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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024027841
(43)【公開日】2024-03-01
(54)【発明の名称】電源装置、及び電圧生成方法
(51)【国際特許分類】
   H02J 3/08 20060101AFI20240222BHJP
   H02M 7/48 20070101ALI20240222BHJP
【FI】
H02J3/08
H02M7/48 R
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022130978
(22)【出願日】2022-08-19
(71)【出願人】
【識別番号】000005234
【氏名又は名称】富士電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000176
【氏名又は名称】弁理士法人一色国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】上村 浩文
【テーマコード(参考)】
5G066
5H770
【Fターム(参考)】
5G066DA06
5G066HA04
5G066HB05
5H770BA11
5H770CA06
5H770DA10
5H770EA01
5H770GA19
5H770HA04Z
5H770HA05Z
(57)【要約】
【課題】出力電圧の実際の周波数の精度を向上させることが可能な電源装置を提供する。
【解決手段】出力電圧の周波数を制御することによって電力系統との間で電力を入出力する電源装置であって、前記電力系統に出力する目標となる第1電力と、前記電力系統に実際に入出力される第2電力と、所定の設定周波数とに基づいて、前記出力電圧に対する指令周波数を計算する計算部と、前記指令周波数を補正する補正部と、補正後の前記指令周波数に基づいて、前記出力電圧を制御するための制御信号を生成する生成部と、制御信号に基づいて生成された前記出力電圧を、前記電力系統に出力する出力部とを備え、前記補正部は、前記第1電力と、前記第2電力とが、定常状態において一致するよう、定常状態において得られた、補正前の前記指令周波数と、前記出力電圧の実際の周波数との誤差に基づいて前記指令周波数を補正する、電源装置。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
出力電圧の周波数を制御することによって電力系統との間で電力を入出力する電源装置であって、
前記電力系統に出力する目標となる第1電力と、前記電力系統に実際に入出力される第2電力と、所定の設定周波数とに基づいて、前記出力電圧に対する指令周波数を計算する計算部と、
前記指令周波数を補正する補正部と、
補正後の前記指令周波数に基づいて、前記出力電圧を制御するための制御信号を生成する生成部と、
前記制御信号に基づいて生成された前記出力電圧を、前記電力系統に出力する出力部と
を備え、
前記補正部は、
前記第1電力と、前記第2電力とが、定常状態において一致するよう、定常状態において得られた、補正前の前記指令周波数と、前記出力電圧の実際の周波数との誤差に基づいて前記指令周波数を補正する、
電源装置。
【請求項2】
請求項1に記載の電源装置であって、
前記補正部は、前記出力電圧の実際の周波数が、補正前の前記指令周波数と一致するように、補正前の前記指令周波数と、前記誤差を含む情報との関係を示す予め用意されたテーブル又は関係式を用いて、前記指令周波数を補正する、
電源装置。
【請求項3】
請求項2に記載の電源装置であって、
前記誤差を含む情報は、前記誤差であり、
前記補正部は、補正前の前記指令周波数に対して前記誤差を減じる処理を実行する、
電源装置。
【請求項4】
請求項2に記載の電源装置であって、
前記誤差を含む情報は、補正前の前記指令周波数に対して前記誤差が減じられた補正後の前記指令周波数であり、
前記補正部は、補正前の前記指令周波数を、補正後の前記指令周波数に置き換える処理を実行する、
電源装置。
【請求項5】
請求項1~4の何れか一項に記載の電源装置であって、
前記誤差は、前記計算部及び前記出力部を含む電源装置を、周波数を制御可能な参照電源に連系させた場合の定常状態における、前記指令周波数と、前記参照電源の周波数との差の計算値で定められる、
電源装置。
【請求項6】
請求項1~4の何れか一項に記載の電源装置であって、
前記誤差は、前記計算部及び前記出力部を含む電源装置を、周波数を制御可能な参照電源に連系させた場合の定常状態における、前記指令周波数の実測値と、前記参照電源の周波数との差で定められる、
電源装置。
【請求項7】
出力電圧の周波数を制御することによって電力系統との間で電力を入出力する電源装置が、
前記電力系統に出力する目標となる第1電力と、前記電力系統に実際に入出力される第2電力と、所定の設定周波数とに基づいて、前記出力電圧に対する指令周波数を計算するステップと、
前記指令周波数を補正するステップと、
補正後の前記指令周波数に基づいて、前記出力電圧を制御するための制御信号を生成するステップと、
前記制御信号に基づいて生成された前記出力電圧を、前記電力系統に出力するステップと
を含み、
前記補正するステップにおいて、
前記第1電力と、前記第2電力とが、定常状態において一致するよう、定常状態において得られた、補正前の前記指令周波数と、前記出力電圧の実際の周波数との誤差に基づいて前記指令周波数を補正する、
電圧生成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電源装置、及び電圧生成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
同期発電機は、回転体が有する慣性により、電力系統の周波数の維持に貢献する。近年、インバータの出力を制御することにより、同期発電機を模擬する擬似同期発電機が知られている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第7023430号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、一般的な電圧制御(GFM:Grid-ForMing)方式の擬似同期発電機においては、出力電圧の指令周波数に対する出力電圧の実際の周波数の精度は考慮されていない。
【0005】
このため、出力電圧の実際の周波数の精度が低く、有意な誤差が含まれると、電力系統に入出力される目標電力と、電力系統に実際に入出力される電力とが乖離する場合がある。
【0006】
本発明はこのような課題を鑑みてなされたものであり、出力電圧の実際の周波数の精度を向上させることが可能な電源装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するための一の発明は、出力電圧の周波数を制御することによって電力系統との間で電力を入出力する電源装置であって、前記電力系統に出力する目標となる第1電力と、前記電力系統に実際に入出力される第2電力と、所定の設定周波数とに基づいて、前記出力電圧に対する指令周波数を計算する計算部と、前記指令周波数を補正する補正部と、補正後の前記指令周波数に基づいて、前記出力電圧を制御するための制御信号を生成する生成部と、前記制御信号に基づいて生成された前記出力電圧を、前記電力系統に出力する出力部とを備え、前記補正部は、前記第1電力と、前記第2電力とが、定常状態において一致するよう、定常状態において得られた、補正前の前記指令周波数と、前記出力電圧の実際の周波数との誤差に基づいて前記指令周波数を補正する、電源装置である。本発明の他の特徴については、本明細書の記載により明らかにする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、出力電圧の実際の周波数の精度を向上させることが可能な電源装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】一般的な電源装置5が設けられた電力系統1の一例を説明する図である。
図2】一般的な電源装置5が設けられた電力系統1の一例を説明する図である。
図3】一般的な電源装置5の計算部30を説明する図である。
図4】一般的な電源装置5を用いて出力電圧の実際の周波数の精度を確認する方法を説明する図である。
図5】一般的な電源装置5を用いて出力電圧の実際の周波数の精度を確認する方法を説明する図である。
図6】参照電源6の周波数と、出力電圧の周波数の誤差との関係の一例を示す図である。
図7】実施形態6電源装置2が設けられた電力系統1の一例を説明する図である。
図8】実施形態6電源装置2の補正部31を説明する図である。
図9】補正前の指令周波数と、出力電圧の周波数の誤差とのデータテーブルの一例を示す図である。
図10】補正前の指令周波数と、補正後の指令周波数とのデータテーブルの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
==実施形態==
<<一般的な電源装置5>>
図1は、一般的な電源装置5が設けられた電力系統1の一例を説明する図である。ここでは、本実施形態の電源装置2(後述)の説明をする前に、一般的な電源装置5の説明をする。一般的な電源装置5は、電圧制御(GFM:Grid-ForMing)方式により、回転体を有する同期発電機を模擬する所謂擬似同期発電機である。
【0011】
具体的には、電源装置5は、出力電圧voutの周波数foutを制御することによって電力系統1との間で電力Poutを入出力する装置である。なお、電力Poutは、正の場合が電源装置5から電力系統1へ出力される電力であり、負の場合が電力系統1から電源装置5に入力される電力である。
【0012】
電源装置5は、電力系統1との間に線路リアクタンスXを介して電力系統1に連系される。
【0013】
電源装置5は、制御装置7と、出力部20とを備える。以下では、先ず、制御装置7のハードウェア構成について説明し、次いで、電源装置2の機能ブロックについて説明する。
【0014】
<制御装置7のハードウェア構成>
制御装置7は、DSP(Digital Signal Processor)35と、記憶装置36とを備える(図1)。
【0015】
[DSP35]
DSP35は、記憶装置36に記憶された所定のプログラムを実行することにより、制御装置7が有する様々な機能を実現する。
【0016】
[記憶装置36]
記憶装置36は、DSP35によって、実行または処理される各種データを格納する非一時的な(例えば不揮発性の)記憶装置を含む。
【0017】
記憶装置36は、更に、例えばRAM(Random-Access Memory)等(後述するメモリ36a)を有し、様々なプログラムやデータ等の一時的な記憶領域として用いられる。
【0018】
<電源装置5の機能ブロック>
図2は、一般的な電源装置5が設けられた電力系統1の一例を説明する図であって、特に電源装置5の機能ブロックを説明する図である。DSP35が所定のプログラムを実行した結果、制御装置7には、計算部30と、積分器32と、瞬時電圧制御部33と、PWMパルス生成部34とが実現される。
【0019】
これによって、電源装置5は、計算部30と、積分器32と、瞬時電圧制御部33と、PWMパルス生成部34と、出力部20とを備える。以下、それぞれについて説明する。
【0020】
なお、図面に示したブロックに同じ符号が付されている場合、それらのブロックは同一である。
【0021】
[計算部30]
計算部30は、GFM方式により同期発電機を模擬することにより、電力系統1に出力される出力電圧voutに対する指令周波数frefを計算する。
【0022】
具体的には、計算部30は、電力系統1に入出力する目標となる電力Pref(「第1電力」に相当)と、電力系統1に実際に入出力される電力Pout(「第2電力」に相当)と、所定の設定周波数fn,refとに基づいて、出力電圧voutに対する指令周波数frefを計算する。
【0023】
以下の説明では、計算部30が模擬する同期発電機が有する回転体の慣性定数をHとし、制動定数をDとする。
【0024】
慣性定数Hは、外力に対する回転体の応答しにくさを模擬するためのパラメータである。つまり、回転体は、慣性定数Hが大きいほど所定の軸の回りに回転しにくく、止まりにくい。なお、慣性定数Hは、慣性モーメントに相当するパラメータである。
【0025】
また、制動定数Dは、例えば摩擦等により、回転体が回転に逆らう向きに受ける抵抗を模擬するためのパラメータである。つまり、制動定数Dが大きいほど、回転体の回転周波数は減衰しやすい。
【0026】
図3は、一般的な電源装置5の計算部30を説明する図である。計算部30は、加算器300,301,305と、乗算器302,303,306,307と、積分器304とを有する。
【0027】
詳細は後述するが、図3の乗算器302から積分器304までの処理において、計算部30は、慣性定数Hに応じて、指令周波数frefを出力する。このとき、慣性定数Hが大きいほど回転体は外力に対して応答しにくいことから、指令周波数frefの変動は小さく抑えられる。
【0028】
また、図3の加算器305から加算器301までの処理において、計算部30は、制動定数Dに応じて、指令周波数frefと、設定周波数fn,refとの差に応じた電力Pを計算して出力する。このとき、制動定数Dが大きいほど、電力Pの絶対値は大きい。
【0029】
また、加算器300から加算器301まので処理において、計算部30は、PH,in(=Pref-Pout-P)を計算し、乗算器302に出力する。ここで、PH,inが正の値であれば、指令周波数frefは増加する。また、PH,inが負の値であれば、指令周波数frefは減少する。
【0030】
以下、計算部30のそれぞれの構成要素が実行する処理について説明する。
【0031】
加算器300は、電力Prefから、電力Poutを減じる演算を実行する。これによって、加算器300は、電力Prefと、電力Poutとの差(電力Pref-Pout)を出力する。
【0032】
加算器301は、加算器300の出力である電力Pref-Poutから、後述する乗算器307の出力である電力Pを減じる演算を実行することにより、電力PH,in(=Pref-Pout-P)を出力する。
【0033】
乗算器302は、加算器300からの入力である電力PH,inに対し、1/2Hを乗算する演算(つまり、2Hで除する演算)を実行する。ここで、Hは慣性定数である(上述)。
【0034】
乗算器は303、乗算器302からの入力に対し、電力系統1の定格周波数fを乗ずる演算を実行する。電力系統1の定格周波数fは、例えば日本国内においては、東日本は50Hzであり、西日本は60Hzである。
【0035】
積分器304は、乗算器303からの入力に対し、所定期間に亘って時間積分する演算を実行する。この演算によって、積分器304は、電力系統1に出力される出力電圧voutの周波数の指令値である指令周波数frefを出力する。
【0036】
加算器305は、積分器304からの入力である指令周波数frefから、設定周波数fn,refを減じる演算を実行することにより、Δfrefを出力する。
【0037】
乗算器306は、加算器305からの入力であるΔfrefに対し、電力系統1の定格周波数fで除する演算を実行する。
【0038】
乗算器307は、乗算器306からの入力に対し、Dを乗じる演算を実行することにより、前述のPを出力する。ここで、Dは、GFM制御方式における制動定数である(上述)。
【0039】
[積分器32]
図1の積分器32は、計算部30からの入力である指令周波数frefに対し、所定期間に亘って時間積分する演算を実行する。この演算によって、積分器32は、出力部20から出力される出力電力の位相の指令値である位相θrefを出力する。
【0040】
[瞬時電圧制御部33]
瞬時電圧制御部33は、積分器32からの入力である位相θrefと、出力電圧voutの指令値である指令振幅Vrefとに基づいて、PWM制御における基本波としての正弦波状の信号を生成する。正弦波状の信号は、PWMパルス生成部34に出力される。
【0041】
[PWMパルス生成部34]
PWMパルス生成部34は、例えば三角波で実現される搬送波と、瞬時電圧制御部33からの入力である基本波との交点を検出する。これによって、PWMパルス生成部34は、PWMパルスのデューティ比を決定し、決定したデューティ比を有するPWMパルスを生成する。PWMパルスは、出力部20に出力され、出力部20のインバータ回路(後述)が駆動される。
【0042】
[出力部20]
出力部20は、直流電源200と、複数のスイッチング素子を含むインバータ回路(図示せず)とを有する。インバータ回路は、直流電源200からの直流電圧を交流電圧に変換し、電力系統1に出力電圧voutとして出力する。このとき、インバータ回路は、PWMパルス生成部34からの出力であるPWMパルスに基づいて、出力電圧voutを出力する。
【0043】
以上説明した電源装置5の各構成要素の処理により、出力部20から電力系統1へ出力電圧voutが出力される。
【0044】
しかしながら、このとき、出力電圧voutの実際の周波数(以下、「実際の周波数fout」と称する)は、計算部30から出力される指令周波数frefとは一致せず、指令周波数frefに対して誤差を含んだものとなる場合がある。このような場合、入出力の目標となる電力Prefと、実際に入出力される電力Poutとが乖離する。
【0045】
指令周波数frefに対するこのような誤差は、積分器32、瞬時電圧制御部33及びPWMパルス生成部34における処理(特に、PWMパルス生成部34の処理)により生じる。
【0046】
なお、一般的な電源装置5において、「実際の周波数foutの精度」とは、指令周波数frefに対する出力電圧voutの実際の周波数foutの精度とする。つまり、出力電圧voutの実際の周波数foutが、指令周波数frefに近いほど、周波数foutの精度は高い。
【0047】
一般的な電源装置5においては、出力電圧voutの実際の周波数foutの精度は考慮されていない。従って、出力電圧voutの実際の周波数foutの精度を確認する術がなく、出力電圧voutの実際の周波数foutの精度を向上させる術もなかった。
【0048】
その後、本実施形態の電源装置2について説明する。詳細は後述するが、本実施形態の電源装置2は、上述の精度の確認方法に基づき、出力電圧voutの実際の周波数foutの精度を向上させることが可能な電源装置である。
【0049】
<<周波数の精度の確認方法>>
出力電圧voutの実際の周波数foutの精度を確認する方法について、詳細に説明する。図4及び5は、一般的な電源装置5を用いて、周波数foutの精度を確認する方法を説明する図である。
【0050】
[周波数の精度を確認するための装置]
図4には、周波数foutの精度を確認するための測定系4として、上述の一般的な電源装置5と、参照電源6とが示されている。電源装置5は、参照電源6に連系されている。
【0051】
電源装置5は、前述の計算部30、積分器32、瞬時電圧制御部33、PWMパルス生成部34及び出力部20を含む電源装置である。
【0052】
参照電源6は、参照電源6自体の出力電圧の周波数を制御可能な電源である。ここで、参照電源6の出力電圧の設定周波数と、参照電源6の出力電圧の実際の周波数との誤差は十分に小さい。つまり、参照電源6における出力電圧の実際の周波数が含む誤差は、電源装置5の出力電圧の実際の周波数foutが含む誤差に比べて十分小さい。
【0053】
以下では、参照電源6の出力電圧の周波数を、周波数ftestと称する。また、参照電源6の出力電圧の周波数ftestを、単に「参照電源6の周波数ftest」と称する場合がある。
【0054】
以下、電源装置5と、参照電源6とを用いて、周波数foutの精度を確認する方法について詳細に説明する。
【0055】
[誤差fδの計算式]
電源装置5の出力電圧voutの実際の周波数foutが含む誤差を「誤差fδ」と称し、以下では誤差fδの計算式を求める。誤差fδは、出力部20が出力する出力電圧voutの実際の周波数foutと、計算部30が出力する指令周波数frefとの差である(次式)。
【数1】
【0056】
ここで、定常状態においては、実際の周波数foutと、参照電源6の周波数ftestとが一致することを考慮する。これは、計算部30が実行するGFM制御においては、実際の周波数foutは、電力系統1の周波数と同期するためである。これは、電力系統1に代えて、参照電源6とした場合でも同様である。
【0057】
従って、誤差fδは、電源装置5を、参照電源6に連系させた場合の定常状態における、指令周波数frefと、参照電源6の周波数ftestとの差で定められる(次式)。
【数2】
【0058】
なお、「定常状態」とは、参照電源6の周波数ftestが所定の値に設定された場合において、電源装置5と参照電源6とを運転させてから十分な時間が経過した状態である。定常状態において、指令周波数frefは、一定値に収束し、その後は時間が経過しても変化しない。
【0059】
本実施形態では、数2の右辺の計算値を求める。数2の右辺の計算値を求めるために、図5に示す計算部30による演算について詳細に説明する。
【0060】
図5に示すように、本実施形態の精度の確認方法では、計算部30には、電力Prefと、電力Poutと、参照電源6の周波数ftestとが入力される。そして、計算部30から、指令周波数frefが出力される。
【0061】
先ず、加算器301の出力において、電力PH,in図5)は、形式的に次式で表わすことができる。
【数3】
【0062】
ここで、数3の右辺のPは、加算器305、乗算器306及び乗算器307の処理から、次式で表わすことができる。
【数4】
ここで、Δfrefは、加算器305の出力であることを用いた。
【0063】
加算器301の出力である電力PH,in(数3)に対して、乗算器302、乗算器303及び積分器304の演算を実行して得られる指令周波数frefは、次式で表わすことができる。
【数5】
ここで、τは時間であり、tは初期の時刻、tは現在の時刻である。
【0064】
数5に対し、数3及び数4を代入すると、次式となる。
【数6】
【0065】
ここで、定常状態の条件として、数6の両辺を時間tで微分すると0となる条件を課すと、次式が得られる。
【数7】
【0066】
数7の2つ目の等式から、次式が得られる。
【数8】
【0067】
数8に対し、数2に示した誤差fδの定義を代入して整理すると、次式が得られる。
【数9】
【0068】
以上によって、誤差fδの計算式(数9)を得ることができる。つまり、設定値である定格周波数f、電力Pref、及び測定値である電力Poutを数9に代入することによって、誤差fδの値を得ることができる。
【0069】
[参照電源6の周波数ftestと、誤差fδとの関係を得る手順]
図6は、数9、必要な設定値及び実測値を用いて得られる、参照電源6の周波数ftest(横軸)と、誤差fδ(縦軸)との関係を示す図である。詳細は後述するが、電源装置2は、図6に示した関係を用いて、実際の周波数foutの精度を向上させることができる。
【0070】
図6において、誤差fδは、電源装置5が電力系統1に連系された場合において、電力系統1の周波数がftestで定常状態となった場合の、実際の周波数foutが含む誤差である。
【0071】
以下、図4及び5に示した、誤差を測定するための測定系4を用いて、本実施形態における参照電源6の周波数ftestと、誤差fδとの関係を得る手順を説明する。
【0072】
先ず、参照電源6の出力電圧の振幅値と、出力部20の出力電圧voutの振幅の指令値を、同値の所定の振幅値Vrefに設定する。
【0073】
次いで、GFM制御方式における慣性定数Hを、設定可能な範囲において最小値に設定する。また、制動定数Dを、設定可能な範囲において最大値に設定する。このように設定する理由は、以下のことによる。
【0074】
制動定数Dを例えば2倍に設定すると、制動定数Dに比例して電力Pout-Prefも2倍になる。つまり、制動定数Dと、電力Pout-Prefとの比は変化しないので、誤差fδは変化しない。従って、数9の誤差fδの計算式には制動定数Dが含まれるが、誤差fδは、制動定数Dには依存しない。
【0075】
制動定数Dに応じて電力Poutが増加すると、電力Poutの測定が容易になり、測定精度が向上する。そうすると、数9のうちの電力Pout-Prefの精度が向上し、誤差fδの精度も向上する。なお、このような設定は任意であり、誤差の確認方法において、慣性定数H及び制動定数Dについて制限は無い。
【0076】
次いで、電力系統1に入出力される目標電力Prefを0に設定する。つまり、数9に示した誤差fδは、次式のように書き換えられる。
【数10】
なお、この設定は任意であり、目標電力Prefは必ずしも0としなくてもよい。
【0077】
次いで、電源装置5を参照電源6に連系させて運転させ、十分な時間が経過し、定常状態に落ち着いた後における電力Poutの実測値を計測する。このとき、参照電源6の周波数ftestは、所定の値に固定される。
【0078】
次いで、電力Poutの実測値と、電力系統1の定格周波数fと、制動定数Dとを数10に代入し、固定された参照電源6の周波数ftestに対する誤差fδを得る。
【0079】
以上の手順を、参照電源6の周波数ftestについて、所定の下限値fminから上限値fmaxまで、所定の間隔Δfで誤差fδの計算値を得る。これによって、図6に示す参照電源6の周波数ftestと、誤差fδとの関係を得ることができる。
【0080】
このとき、下限値fminと上限値fmaxとは、これらの間に電力系統1の定格周波数fが含まれるように設定される。例えば、電力系統1の定格周波数fが50[Hz]である場合に、下限値fminは例えば45[Hz]、上限値fmaxは例えば55[Hz]と設定される。
【0081】
<<電源装置2>>
図7は、本実施形態の電源装置2を説明するための図である。電源装置2は、図6に示した参照電源6の周波数ftestと、誤差fδとの関係に基づいて、出力電圧voutの実際の周波数foutの精度を向上させることが可能な電源装置2である。
【0082】
電源装置2は、制御装置3と、出力部20とを備える。なお、制御装置3のハードウェア構成については上述の一般的な電源装置5の制御装置7と同様であるため、これについての詳細な説明は省略する。
【0083】
<電源装置2の機能ブロック>
本実施形態では、DSP35が所定のプログラムを実行した結果、制御装置3には、計算部30と、補正部31と、積分器32と、瞬時電圧制御部33と、PWMパルス生成部34とが実現される。
【0084】
これによって、電源装置2は、計算部30と、補正部31と、積分器32と、瞬時電圧制御部33と、PWMパルス生成部34と、出力部20とを備える。
【0085】
なお、積分器32と、瞬時電圧制御部33と、PWMパルス生成部34とをまとめたものは、「生成部」に相当する。つまり、「生成部」は、補正後の指令周波数に基づいて、出力電圧voutを制御するための制御信号を生成する。
【0086】
ここで、計算部30と、補正部31と、積分器32と、瞬時電圧制御部33と、PWMパルス生成部34と、出力部20とはそれぞれ、上述した一般的な電源装置5のそれぞれと同様の構成であるため、以下ではこれらの説明を省略する。
【0087】
つまり、電源装置2は、一般的な電源装置5と比べると、補正部31を更に備えている点で異なる。以下では、補正部31について詳細に説明する。
【0088】
[補正部31]
補正部31は、指令周波数frefを補正する。補正部31は、計算部30の出力である指令周波数frefを入力とし、補正後の指令周波数を、積分器32に出力する。
【0089】
補正部31が指令周波数frefを補正する理由としては、前述のように、一般的な電源装置5においては、出力部20から出力される出力電圧voutの実際の周波数foutが指令周波数frefとはならず、指令周波数frefに対して誤差fδを含んだものとなる場合があることによる。周波数foutがこのような誤差fδを含むと、前述のように、入出力の目標となる電力Prefと、実際に入出力される電力Poutとが乖離する。
【0090】
なお、以下の説明において、計算部30が出力した指令周波数frefを、「補正前の指令周波数fref」と称する場合がある。また、後述する処理によって補正部31が出力する指令周波数を、「補正後の指令周波数」と称する。また、特に断らない限り、単に「指令周波数fref」と称する場合は、補正前の指令周波数frefを意味することとする。
【0091】
なお、本実施形態の電源装置2において、「実際の周波数foutの精度」とは、補正前の指令周波数frefに対する出力電圧voutの実際の周波数foutの精度とする。つまり、出力電圧voutの実際の周波数foutが、補正前の指令周波数frefに近いほど、周波数foutの精度は高い。
【0092】
補正部31は、電力Prefと、電力Poutとが、定常状態において一致するよう、指令周波数frefを補正する。具体的には、補正部31は、定常状態において得られた、補正前の指令周波数frefと、出力電圧voutの実際の周波数foutとの誤差fδに基づいて、指令周波数frefを補正する。
【0093】
補正部31は、出力電圧voutの実際の周波数foutが、補正前の指令周波数frefと一致するように、補正前の指令周波数frefを補正する。
【0094】
本実施形態では、補正部31は、補正前の指令周波数frefと、誤差fδとの関係を示すデータテーブル(「テーブル」に相当)を用いて、補正前の指令周波数frefを補正する。なお、このデータテーブルにおける「誤差fδ」とは、「誤差fδを含む情報」の一例である。
【0095】
なお、「データテーブル」とは、一の種類のデータと、他の種類のデータとの関係を示すデータである。データテーブルは、例えば、グラフの形式で示されたものであってもよいし、表の形式で示されたものであってもよい。
【0096】
図9は、補正前の指令周波数(横軸)と、誤差fδ(縦軸)との関係を示すデータテーブルT1の一例を示す図である。データテーブルT1は、グラフの形式で示された図である。
【0097】
図9において、指令周波数frefの定義域は、所定の下限値fminから所定の上限値fmaxまでとなっている。
【0098】
データテーブルT1は、図6に示した参照電源6の周波数ftestと、出力電圧voutの実際の周波数foutの誤差fδとの関係に対し、横軸を補正前の指令周波数frefに置き換えたものである。
【0099】
つまり、このデータテーブルT1は、上述の確認方法に基づいて予め用意されたものであり、記憶装置36が有するメモリ36aに格納されている。
【0100】
補正部31は、このデータテーブルT1を用いて、補正前の指令周波数frefに対して誤差fδを減じる処理を実行する。
【0101】
具体的には、本実施形態の補正部31は、加算器310を有する(図8)。加算器310には、計算部30から出力された補正前の指令周波数frefと、記憶装置36が含むメモリ36aから出力された誤差fδとが入力される。
【0102】
加算器310は、補正前の指令周波数frefから、誤差fδを減じる処理を実行する。つまり、加算器310は、補正後の指令周波数として、周波数fref-fδを出力する。
【0103】
ここで、メモリ36aが出力する誤差fδは、図9のデータテーブルT1によって決定され、計算部30からの入力である補正前の指令周波数frefの値に対応する誤差fδである。
【0104】
補正部31が、補正後の指令周波数fref-fδを出力すると、補正後の指令周波数fref-fδに対し、積分器32、瞬時電圧制御部33及びPWMパルス生成部34の処理が実行される。
【0105】
これらの処理(特に、PWMパルス生成部34)により、補正後の指令周波数fref-fδに対して、補正部31において減じられた誤差fδと同量の誤差fδが加算される。つまり、PWMパルス生成部34は、補正前の指令周波数frefと同値の周波数frefを出力部20に出力する。
【0106】
以上のことから、出力部20は、補正前の指令周波数frefと同値の周波数frefを有する出力電圧voutを電力系統1に出力する。つまり、計算部30によって出力された指令周波数frefと、出力電圧voutの実際の周波数foutとは同値(fref)となり、実際の周波数foutの精度が向上する。つまり、誤差fδ(=fout-fref)を0とすることができる。
【0107】
更に、実際の周波数foutの精度が向上した結果、電力系統1に入出力される目標電力Prefと、電力系統1に実際に入出力される電力Poutとの乖離が抑制される。
【0108】
このことは、数9において左辺の誤差fδが0であると、右辺のPout-Prefが0となることが導出されるためである。
【0109】
なお、数9は、図4及び5に示した測定系4を用いて導出した式である。測定系4において、一般的な電源装置5に代えて、本実施形態の補正部31を更に備える電源装置2としても、数9は成り立つ。
【0110】
これは、数9の導出において、図4の計算部30よりも後段からPWMパルス生成部34までの処理は考慮する必要がなく、実際にこれらの処理は考慮されないことによる。従って、補正部31の有無にかかわらず、数9が成り立つ。
【0111】
なお、このときの誤差fδ(=fout-fref)において、指令周波数frefは、補正前の指令周波数frefである。
【0112】
以上説明したように、本実施形態の電源装置2によれば、出力電圧voutの実際の周波数foutの精度を向上させることが可能となる。
【0113】
なお、本実施形態では、補正部31は、データテーブルT1を用いて指令周波数frefを補正することとしたが、これに限られない。
【0114】
例えば、データテーブルT1に代えて、補正前の指令周波数frefと、誤差fδとの関係を示す関係式を用いてもよい。この場合の関係式としては、データテーブルT1に対し、下限値fminから上限値fmaxに亘って、誤差fδの値を例えば一次又は複数次の多項式で近似又は補間したものとしてもよい。
【0115】
==変形例1==
本変形例の電源装置について説明する。本変形例の電源装置は、実施形態の電源装置2に比べると、補正部31が実行する処理が異なっている。本変形例の補正部31は、データテーブルT1(図9)に代えて、図10に示すデータテーブルT2を用いる。
【0116】
データテーブルT2は、補正前の指令周波数fref(横軸)と、補正後の指令周波数f(縦軸)の関係を示すデータテーブルである。このデータテーブルT2における「補正後の指令周波数f」とは、補正前の指令周波数frefに対して誤差fδが減じられた値(fref-fδ)である。
【0117】
なお、このデータテーブルT2における「補正後の指令周波数」とは、「誤差fδを含む情報」の上記実施形態の他の例である。
【0118】
本変形例の補正部は、補正前の指令周波数frefを、補正後の指令周波数fに置き換える処理を実行する。
【0119】
つまり、本変形例の補正部は、実施形態の補正部31と同様に、補正後の指令周波数fref-fδを出力する。そうすると、積分器32から後段の処理は、上記実施形態と同様である。
【0120】
従って、本変形例のような態様としても、出力部20は、補正前の指令周波数frefと同値の周波数frefを有する出力電圧voutを電力系統1に出力する。つまり、計算部30によって出力された指令周波数frefと、出力電圧voutの実際の周波数foutと同値(fref)となり、実際の周波数foutの精度が向上する。
【0121】
更に、実際の周波数foutの精度が向上した結果、電力系統1に入出力される目標電力Prefと、電力系統1に実際に入出力される電力Poutとの乖離が抑制される。
【0122】
以上説明した態様であっても、本変形例の電源装置によれば、出力電圧voutの実際の周波数foutの精度を向上させることが可能となる。
【0123】
==変形例2==
実施形態においては、データテーブルT1を用意する際に、数9に示す誤差fδの計算式に対し、必要な設定値及び実測値を代入して誤差fδを得た。
【0124】
これに代えて、誤差fδは、電源装置5を、参照電源6に連系させた場合の定常状態における、指令周波数frefの実測値と、参照電源6の周波数ftestとの差で定められてもよい(次式)。
【数11】
【0125】
ここで、右辺第1項は、参照電源6の周波数ftestの設定値であり、右辺第2項は、指令周波数frefの実測値である。
【0126】
指令周波数frefの実測値を得るには、例えば、電源装置5に、計算部30の出力である指令周波数frefを計測するための測定部を追加してもよい。あるいは、計算部30は、計算された指令周波数frefの値を、メモリ36aにも出力してもよい。
【0127】
以上説明した態様であっても、本変形例の電源装置によれば、出力電圧voutの実際の周波数foutの精度を向上させることが可能となる。
【0128】
==まとめ==
以上、実施形態の電源装置2は、出力電圧voutの周波数を制御することによって電力系統1との間で電力を入出力する電源装置であって、電力系統1に出力する目標となる電力Prefと、電力系統1に実際に入出力される電力Poutと、所定の設定周波数fn,refとに基づいて、出力電圧voutに対する指令周波数frefを計算する計算部30と、指令周波数frefを補正する補正部31と、補正後の指令周波数に基づいて、出力電圧voutを制御するための制御信号を生成する生成部と、制御信号に基づいて生成された出力電圧voutを、電力系統1に出力する出力部とを備え、補正部31は、電力Prefと、電力Poutとが、定常状態において一致するよう、定常状態において得られた、補正前の指令周波数frefと、出力電圧voutの実際の周波数foutとの誤差fδに基づいて指令周波数frefを補正する。
【0129】
このような構成によれば、出力電圧voutの実際の周波数foutの精度を向上させることが可能な電源装置2を提供することができる。
【0130】
実施形態の電源装置2において、補正部31は、出力電圧voutの実際の周波数foutが、補正前の指令周波数frefと一致するように、補正前の指令周波数frefと、誤差fδを含む情報との関係を示す予め用意されたテーブル又は関係式を用いて、指令周波数frefを補正する。このような構成によれば、補正前の指令周波数frefと、テーブル又は関係式のみを用いて、指令周波数frefを補正することができる。つまり、電源装置2は、電力系統1への連系時においてリアルタイムで誤差fδを計算する必要がないため、計算のためのコストを削減することができる。
【0131】
実施形態の電源装置2において、誤差fδを含む情報は、誤差fδであり、補正部31は、補正前の指令周波数frefに対して誤差fδを減じる処理を実行する。このような構成によれば、補正後の指令周波数に対して誤差fδが加算された指令周波数の出力電圧voutが、出力部から出力される。つまり、補正部31は、指令周波数の誤差fδが相殺されるように補正前の指令周波数frefを補正するため、出力電圧voutの実際の周波数foutは、補正前の指令周波数frefとなる。
【0132】
変形例1の電源装置において、誤差fδを含む情報は、補正前の指令周波数frefに対して誤差fδが減じられた補正後の指令周波数であり、補正部31は、補正前の指令周波数frefを、補正後の指令周波数に置き換える処理を実行する。このような構成によれば、補正後の指令周波数に対して誤差fδが加算された指令周波数の出力電圧voutが、出力部から出力される。つまり、補正部31は、指令周波数の誤差fδが相殺されるように補正前の指令周波数frefを補正するため、出力電圧voutの実際の周波数foutは、補正前の指令周波数frefとなる。
【0133】
実施形態の電源装置2において、誤差fδは、計算部30、生成部及び出力部を含む電源装置5を、周波数を制御可能な参照電源6に連系させた場合の定常状態における、指令周波数frefと、参照電源6の周波数ftestとの差の計算値で定められる。このような構成によれば、指令周波数frefと、参照電源6の周波数ftestとの差の計算式を用いることにより、精度良く誤差fδを求めることができる。
【0134】
実施形態の電源装置2において、誤差fδは、計算部30及び出力部を含む電源装置5を、周波数を制御可能な参照電源6に連系させた場合の定常状態における、指令周波数frefの実測値と、参照電源6の周波数ftestとの差で定められる。このような構成によれば、直接的な誤差fδの定義を用いるため、容易に誤差fδを求めることができる。
【0135】
実施形態の電圧生成方法は、電圧の周波数を制御することによって電力系統1との間で電力を入出力する電源装置2が、電力系統1に出力する目標となる電力Prefと、電力系統1に実際に入出力される電力Poutと、所定の設定周波数fn,refとに基づいて、出力電圧voutに対する指令周波数frefを計算するステップと、指令周波数frefを補正するステップと、補正後の指令周波数に基づいて、出力電圧voutを制御するための制御信号を生成するステップと、制御信号に基づいて生成された出力電圧voutを、電力系統1に出力するステップとを含み、補正するステップにおいて、電力Prefと、電力Poutとが、定常状態において一致するよう、定常状態において得られた、補正前の指令周波数frefと、出力電圧voutの実際の周波数foutとの誤差fδに基づいて指令周波数frefを補正する。
【0136】
このような方法によれば、出力電圧voutの実際の周波数foutの精度を向上させることが可能な電圧生成方法を提供することができる。
【符号の説明】
【0137】
電力系統 1
電源装置 2
出力部 20
直流電源 200
制御装置 3
計算部 30
補正部 31
積分器 32
瞬時電圧制御部 33
PWMパルス生成部 34
DSP 35
記憶装置 36
測定系 4
電源装置 5
参照電源 6
制御装置 7
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10