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特開2024-27955無人荷役車両および冷凍倉庫用荷役システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024027955
(43)【公開日】2024-03-01
(54)【発明の名称】無人荷役車両および冷凍倉庫用荷役システム
(51)【国際特許分類】
   B65G 1/00 20060101AFI20240222BHJP
   G05D 1/43 20240101ALI20240222BHJP
【FI】
B65G1/00 521A
G05D1/02 H
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022131183
(22)【出願日】2022-08-19
(71)【出願人】
【識別番号】000232807
【氏名又は名称】三菱ロジスネクスト株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000475
【氏名又は名称】弁理士法人みのり特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】門地 正史
(72)【発明者】
【氏名】中山 健次
(72)【発明者】
【氏名】大西 哲郎
(72)【発明者】
【氏名】田中 祥大
【テーマコード(参考)】
3F022
5H301
【Fターム(参考)】
3F022AA02
3F022BB02
3F022FF01
3F022JJ12
3F022KK01
3F022LL07
3F022MM52
3F022NN21
3F022QQ13
3F022QQ20
5H301AA02
5H301BB05
5H301CC03
5H301CC06
5H301CC10
5H301GG08
5H301GG10
5H301JJ01
(57)【要約】
【課題】霧が発生する特定区間において霧を障害物として検出することを抑制しつつ安全に走行できる無人荷役車両および冷凍倉庫用荷役システムを提供する。
【解決手段】無人フォークリフト3は、霧が発生する特定区間を走行する車両本体3Aと、車両本体3Aの走行を妨げる障害物を検出するレーザーセンサ33Aおよび超音波センサ33Bと、障害物の検出結果に基づいて車両本体3Aの走行を制御する制御装置とを備える。制御装置は、車両本体3Aが特定区間以外の区間を走行しているとき、レーザーセンサ33Aによる障害物の検出結果に基づいて、車両本体3Aの走行を制御し、車両本体3Aが特定区間を走行しているとき、車両本体3Aが特定区間以外の区間を走行しているときに比べて車両本体3Aの走行速度を制限し、かつ、超音波センサ33Bによる障害物の検出結果に基づいて車両本体3Aの走行を制御する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷凍庫の内外で荷役作業を行う無人荷役車両において、
霧が発生する特定区間を走行する車両本体と、
前記車両本体の走行を妨げる障害物を検出する障害物センサとしてのレーザーセンサおよび超音波センサと、
前記障害物の検出結果に基づいて前記車両本体の走行を制御する制御装置と、を備え、
前記制御装置は、
前記車両本体が前記特定区間以外の区間を走行しているとき、前記レーザーセンサによる前記障害物の検出結果に基づいて、前記車両本体の走行を制御し、
前記車両本体が前記特定区間を走行しているとき、前記車両本体が前記特定区間以外の区間を走行しているときに比べて前記車両本体の走行速度を制限し、かつ、前記レーザーセンサに代えて前記超音波センサによる前記障害物の検出結果に基づいて前記車両本体の走行を制御する
ことを特徴とする無人荷役車両。
【請求項2】
前記制御装置は、前記車両本体が前記特定区間を走行しており、かつ、前記車両本体の走行速度が所定速度未満であることを条件として、前記レーザーセンサに代えて前記超音波センサを用いた前記車両本体の走行の制御を開始する
ことを特徴とする請求項1に記載の無人荷役車両。
【請求項3】
前記車両本体の位置情報を取得する位置情報取得装置をさらに備え、
前記制御装置は、前記車両本体の位置情報に基づいて、当該車両本体が前記特定区間を走行しているか否かを判定する
ことを特徴とする請求項1に記載の無人荷役車両。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか一項に記載の無人荷役車両と、
前記無人荷役車両と通信可能であって、前記無人荷役車両の走行区間を指定する走行区間情報を送信する管理コンピュータと、を備え、
前記制御装置は、前記管理コンピュータから受信した前記走行区間情報に基づいて、当該車両本体が前記特定区間を走行しているか否かを判定する
ことを特徴とする冷凍倉庫用荷役システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷凍庫の内外で荷役作業を行う無人荷役車両および冷凍倉庫用荷役システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
低温環境下における作業者の負担を軽減するために、冷凍庫の内外で荷物の積み降ろしや搬送等の荷役作業を行う無人荷役車両が開発されている(例えば特許文献1参照)。一般に、無人荷役車両は、走行を妨げる障害物を検出する障害物センサを備えており、障害物センサとしては、例えば反射型レーザーセンサを採用することが知られている。
【0003】
ところで、冷凍庫の出入り口付近では霧が発生する場合があり、レーザーセンサが霧を障害物として誤検出することで、無人荷役車両が障害物と接触しないように走行を停止するという不都合があった。そこで、霧が障害物として検出されないために、霧が発生する特定区間ではレーザーセンサを動作させないようにすることが考えられる。
【0004】
しかしながら、特定区間でレーザーセンサを動作させないように構成すると、その特定区間に障害物が存在する場合には、その障害物を検出することができないため、無人荷役車両が障害物に接触するおそれがあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平11-268895号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、霧が発生する特定区間において霧を障害物として検出することを抑制しつつ安全に走行できる無人荷役車両および冷凍倉庫用荷役システムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明の無人荷役車両は、冷凍庫の内外で荷役作業を行う無人荷役車両において、霧が発生する特定区間を走行する車両本体と、前記車両本体の走行を妨げる障害物を検出する障害物センサとしてのレーザーセンサおよび超音波センサと、前記障害物の検出結果に基づいて前記車両本体の走行を制御する制御装置と、を備え、前記制御装置は、前記車両本体が前記特定区間以外の区間を走行しているとき、前記レーザーセンサによる前記障害物の検出結果に基づいて、前記車両本体の走行を制御し、前記車両本体が前記特定区間を走行しているとき、前記車両本体が前記特定区間以外の区間を走行しているときに比べて前記車両本体の走行速度を制限し、かつ、前記レーザーセンサに代えて前記超音波センサによる前記障害物の検出結果に基づいて前記車両本体の走行を制御することを特徴とする。
【0008】
また、前記制御装置は、前記車両本体が前記特定区間を走行しており、かつ、前記車両本体の走行速度が所定速度未満であることを条件として、前記レーザーセンサに代えて前記超音波センサを用いた前記車両本体の走行の制御を開始することが好ましい。
【0009】
また、前記車両本体の位置情報を取得する位置情報取得装置をさらに備え、前記制御装置は、前記車両本体の位置情報に基づいて、当該車両本体が前記特定区間を走行しているか否かを判定することが好ましい。
【0010】
また、本発明の冷凍倉庫用荷役システムは、上記の無人荷役車両と、前記無人荷役車両と通信可能であって、前記無人荷役車両の走行区間を指定する走行区間情報を送信する管理コンピュータと、を備え、前記制御装置は、前記管理コンピュータから受信した前記走行区間情報に基づいて、当該車両本体が前記特定区間を走行しているか否かを判定することが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、霧が発生する特定区間において霧を障害物として検出することを抑制しつつ安全に走行できる無人荷役車両および冷凍倉庫用荷役システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の一実施形態に係る無人荷役車両を含む冷凍倉庫用荷役システムの概要図である。
図2】同実施形態に係る無人荷役車両の概略構成図である。
図3】同実施形態に係る無人荷役車両の概略構成を示すブロック図である。
図4】同実施形態に係る制御装置による特定区間走行処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図面を参照して、本発明の一実施形態に係る冷凍倉庫用荷役システムSを説明する。
図1に示すように、冷凍倉庫用荷役システムSは、冷凍庫1Aおよび前室1Bを含む冷凍倉庫1と、管理コンピュータ2と、無人荷役車両としての無人フォークリフト3とを備えている。
【0014】
冷凍倉庫1は、例えば生鮮食品や冷凍食品等の保管対象物Nを冷凍して保管するための倉庫である。冷凍庫1Aは、保管対象物Nの保管スペースを有する部屋であり、前室1Bに通じる出入り口11を有している。前室1Bは、冷凍庫1Aに出入りするための部屋である。冷凍倉庫1は、冷凍庫1A内および前室1B内の温度を所定の設定温度(例えば冷凍庫1A内はマイナス25℃、前室1B内は2℃)に保つための冷凍空調設備(図示略)を備えている。
【0015】
また、冷凍倉庫1は、冷凍庫1Aの出入り口11に設けられた防熱扉12およびエアカーテン13を備えている。防熱扉12は、冷凍庫1Aから前室1Bへの冷気の流出を防ぐために出入り口11を閉鎖し、無人フォークリフト3が冷凍庫1Aの内外に移動する際は、冷凍庫1Aおよび前室1Bが連通するように出入り口11を開放する。エアカーテン13は、出入り口11が開放されている状態で冷凍庫1Aから前室1Bへの冷気の流出を防ぐために、出入り口11を覆う気流を生成するように空気を吹き出す。出入り口11が開放されたとき、出入り口11付近の特定区間Aでは霧が発生する。
【0016】
管理コンピュータ2は、無人フォークリフト3と通信可能な電子機器であって、種々の情報を送受信することで無人フォークリフト3を管理する。具体的には、管理コンピュータ2は、無人フォークリフト3の動作情報、および、無人フォークリフト3の位置情報等を、無人フォークリフト3から受信する。また、管理コンピュータ2は、無人フォークリフト3の荷取り作業を指定するための荷取り作業情報、無人フォークリフト3の走行区間を指定する走行区間情報、および、無人フォークリフト3の荷置き作業を指定するための荷置き作業情報等を、無人フォークリフト3に送信する。管理コンピュータ2は、無人フォークリフト3が出入り口11を通過する必要がある場合は、無人フォークリフト3の走行区間として特定区間Aを指定する走行区間情報を送信する。
【0017】
無人フォークリフト3は、冷凍庫1Aの内外で荷役作業を行うフォークリフトである。無人フォークリフト3は、管理コンピュータ2から荷取り作業情報、走行区間情報、および、荷置き作業情報を受信し、それらの情報に基づいて、保管対象物Nの荷取り、冷凍倉庫1内での走行による保管対象物Nの搬送、および、保管対象物Nの荷置きを行う。
【0018】
図2に示すように、無人フォークリフト3は、冷凍庫1Aの内外を走行する車両本体3Aと、保管対象物Nを取り扱う荷役装置3Bとを備えている。荷役装置3Bは、保管対象物Nを支持するフォーク31Aと、フォーク31Aを昇降させるリフト装置31Bとにより構成されている。
【0019】
車両本体3Aは、図2中の矢印D1で示す車体方向D1および矢印D2で示すフォーク方向D2に向かって直進可能に構成されている。車両本体3Aは、冷凍庫1Aに出入りする際は、出入り口11を通過するために、霧が発生する出入り口11付近の特定区間A(図1参照)を走行する。車両本体3Aは、少なくとも特定区間Aでは、車体方向D1に走行する。
【0020】
また、無人フォークリフト3は、レーザーセンサ32と、障害物センサとしてのレーザーセンサ33Aおよび超音波センサ33Bと、モーションセンサ34(図3参照)とを備えている。
【0021】
レーザーセンサ32は、LiDAR(Light Detection and Ranging)によりSLAM(Simultaneous Localization and Mapping)用のデータを取得するセンサである。レーザーセンサ32は、リフト装置31Bの上部に設けられており、無人フォークリフト3の全方位に向けてレーザー光を投光する。そして、レーザーセンサ32は、冷凍倉庫1内に設置された複数の反射板(図示略)や他の物体で反射したレーザー光を受光する。こうして、レーザーセンサ32は、レーザー光を反射した物体を検出し、無人フォークリフト3と周囲の物体との位置関係に係るデータを取得する。
【0022】
レーザーセンサ33Aは、車両本体3Aの車体方向D1への走行を妨げる障害物をLiDARにより検出する障害物センサである。レーザーセンサ33Aは、車両本体3Aの車体方向D1側端部に設けられている。レーザーセンサ33Aは、車体方向D1側の所定領域R1に向けてレーザー光を投光し、その領域R1に存在する障害物で反射したレーザー光を受光することで、その障害物を検出する。
【0023】
超音波センサ33Bは、車両本体3Aの車体方向D1への走行を妨げる障害物を超音波の送受信により検出する障害物センサである。超音波センサ33Bは、車両本体3Aの車体方向D1側端部に設けられており、本実施形態では、図2(A)に示すように、障害物の検出範囲を広げることを目的として、2つの超音波センサ33Bが、車両本体3Aの幅方向において間隔をあけて設けられている。超音波センサ33Bは、レーザーセンサ33Aが障害物を検出できない区間(すなわち霧が発生する出入り口11付近の特定区間A)を車両本体3Aが走行するとき、車体方向D1側の所定領域R2に向けて超音波を送信し、その領域R2に存在する障害物で反射した超音波を受信することで、その障害物を検出する。
【0024】
また、図3に示すように、無人フォークリフト3は、モーションセンサ34と、位置情報取得装置35と、走行装置36と、制御装置37とを備えている。
【0025】
モーションセンサ34は、無人フォークリフト3の動作を検出することによりオドメトリ用のデータを取得するセンサである。具体的には、モーションセンサ34は、例えば、車速を検出する車速センサ、車輪の舵角を検出する舵角センサ、もしくは加速度を検出する加速度センサ、またはこれら複数のセンサの組み合わせにより構成される。
【0026】
位置情報取得装置35は、車両本体3Aの位置情報(すなわち自車である無人フォークリフト3の位置情報)を取得する。本実施形態では、位置情報取得装置35は、レーザーセンサ32と、モーションセンサ34と、環境地図作成装置35Aと、自車位置推定装置35Bとにより構成されている。
【0027】
環境地図作成装置35Aは、レーザーセンサ32により取得したデータに基づいて、冷凍倉庫1内の環境地図を作成する。環境地図は、無人フォークリフト3の周辺環境の情報を含み、無人フォークリフト3の自車位置の推定に用いられる。
【0028】
自車位置推定装置35Bは、レーザーセンサ32およびモーションセンサ34により取得したデータに基づいて、車両本体3Aの位置(すなわち無人フォークリフト3の自車位置)を推定する。具体的には、自車位置推定装置35Bは、車両本体3Aが出入り口11付近の特定区間A以外の区間を走行している場合は、レーザーセンサ32により取得したデータと、環境地図作成装置35Aにより作成された環境地図とに基づいて、車両本体3Aの位置を推定する。また、自車位置推定装置35Bは、車両本体3Aが出入り口11付近の特定区間Aを走行している場合は、モーションセンサ34により取得したデータに基づいて、車両本体3Aの移動量を推定し、推定した移動量に基づいて、車両本体3Aの位置を推定する。
【0029】
走行装置36は、車両本体3Aを走行させる装置である。走行装置36は、動力を発生させる電動機(図示略)、車両本体3Aの走行方向を変化させる操舵装置(図示略)、および車両本体3Aを制動する制動装置(図示略)等を含んでいる。
【0030】
制御装置37は、走行装置36を制御することで、車両本体3Aの走行を制御する。制御装置37は、管理コンピュータ2から受信した走行区間情報、および位置情報取得装置35により取得した無人フォークリフト3の位置情報(車両本体3Aの位置情報)等に基づいて、車両本体3Aが特定区間Aを走行しているか否かを判定し、その判定結果に基づいて走行装置36を制御する。
【0031】
具体的には、制御装置37は、車両本体3Aが特定区間A以外の区間を走行している場合は、SLAM走行制御モードで動作し、車両本体3Aが特定区間Aを走行している場合は、オドメトリ走行制御モードで動作する。SLAM走行制御モードの制御装置37は、レーザーセンサ32を用いて取得した車両本体3Aの位置情報に基づいて、車両本体3Aの走行を制御する。一方、オドメトリ走行制御モードの制御装置37は、モーションセンサ34を用いて取得した車両本体3Aの位置情報に基づいて、車両本体3Aの走行を制御する。オドメトリ走行制御モードで動作する制御装置37は、レーザーセンサ32を用いずに車両本体3Aの走行を制御するため、特定区間Aで発生する霧の影響を受けることなく車両本体3Aを走行させることができる。
【0032】
また、制御装置37は、レーザーセンサ33Aおよび超音波センサ33Bによる障害物の検出結果に基づいて、車両本体3Aの走行を制御する。具体的には、制御装置37は、車両本体3Aが特定区間A以外の区間を走行しているときは、レーザーセンサ33Aによる障害物の検出結果に基づいて、車両本体3Aの走行を制御する。また、制御装置37は、車両本体3Aが特定区間Aを走行しており、かつ、車両本体3Aの走行速度が所定速度(例えば時速0.8km)以上であるときも、レーザーセンサ33Aによる障害物の検出結果に基づいて、車両本体3Aの走行を制御する。これらのとき、制御装置37は、超音波センサ33Bを使用せず、レーザーセンサ33Aにより障害物が検出されたとき、車両本体3Aの走行を停止させる。また、制御装置37は、車両本体3Aが特定区間Aを走行しており、かつ、車両本体3Aの走行速度が所定速度(例えば時速0.8km)未満であるときは、超音波センサ33Bによる障害物の検出結果に基づいて、車両本体3Aの走行を制御する。このとき、制御装置37は、レーザーセンサ33Aを使用せず、超音波センサ33Bにより障害物が検出されたとき、車両本体3Aの走行を停止させる。
【0033】
すなわち、レーザーセンサ33Aおよび超音波センサ33Bは、車両本体3Aが特定区間Aを走行しているか否か、および、走行速度が所定速度以上であるか否かに応じて、以下の表に示すように使い分けられる。
【表1】
【0034】
また、制御装置37は、車両本体3Aが特定区間Aを走行しているとき、車両本体3Aが特定区間A以外の区間を走行しているときに比べて車両本体3Aの走行速度を制限する。すなわち、制御装置37は、車両本体3Aが所定速度(例えば時速0.8km)以上で特定区間Aを走行することを禁止し、車両本体3Aが所定速度未満で特定区間Aを走行するように、車両本体3Aを制御する。
【0035】
図4を参照して、無人フォークリフト3が冷凍庫1A内から特定区間Aを通過して冷凍庫1A外(すなわち前室1B内)に移動する際の制御装置37の動作フローを説明する。なお、無人フォークリフト3が冷凍庫1A外から特定区間Aを通過して冷凍庫1A内に移動する際の制御装置37の動作フローも、以下に説明する動作フローと同様である。
【0036】
図4に示すように、まず、制御装置37は、車両本体3Aが特定区間Aに到達するまでに、特定区間Aにおける走行速度が所定速度(例えば時速0.8km)未満となるように、車両本体3Aの走行速度の制限を開始して、車両本体3Aを減速させる(ステップS1)。
【0037】
次いで、制御装置37は、車両本体3Aが特定区間Aに到達したことに基づいて、SLAM走行制御モードからオドメトリ走行制御モードに切り替わる(ステップS2)。すなわち、ステップS2では、制御装置37は、レーザーセンサ32を用いた車両本体3Aの走行の制御を停止し、モーションセンサ34を用いた車両本体3Aの走行の制御を開始する。
【0038】
次いで、制御装置37は、車両本体3Aが特定区間Aを走行しており、かつ、車両本体3Aの走行速度が所定速度(例えば時速0.8km)未満であることを条件として、レーザーセンサ33Aによる障害物の検出を停止し、超音波センサ33Bによる障害物の検出を開始する(ステップS3)。すなわち、ステップS3では、制御装置37は、レーザーセンサ33Aを用いた車両本体3Aの走行の制御を停止し、レーザーセンサ33Aに代えて超音波センサ33Bを用いた車両本体3Aの走行の制御を開始する。
【0039】
次いで、制御装置37は、車両本体3Aが特定区間Aを通過したことに基づいて、オドメトリ走行制御モードからSLAM走行制御モードに切り替わる(ステップS4)。すなわち、ステップS4では、制御装置37は、ステップS2で停止したレーザーセンサ32を用いた車両本体3Aの走行の制御を再開する。
【0040】
そして、制御装置37は、ステップS1で開始した車両本体3Aの走行速度の制限を解除し(ステップS5)、ステップS3で停止したレーザーセンサ33Aによる障害物の検出を再開する(ステップS6)。すなわち、ステップS5,S6では、制御装置37は、車両本体3Aを加速させ、超音波センサ33Bを用いた車両本体3Aの走行の制御を停止し、ステップS3で停止したレーザーセンサ33Aを用いた車両本体3Aの走行の制御を再開する。
【0041】
本実施形態では以下の効果が得られる。
(1)車両本体3Aが特定区間Aを走行しているとき、レーザーセンサ33Aに代えて超音波センサ33Bによる障害物の検出結果に基づいて車両本体3Aの走行が制御される。このため、特定区間Aに発生する霧がレーザーセンサ33Aにより障害物として誤検出されないようにすることができ、特定区間Aに存在する障害物を超音波センサ33Bにより検出できる。また、車両本体3Aが特定区間Aを走行しているとき、車両本体3Aが特定区間A以外の区間を走行しているときに比べて車両本体3Aの走行速度が制限される。このため、無人フォークリフト3が超音波センサ33Bで検出された障害物に接触する前に車両本体3Aが走行を停止できるように、車両本体3Aの走行速度を十分に低下させることができる。したがって、無人フォークリフト3は、霧が発生する特定区間Aにおいて霧を障害物として検出することを抑制しつつ安全に走行できる。
【0042】
(2)車両本体3Aの走行速度が所定速度以上であれば、超音波センサ33Bで障害物を検出できたとしても、障害物に接触する前に車両本体3Aが走行を停止できないおそれがある。したがって、車両本体3Aの走行速度が所定速度未満であることを条件として、レーザーセンサ33Aに代えて超音波センサ33Bを用いた車両本体3Aの走行の制御が開始されるため、走行安全性をさらに向上させることができる。
【0043】
(3)位置情報取得装置35により取得された車両本体3Aの位置情報に基づいて、車両本体3Aが特定区間Aを走行しているか否かが判定される。このため、無人フォークリフト3は、外部から車両本体3Aの位置情報を取得することなく、使用する障害物センサをレーザーセンサ33Aから超音波センサ33Bに切り替えることができる。
【0044】
(4)管理コンピュータ2が送信する走行区間情報に基づいて、車両本体3Aが特定区間Aを走行しているか否かが判定される。このため、使用する障害物センサをレーザーセンサ33Aから超音波センサ33Bに切り替える特定区間Aを、管理コンピュータ2で指定することができる。
【0045】
本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、上記構成を変更することもできる。例えば、以下のように変更して実施することもでき、以下の変更を組み合わせて実施することもできる。
【0046】
・制御装置37は、車両本体3Aが特定区間Aに到達した後に、特定区間Aにおける走行速度が所定速度(例えば時速0.8km)未満となるように、車両本体3Aの走行速度の制限を開始してもよい。すなわち、車両本体3Aの走行速度の制限は、特定区間Aの走行前に開始されてもよく、特定区間Aの走行中に開始されてもよい。
【0047】
・無人フォークリフト3が、特定区間Aに係る情報を予め記憶しており、管理コンピュータ2から走行区間情報を受信することなく、車両本体3Aが特定区間Aを走行しているか否かを判定するように構成してもよい。
【0048】
・特定区間Aに存在する障害物を検出できるのであれば、超音波センサ33Bの配置および個数、ならびに制御装置37の動作等を適宜変更してもよい。また、無人フォークリフト3は、障害物センサとして、車両本体3Aのフォーク方向D2への走行を妨げる障害物を検出するレーザーセンサおよび超音波センサを備えていてもよい。
【0049】
・無人フォークリフト3以外の他の無人荷役車両に本発明を適用してもよい。すなわち、無人荷役車両は、フォーク31Aを備えていない無人搬送車両や、無人フォークリフト3の派生機種であってもよい。
【符号の説明】
【0050】
1 冷凍倉庫
1A 冷凍庫
1B 前室
2 管理コンピュータ
3 無人フォークリフト(無人荷役車両)
3A 車両本体
3B 荷役装置
33A レーザーセンサ(障害物センサ)
33B 超音波センサ(障害物センサ)
35 位置情報取得装置
37 制御装置
A 特定区間
S 冷凍倉庫用荷役システム
図1
図2
図3
図4