(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024027867
(43)【公開日】2024-03-01
(54)【発明の名称】オシロスコープ
(51)【国際特許分類】
G06F 3/0488 20220101AFI20240222BHJP
G01R 13/20 20060101ALI20240222BHJP
G06F 3/04847 20220101ALI20240222BHJP
G09G 5/00 20060101ALI20240222BHJP
G09G 5/36 20060101ALI20240222BHJP
【FI】
G06F3/0488
G01R13/20 U
G06F3/04847
G09G5/00 510A
G09G5/36 510Z
G09G5/00 550C
G09G5/36 530Y
G09G5/36 520F
G09G5/36 520G
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022131033
(22)【出願日】2022-08-19
(71)【出願人】
【識別番号】503086396
【氏名又は名称】株式会社シーブイエンジニアリング
(74)【代理人】
【識別番号】110003421
【氏名又は名称】弁理士法人フィールズ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】柳澤 洋一
(72)【発明者】
【氏名】千葉 令
【テーマコード(参考)】
5C182
5E555
【Fターム(参考)】
5C182AB18
5C182AC03
5C182AC33
5C182BA01
5C182BA03
5C182BA06
5C182BA65
5C182BA66
5C182CB13
5C182CB14
5C182CB42
5C182CB44
5C182DA65
5E555AA12
5E555BA21
5E555BB21
5E555BC08
5E555BE12
5E555CA13
5E555CB16
5E555DA02
5E555DB56
5E555DC25
5E555FA00
(57)【要約】
【課題】タッチ操作がより分かりやすく容易なオシロスコープを提供する。
【解決手段】
オシロスコープは、電流及び電圧の波形グラフを表示するタッチパネル付きディスプレイを備えたオシロスコープにおいて、前記タッチパネル付きディスプレイに対するスライド操作を検知するタッチ検出部と、前記タッチパネル付きディスプレイに対するスライド操作を検知すると、前記タッチパネル付きディスプレイに表示される前記波形グラフを拡大又は縮小させる表示制御部とを備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電流及び電圧の波形グラフを表示するタッチパネル付きディスプレイを備えたオシロスコープにおいて、
前記タッチパネル付きディスプレイに対するスライド操作を検知するタッチ検出部と、
前記タッチパネル付きディスプレイに対するスライド操作を検知すると、前記タッチパネル付きディスプレイに表示される前記波形グラフを拡大又は縮小させる表示制御部とを備えることを特徴とするオシロスコープ。
【請求項2】
前記タッチ検出部が前記波形グラフの水平軸方向における一方方向へのスライド操作を検知すると、前記表示制御部は、前記波形グラフを水平軸方向に拡大して表示させ、前記水平軸方向における一方方向と逆方向へのスライド操作を検知すると、前記波形グラフを水平軸方向に縮小して表示させることを特徴とする請求項1に記載のオシロスコープ。
【請求項3】
前記タッチ検出部が前記波形グラフの垂直軸方向における一方方向へのスライド操作を検知すると、前記表示制御部は、前記波形グラフを垂直軸方向に拡大して表示させ、前記垂直軸方向における一方方向と逆方向へのスライド操作を検知すると、前記波形グラフを垂直軸方向に縮小して表示させることを特徴とする請求項2に記載のオシロスコープ。
【請求項4】
前記タッチパネル付きディスプレイに電流及び電圧両方の波形グラフが同時に表示される場合、
前記タッチ検出部が前記タッチパネル付きディスプレイの左端側縁部における前記波形グラフの垂直軸方向におけるスライド操作を検知すると、前記表示制御部は、電流及び電圧のいずれか一方の波形グラフを垂直軸方向に拡大又は縮小して表示させ、
前記タッチ検出部が前記タッチパネル付きディスプレイの右端側縁部における前記波形グラフの垂直軸方向におけるスライド操作を検知すると、前記表示制御部は、電流及び電圧のいずれか他方の波形グラフを垂直軸方向に拡大又は縮小して表示させることを特徴とする請求項2に記載のオシロスコープ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、測定された電流及び電圧の波形を表示するオシロスコープに関し、特に、小型で携帯可能なタッチパネル機能を備えたオシロスコープに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1及び2は、タッチパネルを備えた波形表示装置について開示し、特許文献1は、1点タッチ操作を認識すると、その1点タッチ操作が終了するまで、表示波形を移動させる表示制御を行い、2点タッチ操作を認識すると、水平方向又は垂直方向に表示波形を拡大又は縮小させる表示制御を行う。また、特許文献2は、波形表示領域を複数のブロックに分割し、拡大ボタンがタッチされると、対応するブロックの波形を拡大表示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016-85139号公報
【特許文献2】特開2019-78633号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
工場や工事現場においてオシロスコープを用いる場合、ディスプレイのサイズが比較的小さい小型で携帯可能なデジタルオシロスコープが用いられ、その場合、画面上でのタッチ操作がしづらい状況もありうることから、ディスプレイ画面に指等で接触するタッチパネル操作はより分かりやすく容易であって、さらに直感的でシンプルであることが求められる。
【0005】
そこで、本発明の目的は、タッチ操作がより分かりやすく容易なオシロスコープを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するための本発明のオシロスコープは、電流及び電圧の波形グラフを表示するタッチパネル付きディスプレイを備えたオシロスコープにおいて、前記タッチパネル付きディスプレイに対するスライド操作を検知するタッチ検出部と、前記タッチパネル付きディスプレイに対するスライド操作を検知すると、前記タッチパネル付きディスプレイに表示される前記波形グラフを拡大又は縮小させる表示制御部とを備えることを特徴とする。
【0007】
好ましくは、前記タッチ検出部が前記波形グラフの水平軸方向における一方方向へのスライド操作を検知すると、前記表示制御部は、前記波形グラフを水平軸方向に拡大して表示させ、前記水平軸方向における一方方向と逆方向へのスライド操作を検知すると、前記波形グラフを水平軸方向に縮小して表示させる。
【0008】
好ましくは、前記タッチ検出部が前記波形グラフの垂直軸方向における一方方向へのスライド操作を検知すると、前記表示制御部は、前記波形グラフを垂直軸方向に拡大して表示させ、前記垂直軸方向における一方方向と逆方向へのスライド操作を検知すると、前記波形グラフを垂直軸方向に縮小して表示させる。
【0009】
好ましくは、前記タッチパネル付きディスプレイに電流及び電圧両方の波形グラフが同時に表示される場合、前記タッチ検出部が前記タッチパネル付きディスプレイの左端側縁部における前記波形グラフの垂直軸方向におけるスライド操作を検知すると、前記表示制御部は、電流及び電圧のいずれか一方の波形グラフを垂直軸方向に拡大又は縮小して表示させ、前記タッチ検出部が前記タッチパネル付きディスプレイの右端側縁部における前記波形グラフの垂直軸方向におけるスライド操作を検知すると、前記表示制御部は、電流及び電圧のいずれか他方の波形グラフを垂直軸方向に拡大又は縮小して表示させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明のオシロスコープによれば、波形グラフの拡大又は縮小表示をスライド操作で行えるようになり、より分かりやすく容易なタッチ操作により、波形グラフを拡大又は縮小表示することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の実施の形態におけるオシロスコープの全体構成を示す図である。
【
図2】本発明の実施の形態におけるオシロスコープの機能ブロック構成図である。
【
図3】本実施の形態のオシロスコープにおける表示制御を示すフローチャートである。
【
図4】本実施の形態のオシロスコープの表示制御における波形グラフの表示例を示す図である。
【
図5】本実施の形態のオシロスコープの表示制御における波形グラフの表示例を示す図である。
【
図8】本発明の追加の実施の形態のオシロスコープの表示制御における波形グラフの表示例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。しかしながら、かかる実施の形態例が、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【0013】
図1は、本発明の実施の形態におけるオシロスコープの外観構成を示す図である。電流又は電圧の波形を表示するオシロスコープ10は、小型で携帯可能(ポータブル)なオシロスコープであり、例えば箱型形状の筐体11に、測定された電流又は電圧の波形表示するためのタッチパネル機能付きディスプレイ(以下、タッチパネルディスプレイと称する)12が搭載される。タッチパネルディスプレイ12は、横方向(水平方向)と縦方向(垂直方向)が直角の矩形形状であり、一般的には、液晶などのディスプレイ部材の表面にタッチパネル部材が配置される構造を有する。タッチパネル部材は、ディスプレイ部材を覆うように重ねられて配置され、ディスプレイ部材の任意の位置をタッチする(接触する)と、タッチパネル部材へのタッチ(接触)として検知される。タッチパネル部材は、静電容量式、感圧式など既知の検知方式を用いたものを利用することができる。
【0014】
オシロスコープ10の筐体は、タッチパネルディスプレイ12とに加えて、さらに、電源ボタンやモードボタンなどの操作用ボタン類14、及び電気的な接続のための各種接続端子15が設けられる。
【0015】
図2は、本発明の実施の形態におけるオシロスコープの機能ブロック構成図である。オシロスコープ10は、ディスプレイ12に対するタッチ操作を検出するタッチ検出部20と、タッチ検出部20の検出したタッチ操作に基づいてタッチパネルディスプレイ12の表示を制御する表示制御部22を備える。表示制御部22は、データメモリ24に格納される電流及び電圧の測定データを波形グラフとしてタッチパネルディスプレイ12に表示し、タッチ検出部20により検出されるタッチ操作に従って、タッチパネルディスプレイ12上の波形グラフを拡大又は縮小させて表示する制御を実行する。オシロスコープは、上記表示制御の機能を実行するための各種電子部品、及びコンピュータプログラム及びそれを実行する演算装置などを実装する。
【0016】
なお、本実施の形態におけるオシロスコープは、電流及び電圧の測定機能や、必要に応じて備える通信機能などの他の機能を備えているが、
図2では、表示制御に関する機能のみを示す。
【0017】
図3は、本実施の形態のオシロスコープにおける表示制御を示すフローチャートであり、
図4及び
図5は、本実施の形態のオシロスコープの表示制御における波形グラフの表示例を示す図である。本実施の形態におけるオシロスコープの表示制御部22は、タッチパネルディスプレイ12に対するスライド操作に従って、表示される波形グラフを拡大又は縮小して表示するように制御する。タッチパネルディスプレイ12に対して指を接触させながら縦又は横方向に移動させるスライド操作は、スワイプ操作とも呼ばれる場合があり、本明細書では、スライド操作とスワイプ操作は実質的に同一の操作とみなす。
【0018】
図3において、タッチ検出部20は、タッチパネルディスプレイ12に対するスライド操作(スワイプ操作)を検出する。スライド操作は、既知のジェスチャ検出アルゴリズムを用いて検出可能であり、例えば、ごく短時間(例えば0.5秒以内)でのタッチ開始(指がタッチパネルディスプレイに接触する)、タッチ座標の移動、タッチ終了(指がタッチパネルディスプレイから離れる)を含むジェスチャを認識することで検出される(S100)。
【0019】
タッチ検出部20は、検出されたスライド操作の方向を判定する(S102、S104、S106)。タッチ座標の変化に基づいて、スライド操作が、波形グラフの横方向(水平方向)に沿ったX軸方向であり(S102)、且つタッチパネルディスプレイ12に向かってプラス方向(右方向)のスライドである場合(S104)、
図4(a)に示すように、波形グラフをX軸方向に拡大して表示する(S108)。
【0020】
また、スライド操作が、波形グラフの横方向(水平方向)に沿ったX軸方向であり(S102)、且つタッチパネルディスプレイ12に向かってマイナス方向(左方向)のスライドである場合(S104)、
図4(b)に示すように、波形グラフをX軸方向に縮小して表示する(S110)。
【0021】
さらに、スライド操作が、波形グラフの縦方向(垂直方向)に沿ったY軸方向であり(S102)、且つタッチパネルディスプレイ12に向かってプラス方向(上方向)のスライドである場合(S106)、
図5(a)に示すように、波形グラフをY軸方向に拡大して表示する(S114)。
【0022】
また、スライド操作が、波形グラフの縦方向(垂直方向)に沿ったY軸方向であり(S102)、且つタッチパネルディスプレイ12に向かってマイナス方向(下方向)のスライドである場合(S106)、
図5(b)に示すように、波形グラフをY軸方向に縮小して表示する(S112)。
【0023】
図6は、波形グラフのX軸の目盛りを示す図である。1回のスライド操作により段階的にX軸(時間)の目盛り単位を変更し、横方向且つ右方向のスライド動作(X軸方向に拡大表示)において、例えば、
図6(a)に示す一目盛り20msを
図6(b)に示す10msに変更し、さらにもう一回のスライド操作により、
図6(b)に示す一目盛り10msを
図6(c)に示す5msに変更し、波形グラフをX軸方向に拡大表示する。左方向にスライド動作することで、上記とは逆に目盛り単位が変更し、波形グラフはX軸方向に縮小表示される。
【0024】
図7は、波形グラフのY軸の目盛りを示す図である。一例として、電圧値の単位を示す。上記と同様に、1回のスライド操作により段階的にY軸(時間)の目盛り単位を変更し、縦方向且つ上方向のスライド動作(Y軸方向に拡大表示)において、例えば、
図7(a)に示す一目盛り200Vを
図7(b)に示す100Vに変更し、さらにもう一回のスライド操作により、
図7(b)に示す一目盛り100Vを
図7(c)に示す50Vに変更し、波形グラフをY軸方向に拡大表示する。下方向にスライド動作することで、上記とは逆に目盛り単位が変更し、波形グラフはY軸方向に縮小表示される。電流値の波形グラフについても、電圧値と同様に、Y軸の目盛りを例えば、5A、0.5A、0.05Aのように、表示される一目盛りの単位を変更し、拡大又は縮小表示する。
【0025】
スライド操作1回ごとに拡大又は縮小する変更量は、あらかじめ設定された変更幅であり、スライド操作を行う度に段階的に拡大又は縮小表示が行われる。段階的な変更幅(目盛り単位)は、上述の例に限られず、用途に応じて適宜設定される。
【0026】
また、拡大及び縮小は、タッチパネルディスプレイ12の左端側のX軸及びY軸の原点を基準とし、タッチパネルディスプレイ12に波形グラフが収まっていない場合は、タッチパネルディスプレイ12に付与されるいわゆるドラッグ操作により、波形グラフの任意の部分を表示させることができる。
【0027】
スライド操作は、タッチパネルディスプレイ12の縁に沿って行うと容易であるが、スライド操作位置は、タッチパネルディスプレイ12の縁に限られず、任意の位置で行われてもよい。
【0028】
携帯型のオシロスコープにおいては、ディスプレイが比較的小さいため、指でタッチパネルに対する操作がしづらい場合があり、拡大縮小表示のための既知のタッチ操作であるいわゆるピンチイン・ピンチアウト操作は難しい場合が想定される。タッチパネルディスプレイを指でスライドする操作は、ディスプレイが比較的小さくとも容易に行える操作であり、作業者は誤操作することなく、波形グラフの拡大縮小表示操作を確実且つ容易に行うことができる。
【0029】
図8は、本発明の追加の実施の形態のオシロスコープの表示制御における波形グラフの表示例を示す図である。
図8の例では、例えば、電圧波形及び電流波形を同一画面に同時に表示し、左側の縦軸を電圧に、右側の縦軸を電流に割り当てる。そして、電圧の拡大、縮小を行う場合は左側の縦軸近傍(左端側の一定領域)をスライドし、電流の拡大、縮小を行う場合は右側の縦軸近傍(右端側の一定領域)を垂直方向(縦軸方向)にスライドすることにより2要素(2チャンネル)の波形表示に対応することができる。
図8(a)の表示に対して、画面の左端側を縦軸方向にスライドさせることで、
図8(b)に示すように、電圧波形のみを拡大縮小表示させ(
図8(b)では、プラス方向(上方向)にスライド操作することで拡大表示例が示される)、一方、画面の右端側を縦軸方向にスライドさせることで、
図8(c)に示すように、電流波形のみを拡大縮小表示させる(
図8(c)では、プラス方向(上方向)にスライド操作することで拡大表示例が示される)。
【0030】
本追加の実施の形態例では、垂直方向(縦方向)のスライド操作については、タッチパネルディスプレイ12の縁に沿ったスライド操作を検出するように設定される。水平方向(横方向)のスライド操作については、タッチパネルディスプレイ12の縁に限らず、任意の位置で行われてもよい。また、垂直方向(縦方向)についても、タッチパネルディスプレイ12の縁部分(左端側の一定領域と右端側の一定領域)を除くタッチパネルディスプレイ12の中央部分を含む領域を垂直方向(縦方向)にスライド操作する場合は、電圧波形及び電流波形の両方を拡大縮小表示するように制御してもよい。
【0031】
本発明は、上記の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の分野における通常の知識を有する者であれば想到し得る各種変形、修正を含む要旨を逸脱しない範囲の設計変更があっても、本発明に含まれることは勿論である。
【符号の説明】
【0032】
10:オシロスコープ、12:タッチパネル付きディスプレイ(タッチパネルディスプレイ)、20:タッチ検出部、22:表示制御部、24:データメモリ