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  • 特開-コネクタ付きケーブル 図1
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  • 特開-コネクタ付きケーブル 図4
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024027934
(43)【公開日】2024-03-01
(54)【発明の名称】コネクタ付きケーブル
(51)【国際特許分類】
   H05K 1/18 20060101AFI20240222BHJP
   H05K 1/02 20060101ALI20240222BHJP
   H05K 3/34 20060101ALI20240222BHJP
   H01R 24/60 20110101ALI20240222BHJP
   H01R 4/02 20060101ALI20240222BHJP
   H02G 15/08 20060101ALI20240222BHJP
【FI】
H05K1/18 F
H05K1/02 C
H05K3/34 501A
H01R24/60
H01R4/02 Z
H02G15/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022131135
(22)【出願日】2022-08-19
(71)【出願人】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001416
【氏名又は名称】弁理士法人信栄事務所
(72)【発明者】
【氏名】桜井 渉
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 昌輝
(72)【発明者】
【氏名】山崎 信之
【テーマコード(参考)】
5E085
5E223
5E319
5E336
5E338
5G375
【Fターム(参考)】
5E085BB02
5E085BB03
5E085BB08
5E085DD01
5E085HH01
5E085JJ36
5E223AB18
5E223BA06
5E223BB01
5E223CD01
5E223EA02
5E223FA14
5E319AA03
5E319AA07
5E319AB10
5E319AC12
5E319BB05
5E319CC22
5E319GG03
5E336AA04
5E336BB01
5E336BB02
5E336BC01
5E336BC15
5E336BC25
5E336CC59
5E336DD16
5E336EE01
5E336GG16
5E338AA01
5E338AA02
5E338BB02
5E338BB13
5E338BB16
5E338BB19
5E338BB75
5E338EE26
5G375CA02
5G375CA12
(57)【要約】
【課題】ケーブルとコネクタの接続強度をさらに高めることができるコネクタ付きケーブルを提供する。
【解決手段】コネクタ付きケーブル1は、基板41を含むコネクタ20と、複数本の絶縁電線11を含むケーブル10と、を有し、絶縁電線11はそれぞれ基板41にはんだ付けされ、基板41は、絶縁電線11がはんだ付けされる箇所の少なくとも一つに孔部43を有し、はんだ44が前記孔部の少なくとも一部に入り込んでいる。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を含むコネクタと、
複数本の絶縁電線を含むケーブルと、を有し、
前記絶縁電線はそれぞれ前記基板にはんだ付けされ、
前記基板は、前記絶縁電線がはんだ付けされる箇所の少なくとも一つに孔部を有し、
はんだが前記孔部の少なくとも一部に入り込んでいる、
コネクタ付きケーブル。
【請求項2】
前記孔部が前記基板を貫通するように設けられている、請求項1に記載のコネクタ付きケーブル。
【請求項3】
前記孔部の直径が、0.4mm以上、1.6mm以下である請求項1または請求項2に記載のコネクタ付きケーブル。
【請求項4】
前記孔部を有するパッドにはんだ付けされる前記絶縁電線の導体断面積が0.12mm以上である請求項1または請求項2に記載のコネクタ付きケーブル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、コネクタ付きケーブルに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、ケーブルが基板に接続されるコネクタ付きケーブルを開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2020/049890号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
コネクタ付きケーブルでは、ケーブルに含まれる比較的太い電線が、基板にはんだ付けされた状態であったのに、ケーブルを動かした際に当該太い電線が基板から剥離することがあるなど、改善の余地があった。そこで本発明は、電線と基板の接続強度をさらに高めることができるコネクタ付きケーブルを提供することを目的とする。
【0005】
本開示は、絶縁電線と基板の接続強度をさらに高めることができるコネクタ付きケーブルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様に係るコネクタ付きケーブルは、
基板を含むコネクタと、
複数本の絶縁電線を含むケーブルと、を有し、
前記絶縁電線はそれぞれ前記基板にはんだ付けされ、
前記基板は、前記絶縁電線がはんだ付けされる箇所の少なくとも一つに孔部を有し、
はんだが前記孔部の少なくとも一部に入り込んでいる、
コネクタ付きケーブル。
【発明の効果】
【0007】
上記構成によれば、絶縁電線と基板の接続強度を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、本開示に係るコネクタ付きケーブルの一例を示す概略図である。
図2図2は、実施例に係るコネクタ付きケーブルの分解上面図である。
図3図3は、図2に示すコネクタ付きケーブルのA-A断面図である。
図4図4は、図2に示すコネクタ付きケーブルの別の実施例におけるA-A断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施形態を列記して説明する。
本開示の一態様に係るコネクタ付きケーブルは、
(1)基板を含むコネクタと、
複数本の絶縁電線を含むケーブルと、を有し、
前記絶縁電線はそれぞれ前記基板にはんだ付けされ、
前記基板は、前記絶縁電線がはんだ付けされる箇所の少なくとも一つに孔部を有し、
はんだが前記孔部の少なくとも一部に入り込んでいる、
コネクタ付きケーブル。
この構成によれば、絶縁電線が基板にはんだ付けされる際に、孔部とはんだとの間にアンカー効果が働くため、絶縁電線と基板の接続強度を高めることができる。
【0010】
(2)上記(1)において、前記孔部が前記基板を貫通するように設けられていてもよい。
この構成によれば、孔部が基板を貫通するように設けられることで、アンカー効果がより強く働くようになるため、絶縁電線と基板の接続強度を高めることができる。
【0011】
(3)上記(1)または(2)において、前記孔部の直径が、0.4mm以上、1.6mm以下であってもよい。
この構成によれば、孔部の直径を0.4mm以上、1.6mm以下の範囲とすることで、孔部にはんだが入り込みやすくなる。このため、アンカー効果が働きやすくなり、ケーブルと基板の接続強度を高めることができる。
【0012】
(4)上記(1)から(3)のいずれかにおいて、前記孔部を有するパッドにはんだ付けされる前記絶縁電線の導体断面積が0.12mm以上であってもよい。
この構成によれば、基板に孔部を設けているため、絶縁電線と基板の接続強度が高まり、導体断面積が0.12mm以上の太い絶縁電線であっても絶縁電線と基板の接続を維持することができる。
【0013】
[本開示の実施形態の詳細]
本開示の実施形態に係るコネクタ付きケーブル1の具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。なお、本発明はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0014】
なお、図1等に示すU、D、F、B、R、Lはコネクタ付きケーブル1における方向を示すものであり、Uは上方、Dは下方、Fは前方、Bは後方、Rは右方、Lは左方である。なお、図1は上方Uからの上面視による上面図である。
【0015】
図1は、本開示の実施形態に係るコネクタ付きケーブル1の一例を示す概略図である。また、本実施形態に係るコネクタ付きケーブル1は、例えば、電子機器(図示省略)同士を接続するのに用いることができ、ケーブル10の端部にコネクタ20が設けられている。コネクタ付きケーブル1は、図1に示したように、ケーブル10と、コネクタ20を有している。
【0016】
図2は、本実施形態に係るコネクタ付きケーブル1のハウジング21を外した状態の上面図である。図2に示したように、ケーブル10は、複数本の絶縁電線11が外被14で覆われた構成の多芯ケーブルである。
【0017】
本実施形態においてケーブル10は、複数本の絶縁電線11と、編組13と、外被14と、を有している。編組13は絶縁電線11の外周に設けられ、絶縁電線11内部に流れる信号の漏洩を抑制したり、外部電波が絶縁電線11内部に侵入することを抑制したりする。外被14は編組13の外周に設けられ、編組13の損傷を抑制する。
絶縁電線11は導体15と絶縁被覆16を有している。絶縁被覆16は導体15の周囲を覆い、導体15を保護するとともに、導体15を周囲と電気的に絶縁させている。
【0018】
ケーブル10の端部において、外被14は第一所定長さだけ切除されており、編組13が折り返されて絶縁電線11が露出されている。絶縁電線11は端部において、さらに導体15を所定長だけ露出させている。
【0019】
ケーブル10の一端に設けられたコネクタ20は、接続部30を有する。以降の説明において、説明の都合上、コネクタ20の中央部から接続部30に向かう方向を前方F、前方Fと反対向きでコネクタ20の中央部から絶縁電線11に向かう方向を後方Bと呼ぶ。接続部30は、前方Fに向かって突出している。接続部30には、複数の機器側電極部31が設けられている。コネクタ付きケーブル1が電子機器に接続されると、これら機器側電極部31が電子機器内の配線と電気的に接続される。
【0020】
コネクタ20は、基板41と、基板41を覆うハウジング21を有している。基板41は、接続部30を有している。本実施形態において、接続部30は基板41の前部の一部として構成されている。
【0021】
基板41の上面には、パッド42と、機器側電極部31と、パッド42と機器側電極部31とを電気的に接続する配線部45とが設けられている。パッド42には少なくとも一つの絶縁電線11が電気的に接続される。これらパッド42、機器側電極部31、配線部45は、基板41の上面にメッキ、金属膜の蒸着などの手法により形成することができる。
【0022】
次に図3を参照し、絶縁電線11とパッド42との接続箇所における、基板41に設けられた孔部43の働きを詳細に説明する。図3図2に示すコネクタ付きケーブル1のA-A断面図である。
【0023】
図3に示したように、基板41上に設けられたパッド42の上面に、絶縁電線11から露出された導体15がはんだ44によって物理的および電気的に接続されている。基板41およびパッド42には孔部43が設けられており、導体15をパッド42に接続するはんだ44が孔部43に流入している。孔部43はパッド42を貫通して基板41に連通している。つまり、パッド42の上面を流れるはんだ44は、パッド42の開口を介して、基板41に設けられた孔部43に流入する。
【0024】
孔部43にはんだ44が流入することで、孔部43を設けない場合と比較して、はんだ44と基板41の間の接触面積が大きくなる。これにより、導体15に前後方向(FB方向)および左右方向(LR方向)に力がかかっても、はんだ44と基板41との接触面積が大きく確保されているため、導体15が基板41から脱落しにくくなる。また、孔部43に流入したはんだ44は孔部43内で突っ張るため、導体15が基板41から脱落しにくくなる。
このように基板41に孔部43を設けることによって、孔部43に流入したはんだがアンカー効果を奏する。このような理由で導体15と基板41が強固に接続される。このため、絶縁電線11と基板41の接続強度が高められている。
【0025】
図3には、孔部43全体に亘ってはんだ44が流入している例が開示されているが、はんだ44は孔部43の途中まで流入する状態でもよい。
【0026】
なお図3に示したように、孔部43は基板41のうち、パッド42が設けられる部位に開口していてもよい。はんだ44はパッド42に付着させるので、パッド42に付着したはんだ44が孔部43に流れ込みやすいからである。この場合、パッド42に孔部43に対応する位置に貫通孔が設けられていてもよい。
もっとも、孔部43は基板41のうち、パッド42が設けられていない部位に開口していてもよい。この場合でも、パッド42からはみ出したはんだが孔部43に流入することで同様に導体15と基板41との接続強度を高めることができる。この場合には、パッド42に貫通孔が設けられていなくてもよい。
【0027】
図4は、図2に示すコネクタ付きケーブル1の別の実施例におけるA-A断面図である。図4に示すように、孔部43は基板41を貫通するように設けられていてもよい。これにより、はんだ44の基板41との接触面積を大きく確保しやすくなる。また、孔部43を加工しやすくなる。
【0028】
また、図4に示すように、孔部43に流入したはんだ44は、基板41の下面(はんだを付着させる面とは反対側の面:下方向Dの表面)にはんだ溜り46を形成していてもよい。はんだ溜り46が形成されると、はんだ44は基板41の下面とも接触し、はんだ44と基板41の接触表面積がさらに大きくなり、はんだ44と基板41の間に働くアンカー効果がさらに高まる。また、上方向Uに対して引っ張る力に関しては、はんだ溜り46が基板41に引っ掛かるため、より高いアンカー効果を得ることができる。よって、絶縁電線11と基板41の接続強度を高めることができる。
なお、図4には孔部43全体に亘ってはんだ44が流入している例が開示されているが、はんだ44は孔部43の途中まで流入する状態でもよい。
【0029】
なお、基板41に設けられる孔部43の径は小さすぎると、はんだ44が流入しづらく、大きすぎると基板41のパッド42上に複数の孔部43を設置しにくくなるため、孔部43は直径0.4mm以上、1.6mm以下であることが望ましい。
【0030】
上述のように基板41に孔部43を設けることによって、基板41と導体15の接続強度が高まるため、基板41に接続される導体15は太いものを採用することができる。例えば導体断面積が0.12mm以上の絶縁電線11を採用することができる。
【0031】
なお、図示した例ではすべてのパッド42に複数の孔部が設けられているが、本実施形態はこれに限られない。例えば複数のパッド42のうちに孔部を有しないパッドがあってもよい。また、パッド42に設けられる孔部は複数でも良いし、一つであってもよい。
【0032】
基板41に孔部43を設けた場合の接続強度向上効果を確かめるために、導体15と基板41とが接続されている箇所に対して、引張試験を行った。その結果を表1に示す。
引張試験はサンプル1から4に対して行った。サンプル2から4にはパッドに少なくとも一つの孔が設けられており、サンプル1のパッドには孔が設けられていない。引張試験を行ったサンプル1から4において、電線のサイズおよびパッドの大きさは同一である。また、サンプル1から4において、パッドは0.8mm×0.8mmの大きさのものを用いた。
【0033】
【表1】
【0034】
引張試験はパッドに対して電線が垂直方向(上方向U)に延出されるように電線を持ち上げてはんだ付け部をパッドから上に引っ張り、はんだ付け部がパッドから剥がれる時の引張力(最大引張強度)を測定した。引張強度が5Nを超える条件を接続強度良好(表1におけるA)、5Nを超えない条件を接続強度不良(表1におけるB)とした。
その結果、表1に示すようにパッドに孔が設けられていないサンプル1は引張強度が低く、接続強度不良であったのに対し、パッドに孔が設けられているサンプル2から4は接続強度良好であり、孔径の大きさと孔数に応じてその最大引張強度は大きくなることが確認できた。
【0035】
以上、本開示の実施形態について説明をしたが、本開示の技術的範囲が本実施形態の説明によって限定的に解釈されるべきではないのは言うまでもない。本実施形態は単なる一例であって、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内において、様々な実施形態の変更が可能であることが当業者によって理解されるところである。本開示の技術的範囲は特許請求の範囲に記載された発明の範囲及びその均等の範囲に基づいて定められるべきである。
【符号の説明】
【0036】
1:コネクタ付きケーブル
10:ケーブル
11:絶縁電線
13:編組
14:外被
15:導体
16:絶縁被覆
20:コネクタ
21:ハウジング
30:接続部
31:機器側電極部
41:基板
42:パッド
43:孔部
44:はんだ
45:配線部
46:はんだ溜り
図1
図2
図3
図4