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特開2024-2786ロボットシステムの制御方法およびロボットシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024002786
(43)【公開日】2024-01-11
(54)【発明の名称】ロボットシステムの制御方法およびロボットシステム
(51)【国際特許分類】
   B25J 13/08 20060101AFI20231228BHJP
【FI】
B25J13/08 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022102195
(22)【出願日】2022-06-24
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091292
【弁理士】
【氏名又は名称】増田 達哉
(74)【代理人】
【識別番号】100173428
【弁理士】
【氏名又は名称】藤谷 泰之
(74)【代理人】
【識別番号】100091627
【弁理士】
【氏名又は名称】朝比 一夫
(72)【発明者】
【氏名】木下 敬文
【テーマコード(参考)】
3C707
【Fターム(参考)】
3C707BS12
3C707ES03
3C707ET08
3C707HS27
3C707KS33
3C707KW03
3C707KX10
3C707LV07
(57)【要約】
【課題】使用環境によらず精度よく把持姿勢を補正することのできるロボットシステムの制御方法およびロボットシステムを提供すること。
【解決手段】対象物を把持するエンドエフェクターおよび前記エンドエフェクターに加わる力を検出する力センサーを有するロボットを備えるロボットシステムの制御方法であって、前記エンドエフェクターで前記対象物を把持して持ち上げる持ち上げステップと、前記持ち上げステップにおいて前記力センサーに加わる力と、前記力の基準値と、を比較し、比較結果に基づいて前記対象物の把持姿勢を補正する補正ステップと、を含む。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象物を把持するエンドエフェクターおよび前記エンドエフェクターに加わる力を検出する力センサーを有するロボットを備えるロボットシステムの制御方法であって、
前記エンドエフェクターで前記対象物を把持して持ち上げる持ち上げステップと、
前記持ち上げステップにおいて前記力センサーに加わる力と、前記力の基準値と、を比較し、比較結果に基づいて前記対象物の把持姿勢を補正する補正ステップと、を含むことを特徴とするロボットシステムの制御方法。
【請求項2】
前記補正ステップでは、前記力センサーに加わる力と前記基準値との差が小さくなるように前記把持姿勢を補正する請求項1に記載のロボットシステムの制御方法。
【請求項3】
前記補正ステップでは、前記力センサーに加わる力と前記基準値との差に基づいて前記把持姿勢のずれを求め、求めた前記ずれに基づいて前記把持姿勢を補正する請求項1に記載のロボットシステムの制御方法。
【請求項4】
前記補正ステップでは、前記対象物を基準面に倣わせることで前記把持姿勢を補正する請求項1に記載のロボットシステムの制御方法。
【請求項5】
前記力センサーに加わる力が閾値を超えた場合、前記補正ステップを終了する請求項1に記載のロボットシステムの制御方法。
【請求項6】
対象物を把持するエンドエフェクターおよび前記エンドエフェクターに加わる力を検出する力センサーを有するロボットと、
前記ロボットの駆動を制御する制御装置と、を有し、
前記制御装置は、前記エンドエフェクターで前記対象物を把持して持ち上げる持ち上げステップと、
前記持ち上げステップにおいて前記力センサーに加わる力と、前記力の基準値と、を比較し、比較結果に基づいて前記対象物の把持姿勢を補正する補正ステップと、を実行することを特徴とするロボットシステム。
【請求項7】
前記ロボットは、先端部に前記エンドエフェクターが装着されるロボットアームを有し、
前記力センサーは、前記エンドエフェクターと前記ロボットアームとの間に配置されている請求項6に記載のロボットシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロボットシステムの制御方法およびロボットシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ストッカー内のワークをカメラで撮像して得られた画像データに基づいて把持対象とする1つのワークを選択するステップと、選択したワークをロボットで把持するステップと、把持したワークをカメラで撮像して得られた画像データに基づいてワークの把持状態を検出するステップと、ワークの把持状態に応じてワークの姿勢を補正するステップと、を実行することにより、次動作を適切に行うことができるロボットシステムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014-176923号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1では、ロボットに保持されたワークの姿勢をカメラで撮像して得られた画像データに基づいて補正しているため、視野、光量、ピント等、カメラの撮像環境を整える必要があり、使用環境に制限が生じるおそれがある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明のロボットシステムの制御方法は、対象物を把持するエンドエフェクターおよび前記エンドエフェクターに加わる力を検出する力センサーを有するロボットを備えるロボットシステムの制御方法であって、
前記エンドエフェクターで前記対象物を把持して持ち上げる持ち上げステップと、
前記持ち上げステップにおいて前記力センサーに加わる力と、前記力の基準値と、を比較し、比較結果に基づいて前記対象物の把持姿勢を補正する補正ステップと、を含む。
【0006】
本発明のロボットシステムは、対象物を把持するエンドエフェクターおよび前記エンドエフェクターに加わる力を検出する力センサーを有するロボットと、
前記ロボットの駆動を制御する制御装置と、を有し、
前記制御装置は、前記エンドエフェクターで前記対象物を把持して持ち上げる持ち上げステップと、
前記持ち上げステップにおいて前記力センサーに加わる力と、前記力の基準値と、を比較し、比較結果に基づいて前記対象物の把持姿勢を補正する補正ステップと、を実行する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】第1実施形態に係るロボットシステムの全体図である。
図2】ロボットアームの先端部を示す図である。
図3】エンドエフェクターでワークを把持した状態を示す図である。
図4】エンドエフェクターでワークを把持した状態を示す図である。
図5】ロボットシステムの制御工程を示すフローチャートである。
図6】準備ステップのフローチャートである。
図7】エンドエフェクターでワークを把持した状態を示す図である。
図8】第1基準値を示すグラフである。
図9】第1基準値を示すグラフである。
図10】第2基準値を示すグラフである。
図11】第2基準値を示すグラフである。
図12】作業ステップのフローチャートである。
図13】第2実施形態に係る把持姿勢の補正方法を示すフローチャートである。
図14】把持姿勢の補正方法を示す図である。
図15】把持姿勢の補正方法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明のロボットシステムの制御方法およびロボットシステムを添付図面に示す好適な実施形態に基づいて詳細に説明する。
【0009】
<第1実施形態>
図1は、第1実施形態に係るロボットシステムの全体図である。図2は、ロボットアームの先端部を示す図である。図3および図4は、それぞれ、エンドエフェクターでワークを把持した状態を示す図である。図5は、ロボットシステムの制御工程を示すフローチャートである。図6は、準備ステップのフローチャートである。図7は、エンドエフェクターでワークを把持した状態を示す図である。図8および図9は、それぞれ、第1基準値を示すグラフである。図10および図11は、それぞれ、第2基準値を示すグラフである。図12は、作業ステップのフローチャートである。なお、以下では、図1図4および図7の上側が鉛直方向上側であり、下側が鉛直方向下側である。
【0010】
図1に示すロボットシステム1は、対象物としてのワークWを把持するロボット2と、ロボット2の駆動を制御する制御装置3と、を有している。
【0011】
ロボット2は、駆動軸を6つ有する6軸垂直多関節ロボットであり、基台21と、基台21に回動自在に連結されているロボットアーム22と、ロボットアーム22の先端に装着されているエンドエフェクター23と、ロボットアーム22とエンドエフェクター23との間に配置されている力センサー24と、を有している。また、ロボットアーム22は、複数のアーム221、222、223、224、225、226が回動自在に連結されてなるロボティックアームであり、6つの関節J1、J2、J3、J4、J5、J6を備えている。これら6つの関節J1~J6のうち、関節J2、J3、J5は、それぞれ、曲げ関節であり、関節J1、J4、J6は、それぞれ、ねじり関節である。
【0012】
関節J1、J2、J3、J4、J5、J6には、それぞれ、モーターMと、モーターMの出力を減速して伝える減速機Tと、減速機Tの回転を検出するエンコーダーEと、が設置されている。制御装置3は、ロボットシステム1の運転中、各関節J1~J6について、エンコーダーEの出力が示す関節J1~J6の回転角度を制御目標に一致させるサーボ制御(フィードバック制御)を実行する。
【0013】
エンドエフェクター23は、対象物であるワークWを把持する構成であり、アーム226に接続されている基部231と、基部231に開閉自在に連結されている一対の爪部232、233と、一対の爪部232、233を開閉する駆動機構234と、を有している。このようなエンドエフェクター23は、駆動機構234により一対の爪部232、233を閉じることでワークWを把持することができ、一対の爪部232、233を開くことでワークWを離すことができる。ただし、エンドエフェクター23の構成は、ワークWを把持することができれば、特に限定されない。
【0014】
力センサー24は、エンドエフェクター23に加わる力を検出する。本実施形態のように、エンドエフェクター23とロボットアーム22との間に力センサー24を配置することにより、エンドエフェクター23に加わる力を精度よく検出することができる。力センサー24の構成としては、特に限定されないが、例えば、水晶で構成された受圧体を有し、この受圧体が力を受けることにより生じる電荷の大きさに基づいて受けた力を検出する構成とすることができる。
【0015】
力センサー24が検出する力としては、特に限定されないが、本実施形態では、以下の6つの力を検出する。図2に示すように、ロボット2には、ロボットアーム22の先端に制御点であるTCP(ツールセンターポイント)が設定されており、さらに、TCPを原点とする3軸直交座標系(x,y,z)が設定されている。そして、力センサー24は、x軸に沿う並進力Fxと、y軸に沿う並進力Fyと、z軸に沿う並進力Fzと、x軸まわりのトルクTxと、y軸まわりのトルクTyと、z軸まわりのトルクTzと、を検出することができる。なお、以下では、並進力Fx、Fy、FzおよびトルクTx、Ty、Tzを総称して力Fとも言う。
【0016】
ただし、力センサー24の配置は、エンドエフェクター23に加わる力を検出することができれば、特に限定されない。また、力センサー24は、省略してもよい。
【0017】
以上、ロボット2について説明したが、ロボット2の構成は、特に限定されない。例えば、スカラロボット(水平多関節ロボット)、上述のロボットアーム22を2本備えた双腕ロボット等であってもよい。また、基台21が固定されていない自走式のロボットであってもよい。
【0018】
制御装置3は、ロボット2の駆動を制御する。制御装置3は、例えば、コンピューターから構成され、情報を処理するプロセッサー(CPU)と、プロセッサーに通信可能に接続されたメモリーと、外部装置との接続を行う外部インターフェースと、を有する。メモリーにはプロセッサーにより実行可能な各種プログラムが保存され、プロセッサーは、メモリーに記憶された各種プログラム等を読み込んで実行することができる。なお、制御装置3の構成要素の一部または全部は、ロボット2の筐体の内側に配置されてもよい。また、制御装置3は、複数のプロセッサーにより構成されてもよい。
【0019】
以上、ロボットシステム1の構成について簡単に説明した。次に、制御装置3が行うロボットシステム1の制御方法について説明する。
【0020】
例えば、図3に示すように、ワークWの重量や把持位置によっては、ロボット2でワークWを把持して持ち上げた際にエンドエフェクター23の把持力が足りずにワークWがエンドエフェクター23に対してずれ、ワークWの実際の把持姿勢P2が目標把持姿勢P1からずれる場合がある。ワークWの変形や破損を防止するためにエンドエフェクター23の把持力に制限が掛けられている場合にも、同様に、把持力が足りずにワークWがエンドエフェクター23に対してずれ、ワークWの実際の把持姿勢P2が目標把持姿勢P1からずれる場合がある。
【0021】
また、例えば、図4に示すように、各関節J1~J6に配置されている減速機Tの劣化によるバックラッシの増大、ロボットアーム22の変形等によってロボット2の位置姿勢が目標位置姿勢に対してずれ、これに起因してワークWの実際の把持姿勢P2が目標把持姿勢P1からずれる場合がある。
【0022】
このように、ワークWの実際の把持姿勢P2が目標把持姿勢P1からずれると、その後の作業に支障が生じるおそれがある。そこで、ロボットシステム1では、力センサー24を用いて上述したワークWの把持姿勢P2の目標把持姿勢P1からのずれを検出し、必要に応じてワークWの把持姿勢P2を補正する。これにより、その後の作業を精度よく行うことができる。以下、詳細に説明する。
【0023】
ロボットシステム1の制御方法は、図5に示すように、準備ステップS1と、作業ステップS2と、を含んでいる。以下、これら各ステップS1、S2について詳細に説明する。
【0024】
[準備ステップS1]
準備ステップS1では、制御装置3は、ロボット2の駆動を制御して、ロボット2に作業ステップS2と同じ作業を正常に行わせ、その際の力センサー24の出力に基づいて基準値としての第1、第2基準値R、Gを作成する。なお、「正常に行わせる」とは、上述のようなワークWの把持姿勢が目標把持姿勢からずれる要素(ワークのずれや傾き、減速機Tの劣化、ロボットアーム22の変形等)を極力排除し、ワークWの把持姿勢が目標把持姿勢と一致するようにロボット2を動かすことを意味する。
【0025】
このような準備ステップS1は、図6に示すように、エンドエフェクター23でワークWを把持して持ち上げる持ち上げステップS11と、力センサー24に加わる力Fを検出する力検出ステップS12と、検出した力Fに基づいて力Fの第1、第2基準値R、Gを作成する作成ステップS13と、を含んでいる。
【0026】
-持ち上げステップS11-
持ち上げステップS11では、制御装置3は、ロボット2の駆動を制御して、エンドエフェクター23でワークWを把持し、図7に示すように、エンドエフェクター23を上側に移動させてワークWを持ち上げる。そして、ワークWを目標把持姿勢P1とする。前述したように、ロボット2を正常に駆動させるため、ここでは、実際のワークWの把持姿勢P2が目標把持姿勢P1と一致する。
【0027】
-力検出ステップS12-
力検出ステップS12では、制御装置3は、持ち上げステップS11中(目標把持姿勢P1への移動中)に力センサー24に加わる力Fを検出する。また、制御装置3は、持ち上げステップS11が終了した後、ロボット2の残留振動が十分に収まるまで、言い換えると力センサー24の出力波形が安定するまで待機し、持ち上げステップS11終了後に力センサー24に加わる力Fを検出する。
【0028】
-作成ステップS13-
作成ステップS13では、制御装置3は、持ち上げステップS11中に力センサー24に加わる力Fに基づいて力Fの基準値としての第1基準値Rを作成する。なお、第1基準値Rは、並進力Fx、Fy、FzおよびトルクTx、Ty、Tzのそれぞれについて作成される。具体的には、制御装置3は、まず、図8に示すように、持ち上げステップS11中に力センサー24に加わる並進力Fxを、並進力Fxの第1基準値Rfxとする。次に、制御装置3は、第1基準値Rfxを含むようにして第1閾値Qfx1を設定する。
【0029】
これと同様に、図8に示すように、並進力Fyについても第1基準値Rfyおよび第1閾値Qfy1を設定し、並進力Fzについても第1基準値Rfzおよび第1閾値Qfz1を設定する。また、図9に示すように、トルクTxについても第1基準値Rtxおよび第1閾値Qtx1を設定し、トルクTyについても第1基準値Rtyおよび第1閾値Qty1を設定し、トルクTzについても第1基準値Rtzおよび第1閾値Qtz1を設定する。以下では、説明の便宜上、第1閾値Qfx1、Qfy1、Qfz1、Qtx1、Qty1、Qtz1をまとめて第1閾値Q1とも言う。
【0030】
なお、第1閾値Q1の上限値および下限値については、特に限定されず、例えば、作業ステップS2の次動作ステップS23で求められる動作精度に基づいて適宜設定することができる。また、図8および図9に示す各波形は、便宜上のものであり、正確なものではないし、特に限定されない。
【0031】
また、制御装置3は、持ち上げステップS11終了後に力センサー24に加わる力Fに基づいて力Fの基準値としての第2基準値Gを作成する。なお、第2基準値Gは、並進力Fx、Fy、FzおよびトルクTx、Ty、Tzのそれぞれについて作成される。具体的には、制御装置3は、まず、図10に示すように、持ち上げステップS11終了後に力センサー24に加わる並進力Fxを、並進力Fxの第2基準値Gfxとする。次に、制御装置3は、第2基準値Gfxを含むようにして第2閾値Qfx2を設定し、第2閾値Qfx2を含むようにして第2閾値Qfx2よりも広い第3閾値Qfx3を設定する。
【0032】
これと同様に、図10に示すように、並進力Fyについても第2基準値Gfyおよび第2、第3閾値Qfy2、Qfy3を設定し、並進力Fzについても第2基準値Gfzおよび第2、第3閾値Qfz2、Qfz3を設定する。また、図11に示すように、トルクTxについても第2基準値Gtxおよび第2、第3閾値Qtx2、Qtx3を設定し、トルクTyについても第2基準値Gtyおよび第2、第3閾値Qty2、Qty3を設定し、トルクTzについても第2基準値Gtzおよび第2、第3閾値Qtz2、Qtz3を設定する。以下では、説明の便宜上、第2閾値Qfx2、Qfy2、Qfz2、Qtx2、Qty2、Qtz2をまとめて第2閾値Q2とも言い、第3閾値Qfx3、Qfy3、Qfz3、Qtx3、Qty3、Qtz3をまとめて第3閾値Q3とも言う。
【0033】
第2、第3閾値Q2、Q3の上限値および下限値については、特に限定されず、例えば、作業ステップS2の次動作ステップS23で求められる動作精度に基づいて適宜設定することができる。また、図10および図11に示す各波形は、便宜上のものであり、正確なものではないし、特に限定されない。
【0034】
以上により、準備ステップS1が終了する。
【0035】
[作業ステップS2]
作業ステップS2では、制御装置3は、ロボット2の駆動を制御して、ロボット2に所定の作業に行わせる。その際、必要に応じてワークWの把持姿勢P2を補正する。このような作業ステップS2は、図12に示すように、エンドエフェクター23でワークWを把持して持ち上げる持ち上げステップS21と、力センサー24に加わる力Fと第1、第2基準値R、Gとを順に比較し、比較結果に基づいてワークWの把持姿勢P2を補正する補正ステップS22と、次動作ステップS23と、を含んでいる。
【0036】
-持ち上げステップS21-
持ち上げステップS21では、制御装置3は、ロボット2の駆動を制御して、エンドエフェクター23でワークWを把持し、エンドエフェクター23を上側に移動させてワークWを持ち上げる。そして、ワークWを目標把持姿勢P1とする。なお、実際の把持姿勢P2は、前述した種々の要因により目標把持姿勢P1からずれる可能性がある。
【0037】
なお、図3に示したように、持ち上げステップS21中にエンドエフェクター23に対するワークWのずれが生じると、それに伴って力センサー24に加わるモーメントが正常時に対して変化する。そのため、力センサー24に加わるトルクTx、Ty、Tzが第1、第2基準値R、Gに対してずれる。また、図4に示すように、減速機Tの劣化やロボットアーム22の変形が生じるとロボット2の位置姿勢(TCPの向き)が正常時に対して変化する。そのため、力センサー24に加わる並進力Fx、Fy、Fzが第1、第2基準値R、Gに対してずれる。したがって、力センサー24に加わる力Fと第1、第2基準値R、Gとを比較することにより、ワークWの実際の把持姿勢P2と目標把持姿勢P1との差(ずれ量)を検出することができる。
【0038】
-補正ステップS22-
補正ステップS22では、制御装置3は、持ち上げステップS21でのワークWの持ち上げ開始と共に力センサー24が受ける力Fの検出を始める。次に、制御装置3は、検出した力Fと第1基準値Rとを比較する。具体的には、並進力Fxと第1基準値Rfxとを比較し、並進力Fyと第1基準値Rfyとを比較し、並進力Fzと第1基準値Rfzとを比較し、トルクTxと第1基準値Rtxとを比較し、トルクTyと第1基準値Rtyとを比較し、トルクTzと第1基準値Rtzとを比較する。そして、並進力Fx、Fy、FzおよびトルクTx、Ty、Tzの全てが第1閾値Q1の範囲内であれば、ワークWの把持姿勢が正常であると判定し、そのまま、持ち上げステップS21を続行する。反対に、並進力Fx、Fy、FzおよびトルクTx、Ty、Tzの少なくとも1つが第1閾値Q1の範囲外であれば、ワークWの把持姿勢が異常であると判定し、作業ステップS2を終了する。そして、制御装置3は、次のワークWについて作業ステップS2を開始する。これにより、大きくずれた把持姿勢P2のままで作業が継続されることがないため、作業ステップS2の精度低下を抑制することができる。また、早期に作業を諦め、次のワークWについて作業ステップS2を開始することにより、タクトタイムの短縮を図ることもできる。
【0039】
次に、制御装置3は、持ち上げステップS21が終了したかを判定し、終了した場合には、力センサー24の出力波形が安定するまで待機する。次に、制御装置3は、持ち上げステップS21終了後に力センサー24に加わる力Fを検出する。
【0040】
次に、制御装置3は、検出した並進力Fx、Fy、Fzに基づいてワークWの把持姿勢P2の補正要否を判定する。具体的には、制御装置3は、まず、並進力Fxと第2基準値Gfxとを比較し、並進力Fyと第2基準値Gfyとを比較し、並進力Fzと第2基準値Gfzとを比較する。そして、これら並進力Fx、Fy、Fzの全てが第2閾値Q2の範囲内であれば、ワークWの実際の把持姿勢P2と目標把持姿勢P1との差が十分に小さく、ワークWの把持姿勢P2を補正する必要がないと判定する。この場合は、把持姿勢P2を補正することなく、検出したトルクTx、Ty、Tzに基づいてワークWの把持姿勢P2の補正要否を判定するステップに移行する。
【0041】
これに対して、並進力Fx、Fy、Fzの少なくとも1つが第2閾値Q2の範囲外かつ第3閾値Q3の範囲内であれば、ワークWの実際の把持姿勢P2と目標把持姿勢P1との差が許容範囲を超え、ワークWの把持姿勢P2を補正する必要があると判定する。また、並進力Fx、Fy、Fzの少なくとも1つが第3閾値Q3の範囲外であれば、ワークWの実際の把持姿勢P2と目標把持姿勢P1との差が補正できない程大きいと判定し、作業ステップS2を終了する。そして、制御装置3は、次のワークWについて作業ステップS2を開始する。これにより、大きくずれた把持姿勢P2のままで作業が継続されることがないため、作業ステップS2の精度低下を抑制することができる。また、早期に作業を諦め、次のワークWについて作業ステップS2を開始することにより、タクトタイムの短縮を図ることもできる。
【0042】
制御装置3は、上記比較の結果、ワークWの実際の把持姿勢P2を補正する必要があると判定した場合には、ロボット2の駆動を制御してワークWの向きを変化させることで把持姿勢P2を補正する。なお、把持姿勢P2の補正は、力センサー24に加わる力Fと第1、第2基準値R、Gとの差が小さくなるように把持姿勢P2を補正する。特に、本実施形態では、補正後に力センサー24に加わる並進力Fx、Fy、Fyがそれぞれ第2閾値Q2の範囲内となるように行われる。これにより、実際の把持姿勢P2と目標把持姿勢P1との差を許容範囲内に収めることができる。このような補正方法としては、特に限定されないが、例えば、以下のような方法が挙げられる。
【0043】
第1の方法として、並進力Fxと第2基準値Gfxとの差分と、並進力Fyと第2基準値Gfyとの差分と、並進力Fzと第2基準値Gfzとの差分と、に基づいて、目標把持姿勢P1と把持姿勢P2とのずれ量を推定し、推定したずれ量に基づいてロボット2の位置姿勢、特にTCPの向きを変化させることにより、把持姿勢P2を補正する方法がある。このような方法によれば、把持姿勢P2を容易に補正することができる。なお、把持姿勢P2の補正中に力センサー24に加わる並進力Fx、Fy、Fzの少なくとも1つが第3閾値Q3の範囲外となった場合には、その時点で作業ステップS2を終了する。
【0044】
また、第2の方法として、ロボット2の位置姿勢、特にTCPの向きを変化させて把持姿勢P2を変化させる把持姿勢変化ステップと、力センサー24に加わる並進力Fx、Fy、Fzと第2基準値Gfx、Gfy、Gfzとを比較する比較ステップと、を並進力Fx、Fy、Fyの全てが第2閾値Q2の範囲内となるまで繰り返す方法がある。このような方法によれば、把持姿勢P2を容易に補正することができる。なお、一度の把持姿勢変化ステップで変化させるTCPの角度は、一定であってもよいし、ずれ量が大きいうちは角度を大きくし、ずれ量が小さくなったら角度を小さくしてもよい。また、把持姿勢P2の補正中に力センサー24に加わる並進力Fx、Fy、Fzの少なくとも1つが第3閾値Q3の範囲外となった場合には、その時点で作業ステップS2を終了する。
【0045】
さらに、第3の方法として、上述した第2の方法の把持姿勢変化ステップと比較ステップとを並行して行い、力センサー24に加わる並進力Fx、Fy、Fzがそれぞれ第2閾値Q2の範囲内となるまでワークWの把持姿勢P2を変化させ続ける方法がある。このような方法によれば、把持姿勢P2を容易に補正することができる。なお、把持姿勢変化の速度は、一定であってもよいし、ずれ量が大きいうちは速度を高め、ずれ量が小さくなったら速度を低めてもよい。また、把持姿勢P2の補正中に力センサー24に加わる並進力Fx、Fy、Fzの少なくとも1つが第3閾値Q3の範囲外となった場合には、その時点で作業ステップS2を終了する。
【0046】
次に、制御装置3は、検出したトルクTx、Ty、Tzに基づいてワークWの把持姿勢P2の補正要否を判定する。具体的には、制御装置3は、まず、トルクTxと第2基準値Gtxとを比較し、トルクTyと第2基準値Gtyとを比較し、トルクTzと第2基準値Gtzとを比較する。そして、これらトルクTx、Ty、Tzの全てが第2閾値Q2の範囲内であれば、ワークWの実際の把持姿勢P2と目標把持姿勢P1との差が十分に小さく、ワークWの把持姿勢P2を補正する必要がないと判定する。この場合は、把持姿勢P2を補正することなく、次動作ステップS23に移行する。
【0047】
これに対して、トルクTx、Ty、Tzの少なくとも1つが第2閾値Q2の範囲外かつ第3閾値Q3の範囲内であれば、ワークWの実際の把持姿勢P2と目標把持姿勢P1との差が許容範囲を超え、ワークWの把持姿勢P2を補正する必要があると判定する。また、トルクTx、Ty、Tzの少なくとも1つが第3閾値Q3の範囲外であれば、ワークWの実際の把持姿勢P2と目標把持姿勢P1との差が補正できない程大きいと判定し、作業ステップS2を終了する。そして、制御装置3は、次のワークWについて作業ステップS2を開始する。これにより、大きくずれた把持姿勢P2のままで作業が継続されることがないため、作業ステップS2の精度低下を抑制することができる。また、早期に作業を諦め、次のワークWについて作業ステップS2を開始することにより、タクトタイムの短縮を図ることもできる。
【0048】
制御装置3は、上記比較の結果、ワークWの実際の把持姿勢P2を補正する必要があると判定した場合には、ロボット2の駆動を制御してワークWの向きを変化させることで把持姿勢P2を補正する。なお、把持姿勢P2の補正は、補正後に力センサー24に加わるトルクTx、Ty、Tyがそれぞれ第2閾値Q2の範囲内となるように行われる。これにより、実際の把持姿勢P2と目標把持姿勢P1との差を許容範囲内に収めることができる。このような補正方法としては、特に限定されないが、例えば、以下のような方法が挙げられる。
【0049】
第1の方法として、トルクTxと第2基準値Gtxとの差分と、トルクTyと第2基準値Gtyとの差分と、トルクTzと第2基準値Gtzとの差分と、に基づいて、目標把持姿勢P1と把持姿勢P2とのずれ量を推定し、推定したずれ量に基づいてロボット2の位置姿勢、特にTCPの向きを変化させることにより、把持姿勢P2を補正する方法がある。このような方法によれば、把持姿勢P2を容易に補正することができる。なお、把持姿勢P2の補正中に力センサー24に加わるトルクTx、Ty、Tzの少なくとも1つが第3閾値Q3の範囲外となった場合には、その時点で作業ステップS2を終了する。
【0050】
また、第2の方法として、ロボット2の位置姿勢、特にTCPの向きを変化させて把持姿勢P2を変化させる把持姿勢変化ステップと、力センサー24に加わるトルクTx、Ty、Tzと第2基準値Gtx、Gty、Gtzとを比較する比較ステップと、をトルクTx、Ty、Tyの全てが第2閾値Q2の範囲内となるまで繰り返す方法がある。このような方法によれば、把持姿勢P2を容易に補正することができる。なお、一度の把持姿勢変化ステップで変化させるTCPの角度は、一定であってもよいし、ずれ量が大きいうちは角度を大きくし、ずれ量が小さくなったら角度を小さくしてもよい。また、把持姿勢P2の補正中に力センサー24に加わるトルクTx、Ty、Tzの少なくとも1つが第3閾値Q3の範囲外となった場合には、その時点で作業ステップS2を終了する。
【0051】
さらに、第3の方法として、上述した第2の方法の把持姿勢変化ステップと比較ステップとを並行して行い、力センサー24に加わるトルクTx、Ty、Tzがそれぞれ第2閾値Q2の範囲内となるまでワークWの把持姿勢P2を変化させ続ける方法がある。このような方法によれば、把持姿勢P2を容易に補正することができる。なお、把持姿勢変化の速度は、一定であってもよいし、ずれ量が大きいうちは速度を高め、ずれ量が小さくなったら速度を低めてもよい。また、把持姿勢P2の補正中に力センサー24に加わるトルクTx、Ty、Tzの少なくとも1つが第3閾値Q3の範囲外となった場合には、その時点で作業ステップS2を終了する。
【0052】
以上のようなワークWの把持位置の補正が終了すると、制御装置3は、次動作ステップS23に移行する。なお、補正前すなわち持ち上げステップS21終了時におけるTCPと補正後におけるTCPの座標との差ΔTCPは、次動作ステップS23に反映され、次動作ステップS23では、例えば、指定された制御命令を差ΔTCPで補正した補正制御命令を用いて行われる。これにより、次動作ステップS23を精度よく行うことができる。
【0053】
なお、本実施形態では、並進力Fx、Fy、Fzに基づいてワークWの把持姿勢P2の補正要否を判定するステップの後に、トルクTx、Ty、Tzに基づいてワークWの把持姿勢P2の補正要否を判定するステップを行っているが、これに限定されず、トルクTx、Ty、Tzに基づいてワークWの把持姿勢P2の補正要否を判定するステップを行った後に、並進力Fx、Fy、Fzに基づいてワークWの把持姿勢P2の補正要否を判定するステップを行ってもよい。また、これらのステップを同時に行ってもよい。
【0054】
このようなロボットシステム1の制御方法によれば、次動作ステップS23に移行する前にワークWの把持姿勢P2を補正することができるため、次動作ステップS23を精度よく行うことができる。また、力センサー24が受ける力Fに基づいてワークWの把持姿勢P2を補正するため、カメラを用いた従来の方法のように、使用環境の制限を受け難く、どのような環境においても精度よくワークWの把持姿勢P2を補正することができる。
【0055】
以上、ロボットシステム1について説明した。このようなロボットシステム1の制御方法は、前述したように、対象物としてのワークWを把持するエンドエフェクター23およびエンドエフェクター23に加わる力を検出する力センサー24を有するロボット2を備えるロボットシステム1の制御方法であって、エンドエフェクター23でワークWを把持して持ち上げる持ち上げステップS21と、持ち上げステップS21において力センサー24に加わる力Fと、力Fの基準値である第1、第2基準値R、Gと、を比較し、比較結果に基づいてワークWの把持姿勢P2を補正する補正ステップS22と、を含んでいる。このような制御方法によれば、力センサー24が受ける力Fに基づいてワークWの把持姿勢P2を補正するため、カメラを用いた従来の方法のように、使用環境の制限を受け難く、どのような環境においても精度よくワークWの把持姿勢P2を補正することができる。
【0056】
また、前述したように、補正ステップS22では、力センサー24に加わる力Fと第1、第2基準値R、Gとの差が小さくなるように把持姿勢P2を補正する。これにより、実際の把持姿勢P2と目標把持姿勢P1との差を許容範囲内に収めることができる。
【0057】
また、前述したように、補正ステップS22では、力センサー24に加わる力Fと第1、第2基準値R、Gとの差に基づいて把持姿勢P2のずれを求め、求めたずれに基づいて把持姿勢P2を補正する。このような方法によれば、把持姿勢P2を容易に補正することができる。
【0058】
また、前述したように、力センサー24に加わる力Fが閾値としての第1閾値Q1または第3閾値Q3を超えた場合、補正ステップS22を終了する。これにより、大きくずれた把持姿勢P2のままで作業が継続されることがないため、作業ステップS2の精度低下を抑制することができる。また、早期に作業を諦め、次のワークWについて作業ステップS2を開始することにより、タクトタイムの短縮を図ることもできる。
【0059】
また、前述したように、ロボットシステム1は、ワークWを把持するエンドエフェクター23およびエンドエフェクター23に加わる力を検出する力センサー24を有するロボット2と、ロボット2の駆動を制御する制御装置3と、を有している。そして、制御装置3は、エンドエフェクター23でワークWを把持して持ち上げる持ち上げステップS21と、持ち上げステップS21において力センサー24に加わる力Fと、力Fの基準値である第1、第2基準値R、Gと、を比較し、比較結果に基づいてワークWの把持姿勢P2を補正する補正ステップS22と、を実行する。このようなロボットシステム1によれば、力センサー24が受ける力Fに基づいてワークWの把持姿勢P2を補正するため、カメラを用いた従来の方法のように、使用環境の制限を受け難く、どのような環境においても精度よくワークWの把持姿勢P2を補正することができる。
【0060】
また、前述したように、ロボット2は、先端部にエンドエフェクター23が装着されるロボットアーム22を有し、力センサー24は、エンドエフェクター23とロボットアーム22との間に配置されている。これにより、力センサー24によってエンドエフェクター23に加わる力を精度よく検出することができる。
【0061】
<第2実施形態>
図13は、第2実施形態に係る把持姿勢の補正方法を示すフローチャートである。図14および図15は、それぞれ、把持姿勢の補正方法を示す図である。
【0062】
本実施形態に係るロボットシステム1は、補正ステップS22における把持姿勢P2の補正方法が異なること以外は、前述した第1実施形態のロボットシステム1と同様である。なお、以下の説明では、本実施形態のロボットシステム1に関し、前述した第1実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項に関してはその説明を省略する。また、本実施形態の図では、前述した実施形態と同様の構成について、同一符号を付している。
【0063】
図13に示すように、本実施形態の補正ステップS22では、制御装置3は、持ち上げステップS21終了後に力センサー24に加わる力Fと第2基準値Gとを比較して、ワークWの把持姿勢P2の補正要否を判定する。具体的には、並進力Fxと第2基準値Gfxとを比較し、並進力Fyと第2基準値Gfyとを比較し、並進力Fzと第2基準値Gfzとを比較し、トルクTxと第2基準値Gtxとを比較し、トルクTyと第2基準値Gtyとを比較し、トルクTzと第2基準値Gtzとを比較する。そして、これら並進力Fx、Fy、FzおよびトルクTx、Ty、Tzの全てが第2閾値Q2の範囲内であれば、ワークWの把持姿勢P2を補正する必要がないと判定する。これに対して、並進力Fx、Fy、FzおよびトルクTx、Ty、Tzの少なくとも1つが第2閾値Q2の範囲外かつ第3閾値Q3の範囲内であれば、ワークWの把持姿勢P2を補正する必要があると判定する。また、並進力Fx、Fy、FzおよびトルクTx、Ty、Tzの少なくとも1つが第3閾値Q3の範囲外であれば、作業ステップS2を終了する。
【0064】
制御装置3は、上記比較の結果、ワークWの実際の把持姿勢P2を補正する必要があると判定した場合には、ロボット2の駆動を制御してワークWの向きを変化させることで把持姿勢P2を補正する。本実施形態では、図14に示すように、目標把持姿勢P1と平行な基準面Bp1を備えるステージBがロボット2の可動範囲内に配置されており、図15に示すように、ワークWを基準面Bp1に倣わせることで把持姿勢P2を補正する。このような方法によっても、把持姿勢P2を容易に補正することができる。
【0065】
以上のように、本実施形態の補正ステップS22では、ワークWを基準面Bp1に倣わせることで把持姿勢P2を補正する。このような方法によっても、把持姿勢P2を容易に補正することができる。
【0066】
このような第2実施形態によっても、前述した第1実施形態と同様の効果を発揮することができる。
【0067】
以上、本発明のロボットシステムの制御方法およびロボットシステムを図示の実施形態について説明したが、本発明は、これに限定されるものではない。また、本発明のロボットシステムの制御方法およびロボットシステムは、同様の機能を発揮し得る任意の工程と置換することができる。また、各実施形態を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0068】
1…ロボットシステム、2…ロボット、21…基台、22…ロボットアーム、221…アーム、222…アーム、223…アーム、224…アーム、225…アーム、226…アーム、23…エンドエフェクター、231…基部、232…爪部、233…爪部、234…駆動機構、24…力センサー、3…制御装置、B…ステージ、Bp1…基準面、E…エンコーダー、F…力、Fx…並進力、Fy…並進力、Fz…並進力、G…第2基準値、Gfx…第2基準値、Gfy…第2基準値、Gfz…第2基準値、Gtx…第2基準値、Gty…第2基準値、Gtz…第2基準値、J1…関節、J2…関節、J3…関節、J4…関節、J5…関節、J6…関節、M…モーター、P1…目標把持姿勢、P2…把持姿勢、Qfx1…第1閾値、Qfx2…第2閾値、Qfx3…第3閾値、Qfy1…第1閾値、Qfy2…第2閾値、Qfy3…第3閾値、Qfz1…第1閾値、Qfz2…第2閾値、Qfz3…第3閾値、Qtx1…第1閾値、Qtx2…第2閾値、Qtx3…第3閾値、Qty1…第1閾値、Qty2…第2閾値、Qty3…第3閾値、Qtz1…第1閾値、Qtz2…第2閾値、Qtz3…第3閾値、R…第1基準値、Rfx…第1基準値、Rfy…第1基準値、Rfz…第1基準値、Rtx…第1基準値、Rty…第1基準値、Rtz…第1基準値、S1…準備ステップ、S11…持ち上げステップ、S12…力検出ステップ、S13…作成ステップ、S2…作業ステップ、S21…持ち上げステップ、S22…補正ステップ、S23…次動作ステップ、T…減速機、TCP…ツールセンターポイント、Tx…トルク、Ty…トルク、Tz…トルク、W…ワーク
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