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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024027908
(43)【公開日】2024-03-01
(54)【発明の名称】組み立て式間仕切り
(51)【国際特許分類】
   E04B 2/74 20060101AFI20240222BHJP
【FI】
E04B2/74 561C
E04B2/74 541Z
E04B2/74 501R
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022131089
(22)【出願日】2022-08-19
(71)【出願人】
【識別番号】522198818
【氏名又は名称】有限会社フジヤ商会
(74)【代理人】
【識別番号】100130513
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 直也
(74)【代理人】
【識別番号】100074206
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 文二
(74)【代理人】
【識別番号】100130177
【弁理士】
【氏名又は名称】中谷 弥一郎
(72)【発明者】
【氏名】山上 繁樹
(72)【発明者】
【氏名】人見 茂雄
(57)【要約】
【課題】容易に組み立てることができ、組み立て時に必要なスペースを小さくすることができる組み立て式間仕切りを提供する。
【解決手段】長方形の四隅にそれぞれ配置される段ボール製の複数の角部材12と、隣り合う前記角部材の間に位置する段ボール製の複数の長方形の面部材13とを備える組み立て式間仕切り10であって、角部材12が、直角に配置される長方形をなす2枚の板状部12aを有し、角部材12が2枚の板状部12aを上下方向に二分割して形成される上側板体20および下側板体21と、上側板体20と下側板体21とを接合する補強板22とからなり、面部材13が、上下方向に二分割された上側面部材23と下側面部材24とからなり、補強板22が上側板体20および下側板体21に差し込まれている状態で、平面視での補強板22が2枚の板状部12aのそれぞれに対して交差している。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
長方形の四隅にそれぞれ配置される段ボール製の複数の角部材と、
隣り合う前記角部材の間に位置する段ボール製の複数の長方形の面部材とを備え、
前記角部材が直角に配置される長方形をなす2枚の板状部を有し、
複数の隣り合う前記角部材の間のうち、少なくとも前側の位置で隣り合う前記角部材の間に出入り口が形成され、その他の位置で隣り合う前記角部材の間に前記面部材が接合されている組み立て式間仕切りであって、
前記角部材が前記2枚の板状部を上下方向に二分割して形成される上側板体および下側板体と、前記上側板体および下側板体を接合する補強板とからなり、前記上側板体および下側板体が直角に折り曲げられている状態であり、
前記面部材が、上下方向に二分割された上側面部材と下側面部材とからなり、
前記補強板が前記上側板体および下側板体に差し込まれている状態で、平面視での前記補強板が、前記2枚の板状部のそれぞれに対して交差している組み立て式間仕切り。
【請求項2】
前記面部材が幅方向両側に上下方向に沿って幅方向内向きに形成される溝部を有し、
隣り合う前記角部材の板状部の幅方向外縁部が前記面部材の溝部に差し込まれている状態であり、
前記面部材が前記角部材よりも高さ寸法が小さく形成されており、
前記面部材が接合する隣り合う前記角部材の間であって、前記面部材が位置していない部分に開口部を有する請求項1に記載の組み立て式間仕切り。
【請求項3】
前記上側板体が上下方向に延びる上側折り曲げ線を有し、前記下側板体が上下方向に延びる下側折り曲げ線を有し、前記上側板体および下側板体は前記上側折り曲げ線および下側折り曲げ線に沿って折り畳み可能となっており、
前記角部材は、前記上側折り曲げ線および下側折り曲げ線の幅方向両側に上下方向に延びるスリットを有し、前記スリットが前記上側板体と下側板体とに跨って形成されており、前記補強板が前記スリットに差し込まれている状態となっている請求項1または請求項2に記載の組み立て式間仕切り。
【請求項4】
複数の前記角部材上に環状に配列される複数の帯状部材と、
前後方向両側または左右方向両側に位置する前記帯状部材の間に架け渡される屋根板部材とを備え、
前記帯状部材が幅方向両側に長さ方向に沿って幅方向内向きに形成される溝部を有し、前記帯状部材の幅方向一方の溝部に、前記角部材の板状部の上端縁が差し込まれる状態であり、前記帯状部材の幅方向他方の溝部に、前記屋根板部材の外端部が差し込まれる状態である請求項1に記載の組み立て式間仕切り。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、災害時の避難所でのプライバシー保護に適した組み立て式間仕切りに関する。
【背景技術】
【0002】
災害時の避難所では、避難者のプライバシー保護のため、組み立て式の間仕切りが設置されている。このような組み立て式の間仕切りとして、例えば、方形箱体の収納体と、それらの中に収納されている複数の部材を用いて形成する簡易個室構造物が提案されている(特許文献1参照)。この簡易個室構造物は、方形箱体の収納体と、その中に収納されている複数の部材とからなり、収納体の外枠体を形成する水平断面がL字状の2つの角部材と、複数の部材として複数の壁面パネルを備えている。このL字状の2つの角部材が、簡易個室構造物の2隅の角部分として利用され、それぞれの角部分同士の間に壁面パネルを立てた状態で接合して、周回する壁面部分を形成するようにしたものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実用新案登録第3231983号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1に記載の簡易個室構造物は、プライバシー保護の点から、他の避難者から内部が覗かれない状態にする必要がある。このため、角部材および壁面パネルは、他の避難者の目の位置よりも十分に高い高さ寸法を有する状態に製作する必要がある。
【0005】
しかしながら、このような高さ寸法を有する角部材および壁面パネルは、組み立て時、横倒しした状態で置いておくスペースが必要となる。特に、スペースに余裕のない避難所では、組み立て時の各部材の取り回しが難しくなり、容易に組み立てることが難しい。
【0006】
そこで、この発明の課題は、容易に組み立てることができ、組み立て時に必要なスペースを小さくすることができる組み立て式間仕切りを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記の課題を解決するために、この発明は、
長方形の四隅にそれぞれ配置される段ボール製の複数の角部材と、
隣り合う前記角部材の間に位置する段ボール製の複数の長方形の面部材とを備え、
前記角部材が、直角に配置される長方形をなす2枚の板状部を有し、
複数の隣り合う前記角部材の間のうち、少なくとも前側の位置で隣り合う前記角部材の間に出入り口が形成され、その他の位置で隣り合う前記角部材の間に前記面部材が接合されている組み立て式間仕切りであって、
前記角部材が前記2枚の板状部を上下方向に二分割して形成される上側板体および下側板体と、前記上側板体と下側板体とを接合する補強板とからなり、前記上側板体および下側板体が直角に折り曲げられている状態であり、
前記面部材が、上下方向に二分割された上側面部材と下側面部材とからなり、
前記補強板が前記上側板体および下側板体に差し込まれている状態で、平面視での前記補強板が、前記2枚の板状部のそれぞれに対して交差している構成を採用することができる。
【0008】
この構成では、補強板は、角部材の上側板体と下側板体との間の水平方向の位置ずれを防止し、かつ、上側板体と下側板体とを直角に保型するものとなる。また、角部材が上下方向に二分割されているので、上側板体と下側板体の高さ寸法が角部材の高さ寸法よりも小さくなる。さらに、面部材も上下方向に二分割されているので、上側面部材と下側面部材の高さ寸法が面部材の高さ寸法よりも小さくなる。
【0009】
前記面部材が幅方向両側に上下方向に沿って幅方向内向きに形成される溝部を有し、
隣り合う前記角部材の板状部の幅方向外縁部が前記面部材の溝部に差し込まれている状態であり、
前記面部材が前記角部材よりも高さ寸法が小さく形成されており、
前記面部材が接合する隣り合う前記角部材の間であって、前記面部材が位置していない部分に開口部を有する構成を採用することができる。
【0010】
これによると、上記開口部を、組み立て式間仕切りの内部と外部とを連通させる換気孔として利用することができる。また、この開口部から外部を見ることができる窓部としても利用することができる。さらに、隣り合う角部材の間に開口部を有することで、隣り合う角部材の間で、面部材の上側面部材と下側面部材とをそれぞれ独立して、上下方向に移動させることができる。
【0011】
前記上側板体が上下方向に延びる上側折り曲げ線を有し、前記下側板体が上下方向に延びる下側折り曲げ線を有し、前記上側板体および下側板体は前記上側折り曲げ線および下側折り曲げ線に沿って折り畳み可能となっており、
前記角部材は、前記上側折り曲げ線および下側折り曲げ線の幅方向両側に上下方向に延びるスリットを有し、前記スリットが前記上側板体と下側板体とに跨って形成されており、前記補強板が前記スリットに差し込まれている状態となっている構成を採用することができる。
【0012】
この構成によると、上側板体および下側板体は、上側折り曲げ線および下側折り曲げ線で折り曲げることができるので、保管場所でのスペースをより小さくすることができ、組み立て時の取り回しのスペースを小さくすることができる。また、スリットのうち、下側板体に位置するスリットに補強板を差し込んだ後、その補強板に上側板体に位置するスリットを差し込むことで、容易に上側板体と下側板体とを接合することができる。
【0013】
複数の前記角部材上に環状に配列される複数の帯状部材と、前後方向両側または左右方向両側に位置する前記帯状部材の間に架け渡される屋根板部材とを備え、
前記帯状部材が幅方向両側に長さ方向に沿って幅方向内向きに形成される溝部を有し、前記帯状部材の幅方向一方の溝部に、前記角部材の板状部の上端縁が差し込まれる状態であり、前記帯状部材の幅方向他方の溝部に、前記屋根板部材の外端部が差し込まれる状態である構成を採用することできる。
【0014】
この構成では、環状の複数の帯状部材により、それぞれの角部材の板状部の剛性を高めることができ、その帯状部材で屋根板部材の端部を保持することができる。
【発明の効果】
【0015】
この発明の組み立て式間仕切りは、角部材の上側板体と下側板体とに差し込まれた補強板によって、容易に上側板体と下側板体との間の水平方向の位置ずれを防止し、かつ、上側板体と下側板体とを直角に保型することができる。また、角部材および面部材が上下方向に二分割されるので、組み立て時、上下に分割された上側板体と下側板体および上側面部材と下側面部材とを横倒ししても、スペースを取ることがなく、これらの部材の取り回しが容易となって、組み立て易くなる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】この発明に係る実施形態の組み立て式間仕切りを示す斜視図
図2】同上の組み立て式間仕切りの分解斜視図
図3】(a)組み立て式間仕切りの第一帯状部材を示す斜視図、(b)組み立て式間仕切りの切り欠き部を有する第一帯状部材を示す斜視図
図4】組み立て式間仕切りの角部材を示す斜視図
図5図1中のA-A線における断面図
図6】(a)図5に示す面部材の要部拡大断面図、(b)図5に示す角部材の要部拡大断面図
図7】(a)図1に示す組み立て式間仕切りの出入り口の下部を示す要部拡大正面図、(b)図7(a)中のB-B線における断面図
図8】組み立て式間仕切りの第二帯状部材を示す斜視図
図9】組み立て式間仕切りを示す縦断面図
図10】(a)図9に示す第一帯状部材と面部材との接合状態を示す縦断面図、(b)図9に示す屋根板と接合片との接合状態を示す縦断面図、(c)図9に示す第二帯状部材と屋根部材との接合状態を示す縦断面図
図11】(a)組み立て式間仕切りの上側板体と下側板体との接合前の状態を示す斜視図、(b)組み立て式間仕切りの上側板体と下側板体との接合後の状態を示す斜視図
図12】組み立て式間仕切りの設置の一例を示す平面図
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、この発明の実施形態に係る組み立て式間仕切りを図1図11に基づいて説明する。図1、2に示すように、組み立て式間仕切り10は、例えば、災害時の避難所の床面上に組み立てられるものである。組み立て式間仕切り10は、長方形(図1中では正方形)の4辺に沿って環状に複数配列される第一帯状部材11と、第一帯状部材11に接合され、正方形の四隅にそれぞれ配置される4つの角部材12と、右側、左側および後側で隣り合う角部材12の間に接合される面部材13と、4つの角部材12の上端縁に環状に複数接合される第二帯状部材14とを有する。
【0018】
さらに、組み立て式間仕切り10は、複数の第二帯状部材14のうち、左右方向両側に位置する第二帯状部材14の間に架け渡される複数の屋根板部材15を有する。前側に位置する隣り合う角部材12の間に出入り口16が設けられている。組み立て式間仕切り10は、各部材が段ボールを加工して形成されたものである。
【0019】
なお、明細書中において、組み立て式間仕切り10の外部(外側)を「外部(外側)」と、組み立て式間仕切り10の内部(内側)を「内部(内側)」と呼ぶ。また、「左右方向」、「右」および「左」とは、組み立て式間仕切り10をその外部から出入り口16に正対した状態における左右方向、右および左を意味する。「前」とは、組み立て式間仕切り10の出入り口16が設けられている側の位置を意味し、「後」とは、出入り口16と対向する反対側の位置を意味する。
【0020】
図3(a)に示すように、第一帯状部材11は、外側帯体11aと内側帯体11bと、その間に介在する帯状のスペーサ11cとから形成される。外側帯体11a、内側帯体11bおよびスペーサ11cは、同じ長さ寸法を有する複両面段ボールから形成されている。外側帯体11a、内側帯体11bおよびスペーサ11cは、幅方向の一端縁(下端縁)の位置が揃っている。外側帯体11aは、内側帯体11bに対して幅寸法が大きい。スペーサ11cは、外側帯体11aおよび内側帯体11bよりも幅寸法が小さい。第一帯状部材11は、外側帯体11aと内側帯体11bの間に長さ方向に沿って溝部11dが形成されている。
【0021】
図1に示すように、複数の第一帯状部材11が正方形の4辺に沿って環状に配列されている。当該正方形の1辺に2本の第一帯状部材11が直線状に並んでいる。図2に示すように、環状に配置される複数の第一帯状部材11のうち、出入り口16に位置する2本の第一帯状部材11は、左右方向内側に切り欠き部11eが形成される。第一帯状部材11における切り欠き部11eよりも下側部分が出入り口16の敷居となる。なお、出入り口16に位置する2本の第一帯状部材11は、切り欠き部11eを形成しないものであってもよい。
【0022】
図4に示すように、角部材12は、直角に配置された長方形をなす2枚の板状部12aを有している。角部材12は、2枚の板状部12aを上下方向に二分割して形成される上側板体20および下側板体21と、上側板体20および下側板体21を接合する補強板22とからなる(図11(a)、(b)参照)。
【0023】
上側板体20は、長方形をなしており、幅方向中央に上下方向に延びる上側折り曲げ線L1を有する。上側板体20は上側折り曲げ線L1に沿って直角に折り曲げ可能となっている。上側折り曲げ線L1は、上側板体20の幅方向中央に位置している。上側板体20は上側折り曲げ線L1に沿って折り畳み可能であり、かつ1つの平面となるように展開可能である。上側板体20は、上側折り曲げ線L1を境界として、角部材12の2枚の板状部12aのうち上側部分を構成するものとなる。
【0024】
上側板体20には、上側折り曲げ線L1寄りの位置であって、上側折り曲げ線L1を挟んで両側の二箇所に上側スリット20aが設けられる。上側スリット20aは、上下方向に延びており、上側板体20の上下方向中央位置から下端縁に達している。図6(b)に示すように、上側スリット20aは、平面視において、上側板体20に対して、その幅方向外側から内側の上側折り曲げ線L1に向かって、かつ、外部から内部に向かって45度の角度αをなすように形成されている。
【0025】
下側板体21は、上側板体20と同形の長方形をなしており、幅方向中央に上下方向に延びる下側折り曲げ線L2を有する。下側板体21が下側折り曲げ線L2に沿って直角に折り曲げ可能となっている。下側折り曲げ線L2は、下側板体21の幅方向中央に位置している。下側板体21は、下側折り曲げ線L2に沿って折り畳み可能であり、かつ1つの平面となるように展開可能である。下側板体21は、下側折り曲げ線L2を境界として、角部材12の2枚の板状部12aのうち下側部分を構成するものとなる。
【0026】
下側板体21には、下側折り曲げ線L2寄りの位置であって、下側折り曲げ線L2の両側の二箇所に下側スリット21aが設けられる。下側スリット21aは、上下方向に延びており、下側板体21の上下方向中央位置から上端縁に達している。下側スリット21aは、上側スリット20aと同様に、平面視において、幅方向外側から内側の下側折り曲げ線L2に向かって、かつ、外部から内部に向かって45度をなすように形成されている。角部材12は、上側スリット20aと下側スリット21aにより、上側板体20および下側板体21に跨って上下方向に連なるスリットが形成される。
【0027】
補強板22は、角部が面取りされた長方形の板体である。補強板22は、上側スリット20aおよび下側スリット21aの上下方向の長さ寸法を合算した長さ寸法を有する。補強板22は、直角に折り曲げた状態での平面視における上側板体20の二箇所の上側スリット20a間(下側板体21の二箇所の下側スリット21a間)の距離よりも少し長い幅寸法を有している。
【0028】
図1に示すように、4つの角部材12は、環状に配列された複数の第一帯状部材11の四隅にそれぞれ接合される。図9図10(a)に示すように、それぞれの角部材12は、下側板体21が第一帯状部材11の溝部11d内に差し込まれた状態となっている。図2に示すように、4つの角部材12のうち前側に配置される2つの角部材12は、板状部12aの前側に位置する部分が、板状部12aの左側(右側)に位置する部分よりも、幅寸法が小さく形成されている。その前側に配置される2つの角部材12の間に出入り口16が設けられる。
【0029】
出入り口16は、左右方向の両縁部に2本1組の縁部材17が取り付けられている。縁部材17は、第一帯状部材11と同形状の部材であって、外側帯体17aと内側帯体17bと、その間に介在する帯状のスペーサ17cとから形成される。縁部材17の外側帯体17a、内側帯体17bおよびスペーサ17cが、第一帯状部材11の外側帯体11a、内側帯体11bおよびスペーサ11cに対応するものである。縁部材17は、外側帯体17aと内側帯体17bの間に長さ方向に沿って溝部17dが形成されている。
【0030】
図1に示すように、縁部材17は、その長さ方向が上下方向に沿う状態で2本並んで配置されている。上下方向に並ぶ2本の縁部材17は、それぞれ溝部17dが左右方向外向きに開放する状態となっている。それぞれの溝部17d内に前側に位置する角部材12の板状部12aの左右方向内端縁が差し込まれている。
【0031】
図7(a)に示すように、下位の縁部材17の下端部は、第一帯状部材11の切り欠き部11eよりも下側部分に載る状態となっている。図7(b)に示すように、下位の縁部材17の外側帯体11aの下端部が、切り欠き部11eを有する第一帯状部材11の外側帯体11aの左右方向内端面に接している。また、下位の縁部材17の内側帯体11bの下端部が、切り欠き部11eを有する第一帯状部材11の内側帯体11bの左右方向の内端面に接している。
【0032】
図1に示すように、面部材13は、上下方向に二分割された上側面部材23と下側面部材24とから構成されている。図5図6(a)に示すように、上側面部材23は、外側板体25と内側板体26と、その間に介在する中間板体27とが積層して形成されたものである。外側板体25、内側板体26および中間板体27は、同じ長さ寸法を有し、それぞれ幅方向の寸法が異なる。外側板体25は、内側板体26に対して幅寸法が大きい。中間板体27は、外側板体25および内側板体26よりも幅寸法が小さい。外側板体25、内側板体26および中間板体27は、幅方向の中央位置が一致している状態、かつ長さ方向が上下方向に沿う状態で配置されている。外側板体25と内側板体26の間の幅方向両側には、長さ方向に沿って溝部28がそれぞれ形成される。
【0033】
下側面部材24は、その上下方向の長さ寸法のみが上側面部材23と異なるものである。このため、下側面部材24は、上側面部材23と同じ符号を付して、その説明を省略する。下側面部材24は、上側面部材23よりも上下方向の長さ寸法が大きく形成されている。面部材13の高さ寸法、すなわち、上側面部材23と下側面部材24とを合わせた高さ寸法は、角部材12の高さ寸法よりも小さい。このような面部材13によって、左側、右側および後側の隣り合う角部材12の間の上部であって、面部材13が位置していない部分に開口部29が形成される。
【0034】
図5に示すように、面部材13は、右側、左側および後側の隣り合う角部材12の間に配置されている。面部材13の幅方向両側の溝部28に、隣り合う角部材12の板状部12aの幅方向外端縁がそれぞれ差し込まれた状態となっている(図6(a)参照)。
【0035】
図1に示すように、複数の第二帯状部材14が、4つの角部材12により四隅が形成される正方形の4辺に沿って環状に配列されている。それぞれの第二帯状部材14は、外側帯体14aと内側帯体14bと、その間に介在する帯状のスペーサ14cとから形成される(図8参照)。外側帯体14a、内側帯体14bおよびスペーサ14cは、同じ長さ寸法を有し、それぞれ幅寸法(上下方向の幅寸法)が異なる。外側帯体14aは、内側帯体14bに対して幅寸法が大きい。スペーサ14cは、外側帯体14aおよび内側帯体14bよりも幅寸法が小さい。外側帯体14a、内側帯体14bおよびスペーサ14cは、幅方向の中央位置が一致している状態となっている。外側帯体14aと内側帯体14bの間の幅方向両側には、長さ方向に沿って上下方向両側に溝部14dがそれぞれ形成される。
【0036】
図2に示すように、第二帯状部材14は、長さ寸法が異なる大小2種類のものが用いられる。長さ寸法の大きい(長い)第二帯状部材14が、隣り合う角部材12の板状部12aの上端部に架け渡す状態に配置される。4つの角部材12により四隅が形成される正方形の1辺に、1本の前記長い第二帯状部材14と2本の前記短い第二帯状部材14とが直線状に並んでいる。4つの角部材12により四隅が形成される正方形は、1辺に2本の第一帯状部材11が直線状に並ぶ正方形と同じ大きさである。図10(c)に示すように、第二帯状部材14の下側の溝部14dに、それぞれの角部材12の板状部12aの上端部が差し込まれている。
【0037】
図1に示すように、環状に配置される複数の第二帯状部材14のうち、左右方向両側に位置する第二帯状部材14の間に複数の屋根板部材15が架け渡されている。複数の屋根板部材15は、前後方向に間隔をおいて配置されている。屋根板部材15は、一対の屋根板15aと、一対の屋根板15aをその長さ方向に接合する接合片15bと、一対の屋根板15aの左右方向両端部に設けられる係止片15cとを有する。
【0038】
一対の屋根板15aは、上側面部材23の外側板体25と同じ幅寸法を有する。接合片15bは、第二帯状部材14に対して長さ寸法のみが異なるものである。このため、接合片15bは、第二帯状部材14を構成する部材と同じ符号を付して、その構造の説明を省略する。接合片15bの長さ寸法は、一対の屋根板15aの幅寸法と同じ大きさである。図10(c)に示すように、一対の屋根板15aの左右方向内端部が、接合片15bの幅方向両側の溝部14dにそれぞれ差し込まれている状態となっている。この状態の一対の屋根板15aは上方へ湾曲している。
【0039】
係止片15cは、上側面部材23に対して長さ寸法のみが異なるものである。このため、係止片15cは、上側面部材23を構成する部材と同じ符号を付して、その構造の説明を省略する。係止片15cの長さ寸法は、一対の屋根板15aの幅寸法と同じ大きさである。図10(c)に示すように、一対の屋根板15aの左右方向外端部が、係止片15cの幅方向内側の溝部28にそれぞれ差し込まれている状態となっている。それぞれの係止片15cは、外側板体25の左右方向外端部が幅方向全長にわたって下方に折り曲げられた状態となっている。係止片15cの外側板体25の左右方向外端部が、第二帯状部材14の上側の溝部14dに差し込まれた状態となっている。この組み立て式間仕切り10の各部材は、段ボール製であり、例えば、必要に応じて、複両面段ボールや両面段ボールを2枚重ねて接着したもの等を使用することができる。
【0040】
この実施形態に係る組み立て式間仕切り10は、以上のように構成される。次に、この組み立て式間仕切り10の組み立て方法を図面に基づいて説明する。
まず、角部材12を形成する。図11(a)に示すように、上側板体20を上側折り曲げ線L1に沿って直角に折り曲げる。同様に、下側板体21を下側折り曲げ線L2に沿って直角に折り曲げる。
【0041】
続いて、下側板体21の二箇所に形成される下側スリット21aに、補強板22を上方から差し込む。その後、下側板体21の上方に上側板体20を位置させ、上側板体20を下方に移動させつつ、二箇所の上側スリット20aに補強板22を差し込む。このとき、上側板体20の上側折り曲げ線L1と下側板体21の折り曲げ線L2が同一線上に位置する状態とする。このようにして角部材12が形成される。図11(b)に示すように、上側板体20と下側板体21とが、上側折り曲げ線L1および下側折り曲げ線L2を境界として、角部材12の2枚の板状部12aを形成するものとなる。
【0042】
また、図6(b)に示すように、平面視において、補強板22は、2枚の板状部12aのそれぞれに対して45度の角度αをもって交差する。なお、角部材12を形成する方法としては、下側板体21の上に上側板体20を突き当てた状態で、上側スリット20aおよび下側スリット21aに補強板22を差し込むようにしてもよい。
【0043】
次に、床面上に対して、複数の第一帯状部材11を正方形となるように環状に配置する。この正方形の1辺が、一直線上に並ぶ2本の第一帯状部材11から構成されている。それぞれの第一帯状部材11は、上方へ溝部11dが開放する状態となっている。ここで、環状に配置された複数の第一帯状部材11のうち、前側に配置された2本の第一帯状部材11は、左右方向内側に切り欠き部11eを有するものが使用されている。
【0044】
続いて、環状をなす複数の第一帯状部材11に対して、その正方形の4つの角部分に、それぞれ角部材12を配置する。このとき、第一帯状部材11の溝部11dに、下側板体21を差し込む。ここで、図2に示すように、前側に位置する隣り合う角部材12は、前側を向く板状部12aが、左右方向外側を向く板状部12aよりも、幅寸法が小さく形成されているものを使用する。これにより、前側に位置する隣り合う角部材12の間が、大きく開いて出入り口16となる。出入り口16の左右方向両側に、上下方向に一直線上に並べた2本の縁部材17を配置する。角部材12の板状部12aの左右方向の内端部を2本の縁部材17の溝部17dに差し込む。
【0045】
次に、四隅に配置された角部材12のうち、右側、左側および後側で隣り合う角部材12の間に面部材13を配置する。面部材13の配置は、下側面部材24をその外側板体25を外方に向けた状態とする。下側面部材24を隣り合う角部材12の間の上方に位置させる。そして、下側面部材24の幅方向両側の溝部28に、隣り合う角部材12の板状部12aをそれぞれ差し込んだ状態で、下側面部材24を移動させる。その後、下側面部材24を第一帯状部材11に接する状態とする。
【0046】
続いて、上側面部材23を、隣り合う角部材12の間の上方に位置させる。そして、下側面部材24と同様に、上側面部材23の幅方向両側の溝部28に、隣り合う角部材12の板状部12aをそれぞれ差し込んだ状態で、上側面部材23を移動させる。その後、上側面部材23を下側面部材24に接する状態とする。ここで、図1に示すように、隣り合う角部材12の間の上部であって、面部材13の上部に開口部29が形成される。開口部29は、組み立て式間仕切り10の内部と外部とを連通するものである。
【0047】
さらに、4つの角部材12の2枚の板状部12aの上端部に複数の第二帯状部材14を環状に配置する。複数の第二帯状部材14は、4つの角部材12により四隅が形成される正方形の4辺に沿って環状をなしている。図1に示すように、当該正方形の1辺に、1本の前記長い第二帯状部材14と2本の前記短い第二帯状部材14とが直線状に並んでいる。図10(d)に示すように、複数の第二帯状部材14は、下方に開放する溝部14dに、角部材12の板状部12aの上端部が差し込まれた状態となっている。
【0048】
続いて、複数の屋根板部材15を組み立てる。まず、一対の屋根板15aを接合片15bにより長さ方向に連結する。このとき、一方の屋根板15aの長さ方向一端部と、他方の屋根板15aの長さ方向他端部とを接合片15bの幅方向両側の溝部28にそれぞれ差し込む。接合片15bの外側板体25は外方に向けた状態となっている。続いて、一対の屋根板15aの長さ方向両端部を係止片15cの溝部28にそれぞれ差し込む。さらに、それぞれの係止片15cの外側板体25の外縁部を下方に折り曲げる。
【0049】
このようにして組み立てた複数の屋根板部材15は、図10(c)に示すように、折り曲げた係止片15cの外側板体25の外縁部を、左右方向両側に配置されている第二帯状部材14の溝部14dに差し込む。このとき、複数の屋根板部材15は、前後方向に間隔をおいて3つ配置される。
【0050】
以上のようにして、この実施形態の組み立て式間仕切り10は組み立てられる。なお、角部材12および複数の屋根板部材15は、組み立て式間仕切り10の組み立て途中に順次組み立ててもよく、予め、組み立てておいてもよい。また、角部材12の組み立てとして、上側板体20を下側板体21の上部に配置した後、上側板体20の二箇所の上側スリット20aと、下側板体21の二箇所の下側スリット21aへ、補強板22を水平方向に差し込んでもよい。
【0051】
上記の組み立て式間仕切り10は、角部材12が2枚の板状部12aを上下方向に二分割して形成される上側板体20と下側板体21と、上側板体20と下側板体21とを接合する補強板22とからなるものである。この補強板22は、上側板体20と下側板体21との水平方向の位置ずれを防止し、かつ、上側板体20と下側板体21とを直角に保型させるものである。補強板22が、上側板体20と下側板体21の水平方向の位置決めと保型の作用を兼用するものとなる。
【0052】
また、上側板体20と下側板体21との高さ寸法が角部材12よりも小さくなる。このような上側板体20と下側板体21は、例えば、スペースに余裕のない避難所などにおいて、組み立て時、横倒しした状態で置いておくスペースを小さくすることができる。また、組み立て時、上側板体20および下側板体21は、その取り回しがし易くなり、角部材12を容易に組み立てることができる、
【0053】
上記の組み立て式間仕切り10は、面部材13が上下方向に二分割された上側面部材23と下側面部材24とからなるものである。このため、上側面部材23と下側面部材24との高さ寸法が、面部材13よりも小さくなる。このような上側面部材23と下側面部材24は、上側板体20と下側板体21の場合と同様に、組み立て時、横倒しした状態で置いておくスペースを小さくすることができる。また、組み立て時、上側面部材23および下側面部材24は、その取り回しがし易くなり、面部材13を容易に組み立てることができる。
【0054】
上記の組み立て式間仕切り10は、面部材13が角部材12よりも高さ寸法が小さく形成されているので、右側、左側および後側での隣り合う角部材12の間であって、面部材が位置していない部分に開口部29を有している。この開口部29を換気孔や窓部として利用することができる。
【0055】
また、面部材13の溝部28に、隣り合う角部材12の板状部12aの幅方向外縁部が差し込まれている状態となっている。このため、隣り合う角部材12の間で、上側面部材23と下側面部材24とをそれぞれ独立して移動させることができる。この移動により、隣り合う角部材12の間において、必要に応じて開口部29を下端部、上端部または上下方向途中位置に設けることができる。
【0056】
また、上記の組み立て式間仕切り10は、上側板体20が上側折り曲げ線L1に沿って、かつ下側板体21が下側折り曲げ線L2に沿って折り畳み可能となっている。このため、組み立て前の角部材12は、上側板体20を上側折り曲げ線L1で折り畳み、下側板体21を下側折り曲げ線L2で折り畳むことができ、組み立て前の角部材12の保管スペースをより小さくすることができる。また、下側板体21の下側スリット21aに補強板22を差し込んだ後、その補強板22に上側板体20の上側スリット20aを差し込むことで、容易に上側板体20と下側板体21とを接合することができる。
【0057】
上記の組み立て式間仕切り10は、環状に配列される第二帯状部材14を備えることで、それぞれの角部材12の剛性を高めることができる。そして、第二帯状部材14に対して屋根板部材15の係止片15cの端部を保持させることができる。また、環状の複数の第一帯状部材11の溝部11dにそれぞれの角部材12の板状部12aの下端縁を差し込み、環状の複数の第二帯状部材14の溝部14dにそれぞれの角部材12の板状部12aの上端縁を差し込むことで、角部材12の姿勢を安定させることができる。
【0058】
上記の組み立て式間仕切り10は、第一帯状部材11(第二帯状部材14)の外側帯体11a(外側帯体14a)の幅寸法が、内側帯体11b(内側帯体14b)の幅寸法より大きく形成されている。このため、第一帯状部材11(第二帯状部材14)の溝部11d(溝部14d)に下側板体21(上側板体20)を差し込み易くなっている。同様に、上側面部材23および下側面部材24の外側板体25の幅寸法が、内側板体26の幅寸法より大きく形成されている。このため、上側面部材23および下側面部材24の溝部28に上側板体20(下側板体21)を差し込み易くなっている。
【0059】
上記組み立て式間仕切り10は、避難所内ではランダムに設置してもよい。さらに、例えば、図12に示すように、スペースの有効利用の観点から、等間隔をおいて2列に配置してもよい。この場合、三方に組み立て式間仕切り10が位置する空間が複数形成される。それぞれの空間の両側に位置する組み立て式間仕切り10の間に、シーツやバスタオルなどの目隠し30を架け渡すことにより、その空間内を避難者が利用することができる。
【0060】
上記の組み立て式間仕切り10は、避難所内に設置するものとしたが、これに限られない。例えば、家屋の部屋内に設置して、内部を簡易の書斎やアトリエ、子供部屋として利用したり、あるいは、茶室として利用したりすることができる。
【符号の説明】
【0061】
10 組み立て式間仕切り
11 第一帯状部材
11a、14a、17a 外側帯体
11b、14b、17b 内側帯体
11c、14c、17c スペーサ
11d、14d、17d 溝部
11e 切り欠き部
12 角部材
12a 板状部
13 面部材
14 第二帯状部材
15 屋根板部材
15a 屋根板
15b 接合片
15c 係止片
16 出入り口
17 縁部材
20 上側板体
20a 上側スリット
21a 下側スリット
21 下側板体
22 補強板
23 上側面部材
24 下側面部材
25 外側板体
26 内側板体
27 中間板体
28 溝部
29 開口部
L1、L2 折り曲げ線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12