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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024002783
(43)【公開日】2024-01-11
(54)【発明の名称】補助部材、容器
(51)【国際特許分類】
   B65D 25/28 20060101AFI20231228BHJP
   B65D 33/10 20060101ALI20231228BHJP
【FI】
B65D25/28
B65D33/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022102190
(22)【出願日】2022-06-24
(71)【出願人】
【識別番号】000238005
【氏名又は名称】株式会社フジシールインターナショナル
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】小田切 俊
(72)【発明者】
【氏名】土井 来希
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 由佳
(72)【発明者】
【氏名】稲川 義則
【テーマコード(参考)】
3E062
3E064
【Fターム(参考)】
3E062HA03
3E062HB03
3E062HB09
3E062HC07
3E064AB23
3E064EA12
3E064FA04
3E064HJ10
3E064HK01
3E064HM01
3E064HN65
3E064HS04
(57)【要約】
【課題】既存の容器に対して、付加的な効果を容易に付与できる立体的な補助部材を提供する。
【解決手段】補助部材1は、第1熱収縮率を有する第1シート体11と、第1熱収縮率よりも低い第2熱収縮率を有する第2シート体12とが接続された本体15と、本体15の外側表面に位置する接着層16と、を備え、本体15を長手方向に垂直な平面で切断したときの断面には環状が含まれており、当該断面において、第2シート体12の両端部の間に第1シート体11の少なくとも一部が位置している。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1熱収縮率を有する第1シート体と、第1熱収縮率よりも低い第2熱収縮率を有する第2シート体とが接続された本体と、
前記本体の外側表面に位置する接着層と、を備え、
前記本体を長手方向に垂直な平面で切断したときの断面には環状が含まれており、当該断面において、前記第2シート体の両端部の間に前記第1シート体の少なくとも一部が位置している、補助部材。
【請求項2】
前記断面において、前記第1シート体が前記第2シート体の内側に位置する、請求項1に記載の補助部材。
【請求項3】
前記第2シート体の、前記長手方向に延びる少なくとも一方の両端部は折れ曲がっており、前記両端部の間に前記第1シート体が接続されている請求項1または2に記載の補助部材。
【請求項4】
前記接着層は、前記第2シート体の外側表面において、前記第2シート体の前記長手方向に延びる端部側に偏って位置している、請求項1または2に記載の補助部材。
【請求項5】
第1熱収縮率を有する第1シート体と、第1熱収縮率よりも低い第2熱収縮率を有する第2シート体とが接続された補助部材と、
前記補助部材の外側表面に位置する接着層と、
前記接着層を介して前記補助部材と接着する容器本体と、を備え、
前記補助部材を長手方向に垂直な平面で切断したときの断面には環状が含まれており、当該断面において、前記第2シート体の両端部の間に前記第1シート体の少なくとも一部が位置している、容器。
【請求項6】
前記容器本体は軟包材容器である、請求項5に記載の容器。
【請求項7】
前記第1シート体は、前記補助部材が前記容器本体に接着された状態で熱収縮される、請求項5または6に記載の容器。
【請求項8】
前記補助部材が接着した側と反対側の前記容器本体の表面に、該表面を介して前記補助部材を把持する把持者の指の位置を案内する案内部を有する、請求項7に記載の容器。
【請求項9】
正面視において、前記補助部材は、前記容器本体の内容物の上端面に重畳するように前記容器本体に接着されている、請求項7に記載の容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、既存の容器に付加的な効果をもたらす立体的な補助部材等に関する。
【背景技術】
【0002】
内容物を注ぎだし易くする取手を設けた包装袋が知られている(特許文献1)。
【0003】
特許文献1の包装袋は、袋本体に注ぎ口部が形成可能にされ、袋本体の外面に取手用シートが接合されて設けられている。そして、内容物が充填された開封前の該袋本体における幅方向中央を通って上下方向に延びる中心軸を挟んで注ぎ口部に対する反対側の外面に前記取手用シートが設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2021-062905号公報(2021年4月22日公開)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の包装袋は、取手用シートが予め接合されている。既存の容器に対して、把持効果、及び/又は、補強効果等の付加的な効果を容易に付与できる技術が望まれる。
【0006】
本開示は、前記課題に鑑みなされたものであり、その目的は、既存の容器に対して、付加的な効果を容易に付与できる立体的な補助部材を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記の課題を解決するために、本開示の一態様に係る補助部材は、第1熱収縮率を有する第1シート体と、第1熱収縮率よりも低い第2熱収縮率を有する第2シート体とが接続された本体と、前記本体の外側表面に位置する接着層と、を備え、前記本体を長手方向に垂直な平面で切断したときの断面には環状が含まれており、当該断面において、前記第2シート体の両端部の間に前記第1シート体の少なくとも一部が位置している。
【0008】
前記の課題を解決するために、本開示の一態様に係る容器は、第1熱収縮率を有する第1シート体と、第1熱収縮率よりも低い第2熱収縮率を有する第2シート体とが接続された補助部材と、前記補助部材の外側表面に位置する接着層と、前記接着層を介して前記補助部材と接着する容器本体と、を備え、前記補助部材を長手方向に垂直な平面で切断したときの断面には環状が含まれており、当該断面において、前記第2シート体の両端部の間に前記第1シート体の少なくとも一部が位置している。
【発明の効果】
【0009】
本開示の一態様によれば、既存の容器に対して、付加的な効果を容易に付与できる立体的な補助部材を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本開示に係る補助部材の使用例を説明するための図である。
図2】本開示の一態様に係る補助部材の斜視図を示す。
図3】本開示に係る、第1シート体と第2シート体の種々の位置関係を説明するための図である。
図4】本開示に係る、第1シート体と接着層の位置関係を説明するための図である。
図5】本開示に係る、第1シート体と第2シート体の相対長さを説明するための図である。
図6】本開示に係る補助部材が容器本体に接着した様子を示す断面図である。
図7】本開示に係る接着層の一例を示す図である。
図8】本開示に係る補助部材が容器本体に接着した様子を示す図である。
図9】本開示の一態様に係る案内部を説明するための図である。
図10】容器本体に補助部材を接着する位置を説明するための図である。
図11】容器本体に補助部材を接着する位置を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
〔実施形態〕
以下、本開示の一実施形態について、模式的に示した図1などを参照しながら詳細に説明する。
【0012】
本開示の一実施形態について説明するうえで、以下について付言する。「下限値XXX~上限値YYY」で表される数値範囲は、下限値XXX以上上限値YYY以下を意味する。「上」、「下」は、重力方向を下側、重力方向と反対側を上側とする。
【0013】
(適用例)
理解の容易のため、最初に図1を参照しつつ、本開示に係る補助部材1の使用例を説明する。図1は、本開示に係る補助部材1の使用例を説明するための図である。
【0014】
参照番号100に示す図を参照して、最初に、補助部材1と、既存の容器本体2とを準備する。
【0015】
詳細は後述するが、補助部材1は、補助部材1の第1シート体11(後述)及び第2シート体12(後述)の、種類、サイズ、及び/又は厚み等を適宜組み合わせることにより、所望の形状、固さ、及び/又はサイズ等に成形できる。例えば、補助部材1は、丸みを帯びた筒状に成形されうる。その場合、把持者は、補助部材1を把持したときの感触の向上を実感できる。補助部材1は、容器本体2の形状又は重量等を考慮して、容器本体2の任意の位置に接着されてよい。
【0016】
容器本体2は、一般的な収納容器であってよく、例えば、収納物を排出するためのスパウト20を有してよい。容器本体2は、洗剤、シャンプー、リンス、食品類などを収納する。容器本体2は、排出口を有する専用のキャップを用いて収納物を排出してもよい。
【0017】
図1に示す例では、容器本体2は、軟包材容器であって、天マチ及び底マチを有しており、天マチの面内中央にスパウト20が取り付けられている。スパウト20は、樹脂成型品であってよいし、軟包材容器の包材の一部から形成されていてもよい。
【0018】
次に、参照番号110に示す図を参照して、本開示に係る容器3は、補助部材1と、補助部材1が接着された容器本体2とで構成される。上述したように、補助部材1は、容器本体2の任意の位置に接着されてよい。図示の例では、補助部材1は、容器本体2を正面視したときに、容器本体2の上方であって、スパウト20と反対側の側方位置に取り付けられている。補助部材1は、容器本体2に内容物が収納されていない状態で容器本体2に接着されてもよいし、容器本体2に内容物が収納された状態で容器本体2に接着されてもよい。
【0019】
補助部材1は、第1シート体11を熱収縮させる前に容器本体2に接着されてもよいし、第1シート体11を熱収縮させた後に容器本体2に接着されてもよい。参照番号110に示す図では、補助部材1は、第1シート体11を熱収縮させる前に容器本体2に接着され、続いて、加熱されている。加熱は、熱風、スチーム又はLED照射等の適宜の方法を採用することができる。熱風による加熱は、ドライヤーにより行われてもよい。
【0020】
参照番号120に示す図を参照して、容器3は、第1シート体11(後述)が熱収縮した後の補助部材1と、補助部材1が接着された容器本体2とで構成される。補助部材1は、第1シート体11の熱収縮による作用を受けて、把持者により把持されやすい形状(例えば、筒状)に変形されている。
【0021】
最後に、参照番号130に示す図を参照して、容器3は、スパウト20が下方を向くよう、補助部材1が把持者によって把持されている。これにより、容器本体2から収納物が排出される。
【0022】
以上、本開示に係る補助部材1の使用例を説明した。補助部材1は、既存の容器本体2に接着されて、容器本体2が把持者により把持されるときの取っ手として用いられる。上述したように、補助部材1は、所望の形状、固さ、及び/又はサイズ等に成形できることから、把持者の指に適合した、立体的な形状に仕上げられる。
【0023】
さらに、補助部材1は、容器本体2の自立性を高める立体的な補強部材としても用いられる。一例として、筒状の補助部材1が容器本体2の上下方向に沿うように容器本体2に接着されている場合、容器本体2の内容量が減少したとしても、補助部材1は容器本体2を起立した状態に保持できる。
【0024】
このように、補助部材1は、既存の容器に対して、把持効果、及び/又は、補強効果等の付加的な効果を容易に付与することができる。
【0025】
以下、補助部材1をより詳細に説明する。
【0026】
(補助部材)
図2は、本開示の一態様に係る補助部材1の斜視図を示す。図2において、参照番号200に示す図は、補助部材1の本体15を示す。参照番号210に示す図は、本体15及び本体15の外側表面に位置する接着層16及び被覆層17を示す。被覆層17は、接着層16の表面を覆うことができる面積を有していればよく、図示するように、本体15の外周の大半を覆うことができる面積を有している必要はない。
【0027】
最初に、参照番号200に示す図を参照して、補助部材1は、第1熱収縮率を有する第1シート体11と、第1熱収縮率よりも低い第2熱収縮率を有する第2シート体12とが接続された本体15を備える。第1シート体11及び/又は第2シート体12は、様々な形状を有してよいが、以下では、それぞれ矩形であるものとして説明する。図2に記載されたXYZ座標は、第1シート体11及び第2シート体12における、長手方向をX軸、短手方向をY軸、X軸及びY軸に対して垂直な方向をZ軸と規定している。
【0028】
第1シート体11及び第2シート体12は、本体15をX軸方向に垂直な平面で切断したときの断面に表れる両端部であって、長手方向(X軸方向)に延びる幅を有する両端部において、接着層13を介して互いに接続される。第1シート体11及び第2シート体12は、第3シート(不図示)を介して、互いに間接的に接続されてもよい。前記第3シートの一例として、接着層を有するテープ部材を挙げることができる。以下の説明では、第1シート体11及び第2シート体12は、前記両端部において、接着層13を介して直接接続されているものとする。
【0029】
第1シート体11は、本体15の周方向(Y軸方向)に熱収縮するシートであり、熱収縮により圧縮力を生成し、その圧縮力により、第1シート体11と接続された第2シート体12を変形させることができる。
【0030】
接着層13は、第1シート体11と第2シート体12とを接着する部材である。接着層13による接着は、例えば、第1シート体11と第2シート体12とを接着するテープ(両面テープ、又は、片面糊のテープ)、溶剤による溶着、超音波による接着等が挙げられる。接着層13により接着されたときに、本体15をX軸方向に垂直な平面(Y軸に平行な平面)で切断したときの断面において、本体15は、略楕円形状、略円形、又は略扁平形状などの様々な形状を有してよい。何れの断面形状であっても、補助部材1では、本体15をX軸方向に垂直な平面(Y軸に平行な平面)で切断したときの断面には環状が含まれており、当該断面において、第2シート体12の両端部の間に第1シート体11の少なくとも一部が位置している。ここで、「環状」とは、断面が円形である場合に限られず、一連の環が形成された形状を含むものとする。
【0031】
詳細については後述するが、第2シート体12は、X軸方向に延びる両端部が折れ曲がっており、折れ曲がった両端部の間に第1シート体11が接続されていてもよい。このとき、本体15をX軸方向に垂直な平面(Y軸に平行な平面)で切断したときの断面において、本体15は、略扁平形状を有しうる。
【0032】
第2シート体12は、第2シート体12におけるX軸方向に延びる2つの端部から略等間隔の位置に、X軸方向に延びる折れ曲がり線を有してよい。これにより、第2シート体12は、第1シート体11が熱収縮したときに、その折れ曲がり線を頂部として第2シート体12を変形させやすくできる。
【0033】
次に、参照番号210に示す図を参照して、補助部材1は、本体15(第1シート体11又は第2シート体12)の外側表面に位置する接着層16を備える。後述するが、接着層16は、特に、第2シート体12の外側表面において、X軸方向に延びる第2シート体12の端部側に偏って位置することが好ましい。補助部材1は、接着層16を介して、容器本体2に接着される。
【0034】
補助部材1は、接着層16を覆う被覆層17であって、接着層16から剥離可能な被覆層17を備えてよい。被覆層17は、本体15を容器本体2に取り付ける前の状態において、接着層16が意図せず他の物体に接着することを防止するために接着層16を覆う部材である。被覆層17は、補助部材1を容器本体2に接着する直前に補助部材1から剥離される。
【0035】
以下、各部の詳細を説明する。
【0036】
(第1シート体11)
第1シート体11は、少なくとも第1方向に熱収縮するシートである。熱収縮するシートとは、室温下(例えば、23℃)では収縮しないが、熱収縮温度(例えば、80℃~100℃)に加熱されると所定方向において収縮する性質を有するシートをいう。少なくとも第1方向に熱収縮するシートとは、少なくとも第1方向において、熱収縮性を有するシートである。
【0037】
第1方向とは、シートの面内における1つの方向を意味し、第2方向は、シートの面内において第1方向と直交する方向である。例えば、図2において、第1方向はY軸方向であり、第2方向はX軸方向である。
【0038】
第1シート体11の第1方向における熱収縮率(以下、「第1熱収縮率」と称する。)は、特に限定されないが、好ましくは20%以上であり、より好ましくは30%以上であり、さらに好ましくは40%以上である。第1シート体11が第2方向に熱収縮するシートである場合、第2方向における熱収縮率は、特に限定されないが、好ましくは20%以上であり、より好ましくは30%以上であり、さらに好ましくは40%以上である。第1方向及び第2方向における熱収縮率の上限は、理論上100%未満である。
【0039】
シートの熱収縮率は、次のようにして求められる。最初に、加熱前(標準状態(23℃、1気圧、50%RH雰囲気下)で24時間保存)のシートの長さ(元の長さ)、及び、90℃温水中に10秒間浸漬して取り出した後のシートの長さ(浸漬後の長さ)をそれぞれ標準状態下で計測する。次に、その計測した結果を下記式に代入する。これにより、シートの熱収縮率が求められる。
熱収縮率(%)=[{(第1方向(又は第2方向)の元の長さ)-(第1方向(又は第2方向)の浸漬後の長さ)}/(第1方向(又は第2方向)の元の長さ)]×100。
【0040】
第1シート体11は、上述の熱的性質を有することを条件として、様々なシートを用いることができる。第1シート体11の材料としては、例えば、合成樹脂フィルム、不織布フィルム、又は発泡樹脂フィルムなどが挙げられる。第1シート体11は、前述した材料から選ばれる少なくとも1つを含む積層フィルム(シート)であってもよい。積層フィルムは、その積層物全体として熱収縮性を有することを条件として、実質的に熱収縮性を有さないフィルムと熱収縮性を有するフィルムの積層物であってもよいが、その全てが熱収縮性を有するフィルムからなる積層物が好ましい。
【0041】
好ましくは、第1シート体11として、合成樹脂フィルム又は合成樹脂層を有する積層フィルムが用いられ、さらに好ましくは、単層の合成樹脂フィルム又は複層の合成樹脂フィルムが用いられる。単層の合成樹脂フィルムは、単一の合成樹脂層からなるフィルムであり、複層の合成樹脂フィルムは、2つ以上の合成樹脂層が積層された積層フィルムである。
【0042】
合成樹脂フィルム(合成樹脂層)の材質は、特に限定されず、ポリエチレンテレフタレート、ポリ乳酸などのポリエステル系樹脂;ポリエチレン、ポリプロピレン、環状オレフィンなどのオレフィン系樹脂;ポリスチレン、スチレン-ブタジエン共重合体などのポリスチレン系樹脂;ポリアミド系樹脂;塩化ビニル系樹脂などの熱可塑性樹脂から選ばれる1種、又は2種以上の混合物などが挙げられる。不織布フィルム及び発泡樹脂フィルムの材質も特に限定されず、従来公知の合成樹脂を用いたものが挙げられる。不織布フィルム及び発泡樹脂フィルムは、それ自体、断熱効果を期待できる。
【0043】
熱収縮性を有する合成樹脂フィルムは、公知の製膜法によって得られる。例えば、合成樹脂及び必要に応じて各種の添加剤を配合した樹脂組成物を、ミキサーなどで混合し、押出機を用いて溶融してTダイスから押出し、これを延伸して熱セットすることによって得ることができる。延伸処理は、テンター方式及びチューブ方式の何れでもよい。延伸処理は、通常、70~110℃程度の温度で、長手方向(例えば、製膜時のMD方向)及び/又は短手方向(成膜時のTD方向)にそれぞれ独立して2.0~8.0倍(好ましくは3.0~7.0倍程度)に延伸することにより行われる。長手方向及び短手方向の双方に延伸した場合には、第1方向及び第2方向の何れにも熱収縮し得る二軸延伸フィルムとなる。
【0044】
第1シート体11の厚みは、特に限定されず、例えば、8μm~150μmである。特に、第1シート体11として合成樹脂フィルムを用いる場合には、その厚みは、例えば、10μm~100μmである。
【0045】
第1シート体11は、透明(無色透明又は有色透明)でもよく、非透明でもよい。
【0046】
(第2シート体12)
第2シート体12は、少なくとも第1方向において第1熱収縮率よりも低い第2熱収縮率を有するシートである。第2シート体12は、少なくとも第1方向において実質的に熱収縮性を有さないシートであってもよい。実質的に熱収縮性を有さないシートとは、室温下で収縮せず且つ熱収縮温度に加熱されてもほとんど収縮しないことを意味する。例えば、熱収縮率で表すと、実質的に熱収縮性を有さない第2シート体12は、第1方向及び第2方向における熱収縮率がそれぞれ独立して0~5%であり、好ましくは0~3%である。熱収縮率の意味については、上述の通りである。
【0047】
第2シート体12は、少なくとも第1方向において第1熱収縮率よりも低い第2熱収縮率を有することを条件として、様々なシート又はフィルムを用いることができる。第2シート体12の材料としては、例えば、合成樹脂フィルム又は合成樹脂層を有する積層フィルムが用いられ、さらに好ましくは、単層の合成樹脂フィルム又は複層の合成樹脂フィルムが用いられる。第2シート体12の材料として、実質的に熱収縮性を有さない合成樹脂フィルム、紙、実質的に熱収縮性を有さない不織布フィルム、実質的に熱収縮性を有さない発泡樹脂フィルム及び実質的に熱収縮性を有さないガスバリア性、遮光性等を有する機能性フィルム、実質的に熱収縮性を有さないシーラントフィルム並びにこれらから選ばれる少なくとも2つを含む積層シートなどが使用されてもよい。例えば、第2シート体12は、実質的に熱収縮性を有さない合成樹脂フィルムと紙製のシートとが積層された積層シートであってもよい。好ましくは、第2シート体12は、実質的に熱収縮性を有さない合成樹脂フィルムが用いられる。
【0048】
合成樹脂フィルム(合成樹脂層)の材質は、特に限定されず、ポリエチレンテレフタレート、ポリ乳酸などのポリエステル系樹脂;ポリエチレン、ポリプロピレン、環状オレフィンなどのオレフィン系樹脂;ポリスチレン、スチレン-ブタジエン共重合体などのポリスチレン系樹脂;ポリアミド系樹脂;塩化ビニル系樹脂などの熱可塑性樹脂から選ばれる1種、又は2種以上の混合物などが挙げられる。不織布フィルム及び発泡樹脂フィルムの材質も特に限定されず、従来公知の合成樹脂を用いたものが挙げられる。不織布フィルム及び発泡樹脂フィルムは、それ自体、断熱効果を期待できる。
【0049】
第2シート体12の厚みは、特に限定されず、例えば、50μm~500μmmである。特に、第2シート体12として合成樹脂フィルムを用いる場合には、その厚みは、例えば、100μm~450μmであり、好ましくは150μm~400μmである。
【0050】
第2シート体12は、把持者による把持、及び/又は、補助部材1の基材として耐えうるための剛性が求められるため、通常、第1シート体11よりも厚い。
【0051】
第2シート体12は、透明(無色透明又は有色透明)でもよく、非透明でもよい。
【0052】
第1シート体11及び第2シート体12は、第1シート体11の収縮力、第2シート体12の厚み、又は第1シート体11が熱収縮した後の補助部材1の望ましい形状等の様々な要因を考慮して、望ましい組み合わせを適宜選択することができる。
【0053】
(接着層13)
接着層13は、第1シート体11と第2シート体12を接着させる。接着層13は、例えば、接着剤又は溶剤などから構成される。例えば、第1シート体11の表面(又は/及び第2シート体12の裏面)に接着剤を塗布し、その第1シート体11の表面と第2シート体12の裏面を重ね合せることにより、第1シート体11と第2シート体12が接着剤を介して接着される。第1シート体11と第2シート体12が溶剤接着可能な材質からなる場合には、第1シート体11の表面(又は/及び第2シート体12の裏面)に溶剤を塗布する。そして、第1シート体11の表面と第2シート体12の裏面を重ね合せることにより、第1シート体11と第2シート体12が溶剤によって溶けて接着される。この場合、第1シート体11と第2シート体12が直接的に接着する。
【0054】
また、第1シート体11の表面と第2シート体12の裏面とがヒートシール可能なヒートシール性を有するシーラントフィルムによって構成される場合には、第1シート体11と第2シート体12とがヒートシールにより熱溶着される。この場合、第1シート体11と第2シート体12は直接的に熱溶着される。
【0055】
(接着層16)
接着層16は、本体15の外側表面に位置し、補助部材1と容器本体2とを接着する。接着層16は、一般的な、ホットメルト接着剤、接着テープ、又は糊等であってよい。接着層16がホットメルト接着剤である場合、接着剤は、加熱されることで接着性を発揮する感熱糊(感熱性接着剤)であってもよい。感熱糊の種類については特に制限されず、溶剤に溶解した状態で塗布乾燥する溶剤系、水等に分散した状態で塗布乾燥するエマルジョン系、または溶融状態で塗布するホットメルト方式等を使用できる。また、感熱糊として、エチレン酢酸ビニル共重合体もしくはエチレンアクリル酸系共重合体等の低融点の樹脂に粘着付与剤等が添加されたタイプのもの、または、これらの樹脂に固体可塑剤を含有したディレードタックタイプ等も使用できる。
【0056】
(被覆層17)
被覆層17は、接着層16を覆う被覆層であって、接着層16から剥離可能な部材である。被覆層17は、接着層16を被覆して接着層16の粘着剤面を保護する。被覆層17は、剥離紙または剥離フィルムであってよい。剥離紙または剥離フィルムにコーティングする剥離剤は、シリコーン系及び非シリコーン系の何れであってもよい。一例として、被覆層17は、PETシリコーンセパレータである。
【0057】
被覆層17を用いる場合、接着層16が本体15に直接塗布されるのではなく、接着層16が予め塗布された被覆層17を本体15に貼り付けてもよい。この場合、被覆層17を剥離すると、接着層16が露出し、その露出した接着層16を容器本体2に貼り付ける。
【0058】
(第1シート体11と第2シート体12との位置関係)
第1シート体11と第2シート体12の種々の位置関係について、図3を参照して説明する。図3は、本開示に係る、第1シート体11と第2シート体12の種々の位置関係を説明するための図である。参照番号300及び310に示す図はそれぞれ、本開示に係る補助部材1及びその変形例である補助部材31を、X軸方向に垂直な平面(Y軸に平行な平面)で切断したときの断面図を示す。図3は、第1シート体11が熱収縮する前の様子を示す。以下、図1等を参照して説明した内容についてはその説明を省略する。
【0059】
最初に、参照番号300に示す図を参照して、第2シート体12は、X軸方向に延びる折れ曲り線30を有し、折れ曲り線30においてX軸方向に延びる2つの端部の両方が折れ曲っているものとする。第1シート体11は、第2シート体12の折れ曲がった両端部の間であって、かつ、第2シート体12の内側において、接着層13を介して第2シート体12に接続されている。
【0060】
次に、参照番号310に示す補助部材31の断面図を参照して、第2シート体12は、X軸方向に延びる折れ曲り線30を有し、折れ曲り線30においてX軸方向に延びる2つの端部の両方が折れ曲っているものとする。第1シート体11は、第2シート体12の折れ曲がった両端部の間であって、かつ、第2シート体12の外側において、接着層13を介して第2シート体12に接続されている。
【0061】
このように、第1シート体11は、第2シート体12の内側および外側の何れに接続されてもよい。
【0062】
以下、第1シート体11及び第2シート体12の一例を説明する。Y軸方向において、第1シート体11は5cm幅を有し、第2シート体12は6cm幅を有する。第2シート体12が折れ曲り線30を有する場合、例えば、折れ曲り線30は端部から5mmの位置に形成される。第2シート体12は、折れ曲り線30により折り曲げられた幅5mmの領域で接着層13を介して第1シート体11と接続する。この構成によると、第1シート体11は、実質的に熱収縮する部分の長さがY軸方向において約4cmとなる。つまり、第1シート体11は、約4cmの幅で熱収縮による圧縮力を生成し、その圧縮力によって第2シート体12を変形させる。例えば、第1シート体11としてPET(厚み45μm)を用いた場合、第1シート体11の熱収縮によって10MPaの圧縮力が生成される。第2シート体12としてA-PETシート(非晶性ポリエチレンテレフタレート、300μm)を用いた場合、第1シート体11は、その圧縮力によって、第2シート体12を半円状に変形させることができる。
【0063】
なお、上述した構成は一例であって、本開示に係る補助部材は他の構成を採用することができる。例えば、第2シート体12がY軸方向に6cm幅を有する場合に、折れ曲り線30は端部から10mm、15mmといった位置に形成されてもよく、その位置は適宜に選択することができる。
【0064】
(第1シート体11と接着層13との位置関係)
第1シート体11と接着層13の種々の位置関係について、図4を参照して説明する。図4は、本開示に係る、第1シート体11と接着層13の位置関係を説明するための図である。参照番号400及び410に示す図はそれぞれ、本開示に係る補助部材40及び補助部材41の、X軸方向に垂直な平面(Y軸に平行な平面)で切断したときの要部断面図を示す。補助部材40及び補助部材41が備える各部材については、別途言及している場合を除いて、補助部材1が備える各部材と同じものである。後述する変形例についても同様である。図4は、第1シート体11が熱収縮する前の様子を示す。以下、図1等を参照して説明した内容についてはその説明を省略する。
【0065】
最初に、参照番号400に示す図を参照して、第1シート体11は、第2シート体12の内側において、接着層13を介して第2シート体12に接続されている。このとき、X軸方向に延びる第1シート体11の端部は、接着層13が塗布されておらず、図中のL1で示す長さに対応する部分が浮いた状態となっている。
【0066】
次に、参照番号410に示す図を参照して、第1シート体11は、第2シート体12の外側において、接着層13を介して第2シート体12に接続されている。このとき、X軸方向に延びる第1シート体11の端部は、接着層13が塗布されておらず、図中のL2で示す長さに対応する部分が浮いた状態となっている。
【0067】
このように、補助部材40及び補助部材41では、X軸方向に延びる第1シート体11の端部は、必ずしも接着層13が塗布されている必要はなく、浮いた状態となっていてもよい。
【0068】
上記の構成によれば、第1シート体11と接着層13との位置関係は柔軟に調整できるため、本開示に係る補助部材をより簡易に製造できる。さらに、補助部材40においては、X軸方向に延びる第1シート体11の端部は第2シート体12の内部において浮いた状態となる。そのため、第1シート体11の端部が補助部材40を把持する把持者の指に接触することもなく、把持者は、接触による痛みを感じることもなく、心地よい感触で補助部材40を把持できる、という効果も得られる。
【0069】
このように、第1シート体11と接着層13との位置関係は柔軟に調整でき、上記種々の効果を奏することができる。
【0070】
(第1シート体11と第2シート体12の相対長さ)
第1シート体11と第2シート体12の相対長さについて、図5を参照して説明する。図5は、本開示に係る、第1シート体11と第2シート体12の相対長さを説明するための図である。参照番号500及び510に示す図はそれぞれ、本開示に係る補助部材50及び第1シート体51の、X軸方向に垂直な平面(Y軸に平行な平面)で切断したときの要部断面図を示す。図5は、第1シート体11が熱収縮する前の様子を示す。以下、図1等を参照して説明した内容についてはその説明を省略する。
【0071】
図3等を参照して説明した構成においては、Y軸方向において、第1シート体11は、第2シート体12よりも短い。しかしながら、Y軸方向における長さについて、第1シート体は、第2シート体と等しくてもよいし、第2シート体よりも長くてもよい。
【0072】
最初に、参照番号500に示す図を参照して、本開示に係る補助部材50は、第1シート体51、第2シート体52、及び接着層53を有する。第1シート体51の裏面は、Y軸方向における端部において、接着層53を介して第2シート体52の表面と接続する。このとき、図示するように、第1シート体51は、Y軸方向において第2シート体52と等しい長さである。
【0073】
次に、参照番号510に示す図を参照して、本開示に係る補助部材55は、第1シート体56、第2シート体57、及び接着層58を有する。第1シート体56の表面は、Y軸方向における端部において、接着層58を介して第2シート体57の表面と接続する。このとき、図示するように、第1シート体56は、Y軸方向において第2シート体57よりも長い。
【0074】
このように、Y軸方向における長さについて、第1シート体は、第2シート体と等しくてもよいし、第2シート体よりも長くてもよい。そして、本開示に係る補助部材は、第1シート体と第2シート体の相対長さの大小に拘わらず、既存の容器に対して、付加的な効果を容易に付与できる。
【0075】
(接着層16の位置)
接着層16は、第2シート体12の外側表面において、X軸方向に延びる第2シート体12の端部側に偏って位置することが好ましい。このことを図6により説明する。図6は、本開示に係る補助部材61が容器本体2に接着した様子を示す断面図である。以下、図1等を参照して説明した内容についてはその説明を省略する。
【0076】
接着層16は、第2シート体12の外側表面において、X軸方向に延びる第2シート体12の端部側に偏って位置し、その位置において容器本体2と第2シート体12とを接着する。より具体的に、第2シート体12は、X軸方向に延びる両端部に沿って折れ曲り線60を有し、折れ曲り線60において両端部が折れ曲っている。接着層16は、折れ曲り線60を挟んで第2シート体12の端部とは反対側に、折れ曲り線60に沿って位置する。
【0077】
この状態で第1シート体11を熱収縮させると、第1シート体11は、熱収縮により圧縮力を生成し、その圧縮力により第2シート体12を変形させる。図示の例では、第2シート体12は、図面右側(Y軸方向)に凸になるように変形し、接着層16と接着されていない第2シート体12の外側表面は、角度を付けて容器本体2から離れている。凸形状の頂部となる位置に折れ曲り線をさらに形成してもよい。
【0078】
上記の構成によれば、接着層16は、凸形状に変形した第2シート体12の凸形状の始点付近において容器本体2と第2シート体12とを接着させることができる。これにより、補助部材61の把持者は、容器本体2と第2シート体12との隙間の奥深くまで指を侵入させることができ、より確実に補助部材61を把持できる。
【0079】
一方、接着層16が第2シート体12の両端部の中間付近に位置する場合、容器本体2と第2シート体12との間に把持者の指を侵入させる隙間を安定的に形成することが困難となる。
【0080】
以上によれば、接着層16は、第2シート体12の外側表面において、X軸方向に延びる第2シート体12の端部側に偏って位置することが好ましく、これにより、補助部材61は、掴みやすさに優れた取っ手を把持者に提供できる。
【0081】
次に、図7を参照して、接着層16の一変形例である接着層76を説明する。図7は、本開示に係る接着層76の一例を示す図である。参照番号700に示す図は、第2シート体12上の接着層76の位置を説明するための図である。参照番号710に示す図は、接着層76を有する補助部材70の斜視図である。
【0082】
参照番号700及び710に示す図を参照して、接着層76は、第2シート体12の外側表面において、X軸方向に延びる第2シート体12の端部に沿って延びる接着層76cと、接着層76cのX軸方向における2つの端部のそれぞれからY軸方向に延びる接着層76a及び接着層76bとを含んでいる。参照番号710に示す図では、接着層76の外形が破線で示されている。
【0083】
補助部材70は、接着層76a及び接着層76bを有することにより、補助部材70と被接着体(例えば、容器)との接着をより強固にし、補助部材70を動きにくくできる。また、補助部材70は、接着層76aと接着層76bとの間に把持者の指を挿入させるための空間を形成できる。把持者は、その空間に指を挿入すると、指先が圧迫される感覚を覚え、補助部材70の把持のしやすさを実感できる。
【0084】
接着層76は、接着層76a及び接着層76bの何れか一方のみを含む構成で実現されてもよく、その構成によっても上記の効果を実現できる。接着層76a及び/又は接着層76bは、接着層76cと連続している必要はなく、接着層76cと間隔を空けて位置していてもよい。また、接着層76a及び/又は接着層76bは、X軸方向における第2シート体12の端部の際(きわ)に位置する必要は必ずしもなく、その端部の際から内側に入った領域に位置してもよい。接着層76a及び/又は接着層76bは、Y軸方向に延びる部分の長さが適宜に決められてよい。
【0085】
(第2シート体の変形例)
次に、図8を参照して本開示に係る補助部材80を説明する。図8は、補助部材80が容器本体2に接着した様子を示す図である。参照番号800に示す図は、第1シート体11が熱収縮する前の様子を示す。参照番号810に示す図は、第1シート体11が熱収縮した後の様子を示す。以下、図1等を参照して説明した内容についてはその説明を省略する。
【0086】
参照番号800に示す図を参照して、補助部材80の第2シート体82は、X軸方向に延びる一方の端部に沿って折れ曲り線84を有し、折れ曲り線84において前記一方の端部が折れ曲っている。接着層83aは、第2シート体82の前記一方の端部の裏面と第1シート体11のX軸方向に延びる一方の端部の表面とを接着する。第1シート体11は、前記一方の端部と反対側の、X軸方向に延びる他方の端部の裏面において、接着層83bを介して、第2シート体82の表面と接着する。接着層83bは、第2シート体82の表面上においてX軸方向に塗布されている。つまり、第1シート体11及び第2シート体82とで構成された補助部材80の本体をX軸方向に垂直な平面で切断したときの断面には環状が含まれており、当該断面において、第2シート体82の両端部の間に第1シート体11の少なくとも一部が位置している。
【0087】
この状態で第1シート体11を熱収縮させた様子が参照番号810の図に示される。参照番号810の図を参照して、第1シート体11を熱収縮させると、第1シート11は、熱収縮により圧縮力を生成し、その圧縮力によって第2シート体82を変形させる。図示の例では、第2シート体82は折れ曲り線84側が浮き上がり、角度を付けて容器本体2から離れている。
【0088】
上記の構成によれば、第1シート体11は、その圧縮力によって第2シート体82の前記一方の端部を引っ張り上げ、第2シート体82の折れ曲り線84側を容器本体2から離すことができる。これにより、補助部材80の把持者は、容器本体2と第2シート体82との隙間の奥深くまで指を挿入することができ、より確実に補助部材80を把持できる。
【0089】
このとき、接着層83bと接着層16との間の距離(図中のL3)は任意に設定できる。つまり、距離L3は、容器本体2の形状、又は把持のしやすさ等を考慮して柔軟に決められてよい。
【0090】
このように、本開示に係る補助部材は、第2シート体の折れ曲がり線の数、第1シート体と第2シート体との接着位置などを柔軟に変更でき、より設計自由度の高い補助部材を提供することができる。
【0091】
(案内部90)
次に、補助部材及び容器の持ちやすさを向上させる案内部について、図9を参照して説明する。参照番号900に示す図は、本開示の一態様に係る案内部90を説明するための図である。
【0092】
容器3は、補助部材1が接着した側と反対側の容器本体2の表面に、該表面を介して補助部材1を把持する把持者の指の位置を案内する案内部90を有してよい。以下、具体的に説明する。なお、以下では、容器本体2において、補助部材1が接着される側の主面を第1主面95、第1主面95と反対側の主面を第2主面96と称する。
【0093】
把持者が、人差し指、中指、薬指、小指によって補助部材1の胴体部を直接把持する場合、通常、親指は第2主面96側に位置する。このとき、親指は、補助部材1に直接触れることなく、第2主面96を介して補助部材1の胴体部を間接的に把持する場合が考えられる。このような場合、把持者の親指の置くべき位置が適切に位置決めされると、把持者は、第2主面96側からも補助部材1を把持しやすくなる。同様に、第1主面95側において親指で補助部材1の胴体部を直接把持し、第2主面96を介して、人差し指等によって補助部材1を間接的に把持する場合にも、人差し指等の置くべき位置が位置決めされると、把持者は、第2主面96側からも補助部材1を把持しやすくなる。
【0094】
次に、参照番号910に示す図を参照して、把持者が、人差し指、中指、薬指、小指によって補助部材1の胴体部を直接把持し、親指(例えば、親指の腹)によって、第2主面96を介して補助部材1の一方の端部(容器本体2を起立させたときの、上方側の端部)を間接的に把持(支持)する場合が考えられる。この場合にも、補助部材1の前記一方の端部の位置に対応する、親指の置くべき位置が位置決めされると、把持者は、第2主面96側からも補助部材1を把持しやすくなる。
【0095】
そこで、容器3は、補助部材1が接着した側と反対側の容器本体2の表面に、該表面を介して補助部材1を把持する把持者の指の位置を案内する案内部90を有してもよい。案内部90は、一例として、容器本体2の表面上に形成された、指のデザイン、「ここに親指を置いてください」といった注意書き、指を置く位置を示す窪み、又は、指を挿入する位置を示す開口、容器本体2に形成された、親指を配置するための部分切断部位などが挙げられる。前記部分切断部位とは、例えば、軟包材容器である容器本体2に部分的に切れ目を入れることにより形成された部位であり、親指で補助部材1の一方の端部を把持することができるように、当該親指よりも一回り大きな面積を有する断片が容器本体2との接続を保ちつつ、当該一方の端部を覆う位置まで折れ曲がるように形成された部位である。図9では、親指を置くべき位置に楕円のデザインが予め印刷された容器本体2の一例を示している。
【0096】
補助部材1は容器本体2の任意の位置に接着しうるが、容器本体2に案内部90が設けられている場合には、補助部材1を接着する位置も案内する方が望ましいとも言える。そこで、容器本体2の第1主面95においても、補助部材1を接着すべき位置を示すデザイン等が適宜設けられてもよい。
【0097】
以上によれば、案内部90は、より確実かつ安定的に補助部材1を把持者に把持させることができる。
【0098】
(補助部材1の接着位置)
次に、容器本体2に補助部材1を接着するうえで好適な位置を図10図11により説明する。図10は、容器本体2に補助部材1を接着する位置を説明するための図であり、容器3の正面図を示す。図11は、容器本体2に補助部材1を接着する位置を説明するための図であり、容器3の上面図を示す。
【0099】
まず、図10を参照して、正面視において、補助部材1は、容器本体2の内容物の上端面(図中の破線)に重畳するように容器本体2に接着されるのが好ましい。通常、容器本体2は、多すぎず、かつ、少なすぎないように所定量の内容物が充填される。このため、容器本体2では、容器本体2に内容物が充填されるときの上端面が商品ごとに決まっている。そこで、補助部材1は、容器本体2の内容物の上端面に重畳するように容器本体2に接着されるのが好ましい。
【0100】
補助部材1は、容器本体2の任意の位置に接着されてよい。しかしながら、補助部材1が容器本体2の下方に接着された場合には、容器本体2の内容物が多い状態で容器本体2を傾けると、内容物が大量に排出される。また、補助部材1が容器本体2の上端部付近に接着された場合には、容器本体2の重心が低いときに補助部材1の把持が困難になる。
【0101】
そのような点を考慮して、容器本体2の第1主面95の正面視において、補助部材1は、容器本体2の内容物の上端面(図中の破線)に重畳するように容器本体2に接着されるのが好ましい。この構成によれば、容器3は、最も安定的に補助部材を把持者に把持させることができる。
【0102】
また、補助部材1は、図10に示すように容器本体2の側面を正面視した場合の縁部に沿って接着されてよい。前記縁部は、容器本体2を起立させた場合の鉛直方向に延びる縁部である。補助部材1は、接着層16が前記縁部に近づくように接着されることが好ましい。さらに、補助部材1は、第1シート体11が第2シート体12よりも前記縁部に近い位置にくるように接着されることが好ましい。このように接着することにより、第2シート体12により形成された凸形状の湾曲面を指先で把持しやすくなる。
【0103】
次に、図11を参照して、容器本体2を起立させた状態における容器本体2を上面視したときに、容器本体2の外形が、矩形ではなく、角部が丸みを帯びた形状を有する場合を考える。容器本体2が該形状を有する場合、補助部材1は、上面視において、容器本体2の角部に当たる位置(図中の破線で囲われた位置)に接着されることが好ましい。複数の容器3が段ボール箱等に梱包されて輸送されている場合において、補助部材1が容器本体2の表面から突出していると、その突出した補助部材1が他の容器本体2を傷つける懸念がある。また、店頭の陳列棚に容器3が複数陳列される場合において、補助部材1が容器本体2の表面から突出していると、その突出した補助部材1が容器3を複数陳列するうえで効率を低下させる。この点、補助部材1が、上面視において、容器本体2の角部に当たる位置(図中の破線で囲われた位置)に接着されることにより、上述した種々の課題が解決される。
【0104】
以上より、補助部材1は、図10、及び図11に示す位置に接着されるのが好ましく、これにより、補助部材1の把持のしやすさ、容器3の梱包又は陳列といった点で様々な効果を実現する。
【0105】
(補助部材1と容器本体2の接着)
図2の参照番号210に示す図などを参照して、接着層16は、本体15の外側表面に位置し、補助部材1と容器本体2とを接着する構成を説明した。しかしながら、本開示に係る容器3では、接着層16は、本体15の外側表面ではなく、容器本体2側に位置する構成も採用しうる。この構成であっても、補助部材1と容器本体2とを接着することができ、結果として本開示に係る容器3を得ることができる。
【0106】
(パウチへの適用例)
以上、本開示に係る補助部材、及び容器を説明した。上述したように、補助部材は、容器本体の任意の位置に接着可能であって、それゆえ、様々な種類の容器に適用可能である。
【0107】
一例として、補助部材が詰め替え用パウチに適用される場合を考える。詰め替え用パウチは、複数回詰め替えが可能であり、パウチにスパウトを設けて、開封後に再キャッピングして消費者が保管する。
【0108】
複数回の詰め替えを想定したパウチの場合、消費者の利便性等を考慮して、内容物を含めたパウチの重量は1kg~3kgとなるが、従来のパウチは持ちにくく、また、詰め替えが困難といった課題が指摘されている。上部に切れ込みを入れて取っ手を配置した大容量詰め替え用パウチが上市されているが、取っ手を形成するためにパウチ自体の樹脂量を増やす必要がある。また、スペースに余裕のあるパウチ上部にしか取っ手を取り付けることができず、持ちやすさの点で大きな改善には至っていない。
【0109】
また、エアを封入した取っ手を有するパウチが上市されているが、パウチエッジ部分にエアを注入し、密封させる必要があり、エア封入部が小さく、把持しにくい、といった課題も指摘されている。そのようなパウチは、エアを注入する設備も必要とする。
【0110】
これに対して、本開示に係る補助部材は、任意の容器本体の任意の位置に接着可能であるため、パウチの形状等を考慮して接着位置を決定できる。それゆえ、パウチの重量が大きい場合においても、本開示に係る補助部材は、取っ手として好適に活用できる。
【0111】
また、本開示に係る補助部材はパウチの自立性を高める立体的な補強部材としても用いられる。そのため、パウチの内容量が減少したとしても、本開示に係る補助部材は、パウチの起立した状態を保持でき、その結果、下方を向いたスパウトから液体が滴り落ちる、といった事態を防止できる。
【0112】
また、本開示に係る補助部材は、補助部材を構成する部材をすべて一つの材料(例えば、ポリエステル系材料)により形成できるため、モノマテリアル部材とすることができ、樹脂使用量の低減につなげることができる。このような効果は、世界的な潮流であるSDGs(持続可能な開発目標)が求める持続循環経済に沿うものであり、本開示に係る補助部材は、プラスチックごみの削減に大きく貢献することもできる。
【0113】
また、本開示に係る補助部材は、第1シート体を熱収縮することで所定の形状に仕上げることが可能であるが、第1シート体の熱収縮には、例えばドライヤー等の身の周りにある熱源を利用できる。つまり、本開示に係る補助部材は、従来のパウチに必要とされていたエア注入設備のような大規模な設備は必要なく、身の回りの熱源を使って容易に成形できる。
【0114】
〔まとめ〕
本開示の態様1に係る補助部材は、第1熱収縮率を有する第1シート体と、第1熱収縮率よりも低い第2熱収縮率を有する第2シート体とが接続された本体と、前記本体の外側表面に位置する接着層と、を備え、前記本体を長手方向に垂直な平面で切断したときの断面には環状が含まれており、当該断面において、前記第2シート体の両端部の間に前記第1シート体の少なくとも一部が位置している。
【0115】
本開示の態様1に係る補助部材は、前記本体を長手方向に垂直な平面で切断したときの断面は環状である。そのため、第1熱収縮率を有する前記第1シート体が熱収縮することによって、第1熱収縮率よりも低い第2熱収縮率を有する第2シート体を変形させることができる。このとき、第1シート体及び第2シート体の、種類、サイズ、及び/又は厚み等を適宜組み合わせることにより、補助部材を、所望の形状、固さ、及び/又はサイズ等に成形できる。そして、本開示の態様1に係る補助部材は、第1シート体と第2シート体とが接続された本体の外側表面に接着層を備える。そこで、その接着層を、例えば、スパウト付きの容器に接着できる。これにより、本開示の態様1に係る補助部材は、該容器の、取っ手、又は補強部材として活用できる。
【0116】
このように、本開示の態様1に係る補助部材は、付加的な効果を容易に付与できる立体的な補助部材を提供できる。
【0117】
本開示の態様2に係る補助部材は、前記の態様1において、前記断面において、前記第1シート体が前記第2シート体の内側に位置する。
【0118】
前記の構成によれば、本開示の態様2に係る補助部材では、第1シート体の端部が第2シート体から浮いている場合であっても、補助部材の把持者の指が第1シート体の端部に接触することもなく、把持者は、接触による痛みを感じることなく、よい感触で補助部材を把持できる。
【0119】
本開示の態様3に係る補助部材は、前記の態様1または2において、前記第2シート体の、前記長手方向に延びる少なくとも一方の両端部は折れ曲がっており、前記両端部の間に前記第1シート体が接続されている。
【0120】
前記の構成によれば、本開示の態様3に係る補助部材では、第2シート体における長手方向(例えば、長手方向側の端部付近)に折り曲げ線が延びる場合、第1シート体を熱収縮させると、その折り曲げ線を起点として第2シート体を変形させやすくでき、補助部材の保形にも有効である。
【0121】
本開示の態様4に係る補助部材は、前記の態様1から3の何れかにおいて、前記接着層が、前記第2シート体の外側表面において、前記第2シート体の前記長手方向に延びる端部側に偏って位置している。
【0122】
前記の構成によれば、本開示の態様4に係る補助部材は、第2シート体と補助部材が接着される被接着体(例えば、容器)との隙間の奥深くまで把持者の指を侵入させることができる。そのため、本開示の態様4に係る補助部材は、掴みやすさに優れた補助部材を提供できる。
【0123】
本開示の態様5に係る容器は、第1熱収縮率を有する第1シート体と、第1熱収縮率よりも低い第2熱収縮率を有する第2シート体とが接続された補助部材と、前記補助部材の外側表面に位置する接着層と、前記接着層を介して前記補助部材と接着する容器本体と、を備え、前記補助部材を長手方向に垂直な平面で切断したときの断面には環状が含まれており、当該断面において、前記第2シート体の両端部の間に前記第1シート体の少なくとも一部が位置している。
【0124】
本開示の態様5に係る容器は、前記構成を備えることにより、把持効果、及び/又は、補強効果に優れた容器を実現することができる。
【0125】
本開示の態様6に係る容器は、前記の態様5において、前記容器本体が軟包材容器である。
【0126】
本開示の態様6に係る容器は、軟包材容器に対して好適に適用できる。
【0127】
本開示の態様7に係る容器は、前記の態様5または6において、前記第1シート体が、前記補助部材が前記容器本体に接着された状態で熱収縮される。
【0128】
本開示の態様7に係る容器は、第1シート体が熱収縮される前の補助部材を容器本体に接着できる。そのため、容器本体から内容物を排出する直前に補助部材を容器本体に接着し、その後で第1シート体を熱収縮させる、といった、容器の使用者にとって好適なタイミングで第1シート体を熱収縮させることができる。
【0129】
本開示の態様8に係る容器は、前記の態様5から7の何れかにおいて、前記補助部材が接着した側と反対側の前記容器本体の表面に、該表面を介して前記補助部材を把持する把持者の指の位置を案内する案内部を有する。
【0130】
本開示の態様8に係る容器は、前記の構成を備えることにより、より確実かつ安定的に補助部材を把持者に把持させることができる。
【0131】
本開示の態様9に係る容器は、前記の態様5から8の何れかにおいて、正面視において、前記補助部材は、前記容器本体の内容物の上端面に重畳するように前記容器本体に接着されている。
【0132】
本開示の態様9に係る容器は、前記の構成を備えることにより、最も安定的に補助部材を把持者に把持させることができる。
【0133】
本開示は上述した実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本開示の技術的範囲に含まれる。さらに、それぞれ開示された技術的手段を組み合わせることにより、新しい技術的特徴を形成することができる。
【符号の説明】
【0134】
1、31、40、41、50、55、61、70、80 補助部材
2 容器本体
3 容器
11、51、56 第1シート体
12、52、57、82 第2シート体
13、16、53、58、76、76a、76b、83a、83b 接着層
15 本体
17 被覆層
20 スパウト
90 案内部
95 第1主面
96 第2主面
図1
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