前記底板に係止して自立し、
前記長側面パネルは、前記底板および前記短側面パネルに係止して仮固定される燃料電池装置。
【請求項2】
前記底板と前記短側面パネルとを係止させる第1係止部を有し、
前記第1係止部は、前記短側面パネルまたは前記底板のいずれか一方に設けられた第1係止片と、前記短側面パネルまたは前記底板のいずれか他方に設けられた第1係止孔を備える請求項1記載の燃料電池装置。
【請求項3】
前記底板と前記長側面パネルとを係止させる第2係止部と、
前記短側面パネルの一つと前記長側面パネルとを係止させる第3係止部と、を有し
前記第2係止部は、前記底板に設けられた第2係止片と、前記長側面パネルに設けられた第2係止孔であり、
前記第3係止部は、前記短側面パネルに設けられた第3係止片と、前記長側面パネルに設けられた第3係止孔であり、
前記第2係止片と前記第3係止片は上方向に突出している請求項2記載の燃料電池装置。
【請求項4】
前記第2係止孔は台形状であり、
前記第2係止片は先端の幅が短い台形状である請求項3記載の燃料電池装置。
【請求項5】
一組の前記長側面パネルと、前記短側面パネルの一つを上端で結合する結合部材を備える請求項1から4のいずれかに記載の燃料電池装置。
【請求項6】
前記短側面パネルの端部には凹部が設けられ、
前記長側面パネルの端部には前記筐体の内側に折り曲げられた折曲部が設けられ、
前記凹部に前記折曲部が嵌合している請求項1記載の燃料電池装置。
【請求項7】
前記短側面パネルの一方は、メンテナンス時に取り外すメンテナンスパネルであって、分割可能な複数のパネルからなり、
前記複数のパネルのうち一つが前記底板に係止して自立する請求項1記載の燃料電池装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料電池装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
水素を含有する燃料ガスと酸素含有ガス(空気)とを用いて発電を行ない、電気を外部に供給する燃料電池装置が知られている。このような燃料電池装置の構造は、例えば特許文献1に示すように、筐体内にシステムを構成する複数の機器を備えており、その筐体は複数のパネルとフレームから構成される。具体的には、筐体の底壁を構成するベースパネルを設置し、このベースパネルの中央部にセンターフレームが組み付けられる。さらに、センターフレームとは別に複数のサイドフレームも設けられている。これらフレームは、システムの強度を保つための骨組みであるとともに、側面を構成するパネルを取り付けるための支持部材でもある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述の構成では、フレームを設けることで筐体の強度を向上させ、その後に取り付けられるパネルの位置決めができるという利点がある。しかしながら、パネルを取り外してもフレームが残ってしまうため、メンテナンス等でパネルを取り外した際に、フレームが邪魔をして内部の機器類に容易に手が届かなくなる恐れがある。
【0005】
特に一般住宅では、燃料電池装置は狭小地に設置されメンテナンスを行う場所を十分に確保できないことが予想される。よって、メンテナンスを行いやすい構造であることは重要な課題である。
【0006】
本発明は、上記課題を解決するためのもので、メンテナンス性に優れた燃料電池装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上面パネルと、複数の側面パネルと、底板と、を有する直方体状の筐体内に、
燃料ガスと酸素含有ガスを用いて発電を行う燃料電池モジュールが配設された燃料電池装置であって、
前記複数の側面パネルは、一組の短側面パネルと、一組の長側面パネルとを備え、
前記短側面パネルは、前記底板に係止して自立し、
前記長側面パネルは、前記底板および前記短側面パネルに係止して仮固定される燃料電池装置である。
【発明の効果】
【0008】
上述のように構成することにより、フレームを用いずに筐体を組み立てることができるため、パネルを外した際に内部の機器に容易にアクセスすることができ、これによりメンテナンス性に優れた燃料電池装置となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本実施形態の燃料電池装置のシステム構成図である。
【
図2】本実施形態の燃料電池装置の筐体の分解図である。
【
図3】本実施形態の第1係止部の構造を示す図である。
【
図4】本実施形態の第2係止部の構造を示す図である。
【
図6】本実施形態の第3係止部の構造を示す図である。
【
図7】本実施形態の右側面パネルの構造を示す図である。
【
図8】本実施形態の結合部材を示す筐体の上面図である。
【
図9】本実施形態の短側面パネルと長側面パネルの嵌合状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
好適と考える本発明の実施形態を、本発明の作用を示して簡単に説明する。
【0011】
本発明は、上面パネルと、複数の側面パネルと、底板と、を有する直方体状の筐体を有した燃料電池装置であって、複数の側面パネルは一組の短側面パネルと一組の長側面パネルとを備え、短側面パネルは底板に係止して自立し、長側面パネルは底板および短側面パネルに係止して仮固定される。これにより、パネルを固定するためのフレームを用いることなく、底板に側面パネルを取り付けることができる。したがって、メンテナンスでパネルを外した際に、フレームが邪魔をして修理対象の機器に手が届き難いという問題が発生せず、メンテナンス性に優れることとなる。さらには、フレームを必要としないので燃料電池装置の重量を減らしたり、部材のコストを低減するという効果も併せて発揮する。
【0012】
また、底板と短側面パネルとを係止させる第1係止部を有し、この第1係止部は第1係止片と第1係止孔からなる。この第1係止部によって、短側面パネルが底板に対して自立するため、長側面パネルの取付を容易に行うことができる。
【0013】
また、底板と長側面パネルとを係止させる第2係止部と、短側面パネルの一つと長側面パネルとを係止させる第3係止部とを有しており、底板に設けられる第2係止片と、短側面パネルに設けられる第3係止片は上方向に突出している。つまり、後から取り付けられる長側面パネルを係止するための第2係止片と第3係止片はともに上方に突出している。これにより、長側面パネルを取り付ける際に、第2および第3係止片に容易に係止させることができるので組立性に優れることとなる。
【0014】
また、底板と長側面パネルとの係止に関し、第2係止孔は台形状で、第2係止片は先端の幅が短い台形状である。つまり、第2係止片を第2係止孔に差し込む際は、第2係止片の先端の幅が短いため係止孔に対するクリアランスが大きく差し込み易い。また、第2係止片を差し込んで長側面パネルが規定の位置に到達すると、第2係止片の根本の太い部分が第2係止孔に嵌合して位置決めされるので、組立性に優れることとなる。
【0015】
また、一組の長側面パネルと、短側面パネルの一つを上端で結合する結合部材を備える。これにより、側面を構成する三つのパネルが一つの部材で結合されるので、筐体の強度を向上させることができる。
【0016】
また、短側面パネルの端部には凹部が設けられ、長側面パネルの端部には筐体の内側に折り曲げられた折曲部が設けられ、この凹部に折曲部が嵌合している。これにより、隣り合う側面パネルの間から、装置内部に雨水等が侵入してしまうことが防止されるので、耐久性にも優れることとなる。
【0017】
また、短側面パネルの一方はメンテナンスパネルであって、分割可能な複数のパネルからなり、そのうちの一つが底板に係止して自立する。これにより、メンテナンス時には複数あるパネルのうち、底板に係止していないパネルを取り外すことで、容易に装置内部にアクセスすることができるため、メンテナンス性を向上させることができる。
【実施例0018】
以下、本発明の一実施例を図面により説明する。
【0019】
図1は本実施形態の燃料電池装置のシステム構成図である。燃料電池装置100は、燃料電池モジュール1を含み、燃料電池モジュール1を作動させるための、第1熱交換器2、蓄熱タンク3、凝縮水タンク4、放熱器5、空気供給装置14、燃料供給装置15、改質水供給装置16等の複数の補機が筐体50内に納められている。筐体50内には上述の装置全てが収められる必要はなく、例えば、第1熱交換器2や蓄熱タンク3を筐体50の外部に設けてもよい。また、上述の装置の一部を省略した燃料電池装置も可能である。
【0020】
燃料電池モジュール1は、箱状の収納容器10の内部に、燃料ガスと酸素含有ガスとで発電を行なう燃料電池11と、燃料電池11に供給する燃料ガスを生成する改質器12と、を収容して構成される。
【0021】
燃料電池11の構成については特に限定はしないが、例えば、複数の燃料電池セルが配列されてなるセルスタック構造を有していてもよい。セルスタック構造の燃料電池11は、例えば、各燃料電池セルの下端を、ガラスシール材等の絶縁性接合材を用いて、マニホールドに固定することによって構成される。
【0022】
改質器12は、天然ガス、LPガス等の原燃料ガスを水蒸気改質し、燃料電池11に供給する燃料ガスを生成する。改質器12には、原燃料ガスを供給する燃料供給装置15と、改質水を供給する改質水供装置16が接続されており、原燃料ガスと改質水は加熱された改質器12で改質反応し、水素を含む燃料ガスが生成される。
【0023】
燃料電池11には、改質器12で生成された燃料ガスと、空気供給装置14によって導入された空気(酸素含有ガス)が供給される。燃料ガスは、燃料電池セル内を通過するときに酸素含有ガスと反応して発電が行われる。発電に使用されなかった燃料ガスと酸素含有ガスは、燃料電池11の上部で合流して燃焼する。この燃料ガスの燃焼によって高温の排ガスが生成され、改質器12はこの熱によって加熱される。このようにして燃料電池モジュール1内で生じた排ガスは、第1熱交換器2に供給される。
【0024】
第1熱交換器2には配管を介して、蓄熱タンク3、熱媒ポンプP1および放熱器5が接続され、第1熱媒循環ラインHC1が形成されている。この第1熱媒循環ラインHC1には熱媒体が導入されており、第1熱交換器2ではこの熱媒体と前述の排ガスとで熱交換が行われて熱媒体が加熱される。熱媒体としては水などを用いることができ、蓄熱タンク3は熱交換により温度が上昇した熱媒体を蓄える。蓄熱タンク3に蓄えられた熱媒体は、放熱器5に送られて冷却され、再び第1熱交換器2で排ガスと熱交換を行った後、蓄熱タンク3に還流する。これにより、蓄熱タンク3には上部から温度の高い熱媒体が蓄えられ温度成層が形成される。
【0025】
また、第1熱交換器2には、凝縮水回収路20を介して凝縮水タンク4が接続されている。燃料電池モジュール1で発生した排ガスが熱交換によって冷却されると、排ガス中に含まれる水蒸気が水と気体に分離され、分離された水は、凝縮水回収流路20を通って凝縮水タンク4に回収される。凝縮水タンク4では、イオン交換器(図示せず)などを経て、回収した水から不純物を取り除いて純水化する。純水化した水は水供給装置16により改質器12に供給され、改質水として使用される。一方で、水分が取り除かれた気体は、排気流路21を通ってから筐体50の外に排出される。
【0026】
改質器12に原燃料を供給する燃料供給装置15は、燃料の供給源から繋がる原燃料流路22上に、第1電磁弁V1、圧力センサPS、脱硫器DS、ガス流量計FM1、燃料ポンプB1、第2電磁弁V2等の補機が設けられている。改質器12に改質水を供給する改質水供給装置16は、凝縮水タンク4から繋がる改質水流路23上に改質水ポンプP3等の補機が設けられている。燃料電池モジュール1に酸素含有ガスを供給する空気供給装置14は、酸素含有ガス流路24上に、空気流量計FM2、ブロワB2等の補機が設けられている。なお、ここに挙げた補機は一例であって、この他の補機を備える構成としてもよい。
【0027】
さらに、燃料電池装置100には、各種機器の動作を制御する制御装置30が設けられているほか、燃料電池モジュール1にて発電された直流電力を交流電力に変換し、変換された電気の外部負荷への供給量を調整するための供給電力調整部(パワーコンディショナ)40を備えている。
【0028】
また、燃料電池装置100は、第2熱交換器6、蓄熱タンク3から熱媒を循環させる与熱ポンプP2およびこれらを繋ぐ配管を含む第2熱媒循環ラインHC2を備えていてもよい。第2熱媒循環ラインHC2では、外部から供給流路25を介して供給された水道水を、蓄熱タンク3に貯留された高温の熱媒体を用いて第2熱交換器6で加温する。加温された水を外部の給湯器等の再加熱装置に向けて送給流路26を介して送給することができる。燃料電池装置100は、外部への温水供給を行わない、いわゆるモノジェネレーションシステムであってもよい。
【0029】
次に、
図2~
図9を用いて燃料電池装置100の筐体50について説明する。以下の図では説明のために、筐体50内に収められている燃料電池モジュール1および補機等は省略している場合がある。
【0030】
図2は、本実施形態の燃料電池装置の筐体の分解図である。燃料電池装置100の筐体50は、直方体形状であって、底板51と、上面パネル52と、複数の側面パネル53~56を備えている。側面パネルは、左側面パネル53、右側面パネル54、正面パネル55、背面パネル56を備えており、本実施形態では、左側面パネル53と右側面パネル54が横幅の短い短側面パネルであり、正面パネル55と背面パネル56が横幅の長い長側面パネルである。以降の説明では、左側面パネル53と右側面パネル54を合わせて短側面パネル、正面パネル55と背面パネル56を合わせて長側面パネルと呼ぶことがある。底板51および各パネル52~56は、板金部材を折り曲げ加工して成型される。また、各パネル52~56は、1枚の部材から構成されてもよいし、複数の部材を予め組み合わせたものであってもよい。
【0031】
燃料電池装置100には、メンテナンスを行うメンテナンス面があらかじめ設定されている。上面パネル52と、複数の側面パネル53~56の一部は、メンテナンス時に取り外されるメンテナンスパネルである。
【0032】
筐体50を組み立てる際は、まず底板51に左側面パネル53と右側面パネル54とを組み付ける。短側面パネルである左側面パネル53と右側面パネル54は、底板51に係止することで自立可能に構成されている。短側面パネル53、54は横幅が短いため、ネジ等で固定しなくとも、部材を係止させただけで比較的安定した状態を保つことができる。そして、短側面パネル53、54を組み付けた後で、長側面パネルである正面パネル55と背面パネル56を、底板51に係止させつつ、先に組み付けた短側面パネル53、54に係止させる。長側面パネル55、56は横幅が長いため、底部を係止しただけで安定させることは難しいが、両側部を他のパネルに係止させることで安定させることができる。底板51に側面のパネルが係止した状態でネジ止め等を行い側面パネル53~56を固定する。上述の構成とすることで、フレームを用いることなく底板51に側面パネル53~56を取り付けることができる。そして、最後に上面パネル52が取り付けられる。
【0033】
このように、フレームを用いずに燃料電池装置100の組立が可能になることで、メンテンナンス性が向上する。つまり、メンテナンスパネルを外した際に、修理対象の補機がフレームに隠れてしまったり、フレームの間に手が入らず作業しづらいという問題が発生しない。さらには、メンテナンス性以外にも、フレームを必要としないことで燃料電池装置100の重量を減らしたり、部材のコストを低減するという効果も併せて発揮する。
【0034】
また、筐体50には、底板51と短側面パネル53、54とを係止させる第1係止部61、底板51と長側面パネル55、56とを係止させる第2係止部62、短側面パネルの一つと前記長側面パネル55、56とを係止させる第3係止部63と、が設けられている。
【0035】
図3は、本実施形態の第1係止部の構造を示す図である。
図4は、本実施形態の第2係止部の構造を示す図であり、
図5は、本実施形態の第2係止孔の上面図である。
図6は、本実施形態の第3係止部の構造を示す図である。
【0036】
第1係止部61は、
図2および
図3に示すように、左側面パネル53に設けられた第1係止片61aと、底板51に設けられた第1係止孔61bからなる。第1係止片61aは、左側面パネル53の下部において筐体50の内側に向かって曲げられた小片であって、左右端部の2カ所に設けられている。底板51は、周縁部を上方に折り曲げてフランジ部511が設けられており、第1係止孔61bはこのフランジ部511に形成されている。底板51の第1係止孔61bに対して、左側面パネル53の第1係止片61aを外側から嵌め込んで取り付けられる。
【0037】
第1係止部61は、
図3に示す構造に限定されるものではない。左側面パネル53に第1係止孔を設け、底板51に第1係止片を設けた構成とすることもできる。また、第1係止片と第1係止孔の数、設けられる位置、形状に関しても本実施形態に限らず適宜設定することができる。
【0038】
第2係止部は、
図2、
図4、
図5に示すように、底板51に設けられた第2係止片62aと、長側面パネル55、56に設けられた第2係止孔62bからなる。第2係止片62aは、底板51のフランジ部511の上端に設けられた小片であって、正面パネル55側と背面パネル56側のそれぞれに2カ所ずつ設けられている。長側面パネル55、56は、下端部が板金部材が折り返し形成された折返部552、562を有しており、第2係止孔62bはこの折返部552、562の先端から筐体50の内側方向に向かって曲げられた小片555、565に形成されている。底板51の第2係止片62aに対して、長側面パネル55、56の第2係止孔62bを上から嵌め込んで取り付けられる。
【0039】
第2係止片62aは、先端の幅が短い台形状の形状に成型されている。第2係止孔62bも、第2係止片62aと同様に台形状である。これにより、第2係止片62aを第2係止孔62bに差し込む際は、第2係止片62aの先端の幅が短いため第2係止孔62bの孔幅に対するクリアランスが大きく、また第2係止孔62bの高さ(台形の高さ)は第2係止片62aの板厚に対して十分な遊びがあるため差し込み易い。そして、第2係止片62aを第2係止孔62bに差し込んで、長側面パネル55、56が規定の位置に到達すると、第2係止片62aの根本の太い部分が第2係止孔62bに嵌合して左右方向(筐体50の長手方向)および前後方向(筐体50の短手方向)のがたつきが防止される。このように、底板51に対して長側面パネル55、56を容易に位置決めすることができるので組立性に優れる。特に狭小地でのパネル組み付け作業における作業性が向上する。
【0040】
第3係止部は、
図2および
図6に示すように、左側面パネル53に設けられた第3係止片63aと、長側面パネル55、56に設けられた第3係止孔63bからなる。第3係止片63aは、左側面パネル53の上端部において上方に突出した小片であって、左右端部の2カ所に設けられている。正面パネル55には、上端部を筐体50の内側に向かって曲げてフランジ部551が設けられており、第3係止孔63bはこのフランジ部551に形成されている。左側面パネル53の第3係止片63aに対して、正面パネル55の第3係止片63bを上から嵌め込んで取り付けられる。なお、
図6では左側面パネル53と正面パネル55を示して説明したが、背面パネル56も正面パネル55と同様の構造を有している。
【0041】
底板51に設けられる第2係止片62aと、左側面パネル53に設けられる第3係止片63aは上方向に突出している。つまり、後から取り付けられる長側面パネル55、56を係止するための第2係止片62aと第3係止片63aはともに上方に突出している。これにより、長側面パネル55、56を取り付ける際に、第2係止片62aと第3係止片63aに容易に係止させることができるので組立性を損なうことがない。
【0042】
図7は、本実施形態の右側面パネル54の構造を示す図である。本実施形態において、右側面パネル54は、メンテナンス時に取り外すメンテナンスパネルであって、分割可能な上下2つのパネルから構成されている。上部パネル541は、開閉可能なカバー部541aを備えていて、このカバー部541aを外すと燃料電池装置100の電源スイッチやブレーカスイッチを操作することができるようになっている。下部パネル542には燃料や水の配管等が接続されている。メンテナンスの際には下部パネル542は取り付けたまま、上部パネル541だけを取り外すことができるようになっている。着脱の作業性を考慮して、上部パネル541は平板状となっている。メンテナンス時に取り外しのできるパネルは、上述の上部パネル541に限らず、他のパネルも取り外しできるように設計することができる。
【0043】
下部パネル542は底板51に係止して自立する。下部パネル542は、配管等が接続される配管接続板542aと、この配管接続板542aの左右両端部に取り付けられる保持フレーム542bを有している。このような構成において、下部パネル542を底板51に取り付ける際は、まず配管接続板542aと保持フレーム542bとを組み付けておく。配管接続板542aと保持フレーム542bの組付けには、雌ネジにスピードナットを使用してもよい。これにより組立の工数を低減することができる。配管接続板542aと保持フレーム542bの間には隙間ができるようになっているので、この隙間に底板51のフランジ部511を挟み込むことで簡単に取り付けることができる。
【0044】
正面パネル55と背面パネル56は、下部パネル542に係止する。配管接続板542aは、左右両端に段差部542cが形成されており、正面パネル55と背面パネル56の端部がこの段差部542cに突き当たることで係止される。
【0045】
また、
図2に示すように、燃料電池装置100は結合部材64を備えていてもよい。結合部材64は、側面パネル53~56の上端に取り付けられ、複数の側面パネル同士を連結する。
【0046】
図8は、本実施形態の結合部材を示す筐体の上面図であって、上面パネル52を取り外した状態を示している。本実施形態では、筐体50の左側端部に設けられた左側結合部材64aと、筐体50の右側端部に設けられた右側結合部材64bを備えている。左側結合部材64aは、左側面パネル53と、正面パネル55と、背面パネル56を連結する。右側結合部材64bは、右側面パネル54(上部パネル541)と、正面パネル55と、背面パネル56を連結する。このように、結合部材64で複数の側面パネルを連結させることで、筐体50の強度を上げることができる。
【0047】
図9は、本実施形態の短側面パネルと長側面パネルの嵌合状態を示す断面図である。図では左側面パネル53と正面パネル55を示す。左側面パネル53は、端部を筐体50の内側に凹ませて凹部533が設けられている。正面パネル55は、端部の先端を筐体50の内側(パネルの裏側)に折り曲げて折曲部554が設けられていて、折曲部554はその厚みが凹部533の凹みの深さとほぼ同じになるように形成されている。凹部533と折曲部554は、ともにパネルの高さ方向の全域にわたって設けられており、凹部553の凹みに折曲部554が嵌合する。これより、パネルの端面が筐体50の外に露出しないので、隣り合う側面パネルの間から雨水等が侵入してしまうことを防止することができる。なお、左側面パネル53と背面パネル56も同様の嵌合構造を有している。
【0048】
また、本実施形態の燃料電池装置100は、短側面パネル53、54を底板51に取り付けた後で、長側面パネルを55、56底板に取り付けるようになっている。そのため、短側面パネル53、54に凹部、長側面パネル55、56に折曲部を設けることで、後から取り付ける長側面パネル55、56が組み付けやすくなる。