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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024027865
(43)【公開日】2024-03-01
(54)【発明の名称】表示装置
(51)【国際特許分類】
   G09G 3/20 20060101AFI20240222BHJP
   G09G 3/3208 20160101ALI20240222BHJP
【FI】
G09G3/20 641E
G09G3/3208
G09G3/20 611D
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022131030
(22)【出願日】2022-08-19
(71)【出願人】
【識別番号】502356528
【氏名又は名称】株式会社ジャパンディスプレイ
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】原田 勉
(72)【発明者】
【氏名】冨沢 一成
【テーマコード(参考)】
5C080
5C380
【Fターム(参考)】
5C080AA06
5C080AA07
5C080BB05
5C080CC03
5C080DD10
5C080EE19
5C080EE29
5C080HH09
5C080HH13
5C080JJ02
5C080JJ04
5C080JJ05
5C380AA01
5C380AA02
5C380AA03
5C380AB34
5C380BB08
5C380BE14
5C380CA08
5C380CB01
5C380DA09
5C380DA13
5C380EA02
(57)【要約】
【課題】カラーブレイクの発生をより抑制できる表示装置を提供すること。
【解決手段】表示装置1は、画素Pに含まれる複数の発光素子21と、画素Pの階調値に基づいて、フレーム期間Fに含まれる複数のサブフレーム期間SFそれぞれを、発光素子21の発光期間および発光素子21の非発光期間の一方に定め、発光素子21の発光を制御する制御回路30と、を備え、複数のサブフレーム期間SFのうち所定のサブフレーム期間SFt以降のサブフレーム期間SFにおいて発光期間であるサブフレーム期間SFより先頭側に非発光期間であるサブフレーム期間SFを有するフレーム期間Fに対応する第1排除階調値に、画素Pの階調値が相当する場合、制御回路30は、画素Pの階調値を、所定のサブフレーム期間SFtが発光期間であり、かつ、発光期間であるサブフレーム期間SFが連続して並ぶフレーム期間Fに対応する特定階調値に変更する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
画素に含まれる複数の発光素子と、
前記画素の階調値に基づいて、フレーム画像が表示されるフレーム期間に含まれる複数のサブフレーム期間それぞれを、前記発光素子が発光状態となる発光期間および前記発光素子が非発光状態となる非発光期間の一方に定め、前記発光素子の発光を制御する制御回路と、を備え、
複数の前記サブフレーム期間は、前記フレーム期間の先頭から連続して並んでおり、
複数の前記サブフレーム期間のうち予め定められている所定のサブフレーム期間以降の前記サブフレーム期間において前記発光期間である前記サブフレーム期間より先頭側に前記非発光期間である前記サブフレーム期間を有する前記フレーム期間に対応する第1排除階調値に、前記画素の階調値が相当する場合、
前記制御回路は、前記画素の階調値を、前記所定のサブフレーム期間が前記発光期間であり、かつ、前記発光期間である前記サブフレーム期間が連続して並ぶ前記フレーム期間に対応する特定階調値に変更する、
表示装置。
【請求項2】
前記所定のサブフレーム期間が前記発光期間であり、かつ、前記所定のサブフレーム期間と、複数の前記サブフレーム期間のうち前記所定のサブフレーム期間より先頭側にある前記発光期間である前記サブフレーム期間との間に前記非発光期間である前記サブフレーム期間を有する前記フレーム期間に対応する第2排除階調値に、前記画素の階調値が相当する場合、
前記制御回路は、前記画素の階調値を前記特定階調値に変更する、
請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記所定のサブフレーム期間は、複数の前記サブフレーム期間のうち前記フレーム期間の前半にある前記サブフレーム期間に相当する、
請求項1に記載の表示装置。
【請求項4】
複数の前記サブフレーム期間の個数は、8であり、
前記所定のサブフレーム期間は、先頭から3つ目の前記サブフレーム期間である、
請求項3に記載の表示装置。
【請求項5】
複数の前記サブフレーム期間は、先頭から期間が短い順に連続して並んでおり、
複数の前記サブフレーム期間において、互いに隣接する2つの前記サブフレーム期間の比は、2である、
請求項1に記載の表示装置。
【請求項6】
複数の前記サブフレーム期間は、互いに同じ期間である2以上の前記サブフレーム期間を有する、
請求項1に記載の表示装置。
【請求項7】
互いに同じ期間である2以上の前記サブフレーム期間は、複数の前記サブフレーム期間のうち最長の期間を有する、
請求項6に記載の表示装置。
【請求項8】
複数の前記サブフレーム期間は、先頭から期間が短い順に連続して並んでおり、
複数の前記サブフレーム期間のうち互いに同じ期間である2以上の前記サブフレーム期間以外の前記サブフレーム期間において、互いに隣接する2つの前記サブフレーム期間の比は、2である、
請求項7に記載の表示装置。
【請求項9】
複数の前記サブフレーム期間のうち互いに同じ期間である2以上の前記サブフレーム期間以外の前記サブフレーム期間の比は、1:2:4:8:16:32であり、
先頭の前記サブフレーム期間と、互いに同じ期間である2以上の前記サブフレーム期間の合計の比は、1:192である、
請求項8に記載の表示装置。
【請求項10】
前記制御回路は、前記画素の階調値が前記第1排除階調値に相当する場合、前記画素の階調値を、前記画素の階調値との差が最も小さい前記特定階調値に変更する、
請求項1に記載の表示装置。
【請求項11】
前記制御回路は、前記画素の階調値が前記第1排除階調値に相当する場合、前記画素の階調値を、前記画素の階調値より小さい前記特定階調値のうち最大の前記特定階調値に変更する、
請求項1に記載の表示装置。
【請求項12】
前記制御回路は、前記第1排除階調値と変更後の前記画素の階調値との差を、前記第1排除階調値に対応する前記画素と隣接する他の前記画素の階調値に加算する、
請求項1に記載の表示装置。
【請求項13】
複数の前記発光素子は、赤の発光素子、緑の発光素子、および、青の発光素子を有している、
請求項1に記載の表示装置。
【請求項14】
前記発光素子は、無機発光素子、または、有機発光素子である、
請求項1に記載の表示装置。
【請求項15】
画素に含まれる複数の発光素子と、
前記画素の階調値に基づいて、フレーム画像が表示されるフレーム期間に含まれる複数のサブフレーム期間それぞれを、前記発光素子が発光状態となる発光期間および前記発光素子が非発光状態となる非発光期間の一方に定め、前記発光素子の発光を制御する制御回路と、を備え、
複数の前記サブフレーム期間は、前記フレーム期間の先頭から連続して並んでおり、
前記発光期間である2つの前記サブフレーム期間の間に前記非発光期間である前記サブフレーム期間を有する前記フレーム期間に対応する階調値に、前記画素の階調値が相当する場合、
前記制御回路は、前記画素の階調値を、前記発光期間である前記サブフレーム期間が連続して並ぶ前記フレーム期間に対応する階調値に変更する、
表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、画像を表示する1フィールド期間を複数のサブフィールドで分割し、複数のサブフィールドごとに1画素に対応する放電セルの発光および非発光を定めることで、中間の階調を表現するプラズマディスプレイ装置が開示されている。複数のサブフィールドは、1フィールド期間の先頭から発光期間が短い順に連続して並んでいる。
【0003】
このような複数のサブフィールドを用いて中間の階調を表現する方法では、いわゆる動画偽輪郭(カラーブレイク)が発生し、画像の劣化が生じることがある。そこで、特許文献1のプラズマディスプレイ装置では、発光期間が重み付けされた複数のサブフィールドから構成される第1のサブフィールド群、および、所定の発光期間に定められた複数のサブフィールドから構成される第2のサブフィールド群から1フィールド期間が構成されており、画素レベル値(階調値)に対応するサブフィールド群を用いて放電セルの発光を制御している。これにより、カラーブレイクの発生を抑制している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002-351386号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
表示装置において、カラーブレイクの発生をより抑制したい要望がある。
【0006】
本開示は、上記の課題に鑑みてなされたもので、カラーブレイクの発生をより抑制できる表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様による表示装置は、画素に含まれる複数の発光素子と、前記画素の階調値に基づいて、フレーム画像が表示されるフレーム期間に含まれる複数のサブフレーム期間それぞれを、前記発光素子が発光状態となる発光期間および前記発光素子が非発光状態となる非発光期間の一方に定め、前記発光素子の発光を制御する制御回路と、を備え、複数の前記サブフレーム期間は、前記フレーム期間の先頭から連続して並んでおり、複数の前記サブフレーム期間のうち予め定められている所定のサブフレーム期間以降の前記サブフレーム期間において前記発光期間である前記サブフレーム期間より先頭側に前記非発光期間である前記サブフレーム期間を有する前記フレーム期間に対応する第1排除階調値に、前記画素の階調値が相当する場合、前記制御回路は、前記画素の階調値を、前記所定のサブフレーム期間が前記発光期間であり、かつ、前記発光期間である前記サブフレーム期間が連続して並ぶ前記フレーム期間に対応する特定階調値に変更する。
【0008】
また、本開示の一態様による表示装置は、画素に含まれる複数の発光素子と、前記画素の階調値に基づいて、フレーム画像が表示されるフレーム期間に含まれる複数のサブフレーム期間それぞれを、前記発光素子が発光状態となる発光期間および前記発光素子が非発光状態となる非発光期間の一方に定め、前記発光素子の発光を制御する制御回路と、を備え、複数の前記サブフレーム期間は、前記フレーム期間の先頭から連続して並んでおり、前記発光期間である2つの前記サブフレーム期間の間に前記非発光期間である前記サブフレーム期間を有する前記フレーム期間に対応する階調値に、前記画素の階調値が相当する場合、前記制御回路は、前記画素の階調値を、前記発光期間である前記サブフレーム期間が連続して並ぶ前記フレーム期間に対応する階調値に変更する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、表示装置の構成を示す模式図である。
図2図2は、画素駆動回路の構成を示すブロック図である。
図3図3は、フレーム期間を示す図である。
図4図4は、画像処理回路のブロック図である。
図5図5は、1つの画素に黄色が表示される場合におけるフレーム期間あたりの発光素子の発光期間と発光強度との関係を示す図である。
図6図6は、視聴者が視線を動かしておらず、1つの画素に黄色が表示される場合において、フレーム期間あたりの発光期間と視聴者の網膜上の位置との関係、並びに、光の強度と網膜上の位置との関係を示す図である。
図7図7は、視聴者が視線を動かしており、1つの画素に黄色が表示される場合において、フレーム期間あたりの発光期間と視聴者の網膜上の位置との関係、並びに、光の強度と網膜上の位置との関係を示す図である。
図8図8は、特定階調値を示すテーブルである。
図9図9は、誤差拡散演算部が実行する誤差値の振り分けを示す図である。
図10図10は、実施形態の変形例に係るフレーム期間を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本開示の各実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。以下の実施形態に記載した内容により本開示が限定されるものではない。また、以下に記載した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものが含まれる。さらに、以下に記載した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。
【0011】
なお、開示はあくまで一例にすぎず、当業者において、本開示の主旨を保っての適宜変更について容易に想到し得るものについては、当然に本開示の範囲に含有されるものである。また、図面は説明をより明確にするため、実際の態様に比べ、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本開示の解釈を限定するものではない。また、本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には、同一の符号を付して、詳細な説明を適宜省略することがある。
【0012】
図面で示すX方向およびY方向は、表示装置1に含まれる基板10の主面10aに平行な方向に相当する。X方向の+X側、-X側、Y方向の+Y側、-Y側は、表示装置1の側方に相当する。また、基板10の主面10a側は、表示装置1の前面側に相当する。なお、X,Yの方向は一例であって、本開示はこれらの方向に限定されない。
【0013】
図1は、表示装置1の構成を示す模式図である。表示装置1は、外部装置(不図示)から出力される後述する画素信号に基づいて表示領域DAにフレーム画像を表示する表示パネルである。表示領域DAは、表示パネルの前面にある。1つのフレーム画像は、動画に含まれる静止画である。表示装置1は、基板10、複数の画素駆動回路20、および、制御回路30を備える。
【0014】
複数の画素駆動回路20は、平面視で表示領域DAと重なり、基板10の主面10aにX方向およびY方向に沿って行列状に配置されている。
【0015】
図2は、画素駆動回路20の構成を示すブロック図である。複数の画素駆動回路20は、複数の発光素子21および素子駆動回路22を備える。フレーム画像の画素Pは、複数の発光素子21を含む。
【0016】
発光素子21は、発光ダイオード(LED:Light Emitting Diode)であり、無機材料の発光層を有する無機発光素子(無機発光ダイオード)である。また、発光素子21の大きさは、平面視で、3μm以上、300μm以下程度ある。すなわち、発光素子21は、いわゆるマイクロLEDである。なお、発光素子21は、有機材料の発光層を有する有機発光素子(有機発光ダイオード)でもよく、発光素子21の大きさは、上記の大きさより小さくても大きくてもよい。また、発光素子21は、上記のものに限定されないことは言うまでもなく、発光タイミングを制御可能な自己発光可能な光源であればよい。
【0017】
複数の発光素子21の各々は、赤(R)の光を発する赤の発光素子である第1発光素子21aと、緑(G)の光を発する緑の発光素子である第2発光素子21bと、青(B)の光を発する青の発光素子である第3発光素子21cとを有する。なお、発光素子21が発する色が上記のように限定されないことは言うまでもない。また、第1発光素子21a、第2発光素子21bおよび第3発光素子21cを区別することなく説明するときは、単に「発光素子21」と称する。
【0018】
第1発光素子21a、第2発光素子21b、および、第3発光素子21cは、-X側から+X側に向けてX方向に沿って配置されている。
【0019】
素子駆動回路22は、発光素子21を駆動する。後述する階調データに基づいて素子駆動回路22が発光素子21を駆動することで、発光素子21の発光状態が制御され、画素Pの階調が調節される。階調データは、画素Pの階調値を示すデータであり、10進数で示される階調値を2進数で示したものである。階調データは、後述するように、フレーム画像が表示されるフレーム期間Fにおいて、発光素子21が発光するタイミングを特定するデータである。
【0020】
図3は、フレーム期間Fを示す図である。フレーム期間Fは、書き込み期間W、および、複数のサブフレーム期間SFを含む。書き込み期間Wは、階調データが素子駆動回路22に書き込まれる期間である。
【0021】
サブフレーム期間SFの個数は、階調データのビット数と等しい。以下、階調データのビット数が8ビットであり、サブフレーム期間SFの個数が8である場合について説明する。なお、階調データのビット数が8である場合、画素Pの階調は、階調値が0から255までの256段階で表現することができる。
【0022】
フレーム期間Fは、書き込み期間W、第1サブフレーム期間SF1、第2サブフレーム期間SF2、第3サブフレーム期間SF3、第4サブフレーム期間SF4、第5サブフレーム期間SF5、第6サブフレーム期間SF6、第7サブフレーム期間SF7、および、第8サブフレーム期間SF8を有し、先頭からこの順に連続して並んでいる。
【0023】
また、複数のサブフレーム期間SFは、先頭から期間が短い順にならんでおり、複数のサブフレーム期間SFにおいて、互いに隣接する2つのサブフレーム期間SFの比は、2である。具体的には、第1サブフレーム期間SF1、第2サブフレーム期間SF2、第3サブフレーム期間SF3、第4サブフレーム期間SF4、第5サブフレーム期間SF5、第6サブフレーム期間SF6、第7サブフレーム期間SF7、および、第8サブフレーム期間SF8の比は、1:2:4:8:16:32:64:128である。つまり、複数のサブフレーム期間SFに対して、公比が「2」の等比数列を用いたいわゆるバイナリの重み付けが行われている。なお、図3に示すサブフレーム期間SFの符号近傍のかっこ内の値は、上記の比すなわち重み付けの値を示す。
【0024】
階調データは、フレーム期間Fにおいて、複数のサブフレーム期間SF毎に発光素子21を発光させるか否かを特定する。階調データは、上記のようにビット数が8ビットのデータであり、階調データにおいて、「1」は発光素子21の発光状態を示し、「0」(ゼロ)は発光素子21の非発光状態を示す。また、階調データにおいて、nビット目の値は、第nサブフレーム期間SFに対応する(nは、1から8までの自然数)。例えば、階調データにおいて、1ビット目は第1サブフレーム期間SF1に対応し、5ビット目は第5サブフレーム期間SF5に対応する。
【0025】
具体的には、階調データが「01111111」(階調値:127)である場合、1ビット目から7ビット目までが「1」であり、8ビット目が「0」である。よって、この場合、第1サブフレーム期間SF1から第7サブフレーム期間SF7までの全てのサブフレーム期間SFでは発光素子21が発光状態であり、第8サブフレーム期間SF8では発光素子21が非発光状態である。
【0026】
また、階調データが「10000000」(階調値:128)である場合、1ビット目から7ビット目までは「0」であり、8ビット目が「1」である。よって、この場合、第1サブフレーム期間SF1から第7サブフレーム期間SF7までの全てのサブフレーム期間SFでは発光素子21が非発光状態であり、第8サブフレーム期間SF8では発光素子21が発光状態である。複数の発光素子21は、互いに等しい輝度(発光強度)で発光する。
【0027】
階調データに基づいて素子駆動回路22が発光素子21を駆動することで、上記のように複数のサブフレーム期間SF毎に発光素子21の発光状態が制御され、フレーム期間Fあたりの階調が調節される。そして、1つの画素駆動回路20において複数の発光素子21毎に発光素子21の発光状態が制御されることで、その画素駆動回路20に対応する画素Pの色および階調が調節される。さらに、複数の画素駆動回路20それぞれにおいて対応する複数の画素Pの色および階調が調節されることで、表示領域DAにフレーム画像が表示される。すなわち、1つのフレーム期間Fにおいて、合計の発光期間が階調に対応する。
【0028】
図1に示す制御回路30は、素子駆動回路22ひいては発光素子21の発光を制御する。制御回路30は、画像処理回路31、信号出力回路32、および、走査回路33を備える。
【0029】
画像処理回路31は、フレーム画像に対応する画素信号を取得し、画素信号に基づいて上記の階調データを有する駆動信号を生成し、信号出力回路32に送信する(詳細は後述する)。また、画像処理回路31は、信号出力回路32の動作と走査回路33の動作とを同期させるクロック信号を信号出力回路32および走査回路33に出力する。
【0030】
信号出力回路32は、複数の信号線Lsを介して複数の画素駆動回路20と電気的に接続されている。複数の信号線Lsは、Y方向に沿って延びており、X方向に沿って並ぶ。1つの信号線Lsは、Y方向に沿って並ぶ複数の画素駆動回路20で共有されている。信号出力回路32は、上記の階調データを有する駆動信号を画素駆動回路20に出力する。
【0031】
走査回路33は、複数の走査線Ldを介して複数の画素駆動回路20と電気的に接続されている。複数の走査線Ldは、X方向に沿って延びており、Y方向に沿って並べられている。1つの走査線Ldは、X方向に沿って並ぶ複数の画素駆動回路20で共有される。走査回路33は、信号出力回路32の駆動信号の出力と同期して、複数の画素駆動回路20を走査する。
【0032】
図4は、画像処理回路31のブロック図である。画像処理回路31は、記憶部31a、階調値処理部31b、誤差拡散演算部31c、および、駆動信号生成部31dを有する。
【0033】
記憶部31aには、次に説明するカラーブレイクを抑制することができる階調値である特定階調値を示すテーブルが格納されている。
【0034】
カラーブレイクは、表示装置1の視聴者が視線を移動させたときにフレーム画像の輪郭がぶれてフレーム画像が劣化することである。以下、カラーブレイクの具体例について、1つの画素Pに黄色が表示される場合を説明する。
【0035】
図5は、1つの画素Pに黄色が表示される場合におけるフレーム期間Fあたりの発光素子21の発光期間と発光強度との関係を示す図である。1つの画素Pに黄色が表示される場合、階調データの一例は、第1発光素子21aに対応する赤(R)の階調データが「01111111」(階調値:127)であり、第2発光素子21bに対応する緑(G)の階調データが「10000000」(階調値:128)であり、第3発光素子21cに対応する青(B)の階調データが「00000000」(階調値:0)である。また、発光素子21の発光強度は、複数の発光素子21の間で互いに等しく、フレーム期間Fにおいて一定である。
【0036】
つまり、赤の第1発光素子21aにおいて、第1サブフレーム期間SF1から第7サブフレーム期間SF7までが発光期間であり、発光強度が「a」で一定であり、第8サブフレーム期間SF8が非発光期間である。また、緑の第2発光素子21bにおいて、第1サブフレーム期間SF1から第7サブフレーム期間SF7までが非発光期間であり、第8サブフレーム期間SF8が発光期間であり、発光強度が「a」で一定である。なお、青の第3発光素子21cでは、第1サブフレーム期間SF1から第8サブフレーム期間SF8までが非発光期間であり、図示省略されている。
【0037】
このように、1つの画素Pにおけるフレーム期間Fにおいて、前半で赤の第1発光素子21aが発光状態となり、後半で緑の第2発光素子21bが発光状態となり、第1発光素子21aと第2発光素子21bとで発光期間が重なっていない。
【0038】
まず、視聴者が視線を動かしておらず、カラーブレイクが発生しない状態について説明する。図6は、視聴者が視線を動かしておらず、1つの画素Pに黄色が表示される場合において、フレーム期間Fあたりの発光期間と視聴者の網膜上の位置との関係、並びに、光の強度と網膜上の位置との関係を示す図である。
【0039】
図6の上側に示すように、フレーム期間Fの前半で赤の第1発光素子21aが発光状態となり、フレーム期間Fの後半で緑の第2発光素子21bが発光状態となる。また、視聴者が視線を動かしていない場合、赤の第1発光素子21aの発光期間および緑の第2発光素子21bの発光期間それぞれに対応する網膜上の位置は、互いに同じである。よって、この場合、図6の下側に示すように、赤の第1発光素子21aが発する光と緑の第2発光素子21bが発する光とが網膜上で重なり(点p1と点p2との間)、視聴者は1つの画素Pの色を黄色と視認する。つまり、カラーブレイクは発生していない。
【0040】
次に、視聴者が視線を動かすことで、カラーブレイクが発生する場合について説明する。図7は、視聴者が視線を動かしており、1つの画素Pに黄色が表示される場合において、フレーム期間Fあたりの発光期間と視聴者の網膜上の位置との関係、並びに、光の強度と網膜上の位置との関係を示す図である。図7では、視聴者は、-X側から+X側に向けてX方向に沿って視線を動かしている。
【0041】
上記のように、フレーム期間Fの前半で赤の第1発光素子21aが発光状態となり、フレーム期間Fの後半で緑の第2発光素子21bが発光状態となる。また、素子駆動回路22において-X側から+X側に向けてX方向に沿って赤の第1発光素子21aおよび緑の第2発光素子21bが並んでいる。よって、視聴者が-X側から+X側に向けてX方向に沿って視線を動かすと、図7の上側に示すように、まず、赤の第1発光素子21aの発光期間のみが網膜上に位置に対応する。続けて、赤の第1発光素子21aの発光期間および緑の第2発光素子21bの発光期間の両方が網膜上の位置に対応し、その後、緑の第2発光素子21bの発光期間のみが網膜上の位置に対応する。
【0042】
したがって、視聴者が-X側から+X側に向けてX方向に沿って視線を動かすと、図7の下側に示すように、まず、赤の第1発光素子21aが発する光のみが網膜上に位置する(点g1と点g2との間)。続けて、赤の第1発光素子21aが発する光と緑の第2発光素子21bが発する光とが網膜上で重なり(点g2と点g3との間)、さらに、緑の第2発光素子21bが発する光のみが網膜上に位置する(点g3と点g4との間)。つまり、フレーム期間Fにおいて、視聴者は、その画素Pの色を赤、黄、および、緑の順に視認する。つまり、視線が移動することで、所望の色(黄)と異なる色(赤および緑)を視聴者が視認し、フレーム画像の輪郭がぶれてフレーム画像が劣化するカラーブレイクが発生する。
【0043】
このように、図5,6,7に示すように複数の発光素子21の発光期間がフレーム期間Fで重なっていないと、または、重なりが比較的少ないと、発光素子21の光が単独で視認されやすく、カラーブレイクは比較的発生しやすい。
【0044】
また、比較的長いサブフレーム期間SFが非発光期間であり、かつ、その非発光期間であるサブフレーム期間SFが発光期間であるサブフレーム期間SFに挟まれる(つまり、発光期間が不連続となる)と、カラーブレイクは比較的発生しやすい。
【0045】
具体的には、赤の第1発光素子21aに対応する階調データが「10011111」(階調値:159)であり、期間が比較的長い第6,7サブフレーム期間SFが非発光期間であり、かつ、第5,8サブフレーム期間SFが発光期間である場合に、緑の第2発光素子21bに対応する階調データが「11111111」(階調値:255)であり、第5,6,7,8サブフレーム期間SFが発光期間であると、第1発光素子21aの非発光期間に発光期間である第2発光素子21bの色が単独で視認されやすく、カラーブレイクが発生しやすい。
【0046】
そこで、本実施形態の表示装置1では、発光期間が不連続となる場合において比較的長いサブフレーム期間SFが非発光期間となることを抑制し、さらに、発光期間をフレーム期間Fの先頭側に寄せることで、フレーム期間Fにおいて、複数の発光素子21の発光期間が重なるようにする。
【0047】
具体的には、制御回路30は、次に説明する特定階調値を用いて画素Pの階調を調節する。特定階調値は、複数のサブフレーム期間SFがすべて非発光期間である階調値(0)を含む。また、特定階調値は、2以上のサブフレーム期間SFが発光期間となる場合に発光期間が不連続となることがない、つまり、発光期間が連続している階調値を含む。
【0048】
また、特定階調値は、予め定められている所定のサブフレーム期間SFt以前の複数のサブフレーム期間SFのうち1つのサブフレーム期間SFのみが発光期間となる階調値を含む。そして、特定階調値は、所定のサブフレーム期間SFtのみが発光期間となる階調値より大きい階調値のうち、所定のサブフレーム期間SFtが発光期間であり、かつ、発光期間であるサブフレーム期間SFが連続して並ぶフレーム期間Fに対応する階調値を含む。特定階調値の具体例は、後述する。
【0049】
所定のサブフレーム期間SFtは、カラーブレイクが発生しにくいような、比較的短期間のサブフレーム期間SFとされる。所定のサブフレーム期間SFは予め実験等を行い決められている。具体的には、所定のサブフレーム期間SFtは、複数のサブフレーム期間SFのうちフレーム期間Fの前半にあるサブフレーム期間SFに相当する。本実施形態においては、複数のサブフレーム期間SFの個数は、8であり、所定のサブフレーム期間SFtは、先頭側から3つ目の第3サブフレーム期間SF3である。なお、所定のサブフレーム期間SFtがフレーム期間Fの前半にあるサブフレーム期間SFに限定されないこと、および、所定のサブフレーム期間SFtが第3サブフレーム期間SF3に限定されないことは言うまでもない。
【0050】
図8は、特定階調値を示すテーブルである。図8では、欄中の「Y」は、対応するサブフレーム期間SFが発光期間であることを示す。また、欄中の「N」は、対応するサブフレーム期間SFが非発光期間であることを示す。つまり、欄中の「Y」および「N」は、特定階調値に対応する複数のサブフレーム期間SFが発光期間および非発光期間の一方に定められていることを示し、特定階調値に対応する階調データに対応している。具体的には、欄中の「Y」は階調データの「1」に対応しており、欄中の「N」は階調データの「0」(ゼロ)に対応している。
【0051】
図8に示すように、特定階調値は、複数のサブフレーム期間SFがすべて非発光期間である階調値(図8に示す「0」の特定階調値に相当)、および、複数のサブフレーム期間SFが2以上の発光期間を有する場合に発光期間が連続している階調値(図8に示す「3」、および、「6」以降の特定階調値に相当)を含む。また、特定階調値は、所定のサブフレーム期間SFt(本開示では第3サブフレーム期間SF3)以前の複数のサブフレーム期間SFのうち1つのサブフレーム期間SFのみが発光期間となる階調値(図8に示す「1」、「2」、「4」の特定階調値に相当)を含む。
【0052】
そして、特定階調値は、所定のサブフレーム期間SFtのみが発光期間となる階調値より大きい階調値のうち、次の条件(1)および条件(2)を満たす階調値を含む。条件(1)は、所定のサブフレーム期間SFtが発光期間であることである。条件(2)は、発光期間であるサブフレーム期間SFが連続して並んでいることである。条件(1),(2)を満たす特定階調値は、図8に示す「6」以降の特定階調値に相当する。
【0053】
図8に示すテーブルは、記憶部31aに予め格納されている。制御回路30は、図8に示す22個の特定階調値に基づいて、以下の説明するように階調データを有する駆動信号を生成する。
【0054】
図4に示す階調値処理部31bは、画素信号が有する画素Pの階調値、および、誤差拡散演算部31cによって演算された後述する誤差値を取得し、画素Pの階調値に、その画素Pに対応する誤差値を加算する。
【0055】
画素Pの階調値は、第1発光素子21aに対応する階調値、第2発光素子21bに対応する階調値、および、第3発光素子21cに対応する階調値を有する。また、誤差値も第1発光素子21aに対応する誤差値、第2発光素子21bに対応する誤差値、および、第3発光素子21cに対応する誤差値を有する。
【0056】
階調値処理部31bは、第1発光素子21aに対応する階調値と誤差値とを加算し、第2発光素子21bに対応する階調値と誤差値とを加算し、第3発光素子21cに対応する階調値と誤差値とを加算する。つまり、階調値処理部31bは、画素Pに含まれる複数の発光素子21毎に、階調値の処理を行う。なお、複数の発光素子21毎に行われる階調値処理部31bによる階調値の処理は互いに同じであるため、以下では、階調値の処理について、複数の発光素子21毎に区別することなく、画素Pの階調値の処理として説明する。
【0057】
階調値処理部31bは、誤差値が加算された画素Pの階調値(以下、画素Pの加算階調値と称する。)が特定階調値と一致するか否かを判定する。なお、画素Pの加算階調値が小数である場合、階調値処理部31bは、画素Pの加算階調値の整数部分と特定階調値とを比較する。記憶部31aに格納されているテーブルにある特定階調値のいずれかと画素Pの加算階調値が一致する場合、階調値処理部31bは、その画素Pの加算階調値を駆動信号生成部31dに送信する。なお、この場合において画素Pの加算階調値が小数であるとき、階調値処理部31bは、加算階調値の整数部分のみを駆動信号生成部31dに送信し、加算階調値の小数部分を誤差拡散演算部31cに送信する。
【0058】
一方、記憶部31aに格納されているテーブルにある特定階調値のいずれかと画素Pの加算階調値が一致しない場合、階調値処理部31bは、その画素Pの加算階調値を特定階調値に変更する。
【0059】
特定階調値のいずれかと画素Pの加算階調値が一致しない場合とは、画素Pの加算階調値(加算階調値の整数部分)が第1排除階調値に相当する場合である。第1排除階調値とは、複数のサブフレーム期間SFのうち所定のサブフレーム期間SFt(第3サブフレーム期間SF3)以降のサブフレーム期間SFにおいて、発光期間であるサブフレーム期間SFより先頭側に非発光期間であるサブフレーム期間SFを有するフレーム期間Fに対応する階調値である。
【0060】
第1排除階調値は、例えば、「8」(階調データ:「00001000」)、「128」(階調データ:「10000000」)、「159」(階調データ:「10011111」、および、「192」(階調データ:「11000000」)などである。
【0061】
さらに、特定階調値のいずれかと画素Pの加算階調値が一致しない場合とは、第2排除階調値に、画素Pの加算階調値(加算階調値の整数部分)が相当する場合である。第2排除階調値とは、所定のサブフレーム期間SFt(第3サブフレーム期間SF3)が発光期間であり、かつ、所定のサブフレーム期間SFtと、複数のサブフレーム期間SFのうち所定のサブフレーム期間SFtより先頭側にある発光期間であるサブフレーム期間SFとの間に非発光期間であるサブフレーム期間SFを有するフレーム期間Fに対応する階調値である。
【0062】
第2排除階調値は、例えば、「5」(階調データ:「00000101」)、「13」(階調データ:「00001101」)、「29」(階調データ:「00011101」)、および、「61」(階調データ:「00111101」)、「125」(階調データ:「01111101」)などである。このように、第1排除階調値および第2排除階調値は、特定階調値に定められておらず、特定階調値と異なる階調値である。
【0063】
つまり、階調値処理部31bは、画素Pの加算階調値(加算階調値の整数部分)が第1排除階調値および第2排除階調値の一方と一致する場合、その画素Pの加算階調値を特定階調値に変更する。階調値処理部31bは、具体的には、その画素Pの加算階調値を、その画素Pの加算階調値(加算階調値の整数部分)より小さい特定階調値のうち最大の特定階調値に変更する。例えば、画素Pの加算階調値が「159」であり、第1排除階調値と一致する場合、階調値処理部31bは、画素Pの加算階調値を、「159」より小さい特定階調値のうち最大の特定階調値である「127」に変更する。
【0064】
図4に示す階調値処理部31bは、変更後の画素Pの加算階調値を駆動信号生成部31dに送信する。また、階調値処理部31bは、変更前の画素Pの加算階調値(加算階調値が小数である場合、小数部分を含む値)と変更後の画素Pの加算階調値との差を誤差拡散演算部31cに送信する。
【0065】
誤差拡散演算部31cは、変更前の画素Pの加算階調値と変更後の画素Pの加算階調値との差である誤差値を、他の画素Pに振り分ける。図9は、誤差拡散演算部31cが実行する誤差値の振り分けを示す図である。図9は、表示領域DAにおいて、画素Pが並んでいる状態を示している。
【0066】
図9において、ハッチングにて示す第1の画素P1に誤差値が生じた場合、誤差拡散演算部31cは、その誤差値を、第1の画素P1と互いに隣接する画素Pであり、かつ、第1の画素P1より後に駆動信号が処理される画素Pに振り分ける。本実施形態では、誤差拡散演算部31cにおいて、誤差値が振り分けられる画素Pは、次の4つの画素Pである。すなわち、4つの画素Pは、第1の画素P1の+X側にある第2の画素P2、第2の画素P2の+Y側にある第3の画素P3、第1の画素P1の+Y側にある第4の画素P4、および、第4の画素P4の-X側にある第5の画素P5である。
【0067】
また、誤差拡散演算部31cは、4つの画素Pに対して、振り分けの重み付けをする。具体的には、重み付けの比は、例えば、第2の画素P2:第3の画素P3:第4の画素P4:第5の画素P5=7:1:5:3であるが、これに限定されないことは言うまでもない。
【0068】
例えば、第1の画素P1の加算階調値が「159」であると、階調値処理部31bによって第1の画素P1の加算階調値が特定階調値である「127」に変更され、誤差値が「32」(=159-127)となる。この場合、誤差拡散演算部31cは、第2の画素P2に「14」、第3の画素P3に「2」、第4の画素P4に「10」、および、第5の画素P5に「6」を振り分ける。誤差拡散演算部31cは、振り分けた値を階調値処理部31bに送信する。
【0069】
また、この場合、階調値処理部31bは、第1の画素P1に続けて第2の画素P2に対して処理を行う際に、第2の画素P2に対応する誤差値「14」を、外部装置から送信される画素信号が有する第2の画素P2の階調値に加算し、上記の処理を実行する。
【0070】
このように、画素Pの加算階調値が第1排除階調値に相当する場合、制御回路30は、画素Pの加算階調値を、特定階調値に変更する。また、制御回路30は、画素Pの加算階調値が第1排除階調値に相当する場合、第1排除階調値と変更後の画素Pの加算階調値との差を、第1排除階調値に対応する画素Pと隣接する他の画素Pの階調値に加算する。
【0071】
また、発光期間である2つのサブフレーム期間SFの間に非発光期間であるサブフレーム期間SFを有するフレーム期間Fに対応する階調値に、画素Pの加算階調値が相当する場合、制御回路30は、画素Pの加算階調値を、発光期間であるサブフレーム期間SFが連続して並ぶフレーム期間Fに対応する階調値に変更している。
【0072】
上記の発光期間である2つのサブフレーム期間SFの間に非発光期間であるサブフレーム期間SFを有するフレーム期間Fに対応する階調値は、発光期間が不連続となる階調値であり、第1排除階調値および第2排除階調値に含まれる(例えば、第1排除階調値である「159」(階調データ:「10011111」)、および、第2排除階調値である「61」(階調データ:「00111101」)など)。
【0073】
また、上記の発光期間であるサブフレーム期間SFが連続して並ぶフレーム期間Fに対応する階調値は、特定階調値に含まれている。例えば、第2排除階調値である「61」に画素Pの加算階調値が相当する場合、制御回路30は、画素Pの加算階調値を、図8に示す特定階調値である「60」に変更する。
【0074】
図4に示す駆動信号生成部31dは、階調値処理部31bから送信される画素Pの加算階調値、および、変更後の画素Pの加算階調値の一方(以下、受信階調値を称する。)に基づいて、階調データを生成する。受信階調値は、特定階調値の何れか1つと一致する。駆動信号生成部31dは、受信階調値を2進数に変換することで、階調データを生成する。
【0075】
上記のように階調データにおいて、「1」は発光素子21の発光状態を示し、「0」は発光素子21の非発光状態を示す。また、階調データにおいて、nビット目の値は、第nサブフレーム期間SFに対応する。つまり、駆動信号生成部31dは、画素Pの階調値から算出される加算階調値に基づいて階調データを生成することで、フレーム画像が表示されるフレーム期間Fに含まれる複数のサブフレーム期間SFそれぞれを、発光素子21が発光状態となる発光期間および発光素子21が非発光状態となる非発光期間の一方に定める。
【0076】
そして、駆動信号生成部31dは、階調データを用いて駆動信号を生成し、駆動信号を信号出力回路32に送信する。なお、駆動信号生成部31dは、階調値処理部31bから送信される受信階調値を、2進数のデータとして受信してもよい。この場合、駆動信号生成部31dは、受信階調値を変換せずに階調データとして用いることで駆動信号を生成する。
【0077】
次に、表示装置1の動作について、第1の画素P1において、赤の第1発光素子21aに対応する加算階調値が「127」であり、緑の第2発光素子21bに対応する加算階調値が「128」であり、青の第3発光素子21cに対応する加算階調値が「0」である場合について説明する。なお、これらの加算階調値そのままで生成される階調データを有する駆動信号に基づいてフレーム画像が表示されると、上記のようにカラーブレイクが生じる。
【0078】
第1発光素子21aに対応する加算階調値「127」は、特定階調値と一致するため(図8)、階調値処理部31bは、第1発光素子21aに対応する加算階調値を変更せずに駆動信号生成部31dに送信する。
【0079】
また、第2発光素子21bに対応する加算階調値「128」は、第1排除階調値に相当し、特定階調値と一致しない(図8)。よって、階調値処理部31bは、第2発光素子21bに対応する加算階調値を、加算階調値「128」より小さい特定階調値のうち最大の特定階調値「127」に変更する。
【0080】
続けて、階調値処理部31bは、第2発光素子21bに対応する変更後の加算階調値「127」を駆動信号生成部31dに送信し、第2発光素子21bに対応する変更前の加算階調値「128」と変更後の加算階調値「127」との誤差値「1」を誤差拡散演算部31cに送信する。
【0081】
そして、第3発光素子21cに対応する加算階調値「0」は、特定階調値と一致するため(図8)、階調値処理部31bは、第3発光素子21cに対応する加算階調値を変更せずに駆動信号生成部31dに送信する。
【0082】
誤差拡散演算部31cは、第2発光素子21bに対応する誤差値「1」に基づいて、第2の画素P2に「7/16」、第3の画素P3に「1/16」、第4の画素P4に「5/16」、および、第5の画素P5に「3/16」を振り分ける。誤差拡散演算部31cは、振り分けた誤差値を階調値処理部31bに送信する。階調値処理部31bは、送信された第2発光素子21bに対応する誤差値を、その誤差値に対応する画素Pの階調値を処理する際に、その画素Pにおける第2発光素子21bに対応する階調値に加えることで、その画素Pにおける第2発光素子21bに対応する加算階調値を算出する。
【0083】
駆動信号生成部31dは、受信階調値に基づいて階調データを生成する。駆動信号生成部31dは、第1発光素子21aに対応する加算階調値「127」に基づいて、階調データ「01111111」を生成する。また、駆動信号生成部31dは、第2発光素子21bに対応する変更後の加算階調値「127」に基づいて、階調データ「01111111」を生成する。そして、駆動信号生成部31dは、第3発光素子21cに対応する加算階調値「0」に基づいて、階調データ「00000000」を生成する。
【0084】
さらに、駆動信号生成部31dは、これらの階調データを有する駆動信号を信号出力回路32に送信する。信号出力回路32は、駆動信号を、その駆動信号に対応する画素Pの素子駆動回路22に送信する。素子駆動回路22は、走査回路33によって走査されるタイミングで、駆動信号が有する階調データに基づいて、発光素子21を駆動する。
【0085】
第1発光素子21aに対応する階調データ「01111111」に基づいて、第1発光素子21aは、第1~第7サブフレーム期間SF1,SF2,SF3,SF4,SF5,SF6,SF7で連続して発光状態となり、第8サブフレーム期間SF8で非発光状態となる。また、第2発光素子21bに対応する階調データ「01111111」に基づいて、第2発光素子21bは、第1~第7サブフレーム期間SF1,SF2,SF3,SF4,SF5,SF6,SF7で連続して発光状態となり、第8サブフレーム期間SF8で非発光状態となる。そして、第3発光素子21cに対応する階調データ「00000000」に基づいて、第3発光素子21cは、第1~第8サブフレーム期間SF1,SF2,SF3,SF4,SF5,SF6,SF7,SF8で非発光状態となる。
【0086】
これにより、第1の画素P1において、第1発光素子21aの発光期間と第2発光素子21bの発光期間とは、第1~第7サブフレーム期間SF1,SF2,SF3,SF4,SF5,SF6,SF7で重なる。よって、視聴者の視線が移動した場合においても、発光素子21の光が単独で視認されること、ひいては、カラーブレイクが抑制され、画質の劣化を抑制することができる。
【0087】
また、画素Pに含まれる発光素子21に対応する加算階調値が変更され、誤差値が発生する場合においても、その誤差値が他の画素Pに振り分けられる。よって、画素Pの誤差値が他の画素Pによって補われることで、画質の劣化を抑制することができる。
【0088】
以上、本開示の好適な実施の形態を説明したが、本開示はこのような実施の形態に限定されるものではない。実施の形態で開示された内容はあくまで一例にすぎず、本開示の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。本開示の趣旨を逸脱しない範囲で行われた適宜の変更についても、当然に本開示の技術的範囲に属する。
【0089】
図10は、実施形態の変形例に係るフレーム期間Fを示す図である。図10に示すように、複数のサブフレーム期間SFの個数は、10である。変形例における複数のサブフレーム期間SFは、互いに同じ期間である2以上(本変形例では4)のサブフレーム期間SFを有する。
【0090】
また、互いに同じ期間である2以上のサブフレーム期間SFは、複数のサブフレーム期間SFのうち最長の期間を有する。本変形例において、互いに同じ期間である2以上のサブフレーム期間SFは、第7サブフレーム期間SF7、第8サブフレーム期間SF8、第9サブフレーム期間SF9、および、第10サブフレーム期間SF10である。
【0091】
さらに、本変形例において、複数のサブフレーム期間SFは、先頭から期間が短い順に連続して並んでおり、複数のサブフレーム期間SFのうち互いに同じ期間である2以上のサブフレーム期間SF以外のサブフレーム期間SFにおいて、互いに隣接する2つのサブフレーム期間SFの比は、2である。つまり、本変形例において、具体的には、第1サブフレーム期間SF1、第2サブフレーム期間SF2、第3サブフレーム期間SF3、第4サブフレーム期間SF4、第5サブフレーム期間SF5、および、第6サブフレーム期間SF6の比は、1:2:4:8:16:32である。つまり、第1~第6サブフレーム期間SF1,SF2,SF3,SF4,SF5,SF6において、公比が「2」の等比数列を用いたいわゆるバイナリの重み付けが行われている。
【0092】
そして、先頭のサブフレーム期間SFと、互いに同じ期間である2以上のサブフレーム期間SFの合計の比は、1:192である。つまり、本変形例において、第1サブフレーム期間SF1、および、第7サブフレーム期間SF7、第8サブフレーム期間SF8、第9サブフレーム期間SF9、および、第10サブフレーム期間SF10の合計の比は、1:192である。また、第1サブフレーム期間SF1、第7サブフレーム期間SF7、第8サブフレーム期間SF8、第9サブフレーム期間SF9、および、第10サブフレーム期間SF10の比は、1:48:48:48:48である。
【0093】
このように複数のサブフレーム期間SFが定められることで、図8に示す特定階調値に加えて、上記の実施形態で第1排除階調値に相当する階調値「111」、「159」、「207」を特定階調値に定めることができる。本変形例において、階調値「111」、「159」、「207」に対応する階調データは、それぞれ、「0001111111」「0011111111」、「0111111111」であり、第1サブフレーム期間SF1から発光期間が連続している。よって、階調値「111」、「159」、「207」においてもカラーブレイクを抑制することができる。なお、階調値「127」(階調データ:「0011011111」)は、上記の実施形態のフレーム期間Fでは特定階調値に該当するが、本変形例のフレーム期間Fでは特定階調値に該当しない。しかしながら、階調値「111」、「159」、「207」が本変形例では特定階調値に該当し、本変形例の特定階調値の総数は、上記の実施形態の特定階調値の総数より多くなる。よって、上記のように複数のサブフレーム期間SFの個数が8個である場合と比べて、特定階調値の個数が増加するため、画素Pの階調をより細かく表現することができる。
【0094】
なお、複数のサブフレーム期間SFが上記のように限定されないことは言うまでもない。例えば、複数のサブフレーム期間SFの個数をさらに増やして、複数のサブフレーム期間SFの個数を12個とし、第1サブフレーム期間SF1、第2サブフレーム期間SF2、第3サブフレーム期間SF3、第4サブフレーム期間SF4、および、第5サブフレーム期間SF5の比を、1:2:4:8:16とし、第1サブフレーム期間SF1と、第6~第12サブフレーム期間SF6,SF7,SF8,SF9,SF10,SF11,SF12それぞれとの比を、1:32:32:32:32:32:32:32としてもよい。また、複数のサブフレーム期間SFは、互いに隣接する2つのサブフレーム期間SFの比が2でなくてもよいし、先頭から期間が短い順に並んでいなくてもよい。
【0095】
また、第2排除階調値を特定階調値と定めてもよい。この場合、所定のサブフレーム期間SFt以前のサブフレーム期間SFにおいて発光期間が不連続となる場合があるが、所定のサブフレーム期間SFt以前のサブフレーム期間SFは、期間が比較的短いためカラーブレイクは抑制される。
【0096】
また、階調値処理部31bは、画素Pの加算階調値が第1排除階調値に相当する場合、画素Pの加算階調値を、その画素Pの加算階調値との差が最も小さい特定階調値に変更してもよい。例えば、画素Pの加算階調値が「25」である場合、画素Pの加算階調値より小さい特定階調値のうち最も大きい特定階調値である「15」ではなく、その画素Pの加算階調値「25」との差が最も小さい加算階調値である「28」としてもよい。なお、この場合、誤差値「-3」(=25-28)が他の画素Pに振り分けられる。
【0097】
また、階調値処理部31bは、画素Pの加算階調値の整数部分および小数部分を含めた値と特定階調値とが一致するか否かを判定してもよい。画素Pの加算階調値が小数である場合、整数である特定階調値と一致しない。よって、階調値処理部31bは、画素Pの加算階調値を特定階調値に変更し、変更後の画素Pの加算階調値と、変更前の画素Pの加算階調値との差を誤差拡散演算部31cに送信する。
【0098】
また、制御回路30は、誤差拡散を実行しなくてもよい。この場合、画像処理回路31は、誤差拡散演算部31cを備えない。そして、階調値処理部31bは、画素信号が有する画素Pの階調値に誤差値を加算せずに、画素Pの階調値が特定階調値に一致するか否か、すなわち、画素Pの階調値が第1排除階調値および第2排除階調値の一方に一致するか否かを判定する。
【0099】
また、実施形態等において述べた態様によりもたらされる他の作用効果について本明細書記載から明らかなもの、又は当業者において適宜想到し得るものについては、当然に本開示によりもたらされるものと解される。
【符号の説明】
【0100】
1 表示装置
21 発光素子
30 制御回路
DA 表示領域
F フレーム期間
P 画素
SF サブフレーム期間
SF3 第3サブフレーム期間
SFt サブフレーム期間
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10