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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024027957
(43)【公開日】2024-03-01
(54)【発明の名称】一酸化炭素製造装置
(51)【国際特許分類】
   C25B 1/23 20210101AFI20240222BHJP
   C25B 9/00 20210101ALI20240222BHJP
   C25B 15/08 20060101ALI20240222BHJP
   H01M 8/00 20160101ALI20240222BHJP
   H01M 8/04 20160101ALI20240222BHJP
   H01M 8/10 20160101ALI20240222BHJP
   B01D 53/047 20060101ALI20240222BHJP
【FI】
C25B1/23
C25B9/00 A
C25B15/08
H01M8/00 Z
H01M8/04 Z
H01M8/10 101
B01D53/047
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022131188
(22)【出願日】2022-08-19
(71)【出願人】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(71)【出願人】
【識別番号】317015294
【氏名又は名称】東芝エネルギーシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001092
【氏名又は名称】弁理士法人サクラ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小川 斗
(72)【発明者】
【氏名】村松 武彦
(72)【発明者】
【氏名】北村 英夫
(72)【発明者】
【氏名】大田 裕之
(72)【発明者】
【氏名】水口 浩司
【テーマコード(参考)】
4D012
4K021
5H126
5H127
【Fターム(参考)】
4D012CA07
4D012CA20
4D012CD07
4D012CH08
4K021AA01
4K021AB25
4K021BA02
5H126BB04
5H126BB05
5H126BB06
5H127AA03
5H127AA04
5H127AA06
5H127AA07
5H127AB21
5H127BA07
5H127BB04
(57)【要約】
【課題】COの有効活用を促進し、COの大気中への放出を低減することを可能にしたCO製造装置を提供する。
【解決手段】実施形態のCO製造装置1は、COを還元して一酸化炭素を生成する第1カソード部7と第1アノード部8とを備える電解部3と、第1カソード部7から供給されるCO含有ガスからCOを精製するCO精製部4と、CO精製部4から排出されるCO抽出残ガスからHを精製するH精製部5と、第1アノード部8から排出されるO-CO含有ガスが供給される第2カソード部10とHが供給される第2アノード部11とを備える燃料電池部6とを具備する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
二酸化炭素を還元して一酸化炭素を生成する第1カソード部と、被酸化物を酸化して酸化物を生成する第1アノード部とを備える電解部と、
前記電解部の前記第1カソード部から供給される一酸化炭素含有ガスから一酸化炭素を精製する一酸化炭素精製部と、
前記一酸化炭素精製部から排出される一酸化炭素抽出残ガスから水素を精製する水素精製部と、
前記電解部の前記第1アノード部から排出される酸素-二酸化炭素含有ガスが供給される第2カソード部と、水素を含むガスが供給される第2アノード部とを備える燃料電池部と
を具備する一酸化炭素製造装置。
【請求項2】
前記燃料電池部は、前記第2アノード部から二酸化炭素を含む残ガスを排出し、かつ前記残ガスを前記二酸化炭素電解部の前記第1カソード部に供給するように構成されている、請求項1に記載の一酸化炭素製造装置。
【請求項3】
前記水素精製部は、二酸化炭素を含む水素抽出残ガスを排出し、かつ前記水素抽出残ガスを前記二酸化炭素電解部の前記第1カソード部に供給するように構成されている、請求項1に記載の一酸化炭素製造装置。
【請求項4】
前記燃料電池部は、リン酸形燃料電池、固体高分子形燃料電池、又は固体酸化物形燃料電池を具備する、請求項1に記載の一酸化炭素製造装置。
【請求項5】
前記燃料電池部は、溶融炭酸塩型燃料電池を具備する、請求項1に記載の一酸化炭素製造装置。
【請求項6】
さらに、前記燃料電池部の前記第2カソード部から排出される酸素及び二酸化炭素を含む残ガスから二酸化炭素を回収し、前記回収された二酸化炭素を前記二酸化炭素電解部の前記第1カソード部に供給するように構成された二酸化炭素回収部を具備する、請求項1に記載の一酸化炭素製造装置。
【請求項7】
前記水素精製部は、二酸化炭素を含む水素抽出残ガスを排出し、かつ前記水素抽出残ガスを前記二酸化炭素回収部に供給するように構成されている、請求項6に記載の一酸化炭素製造装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、一酸化炭素製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
天然ガス、石炭、石油等の化石燃料を燃焼させることで発生する二酸化炭素(CO)は、温室効果による地球温暖化の主因と考えられており、化石燃料の使用削減が求められている。COの大規模発生源としては、火力発電所や製鉄所等が挙げられる。これらのCO発生源から排出される排ガスからCOを除去し、大気中への放出を抑制すれば、効率的に温暖化の原因を取り除くことが可能となる。さらに、排ガスから除去したCOを何等かの手段で還元して炭素化合物を生成すれば、化石資源に由来する燃料や化学品と同様の炭素化合物に再生することができる。
【0003】
COを還元して一酸化炭素(CO)のような炭素化合物を生成するCO電解装置(CO製造装置)は、COのCO等の炭素化合物への変換に好適である。CO電解装置においては、カソード部から排出されるCO含有ガスからCOを精製するCO精製装置が用いられている。従来のCO精製装置から発生するCO精製後のパージガスの一部はCO電解装置に供給され、残部は空気燃焼させて無害化して大気中に放出される。CO電解装置から発生する酸素をパージするために供給されるCO、及び燃焼装置から放出されるCOは、CO製造装置に供給されたCOのうちで、有効活用されずに大気中に放出されてしまう。このため、供給されたCOを有効活用し、COの大気中への放出を低減した一酸化炭素製造装置が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第2014/154253号
【特許文献2】特開2021-055124号公報
【特許文献3】特開2019-218578号公報
【特許文献4】特開2016-124759号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、COの有効活用を促進し、COの大気中への放出を低減することを可能にした一酸化炭素製造装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態の一酸化炭素製造装置は、二酸化炭素を還元して一酸化炭素を生成する第1カソード部と、被酸化物を酸化して酸化物を生成する第1アノード部とを備える電解部と、前記電解部の前記第1カソード部から供給される一酸化炭素含有ガスから一酸化炭素を精製する一酸化炭素精製部と、前記一酸化炭素精製部から排出される一酸化炭素抽出残ガスから水素を精製する水素精製部と、前記電解部の前記第1アノード部から排出される酸素-二酸化炭素含有ガスが供給される第2カソード部と、水素を含むガス(改質ガス)が供給される第2アノード部とを備える燃料電池部とを具備する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】第1の実施形態の一酸化炭素製造装置を示す図である。
図2図1に示す一酸化炭素製造装置の第1の変形例を示す図である。
図3図1に示す一酸化炭素製造装置の第2の変形例を示す図である。
図4】第2の実施形態の一酸化炭素製造装置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、実施形態の一酸化炭素製造装置について、図面を参照して説明する。以下に示す各実施形態において、実質的に同一の構成部位には同一の符号を付し、その説明を一部省略する場合がある。図面は模式的なものであり、厚さと平面寸法との関係、各部の厚さの比率等は現実のものとは異なる場合がある。なお、以下の説明における“~”の記号は、それぞれの数値の上限値と下限値の間の範囲を示すものである。その場合、各数値範囲は上限値及び下限値を含むものである。
【0009】
(第1の実施形態)
図1は第1の実施形態の一酸化炭素製造装置を示す図である。図1に示す一酸化炭素(CO)製造装置1は、二酸化炭素(CO)含有ガスからCOを回収するCO回収部2と、COを電解及び還元して一酸化炭素(CO)を製造するCO電解部3と、CO電解部3から供給される一酸化炭素(CO)含有ガスからCOを精製するCO精製部4と、CO精製部4から排出される一酸化炭素(CO)抽出残ガスから水素(H)を精製するH精製部5と、CO電解部3から排出される酸素(O)-二酸化炭素(CO)含有ガスが供給される燃料電池部6とを具備している。
【0010】
CO回収部2は、火力発電所、廃棄物焼却場、製鉄所等から排出されるCOを含む排出ガス(CO含有ガス)G1からCOを分離回収し、CO濃度を高めたCOガスG2をCO電解部3に供給するように構成されている。COの分離回収には、例えばアミン水溶液のような化学吸収液を用いる化学吸収法、アミン化合物のような固体吸収剤を用いた固体吸収法、CO分離膜を用いた膜分離法、ゼオライト等の無機物を吸着材として用いる物理吸着法等が適用される。例えば、アミン水溶液を用いた化学吸収法及び装置では、アミン水溶液が噴霧される吸収塔に排出ガスG1を供給し、COを吸収したアミン水溶液を再生塔で加熱してアミン水溶液から放散されたCOを回収する。CO回収部2に適用するCOの回収方法及び装置は、特に限定されるものではなく、排出ガスG1からCOを回収することが可能な各種の方法及び装置を適用することができる。
【0011】
CO電解部3は電解セルを有するCO電解装置であり、第1カソード部(還元部)7と第1アノード部(酸化部)8とを備える。第1カソード部7は還元電極(カソード)を、第1アノード部8は酸化電極(アノード)を備えており、少なくとも第1アノード部8には電解液が流通又は満たされている。第1カソード部7においては、COガスを流通させるようにしてもよいし、COを含む電解液を流通又は満たすようにしてもよい。第1カソード部7又は第1アノード部8において、例えば電解液には水(HO)を用いた溶液、例えば任意の電解質を含む水溶液を用いることができる。電解質を含む水溶液としては、例えばリン酸イオン(PO 2-)、ホウ酸イオン(BO 3-)、ナトリウムイオン(Na)、カリウムイオン(K)、カルシウムイオン(Ca2+)、リチウムイオン(Li)、セシウムイオン(Cs)、マグネシウムイオン(Mg2+)、塩化物イオン(Cl)、炭酸水素イオン(HCO )、炭酸イオン(CO 2-)、水酸化物イオン(OH)等を含む水溶液が挙げられる。電解液の具体例としては、KOH、KHCO、KCO等が溶解されたアルカリ水溶液が挙げられる。
【0012】
第1カソード部7には、CO回収部2で回収されたCOガスG2が供給される。後に詳述するように、第1カソード部7にはCOガスG2に加えて、H精製部5から排出されるH抽出残ガスとしてのCOガス、及び後述する燃料電池部6の第2アノード部から排出されるCOガスが供給される。第1カソード部7は、図示しない還元電極に面するガス流路を有し、そのようなガス流路にCOガスが供給される。第1アノード部8は、例えば図示しない酸化電極に面する液体流路を有し、そのような液体流路に電解液が供給される。還元電極及び酸化電極には図示しない電源が接続される。第1カソード部7と第1アノード部8とは、水素イオン(H)、水酸化物イオン(OH)、炭酸イオン(CO 2-)、炭酸水素イオン(HCO )等のイオンを移動させることが可能な隔膜9、例えばイオン交換膜により分離されている。CO電解部3(電解セルを有するCO電解装置)は単一の電解セルやそれらを面方向に接続した構造を有していてもよいし、複数の電解セルが積層されて一体化されたスタック構造を有していてもよい。
【0013】
CO電解部3の第1カソード部7及び第1アノード部8では、以下に示すような反応が生じる。第1カソード部7においては、下記の(1)式に示すように、COの電解反応及び還元反応が生じる。第1カソード部7では、COの還元反応によりCOと炭酸イオン(CO 2-)が生成される。
2CO+2e → CO+CO 2- …(1)
第1カソード部7で生成された炭酸イオン(CO 2-)は、隔膜9を介して第1アノード部8に移動する。第1アノード部8においては、下記の(2)式に示すように、第1カソード部7で生成され、隔膜9を介して移動した炭酸イオン(CO 2-)の酸化反応が生じてCOとOとが生成される。
CO 2- → CO+0.5O+2e …(2)
【0014】
さらに、第1カソード部7においては、電解液中のHOの電解反応が生じ、下記の(3)式に示すように、水素(H)と水酸化物イオン(OH)とが生成される。
2HO+2e → H+2OH …(3)
第1カソード部7で生成された水酸化物イオン(OH)は、隔膜9を介して第1アノード部8に移動する。そして、下記の(4)式に示すように、第1アノード部8で水(HO)と酸素(O)が生成される。
2OH → 0.5O+HO+2e …(4)
【0015】
また、第1アノード部8においては、下記の(5)式に示すように、電解液中の水(HO)が電気分解され、酸素(O)と水素イオン(H)とが生成される。
2HO → 4H+O+4e …(5)
生成された水素イオン(H)は、隔膜9を介して第1カソード部7に移動する。第1カソード部7に水素イオン(H)が到達し、外部回路を通って電子(e)が到達した第1カソード部7においては、下記の(6)式に示す反応により水素が発生する。
4H+4e → 2H …(6)
【0016】
第1カソード部7においては、(1)式に示すCOの還元反応によりCOが生成されると共に、(3)式に示すHOの電解反応及び(6)式に示す反応によりHが生成される。第1カソード部7で生成されたCO及びHは、未反応のCOと共に第1カソード部7から排出される。第1カソード部7から排出される、COとHとCOを含む混合ガスG3は、CO精製部4に供給される。CO精製部4においては、COとHとCOを含む混合ガスG3からCOが精製される。COの分離及び精製には、例えば吸着材の圧力変動によるCOの吸着と脱着を利用し、加圧下でCOを吸着させると共に、減圧下でCOを脱着させてCOを分離及び回収するCO-圧力スイング吸着法(Pressure Swing Adsorption法:PSA法)を適用することができる。ただし、これに限定されるものではない。
【0017】
CO精製部4で分離及び回収されたCOガスG4は、図1では図示していないが、例えばフィッシャー・トロプシュ合成反応を利用した炭素含有の液体燃料合成装置等に燃料成分として供給される。CO精製部4から排出される、COが分離及び回収された残余のガス、すなわちCO抽出残ガスG5は、HやCOを含んでいる。このようなCO抽出残ガスG5は、水素(H)精製部5に供給される。H精製部5においては、HとCOを含む混合ガスG5からHが分離及び精製される。Hの分離及び精製には、例えば吸着材の圧力変動によるH以外の成分の吸着と脱着を利用し、加圧下でH以外の成分を吸着させると共に、減圧下でH以外の成分を脱着させてHを分離及び回収するH-PSA法を適用したH分離精製装置や、Hを選択的に透過するH分離膜を適用したH分離精製装置を適用することができる。ただし、これらに限定されるものではない。
【0018】
精製部5で分離及び回収されたHガスG6は、図1では図示していないが、燃料電池自動車等の各種装置の燃料や、液体燃料合成装置等における燃料成分として使用される。例えば、上記したフィッシャー・トロプシュ合成反応を利用した炭素含有の液体燃料合成装置においては、COと共にHが使用されるため、そのような液体燃料合成装置にHガスG6を燃料成分の一部として供給してもよい。さらに、後述する燃料電池部6の第2アノードに供給してもよい。H精製部5で分離及び回収されたHガスG6は、タンク等に一旦貯蔵してもよい。H精製部5から排出される、Hが分離及び回収された残余のガス、すなわちH抽出残ガスG7は、COを含んでいる。混合ガスG3からCO及びHを分離及び回収しているため、COの純度が高まっている。従って、COを含むH抽出残ガスG7は、CO電解部3の第1カソード部7に供給してもよい。これによって、COの利用効率を高めることが可能になる。H抽出残ガスG7としてのCOは、CO製造装置1とは別の装置で使用してもよいし、別途貯蔵してもよい。
【0019】
上述したように、第1カソード部7から排出される、COとHとCOを含む混合ガスG3を、CO精製部4及びH精製部5に順に供給し、COの分離及び回収とHの分離及び回収を行うことによって、CO及びHの有効利用を促進することができるだけでなく、混合ガスG3からCO及びHを分離及び回収した残ガスG7としてのCOガスを有効活用することが可能になる。具体的に、実施形態のCO製造装置1では、COを含むH抽出残ガスG7を、CO電解部3の第1カソード部7に供給しているため、COガス(G7)を大気中へ放出することなく有効に利用することが可能になる。
【0020】
CO電解部3の第1アノード部8では、上記した(2)式及び(4)式に示すように、炭酸イオン(CO 2-)及び水酸化物イオン(OH)の酸化により、酸素(O)と二酸化炭素(CO)が生成される。第1アノード部8で生成されたO及びCOを含むガス(O-CO含有ガス)G8は、第1アノード部8から排出される。O-CO含有ガスG8からCOを分離する方法としては、天然ガスや火力発電所の排ガスからCOを分離する際に用いられる化学吸収法が挙げられる。しかし、O-CO含有ガスG8のO濃度は30~60体積%と高いため、化学吸収法で用いるCO吸収液の劣化が急速に進み、経済性を大幅に低下させる。同様に、有機物のCO分離膜を使用する場合においても、膜の劣化が懸念される。一方、ゼオライト等の無機物を吸着材として用いる圧力スイング法では、吸着材の劣化のおそれは低いものの、Oを除去してCOの純度を上げるためには、数段の工程が必要となるため、設備が過大となる。
【0021】
そこで、第1の実施形態の二酸化炭素処理装置1においては、CO電解部3の第1アノード部8から排出されるO-CO含有ガスG8が、燃料電池部6の第2カソード10に供給される。燃料電池部6は、燃料電池セルを有する燃料電池装置であり、酸素極を有する第2カソード部10と水素極(燃料極)を有する第2アノード部11と、空気極と燃料極との間に配置された固体酸化物電解質層や固体高分子電解質膜のような電解質層12とを有している。酸素極及び水素極は、それぞれ多孔質な電気伝導体により形成されている。電解質層12は、緻密質な気体を通さないイオン伝導体により形成されている。燃料電池部6は、空気極と燃料極と電解質層とを積層したセルを有し、そのような単一のセルで構成されていてもよいし、複数のセルが積層されて一体化されたスタック構造を有していてもよい。燃料電池部6の具体的な構成は特に限定されるものではない。第1の実施形態の燃料電池部6には、例えばリン酸形燃料電池(PAFC)、固体高分子形燃料電池(PEFC)、固体酸化物形燃料電池(SOFC)等が適用される。
【0022】
燃料電池部6において、第2カソード部10での反応は、下記の(7)式に示す通りである。第2アノード部11での反応は、下記の(8)式に示す通りである。
+4e → 2O2- …(7)
2H+2O2- → 2HO+4e …(8)
(7)式に示すように、第2カソード部10に供給された酸素は、酸素イオン(O2-)に変換される。第2アノード部11においては、第2カソード部10で生成された酸素イオン(O2-)と水素(H)とが反応してHOが生成される。このように、燃料電池部6ではOが消費される。そこで、CO電解部3の第1アノード部8から排出されるO-CO含有ガスG8を第2カソード部10に送り、O-CO含有ガスG8中のOを第2カソード部10で使用する。第2アノード部11には、図示しない水素供給部からH、もしくはH含有ガス(例えば改質ガス)が供給される。第2アノード部11に供給するHの一部には、H精製部5で分離、回収したHを使用してもよい。
【0023】
CO電解部3の第1アノード部8から排出されるO-CO含有ガスG8を、燃料電池部6の第2カソード部10に送り、燃料電池部6でO-CO含有ガスG8のOを消費させる。前述したように、CO電解部3の第1アノード部8から排出されるO-CO含有ガスG8中のO濃度は30~60体積%(例えば33体積%)程度であり、空気中の酸素濃度(20体積%程度)より高い。そのような酸素濃度が高いO-CO含有ガスG8を燃料電池部6の第2カソード部10に供給することによって、第1アノード部8から排出されるO-CO含有ガスG8中のOを有効に利用した上で、燃料電池部6の発電効率を高めることができる。O-CO含有ガスG8は、CO製造装置1とは別の装置で使用してもよいし、別途貯蔵してもよい。燃料電池部6で発電した電力は、CO電解部3で消費される電力の一部として使用してもよい。また、第2アノード部11からの排出ガスG9は、水素(H)が残存するため、第1カソード部7に供給される。
【0024】
第2カソード部10に供給されるO-CO含有ガスG8中のCOは、第2カソード部10に悪影響を及ぼすことはないため、そのまま第2カソード部10の排出ガスG10として排出される。排出ガスG10中のOはCO電解部3の第1カソード部(還元部)7に悪影響を及ぼすため、燃料電池部6の第2カソード部10からの排出ガスG10中のO濃度が十分に低下していない場合には、図2に示すように、排出ガスG10をCO回収部2に送る。さらに、図3に示すように、H精製部5から排出されるH抽出残ガスG7についても、第1カソード部7に直接供給せず、CO回収部2に供給するようにしてもよい。
【0025】
このように、H精製部5から排出されるH抽出残ガスG7中のCOについても、CO電解部3で再利用している。これによって、CO製造装置1におけるCOの利用効率を大幅に高めることが可能になる。さらに、燃料電池部6で発生させた電気をCO電解部3の電力の一部として利用することもでき、CO製造装置1の一層の効率化を実現することが可能になる。
【0026】
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態のCO製造装置1について、図4を参照して説明する。第2の実施形態のCO製造装置1は、燃料電池部として溶融炭酸塩形燃料電池(Molten-Carbonate Fuel Cell:MCFC)6Xを有しており、それ以外については図1に示すCO製造装置1と同様の構成を備えている。MCFC6Xの第2カソード部10には、CO電解部3の第1アノード部8から排出されるO-CO含有ガスG8が供給される。
【0027】
MCFC6Xの第2カソード部10において、O-CO含有ガスは下記の(9)式に示すように、炭酸イオン(CO 2-)に変換される。第2カソード部10で生成された炭酸イオン(CO 2-)は下記の(10)式に示すように、MCFC6Xの第2アノード部11で水素と反応してHOとCOに変換される。
0.5O+CO+2e → CO 2- …(9)
+CO 2- → HO+CO+2e …(10)
【0028】
MCFC6Xの第2アノード部11で生成されるCO、すなわちO-CO含有ガスG8から移動したCOは、排出ガスG9としてCO電解部3の第1カソード部7に供給される。O-CO含有ガス中のO濃度は約33%、CO濃度は約67%である。このようなO濃度及びCO濃度を有するO-CO含有ガスをMCFC6Xの第2カソード部10に供給することによって、燃料電池部6のセル電圧をより高めて、電力を効率よく生成することができる。従って、燃料電池部6を備えるCO製造装置1の効率をより一層高めることが可能になる。また、第1アノード部8から排出されるO-CO含有ガス中のCOを第1カソード部7で再利用することができる。
【0029】
なお、上述した各実施形態の構成は、それぞれ組合せて適用することができ、また一部置き換えることも可能である。ここでは、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図するものではない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施し得るものであり、発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の省略、置き換え、変更等を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同時に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0030】
1…CO製造装置、2…CO回収部、3…CO電解部、4…CO精製部、5…H精製部、6…燃料電池部、7…第1カソード部、8…第1アノード部、9…隔膜、10…第2カソード部、11…第2アノード部、12…電解質層。
図1
図2
図3
図4