(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024027947
(43)【公開日】2024-03-01
(54)【発明の名称】取引異常検知装置、取引異常検知方法、および、取引異常検知プログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 40/12 20230101AFI20240222BHJP
【FI】
G06Q40/00 400
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022131169
(22)【出願日】2022-08-19
(71)【出願人】
【識別番号】398040527
【氏名又は名称】株式会社オービック
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】蒲原 崇士
(72)【発明者】
【氏名】新田 駿侍
(72)【発明者】
【氏名】小関 峻介
(72)【発明者】
【氏名】上野 剛光
【テーマコード(参考)】
5L055
【Fターム(参考)】
5L055BB63
(57)【要約】
【課題】業務におけるトランザクションデータ内で、社員と業者との組み合わせでの不正により登録されたデータを自動で検知して通知することができる取引異常検知装置、取引異常検知方法、および、取引異常検知プログラムを提供することを課題とする。
【解決手段】経費データに基づいて、所定期間における担当社員と支払先との組み合わせ毎の経費の変遷データを作成し、変遷データに基づいて、経費の変遷が所定不正基準を満たすか否かを判定し、経費の変遷が所定不正基準を満たすと判定された場合、アラートを出力させる。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
記憶部と制御部とを備えた取引異常検知装置であって、
前記記憶部は、
経費の会計年月、担当社員、支払先、および、経費金額を紐付けて設定した経費データを記憶する業務記憶手段、
を備え、
前記制御部は、
前記経費データに基づいて、所定期間における前記担当社員と前記支払先との組み合わせ毎の前記経費の変遷データを作成する変遷作成手段と、
前記変遷データに基づいて、前記経費の変遷が所定不正基準を満たすか否かを判定する変遷判定手段と、
前記変遷判定手段により前記経費の前記変遷が前記所定不正基準を満たすと判定された場合、アラートを出力させる経費出力手段と、
を備えたことを特徴とする取引異常検知装置。
【請求項2】
前記変遷作成手段は、
前記経費データに基づいて、前記所定期間における前記担当社員と前記支払先との組み合わせ毎の前記経費の経費件数を含む前記変遷データを作成し、
前記変遷判定手段は、
前記変遷データに基づいて、前記経費件数を四分位範囲の第三四分位数となる件数に所定経費件数を加算した上限値を算出し、前記経費件数が前記上限値以上であるか否かを判定し、
前記経費出力手段は、
前記変遷判定手段により前記経費件数が前記上限値以上であると判定された場合、前記アラートを出力させることを特徴とする請求項1に記載の取引異常検知装置。
【請求項3】
前記変遷作成手段は、
前記経費データに基づいて、前記所定期間における前記担当社員と前記支払先との組み合わせ毎の前記経費の経費件数および経費平均金額を含む前記変遷データを作成し、
前記経費出力手段は、
更に、前記変遷判定手段により前記所定不正基準を満たすと判定された前記変遷の前記変遷データに含まれる前記経費の前記経費件数または前記経費平均金額を前記支払先別に集計した支払先別比較グラフデータを表示させることを特徴とする請求項1に記載の取引異常検知装置。
【請求項4】
前記変遷作成手段は、
前記経費データに基づいて、前記所定期間における前記担当社員と前記支払先との組み合わせ毎の前記経費の経費件数および経費平均金額を含む前記変遷データを作成し、
前記経費出力手段は、
更に、前記変遷判定手段により前記所定不正基準を満たすと判定された前記変遷の前記変遷データに含まれる前記経費の前記経費件数または前記経費平均金額を前記担当社員別に集計した担当社員別比較グラフデータを表示させることを特徴とする請求項1に記載の取引異常検知装置。
【請求項5】
前記変遷作成手段は、
前記経費データに基づいて、前記所定期間における前記担当社員と前記支払先との組み合わせ毎の前記経費の経費平均件数を含む前記変遷データを作成し、
前記経費出力手段は、
更に、前記変遷判定手段により前記所定不正基準を満たすと判定された前記変遷の前記変遷データに含まれる前記経費の前記経費平均件数の推移、および/または、前記変遷判定手段により前記所定不正基準を満たさないと判定された前記変遷の前記変遷データに含まれる前記経費の前記経費平均件数の推移の経費平均件数推移データを表示させることを特徴とする請求項1に記載の取引異常検知装置。
【請求項6】
前記変遷作成手段は、
前記経費データに基づいて、前記所定期間における前記担当社員と前記支払先との組み合わせ毎の前記経費の1伝票当たりの経費平均金額を含む前記変遷データを作成し、
前記経費出力手段は、
更に、前記変遷判定手段により前記所定不正基準を満たすと判定された前記変遷の前記変遷データに含まれる前記経費の前記1伝票当たりの経費平均金額の推移、および/または、前記変遷判定手段により前記所定不正基準を満たさないと判定された前記変遷の前記変遷データに含まれる前記経費の前記1伝票当たりの経費平均金額の推移の経費平均金額推移データを表示させることを特徴とする請求項1に記載の取引異常検知装置。
【請求項7】
前記業務記憶手段は、
前記経費の伝票、前記会計年月、前記担当社員、前記支払先および前記経費金額を紐付けて設定した前記経費データ、ならびに、前記伝票および前記伝票の承認者を紐付けて設定した承認データを記憶し、
前記変遷判定手段は、
更に、前記承認データに基づいて、前記所定不正基準を満たすと判定した前記変遷の前記変遷データを前記承認者別に集計した承認者別変遷データを作成することを特徴とする請求項1に記載の取引異常検知装置。
【請求項8】
前記変遷作成手段は、
前記経費データに基づいて、前記所定期間における前記担当社員と前記支払先との組み合わせ毎の前記経費の経費件数を含む前記変遷データを作成し、
前記経費出力手段は、
更に、前記承認者別変遷データに含まれる前記承認者別に集計された前記経費の前記経費件数の推移の承認者別件数推移データを表示させることを特徴とする請求項7に記載の取引異常検知装置。
【請求項9】
前記変遷作成手段は、
前記経費データに基づいて、前記所定期間における前記担当社員と前記支払先との組み合わせ毎の前記経費の経費平均金額を含む前記変遷データを作成し、
前記経費出力手段は、
更に、前記承認者別変遷データに含まれる前記承認者別に集計された前記経費の前記経費平均金額の推移の承認者別平均金額推移データを表示させることを特徴とする請求項7に記載の取引異常検知装置。
【請求項10】
前記経費出力手段は、
更に、前記承認者別変遷データに含まれる前記承認者別に集計された前記経費が設定された前記経費データ、および、前記承認データの明細一覧を表示させることを特徴とする請求項7から9のいずれか一つに記載の取引異常検知装置。
【請求項11】
前記変遷作成手段は、
前記経費データおよび前記承認データに基づいて、前記所定期間における前記担当社員と前記支払先との組み合わせ毎の前記経費を前記承認者別に集計した前記変遷データを作成し、
前記変遷判定手段は、
前記変遷データに基づいて、前記承認者別の前記経費の変遷が前記所定不正基準を満たすか否かを判定することを特徴とする請求項7に記載の取引異常検知装置。
【請求項12】
前記経費データは、
更に、事業所、および、担当部門が紐付けて設定され、
前記変遷作成手段は、
前記事業所および/または前記担当部門が指定された場合、当該事業所および/または当該担当部門が設定された前記経費データを前記業務記憶手段から抽出し、当該経費データに基づいて、前記所定期間における前記担当社員と前記支払先との組み合わせ毎の前記経費の前記変遷データを作成することを特徴とする請求項1から9のいずれか一つに記載の取引異常検知装置。
【請求項13】
記憶部と制御部とを備えた取引異常検知装置に実行させるための取引異常検知方法であって、
前記記憶部は、
経費の会計年月、担当社員、支払先、および、経費金額を紐付けて設定した経費データを記憶する業務記憶手段、
を備え、
前記制御部で実行させる、
前記経費データに基づいて、所定期間における前記担当社員と前記支払先との組み合わせ毎の前記経費の変遷データを作成する変遷作成ステップと、
前記変遷データに基づいて、前記経費の変遷が所定不正基準を満たすか否かを判定する変遷判定ステップと、
前記変遷判定ステップにて前記経費の前記変遷が前記所定不正基準を満たすと判定された場合、アラートを出力させる経費出力ステップと、
を含むことを特徴とする取引異常検知方法。
【請求項14】
記憶部と制御部とを備えた取引異常検知装置に実行させるための取引異常検知プログラムであって、
前記記憶部は、
経費の会計年月、担当社員、支払先、および、経費金額を紐付けて設定した経費データを記憶する業務記憶手段、
を備え、
前記制御部において、
前記経費データに基づいて、所定期間における前記担当社員と前記支払先との組み合わせ毎の前記経費の変遷データを作成する変遷作成ステップと、
前記変遷データに基づいて、前記経費の変遷が所定不正基準を満たすか否かを判定する変遷判定ステップと、
前記変遷判定ステップにて前記経費の前記変遷が前記所定不正基準を満たすと判定された場合、アラートを出力させる経費出力ステップと、
を実行させるための取引異常検知プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、取引異常検知装置、取引異常検知方法、および、取引異常検知プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、外注費の時系列的な変化傾向パターンを類型化し、新たな外注費の時系列データに対して機械学習により、不正経費を検出する構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1記載の発明においては、個人と業者とが癒着する経費不正が全業界で増加傾向にあるが、早期発見・対処することができないという課題があった。
【0005】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであって、業務におけるトランザクションデータ内で、社員と業者との組み合わせでの不正により登録されたデータを自動で検知して通知することができる取引異常検知装置、取引異常検知方法、および、取引異常検知プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る取引異常検知装置は、記憶部と制御部とを備えた取引異常検知装置であって、前記記憶部は、経費の会計年月、担当社員、支払先、および、経費金額を紐付けて設定した経費データを記憶する業務記憶手段、を備え、前記制御部は、前記経費データに基づいて、所定期間における前記担当社員と前記支払先との組み合わせ毎の前記経費の変遷データを作成する変遷作成手段と、前記変遷データに基づいて、前記経費の変遷が所定不正基準を満たすか否かを判定する変遷判定手段と、前記変遷判定手段により前記経費の前記変遷が前記所定不正基準を満たすと判定された場合、アラートを出力させる経費出力手段と、を備えたことを特徴とする。
【0007】
また、本発明に係る取引異常検知装置において、前記変遷作成手段は、前記経費データに基づいて、前記所定期間における前記担当社員と前記支払先との組み合わせ毎の前記経費の経費件数を含む前記変遷データを作成し、前記変遷判定手段は、前記変遷データに基づいて、前記経費件数を四分位範囲の第三四分位数となる件数に所定経費件数を加算した上限値を算出し、前記経費件数が前記上限値以上であるか否かを判定し、前記経費出力手段は、前記変遷判定手段により前記経費件数が前記上限値以上であると判定された場合、前記アラートを出力させることを特徴とする。
【0008】
また、本発明に係る取引異常検知装置において、前記変遷作成手段は、前記経費データに基づいて、前記所定期間における前記担当社員と前記支払先との組み合わせ毎の前記経費の経費件数および経費平均金額を含む前記変遷データを作成し、前記経費出力手段は、更に、前記変遷判定手段により前記所定不正基準を満たすと判定された前記変遷の前記変遷データに含まれる前記経費の前記経費件数または前記経費平均金額を前記支払先別に集計した支払先別比較グラフデータを表示させることを特徴とする。
【0009】
また、本発明に係る取引異常検知装置において、前記変遷作成手段は、前記経費データに基づいて、前記所定期間における前記担当社員と前記支払先との組み合わせ毎の前記経費の経費件数および経費平均金額を含む前記変遷データを作成し、前記経費出力手段は、更に、前記変遷判定手段により前記所定不正基準を満たすと判定された前記変遷の前記変遷データに含まれる前記経費の前記経費件数または前記経費平均金額を前記担当社員別に集計した担当社員別比較グラフデータを表示させることを特徴とする。
【0010】
また、本発明に係る取引異常検知装置において、前記変遷作成手段は、前記経費データに基づいて、前記所定期間における前記担当社員と前記支払先との組み合わせ毎の前記経費の経費平均件数を含む前記変遷データを作成し、前記経費出力手段は、更に、前記変遷判定手段により前記所定不正基準を満たすと判定された前記変遷の前記変遷データに含まれる前記経費の前記経費平均件数の推移、および/または、前記変遷判定手段により前記所定不正基準を満たさないと判定された前記変遷の前記変遷データに含まれる前記経費の前記経費平均件数の推移の経費平均件数推移データを表示させることを特徴とする。
【0011】
また、本発明に係る取引異常検知装置において、前記変遷作成手段は、前記経費データに基づいて、前記所定期間における前記担当社員と前記支払先との組み合わせ毎の前記経費の1伝票当たりの経費平均金額を含む前記変遷データを作成し、前記経費出力手段は、更に、前記変遷判定手段により前記所定不正基準を満たすと判定された前記変遷の前記変遷データに含まれる前記経費の前記1伝票当たりの経費平均金額の推移、および/または、前記変遷判定手段により前記所定不正基準を満たさないと判定された前記変遷の前記変遷データに含まれる前記経費の前記1伝票当たりの経費平均金額の推移の経費平均金額推移データを表示させることを特徴とする。
【0012】
また、本発明に係る取引異常検知装置において、前記業務記憶手段は、前記経費の伝票、前記会計年月、前記担当社員、前記支払先および前記経費金額を紐付けて設定した前記経費データ、ならびに、前記伝票および前記伝票の承認者を紐付けて設定した承認データを記憶し、前記変遷判定手段は、更に、前記承認データに基づいて、前記所定不正基準を満たすと判定した前記変遷の前記変遷データを前記承認者別に集計した承認者別変遷データを作成することを特徴とする。
【0013】
また、本発明に係る取引異常検知装置において、前記変遷作成手段は、前記経費データに基づいて、前記所定期間における前記担当社員と前記支払先との組み合わせ毎の前記経費の経費件数を含む前記変遷データを作成し、前記経費出力手段は、更に、前記承認者別変遷データに含まれる前記承認者別に集計された前記経費の前記経費件数の推移の承認者別件数推移データを表示させることを特徴とする。
【0014】
また、本発明に係る取引異常検知装置において、前記変遷作成手段は、前記経費データに基づいて、前記所定期間における前記担当社員と前記支払先との組み合わせ毎の前記経費の経費平均金額を含む前記変遷データを作成し、前記経費出力手段は、更に、前記承認者別変遷データに含まれる前記承認者別に集計された前記経費の前記経費平均金額の推移の承認者別平均金額推移データを表示させることを特徴とする。
【0015】
また、本発明に係る取引異常検知装置において、前記経費出力手段は、更に、前記承認者別変遷データに含まれる前記承認者別に集計された前記経費が設定された前記経費データ、および、前記承認データの明細一覧を表示させることを特徴とする。
【0016】
また、本発明に係る取引異常検知装置において、前記変遷作成手段は、前記経費データおよび前記承認データに基づいて、前記所定期間における前記担当社員と前記支払先との組み合わせ毎の前記経費を前記承認者別に集計した前記変遷データを作成し、前記変遷判定手段は、前記変遷データに基づいて、前記承認者別の前記経費の変遷が前記所定不正基準を満たすか否かを判定することを特徴とする。
【0017】
また、本発明に係る取引異常検知装置において、前記経費データは、更に、事業所、および、担当部門が紐付けて設定され、前記変遷作成手段は、前記事業所および/または前記担当部門が指定された場合、当該事業所および/または当該担当部門が設定された前記経費データを前記業務記憶手段から抽出し、当該経費データに基づいて、前記所定期間における前記担当社員と前記支払先との組み合わせ毎の前記経費の前記変遷データを作成することを特徴とする。
【0018】
また、本発明に係る取引異常検知方法は、記憶部と制御部とを備えた取引異常検知装置に実行させるための取引異常検知方法であって、前記記憶部は、経費の会計年月、担当社員、支払先、および、経費金額を紐付けて設定した経費データを記憶する業務記憶手段、を備え、前記制御部で実行させる、前記経費データに基づいて、所定期間における前記担当社員と前記支払先との組み合わせ毎の前記経費の変遷データを作成する変遷作成ステップと、前記変遷データに基づいて、前記経費の変遷が所定不正基準を満たすか否かを判定する変遷判定ステップと、前記変遷判定ステップにて前記経費の前記変遷が前記所定不正基準を満たすと判定された場合、アラートを出力させる経費出力ステップと、を含むことを特徴とする。
【0019】
また、本発明に係る取引異常検知プログラムは、記憶部と制御部とを備えた取引異常検知装置に実行させるための取引異常検知プログラムであって、前記記憶部は、経費の会計年月、担当社員、支払先、および、経費金額を紐付けて設定した経費データを記憶する業務記憶手段、を備え、前記制御部において、前記経費データに基づいて、所定期間における前記担当社員と前記支払先との組み合わせ毎の前記経費の変遷データを作成する変遷作成ステップと、前記変遷データに基づいて、前記経費の変遷が所定不正基準を満たすか否かを判定する変遷判定ステップと、前記変遷判定ステップにて前記経費の前記変遷が前記所定不正基準を満たすと判定された場合、アラートを出力させる経費出力ステップと、を実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、社員と業者との組み合わせ別で業者払計上されている経費より、異常に多くの経費が計上されている社員と業者との組み合わせを検知することができるという効果を奏する。また、本発明によれば、経費が異常に多く計上されている状況・経費を承認した人別の状況を確認可能な画面を出力することができるという効果を奏する。また、本発明によれば、個人経費や少額多数の経費計上が行われる可能性があるため、件数・金額の2つの視点を切り替えて確認可能な画面を出力することができるという効果を奏する。また、本発明によれば、膨大な経費データの中から定期的に不正を検知することができるという効果を奏する。また、本発明によれば、経費を承認した人別の経費状況を確認する画面があるため、承認のフロー上に問題についても確認することができるという効果を奏する。また、本発明によれば、異常とその根拠を分析確認する画面があるため、信頼性の高い異常の検知が実施できるという効果を奏する。また、本発明によれば、統計・分析知識が無い担当者が、経費の不正利用に関して異常を検知し企業の内部統制を強化することができるという効果を奏する。また、本発明によれば、不正シナリオを想定して誰でも迅速に異常検知することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図3】
図3は、本実施形態における不正経費検知方法の一例を示す図である。
【
図4】
図4は、本実施形態における取引異常検知装置の構成の一例を示すブロック図である。
【
図5】
図5は、本実施形態における取引異常検知装置の処理の一例を示すフローチャートである。
【
図6】
図6は、本実施形態における分析画面の一例を示す図である。
【
図7】
図7は、本実施形態における分析画面の一例を示す図である。
【
図8】
図8は、本実施形態における取引異常検知処理の一例を示す図である。
【
図9】
図9は、本実施形態における取引異常検知処理の一例を示す図である。
【
図10】
図10は、本実施形態における取引異常検知処理の一例を示す図である。
【
図11】
図11は、本実施形態における取引異常検知処理の一例を示す図である。
【
図12】
図12は、本実施形態における取引異常検知処理の一例を示す図である。
【
図13】
図13は、本実施形態における取引異常検知処理の一例を示す図である。
【
図14】
図14は、本実施形態における取引異常検知処理の一例を示す図である。
【
図15】
図15は、本実施形態における取引異常検知処理の一例を示す図である。
【
図16】
図16は、本実施形態における取引異常検知処理の一例を示す図である。
【
図17】
図17は、本実施形態における取引異常検知処理の一例を示す図である。
【
図18】
図18は、本実施形態における取引異常検知処理の一例を示す図である。
【
図19】
図19は、本実施形態における取引異常検知処理の一例を示す図である。
【
図20】
図20は、本実施形態における取引異常検知処理の一例を示す図である。
【
図21】
図21は、本実施形態における取引異常検知処理の一例を示す図である。
【
図22】
図22は、本実施形態における取引異常検知処理の一例を示す図である。
【
図23】
図23は、本実施形態における取引異常検知処理の一例を示す図である。
【
図24】
図24は、本実施形態における取引異常検知処理の一例を示す図である。
【
図25】
図25は、本実施形態における取引異常検知処理の一例を示す図である。
【
図26】
図26は、本実施形態における取引異常検知処理の一例を示す図である。
【
図27】
図27は、本実施形態における取引異常検知処理の一例を示す図である。
【
図28】
図28は、本実施形態における取引異常検知処理の一例を示す図である。
【
図29】
図29は、本実施形態における取引異常検知処理の一例を示す図である。
【
図30】
図30は、本実施形態における取引異常検知処理の一例を示す図である。
【
図31】
図31は、本実施形態における取引異常検知処理の一例を示す図である。
【
図32】
図32は、本実施形態における取引異常検知処理の一例を示す図である。
【
図33】
図33は、本実施形態における取引異常検知処理の一例を示す図である。
【
図34】
図34は、本実施形態における取引異常検知処理の一例を示す図である。
【
図35】
図35は、本実施形態における取引異常検知処理の一例を示す図である。
【
図36】
図36は、本実施形態における取引異常検知処理の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、本発明は本実施形態により限定されるものではない。
【0023】
[1.概要]
まず、
図1から
図3を参照して、本発明の概要を説明する。
【0024】
従来、経費は、計上した個人や支払った取引先の単位で確認されるケースが多く、「社員と支払先と(社員×支払先)の組み合わせ」といった特定の集計パターンで特徴が現れる不正については発覚が遅れることが多かった。ここで、従来、経費異常が発覚する基本ルートとしては、経理より経費が普段以上に多く計上されている状態が確認されるケースがあり、具体的には、経費計上者が確認され、経費費目および金額が確認され、経費の種類より業者払経費が確認され、経費支払先および支払総額が確認され、経費異常として発覚するルートがある。したがって、従来は、不正発覚まで多岐にわたる集計・比較確認分析が必要であった。そのため、従来は、確認・分析に膨大な時間がかかり、取引量が多い場合には現実的に処理しきれず、時間をかけて処理した場合でも、信頼性を担保できなかった。
【0025】
また、従来、多数の社員がいる大手企業では、「不正の影響は大きいが発覚しづらい」という悪循環に陥る可能性があった。ここで、従来は、多数の社員がいる場合、それだけ経費も多数計上されるが、その中から手計算で集計・確認を行うこと自体が現実的ではなく、簡易的な集計チェックや承認フローでのみ確認を実施といった流れ作業になりやすいため、不正が発覚しないままとなりやすくなっている。すなわち、従来、経費不正は、長期的に行われるケースが多いため、会社への影響力が大きいが、放置されたまま数年後、大きな被害総額となって発覚するケースが多数発生している。
【0026】
また、従来、取引量が少ない中小企業では、会計士のような高度なスキルを持つ人材確保が困難であり、経費分析のノウハウがそもそも少ないケースが多いため、不正経費の特徴をとらえて分析を行う場合、会計士のような高度な判断スキルが必要だが、このスキルを持つ人員の常時確保が困難なケースが多かった。
【0027】
また、従来、承認統制機能の抜け道を利用して不正が行われるケースが多く、経費は、基本的に社内稟議を通して承認され、第三者チェックが挟まれる形になるため、不正防止対策として承認フローが設けられていたが、このフローの抜け穴を悪用して不正な経費が承認されるケースが多数存在していた。具体的には、従来、子会社役員について、会社単位で承認フローを実施している際に、上層メンバ不在のため自己承認が許可されている場合、自身の経費を自分自身で承認できるため、個人経費を計上して承認を通すような不正な経費が承認されるケースが多数存在していた。また、従来、社員が最終承認者と共謀している場合、承認フローに最終承認者が指定され、基本的に一定期間で決まった社員が最終承認を実施するため、最終承認者と事前に通じておくことで、不正経費であっても承認される体制が存在していた。
【0028】
また、近年、会社の不正または従業員や幹部の横領等、不祥事が増加傾向にあり、COVID-19感染拡大による影響も重なり、さらなる不祥事の増加が促されている。そのため、近年、不祥事に対して、人の手で検知できる範囲を超えてきており、人の手以外の手段で早期発見・対処できる仕組みが求められており、不正の早期発見・対処への対策、人の手によらない対策として不正パターンをシナリオ化して、定期的に自動で検知するシステムの構築が求められている。ここで、シナリオのパターンとしては、多数存在しており、例えば、売上実績に関する不正の場合、売上金額の改ざんによる実績増し、仕入実績に関する不正の場合、取引先との共謀による架空支払による癒着、在庫に関する不正の場合、期末在庫金額の水増しによる利益操作、ならびに、経費に関する不正の場合、個人経費の計上による経費横領があり、それぞれに対応したシステムを構築する必要がある。なお、不正の目的は、個人経費の計上、および、業者への資金提供となっているケースが多く、不正の特徴としては、(1)特定業者への経費集中計上の場合、「社員×取引先」の経費が他の組み合わせと比べて異常に件数が多くなり、(2)個人経費の場合、通常の経費に比べて金額が低額となるケースが多くなり、(3)不正経費の場合、自己承認や内通した承認者に集中して承認されるケースが多くなる。
【0029】
ここで、
図1および
図2を参照して、不正経費の一例について説明する。
図1および
図2は、不正経費の一例を示す図である。
【0030】
図1に示すように、個人経費申請における不正においては、担当者が個人利用した経費を業務上必要な経費として会社へ申請することで、会社から業者へ支払を行わせている。
【0031】
また、
図2に示すように、業者への資金提供の不正においては、担当者が業者と共謀して架空の経費を申請し、会社から業者へ支払を行わせて、業者へ資金を流している。
【0032】
このように、経費が正常であれば、基本的に一定の頻度・金額で経費実績が発生するが、不正が行われた場合、特定の社員と業者との経費が異常に多くなったり、低額経費が異常に多い社員が発生したり、経費利用件数のほとんどが同一業者に対する経費で、低額なものばかりとなったりするため、本実施形態においては、「社員×業者」で発生した経費件数に着目し、ユーザ側で分析画面を用いて検知されたデータを確認することで、集中して経費が発生している「社員×業者」がないか、件数のわりに平均利用金額が低額なものがないか等の確認を行う仕組みを提供している。
【0033】
ここで、
図3を参照して、本実施形態における不正経費検知方法の一例について説明する。
図3は、本実施形態における不正経費検知方法の一例を示す図である。
【0034】
図3に示すように、本実施形態においては、経費に関する不正シナリオに着目し、社員Aが担当する支払先(経費を払い込む先となる取引先)である業者毎の経費計上の平均額について所定不正基準にて判定することで、異常検知をしている。
【0035】
それにより、本実施形態においては、年内の社員×業者毎に経費件数を集計し、異常に経費件数が多い社員×業者を自動で検知できる。すなわち、個人利用または業者への資金提供は、どちらも通常取引に比べて件数が増加するケースが多いため、本実施形態においては、これを異常の判断基準とすることで、集計コストを削減、集計ミス・計算ミスを排除できる。また、本実施形態においては、定期的に、社員×業者の経費実績を比較して、異常に経費件数が増加している月を検知するため、確認漏れ・ミスがなくなり、ユーザが異常な経費を計上している社員と業者とをすぐに把握して対策・調査を行うことができる。
【0036】
また、本実施形態においては、異常検知された社員の年間の業者別経費件数を集計し、検知された業者と他業者との違いを可視化することができる。すなわち、本実施形態においては、社員×業者で経費件数が集中計上されている(=他業者に比べて異常に多い経費件数)を確認でき、1社員に紐づく条件下での業者毎の集計が可能なため、集計コストを排除でき、比較確認の漏れ・ミスをなくすことができる。
【0037】
また、本実施形態においては、異常検知された業者の年間の社員別経費件数を集計し、検知された社員と他社員との違いを可視化することができる。すなわち、本実施形態においては、社員×業者で経費件数が集中計上されている(=他社員に比べて異常に多い経費件数)を確認でき、1業者に紐づく条件下での社員毎の集計が可能なため、集計コストを排除でき、比較確認の漏れ・ミスをなくすことができる。また、本実施形態においては、社員別に比較した際にも、異常検知された社員が多いことを確認することで、検知された社員×業者が異常に多いことの実態把握が可能となる。
【0038】
また、本実施形態においては、異常検知された社員×業者に着目することで、月別の経費件数・1伝票当たりの平均金額を集計し、経費の増減傾向を可視化することができる。すなわち、本実施形態においては、個人経費利用の場合、少額のケースが多いため、多数計上される可能性があり、業者への資金提供の場合、高額経費が不審に思われやすいため少額多数計上される可能性が高く、それら特定のタイミングで経費件数が急激に増える傾向を確認できるため、各月の経費件数・金額の集計コストを排除でき、月毎の比較確認の漏れ・ミスをなくすことができる。
【0039】
また、本実施形態においては、異常検知された社員×業者で計上した経費の承認者に着目することで、月別の経費件数・1伝票当たりの平均金額を集計し、経費の増減傾向を可視化することができる。すなわち、本実施形態においては、個人経費利用、および、業者への資金提供のどちらのケースにおいても、自己承認や一部承認者に集中している傾向を確認できるため、承認者別の各月の経費件数の集計・算出コストを排除でき、月毎の比較確認の漏れ・ミスをなくすことができる。
【0040】
また、本実施形態においては、経費計上データの明細を一覧で確認でき、取引の詳細や金額の大きさを可視化することができる。すなわち、本実施形態においては、個人経費利用の場合、金額が少額な明細が多数計上されている状態が可視化され、業者への資金提供の場合、特定の業者に対する経費が多数計上されている状態が可視化されるため、経費計上した取引先の情報や金額の大きさから不正の兆候を確認することができる。
【0041】
[2.構成]
本実施形態に係る取引異常検知装置100の構成の一例について、
図4を参照して説明する。
図4は、本実施形態における取引異常検知装置100の構成の一例を示すブロック図である。
【0042】
図4に示すように、取引異常検知装置100は、市販のデスクトップ型パーソナルコンピュータである。なお、取引異常検知装置100は、デスクトップ型パーソナルコンピュータのような据置型情報処理装置に限らず、市販されているノート型パーソナルコンピュータ、PDA(Personal Digital Assistants)、スマートフォン、タブレット型パーソナルコンピュータなどの携帯型情報処理装置であってもよい。
【0043】
取引異常検知装置100は、制御部102と通信インターフェース部104と記憶部106と入出力インターフェース部108と、を備えている。取引異常検知装置100が備えている各部は、任意の通信路を介して通信可能に接続されている。
【0044】
通信インターフェース部104は、ルータ等の通信装置および専用線等の有線または無線の通信回線を介して、取引異常検知装置100をネットワーク300に通信可能に接続する。通信インターフェース部104は、他の装置と通信回線を介してデータを通信する機能を有する。ここで、ネットワーク300は、取引異常検知装置100とサーバ200とを相互に通信可能に接続する機能を有し、例えばインターネットやLAN(Local Area Network)等である。
【0045】
入出力インターフェース部108には、入力装置112および出力装置114が接続されている。出力装置114には、モニタ(タッチパネルを含む)の他、スピーカやプリンタを用いることができる。入力装置112には、キーボード、マウス、およびマイクの他、マウスと協働してポインティングデバイス機能を実現するモニタを用いることができる。なお、以下では、出力装置114をモニタ114またはプリンタ114とし、入力装置112をキーボード112またはマウス112として記載する場合がある。
【0046】
記憶部106には、各種のデータベース、テーブル、およびファイルなどが格納される。記憶部106には、OS(Operating System)と協働してCPU(Central Processing Unit)に命令を与えて各種処理を行うためのコンピュータプログラムが記録される。記憶部106として、例えば、RAM(Random Access Memory)・ROM(Read Only Memory)等のメモリ装置、ハードディスクのような固定ディスク装置、フレキシブルディスク、および光ディスク等を用いることができる。記憶部106は、業務データベース106aと異常検知実行用データベース106bと異常判定結果データベース106cとを備えている。
【0047】
業務データベース106aは、業務の中で蓄積される業務データを記憶する。ここで、業務データベース106aは、経費の会計年月、担当社員、支払先、および、経費金額を紐付けて設定した経費データを記憶していてもよい。また、業務データベース106aは、経費の伝票、会計年月、担当社員、支払先および経費金額を紐付けて設定した経費データ、ならびに、伝票および伝票の承認者を紐付けて設定した承認データを記憶していてもよい。また、経費データは、事業所、および、担当部門が紐付けて設定されていてもよい。
【0048】
異常検知実行用データベース106bは、経費の異常検知を行うための異常検知実行用データを記憶する。ここで、異常検知実行用データベース106bは、自動検知実行スケジュールデータ、および、経費データの取得範囲条件データを記憶していてもよい。
【0049】
異常判定結果データベース106cは、経費の異常検知実行の判定結果を格納する異常判定結果データを記憶する。ここで、異常判定結果データベース106cは、異常判定結果データ、異常判定結果メッセージデータ、および、異常判定結果メッセージ詳細データを記憶していてもよい。
【0050】
制御部102は、取引異常検知装置100を統括的に制御するCPU等である。制御部102は、OS等の制御プログラム・各種の処理手順等を規定したプログラム・所要データなどを格納するための内部メモリを有し、格納されているこれらのプログラムに基づいて種々の情報処理を実行する。制御部102は、機能概念的に、変遷作成部102aと変遷判定部102bと経費出力部102cとを備えている。
【0051】
変遷作成部102aは、経費の変遷データを作成する。ここで、変遷作成部102aは、経費データに基づいて、所定期間における担当社員と支払先との組み合わせ毎の経費の変遷データを作成してもよい。また、変遷作成部102aは、経費データに基づいて、所定期間における担当社員と支払先との組み合わせ毎の経費の経費件数を含む変遷データを作成してもよい。また、変遷作成部102aは、経費データに基づいて、所定期間における担当社員と支払先との組み合わせ毎の経費の経費件数および経費平均金額を含む変遷データを作成してもよい。また、変遷作成部102aは、経費データに基づいて、所定期間における担当社員と支払先との組み合わせ毎の経費の経費平均件数を含む変遷データを作成してもよい。また、変遷作成部102aは、経費データに基づいて、所定期間における担当社員と支払先との組み合わせ毎の経費の1伝票当たりの経費平均金額を含む変遷データを作成してもよい。また、変遷作成部102aは、経費データおよび承認データに基づいて、所定期間における担当社員と支払先との組み合わせ毎の経費を承認者別に集計した変遷データを作成してもよい。また、変遷作成部102aは、経費データに基づいて、所定期間における担当社員と支払先との組み合わせ毎の経費の経費件数を含む変遷データを作成してもよい。また、変遷作成部102aは、経費データに基づいて、所定期間における担当社員と支払先との組み合わせ毎の経費の経費平均金額を含む変遷データを作成してもよい。また、変遷作成部102aは、事業所および/または担当部門が指定された場合、当該事業所および/または当該担当部門が設定された経費データを業務データベース106aから抽出し、当該経費データに基づいて、所定期間における担当社員と支払先との組み合わせ毎の経費の変遷データを作成してもよい。
【0052】
変遷判定部102bは、経費の変遷が所定不正基準を満たすか否かを判定する。ここで、変遷判定部102bは、変遷データに基づいて、経費の変遷が所定不正基準を満たすか否かを判定してもよい。また、変遷判定部102bは、変遷データに基づいて、経費件数を四分位範囲の第三四分位数となる件数に所定経費件数を加算した上限値を算出し、経費件数が上限値以上であるか否かを判定してもよい。また、変遷判定部102bは、変遷データに基づいて、承認者別の経費の変遷が所定不正基準を満たすか否かを判定してもよい。また、変遷判定部102bは、承認データに基づいて、所定不正基準を満たすと判定した変遷の変遷データを承認者別に集計した承認者別変遷データを作成してもよい。
【0053】
経費出力部102cは、経費に関連する出力データを出力させる。ここで、経費出力部102cは、変遷判定部102bにより経費の変遷が所定不正基準を満たすと判定された場合、アラートを出力させてもよい。また、経費出力部102cは、変遷判定部102bにより経費件数が上限値以上であると判定された場合、アラートを出力させてもよい。また、経費出力部102cは、変遷判定部102bにより所定不正基準を満たすと判定された変遷の変遷データに含まれる経費の経費件数または経費平均金額を支払先別に集計した支払先別比較グラフデータを表示させてもよい。また、経費出力部102cは、変遷判定部102bにより所定不正基準を満たすと判定された変遷の変遷データに含まれる経費の経費件数または経費平均金額を担当社員別に集計した担当社員別比較グラフデータを表示させてもよい。また、経費出力部102cは、変遷判定部102bにより所定不正基準を満たすと判定された変遷の変遷データに含まれる経費の経費平均件数の推移、および/または、変遷判定部102bにより所定不正基準を満たさないと判定された変遷の変遷データに含まれる経費の経費平均件数の推移の経費平均件数推移データを表示させてもよい。また、経費出力部102cは、変遷判定部102bにより所定不正基準を満たすと判定された変遷の変遷データに含まれる経費の1伝票当たりの経費平均金額の推移、および/または、変遷判定部102bにより所定不正基準を満たさないと判定された変遷の変遷データに含まれる経費の1伝票当たりの経費平均金額の推移の経費平均金額推移データを表示させてもよい。また、経費出力部102cは、承認者別変遷データに含まれる承認者別に集計された経費の経費件数の推移の承認者別件数推移データを表示させてもよい。また、経費出力部102cは、承認者別変遷データに含まれる承認者別に集計された経費の経費平均金額の推移の承認者別平均金額推移データを表示させてもよい。また、経費出力部102cは、承認者別変遷データに含まれる承認者別に集計された経費が設定された経費データ、および、承認データの明細一覧を表示させてもよい。
【0054】
[3.具体例]
本実施形態の具体例について、
図5から
図36を参照して説明する。
【0055】
[取引異常検知処理]
ここで、
図5を参照して、本実施形態における取引異常検知処理の一例について説明する。
図5は、本実施形態における取引異常検知装置100の処理の一例を示すフローチャートである。
【0056】
図5に示すように、変遷作成部102aは、業務データベース106aに記憶された経費データに基づいて、所定期間における担当社員と支払先との組み合わせ毎の経費の経費件数および経費平均金額を含む変遷データを作成する(ステップSA-1)。
【0057】
そして、変遷判定部102bは、変遷データに基づいて、経費件数を四分位範囲の第三四分位数となる件数に所定経費件数を加算した上限値を算出し、経費件数が上限値以上であるか否かを判定する(ステップSA-2)。
【0058】
そして、変遷判定部102bは、経費件数が上限値以上ではないと判定した場合(ステップSA-2:No)、処理を終了する。
【0059】
一方、変遷判定部102bは、経費件数が上限値以上であると判定した場合(ステップSA-2:Yes)、処理をステップSA-3に移行させる。
【0060】
そして、経費出力部102cは、アラートを出力装置114を介して出力させ、変遷判定部102bにより所定不正基準を満たすと判定された変遷の変遷データに含まれる経費の経費件数または経費平均金額を担当社員別に集計した担当社員別比較グラフデータを出力装置114に表示させ(ステップSA-3)、処理を終了する。
【0061】
ここで、
図6および
図7を参照して、本実施形態における分析画面の一例について説明する。
図6および
図7は、本実施形態における分析画面の一例を示す図である。
【0062】
本実施形態においては、社員×支払先の組み合わせ別の年間の総経費件数を対象として、他組み合わせと比べて異常に件数が多い社員×支払先の組み合わせが検知され、「社員別・支払先別の経費件数」および「社員×支払先別の計上件数推移・月毎の平均経費金額」が出力され、異常検知されたデータが異常と一目でわかるように、色や文字サイズを変えて強調表示される。
【0063】
ここで、
図6に示すように、本実施形態における分析画面においては、異常検知された結果メッセージ表示が一覧で表示されることで、異常を検知した結果メッセージが概要レベルで出力される。ここで、
図6(1)に示すように、本実施形態における分析画面においては、異常検知処理に関するメッセージを表示するエリアがあり、異常として検知されたタイミング・社員・支払先・検知された期間の経費件数が表示され、概要ベースで出力されるため、詳細な検知方法についてはメッセージを選択させて画面を切り替える必要があり、異常として検知されたデータが多数存在する場合、複数縦並びで表示される。
【0064】
また、
図7に示すように、本実施形態における分析画面においては、異常を検知した結果メッセージの分析に必要なグラフが表示され、
図6の分析画面にてメッセージが選択されたタイミングで画面が切り替わり、分析に必要なグラフが表示され、メッセージとして詳細な検知に関わるデータが出力される。
【0065】
ここで、
図7(1)に示すように、本実施形態における分析画面においては、異常検知処理に関するメッセージを表示するエリアがあり、「異常を検知する際に使用した検知方法」や「異常を検知したデータのキーとなるデータ」が表示され、異常として検知されたデータが複数ある場合、その数分のメッセージが表示され、表示されたメッセージがクリックされた場合、
図7(2)から
図7(6)のグラフにおいて、クリックされた異常検知データに関連する部分が強調される。
【0066】
また、
図7(2)に示すように、本実施形態における分析画面においては、異常検知された社員が計上した支払先別の経費件数を出力するグラフが設定され、「年間の支払先別の経費件数実績」を確認できるグラフが出力され、異常検知された支払先が他支払先と比べて、どれほど異常に多い状態か確認できる。
【0067】
また、
図7(3)に示すように、本実施形態における分析画面においては、異常検知された支払先が計上した社員別の経費件数を出力するグラフが設定され、「年間の社員別の経費件数実績」を確認できるグラフが出力され、異常検知された社員が他社員と比べて、どれほど異常に多い状態か確認できる。
【0068】
また、
図7(4)に示すように、本実施形態における分析画面においては、異常検知された社員×支払先と他の組み合わせとの経費件数を出力するグラフが設定され、「月毎の経費件数の発生推移」を確認できるグラフが出力され、特定月より件数が増える推移を確認でき、1伝票当たりの平均金額と件数とで切り替えることができ、平均金額または件数それぞれの傾向を確認できる。
【0069】
また、
図7(5)に示すように、本実施形態における分析画面においては、異常検知された社員×支払先で計上された経費の承認者別の経費件数を出力するグラフが設定され、「月毎の経費件数の発生推移」を確認できるグラフが出力され、特定月より件数が増える推移を確認でき、自己承認・特定ユーザによる承認があれば、偏った件数実績となって出力され、1伝票当たりの平均金額と件数とで切り替えることができ、平均金額または件数それぞれの傾向を確認できる。
【0070】
また、
図7(6)に示すように、本実施形態における分析画面においては、社員×支払先の組み合わせで計上された経費の一覧を出力する表が設定され、「経費の明細」「金額の大小」を確認できる表が出力され、経費金額が少額なものから並び替えて出力されるため、個人経費といった少額になりやすい伝票が明細の上位に現れる形となり、不正の場合、申請理由が適当になるといった特徴を分析できる。
【0071】
また、
図7(7)に示すように、本実施形態における分析画面においては、データ抽出用の抽出条件エリアがあり、
図7(2)から
図7(6)のグラフに出力されたデータより条件で抽出したデータを確認したい場合に使用する部分であり、集計する基準を切り替えて、すなわち、集計を金額や件数単位に切り替えて分析できる。
【0072】
また、
図8から
図36を参照して、本実施形態における取引異常検知処理の一例について説明する。
図8から
図36は、本実施形態における取引異常検知処理の一例を示す図である。
【0073】
本実施形態においては、
図8に示すように、事前設定として、異常検知に必要な自動検知実行スケジュールデータおよび取得範囲条件データがテーブルに保存され、
図9に示すように、自動実行により、異常を検知するタイミングデータが取得され、自動実行したタイミングが、異常を検知するタイミングであるか判定され、異常を検知するデータの範囲条件が取得され、
図10から
図12に示すように、業務データ内の[経費データ]が参照され、経費件数が異常に多い社員×支払先が検知される。ここで、本実施形態において、検知手法として四分位範囲を採用している理由としては、自動で閾値を算出して異常を判断可能なためである。なお、統計手法である標準偏差の手法は、ある地点での値の分布をとり、信頼区間を設けて正常・異常を判断する時間軸の概念を含まない分析であり、「過去からの傾向」という横断データ分析に向かない手法であるため、本実施形態においては、採用していない。また、統計手法である「移動平均+外れ値」の手法は、平均値をとる範囲を定め、時系列毎に算出する平均値より異常と判断する閾値を事前に設定する必要がある時系列の推移において、異常な増減検知に対応が可能であるが、ユーザ側で異常と判断する平均値の閾値を設定する必要があるため、本実施形態においては、採用していない。
【0074】
そして、本実施形態においては、業務データ内の[経費データ]より、異常として自動検知されたデータが分析用初期画面に出力される際に、
図13に示すように、異常を検知した結果メッセージが取得され、異常を検知した結果メッセージが画面に表示され、
図14に示すように、画面を起動したタイミングの日付が取得され、抽出条件の基準日にセットされる。
【0075】
そして、本実施形態においては、異常を検知した結果メッセージが選択されて、分析用の画面が起動される際に、
図15に示すように、メッセージが詳細データ表示に切り替えられ、グラフの出力領域が確保され、
図16から
図17に示すように、抽出条件が設定され、
図18に示すように、業務データ内の[経費データ]より支払先別に経費件数を算出した『支払先別経費データ』が取得され、
図19に示すように、業務データ内の[経費データ]より社員別に経費件数を算出した『社員別経費データ』が取得され、
図20に示すように、業務データ内の[経費データ]より月×社員×支払先別に経費件数を算出した『社員×支払先別経費データ』が取得され、
図21に示すように、業務データ内の[経費データ]と[承認データ]とより月×承認者別に経費件数を算出した『承認者別経費データ』が取得され、
図22に示すように、業務データ内の[経費データ]と[承認データ]とより『経費計上明細データ』が取得され、
図23から
図26に示すように、『支払先別経費データ』、『社員別経費データ』、『社員×支払先別経費データ』、『承認者別経費データ』、『経費計上明細データ』がグラフ・表にバインドされ、すなわち、計4つのグラフ・1つの表にバインドされる。
【0076】
そして、本実施形態においては、分析用のグラフの表示を切り替えて分析が実施される際に、
図27から
図35に示すように、集計単位が切り替えられ、平均金額別に集計された際の経費発生状況が確認・分析され、
図36に示すように、確認する組織を限定して集計された際の経費発生状況が確認・分析される。
【0077】
[4.国連が主導する持続可能な開発目標(SDGs)への貢献]
本実施形態により、業務効率化や企業の適切な経営判断を推進することに寄与することができるので、SDGsの目標8及び9に貢献することが可能となる。
【0078】
また、本実施形態により、廃棄ロス削減や、ペーパレス・電子化を推進することに寄与することができるので、SDGsの目標12、13及び15に貢献することが可能となる。
【0079】
また、本実施形態により、統制、ガバナンス強化に寄与することができるので、SDGsの目標16に貢献することが可能となる。
【0080】
[5.他の実施形態]
本発明は、上述した実施形態以外にも、特許請求の範囲に記載した技術的思想の範囲内において種々の異なる実施形態にて実施されてよいものである。
【0081】
例えば、実施形態において説明した各処理のうち、自動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を手動的に行うこともでき、あるいは、手動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を公知の方法で自動的に行うこともできる。
【0082】
また、本明細書中や図面中で示した処理手順、制御手順、具体的名称、各処理の登録データや検索条件等のパラメータを含む情報、画面例、データベース構成については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。
【0083】
また、取引異常検知装置100に関して、図示の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。
【0084】
例えば、取引異常検知装置100が備える処理機能、特に制御部102にて行われる各処理機能については、その全部または任意の一部を、CPUおよび当該CPUにて解釈実行されるプログラムにて実現してもよく、また、ワイヤードロジックによるハードウェアとして実現してもよい。尚、プログラムは、本実施形態で説明した処理を情報処理装置に実行させるためのプログラム化された命令を含む一時的でないコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されており、必要に応じて取引異常検知装置100に機械的に読み取られる。すなわち、ROMまたはHDD(Hard Disk Drive)などの記憶部などには、OSと協働してCPUに命令を与え、各種処理を行うためのコンピュータプログラムが記録されている。このコンピュータプログラムは、RAMにロードされることによって実行され、CPUと協働して制御部を構成する。
【0085】
また、このコンピュータプログラムは、取引異常検知装置100に対して任意のネットワークを介して接続されたアプリケーションプログラムサーバに記憶されていてもよく、必要に応じてその全部または一部をダウンロードすることも可能である。
【0086】
また、本実施形態で説明した処理を実行するためのプログラムを、一時的でないコンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納してもよく、また、プログラム製品として構成することもできる。ここで、この「記録媒体」とは、メモリーカード、USB(Universal Serial Bus)メモリ、SD(Secure Digital)カード、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)、EEPROM(登録商標)(Electrically Erasable and Programmable Read Only Memory)、CD-ROM(Compact Disk Read Only Memory)、MO(Magneto-Optical disk)、DVD(Digital Versatile Disk)、および、Blu-ray(登録商標) Disc等の任意の「可搬用の物理媒体」を含むものとする。
【0087】
また、「プログラム」とは、任意の言語または記述方法にて記述されたデータ処理方法であり、ソースコードまたはバイナリコード等の形式を問わない。なお、「プログラム」は必ずしも単一的に構成されるものに限られず、複数のモジュールやライブラリとして分散構成されるものや、OSに代表される別個のプログラムと協働してその機能を達成するものをも含む。なお、本実施形態に示した各装置において記録媒体を読み取るための具体的な構成および読み取り手順ならびに読み取り後のインストール手順等については、周知の構成や手順を用いることができる。
【0088】
記憶部106に格納される各種のデータベース等は、RAM、ROM等のメモリ装置、ハードディスク等の固定ディスク装置、フレキシブルディスク、および、光ディスク等のストレージ手段であり、各種処理やウェブサイト提供に用いる各種のプログラム、テーブル、データベース、および、ウェブページ用ファイル等を格納する。
【0089】
また、取引異常検知装置100は、既知のパーソナルコンピュータまたはワークステーション等の情報処理装置として構成してもよく、また、任意の周辺装置が接続された当該情報処理装置として構成してもよい。また、取引異常検知装置100は、当該装置に本実施形態で説明した処理を実現させるソフトウェア(プログラムまたはデータ等を含む)を実装することにより実現してもよい。
【0090】
更に、装置の分散・統合の具体的形態は図示するものに限られず、その全部または一部を、各種の付加等に応じてまたは機能負荷に応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することができる。すなわち、上述した実施形態を任意に組み合わせて実施してもよく、実施形態を選択的に実施してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0091】
本発明は、販売業務を行う小売業界等を含む、社外との取引を行うあらゆる業界において有用である。
【符号の説明】
【0092】
100 取引異常検知装置
102 制御部
102a 変遷作成部
102b 変遷判定部
102c 経費出力部
104 通信インターフェース部
106 記憶部
106a 業務データベース
106b 異常検知実行用データベース
106c 異常判定結果データベース
108 入出力インターフェース部
112 入力装置
114 出力装置
200 サーバ
300 ネットワーク