(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024027985
(43)【公開日】2024-03-01
(54)【発明の名称】処理システム
(51)【国際特許分類】
B65G 54/02 20060101AFI20240222BHJP
B65G 47/24 20060101ALI20240222BHJP
【FI】
B65G54/02
B65G47/24 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022131252
(22)【出願日】2022-08-19
(71)【出願人】
【識別番号】000222727
【氏名又は名称】PACRAFT株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100130719
【弁理士】
【氏名又は名称】村越 卓
(72)【発明者】
【氏名】山根 徳幸
(72)【発明者】
【氏名】中川 晃一
(72)【発明者】
【氏名】村田 一輝
【テーマコード(参考)】
3F021
3F081
【Fターム(参考)】
3F021AA07
3F021BA02
3F021DA02
3F021DA03
3F081AA18
3F081BC01
3F081BD30
3F081BF06
3F081BF16
3F081CC30
3F081CE12
(57)【要約】
【課題】本開示は、利便性に優れた処理システムを提供する。
【解決手段】処理システム100は、搬送面12を有する搬送本体部13と、搬送面12に沿って移動する可動子11と、可動子11と搬送本体部13との間に作用する磁気を制御する搬送制御部14と、を含む搬送システム10であって、可動子11は、磁気に基づいて搬送面12から離間した浮遊状態で搬送面12に沿って移動する、搬送システム10を備え、搬送制御部14は、磁気を制御することで、可動子11の移動軌道、回転状態、移動スピード、移動時間、及び姿勢のうちの1つ以上を可変的に調整する。
【選択図】
図30
【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送面を有する搬送本体部と、前記搬送面に沿って移動する可動子と、前記可動子と前記搬送本体部との間に作用する磁気を制御する搬送制御部と、を含む搬送システムであって、前記可動子は、前記磁気に基づいて前記搬送面から離間した浮遊状態で前記搬送面に沿って移動する、搬送システムを備え、
前記搬送制御部は、前記磁気を制御することで、前記可動子の移動軌道、回転状態、移動スピード、移動時間、及び姿勢のうちの1つ以上を可変的に調整する、
処理システム。
【請求項2】
前記搬送制御部は、前記磁気を制御することで、少なくとも前記可動子の移動軌道を可変的に調整する、
請求項1に記載の処理システム。
【請求項3】
前記搬送制御部は、前記磁気を制御することで、少なくとも前記可動子の回転状態を可変的に調整する、
請求項1又は2に記載の処理システム。
【請求項4】
前記搬送制御部は、前記磁気を制御することで、少なくとも前記可動子の姿勢を可変的に調整する、
請求項1又は2に記載の処理システム。
【請求項5】
前記搬送面のうちの対応の処理位置に配置される前記可動子に載せられた物品を使った処理を行う処理装置を備え、
前記物品は、袋を保持するための袋保持デバイスを含み、
前記処理装置は、前記袋保持デバイスにより保持される袋の包装関連処理を行う、
請求項1又は2に記載の処理システム。
【請求項6】
前記搬送面のうちの対応の処理位置に配置される前記可動子に載せられた物品を使った処理を行う処理装置を備え、
前記物品は、袋を保持するための袋保持デバイスを含み、
前記処理装置は、前記袋保持デバイスにより保持される袋に対するスパウトの取り付けに関連する処理を行う、
請求項1又は2に記載の処理システム。
【請求項7】
前記搬送面のうちの対応の処理位置に配置される前記可動子に載せられた物品を使った処理を行う処理装置を備え、
前記物品は、スパウトを保持するためのスパウト保持デバイスを含み、
前記処理装置は、前記スパウト保持デバイスにより保持されるスパウトに関連する処理を行う、
請求項1又は2に記載の処理システム。
【請求項8】
前記搬送面のうちの対応の処理位置に配置される前記可動子に載せられた物品を使った処理を行う処理装置を備え、
前記物品は、駆動源デバイス及び動力源デバイスのうちの少なくともいずれかを含み、
前記処理装置は、袋の包装関連処理を行う、
請求項1又は2に記載の処理システム。
【請求項9】
前記搬送面のうちの対応の処理位置に配置される前記可動子に載せられた物品を使った処理を行う処理装置を備え、
前記物品は、駆動源デバイス及び動力源デバイスのうちの少なくともいずれかを含み、
前記処理装置は、袋に対するスパウトの取り付けに関連する処理を行う、
請求項1又は2に記載の処理システム。
【請求項10】
前記可動子に載せられる物品は、缶を含む、
請求項1又は2に記載の処理システム。
【請求項11】
前記可動子に載せられる物品は、容器を含む、
請求項1又は2に記載の処理システム。
【請求項12】
前記可動子のうちの少なくとも1以上に包材を載せる処理装置を備える、
請求項1又は2に記載の処理システム。
【請求項13】
前記可動子のうちの少なくとも1以上に包装物を載せる処理装置を備える、
請求項1又は2に記載の処理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、搬送面に沿って移動する可動子を備える処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、固定ステージと、固定ステージとの間の磁気的作用によりX方向、Y方向及びZ方向に駆動される移動ステージとを有する磁気浮上型ステージを開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
搬送システムでは、コンベアやロボットを使用して既定のルートに沿って搬送体を移動させることが多い。包装システムでは、既定の機械的処理工程を順番通りに実施するのが通常である。
【0005】
しかしながら、何らかのイレギュラーな事象が起きた場合にも通常時と同じ既定のルート及び既定の機械的処理工程に基づいて処理を進めると、イレギュラー対応工程(ドロップアウト工程)において処理を行う必要があり、処理効率が低下する。
【0006】
またリニア技術は、決められたルート上で、速度を変更することが可能である。そのようなリニア技術を駆使したとしても、決められたルートの範囲内で、順番が固定的に定められた移動は可能であるが、個々の可動子の動作状態(例えば回転状態、スピード状態、移動距離、動作時間、移動高さ、及び傾き状態など)を自由度高く変更することはできない。
【0007】
そのため、例えば内部収容空間に内容物が充填されているパウチ(袋)を、可動子に載せつつ当該可動子とともに動作状態から静止状態に変えると、慣性によってパウチから内容物がこぼれることがあった。
【0008】
更に、ユニットの駆動源デバイスや動力源デバイスは従来、所定の場所に固定的に設けられていた。可動子によって搬送されるデバイスをそのような駆動源デバイスや動力源デバイスと協働させるためには、既定のルートに沿って可動子を移動させざるを得なかった。特に、駆動源デバイスや動力源デバイスが入り組んだ場所に設置される場合、使用済みの器具の交換やデバイスのメンテナンスに手間及び時間がかかり、デバイス同士の取り外しが必要な場合には面倒な作業が必要になる。
【0009】
本開示は、利便性に優れた処理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本開示の一態様は、搬送面を有する搬送本体部と、搬送面に沿って移動する可動子と、可動子と搬送本体部との間に作用する磁気を制御する搬送制御部と、を含む搬送システムであって、可動子は、磁気に基づいて搬送面から離間した浮遊状態で搬送面に沿って移動する、搬送システムを備え、搬送制御部は、磁気を制御することで、可動子の移動軌道、回転状態、移動スピード、移動時間、及び姿勢のうちの1つ以上を可変的に調整する、処理システムに関する。
【0011】
搬送制御部は、磁気を制御することで、少なくとも可動子の移動軌道を可変的に調整してもよい。
【0012】
搬送制御部は、磁気を制御することで、少なくとも可動子の回転状態を可変的に調整してもよい。
【0013】
搬送制御部は、磁気を制御することで、少なくとも可動子の姿勢を可変的に調整してもよい。
【0014】
処理システムは、搬送面のうちの対応の処理位置に配置される可動子に載せられた物品を使った処理を行う処理装置を備え、物品は、袋を保持するための袋保持デバイスを含み、処理装置は、袋保持デバイスにより保持される袋の包装関連処理を行ってもよい。
【0015】
処理システムは、搬送面のうちの対応の処理位置に配置される可動子に載せられた物品を使った処理を行う処理装置を備え、物品は、袋を保持するための袋保持デバイスを含み、処理装置は、袋保持デバイスにより保持される袋に対するスパウトの取り付けに関連する処理を行ってもよい。
【0016】
処理システムは、搬送面のうちの対応の処理位置に配置される可動子に載せられた物品を使った処理を行う処理装置を備え、物品は、スパウトを保持するためのスパウト保持デバイスを含み、処理装置は、前記スパウト保持デバイスにより保持されるスパウトに関連する処理を行ってもよい。
【0017】
処理システムは、搬送面のうちの対応の処理位置に配置される可動子に載せられた物品を使った処理を行う処理装置を備え、物品は、駆動源デバイス及び動力源デバイスのうちの少なくともいずれかを含み、処理装置は、袋の包装関連処理を行ってもよい。
【0018】
処理システムは、搬送面のうちの対応の処理位置に配置される可動子に載せられた物品を使った処理を行う処理装置を備え、物品は、駆動源デバイス及び動力源デバイスのうちの少なくともいずれかを含み、処理装置は、袋に対するスパウトの取り付けに関連する処理を行ってもよい。
【0019】
可動子に載せられる物品は、缶を含んでもよい。
【0020】
可動子に載せられる物品は、容器を含んでもよい。
【0021】
処理システムは、可動子のうちの少なくとも1以上に包材を載せる処理装置を備えてもよい。
【0022】
処理システムは、可動子のうちの少なくとも1以上に包装物を載せる処理装置を備えてもよい。
【発明の効果】
【0023】
本開示によれば、利便性に優れた処理システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】
図1は、搬送システムの一例を示す平面図である。
【
図2】
図2は、搬送システムの他の例を示す平面図である。
【
図3】
図3は、搬送システムの他の例を示す平面図である。
【
図4】
図4は、他の例の搬送システムと、処理装置とを備える処理システムの一例を示す平面図である。
【
図5】
図5は、他の例の搬送システムと、処理装置とを備える処理システムの他の例を示す平面図である。
【
図6】
図6は、搬送システムの他の例を示す平面図である。
【
図7】
図7は、搬送システムの他の例を示す平面図である。
【
図8】
図8は、
図7に示す搬送システムを、
図7の矢印VIIIの方向に見た図である。
【
図9】
図9は、可動子ペア及び対応の袋保持デバイスのペアの一例を示す上面図である。
【
図10】
図10は、可動子ペア及び対応の袋保持デバイスのペアの一例を示す正面図である。
【
図11】
図11は、可動子ペア及び対応の袋保持デバイスのペアの動作の他の例を示す正面図である。
【
図12】
図12は、可動子ペア及び対応の袋保持デバイスのペアの動作の他の例を示す正面図である。
【
図13】
図13は、搬送システムの他の例を示す側方図である。
【
図14】
図14は、搬送システムの他の例を示す側方図である。
【
図15】
図15は、可動子の駆動形態の一例を示す平面図である。
【
図16】
図16は、可動子の駆動形態の他の例を示す側方図である。
【
図17】
図17は、可動子の駆動形態の他の例を示す側方図である。
【
図18】
図18は、可動子の駆動形態の他の例を示す側方図である。
【
図19】
図19は、可動子の駆動形態の他の例を示す側方図である。
【
図20】
図20は、処理システムの他の例を示す平面図である。
【
図21】
図21は、処理システムの他の例を示す側方図である。
【
図22】
図22は、処理システムの他の例を示す側方図である。
【
図23】
図23は、処理システムの他の例を示す側方図である。
【
図24】
図24は、可動子の駆動形態の他の例を示す側方図である。
【
図25】
図25は、可動子の駆動形態の他の例を示す側方図である。
【
図26】
図26は、処理システムの他の例を示す側方図である。
【
図27】
図27は、処理システムの他の例を示す側方図である。
【
図28】
図28は、処理システムの他の例を示す平面図である。
【
図29】
図29は、処理システムの他の例を示す平面図である。
【
図30】
図30は、処理システムの他の例を示す平面図である。
【
図31A】
図31Aは、第1変形例に係る可動子及びスパウト保持デバイスを示す図である。
【
図31B】
図31Bは、第1変形例に係る可動子及びスパウト保持デバイスを示す図である。
【
図32A】
図32Aは、第1変形例に係る可動子及びスパウト保持デバイスを示す図である。
【
図32B】
図32Bは、第1変形例に係る可動子及びスパウト保持デバイスを示す図である。
【
図33A】
図33Aは、第2変形例に係る可動子及びスパウト保持デバイスを示す図である。
【
図33B】
図33Bは、第2変形例に係る可動子及びスパウト保持デバイスを示す図である。
【
図34A】
図34Aは、第2変形例に係る可動子及びスパウト保持デバイスを示す図である。
【
図34B】
図34Bは、第2変形例に係る可動子及びスパウト保持デバイスを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、図面を参照して本開示の具体的な実施形態について説明する。各図面における要素間の相対的な大小関係や位置関係は、実際の関係とは必ずしも一致しない。
【0026】
まず可動子を具備する搬送システムの特徴例について説明し、その後、そのような搬送システムを備える処理システムの特徴例について説明する。
【0027】
[搬送システム]
図1は、搬送システム10の一例を示す平面図である。
【0028】
搬送システム10は、水平方向に広がる搬送面12を有する搬送本体部13と、搬送面12に沿って移動する複数の可動子11と、各可動子11と搬送本体部13との間に作用する磁気を制御する搬送制御部14と、を備える。
【0029】
各可動子11は、各可動子11と搬送本体部13との間に作用する磁気に基づいて、搬送面12から離間した浮遊状態で、搬送面12に沿って移動する。搬送制御部14は、各可動子11と搬送本体部13との間に作用する磁気を制御することで、例えば各可動子11の移動軌道、回転状態、移動スピード、移動時間、及び姿勢(例えば傾斜姿勢)のうちの1つ以上を可変的に調整する。以下の説明において、各可動子11の動作(移動及び姿勢変化を含む)は、基本的に、搬送制御部14が各可動子11と搬送本体部13との間に作用する磁気を適宜制御することで行われる。
【0030】
上述の搬送システム10(可動子11、搬送面12及び搬送本体部13)は、任意のハードウエア及びソフトウエアが適宜組み合わされることで実現可能であり、その具体的な物理構成及び制御構成は限定されない。一例として、以下の各公報において教示されるシステムに基づいて、本実施形態の搬送システム10を実現することが可能である:国際公開第2020/109287号;国際公開第2020/260564号;国際公開第2020/260566号;国際公開第2021/185854号;国際公開第2021/185904号;国際公開第2021/198352号;国際公開第2021/209558号;国際公開第2021/239717号;国際公開第2021/239757号;国際公開第2021/250077号;国際公開第2021/255001号;国際公開第2022/106555号;国際公開第2020/109168号;国際公開第2020/109180号;国際公開第2020/109274号;国際公開第2020/109276号。
【0031】
図1に示す第1移動ルートFm1~第4移動ルートFm4に沿って可動子11を移動させることで、可動子11を効率的に移動させることができる。
図1において、第1移動ルートFm1及び第2移動ルートFm2は可動子11の搬送ルート(往路ルート)であり、第3移動ルートFm3及び第4移動ルートFm4は可動子11の戻りルート(復路ルート)である。第2移動ルートFm2に沿って移動する可動子11は、第1移動ルートFm1に沿って移動する可動子11を追い越して移動することができる。同様に、第4移動ルートFm4に沿って移動する可動子11は、第3移動ルートFm3に沿って移動する可動子11を追い越して移動することができる。
【0032】
このように通常ルート(第1移動ルートFm1及び第3移動ルートFm3)に加えて追い越しルート(第2移動ルートFm2及び第4移動ルートFm4)を設定することで、先行する可動子11が通常ルート上のある位置で静止していても、後行の可動子11が追い越しルートを介して先行の可動子11を追い越して移動することができる。すなわち後行の可動子11は、通常ルートから追い越しルートに移動し、追い越しルートを通って先行の可動子11を追い越すことができる。後行の可動子11は、先行の可動子11を追い越した後、追い越しルートから通常ルートに戻ることができる。これにより、限られた範囲の搬送面12において可動子11をスペース効率良く移動させることができ、搬送面12の大型化を抑えることができる。
【0033】
一方、追い越しルートが設定されておらず、すべての可動子が通常ルートに沿って移動する従来システムでは、先行する可動子が通常ルート上のある位置で静止すると、後行の可動子は、先行の可動子が移動を再開するまで、次の目的位置に移動することができない。例えば後行の可動子が、以降の処理が不要な物品(例えば故障や損傷等の不具合を有する物品)を搬送する場合、後行の可動子は、以降の処理が行われる処理ステーションを本来的には通る必要がないが、従来システムでは先行の可動子に続いてそのような処理ステーションを必然的に巡ることになる。このような従来システムでは、可動子の移動効率が必ずしも良好とは言えない。
【0034】
一方、
図1に示す搬送システム10によれば、必要に応じて、後行の可動子11が追い越しルート(第2移動ルートFm2及び第4移動ルートFm4)を通って、先行の可動子11を追い越すことができる。そのため後行の可動子11は、必ずしも先行の可動子11と同じルートを辿る必要はなく、先行の可動子11に関する処理の完了を待たずに他の処理ステーションに移動したり、不要な処理ステーションをスキップしたりすることも可能である。これによりシステム全体として処理(例えば生産)の効率が上がる。
【0035】
図2は、搬送システム10の他の例を示す平面図である。本例の搬送システム10において、搬送ルートとしては、
図1に示す搬送システム10と同様に第1移動ルートFm1及び第2移動ルートFm2が設定されているが、戻りルートとしては、第3移動ルートFm3のみが設定されている。このように、搬送ルート及び戻りルートのうちの一方のみにおいて、通常ルートに加えて追い越しルート(第2移動ルートFm2)が設定されていてもよい。
【0036】
図3は、搬送システム10の他の例を示す平面図である。
【0037】
本例の搬送システム10では、搬送面12の外周に沿った外側ルート(第1移動ルートFm1)と、外側ルートの内側(搬送面12の外周の内側の中央側領域)における内側ルート(第2移動ルートFm2)とが設定される。第1移動ルートFm1(外側ルート)は、例えば各種の処理ステーションを通る通常ルートとして設けられることができる。一方、第2移動ルートFm2(内側ルート)は追い越しルートとして設けられることができる。なお搬送面12の中央側領域に処理ステーションが設けられる場合、第2移動ルートFm2(内側ルート)は通常ルートとしても利用される(後述の
図4参照)。
【0038】
本例の第2移動ルートFm2(内側ルート)は、二次元的な広がりを有する搬送面12の中央側領域に沿ったルートである。そのため本例では、第2移動ルートFm2(内側ルート)を直線的なルートとして設定することもできるが、非直線的なルートとして設定することもでき、追い越しルートが直線的なルートとして設けられる場合(
図1及び
図2参照)に比べ、各可動子11の移動効率を一層向上させうる。
【0039】
図4は、他の例の搬送システム10と、処理装置20とを備える処理システム100の一例を示す平面図である。
【0040】
本例の搬送システム10では、搬送面12の外側だけではなく、搬送面12の内側にも処理装置20が設けられる。そして各可動子11の移動ルートとして、搬送面12の外周に沿った外側ルート(第1移動ルートFm1)と、外側ルートの内側において搬送面12の内側に設けられる処理装置20を囲む内側ルート(第2移動ルートFm2)とが設定される。
【0041】
各可動子11は、第1移動ルートFm1(外側ルート)において、搬送面12の外側に設けられる各処理装置20の処理を受けることができ、第2移動ルートFm2(内側ルート)において、搬送面12の内側に設けられる処理装置20の処理を受けることができる。したがって第1移動ルートFm1(外側ルート)は、搬送面12の外側に設けられる各処理装置20の処理のための通常ルートとして利用され、且つ、搬送面12の内側に設けられる処理装置20の処理のための追い越しルートとして利用可能である。一方、第2移動ルートFm2(内側ルート)は、搬送面12の内側に設けられる処理装置20の処理のための通常ルートとして利用され、且つ、搬送面12の外側に設けられる各処理装置20の処理のための追い越しルートとして利用可能である。
【0042】
なお各処理装置20で行われる処理は限定されない。例えば袋の包装関連処理や袋にスパウトを取り付ける処理が、各処理装置20により行われてもよい。ここで言う包装関連処理に含まれうる具体的な処理は基本的には限定されない。例えば袋保持デバイス30に袋Bを受け渡す処理、袋Bに対する印字処理、袋Bの印字状態を検査する処理、袋Bの口部を開口する処理、袋Bの内側の収容スペースに内容物を入れる処理、袋Bの口部を閉口する処理、袋Bの口部をシールする処理、及び内容物が入れられた状態で口部がシールされた袋B(製品袋)を後段に送り出すために放出する処理が、包装関連処理に含まれうる。
【0043】
図5は、他の例の搬送システム10と、処理装置20とを備える処理システム100の他の例を示す平面図である。
【0044】
本例の搬送システム10では、各可動子11の移動ルートとして単一の移動ルートFmが設定されるが、当該移動ルートFmは、各処理装置20の処理のための位置(処理ステーション)に応じて比較的複雑なルート形状を有する。
【0045】
このように本実施形態の搬送システム10によれば、各可動子11の移動ルートを、搬送面12の範囲内において二次元的に自由に設定することが可能であり、各可動子11の移動ルートを処理装置20の配置に応じて柔軟に最適化できる。
【0046】
図6は、搬送システム10の他の例を示す平面図である。
【0047】
本例の搬送システム10では、袋Bを保持するための袋保持デバイス30(例えばグリッパーデバイス)が各可動子11に固定的に載せられ、対応の可動子11とともに搬送面12に沿って移動させられる。
【0048】
図6に示す例では、2つの可動子11に載せられる2つの袋保持デバイス30がペアを成して、袋Bの両側部を保持しつつ、当該袋Bとともに搬送面12の範囲内で移動する。
【0049】
各可動子11は、搬送面12に沿って二次元的に自由に移動可能である。そのためペアを成す2つの可動子11間の間隔(保持間隔H)は、保持対象の袋Bの両側部間の幅に応じて可変的に変えられる。したがって本例の搬送システム10によれば、幅が異なる複数種類の袋Bであっても、袋保持デバイス30のペアにより適切に保持された状態で搬送可能である。
【0050】
可動子11は対応の袋保持デバイス30及び袋Bとともに、全体として、
図6において矢印で示される移動方向D0に沿って移動するが、ペアを成す2つの可動子11が相互間の相対位置を変えるように移動することで、対応の袋Bの向きを自由に変えられる。
【0051】
例えば、ペアを成す2つの可動子11が
図6において矢印で示される旋回方向D1に移動(旋回)することで、袋Bの向きを90°変えることも可能である。この場合、袋Bの幅方向が移動方向D0と一致するように袋Bを移動方向D0に移動させた後、袋Bを旋回方向D1に旋回させて袋Bの向きを変え、袋Bの幅方向が移動方向D0に対して垂直な状態で袋Bを移動方向D0に移動させることも可能である。これにより例えば、処理ステーションでは、袋Bの厚み方向(幅方向と垂直を成す方向)に並ぶように複数の袋Bを配置する一方で、各袋Bは任意の向き(例えば袋B内の内容物が袋から飛散しにくい向き)で処理ステーション間を移動してもよい。例えば袋B内に内容物を入れる処理を行うステーション(液充填ステーション)において、袋Bの厚み方向に2つの袋Bを並べて、2つのノズルからそれぞれの袋Bに対して同時的に液状内容物を注入することも可能である。この場合、移動方向D0に関する2つの袋Bの占有範囲(占有面積)を小さく抑えた状態で、液充填処理を行うことが可能である。
【0052】
このように本例の搬送システム10は、様々な大きさ(幅)を有する複数タイプの袋Bに対して柔軟に対応することができる。また袋Bの搬送中及び処理中の各々において、各袋Bの向きを適応的に変えることができ、処理効率を向上させることができる。
【0053】
図7は、搬送システム10の他の例を示す平面図である。
図8は、
図7に示す搬送システム10を、
図7の矢印VIIIの方向に見た図である。
図7において、各袋保持デバイス30は透視的に内側の状態が示されている。
図8において、開閉可動部材32の図示は省略されており、また実際には開状態の保持部30a(
図8中の左から1番目の保持部30a及び2番目の保持部30a)は閉状態で図示されている。
【0054】
本例の搬送システム10には、各袋保持デバイス30の保持部30a(把持部)を開閉するための開閉ユニットとして働く固定ガイド31及び開閉可動部材32が設けられている。開閉可動部材32は、搬送制御部14(
図1等参照)の制御下で駆動する駆動装置(図示省略)によって水平方向(押圧/開放方向D3)に往復移動し、固定ガイド31に近づいたり、固定ガイド31から遠ざかったりする。
【0055】
図7に示す固定ガイド31及び開閉可動部材32の各々は、固定ガイド31と開閉可動部材32との間に各袋保持デバイス30を誘導するための呼び込み形状を有する。すなわち各可動子11及び各袋保持デバイス30の移動方向D0に関する固定ガイド31の上流側端部は、移動方向D0に向かって徐々に開閉可動部材32に近づくように傾斜する。同様に、開閉可動部材32の上流側端部は、移動方向D0に向かって徐々に固定ガイド31に近づくように傾斜する。
【0056】
固定ガイド31は、
図8に示すように、高さ方向に離間して配置される上側固定ガイド部及び下側固定ガイド部を有する。移動方向D0に移動する袋保持デバイス30(特に後述の保持本体部30d)は、上側固定ガイド部と下側固定ガイド部との間のスペースを貫通する。
【0057】
各袋保持デバイス30は、保持部30aを開閉自在に支持する保持本体部30dと、保持本体部30dの内部に設けられる開閉弾性デバイス30c(圧縮バネ)と、保持本体部30dによってスライド自在に支持される開閉コントロール部材30bと、を有する。開閉弾性デバイス30cは、保持部30aと開閉コントロール部材30bとの間で圧縮されており、保持本体部30dから開閉コントロール部材30bを突出させるように開閉コントロール部材30bに弾性力を作用させる。
【0058】
開閉コントロール部材30bは、外力が加えられていない状態で、保持本体部30dによって支持されつつ、保持本体部30dから部分的に突出する。開閉コントロール部材30bが固定ガイド31と開閉可動部材32との間に位置づけられ、開閉可動部材32が固定ガイド31が近づけられることで、開閉コントロール部材30bが保持本体部30dの内側スペースに押し込まれる。これにより開閉弾性デバイス30cが圧縮し、開閉弾性デバイス30cから保持部30aに大きな弾性力が作用し、その結果、保持部30aが開く。一方、開閉可動部材32が固定ガイド31から遠ざかって開閉コントロール部材30bから離れることで、開閉コントロール部材30bは開閉弾性デバイス30cから受ける弾性力によって元の位置に戻り、開閉弾性デバイス30cから保持部30aに作用する弾性力が低減し、その結果、保持部30aが閉じる。なお各袋保持デバイス30が固定ガイド31と開閉可動部材32との間に位置しておらず、開閉コントロール部材30bに外力が加えられていない間は、対応の保持部30aは閉じている。
【0059】
開閉可動部材32によって開閉コントロール部材30bが保持本体部30dの内側スペースに押し込まれる際、保持本体部30dの拡径部(すなわち局所的に大きな外径を有する部分)が固定ガイド31(上側固定ガイド部及び下側固定ガイド部)に押し当てられ、保持本体部30d(ひいては袋保持デバイス30全体)の移動が固定ガイド31によって制限される。
【0060】
このように、固定ガイド31及び開閉可動部材32を含む開閉ユニットによって袋保持デバイス30のペアの保持部30aの開動作及び閉動作が行われ、袋保持デバイス30のペアによる袋の保持及び解放を行うことができる。このような固定ガイド31及び開閉可動部材32(開閉ユニット)は、任意の処理ステーションに設置可能である。例えば袋保持デバイス30に袋を供給するステーション、袋保持デバイス30から袋(例えば製品袋や不良袋)を放出するステーション、及び袋の受け渡し(例えば袋の持ち替え)を行う他のステーションに、固定ガイド31及び開閉可動部材32(開閉ユニット)を設置可能である。
【0061】
なお上述の開閉弾性デバイス30cは圧縮バネを含むが、圧縮バネの代わりに他の手段(例えば弾性的な力を保持部30a及び開閉コントロール部材30bに作用させるデバイス)を開閉弾性デバイス30cは含んでもよい。
【0062】
図9は、可動子11ペア及び対応の袋保持デバイス30のペアの一例を示す上面図である。
図10は、可動子11ペア及び対応の袋保持デバイス30のペアの一例を示す正面図である。
【0063】
各可動子11は、処理の内容に応じた様々な駆動形態をとることができる。
【0064】
例えば
図9及び
図10に示すように、ペアを成す2つの可動子11間の距離(間隔)を変えるように各可動子11を移動させることで、それぞれの可動子11に搭載される2つの袋保持デバイス30間の距離を変えることができる。その結果、当該袋保持デバイス30のペアにより保持される袋Bを撓ませたり緊張させたりして、当該袋Bの口部を開閉させることができる。
【0065】
図11は、可動子11のペア及び袋保持デバイス30のペアの動作の他の例を示す正面図である。
図12は、可動子11のペア及び袋保持デバイス30のペアの動作の他の例を示す正面図である。
【0066】
図11及び
図12に示すように各可動子11の姿勢(とくに傾斜姿勢)をコントロールすることによって、袋Bの口部を開閉させることも可能である。例えば
図11に示すように、ペアを成す2つの可動子11の外側端部を内側端部よりも高くすることで、それぞれの可動子11に搭載される2つの袋保持デバイス30の上端部に位置する保持部30aが互いに近づく。その結果、これらの保持部30aによって保持される袋Bの口部を撓ませて開くことができる。一方、
図12に示すように、ペアを成す2つの可動子11の内側端部を外側端部よりも高くすることで、それぞれの可動子11に搭載される2つの袋保持デバイス30の保持部30aが互いから遠ざかる。その結果、これらの保持部30aにより保持される袋Bの口部を緊張させて閉じることができる。
【0067】
上述の
図9~
図12に示すような各可動子11の駆動形態によれば、袋Bの撓み及び緊張の程度及び袋Bの口部の開閉状態(開閉度)を適応的に変えることができる。そのため処理内容に応じて各可動子11を駆動することで、袋Bの撓み及び緊張の程度及び袋Bの口部の開閉状態(開閉度)を処理内容に最適化することができる。
【0068】
例えば袋供給処理において、袋保持デバイス30に袋Bが供給された後、袋保持デバイス30のペアによって保持される当該袋Bを僅かに張るように対応の可動子11のペアを駆動することで、袋Bの位置(特に袋保持デバイス30のペアに対する相対位置)を不動にすることができる。また袋Bの口部の開口処理において、開口装置(例えば吸盤やエアブロー)の動作に合わせて袋Bを撓ませるように対応の可動子11のペアを駆動することで、開口処理の確実性を向上させることができる。
【0069】
また内容物(例えば固形物を含む内容物)を袋Bの内側に導入する処理において、袋Bが撓み状態及び緊張状態に繰り返し置かれるように対応の可動子11のペアを駆動することで、袋Bの内側空間内の内容物を均すことができる。また液体を含む内容物を袋Bの内側に導入する処理において、袋Bの口部を必要十分な程度に開口させるように対応の可動子11のペアを駆動することで、袋Bの内側から外側への液体の飛散を低減できる。また内側に液体が収容されている袋Bを搬送する際に、当該袋Bの口部の開口度が十分に小さくなるように(例えば口部が閉じられるように)対応の可動子11のペアを駆動することで、袋Bの搬送中に袋Bの内側から外側に液体がこぼれ出るのを防げる。
【0070】
また袋Bの内側の気体を外側に排出する脱気処理において、袋Bを緊張させるように対応の可動子11のペアを駆動することで、脱気処理を効果的に行うことができる。またスチームなどのガスを袋Bの内側に導入する処理において、袋Bを緊張させるように対応の可動子11のペアを駆動することで、袋Bの内側から外側に導入ガスが漏れ出るのを低減でき、また袋Bの外側から内側に外気が流入するのを低減できる。また袋Bの口部をシールするシール処理において、口部を緊張させて強く張るように対応の可動子11のペアを駆動することで、シール処理によって口部に皺がもたらされるのを防げる。
【0071】
図13は、搬送システム10の他の例を示す側方図である。
【0072】
本例の搬送システム10では、搬送制御部14(
図1等参照)の制御下で、ペアを成す2つの可動子11が、通常移動時の基準高さ位置よりも高いシール処理高さ位置に配置された状態で、これらの可動子11に搭載される袋保持デバイス30のペアにより保持される袋Bの口部のシール処理が行われる。
【0073】
基準高さ位置からシール処理高さ位置への各可動子11の移動(
図13の矢印D4(上昇方向)参照)は、各可動子11と搬送本体部13との間に作用する磁気の大きさが搬送制御部14によってコントロールされることで行われる。袋Bの高さ位置は袋Bの移動中又は停止中にセンサー34によって検出され、当該検出の結果がセンサー34から搬送制御部14に送られる。搬送制御部14は、袋Bの高さ位置に関する当該フィードバック情報に基づいて各可動子11と搬送本体部13との間に作用する磁気をコントロールし、各可動子11の高さ位置を精度良く調整できる。
【0074】
このようにシール処理の前に袋Bの高さ位置を積極的に変える必要があるため、シール処理ステーションにおいて袋Bの口部のうちの所望高さ位置部分にシール熱板35を押し当てることができ、結果的にシール処理を位置精度良く行うことができる。
【0075】
なお1又は複数のシール処理ステーションにおいて袋Bに対するシール熱板35の押し当て(シール処理)が複数回行われる場合、シール熱板35が押し当てられる袋Bの高さ位置がシール処理間でずらされてもよい。例えば、1回目のシール処理では袋Bの口部のうち袋Bの上端エッジから下方に9mmまでの範囲がシール熱板35によってシールされ、2回目のシール処理では袋Bの口部のうち袋Bの上端エッジから下方に10mmまでの範囲がシール熱板35によってシールされてもよい。またその後に冷却板(図示省略)が袋Bの口部に押し当てられる場合、冷却板が押し当てられる袋Bの範囲(例えば袋Bの口部のうち袋Bの上端エッジから下方に11mmまでの範囲)は、シール熱板35が押し当てられる袋Bの範囲からずらされてもよい。
【0076】
図14は、搬送システム10の他の例を示す側方図である。
【0077】
本例の搬送システム10では、搬送制御部14の制御下で、ペアを成す2つの可動子11が、通常移動時の基準高さ位置よりも高い開口処理高さ位置に配置された状態で、これらの可動子11に搭載される袋保持デバイス30のペアによって保持される袋Bの口部の開口処理が行われる。
【0078】
基準高さ位置から開口処理高さ位置への各可動子11の移動(
図14の矢印D4(上昇方向)参照)は、各可動子11と搬送本体部13との間に作用する磁気の大きさが搬送制御部14によってコントロールされることで行われる。袋Bの高さ位置はセンサー34によって検出される。搬送制御部14は、センサー34からの袋Bの高さ位置に関する当該フィードバック情報に基づいて、各可動子11の高さ位置を精度良く調整できる。
【0079】
このように開口処理の前に袋Bの高さ位置を積極的に変えることで、開口処理ステーションにおいて袋Bのうちの所望高さ位置部分を開口吸盤36(
図14に示す例では、袋Bの口部を吸引支持する上側吸盤及び袋Bの底部を吸引支持する下側吸盤を含む)により吸引支持することができ、結果的に開口処理の確実性を向上できる。
【0080】
上述の
図13及び
図14に示すように、袋Bの処理(シール処理や開口処理等)を行うための袋Bの高さ位置(ひいては対応の袋保持デバイス30のペア及び対応の可動子11のペアの高さ位置)を、それらの処理が行われない間(例えば袋Bを搬送する間)における袋Bの高さ位置(ひいては対応の袋保持デバイス30のペア及び対応の可動子11のペアの高さ位置)とは異ならせてもよい。これにより、たとえ袋保持デバイス30と袋Bとの間の相対的な高さ位置にばらつきがあっても、所望の処理に先立って行われる各可動子11の高さ位置調整処理によってそのような高さ位置のばらつきを吸収することができる。その結果、袋Bが所望の高さ位置に精度良く位置づけられている状態で、当該袋Bに対する各種処理(シール処理や開口処理等)を行うことができる。
【0081】
図15は、可動子11の駆動形態の一例を示す平面図である。本例の可動子11は、搬送制御部14(
図1等参照)の制御下で、回転軸線Axを中心とした回転方向D5及び回転方向D5とは逆方向に回転することで、当該可動子11に載せられる容器C(例えば缶など)に収容されている内容物(図示省略)を撹拌する。回転軸線Axは、可動子11及び容器Cの中心軸線と一致していてもよいし、一致していなくてもよい。
【0082】
図16及び
図17は、可動子11の駆動形態の他の例を示す側方図である。ただし
図16及び
図17には、容器Cの内側の内容物Fの状態が透視的に示されている。本例の可動子11は搬送制御部14(
図1等参照)の制御下で回転方向D5に回転することで、可動子11に載せられる容器C内の内容物Fの盛り上がり状態を変える。
【0083】
一般に、流動性の乏しい内容物Fが容器Cの内側に導入される場合、容器C内の中央部において内容物Fが局所的に盛り上がった状態で容器Cに収容されることが多い。したがって本例のように可動子11を回転させることで、当該可動子11と一緒に回転する容器C内の内容物Fは遠心力を受け、その結果、内容物Fは容器C内の中央部において局所的に窪んだ状態(言い換えれば容器Cの内壁面近傍において局所的に盛り上がった状態)に整形される。これによって容器C内のスペースを有効に活用することができ、ひいては内容物Fの局所的な盛り上がりに起因する容器Cからの内容物Fの溢れ出しを防ぐことができる。
【0084】
図18及び
図19は、可動子11の駆動形態の他の例を示す側方図である。ただし
図18及び
図19には、容器Cの内側の内容物Fの状態が透視的に示されている。本例の可動子11は、搬送制御部14(
図1等参照)の制御下で、縦振動方向D6及び/又は横振動方向D7に振動することで、可動子11に載せられる容器C内の内容物Fが均される。縦振動方向D6は高さ方向に一致し、横振動方向D7は水平方向に一致する。可動子11を縦振動方向D6に振動させる場合、可動子11は様々な傾斜角度の傾斜姿勢を瞬間的にとってもよい。これにより、容器C内のスペースを有効に活用することができ、ひいては内容物Fの局所的な盛り上がりに起因する容器Cからの内容物Fの溢れ出しを防ぐことができる。
【0085】
図20は、処理システム100の他の例を示す平面図である。
【0086】
本例の処理システム100では、可動子11に動力源デバイス22が載せられている。動力源デバイス22は、可動子11とともに搬送面12に沿って二次元的に移動し(
図20に示す移動軌跡T参照)、搬送面12の周囲に設けられる処理装置20の処理装置バッテリー21に接続して、当該処理装置バッテリー21の充電を行うことができる。
【0087】
動力源デバイス22は、処理装置バッテリー21に給電可能な任意のバッテリー形態(例えば太陽電池の形態)をとることができる。
【0088】
なお本例の動力源デバイス22はバッテリー形態をとるが、他の任意の動力源の形態(例えば電力、磁力、弾性力、熱エネルギー及び光源等の形態)をとることが可能であり、例えば無線スイッチ(一例としてボタン動作によって起電力があるため電源不要な無線スイッチ)や磁石が動力源デバイス22に搭載されていてもよい。
【0089】
また
図20には動力源デバイス22が搭載される可動子11が1つのみ図示されているが、複数の動力源デバイス22が複数の可動子11のそれぞれに搭載されて、搬送面12に沿ってお互いに独立して移動可能に設けられてもよい。
【0090】
なお
図20に示す例では、動力源デバイス22が可動子11に載せられて移動可能に設けられるが、処理装置バッテリー21を具備する処理装置20が可動子11に載せられて移動可能に設けられてもよい。例えば、処理装置20を搭載する可動子11が、必要に応じて、搬送面12に沿って移動し、搬送面12の周囲において固定的に設置される動力源デバイス22に当該処理装置20の処理装置バッテリー21を接続させることで、当該処理装置バッテリー21の充電が行われてもよい。
【0091】
図21は、処理システム100の他の例を示す側方図である。
【0092】
本例の処理システム100では、動力源デバイス22が可動子11に載せられるとともに、駆動源デバイス23が他の可動子11に載せられる。動力源デバイス22及び駆動源デバイス23は、対応の可動子11とともに搬送面12に沿って二次元的に移動する。駆動源デバイス23は、搬送面12の範囲内の任意の位置において、処理を行うことができる。動力源デバイス22は、搬送面12の範囲内の任意の位置において、必要に応じて、処理装置(図示省略)や駆動源デバイス23に接続して充電を行うことができる。
【0093】
図22は、処理システム100の他の例を示す側方図である。
【0094】
本例の処理システム100では、処理装置20における処理対象である物品Pが可動子11に載せられるとともに、駆動源デバイス23が他の可動子11に載せられる。
【0095】
本例の駆動源デバイス23は、通信デバイス40、センサー41、電磁弁42及びシリンダー43を含む。通信デバイス40は、搬送制御部14(
図1等参照)や他の任意のデバイスと無線又は有線で通信を行ってデータの送受信を行う。通信デバイス40によって送受信されるデータは限定されない。通信デバイス40は、例えばセンサー41の検出結果を送信したり、電磁弁42及びシリンダー43の駆動信号を受信したりしうる。センサー41は、任意の状態量を検知し、例えば物品Pに関する状態量(例えば物品Pまでの距離等)を検出してもよい。電磁弁42は、通信デバイス40を介して受信された駆動信号に応じて駆動してもよい。シリンダー43は、水平方向への突出量が可変であるロッドを具備し、通信デバイス40を介して受信された駆動信号に応じてロッドの突出量を変えるように駆動してもよい。シリンダー43の具体的な構成や駆動形態は限定されず、例えばエアシリンダー又は電動シリンダーによってシリンダー43を構成可能である。
【0096】
駆動源デバイス23が載せられている可動子11と物品Pが載せられている可動子11とがお互いに近くに配置されている状態で、シリンダー43のロッドの突出量が増大させられることで、当該ロッドによって物品Pが可動子11から処理装置20に押されて移動される。
【0097】
図23は、処理システム100の他の例を示す側方図である。
【0098】
本例の処理システム100においても、処理装置における処理対象である物品Pが可動子11に載せられるとともに、駆動源デバイス23が他の可動子11に載せられる。ただし駆動源デバイス23は、サーボ機構44及び撮像デバイス45を含む。サーボ機構44は、撮像デバイス45を高さ方向に移動させて、任意の高さ位置に位置づける。撮像デバイス45は、サーボ機構44によって位置づけられる任意の高さ位置において、撮像を行う。
【0099】
例えばサーボ機構44によって撮像デバイス45を高さ方向に移動させながら、撮像デバイス45によって物品Pの撮影画像(静止画及び/又は動画)を取得してもよい。このようにして取得される物品Pの撮影画像を解析することで、物品Pの状態(例えば物品P(ワーク等)における傷等の異常の有無)を検査することも可能である。
【0100】
なお本例の駆動源デバイス23は、上述の
図22に示される通信デバイス40、センサー41、電磁弁42、シリンダー43及び/又は他の任意のデバイスを含んでいてもよい。
【0101】
図24は、可動子11の駆動形態の他の例を示す側方図である。
【0102】
本例では、可動子11を縦振動方向D6に振動させることで(特に可動子11の瞬間的な傾斜姿勢を変えつつ可動子11を振動させることで)、可動子11間で物品Pが移送される。また、上述の
図22に示すシリンダー43のロッドのような押出部材(図示省略)によって、ある可動子11上の物品Pを他の可動子11上に押し出すことで、可動子11間で物品Pが移送されてもよい。可動子11間の物品Pの移送がスムーズに行われるように、各可動子11の位置及び姿勢が調整されることが好ましい。例えば、移送元可動子11Aの高さ位置(特に移送元可動子11Aのうち、移送先可動子11B側の端部の物品載置面(上面)の高さ位置)を、移送先可動子11Bの高さ位置(特に移送先可動子11Bのうち、移送元可動子11A側の端部の物品載置面(上面)の高さ位置)よりも高くした状態で、物品Pを移送元可動子11Aから物品移動方向D8に移動させてもよい。また可動子11(移送元可動子11A及び/又は移送先可動子11B)の物品載置面が物品移動方向D8に向かって徐々に下がるように可動子11を傾斜させつつ縦振動方向D6に振動させることで、物品Pを移送元可動子11Aから物品移動方向D8に移動させて、移送先可動子11Bに載せてもよい。
【0103】
図25は、可動子11の駆動形態の他の例を示す側方図である。
【0104】
本例では、可動子11を縦振動方向D6に振動させることで(特に可動子11の瞬間的な傾斜姿勢を変えつつ可動子11を振動させることで)、可動子11から処理装置20(例えば計量装置等)に物品Pが移送される。また、上述の
図22に示すシリンダー43のロッドのような押出部材(図示省略)によって、可動子11上の物品Pを処理装置20上に押し出すことで、可動子11から処理装置20に物品Pが移送されてもよい。物品Pの移送がスムーズに行われるように、各可動子11の位置及び姿勢が調整されることが好ましい。例えば、可動子11の物品載置面(上面)の高さ位置(特に可動子11のうち、処理装置20側の端部の物品載置面の高さ位置)を、処理装置20の物品載置面(上面)の高さ位置(特に処理装置20のうち、可動子11側の端部の物品載置面の高さ位置)よりも高くした状態で、物品Pを可動子11から物品移動方向D8に移動させて処理装置20に載せてもよい。また可動子11の物品載置面が物品移動方向D8に向かって徐々に下がるように可動子11を傾斜させつつ縦振動方向D6に振動させることで、物品Pを可動子11から物品移動方向D8に移動させて処理装置20に載せてもよい。
【0105】
可動子11から処理装置20への物品Pの移送は、専ら可動子11の振動のみを利用して行われてもよいし、可動子11及び処理装置20の双方の振動を利用して行われてもよい。例えば、最初は可動子11のみを振動させることで可動子11から処理装置20に向けて物品Pを移動させ、物品Pの一部が処理装置20に載せられた状態で処理装置20を高さ方向(処理装置振動方向D9)に振動させることで(特に処理装置20の瞬間的な傾斜姿勢を変えつつ処理装置20を振動させることで)、物品Pの全体を処理装置20に載せるように物品Pを移動させてもよい。この場合、物品Pの一部が処理装置20に載せられた後、物品Pの全体が処理装置20に載せられる前に、可動子11は退避方向D10に移動して、物品Pから離れてもよい。これにより可動子11は、物品Pの処理装置20への移送が完了する前に、次の処理のために移動することができ、可動子11の利用効率を向上させることができる。なお
図25に示す退避方向D10によれば、可動子11は、下方に移動した後に水平方向に移動することで物品Pから離間するが、退避方向D10の具体的な方向(すなわち可動子11の具体的な退避挙動)は限定されない。
【0106】
なお上述の
図22に示すシリンダー43のロッドのような押出部材(図示省略)によって可動子11から物品Pを移動させる場合、ホールド機構(図示省略)によって可動子11をホールドしている状態で、可動子11上から物品Pを移動させてもよい。この場合、摩擦等に起因して可動子11が物品Pから力を受けても、可動子11の意図しない移動を防ぐことができ、可動子11から物品Pを適切に移動させることができる。
【0107】
図26は、処理システム100の他の例を示す側方図である。
【0108】
本例の処理システム100では、可動子11が移送デバイス48によって移送され、処理装置(図示省略)等に移動させられる。
図26に示すように可動子11には何も載せられていなくてもよいし、任意の物品(図示省略)が載せられていてもよい。
【0109】
本例では移送デバイス48が、図示しない制御デバイスの制御下でデバイス移動方向D12に移動され、移送デバイス48の一部が可動子11と搬送面12との間のスペースに挿入される。この状態で、搬送制御部14が可動子11と搬送本体部13との間に作用する磁気をコントロールすることで、当該可動子11が降下され(
図26の上昇/降下方向D11参照)、移送デバイス48に載せられる。その後、可動子11が載せられている状態の移送デバイス48がデバイス移動方向D12に移動され、移送デバイス48から処理装置(図示省略)に可動子11が受け渡される。
【0110】
可動子11を処理装置から搬送面12の上方に戻す際には、上述の一連の処理ステップが逆の順序で行われる。
【0111】
なお移送デバイス48の移動を制御する制御デバイスは、搬送制御部14であってもよいし、搬送制御部14とは異なるデバイスであってもよい。当該制御デバイス及び搬送制御部14が互いに異なるデバイスの場合、当該制御デバイスと搬送制御部14との間で信号の送受信が行われて情報が共有されてもよく、それぞれの制御対象(すなわち移送デバイス48及び各可動子11)が協働するように当該制御デバイス及び搬送制御部14が構成されてもよい。
【0112】
図27は、処理システム100の他の例を示す側方図である。
【0113】
本例の処理システム100においても、可動子11が移送デバイス48によって移送され、処理装置(図示省略)等に移動させられる。可動子11には何も載せられていなくてもよいし、任意の物品(図示省略)が載せられていてもよい。
【0114】
本例では移送デバイス48が、図示しない制御デバイスの制御下でデバイス移動方向D12に移動され、移送デバイス48の少なくとも一部が搬送面12の上方に位置づけられる。この状態で、搬送制御部14の制御下で可動子11が水平移動方向D13に移動させられ、移送デバイス48の一部を介して搬送面12とは反対側の位置に、可動子11が位置づけられる。すなわち可動子11と搬送面12との間に移送デバイス48の一部が位置づけられる。その後、搬送制御部14の制御下で可動子11に作用する磁気をコントロールすることで、当該可動子11が降下され(
図27の上昇/降下方向D11参照)、移送デバイス48に載せられる。その後、可動子11が載せられている状態の移送デバイス48がデバイス移動方向D12に移動され、移送デバイス48から処理装置(図示省略)に可動子11が受け渡される。
【0115】
なお可動子11を処理装置から搬送面12の上方に戻す際には、上述の一連の処理ステップが逆の順序で行われる。
【0116】
上述の
図26及び
図27に示す例において、可動子11が移送デバイス48上にスムーズに載せられるように、可動子11の位置(例えば高さ位置)や姿勢(例えば傾斜姿勢)が適宜調整されてもよい。また可動子11をホールドするための機構として、可動子11を挟むデバイスや吸着及び/又は磁力を利用したデバイスが設けられてもよい。
【0117】
[処理システム]
【0118】
図28は、処理システム100の他の例を示す平面図である。
【0119】
本例の搬送面12は、2つの長辺及び2つの短辺により区画される矩形形状を有する。搬送面12の一方の長辺に沿って、袋の包装関連処理を行う複数の処理装置が設置される。具体的には、袋供給装置111、印字装置112、印字検査装置113、開口装置114、固形物投入装置115、液体充填装置116、脱気装置117、第1シール加熱装置118、第2シール加熱装置119、シール冷却装置120及び良品放出装置121が、当該複数の処理装置として設置される。また搬送面12の他方の長辺に沿って、不良袋B0を排出するための複数(3つ)の不良袋排出装置122が、処理装置として設置される。
図28に示す例では、印字検査装置113、開口装置114及び第2シール加熱装置119のそれぞれと搬送面12(搬送本体部13)を介して反対側に、これらの3つの不良袋排出装置122が位置づけられる。
【0120】
各可動子11には、袋保持デバイス30(
図6~
図14参照)が固定的に載せられている。袋Bは、ペアを成す2つの可動子11に搭載される袋保持デバイス30のペアによって保持され、対応の可動子11のペアとともに搬送面12に沿って移動する。
図28に示す例において袋Bとともに移動する可動子11のペアは、通常の処理が行われている間、搬送面12の外周に沿った矩形の通常移動ルートFrに沿って移動する。一方、一連の処理の途中で袋Bにおいて異常が検出された場合、当該袋Bとともに移動する可動子11のペアは、通常移動ルートFrから外れた不良排出ルートFqに沿って移動し、不良袋排出装置122が設けられる不良袋排出ステーションに移動する。
【0121】
可動子11の各ペアは、搬送面12の一方の長辺に沿った通常移動ルートFr及び他方の長辺に沿った通常移動ルートFrのうちの一方から他方に移動する際、水平面に沿って180度回転させてもよい。この場合、可動子11のペアに搭載される袋保持デバイス30のペアの向きが水平面に沿って180度変わるように調整され、各処理ステーションにおいて袋保持デバイス30のペア及び袋Bが処理装置の処理に適した位置(処理装置に近い位置)に配置される。
【0122】
可動子11の各ペアは、通常移動ルートFr上に設けられる複数の処理ステーションにおいて間欠的に順次停止する。具体的には、袋供給ステーション、印字ステーション、印字検査ステーション、開口ステーション、固形物投入ステーション、液体充填ステーション、脱気ステーション、第1シール加熱ステーション、第2シール加熱ステーション、シール冷却ステーション及び良品放出ステーションにおいて、可動子11の各ペアは間欠的に停止する。
【0123】
各処理ステーションでは、可動子11の各ペアが間欠的に停止している間に、対応の処理装置によって各種処理が行われる。袋供給ステーションでは、袋供給装置111が、袋供給ステーションに位置する可動子11のペアに搭載される袋保持デバイス30のペアに袋B(
図28に示す例では空の平袋)を提供する。印字ステーションでは、印字装置112が、袋Bに対して印字処理を行って、各種情報の印字表示を当該袋Bに付与する。
【0124】
印字検査ステーションでは、印字検査装置113が袋Bの印字状態を検査し、当該検査の結果が印字検査装置113から搬送制御部14に送信される。検査の結果、袋Bの印字状態に異常が見られない場合には、可動子11のペア、袋保持デバイス30のペア及び袋Bは、搬送制御部14の制御下で、通常移動ルートFrに沿って後段の処理ステーション(開口ステーション)に移動する。一方、検査の結果、袋Bの印字状態に異常が発見された場合、該当の袋Bとともに対応の可動子11のペア及び袋保持デバイス30のペアは、搬送制御部14の制御下で、不良排出ルートFqに沿って対応の不良袋排出ステーションに移動する。
【0125】
開口ステーションでは、開口装置114が袋Bの口部を開く。開口ステーションには、袋Bの口部の開口状態を検出する開口検出デバイスが設けられており、当該検出の結果が開口検出デバイスから搬送制御部14に送信される。開口検出デバイスは、専用のセンサー等のデバイス(図示省略)により構成されてもよいし、開口装置114が開口検出デバイスを兼ねてもよい。袋Bの口部が適切に開かれていることを開口検出デバイスの検出結果が示す場合、可動子11のペア、袋保持デバイス30のペア及び袋Bは、搬送制御部14の制御下で、通常移動ルートFrに沿って後段の処理ステーション(固形物投入ステーション)に移動する。一方、袋Bの口部が適切に開かれていないことを開口検出デバイスの検出結果が示す場合、該当の袋Bとともに対応の可動子11のペア及び袋保持デバイス30のペアは、搬送制御部14の制御下で、不良排出ルートFqに沿って対応の不良袋排出ステーションに移動する。
【0126】
固形物投入ステーションでは、固形物投入装置115が開口状態の口部を介して袋B内に固形物(内容物)を投入する。液体充填ステーションでは、液体充填装置116が開口状態の口部を介して袋B内に液体(内容物)を注入する。脱気ステーションでは、脱気装置117が開口状態の口部を介して袋B内の気体(例えば空気などの酸素を含む気体)を袋B外に排出する。脱気装置117は、例えばスチーム(水蒸気)を袋B内に導入することで袋B内から空気等を追い出してもよい。
【0127】
第1シール加熱ステーション及び第2シール加熱ステーションでは、それぞれ第1シール加熱装置118及び第2シール加熱装置119が袋Bの口部をヒートシールする。
【0128】
第2シール加熱ステーションには、袋Bのシール状態を検出するシール状態検出デバイスが設けられており、当該検出の結果がシール状態検出デバイスから搬送制御部14に送信される。シール状態検出デバイスは、専用のセンサー等のデバイス(図示省略)により構成されてもよいし、第2シール加熱装置119がシール状態検出デバイスを兼ねてもよい。袋Bの口部が適切にシールされたことをシール状態検出デバイスの検出結果が示す場合、可動子11のペア、袋保持デバイス30のペア及び袋Bは、搬送制御部14の制御下で、通常移動ルートFrに沿って後段の処理ステーション(シール冷却装ステーション)に移動する。一方、袋Bの口部が適切にシールされていないことをシール状態検出デバイスの検出結果が示す場合、該当の袋Bとともに対応の可動子11のペア及び袋保持デバイス30のペアは、搬送制御部14の制御下で、不良排出ルートFqに沿って対応の不良袋排出ステーションに移動する。
【0129】
シール冷却ステーションでは、シール冷却装置120が袋Bの口部(特にヒートシール部)を冷却する。良品放出ステーションでは、良品放出装置121が製品袋B1(すなわち内容物を収容し且つシールされた口部を有する袋B)を可動子11のペアから受け取って、後段に送る。
【0130】
可動子11のペアは、良品放出ステーションで袋B(製品袋B1)を放出した後、搬送面12の一方の短辺に沿った通常移動ルートFr上を移動した後、搬送面12の他方の長辺に沿った通常移動ルートFr上を移動する。
【0131】
上述の3つの不良袋排出ステーションは、搬送面12の他方の長辺に沿った通常移動ルートFr上に位置する。各不良袋排出ステーションでは、対応の不良袋排出装置122が、袋保持デバイス30のペアから不良袋B0(すなわち異常が検出された袋B)を回収する。可動子11のペア及び対応の袋保持デバイス30のペアは、不良袋排出ステーションで袋B(不良袋B0)を放出した後すぐに、搬送面12の他方の長辺に沿った通常移動ルートFr上を移動する。
【0132】
可動子11の各ペアは、搬送面12の他方の長辺に沿った通常移動ルートFrの終点から、搬送面12の他方の短辺に沿った通常移動ルートFr上を移動した後、再び、搬送面12の一方の長辺に沿った通常移動ルートFr上を移動する。
【0133】
図29は、処理システム100の他の例を示す平面図である。
【0134】
本例の処理システム100は、上述の
図28に示す処理システム100と同じ包装関連処理を行う処理装置を備えるが、袋供給装置111~良品放出装置121は搬送面12の外周に沿って設置され、不良袋排出装置122は搬送面12の内側に設置される。
【0135】
図29に示す搬送面12は、四角形状(特に正方形状)の外周及び四角形状(特に正方形状)の内周を有する四角環形状を有する。袋供給装置111~良品放出装置121は、搬送面12よりも外側の領域に設けられ、不良袋排出装置122は、搬送面12によって囲まれる内側領域に設けられる。
【0136】
したがって袋供給ステーション、印字ステーション、印字検査ステーション、開口ステーション、固形物投入ステーション、液体充填ステーション、脱気ステーション、第1シール加熱ステーション、第2シール加熱ステーション、シール冷却ステーション及び良品放出ステーションは、搬送面12の外周領域(特に対応の処理装置(袋供給装置111~良品放出装置121)の近くの領域)に順次設けられる。したがって各可動子11が通常の処理が行われている間移動する通常移動ルートFr(すなわち袋供給ステーション~良品放出ステーションを通る通常移動ルートFr)は、搬送面12の外周に沿った四角形状(特に正方形状)の循環ルートである。
【0137】
一方、不良袋排出ステーションは、搬送面12の内周領域(特に不良袋排出装置122の近くの領域)に設けられる。
図29に示す例では、搬送面12の内周を形成する4辺のうちの3辺のそれぞれの近くに3つの不良袋排出ステーションが設けられる。これらの3つの不良袋排出ステーションには、印字検査装置113が設置される印字検査ステーション、開口装置114が設置される開口ステーション、及び第2シール加熱装置119が設置される第2シール加熱ステーションのそれぞれから、不良袋B0を保持する袋保持デバイス30のペア及び可動子11のペアが不良排出ルートFqを通って到達する。
【0138】
このように本例の3つの不良袋排出ステーションは、通常移動ルートFr上には位置しない。したがって可動子11のペアは、不良袋排出ステーションで袋B(不良袋B0)を放出した後、復帰ルートFpを通って通常移動ルートFrに戻る。
図29に示す復帰ルートFpは、搬送面12の内周に沿ったルートを含み、良品放出装置121が設けられる良品放出ステーションと袋供給装置111が設けられる袋供給ステーションとの間の空きステーションで終端する。不良袋排出ステーションで袋B(不良袋B0)を放出した可動子11のペア及び袋保持デバイス30のペアは、復帰ルートFpを通って空きステーションに移動した後、通常移動ルートFrに沿って当該空きステーションから袋供給ステーションに移動する。
【0139】
可動子11の各ペアは、各処理ステーションにおいて袋保持デバイス30のペア及び袋Bが処理装置の処理に適した位置(処理装置に近い位置)に配置されるように、適宜回転する。例えば、通常移動ルートFr及び復帰ルートFpのうちルート方向が90度変わる部分(通常移動ルートFrの4つのコーナー部分;搬送面12の内周に沿った復帰ルートFpの3つのコーナー部分;
図29において符号「R90」参照)において、可動子11の各ペアは水平面に沿って90度回転する。また復帰ルートFpのうち空きステーションに向かってルート方向が変わる部分(
図29において符号「R180」参照)及び不良排出ルートFqにおいて、可動子11の各ペアは水平面に沿って180度回転する。
【0140】
図30は、処理システム100の他の例を示す平面図である。
【0141】
上述の
図28及び
図29に示す処理システム100は包装関連処理を行うシステムとして設けられるが、
図30に示す処理システム100は、袋Bに対するスパウトの取り付けに関連する処理を行うシステムとして設けられる。
【0142】
本例の搬送面12は、2つの長辺及び2つの短辺により区画される矩形形状を有する。搬送面12の一方の長辺に沿って、袋供給装置131、開口装置132、スパウト供給仮止め装置133、第1スパウトシール加熱装置134、第2スパウトシール加熱装置135、スパウトシール冷却装置136、スパウトシール検査装置137及び良品放出装置138が、処理装置として設置される。また搬送面12の他方の長辺に沿って、不良袋B0を排出するための複数(2つ)の不良袋排出装置122が処理装置として設置される。
図30に示す例では、開口装置132及びスパウトシール検査装置137のそれぞれと搬送面12(搬送本体部13)を介して反対側に、これらの2つの不良袋排出装置122が位置づけられる。
【0143】
各可動子11には、袋保持デバイス30が固定的に載せられている。袋Bは、ペアを成す2つの可動子11に搭載される袋保持デバイス30のペアによって保持され、対応の可動子11のペアとともに搬送面12に沿って移動する。
図30に示す例において可動子11の各ペアは、通常の処理が行われている間、搬送面12の外周に沿った矩形の通常移動ルートFrに沿って移動する。一方、一連の処理の途中で袋Bにおいて異常が検出された場合、当該袋Bとともに移動する可動子11のペア及び袋保持デバイス30のペアは、通常移動ルートFrから外れた不良排出ルートFqに沿って移動し、不良袋排出装置122が設けられる不良袋排出ステーションに移動する。
【0144】
可動子11の各ペアは、搬送面12の一方の長辺に沿った通常移動ルートFr及び他方の長辺に沿った通常移動ルートFrのうちの一方から他方に移動する際、水平面に沿って180度回転する。これにより各処理ステーションにおいて、袋保持デバイス30のペア及び袋Bが処理装置の処理に適した位置(処理装置に近い位置)に配置される。
【0145】
可動子11の各ペアは、通常移動ルートFr上に設けられる複数の処理ステーションにおいて間欠的に順次停止する。具体的には、袋供給ステーション、開口ステーション、スパウト供給仮止めステーション、第1スパウトシール加熱ステーション、第2スパウトシール加熱ステーション、スパウトシール冷却ステーション、スパウトシール検査ステーション及び良品放出ステーションにおいて、可動子11の各ペアは間欠的に停止する。
【0146】
各処理ステーションでは、可動子11の各ペアが間欠的に停止している間に、対応の処理装置によって各種処理が行われる。袋供給ステーションでは、袋供給装置111が、袋供給ステーションに位置する可動子11のペアに搭載される袋保持デバイス30のペアに袋B(
図30に示す例では空の平袋)を提供する。
【0147】
開口ステーションでは、開口装置132が袋Bの口部を開く。開口ステーションには、袋Bの口部の開口状態を検出する開口検出デバイスが設けられており、当該検出の結果が開口検出デバイスから搬送制御部14に送信される。袋Bの口部が適切に開かれていることを開口検出デバイスの検出結果が示す場合には、可動子11のペア、袋保持デバイス30のペア及び袋Bは、搬送制御部14の制御下で、通常移動ルートFrに沿って後段の処理ステーション(スパウト供給仮止めステーション)に移動する。一方、開口検出デバイスの検出結果が袋Bの口部が適切に開かれていないことを示す場合、該当の袋Bとともに対応の可動子11のペア及び袋保持デバイス30のペアは、搬送制御部14の制御下で、不良排出ルートFqに沿って対応の不良袋排出ステーションに移動する。
【0148】
スパウト供給仮止めステーションでは、スパウト供給仮止め装置133がスパウトを準備し、当該スパウトを袋Bの開口状態の口部に仮止めすることでスパウト付袋B2を作る。第1スパウトシール加熱ステーション及び第2スパウトシール加熱ステーションでは、それぞれ第1スパウトシール加熱装置134及び第2スパウトシール加熱装置135がスパウト付袋B2(特にスパウトと袋の口部との間)のヒートシールを行う。スパウトシール冷却ステーションでは、スパウトシール冷却装置136がスパウト付袋B2(特にスパウト及び袋Bの口部のヒートシール部)を冷却する。
【0149】
スパウトシール検査ステーションでは、スパウトシール検査装置137がスパウト付袋B2のシール状態を検査し、当該検査の結果がスパウトシール検査装置137から搬送制御部14(
図1等参照)に送信される。検査の結果、スパウト付袋B2のシール状態に異常が見られない場合には、可動子11のペア、袋保持デバイス30のペア及び袋Bは、搬送制御部14の制御下で、通常移動ルートFrに沿って後段の処理ステーション(良品放出ステーション)に移動する。一方、検査の結果、スパウト付袋B2のシール状態に異常が発見された場合、該当の袋Bとともに対応の可動子11のペア及び袋保持デバイス30のペアは、搬送制御部14の制御下で、不良排出ルートFqに沿って対応の不良袋排出ステーションに移動する。
【0150】
良品放出ステーションでは、良品放出装置138がスパウト付袋B2を可動子11のペアから受け取って、後段に送る。
【0151】
可動子11のペアは、良品放出ステーションでスパウト付袋B2を放出した後、搬送面12の一方の短辺に沿った通常移動ルートFr上を移動した後、搬送面12の他方の長辺に沿った通常移動ルートFr上を移動する。
【0152】
上述の2つの不良袋排出ステーションは、搬送面12の他方の長辺に沿った通常移動ルートFr上に位置する。各不良袋排出ステーションでは、対応の不良袋排出装置122が不良袋B0(すなわち異常が検出された袋B及びスパウト付袋B2)を対応の袋保持デバイス30のペアから回収する。可動子11のペア及び対応の袋保持デバイス30のペアは、不良袋排出ステーションで袋B(不良袋B0)を放出した後すぐに、搬送面12の他方の長辺に沿った通常移動ルートFr上を移動する。
【0153】
可動子11の各ペアは、搬送面12の他方の長辺に沿った通常移動ルートFrの終点から、搬送面12の他方の短辺に沿った通常移動ルートFr上を移動した後、再び、搬送面12の一方の長辺に沿った通常移動ルートFr上を移動する。
【0154】
[第1変形例]
図31A~
図32Bは、第1変形例に係る可動子11及びスパウト保持デバイス141を示す図である。
【0155】
本変形例において、搬送面12のうちの対応の処理位置に配置される可動子11に載せられた物品を使った処理を行う処理装置は、当該物品に含まれるスパウト保持デバイス141により保持されるスパウトSに関連する処理を行い、とりわけ袋BにスパウトSを取り付ける処理を行う。
【0156】
図31A(平面図)及び
図31B(側方図)に示す例において、可動子11にはスパウト保持デバイス141が上述の物品として搭載されており、スパウト保持デバイス141は可動子11とともに搬送面12に沿って移動する。
【0157】
スパウト保持デバイス141は、スパウトSを保持及び解放可能に設けられる。
図31A及び
図31Bに示す例では、スパウトSのうち上方フランジ部S1と下方フランジ部S2との間に設けられる小径部(中空のストロー部S4の一部)であって、上方フランジ部S1及び下方フランジ部S2よりも小さな外径を有する小径部が、スパウト保持デバイス141のスパウト保持部142によって保持される。スパウト保持部142は切れ込み溝を有し、スパウトSの小径部が切れ込み溝に進入することでスパウトSがスパウト保持部142によって保持され、スパウトSの小径部が切れ込み溝から撤退することでスパウトSがスパウト保持部142から解放(放出)される。スパウト保持部142の切れ込み溝の幅は、スパウトSの小径部の外径よりも大きく、円環状の上方フランジ部S1の直径よりも小さい。
【0158】
なお
図31A及び
図31Bに示すスパウトSは、取付シール予定部S3及びストロー部S4を有する。ストロー部S4の一部及び取付シール予定部S3は、下方フランジ部S2を介して、上方フランジ部S1とは反対側に設けられる。取付シール予定部S3は、舟形の平面視形状を有し、袋Bに対して取り付けられる部位である。ストロー部S4は、上方フランジ部S1、下方フランジ部S2及び取付シール予定部S3を貫通するように延在し、上述の小径部を構成する。
【0159】
本変形例の可動子11及びスパウト保持デバイス141は、袋BにスパウトSを取り付ける搬送システム(スパウトシール機)に応用可能である。そのようなスパウトシール機は、例えば搬送面12に設けられる以下の処理ステーションを順次巡り、それぞれの処理ステーションにおいて以下の工程を実施することが可能である。
【0160】
第1処理ステーションでは、スパウト供給デバイスによって、可動子11に載せられるスパウト保持デバイス141にスパウトSが供給され、スパウト保持部142によって当該スパウトSが保持される(第1工程;
図31A及び
図31B参照)。
【0161】
その後の第2処理ステーションでは、袋供給デバイスによって袋Bが準備され、当該袋Bの口部が開口デバイスによって開口され、袋配置デバイスによってスパウトSのうちの下方フランジ部S2よりも下方の部分(取付シール予定部S3及びストロー部S4)が袋Bの内側に配置され、その後、仮シールデバイスによって袋B(特に口部)にスパウトS(特に取付シール予定部S3)が加熱溶着(仮シール)される(第2工程;
図32A(平面図)及び
図32B(側方図)参照)。
【0162】
その後の第3処理ステーションでは、第1シールデバイスによって、袋B(特に口部)にスパウトS(特に取付シール予定部S3)が加熱溶着(第1シール)される(第3工程)。その後の第4処理ステーションでは、第2シールデバイスによって、袋B(特に口部)にスパウトS(特に取付シール予定部S3)が加熱溶着(第2シール)される(第4工程)。
【0163】
その後の第5処理ステーションでは、シール部冷却デバイスによって、スパウトSが取り付けられた袋B(すなわちスパウト付袋B2)の取り付け部分(シール部分)が冷却される(第5工程)。その後の第6処理ステーションでは、シール部検査デバイスによって、スパウト付袋B2の取り付け部分(シール部分)の検査が行われる(第6工程)。その後の第7処理ステーションでは、放出デバイスによって、スパウト付袋B2がスパウトシール機から放出される(第7工程)。
【0164】
[第2変形例]
図33A~
図34Bは、第2変形例に係る可動子11及びスパウト保持デバイス141を示す図である。
【0165】
本変形例においても、搬送面12のうちの対応の処理位置に配置される可動子11に載せられた物品を使った処理を行う処理装置は、当該物品に含まれるスパウト保持デバイス141により保持されるスパウトSに関連する処理を行い、とりわけスパウト保持デバイス141により保持されるスパウトSを具備するスパウト付袋B2の内側に内容物を導入する処理及び当該スパウトSにキャップVを取り付ける処理を行う。
【0166】
【0167】
本変形例において可動子11に搭載されるスパウト保持デバイス141は、スパウト付袋B2が具備するスパウトSを保持及び解放することができるように設けられる。
【0168】
本変形例の可動子11及びスパウト保持デバイス141は、スパウト付袋B2の内側に内容物を導入する搬送システム(スパウト付袋充填包装機)に応用可能である。そのようなスパウト付袋充填包装機は、例えば搬送面12に設けられる以下の処理ステーションを順次巡り、それぞれの処理ステーションにおいて以下の工程を実施することが可能である。
【0169】
第1処理ステーションでは、スパウト付袋供給デバイスによって、可動子11に載せられるスパウト保持デバイス141にスパウト付袋B2が供給され、スパウト保持部142によって当該スパウト付袋B2(特にスパウトS)が保持される(第1工程;
図33A及び
図33B参照)。
【0170】
その後の第2処理ステーションでは、印字デバイスによって、スパウト付袋B2に対する印字が行われる(第2工程)。
【0171】
その後の第3処理ステーションでは、印字検査デバイスによって、スパウト付袋B2における印字の状態が検査される(第3工程)。
【0172】
その後の第4処理ステーションでは、内容物充填デバイスによって、スパウト付袋B2の内側に内容物(例えば液状物)が充填される(第4工程)。
【0173】
その後の第5処理ステーションでは、キャッピングデバイスによって、スパウト付袋B2のスパウトS(特にストロー部S4のうち袋Bの外側に露出する先端部)にキャップVが取り付けられ、製品袋が作られる(第5工程;
図34A(平面図)及び
図34B(側方図)参照)。
【0174】
その後の第6処理ステーションでは、キャッピング検査デバイスによって、スパウト付袋B2に取り付けられたキャップVの状態が検査される(第6工程)。
【0175】
その後の第7処理ステーションでは、放出デバイスによって、製品袋(すなわちキャップVが取り付けられたスパウト付袋B2)がスパウトシール機から放出される(第7工程)。
【0176】
[他の変形例]
可動子11に載せられる物品は限定されない。例えば搬送面12(搬送本体部13)の周囲に設置される処理装置は、少なくとも1以上の包材(袋など)や少なくとも1以上の包装物(包材及び内容物を含む)を、1以上の可動子11の上に直接的又は間接的に載せてもよい。
【0177】
可動子11に載せられる物品の可動子11に対する取付方法は限定されず、物品は、可動子11に対して直接的に取り付けられてもよいし、治具やカバー等の取付具を介して可動子11に取り付けられてもよい。上述の
図1等に示す可動子11は概ね四角形の平面形状を有するが、可動子11に載せられる物品の形状及びサイズが可動子11の平面形状及び平面サイズに対応していない場合(例えば物品が丸形の平面形状を有する場合)も想定されうる。そのような場合でも、治具やカバー等の取付具によって、物品を可動子11に対して適切な状態で取り付けることが可能である。
【0178】
本明細書で開示されている実施形態及び変形例はすべての点で例示に過ぎず限定的には解釈されないことに留意されるべきである。上述の実施形態及び変形例は、添付の特許請求の範囲及びその趣旨を逸脱することなく、様々な形態での省略、置換及び変更が可能である。例えば上述の実施形態及び変形例が全体的に又は部分的に組み合わされてもよく、また上述以外の実施形態が上述の実施形態又は変形例と組み合わされてもよい。また、本明細書に記載された本開示の効果は例示に過ぎず、その他の効果がもたらされてもよい。
【0179】
上述の技術的思想を具現化する技術的カテゴリーは限定されない。例えば上述の装置を製造する方法或いは使用する方法に含まれる1又は複数の手順(ステップ)をコンピュータに実行させるためのコンピュータプログラムによって、上述の技術的思想が具現化されてもよい。またそのようなコンピュータプログラムが記録されたコンピュータが読み取り可能な非一時的(non-transitory)な記録媒体によって、上述の技術的思想が具現化されてもよい。
【0180】
以上説明したように上述の搬送システム10及び処理システム100によれば、システムレイアウトを自由度高く設計することが可能であり、システム使用者の要望に応じたシステムレイアウトを容易に実現できる。また不良袋などの不良物品を搬送する可動子11を通常の既定ルートから外れるように移動させて、ドロップアウトステーション(排出/放出ステーション)に向けて移動させることができる。
【0181】
可動子11の高さ位置及び傾斜姿勢を変えることによって、可動子11とともに移動する袋や缶などの容器の状態を適応的に変えることができる。また可動子11の高さ位置、傾斜姿勢及び回転状態などを変えることによって、可動子11に載せられる容器に収容される内容物の状態を適応的に変えることができる。これにより容器からの内容物の飛散や漏れ出しを防いだり、容器内の内容物を撹拌したり、タッピングのように容器内の内容物を均したり(すなわち容器内における内容物の高さ位置を揃えたり)することが可能である。
【0182】
また搬送システム10及び処理システム100は様々な物品に対して柔軟に対応することが可能であり、移送対象の物品の仕様や種類が変更されても、搬送システム10及び処理システム100の基本構成を変更しなくて済むことが多い。したがってシステム使用者の要望に合わせて搬送システム10及び処理システム100の具体的な仕様を提案することが可能である。また処理の順序に縛られずに一連の処理を実施することが可能な搬送システム10及び処理システム100を実現できる。
【0183】
また動力源デバイス22及び駆動源デバイス23を可動子11に搭載することによって、動力源デバイス22及び駆動源デバイス23が可動的に設けられ、システム構成を簡素化したり、各種デバイスの交換やメンテナンスの作業を容易にしたりする。
【0184】
[付記]
本開示は、以下の構成をとることもできる。
【0185】
[項目1]
搬送面を有する搬送本体部と、前記搬送面に沿って移動する可動子と、前記可動子と前記搬送本体部との間に作用する磁気を制御する搬送制御部と、を含む搬送システムであって、前記可動子は、前記磁気に基づいて前記搬送面から離間した浮遊状態で前記搬送面に沿って移動する、搬送システムを備え、
前記搬送制御部は、前記磁気を制御することで、前記可動子の移動軌道、回転状態、移動スピード、移動時間、及び姿勢のうちの1つ以上を可変的に調整する、
処理システム。
【0186】
[項目2]
前記搬送制御部は、前記磁気を制御することで、少なくとも前記可動子の移動軌道を可変的に調整する、
項目1に記載の処理システム。
【0187】
[項目3]
前記搬送制御部は、前記磁気を制御することで、少なくとも前記可動子の回転状態を可変的に調整する、
項目1又は2に記載の処理システム。
【0188】
[項目4]
前記搬送制御部は、前記磁気を制御することで、少なくとも前記可動子の姿勢を可変的に調整する、
項目1~3のいずれかに記載の処理システム。
【0189】
[項目5]
前記搬送面のうちの対応の処理位置に配置される前記可動子に載せられた物品を使った処理を行う処理装置を備え、
前記物品は、袋を保持するための袋保持デバイスを含み、
前記処理装置は、前記袋保持デバイスにより保持される袋の包装関連処理を行う、
項目1~4のいずれかに記載の処理システム。
【0190】
[項目6]
前記搬送面のうちの対応の処理位置に配置される前記可動子に載せられた物品を使った処理を行う処理装置を備え、
前記物品は、袋を保持するための袋保持デバイスを含み、
前記処理装置は、前記袋保持デバイスにより保持される袋に対するスパウトの取り付けに関連する処理を行う、
項目1~4のいずれかに記載の処理システム。
【0191】
[項目7]
前記搬送面のうちの対応の処理位置に配置される前記可動子に載せられた物品を使った処理を行う処理装置を備え、
前記物品は、スパウトを保持するためのスパウト保持デバイスを含み、
前記処理装置は、前記スパウト保持デバイスにより保持されるスパウトの袋に対する取り付けに関連する処理を行う、
項目1~4のいずれかに記載の処理システム。
【0192】
[項目8]
前記搬送面のうちの対応の処理位置に配置される前記可動子に載せられた物品を使った処理を行う処理装置を備え、
前記物品は、駆動源デバイス及び動力源デバイスのうちの少なくともいずれかを含み、
前記処理装置は、袋の包装関連処理を行う、
項目1~4のいずれかに記載の処理システム。
【0193】
[項目98]
前記搬送面のうちの対応の処理位置に配置される前記可動子に載せられた物品を使った処理を行う処理装置を備え、
前記物品は、駆動源デバイス及び動力源デバイスのうちの少なくともいずれかを含み、
前記処理装置は、袋に対するスパウトの取り付けに関連する処理を行う、
項目1~4のいずれかに記載の処理システム。
【0194】
[項目10]
前記可動子に載せられる物品は、缶を含む、
項目1~9のいずれかに記載の処理システム。
【0195】
[項目11]
前記可動子に載せられる物品は、容器を含む、
項目1~9のいずれかに記載の処理システム。
【0196】
[項目12]
前記可動子のうちの少なくとも1以上に包材を載せる処理装置を備える、
項目1~11のいずれかに記載の処理システム。
【0197】
[項目13]
前記可動子のうちの少なくとも1以上に包装物を載せる処理装置を備える、
項目1~12のいずれかに記載の処理システム。
【符号の説明】
【0198】
10 搬送システム、11 可動子、11A 移送元可動子、11B 移送先可動子、12 搬送面、13 搬送本体部、14 搬送制御部、20 処理装置、21 処理装置バッテリー、22 動力源デバイス、23 駆動源デバイス、30 袋保持デバイス、30a 保持部、30b 開閉コントロール部材、30c 開閉弾性デバイス、30d 保持本体部、31 固定ガイド、32 開閉可動部材、34 センサー、35 シール熱板、36 開口吸盤、40 通信デバイス、41 センサー、42 電磁弁、43 シリンダー、44 サーボ機構、45 撮像デバイス、48 移送デバイス、100 処理システム、111 袋供給装置、112 印字装置、113 印字検査装置、114 開口装置、115 固形物投入装置、116 液体充填装置、117 脱気装置、118 第1シール加熱装置、119 第2シール加熱装置、120 シール冷却装置、121 良品放出装置、122 不良袋排出装置、131 袋供給装置、132 開口装置、133 スパウト供給仮止め装置、134 第1スパウトシール加熱装置、135 第2スパウトシール加熱装置、136 スパウトシール冷却装置、137 スパウトシール検査装置、138 良品放出装置、141 スパウト保持デバイス、142 スパウト保持部、Ax 回転軸線、B 袋、B0 不良袋、B1 製品袋、B2 スパウト付袋、C 容器、D0 移動方向、D1 旋回方向、D3 押圧/開放方向、D4 上昇方向、D5 回転方向、D6 縦振動方向、D7 横振動方向、D8 物品移動方向、D9 処理装置振動方向、D10 退避方向、D11 上昇/降下方向、D12 デバイス移動方向、D13 水平移動方向、F 内容物、Fm 移動ルート、Fm1 第1移動ルート、Fm2 第2移動ルート、Fm3 第3移動ルート、Fm4 第4移動ルート、Fp 復帰ルート、Fq 不良排出ルート、Fr 通常移動ルート、H 保持間隔、P 物品、S スパウト、S1 上方フランジ部、S2 下方フランジ部、S3 取付シール予定部、S4 ストロー部、T 移動軌跡、V キャップ