(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024027971
(43)【公開日】2024-03-01
(54)【発明の名称】スクータ型車両
(51)【国際特許分類】
B62J 6/023 20200101AFI20240222BHJP
B62J 23/00 20060101ALI20240222BHJP
【FI】
B62J6/023
B62J23/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022131209
(22)【出願日】2022-08-19
(71)【出願人】
【識別番号】000010076
【氏名又は名称】ヤマハ発動機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000202
【氏名又は名称】弁理士法人新樹グローバル・アイピー
(74)【代理人】
【識別番号】100121382
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 託嗣
(72)【発明者】
【氏名】謝金育
(72)【発明者】
【氏名】陳彦甫
(72)【発明者】
【氏名】許芳毓
(57)【要約】
【課題】本発明の目的は、スクータ型車両において、コーナリングライトの照光範囲の変化を抑えて、ライダーの違和感を低減すると共に、車両の前部を小型化することにある。
【解決手段】スクータ型車両は、フロントカバーと、ライトユニットと、コントローラと、を備える。ライトユニットは、フロントカバーに配置される。ライトユニットは、左コーナリングライトと右コーナリングライトとを含む。コントローラは、スクータ型車両の左右へのリーン角に応じて、左右のコーナリングライトの光量を制御する。左右のコーナリングライトの全体は、車両正面視においてフロントカバーの車両上下方向における中央より下方に配置される。車両正面視で、左右のコーナリングライトの全体は、車幅方向において、左サスペンションの外側縁と右サスペンションの外側縁との間に配置される。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
スクータ型車両であって、
ヘッドパイプと、
前記ヘッドパイプに回転可能に支持されるステアリング装置と、
前記ヘッドパイプの前方に配置された不透明なフロントカバーと、
前記スクータ型車両が左旋回するときに左前方の地面を照射する左コーナリングライトと、前記スクータ型車両が右旋回するときに右前方の地面を照射する右コーナリングライトと、を含み、前記フロントカバーに配置されたライトユニットと、
前記左コーナリングライト及び右コーナリングライトの光量を制御するコントローラと、
を備え、
前記ステアリング装置は、
運転者によって操作可能なハンドル部材と、
前記ハンドル部材に接続され、前記ヘッドパイプに挿入されるステアリングシャフトと、
前記ステアリングシャフトに接続され、車幅方向に延びるブラケットと、
前記ブラケットに接続され、前記ブラケットから下方に延びる左サスペンションと、
前記ブラケットに接続され、前記ブラケットから下方に延びる右サスペンションと、
前記左サスペンション及び前記右サスペンションに回転可能に支持される前輪と、
を含み、
前記コントローラは、前記スクータ型車両の左側方へのリーン角に応じて、前記左コーナリングライトの光量を制御し、
前記コントローラは、前記スクータ型車両の右側方へのリーン角に応じて、前記右コーナリングライトの光量を制御し、
前記左コーナリングライト及び前記右コーナリングライトの全体は、車両正面視において前記フロントカバーの車両上下方向における中央より下方に配置され、
車両正面視で、前記左コーナリングライトの全体は、車幅方向において、前記左サスペンションの外側縁と前記右サスペンションの外側縁との間に配置され、
車両正面視で、前記右コーナリングライトの全体は、車幅方向において、前記左サスペンションの外側縁と前記右サスペンションの外側縁との間に配置される、
スクータ型車両。
【請求項2】
前記フロントカバーは、車両側面視で、上方、且つ、後方へ向かって傾斜した第1傾斜面を含み、
前記左コーナリングライト及び前記右コーナリングライトは、車両側面視で、前記第1傾斜面よりも下方に配置される、
請求項1に記載のスクータ型車両。
【請求項3】
前記フロントカバーは、車両側面視で、前記第1傾斜面の下方に配置される第2傾斜面を含み、
前記第2傾斜面は、車両側面視で、下方、且つ、後方へ向かって傾斜しており、
前記左コーナリングライト及び前記右コーナリングライトは、車両側面視で、前記第2傾斜面の下方に配置される、
請求項1に記載のスクータ型車両。
【請求項4】
前記ヘッドパイプの後方に配置されるシートをさらに備え、
前記左コーナリングライト及び前記右コーナリングライトは、車両側面視で、前記シートの上面よりも下方に配置される、
請求項1に記載のスクータ型車両。
【請求項5】
車両正面視で、前記左コーナリングライトの全体は、車幅方向において、前記左サスペンションの内側縁と前記右サスペンションの内側縁との間に配置され、
車両正面視で、前記右コーナリングライトの全体は、車幅方向において、前記左サスペンションの内側縁と前記右サスペンションの内側縁との間に配置される、
請求項1に記載のスクータ型車両。
【請求項6】
車両正面視で、前記左コーナリングライトの全体は、車幅方向において、前記前輪の左側縁と右側縁との間に配置され、
車両正面視で、前記右コーナリングライトの全体は、車幅方向において、前記前輪の左側縁と右側縁との間に配置される、
請求項1に記載のスクータ型車両。
【請求項7】
前記ライトユニットは、前記左コーナリングライトと前記右コーナリングライトとの前方に配置され透光性を有するライトカバーをさらに含み、
前記ライトカバーは、前記フロントカバーから前記スクータ型車両の外部に露出する前カバー面を含み、
前記前カバー面の全体は、車幅方向において、前記左サスペンションの外側縁と前記右サスペンションの外側縁との間に配置される、
請求項1に記載のスクータ型車両。
【請求項8】
前記ライトユニットは、前記左コーナリングライトと前記右コーナリングライトとの前方に配置され透光性を有するライトカバーをさらに含み、
前記ライトカバーは、前記フロントカバーから前記スクータ型車両の外部に露出する前カバー面を含み、
前記前カバー面の全体は、車幅方向において、前記左サスペンションの内側縁と前記右サスペンションの内側縁との間に配置される、
請求項1に記載のスクータ型車両。
【請求項9】
前記ライトユニットは、前記左コーナリングライトと前記右コーナリングライトとの前方に配置され透光性を有するライトカバーをさらに含み、
前記ライトカバーは、前記フロントカバーから前記スクータ型車両の外部に露出する前カバー面を含み、
前記前カバー面の全体は、車幅方向において、前記前輪の左側縁と右側縁との間に配置される、
請求項1に記載のスクータ型車両。
【請求項10】
前記左コーナリングライトは、左光源を含み、
前記右コーナリングライトは、右光源を含み、
前記ライトユニットは、前記左光源と前記右光源とが実装される共通の基板を含む、
請求項1に記載のスクータ型車両。
【請求項11】
前記ライトユニットは、ヘッドライトをさらに含み、
前記左コーナリングライト及び前記右コーナリングライトは、前記ヘッドライトよりも下方に配置される、
請求項1に記載のスクータ型車両。
【請求項12】
前記ライトユニットは、
ロービームの第1ヘッドライトと、
ハイビームの第2ヘッドライトと、
をさらに含み、
前記左コーナリングライト及び前記右コーナリングライトは、前記第1ヘッドライトよりも下方に配置される、
請求項1に記載のスクータ型車両。
【請求項13】
前記第1ヘッドライトは、第1光源を含み、
前記第2ヘッドライトは、前記第1光源よりも下方に配置される第2光源を含み、
前記左コーナリングライトは、左光源を含み、
前記右コーナリングライトは、右光源を含み、
前記ライトユニットは、前記左光源と前記右光源と前記第2光源とが実装される共通の基板を含む、
請求項12に記載のスクータ型車両。
【請求項14】
前記ライトユニットは、車幅方向において前記フロントカバーの中央に配置され、車両正面視で上下方向に延びる前記フロントカバーの中心線と重なる、
請求項1に記載のスクータ型車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スクータ型車両に関する。
【背景技術】
【0002】
鞍乗型車両には、車両の旋回方向を照らすためのコーナリングライトを備えるものがある。例えば、特許文献1では、大型のスポーツモデルのモータサイクルに搭載されたコーナリングライトが開示されている。コーナリングライトは、車両のリーン角に応じて点灯と消灯とが切替えられる。コーナリングライトは、左右のバックミラーに、それぞれ配置されている。
【0003】
特許文献1では、コーナリングライトが低い位置に配置されると、旋回時にコーナリングライトと地面との間の距離が短いことで、リーン角の変化量に対する照光範囲の変化が大きくなることが記載されている。そして、照光範囲の変化が大きくなることで、ライダーが違和感を覚えることが課題として記載されている。そして、特許文献1の鞍乗型車両では、コーナリングライトは、高い位置から照光できるので、リーン角の変化量に対する照光範囲の変化を抑制できることが述べられている。
【0004】
一方、特許文献2では、スクータ型車両に搭載された左右のコーナリングライトが開示されている。左右のコーナリングライトは、フロントカバーの下部に配置されている。左右のコーナリングライトは、それぞれ3つの光源を有している。3つの光源は、車幅方向に並んでいる。そのため、左右のコーナリングライトは、車幅方向に大型化している。リーン角が大きくなるに従って、内側の光源から外側の光源が、順次、点灯される。
【0005】
特許文献2の車両では、特許文献1の車両と異なり、コーナリングライトが低い位置に配置される。しかし、特許文献2の車両では、左右に大型化したコーナリングライトにおいて、リーン角に応じて、複数の光源を順次、点灯させる。それにより、リーン角の変化量に対する照光範囲の減少が抑制される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2013-248990号公報
【特許文献2】特開2013-230772号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述した特許文献1の車両では、コーナリングライトが高い位置に配置される。それにより、旋回時にコーナリングライトと地面との間の距離が大きく確保されることで、リーン角の変化量に対する照光範囲の変化が抑制されることが述べられている。しかしながら、本発明の発明者らは、コーナリングライトが高い位置に配置される場合には、リーン角の変化に応じたコーナリングライトの位置の変化が大きくなることを見出した。また、発明者らは、旋回時にコーナリングライトと地面との間の距離が小さくなることのみならず、コーナリングライトの位置の変化が大きくなることによっても、照光範囲の変化が大きくなることに気づいた。
【0008】
そして、発明者らは、コーナリングライトを低い位置に配置することで、車両が傾斜したときのコーナリングライトの位置の変化を抑制することに想到した。発明者らは、車両が傾斜したときのコーナリングライトの位置の変化を抑制することで、リーン角の変化量に対する照光範囲の変化を抑制できることに想到した。
【0009】
一方、特許文献2の車両では、左右に大型化したコーナリングライトによって、リーン角の変化量に対する照光範囲の減少が抑制される。しかし、この場合、大型のコーナリングライトによって、車両の前部が大型化してしまう。
【0010】
本発明の目的は、スクータ型車両において、コーナリングライトの照光範囲の変化を抑えて、ライダーの違和感を低減すると共に、車両の前部を小型化することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の一態様に係るスクータ型車両は、ヘッドパイプと、ステアリング装置と、フロントカバーと、ライトユニットと、コントローラと、を備える。ステアリング装置は、ヘッドパイプに回転可能に支持される。フロントカバーは、ヘッドパイプの前方に配置され、不透明である。ライトユニットは、フロントカバーに配置される。ライトユニットは、左コーナリングライトと右コーナリングライトとを含む。左コーナリングライトは、スクータ型車両が左旋回するときに左前方の地面を照射する。右コーナリングライトは、スクータ型車両が右旋回するときに右前方の地面を照射する。コントローラは、左コーナリングライト及び右コーナリングライトの光量を制御する。
【0012】
ステアリング装置は、ハンドル部材と、ステアリングシャフトと、ブラケットと、左サスペンションと、右サスペンションと、前輪とを含む、ハンドル部材は、運転者によって操作可能である。ステアリングシャフトは、ハンドル部材に接続され、ヘッドパイプに挿入される。ブラケットは、ステアリングシャフトに接続され、車幅方向に延びる。左サスペンションは、ブラケットに接続され、ブラケットから下方に延びる。右サスペンションは、ブラケットに接続され、ブラケットから下方に延びる。前輪は、左サスペンション及び右サスペンションに回転可能に支持される。
【0013】
コントローラは、スクータ型車両の左側方へのリーン角に応じて、左コーナリングライトの光量を制御する。コントローラは、スクータ型車両の右側方へのリーン角に応じて、右コーナリングライトの光量を制御する。左コーナリングライト及び右コーナリングライトの全体は、車両正面視においてフロントカバーの車両上下方向における中央より下方に配置される。車両正面視で、左コーナリングライトの全体は、車幅方向において、左サスペンションの外側縁と右サスペンションの外側縁との間に配置される。車両正面視で、右コーナリングライトの全体は、車幅方向において、左サスペンションの外側縁と右サスペンションの外側縁との間に配置される。
【0014】
本発明に係るスクータ型車両では、左右のコーナリングライトの全体がフロントカバーにおいて低い位置に配置される。それにより、リーン角に応じた左右のコーナリングライトの位置の変化が小さくなることで、照光範囲の変化が抑えられる。車両正面視で、左右のコーナリングライトの全体は、車幅方向において、左サスペンションの外側縁と右サスペンションの外側縁との間に配置される。従って、左右のコーナリングライトは、フロントカバーの中央にコンパクトに配置される。それにより、車両が傾斜したときの地面と、左右のコーナリングライトとの間の距離が大きく確保される。そのため、左右のコーナリングライトが低い位置に配置されても、照光範囲の変化が抑えられる。また、左右のコーナリングライトが、フロントカバーの中央にコンパクトに配置される。そのため、スクータ型車両の前部が小型化される。
【0015】
フロントカバーは、第1傾斜面を含んでもよい。第1傾斜面は、車両側面視で、上方、且つ、後方へ向かって傾斜していてもよい。左コーナリングライト及び右コーナリングライトは、車両側面視で、第1傾斜面よりも下方に配置されてもよい。この場合、左コーナリングライト及び右コーナリングライトが低い位置に配置されることで、車両がリーンした時の車幅方向及び車両上下方向の左コーナリングライト及び右コーナリングライトの動きが小さくなる。それにより、リーン角の変化量に対する照光範囲の変化が抑制される。
【0016】
フロントカバーは、第2傾斜面を含んでもよい。第2傾斜面は、車両側面視で、第1傾斜面の下方に配置されてもよい。第2傾斜面は、車両側面視で、下方、且つ、後方へ向かって傾斜していてもよい。左コーナリングライト及び右コーナリングライトは、車両側面視で、第2傾斜面の下方に配置されてもよい。この場合、左コーナリングライト及び右コーナリングライトが低い位置に配置されることで、車両がリーンした時の車幅方向及び車両上下方向の左コーナリングライト及び右コーナリングライトの動きが小さくなる。それにより、リーン角の変化量に対する照光範囲の変化が抑制される。
【0017】
スクータ型車両は、ヘッドパイプの後方に配置されるシートをさらに備えてもよい。左コーナリングライト及び右コーナリングライトは、車両側面視で、シートの上面よりも下方に配置されてもよい。この場合、左コーナリングライト及び右コーナリングライトが低い位置に配置されることで、車両がリーンした時の車幅方向及び車両上下方向の左コーナリングライト及び右コーナリングライトの動きが小さくなる。それにより、リーン角の変化量に対する照光範囲の変化が抑制される。
【0018】
車両正面視で、左コーナリングライトの全体は、車幅方向において、左サスペンションの内側縁と右サスペンションの内側縁との間に配置されてもよい。車両正面視で、右コーナリングライトの全体は、車幅方向において、左サスペンションの内側縁と右サスペンションの内側縁との間に配置されてもよい。この場合、左右のコーナリングライトが、車幅方向にさらにコンパクトに配置される。それにより、車両の前部が小型化される。
【0019】
車両正面視で、左コーナリングライトの全体は、車幅方向において、前輪の左側縁と右側縁との間に配置されてもよい。車両正面視で、右コーナリングライトの全体は、車幅方向において、前輪の左側縁と右側縁との間に配置されてもよい。この場合、左右のコーナリングライトが、車幅方向にさらにコンパクトに配置される。それにより、車両の前部が小型化される。
【0020】
ライトユニットは、ライトカバーをさらに含んでもよい。ライトカバーは、左コーナリングライトと右コーナリングライトとの前方に配置され、透光性を有してもよい。ライトカバーは、フロントカバーからスクータ型車両の外部に露出する前カバー面を含んでもよい。前カバー面の全体は、車幅方向において、左サスペンションの外側縁と右サスペンションの外側縁との間に配置されてもよい。この場合、前カバー面の全体が、車幅方向にコンパクトである。それにより、車両の前部が小型化される。
【0021】
前カバー面の全体は、車幅方向において、左サスペンションの内側縁と右サスペンションの内側縁との間に配置されてもよい。この場合、前カバー面の全体が、車幅方向にコンパクトである。それにより、車両の前部が小型化される。
【0022】
前カバー面の全体は、車幅方向において、前輪の左側縁と右側縁との間に配置されてもよい。この場合、前カバー面の全体が、車幅方向にコンパクトである。それにより、車両の前部が小型化される。
【0023】
左コーナリングライトは、左光源を含んでもよい。右コーナリングライトは、右光源を含んでもよい。ライトユニットは、左光源と右光源とが実装される共通の基板を含んでもよい。この場合、ライトユニットにおいて、左光源と右光源とが、共通の基板に実装される。それにより、ライトユニットが小型化される。
【0024】
ライトユニットは、ヘッドライトをさらに含んでもよい。左コーナリングライト及び右コーナリングライトは、ヘッドライトよりも下方に配置されてもよい。この場合、左右のコーナリングライトが、さらに低い位置に配置される。
【0025】
ライトユニットは、ロービームの第1ヘッドライトと、ハイビームの第2ヘッドライトと、をさらに含んでもよい。左コーナリングライト及び右コーナリングライトは、第1ヘッドライトよりも下方に配置されてもよい。この場合、左右のコーナリングライトが、さらに低い位置に配置される。
【0026】
第1ヘッドライトは、第1光源を含んでもよい。第2ヘッドライトは、第2光源を含んでもよい。第2光源は、第1光源よりも下方に配置されてもよい。ライトユニットは、左光源と右光源と第2光源とが実装される共通の基板を含んでもよい。この場合、左右のコーナリングライトが、さらに低い位置に配置される。また、左光源と右光源と第2光源とが共通の基板に実装される。それにより、ライトユニットが小型化される。
【0027】
ライトユニットは、車幅方向においてフロントカバーの中央に配置され、車両正面視で上下方向に延びるフロントカバーの中心線と重なってもよい。この場合、ライトユニットが、フロントカバーの中央にコンパクトに配置される。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、スクータ型車両において、コーナリングライトの照光範囲の変化が抑えられ、ライダーの違和感が低減されると共に、車両の前部が小型化される。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】実施形態に係るスクータ型車両の側面図である。
【
図9】ライトカバーが省略されたライトユニットの正面図である。
【
図10】スクータ型車両のリーン角とコーナリングライトの光量との関係を示す図である。
【
図11】スクータ型車両が旋回する場合のコーナリングライトの光量の制御の一例を示す図である。
【
図12】本実施形態に係るコーナリングライトと、比較例に係るコーナリングライトとを示すスクータ型車両の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、図面を参照して実施形態に係るスクータ型車両について説明する。
図1は、実施形態に係るスクータ型車両1の側面図である。
図2は、スクータ型車両1の正面図である。
図3は、スクータ型車両1の斜視図である。
図1から
図3に示すように、スクータ型車両1は、車体フレーム2と、ステアリング装置4と、パワーユニット5と、車体カバー6と、シート7とを備えている。なお、以下の説明において、前後、左右、上下の各方向は、シート7上のライダーから見た前後、左右、上下の各方向を意味するものとする。
【0031】
図1に示すように、車体フレーム2は、ヘッドパイプ11と、ダウンフレーム12と、ロアフレーム13と、シートフレーム14とを含む。ヘッドパイプ11は、前斜め下方に延びている。ダウンフレーム12は、ヘッドパイプ11から下方へ延びている。ロアフレーム13は、ダウンフレーム12から後方へ延びている。シートフレーム14は、シート7の下方に配置されている。シートフレーム14は、後斜め上方へ向かって延びている。シート7は、ヘッドパイプ11の後方に配置されている。
【0032】
ステアリング装置4は、ヘッドパイプ11に回転可能に支持されている。ステアリング装置4は、ハンドル部材15と、ステアリングシャフト16と、ブラケット17と、左サスペンション18と、右サスペンション19と、前輪3とを含む。ハンドル部材15は、運転者によって左右に操作可能である。ハンドル部材15は、ハンドルバー37と、左グリップ38と、右グリップ39とを含む。ハンドルバー37は、ステアリングシャフト16に接続されている。左グリップ38は、ハンドルバー37の左端に取り付けられている。右グリップ39は、ハンドルバー37の右端に取り付けられている。ステアリングシャフト16は、ヘッドパイプ11に挿入されており、ヘッドパイプ11に回転可能に支持されている。
【0033】
ブラケット17は、ステアリングシャフト16に接続されている。ブラケット17は、ヘッドパイプ11の下方に配置されている。ブラケット17は、ヘッドパイプ11の下方においてステアリングシャフト16に接続されている。ブラケット17は、車幅方向に延びている。
【0034】
左サスペンション18と右サスペンション19とは、それぞれブラケット17に接続されている。左サスペンション18の上端と、右サスペンション19の上端とが、それぞれブラケット17に接続されている。左サスペンション18と右サスペンション19とは、それぞれブラケット17から下方に延びている。前輪3は、左サスペンション18及び右サスペンション19に回転可能に支持される。前輪3の上方には、フロントフェンダー20が配置されている。
【0035】
車体カバー6は、フロントカバー21と、レッグシールド22と、フートボード23と、リアカバー24とを含む。フロントカバー21は、ヘッドパイプ11の前方に配置されている。フロントカバー21は、不透明な材料で形成されている。フロントカバー21は、ヘッドパイプ11の左方、右方、及び前方からヘッドパイプ11を覆う。ヘッドパイプ11は、フロントカバー21内に配置されている。
【0036】
フロントカバー21の下方には、タイヤハウス25が配置されている。タイヤハウス25は、後方へ向かって凹んだ形状を有する。タイヤハウス25内には前輪3が配置されている。フロントカバー21は、タイヤハウス25に沿って配置される下縁26を含む。
【0037】
図1に示すように、レッグシールド22は、フロントカバー21の後方に配置されている。フートボード23は、シート7の前方、且つ、下方に配置されている。フートボード23は、平坦な形状を有する。フートボード23は、左右方向における中央において上方に突出したセンタートンネル部を有してもよい。リアカバー24は、シート7の下方に配置されている。
【0038】
パワーユニット5は、シート7の下方に配置されている。パワーユニット5は、車体フレーム2に支持されている。パワーユニット5は、例えばエンジンとトランスミッションとを含む。パワーユニット5は、電動モータを含んでもよい。後輪8は、パワーユニット5を介して、車体フレーム2に支持されている。或いは、後輪8は、スイングアームを介して、車体フレーム2に支持されてもよい。後輪8は、パワーユニット5からの動力によって回転する。
【0039】
図2に示すように、車両正面視で、フロントカバー21は、ヘッドパイプ11と重なる。車両正面視で、フロントカバー21の上端は、左右のグリップ38,39の上縁よりも下方に位置する。フロントカバー21は、メインカバー27と、左カバー28と、右カバー29とを含む。メインカバー27は、車両正面視でヘッドパイプ11と重なる。左カバー28と右カバー29とは、メインカバー27と別体である。左カバー28は、車両正面視で、ヘッドパイプ11よりも左方に位置する。右カバー29は、車両正面視で、ヘッドパイプ11よりも右方に位置する。
【0040】
メインカバー27は、第1傾斜面31と、第1ショルダー部32と、第2ショルダー部33と、第2傾斜面34とを含む。第1傾斜面31は、車両正面視で、スクータ型車両1の左右方向における中央に配置されている。第1傾斜面31は、車両正面視で、ヘッドパイプ11と重なる。第1傾斜面31は、車両正面視でハンドル部材15と重なる。
図4は、スクータ型車両1の拡大側面図である。
図4に示すように。第1傾斜面31は、車両側面視で、上方、且つ、後方へ向かって傾斜している。
【0041】
第1ショルダー部32と第2ショルダー部33とは、第1傾斜面31の下部に接続されている。第1ショルダー部32は、車両正面視で、第1傾斜面31から左方へ延びている。第2ショルダー部33は、車両正面視で、第1傾斜面31から右方へ延びている。第2傾斜面34は、車両側面視で、第1傾斜面31の下方に配置されている。第2傾斜面34は、車両側面視で、下方、且つ、後方へ向かって傾斜している。
【0042】
左カバー28は、車両正面視で、第1傾斜面31の左方に配置されている。左カバー28は、車両正面視で、第1ショルダー部32の上方に配置されている。左カバー28は、車両正面視で、ハンドル部材15の下方に配置されている。右カバー29は、車両正面視で、第1傾斜面31の右方に配置されている。右カバー29は、車両正面視で、第2ショルダー部33の上方に配置されている。右カバー29は、車両正面視で、ハンドル部材15の下方に配置されている。
【0043】
スクータ型車両1は、ライトユニット40と、ポジションランプ41-43と、フラッシャ44,45とを備えている。ライトユニット40と、ポジションランプ41-43と、フラッシャ44,45とは、フロントカバー21に設けられている。
図2に示すように、ライトユニット40は、車両正面視で、車幅方向においてフロントカバー21の中央に配置されている。ライトユニット40は、車両正面視で、上下方向に延びるフロントカバー21の中心線L1と重なる。ライトユニット40の全体は、車両正面視で、フロントカバー21の車両上下方向における中央C1より下方に配置されている。
【0044】
ライトユニット40は、第1傾斜面31の下方に配置されている。ライトユニット40は、第2傾斜面34に配置されている。
図2に示すように、ライトユニット40は、車両正面視で、フロントカバー21の下縁26から下方に突出している。
図4に示すように、ライトユニット40は、車両側面視で、第2傾斜面34から下方に突出している。
【0045】
図5は、スクータ型車両1の拡大上面図である。
図5に示すように、車両上面視において、ライトユニット40の全体が、フロントカバー21の前端211よりも後方に配置されている。車両上面視において、ライトユニット40の全体が、第1傾斜面31と重なる。車両上面視において、ライトユニット40の全体が、第1傾斜面31に隠れて、視認不可能である。
【0046】
図2に示すように、ポジションランプ41-43は、第1ポジションランプ41と、第2ポジションランプ42と、第3ポジションランプ43とを含む。第1ポジションランプ41は、第1傾斜面31に配置されている。車両正面視で、第1ポジションランプ41は、ライトユニット40の上方に配置されている。車両正面視で、第1ポジションランプ41は、ライトユニット40から上方へ延びている。
【0047】
第2ポジションランプ42と第3ポジションランプ43とは、第2傾斜面34に配置されている。車両正面視で、第2ポジションランプ42は、ライトユニット40の左方に配置されている。車両正面視で、第2ポジションランプ42は、ライトユニット40から左下方へ延びている。車両正面視で、第3ポジションランプ43は、ライトユニット40の右方に配置されている。車両正面視で、第3ポジションランプ43は、ライトユニット40から右下方へ延びている。
【0048】
フラッシャ44,45は、左フラッシャ44と右フラッシャ45とを含む。左フラッシャ44は、車両正面視で、第2ポジションランプ42の左下方に配置されている。左フラッシャ44は、車両正面視で、第2ポジションランプ42の長手方向において、第2ポジションランプ42と直線状に並んで配置されている。右フラッシャ45は、車両正面視で、第3ポジションランプ43の右下方に配置されている。右フラッシャ45は、車両正面視で、第3ポジションランプ43の長手方向において、第3ポジションランプ43と直線状に並んで配置されている。
【0049】
図6は、スクータ型車両1の拡大正面図である。
図6に示すように、ライトユニット40は、ヘッドライト46,47と、左コーナリングライト48と、右コーナリングライト49とを含む。ヘッドライト46,47は、スクータ型車両1の前方を照射する。左コーナリングライト48は、スクータ型車両1が左旋回するときに左前方の地面を照射する。右コーナリングライト49は、スクータ型車両1が右旋回するときに右前方の地面を照射する。左コーナリングライト48の照射方向は、車両において左前方に固定されている。右コーナリングライト49の照射方向は、車両において右前方に固定されている。
【0050】
ヘッドライト46,47は、第1ヘッドライト46と第2ヘッドライト47とを含む。第1ヘッドライト46は、ロービームである。第1ヘッドライト46は、車両正面視で、フロントカバー21の車幅方向における中央に配置されている。第1ヘッドライト46は、車両正面視で、フロントカバー21の中心線L1上に配置されている。
【0051】
第2ヘッドライト47は、ハイビームであり、第1ヘッドライト46よりも上方を照射する。第2ヘッドライト47は、第1ヘッドライト46の下方に配置されている。第2ヘッドライト47は、車両正面視で、フロントカバー21の車幅方向における中央に配置されている。第2ヘッドライト47は、車両正面視で、フロントカバー21の中心線L1上に配置されている。
【0052】
ヘッドライト46,47は、第1サブライト51と第2サブライト52とを含む。第1サブライト51は、第1ヘッドライト46の左方に配置されている。第2サブライト52は、第1ヘッドライト46の右方に配置されている。第1サブライト51及び第2サブライト52は、第1ヘッドライト46及び第2ヘッドライト47よりも色温度の低い光を照射する。例えば、第1サブライト51及び第2サブライト52は、図示しないサブライト用のスイッチがオンされた場合に点灯する。
【0053】
左コーナリングライト48及び右コーナリングライト49の全体は、車両正面視においてフロントカバー21の車両上下方向における中央C1より下方に配置されている。左コーナリングライト48及び右コーナリングライト49は、第1ヘッドライト46よりも下方に配置されている。左コーナリングライト48及び右コーナリングライト49は、第1サブライト51及び第2サブライト52よりも下方に配置されている。左コーナリングライト48は、第2ヘッドライト47の左方に配置されている。右コーナリングライト49は、第2ヘッドライト47の右方に配置されている。
【0054】
左コーナリングライト48及び右コーナリングライト49の全体は、車両正面視で、車幅方向において、第2ポジションランプ42と第3ポジションランプ43との間に配置されている。左コーナリングライト48及び右コーナリングライト49の全体は、車両正面視で、車幅方向において、左フラッシャ44と右フラッシャ45と間に配置されている。左コーナリングライト48及び右コーナリングライト49の全体は、車両正面視で、車幅方向において、左サスペンション18と右サスペンション19と間に配置されている。
【0055】
詳細には、車両正面視で、左コーナリングライト48の全体は、車幅方向において、左サスペンション18の外側縁53と右サスペンション19の外側縁54との間に配置されている。車両正面視で、右コーナリングライト49の全体は、車幅方向において、左サスペンション18の外側縁53と右サスペンション19の外側縁54との間に配置されている。車両正面視で、左コーナリングライト48の全体は、車幅方向において、左サスペンション18の内側縁55と右サスペンション19の内側縁56との間に配置されている。車両正面視で、右コーナリングライト49の全体は、車幅方向において、左サスペンション18の内側縁55と右サスペンション19の内側縁56との間に配置されている。
【0056】
車両正面視で、左コーナリングライト48及び右コーナリングライト49は、前輪3の真上に配置されている。詳細には、車両正面視で、左コーナリングライト48の全体は、車幅方向において、前輪3の左側縁57と右側縁58との間に配置されている。車両正面視で、右コーナリングライト49の全体は、車幅方向において、前輪3の左側縁57と右側縁58との間に配置されている。
【0057】
図1に示すように、左コーナリングライト48及び右コーナリングライト49は、車両側面視で、シート7の上面よりも下方に配置されている。
図4に示すように、左コーナリングライト48及び右コーナリングライト49は、車両側面視で、第1傾斜面31よりも下方に配置されている。左コーナリングライト48及び右コーナリングライト49は、車両側面視で、第2傾斜面34の下方に配置されている。
【0058】
図7は、ライトユニット40の分解斜視図である。
図7に示すように、ライトユニット40は、ハウジング61と、ライトカバー62と、第1基板63と、第2基板64と、第1レンズ部材65と、第2レンズ部材66とを含む。
図8は、ライトユニット40の縦断面図である。
図9は、ライトカバー62が省略されたライトユニット40の正面図である。
【0059】
第1基板63は、ハウジング61に取り付けられる。第1ヘッドライト46は、第1光源67を含む。第1光源67は、例えばLEDである。第1光源67は、第1基板63に実装される。第1サブライト51は、第1サブ光源68を含む。第2サブライト52は、第2サブ光源69を含む。第1サブ光源68と第2サブ光源69とは、例えばLEDである。第1サブ光源68と第2サブ光源69とは、第1基板63に実装される。第1基板63は、一体的に形成されている。第1光源67と第1サブ光源68と第2サブ光源69とは、一体的に形成された共通の第1基板63に実装されている。
【0060】
第2基板64は、ハウジング61に取り付けられる。第2基板64は、第1基板63と別体である。第2基板64は、第1基板63から下方に離れて配置されている。第2ヘッドライト47は、第2光源71を含む。第2光源71は、例えばLEDである。第2光源71は、第2基板64に実装される。第2光源71は、第1光源67よりも下方に配置されている。
【0061】
左コーナリングライト48は、左光源72を含む。左光源72は、例えばLEDである。左光源72は、第2光源71の左方に配置されている。左光源72は、第2基板64に実装される。右コーナリングライト49は、右光源73を含む。右光源73は、例えばLEDである。右光源73は、第2光源71の右方に配置されている。右光源73は、第2基板64に実装される。第2基板64は、一体的に形成されている。第2光源71と左光源72と右光源73とは、一体的に形成された共通の第2基板64に実装されている。
【0062】
第1レンズ部材65は、第1基板63の前方に配置されている。第1レンズ部材65は、第1レンズ74と、第1サブレンズ75と、第2サブレンズ76とを含む。第1レンズ74と、第1サブレンズ75と、第2サブレンズ76とは、それぞれコリメートレンズである。第1レンズ74は、第1光源67の前方に配置されている。第1サブレンズ75は、第1サブ光源68の前方に配置されている。第2サブレンズ76は、第2サブ光源69の前方に配置されている。第1レンズ74と、第1サブレンズ75と、第2サブレンズ76とは、それぞれ第1光源67と第1サブ光源68と第2サブ光源69とからの照射範囲を調整する。
【0063】
第2レンズ部材66は、第2基板64の前方に配置されている。第2レンズ部材66は、第2レンズ77と、左レンズ78と、右レンズ79とを含む。第2レンズ77と、左レンズ78と、右レンズ79とは、それぞれコリメートレンズである。第2レンズ77は、第2光源71の前方に配置されている。左レンズ78は、左光源72の前方に配置されている。右レンズ79は、右光源73の前方に配置されている。第2レンズ77と、左レンズ78と、右レンズ79とは、それぞれ第2光源71と左光源72と右光源73とからの照射範囲を調整する。
【0064】
ライトカバー62は、ハウジング61に取り付けられる。ライトカバー62は、樹脂などの透光性を有する材料で形成されている。ライトカバー62は、第1基板63と第2基板64との前方に配置されている。すなわち、ライトカバー62は、第1光源67と第2光源71との前方に配置されている。ライトカバー62は、第1光源67と第2光源71とからの光を透過させる。ライトカバー62は、左光源72と右光源73との前方に配置されている。ライトカバー62は、左光源72と右光源73とからの光を透過させる。ライトカバー62は、第1サブ光源68と第2サブ光源69との前方に配置されている。ライトカバー62は、第1サブ光源68と第2サブ光源69とからの光を透過させる。
【0065】
ライトカバー62は、フロントカバー21からスクータ型車両1の外部に露出する前カバー面81を含む。
図6に示すように、前カバー面81の全体は、車幅方向において、左サスペンション18の外側縁53と右サスペンション19の外側縁54との間に配置されている。前カバー面81の全体は、車幅方向において、左サスペンション18の内側縁55と右サスペンション19の内側縁56との間に配置されている。前カバー面81の全体は、車幅方向において、前輪3の左側縁57と右側縁58との間に配置されている。
【0066】
図8に示すように、ライトユニット40は、仕切り板82を含む。仕切り板82は、ハウジング61及びライトカバー62内を上下に区画する。仕切り板82は、ライトカバー62に接続されている。或いは、仕切り板82は、ライトカバー62と別体であってもよい。仕切り板82は、ハウジング61及びライトカバー62内を、第1空間A1と第2空間A2とに区画する。第1空間A1内には、第1基板63と第1レンズ部材65とが配置されている。第2空間A2は、第1空間A1の下方に位置する。第2空間A2には、第2基板64と第2レンズ部材66とが配置されている。
【0067】
前カバー面81は、上前面83と下前面84とを含む。上前面83は、前カバー面81において仕切り板82よりも上方の部分である。下前面84は、前カバー面81において仕切り板82よりも下方の部分である。
図6に示すように、第1ヘッドライト46は、車両正面視で上前面83と重なる。第1サブライト51と第2サブライト52とは、車両正面視で上前面83と重なる。第2ヘッドライト47は、車両正面視で下前面84と重なる。左コーナリングライト48と右コーナリングライト49とは、車両正面視で下前面84と重なる。
【0068】
次に、左コーナリングライト48及び右コーナリングライト49の光量の制御について説明する。
図4に示すように、スクータ型車両1は、センサ91とコントローラ92とを備える。センサ91は、スクータ型車両1のリーン角θを検出する。
図10に示すように、リーン角θは、鉛直方向に対するスクータ型車両1の傾斜角度である。センサ91は、例えばIMU(Inertial Measurement Unit)である。
【0069】
コントローラ92は、左コーナリングライト48及び右コーナリングライト49の光量を制御する。コントローラ92は、センサ91と通信可能に接続されている。コントローラ92は、センサ91が検出したスクータ型車両1のリーン角θを取得する。スクータ型車両1が左旋回する場合、コントローラ92は、スクータ型車両1の左側方へのリーン角θに応じて、左コーナリングライト48の光量を制御する。スクータ型車両1が右旋回する場合、コントローラ92は、スクータ型車両1の右側方へのリーン角θに応じて、右コーナリングライト49の光量を制御する。
【0070】
図10は、スクータ型車両1が左旋回する場合のスクータ型車両1のリーン角θと、左コーナリングライト48の光量Qとの関係を示す図である。なお、
図10では、左コーナリングライト48の光量Qの最大値を100%とした場合の割合で、左コーナリングライト48の光量Qが示されている。
図10に示すように、スクータ型車両1が直立している場合には、コントローラ92は、左コーナリングライト48の光量Qを0%にする。詳細には、リーン角θが0度以上、10度未満である場合には、コントローラ92は、左コーナリングライト48の光量Qを0%すなわちオフにする。なお、スクータ型車両1が左旋回する場合には、コントローラ92は、右コーナリングライト49をオフにしている。
【0071】
コントローラ92は、スクータ型車両1の倒し込み中に、リーン角θが10度以上、18度未満である場合には、左コーナリングライト48の光量Qを20%とする。コントローラ92は、リーン角θが増大している場合に、スクータ型車両1が倒し込み中であると判定する。コントローラ92は、スクータ型車両1の倒し込み中に、リーン角θが18度以上である場合には、左コーナリングライト48の光量Qを100%とする。
【0072】
コントローラ92は、スクータ型車両1の立ち上がり中に、リーン角θが15度以下、10度より大きい場合には、左コーナリングライト48の光量Qを20%とする。コントローラ92は、リーン角θが減少している場合に、スクータ型車両1が立ち上がり中であると判定する。コントローラ92は、スクータ型車両1の立ち上がり中に、リーン角θが10度以下、6度より大きい場合には、左コーナリングライト48の光量Qを10%とする。コントローラ92は、スクータ型車両1の立ち上がり中に、リーン角θが6度以下、0度以上である場合には、左コーナリングライト48の光量Qを0%とする。なお、直立から倒し込みのリーン角の閾値(10度)と、立ち上がりから直立のリーン角の閾値(6度)とは異なる。それにより、コントローラ92による誤判定が抑えられる。
【0073】
以上、スクータ型車両1が左旋回する場合の左コーナリングライト48の光量Qの制御について説明したが、スクータ型車両1が右旋回する場合の右コーナリングライト49の光量Qの制御についても上記と同様である。
【0074】
図11は、スクータ型車両1が右旋回する場合の右コーナリングライト49の光量Qの制御の一例を示す図である。
図11では、第1ヘッドライト46の照射範囲が破線で示されている。また、右コーナリングライト49の照射範囲が二点鎖線で示されている。
【0075】
図11に示すように、スクータ型車両1がコーナーに進入する前の状態S1では、スクータ型車両1は直立しており、リーン角θは、10度より小さい。そのため、右コーナリングライト49の光量Qは0%である。スクータ型車両1がコーナーに進入を開始すると、スクータ型車両1が右側方へ倒され、スクータ型車両1の右側方へのリーン角θが増大する。そして、状態S2において、リーン角θが10度以上になると、コントローラ92は、右コーナリングライト49の光量Qを20%とする。それにより、右コーナリングライト49が点灯され、スクータ型車両1の右前方が、右コーナリングライト49によって20%の光量Qで照らされる。
【0076】
スクータ型車両1がさらに右側方へ倒され、状態S3において、リーン角θが18度以上になると、コントローラ92は、右コーナリングライト49の光量Qを100%とする。それにより、スクータ型車両1の右前方への光量Qが100%に強められる。
【0077】
スクータ型車両1がコーナーの終盤に入り、スクータ型車両1の立ち上がりが開始されると、スクータ型車両1の右側方へのリーン角θが減少する。そして、状態S4において、リーン角θが15度以下になると、コントローラ92は、右コーナリングライト49の光量Qを20%とする。それにより、スクータ型車両1の右前方への光量Qが20%に弱められる。
【0078】
スクータ型車両1がさらに立ち上げられ、状態S5において、リーン角θが10度以下になると、コントローラ92は、右コーナリングライト49の光量Qを10%とする。それにより、スクータ型車両1の右前方への光量Qがさらに弱められる。
【0079】
そして、状態S6において、スクータ型車両1がコーナーから抜けて直立に戻り、リーン角θが6度以下になると、コントローラ92は、右コーナリングライト49の光量Qを0%とする。それにより、右コーナリングライト49が消灯される。
【0080】
以上のように、コントローラ92は、リーン角θに応じて段階的に、左コーナリングライト48及び右コーナリングライト49の光量Qを制御する。また、コントローラ92は、スクータ型車両1の立ち上がり中には、倒し込み中よりも多くの段階に分けて、左コーナリングライト48及び右コーナリングライト49の光量Qを制御する。
【0081】
以上説明した、本実施形態に係るスクータ型車両1では、左右のコーナリングライト48,49の全体がフロントカバー21において低い位置に配置されている。それにより、リーン角θに応じた左右のコーナリングライト48,49の位置の変化が小さくなることで、照光範囲の変化が抑えられる。車両正面視で、左右のコーナリングライト48,49の全体は、車幅方向において、左サスペンション18の外側縁53と右サスペンション19の外側縁54との間に配置されている。従って、左右のコーナリングライト48,49は、フロントカバー21の中央にコンパクトに配置されている。それにより、車両が傾斜したときの地面と、左右のコーナリングライト48,49との間の距離が大きく確保される。そのため、左右のコーナリングライト48,49が低い位置に配置されても、照光範囲の変化が抑えられる。また、左右のコーナリングライト48,49が、フロントカバー21の中央にコンパクトに配置されている。そのため、スクータ型車両1の前部が小型化される。
【0082】
図12は、本実施形態に係るコーナリングライト48と、比較例1,2に係るコーナリングライト100,101とを示すスクータ型車両1の正面図である。比較例1に係るコーナリングライト100は、本実施形態に係るコーナリングライト48よりも上方に配置されている。比較例2に係るコーナリングライト101は、本実施形態に係るコーナリングライト48よりも左方に配置されている。
【0083】
図12において、48a,100a,101aは、スクータ型車両1が左側方へ傾斜した状態での本実施形態に係るコーナリングライト48と、比較例1,2に係るコーナリングライト100,101との位置を示している。
図12に示すように、スクータ型車両1が左側方へ傾斜した場合、本実施形態に係るコーナリングライト48の車両上下方向の位置の変化ΔH0は、比較例1に係るコーナリングライト100の車両上下方向の位置の変化ΔH1よりも小さい。また、本実施形態に係るコーナリングライト48の車幅方向の位置の変化ΔW0は、比較例1に係るコーナリングライト100の車幅方向の位置の変化ΔW1よりも小さい。
【0084】
本実施形態に係るコーナリングライト48の車両上下方向の位置の変化ΔH0は、比較例2に係るコーナリングライト101の車両上下方向の位置の変化ΔH2よりも小さい。なお、本実施形態に係るコーナリングライト48の車幅方向の位置の変化ΔW0は、比較例2に係るコーナリングライト101の車幅方向の位置の変化ΔW2よりも大きい。ただし、変化ΔW0と変化ΔW2との差は小さい。
【0085】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0086】
フロントカバー21の形状は、上記の実施形態のものに限らず、変更されてもよい。第1~第3ポジションランプ41-43の形状、或いは配置は、上記の実施形態のものに限らず、変更されてもよい。左フラッシャ44と右フラッシャ45との形状、或いは配置は、上記の実施形態のものに限らず、変更されてもよい。
【0087】
コントローラ92とセンサ91との配置は、上述した実施形態のものに限らず、変更されてもよい。コントローラ92による左コーナリングライト48と右コーナリングライト49との光量Qの制御は、上述した実施形態のものに限らず、変更されてもよい。左コーナリングライト48と右コーナリングライト49との光量Qの値は、上記の実施形態のものに限らず、変更されてもよい。左コーナリングライト48と右コーナリングライト49との光量Qを変化させるリーン角θの閾値は、上記の実施形態のものに限らず、変更されてもよい。
【0088】
ライトユニット40の構造、或いは配置は、上記の実施形態のものに限らず、変更されてもよい。例えば、上記の実施形態では、ヘッドライト46,47と左コーナリングライト48と右コーナリングライト49とは、ライトユニット40として一体化されている。しかし、ヘッドライト46,47は、左コーナリングライト48及び右コーナリングライト49と別体であってもよい。左コーナリングライト48及び右コーナリングライト49は、上述した実施形態と左右逆に配置されてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0089】
本発明によれば、スクータ型車両において、コーナリングライトの照光範囲の変化が抑えられ、ライダーの違和感が低減されると共に、車両の前部が小型化される。
【符号の説明】
【0090】
3:前輪、 4:ステアリング装置、 7:シート、 11:ヘッドパイプ、 15:ハンドル部材、 16:ステアリングシャフト、 17:ブラケット、 18:左サスペンション、 19:右サスペンション、 21:フロントカバー、 31:第1傾斜面、 34:第2傾斜面、 40:ライトユニット、 46:第1ヘッドライト、 47:第2ヘッドライト、 48:左コーナリングライト、 49:右コーナリングライト、 62:ライトカバー、 64:第2基板、 67:第1光源、 71:第2光源、 72:左光源、 73:右光源、 81:前カバー面、 92:コントローラ