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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024027911
(43)【公開日】2024-03-01
(54)【発明の名称】クッション
(51)【国際特許分類】
   A47C 27/00 20060101AFI20240222BHJP
   A47C 31/10 20060101ALI20240222BHJP
   A61G 7/057 20060101ALI20240222BHJP
【FI】
A47C27/00 K
A47C31/10
A61G7/057
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022131094
(22)【出願日】2022-08-19
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 令和 4年 4月 1日 公益財団法人テクノエイド協会ウェブサイト(http://www.techno-aids.or.jp/TaisCodeSearch.php)にて電気通信回線(インターネット)を通じて公開 令和 4年 5月16日 顧客へのFAX通信による製品カタログの配布 令和 4年 5月17日 顧客への販売 令和 4年 5月31日 株式会社ケープのウェブサイト(https://www.cape.co.jp/,https://www.cape.co.jp/news/3497,https://www.cape.co.jp/products/pdt042)にて電気通信回線(インターネット)を通じて公開 令和 4年 6月 8日~令和 4年 6月10日 バリアフリー2022にて展示およびカタログの配布 令和 4年 6月10日 北海道医療新聞に掲載 令和 4年 6月10日 シルバー産業新聞に掲載 令和 4年 6月16日 福祉用具専門相談員研究大会にて企業展示およびカタログの配布および抄録集への広告掲載
(71)【出願人】
【識別番号】000105213
【氏名又は名称】株式会社ケープ
(74)【代理人】
【識別番号】110000671
【氏名又は名称】IBC一番町弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】小野澤 康紀
(72)【発明者】
【氏名】水野 慧
【テーマコード(参考)】
3B096
4C040
【Fターム(参考)】
3B096AB06
3B096AD07
4C040AA01
(57)【要約】
【課題】リバーシブル構造を持つことで1種類のクッションを使用して療養者の床ずれ防止を目的としたポジショニングに用いたり、療養者の身体の一部又は全体を保持や支持する目的に用いたりすることができるクッションを提供する。
【解決手段】クッション10は、長手方向に所定の長さを持つクッション本体100を備え、クッション本体は、使用者Hの身体の少なくとも一部を載置可能である第1の面110と、第1の面の裏面側に位置し、第1の面を載置面に向かい合わせて配置した状態において、使用者Hの身体の少なくとも一部を載置可能な第2の面120と、第1の面側に設けられるとともに、クッション本体の長手方向の一端部131と他端部132との間で連続的に延びており、第1の面に載置された使用者の身体の一部を挟み込んで保持する保持部150と、を有する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
長手方向に所定の長さを持つクッション本体を備え、
前記クッション本体は、
使用者の身体の少なくとも一部を載置可能である第1の面と、
前記第1の面の裏面側に位置し、前記第1の面を載置面に向かい合わせて配置した状態において、前記身体の少なくとも一部を載置可能な第2の面と、
前記第1の面側に設けられるとともに、前記クッション本体の長手方向の一端部と他端部との間で連続的に延びており、前記第1の面に載置された前記身体の一部を挟み込んで保持する保持部と、を有する、クッション。
【請求項2】
前記保持部は、前記第1の面から突出する第1凸部及び第2凸部と、前記第1凸部と前記第2凸部との間に設けられ、前記クッション本体の長手方向の前記一端部と前記他端部との間に延びるスリット部と、を有する、請求項1に記載のクッション。
【請求項3】
前記第1の面は、前記第2の面から離間する側に向けて凸状に湾曲した断面形状を有し、
前記第2の面は、前記第1の面から離間する側に向けて凸状に湾曲した断面形状を有する、請求項1に記載のクッション。
【請求項4】
前記クッション本体の内部には、充填材が充填されており、
前記充填材は、異なる大きさに整形された複数のウレタンフォームを含む、請求項1に記載のクッション。
【請求項5】
前記クッション本体を収容可能なカバー部材をさらに有し、
前記クッション本体及び前記カバー部材は、前記クッション本体の長手方向の中心を基準にして回転対称な平面形状を有する、請求項1~4のいずれか1項に記載のクッション。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、使用者(例えば、療養者)の身体の少なくとも一部を載置することが可能なクッションに関する。
【背景技術】
【0002】
寝たきりや長期療養中の療養者等の床ずれの防止を図るために、療養者の姿勢を側臥位で保持することがある。療養者の姿勢を側臥位に保持する際、所定の形状や大きさ、クッション性を備えるクッションを使用できる。載置面(マットレスの上面等)と療養者の身体の間にクッションを差し込むことにより、療養者の身体の一部を浮かせた状態で側臥位に維持させることができる。療養者の姿勢を保持するために使用されるクッションには種々のものが存在するが、例えば、特許文献1では、クッション内部の充填材に工夫を凝らすことで療養者の姿勢の保持を好適に行い得るクッションが提案されている(特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016-165461号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載されたクッションを使用することにより、療養者の姿勢を側臥位に保持することが可能となる。しかしながら、クッション内部の充填材に工夫を凝らすだけでは、実際の使用環境(使用される載置面の種類、状態等)や療養者毎の身体のつくりの差異等によって、複数種類の形状のクッションを同時に使用しなければ、姿勢保持機能を発揮して側臥位を維持することが難しくなると考えられる。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、リバーシブル構造を持つことで1種類のクッションを使用して療養者の床ずれ防止を目的としたポジショニングに用いたり、療養者の身体の一部又は全体を保持や支持する目的に用いたりすることができるクッションを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
クッションは、長手方向に所定の長さを持つクッション本体を備え、前記クッション本体は、使用者の身体の少なくとも一部を載置可能である第1の面と、前記第1の面の裏面側に位置し、前記第1の面を載置面に向かい合わせて配置した状態において、前記身体の少なくとも一部を載置可能な第2の面と、前記第1の面側に設けられるとともに、前記クッション本体の長手方向の一端部と他端部との間で連続的に延びており、前記第1の面に載置された前記身体の一部を挟み込んで保持する保持部と、を有する。
【発明の効果】
【0007】
クッションが備えるクッション本体の第1の面(例えば、表側の面)には、使用者の身体の一部を挟み込んだ状態で保持する保持部が設けられている。使用者が身体の一部(例えば、下肢の一部)を保持部に配置すると、使用者の自重により身体の一部を適切にポジショニングすることができる。そのため、使用者は、クッション本体に身体の一部を載置した状態において、身体の一部が保持部から不用意に位置ズレしたり、クッション本体による身体の支持又は保持が解除されたりしてしまうことを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】第1実施形態に係るクッションを第1の面側から見た斜視図である。
図2】第1実施形態に係るクッションを第2の面側から見た斜視図である。
図3図1に示す矢印3A-3Aに沿う断面図である。
図4図3に示す4A部分を拡大して示す図である。
図5】第1実施形態に係るクッションの使用例を示す斜視図である。
図6図5に示す矢印6A方向から見た図である。
図7図5に示す矢印7A方向から見た図である。
図8図5に示す矢印8A方向から見た図である。
図9】変形例1に係るクッション本体の断面図である。
図10】変形例2に係るクッション本体の断面図である。
図11】変形例3に係るクッション本体の断面図である。
図12】第2実施形態に係るクッションを第1の面側から見た斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
<第1実施形態>
以下、添付した図面を参照して、本発明の第1実施形態を説明する。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。また、図面の寸法比率は、説明の都合上誇張されており、実際の比率とは異なる場合がある。
【0010】
図1図4には、第1実施形態に係るクッション10を示す。
【0011】
図1はクッション10を第1の面110側から見た斜視図であり、図2はクッション10を第2の面120側から見た斜視図である。図3図1に示す矢印3A-3Aに沿う断面図である。図4図3に示す4A部分を拡大して示す図である。
【0012】
図5図8にはクッション10の使用例を示す。
【0013】
図5は使用者(例えば、高齢者や要介護者等の療養者)Hを2つのクッション10を使用して所定の姿勢に保持した状態を示す図である。図6図5の矢印6A方向から見た図、図7図5の矢印7A方向から見た図、図8図5の矢印8A方向から見た図である。
【0014】
(クッション10)
図1図2図3に示すように、本実施形態に係るクッション10は、長手方向に所定の長さを持つクッション本体100と、クッション本体100を収容可能なカバー部材200と、を有する。
【0015】
図5に示すように、クッション10は、例えば、使用者Hを側臥位の姿勢に保持するために使用することができる。使用者Hは、例えば、同時に複数のクッション10を使用することにより側臥位の姿勢を保持することが可能である。また、クッション10を使用する際、枕300等の補助部材を併用することも可能である。ただし、クッション10の具体的な使用用途、目的、使用対象者、使用個数などについて特に制限はない。
【0016】
各図に付した矢印X1-X2はクッション10(又はクッション本体100)の長手方向を示し、矢印Y1-Y2はクッション10(又はクッション本体100)の幅方向を示し、矢印Z1-Z2はクッション10(又はクッション本体100)の厚み方向を示す。
【0017】
(クッション本体100)
図1図2図3図5に示すように、クッション本体100は、使用者Hの身体の少なくとも一部を載置可能である第1の面110と、第1の面110の裏面側に位置し、第1の面110を載置面Aに向かい合わせて配置した状態において、身体の少なくとも一部を載置可能な第2の面120と、第1の面110側に設けられるとともに、クッション本体100の長手方向の一端部131と他端部132との間で連続的に延びており、第1の面110に載置された身体の一部を挟み込んで保持する保持部150と、を有する。
【0018】
クッション10(又はクッション本体100)を使用する際に、当該クッション10が置かれる載置面Aとしては、例えば、介護用ベッド装置のマットレスの上面、ソファーの上面、家屋のフロアー等の床面を挙げることができる。ただし、載置面Aは、クッション10を使用する使用環境に応じて異なり得るものであり、特に制限はない。
【0019】
保持部150は、図1図3に示すように、第1の面110から突出する第1凸部151及び第2凸部152と、第1凸部151と第2凸部152との間に設けられ、クッション本体100の長手方向の一端部131と他端部132との間に延びるスリット部153と、を有する。
【0020】
図1に示すように、保持部150を構成する第1凸部151、第2凸部152、スリット部153の各々は、一端部131と他端部132との間で略直線状に配置することができる。図3に示すように、スリット部153は、クッション本体100の幅方向の中心付近で略直線状に延びるように配置することができる。
【0021】
第1凸部151と第2凸部152は、両者の間の略中心にスリット部153が区画されるように、クッション本体100の幅方向の中心位置から互いに略同一の距離だけ離間している。
【0022】
図3に示すように、第1の面110は、第2の面120から離間する側(矢印Z1側)に向けて凸状に湾曲している。また、第2の面120は、第1の面110から離間する側(矢印Z2側)に向けて凸状に湾曲している。第1の面110側に設けられた第1凸部151と第2凸部152は、第1の面110よりも第2の面120から離間するように、第1の面110から突出した凸状の部分を構成している。
【0023】
クッション本体100は、例えば、図3に示すように、第1凸部151及び第2凸部152を構成する部分をクッション本体100のベースとなる部分に対して取り付ける(例えば、縫製等による接続する)ことで保持部150が構成されているようにしてもよいし、後述する各変形例で示すようにクッション本体100のベースとなる部分の一部に凸形状を一体的に付加して保持部150が構成されているようにしてもよい(図9図10図11を参照)。
【0024】
使用者Hは、例えば、図5図6図7に示すように、第1の面110を使用者Hの身体側に配置し、第2の面120を載置面A側に配置した状態でクッション10を使用することができる。このような使用方法において、使用者Hは、スリット部153に下肢Lの一部を差し込むように配置することができる。例えば、スリット部153には、ふくらはぎの一部及び大腿部の一部を配置することができる。
【0025】
下肢Lをスリット部153に配置する際、スリット部153を間に挟んで対向する第1凸部151及び第2凸部152は、スリット部153内への下肢Lの配置をガイドする。そのため、使用者H又は使用者Hを介護する介護者などは、スリット部153内へ使用者Hの下肢Lの一部を容易に配置することができる。
【0026】
使用者Hがスリット部153内に下肢Lの一部を配置すると、使用者の自重でスリット部153の周囲に位置する第1凸部151及び第2凸部152が下肢Lの一部を包み込むように変形する。そのため、保持部150は、スリット部153内に配置された下肢Lをしっかりと保持し、下肢Lの安定感を増加させる。
【0027】
また、載置面Aに対して凸状の断面を備えるように構成された第2の面120は、保持部150に使用者の身体の一部が配置されると、自重により載置面Aに押し付けられて、身体の一部が保持部150に配置される前よりも載置面Aに沿うような扁平な断面形状に変形する。そのため、第2の面120は、載置面Aに対してクッション10全体を面で支持することができる。それにより、使用者Hのクッション10に対する保持がより一層安定する。
【0028】
使用者Hは、例えば、図5図8に示すように、第2の面120を使用者Hの身体側に配置し、第1の面110を載置面A側に配置した状態でクッション10を使用することもできる。このような使用方法において、使用者Hは、第2の面120に使用者Hの胴体Bの一部(例えば、背中の一部及び腰部の一部)を載置することができる。
【0029】
図8に示すように、第1の面110を載置面Aに向かい合わせて配置した状態で使用者Hが胴体Bの一部を第2の面120に載置すると、第2の面120が使用者Hの胴体Bを面で支持する。また、載置面Aに対して突出した形状をなす第2凸部152(又は第1凸部151)は、支点Sを形成し、クッション10全体が使用者Hの身体が配置された側へ自然に傾く。そのため、載置面Aと使用者Hの胴体Bとの間にクッション10を差し込むだけで、載置面Aと使用者Hの身体との間に所定の傾斜角θが形成される。また、クッション10に使用者Hの荷重が掛かった状態では、スリット部153が載置面A(例えば、マットレス)に引っ掛かるように広がるため、使用者Hの身体と載置面Aとの間からクッション10が抜けることを効果的に防止することができる。したがって、クッション10を使用することにより、使用者Hの身体を図5に示す側臥位の姿勢で安定的に保持することができる。
【0030】
図5に示す使用例では、2つのクッションを使用し、使用者Hの右脚(下肢L)の一部を第1の面110に設けられた保持部150で保持しつつ、使用者Hの胴体Bの右半身側の一部を第2の面120に載置している。このように2つのクッションを使用することで、使用者Hに過度な負担を掛けることなく、使用者Hの右半身を載置面Aから浮かせた状態で使用者Hの姿勢を側臥位の状態で安定的に保持することができる。なお、図5に示すように2つのクッション10を使用する際、枕300等の補助部材を併用することにより、使用者Hの頭部に掛かる負担を低減させることができる。図5図8に示すクッション10の使用例は一例であり、クッション10の具体的な使用形態(一度に使用する個数、クッション10に載置する身体の部分、クッション10の使用環境等)について特に制限はない。
【0031】
図3図4に示すように、クッション本体100の内部には充填材160が充填されている。
【0032】
充填材160の具体的な種類等は特に限定されないが、例えば、異なる大きさに整形された複数のウレタンフォーム161、162を使用することができる。クッション本体100は、充填材160にウレタンフォーム161、162が含まれていることにより、所定のクッション性(柔軟性)を備えたものとなる。また、一方のウレタンフォーム162は、他方のウレタンフォーム161に比べて体積が十分に小さく形成されたもの(極小のウレタンフォーム)で構成することができる。このように充填材160の一部に極小のウレタンフォーム162を含ませることにより、洗濯する際等に充填材160全体における水分の含有量を少なくすることができる。そのため、クッション本体100が乾燥し易くなる。
【0033】
なお、充填材160に大きさの異なる複数のウレタンフォーム161、162を含ませる場合、各ウレタンフォーム161、162の大きさ、個数、体積、形状などについて特に制限はない。
【0034】
(カバー部材200)
図1図3に示すように、クッション10は、クッション本体100を収容可能なカバー部材200を備えていてもよい。
【0035】
図3に示すように、カバー部材200は、カバー部材200がクッション本体100に装着された状態において、クッション本体100の第1の面110側に設けられた保持部150(第1凸部151、第2凸部152、スリット部153)の形状がカバー部材200によって消失されることがない構造を備える。つまり、カバー部材200は、カバー部材200がクッション本体100を収容した状態において、クッション本体100の外形がカバー部材200越しに浮き出る程度の厚みや材質等を備える部材で構成することができる。なお、図3では、カバー部材200は二点鎖線により簡略的に図示している。
【0036】
カバー部材200は、クッション本体100の第1の面110側に配置される第1の面210と、クッション本体100の第2の面120側に配置される第2の面220と、を備える。
【0037】
カバー部材200には、例えば、図1図2に示すように、クッション本体100の体位の補正操作や体位変換動作を容易にするためのハンドル部271、272を設けることができる。ハンドル部271、272は、例えば、クッション本体100の長手方向の一端部131及び他端部132に対応した位置に配置することができる。
【0038】
カバー部材200を構成する材料としては、洗濯可能かつ通気性の高い材質のものや、防水性の高い材質のものを任意に選択することができる。また、カバー部材200には、カバー部材200の内部にクッション本体100を収容するための開口部や、開口部を開閉するジッパーやボタン等を備えるように構成することができる。
【0039】
以上のように、本実施形態に係るクッション10は、長手方向に所定の長さを持つクッション本体100を備える。クッション本体100は、使用者Hの身体の少なくとも一部を載置可能である第1の面110と、第1の面110の裏面側に位置し、第1の面110を載置面に向かい合わせて配置した状態において、使用者Hの身体の少なくとも一部を載置可能な第2の面120と、第1の面110側に設けられるとともに、クッション本体100の長手方向の一端部131と他端部132との間で連続的に延びており、第1の面110に載置された使用者Hの身体の一部を挟み込んで保持する保持部150と、を有する。
【0040】
上記のようにクッション本体100の第1の面(例えば、表側の面)110には、使用者Hの身体の一部を挟み込んだ状態で保持する保持部150が設けられている。使用者Hが身体の一部(例えば、下肢Lの一部)を保持部150に配置すると、使用者の自重により、身体の一部をクッション本体100に対して適切にポジショニングすることができる。そのため、使用者Hは、クッション本体100に身体の一部を載置した状態において、身体の一部が保持部150から不用意に位置ズレたり、クッション本体100による身体の支持又は保持が解除されたりしてしまうことを防止できる。
【0041】
また、保持部150は、第1の面110を載置面A側に配置した状態で使用者Hが身体の一部を第2の面(例えば、裏側の面)120に載置して自重を掛けた際に、身体の一部を斜めに傾いた状態で保持するための傾斜した姿勢を作りだす支点Sを形成することができる。使用者Hは、例えば、背中と載置面Aとの間にクッション10を差し込むだけで載置面Aに対して使用者Hの身体を所定の傾斜角θだけ傾いた状態で保持することができる。これにより、使用者Hは、クッション10を使用して側臥位に保持された状態を安定的に保持することができる。
【0042】
<変形例>
次に、変形例に係るクッションを説明する。変形例の説明では、前述した第1実施形態で説明した内容は適宜省略する。また、変形例の説明において特に言及していない点は第1実施形態と同様のものとすることができる。
【0043】
本発明に係るクッションは、少なくとも、クッション本体を備え、かつ当該クッション本体100の第1の面110に身体の少なくとも一部を挟み込んで保持する保持部を備える限り、具体的な構成は限定されない。このような観点より、クッション本体は、例えば、以下の変形例1~3で示すような断面形状で構成することも可能である。
【0044】
図9には変形例1に係るクッション本体100Aの断面形状を示す。図9は第1実施形態の説明で示した図3に対応する断面図である。なお、図9ではカバー部材200の図示を省略している。
【0045】
図9に示すように、クッション本体100Aは、第1の面110側に設けられた保持部150を備える。保持部150は、第1の面110に形成されたスリット部(凹状の溝部)で構成している。第2の面120を載置面A側に配置した状態で、使用者Hが保持部150に身体の一部(例えば、下肢Lの一部)を配置すると、保持部150がその周囲の部分に対して沈みこみ、身体の一部をクッション本体100Aに対して保持することができる。また、第1の面110を載置面A側に配置した状態で、第2の面120に使用者Hの身体の一部(例えば、背中の一部)を載置すると、前述した実施形態と同様に、所定の傾斜角θを形成した状態で、使用者Hの身体を側臥位の状態で安定的に保持することができる(図5図8を参照)。
【0046】
クッション本体の断面形状は、例えば、図10に示す変形例2のように構成することも可能である。変形例2に示すクッション本体100Bは、第2の面120に複数の凸部171及び複数の凹部172が形成されている。第2の面120が図10に示すような断面形状を備えていると、第1の面110に使用者の身体の一部を載置した際、第2の面120が載置面Aに対して引っ掛かるように機能する。そのため、クッション10を使用している間、クッション10が位置ズレすることを防止できる。
【0047】
クッション本体の断面形状は、例えば、図11に示す変形例3のように構成することも可能である。変形例3に示すクッション本体100Cは、第2の面120にスリット部180(凹状の溝部)が形成されている。このようにクッション本体100Cを構成した場合においても、前述した実施形態1で説明した第2の面120と同様の各効果を発揮することができる(図5図8を参照)。
【0048】
<第2実施形態>
図12には、第2実施形態に係るクッション10Dの斜視図を示す。第2実施形態の説明では、前述した第1実施形態で説明した内容は適宜省略する。また、第2実施形態の説明において特に言及していない点は第1実施形態と同様のものとすることができる。
【0049】
図12に示すように、クッション10Dは、クッション本体100Dと、カバー部材200Dと、を備える。
【0050】
クッション本体100D及びカバー部材200Dは、クッション本体100Dの長手方向の中心c1を基準にして回転対称な平面形状を有する。
【0051】
クッション本体100Dは、長手方向の一端部131側に形成された突出部191аと、窪み部191bを備える。突出部191аは、平面視において、中心c1側から離間するように幅方向(矢印Y1方向)に突出した形状を有する。窪み部191bは、平面視において、中心c1側に向けて幅方向(矢印Y1方向)に窪んだ形状を有する。
【0052】
クッション本体100Dは、長手方向の他端部132側に形成された突出部192аと、窪み部192bを備える。突出部192аは、平面視において、中心c1側から離間するように幅方向(矢印Y2方向)に突出した形状を有する。窪み部192bは、平面視において、中心c1側に向けて幅方向(矢印Y2方向)に窪んだ形状を有する。
【0053】
カバー部材200Dは、クッション本体100Dの形状に対応した平面形状を備える。上述したようにクッション本体100D及びカバー部材200Dは、中心c1を基準にして回転対称な平面形状を備える。つまり、中心c1を通る仮想軸r1を基準にしてクッション10Dを180°回転させた場合、回転前後においてクッション本体100D及びカバー部材200Dの平面形状は同一のものとなる。
【0054】
クッション10Dは、クッション本体100D及びカバー部材200Dが平面視において回転対称な形状を有するため、次のような効果を奏することができる。クッション本体100Dの第1の面110を上面側に配置した状態において、クッション本体100Dにカバー部材200Dを装着させる際、カバー部材200Dの第1の面210とカバー部材200Dの第2の面220とが逆になった状態では、カバー部材200D内にクッション本体100Dを収容することができなくなる。つまり、クッション本体100Dにカバー部材200Dを装着させる作業者は、カバー部材200Dの表裏を明確に把握することが可能になる。したがって、作業者がカバー部材200Dの表裏を誤った状態でカバー部材200Dにクッション本体100Dを収容してしまうことを未然に防止することができる。
【0055】
なお、第2実施形態に係るクッション10Dにおいて、クッション本体100D及びカバー部材200Dの具体的な形状は特に限定されない。クッション本体100D及びカバー部材200Dは、長手方向に所定の長さを持ち、かつ平面視において回転対称な形状を有する限り、任意の形状で形成することが可能である。
【0056】
以上、実施形態及び変形例を通じて本発明に係るクッション本体及びクッションを説明したが、本発明は明細書内で説明した内容のみに限定されるものでなく、特許請求の範囲の記載に基づいて種々改変することが可能である。
【0057】
保持部は、クッション本体の一端部と他端部の間に延在しており、かつ、身体の一部を挟み込んで保持することが可能な限り、具体的な形態は限定されない。保持部は、例えば、クッション本体の一端部と他端部の間で斜め方向に延びる平面形状や湾曲した平面形状で延在していてもよい。
【0058】
第1の面側に充填された充填材と第2の面側に充填された充填材の形状、材質、充填率や充填方法等を異ならせることにより、第1の面と第2の面で異なる特徴(クッション性や変形性等)を備えさせるように構成することが可能である。
【符号の説明】
【0059】
10 クッション
10D クッション
100 クッション本体
100A クッション本体
100B クッション本体
100C クッション本体
100D クッション本体
110 第1の面
120 第2の面
131 クッション本体の一端部
132 クッション本体の他端部
150 保持部
151 第1凸部
152 第2凸部
153 スリット部
160 充填材
161 ウレタンフォーム
162 ウレタンフォーム
200 カバー部材
200D カバー部材
210 カバー部材の第1の面
220 カバー部材の第2の面
A 載置面
H 使用者
B 使用者の胴体
L 使用者の下肢
S 保持部が形成する支点
c1 クッションの長手方向の中心
r1 仮想軸
θ 傾斜角
図1
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図3
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図12