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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024027827
(43)【公開日】2024-03-01
(54)【発明の名称】保持装置
(51)【国際特許分類】
   E04G 7/08 20060101AFI20240222BHJP
   E04G 21/16 20060101ALI20240222BHJP
   F16B 7/04 20060101ALI20240222BHJP
   E04G 3/00 20060101ALI20240222BHJP
【FI】
E04G7/08 Z
E04G21/16
F16B7/04 301N
E04G3/00 Z
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022130959
(22)【出願日】2022-08-19
(71)【出願人】
【識別番号】592003924
【氏名又は名称】三伸機材株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】508080609
【氏名又は名称】不二ライトメタル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100134359
【弁理士】
【氏名又は名称】勝俣 智夫
(74)【代理人】
【識別番号】100188592
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 洋
(72)【発明者】
【氏名】岡田 知
(72)【発明者】
【氏名】濱崎 憲章
【テーマコード(参考)】
2E174
3J039
【Fターム(参考)】
2E174EA01
3J039AA06
3J039BB04
3J039CA02
3J039CA04
(57)【要約】
【課題】保管及び運搬時に小型化が可能な保持装置を提供する。
【解決手段】保持装置1は、第1面12aAが形成された第1部材11Aと、第2面12aBが形成された第2部材11Bと、第1部材及び第2部材が互いに回動可能となるように第1部材及び第2部材に接続され、第1面及び第2面が互いに対向する閉状態C2と、閉状態における第1面及び第2面よりも、第1面及び第2面が互いに離間した開状態C1とに、第1部材及び第2部材の位置を切り替え可能なヒンジ部36と、開状態の第1部材及び第2部材を、支持部材に着脱可能に保持する支持保持部40と、第1部材に設けられ、被支持部材を着脱可能に保持する第1被支持保持部45Aと、を備える。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1面が形成された第1部材と、
第2面が形成された第2部材と、
前記第1部材及び前記第2部材が互いに回動可能となるように前記第1部材及び前記第2部材に接続され、前記第1面及び前記第2面が互いに対向する閉状態と、前記閉状態における前記第1面及び前記第2面よりも、前記第1面及び前記第2面が互いに離間した開状態とに、前記第1部材及び前記第2部材の位置を切り替え可能なヒンジ部と、
前記開状態の前記第1部材及び前記第2部材を、支持部材に着脱可能に保持する支持保持部と、
前記第1部材に設けられ、被支持部材を着脱可能に保持する第1被支持保持部と、
を備える、保持装置。
【請求項2】
前記第2部材に設けられ、前記被支持部材を着脱可能に保持する第2被支持保持部を備える、請求項1に記載の保持装置。
【請求項3】
前記第1部材及び前記第2部材は、それぞれ平板状に形成されている、請求項1又は2に記載の保持装置。
【請求項4】
前記第1部材には、前記第1面に沿って延びて前記第1部材を貫通する第1貫通孔が形成されている、請求項1又は2に記載の保持装置。
【請求項5】
前記ヒンジ部は、
前記第1部材に設けられた第1係合部と、
前記第2部材に設けられ、前記第1係合部と係合する第2係合部と、を有し、
前記第1係合部及び前記第2係合部は、前記第1部材及び前記第2部材が回動する回動軸に沿って延び、
前記第2係合部に対して前記第1係合部が前記回動軸に沿う方向に移動するのを規制する規制部を有する、請求項1又は2に記載の保持装置。
【請求項6】
前記第1部材及び前記第2部材は、それぞれアルミニウム又はアルミニウム合金で形成されている、請求項1又は2に記載の保持装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、保持装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、鉄骨建方現場において、柱(支持部材)と梁とが接合される柱梁接合部で溶接等の作業するために、柱梁接合部に作業足場を設置することが行われている(例えば、非特許文献1参照)。
例えば、柱は角形鋼管製であり、設置面から上方に向かって延びている。設置面から作業足場まで作業者が登るために、設置面と作業足場との間に、梯子(はしご)を、上下方向に架け渡すことが行われている。
【0003】
非特許文献1では、梯子の上端部は、作業足場に固定され、梯子の上下方向における中間部は、管材(被支持部材)等を介して、保持装置により柱に固定される。
具体的には、保持装置は、L字プレートと、ベルト(支持保持部)と、クランプ(被支持保持部)と、を有する。L字プレートは、L字状に形成され、柱の角部に沿って配置されている。ベルトは、L字プレートに設けられ、柱に巻き付けられている。ベルトは、L字プレートを柱に固定している。クランプは、L字プレートに固定されている。クランプは、管材を保持している。管材は、梯子に固定されている。
【0004】
以上のように、梯子では、上端部だけでなく、中間部が固定されている。このため、作業者が梯子を登る際に、梯子が揺れ難くなる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】“製品詳細 振れ止めステー用 ブランケット”、日綜産業株式会社、[online]、[令和04年8月9日検索]、インターネット〈URL:https://www.nisso-sangyo.co.jp/products/2335〉
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、非特許文献1の保持装置にはL字プレートが用いられているため、保持装置の外形が大きく、保持装置を保管及び運搬し難いという問題がある。
【0007】
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたものであって、保管及び運搬時に小型化が可能な保持装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するために、この発明は以下の手段を提案している。
(1)本発明の態様1は、第1面が形成された第1部材と、第2面が形成された第2部材と、前記第1部材及び前記第2部材が互いに回動可能となるように前記第1部材及び前記第2部材に接続され、前記第1面及び前記第2面が互いに対向する閉状態と、前記閉状態における前記第1面及び前記第2面よりも、前記第1面及び前記第2面が互いに離間した開状態とに、前記第1部材及び前記第2部材の位置を切り替え可能なヒンジ部と、前記開状態の前記第1部材及び前記第2部材を、支持部材に着脱可能に保持する支持保持部と、前記第1部材に設けられ、被支持部材を着脱可能に保持する第1被支持保持部と、を備える保持装置である。
【0009】
この発明では、保持装置を使用する際には、ヒンジ部により第1面及び第2面を開状態にする。第1部材の第1面及び第2部材の第2面を支持部材に接触させた状態で、支持保持部により、第1部材及び第2部材を支持部材に保持する。第1部材に設けられた第1被支持保持部により被支持部材を保持することで、例えば、被支持部材に固定された梯子を、保持装置を介して支持部材に固定することができる。
保持装置を用いた作業が終了したら、第1被支持保持部による被支持部材の保持を解除し、支持保持部による支持部材の保持を解除する。ヒンジ部により第1面及び第2面を閉状態にすると、第1部材及び第2部材が、第1面及び第2面が互いに対向する方向に小型化される。従って、保持装置を使用しない保管及び運搬時に、保持装置を小型化することができる。
【0010】
(2)本発明の態様2は、前記第2部材に設けられ、前記被支持部材を着脱可能に保持する第2被支持保持部を備える、(1)に記載の保持装置であってもよい。
この発明では、第1被支持保持部だけでなく、第2被支持保持部によっても、被支持部材を保持することができる。
【0011】
(3)本発明の態様3は、前記第1部材及び前記第2部材は、それぞれ平板状に形成されている、(1)又は(2)に記載の保持装置であってもよい。
この発明では、第1部材及び第2部材が閉状態のときに、第1部材及び第2部材を、第1面及び第2面が互いに対向する方向に、より小型化することができる。
【0012】
(4)本発明の態様4は、前記第1部材には、前記第1面に沿って延びて前記第1部材を貫通する第1貫通孔が形成されている、(1)から(3)のいずれか一に記載の保持装置であってもよい。
この発明では、例えば、第1部材に第1被支持保持部を設ける際にボルト及びナットを用いる場合に、第1貫通孔内にナットを配置する。そして、第1部材及び第1被支持保持部をボルト及びナットで締め付けて、互いに固定することができる。また、このナットを、第1貫通孔内を通して、新しいナットに容易に交換することができる。
【0013】
(5)本発明の態様5は、前記ヒンジ部は、前記第1部材に設けられた第1係合部と、前記第2部材に設けられ、前記第1係合部と係合する第2係合部と、を有し、前記第1係合部及び前記第2係合部は、前記第1部材及び前記第2部材が回動する回動軸に沿って延び、前記第2係合部に対して前記第1係合部が前記回動軸に沿う方向に移動するのを規制する規制部を有する、(1)から(4)のいずれか一に記載の保持装置であってもよい。
この発明では、回動軸に沿う方向に相対的に移動しやすい第1係合部及び第2係合部の移動を、規制部により規制し、ヒンジ部の機能を維持することができる。
【0014】
(6)本発明の態様6は、前記第1部材及び前記第2部材は、それぞれアルミニウム又はアルミニウム合金で形成されている、(1)から(5)のいずれか一に記載の保持装置であってもよい。
この発明では、例えば、第1部材及び第2部材が鋼材で形成されている場合に比べて、第1部材及び第2部材を軽量化することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明の保持装置では、保管及び運搬時に小型化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の一実施形態の保持装置が用いられる柱梁構造物を平面視した断面図である。
図2図1におけるA1方向矢視図である。
図3図2中の切断線A5-A5の断面図である。
図4図3中の要部拡大図である。
図5】第1,2クランプが把持状態のときの保持装置の正面図である。
図6】第1,2クランプが非把持状態のときの保持装置の正面図である。
図7】本発明の一実施形態の保持装置が用いられる他の柱梁構造物を平面視した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明に係る保持装置の一実施形態を、図1から図7を参照しながら説明する。
図1及び図2に示すように、本実施形態の保持装置1は、柱梁構造物100に用いられる。なお、図1は、図2中の切断線A2-A2の断面図である。柱梁構造物100は、建築物を施工する際に、建築物が完成する前の構造物である。図1では、後述する梁102を二点鎖線で示す。
柱梁構造物100は、例えば、複数の柱(支持部材)101と、複数の梁102と、を備える。なお、図1及び図2では、複数の柱101のうち1つのみを示す。
複数の柱101は、基礎の上面等である設置面Fから上方に向かって延びている。例えば、柱101は、4面ボックスによる角形鋼管である。柱101は、4枚の厚板101aを互いに溶接して構成されている。
複数の梁102は、水平面に沿って延び、隣り合う一対の柱101の間に架け渡されている。柱101と梁102とが互いに接合される部分が、柱梁接合部103である。
【0018】
柱梁接合部103には、作業足場110が設置されている。例えば、作業足場110として、ライトステージ(三伸機材株式会社製)が好ましく用いられる。作業足場110は、一対の床板111と、一対の渡し板112と、図示しない手すり等と、を有する。
一対の床板111は、水平面に沿う第1水平方向から、柱101を挟むように配置されている。一対の床板111は、図示しない固定具により柱101に固定されている。
一対の渡し板112は、水平面に沿うとともに第1水平方向に直交する第2水平方向から、柱101を挟むように配置されている。各渡し板112は、一対の床板111間に架け渡された状態で、一対の床板111に固定されている。
一対の床板111及び一対の渡し板112は、全体として額縁状に形成され、柱101を囲んでいる。
手すりは、一対の床板111及び一対の渡し板112における、柱101から離間した側の外縁に設けられている。手すりは、この外縁から上方に向かって延びている。
【0019】
設置面Fと作業足場110との間には、梯子115が架け渡されている。
例えば、梯子115の上端部と作業足場110の床板111とは、図示しない固定具により互いに固定されている。
【0020】
図3及び図4に示すように、保持装置1は、第1回動部材10と、第2回動部材30と、ベルト機構(支持保持部)40と、複数の第1クランプ(第1被支持保持部)45Aと、複数の第2クランプ(第2被支持保持部)45Bと、規制部55と、を備える。なお、図3及び図4における保持装置1は、回動部材10,30における後述する第1面12aA及び第2面12aBが、互いに比較的離間した開状態C1である。図4では、柱101を二点鎖線で示し、後述する管材125を示していない。
図4に示すように、第1回動部材10は、第1部材11Aと、緩衝材16Aと、第1係合部21と、を有する。図4及び図5に示すように、第1部材11Aは、平板状に形成されている。なお、図5では、後述する管材125を二点鎖線で示している。
第1部材11Aは、第1板材12Aと、第2板材13Aと、複数の仕切り板14Aと、を有する。
【0021】
第1板材12A、第2板材13A、仕切り板14Aは、それぞれ平板状に形成されている。図4に示すように、第1板材12A及び第2板材13Aは、互いに対向するように配置されている。第1板材12Aにおける第2板材13Aとは反対側の面が、第1面12aAである。すなわち、第1部材11Aには、第1面12aAが形成されている。この例では、第1面12aAは、平坦である。
第2板材13Aにおける第1板材12Aとは反対側の面には、複数の窪み13aAが形成されている。
複数の仕切り板14Aは、第1板材12Aと第2板材13Aとの間に配置されている。各仕切り板14Aは、第1面12aAに沿う第1方向120Aに沿って延びている。複数の仕切り板14Aは、第1面12aAに沿うとともに、第1方向120Aに直交する第2方向121Aに互いに間隔を空けて配置されている。
【0022】
第1部材11Aには、第2方向121Aに隣り合う一対の仕切り板14Aの間に、第1貫通孔11aAが形成されている。第1貫通孔11aAは、第1方向120Aに延びて第1部材11Aを貫通する。
【0023】
緩衝材16Aは、平板状に形成されている。例えば、緩衝材16Aは、エチレンプロピレンゴム(EPDM:Ethylene Propylene Diene Methylene linkage)等の合成ゴムで形成されている。緩衝材16Aは、第1板材12Aの第1面12aAに接着剤等により固定されている。
【0024】
第1係合部21は、第1部材11Aの第2方向121Aの端部に設けられている。第1係合部21は、係合部本体22と、爪23と、を有する。
係合部本体22は、第1板材12Aにおける第2方向121Aの端部、及び第2板材13Aにおける第2方向121Aの端部にそれぞれ接続されている。
爪23は、係合部本体22に設けられている。
第1部材11A及び第1係合部21は、アルミニウム又はアルミニウム合金で一体に形成されている。例えば、アルミニウム合金は、アルミニウムを重量比で50%以上含む合金である。アルミニウム合金には、ジュラルミン等が含まれる。
【0025】
第2回動部材30は、第2部材11Bと、緩衝材16Bと、第2係合部31と、を有する。なお、第1係合部21及び第2係合部31で、ヒンジ部36を構成する。
本実施形態では、第1部材11Aの構成と第2部材11Bの構成とは、互いに同一である。このため、第1部材11Aの構成を、符号の数字、又は数字及び英小文字に英大文字「A」を付加することで示す。第2部材11Bのうち第1部材11Aに対応する構成を、第1部材11Aの符号と同一の数字、又は数字及び英小文字に英大文字「B」を付加することで示す。これにより、重複する説明を省略する。例えば、第1部材11Aの第1板材12Aと第2部材11Bの第1板材12Bとは、互いに同一の構成である。
第1クランプ45A及び第2クランプ45B等についても、同様である。
【0026】
第2部材11Bは、平板状に形成されている。
第2部材11Bは、第1部材11Aの第1板材12A、第2板材13A、複数の仕切り板14Aと同様に構成された第1板材12B、第2板材13B、複数の仕切り板14Bを有する。第1板材12Bにおける第2板材13Bとは反対側の面が、第2面12aBである。すなわち、第2部材11Bには、第2面12aBが形成されている。
第2部材11Bには、第2方向121Bに隣り合う一対の仕切り板14Bの間に、第2貫通孔11aBが形成されている。第2貫通孔11aBは、第1方向120Bに延びて第2部材11Bを貫通する。
【0027】
第2係合部31は、第2部材11Bの第2方向121Bの端部に設けられている。第2係合部31は、係合部本体32と、爪33と、を有する。
係合部本体32は、第1板材12Bの第2方向121Bの端部、及び第2板材13Bの第2方向121Bの端部にそれぞれ接続されている。
爪33は、係合部本体32に設けられている。爪33は、第1係合部21の爪23と係合する。第1係合部21及び第2係合部31は、互いに係合しつつ、互いに回動軸O1回りに回動できる公知の形状である。第1係合部21及び第2係合部31は、それぞれ回動軸O1に沿って延びている。第1方向120A及び第1方向120Bは、それぞれ回動軸O1に沿う方向である。
係合部本体32及び爪33の回動軸O1に沿う方向の長さは、係合部本体22及び爪23の回動軸O1に沿う方向の長さよりも長い。すなわち、係合部本体32及び爪33は、係合部本体22及び爪23よりも回動軸O1に沿う方向の両側にそれぞれ突出している。
第2部材11B及び第2係合部31は、アルミニウム又はアルミニウム合金で一体に形成されている。
【0028】
例えば、第1部材11A及び第1係合部21は、押出し成形により一体に形成することができる。同様に、第2部材11B及び第2係合部31は、押出し成形により一体に形成することができる。
以上のように、ヒンジ部36は、第1部材11A及び第2部材11Bが互いに回動可能となるように、第1部材11A及び第2部材11Bにそれぞれ接続されている。
以上のように構成された保持装置1は、回動部材10,30は開状態C1になっていて、第1面12aA及び第2面12aBは緩衝材16A,16Bを介して柱101に接触している。
【0029】
図3から図5に示すように、ベルト機構40は、ベルト41と、ベルトガイド42と、締め付け機構43と、を有する。
ベルト41は、開状態C1である回動部材10,30の外側及び柱101に掛け回されている。
ベルトガイド42は、回動部材10,30の第2板材13A,13Bに固定されている。ベルトガイド42は、第1回動部材10に対してベルト41が第2方向121Aのみに移動可能となるとともに、第2回動部材30に対してベルト41が第2方向121Bのみに移動可能となるように案内する。
【0030】
締め付け機構43は、公知のラチェット機構、ラッシング機構等を有する。締め付け機構43がベルト41を締め付けることにより、回動部材10,30が柱101に固定されている。
一方で、締め付け機構43による締め付けを解除することにより、回動部材10,30及び柱101からベルト41が外れ、柱101から保持装置1が取り外される。
以上のように、ベルト機構40は、開状態C1の第1回動部材10(第1部材11A)及び第2回動部材30(第2部材11B)を、柱101に着脱可能に保持する。
【0031】
図5に示す第2クランプ45Bは、管材(被支持部材)125を把持可能な把持状態C6である。なお、図5では、管材125を二点鎖線で示している。図1に示すように、例えば、管材125は、第1単管126と、第2単管127と、を有する。単管126,127は、それぞれ直管状である。第2単管127は、第1単管126の端部に設けられ、第1単管126に直交する方向に延びている。第2単管127は、梯子115に図示しない固定具により互いに固定されている。
第2クランプ45Bは、管材125の第1単管126を把持可能である。
【0032】
図5に示すように、例えば、第2クランプ45Bは、本体46Bと、アーム47Bと、ネジ部材48Bと、ナット49Bを有する。
本体46B及びアーム47Bは、側面視でそれぞれ円弧状を呈する。本体46Bの内周面における幅方向(第2方向121B)の中央部には、外側に向かって凹んだ凹部46aBが形成されている(図4も参照)。図4に示すように、本体46Bは、第2板材13Bの窪み13aB内に配置されている。図5に示すように、本体46Bの第1端部は、本体46Bにおける第1端部とは反対側の第2端部よりも下方に配置されている。
【0033】
図4に示すように、本体46Bは、ナット51B及びボルト52Bにより、第2板材13Bに固定されている。具体的には、ナット51Bは、第2部材11Bの第2貫通孔11aB内に配置されている。ボルト52Bの頭部は、本体46Bの凹部46aB内に配置されている。ボルト52Bの軸部は、図示はしないが、本体46B及び第2板材13Bにそれぞれ形成された貫通孔内に配置されている。ボルト52Bの軸部は、ナット51Bに嵌め合っている。ボルト52Bの頭部及びナット51Bは、本体46B及び第2板材13Bを、第2板材13Bの厚さ方向に締め付けている。
図5に示すように、アーム47Bの第1端部は、本体46Bの第1端部に回動可能に接続されている。アーム47Bにおける第1端部とは反対側の第2端部には、切欠き47aBが形成されている。
【0034】
ネジ部材48Bの第1端部には、符号を省略した雄ネジが形成されている。ネジ部材48Bの第1端部は、アーム47Bの切欠き47aB内に配置されている。ネジ部材48Bにおける第1端部とは反対側の第2端部は、本体46Bの第2端部に回動可能に接続されている。
ナット49Aは、アーム47Bの第2端部における外側の面に接触している。ナット49Aの雌ネジは、ネジ部材48Bの雄ネジに嵌め合っている。ナット49Aは、アーム47Bの第2端部を本体46Bの第2端部に向かって締め付けている。
以上のように、管材125を保持(把持)可能な把持状態C6の第2クランプ45Bは、円環状である。第2クランプ45Bは、ナット51B及びボルト52Bにより、第2板材13Bに固定されている。すなわち、第2クランプ45Bは、第2部材11Bの第2板材13Bに設けられている。
図4に示すように、複数の第2クランプ45Bは、第2方向121Bに互いに間隔を空けて並べて配置されている。
【0035】
一方で、把持状態C6の第2クランプ45Bにおいて、ネジ部材48Bに嵌め合っているナット49Aを緩めると、図6に示すように、アーム47Bの切欠き47aBからネジ部材48Bが外れる。アーム47Bは、第1端部回りに回動して、アーム47Bの第2端部が第1端部よりも下方に移動する。
このとき、第2クランプ45Bは、管材125を保持しない非把持状態C7となる。
以上のように、第2クランプ45Bは、管材125を着脱可能に保持する。
【0036】
図4及び図5に示すように、第1クランプ45Aは、第2クランプ45Bの本体46B、アーム47B、ネジ部材48B、ナット49Bと同様に構成された本体46A、アーム47A、ネジ部材48A、ナット49Aを備える。
第1クランプ45Aは、第1部材11Aの第2板材13Aに設けられている。第1クランプ45Aは、管材125を着脱可能に保持する。
図5に示すように、この例では、複数の第1クランプ45Aが配置される第1方向120A(第1方向120B)の位置と、複数の第2クランプ45Bが配置される第1方向120Aの位置とが、一致している。
なお、複数の第1クランプ45Aが配置される第1方向120Aの位置と、複数の第2クランプ45Bが配置される第1方向120Aの位置とが、第1方向120Aにずれていてもよい。
【0037】
図4に示すように、例えば、規制部55は、一対のリベット56を有する。なお、図4では、一対のリベット56のうち一方のみを示す。
各リベット56は、爪33における第1係合部21よりも回動軸O1に沿う方向に突出した部分にそれぞれ固定されている。各リベット56は、第1係合部21の爪23に、回動軸O1に沿う方向に係止する。
規制部55は、第2係合部31に対して第1係合部21が回動軸O1に沿う方向に移動するのを規制する。
なお、規制部55は、一対のリベット56に代えて、一対のネジ等を有してもよい。
【0038】
第1回動部材10及び第2回動部材30が回動軸O1回りに相対的に回動し、第1回動部材10に対して第2回動部材30が図4中に二点鎖線で示す位置に移動する。このとき、保持装置1の第1回動部材10及び第2回動部材30は、第1面12aA及び第2面12aBが互いに対向する閉状態C2になる。このとき、第1面12aA及び第2面12aBがなす角度は、0°程度である。
一方で、閉状態C2の第1面12aA及び第2面12aBから、第1回動部材10及び第2回動部材30の少なくとも一方が回動軸O1回りに相対的に回動すると、第1面12aA及び第2面12aBは、開状態C1になる。開状態C1における第1面12aA及び第2面12aBは、閉状態C2における第1面12aA及び第2面12aBよりも互いに離間している。開状態C1における第1面12aA及び第2面12aBがなす角度は、90°程度である。
【0039】
以上のように、保持装置1のヒンジ部36は、第1面12aA及び第2面12aBの位置を、開状態C1と閉状態C2とに、切り替え可能である。
なお、開状態C1における第1面12aA及び第2面12aBがなす角度は、0°より大きければよく、制限されない。ヒンジ部36は、第1面12aA及び第2面12aBの位置を、開状態C1及び閉状態C2を含む3以上の状態に切り替え可能であってもよい。
【0040】
以上説明したように、本実施形態の保持装置1では、保持装置1を使用する際には、ヒンジ部36により第1面12aA及び第2面12aBを開状態C1にする。第1部材11Aの第1面12aA及び第2部材11Bの第2面12aBを、緩衝材16A,16Bを介して柱101に接触させた状態で、ベルト機構40により、第1部材11A及び第2部材11Bを柱101に保持する。第1部材11Aに設けられた第1クランプ45Aにより管材125を保持する。
管材125を保持する際に、例えば予め、図6に示すように、複数の第1クランプ45A及び複数の第2クランプ45Bは、それぞれ非把持状態C7になっている。なお、複数の第2クランプ45Bは、それぞれ把持状態C6になっていてもよい。
【0041】
複数の第1クランプ45Aにおいて、本体46Aとアーム47Aとの間に管材125の第1単管126を挟み、図5に示すように複数の第1クランプ45Aをそれぞれ把持状態C6にする。こうして、複数の第1クランプ45Aに、管材125の第1単管126を保持させる。以上のようにして、管材125に固定された梯子115を、保持装置1を介して柱101に固定することができる。
そして、作業者は、設置面Fから梯子115を登り、作業足場110に上がる。作業者は、作業足場110において、柱梁接合部103の溶接等の作業を行う。
【0042】
保持装置1を用いた作業が終了したら、第1クランプ45Aによる管材125の保持を解除し、ベルト機構40による柱101の保持を解除する。ヒンジ部36により第1面12aA及び第2面12aBを閉状態C2にすると、第1部材11A及び第2部材11Bが、第1面12aA及び第2面12aBが互いに対向する方向に小型化される。従って、保持装置1を使用しない保管及び運搬時に、保持装置1を小型化することができる。
【0043】
図3に示すように、従来のL字プレート135の内側の面135aの角部は、直角でなく、この角部には、所定の大きさの角Rが形成されている。このため、内側の面135aが、柱101に密着し難い。
これに対して、本実施形態の保持装置1では、緩衝材16A,16Bを柱101に密着させることができる。
【0044】
保持装置1は、複数の第2クランプ45Bを備える。このため、複数の第1クランプ45Aだけでなく、複数の第2クランプ45Bによっても、管材125を保持することができる。柱101に保持装置1を取付ける向きを誤っても、複数の第1クランプ45A又は複数の第2クランプ45Bによって管材125を保持できる可能性を増加させることができる。
第1部材11A及び第2部材11Bは、平板状に形成されている。このため、第1部材11A及び第2部材11Bが閉状態C2のときに、第1部材11A及び第2部材11Bを、第1面12aA及び第2面12aBが互いに対向する方向に、より小型化することができる。
【0045】
第1部材11Aには、第1貫通孔11aAが形成されている。第1部材11Aに第1クランプ45Aを設ける際にボルト52A及びナット51Aを用いる場合に、第1貫通孔11aA内にナット51Aを配置する。そして、第1部材11A及び第1クランプ45Aをボルト52A及びナット51Aで締め付けて、互いに固定することができる。また、このナット51Aを、第1貫通孔11aA内を通して、新しいナット51Aに容易に交換することができる。
保持装置1は、規制部55を備える。従って、回動軸O1に沿う方向に相対的に移動しやすい第1係合部21及び第2係合部31の移動を、規制部55により規制し、ヒンジ部36の機能を維持することができる。
【0046】
第1部材11A及び第2部材11Bは、それぞれアルミニウム又はアルミニウム合金で形成されている。このため、例えば、第1部材及び第2部材が鋼材で形成されている場合に比べて、第1部材11A及び第2部材11Bを軽量化することができる。
【0047】
なお、保持装置1は、図7に示す柱梁構造物130にも、用いることができる。
柱梁構造物130は、ブラケット付き柱131と、複数の梁102と、を備える。ブラケット付き柱131は、柱101と、複数のブラケット132と、を有する。
複数のブラケット132は、柱101の側面に溶接により接合されている。複数のブラケット132は、柱101から水平面に沿って突出している。梁102は、ブラケット132に突き合わされた状態で、ブラケット132に溶接されている。
この例では、梯子115の上端部は、ブラケット132に固定されている。梯子115の上下方向における中間部は、管材125及び保持装置1を介して柱101に固定されている。
この場合、梯子115を登った作業者は、ブラケット132と梁102との溶接部等で、溶接等の作業を行うことができる。
【0048】
以上、本発明の一実施形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の構成の変更、組み合わせ、削除等も含まれる。
例えば、前記実施形態では、保持装置1が備える第1クランプ45Aの数、及び第2クランプ45Bの数は、それぞれ1つずつでもよい。
第1部材11Aに第1貫通孔11aAが形成されていなくてもよいし、第2部材11Bに第2貫通孔11aBが形成されていなくてもよい。
第1部材は、平板状に形成されず、第1面が形成された半球状等に形成されてもよい。第2部材の形状についても、第1部材と同様である。
【0049】
ヒンジ部36は、一対の蝶番片が互いに開閉可能な蝶番等でもよい。
支持部材が柱101であり、被支持部材が管材125であるとした。しかし、支持部材はこれに限定されず軸状部材等でもよく、被支持部材はこれに限定されず、梯子115等でもよい。
支持保持部がベルト機構40であるとしたが、支持保持部はこれに限定されず、クランプ、嵌合部材等でもよい。
第1、第2被支持保持部が第1、第2クランプ45A,45Bであるとしたが、第1、第2被支持保持部はこれに限定されず、嵌合部材等でもよい。
【0050】
第1部材11A及び第2部材11Bは、それぞれ鋼板等で形成されてもよい。
保持装置1は、緩衝材16A,16B、複数の第2クランプ45B、及び規制部55を備えなくてもよい。
柱は、コラムによる角形鋼管であってもよい。また、柱は、RC(Reinforced Concrete:鉄筋コンクリート造)造、SRC(Steel Reinforced Concrete:鉄筋鉄骨コンクリート造)造等の柱であってもよい。
【符号の説明】
【0051】
1 保持装置
11aA 第1貫通孔
11A 第1部材
11B 第2部材
12aA 第1面
12aB 第2面
21 第1係合部
31 第2係合部
36 ヒンジ部
55 規制部
101 柱(支持部材)
125 管材(被支持部材)
C1 開状態
C2 閉状態
O1 回動軸
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7