(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024027977
(43)【公開日】2024-03-01
(54)【発明の名称】抗原組成物、抗原発現用組成物及び抗体組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 39/00 20060101AFI20240222BHJP
A61P 37/04 20060101ALI20240222BHJP
A61K 39/395 20060101ALI20240222BHJP
A61P 17/00 20060101ALI20240222BHJP
A61Q 19/00 20060101ALI20240222BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20240222BHJP
C07K 14/47 20060101ALN20240222BHJP
C07K 16/18 20060101ALN20240222BHJP
C12N 15/12 20060101ALN20240222BHJP
【FI】
A61K39/00 H
A61P37/04 ZNA
A61K39/395 D
A61K39/395 N
A61P17/00
A61Q19/00
A61P43/00 105
C07K14/47
C07K16/18
C12N15/12
【審査請求】未請求
【請求項の数】25
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022131234
(22)【出願日】2022-08-19
(71)【出願人】
【識別番号】000102212
【氏名又は名称】ウシオ電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】弁理士法人ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】島田 駿
【テーマコード(参考)】
4C083
4C085
4H045
【Fターム(参考)】
4C083AD41
4C083CC02
4C083EE12
4C083EE13
4C083EE16
4C083FF01
4C085AA03
4C085AA13
4C085BA01
4C085BB11
4C085CC21
4C085DD62
4C085DD86
4C085EE01
4C085EE06
4C085FF24
4H045BA10
4H045CA40
4H045DA76
4H045DA86
4H045FA74
(57)【要約】
【課題】光老化細胞を標的とする免疫の誘導のための手段を提供する。また、光老化細胞を標的とする抗体若しくはその結合性断片を提供する。
【解決手段】免疫原性GPR17ポリペプチド、免疫原性CD34ポリペプチド、免疫原性GABRR1ポリペプチド、免疫原性OR2AG2ポリペプチド、免疫原性CMKLR1ポリペプチド、免疫原性CDH19ポリペプチド、免疫原性CD93ポリペプチド、免疫原性AVPR2ポリペプチド、免疫原性CCR7ポリペプチド及び免疫原性OXGR1ポリペプチドからなる群より選ばれる少なくとも1種のポリペプチドを含有し、
該少なくとも1種のポリペプチドが、キャリアタンパク質に結合された、又はキャリアタンパク質に結合されていない、対象中の光老化細胞に対する免疫を誘導するための、抗原組成物。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
免疫原性GPR17ポリペプチド、免疫原性CD34ポリペプチド、免疫原性GABRR1ポリペプチド、免疫原性OR2AG2ポリペプチド、免疫原性CMKLR1ポリペプチド、免疫原性CDH19ポリペプチド、免疫原性CD93ポリペプチド、免疫原性AVPR2ポリペプチド、免疫原性CCR7ポリペプチド及び免疫原性OXGR1ポリペプチドからなる群より選ばれる少なくとも1種のポリペプチドを含有し、
該少なくとも1種のポリペプチドが、キャリアタンパク質に結合された、又はキャリアタンパク質に結合されていない、
対象中の光老化細胞に対する免疫を誘導するための、抗原組成物。
【請求項2】
免疫原性GPR17ポリペプチド、免疫原性CD34ポリペプチド、免疫原性GABRR1ポリペプチド、免疫原性OR2AG2ポリペプチド、免疫原性CMKLR1ポリペプチド、免疫原性CDH19ポリペプチド、免疫原性CD93ポリペプチド、免疫原性AVPR2ポリペプチド、免疫原性CCR7ポリペプチド及び免疫原性OXGR1ポリペプチドからなる群より選ばれる少なくとも1種のポリペプチドを含有し、
該少なくとも1種のポリペプチドが、キャリアタンパク質に結合された、又はキャリアタンパク質に結合されていない、
対象の光老化細胞を減少させる、又は増加を抑制するための、抗原組成物。
【請求項3】
免疫原性GPR17ポリペプチドを含有する、請求項1又は2に記載の抗原組成物。
【請求項4】
前記免疫原性GPR17ポリペプチドが、GPR17ロングアイソフォームの1~51位、123~127位、198~212位及び293~295位からなる群より選ばれる領域中の連続する3~40アミノ酸残基を含む、請求項1又は2に記載の抗原組成物。
【請求項5】
前記免疫原性GPR17ポリペプチドが、GPR17ロングアイソフォームの1~51位の領域中の連続する3~40アミノ酸残基を含む、請求項1又は2に記載の抗原組成物。
【請求項6】
前記免疫原性GPR17ポリペプチドが、配列番号5のアミノ酸配列からなるポリペプチドを含む、請求項1又は2に記載の抗原組成物。
【請求項7】
前記少なくとも1種のポリペプチドが、対応する野生型ポリペプチドに対して80%以上の同一性を有する、請求項1又は2に記載の抗原組成物。
【請求項8】
アジュバントをさらに含む、請求項1又は2に記載の抗原組成物。
【請求項9】
光老化状態を予防又は改善するための、請求項1又は2に記載の抗原組成物。
【請求項10】
免疫原性GPR17ポリペプチド、免疫原性CD34ポリペプチド、免疫原性GABRR1ポリペプチド、免疫原性OR2AG2ポリペプチド、免疫原性CMKLR1ポリペプチド、免疫原性CDH19ポリペプチド、免疫原性CD93ポリペプチド、免疫原性AVPR2ポリペプチド、免疫原性CCR7ポリペプチド及び免疫原性OXGR1ポリペプチドからなる群より選ばれる少なくとも1種のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含有する、対象中の光老化細胞に対する免疫を刺激するための、抗原発現用組成物。
【請求項11】
免疫原性GPR17ポリペプチド、免疫原性CD34ポリペプチド、免疫原性GABRR1ポリペプチド、免疫原性OR2AG2ポリペプチド、免疫原性CMKLR1ポリペプチド、免疫原性CDH19ポリペプチド、免疫原性CD93ポリペプチド、免疫原性AV
PR2ポリペプチド、免疫原性CCR7ポリペプチド及び免疫原性OXGR1ポリペプチドからなる群より選ばれる少なくとも1種のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含有する、対象の光老化細胞を減少させる、又は増加を抑制するための、抗原発現用組成物。
【請求項12】
免疫原性GPR17ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含有する、請求項10又は11に記載の抗原発現用組成物。
【請求項13】
前記免疫原性GPR17ポリペプチドが、GPR17ロングアイソフォームの1~51位、123~127位、198~212位及び293~295位からなる群より選ばれる領域中の連続する3~40アミノ酸残基を含む、請求項10又は11に記載の抗原発現用組成物。
【請求項14】
前記免疫原性GPR17ポリペプチドが、GPR17ロングアイソフォームの1~51位の領域中の連続する3~40アミノ酸残基を含む、請求項10又は11に記載の抗原発現用組成物。
【請求項15】
前記免疫原性GPR17ポリペプチドが、配列番号5のアミノ酸配列からなるポリペプチドを含む、請求項10又は11に記載の抗原発現用組成物。
【請求項16】
前記少なくとも1種のポリペプチドが、対応する野生型ポリペプチドに対して80%以上の同一性を有する、請求項10又は11に記載の抗原発現用組成物。
【請求項17】
アジュバントをさらに含む、請求項10又は11に記載の抗原発現用組成物。
【請求項18】
光老化状態を予防又は改善するための、請求項10又は11に記載の抗原発現用組成物。
【請求項19】
(i)免疫原性GPR17ポリペプチド、免疫原性CD34ポリペプチド、免疫原性GABRR1ポリペプチド、免疫原性OR2AG2ポリペプチド、免疫原性CMKLR1ポリペプチド、免疫原性CDH19ポリペプチド、免疫原性CD93ポリペプチド、免疫原性AVPR2ポリペプチド、免疫原性CCR7ポリペプチド及び免疫原性OXGR1ポリペプチドからなる群より選ばれる少なくとも1種のポリペプチドであって、
キャリアタンパク質に連結されている、又は連結されていない、ポリペプチド;
(ii)免疫原性GPR17ポリペプチド、免疫原性CD34ポリペプチド、免疫原性GABRR1ポリペプチド、免疫原性OR2AG2ポリペプチド、免疫原性CMKLR1ポリペプチド、免疫原性CDH19ポリペプチド、免疫原性CD93ポリペプチド、免疫原性AVPR2ポリペプチド、免疫原性CCR7ポリペプチド及び免疫原性OXGR1ポリペプチドからなる群より選ばれる少なくとも1種のポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;又は
(iii)(i)と(ii)の組み合わせ;
を対象に投与することを含む、光老化細胞に対する免疫の誘導方法。
【請求項20】
(i)免疫原性GPR17ポリペプチド、免疫原性CD34ポリペプチド、免疫原性GABRR1ポリペプチド、免疫原性OR2AG2ポリペプチド、免疫原性CMKLR1ポリペプチド、免疫原性CDH19ポリペプチド、免疫原性CD93ポリペプチド、免疫原性AVPR2ポリペプチド、免疫原性CCR7ポリペプチド及び免疫原性OXGR1ポリペプチドからなる群より選ばれる少なくとも1種のポリペプチドであって、
キャリアタンパク質に連結されている、又は連結されていない、ポリペプチド;
(ii)免疫原性GPR17ポリペプチド、免疫原性CD34ポリペプチド、免疫原性
GABRR1ポリペプチド、免疫原性OR2AG2ポリペプチド、免疫原性CMKLR1ポリペプチド、免疫原性CDH19ポリペプチド、免疫原性CD93ポリペプチド、免疫原性AVPR2ポリペプチド、免疫原性CCR7ポリペプチド及び免疫原性OXGR1ポリペプチドからなる群より選ばれる少なくとも1種のポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;又は
(iii)(i)と(ii)の組み合わせ;
の有効量を、それを必要とする対象に投与することを含む、対象の光老化細胞を減少させる、又は増加を抑制するための方法。
【請求項21】
GPR17、CD34、GABRR1、OR2AG2、CMKLR1、CDH19、CD93、AVPR2、CCR7及びOXGR1タンパク質からなる群より選ばれる少なくとも1種のポリペプチドに対して結合性を有する抗体又はその抗原結合性断片を含有する、対象の光老化細胞を減少させる、又は増加を抑制するための、抗体組成物。
【請求項22】
GPR17、CD34、GABRR1、OR2AG2、CMKLR1、CDH19、CD93、AVPR2、CCR7及びOXGR1タンパク質からなる群より選ばれる少なくとも1種のポリペプチドに対して結合性を有する抗体又はその抗原結合性断片を含有する、対象の光老化細胞に薬物を送達するための、抗体組成物。
【請求項23】
抗GPR17抗体又はその抗原結合性断片を含有する、請求項21又は22に記載の抗体組成物。
【請求項24】
GPR17、CD34、GABRR1、OR2AG2、CMKLR1、CDH19、CD93、AVPR2、CCR7及びOXGR1タンパク質からなる群より選ばれる少なくとも1種のポリペプチドに対して結合性を有する抗体又はその抗原結合性断片、及び薬物を含有する、組成物を、
それを必要とする対象に投与することを含む、対象中の光老化細胞への薬物の送達方法。
【請求項25】
GPR17、CD34、GABRR1、OR2AG2、CMKLR1、CDH19、CD93、AVPR2、CCR7及びOXGR1タンパク質からなる群より選ばれる少なくとも1種のポリペプチドに対して結合性を有する抗体又はその抗原結合性断片の有効量を、それを必要とする対象に投与することを含む、対象の光老化細胞を減少させる、又は増加を抑制するための方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光老化細胞に対する免疫を誘導するための抗原組成物及び抗原発現用組成物、並びに、光老化細胞に対して結合性を有する抗体組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
細胞老化は、紫外線照射による光老化と、加齢などによる自然老化の2種類に大別され、その特徴が異なっている。例えば、皮膚の光老化は、顔、首、手の甲などの太陽光が当たる部分に好発し、シミ、シワ(特に深いシワ)、たるみ、皮膚の肥厚、皮膚の黄色や褐色の着色などの原因となる。一方、皮膚の自然老化は太陽光の照射に関わらず進行する。自然老化では、シミの形成はほとんどなく、シワも細かく浅いものが形成される。また、自然老化では皮膚が委縮する傾向にあり、皮膚の着色もない。
【0003】
しかし、これまでに、細胞の自然老化のマーカーとしては老化関連酸性β-ガラクトシダーゼ(SA-β-Gal)やサイクリン依存性キナーゼ阻害因子(p16)などが知られていたが(非特許文献1)、光老化に特有の細胞マーカーは知られていなかった。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】日本老年医学会雑誌,2016年,第53巻,pp.88-94
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
光老化を予防又は改善するうえで、正常細胞に対して光老化細胞に対して選択的に薬理活性や免疫応答を及ぼすための手段が必要とされている。
【0006】
しかし、既知の細胞老化マーカーであるSA-β-Galやサイクリン依存性キナーゼ阻害因子(p16)は光老化細胞に対して特異的なものではなく、細胞表面にもないことから、生きた光老化細胞を標的とする薬物療法に利用することができない。
【0007】
そこで本発明は、光老化細胞を標的とする免疫の誘導のための手段を提供すること、又は光老化細胞を標的とする抗体若しくはその結合性断片を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、鋭意検討した結果、まず光老化細胞に特異的に発現し、自然老化細胞に発現していない遺伝子を探索し、GPR17、CD34、GABRR1、OR2AG2、CMKLR1、CDH19、CD93、AVPR2、CCR7及びOXGR1の10遺伝子を光老化細胞表面マーカーとして同定した。
【0009】
そして、本発明者らは、以下の知見をもとに本発明を完成させた。
(1)GPR17、CD34、GABRR1、OR2AG2、CMKLR1、CDH19、CD93、AVPR2、CCR7及びOXGR1タンパク質からなる群より選ばれる少なくとも1種のポリペプチドを含む抗原組成物が、光老化細胞に対する免疫を誘導すること。
(2)前記免疫の誘導に基づいて、前記抗原組成物が光老化細胞の減少又は増加抑制の用途に使用できること。
(3)GPR17、CD34、GABRR1、OR2AG2、CMKLR1、CDH19、CD93、AVPR2、CCR7及びOXGR1タンパク質からなる群より選ばれる
少なくとも1種のポリペプチドに対して結合性を有する抗体又はその結合性断片を含有する抗体組成物により、光老化細胞を特異的に標的化できること。
(4)前記抗体又はその結合性断片が光老化細胞を標的とすることにより、前記抗体組成物が光老化細胞への薬物の特異的な送達又は光老化細胞の減少若しくは増加抑制の用途に使用できること。
【0010】
本発明は、下記の態様を含む。
[1]
免疫原性GPR17ポリペプチド、免疫原性CD34ポリペプチド、免疫原性GABRR1ポリペプチド、免疫原性OR2AG2ポリペプチド、免疫原性CMKLR1ポリペプチド、免疫原性CDH19ポリペプチド、免疫原性CD93ポリペプチド、免疫原性AVPR2ポリペプチド、免疫原性CCR7ポリペプチド及び免疫原性OXGR1ポリペプチドからなる群より選ばれる少なくとも1種のポリペプチドを含有し、
該少なくとも1種のポリペプチドが、キャリアタンパク質に結合された、又はキャリアタンパク質に結合されていない、
対象中の光老化細胞に対する免疫を誘導するための、抗原組成物。
[2]
免疫原性GPR17ポリペプチド、免疫原性CD34ポリペプチド、免疫原性GABRR1ポリペプチド、免疫原性OR2AG2ポリペプチド、免疫原性CMKLR1ポリペプチド、免疫原性CDH19ポリペプチド、免疫原性CD93ポリペプチド、免疫原性AVPR2ポリペプチド、免疫原性CCR7ポリペプチド及び免疫原性OXGR1ポリペプチドからなる群より選ばれる少なくとも1種のポリペプチドを含有し、
該少なくとも1種のポリペプチドが、キャリアタンパク質に結合された、又はキャリアタンパク質に結合されていない、
対象の光老化細胞を減少させる、又は増加を抑制するための、抗原組成物。
[3]
免疫原性GPR17ポリペプチドを含有する、[1]又は[2]に記載の抗原組成物。
[4]
前記免疫原性GPR17ポリペプチドが、GPR17ロングアイソフォームの1~51位、123~127位、198~212位及び293~295位からなる群より選ばれる領域中の連続する3~40アミノ酸残基を含む、[1]~[3]のいずれか1に記載の抗原組成物。
[5]
前記免疫原性GPR17ポリペプチドが、GPR17ロングアイソフォームの1~51位の領域中の連続する3~40アミノ酸残基を含む、[1]~[4]のいずれか1に記載の抗原組成物。
[6]
前記免疫原性GPR17ポリペプチドが、配列番号5のアミノ酸配列からなるポリペプチドを含む、[1]~[5]のいずれか1に記載の抗原組成物。
[7]
前記少なくとも1種のポリペプチドが、対応する野生型ポリペプチドに対して80%以上の同一性を有する、[1]~[6]のいずれか1に記載の抗原組成物。
[8]
アジュバントをさらに含む、[1]~[7]のいずれか1に記載の抗原組成物。
[9]
光老化状態を予防又は改善するための、[1]~[8]のいずれか1に記載の抗原組成物。
【0011】
[10]
免疫原性GPR17ポリペプチド、免疫原性CD34ポリペプチド、免疫原性GABR
R1ポリペプチド、免疫原性OR2AG2ポリペプチド、免疫原性CMKLR1ポリペプチド、免疫原性CDH19ポリペプチド、免疫原性CD93ポリペプチド、免疫原性AVPR2ポリペプチド、免疫原性CCR7ポリペプチド及び免疫原性OXGR1ポリペプチドからなる群より選ばれる少なくとも1種のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含有する、対象中の光老化細胞に対する免疫を刺激するための、抗原発現用組成物。
[11]
免疫原性GPR17ポリペプチド、免疫原性CD34ポリペプチド、免疫原性GABRR1ポリペプチド、免疫原性OR2AG2ポリペプチド、免疫原性CMKLR1ポリペプチド、免疫原性CDH19ポリペプチド、免疫原性CD93ポリペプチド、免疫原性AVPR2ポリペプチド、免疫原性CCR7ポリペプチド及び免疫原性OXGR1ポリペプチドからなる群より選ばれる少なくとも1種のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含有する、対象の光老化細胞を減少させる、又は増加を抑制するための、抗原発現用組成物。
[12]
免疫原性GPR17ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含有する、[10]又は[11]に記載の抗原発現用組成物。
[13]
前記免疫原性GPR17ポリペプチドが、GPR17ロングアイソフォームの1~51位、123~127位、198~212位及び293~295位からなる群より選ばれる領域中の連続する3~40アミノ酸残基を含む、[10]~[12]のいずれか1に記載の抗原発現用組成物。
[14]
前記免疫原性GPR17ポリペプチドが、GPR17ロングアイソフォームの1~51位の領域中の連続する3~40アミノ酸残基を含む、[10]~[13]のいずれか1に記載の抗原発現用組成物。
[15]
前記免疫原性GPR17ポリペプチドが、配列番号5のアミノ酸配列からなるポリペプチドを含む、[10]~[14]のいずれか1に記載の抗原発現用組成物。
[16]
前記少なくとも1種のポリペプチドが、対応する野生型ポリペプチドに対して80%以上の同一性を有する、[10]~[15]のいずれか1に記載の抗原発現用組成物。
[17]
アジュバントをさらに含む、[10]~[16]のいずれか1に記載の抗原発現用組成物。
[18]
光老化状態を予防又は改善するための、[10]~[17]のいずれか1に記載の抗原発現用組成物。
【0012】
[19]
(i)免疫原性GPR17ポリペプチド、免疫原性CD34ポリペプチド、免疫原性GABRR1ポリペプチド、免疫原性OR2AG2ポリペプチド、免疫原性CMKLR1ポリペプチド、免疫原性CDH19ポリペプチド、免疫原性CD93ポリペプチド、免疫原性AVPR2ポリペプチド、免疫原性CCR7ポリペプチド及び免疫原性OXGR1ポリペプチドからなる群より選ばれる少なくとも1種のポリペプチドであって、
キャリアタンパク質に連結されている、又は連結されていない、ポリペプチド;
(ii)免疫原性GPR17ポリペプチド、免疫原性CD34ポリペプチド、免疫原性GABRR1ポリペプチド、免疫原性OR2AG2ポリペプチド、免疫原性CMKLR1ポリペプチド、免疫原性CDH19ポリペプチド、免疫原性CD93ポリペプチド、免疫原性AVPR2ポリペプチド、免疫原性CCR7ポリペプチド及び免疫原性OXGR1ポリペプチドからなる群より選ばれる少なくとも1種のポリペプチドをコードするポリヌク
レオチド;又は
(iii)(i)と(ii)の組み合わせ;
を対象に投与することを含む、光老化細胞に対する免疫の誘導方法。
[20]
(i)免疫原性GPR17ポリペプチド、免疫原性CD34ポリペプチド、免疫原性GABRR1ポリペプチド、免疫原性OR2AG2ポリペプチド、免疫原性CMKLR1ポリペプチド、免疫原性CDH19ポリペプチド、免疫原性CD93ポリペプチド、免疫原性AVPR2ポリペプチド、免疫原性CCR7ポリペプチド及び免疫原性OXGR1ポリペプチドからなる群より選ばれる少なくとも1種のポリペプチドであって、
キャリアタンパク質に連結されている、又は連結されていない、ポリペプチド;
(ii)免疫原性GPR17ポリペプチド、免疫原性CD34ポリペプチド、免疫原性GABRR1ポリペプチド、免疫原性OR2AG2ポリペプチド、免疫原性CMKLR1ポリペプチド、免疫原性CDH19ポリペプチド、免疫原性CD93ポリペプチド、免疫原性AVPR2ポリペプチド、免疫原性CCR7ポリペプチド及び免疫原性OXGR1ポリペプチドからなる群より選ばれる少なくとも1種のポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;又は
(iii)(i)と(ii)の組み合わせ;
の有効量を、それを必要とする対象に投与することを含む、対象の光老化細胞を減少させる、又は増加を抑制する方法。
【0013】
[21]
GPR17、CD34、GABRR1、OR2AG2、CMKLR1、CDH19、CD93、AVPR2、CCR7及びOXGR1タンパク質からなる群より選ばれる少なくとも1種のポリペプチドに対して結合性を有する抗体又はその抗原結合性断片を含有する、対象の光老化細胞を減少させる、又は増加を抑制するための、抗体組成物。
[22]
GPR17、CD34、GABRR1、OR2AG2、CMKLR1、CDH19、CD93、AVPR2、CCR7及びOXGR1タンパク質からなる群より選ばれる少なくとも1種のポリペプチドに対して結合性を有する抗体又はその抗原結合性断片を含有する、対象の光老化細胞に薬物を送達するための、抗体組成物。
[23]
抗GPR17抗体又はその抗原結合性断片を含有する、[21]又は[22]に記載の抗体組成物。
【0014】
[24]
GPR17、CD34、GABRR1、OR2AG2、CMKLR1、CDH19、CD93、AVPR2、CCR7及びOXGR1タンパク質からなる群より選ばれる少なくとも1種のポリペプチドに対して結合性を有する抗体又はその抗原結合性断片、及び薬物を含有する、組成物を、
それを必要とする対象に投与することを含む、対象中の光老化細胞への薬物の送達方法。
[25]
GPR17、CD34、GABRR1、OR2AG2、CMKLR1、CDH19、CD93、AVPR2、CCR7及びOXGR1タンパク質からなる群より選ばれる少なくとも1種のポリペプチドに対して結合性を有する抗体又はその抗原結合性断片の有効量を、それを必要とする対象に投与することを含む、対象の光老化細胞を減少させる、又は増加を抑制するための方法。
【0015】
[26]
(i)免疫原性GPR17ポリペプチド、免疫原性CD34ポリペプチド、免疫原性G
ABRR1ポリペプチド、免疫原性OR2AG2ポリペプチド、免疫原性CMKLR1ポリペプチド、免疫原性CDH19ポリペプチド、免疫原性CD93ポリペプチド、免疫原性AVPR2ポリペプチド、免疫原性CCR7ポリペプチド及び免疫原性OXGR1ポリペプチドからなる群より選ばれる少なくとも1種のポリペプチドであって、
キャリアタンパク質に連結されている、又は連結されていない、ポリペプチド;
(ii)免疫原性GPR17ポリペプチド、免疫原性CD34ポリペプチド、免疫原性GABRR1ポリペプチド、免疫原性OR2AG2ポリペプチド、免疫原性CMKLR1ポリペプチド、免疫原性CDH19ポリペプチド、免疫原性CD93ポリペプチド、免疫原性AVPR2ポリペプチド、免疫原性CCR7ポリペプチド及び免疫原性OXGR1ポリペプチドからなる群より選ばれる少なくとも1種のポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;又は
(iii)(i)と(ii)の組み合わせ;
の(I)対象中の光老化細胞に対する免疫を誘導するため、(II)対象中の光老化細胞を減少させ、若しくは増加抑制するため、又は、(III)対象中の光老化状態を予防若しくは改善するための組成物の製造のための使用。
[27]
GPR17、CD34、GABRR1、OR2AG2、CMKLR1、CDH19、CD93、AVPR2、CCR7及びOXGR1タンパク質からなる群より選ばれる少なくとも1種のポリペプチドに対して結合性を有する抗体又はその抗原結合性断片の(A)対象中の光老化細胞に薬剤を送達するため、(B)対象中の光老化細胞を減少させ、若しくは増加抑制するため、又は、(C)対象中の光老化状態を予防若しくは改善するための組成物の製造のための使用。
【発明の効果】
【0016】
本発明の抗原組成物は、光老化細胞の細胞表面マーカーに由来するポリペプチドを含有し、対象に投与することにより、対象中の光老化細胞に対する免疫を誘導することができる。
【0017】
本発明の抗原発現用組成物は、光老化細胞の細胞表面マーカーに由来するポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含有し、対象に投与することにより、対象内で当該ポリペプチドが発現する。その結果、本発明の抗原発現用組成物は、光老化細胞に対する免疫を誘導することができる。
【0018】
本発明の抗体組成物は、光老化細胞に結合性を有する抗体又はその結合性断片を含有し、光老化細胞を標的化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】各試験例で用いた光老化細胞の作製方法の概略図である。
【
図2】試験例1で得られた種々の照射量で紫外線照射された正常ヒト表皮ケラチノサイト(NHEK)の顕微鏡画像である。
【
図3】試験例2のRNA-Seq解析で得られた、紫外線照射処理なしのNHEKと、50日継代培養処理(P50)、80mJ/cm
2紫外線照射処理の各処理を経たNHEKの種々の遺伝子のmRNA量を比較したグラフである。縦軸は正規化されたリードカウントである。
【
図4】試験例4で、80mJ/cm
2紫外線照射処理を経たNHEK(UV(+))又は紫外線照射処理なしのNHEK(UV(-))のHoechst染色像(Hoechst)、抗GPR17モノクローナル抗体染色像(anti-GPR17)、及び同じ細胞の明視野画像(Bright field)である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本明細書において、「光老化細胞」とは、紫外線照射によって老化状態となった生細胞であって、癌化していない細胞全般を表す。光老化細胞は、特に限定されないが、例えば以下の(1)~(3)の少なくとも1つ、好ましくは(1)~(3)すべての特徴を有する:
(1)β-ガラクトシダーゼ(SA-β-Gal)又はサイクリン依存性キナーゼ阻害因子(p16)陽性である;
(2)細胞分裂の停止又は著しい低下が見られる;
(3)細胞が肥大化している。
【0021】
前記光老化細胞の由来としては、例えば皮膚の細胞が挙げられる。皮膚の細胞の具体例としては、例えば、ケラチノサイト、色素細胞(メラノサイト)、ランゲルハンス細胞、メルケル細胞などの表皮系細胞;線維芽細胞などの真皮系細胞;脂肪細胞などの脂肪組織系細胞;毛乳頭細胞、毛母細胞、内毛根鞘細胞、外毛根鞘細胞などの毛包系細胞などが挙げられる。中でも前記光老化細胞の由来としては、表皮系細胞又は真皮系細胞が好ましく、ケラチノサイト又は線維芽細胞がより好ましく、ケラチノサイトがさらに好ましい。
【0022】
本明細書において、特定の物質(抗原)に対する「免疫を誘導する」又は「免疫誘導」とは、特定の物質(抗原)に対して検出可能な免疫応答を引き起こす、増強する、迅速化する又は延長することを表す。前記免疫応答としては、例えば、体液性免疫系の応答(例えば、B細胞による応答、より具体的には、特定の物質に対する抗体の産生及び分泌);細胞性免疫系の応答(例えば、T細胞、NK細胞の活性化、より具体的には、特定の物質に対するT細胞又はNK細胞の活性化);自然免疫系の応答(例えば、Toll-like受容体シグナル系の活性化、リンホカイン(Th1、Th2、Th17等のサイトカイン又はケモカイン)の分泌、マクロファージの活性化、樹状細胞の活性化等)、免疫系細胞の増殖促進(例えば、前記特定の物質に対する抗体を産生するB細胞、又は前記特定の物質に対するT細胞若しくはNK細胞の増殖促進)等が挙げられる。
【0023】
本明細書において、「免疫原性」は、ある物質が、必要に応じてキャリアタンパク質との結合及び/又はアジュバントの併用を行って対象に投与された場合に、対象中で当該物質に対する免疫を誘導することができる能力を表す。
【0024】
本明細書において、「対象」又は「投与対象」は生物個体を表し、疾患等を有する患者を包含する。対象としては、例えばヒト又は非ヒト動物(例えば、非ヒト哺乳動物)が挙げられる。
【0025】
本明細書中、疾患、症状又は健康状態の「改善」とは、疾患、症状若しくは健康状態の好転若しくは緩和;疾患、症状若しくは健康状態の悪化の防止若しくは遅延;又は疾患若しくは症状の進行の逆転、防止若しくは遅延を表す。
【0026】
本明細書中、疾患、症状又は健康状態の「予防」とは、疾患、症状若しくは健康状態の発生の遅延若しくは防止;疾患、症状若しくは健康状態の発生のリスクの軽減;又は、疾患、症状若しくは健康状態の発生の率の低下を表す。
【0027】
本明細書中、「光老化状態」は、対象において光老化に起因する疾患、症状又は健康状態(審美的変化等の医学的治療を必要としない状態を含む)を表す。光老化状態は、例えば、光老化細胞の増加に起因する疾患、症状又は健康状態を含む。
【0028】
GPR17(G protein-coupled receptor 17)は、Gタンパク質共役受容体(GPCR)スーパーファミリーに属し、システイニルロイコトリエン受容体をコードする遺伝子である。GPR17はスプライシングの違いによってN末端の部分の長さの異なるロング
アイソフォーム(ヒトでは367アミノ酸残基、NCBI RefSeq IDがNP_001154887.1)とショートアイソフォームの2つのアイソフォーム(ヒトでは339アミノ酸残基、NCBI RefSeq IDがNP_001154888.1)が存在する。
ヒトのGPR17のNCBI(URL:https://www.ncbi.nlm.nih.gov/)のGene
IDは2840である。ヒトのGPR17ロングアイソフォームはショートアイソフォームのN末端に28残基の領域が付加したものである。ロングアイソフォームのmRNAは心臓、腎臓で発現し、ショートアイソフォームのmRNAは主に脳で発現する。
【0029】
本明細書において、GPR17ポリペプチドのアミノ酸残基の番号は、ヒトGPR17ロングアイソフォームとアラインメントしたときのヒトGPR17のアミノ酸残基の番号で表す。
【0030】
CD34は、膜貫通リン酸化糖タンパク質をコードする遺伝子である。例えばヒトのCD34のNCBI Gene IDは947である。
GABRR1(gamma-aminobutyric acid type A receptor subunit rho1)は、リガンド依存性クロライドチャネルであるγ-アミノ酪酸(GABA)受容体をコードする遺伝子である。例えばヒトのCD34のNCBI Gene IDは2569である。
OR2AG2(olfactory receptor family 2 subfamily AG member 2)は、GPCRスーパーファミリーに属し、嗅覚受容体をコードする遺伝子である。例えばヒトのOR2AG2のNCBI Gene IDは338755である。
CMKLR1(chemerin chemokine-like receptor 1)は、走化性アディポカインであるケメリン(chemerin)をリガンドとするGPCRをコードする遺伝子である。例えばヒトのCMKLR1のNCBI Gene IDは1240である。
CDH19(cadherin 19)は、カドヘリンの一つであるカドヘリン19をコードする遺伝子である。例えばヒトのCDH19のNCBI Gene IDは28513である。
CD93は、C型レクチン膜貫通型受容体をコードする遺伝子である。例えばヒトのCD93のNCBI Gene IDは22918である。
AVPR2(arginine vasopressin receptor 2)は、GPCRスーパーファミリーに属するバソプレシン受容体2型をコードする遺伝子である。例えばヒトのAVPR2のNCBI Gene IDは554である。
CCR7(C-C motif chemokine receptor 7)は、ケモカインであるCCL19とCCL21をリガンドとするGPCRをコードする遺伝子である。例えばヒトのCCR7のNCBI Gene IDは1236である。
OXGR1(oxoglutarate receptor 1)は、GPCRスーパーファミリー内のオキソグルタル酸受容体ファミリーに属するGPCRをコードする遺伝子である。例えばヒトのOXGR1のNCBI Gene IDは27199である。
【0031】
[抗原組成物・抗原発現用組成物]
(抗原組成物、抗原ポリペプチド)
本発明の抗原組成物は、免疫原性GPR17ポリペプチド、免疫原性CD34ポリペプチド、免疫原性GABRR1ポリペプチド、免疫原性OR2AG2ポリペプチド、免疫原性CMKLR1ポリペプチド、免疫原性CDH19ポリペプチド、免疫原性CD93ポリペプチド、免疫原性AVPR2ポリペプチド、免疫原性CCR7ポリペプチド及び免疫原性OXGR1ポリペプチドからなる群より選ばれる1種単独のポリペプチド、又は2種以上のポリペプチドを組み合わせて含有する。本明細書において、これらのポリペプチドを総称して、「抗原ポリペプチド」と呼ぶ場合がある。
【0032】
本明細書において、免疫原性GPR17ポリペプチドは、対象のネイティブGPR17タンパク質(例えば、ヒトネイティブGPR17タンパク質)に対して、又はネイティブ
GPR17タンパク質を発現する細胞に対して、免疫原性であるポリペプチドを表す。免疫原性GPR17ポリペプチドは、例えば、対象のGPR17ロングアイソフォーム全長又はGPR17ショートアイソフォーム全長又はそれらの一部を含むか、それらからなるポリペプチドであり得る。中でも、免疫原性GPR17ポリペプチドは、対象のGPR17タンパク質において細胞外に露出する領域を含むポリペプチドであることが好ましい。
【0033】
本明細書において、免疫原性CD34ポリペプチド、免疫原性GABRR1ポリペプチド、免疫原性OR2AG2ポリペプチド、免疫原性CMKLR1ポリペプチド、免疫原性CDH19ポリペプチド、免疫原性CD93ポリペプチド、免疫原性AVPR2ポリペプチド、免疫原性CCR7ポリペプチド及び免疫原性OXGR1ポリペプチドは、投与対象のそれぞれの遺伝子にコードされたネイティブタンパク質(例えば、ヒトの対応するネイティブタンパク質等)に対して、又は当該ネイティブタンパク質を発現する細胞に対して、免疫原性であるポリペプチドを表す。これらの免疫原性ポリペプチドとしては、それぞれ独立して、例えば対応する遺伝子にコードされたポリペプチド全長又はその一部を含むか、それらからなるポリペプチドであり得る。中でも、これらの免疫原性ポリペプチドは、対象の対応する遺伝子にコードされたタンパク質において細胞外に露出する領域を含むポリペプチドであることが好ましい。
【0034】
前記抗原ポリペプチドは、光老化細胞と同種の正常細胞よりも光老化細胞に対してより強い免疫を誘導することができる。そして、前記抗原ペプチドは、光老化細胞と同種で光老化していない細胞に対する免疫を誘導しないことが好ましい。
【0035】
前記抗原ポリペプチドのアミノ酸残基数は、それぞれ独立して、例えば3以上であり、本発明の効果をより顕著に奏する観点から、好ましくは5以上、より好ましくは8以上、さらに好ましくは10以上とすることができ、そして200以下、100以下、50以下、40以下、30以下又は20以下とすることができる。
【0036】
前記抗原ポリペプチドは、対応する野生型ポリペプチドのアミノ酸配列に対するアミノ酸配列の同一性が、本発明の効果をより顕著に奏する観点から、好ましくは80%以上、より好ましくは90%以上、さらに好ましくは95%以上、さらにより好ましくは98%以上、特に好ましくは99%以上の同一性を有する。
【0037】
本明細書において、アミノ酸配列の同一性(identity)は、NCBI BLAST(https://blast.ncbi.nlm.nih.gov/)のblastpにおけるデフォルトのパラメータ(Matrix=BLOSUM62; Gap Costs=Existence 11, Extension 1;Composition adjustment=No adjustment)でのアラインメントにより得られる同一性の値である。
【0038】
本発明の抗原組成物は、好ましくは、少なくとも免疫原性GPR17ポリペプチドを含有する。
【0039】
免疫原性GPR17ポリペプチドは、好ましくは、細胞外に露出する領域として、GPR17ロングアイソフォームの1~51位、123~127位、198~212位及び293~295位からなる群より選ばれるいずれかの領域中の連続する3以上、5以上、8以上又は10以上のアミノ酸残基を含むか、それらからなる。中でも、当該ポリペプチドは、GPR17ロングアイソフォームの1~51位の領域中の連続する3~40、5~40、8~40又は10~40のアミノ酸残基を含むか、又はそれらからなることがより好ましい。
ここで、例えば、ヒトGPR17ロングアイソフォームの1~51位は配列番号1、123~127位は配列番号2、198~212位は配列番号3、293~295位は配列番号4(His-Gly-Ala)で表されるアミノ酸配列からなる。
【0040】
免疫原性GPR17ポリペプチドは、GPR17ショートアイソフォームに対する免疫誘導を抑える観点から、例えば、配列番号5で表されるヒトGPR17ロングアイソフォームの1~36位のアミノ酸残基を含むか、又はそれらからなることが好ましい。より好ましくは、免疫原性GPR17ポリペプチドは、ヒトGPR17ロングアイソフォームの1~28位の領域中の連続する3以上、5以上、8以上又は10以上のアミノ酸残基を含むか、又はそれらからなる。
【0041】
(1)配列番号1:ヒトGPR17ロングアイソフォーム1~51位;アミノ酸配列
MSKRSWWAGS RKPPREMLKL SGSDSSQSMN GLEVAPPGLI TNFSLATAEQ C
(2)配列番号2:ヒトGPR17ロングアイソフォーム123~127位;アミノ酸配列
NHWPF
(3)配列番号3:ヒトGPR17ロングアイソフォーム198~212位;アミノ酸配列
PQTVQTNHTV VCLQL
(4)配列番号4:ヒトGPR17ロングアイソフォーム293~295位;アミノ酸配列
HGA
(5)配列番号5:ヒトGPR17ロングアイソフォーム1~36位;アミノ酸配列
MSKRSWWAGS RKPPREMLKL SGSDSSQSMN GLEVAP
【0042】
前記抗原ポリペプチドの調製法は、そのアミノ酸残基の数に応じて適宜選択し得るが、例えば、固相合成法等により化学的に合成されてもよいし、ポリペプチドをコードするmRNAを細胞又は無細胞翻訳系で翻訳させて生合成してもよい。得られたポリペプチドは、適宜クロマトグラフィー等の既知の精製方法により精製して使用することができる。
【0043】
前記抗原ポリペプチドは、それぞれ翻訳後修飾されていてもよいし、又は未修飾のポリペプチドであってもよい。
【0044】
前記抗原ポリペプチドは、本発明の効果をより顕著に奏する観点から、任意で、免疫誘導を促進するために使用されるキャリアタンパク質に結合されてもよい。ここで、キャリアタンパク質への結合は、例えば、当該抗原ポリペプチド、キャリアタンパク質及び任意で架橋剤等の化学物質の存在下で、化学的処理によって共有結合的又は非共有結合的な連結によってなされる。あるいは、キャリアタンパク質への結合は、当該抗原ポリペプチドとキャリアタンパク質が一体のポリペプチドとして翻訳されることによってなされてもよい。キャリアタンパク質としては、例えば、キーホールリンペットヘモシアニン(KLH)、ウシ血清アルブミン(BSA)、チキンガンマグロブリン(CGG)、オボアルブミン等が挙げられる。
【0045】
前記抗原ポリペプチドは、主要組織適合複合体(MHC)との結合性を増強するため、あるいは細胞内又は特定の組織へのペプチド送達を促進するための付加的なアミノ酸残基又はアミノ酸残基の変異を有してもよい。
【0046】
(抗原発現用組成物、抗原発現用ポリヌクレオチド)
本発明の抗原発現用組成物は、前記抗原ポリペプチドの少なくとも1種をコードするポリヌクレオチド(本明細書中「抗原発現用ポリヌクレオチド」と呼ぶ)を1種又は2種以上含有する。1種のポリヌクレオチドに複数のポリペプチドをコードする場合は、2種以上のポリペプチドがポリシストロニックに発現するように構成されてもよい。
【0047】
前記抗原発現用ポリヌクレオチドは、対象中で前記抗原ポリペプチドを発現し得るものであれば特に限定されない。前記抗原発現用ポリヌクレオチドは、例えばDNA又はRNAであり、ヌクレオチド修飾(例えば、ホスホロチオエート(PS)修飾、シュードウリジン修飾等のヌクレオチド安定性や翻訳効率の向上に関する修飾)を一部又は全体的に含んでいてもよい。中でも前記抗原発現用ポリヌクレオチドは、DNA又はmRNAが好ましく、保存安定性の観点からDNAがより好ましい。
【0048】
前記抗原発現用ポリヌクレオチドは、発現のために必要な制御エレメント(例えば、プロモーター、エンハンサー、ターミネーター、サイレンサー、ポリシストロニック発現因子(IRES、2Aペプチド配列等))の少なくとも1種を作動可能に連結していることが好ましく、少なくとも1種のプロモーターを作動可能に連結していることがより好ましい。
【0049】
本明細書において、ある構成要素が「作動可能に連結する」とは、当該構成要素がその意図する様式で機能することを可能にするように配置することを表す。例えば、ある制御エレメントをある遺伝子に対して作動可能に連結するとは、遺伝子の発現を当該制御エレメントの意図する様式で制御できるように、当該制御エレメントが遺伝子をコードするポリヌクレオチドにライゲーションされることを表す。
【0050】
一実施形態では、前記抗原発現用ポリヌクレオチドは、発現ベクターであり得る。前記発現ベクターには、前記制御エレメントを少なくとも1種含んでもよく、少なくとも1種のプロモーターを含むことがより好ましい。また、前記発現ベクターには、分泌シグナル配列、タグ配列、複製起点、ポリA配列、マルチクローニングサイト、選別マーカーなどをさらに含むことができる。
【0051】
前記発現ベクターは、例えば、プラスミドベクター、コスミドベクター又はウイルスベクターであり得る。
【0052】
前記ウイルスベクターとしては、例えば、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス、単純ヘルペスウイルス、サイトメガロウイルス、ワクシニアウイルス、Epstein-Barrウイルス、レトロウイルス(レンチウイルス等)等のウイルスベクターが挙げられる。
【0053】
これらの前記抗原発現用ポリヌクレオチドは、既知の各種遺伝子工学的手法により設計、調製することができる。
【0054】
(組成物の形態)
前記抗原組成物及び前記抗原発現用組成物の具体的な態様は、それぞれ、特に限定されないが、例えば、医薬組成物(医薬品、医薬部外品を含む)、化粧料組成物、食品(特定保健用食品、機能性表示食品、栄養機能食品、サプリメント等の機能性食品を含む)又は飼料が挙げられ、好ましくは医薬組成物又は化粧料組成物である。
【0055】
前記抗原組成物及び前記抗原発現用組成物の剤形は、それぞれ、その使用用途に応じて適宜選択し得るが、例えば、乾燥物(凍結乾燥物、粉末等)、溶液、分散液、懸濁液、錠剤、カプセル、トローチ、リポソーム、ペースト、ムース、ジェル、乳液、クリーム、エアゾール、スプレー、シート(基材担持)などであり得る。
【0056】
前記抗原発現用組成物は、前記抗原発現用ポリヌクレオチドが細胞内に送達するためのビヒクル(例えば、ウイルス粒子、リポソーム等)に包含されていることが好ましい。
【0057】
(組成物の他の成分)
前記抗原組成物及び前記抗原発現用組成物は、それぞれ、その用途に応じて任意選択で、担体、賦形剤、安定化剤等の追加の成分を1種又は2種以上含有し得る。
【0058】
前記抗原組成物及び前記抗原発現用組成物は、それぞれ、本発明の効果をより顕著に奏する観点から、免疫誘導の増強、迅速化又は延長に使用され得る少なくとも1種のアジュバントをさらに含有してもよい。アジュバントとしては、例えば、ミネラル(水酸化アルミニウム、リン酸アルミニウム、塩化アルミニウム、ミョウバン等)、毒素(CTB、大腸菌易熱性毒素等)、水中油型エマルション(MF59、AS03等)、油中水型エマルション(ISA51、ISA720等)、バイオポリマー(イヌリンポリマー(Advax等)、ヘムポリマー(Hemozoin等)、シクロデキストリン等)、サポニン(QS21等)、AS04、RC-529、AS02、AS01、フラジェリン、二本鎖RNA、フロイント不完全アジュバント、フロイント完全アジュバント、STINGリガンド、CpGオリゴデオキシヌクレオチド、サイトカイン(IL-12、GM-CSF等)、DOTAP、DDA等から選ばれる少なくとも1種が挙げられる。
【0059】
前記抗原組成物又は前記抗原発現用組成物が医薬組成物の場合、例えば、薬学的に許容される水;塩類溶液;リン酸緩衝生理食塩水(PBS);pH緩衝成分(リン酸、クエン酸、ホウ酸バッファー、炭酸水素ナトリウム、Tris-Cl等);単糖類、二糖類、オリゴ糖、多糖類(デキストリン、デキストラン、セルロース、キチン、キトサンなど)などの糖質;マンニトール、ソルビトール、マルチトールなどの糖アルコール;グリセロール、エタノールなどのアルコール類;ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール等の親水性ポリマー;グリシン、グルタミン、アスパラギン、ヒスチジン、リシン、アルギニン等のアミノ酸;血清アルブミン、ゼラチン等のタンパク質;低分子ポリペプチド;塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、安息香酸、サリチル酸、チロメサール、メチルパラベン、プロピルパラベン、フェネチルアルコール等の保存料等を1種単独で、又は2種以上を組み合わせて含有してもよい。
【0060】
前記抗原組成物又は前記抗原発現用組成物が化粧料組成物の場合、例えば医薬組成物において例示した成分のほか、化粧料組成物に許容される保湿剤、油性成分、界面活性剤、着色剤、酸化防止剤、金属封鎖剤、清涼剤、香料、紫外線吸収・散乱剤、抗酸化剤、薬効成分等を1種単独で、又は2種以上を組み合わせて含有してもよい。
【0061】
(機能、用途)
本明細書の実施例に示されるように、GPR17、CD34、GABRR1、OR2AG2、CMKLR1、CDH19、CD93、AVPR2、CCR7及びOXGR1の各遺伝子は、光老化細胞において、対応する正常細胞に比べて発現量が増加している。そのため、これらの遺伝子にコードされたタンパク質は、光老化細胞特異的なマーカーとして機能し得る。
【0062】
前記抗原組成物は、これらマーカーの全長又は一部を含む。そのため、前記抗原組成物を対象に投与すると、これらタンパク質に対する免疫を誘導し、その結果光老化細胞に対する免疫を誘導することができる。そして、前記抗原組成物は、誘導された免疫により、対象中の光老化細胞を減少させ、又は増加抑制することができ、さらには光老化状態を予防又は改善することができる。
【0063】
前記抗原発現用組成物は、対象に投与すると、それに含まれるポリヌクレオチドにコードされた光老化細胞特異的なマーカーの全長又は一部が発現する。その結果、前記抗原組成物と同様に、対象中の光老化細胞に対する免疫を誘導することができる。そして、前記抗原発現用組成物は、誘導された免疫により、対象中の光老化細胞を減少させ、又は増加
抑制することができ、さらには光老化状態を予防又は改善することができる。
【0064】
以上によれば、前記抗原組成物又は前記抗原発現用組成物は、それぞれ、対象に投与して、対象中の光老化細胞に対する免疫を誘導するために用いることができる。
また、前記抗原組成物又は前記抗原発現用組成物は、それぞれ、対象に投与して、対象中の光老化細胞を減少させる、又は増加抑制するために用いることができる。
さらに、前記抗原組成物又は前記抗原発現用組成物は、それぞれ、対象に投与して、対象中の光老化状態を予防(いわゆるワクチン的用途)又は改善するために用いることができる。
【0065】
同様に、前記抗原ポリペプチド、抗原発現用ポリヌクレオチド又はそれらの組み合わせは、(I)対象中の光老化細胞に対する免疫を誘導するため、(II)対象中の光老化細胞を減少させ、若しくは増加抑制するため、又は、(III)対象中の光老化状態を予防若しくは改善するための組成物の製造のために使用することができる。
【0066】
さらに、前記抗原ポリペプチド、抗原発現用ポリヌクレオチド又はそれらの組み合わせは、対象に投与して、(I)対象中の光老化細胞に対する免疫を誘導するため、(II)その有効量を投与することにより、対象中の光老化細胞を減少させ、若しくは増加抑制するため、又は、(III)対象中の光老化状態を予防若しくは改善するための方法に使用することができる。
【0067】
前記免疫誘導は、好ましくは、前記免疫原性ポリペプチドに対応するタンパク質に対する抗体の産生促進、又は、当該タンパク質に対する細胞性免疫の促進であり、より好ましくは当該タンパク質に対する抗体の産生促進である。
【0068】
前記光老化状態の予防又は改善は、医学的治療であってもよく、非治療的なものであってもよい。
【0069】
(対象)
前記投与の対象としては、例えば哺乳動物であり、ヒト又は非ヒト哺乳動物(ヒト以外の霊長類、イヌ、ネコ、ウシ、ウマ、ヒツジ、ブタ等)が挙げられるが、好ましくはヒトである。
【0070】
前記対象は、例えば、光老化状態の予防又は改善を必要とする者であり、例えば、光老化状態を有する者、又は光老化状態のリスクを有する者であり得る
【0071】
(投与態様・用量)
前記投与の経路は、例えば、経皮、皮内、皮下、経粘膜(経鼻、舌下、口腔)、血管内(静脈内等)、腹腔内、髄腔内、筋肉内、経口などが挙げられる。
【0072】
前記投与において、1回当たりの投与量は、用いる組成物の種類、投与経路、対象の属性等に応じて適宜設定し得るが、対象の体重1kg当たり、抗原ポリペプチドの量で、例えば、0.001~100mg又は0.01~10mgとすることができる。また1回当たりの投与量は、対象の体重1kg当たり、抗原発現用ポリヌクレオチドの量で、例えば、0.001~1000μg又は0.01~100μgとすることができる。
【0073】
前記投与の頻度は、例えば単回、2回、3回、4回又は5回以上であり得る。複数回投与する場合、投与の間隔は、例えば、1~2週間、2~3週間、3~4週間、1~2ヶ月、2~3ヶ月又は3~6ヶ月とすることができる。
【0074】
(併用)
前記抗原組成物、前記抗原発現用組成物、前記抗原ポリペプチド又は前記抗原発現用ポリヌクレオチドは、さらに別のアジュバントと併用して使用することができる。当該アジュバントは、上記のアジュバントを使用することができる。
【0075】
[抗体組成物]
本発明の抗体組成物は、GPR17、CD34、GABRR1、OR2AG2、CMKLR1、CDH19、CD93、AVPR2、CCR7及びOXGR1タンパク質からなる群より選ばれる少なくとも1種のポリペプチドに対して結合性を有する抗体又はその抗原結合性断片を含有する。
【0076】
(抗体、抗原結合性断片)
一実施形態では、前記抗体は、抗GPR17抗体であり、好ましくは抗GPR17ロングアイソフォーム抗体であり、より好ましくは抗ヒトGPR17ロングアイソフォーム抗体である。
【0077】
一実施形態では、前記抗体は、ヒトGPR17ロングアイソフォームの1~36位のアミノ酸配列からなるポリペプチドに含まれる少なくとも1つのエピトープに結合することができる。例えば、前記抗体は、ヒトGPR17ロングアイソフォームの1~36位のアミノ酸配列(配列番号5)を含むポリペプチドに結合することができる。
【0078】
前記抗体は、光老化細胞への結合特異性を高める観点から、ヒトGPR17ショートアイソフォームに結合しないものであることが好ましい。
【0079】
前記抗体の可変領域のフレームワーク領域及び定常領域の配列は、前記抗原に対する結合性が失われない限りにおいて特に限定されず、例えばヒト化抗体、ヒトキメラ抗体、マウスキメラ抗体等の、複数種の遺伝子に由来する抗体の断片を遺伝子工学的手法によって組み合わせたものであってもよい。
【0080】
本明細書において、「キメラ抗体」とは、非ヒト動物抗体由来の可変領域とヒト抗体の定常領域とを組み合わせてなる抗体を表す。
本明細書において、「ヒト化抗体」とは、非ヒト動物抗体由来の可変領域中のCDR(相補性決定領域)を、ヒト抗体に移植したもの、又は、非ヒト動物抗体由来のCDRとフレームワーク領域の一部をヒト抗体に移植したものを表す。
【0081】
本発明の抗体のアイソタイプは特に限定されず、IgG(IgG1、IgG2、IgG3、IgG4)、IgM、IgA(IgA1、IgA2)、IgD、IgE等が挙げられるが、好ましくはIgG抗体である。
【0082】
本発明の抗体の由来動物は、特に限定されず、例えば、ウサギ、ヒト、マウス、ラット、ヒツジ、ヤギ、ウシ、ウマ、モルモット等が挙げられるが、中でもウサギが好ましい。
【0083】
本明細書において、ある抗体の「抗原結合性断片」とは、抗原と結合することができる抗体の部分断片を表し、例えば、Fab、Fab’、F(ab’)2、Fv、ScFv、Sc(Fv)2、ダイアボディ又はトリアボディが挙げられる。これらの抗体断片の概要については、Hudson, P.J. et al., Nat. Med. 9 (2003) 129-134及びPlueckthun, A., In: The Pharmacology of Monoclonal Antibodies, Vol. 113, Rosenburg and Moore (eds.), Springer-Verlag, New York (1994), pp. 269-315に記載されている。
【0084】
前記抗体又はその抗原結合性断片は、その用途に応じて、薬物を1種単独又は2種以上
を組み合わせて連結した、薬物コンジュゲートであり得る。ここで、前記連結は、共有結合、又は、配位結合、イオン結合、疎水性相互作用、ファンデルワールス相互作用若しくはその他の非共有結合であり得る。
【0085】
前記薬物は、例えば、細胞傷害剤、抗老化成分、抗酸化成分、ビタミン類、抗炎症剤、細胞賦活化剤等が挙げられる。
【0086】
前記細胞傷害剤は、化学療法剤、放射性同位体、放射線増感剤又は光応答性プローブ〔IRDye(登録商標)700DX(Nature Medicine, 2011, Vol.17, pp.1685-1691)などのフタロシアニン系プローブ、マラカイトグリーン等〕などが挙げられる。細胞傷害剤を連結した前記連結体は、光老化細胞へ送達されることにより光老化細胞の増加の抑制又は減少をもたらし得ることから、光老化状態の予防又は改善に好適に使用される。
【0087】
前記抗老化成分、抗酸化成分、ビタミン類、抗炎症剤又は細胞賦活化剤は、光老化細胞の老化状態自体やそれに伴う異常を改善し得ることから、光老化状態の予防又は改善に好適に使用される。
【0088】
本発明の抗体又はその抗原結合性断片は、タグを付加することができる。このようなタグとしては、例えば、FLAG、HA(ヘマグルチニン)、GST(グルタチオン-S-トランスフェラーゼ)、Myc、ポリヒスチジン(6×Hisタグ等)等が挙げられる。これらのタグは抗体の固相化、精製、検出等に用いることができる。タグが付加された抗体又は抗原結合性断片は、例えば、本発明の抗体又はその抗原結合性断片をコードするポリヌクレオチドに、タグをコードするポリヌクレオチドを付加したものを作製し、動物細胞等のin vivo又は無細胞翻訳系等のin vitroのタンパク質発現システムに導入することにより製造することができる。
【0089】
前記抗体は、例えば、抗体を産生させる対象に、上記の免疫の誘導方法を行って血漿に分泌される抗体を分離し、適宜精製して得ることができる。あるいは、前記抗体は、免疫誘導した個体から得られた抗体産生細胞を用いてハイブリドーマを作製して生合成することもできる。
【0090】
また、前記抗体又はその抗原結合性断片は、それらのタンパク質をコードするポリヌクレオチドを、例えば、動物細胞(チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、サル腎臓細胞(COS)、HEK 293細胞、NSO細胞、HeLa細胞、ベビーハムスター腎臓(BHK)細胞、ヒト肝細胞ガン細胞(例えば、Hep G2)等)、非動物真核細胞(昆虫細胞等)、細菌(大腸菌等)、酵母、昆虫、植物、トランスジェニック動物(ウシ、ニワトリ等)又はin vitro翻訳系(真核生物由来、大腸菌由来無細胞翻訳系等)に導入し、目的のタンパク質を発現させる方法によっても産生することができる。ウサギ由来抗体、マウスキメラ抗体、ヒトキメラ抗体、ヒト化抗体又はこれらの抗原結合性断片の製造においては、このようなポリヌクレオチド導入によって抗体を製造することが好ましい。ポリヌクレオチドの導入は、例えば、プラスミド、コスミド、バクテリオファージ等をベクターとして用いて行うことができる。ポリヌクレオチドの導入は、慣用の遺伝子工学的手法を用いて行うことができる。
【0091】
得られた前記抗体又はその抗原結合性断片は、適宜断片化(パパイン消化、ペプシン消化等)、分離、精製等を行ってもよい。断片化、分離、精製の方法としては、タンパク質、抗体に使用される公知の方法を適宜組み合わせて使用することができる。
【0092】
さらに、前記抗体又はその抗原結合性断片の製造方法は、前記連結体を調製するために種々の連結物質を連結する工程を含んでもよい。これらの物質は、抗体又はその抗原結合
性断片上の任意の部位に連結され得るが、抗原結合性を損なわない観点から、例えば定常部位が好ましい。当該連結においては、適宜適切なリンカーを介在させてもよい。
【0093】
(組成物の形態)
前記抗体組成物の具体的な態様は、それぞれ、特に限定されないが、例えば、医薬組成物(医薬品、医薬部外品を含む)、化粧料組成物、食品(特定保健用食品、機能性表示食品、栄養機能食品、サプリメント等の機能性食品を含む)又は飼料が挙げられ、好ましくは医薬組成物又は化粧料組成物である。
【0094】
前記抗体組成物の剤形は、その使用用途に応じて適宜選択し得るが、例えば、乾燥物(凍結乾燥物、粉末等)、溶液、分散液、懸濁液、錠剤、カプセル、トローチ、リポソーム、ペースト、ムース、ジェル、乳液、クリーム、エアゾール、スプレー、シート(基材担持)などであり得る。
【0095】
(組成物の他の成分)
前記抗体組成物は、その用途に応じて、任意選択で、担体、賦形剤、安定化剤等の追加の成分を1種又は2種以上含有し得る。
【0096】
前記抗体組成物が医薬組成物又は化粧料組成物の場合、それらの他の成分として、上記の[抗原組成物、抗原発現用組成物]の項で例示した成分をそれぞれ1種単独又は2種以上を組み合わせて含有してもよい。
【0097】
(機能・用途)
実施例にも示されるように、前記抗体又はその抗原結合性断片は、光老化細胞表面に結合でき、対象中の生きた光老化細胞に対しても結合性を有する。これにより、前記抗体組成物は、対象に投与すると、含まれる抗体若しくはその抗原結合性断片が、光老化細胞に結合する。結合した抗体又はその結合性断片を介した免疫応答によって、光老化細胞の減少又は増加抑制がもたらされ、ひいては光老化状態を予防又は改善することができる。
【0098】
また、前記抗体又はその結合性断片は、それらに連結した連結物質を光老化細胞に局在させ、送達させることもできる。あるいは、例えば、1つ以上の抗体又は抗原結合性断片をドラッグデリバリー(DDS)キャリア(例えば、ベシクル)と会合させることにより、前記薬剤を含むDDSキャリアを光老化細胞に送達させることもできる。これにより、前記抗体組成物は、対象に投与することにより、前記薬剤を光老化細胞に選択的(好ましくは特異的)に送達することができる。そして、前記薬剤の作用を介して光老化細胞の減少又は増加抑制をもたらし、ひいては光老化状態を予防又は改善することができる。
【0099】
以上によれば、前記抗体組成物は、対象に投与して、対象中の光老化細胞に薬剤を送達するために用いることができる。
また、前記抗体組成物は、その有効量を対象に投与して、対象中の光老化細胞を減少させ、又は増加抑制するために用いることができる。
さらに、前記抗体組成物は、対象に投与して、対象中の光老化状態を予防又は改善するために用いることができる。
【0100】
同様に、前記抗体又はその抗原結合性断片は、(A)対象中の光老化細胞に薬剤を送達するため、(B)対象中の光老化細胞を減少させ、若しくは増加抑制するため、又は、(C)対象中の光老化状態を予防若しくは改善するための組成物の製造のために使用することができる。
【0101】
さらに、前記抗体又はその抗原結合性断片と薬物を含有する組成物(好ましくは前記薬
物コンジュゲート)は、対象に投与して、対象中の光老化細胞に薬剤を送達するために使用することができる。
【0102】
さらに、前記抗体又はその抗原結合性断片は、その有効量を対象に投与して、対象中の光老化状態を予防又は改善するために用いることができる。
【0103】
前記光老化状態の予防又は改善は、医学的治療であってもよく、非治療的なものであってもよい。
【0104】
(対象)
前記投与の対象としては、例えば哺乳動物であり、ヒト又は非ヒト哺乳動物(ヒト以外の霊長類、イヌ、ネコ、ウシ、ウマ、ヒツジ、ブタ等)が挙げられるが、好ましくはヒトである。
【0105】
前記対象は、光老化状態の予防又は改善を必要とする者であり、好ましくは、光老化状態を有する者、又は光老化状態のリスクを有する者であり得る
【0106】
(投与態様・用量)
前記投与の経路は、例えば、経皮、皮内、皮下、経粘膜(経鼻、舌下、口腔)、血管内、腹腔内、髄腔内、筋肉内、経口などが挙げられるが、前記光老化細胞が存在する部位に行われることが好ましい。
【0107】
前記投与において、1回当たりの投与量は、用いる抗体又はその結合性断片の種類、投与経路、対象の属性等に応じて適宜設定し得るが、例えば、対象の体重1kg当たり、0.0001mg以上、0.001mg以上又は0.01mg以上であり、そして200mg以下、100mg以下、20mg以下、10mg以下、5mg以下、2mg以下、1mg以下、0.5mg以下、0.2mg以下又は0.1mg以下であり得る。
【0108】
前記投与の頻度は、例えば単回、2回、3回、4回又は5回以上であり得る。複数回投与する場合、投与の間隔は、例えば、1~2週間、2~3週間、3~4週間、1~2ヶ月、2~3ヶ月又は3~6ヶ月とすることができる。
【0109】
(併用)
前記抗体組成物又は前記抗体若しくはその結合性断片は、さらに別の薬剤(例えば、別の細胞傷害剤、抗老化成分、抗酸化成分、ビタミン類、抗炎症剤、細胞賦活化剤等)と併用することができる。
【実施例0110】
以下に、実施例を用いて本発明をさらに詳しく説明する。ただし、これらの例は本発明を制限するものではない。
【0111】
[試験例1.光老化細胞の作製方法の検証]
ヒト皮膚細胞の一種である正常ヒト表皮ケラチノサイト(NHEK)に対して、以下の手順でピーク波長が308nmの紫外線を照射して光老化細胞を作製した。
図1に手順の模式図を示した。培養及びインキュベートはCO
2インキュベーターを使用して37℃で行った。紫外線光源には、セラビーム(登録商標)UV308 mini(ウシオ電機製)を使用した。即ち、照射した紫外線は、XeClエキシマ放電ランプを光源として、280nm付近の波長をカットする硼珪酸ガラス(厚さ1mm)を通した光であり、そのスペクトルは、特開2007-267936号公報の
図8b及び
図9bで表され、297nm未満の領域の成分を有しないUVBである。
(1)コラーゲンコートディッシュ(Corning社製)に、ケラチノサイト専用培地(LONZA社製)で常法によりNHEKをサブコンフルエントになるまで培養した。
(2)培地を除去して、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)で2回細胞を洗浄してから、細胞が十分浸るようにPBSを加えた。
(3)0mJ/cm
2、20mJ/cm
2、40mJ/cm
2、80mJ/cm
2又は100mJ/cm
2の紫外線を照射した。ここで、各照射量は、照射時間を0、1、3、5又は6秒間とすることで得られた。
(4)ディッシュのPBSをケラチノサイト専用培地(LONZA社製)に置換して、3日間培養した。
(5)培地を吸引除去し、SA-β-Gal前処理液(CELL BIOLABS社製)を培地に2mL加えて、2時間インキュベートした。
(6)SA-β-Gal前処理液を吸引除去し、SA-β-Gal基質溶液(CELL BIOLABS社製)を培地に10μL加えて、さらに1日培養した。
【0112】
図2は、各照射量で作製した光老化細胞の顕微鏡画像を比較した図である。照射量の増加につれて、細胞の数が少なくなったが、剥離した細胞(死細胞)はあまり観察されなかった。これは、照射量を増加させると、老化細胞の特徴である「細胞分裂の停止」を示す細胞が増加したことを表す。すなわち、照射量が40mJ/cm
2以上では、細胞分裂を停止した細胞が顕著に増加し、80mJ/cm
2以上で十分に細胞分裂が停止した老化細胞が得られることがわかった。
また、照射量を増加させると、細胞の大きさが大きくなった。これは老化細胞の特徴である「細胞の肥大化」を表す。
なお、これらの細胞分裂の停止又は細胞の肥大化を示した細胞は、いずれもSA-β-Gal染色されていたことから、老化細胞であることが確かめられた。
【0113】
よって、ピーク波長が308nmの紫外線を照射することにより、生きた光老化細胞を効率よく作製することができることが示された。
【0114】
[試験例2.光老化ケラチノサイトのmRNA発現解析]
試験例1の(1)~(5)と同じ手順で、0mJ/cm2の照射量(光照射なし)のケラチノサイト(UN群)、80mJ/cm2の照射量で紫外線照射処理したケラチノサイト(U80群)を作製した。また、50日間ケラチノサイト専用培地で継代して、自然老化したヒト正常ケラチノサイト(P50群)を作製した。各群n=10である。各群の細胞をディッシュから回収し、TRIzol(登録商標、Thermo Fisher Scientific社製)を用いて細胞からmRNAを抽出して、RNA-Seq解析を行った。解析された全遺伝子のリードカウント数について正規化して群間比較を行った。RNA-Seqの実施及びデータの解析は、株式会社DNAチップ研究所に委託して行った。
【0115】
図3にリードカウントの比較の結果を示した。GPR17、CD34、GABRR1、OR2AG2、CMKLR1、CDH19、CD93、AVPR2、CCR7及びOXGR1が、紫外線照射によって作製された光老化細胞で特異的に増加していることが見出された。
【0116】
以上から、前記の10遺伝子及びそれらタンパク質は、光老化細胞を検出又は定量するためのマーカーとして使用可能であることが示された。
中でも、GPR17、GABRR1、CMKLR1、AVPR2、CCR7及びOXGR1は、U80群以外にはmRNA発現が観察されなかった。これらの遺伝子は光老化細胞に顕著に特異的なマーカーであることが示された。
【0117】
[試験例3.抗GPR17モノクローナル抗体の調製]
以下の方法により、抗GPR17モノクローナル抗体を単離した。
(1)ヒトGPR17ロングアイソフォームの1~36位のアミノ酸配列(配列番号5)のC末端にシステイン残基を付加した抗原ペプチド(GPR17LFペプチド)を、ペプチド合成により調製した。ペプチド合成は、株式会社細胞工学研究所に委託した。抗原ペプチドのC末端のシステイン残基に対して、キャリアタンパク質としてキーホールリンペットヘモシアニン(KLH)又はウシ血清アルブミン(BSA)と架橋剤であるMBS(m-マレイミドベンゾイル-N-ヒドロキシスルホスクシンイミドエステル)を反応させ、結合させた。
(2)前記KLH結合抗原ペプチドをウサギ(Slc:JW/CSK、13週齢)1匹に、開始時(0日後)2.5mg投与した。さらに追加免疫抗原として、開始時と同じ抗原ペプチドをアジュバント(TiterMax Gold;フナコシ(株);カタログ番号CYT G-1)と体積比1:1で混合したものを14日後、28日後、42日後にそれぞれ2.5mgずつ投与し、免疫した。46日後に、抗体価が上昇していることを確認するため、ウサギから血液を採取し、血清及びリンパ球を回収した。リンパ球については培養し、培養上清を分離した。得られた血清及び培養上清に対して、GPR17LFペプチドを固相化したプレートを用いて、ELISA法で抗体価を測定した。
(3)抗体価の上昇が確認されたウサギの脾臓由来リンパ球を選抜した。GPR17LFペプチドを固相化Single-cell ELISAプレートに、RPMI培地(10% FBS)で希釈したリンパ球を1ウェルに1細胞のみが含まれるように加え、45分インキュベートした。プレートの抗原と結合した抗GPR17抗体を標識された抗ウサギIgG抗体で検出することによって陽性クローンを特定した。その結果、2×105個のリンパ球をスクリーニングし、32個の陽性クローンを得た。得られた陽性クローンから、PCR法を用いて各細胞のIgG重鎖及び軽鎖遺伝子を増幅した。
(4)得られた各細胞の重鎖及び軽鎖遺伝子に、PCR法を用いてCAGプロモーターを付加した。得られた重鎖及び軽鎖遺伝子を含むポリヌクレオチドを、HEK293細胞に導入し、RPMI培地で3日間培養した。そして、モノクローナル抗体を含む培養上清を回収した。
(5)得られた各クローンの培地上清中の抗GPR17抗体価をELISAにより測定した。プレートにはGPR17LFペプチドでコーティングしたELISAプレートを、二次抗体には抗ウサギIgG抗体を使用した。
【0118】
その結果、GPR17LFペプチドに対して結合性を有するモノクローナル抗体が、15クローンも得られた。したがって、GPR17由来のペプチドにより、対象の免疫が誘導されること、及び抗体スクリーニングにより抗GPR17抗体が再現良く得られることが示された。
【0119】
[試験例4.抗ヒトGPR17モノクローナル抗体を用いた光老化細胞の検出]
(光老化細胞の準備)
細胞培養基材としてコラーゲンコートしたガラスプレートを用いたこと以外は試験例1と同じ方法により、紫外線を照射した細胞を作製した。照射量は0mJ/cm2(UV(-)群)又は80mJ/cm2(UV(+)群)とした。UV照射は5秒間行った。コラーゲンコートしたガラスプレートとして、セルマトリックス Type I-C(新田ゼラチン社製)0.1mLを希釈液(希塩酸pH3.0)0.9mLに加えたものを、Multitest slide, 8-well(MP Biomedical社製)に20μL/well加え、30分室温にて静置後、ケラチノサイト専用培地20μL/wellで2回洗浄して得られたものを使用した。
【0120】
次に、得られた培養細胞を以下の手順で染色及び観察した。
(1)培地を吸引除去し、一次抗体として試験例3で得られた抗ヒトGPR17モノクローナル抗体のうちの1クローンを約1μg/mL含む溶液0.1mLを加え、4℃で1
時間インキュベートした。核染色にはHoechstを使用した。
(2)0.2%(w/v)BSA含有リン酸緩衝生理食塩水(PBS)を用いて、細胞を氷上で3回洗浄した。
(3)二次抗体としてAnti-Rabbit IgG Cy3 Conjugate (Jacson ImmunoReserch Laboratry社製)を0.2%(w/v)BSA含有PBSで500倍希釈したものを添加し、4℃で30分インキュベートした。
(4)0.2%(w/v)BSA含有PBSを用いて3回、さらにPBSで1回、細胞を氷上で洗浄した。
(5)SlowFadeTMGold antifade reagent(Thermo Fisher Scientific社製)で得られたケラチノサイトをスライドガラス上に包埋し、蛍光顕微鏡観察した。
【0121】
得られた染色像を
図4に示した。UV(+)群の細胞は抗ヒトGPR17モノクローナル抗体で染色されたが、UV(-)群の細胞は染色されなかった。以上から、得られた抗GPR17モノクローナル抗体が光老化細胞に結合性を有することが示された。