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特開2024-27948カポック製品の製造方法、カポック製品
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024027948
(43)【公開日】2024-03-01
(54)【発明の名称】カポック製品の製造方法、カポック製品
(51)【国際特許分類】
   G01V 3/00 20060101AFI20240222BHJP
【FI】
G01V3/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022131171
(22)【出願日】2022-08-19
(71)【出願人】
【識別番号】501488572
【氏名又は名称】スタイレム瀧定大阪株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100124039
【弁理士】
【氏名又は名称】立花 顕治
(74)【代理人】
【識別番号】100176337
【弁理士】
【氏名又は名称】杉本 弘樹
(72)【発明者】
【氏名】大川 圭二
【テーマコード(参考)】
2G105
【Fターム(参考)】
2G105AA01
2G105DD02
2G105EE01
2G105HH05
(57)【要約】
【課題】カポック製品を好適に製造できるカポック製品の製造方法、および、この製造方法によって製造されるカポック製品を提供する。
【解決手段】カポック製品の製造方法は、開繊機を用いてカポック繊維を開繊する開繊工程を含み、前記開繊機は、金属を含む異物を検出する金属検出部を有し、前記開繊工程では、前記カポック繊維に含まれる前記異物が前記金属検出部によって検出された場合に、前記異物を除去する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
カポック製品の製造方法であって、
開繊機を用いてカポック繊維を開繊する開繊工程を含み、
前記開繊機は、金属を含む異物を検出する金属検出部を有し、
前記開繊工程では、前記カポック繊維に含まれる前記異物が前記金属検出部によって検出された場合に、前記異物を除去する
カポック製品の製造方法。
【請求項2】
前記開繊工程よりも前に実施され、開繊される前の前記カポック繊維から前記異物を検出する第1検出工程を含む
請求項1に記載のカポック製品の製造方法。
【請求項3】
前記開繊工程よりも後に実施され、開繊された前記カポック繊維から前記異物を検出する第2検出工程を含む
請求項1または2に記載のカポック製品の製造方法。
【請求項4】
前記開繊機は、
シャフトと、
前記シャフトの外周面に取り付けられ、前記カポック繊維を開繊する複数のピンと、
前記シャフトの駆動を制御する制御装置と、を含み、
前記制御装置は、前記開繊工程で前記異物が検出された場合に、前記シャフトの駆動を停止させる
請求項1または2に記載のカポック製品の製造方法。
【請求項5】
請求項1または2に記載のカポック製品の製造方法によって製造される
カポック製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カポック製品の製造方法、および、この製造方法によって製造されるカポック製品に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、内部に羽毛が充填されるダウンジャケットを開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004-169211号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年では、世界的に地球環境への意識が高まっており、廃プラスチック化や二酸化炭素の排出量の削減等の観点から、衣料品等に使用する繊維として天然繊維が注目されている。さらには、動物愛護の観点から、天然繊維のうち、特に植物繊維が注目されている。
【0005】
これらの観点から、本願発明者(ら)は、植物繊維のカポックに着目した。しかし、カポックは、他の天然繊維と比較して、油分を多く含む。このため、カポックを使用した製品の製造工程において、カポックに金属を含む異物が含まれている場合、例えば、製造装置に含まれる要素と金属との摩擦熱によって発火するおそれがある。
【0006】
本発明の目的は、カポック製品を好適に製造できるカポック製品の製造方法、および、この製造方法によって製造されるカポック製品を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1観点に係るカポック製品の製造方法は、開繊機を用いてカポック繊維を開繊する開繊工程を含み、前記開繊機は、金属を含む異物を検出する金属検出部を有し、前記開繊工程では、前記カポック繊維に含まれる前記異物が前記金属検出部によって検出された場合に、前記異物を除去する。
【0008】
上記カポック製品の製造方法によれば、開繊工程で金属を含む異物が除去されるため、例えば、開繊機を構成する要素と金属との摩擦熱によって発火することが抑制される。このため、カポック製品を好適に製造できる。
【0009】
本発明の第2観点に係るカポック製品の製造方法は、第1観点に係るカポック繊維の製造方法であって、前記開繊工程よりも前に実施され、開繊される前の前記カポック繊維から前記異物を検出する第1検出工程を含む。
【0010】
上記カポック製品の製造方法によれば、開繊工程の前にカポック繊維に含まれる異物を除去できる。このため、例えば、開繊工程の前にカポック繊維が舞い上がり、作業室内の電気系統とカポック繊維とが接触して発火することが抑制される。
【0011】
本発明の第3観点に係るカポック製品の製造方法は、第1観点または第2観点に係るカポック繊維の製造方法であって、前記開繊工程よりも後に実施され、開繊された前記カポック繊維から前記異物を検出する第2検出工程を含む。
【0012】
上記カポック製品の製造方法によれば、開繊工程で異物の検出漏れがあった場合、第2検出工程において異物を除去できる。このため、カポック製品に異物が混入することを抑制できる。
【0013】
本発明の第4観点に係るカポック製品の製造方法は、第1観点~第3観点のいずれか1つに係るカポック製品の製造方法であって、前記開繊機は、シャフトと、前記シャフトの外周面に取り付けられ、前記カポック繊維を開繊する複数のピンと、前記シャフトの駆動を制御する制御装置と、を含み、前記制御装置は、前記開繊工程で前記異物が検出された場合に、前記シャフトの駆動を停止させる。
【0014】
上記カポック製品の製造方法によれば、開繊工程で異物が検出された場合に、自動でシャフトが停止するため、異物を容易に除去できる。
【0015】
本発明の第5観点に係るカポック製品は、第1観点~第4観点のいずれか1つに係るカポック製品の製造方法によって製造される。
【0016】
上記カポック製品によれば、第1観点~第4観点のいずれか1つに係るカポック製品の製造方法と同様の効果が得られる。
【発明の効果】
【0017】
本発明に関するカポック製品の製造方法によれば、カポック製品を好適に製造できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】実施形態のカポック製品の製造方法に用いられる製造装置を含む概略図。
図2図1の開繊機の断面図。
図3図1の製造装置の電気的構成を示すブロック図。
図4】実施形態のカポック製品の製造方法の一例を示すフローチャート。
図5】コンベア停止制御の一例を示すフローチャート。
図6】開繊機停止制御の一例を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明に係るカポック製品の製造方法の一実施形態について、図面を参照して説明する。
【0020】
<1.製造装置>
図1は、カポック繊維200を含むカポック製品100の製造方法に用いられる製造装置10を含む概略図である。図2は、開繊機30の断面図である。図3は、製造装置10の電気的構成を示すブロック図である。
【0021】
カポック繊維200は、カポックの実を採取することによって得られる植物繊維(天然繊維)である。このため、カポック繊維200は、石油由来の化学繊維のように枯渇する可能性は低く、持続可能な繊維である。また、カポック繊維200は、同じ天然繊維である動物繊維と比較して、動物を殺傷することなく得られるため、動物愛護の観点からも用いられることが好ましい。また、動物繊維と比較して安定して入手できることもメリットである。
【0022】
カポック製品100は、例えば、衣料品、ぬいぐるみ、寝装品(布団、枕等)、クッション、または、救命胴衣である。カポック繊維200は、中空であり非常に軽く、保温性が高いことから、ジャケットまたはコート等の防寒着に用いられることが好ましい。図1に示される例では、カポック製品100は、ジャケットである。
【0023】
製造装置10は、所定の作業現場に配置される。製造装置10は、コンベア20と、開繊機30と、制御装置50と、保管ボックス60と、作業台70と、注入装置80と、コンプレッサ90と、を含む。
【0024】
コンベア20は、カポック繊維200を開繊機30に搬送する。コンベア20は、例えば、公知のベルトコンベアである。コンベア20は、制御装置50と接続される。コンベア20は、一対のローラ(図示略)と、一対のローラに巻かれるベルト21と、を有する。一対のローラは、駆動用モータ22、23(図3参照)によって駆動される。ベルト21には、例えば、作業員によって開繊前のカポック繊維200が載せられる。開繊前のカポック繊維200は、繊維の流れが概ね一方向に揃っている。開繊前のカポック繊維200には、金属を含む異物が混入している場合がある。金属の一例は、鉄である。異物は、例えば、カポック繊維200の梱包時等に混入する。
【0025】
開繊機30は、コンベア20によって搬送されるカポック繊維200をほぐすことによって、カポック繊維200の繊維の流れ方向をランダムにする。開繊機30は、筐体31と、シャフト32と、ピン33と、ダクト34と、ファン35と、金属検出部40と、を有する。
【0026】
筐体31は、入口31Aおよび出口31Bを有する。入口31Aには、コンベア20の一端が挿入される。入口31Aには、金属検出部40が配置される。金属検出部40は、公知のロール型検出装置であり、第1フィードロール41、第2フィードロール42、および、駆動用モータ41A、42A(図3参照)を含む。
【0027】
第1フィードロール41は、第2フィードロール42に対して下方に配置される。第1フィードロール41と第2フィードロール42とは、僅かな隙間を介して対向している。コンベア20によって筐体31の入口31Aに搬送されたカポック繊維200は、一対のフィードロール41、42によって筐体31内に送り込まれる。第1フィードロール41は、駆動用モータ41Aと接続される。第2フィードロール42は、駆動用モータ42Aと接続される。
【0028】
一対のフィードロール41、42のうちの第1フィードロール41は、制御装置50と電気的に絶縁されている。カポック繊維200に金属を含む異物が混入している場合、異物が第1フィードロール41および第2フィードロール42によって挟まれると、第1フィードロール41と制御装置50との絶縁状態が解除される。制御装置50は、第1フィードロール41と制御装置50との絶縁状態が解除された場合、換言すれば、第1フィードロール41が通電した場合、第1フィードロール41および第2フィードロール42の駆動を停止する。
【0029】
シャフト32は、筐体31内に配置される。シャフト32は、駆動用モータ32X(図3参照)と接続される。シャフト32は、フィードロール41、42を通過したカポック繊維200を出口31Bに搬送する。
【0030】
複数のピン33は、シャフト32の外周面に取り付けられる。複数のピン33の形状は、カポック繊維200の繊維の流れがランダムとなるようにカポック繊維200を開繊できる形状であれば、任意に選択可能である。本実施形態では、複数のピン33の形状は、円錐である。
【0031】
ダクト34は、筐体31の出口31Bに接続される。ダクト34には、複数のピン33によって開繊されたカポック繊維200が送り込まれる。ダクト34のうちの出口31Bと反対側の端部は、ホース36(図1参照)が接続される。ホース36は、ダクト34と保管ボックス60とを接続する。
【0032】
ファン35は、ダクト34の中間部分に設置される。ファン35は、開繊されたカポック繊維200をホース36を介して保管ボックス60に送る。
【0033】
保管ボックス60は、ファン35によって送られたカポック繊維200を保管する。保管ボックス60は、開口60Aを有する本体61と、開口60Aを開閉する扉62と、を有する。作業者は、扉62を開くことによって、本体61に保管されているカポック繊維200を取り出すことができる。
【0034】
作業台70は、保管ボックス60から取り出されたカポック繊維200が載せられる。作業台70は、好ましくは、保管ボックス60の近傍に配置される。
【0035】
注入装置80は、ホース81および注入ガン82を有する。ホース81の一端81Aは、作業台70に載せられる。ホース81の他端81Bは、カポック繊維200が充填される前のカポック製品100に接続される。注入ガン82は、ホース81の中間部分に接続される。コンプレッサ90は、注入ガン82と接続される。ホース81の一端81Aから投入されたカポック繊維200は、注入ガン82が操作されると、コンプレッサ90によって、カポック製品100に送られる。
【0036】
<2.制御装置>
図3に示されるように、制御装置50は、記憶部51と、制御部52とを有する。記憶部51は、例えば、ハードディスクドライブまたはソリッドステートドライブ等の補助記憶装置である。記憶部51は、コンベア20および開繊機30の動作に関する1または複数のアプリケーションソフトウェア(以下では、「開繊制御ソフト」という)を記憶する。記憶部51は、制御部52とバス53を介して通信できるように接続される。
【0037】
制御部52は、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等を含んで構成される。制御部52は、作業者からの要求に応じて、記憶部51に記憶されている開繊制御ソフトを実行する。制御部52が開繊制御ソフトを実行することによって、制御装置50には、コンベア20および開繊機30を動作させるための1または複数の機能ブロックが構築される。
【0038】
制御装置50に構築される機能ブロックは、コンベア制御部50Aおよび開繊機制御部50Bを含む。コンベア制御部50Aは、金属検出部40によって、異物が検出された場合、コンベア20の駆動用モータ22、23を停止させるコンベア停止制御を実行する。開繊機制御部50Bは、金属検出部40によって、異物が検出された場合、開繊機30の駆動用モータ32Xを停止させる開繊機停止制御を実行する。
【0039】
<3.カポック製品の製造方法>
図4は、カポック製品の製造方法の一例を示すフローチャートである。カポック製品の製造方法は、準備工程、第1検出工程、搬送工程、開繊工程、第2検出工程、計量工程、および、充填工程を含む。
【0040】
ステップS11の準備工程では、作業者は、梱包されているカポック繊維を開梱する。
【0041】
ステップS12の第1検出工程は、準備工程よりも後に実施される。第1検出工程では、作業者は、例えば、ポータブル検針機を用いて、カポック繊維200に異物が含まれているか否かを調べる。第1検出工程において異物が検出された場合、作業者は、異物を除去する。
【0042】
ステップS13の搬送工程は、第1検出工程よりも後に実施される。搬送工程では、作業者は、カポック繊維200をコンベア20のベルト21に載せる。ベルト21に載せられたカポック繊維200は、開繊機30に搬送される。
【0043】
ステップS14の開繊工程は、搬送工程よりも後に実施される。開繊工程では、開繊機30は、カポック繊維200を開繊する。開繊されたカポック繊維200は、保管ボックス60に保管される。開繊工程において、金属検出部40によって異物が検出された場合、作業者は、異物を除去する。作業者は、例えば、筐体31内に残留しているカポック繊維200を全て除去することにより、異物を除去する。
【0044】
ステップS15の第2検出工程は、開繊工程よりも後に実施される。開繊工程では、作業者は、保管ボックス60からカポック繊維200を取り出し、作業台70に載せる。次に作業者は、例えば、ポータブル検針機を用いて、カポック繊維200に異物が含まれているか否かを調べる。第2検出工程において異物が検出された場合、作業者は、異物を除去する。
【0045】
ステップS16の計量工程は、第2検出工程よりも後に実施される。計量工程では、作業者は、計量器300を用いて、必要なカポック繊維200を計量する。
【0046】
ステップS17の充填工程は、計量工程の後に実施される。充填工程では、作業者は、計量したカポック繊維200をホース81の一端81Aからホース81に投入し、注入ガン82を操作する。ホース81に投入されたカポック繊維200は、コンプレッサ90によって、カポック製品100に充填される。
【0047】
<4.コンベア停止制御>
図5は、コンベア制御部50Aによって実行されるコンベア停止制御の一例を示すフローチャートである。コンベア停止制御は、コンベア20の駆動の開始に伴い開始され、コンベア20の駆動の停止に伴い終了する。コンベア制御部50Aは、コンベア20が駆動している間、コンベア停止制御を繰り返し実行する。
【0048】
ステップS21では、コンベア制御部50Aは、金属検出部40によって異物が検出されたか否かを判定する。ステップS21が肯定判定の場合、コンベア制御部50Aは、ステップS22の処理を実行する。一方、ステップS21が否定判定の場合、コンベア制御部50Aは、ステップS23の処理を実行する。
【0049】
ステップS22では、コンベア制御部50Aは、コンベア20の駆動用モータ22、23を停止させる。
【0050】
ステップS23では、コンベア制御部50Aは、コンベア20を停止させる信号が入力されたか否かを判定する。ステップS23が肯定判定の場合、コンベア制御部50Aは、ステップS22の処理を実行する。一方、ステップS23が否定判定の場合、コンベア制御部50Aは、ステップS21の処理を再び実行する。
【0051】
<5.開繊機停止制御>
図6は、開繊機制御部50Bによって実行される開繊機停止制御の一例を示すフローチャートである。開繊機停止制御は、開繊機30の駆動の開始に伴い開始され、開繊機30の駆動の停止に伴い終了する。開繊機制御部50Bは、開繊機30が駆動している間、開繊機停止制御を繰り返し実行する。
【0052】
ステップS31では、開繊機制御部50Bは、金属検出部40によって異物が検出されたか否かを判定する。ステップS31が肯定判定の場合、開繊機制御部50Bは、ステップS32の処理を実行する。一方、ステップS31が否定判定の場合、開繊機制御部50Bは、ステップS33の処理を実行する。
【0053】
ステップS32では、開繊機制御部50Bは、開繊機30の駆動用モータ32Xを停止させる。
【0054】
ステップS33では、開繊機制御部50Bは、開繊機30を停止させる信号が入力されたか否かを判定する。ステップS33が肯定判定の場合、開繊機制御部50Bは、ステップS32の処理を実行する。一方、ステップS33が否定判定の場合、開繊機制御部50Bは、ステップS31の処理を再び実行する。
【0055】
<6.本実施形態の効果>
本実施形態のカポック製品の製造方法によれば、次の効果を得ることができる。
<6-1>
開繊工程で金属を含む異物が除去されるため、開繊機30を構成する要素、例えば、ピン33と金属との摩擦熱によって発火することが抑制される。また、シャフト32に金属が詰まりシャフト32と金属との摩擦熱によって発火することが抑制される。このため、カポック製品100を好適に製造できる。
【0056】
<6-2>
第1検出工程を含むため、開繊工程の前にカポック繊維200に含まれる異物を除去できる。このため、例えば、開繊工程の前にカポック繊維200が舞い上がり、作業室内の電気系統とカポック繊維200とが接触して発火することが抑制される。
【0057】
<6-3>
第2検出工程を含むため、開繊工程で異物の検出漏れがあった場合でも、第2検出工程で異物を除去できる。このため、カポック製品100に異物が混入することを抑制することができる。
【0058】
<6-4>
開繊機制御部50Bは、開繊機停止制御を実行するため、開繊工程で異物が検出された場合に、自動で開繊機30が停止する。このため、異物を容易に除去できる。
【0059】
<6-5>
コンベア制御部50Aは、コンベア停止制御を実行するため、開繊工程で異物が検出された場合に、自動でコンベア20が停止する。開繊機30に異物が搬送されないため、異物を容易に除去できる。
【0060】
<6-6>
従来は、ぬいぐるみまたはクッション等の単純な作業で済むカポック製品100において、作業者の手作業によってカポック繊維200が充填されていた。しかし、工業的経済生産性の観点、衣料品としてのファッション性の観点、および、作業者の技量によってカポック製品の出来映えにばらつきが大きくなることを抑制する観点から、カポック製品100にカポック繊維200を充填する作業は、概ね自動化されることが好ましい。本実施形態の製造装置10によれば、カポック製品100にカポック繊維200を充填する作業が、概ね自動化されるため、品質の高いカポック製品100を安定して生産することができる。
【0061】
<6-7>
現在、カポックの実は、日本では生育されていない。このため、カポック繊維200は、東南アジア等から輸入されている。カポック繊維200は、非常に軽いため、輸送コストの観点、および、取り扱いの観点から、非常に圧縮された梱包状態で輸入される。本実施形態の製造装置10は、開繊機30を備えるため、この圧縮されたカポック繊維200を好適に開繊できる。このため、品質の高いカポック製品100を製造できる。
【0062】
<7.変形例>
上記実施形態は本発明に関するカポック製品の製造方法およびカポック製品が取り得る形態の例示であり、その形態を制限することを意図していない。本発明に関するカポック製品の製造方法およびカポック製品は、実施形態に例示された形態とは異なる形態を取り得る。その一例は、実施形態の構成の一部を置換、変更、もしくは、省略した形態、または、実施形態に新たな構成を付加した形態である。以下に実施形態の変形例の幾つかの例を示す。なお、以下の変形例は、技術的に矛盾しない範囲において、互いに組み合わせることができる。
【0063】
<7-1>
上記実施形態では、開繊工程において、金属検出部40によって異物が検出された場合、開繊機制御部50Bが開繊機30の駆動を停止させたが、開繊工程の具体的な形態は、これに限定されない。例えば、制御装置50は、金属検出部40によって異物が検出された場合、視覚的方法または聴覚的方法によって作業者にその旨を報知し、作業者が開繊機30の駆動を停止させてもよい。
【0064】
<7-2>
上記実施形態では、開繊工程において、金属検出部40によって異物が検出された場合、コンベア制御部50Aがコンベア20の駆動を停止させたが、開繊工程の具体的な形態は、これに限定されない。例えば、制御装置50は、金属検出部40によって異物が検出された場合、視覚的方法または聴覚的方法によって作業者にその旨を報知し、作業者がコンベア20の駆動を停止させてもよい。
【0065】
<7-3>
上記実施形態では、制御装置50は、コンベア20および開繊機30の駆動を制御したが、コンベア20と開繊機30とは、異なる制御装置によって制御されてもよい。
【0066】
<7-4>
カポック製品の製造方法において、第1検出工程および第2検出工程の少なくとも一方を省略することもできる。
【符号の説明】
【0067】
30:開繊機
32:シャフト
33:ピン
50:制御装置
100:カポック製品
200:カポック繊維
図1
図2
図3
図4
図5
図6