(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024027981
(43)【公開日】2024-03-01
(54)【発明の名称】パネル受け材
(51)【国際特許分類】
B65D 19/44 20060101AFI20240222BHJP
【FI】
B65D19/44 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022131248
(22)【出願日】2022-08-19
(71)【出願人】
【識別番号】000207436
【氏名又は名称】日鉄鋼板株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】弁理士法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】谷口 純
(72)【発明者】
【氏名】橘 秀俊
【テーマコード(参考)】
3E063
【Fターム(参考)】
3E063AA25
3E063BA02
3E063BB02
3E063CA11
3E063CB04
3E063FF20
(57)【要約】
【課題】パネルを移動させやすいパネル受け材を提供する。
【解決手段】パネル受け材1は、立て置き姿勢における下端部に下方に突出した突出部20を有するパネル2の下端部を受けるパネル受け材1である。このパネル受け材1は、立て置き姿勢のパネル2の下端部を受ける受け材本体3と、パネル2の下端部をパネル2の厚み方向に挟む一対の挟持部4,5と、を備える。一対の挟持部4,5は、一対の挟持部4,5間の間隔を拡大可能に設けられている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
立て置き姿勢における下端部に下方に突出した突出部を有するパネルの前記下端部を受けるパネル受け材であって、
前記立て置き姿勢の前記パネルの前記下端部を受ける受け材本体と、
前記パネルの前記下端部を前記パネルの厚み方向に挟む一対の挟持部と、を備え、
前記一対の挟持部は、前記一対の挟持部間の間隔を拡大可能に設けられている、
パネル受け材。
【請求項2】
前記パネルは、一対の金属外皮の間に芯材を挟んだサンドイッチパネルであり、
前記突出部は、
前記パネルの厚み方向の一方の端部から突出した表側覆い部と、
前記パネルの厚み方向の中央部から突出し、他のパネルとの接続に用いられる凸部と、を含み、
前記一対の挟持部は、前記表側覆い部と前記凸部を挟む、
請求項1に記載のパネル受け材。
【請求項3】
前記パネルの前記下端部が有する金属部分に吸着するマグネット部を更に備える、
請求項2に記載のパネル受け材。
【請求項4】
前記パネルは、一対の金属外皮の間に芯材を挟んだサンドイッチパネルであり、
前記突出部は、他のパネルとの接続に用いられる凸部を含み、
前記一対の挟持部は、前記凸部を挟む、
請求項1に記載のパネル受け材。
【請求項5】
前記一対の挟持部のうちの一方の挟持部は、弾性変形可能であり、
前記一対の挟持部は、前記一方の挟持部が前記凸部に押されて弾性変形することで、前記一対の挟持部間の間隔が拡げられる、
請求項4に記載のパネル受け材。
【請求項6】
前記一対の挟持部は、分離可能であり、
前記パネル受け材は、前記一対の挟持部を前記パネルの前記下端部を挟む位置に固定する固定具を更に備える、
請求項4に記載のパネル受け材。
【請求項7】
前記受け材本体に設けられる移動用ローラーを更に備える、
請求項1に記載のパネル受け材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、パネル受け材に関し、より詳細には、立て置き姿勢のパネルの下端部を受けるパネル受け材に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、立て置き姿勢のパネルの下端部を受ける下支持部が設けられたラックが記載されている。パネルの下端部は、下方に突出した複数の突出部を有している。
【0003】
このラックでは、パネルの下端部の複数の突出部がラックに接触して変形することを、パネルの下端部を下支持部で受けることによって防いでいる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1に記載のパネルでは、クレーン等で吊り上げてラックから他の場所に移動させる際に、移動先にも下支持部に相当する支持構造が必要であり、パネルの移動の自由度の面で改善の余地があった。また、移動先に上記支持構造があったとしても、各突出部が変形しないようにパネルの下端部を支持構造上に載せることは、容易とはいえなかった。
【0006】
上記事情に鑑みて、本開示は、パネルを移動させやすいパネル受け材を提供することを、目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示に係る一態様のパネル受け材は、立て置き姿勢における下端部に下方に突出した突出部を有するパネルの前記下端部を受けるパネル受け材である。このパネル受け材は、前記立て置き姿勢の前記パネルの前記下端部を受ける受け材本体と、前記パネルの前記下端部を前記パネルの厚み方向に挟む一対の挟持部と、を備える。前記一対の挟持部は、前記一対の挟持部間の間隔を拡大可能に設けられている。
【発明の効果】
【0008】
本開示に係る一態様のパネル受け材では、パネルを移動させやすい。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、本開示の実施形態1のパネル受け材をパネルに取り付けた状態を示す側面図である。
【
図2】
図2Aは、同上のパネル受け材を示す斜視図であり、
図2Bは、同上のパネル受け材を示す分解側面図である。
【
図4】
図4Aは、同上のパネル受け材とパネルを移動させる方法の一例を示す側面図であり、
図4Bは、同上のパネル受け材とパネルを移動させる方法の他例を示す側面図である。
【
図5】
図5Aは、同上のパネル受け材の変形例をパネルに取り付けた状態を示す側面図であり、
図5Bは、同上のパネル受け材の変形例を示す正面図である。
【
図6】
図6Aは、同上のパネル受け材の変形例2を他のパネルに取り付けた状態を示す側面図であり、
図6Bは、同上のパネル受け材の変形例2を示す分解側面図である。
【
図7】
図7Aは、同上のパネル受け材の変形例3を更に他のパネルに取り付けた状態を示す側面図であり、
図7Bは、同上のパネル受け材の変形例3を示す分解側面図である。
【
図8】
図8Aは、本開示の実施形態2のパネル受け材をパネルに取り付けた状態を示す側面図であり、
図8Bは、同上のパネル受け材の一部を示す側面図である。
【
図9】
図9Aは、本開示の実施形態3のパネル受け材をパネルに取り付けた状態を示す側面図であり、
図9Bは、同上のパネル受け材を示す分解斜視図であり、同上のパネル受け材が備える固定具の図示を省略した図である。
【
図10】
図10Aは、同上のパネル受け材の変形例を示す斜視図であり、
図10Bは、同上のパネル受け材の変形例の要部を下側から示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(実施形態1)
1.概要
図1に示す実施形態1のパネル受け材1は、立て置き姿勢における下端部に下方に突出した突出部20を有するパネル2の下端部を受けるパネル受け材1である。このパネル受け材1は、立て置き姿勢のパネル2の下端部を受ける受け材本体3と、パネル2の下端部をパネル2の厚み方向に挟む一対の挟持部4,5と、を備える。一対の挟持部4,5は、一対の挟持部4,5間の間隔を拡大可能に設けられている。
【0011】
上記構成を備える実施形態1のパネル受け材1では、一対の挟持部4,5でパネル2の下端部を挟むことができるため、パネル2の下端部にパネル受け材1を取り付けることができる。また、実施形態1のパネル受け材1では、一対の挟持部4,5間の間隔を拡げることで、パネル2の下端部からパネル受け材1を取り外すこともできる。実施形態1のパネル受け材1では、パネル2の下端部にパネル受け材1が取り付けられた状態で、パネル2を移動させることができる。そのため、実施形態1のパネル受け材1では、移動先にパネル2の下端部を受ける他の支持構造が不要であり、また、移動先の他の支持構造に対してパネル2の下端部を載せる作業も不要である。したがって、実施形態1のパネル受け材1では、パネル2を移動させやすい。
【0012】
2.詳細
続いて、
図1、
図2A、及び
図2Bに示す本実施形態1のパネル受け材1について更に詳しく説明する。パネル受け材1は、立て置き姿勢における下端部に下方に突出した突出部20を有するパネル2の下端部を受ける部材である。以下では、
図1に示すパネル2にパネル受け材1が取り付けられた状態を基準として、パネル2の厚み方向を前後方向とし、パネル2とパネル受け材1とが並ぶ方向を上下方向とし、前後方向及び上下方向に対して直交する方向を左右方向として、各構成を説明する。なお、以下では、パネル2が平積み状態にあり、パネル2とパネル受け材1とが水平方向に並ぶ場合にも、立て置き姿勢における上下左右前後方向を用いて説明を行う。
【0013】
2-1.パネル
パネル2は、立て置き姿勢における下端部に下方に突出した突出部20を有するパネルである。立て置き状態におけるパネル2は、鉛直方向に対して略平行な姿勢となる。
【0014】
本実施形態では、パネル2は、一対の金属外皮21,22の間に芯材23を挟んだサンドイッチパネルである。パネル2は、建築用のパネルであり、例えば、外壁材や屋根材として用いられる。
【0015】
パネル2は、左右方向を長手方向とし、上下方向を短手方向とし、前後方向を厚み方向とする正面視略長方形状の板材である。パネル2の左右方向の長さは、例えば、3~7mである。
【0016】
パネル2の下端部は、下方に突出した突出部20を有する。本実施形態では、突出部20は、パネル2の厚み方向の一方の端部(前端部)から下方に突出した表側覆い部20aと、パネル2の厚み方向の中央部から下方に突出し、他のパネル2との接続に用いられる凸部20bとを含む。突出部20は更に、パネル2の厚み方向の他方の端部(後端部)から下方に突出した裏側覆い部20cを含む。
【0017】
表側覆い部20aは、金属外皮21の一部で構成されており、U字状に折り返された部分である。凸部20bは、金属外皮21の下側の先端部と、金属外皮22の下側の先端部と、この間に挟まれた芯材23とで構成されている。裏側覆い部20cは、金属外皮22の一部で構成されており、U字状に折り返された部分である。なお、覆い部20a,20cは、中空であり、折り返された金属外皮21,22の間には芯材23が入っていない。
【0018】
パネル2の上端部は、
図3A及び
図4Aに示すように、他のパネル2との接続に用いられる凹部24を有する。凹部24は、パネル2の下端部の凸部20bが嵌合する形状に設けられている。凹部24は、金属外皮21の上側の先端部と、金属外皮22の上側の先端部と、芯材23の上端部とで構成されている。同構造の2枚のパネル2は、一方のパネル2の凹部24に他方のパネル2の凸部20bを嵌合させることで、互いに接続される。
【0019】
金属外皮21,22のそれぞれは、フラットな金属板をロール加工やプレス加工することによって所望の形状で形成されたものである。金属板は、厚みが0.8~1.2mm程度であって、塗装鋼板、亜鉛めっき鋼板、アルミニウム-亜鉛合金めっき鋼板、ガルバリウム鋼板(登録商標)、エスジーエル(登録商標)鋼板等であるが、これに限定されない。
【0020】
芯材23は、
図1に示すように、全体が平板状の断熱材23aと、断熱材23aの周端部に配置された耐火材23bと、を含む。断熱材23aは、樹脂発泡体または繊維状無機材またはその組み合わせである。樹脂発泡体は、例えば、ポリイソシアヌレートフォームやウレタンフォームやフェノールフォームなどである。繊維状無機材は、例えば、ロックウールやグラスウールなどをバインダー等で固めたブロック体を複数並べて1枚の板状に配置したものである。
【0021】
耐火材23bは、例えば、石膏ボードや珪酸カルシウム板などの耐火性の高い無機材である。石膏ボードの密度は、例えば、600~900kg/m3であり、珪酸カルシウム板の密度は、例えば、200~1,200kg/m3である。芯材23は、金属外皮21,22に対して接着剤を介して固定されている。
【0022】
パネル2は、金属外皮21の前面と金属外皮22の後面のそれぞれに、疵付き防止用のフィルムが貼られている。そのため、パネル2は、複数平積みされても、表面が疵付きにくい。各フィルムは、パネル2を建物の躯体に取り付ける直前や、取り付けた後にパネル2から剥がされる。
【0023】
2-2.パネル受け材
パネル受け材1は、立て置き姿勢のパネル2の下端部を受ける受け材本体3と、パネル2の下端部をパネル2の厚み方向に挟む一対の挟持部4,5と、を備える。本実施形態では、パネル受け材1は更に、パネル2の下端部が有する金属部分に吸着するマグネット部6を備える。
【0024】
本実施形態では、パネル受け材1は、
図2A及び
図2Bに示すように、第一部材1aと、第二部材1bと、マグネットシート6aとを組み合わせて形成される。パネル受け材1は、左右方向を長手方向とする部材である。パネル受け材1は、左右方向に対して直交する断面形状が、左右方向の全長にわたって一定である。パネル受け材1の左右方向の長さは、パネル2の左右方向の長さよりも短い。パネル受け材1は、パネル2の下端部のうち、左右方向の一部(例えば2箇所)に取り付けられる。
【0025】
第一部材1aと第二部材1bのそれぞれは、金属製であり、金属板を折り曲げて形成される。第一部材1aは、矩形板状の底板部40と、底板部40の幅方向の一端部(前端部)から上方に突出した第一挟持片41と、底板部40の幅方向の他端部(後端部)から上方に突出した第二挟持片42と、を有する。
【0026】
第一挟持片41は、底板部40の幅方向の一端部(前端部)から後斜め上方に突出した矩形板状の立ち上がり部410と、立ち上がり部410の上端部から立ち上がり部410の外面(前面)に沿うように折り返された矩形板状の折り返し部411と、を有する。第一挟持片41は、弾性変形可能であり、底板部40に対する角度が変更可能である。
【0027】
第二挟持片42は、底板部40の幅方向の他端部(後端部)から上方に垂直に突出した矩形板状の立ち上がり部420と、立ち上がり部420の上端部から前斜め下方に突出した傾斜部421と、を有する。
【0028】
傾斜部421に外力が加わっていない状態では、傾斜部421の前後方向の長さは、パネル2の凸部20bと裏側覆い部20cとの間の前後方向の長さよりも若干長い。傾斜部421は、弾性変形可能であり、立ち上がり部420に対する角度が変更可能である。
【0029】
第二部材1bは、矩形板状の天板部30と、天板部30の幅方向の一端部(前端部)から下方に延びた第一脚部31と、天板部30の幅方向の他端部(後端部)から下方に延びた第二脚部32と、を有する。
【0030】
第一脚部31は、天板部30の幅方向の一端部(前端部)から垂下した矩形板状の第一垂下部310と、第一垂下部310の下端から天板部30とは反対側(前側)に突出した矩形板状の第一下片部311と、を有する。
【0031】
第二脚部32は、天板部30の幅方向の他端部(後端部)から垂下した矩形板状の第二垂下部320と、第二垂下部320の下端から天板部30側(前側)に突出した矩形板状の第二下片部321と、を有する。
【0032】
第二部材1bの天板部30の上面と、第一垂下部310の外面(前面)に、マグネットシート6aが貼り付けられている。本実施形態では、マグネットシート6aは、天板部30と第一垂下部310のそれぞれの長さ方向(左右方向)の全長にわたるように設けられている。
【0033】
第一部材1aと第二部材1bとは、第一部材1aの底板部40の上に、第二部材1bの下片部311,321を載せることで、互いに組み合わされる。第二部材1bの第一下片部311の先端(前端)が第一部材1aの立ち上がり部410の下端部に当たり、第二部材1bの第二垂下部320が第一部材1aの立ち上がり部420に当たる。これにより、第一部材1aに対して第二部材1bが位置決めされる。
【0034】
第一部材1aと第二部材1bを組み合わせた状態で、第一立ち上がり部410の上端から第一垂下部310の前面のマグネットシート6aまでの前後方向の長さは、パネル2の表側覆い部20aの前後方向の長さよりも若干短い。
【0035】
本実施形態では、第一部材1aの第一挟持片41が挟持部4を構成し、第二挟持片42が挟持部5を構成し、第一部材1aの底板部40と第二部材1bが、受け材本体3を構成し、マグネットシート6aがマグネット部6を構成する。
【0036】
パネル受け材1は、
図1に示すように、パネル2に取り付けられる。取付状態においては、第一挟持片41と第一垂下部310の前面のマグネットシート6aとの間にパネル2の表側覆い部20aが挟まり、第二挟持片42の立ち上がり部420と傾斜部421がパネル2の凸部20bと裏側覆い部20cの間に嵌まり込む。
【0037】
これにより、パネル2の下端部が一対の挟持片41,42(つまり挟持部4,5)によってパネル2の厚み方向に挟まれる。一対の挟持部4,5は、立て置き姿勢のパネル2の下端部からパネル受け材1が自重によって落ちない強度でパネル2の下端部を挟むように、設計されている。
【0038】
2-3.パネル受け材の使用方法
続いて、上述したパネル受け材1の使用方法の一例について説明する。
【0039】
図3A及び
図3Bには、本実施形態のパネル受け材1を用いて、ラック7上の複数のパネル2を平積み状態から立て置き姿勢へと回転させることが示されている。
【0040】
ラック7は、底部材70と、底部材70の一端部に垂直に設けられる側部材71と、底部材70の他端部と側部材71の先端部のそれぞれに設けられた連結部72とを備える。底部材70には、複数のパネル2が平積みされる。連結部72は、クレーン等の吊り上げ装置8に連結可能な構造を有する。底部材70と側部材71は、側面視L字状に連結されている。
【0041】
底部材70は、例えば、平面視矩形枠状である。側部材71は、例えば、正面視略H字状である。底部材70と側部材71のそれぞれは、例えば、複数の角形鋼管で形成される。連結部72は、本実施形態では、ねじの頭部がリング形状に設けられたアイボルトである。
【0042】
複数のパネル2は、ラック7の底部材70の上に平積みされる。複数のパネル2は、長さ方向の中央部がラック7の底部材70の上に載せられる。本実施形態では、複数のパネル2は、同一の形状及び大きさであるが、左右方向の長さや上下方向の長さが互いに異なってもよい。
【0043】
パネル受け材1は、ラック7の底部材70の上に平積みされた複数のパネル2のそれぞれに対して取り付けられる。パネル受け材1は、各パネル2のうち、ラック7の側部材71に対向する部分に取り付けられる。本実施形態では、各パネル2には、2つのパネル受け材1が取り付けられる。
【0044】
パネル受け材1は、
図1に示すように、パネル2の凸部20bと裏側覆い部20cとの間に第二挟持片42の立ち上がり部420と傾斜部421が挿入される。そして、第一挟持片41の立ち上がり部410と第一垂下部310の前面のマグネットシート6aとの間にパネル2の表側覆い部20aが挿入される。このとき、立ち上がり部410は、パネル2の表側覆い部20aによって押されて、外側(前側)に弾性変形する。また、傾斜部421は、パネル2の凸部20bの後面に押されて、傾斜部421の先端部が立ち上がり部420に近づく方向に弾性変形する。これにより、パネル2の表側覆い部20aと凸部20bが、挟持片41,42(挟持部4,5)によってパネル2の厚み方向に挟まれて、パネル受け材1がパネル2の下端部に取り付けられる。
【0045】
パネル2に取り付けられたパネル受け材1は、パネル2から離れる方向(凸部20bから底板部40が離れる方向)に所定以上の力で引っ張ることで、パネル2から取り外すことができる。このとき、パネル受け材1の第二挟持片42がパネル2の凸部20bと裏側覆い部20cとの間から外れた後、第一挟持片41の立ち上がり部410と第一垂下部310の前面のマグネットシート6aとの間からパネル2の表側覆い部20aが外れる。
【0046】
図3Cに示すように、複数のパネル2のそれぞれにパネル受け材1を取り付けた状態では、一番端を除いた残りのパネル受け材1の第一挟持片41は、隣接する他のパネル2の裏側覆い部20cに対向する空間に収まる。これにより、パネル受け材1のうち、パネル2よりも厚み方向の外側に位置する部分が、隣接する他のパネル受け材1や他のパネル2に接触して変形することを抑制できる。
【0047】
図3Aに示すように、ラック7上の複数のパネル2のそれぞれにパネル受け材1を装着したら、
図3Bに示すように、クレーン等の吊上げ装置8を用いてラック7を回転させて、複数のパネル2の真下に側部材71を位置させる。これにより、複数のパネル2のそれぞれが、平積み姿勢から立て置き姿勢へと姿勢が切り替えられる。立て置き姿勢の複数のパネル2のそれぞれは、パネル受け材1によって下方から支持される。このとき、表側覆い部20aは、ラック7の側部材71から離れて位置し、変形が抑制される。
【0048】
立て置き姿勢の複数のパネル2のそれぞれは、
図4Aに示すように、パネル2の上端部の凹部24に取り付けられるパネル吊り具9を介して、クレーン、ハンガーレール等の吊上げ装置8で、他の場所へと移動させることができる。
【0049】
このとき、立て置き姿勢のパネル2の下端部からはパネル受け材1が外れず、パネル2は、パネル受け材1が下端部に取り付けられた状態で、移動させることができる。そのため、移動先にある他のラック7等の上に、パネル受け材1付きのパネル2を立て置き姿勢で置くことができる。
【0050】
2-4.作用効果
以上説明した本実施形態のパネル受け材1では、一対の挟持部4,5でパネル2の下端部を挟むことができるため、パネル2の下端部にパネル受け材1を取り付けることができる。また、本実施形態のパネル受け材1では、一対の挟持部4,5間の間隔を拡げることで、パネル2の下端部からパネル受け材1を取り外すこともできる。本実施形態のパネル受け材1では、パネル2の下端部にパネル受け材1が取り付けられた状態で、パネル2を移動させることができる。そのため、本実施形態のパネル受け材1では、移動先にパネル2の下端部を受ける他の支持構造が不要であり、また、移動先の他の支持構造に対してパネル2の下端部を載せる作業も不要である。したがって、本実施形態のパネル受け材1では、パネル2を移動させやすい。
【0051】
また、本実施形態のパネル受け材1では、パネル2の下端部にマグネット部6の吸着力によってパネル受け材1を吸着させることができるため、パネル2の下端部からパネル受け材1がより外れにくい。
【0052】
また、本実施形態のパネル受け材1では、第一挟持片41と第一脚部31とでパネル2の表側覆い部20aを挟むことができるため、パネル2の下端部からパネル受け材1が外れにくい。
【0053】
また、本実施形態のパネル受け材1では、金属板を折り曲げて形成される2つの部材1a,1bとマグネットシート6aとを組み合わせて形成できるため、パネル受け材1を簡単な構造とできるうえ、パネル受け材1の軽量化が図れる。そのため、パネル受け材1は、自身の重みによって、パネル2の下端部から外れにくい。
【0054】
また、本実施形態のパネル受け材1では、第一挟持片41によって表側覆い部20aの外面(前面)を挟むことで、パネル2の下端部に対してパネル受け材1が適切な位置に取り付けられているか確認しやすく、取付ミスが生じにくい。
【0055】
また、本実施形態のパネル受け材1では、ラック7にパネル2の下端部を受けるための専用の支持構造が不要なため、ラック7の構造の簡素化が図れる。
【0056】
2-5.変形例
続いて、上述した実施形態1のパネル受け材1の変形例について説明する。なお、以下に示す各変形例は適宜組み合わせ可能である。
【0057】
パネル2は、立て置き姿勢における下端部に下方に突出した突出部20を有するパネルであればよく、サンドイッチパネルに限定されない。例えば、パネル2は、ALC板等の他のパネル材でもよい。
【0058】
また、パネル2の突出部20は、表側覆い部20a、凸部20b、及び裏側覆い部20cを含むものに限定されない。パネル2は、立て置き姿勢における下端部に下方に突出した突出部20を有するパネルであればよく、突出部20の数、形状、及び配置は適宜選択可能である。
【0059】
また、パネル受け材1は、マグネット部6を備えなくてもよく、一対の挟持部4,5によって挟むことだけで、パネル2の下端部に取り付けられてもよい。
【0060】
また、マグネット部6は、パネル2の下端部が有する金属部分に吸着すればよく、この金属部分は、一対の金属外皮21,22のうちのいずれかに限らず、例えば、芯材23に埋め込まれた他の金属材料であってもよい。
【0061】
立て置き姿勢のパネル2を移動させる方法は、
図4Aに示す、パネル2の上端部の凹部24に取り付けられるパネル吊り具9を用いた方法に限定されない。例えば、
図4Bに示すように、ナイロンスリング等の繊維ベルトのスリング10で、立て置き姿勢のパネル2とその下端部に取り付けられたパネル受け材1とを吊って、パネル2を移動させてもよい。このとき、パネル2の下端部にはパネル受け材1が取り付けられているため、パネル2の下端部の突出部20がスリング10に接触して変形することを抑制できる。
【0062】
また、パネル受け材1付きの立て置き姿勢のパネル2は、例えば、ローラーコンベア等の搬送手段の上を滑らせて、移動させてもよい。このとき、本実施形態のパネル受け材1は、立て置き姿勢のパネル2の下端部にそれなりの強度で取り付けられているため、搬送手段との間での摩擦によってパネル2から外れることを抑制できる。
【0063】
また、パネル受け材1付きの立て置き姿勢のパネル2は、ハンドリフトやフォークリフト等の搬送手段の上に載せて、移動させてもよい。このとき、本実施形態のパネル受け材1は、立て置き姿勢のパネル2の下端部に取り付けられているため、パネル2の下端部の突出部20が搬送手段に接触して変形することを抑制できる。
【0064】
また、パネル受け材1は、
図5A及び
図5Bに示す変形例1のように、受け材本体3に設けられる移動用ローラー11を更に備えてもよい。移動用ローラー11は、本変形例では、受け材本体3の下面(第一部材1aの底板部40の下面)に取り付けられている。移動用ローラー11は、例えば、一対のキャスターである。一対のキャスターは、受け材本体3の長手方向(左右方向)の両端部に取り付けられている。
【0065】
また、ラック7の側面視形状は、L字状に限らず、コ字状、ロ字状等のその他の形状であってもよい。
【0066】
また、第一部材1aと第二部材1bは、
図2A、
図2B等に示す形状に限定されない。また、パネル受け材1は、2つの部材1a,1bを組み合わせて形成されるものに限定されず、例えば、1つの部材で構成されてもよいし、3つ以上の部材を組み合わせて形成されてもよい。
【0067】
また、パネル2は、
図6Aに示す構造であってもよく、この場合、パネル受け材1は、
図6A及び
図6Bに示す変形例2の構造としてもよい。
【0068】
この変形例では、パネル2の突出部20は、パネル2の厚み方向の一方の端部(前端部)から下方に突出した表側覆い部20aと、パネル2の厚み方向の他方の端部(後端部)から下方に突出した裏側覆い部20cと、を含む。なお、突出部20は、パネル2の厚み方向の中央部から下方に突出した凸部20bを含まない。パネル2の芯材23は、断熱材23aで構成され、耐火材23bを含まない。パネル2の上端部は、同構造の他のパネル2の覆い部20a,20c間に嵌まり込む接続用の凸部(図示せず)を有する。
【0069】
この変形例では、パネル受け材1は、第一部材1aと、第二部材1bと、マグネットシート6a,6bとを組み合わせて形成される。
【0070】
第一部材1aは、矩形板状の底板部40と、底板部40の幅方向の一端部(前端部)から上方に突出した第一挟持片41と、底板部40の幅方向の他端部(後端部)から上方に突出した矩形板状の立ち上がり部420と、を有する。第一挟持片41は、立ち上がり部410と折り返し部411とを有する。立ち上がり部420の上端部の後面には、マグネットシート6bが貼り付けられている。
【0071】
第二部材1bは、実施形態1の第二部材1bと同様に、天板部30と、第一脚部31と、第二脚部32と、を有する。第一脚部31は、第一垂下部310と第一下片部311を有し、第二脚部32は、第二垂下部320と第二下片部321を有する。天板部30の上面と、第一垂下部310の外面(前面)に、マグネットシート6aが貼り付けられている。
【0072】
本変形例では、第一部材1aの第一挟持片41が挟持部4を構成し、第二部材1bの第一脚部31と第一垂下部310とこの外面(前面)を覆うマグネットシート6aとが挟持部5を構成する。マグネットシート6a,6bがマグネット部6を構成する。
【0073】
パネル受け材1は、
図6Aに示すように、パネル2に取り付けられる。取付状態においては、第一挟持片41の立ち上がり部410がパネル2の表側覆い部20aに押し当たり、第一垂下部310とその外面(前面)を覆うマグネットシート6aとがパネル2の表側覆い部20aに押し当たる。これにより、パネル2の下端部が第一挟持片41と第一脚部31(つまり挟持部4,5)によってパネル2の厚み方向に挟まれる。そして、第一部材1aの立ち上がり部420と第二部材1bとマグネットシート6a,6bが、パネル2の覆い部20a,20cの間に嵌まり込む(詳しくは無理嵌めされる)。
【0074】
以上説明した変形例2のパネル受け材1においても、一対の挟持部4,5でパネル2の下端部を挟むことができるため、パネル2の下端部にパネル受け材1を付け外しすることができる。本変形例のパネル受け材1では、パネル2の下端部にパネル受け材1が取り付けられた状態で、パネル2を移動させることができるため、パネル2を移動させやすい。
【0075】
また、パネル2は、
図7Aに示す構造であってもよく、この場合、パネル受け材1は、
図7A及び
図7Bに示す変形例3の構造としてもよい。
【0076】
この変形例では、パネル2の突出部20は、パネル2の厚み方向の一方の端部(前端部)から下方に突出した表側覆い部20aと、パネル2の厚み方向の中央部から下方に突出した凸部20bと、を含む。なお、突出部20は、パネル2の厚み方向の他方の端部(後端部)から下方に突出した裏側覆い部20cを含まない。パネル2の芯材23は、断熱材23aを含み、耐火材23bを含まない。断熱材23aは、表側覆い部20aの内部と凸部20bの内部にも充填されている。パネル2の上端部は、同構造の他のパネル2の凸部20bに嵌まり込む接続用の凹部(図示せず)を有する。
【0077】
この変形例では、パネル受け材1は、第一部材1aと、第二部材1bと、マグネットシート6aとを組み合わせて形成される。
【0078】
第一部材1aは、実施形態1の第一部材1aと同様に、底板部40と、第一挟持片41と、第二挟持片42と、を有する。第一挟持片41は、立ち上がり部410と折り返し部411とを有する。第二挟持片42は、立ち上がり部420と、立ち上がり部420の上端部から立ち上がり部420の内面(前面)に沿うように折り返された矩形板状の折り返し部422と、を有する。
【0079】
第二部材1bは、実施形態1の第二部材1bと同様に、天板部30と、第一脚部31と、第二脚部32と、を有する。第一脚部31は、第一垂下部310と第一下片部311を有し、第二脚部32は、第二垂下部320と第二下片部321を有する。天板部30の上面と、第一垂下部310の外面(前面)に、マグネットシート6aが貼り付けられている。
【0080】
本変形例では、第一部材1aの第一挟持片41が挟持部4を構成し、第一部材1aの第二挟持片42が挟持部5を構成する。
【0081】
パネル受け材1は、
図7Aに示すように、パネル2に取り付けられる。取付状態においては、第一挟持片41の立ち上がり部410がパネル2の表側覆い部20aに押し当たり、第二挟持片42の押し返し部422がパネル2の凸部20bに押し当たる。これにより、パネル2の下端部が挟持片41,42(つまり挟持部4,5)によってパネル2の厚み方向に挟まれる。そして、第一挟持片41と第一垂下部310の前面のマグネットシート6aとの間にパネル2の表側覆い部20aが挟み込まれる。
【0082】
以上説明した変形例3のパネル受け材1においても、一対の挟持部4,5でパネル2の下端部を挟むことができるため、パネル2の下端部にパネル受け材1を付け外しすることができる。本変形例のパネル受け材1では、パネル2の下端部にパネル受け材1が取り付けられた状態で、パネル2を移動させることができるため、パネル2を移動させやすい。
【0083】
なお、パネル2の下端部は、
図1、
図6A、及び
図7Aに示す構造に限らず、他の構造であってもよい。いずれの場合も、パネル受け材1は、パネル2の下端部をパネル2の厚み方向に挟むように構成される。
【0084】
(実施形態2)
続いて、
図8A及び
図8Bに示す実施形態2のパネル受け材1について説明する。以下では、本実施形態のパネル受け材1について、実施形態1のパネル受け材1と同様の構成については図中に同一の符号を付して詳しい説明を省略し、実施形態1のパネル受け材1と異なる構成については、詳しく説明する。
【0085】
パネル受け材1は、第一部材1cと第二部材1dとを組み合わせて形成される。第一部材1cは、金属製であり、金属板を折り曲げて形成される。
【0086】
第一部材1cは、矩形板状の底板部43と、底板部43の幅方向の一端部(前端部)から上方に突出した第一挟持片44と、底板部43の幅方向の他端部(後端部)から上方に突出した第二挟持片45と、を有する。第一挟持片44と第二挟持片45は、パネル2の凸部20bを弾性的に挟むように、構成されている。
【0087】
本実施形態では、第一挟持片44は、底板部43の前端部から後斜め上方に延びた第一傾斜部440と、第一傾斜部440の上端から前斜め上方に延びた第二傾斜部441と、第二傾斜部441の上端から前方に延びた端片部442と、を有する。端片部442の突出方向の長さは、凸部20bの上端から表側覆い部20aの上端までの前後方向の長さよりも短い。
【0088】
第二挟持片45は、底板部43の後端部から前斜め上方に延びた立ち上がり部450と、立ち上がり部450の上端から前方に直角に延びた中間部451と、中間部451の前端から下方に垂直に延びた垂下部452と、を有する。中間部451の前後方向の長さは、凸部20bの上端から裏側覆い部20cの上端までの前後方向の長さと略同じである。
【0089】
第一挟持片44の第二傾斜部441と第二挟持片45の垂下部452は、凸部20bを弾性的に挟むように、その前後方向の間隔が設定されている。本実施形態では、第一挟持片44の傾斜部440,441は、底板部43に対して弾性変形可能であり、凸部20bに押されることで、弾性変形する(外側に移動する)。第二挟持片45の立ち上がり部450は、底板部43に対して弾性変形可能であり、凸部20bに押されることで、弾性変形する(外側に移動する)。第二挟持片45は、凸部20bと裏側覆い部20cとの間に嵌まり込むように、その形状及び大きさが設定されている。
【0090】
第二部材1dは、本実施形態では、押出発泡ポリスチレン等の発泡プラスチック系材料で形成された中実のブロック体である。第二部材1dは、略直方体状である。第二部材1dは、その前面の上部に、パネル2の表側覆い部20aを収めるための凹み33を有する。凹み33は、上方と前方に向けて開放されている。第二部材1dの上下方向の長さは、凸部20bの下面から表側覆い部20aの下端までの上下方向の長さよりも長い。第二部材1dの上面に、第一部材1cの底板部43の下面が接着剤等の適宜手段によって固定されている。
【0091】
本実施形態では、第一挟持片44が挟持部4を構成し、第二挟持片45が挟持部5を構成し、底板部43と第二部材1dが受け材本体3を構成している。
【0092】
以上説明した本実施形態のパネル受け材1は、平積み状態の複数のパネル2(
図3A参照)のそれぞれに対して、パネル受け材1の挟持片44,45間に凸部20bが挿入されるように、各パネル2に取り付けられる。
【0093】
挟持片44,45間に凸部20bを挿入すると、凸部20bの下面の前端によって、第一挟持片44の第二傾斜部441が前側に押されて、傾斜部440,441が前側下方に倒れる(つまり弾性変形する)。凸部20bの下面の前端が傾斜部440,441の境目部分(角部分)を超えると、傾斜部440,441は、後側に移動する(つまり元の形状に復帰する)。挟持片44,45間に凸部20bを挿入すると、凸部20bの後面によって、第二挟持片45の垂下部452が後側に押されて、第二挟持片45が後側下方に倒れる(つまり弾性変形する)。すると、裏側覆い部20cの前面に、第二挟持片45の立ち上がり部450の後面が当たって、第二挟持片45は、凸部20bと裏側覆い部20cとの間に嵌まり込む。
【0094】
パネル受け材1の底板部43が凸部20bの下面に当たると、第一挟持片44の第二傾斜部441は、凸部20bの前面に当たって、第二傾斜部441と第二挟持片45の垂下部452とによって凸部20bが弾性的に挟持される。このとき、パネル2の表側覆い部20aは、パネル受け材1の受け材本体3の凹み33に収まる。
【0095】
パネル2に取り付けられたパネル受け材1は、パネル2から離れる方向(凸部20bから底板部43が離れる方向)に所定以上の力で引っ張ることで、パネル2から取り外すことができる。このとき、パネル2の凸部20bの前面の下端部によって押されて、パネル受け材1の第二傾斜部441が前側に倒れる(つまり弾性変形する)ことで、挟持片44,45間から凸部20bを抜き出すことができる。
【0096】
上述のとおり、本実施形態のパネル受け材1では、挟持部4,5を施工者が直接的に操作しなくても、パネル2に対するパネル受け材1の着脱を行うことができる。
【0097】
以上説明した本実施形態のパネル受け材1においても、一対の挟持部4,5でパネル2の下端部を挟むことができるため、パネル2の下端部にパネル受け材1を付け外しすることができる。本実施形態のパネル受け材1では、パネル2の下端部にパネル受け材1が取り付けられた状態で、パネル2を移動させることができるため、パネル2を移動させやすい。
【0098】
また、本実施形態のパネル受け材1では、挟持部4,5で挟む部分(凸部20b)が、表側覆い部20aと裏側覆い部20cで覆われて露出しにくい部分である。そのため、本実施形態のパネル受け材1では、挟持部4,5との接触により凸部20bの前後の面に疵が付いても、疵の露出を抑制することができる。
【0099】
また、本実施形態のパネル受け材1では、挟持片44,45が凸部20bを挟持するうえ、第二挟持片45が凸部20bと裏側覆い部20cとの間に嵌まり込むため、パネル2からパネル受け材1が外れにくい。
【0100】
また、本実施形態のパネル受け材1では、第二部材1dが発泡プラスチック系材料で形成されているため、パネル受け材1の軽量化が図れるうえ、衝撃吸収性の向上を図りやすく、また、第二部材1dが摩耗した場合には新しい第二部材1dに交換しやすい。
【0101】
以上説明した実施形態2のパネル受け材1においても、上述した実施形態1のパネル受け材1の変形例と同様の変形例を適宜採用可能である。
【0102】
また、第二部材1dは、アルミや鉄等の金属製の中空のブロック体であってもよく、形状によって衝撃吸収性能を持たせてもよい。この場合も、第二部材1dは、その前面の上部に凹み33を有する。
【0103】
また、第一部材1cの第二挟持片45は、実施形態1の第一部材1aの第二挟持片42と同様の構造であってもよく、中間部451及び垂下部452に代えて、立ち上がり部450の上端から前斜め下方に突出した傾斜部を有してもよい。
【0104】
また、第一部材1cの第一挟持片44は、弾性変形可能であり、凸部20bを第二挟持片45との間で挟むものであればよく、凸部20bの前面に沿う形状でなくてもよい。
【0105】
また、パネル受け材1は、第一挟持片44と第二挟持片45のうち、第一挟持片44のみが弾性変形可能に設けられたものであってもよい。
【0106】
また、パネル受け材1は、パネル2の下端部の金属部分(一対の金属外皮21,22)に吸着するマグネット部6(マグネットシート6a)を更に備えてもよい。この場合、マグネットシート6aは、例えば、第一部材1cの底板部43の上面に貼り付けられる。
【0107】
(実施形態3)
続いて、
図9A及び
図9Bに示す実施形態3のパネル受け材1について説明する。以下では、本実施形態のパネル受け材1について、実施形態1のパネル受け材1と同様の構成については図中に同一の符号を付して詳しい説明を省略し、実施形態1のパネル受け材1と異なる構成については、詳しく説明する。
【0108】
本実施形態のパネル受け材1では、一対の挟持部4,5は、分離可能である。パネル受け材1は、一対の挟持部4,5をパネル2の下端部を挟む位置に固定する固定具12を更に備える。
【0109】
パネル受け材1は、第一部材1eと第二部材1fと第三部材1gと固定具12とを組み合わせて形成される。第一部材1eと第二部材1fのそれぞれは、金属製であり、金属板を折り曲げて形成される。固定具12は、本実施形態では、ボルト120とナット121である。
【0110】
第三部材1gは、実施形態2のパネル受け材1の第二部材1dと同様に、押出発泡ポリスチレン等の発泡プラスチック系材料で形成された中実のブロック体である。第三部材1gは、略直方体状である。第三部材1gは、その前面の上部に、パネル2の表側覆い部20aを収めるための凹み34を有する。
【0111】
第三部材1gは更に、固定具12を収めるための2つの凹み35を有する。2つの凹み35は、第三部材1gの上部の後側の部分に位置している。2つの凹み35のそれぞれは、上方と後方に開口している。
【0112】
第一部材1eは、矩形板状の底板部46と、底板部46の幅方向の一端部(前端部)から上方に突出した第一挟持片47と、を有する。第一挟持片47は、実施形態2のパネル受け材1の第一部材1cの第一挟持片44と同形状である。つまり、第一挟持片47は、第一挟持片44の第一傾斜部440、第二傾斜部441、及び端片部442に対応する第一傾斜部470、第二傾斜部471、及び端片部472を有する。
【0113】
底板部46には、2つの切欠き460が設けられている。2つの切欠き460のそれぞれは、底板部46の後端から前方に向けて切り欠かれており、後方及び上下方向に向けて開口している。本実施形態では、2つの切欠き460のそれぞれは、平面視矩形状である。2つの切欠き460の配置は、第三部材1gの2つの凹み35の配置と対応している。
【0114】
底板部46のうち、2つの切欠き460の前側の部分の下面には、ナット121が固定されている。ナット121は、接着剤等の適宜手段で底板部46の下面に固定されている。底板部46は、その下面が第三部材1gの上面に、接着剤等の適宜手段で固定されている。
【0115】
第二部材1fは、矩形板状の底板部48と、底板部48の幅方向の他端部(後端部)から上方に突出した第二挟持片49と、底板部48の幅方向の一端部(前端部)から下方に突出した固定板50と、を有する。
【0116】
第二挟持片49は、底板部48の後端部から上方に垂直に延びた立ち上がり部490と、立ち上がり部490の上端から後方に延びた端片部491と、を有する。端片部491の前後方向の長さは、凸部20bから裏側覆い部20cまでの前後方向の長さよりも短い。
【0117】
本実施形態では、第二部材1fは、2つの固定板50を有する。2つの固定板50の配置は、第一部材1eの2つの切欠き460の配置に対応している。2つの固定板50のそれぞれは、矩形板状である。2つの固定板50のそれぞれには、固定具12のボルト120の軸部分が挿通される挿通孔500が設けられている。
【0118】
第二部材1fは、2つの固定板50が第一部材1eの2つの切欠き460及び第三部材1gの2つの凹み35に挿入され、底板部48が第一部材1eの底板部46の上に載るように、第一部材1e及び第三部材1gと組み合わされる。第二部材1fと第一部材1eとは、第二部材1fの2つの固定板50の挿通孔500にボルト120の軸部分を挿入して第一部材1eに固定された2つのナット121に対してねじ締めすることで、固定される。
【0119】
本実施形態のパネル受け材1では、第一部材1eの第一挟持片47が挟持部4を構成し、第二部材1fの第二挟持片49が挟持部5を構成し、第一部材1eの底板部46と第二部材1fの底板部48と第三部材1gが受け材本体3を構成する。
【0120】
本実施形態のパネル受け材1は、挟持片47,49間の間隔が、パネル2の凸部20bの前後方向の長さよりも若干広くなるように、ボルト120をナット121に対して仮止めした状態で、パネル2に取り付けられる。第一挟持片47と第二挟持片49の間の間隔は、ナット121に対するボルト120のねじ締め量に応じて、適宜変更することができる。
【0121】
本実施形態のパネル受け材1は、平積み状態の複数のパネル2(
図3A参照)のそれぞれに対して、パネル受け材1の挟持片47,49間に凸部20bが挿入されるように、各パネル2に取り付けられる。
【0122】
挟持片47,49間に凸部20bを挿入した状態で、ボルト120を更にねじ締めすることで、挟持片47,49によって凸部20bを挟み込む。これにより、複数のパネル2のそれぞれに対してパネル受け材1を取り付けることができる。
【0123】
各パネル2からパネル受け材1を取り外す際には、ボルト120を緩めて挟持片47,49間の間隔を拡大可能として、各パネル2の凸部20bから挟持片47,49を取り外す。
【0124】
以上説明した本実施形態のパネル受け材1においても、一対の挟持部4,5でパネル2の下端部を挟むことができるため、パネル2の下端部にパネル受け材1を付け外しすることができる。本実施形態のパネル受け材1では、パネル2の下端部にパネル受け材1が取り付けられた状態で、パネル2を移動させることができるため、パネル2を移動させやすい。
【0125】
また、本実施形態のパネル受け材1では、挟持片47,49間に凸部20bを挿入した状態で、ボルト120を更にねじ締めすることで、挟持片47,49によって凸部20bを強固に挟むことができる。そのため、本実施形態のパネル受け材1は、パネル2の下端部からパネル受け材1が外れることをより抑制しやすい。
【0126】
また、本実施形態のパネル受け材1では、間隔を拡げた挟持片47,49間に凸部20bを挿入した状態で、挟持片47,49間の間隔を狭めることができるため、挟持片47,49を弾性変形可能に設けなくてもよい。そのため、本実施形態のパネル受け材1は、パネル2の下端部から外れることをより抑制しやすい。
【0127】
また、本実施形態のパネル受け材1では、ボルト120のねじ締め量を調整できるため、挟持片47,49によって凸部20bを適切な強さで挟むことができる。そのため、本実施形態のパネル受け材1では、凸部20bが挟持片47,49によって強く挟まれて変形することを抑制できる。
【0128】
以上説明した実施形態3のパネル受け材1においても、上述した実施形態1,2のパネル受け材1の変形例と同様の変形例を適宜採用可能である。
【0129】
固定具12は、ボルト120とナット121に限らず、その他の従来周知の固定手段であってもよい。
【0130】
固定具12は、例えば、
図10A及び
図10Bに示す変形例のように、ワンタッチで部材1e,1fの連結、連結解除が可能なキャッチクリップ13であってもよい。
【0131】
キャッチクリップ13は、第一部材1eの底板部46の下面に固定された固定部130と、固定部130と一体であり、操作可能なレバー部131と、レバー部131の操作によって動くフック部132と、を有する。第二部材1fの底板部48の下面には、フック部132を係合可能な係合部133が固定されている。
【0132】
キャッチクリップ13は、フック部132を係合部133に係合させた状態でレバー部131を固定部130に対して引っ掛けることで、部材1e,1fを連結することができる。
【0133】
本変形例では、部材1e,1fは、第三部材1gよりも左右方向に長く、第三部材1gよりも左右方向外側に突出した部分を有する。部材1e,1fの左右の突出した部分のそれぞれの下面に、キャッチクリップ13が装着されている。
【0134】
この変形例では、ワンタッチでキャッチクリップ13を操作できるため、部材1e,1fの挟持片47,49による凸部20bの挟み込み、及びその解除が簡単に行える。
【0135】
なお、固定具12は、キャッチクリップ13に限らず、ワンタッチで部材1e,1fの連結、連結解除が可能なその他の固定手段であってもよい。
【0136】
(まとめ)
以上述べた実施形態1から3及びその変形例のように、本開示に係る第一態様のパネル受け材1は、下記の構成を備える。
【0137】
すなわち、第一態様のパネル受け材1は、立て置き姿勢における下端部に下方に突出した突出部20を有するパネル2の下端部を受けるパネル受け材1である。このパネル受け材1は、立て置き姿勢のパネル2の下端部を受ける受け材本体3と、パネル2の下端部をパネル2の厚み方向に挟む一対の挟持部4,5と、を備える。一対の挟持部4,5は、一対の挟持部4,5間の間隔を拡大可能に設けられている。
【0138】
上記構成を備える第一態様のパネル受け材1では、一対の挟持部4,5でパネル2の下端部を挟むことができるため、パネル2の下端部にパネル受け材1を取り付けることができる。また、第一態様のパネル受け材1では、一対の挟持部4,5間の間隔を拡げることで、パネル2の下端部からパネル受け材1を取り外すこともできる。第一態様のパネル受け材1では、パネル2の下端部にパネル受け材1が取り付けられた状態で、パネル2を移動させることができる。そのため、第一態様のパネル受け材1では、移動先にパネル2の下端部を受ける他の支持構造が不要であり、また、移動先の他の支持構造に対してパネル2の下端部を載せる作業も不要である。したがって、第一態様のパネル受け材1では、パネル2を移動させやすい。
【0139】
また、上述した実施形態1及びその変形例のように、第二態様のパネル受け材1は、第一態様の構成に加えて、下記の構成を付加的に備える。
【0140】
すなわち、第二態様のパネル受け材1では、パネル2は、一対の金属外皮21,22の間に芯材23を挟んだサンドイッチパネルである。突出部20は、パネル2の厚み方向の一方の端部から突出した表側覆い部20aと、パネル2の厚み方向の中央部から突出し、他のパネル2との接続に用いられる凸部20bと、を含む。一対の挟持部4,5は、表側覆い部20aと凸部20bを挟む。
【0141】
上記構成を備える第二態様のパネル受け材1では、サンドイッチパネルの下端部の表側覆い部20aと凸部20bを一対の挟持部4,5によって挟むことで、パネル2の下端部にパネル受け材1を取り付けることができる。
【0142】
また、上述した実施形態1から3及びその変形例のように、第三態様のパネル受け材1は、第一又は第二態様の構成に加えて、下記の構成を付加的に備える。
【0143】
すなわち、第三態様のパネル受け材1は、パネル2の下端部が有する金属部分に吸着するマグネット部6を更に備える。
【0144】
上記構成を備える第三態様のパネル受け材1では、マグネット部6の吸着力によってパネル2の下端部にパネル受け材1を吸着させることができるため、パネル2の下端部からパネル受け材1が意図せず外れることを抑えやすい。
【0145】
また、上述した実施形態2,3及びその変形例のように、第四態様のパネル受け材1は、第一態様の構成に加えて、下記の構成を付加的に備える。
【0146】
すなわち、第四態様のパネル受け材1では、パネル2は、一対の金属外皮21,22の間に芯材23を挟んだサンドイッチパネルである。突出部20は、他のパネル2との接続に用いられる凸部20bを含む。一対の挟持部4,5は、凸部20bを挟む。
【0147】
上記構成を備える第四態様のパネル受け材1では、サンドイッチパネルの下端部の凸部20bを一対の挟持部4,5によって挟むことで、パネル2の下端部にパネル受け材1を取り付けることができる。
【0148】
また、上述した実施形態2及びその変形例のように、第五態様のパネル受け材1は、第四態様の構成に加えて、下記の構成を付加的に備える。
【0149】
すなわち、第五態様のパネル受け材1は、一対の挟持部4,5のうちの一方の挟持部4は、弾性変形可能である。一対の挟持部4,5は、一方の挟持部4が凸部20bに押されて弾性変形することで、一対の挟持部4,5間の間隔が拡げられる。
【0150】
上記構成を備える第五態様のパネル受け材1では、一対の挟持部4,5のうちの一方の挟持部4が弾性変形可能であるため、一対の挟持部4,5間に対して、凸部20bを出し入れする作業がしやすくて、パネル受け材1をパネル2に対して付け外ししやすい。
【0151】
また、上述した実施形態3及びその変形例のように、第六態様のパネル受け材1は、第四態様の構成に加えて、下記の構成を付加的に備える。
【0152】
すなわち、第六態様のパネル受け材1では、一対の挟持部4,5は、分離可能である。パネル受け材1は、一対の挟持部4,5をパネル2の下端部を挟む位置に固定する固定具12を更に備える。
【0153】
上記構成を備える第六態様のパネル受け材1では、一対の挟持部4,5を弾性変形可能に設けなくてもよいため、一対の挟持部4,5が意図せず弾性変形して、パネル2の下端部からパネル受け材1が外れることを抑制できる。
【0154】
また、上述した実施形態1から3及びその変形例のように、第七態様のパネル受け材1は、第一から第六のいずれか1つの態様の構成に加えて、下記の構成を付加的に備える。
【0155】
すなわち、第七態様のパネル受け材1は、受け材本体3に設けられる移動用ローラー11を更に備える。
【0156】
上記構成を備える第七態様のパネル受け材1では、立て置き姿勢のパネル2とその下端部に取り付けられたパネル受け材1とを、移動用ローラー11を用いて移動させることができて、パネル2を移動させやすい。
【0157】
以上、本開示を添付図面に示す形態に基づいて説明したが、本開示は上記の各形態に限定されるものではなく、本開示の意図する範囲内であれば、適宜の設計変更が可能である。
【符号の説明】
【0158】
1 パネル受け材
2 パネル
20 突出部
20a 表側覆い部
20b 凸部
21 金属外皮
22 金属外皮
23 芯材
3 受け材本体
4 挟持部
5 挟持部
6 マグネット部
11 移動用ローラー
12 固定具