(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024027927
(43)【公開日】2024-03-01
(54)【発明の名称】情報処理システム、情報処理装置、情報処理方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G01G 23/42 20060101AFI20240222BHJP
G01G 19/40 20060101ALI20240222BHJP
G01G 19/62 20060101ALI20240222BHJP
【FI】
G01G23/42 D
G01G19/40 A
G01G19/62
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022131127
(22)【出願日】2022-08-19
(71)【出願人】
【識別番号】511211287
【氏名又は名称】株式会社ヒメナ・アンド・カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100190621
【弁理士】
【氏名又は名称】崎間 伸洋
(74)【代理人】
【識別番号】100212510
【弁理士】
【氏名又は名称】笠原 翔
(72)【発明者】
【氏名】中尾 彰宏
(57)【要約】
【課題】電子スケールによる測定重量に基づいてユーザーに適切な指示を与えることができる情報処理システムを提供する。
【解決手段】情報処理システムは、被測定対象の重量を測定し、無線通信技術により測定重量を送信する機能を備えた電子スケールと、前記電子スケールから送信された前記測定重量を受信し、前記測定重量に基づいて計算処理を実行する端末装置とからなる。前記端末装置は、目標の重量を入力することにより、前記被測定対象の前記測定重量に基づいて前記被測定対象に対して加えるべき材料の重量を提示し、前記被測定対象に対して前記材料が加えられた場合、改めて前記電子スケールにより測定された前記測定重量を受信し、加えられた前記材料の重量を演算して表示する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被測定対象の重量を測定し、無線通信技術により測定重量を送信する機能を備えた電子スケールと、
前記電子スケールから送信された前記測定重量を受信し、前記測定重量に基づいて計算処理を実行する機能を備えた端末装置と、
からなることを特徴とする情報処理システム。
【請求項2】
前記端末装置は、前記測定重量に基づいて前記被測定対象の送料を計算する機能を備えていることを特徴とする請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項3】
前記端末装置は、目標の重量を入力することにより、前記被測定対象の前記測定重量に基づいて前記被測定対象に対して加えるべき材料の重量を提示し、前記被測定対象に対して前記材料が加えられた場合、改めて前記電子スケールにより測定された前記測定重量を受信し、加えられた前記材料の重量を演算して表示することを特徴とする請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項4】
前記端末装置は、完成品作成までの手順を案内するとともに、前記被測定対象の前記測定重量に基づいて前記被測定対象に対して加えるべき材料の重量を演算及び提示し、前記被測定対象に対して前記材料が加えられた場合、改めて前記電子スケールにより測定された前記測定重量を受信し、加えられた前記材料の重量を演算して表示することを特徴とする請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項5】
前記端末装置は、作業記録を保存する記憶部を備えていることを特徴とする請求項1~4のいずれかに記載の情報処理システム。
【請求項6】
前記端末装置は、作業記録に対する評価を行う評価部を備え、前記評価部によって評価された評価結果を前記記憶部に保存することを特徴とする請求項5に記載の情報処理システム。
【請求項7】
前記情報処理システムは、前記端末装置と通信可能なサーバを備え、
前記サーバは、前記手順、前記作業記録及び前記評価結果のうちの少なくともいずれかをサーバ記憶部に保存することを特徴とする請求項6に記載の情報処理システム。
【請求項8】
電子スケールから送信された被測定対象の測定重量を受信し、前記測定重量に基づいて計算処理を実行する機能を備えたことを特徴とする情報処理装置。
【請求項9】
前記情報処理装置は、前記測定重量に基づいて前記被測定対象の送料を計算する機能を備えていることを特徴とする請求項8に記載の情報処理装置。
【請求項10】
前記情報処理装置は、目標の重量を入力することにより、前記被測定対象の前記測定重量に基づいて前記被測定対象に対して加えるべき材料の重量を提示し、前記被測定対象に対して前記材料が加えられた場合、改めて前記電子スケールにより測定された前記測定重量を受信し、加えられた前記材料の重量を演算して表示することを特徴とする請求項8に記載の情報処理装置。
【請求項11】
前記情報処理装置は、完成品までの手順を案内するとともに、前記被測定対象の前記測定重量に基づいて前記被測定対象に対して加えるべき材料の重量を演算及び提示し、前記被測定対象に対して前記材料が加えられた場合、改めて前記電子スケールにより測定された前記測定重量を受信し、加えられた前記材料の重量を演算して表示することを特徴とする請求項8に記載の情報処理装置。
【請求項12】
被測定対象の重量を測定し、無線通信技術により測定重量を送信する送信ステップと、
前記送信ステップにより送信された前記測定重量を受信し、前記測定重量に基づいて計算処理を実行する計算処理ステップと、
を含むことを特徴とする情報処理方法。
【請求項13】
コンピュータに、
被測定対象の重量を測定し、無線通信技術により測定重量を送信する送信ステップと、
前記送信ステップにより送信された前記測定重量を受信し、前記測定重量に基づいて計算処理を実行する計算処理ステップと、
を含む制御処理を実行させることを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理システム、情報処理装置、情報処理方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
重量を測定するスケールは、様々な態様で用いられているが、ユーザーの操作性の観点から重量計測部分と測定結果表示部分とを別体とした構成もある。このような構成においては、Bluetooth(登録商標)規格のような無線通信技術により、重量計測部分で測定された重量を測定結果表示部分に送信する機構を備えている。
【0003】
上記のような重量計測部分と測定結果表示部分とが別体とした構成の具体例としては、授乳管理機能を有するスマートはかりが報告されている(例えば特許文献1参照。)。特許文献1のスマートはかりは、哺乳瓶の重さを量るハウジングフロントを備えており、このハウジングフロント内には、オブジェクトの重さを測定する重さセンサと、外部のスマートフォンと近距離無線通信する無線通信モジュールと、これらと通信してスマートはかりの動作を制御する制御部とが収容されている。この重さセンサが測定した哺乳瓶の重さデータは、無線通信モジュールを介してスマートフォンに伝送される。このような構成により、哺乳瓶の重さデータから授乳量を管理することができる。
【0004】
また、他の具体例としては、コーヒーの淹れ補助装置が報告されている(例えば特許文献2参照。)。特許文献2のコーヒー淹れ補助装置は、ディスプレイ、重量センサ、無線モジュールを備えた電子スケールと、ディスプレイ、振動部品、音源部品、無線モジュールを備えた装着装置とからなり、電子スケールの重量情報は無線モジュールを介して装着装置に伝送される。そして、装着装置内に構築されたアプリケーションによって、装着装置のディスプレイに電子スケールの重量情報を表示するとともに、電子スケールの重量情報に対応して振動部品を振動又は音源部品を作動させる。このような構成により、コーヒーの品質に影響を与えることなく、バリスタがコーヒーを淹れることを可能としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第6691979号
【特許文献2】実用新案登録第3221151号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載のスマートはかりでは、哺乳瓶の重さを量ることはできるものの、毎回調製されるミルクの濃度はまちまちであり、配合の微妙な差異により影響が出るような用途においては、適用することはできない。
【0007】
また、特許文献2に記載のコーヒーの淹れ補助装置では、専用の装着装置が必要であることと、コーヒーの淹れ方のみに特化したものであり、他の用途に適用することができない。
【0008】
そこで、本発明は、上記のような状況に鑑みてなされたものであり、電子スケールによる測定重量に基づいてユーザーに適切な指示を与えることができる情報処理システムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の情報処理システムは、被測定対象の重量を測定し、無線通信技術により測定重量を送信する機能を備えた電子スケールと、前記電子スケールから送信された前記測定重量を受信し、前記測定重量に基づいて計算処理を実行する機能を備えた端末装置と、からなることを特徴としている。
【0010】
本発明の情報処理システムにおいては、前記端末装置は、測定重量に基づいて前記被測定対象の送料を計算する機能を備えていることが好ましい。さらに、本発明の情報処理システムにおいては、前記端末装置は、目標の重量を入力することにより、前記被測定対象の前記測定重量に基づいて前記被測定対象に対して加えるべき材料の重量を提示し、前記被測定対象に対して前記材料が加えられた場合、改めて前記電子スケールにより測定された前記測定重量を受信し、加えられた前記材料の重量を演算して表示することが好ましい。
【0011】
本発明の情報処理システムにおいては、完成品作成までの手順を案内するとともに、前記被測定対象の前記測定重量に基づいて前記被測定対象に対して加えるべき材料の重量を演算及び提示し、前記被測定対象に対して前記材料が加えられた場合、改めて前記電子スケールにより測定された前記測定重量を受信し、加えられた前記材料の重量を演算して表示することが好ましい。
【0012】
本発明の情報処理システムにおいては、前記端末装置は、作業記録を保存する記憶部を備えていることが好ましい。また、本発明の情報処理システムにおいては、作業記録に対する評価を行う評価部を備え、前記評価部によって評価された評価結果を前記記憶部に保存することが好ましい。
【0013】
本発明の情報処理システムにおいては、前記端末装置と通信可能なサーバを備え、前記サーバは、前記手順、前記作業記録及び前記評価結果のうちの少なくともいずれかをサーバ記憶部に保存することが好ましい。
【0014】
また、本発明の情報処理装置は、電子スケールから送信された被測定対象の測定重量を受信し、前記測定重量に基づいて計算処理を実行する機能を備えたことを特徴としている。本発明の情報処理装置においては、前記測定重量に基づいて前記被測定対象の送料を計算する機能を備えていることが好ましい。本発明の情報処理装置においては、目標の重量を入力することにより、前記被測定対象の前記測定重量に基づいて前記被測定対象に対して加えるべき材料の重量を提示し、前記被測定対象に対して前記材料が加えられた場合、改めて前記電子スケールにより測定された前記測定重量を受信し、加えられた前記材料の重量を演算して表示することが好ましい。本発明の情報処理装置においては、完成品までの手順を案内するとともに、前記被測定対象の前記測定重量に基づいて前記被測定対象に対して加えるべき材料の重量を演算及び提示し、前記被測定対象に対して前記材料が加えられた場合、改めて前記電子スケールにより測定された前記測定重量を受信し、加えられた前記材料の重量を演算して表示することが好ましい。
【0015】
さらに、本発明の情報処理方法は、被測定対象の重量を測定し、無線通信技術により測定重量を送信する送信ステップと、前記送信ステップにより送信された前記測定重量を受信し、前記測定重量に基づいて計算処理を実行する計算処理ステップと、を含むことを特徴としている。
【0016】
また、本発明のプログラムは、被測定対象の重量を測定し、無線通信技術により測定重量を送信する送信ステップと、前記送信ステップにより送信された前記測定重量を受信し、前記測定重量に基づいて計算処理を実行する計算処理ステップと、を含む制御処理を実行させることを特徴としている。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、電子スケールによる測定重量に基づいてユーザーに適切な指示を与えることができる情報処理システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の一実施形態に係る情報処理システムを示す模式図である。
【
図2】本発明の情報処理システムにおける電子スケールのハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【
図3】本発明の情報処理システムにおける端末装置のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【
図4】本発明の情報処理システムを用いた送料計算の流れを示すフローチャートである。
【
図5】本発明の情報処理システムを用いたハイボール配合の流れを示すフローチャートである。
【
図6】本発明の情報処理システムを用いたマドレーヌ作りの流れを示すフローチャートである。
【
図7】本発明の情報処理システムを用いたコーヒー抽出の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の情報処理システムの実施形態について図面を用いて具体的に説明する。なお、本発明は下記の実施形態に限定されるものではない。
図1は、本発明の一実施形態に係る情報処理システムを示す模式図である。本発明の情報処理システムは、
図1に示されているように、電子スケール10と、測定重量に基づいた計算機能を備えたアプリケーションが動作する端末装置20とから構成されている。
【0020】
本発明における電子スケール10は、対象物の重量を測定する重量センサが内蔵された重量測定部11と、重量センサによる測定結果を表示する表示部12と、電源スイッチ13と、リセットボタン14とを備えた一般的な構成を有するものであるが、この電子スケール10においては、測定結果を無線通信技術により送信する機能が備えられている。以下の記載では、対象物の重量を測定し、測定結果を表示する構成を示したが、重量関連の情報、例えば対象物の目標重量等を端末装置から受信し、この受信情報を表示する構成とすることも可能である。
【0021】
図2は本発明の情報処理システムにおける電子スケールのハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
電子スケール10は、重量測定部11と、表示部12と、操作部15と、制御部16と、記憶部17と、通信部18と、を備えている。重量測定部11は、重量センサが内蔵されており、重量測定部11上に対象物を載置することによって対象物の重量を測定する機能を有する。本発明に用いられる重量センサとしては、ロードセルや静電容量式センサなどの一般的なセンサが利用できる。表示部12は、重量センサによる測定結果等を表示する機能を有する。このような表示部12は、液晶ディスプレイ等の公知のものが挙げられる。操作部15は、電源スイッチ13のオンオフ切り替えや、リセットボタン14の風袋引き等の機能を有する。制御部16は、重量測定部11、表示部12、操作部15、記憶部17及び通信部18に接続されており、これらの動作を制御する機能を有する。記憶部17は、重量測定部11において測定された重量の値を保存する機能を有する。通信部18は、重量測定部11において測定された重量の値を無線通信技術により送信する機能を有する。
【0022】
本発明における無線通信技術は、Bluetooth(登録商標)、Wi-Fi、赤外線通信等を利用することができるが、中でも、本発明においては、通信距離が比較的短いものの、消費電力が少ないといった特徴を有することからBluetooth(登録商標)であることが好ましい。
【0023】
本発明におけるアプリケーションが動作する端末装置20は、電子スケール10から送信された測定重量を受信し、この測定重量に基づいた計算機能を備えたものであれば、デスクトップ型PCやノート型PCであってもよいが、操作性に優れるとともに、小型軽量であるスマートフォン又はタブレットPCであることが好ましい。また、本発明における端末装置は、本発明の他の態様である情報処理装置でもある。
【0024】
図3は本発明の情報処理システムにおける端末装置のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
端末装置は、CPU(Central Processing Unit)21と、ROM(Read Only Memory)22と、RAM(Random Access Memoy)23と、バス24と、入出力インターフェース25と、入力部26と、出力部27と、記憶部28と、通信部29と、を備えている。
【0025】
CPU21は、ROM22に記録されているプログラム、又は記憶部28からRAM23にロードされたプログラムに従って各種の処理を実行する。RAM23には、CPU21が各種の処理を実行する上において必要なデータ等も適宜記憶される。CPU21、ROM22及びRAM23は、バス24を介して相互に接続されている。このバス24にはまた、入出力インターフェース25も接続されている。入出力インターフェース25には、入力部26、出力部27、記憶部28及び通信部29が接続されている。
【0026】
入力部26は、各種ハードウェア釦等で構成され、操作者の指示操作に応じて各種情報を入力する。出力部27は、液晶等のディスプレイにより構成され、各種画像を表示する。これらの入力部26及び出力部27は、タッチパネルを有している。
【0027】
記憶部28は、DRAM(Dynamic Random Access Memory)等で構成され、各種データを記憶する。通信部29は、Bluetooth(登録商標)を含む無線通信技術を介して他の装置(電子スケール10やサーバ等)との間で行う通信を制御する。
【0028】
このような
図3の端末装置の各種ハードウェアと各種ソフトウェアとの協働により、後述する各種処理の実行が可能になる。なお、図示されてはいないが、
図1の情報処理システムにサーバを構成要素として用いる場合においては、サーバも端末装置と同様な
図3に示すハードウェア構成を有している。このため、サーバのハードウェア構成についての説明は省略する。
【0029】
本発明の情報処理システムにおいて作動するアプリケーションとしては、電子スケール10により測定された重量に基づいた計算機能を備えたものであればいずれのものであってもよく、電子スケール10により1回又は複数回重量測定を行う単純工程の用途や、重量測定と混合作業又は抽出作業を繰り返す複雑工程の用途に対応するものが含まれる。
【0030】
単純工程の用途としては、測定重量に基づいて被測定対象の送料を計算することが挙げられる。郵便物や宅配便などの配送料金は、配送対象物の重量に基づいて決定されている。このようなサービスを利用するに際しては、予め送料が分かっていれば、送料を抑えたい場合には、内容物を減らしたり、同一送料で送付可能な範囲で内容物を増やしたり、あるいは、利用するサービスを変更することが容易になる。本発明において選択可能なサービスとしては、郵便局の定形郵便物、定形外郵便物や、宅配業者や運送会社の宅配便などがある。また、これらの配送サービスにおいては、速達、配達時間指定などのオプションサービス、或いは、持込割引、複数口割引などの割引サービスがあり、これらサービスもアプリケーション上で選択可能としている。
【0031】
本発明の情報処理システムにおいては、まず、電子スケールにより配送対象物の重量を測定し、この測定重量を無線通信技術により端末装置に送信する。端末装置で受信された測定重量情報は、端末装置にインストールされているアプリケーションに送られる。このアプリケーション上では、受信した重量の配送対象物が利用できるサービスが選択可能に表示される。この表示サービスの中から利用するサービスを選択すると、配送対象物の送料が計算され、アプリケーション上に表示される。この際、利用可能なサービスは、配送対象物の縦、横、高さの長さによって制限されるものもあるので、これらの長さについては予め確認又は計測しておく必要がある。
【0032】
また、本発明の情報処理システムの被測定対象の送料を計算する機能を備えた態様においては、配送を行った日時、利用したサービス、送料等を記録する機能を備えてもよく、この記録データは端末装置内の記憶部28だけではなく、端末装置と通信可能な外部のサーバ等の記憶部に保存してもよい。
【0033】
単純工程の他の用途としては、めんつゆ、カルピス(登録商標)のような原液を水で希釈して用いるものや、粉ミルクのような固体を液体に溶解して用いるものや、ドレッシング、カクテルのような複数の液体を混合するものや、ハイボールのような複数の液体と固体(氷)とを混ぜ合わせるもの等を調製することが挙げられる。これらの用途における従来の調製方法としては、目分量のような感覚的な基準が用いられてきたが、味覚に関する配合は極めて微妙な差異で感じ方が変わってしまう。そのため、たまたま好ましい配合ができても、この配合を厳密に再現することは難しかった。
【0034】
そこで、本発明の情報処理システムにおいては、まず、端末装置にインストールされているアプリケーション上で、目的とする調製物を選択するとともに、調製物の最終的な総重量を入力する。ここで、選択可能な調製物の情報は、アプリケーションに保存されているもののほか、外部のサーバ等に保存されており、必要に応じてダウンロードされるものでもよい。また、調製物における材料の配合比率等は好みに応じて適宜変更することができ、上記の外部サーバ等を利用して他のユーザーと共有してもよい。さらに、調製物の最終的な総重量は、器やグラスの大きさに応じて調整することができ、また、複数杯分や複数人分を一度に調製するための値であってもよい。
【0035】
すると、選択した調製物に必要となる各材料のそれぞれの重量が提示される。このアプリケーション上で提示された重量となるように、電子スケールにより測定しつつ材料を器に加えていき、各材料の測定重量をアプリケーションへと送信して記録していく。材料ごとにこの工程を繰り返すことにより、最終的には目的とする調製物が完成する。
【0036】
本発明の情報処理システムにおいては、作業記録を保存する機能を備えていてもよく、このような構成によれば、正確な配合を再現することが可能となる。本態様における作業記録の具体例としては、各材料の重量及び配合比率等が挙げられる。また、本発明の情報処理システムにおいては、作業記録に対する評価を保存する機能を備えていてもよく、このような構成によれば、好みの配合を選択し易くなる。本態様における作業記録に対する評価としては、味覚による好みの評価や、塩分や糖分を控えるような健康上の評価等が挙げられる。
【0037】
また、本発明の情報処理システムにおいては、この作業記録やこの作業記録に対する評価を、上記の端末装置の記憶部に保存してもよく、また、端末装置とは独立したサーバに保存してもよい。このサーバは、端末装置と通信可能であれば、個人的なネットワーク上に設けられたものでもよいが、他のユーザーがアクセス可能なネットワーク上に設けられたものが好ましい。このような態様であれば、他のユーザーに配合を再現してもらうことも、この配合を評価してもらうこともできる。
【0038】
複雑工程の用途としては、調理やお菓子作り等が挙げられる。本発明の情報処理システムのこの態様においては、アプリケーションは、手順を案内するとともに、加える材料の重量を提示し、電子スケールにより測定された材料の重量を受信及び表示することを特徴としている。このような用途においては、数人分を一度にまとめて作ることが多いために、何人分のものを作るか、または、何個作るかを設定する機能を設けることにより、その人数又は個数に応じて用いる材料を自動的に調整することが好ましい。
【0039】
この態様では、まず、端末装置にインストールされているアプリケーション上で作成する料理やお菓子のメニューを選択するとともに、何人分のもの又は何個作成するかを設定する。ここで、選択可能な料理やお菓子の情報は、アプリケーションに保存されているもののほか、外部のサーバ等に保存されており、必要に応じてダウンロードされるものでもよい。また、料理やお菓子における材料の配合比率等は好みに応じて適宜変更することができ、上記の外部サーバ等を利用して他のユーザーと共有してもよい。
【0040】
すると、アプリケーション上において設定人数分又は設定個数分の材料の重量が提示される。このアプリケーション上で提示された重量となるように、電子スケールにより測定しつつ材料を加えていき、実際の材料の測定重量をアプリケーションへと送信して記録していく。材料が複数ある場合には、材料ごとにこの工程を繰り返すことにより、それぞれの材料の正確な重量が記録される。
【0041】
次いで、アプリケーション上で指示される調理工程を行っていく。ここで、調理やお菓子作りのレシピにおいては、所定の時間継続して特定の動作をし続ける必要があったり、所定の待ち時間が必要になることもあるが、本発明におけるアプリケーションにおいては、これらの動作時間や待ち時間の経過状態を表示してもよい。また、レシピによっては、非常に大量に調理する際には、加熱時間等が不十分となることもあるため、一定以上の量を扱う場合には、注意事項をアプリケーション上に表示してもよい。さらには、本発明におけるアプリケーションにおいては、このような時間経過についても記入し、評価してもよい。
【0042】
そして、上記のような重量測定工程と調理工程とをアプリケーションに従って進めていくことにより、料理やお菓子ができあがる。この態様においても、正確なレシピを再現するために、作業記録を保存する機能を備えていてもよい。本態様における作業記録の具体例としては、各材料の重量及び配合比率、動作又は待ち時間、加熱又は冷却時間、温度等が挙げられる。また、好みのレシピを選択するために、作業記録に対する評価を保存する機能を備えていてもよい。本態様における作業記録に対する評価としては、美味しさ又は食感による好みの評価や、塩分や糖分を控えるような健康上の評価等が挙げられる。
【0043】
本発明の情報処理システムのこの態様においても、上記と同様に他のユーザーがアクセス可能なネットワーク上に設けられたサーバを使用し、レシピや作業記録及びその評価を共有することができる。レシピの共有は、数多くのレシピをサーバに準備しておき、必要なものを必要な時に端末装置にダウンロードしてもよく、また、良好にできた際のレシピやオリジナルなレシピなどをアップロードし、他のユーザーに利用可能とすることもできる。
【0044】
また、複雑工程の他の用途としては、コーヒー抽出等が挙げられる。コーヒーの抽出方法としては、透過法でも浸漬法でも適用可能である。本発明の情報処理システムのこの態様も上記の調理及びお菓子作りの態様と同様、アプリケーションは、手順を案内するとともに、加える材料の重量を提示し、電子スケールにより測定された材料の重量を受信及び表示することを特徴としている。この用途においては、何杯分のコーヒーを作るかを設定する機能を設けることにより、コーヒー粉及び注湯の重量を自動的に調整することができる。
【0045】
透過法の抽出方法について詳述すると、まず、アプリケーション上で何杯分のコーヒーを抽出するかを設定する。すると、アプリケーション上において設定人数分のコーヒー粉の重量が提示される。なお、コーヒー抽出におけるコーヒー粉の重量は、杯数に対して比例関係を有するものではないため、設定杯数に必要なコーヒー粉重量を補正する機能を有することが好ましい。次いで、コーヒーを抽出するドリッパーごと電子スケール上に載置し、電子スケールにより測定しつつ、上記の提示重量となるようにコーヒー粉をドリッパー内に加え、実際のコーヒー粉の測定重量をアプリケーションへと送信して記録する。この際、コーヒーの均質な抽出のために、注湯前にコーヒー粉の表面を平らに均しておくことが好ましい。
【0046】
次に、ドリッパー内のコーヒー粉に対して注湯していく。コーヒー粉を蒸らすために、1度目の注湯として約20gのお湯を回し掛ける。この回し掛けたお湯の重量は、電子スケールにより測定され、アプリケーションに送信され、記録される。このコーヒー粉の蒸らし工程は、お湯の回し掛け直後からの経過時間を記録することができ、これにより、コーヒー粉の蒸らし効果を一定にすることができる。
【0047】
続いて、2度目以降の注湯によりコーヒーの抽出を行う。2度目以降の注湯は、ドリッパーの中心に直径3cm程度の円を繰り返し描くようにお湯を注ぐ。この注湯により生じた泡が端まで広がったら、一旦注湯を止め、泡が消える前にさらにお湯を注ぐ。これを繰り返し、一杯当たり120gのお湯を2分30秒~3分かけて注ぐ。この注湯量は、電子スケールにより測定され、アプリケーションに送信され、記録される。
【0048】
さらに、この2度目以降の注湯開始からの抽出時間は、アプリケーション上で記録することもでき、上記の注湯量と共に参照することにより、抽出工程を再現することができる。ここで、一般的なコーヒーの抽出においては、抽出時間を短くすると、酸味が強くなるが、冷めてくるとコーヒー感が弱くなり、一方、抽出時間を長くすると、苦みが出て口当たりが悪くなるといった傾向がある。
【0049】
本態様の情報処理システムにおいては、上記のようにコーヒー粉の重量、注湯量、注湯時間等を作業記録として保存することができることから、特定条件で抽出されたコーヒーについて作業記録に対する評価をつけることができ、評価の高いコーヒーを正確に再現することができる。
【0050】
また、本発明の情報処理システムのこの態様においても、上記と同様に他のユーザーがアクセス可能なネットワーク上に設けられたサーバを使用し、作業記録やその評価を共有してもよい。さらには、コーヒー粉の種類別の淹れ方のコツ等をサーバ上で共有してもよい。
【0051】
本発明の情報処理システムにおける端末装置の上記の一連の処理は、ソフトウェアにより実行されるが、そのソフトウェアを構成するプログラムは、端末装置にネットワークや記録媒体からインストールされる。このようなプログラムを含む記録媒体は、ユーザーにプログラムを提供するために装置本体とは別に配布されるリムーバブルメディアにより構成されるだけでなく、装置本体に予め組み込まれた状態で各ユーザーに提供される記録媒体等で構成される。
【0052】
リムーバブルメディアは、例えば、磁気ディスク(フロッピディスクを含む)、光ディスク、又は光磁気ディスク等により構成される。光ディスクは、例えば、CD-ROM(Compact Disk-Read Only Memory)、DVD(Digital Versatile Disk)等により構成される。光磁気ディスクは、MD(Mini-Disk)等により構成される。また、装置本体に予め組み込まれた状態でユーザーに提供される記録媒体は、例えば、プログラムが記録されているROMや記憶部に含まれるハードディスク等で構成される。
【0053】
なお、本明細書において、記録媒体に記録されるプログラムを記述するステップは、その順序に沿って時系列的に行われる処理はもちろん、必ずしも時系列的に処理されなくとも、並列的或いは個別に実行される処理をも含むものである。また、本明細書において、システムの用語は、複数の装置や複数の手段等より構成される全体的な装置を意味するものとする。
【実施例0054】
次に、本発明の情報処理システムについて、実施例を用いてさらに詳細に説明する。
<実施例1>
送料計算の実施形態
本実施例は、配送対象物である、A4サイズの50ページ分の書類が入った角型2号の封書の送料を計算する態様を説明する。
図4は、本発明の情報処理システムを用いた送料計算の流れを示すフローチャートである。
【0055】
まず、電子スケール10の制御部16は、ステップS1-1において、重量測定部11上に上記の封書を載置し、配送対象物の重量を計量する。封書の重量は240gであった。
ステップS1-2において、制御部16は、ステップS1-1で計量された封書の重量を、Bluetooth(登録商標)によって電子スケール10の通信部18からスマートフォン20に送信する。
【0056】
次いで、スマートフォン20のCPU21は、送料計算用のアプリケーションを立ち上げ、ステップS2-1において、スマートフォン20の通信部29は、電子スケールから送信された封書の重量を受信する。
すると、ステップS2-2において、CPU21は、出力部27に、受信した封書の重量を表示させるとともに、この重量の封書を配送できる複数のサービスを選択可能に表示する。選択可能なサービスとしては、郵便局や配送業者の様々なサービスが挙げられる。
ステップS2-3において、選択可能なサービスから、ユーザーにより入力部26から特定のサービス、例えば定形外郵便を選択する操作がされたら、CPU21は、定形外郵便を選択する。
すると、ステップS2-4において、CPU21は、出力部27に、定形外郵便のサービスで選択可能なオプションを表示する。選択可能なオプションとしては、特定記録、簡易書留、一般書留、速達、代金引換が挙げられる。このオプションから速達を選択する操作がされたら、CPU21は、速達を選択する。
【0057】
その結果、ステップS2-5において、CPU21は、選択されたサービスと、軽量された配送対象物(封書)の重量に基づいて、配送対象物の送料を演算して、出力部27に表示する。なお、上記240gの封書の場合、送料の詳細は、定形外郵便(250g以内):250円に、速達:290円を加えた合計で540円であった。
ステップS2-6において、CPU21は、配送料を計算した日時、配送対象物の重量、選択されたサービス内容、計算された送料が記憶部28に記録させる。
【0058】
<実施例2>
ハイボール配合の実施形態
本実施例は、ハイボールを作成する態様を説明する。
図5は、本発明の情報処理システムを用いたハイボール作成の流れを示すフローチャートである。
【0059】
まず、スマートフォン20のCPU21は、ハイボール配合用のアプリケーションを立ち上げ、ステップS4-1において、作成するハイボールをシングルとするか又はダブルとするかの選択を促す表示を出力部27に表示する。ユーザーにより入力部26から作成するハイボールをシングルとするか又はダブルとするかが入力されたら、CPU21は、入力された選択を設定する。ここで、設定された選択はシングルとした。
【0060】
次に、ステップS4-2において、CPU21は、入力部26から入力された選択に基づいて、ウイスキーの目標重量を演算して、出力部27に表示させる。ここでは、演算したウイスキーの目標重量は30gであった。ウイスキーの目標重量は、記憶部28に保存されたレシピに基づくものであり、シングルウイスキーのハイボールにおいては、ウイスキーとソーダ水の重量比は1:3とした。このレシピは好みに応じて変更可能に保存されている。
【0061】
一方、電子スケール10の制御部16は、ステップS3-1において、重量測定部11上に氷を入れたグラスを載置し、リセットボタンを押し下げることにより、風袋引きを実行する。
次いで、ユーザーが上記S4-2で表示されたウイスキーの目標重量を参照して、グラスにウイスキーを入れたら、制御部16は、ステップS3-2において、電子スケール上のグラスに入れられたウイスキーの重量を測定する。ウイスキーの重量は31gであった。
ステップS3-3において、制御部16は、ステップS3-2で測定されたウイスキーの重量を、Bluetooth(登録商標)によって電子スケール10の通信部18からスマートフォン20に送信する。
【0062】
ステップS4-3において、スマートフォン20の通信部29は、電子スケール10から送信されたウイスキーの重量を受信する。
すると、ステップS4-4において、CPU21は、出力部27に、受信したウイスキーの重量を表示させ、これを記録部28において記録する。
【0063】
続いて、ステップS4-5において、CPU21は、入力部26から入力された選択に基づいて、ソーダ水の目標重量を演算して、出力部27に表示させる。ここでは、演算したソーダ水の目標重量は90gであった。ソーダ水の目標重量は、記憶部28に保存されたレシピに基づくものであり、シングルウイスキーのハイボールにおいては、ウイスキーとソーダ水の重量比が1:3とした。このレシピは好みに応じて変更可能に保存されている。
ステップS3-4において、制御部16は、氷とウイスキーの入ったグラスをのせた電子スケールの表示をゼロリセットする。次に、ユーザーが上記S4-5で表示されたソーダ水の目標重量を参照して、グラスにソーダ水を入れたら、制御部16は、ステップS3-5において、電子スケール上のグラスに入れられたソーダ水の重量を測定する。ソーダ水の重量は92gであった。
ステップS3-6において、制御部16は、ステップS3-5で測定されたソーダ水の重量を、Bluetooth(登録商標)によって電子スケールから10の通信部18からスマートフォン20に送信する。
【0064】
ステップS4-6において、スマートフォン20の通信部29は、電子スケール10から送信されたソーダ水の重量を受信する。
すると、ステップS4-7において、CPU21は、出力部27に、受信したソーダ水の重量を表示させ、これを記録部28において記録する。
【0065】
このようにして氷、ウイスキー及びソーダ水を配合したハイボールを作成した。さらに、ステップS4-8において、作成したハイボールについての評価を行い、スマートフォン20の入力部26からこの評価を入力し、記憶部28において記録する。ここで、ハイボール配合の評価としては、味やアルコール濃度、炭酸の強さ等の好みを基準としてもよい。本実施例においては、作成したハイボールの正確な配合が記録部28に記録されていることから、この配合のハイボールの再現が可能なことが示された。
【0066】
<実施例3>
マドレーヌ作りの実施形態
本実施例は、マドレーヌを作成する態様を説明する。
図6は、本発明の情報処理システムを用いたマドレーヌ作成の流れを示すフローチャートである。
【0067】
まず、スマートフォン20のCPU21は、マドレーヌ作り用のアプリケーションを立ち上げ、ステップS6-1において、マドレーヌの作成個数の入力を促す表示を出力部27に表示する。ユーザーにより入力部26から作成個数が入力されたら、CPU21は、入力された値を作成個数として設定する。ここで、設定された作成個数は12個とした。
すると、ステップS6-2において、CPU21は、入力部26から入力された作成個数に基づいて、卵の目標重量を演算して、出力部27に表示させる。ここでは、演算した卵の目標重量は60gであった。なお、この卵の目標重量並びに後述のバター、砂糖及び薄力粉の目標重量は、記憶部28に保存されたレシピ(マドレーヌ12個分の卵、バター、砂糖及び薄力粉の重量がそれぞれ60g、40g、40g及び50g)に基づくものであり、このレシピは好みに応じて変更可能に保存されている。
【0068】
一方、電子スケール10の制御部16は、ステップS5-1において、重量測定部11上に材料の攪拌用のボウルを載置し、リセットボタンを押し下げることにより、風袋引きを実施する。
ステップS5-2において、制御部16は、上記ステップS6-2で表示された目標重量を参照して、電子スケール上のボウルに卵1個を割り入れて卵の重量を測定する。卵の重量は58gであった。
ステップS5-3において、制御部16は、ステップS5-2で測定された卵の重量を、Bluetooth(登録商標)によって電子スケール10の通信部18からスマートフォン20に送信する。
【0069】
ステップS6-3において、スマートフォン20の通信部29は、電子スケール10から送信された卵の重量を受信する。
すると、ステップS6-4において、CPU21は、出力部27に、受信した卵の重量を表示させ、これを記録部28において記録する。ステップS6-5において、CPU21は、出力部27に、卵を十分に攪拌するよう作業指示を表示させる。これに従ってボウルを電子スケール上から作業しやすい状態に移動させて卵が白っぽくなるまで混ぜ合わせた。
【0070】
次に、ステップS6-6において、CPU21は、入力部26から入力された作成個数に基づいて、バターの目標重量を演算して、出力部27に表示させる。ここでは、演算したバターの目標重量は40gであった。
ステップS5-4において、ボウルを電子スケール上に戻し、制御部16は、卵の入ったボウルをのせた電子スケールの表示をゼロリセットする。次に、ユーザーが上記S6-6で表示されたバターの目標重量を参照して、ボウルにバターを入れたら、制御部16は、ステップS5-5において、電子スケール上のボウルに入れられたバターの重量を測定する。バターの重量は41gであった。
ステップS5-6において、制御部16は、ステップS5-5で測定されたバターの重量を、Bluetooth(登録商標)によって電子スケール10の通信部18からスマートフォン20に送信する。
【0071】
ステップS6-7において、スマートフォン20の通信部29は、電子スケール10から送信されたバターの重量を受信する。
すると、ステップS6-8において、CPU21は、出力部27に、受信したバターの重量を表示させ、これを記録部28において記録する。ステップS6-9において、CPU21は、上記の卵とバターを十分に混合するよう作業指示を出力部27に表示させる。これに従ってボウルを電子スケール上から作業しやすい状態に移動させて卵とバターを混ぜ合わせた。
【0072】
続いて、ステップS6-10において、CPU21は、入力部26から入力された作成個数に基づいて、砂糖の目標重量を演算して、出力部27に表示させる。ここでは、演算した砂糖の目標重量は40gであった。
ステップS5-7において、ボウルを電子スケール上に戻し、制御部16は、卵及びバターの入ったボウルをのせた電子スケールの表示をゼロリセットする。次に、ユーザーが上記S6-10で表示された砂糖の目標重量を参照して、ボウルに砂糖を入れたら、制御部16は、ステップS5-8において、電子スケール上のボウルに入れられた砂糖の重量を測定する。砂糖の重量は40gであった。
ステップS5-9において、制御部16は、ステップS5-8で測定された砂糖の重量を、Bluetooth(登録商標)によって電子スケールから10の通信部18からスマートフォン20に送信する。
【0073】
ステップS6-11において、スマートフォン20の通信部29は、電子スケール10から送信された砂糖の重量を受信する。
すると、ステップS6-12において、CPU21は、出力部27に、受信した砂糖の重量を表示させ、これを記録部28において記録する。ステップS6-13において、CPU21は、出力部27に、上記の卵及びバターの混合物と砂糖を十分に混合するよう作業指示を表示させる。これに従ってボウルを電子スケール上から作業しやすい状態に移動させて卵、バター及び砂糖を混ぜ合わせた。
【0074】
さらに、ステップS6-14において、CPU21は、入力部26から入力された作成個数に基づいて、薄力粉の目標重量を演算して、出力部27に表示させる。ここでは、演算した薄力粉の目標重量は50gであった。
ステップS5-10において、ボウルを電子スケール上に戻し、制御部16は、卵、バター及び砂糖の入ったボウルをのせた電子スケールの表示をゼロリセットする。次に、ユーザーが上記S6-14で表示された薄力粉の目標重量を参照して、ボウルに薄力粉を入れたら、制御部16は、ステップS5-11において、電子スケール上のボウルに入れられた薄力粉の重量を測定する。薄力粉の重量は50gであった。
ステップS5-12において、制御部16は、ステップS5-11で測定された薄力粉の重量を、Bluetooth(登録商標)によって電子スケール10の通信部18からスマートフォン20に送信する。
【0075】
ステップS6-15において、スマートフォン20の通信部29は、電子スケール10から送信された薄力粉の重量を受信する。
すると、ステップS6-16において、CPU21は、出力部27に、受信した薄力粉の重量を表示させ、これを記録部28において記録する。ステップS6-17において、CPU21は、出力部27に、上記の卵、バター及び砂糖の混合物と薄力粉を十分に混合するよう作業指示を表示させる。これに従ってボウルを電子スケール上から作業しやすい状態に移動させて卵、バター、砂糖及び薄力粉を混ぜ合わせた。
【0076】
次に、ステップS6-18において、ユーザーは、このボウルを密閉し、冷蔵庫内で30分間生地を寝かせた。この冷却工程においては、ユーザーは、スマートフォン20の入力部26上に設定された冷却開始ボタン及び冷却終了ボタンをタッチし、これにより、CPU21は、冷却時間を計測し、これを記録部28において記録する。
【0077】
そして、ステップS6-19において、ユーザーは、冷蔵庫から取り出した生地を、溶かしバターを塗ったマドレーヌ型に流し込み、軽くゆすってならした。次いで、ユーザーは、この型を170℃のオーブンで20分間焼いた。このオーブンの温度及び焼き時間についても、ユーザーは、スマートフォン20の入力部26から入力し、これにより、CPU21は、記憶部28において記録する。
【0078】
このようにして卵、バター、砂糖及び薄力粉を材料としたマドレーヌを作成した。さらに、ステップS6-20において、作成したマドレーヌについての評価を行い、スマートフォン20の入力部26からこの評価を入力し、記憶部28において記録する。ここで、マドレーヌ作りの評価としては、味や甘さ、焼き加減等の好みを基準としてもよい。本実施例においては、作成したマドレーヌの正確なレシピが記録部28に記録されていることから、このレシピのマドレーヌの再現が可能なことが示された。
【0079】
<実施例4>
コーヒー抽出の実施形態
本実施例は、コーヒーを抽出する態様を説明する。
図7は、本発明の情報処理システムを用いたコーヒー抽出の流れを示すフローチャートである。
【0080】
まず、スマートフォン20のCPU21は、コーヒー抽出用のアプリケーションを立ち上げ、ステップS8-1において、コーヒーの作成杯数の入力を促す表示を出力部27に表示する。ユーザーにより入力部26から作成杯数が入力されたら、CPU21は、入力された値を作成杯数として設定する。ここで、設定されたコーヒーの作成杯数は3杯とした。
すると、ステップS8-2において、CPU21は、入力部26から入力された作成杯数に基づいて、コーヒー粉の目標重量を演算して、出力部27に表示させる。ここでは、演算したコーヒー粉の目標重量は30gであった。なお、このコーヒー粉及び後述する注湯の目標重量は、記憶部28に保存されたレシピに基づくものであり、このレシピは好みに応じて変更可能に保存されている。
【0081】
一方、電子スケール10の制御部16は、ステップS7-1において、重量測定部11上にドリッパーを載置し、ドリッパーにフィルターをセットし、リセットボタンを押し下げることにより、風袋引きを実施する。
ステップS7-2において、制御部16は、上記ステップS8-2で表示された目標重量を参照して、電子スケール上のドリッパーに入れられたコーヒー粉の重量を測定する。コーヒー粉の重量は30gであった。
ステップS7-3において、制御部16は、ステップS7-2で測定されたコーヒー粉の重量を、Bluetooth(登録商標)によって電子スケール10の通信部18からスマートフォン20に送信する。
【0082】
ステップS8-3において、スマートフォン20の通信部29は、電子スケール10から送信されたコーヒー粉の重量を受信する。
すると、ステップS8-4において、CPU21は、出力部27に、受信したコーヒー粉の重量を表示させ、これを記録部28において記録する。ここで、スマートフォン20の出力部27は、コーヒー粉の表面を平らにならすよう作業指示を表示させる。これに従ってコーヒー粉の表面をならした。
【0083】
次に、ステップS8-5において、CPU21は、入力部26から入力された作成杯数に基づいて、蒸らし用注湯の目標重量を演算して、出力部27に表示させる。ここでは、演算した蒸らし用注湯の目標重量は20gであった。
ステップS7-4において、制御部16は、コーヒー粉の入ったドリッパーをのせた電子スケールの表示をゼロリセットする。次いで、ユーザーが上記S8-5で表示された蒸らし用注湯の目標重量を参照して、フィルター内のコーヒー粉上に95℃の熱湯を回し掛けたら、制御部16は、ステップS7-5において、電子スケール上のドリッパー内に回し掛けられた熱湯の重量を測定する。この熱湯の回し掛けにより、コーヒー粉を蒸らした。この蒸らし工程の熱湯の量は20gであった。
ステップS7-6において、制御部16は、ステップS7-5で測定された注湯の重量を、Bluetooth(登録商標)によって電子スケール10の通信部18からスマートフォン20に送信する。
【0084】
ステップS8-6において、スマートフォン20の通信部29は、電子スケール10から送信された注湯の重量を受信する。
すると、ステップS8-7において、CPU21は、出力部27に、受信した蒸らし用注湯の重量を表示させ、これを記録部28において記録する。また、ステップS8-8において、スマートフォン20の入力部26上に設定された注湯開始ボタン及び蒸らし終了ボタンにタッチし、蒸らし時間を計測し、これを記録部28において記録する。本実施例においては、蒸らし時間は20秒であった。
【0085】
次いで、ステップS8-9において、CPU21は、入力部26から入力された作成杯数に基づいて、抽出用注湯の目標重量を演算して、出力部27に表示させる。ここでは、演算した抽出用注湯の目標重量は365gであった。
ステップS7-7において、制御部16は、コーヒー粉の入ったドリッパーをのせた電子スケールの表示をゼロリセットする。次いで、ユーザーが上記S8-9で表示された注湯の目標重量を参照して、ドリッパーの中心に直径3cm程度の円を繰り返し描くように95℃の熱湯を注いだら、制御部16は、ステップS7-8において、電子スケール上のドリッパー内に注いだ熱湯の重量を測定する。この熱湯の回し掛けにより、コーヒーの抽出工程を行った。この際、注湯により生じた泡が端まで広がったら、一旦注湯を止め、泡が消える前にさらにお湯を注いだ。この抽出工程の熱湯の量は366gであった。
ステップS7-9において、制御部16は、ステップS7-8で測定された注湯の重量を、Bluetooth(登録商標)によって電子スケール10の通信部18からスマートフォン20に送信する。
【0086】
ステップS8-10において、スマートフォン20の通信部29は、電子スケール10から送信された注湯の重量を受信する。
すると、ステップS8-11において、CPU21は、出力部27に、受信した抽出用注湯の重量を表示させ、これを記録部28において記録する。また、ステップS8-12において、ユーザーは、スマートフォン20の入力部26上に設定された注湯開始ボタン及び抽出終了ボタンにタッチし、CPU21は、抽出時間を計測し、これを記録部28において記録する。本実施例においては、抽出時間は2分58秒であった。なお、抽出されたコーヒーは、1杯当たり119gであった。
【0087】
このようにしてコーヒー粉からコーヒーを抽出した。さらに、ステップS8-13において、抽出したコーヒーについての評価を行い、スマートフォン20の入力部26からこの評価を入力し、記憶部28において記録する。ここで、コーヒー抽出の評価としては、味やコク、風味等の好みを基準としてもよい。本実施例においては、抽出したコーヒーの正確なレシピが記録部28に記録されていることから、このレシピのコーヒーの再現が可能なことが示された。
【0088】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。