(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024027922
(43)【公開日】2024-03-01
(54)【発明の名称】消費装置及び印刷処理プログラム
(51)【国際特許分類】
B41J 29/38 20060101AFI20240222BHJP
B41J 29/00 20060101ALI20240222BHJP
G03G 21/00 20060101ALI20240222BHJP
G06F 3/12 20060101ALI20240222BHJP
G06Q 10/20 20230101ALI20240222BHJP
【FI】
B41J29/38 204
B41J29/00 Z
B41J29/38 203
G03G21/00 390
G03G21/00 396
G06F3/12 339
G06F3/12 319
G06F3/12 373
G06Q10/00 300
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022131122
(22)【出願日】2022-08-19
(71)【出願人】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003096
【氏名又は名称】弁理士法人第一テクニカル国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】次村 浩一
(72)【発明者】
【氏名】木元 太一朗
(72)【発明者】
【氏名】南川 俊輔
(72)【発明者】
【氏名】出浦 祐視
(72)【発明者】
【氏名】北橋 祐貴
【テーマコード(参考)】
2C061
2H270
5L049
【Fターム(参考)】
2C061AP01
2C061AP07
2C061AQ04
2C061AQ05
2C061AQ06
2C061AR01
2C061HJ08
2C061HK05
2C061HK11
2C061HK15
2C061HN05
2C061HN08
2C061HN15
2H270KA61
2H270KA62
2H270LA76
2H270LA80
2H270NA08
2H270NA14
2H270NA15
2H270ND02
2H270ND03
2H270ND28
2H270ND32
2H270ZC03
2H270ZC04
5L049CC15
(57)【要約】
【課題】特定のユーザによって許容量が使い果たされてしまうのを抑制する。
【解決手段】インクカートリッジ285を収容するカートリッジホルダ280と、制御部210と、記憶部215と、を備え、印刷可能枚数の範囲内でインクカートリッジ285を消耗して印刷を行う印刷装置200であって、制御部210は、印刷装置200を利用するユーザの課金に応じて新たに購入されたチャージ枚数の値を取得するステップS20と、複数のユーザ情報を取得するステップS30と、チャージ枚数を各ユーザに割り当て、各ユーザに割り当てられた個別チャージ枚数を記憶部215に記憶するステップS50と、受け付けた各ユーザの印刷ジョブに応じて、ステップS50において当該ユーザに割り当てられた個別チャージ枚数を含む個別印刷可能枚数の値が0に達するまで、インクカートリッジ285の消耗を伴う印刷動作を行うステップS200とを実行する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
消耗品を収容する収容部と、
コントローラと、
メモリと、
を備え、
許容された許容消費量の範囲内で前記消耗品を消耗可能な消費装置であって、
前記コントローラは、
前記消費装置を利用するユーザの課金に応じて新たに購入された新規許容消費量の値を取得する許容消費量取得処理と、
複数の前記ユーザそれぞれに対応した複数のユーザ情報を取得するユーザ情報取得処理と、
前記許容消費量取得処理で取得された前記新規許容消費量を、前記ユーザ情報取得処理で取得された前記複数のユーザ情報にそれぞれ対応する各ユーザに割り当て、各ユーザに割り当てられた個別新規許容消費量を前記メモリに記憶する記憶処理と、
受け付けた各ユーザの実行指示に応じて、前記記憶処理において当該ユーザに割り当てられた前記個別新規許容消費量を含む個別許容消費量の値が所定量に達するまで、前記消耗品の消耗を伴う所定動作を行う消耗品消耗処理と、
を実行する、消費装置。
【請求項2】
前記許容消費量の範囲内で前記消耗品を消耗可能な課金モードと、前記許容消費量の制限なく前記消耗品を消耗可能な非課金モードと、を切り替え可能に構成され、
前記非課金モードにおける、各ユーザに対しての前記消耗品の割り当て消費量が予め設定されており、
前記コントローラは、さらに、
前記課金モードである場合に、前記記憶処理において、各ユーザの前記割り当て消費量に基づき前記新規許容消費量を当該各ユーザに割り当てる、請求項1記載の消費装置。
【請求項3】
前記コントローラは、前記記憶処理において、
前記複数のユーザどうしの前記割り当て消費量の比率に応じて、前記新規許容消費量を各ユーザに割り当てる、請求項2記載の消費装置。
【請求項4】
前記コントローラは、
前記記憶処理において、ユーザごとに、前記個別新規許容消費量を含む累積値が前記割り当て消費量を超えないように制限しつつ前記新規許容消費量を割り当て、
前記許容消費量取得処理で取得された前記新規許容消費量のうち、前記記憶処理において複数のユーザの前記個別新規許容消費量に割り当てられなかった部分を、第1未割り当て許容消費量として保持する、請求項3記載の消費装置。
【請求項5】
前記コントローラは、前記記憶処理において、
前記複数のユーザそれぞれの前記個別新規許容消費量が互いに同量になるように、前記新規許容消費量を割り当てる、請求項1記載の消費装置。
【請求項6】
前記コントローラは、前記記憶処理において、
ユーザごとの、前記消耗品の消耗を伴う前記所定動作の履歴に応じて、前記新規許容消費量を割り当てる、請求項1記載の消費装置。
【請求項7】
前記コントローラは、前記記憶処理において、
前記許容消費量取得処理で取得された前記新規許容消費量のうち、その一部分を前記個別新規許容消費量として割り当て、残りの部分を第2未割り当て許容消費量として保持する、請求項1乃至請求項6のいずれか1項記載の消費装置。
【請求項8】
前記コントローラは、さらに、
前記複数のユーザのうちいずれかのユーザに係わる前記個別許容消費量が前記所定量に達した場合に、前記新規許容消費量の追加購入要請を通知する通知処理
を実行する、請求項1乃至請求項6のいずれか1項記載の消費装置。
【請求項9】
前記消耗品は、印刷関連消耗品であり、
前記許容消費量としての許容印刷量の範囲内で前記印刷関連消耗品を消耗可能に構成された印刷装置であり、
前記コントローラは、
前記許容消費量取得処理において、前記印刷装置を利用するユーザの課金に応じて新たに購入された前記新規許容消費量としての新規許容印刷量の値を取得し、
前記記憶処理において、前記許容消費量取得処理で取得された前記新規許容印刷量を、前記ユーザ情報取得処理で取得された前記複数のユーザ情報にそれぞれ対応する各ユーザに割り当て、各ユーザに割り当てられた個別新規許容印刷量を前記メモリに記憶し、
前記消耗品消耗処理において、
受け付けた各ユーザの実行指示に応じて、前記記憶処理において当該ユーザに割り当てられた前記個別新規許容印刷量を含む個別許容印刷量の値が所定量に達するまで、前記消耗品の消耗を伴う印刷動作を行う、請求項1乃至請求項6のいずれか1項記載の消費装置。
【請求項10】
印刷関連消耗品を収容する収容部と、演算部と、メモリと、を備え、許容された許容印刷量の範囲内で前記印刷関連消耗品を消耗可能な印刷装置の前記演算部に対し、
前記印刷装置を利用するユーザの課金に応じて新たに購入された新規許容印刷量の値を取得する許容印刷量取得処理と、
複数の前記ユーザそれぞれに対応した複数のユーザ情報を取得するユーザ情報取得処理と、
前記許容印刷量取得処理で取得された前記新規許容印刷量を、前記ユーザ情報取得処理で取得された前記複数のユーザ情報にそれぞれ対応する各ユーザに割り当て、各ユーザに割り当てられた個別新規許容印刷量を前記メモリに記憶する記憶処理と、
受け付けた各ユーザの実行指示に応じて、前記記憶処理において当該ユーザに割り当てられた前記個別新規許容印刷量を含む個別許容印刷量の値が所定量に達するまで、前記印刷関連消耗品の消耗を伴う印刷動作を行う印刷処理と、
を実行させるための、印刷処理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、消耗品を消耗しつつ所定の処理を行う消費装置及び印刷処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば特許文献1に記載のように、ユーザが金銭的負担に基づき購入した許容量に基づき印刷等の処理を行う技術が知られている。この従来技術では、いわゆるプリペイド方式で事前に金銭的な負担を行ってユーザが上記許容量を購入することで、その許容量の範囲内で印刷を行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載のような、許容量が設定された装置を複数のユーザで共有して使用するとき、特定のユーザによって許容量が使い果たされてしまうことが考えられる。そのような場合、許容量が新たに追加されるまでの間、他のユーザが当該装置を利用することができないという問題があった。
【0005】
本発明の目的は、特定のユーザによって許容量が使い果たされてしまうのを抑制できる消費装置及び印刷処理プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本願発明の消費装置は、消耗品を収容する収容部と、コントローラと、メモリと、を備え、許容された許容消費量の範囲内で前記消耗品を消耗可能な消費装置であって、前記コントローラは、前記消費装置を利用するユーザの課金に応じて新たに購入された新規許容消費量の値を取得する許容消費量取得処理と、複数の前記ユーザそれぞれに対応した複数のユーザ情報を取得するユーザ情報取得処理と、前記許容消費量取得処理で取得された前記新規許容消費量を、前記ユーザ情報取得処理で取得された前記複数のユーザ情報にそれぞれ対応する各ユーザに割り当て、各ユーザに割り当てられた個別新規許容消費量を前記メモリに記憶する記憶処理と、受け付けた各ユーザの実行指示に応じて、前記記憶処理において当該ユーザに割り当てられた前記個別新規許容消費量を含む個別許容消費量の値が所定量に達するまで、前記消耗品の消耗を伴う所定動作を行う消耗品消耗処理と、を実行する。
【0007】
本願発明においては、ユーザの課金に応じて新規許容消費量が新たに購入された場合に、記憶処理において、消費装置を利用する複数のユーザそれぞれに対して新規許容消費量が割り当てられる。消耗品消耗処理において、各ユーザの実行指示に応じて、記憶処理において当該ユーザに割り当てられた個別新規許容消費量を含む個別許容消費量の値が所定量に達するまで、消耗品の消耗を伴う所定動作が行われる。本発明によれば、各ユーザは自身に割り当てられた個別新規許容消費量を含む個別許容消費量の範囲内で消耗品を消耗することとなるので、特定のユーザにより消費装置の許容消費量が使い果たされてしまうことを防止することができる。
【0008】
また、上記目的を達成するために、本願発明の印刷処理プログラムは、印刷関連消耗品を収容する収容部と、演算部と、メモリと、を備え、許容された許容印刷量の範囲内で前記印刷関連消耗品を消耗可能な印刷装置の前記演算部に対し、前記印刷装置を利用するユーザの課金に応じて新たに購入された新規許容印刷量の値を取得する許容印刷量取得処理と、複数の前記ユーザそれぞれに対応した複数のユーザ情報を取得するユーザ情報取得処理と、前記許容印刷量取得処理で取得された前記新規許容印刷量を、前記ユーザ情報取得処理で取得された前記複数のユーザ情報にそれぞれ対応する各ユーザに割り当て、各ユーザに割り当てられた個別新規許容印刷量を前記メモリに記憶する記憶処理と、受け付けた各ユーザの実行指示に応じて、前記記憶処理において当該ユーザに割り当てられた前記個別新規許容印刷量を含む個別許容消費量の値が所定量に達するまで、前記印刷関連消耗品の消耗を伴う印刷動作を行う印刷処理と、を実行させる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、特定のユーザによって許容量が使い果たされてしまうのを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】実施形態に係る印刷管理システムの全体構成の一例を表すブロック図である。
【
図2】「非課金モード」における印刷管理システムの印刷の一例を表す説明図である。
【
図3】「課金モード」における印刷管理システムの印刷の一例を表す説明図である。
【
図4】印刷装置の制御部がチャージ枚数の購入時に実行する制御手順の一例を表すフローチャートである。
【
図5】制限印刷枚数とチャージ枚数の割り当ての具体例を表す図である。
【
図6】印刷装置の制御部が印刷時に実行する制御手順の一例を表すフローチャートである。
【
図7】課金印刷処理の詳細内容の一例を表すフローチャートである。
【
図8】個別累積チャージ枚数が制限印刷枚数を超えないように制限する変形例における、制限印刷枚数とチャージ枚数の割り当ての具体例を表す図である。
【
図9】チャージ枚数を各ユーザに均等に割り当てる変形例における、制限印刷枚数とチャージ枚数の割り当ての具体例を表す図である。
【
図10】チャージ枚数の一部を予め未割り当てチャージ枚数として設定する変形例における、制限印刷枚数とチャージ枚数の割り当ての具体例を表す図である。
【
図11】チャージ枚数の一部を予め未割り当てチャージ枚数として設定する変形例における、制限印刷枚数とチャージ枚数の割り当ての他の具体例を表す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の実施の形態について図面を参照しつつ説明する。本実施形態では、消耗品の消耗を伴う所定動作を行う消費装置の一例として、インクカートリッジの消耗を伴う印刷を行う印刷装置について説明するが、消費装置を印刷装置に限定するものではない。
【0012】
<印刷管理システムの全体構成>
図1に、実施形態に係る印刷管理システム1の全体構成の一例を示す。
図1に示すように、印刷管理システム1は、サーバ100と、印刷装置200と、端末装置300とを有する。サーバ100、印刷装置200、及び端末装置300は、ネットワークNTを介して互いに通信可能である。本実施形態では、複数のユーザが1台の印刷装置200を共同で使用する。印刷装置200が消費装置の一例である。
【0013】
<サーバ>
サーバ100は、例えば印刷装置200のメーカーが設置及び管理するサーバである。サーバ100は1つの単体の「サーバ」で構成されてもよいし、複数のサーバによって「サーバ体」として構成されてもよい。サーバ100は、管理対象である複数の印刷装置200を管理する。サーバ100は、制御部110と、記憶部115と、通信部140等を有する。制御部110、記憶部115、及び通信部140等は、バス105を介して情報送受信可能に接続されている。
【0014】
記憶部115は、例えばRAM、ROM、EEPROM、HDD等によって構成されている。記憶部115には、各種のプログラム120と、各種のデータ130とが記憶されている。各種プログラムには、例えば事前に金銭的な負担を行ってユーザがチャージ枚数を購入することで、印刷装置200に対し印刷可能枚数の範囲内で印刷を行うことを可能とする、プリペイド印刷に関わるプログラム等が含まれる。各種のデータ130には、例えば、ユーザにより購入されたチャージ枚数の累積値である累積チャージ枚数、チャージ枚数が各ユーザに割り当てられた個別チャージ枚数の累積値である個別累積チャージ枚数等が含まれる。
【0015】
制御部110は、データ処理を行う装置であり、例えばCPU等のプロセッサである。制御部110は、記憶部115に記憶された各種プログラムを実行する。制御部110は、ネットワークNTに接続された印刷装置200及び端末装置300に対するデータ通信を含む各種の処理を行う。通信部140は、ネットワークNTに接続されており、印刷装置200及び端末装置300との間で通信を行う。
【0016】
<印刷装置>
印刷装置200は、例えばユーザによって保有されている。印刷装置200は、「課金モード」と「非課金モード」とを切り替え可能に構成されている。「課金モード」では、印刷装置200は、許容された印刷可能枚数の範囲内で専用のインクカートリッジ285を消耗して印刷を実行する。「非課金モード」では、印刷装置200は、印刷可能枚数の制限なく、例えば市販のインクカートリッジ285を消耗して印刷を実行する。印刷可能枚数は許容消費量及び許容印刷量の一例である。印刷装置200は、制御部210と、記憶部215と、表示部240と、操作部250と、通信部260と、印刷部270と、カートリッジホルダ280と、カートリッジセンサ290等を有する。制御部210、記憶部215、表示部240、操作部250、通信部260、及び印刷部270は、バス205を介して情報送受信可能に接続されている。
【0017】
記憶部215には、各種のプログラム220と、各種のデータ230とが記憶されている。各種のプログラム220には、例えば後述の
図4、
図6及び
図7のフローチャートによる印刷装置200の制御内容を実行するプログラム等が含まれる。各種のデータ230には、例えば前述の個別累積チャージ枚数、印刷ジョブによる印刷を実行した場合にユーザごとにカウントアップされる個別累積使用印刷枚数、及び、印刷対象の画像データ等が含まれる。
【0018】
制御部210は、データ処理を行う装置であり、例えばCPU等のプロセッサである。制御部210は、記憶部215に記憶された各種プログラムを実行する。制御部210はコントローラの一例である。表示部240は、例えば、液晶ディスプレイであり、種々の情報を表示可能である。操作部250は、例えばキーボードやボタン等であり、ユーザによる入力操作を受け付ける。ユーザは、操作部250を操作することによって、種々の指示を印刷装置200に入力可能である。通信部260は、ネットワークNTに接続されており、サーバ100及び端末装置300との間で通信を行う。印刷部270は、図示しない搬送機構により印刷用紙を搬送しつつ、印刷用紙に対して例えばインクジェット方式で画像を印刷する。
【0019】
カートリッジホルダ280はインクカートリッジ285を収容する。インクカートリッジ285には、例えばシアンインク、マゼンタインク、イエローインク、ブラックインク等、各インク色のインクカートリッジが含まれる。印刷部270は、インクカートリッジ285のインクを消耗させながら印刷を行う。カートリッジセンサ290は、カートリッジホルダ280に設けられている。カートリッジセンサ290は、カートリッジホルダ280に収容されたインクカートリッジ285が、専用のカートリッジであるか市販のカートリッジであるかを検出する。専用のカートリッジは、「課金モード」において所定の配送契約に基づく配送サービスにより配送される、課金モード専用のインクカートリッジである。市販のカートリッジは、「非課金モード」においてユーザが自ら購入して使用するインクカートリッジである。本実施形態では、専用のインクカートリッジ285を適宜「専用カートリッジ285」と、市販のインクカートリッジ285を適宜「通常カートリッジ285」と記載する。インクカートリッジ285が消耗品及び印刷関連消耗品の一例であり、カートリッジホルダ280が収容部の一例である。
【0020】
<端末装置>
端末装置300は、例えばユーザの所有するスマートフォン等の携帯端末であり、無線通信を介してネットワークNTに接続される。前述のように、複数のユーザが1台の印刷装置200を共用する。その際、複数のユーザはそれぞれ別の端末装置300を使用して印刷ジョブを送信してもよいし、共通の端末装置300を使用して印刷ジョブを送信してもよい。
図1は、複数の端末装置300が使用される場合を示している。図示は省略するが、各端末装置300は、制御部と、記憶部と、ネットワークNTに接続するための通信部等を有する。
【0021】
記憶部には各種プログラムが記憶されている。各種プログラムには、例えば印刷ジョブを生成して印刷装置200に送信する印刷プログラム等が含まれる。制御部は、記憶部に記憶された各種のプログラムを実行する。
【0022】
端末装置300は、液晶ディスプレイとタッチパッドを一体的に組み合わせたタッチパネルにより、各種の情報の表示と、ユーザによる各種の入力操作を受け付ける。ユーザは、タッチパネルを操作することによって、種々の指示を端末装置300に入力可能である。端末装置300は、スマートフォン以外にも、例えばタブレットPC、ノート型PC、デスクトップ型PC等でもよい。
【0023】
<印刷管理システムの非課金モード及び課金モードにおける印刷>
前述のように、印刷装置200は、許容された印刷可能枚数の範囲内で専用カートリッジ285を消耗して印刷を実行する「課金モード」と、印刷可能枚数の制限なく通常カートリッジ285を消耗して印刷を実行する「非課金モード」とを切り替え可能に構成されている。
図2に、「非課金モード」における印刷管理システム1の印刷の一例を示す。
図2は、複数のユーザの一例として、例えば3人のユーザA~Cが1台の印刷装置200を共用する場合を示している。
【0024】
図2に示すように、「非課金モード」では、ユーザA~Cのいずれかの端末装置300から印刷ジョブを送信すると、印刷装置200は印刷可能枚数の制限なく通常カートリッジ285を消耗して、印刷ジョブに基づく印刷を実行する。通常カートリッジ285が消耗した場合には、ユーザA~Cのいずれかが市販されている通常カートリッジ285を購入し、消耗した通常カートリッジ285を新たな通常カートリッジ285に交換する。印刷ジョブは端末装置300からの受信に限られず、ユーザA~Cのいずれかの操作に基づき印刷装置200の操作部250を介して受け付けてもよい。印刷ジョブは実行指示の一例である。
【0025】
図3に、「課金モード」における印刷管理システム1の印刷の一例を示す。
図3は、複数のユーザの一例として、例えば3人のユーザA~Cが1台の印刷装置200を共用する場合を示している。
図3に示すように、ユーザA~Cは印刷装置200で印刷を行うために、課金を負担することによりチャージ枚数を新たに購入する。チャージ枚数の購入は、ユーザA~Cの中の特定のユーザのみが行うようにしてもよいし、どのユーザも購入できるようにしてもよい。サーバ100の制御部110は、ユーザにより新たに購入されたチャージ枚数の値を、印刷装置200に対する累積チャージ枚数の値に加算する。累積チャージ枚数は、ユーザにより購入されたチャージ枚数の累積値であり、サーバ100の記憶部115のデータベースDB1に、印刷装置200ごとに記憶されている。新たに購入されたチャージ枚数の値は、印刷装置200に送信される。チャージ枚数を累積チャージ枚数へ加算する処理は、印刷装置200の制御部210で実行されてもよい。
【0026】
印刷装置200の制御部210は、サーバ100から受信したチャージ枚数の値を、各ユーザA~Cに配分して割り当て、割り当てた個別チャージ枚数を各ユーザA~Cの個別累積チャージ枚数の値にそれぞれ加算して記憶する。個別累積チャージ枚数は、各ユーザA~Cに個別に配分されたチャージ枚数の累積値であり、印刷装置200の記憶部215のデータベースDB2にユーザごとに記憶されている。チャージ枚数を各ユーザA~Cに配分して割り当てる処理は、サーバ100の制御部110により実行されてもよい。各ユーザA~Cの個別累積チャージ枚数の値は、印刷装置200からサーバ100に送信され、サーバ100の記憶部115のデータベースDB3に記憶された個別累積チャージ枚数の値も更新される。チャージ枚数が新規許容消費量及び新規許容印刷量の一例であり、個別チャージ枚数が個別新規許容消費量及び個別新規許容印刷量の一例であり、記憶部215がメモリの一例である。
【0027】
印刷装置200の制御部210は、ユーザA~Cのいずれかの端末装置300から印刷ジョブを受信すると、当該印刷ジョブを送信したユーザに対応する個別印刷可能枚数をサーバ100に問合せて取得する。各ユーザA~Cの個別印刷可能枚数は、個別累積チャージ枚数から後述する個別累積使用印刷枚数を差し引いた値である。印刷装置200全体の印刷可能枚数は、累積チャージ枚数から後述する累積使用印刷枚数を差し引いた値である。個別印刷可能枚数及び印刷可能枚数は、サーバ100の制御部110により算出されてもよいし、印刷装置200の制御部210により算出されてもよい。印刷装置200の制御部210は、ユーザの個別印刷可能枚数が1以上である場合には印刷可能枚数が0となるまでの範囲で印刷を実行する。印刷装置200の制御部210は、印刷を実行した印刷枚数だけ、当該印刷を実行したユーザの個別累積使用印刷枚数をカウントアップする。個別累積使用印刷枚数は、印刷装置200で印刷が実行された場合にユーザごとに累積される印刷枚数であり、印刷装置200の記憶部215のデータベースDB4に記憶されている。各ユーザA~Cの個別累積使用印刷枚数は合計され、累積使用印刷枚数として印刷装置200の記憶部215のデータベースDB5に記憶されている。印刷装置200の制御部210は、予め定められた送信タイミングで、個別累積使用印刷枚数及び累積使用印刷枚数の値を定期的にサーバ100に送信する。印刷装置200の制御部210は、ユーザA~Cのいずれかの端末装置300から印刷ジョブを受信した場合には、該当するユーザの個別印刷可能枚数を消費して印刷を実行する。印刷ジョブは端末装置300からの受信に限られず、ユーザA~Cの操作に基づき印刷装置200の操作部250を介して受け付けてもよい。
【0028】
<チャージ枚数の購入時の制御手順>
図4に、印刷装置200の制御部210がチャージ枚数の購入時に実行する制御手順の一例を示す。制御部210は、印刷装置200が「課金モード」である場合に本フローチャートを実行する。
【0029】
図4に示すように、ステップS10では、制御部210は、印刷装置200のユーザによりチャージ枚数が購入されたか否かを、例えばサーバ100に問い合わせることにより判定する。制御部210は、チャージ枚数が購入されるまで本ステップS10で待機し(ステップS10:No)、チャージ枚数が購入された場合には(ステップS10:Yes)、次のステップS20に移行する。
【0030】
ステップS20では、制御部210は、印刷装置200を利用するユーザの課金に応じて新たに購入されたチャージ枚数の値をサーバ100から取得する。当該ステップS20が許容消費量取得処理の一例である。
【0031】
ステップS30では、制御部210は、印刷装置200を共用する複数のユーザそれぞれに対応した複数のユーザ情報を取得する。ユーザ情報は、サーバ100から取得されてもよいし、印刷装置200の記憶部215に記憶されている場合には当該記憶部215から取得されてもよい。当該ステップS30がユーザ情報取得処理の一例である。
【0032】
ステップS40では、制御部210は、各ユーザの制限印刷枚数の値を取得する。制限印刷枚数は、例えばサーバ100から取得されてもよいし、印刷装置200の記憶部215に記憶されている場合には当該記憶部215から取得されてもよい。制限印刷枚数は、「非課金モード」において、各ユーザに対し印刷枚数の浪費の防止等を目的として予め設定された印刷枚数の制限値である。制限印刷枚数は、例えば印刷装置200のユーザ毎に利用できる機能を制限する機能であるSFL(Secure Function Lock)の1つとして設定される。制限印刷枚数により、例えば1か月等の所定期間毎に印刷できる枚数をユーザ毎に制限することができる。
【0033】
ステップS50では、制御部210は、上記ステップS20で取得されたチャージ枚数を、上記ステップS30で取得された複数のユーザ情報にそれぞれ対応する各ユーザに対し配分して割り当てる。制御部210は、上記ステップS40で取得した複数のユーザどうしの制限印刷枚数の比率に応じて、チャージ枚数を同じ比率で各ユーザに配分して割り当てる。制御部210は、各ユーザに対して割り当てられた個別チャージ枚数を各ユーザの個別累積チャージ枚数の値に加算し、記憶部215のデータベースDB2に記憶する。当該ステップS50が記憶処理の一例である。
【0034】
ステップS60では、制御部210は、各ユーザの個別累積チャージ枚数の値をサーバ100に送信する。以上により、本フローチャートを終了する。
【0035】
<制限印刷枚数とチャージ枚数の割り当ての具体例>
図5に、制限印刷枚数と上記制御手順によるチャージ枚数の割り当ての具体例を示す。
図5に示す例では、ユーザA~Cのそれぞれに対し、制限印刷枚数が例えば10枚、20枚、20枚に設定されている。ユーザA~Cの制限印刷枚数の比率は1:2:2である。この場合において、チャージ枚数は例えば次のように割り当てられる。
図5に示すように、初期状態である0枚から、例えば50枚のチャージ枚数が購入されると、制限印刷枚数の比率である1:2:2に応じて配分され、10枚、20枚、20枚の個別チャージ枚数がユーザA~Cにそれぞれ割り当てられる。その結果、ユーザA~Cの個別累積チャージ枚数はそれぞれ10枚、20枚、20枚となる。さらに、例えば25枚のチャージ枚数が購入されると、制限印刷枚数の比率である1:2:2に応じて配分され、5枚、10枚、10枚の個別チャージ枚数がユーザA~Cにそれぞれ割り当てられる。その結果、ユーザA~Cの個別累積チャージ枚数はそれぞれ15枚、30枚、30枚となる。次に、例えばユーザAが印刷を実行して15枚の個別累積チャージ枚数を全て消費したとする。これにより、ユーザA~Cの個別累積チャージ枚数はそれぞれ0枚、30枚、30枚となる。この場合、ユーザAの個別累積チャージ枚数が0枚となったため、例えば印刷装置200の表示部240又は端末装置300のタッチパネルにチャージ枚数の追加購入を促す表示が行われる。その後、例えば50枚のチャージ枚数が購入されると、制限印刷枚数の比率である1:2:2に応じて配分され、10枚、20枚、20枚の個別チャージ枚数がユーザA~Cにそれぞれ割り当てられる。その結果、ユーザA~Cの個別累積チャージ枚数はそれぞれ10枚、50枚、50枚となる。
【0036】
<印刷時の制御手順>
図6及び
図7に、印刷装置200の制御部210が印刷時に実行する制御手順の一例を示す。
【0037】
図6に示すように、ステップS110では、制御部210は印刷ジョブを受信したか否かを判定する。制御部210は、印刷ジョブをユーザA~Cのいずれかの端末装置300から受信してもよいし、ユーザA~Cのいずれかにより印刷装置200の操作部250から受け付けてもよい。制御部210は、印刷ジョブを受信するまで待機し(ステップS110:No)、印刷ジョブを受信した場合には(ステップS110:Yes)、次のステップS120に移行する。
【0038】
ステップS120では、制御部210は、印刷装置200が「課金モード」に対応しているか否かを判定する。印刷装置200は、ユーザがサーバ100に対して登録を行うことによって「非課金モード」から「課金モード」へ切り替えることが可能となるが、登録を解消することで「課金モード」から「非課金モード」へ戻すことも可能である。「課金モード」へ切り替えられた場合、印刷装置200は切り替えたことを判別するための判別フラグをオンにする。「非課金モード」へ切り替えられた場合、印刷装置200は上記判別フラグをオフにする。制御部210は、印刷装置200が「課金モード」に対応しているか否かを、例えば上記判別フラグのオン又はオフに基づいて判定する。制御部210は、印刷装置200が「課金モード」に対応している場合には(ステップS120:Yes)、次のステップS130に移行する。
【0039】
ステップS130では、制御部210は「課金モード」を設定する。
【0040】
ステップS200では、カートリッジホルダ280に専用カートリッジ285が収容されていることを条件に、制御部210は、「課金モード」の印刷処理である課金印刷処理を実行する。すなわち制御部210は、上記ステップS110で受け付けたユーザの印刷ジョブに応じて、前述のステップS50において当該ユーザに割り当てられた個別チャージ枚数を含む個別印刷可能枚数の値が0に達するまで、専用カートリッジ285の消耗を伴う印刷動作を行う。課金印刷処置の詳細については後述する。その後、本フローチャートを終了する。
【0041】
上記ステップS120において、制御部210は、印刷装置200が「課金モード」に対応していない、すなわち「非課金モード」に対応している場合には(ステップS120:No)、次のステップS140に移行する。
【0042】
ステップS140では、制御部210は「非課金モード」を設定する。
【0043】
ステップS150では、カートリッジホルダ280に通常カートリッジ285が収容されていることを条件に、制御部210は、「非課金モード」の印刷処理である通常印刷処理を実行する。すなわち制御部210は、上記ステップS110で受け付けた各ユーザの印刷ジョブに応じて、個別印刷可能枚数の値を消費することなく印刷動作を行う。その後、本フローチャートを終了する。
【0044】
図7に、ステップS200の課金印刷処理の詳細内容の一例を示す。
図7に示すように、ステップS210では、制御部210は、前述のステップS50において当該ユーザに割り当てられた個別チャージ枚数を含む個別印刷可能枚数の値を取得する。前述のように、個別印刷可能枚数は、個別累積チャージ枚数から個別累積使用印刷枚数を差し引いた値である。制御部210は、サーバ100で算出された個別印刷可能枚数を取得してもよいし、自身で個別累積チャージ枚数から個別累積使用印刷枚数を差し引いて個別印刷可能枚数を算出してもよい。当該ステップS210が許容消費量取得処理の一例である。
【0045】
ステップS220では、制御部210は、上記ステップS210で取得した個別印刷可能枚数の値が1以上であるか否かを判定する。制御部210は、個別印刷可能枚数が1以上である場合には(ステップS220:Yes)、次のステップS230に移行する。
【0046】
ステップS230では、制御部210は、印刷ジョブの1ページ目の印刷を実行する。
【0047】
ステップS240では、制御部210は、データベースDB4に記憶された当該ユーザに対応する個別累積使用印刷枚数の値に1を加算してカウントアップする。
【0048】
ステップS250では、制御部210は、受信した印刷ジョブに次のページが含まれるか否かを判定する。制御部210は、次のページが含まれる場合には(ステップS250:Yes)、上記ステップS210に戻る。制御部210は、受信した印刷ジョブに次のページが含まれない場合には(ステップS250:No)、本サブルーチンを終了して
図6に示すフローチャートに戻る。
【0049】
上記ステップS210~ステップS250において、制御部210は、受け付けたユーザの印刷ジョブに応じて、前述のステップS50において当該ユーザに割り当てられた個別チャージ枚数を含む個別印刷可能枚数の値が0に達するまで、専用カートリッジ285の消耗を伴う印刷動作を行う。当該ステップS210~ステップS250が消耗品消耗処理の一例であり、0が所定量の一例であり、印刷動作が所定動作の一例である。所定量は1以上の所定の値としてもよい。
【0050】
上記ステップS220において、制御部210は、個別印刷可能枚数が0である場合には(ステップS220:No)、次のステップS260に移行する。
【0051】
ステップS260では、制御部210は印刷を中断する。
【0052】
ステップS270では、制御部210は、チャージ枚数の追加購入を要請する通知を表示部240に表示する。その後、本サブルーチンを終了して
図6に示すフローチャートに戻る。当該ステップS270が通知処理の一例である。
【0053】
なお、上記ステップS270の通知に応じてユーザがチャージ枚数を購入し、例えば印刷再開操作が行われた場合には、上記ステップS210に戻る。この場合、新たに取得された個別印刷可能枚数は1以上となっているので、ステップS220の判定が満たされて、印刷が再開される。
【0054】
<実施形態の効果>
本実施形態においては、ユーザの課金に応じてチャージ枚数が新たに購入された場合に、ステップS50において、印刷装置200を利用する複数のユーザそれぞれに対してチャージ枚数が割り当てられる。ステップS200の課金印刷処理において、ユーザの印刷ジョブに応じて、ステップS50において当該ユーザに割り当てられた個別チャージ枚数を含む個別印刷可能枚数の値が0に達するまで、専用カートリッジ285の消耗を伴う印刷動作が行われる。本実施形態によれば、各ユーザは自身に割り当てられた個別チャージ枚数を含む個別印刷可能枚数の範囲内で専用カートリッジ285を消耗して印刷することとなるので、特定のユーザにより印刷装置200の印刷可能枚数が使い果たされてしまうことを防止することができる。
【0055】
また、本実施形態では特に、印刷装置200は「課金モード」と「非課金モード」とを備える。「課金モード」では、印刷装置200はユーザが購入したチャージ枚数に対応した印刷可能枚数の範囲内で専用カートリッジ285を消耗しつつ、当該印刷可能枚数が0に達するまで印刷動作を行う。「非課金モード」では、印刷装置200は印刷可能枚数の値に関係なく、通常カートリッジ285を消耗しつつ印刷動作を行う。「課金モード」及び「非課金モード」のいずれのモードで動作させるかは、ステップS130又はステップS140によって設定される。
【0056】
本実施形態においては、「非課金モード」において各ユーザに対して通常カートリッジ285の制限印刷枚数が予め設定されている。印刷装置200が「課金モード」に設定された場合、ステップS50では上記「非課金モード」での制限印刷枚数の設定に基づいて、各ユーザに対してチャージ枚数が割り当てられる。本実施形態によれば、「非課金モード」における各ユーザへの制限印刷枚数に対応する形で、「課金モード」におけるチャージ枚数を円滑かつ確実に配分して割り当てることができる。
【0057】
また、本実施形態では特に、各ユーザどうしの制限印刷枚数の比率に応じてチャージ枚数を各ユーザに割り当てることで、「課金モード」におけるチャージ枚数を簡易な手法で円滑に割り当てることができる。
【0058】
また、本実施形態では特に、いずれかのユーザに係わる個別印刷可能枚数の残りが例えばゼロになった時点で、チャージ枚数を追加購入するようにアラームを発することができる。
【0059】
<変形例>
なお、本発明は、上記実施形態に限られるものではなく、その趣旨及び技術的思想を逸脱しない範囲内で種々の変形が可能である。以下、そのような変形例を、順を追って説明する。
【0060】
(1)個別累積チャージ枚数が制限印刷枚数を超えないように制限する場合
上記実施形態では、各ユーザの制限印刷枚数の比率に応じてチャージ枚数を各ユーザに割り当てる際に、割り当てられた個別チャージ枚数が加算された個別累積チャージ枚数の値に制限を設けなかったが、これに限られない。例えば、各ユーザの個別累積チャージ枚数の値が各ユーザの制限印刷枚数を超えないように制限してもよい。
【0061】
本変形例では、印刷装置200の制御部210は、前述のステップS50において、ユーザごとに、個別チャージ枚数を加算した個別累積チャージ枚数が制限印刷枚数を超えないように制限しつつチャージ枚数を割り当てる。制御部210は、前述のステップS20で取得されたチャージ枚数のうち、ステップS50において複数のユーザの個別チャージ枚数に割り当てられなかった部分を、未割り当てチャージ枚数として保持する。未割り当てチャージ枚数が第1未割り当て許容消費量の一例であり、個別累積チャージ枚数が個別新規許容消費量を含む累積値の一例である。
【0062】
未割り当てチャージ枚数は、例えば、以降に全ユーザが誰でも自由に使えるチャージ枚数としてもよいし、当面は凍結状態としておき、この後の適宜のタイミングにおいて、例えば管理者の操作により所望のユーザに対して個別チャージ枚数として再割り当てすることも可能である。
【0063】
図8に、制限印刷枚数と本変形例によるチャージ枚数の割り当ての具体例を示す。
図8に示す例では、ユーザA~Cのそれぞれに対し、制限印刷枚数が例えば10枚、20枚、20枚に設定されている。ユーザA~Cの制限印刷枚数の比率は1:2:2である。この場合において、チャージ枚数は例えば次のように割り当てられる。
図8に示すように、初期状態である0枚から、例えば25枚のチャージ枚数が購入されると、制限印刷枚数の比率である1:2:2に応じて配分され、5枚、10枚、10枚の個別チャージ枚数がユーザA~Cにそれぞれ割り当てられる。その結果、ユーザA~Cの個別累積チャージ枚数はそれぞれ5枚、10枚、10枚となる。この状態では、個別累積チャージ枚数は制限印刷枚数以内であるため制限されない。次に、例えばユーザAが印刷を実行して5枚の個別累積チャージ枚数を全て消費したとする。これにより、ユーザA~Cの個別累積チャージ枚数はそれぞれ0枚、10枚、10枚となる。その後、例えば50枚のチャージ枚数が購入されると、制限印刷枚数の比率である1:2:2に応じて配分され、10枚、20枚、20枚の個別チャージ枚数がユーザA~Cにそれぞれ割り当てられる。しかしながら、当該個別チャージ枚数を加算するとユーザA~Cの個別累積チャージ枚数はそれぞれ10枚、30枚、30枚となり、ユーザB,Cの個別累積チャージ枚数が制限印刷枚数を超えてしまう。そこで、ユーザB,Cに割り当てられる個別チャージ枚数は、個別累積チャージ枚数が制限印刷枚数を超えないように、それぞれ10枚、10枚に制限される。また、ユーザAに割り当てられる個別チャージ枚数は、制限印刷枚数の比率である1:2:2に応じて5枚に決定される。その結果、ユーザA~Cの個別累積チャージ枚数はそれぞれ5枚、20枚、20枚となる。50枚のチャージ枚数のうち、ユーザA~Cの個別チャージ枚数に割り当てられなかった部分である25枚が、未割り当てチャージ枚数に設定される。
【0064】
以上のように、本変形例においては、制限印刷枚数の比率に応じてチャージ枚数を各ユーザに割り当てる際、各ユーザの個別累積チャージ枚数が制限印刷枚数を超えないような制限の下で割り当てが行われる。各ユーザの制限印刷枚数を超える部分については、未割り当てチャージ枚数として別途保持される。本変形例によれば、別途保持された未割り当てチャージ枚数を、例えば全ユーザが誰でも自由に使えるチャージ枚数や、特定のユーザに対する個別チャージ枚数として再割り当てする等、他の態様で活用することが可能となる。本変形例によれば、ユーザを限定しない柔軟なチャージ枚数の利用を実現することと、特定のユーザに使い果たされないようにすること、とを両立させることが可能となる。
【0065】
(2)チャージ枚数を各ユーザに均等に割り当てる場合
上記実施形態では、各ユーザの制限印刷枚数の比率に応じてチャージ枚数を各ユーザに割り当てるようにしたが、例えば、各ユーザに対してチャージ枚数を均等に割り当ててもよい。
【0066】
本変形例では、印刷装置200の制御部210は、前述のステップS50において、各ユーザに設定された制限印刷枚数に関わりなく、各ユーザに割り当てられる個別チャージ枚数が互いに同量になるように、チャージ枚数を割り当てる。
【0067】
図9に、本変形例によるチャージ枚数の割り当ての具体例を示す。
図9に示すように、初期状態である0枚から、例えば60枚のチャージ枚数が購入されると1:1:1に配分され、20枚、20枚、20枚の個別チャージ枚数がユーザA~Cにそれぞれ割り当てられる。その結果、ユーザA~Cの個別累積チャージ枚数はそれぞれ20枚、20枚、20枚となる。さらに、例えば30枚のチャージ枚数が購入されると1:1:1に配分され、10枚、10枚、10枚の個別チャージ枚数がユーザA~Cにそれぞれ割り当てられる。その結果、ユーザA~Cの個別累積チャージ枚数はそれぞれ30枚、30枚、30枚となる。次に、例えばユーザAが印刷を実行して30枚の個別累積チャージ枚数を全て消費したとする。これにより、ユーザA~Cの個別累積チャージ枚数はそれぞれ0枚、30枚、30枚となる。その後、例えば60枚のチャージ枚数が購入されると1:1:1に配分され、20枚、20枚、20枚の個別チャージ枚数がユーザA~Cにそれぞれ割り当てられる。その結果、ユーザA~Cの個別累積チャージ枚数はそれぞれ20枚、50枚、50枚となる。
【0068】
本変形例によれば、印刷装置200を利用する全ユーザに対し、均等にチャージ枚数を割り当てることができる。
【0069】
(3)チャージ枚数を過去の印刷履歴に基づいて割り当てる場合
上記実施形態では、各ユーザの制限印刷枚数の比率に応じてチャージ枚数を各ユーザに割り当てるようにしたが、例えば、各ユーザの過去の印刷履歴に基づいてチャージ枚数を割り当ててもよい。
【0070】
本変形例では、印刷装置200の制御部210は、前述のステップS50において、ユーザごとのインクカートリッジ285の消耗を伴う印刷動作の履歴を取得し、当該印刷履歴に応じてチャージ枚数を割り当てる。印刷履歴は、例えば過去の一定期間ごとの印刷枚数等である。具体的には、例えば直近1ヶ月間のユーザA~Cの個別累積使用印刷枚数のカウント値の比率が1:2:2である場合、当該比率に応じてチャージ枚数を割り当てる。
【0071】
本変形例では、比較的大量の印刷を行うユーザには比較的多くのチャージ枚数を割り当て、比較的少量の印刷を行うユーザには比較的少ないチャージ枚数を割り当てることが可能となる。本変形例によれば、印刷装置200における全ユーザそれぞれの過去の印刷状況に応じて、チャージ枚数を割り当てることができる。
【0072】
(4)チャージ枚数の一部を予め未割り当てチャージ枚数として設定する場合
上記変形例(1)では、個別累積チャージ枚数が制限印刷枚数を超えないように制限した結果、ユーザの個別チャージ枚数に割り当てられなかった部分を未割り当てチャージ枚数として設定するようにしたが、これに限られない。例えば、チャージ枚数の一部を予め未割り当てチャージ枚数として設定してもよい。
【0073】
本変形例では、印刷装置200の制御部210は、前述のステップS50において、ステップS20で取得されたチャージ枚数のうち、その一部分を各ユーザの個別チャージ枚数として割り当て、残りの部分を未割り当てチャージ枚数として保持する。当該未割り当てチャージ枚数が第2未割り当て許容消費量の一例である。
【0074】
前述の変形例(1)と同様に、未割り当てチャージ枚数は、例えば、以降に全ユーザが誰でも自由に使えるチャージ枚数としてもよいし、当面は凍結状態としておき、この後の適宜のタイミングにおいて、例えば管理者の操作により所望のユーザに対して個別チャージ枚数として再割り当てすることも可能である。
【0075】
図10に、制限印刷枚数と本変形例によるチャージ枚数の割り当ての具体例を示す。
図10に示す例では、ユーザA~Cのそれぞれに対し、制限印刷枚数が例えば10枚、20枚、20枚に設定されると共に、未割り当て部分Xの制限印刷枚数が10枚に設定されている。ユーザA~C及び未割り当て部分Xの制限印刷枚数の比率は1:2:2:1である。この場合において、チャージ枚数は例えば次のように割り当てられる。
図10に示すように、初期状態である0枚から、例えば30枚のチャージ枚数が購入されると、制限印刷枚数の比率である1:2:2:1に応じて配分され、5枚、10枚、10枚、5枚の個別チャージ枚数がユーザA~C及び未割り当て部分Xにそれぞれ割り当てられる。その結果、ユーザA~C及び未割り当て部分Xの個別累積チャージ枚数はそれぞれ5枚、10枚、10枚、5枚となる。次に、例えばユーザAが印刷を実行して5枚の個別累積チャージ枚数を全て消費したとする。これにより、ユーザA~C及び未割り当て部分Xの個別累積チャージ枚数はそれぞれ0枚、10枚、10枚、5枚となる。その後、例えば60枚のチャージ枚数が購入されると、制限印刷枚数の比率である1:2:2:1に応じて配分され、10枚、20枚、20枚、10枚の個別チャージ枚数がユーザA~C及び未割り当て部分Xにそれぞれ割り当てられる。その結果、ユーザA~C及び未割り当て部分Xの個別累積チャージ枚数はそれぞれ10枚、30枚、30枚、15枚となる。
【0076】
図11に、制限印刷枚数と本変形例によるチャージ枚数の割り当ての他の具体例を示す。
図11は、各ユーザの個別累積チャージ枚数が各ユーザの制限印刷枚数を超えないように制限する場合である。
図11において、制限印刷枚数は
図10と同様に設定されている。この場合において、チャージ枚数は例えば次のように割り当てられる。
図11に示すように、初期状態である0枚から、例えば30枚のチャージ枚数が購入されると、制限印刷枚数の比率である1:2:2:1に応じて配分され、5枚、10枚、10枚、5枚の個別チャージ枚数がユーザA~C及び未割り当て部分Xにそれぞれ割り当てられる。その結果、ユーザA~C及び未割り当て部分Xの個別累積チャージ枚数はそれぞれ5枚、10枚、10枚、5枚となる。この状態では、個別累積チャージ枚数は制限印刷枚数以内であるため制限されない。次に、例えばユーザAが印刷を実行して5枚の個別累積チャージ枚数を全て消費したとする。これにより、ユーザA~C及び未割り当て部分Xの個別累積チャージ枚数はそれぞれ0枚、10枚、10枚、5枚となる。その後、例えば60枚のチャージ枚数が購入されると、制限印刷枚数の比率である1:2:2:1に応じて配分され、10枚、20枚、20枚、10枚の個別チャージ枚数がユーザA~C及び未割り当て部分Xにそれぞれ割り当てられる。しかしながら、当該個別チャージ枚数を加算するとユーザA~Cの個別累積チャージ枚数はそれぞれ10枚、30枚、30枚となり、ユーザB,Cの個別累積チャージ枚数が制限印刷枚数を超えてしまう。そこで、ユーザB,Cに割り当てられる個別チャージ枚数は、個別累積チャージ枚数が制限印刷枚数を超えないように、それぞれ10枚、10枚に制限される。また、ユーザAに割り当てられる個別チャージ枚数は、制限印刷枚数の比率である1:2:2:1に応じて5枚に決定される。60枚のチャージ枚数のうち、ユーザA~Cの個別チャージ枚数に割り当てられなかった部分である35枚が、未割り当て部分Xに割り当てられる。その結果、ユーザA~C及び未割り当て部分Xの個別累積チャージ枚数はそれぞれ5枚、20枚、20枚、40枚となる。
【0077】
本変形例においては、取得されたチャージ枚数の一部が各ユーザの個別チャージ枚数とされる。残りの部分は、別の態様で利用可能に保持され、例えば誰でも使えるチャージ枚数等として残すことができる。本変形例によれば、ユーザを限定しない柔軟なチャージ枚数の利用を実現することと、特定のユーザに使い果たされないようにすること、とを両立させることが可能となる
【0078】
(5)その他
以上では、消耗品の消耗を伴う所定動作を行う消費装置の一例として、インクカートリッジの消耗を伴う印刷を行う印刷装置について説明したが、本発明の適用対象はインクジェット式の印刷装置に限られない。例えば、トナーの消耗を伴う印刷を行うレーザー式の印刷装置、インクリボンの消耗を伴う熱転写式の印刷装置、感熱紙の消耗を伴う感熱式の印刷装置等に適用してもよい。以上では、収容部の一例としてカートリッジホルダを、消耗品としてカートリッジを説明したが、収容部が着色剤を収容可能なタンクであり、消耗品はタンクに注入される着色剤であってもよい。また、消耗品は、用紙、用紙を搬送するローラ、現像器、定着器であってもよい。また本発明は、例えばファックス、スキャナ、コピー、これらの機能及び印刷機能を併せ持つ複合機等、印刷装置以外にも適用可能である。
【0079】
また以上では、許容印刷量又は許容消費量の一例として印刷可能枚数である場合を説明したが、印刷可能枚数の他にも、許容印刷量又は許容消費量はシートの長さであったり、着色剤の量であってもよい。
【0080】
以上において、
図4、
図6及び
図7に示すフローチャートは本発明を上記フローチャートに示す手順に限定するものではなく、発明の趣旨及び技術的思想を逸脱しない範囲内で手順の追加・削除又は順番の変更等をしてもよい。
【0081】
また、以上既に述べた以外にも、上記実施形態や各変形例による手法を適宜組み合わせて利用しても良い。
【0082】
その他、一々例示はしないが、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲内において、種々の変更が加えられて実施されるものである。
【符号の説明】
【0083】
1 印刷管理システム
100 サーバ
200 印刷装置(消費装置の一例)
210 制御部(コントローラの一例)
215 記憶部(メモリの一例)
240 表示部
280 カートリッジホルダ(収容部の一例)
285 インクカートリッジ(消耗品、印刷関連消耗品の一例)
300 端末装置