(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024027924
(43)【公開日】2024-03-01
(54)【発明の名称】表示装置
(51)【国際特許分類】
G02B 27/01 20060101AFI20240222BHJP
G09G 5/00 20060101ALI20240222BHJP
G09G 3/20 20060101ALI20240222BHJP
G02B 5/32 20060101ALI20240222BHJP
G02B 5/10 20060101ALI20240222BHJP
B60K 35/23 20240101ALI20240222BHJP
【FI】
G02B27/01
G09G5/00 510A
G09G3/20 680B
G02B5/32
G02B5/10
B60K35/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022131124
(22)【出願日】2022-08-19
(71)【出願人】
【識別番号】502356528
【氏名又は名称】株式会社ジャパンディスプレイ
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】弁理士法人スズエ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】前出 優次
(72)【発明者】
【氏名】高橋 泰啓
【テーマコード(参考)】
2H042
2H199
2H249
3D344
5C080
5C182
【Fターム(参考)】
2H042DD05
2H042DE00
2H199DA03
2H199DA15
2H199DA26
2H199DA46
2H249CA01
2H249CA05
2H249CA09
2H249CA22
3D344AA19
3D344AB01
3D344AC25
5C080AA06
5C080AA07
5C080BB05
5C080DD03
5C080JJ01
5C080JJ06
5C080KK20
5C182AA02
5C182AA04
5C182AA05
5C182AB25
5C182AB31
5C182AC03
5C182CA01
(57)【要約】
【課題】 光の利用効率を向上することが可能な表示装置を提供する。
【解決手段】 表示装置は、照明光を出射する照明装置と、前記照明光を変調して映像光を出射する、表示パネルと、前記表示パネルから出射された前記映像光を反射する、ホログラフィック光学素子と、前記ホログラフィック光学素子により反射された前記映像光を反射する、凹面鏡と、を備え、前記凹面鏡で反射した前記映像光が、投影部材に入射することにより、虚像が投影され、前記ホログラフィック光学素子は、特定入射角で入射した光をブラッグ反射面で反射し、特定入射角とは異なる入射角で入射した光を透過する、表示装置。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
照明光を出射する照明装置と、
前記照明光を変調して映像光を出射する、表示パネルと、
前記表示パネルから出射された前記映像光を反射する、ホログラフィック光学素子と、
前記ホログラフィック光学素子により反射された前記映像光を反射する、凹面鏡と、
を備え、
前記凹面鏡で反射した前記映像光が、投影部材に入射することにより、虚像が投影され、
前記ホログラフィック光学素子は、特定入射角で入射した光をブラッグ反射面で反射し、特定入射角とは異なる入射角で入射した光を透過する、表示装置。
【請求項2】
前記表示パネルの第1の領域から出射する第1映像光と、前記ホログラフィック光学素子の平面と前記ブラッグ反射面とがなす角を第1角とし、
前記表示パネルの第2の領域から出射する第2映像光と、前記ホログラフィック光学素子の平面と前記ブラッグ反射面とがなす角を第2角とし、
前記表示パネルの第3の領域から出射する第3映像光と、前記ホログラフィック光学素子の平面と前記ブラッグ反射面とがなす角を第3角とし、
前記表示パネルの前記第1の領域、前記第2の領域、及び前記第3の領域は、それぞれ、前記虚像の上方の領域、中央の領域、下方の領域に対応する領域であり、
前記第1角、前記第2角、及び第3角は等しい、請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記表示パネルの第1の領域から出射する第1映像光と、前記ホログラフィック光学素子の平面と前記ブラッグ反射面とがなす角を第1角とし、
前記表示パネルの第2の領域から出射する第2映像光と、前記ホログラフィック光学素子の平面と前記ブラッグ反射面とがなす角を第2角とし、
前記表示パネルの第3の領域から出射する第3映像光と、前記ホログラフィック光学素子の平面と前記ブラッグ反射面とがなす角を第3角とし、
前記表示パネルの前記第1の領域、前記第2の領域、及び前記第3の領域は、それぞれ、前記虚像の上方の領域、中央の領域、下方の領域に対応する領域であり、
前記第1角、前記第2角、及び第3角は、この順に角度が大きい、請求項1に記載の表示装置。
【請求項4】
前記投影部材は、車両に設けられたフロントガラスであり、
前記凹面鏡により反射された前記映像光は、前記フロントガラスに入射し、
前記映像光が投影されることにより、前記フロントガラスを介してユーザが前記虚像を視認する、請求項1に記載の表示装置。
【請求項5】
前記フロントガラス及び前記ユーザとの間に設けられる、請求項4に記載の表示装置。
【請求項6】
前記表示装置及び前記ユーザとの間に、前記フロントガラスが設けられる、請求項4に記載の表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ホログラムを用いた虚像観察光学系が開発されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本実施形態の目的は、ホログラフィック光学素子を用いた投影系の表示装置であって、光の利用効率を向上することが可能な表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一実施形態に係る表示装置は、
照明光を出射する照明装置と、
前記照明光を変調して映像光を出射する、表示パネルと、
前記表示パネルから出射された前記映像光を反射する、ホログラフィック光学素子と、
前記ホログラフィック光学素子により反射された前記映像光を反射する、凹面鏡と、
を備え、
前記凹面鏡で反射した前記映像光が、投影部材に入射することにより、虚像が投影され、
前記ホログラフィック光学素子は、特定入射角で入射した光をブラッグ反射面で反射し、特定入射角とは異なる入射角で入射した光を透過する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】
図1は、実施形態の表示装置の基本構成を示す図である。
【
図2】
図2は、車両内に設置されたヘッドアップディスプレイを示す図である。
【
図3】
図3は、虚像とフロントガラスとの位置関係を示す図である。
【
図4】
図4は、実施形態の表示装置の一部を示す図である。
【
図5】
図5は、実施形態の表示装置の概略的な構成の一例を示す図である。
【
図7】
図7は、実施形態のホログラフィック光学素子を用いて形成した虚像とフロントガラスとの位置関係を示す図である。
【
図8】
図8は、実施形態における表示装置の構成例を示す図である。
【
図9】
図9は、実施形態における表示装置の構成例を示す図である。
【
図11】
図11は、車両内に設置された本構成例のヘッドアップディスプレイを示す図である。
【
図12】
図12は、実施形態における表示装置の構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下に、本発明の各実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。なお、開示はあくまで一例にすぎず、当業者において、発明の主旨を保っての適宜変更について容易に想到し得るものについては、当然に本発明の範囲に含有されるものである。また、図面は説明をより明確にするため、実際の態様に比べ、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。また、本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には、同一の符号を付して、詳細な説明を適宜省略することがある。
以下、図面を参照しながら一実施形態に係る表示装置について詳細に説明する。
【0008】
本実施形態においては、第1方向X、第2方向Y、及び、第3方向Zは、互いに直交しているが、90度以外の角度で交差していてもよい。第3方向Zの矢印の先端に向かう方向を上又は上方と定義し、第3方向Zの矢印の先端に向かう方向とは反対側の方向を下又は下方と定義する。なお第1方向X、第2方向Y、及び、第3方向Zを、それぞれ、X方向、Y方向、及び、Z方向と呼ぶこともある。
【0009】
また、「第1部材の上方の第2部材」及び「第1部材の下方の第2部材」とした場合、第2部材は、第1部材に接していてもよく、又は第1部材から離れて位置していてもよい。後者の場合、第1部材と第2部材との間に、第3の部材が介在していてもよい。一方、「第1部材の上の第2部材」及び「第1部材の下の第2部材」とした場合、第2部材は第1部材に接している。
【0010】
また、第3方向Zの矢印の先端側に表示装置を観察する観察位置があるものとし、この観察位置から、第1方向X及び第2方向Yで規定されるX-Y平面に向かって見ることを平面視という。第1方向X及び第3方向Zによって規定されるX-Z平面、あるいは第2方向Y及び第3方向Zによって規定されるY-Z平面における表示装置の断面を見ることを断面視という。
【0011】
[実施形態]
図1は、実施形態の表示装置の基本構成を示す図である。当該表示装置は、主に車両のフロントガラスWSDに画像を投影させるための表示装置、すなわち車載用表示装置である。さらに具体的には、実施形態の表示装置は、例えば、車載用ヘッドアップディスプレイ(Head Up Display:HUD)である。
【0012】
図1に示すヘッドアップディスプレイHUDは、照明装置ILDと、表示パネルPNLと、凹面鏡CMRと、を備えている。照明装置ILDは、複数の光源素子を備え、表示パネルPNLを照明する。照明装置ILDから出射される光を照明光ILLとする。照明光ILLは表示パネルPNLに出射される。表示パネルPNLは、第3方向Zに対して、角度α1で傾いているものとする。照明装置ILDも同様に傾いている。よって、照明装置ILD及び表示パネルPNLは、平行に配置されている。
【0013】
本実施形態の表示パネルPNLは、透過型の液晶表示パネルである。表示パネルPNLから出射される光を映像光IMLとする。表示パネルPNLは、照明装置ILDからの照明光ILLを変調して映像光IMLを出射する光学変調素子である。ただし、表示パネルPNLは透過型に限定されず、反射型の液晶表示パネルであってもよい。
【0014】
あるいは、表示パネルPNLは、有機エレクトロルミネセンス(Electro Luminescence:EL)を用いた表示装置、いわゆるOLED(Organic Light Emiting Device)表示装置であってもよい。さらにあるいは、マイクロLED、ミニLEDなどの自発光型の発光素子を備えた表示パネルであってもよい。
【0015】
なお上述のように、ヘッドアップディスプレイHUDにより車両用フロントガラスWSDに画像を投影させる場合には、
図2に示すように、車両VCL内にヘッドアップディスプレイHUDを設置する必要がある。
【0016】
図2は、車両内に設置されたヘッドアップディスプレイを示す図である。ヘッドアップディスプレイHUDは、車両VCLのインストルメントパネルINPに搭載されている。詳細は後述するが、ヘッドアップディスプレイHUDは、車両VCLのフロントガラスWSD(ウィンドスクリーンともいう)に虚像VTIを投影する。なお、
図2において、ヘッドアップディスプレイHUDはハンドルWHLのある運転席の前方に設置されている。ただし、ヘッドアップディスプレイHUDの設置位置はこれに限定されない。
【0017】
表示パネルPNLが透過型の表示パネルの場合は、照明装置ILDは、表示パネルPNLの背面側に配置される。詳細は後述するが、照明装置ILDは、レーザバックライトが好適である。一方、表示パネルPNLが反射型の表示パネルの場合は、表示パネルPNLは、照明装置ILDからの照明光ILLを選択的に反射して画像を表示する。この場合は、照明装置ILDは、表示パネルPNLの前面側に配置される。すなわち、照明装置ILDは、バックライトではなく、フロントライトとなる。
【0018】
図1に戻り、凹面鏡CMRは、表示パネルPNLから出射された映像光IML(後述する映像光IML1、IML2、及びIML3を含む)を、フロントガラスWSDに向けて反射させる部材である。
【0019】
ヘッドアップディスプレイHUDから出射した映像光IMLは、車両のフロントガラスWSDに投影される。ヘッドアップディスプレイHUDを使用するユーザDRVは、フロントガラスWSDの前方に虚像VTIを視認することができる。なお
図1に示す例においては、映像光IMLが投影される投影部材としてフロントガラスWSDを挙げたが、これに限定されない。フロントガラスWSDに代えて、コンバイナ等の他の部材を用いてもよい。
【0020】
図1に示す表示パネルPNLは、第3方向Zに対して、角度α1で傾いているものとする。角度α1が小さいと、虚像VTIは、概略第3方向Zに沿って固定される。このような虚像VTIは、フロントガラスWSDを通して視認される背景と比べて、奥行感が小さいという問題がある。
【0021】
例えば、虚像VTIが車両のための経路誘導サービス等の画像である場合、ユーザDRVは、水平方向(X-Y平面が広がる方向)に広がる背景に対して、概略第3方向Zに固定された虚像VTIを基に、奥行の情報を認識する必要がある。そのため、背景に対して虚像VTIは自然な奥行感が得られない。虚像VTIがより自然な奥行感を得るには、虚像VTIを実際の背景に適合した位置に表示することが必要である。
【0022】
図3は、角度α1が小さい場合の、虚像VTIとフロントガラスとの位置関係を示す図である。
図3に示される虚像VTIは、左折の指示を示す矢印である。しかしながら、虚像VTIと背景の奥行感が合っていないため、虚像VTIは自然な奥行感が得られていない。上述のように、虚像VTIがより自然な奥行感を得るには、虚像VTIを実際の背景に適合した位置に表示することが必要である。
【0023】
上記の問題を解消するには、例えば、表示パネルPNLを第3方向Zに対して傾ければよい。すなわち、角度α1より大きな角度となるように、表示パネルPNLを配置すればよい。
【0024】
図4は、実施形態の表示装置の一部を示す図である。
図4に示すヘッドアップディスプレイHUDでは、照明装置ILDを省略している。
図4に示すヘッドアップディスプレイHUDの表示パネルPNLは、
図1と比較して、第3方向Zに対して、角度α1より大きい角度α2だけ傾いている(α2>α1)。
【0025】
映像光IML1、IML2、及びIML3は、それぞれ、虚像VTIの上方の領域、中央の領域、及び下方の領域に対応する、表示パネルPNLの領域から出射される映像光である。
図4において、表示パネルPNLの下方の領域、中央の領域、及び上方の領域から出射した映像光は、虚像VTIの上方の領域、中央の領域、及び下方の領域の映像光となる。虚像VTIの上方の領域、中央の領域、及び下方の領域に対応する、表示パネルPNLの領域を、本実施形態では、第1の領域、第2の領域、及び第3の領域とも呼ぶ。
図4において、第1の領域、第2の領域、及び第3の領域は、表示パネルPNLの下方の領域、中央の領域、及び上方の領域となる。
【0026】
表示パネルPNLの下方の領域から出射し、凹面鏡CMRに達する映像光をIML1b、凹面鏡CMRで反射し、フロントガラスWSDに達する映像光IML1aとする。表示パネルPNLの中央の領域から出射し、凹面鏡CMRに達する映像光をIML2b、凹面鏡CMRで反射し、フロントガラスWSDに達する映像光IML2aとする。表示パネルPNLの上方の領域から出射し、凹面鏡CMRに達する映像光をIML3b、凹面鏡CMRで反射し、フロントガラスWSDに達する映像光IML3aとする。なお映像光IML1、IML2、及びIML3を、それぞれ、第1映像光、第2映像光、及び第3映像光ともいう。
【0027】
映像光IML1は、凹面鏡CMRで反射されることにより、虚像VTIの上方の領域の映像光となる。映像光IML2は、凹面鏡CMRで反射されることにより、虚像VTIの中央付近の領域の映像光となる。映像光IML3は、凹面鏡CMRで反射されることにより、虚像VTIの下方の領域の映像光となる。
【0028】
映像光IML1において、虚像VTI及びフロントガラスWSDまでの距離AD1は、凹面鏡CMRからフロントガラスWSDまでの距離LP1に、表示パネルPNLから凹面鏡CMRの距離FP1に凹面鏡CMRの拡大率mgを乗じたものを、加えたものとなる。すなわち、AD1=LP1+(FP1×mg)(式1)が成り立つ。同様に、AD2=LP2+(FP2×mg)(式2)、及び、AD3=LP3+(FP3×mg)(式3)が成り立つ。
【0029】
距離AD1を長く、及び、距離AD3を短くすることで、虚像VTIの奥行感が増大する。角度α2を大きくすればするほど、距離AD1を長く、及び、距離AD3を短くすることが可能である。距離AD1を長くするには、距離FP1を長くすればよい。距離AD3を短くするには、距離FP3を短くすればよい。
【0030】
表示パネルPNLの映像光の主光線は、表示面に対して法線方向に出射される。そのため、表示パネルPNLを傾ければ傾けるほど、すなわち角度α2を大きくすればするほど、映像光IML1、IML2、及びIML3それぞれの中で主光線の割合が小さくなってしまう。これにより、輝度低下、コントラスト低下、視野角特性悪化等の光学特性の悪化を生じる恐れがある。
【0031】
本実施形態のヘッドアップディスプレイHUDでは、表示パネルPNLから出射された映像光を、ホログラフィック光学素子を介して、凹面鏡CMRに出射させる。ホログラフィック光学素子は、ブラッグ反射面に対して特定入射角で入射した光を反射し、特定入射角とは異なる入射角で入射した光を透過する光学素子である。本実施形態のホログラフィック光学素子は、平面だけでなく奥行方向にも形成された体積ホログラムでもある。これを利用することにより、それぞれの映像光の主光線を反射することができる。これにより、輝度を保ったまま、距離AD1を長く、及び、距離AD3を短くすることができる。よって、虚像VTIに奥行感を持たせることが可能となる。
【0032】
図5は、実施形態の表示装置の概略的な構成の一例を示す図である。
図5に示すヘッドアップディスプレイHUDは、表示パネルPNLと、ホログラフィック光学素子HOEと、凹面鏡CMRと、を備えている。表示パネルPNL及びホログラフィック光学素子HOEは、平行に配置されている。
【0033】
表示パネルPNLから出射された映像光IML1b、IML2b、及びIML3bは、ホログラフィック光学素子HOEで反射して、凹面鏡CMRに達する。映像光IML1b、IML2b、及びIML3bは、それぞれ、虚像VTIの上方の領域、中央付近の領域、及び下方の領域に対応する、表示パネルPNLの表示面から出射されている。
【0034】
ホログラフィック光学素子HOEは、ブラッグ反射面BRに対して特定入射角で入射した光を反射し、特定入射角とは異なる入射角で入射した光を透過する。映像光IML1b、IML2b、及びIMLbのブラッグ反射面を、それぞれ、ブラッグ反射面BR1、BR2、及びBR3とする。
【0035】
図6は、
図5の一部を拡大した図である。
図6では、表示パネルPNLと、ホログラフィック光学素子HOEと、凹面鏡CMRのみを示している。表示パネルPNLから出射し、ホログラフィック光学素子HOEに達する映像光を、映像光IML1b1、IML2b1、及びIML3b1とする。ホログラフィック光学素子HOEで反射され、凹面鏡CMRに達する映像光を、映像光IML1b2、IML2b2、及びIML3b2とする。
【0036】
映像光IML1b1及びIML1b2が、映像光IML1bに相当する。映像光IML2b1及びIML2b2が、映像光IML2bに相当する。映像光IML3b1及びIML3b2が、映像光IML3bに相当する。
【0037】
映像光IML1b1及びIML1b2の距離の和が、距離FP1に相当する。映像光IML2b1及びIML2b2の距離の和が、距離FP2に相当する。映像光IML3b1及びIML3b2の距離の和が、距離FP3に相当する。
【0038】
ホログラフィック光学素子HOEの平面HMとブラッグ反射面BR(BR1、BR2、及びBR3)とがなす角を、それぞれ、角θ1、θ2、及びθ3とする。
【0039】
表示パネルPNL及びホログラフィック光学素子HOEは、平行に配置されている。またホログラフィック光学素子HOEとして、面内均一の角度で反射するホログラフィック光学素子を用いる。これにより、角θ1、θ2、及びθ3は、等しくなる(θ1=θ2=θ3)。なお角θ1、θ2、及びθ3を、それぞれ、第1角、第2角、及び第3角ともいう。
【0040】
図6のように、表示パネルPNL及びホログラフィック光学素子HOEを配置することにより、距離FP1が長く、距離FP3が短くすることができる。また、映像光IML1b1、IML2b1、及びIML3b1は、それぞれのブラッグ反射面BR1、BR2、及びBR3で反射し、映像光IML1b2、IML2b2、及びIML3b2として出射される。ブラッグ反射面で反射することにより、それぞれの映像光の輝度を保ったまま、凹面鏡CMRに到達することができる。
【0041】
本実施形態の照明装置ILDは、複数のレーザ光源素子を有する、レーザバックライトが好適である。レーザ光源素子は、所定の波長を主波長とする光を出射する。ホログラフィック光学素子HOEは波長選択性を有する。ホログラフィック光学素子HOEで選択的に反射する波長を、レーザ光源素子の主波長とすれば、ホログラフィック光学素子HOEに入射した光を、効率よく利用することができる。レーザ光源素子を有する照明装置ILDを用いることにより、輝度が高い虚像VTIを得ることが可能である。
【0042】
またホログラフィック光学素子HOEのホログラム面上に、ARフィルムを貼ることが好ましい。ARフィルムを貼ることにより、ホログラフィック光学素子HOEの表面反射を防ぐことができ、良好な光学特性を実現することが可能である。
【0043】
図7は、実施形態のホログラフィック光学素子を用いて形成した虚像とフロントガラスとの位置関係を示す図である。
図5及び
図6で説明した通り、距離FP1が長く、距離FP3が短くなったことにより、距離AD1が長くなり、距離AD3は短くなる。よって、虚像VTIは、背景に沿った奥行感を得ることができる。
図7においては、虚像VTIで左折の指示を示す矢印は、道の奥行感に沿った矢印となっている。このように、本実施形態により、虚像VTIの奥行感を増加させることが可能である。
【0044】
<構成例1>
図8は、実施形態における表示装置の他の構成例を示す図である。
図8に示した構成例では、
図6に示した構成例と比較して、表示パネル及びホログラフィック光学素子を平行に配置せず、ホログラフィック光学素子の平面とブラッグ反射面とがなす角をそれぞれ異ならせるという点で異なっている。
【0045】
図8に示すヘッドアップディスプレイHUDでは、実施形態と同様に、表示パネルPNLの下方の領域、中央の領域、及び下方の領域から出射した映像光は、虚像VTIに上方の領域、中央付近の領域、及び下方の領域に対応している。虚像VTIの上方の領域、中央付近の領域、及び下方の領域に相当する映像光IML1b(IML1b1及びIML1b2)、IML2b(IML2b1及びIML2b2)、及びIML3b(IML3b1及びIML3b2)と、ホログラフィック光学素子HOEの平面HMとブラッグ反射面BR(BR1、BR2、及びBR3)とがなす角θ1、θ2、及びθ3は、この順に角度が大きい(θ1<θ2<θ3)。つまり、角θ3は、角θ1及びθ2より大きく、角θ2は、角θ1より大きい。
【0046】
ブラッグ反射面BRでの当該角を異ならせるには、ホログラフィック光学素子HOEに、凹面鏡の効果を持たせればよい。
【0047】
角θ1、θ2、及びθ3を変えることにより、映像光IML1b、IML2b、及びIML3bの光路の距離である、距離FP1、FP2、及びFP3を変えることができる。距離FP1を長く、距離FP3を短くすることにより、フロントガラスWSD及び虚像VTI間の距離であって、映像光IML1に対応する距離AD1を長くし、映像光IML3に対応する距離AD3を短くすることができる。これにより、虚像VTIの奥行感を増やすことが可能である。
本構成例においても、実施形態と同様の効果を奏する。
【0048】
<構成例2>
図9は、実施形態における表示装置の他の構成例を示す図である。
図9に示した構成例では、
図5に示した構成例と比較して、表示パネルとホログラフィック光学素子の位置関係が異なっている。
【0049】
図5では、フロントガラスWSD及びユーザDRVの間に、ヘッドアップディスプレイHUDが配置されている。一方、
図9では、ヘッドアップディスプレイHUDは、フロントガラスWSD及びユーザDRVの間に配置されていない。
図9では、ヘッドアップディスプレイHUD及びユーザDRVの間に、フロントガラスWSDが配置されている。
【0050】
図9に示すホログラフィック光学素子HOEは、表示パネルPNLと平行に配置されている。
図9では、虚像VTIの上方の領域、中央の領域、及び下方の領域に該当する映像光IML1、IML2、及びIML3は、それぞれ、表示パネルPNLの上方の領域、中央の領域、及び下方の領域から出射される。
【0051】
図10は、
図9の一部を拡大した図である。
図10に示すヘッドアップディスプレイHUDでは、
図6と同様に、表示パネルPNLから出射した映像光IML1b、IML2b、及びIML3bと、ホログラフィック光学素子HOEの平面HMとブラッグ反射面BR1、BR2、及びBR3とのなす角θ1、θ2、及びθ3は、等しい(θ1=θ2=θ3)。
【0052】
図11は、車両内に設置された本構成例のヘッドアップディスプレイを示す図である。
図9で説明した通り、ヘッドアップディスプレイHUD及びユーザDRVの間に、フロントガラスWSDが配置されている。すなわち、
図11に示すヘッドアップディスプレイHUDは、車両VCLにおいて、フロントガラスWSDよりも前の領域に格納されている。ヘッドアップディスプレイHUDが占める空間を、車両VCLの内部でなく、外側に格納することにより、車両VCLのインテリアの配置の自由度を高めることが可能である。
本構成例においても、実施形態と同様の効果を奏する。
【0053】
<構成例3>
図12は、実施形態における表示装置の他の構成例を示す図である。
図12に示した構成例では、
図10に示した構成例と比較して、ホログラフィック光学素子の平面とブラッグ反射面とがなす角がそれぞれ異なるという点で異なっている。
図12に示すホログラフィック光学素子HOEは、
図8と同様に、表示パネルPNLと平行に配置されていない。
【0054】
図12に示すヘッドアップディスプレイHUDでは、表示パネルPNLの上方の領域、中央付近の領域、及び下方の領域から出射した映像光IML1b(IML1b1及びIML1b2)、IML2b(IML2b1及びIML2b2)、及びIML3b(IML3b1及びIML3b2)と、ホログラフィック光学素子HOEの平面HMとブラッグ反射面BRとがなす角θ1、θ2、及びθ3は、この順に角度が大きい(θ1<θ2<θ3)。
【0055】
角θ1、θ2、及びθ3を変えることにより、映像光IML1b、IML2b、及びIML3bの光路の距離である、距離FP1、FP2、及びFP3を変えることができる。距離FP1を長く、距離FP3を短くすることにより、フロントガラスWSD及び虚像VTI間の距離であって、映像光IML1に対応する距離AD1を長くし、映像光IML3に対応する距離AD3を短くすることができる。これにより、虚像VTIの奥行感を増やすことが可能である。
本構成例においても、実施形態と同様の効果を奏する。
【0056】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0057】
AD1…距離、AD2…距離、AD3…距離、BR…ブラッグ反射面、DRV…ユーザ、FP1…距離、FP2…距離、FP3…距離、HOE…ホログラフィック光学素子、HUD…ヘッドアップディスプレイ、ILD…照明装置、IML…映像光、IML1…映像光、IML2…映像光、IML3…映像光、PNL…表示パネル、BR…ブラッグ反射面、VCL…車両、VTI…虚像、WSD…フロントガラス。