(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024027991
(43)【公開日】2024-03-01
(54)【発明の名称】遊技機
(51)【国際特許分類】
A63F 5/04 20060101AFI20240222BHJP
【FI】
A63F5/04 611Z
A63F5/04 603A
A63F5/04 620
A63F5/04 650
A63F5/04 691B
A63F5/04 605B
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022131264
(22)【出願日】2022-08-19
(71)【出願人】
【識別番号】503106797
【氏名又は名称】株式会社エンターライズ
(74)【代理人】
【識別番号】100212923
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 貴雄
(72)【発明者】
【氏名】南 宗樹
【テーマコード(参考)】
2C182
2C518
【Fターム(参考)】
2C182CA10
2C182CB03
2C182CB04
2C182CD11
2C182CD34
2C182CE01
2C182DA22
2C182DA25
2C182EA13
2C182EB11
2C518CA03
2C518CA06
2C518EB16
2C518FA15
(57)【要約】
【課題】不適正な状態となっていることを簡易な方法で判定することのできる遊技機を提供する。
【解決手段】遊技機は、遊技機での遊技の進行を制御することが可能な遊技制御部と、遊技に関する情報を報知することが可能な出力部と、遊技の進行に関する情報を用いて、遊技機が不適正状態となっているか否かを判定する適正判定を実行することが可能な判定部と、を備え、不適正状態は、遊技機において適正に遊技がなされていない状態、所定条件が満たされた状態の遊技が実行されていない状態、および、遊技機が不正に確保されている状態、の少なくともいずれか1つであり、出力部は、適正判定の結果に応じた処理を実行することが可能である。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技機での遊技の進行を制御することが可能な遊技制御部と、
前記遊技に関する情報を報知することが可能な出力部と、
前記遊技の進行に関する情報を用いて、前記遊技機が不適正状態となっているか否かを判定する適正判定を実行することが可能な判定部と、
を備え、
前記不適正状態は、前記遊技機において適正に遊技がなされていない状態、前記遊技機において所定条件が満たされた状態の遊技が実行されていない状態、および、前記遊技機が不正に確保されている状態、の少なくともいずれか1つであり、
前記出力部は、前記適正判定の結果に応じた処理を実行することが可能である、
遊技機。
【請求項2】
前記出力部は、
前記適正判定の結果、前記遊技機が前記不適正状態であると判定された場合には、前記遊技機は空き台状態であることを報知および/または示唆する空き台表示処理を実行することが可能であり、
前記適正判定の結果、前記遊技機が前記不適正状態ではないと判定された場合には、次に前記適正判定が実行されるための条件が満たされるまで、前記空き台表示処理を実行しないことが可能である、
請求項1に記載の遊技機。
【請求項3】
単位数量の価値媒体に関する情報が検出されたことを契機として、前記遊技を実行するために必要な遊技価値に関する情報を生成することが可能な価値管理部、
を備え、
前記判定部は、前記遊技の進行に関する情報としての、前記単位数量あたりの前記遊技価値のベット数量、前記単位数量あたりの消化遊技数、単位時間あたりの遊技消化速度、単位時間あたりの前記遊技価値の払い出し数量とベット数量との差数量、および、単位時間あたりの前記遊技価値の変動量、の少なくともいずれか1つに関する適正判定条件に基づいて、前記適正判定を実行することが可能である、
請求項1に記載の遊技機。
【請求項4】
前記判定部は、
前記遊技機が非遊技状態となった以降に、前記遊技機が前記非遊技状態となってからの時間である非遊技時間に基づく経過時間を計測することが可能であり、かつ、
前記非遊技状態から、前記遊技機において遊技が実行されている遊技実行状態へ、と遷移した以降においても、前記経過時間の計測を継続することが可能である、
請求項3に記載の遊技機。
【請求項5】
前記判定部は、前記適正判定条件が満たされた場合には、前記経過時間の計測を停止するとともに前記経過時間を初期化することが可能である、
請求項4に記載の遊技機。
【請求項6】
前記遊技制御部は、一般遊技状態と、前記一般遊技状態よりも有利な特別遊技状態と、を含む遊技状態のいずれかで遊技を進行させることが可能であり、かつ、
前記判定部は、前記特別遊技状態の実行中は、前記適正判定を実行することができる状態となっても、前記適正判定を実行しないことが可能である、
請求項1に記載の遊技機。
【請求項7】
前記判定部は、非遊技状態となった以降に、前記非遊技状態となってからの時間である非遊技時間に基づく経過時間を計測することが可能であり、
前記出力部は、
前記適正判定の結果、前記遊技機が前記不適正状態であると判定された場合には、前記遊技機は空き台状態であることを報知および/または示唆する空き台表示処理を実行することが可能であり、かつ、
前記空き台表示処理を実行する前に、前記非遊技時間が第1所定時間となった場合に、前記非遊技状態のまま経過した時間に関する離席時間を報知および/または示唆する離席時間表示処理を実行することが可能である、
請求項3に記載の遊技機。
【請求項8】
前記出力部は、前記非遊技時間が前記第1所定時間よりも短い第2所定時間となった場合に、前記遊技が実行されているときに出力される遊技演出とは異なる演出を行う特定演出処理を実行することが可能である、
請求項7に記載の遊技機。
【請求項9】
前記出力部は、前記離席時間表示処理、および、前記特定演出処理、を含む非遊技演出処理、を実行している間に、前記遊技機が所定操作を受けつけた場合には、前記非遊技演出処理を停止することが可能である、
請求項8に記載の遊技機。
【請求項10】
前記遊技機と接続された、または、前記遊技機内に設置された遊技価値記録手段、から前記遊技を行うために必要な遊技価値に関する情報を受信することが可能であり、かつ、前記遊技が進行することで変動する前記遊技価値を管理することが可能な価値管理部と、
所定操作に基づいて、前記遊技価値に関する情報を前記価値管理部から前記遊技価値記録手段へ転送することを指示することが可能な転送指示部と、
をさらに備える、
請求項1に記載の遊技機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、店舗内でメダルの貸し出しを受けて、そのメダルを投入して遊技を進行させる遊技機が知られている(特許文献1参照)。
【0003】
このような遊技機においては、以下のような問題が発生する場合がある。例えば、ユーザによっては、そのユーザが確保(キープ)している遊技機(遊技機A)で遊技を楽しむ意思はあるものの、例えば同一店舗内の他の遊技機(遊技機B)もあわせて確保しており、遊技機Bでの遊技を終えてから、遊技機Aでの遊技をしようとする場合がある。
【0004】
このようなユーザは、例えば、遊技機Aの下部に設けられた下皿にペットボトルなどを置く、遊技機Aにメダルを投入したままにする、あるいは、遊技機Aの回転リールを回転させたままにする、などにより遊技機Aを確保する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このように、遊技機が不正に確保されていると、本当に遊技を楽しみたいと考えている他のユーザは、その遊技機を使用することができない。
【0007】
このような場合に、現状では、不正に確保された遊技機を店舗スタッフが見つけると、それ以降の不正確保時間の計測を開始する。その後、店内呼び出しがなされたにもかかわらず該当するユーザが現れない場合には、店舗スタッフは、その遊技機を他のユーザのために開放する。
【0008】
しかしながら、このようなアナログな対応では、すべての遊技機の不正確保に対応することが難しい。
【0009】
本発明の目的は、不適正な状態となっていることを簡易な方法で判定することのできる遊技機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、
遊技機での遊技の進行を制御することが可能な遊技制御部と、
前記遊技に関する情報を報知することが可能な出力部と、
前記遊技の進行に関する情報を用いて、前記遊技機が不適正状態となっているか否かを判定する適正判定を実行することが可能な判定部と、
を備え、
前記不適正状態は、前記遊技機において適正に遊技がなされていない状態、前記遊技機において所定条件が満たされた状態の遊技が実行されていない状態、および、前記遊技機が不正に確保されている状態、の少なくともいずれか1つであり、
前記出力部は、前記適正判定の結果に応じた処理を実行することが可能である、
遊技機である。
【0011】
また、本発明では、
前記出力部は、
前記適正判定の結果、前記遊技機が前記不適正状態であると判定された場合には、前記遊技機は空き台状態であることを報知および/または示唆する空き台表示処理を実行することが可能であり、
前記適正判定の結果、前記遊技機が前記不適正状態ではないと判定された場合には、次に前記適正判定が実行されるための条件が満たされるまで、前記空き台表示処理を実行しないことが可能である、
ことができる。
【0012】
また、本発明では、
単位数量の価値媒体に関する情報が検出されたことを契機として、前記遊技を実行するために必要な遊技価値に関する情報を生成することが可能な価値管理部、
を備え、
前記判定部は、前記遊技の進行に関する情報としての、前記単位数量あたりの前記遊技価値のベット数量、前記単位数量あたりの消化遊技数、単位時間あたりの遊技消化速度、単位時間あたりの前記遊技価値の払い出し数量とベット数量との差数量、および、単位時間あたりの前記遊技価値の変動量、の少なくともいずれか1つに関する適正判定条件に基づいて、前記適正判定を実行することが可能である、
ことができる。
【0013】
また、本発明では、
前記判定部は、
前記遊技機が非遊技状態となった以降に、前記遊技機が前記非遊技状態となってからの時間である非遊技時間に基づく経過時間を計測することが可能であり、かつ、
前記非遊技状態から、前記遊技機において遊技が実行されている遊技実行状態へ、と遷移した以降においても、前記経過時間の計測を継続することが可能である、
ことができる。
【0014】
また、本発明では、
前記判定部は、前記適正判定条件が満たされた場合には、前記経過時間の計測を停止するとともに前記経過時間を初期化することが可能である、
ことができる。
【0015】
また、本発明では、
前記遊技制御部は、一般遊技状態と、前記一般遊技状態よりも有利な特別遊技状態と、を含む遊技状態のいずれかで遊技を進行させることが可能であり、かつ、
前記判定部は、前記特別遊技状態の実行中は、前記適正判定を実行することができる状態となっても、前記適正判定を実行しないことが可能である、
ことができる。
【0016】
また、本発明では、
前記判定部は、非遊技状態となった以降に、前記非遊技状態となってからの時間である非遊技時間に基づく経過時間を計測することが可能であり、
前記出力部は、
前記適正判定の結果、前記遊技機が前記不適正状態であると判定された場合には、前記遊技機は空き台状態であることを報知および/または示唆する空き台表示処理を実行することが可能であり、かつ、
前記空き台表示処理を実行する前に、前記非遊技時間が第1所定時間となった場合に、前記非遊技状態のまま経過した時間に関する離席時間を報知および/または示唆する離席時間表示処理を実行することが可能である、
ことができる。
【0017】
また、本発明では、
前記出力部は、前記非遊技時間が前記第1所定時間よりも短い第2所定時間となった場合に、前記遊技が実行されているときに出力される遊技演出とは異なる演出を行う特定演出処理を実行することが可能である、
ことができる。
【0018】
また、本発明では、
前記出力部は、前記離席時間表示処理、および、前記特定演出処理、を含む非遊技演出処理、を実行している間に、前記遊技機が所定操作を受けつけた場合には、前記非遊技演出処理を停止することが可能である、
ことができる。
【0019】
また、本発明では、
前記遊技機と接続された、または、前記遊技機内に設置された遊技価値記録手段、から前記遊技を行うために必要な遊技価値に関する情報を受信することが可能であり、かつ、前記遊技が進行することで変動する前記遊技価値を管理することが可能な価値管理部と、
所定操作に基づいて、前記遊技価値に関する情報を前記価値管理部から前記遊技価値記録手段へ転送することを指示することが可能な転送指示部と、
をさらに備える、
ことができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、不適正な状態となっていることを簡易な方法で判定することのできる遊技機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図2】スロットマシンの構成を模式的に示すブロック図である。
【
図3】回転リールの図柄の配列の一例を示す図である。
【
図5】第1遊技状態における状態遷移を説明する図である。
【
図6】第2遊技状態における状態遷移を説明する図である。
【
図7】レンジ(MY)および有利区間差枚数を説明する図である。
【
図8】サポート処理が実行されている状態を説明する図である。
【
図9】スロットマシンの動作処理の流れを示すフロー図である。
【
図10】貸出処理および転送処理の流れを示すフロー図である。
【
図11】適正判定処理の流れを示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
[第1実施形態]
本発明の遊技機の実施形態にかかるスロットマシン1について、
図1~
図11を参照して説明する。なお、以下に説明される実施形態は、本発明の一例にすぎず、本発明の要旨を変更しない範囲で本発明の実施形態を適宜変更することができる。
【0023】
本実施形態におけるスロットマシン1は、
図1のとおり、現実物品であるメダルを用いることなく遊技をすることができるメダルレス機である。以下では、まず、このスロットマシン1に接続されるメダルユニット7について説明する。
【0024】
<メダルユニット7の構成>
メダルユニット7は、
図2に示すとおり、スロットマシン1の外部においてスロットマシン1と通信可能に接続されている。
【0025】
また、メダルユニット7は、その内部に、現実物品のメダルに代わる電子データとしてのメダルデータを記憶するカード70を格納することができる。
【0026】
また、メダルユニット7は、主に、以下に述べるメダルデータのスロットマシン1への転送に伴うメダル貸出処理と、逆にスロットマシン1からのメダルデータの転送に伴うカード70の排出処理とを行うことができる。
【0027】
また、メダルユニット7は、スロットマシン1の媒体管理部613との間で必要なデータを送受信することで、スロットマシン1内のメダルデータの管理を行うことができる。
【0028】
また、メダルユニット7は、貸出ボタン71を備えている。操作者によってメダルユニット7に紙幣が投入され(メダルユニット7にて生成された投入信号がスロットマシン1へと送信され)、その後、操作者によって貸出ボタン71が押下されることにより、貸出信号が生成されて媒体管理部613へと送信される。
【0029】
なお、本明細書において、「操作者」は、遊技を実行しているユーザである遊技者、遊技を終了したユーザ、店舗スタッフのすべてを意味するが、必要に応じて、個別に「店舗スタッフ」、「遊技者」などと表記する場合がある。
【0030】
また、メダルユニット7は、スロットマシン1の計数ボタン44が押下されることにより、転送信号およびメダルデータをスロットマシン1から受信する。
【0031】
メダルユニット7は、カード70にメダルデータが入っていない場合には、受信したメダルデータをカード70に書き込む処理を実行し、すでにカード70にメダルデータが書き込まれている場合には、カード70のメダルデータを更新する処理および上書きする処理を実行する。
【0032】
メダルユニット7は、図示しないホールコンピュータ(店舗に設置されるコンピュータ)、ユニット管理コンピュータ(メダルユニット7を管理するコンピュータ)などと通信可能に接続されている。各スロットマシン1に接続されるメダルユニット7は、ホールコンピュータなどに、例えば各スロットマシン1に貯留(クレジット)されているメダルデータなどを送信することができる。これにより、ホールコンピュータなどで、スロットマシン1のメダルデータを管理することができる。
【0033】
メダルユニット7は、操作者により排出ボタン72が押下されると、格納されていたカード70を外部に排出する。また、カード70が外部に排出される際、メダルユニット7は、カードの排出信号を生成し、その排出信号をスロットマシン1に送信することができてもよい。
【0034】
<スロットマシン1の構成>
本実施形態のスロットマシン1は、前述のとおり、現実物品であるメダルを用いることなく遊技を進行させることのできるメダルレス機である。本実施形態のスロットマシン1では、現実物品であるメダルに代えて、電子データとしてのメダルデータを用いて遊技が行われる。なお、以下では、説明の便宜上、「メダルデータ」を単に「メダル」と表現する場合もある。
【0035】
図1に示すように、スロットマシン1は筐体10を備える。筐体10の正面には、前面扉100が設けられている。
【0036】
前面扉100の中央部分には、透明性のリール窓200が設けられている。操作者は、このリール窓200から、後述する複数の回転リール20それぞれの表面に表示された複数の図柄を視認することができる。
【0037】
リール窓200の上方には、遊技中の各種の演出を行うための液晶画面3、スピーカ101、および電飾部102が設けられている。
【0038】
液晶画面3は、遊技者の遊技中に各種の演出動画(演出画面)を表示する。
【0039】
スピーカ101は、所定のBGM(バックグラウンドミュージック)、SE(サウンドエフェクト)および音声を出力する。
【0040】
電飾部102は、LEDなどで構成されており、例えば期待度の高い演出画面が表示されたり、役が入賞したりした場合に、所定のパターンで点灯または消灯する。
【0041】
リール窓200の下方には、操作部4が設けられている。操作部4は、複数のストップスイッチ40、ベットスイッチ41、レバー42、デジタルカウンタ43、計数ボタン44、およびキャンセルボタン45などを含む。
【0042】
操作部4の各スイッチ付近には、遊技者の操作を検知して制御部6に操作信号を出力するセンサが設けられている。
【0043】
各ストップスイッチ40は、各回転リール20に対応して設けられている。各ストップスイッチ40は、回転リール20が回転している間に、各回転リール20の回転を停止させるための操作を受けつける。そして、ストップスイッチ40aが押下されると回転リール20aの回転が停止し、ストップスイッチ40bが押下されると回転リール20bの回転が停止し、ストップスイッチ40cが押下されると回転リール40cの回転が停止する。
【0044】
ベットスイッチ41は、操作者がメダルをベットする際に用いられる。なお、クレジットされているメダル(メダルデータ)およびベットされたメダル(メダルデータ)の数量は、スロットマシン1(後述の媒体管理部613)で管理される。
【0045】
レバー42は、各回転リール20を回転させるための操作を受けつけるスタートスイッチとして機能する。
【0046】
デジタルカウンタ43には、メダルのクレジット数、メダルの払い出し枚数(獲得枚数)、メダルのベット数などがデジタル表記される。
【0047】
計数ボタン44は、メダルデータを後述の媒体管理部613からメダルユニット7へ転送するための、操作者による操作を受けつけることができる。計数ボタン44が操作者の操作を受けつけたとき、計数ボタン44にて転送信号が生成される。
【0048】
キャンセルボタン45は、ベットされている状態のメダルデータをベットされていない状態とするための、操作者による操作を受けつけることができる。キャンセルボタン45が操作者の操作を受けつけたとき、キャンセルボタン45にてキャンセル信号が生成される。その後、キャンセル信号を受信した媒体管理部613は、ベットされている状態のメダルデータをベットされていない状態として管理する。
【0049】
また、スロットマシン1は、
図2に示すとおり、回転リールユニット2、および制御部6を備える。回転リールユニット2、および制御部6は、スロットマシン1の主電源をオンおよびオフする電源装置(図示略)などとともに、筐体10の内部に配置されている。
【0050】
回転リールユニット2は、
図1および
図2に示すとおり、3つの回転リール20と、3つのステッピングモータ21とを備える。回転リールユニット2は、筐体10の内部において、リール窓200の位置に対応して配置されている。
【0051】
各回転リール20の表面には、例えば、
図3に示すような図柄(シンボル)が配置されている。各回転リール20の回転が停止したときに後述の有効ラインLに表示される図柄の組み合わせが、あらかじめ定められた図柄の組み合わせであるか否かを後述の遊技結果判定部612が判定することで、遊技が進行する。
【0052】
ステッピングモータ21は、各回転リール20に対応して設けられており、対応する回転リール20を駆動させる。
【0053】
ステッピングモータ21は、回転リール20の回転中にストップスイッチ40が操作されてから190m秒以内に、操作されたストップスイッチ40に対応する回転リール20の回転を停止させる。ステッピングモータ21は、504ステップで1回転する。これにより、回転リール20は、80回転/分の速度で回転する。すなわち、190m秒以内で進めるステップは、127ステップである。
【0054】
これらの回転リール20およびステッピングモータ21は、後述する回転リール制御部611によって、その回転および停止が制御される。
【0055】
<操作者による遊技の流れ>
操作者は、ベットスイッチ41を操作することによりクレジットされているメダルを使用して、スロットマシン1にメダルをベットする。スロットマシン1に所定数量のメダルがベットされると、有効ラインLが有効化される。その後、レバー42の操作、すなわち遊技を開始することが可能となる。
【0056】
図1は、有効ラインLが、右下がりラインの1本で構成されている例である。有効ラインLとは、役の入賞を決定するための仮想ラインである。本実施形態では、MAX BET(マックスベット)となる3枚ベット(3枚掛け)をした場合に、1本のラインLが有効化される。
【0057】
以下では、ベル、スイカなどのメダルの払い出しのある役が有効ラインL上に揃うことのみならず、メダルの払い出しがなされないリプレイ、チャンス目、ボーナスなどの特定の役に対応する図柄が有効ラインL上に揃うことも、「入賞」と表現する。本実施形態における特定の役には、以下に述べる特別役も含まれる。
【0058】
本実施形態における1ゲーム(1遊技)とは、遊技者がベットスイッチ41、レバー42およびストップスイッチ40などを操作して、内部抽せん、入賞判定処理、メダルデータの増減処理を含む、所定の遊技結果を得る一連の動作をいう。
【0059】
具体的には、遊技が開始可能な状態でレバー42が操作(レバーオン)されると、当せんフラグを決定する内部抽せんが行われるとともに、各回転リール20の回転が開始する。この状態で、ストップスイッチ40のいずれかが操作されると、その操作されたストップスイッチ40に対応する回転リール20が停止する。すべての回転リール20が停止し、有効ラインLに揃った(入賞した)図柄の組み合わせ(役)に応じて、所定枚数のメダルが払い出される。これにより、1ゲームが終了する。
【0060】
なお、これらの所定の遊技結果が得られるまでの遊技の進行に関する情報の少なくとも一部(例えば、ベットスイッチ41が押下されたこと、レバー42が操作されたこと、ストップスイッチ40が押下されたこと、内部抽せんが実行されたこと、所定役が当せんしたこと、回転リールが回転したこと、クレジット数が増減したことなど)は、後述する判定部618へと送信される。
【0061】
<遊技状態について>
遊技中は、
図4に示すように遊技区間の種類が設定され、
図5および
図6に示すように複数の遊技状態の中から1つの遊技状態が設定される。設定された遊技区間および遊技状態に基づいて、内部抽せんおよび所定の抽せんが行われる。
【0062】
遊技状態には、第1遊技状態(
図5参照)および第2遊技状態(
図6参照)が含まれる。なお、第1遊技状態および第2遊技状態は、排他的に成立する遊技状態ではなく、説明の便宜上区別するために分類した状態にすぎない。
【0063】
第1遊技状態は、
図5に示すように、特別役非持ち越し状態と、ボーナス内部状態(特別役持ち越し状態)と、特別役実施状態とを含む。特別役非持ち越し状態とボーナス内部状態と特別役実施状態とは、排他的に成立する関係にある。
【0064】
特別役非持ち越し状態とは、内部抽せんにより特別役(例えば、第一種特別役物にかかる役物連続作動装置である1種BB)が当せんしておらず、かつ、特別役の入賞が持ち越されていない状態をいう。特別役非持ち越し状態は、例えば、後述の設定値が変更された場合、RAMが初期化された場合(所定条件の一例)、特別役実施状態において所定枚数を超えてメダルが払い出された場合などに設定される。
【0065】
ボーナス内部状態は、内部抽せんにより特別役が当せんしているものの、その特別役の入賞が持ち越されている状態をいう。つまり、ボーナス内部状態とは、内部抽せんによって、特別役のフラグが当せんしたが、その特別役を示す図柄が有効ラインL上に揃っておらず、特別役が未だに入賞していない状態をいう。なお、1種BBの入賞が持ち越された状態にある場合には、さらなる1種BBの抽せんは行われない。
【0066】
特別役実施状態は、内部抽せんにより当せんした特別役が入賞した状態であって、所定枚数を超えるメダルの払い出しがなされていない状態をいう。
【0067】
スロットマシン1の遊技中、操作者は、持ち越された状態にある特別役を入賞させることなく、第1遊技状態が特別役持ち越し状態のままで遊技を続行する。
【0068】
本実施形態におけるスロットマシン1は、AT(アシストタイム)機である。AT機は、例えば店舗開店前に店舗スタッフの操作により第1遊技状態がボーナス内部状態に設定されて、この状態のもとで操作者が第2遊技状態を遷移させて遊技を楽しむものである。
【0069】
第2遊技状態は、
図6に示すように、一般遊技状態またはAT(特別遊技状態の一例)のいずれかをとる。第2遊技状態において一般遊技状態とATとは、排他的に成立する関係にある。
【0070】
一般遊技状態とは、AT(ATの当せん確率が高いチャンスゾーンであるCZがある場合は、CZを含む)でない状態、つまりアシスト機能が発生しない状態(あるいは、発生しにくい状態)である。例えば、RAMクリア後あるいはAT終了後などからAT抽せんに当せんするまでの間、第2遊技状態は一般遊技状態に設定される。
【0071】
ATとは、内部抽せんにより当せんした前記特別役以外の役のストップスイッチ40の正解押し順(正解操作順)を、液晶画面3、スピーカ101、および電飾部102を介して知らせるアシスト機能(AT機能)、が作動している状態である。
【0072】
AT抽せんは、遊技区間が有利区間である場合に、内部抽せんにより当せんした役(レア役の当せん、所定役の当せん回数など)に応じて行われる。遊技区間が有利区間である間に、AT抽せんにてATが当せんした(AT移行信号が生成された)場合に、第2遊技状態は、一般遊技状態からATへと移行する。
【0073】
ATにて遊技が開始されてから所定ゲーム数が経過した場合、ATにて遊技が開始されてからメダルが払い出された総枚数が所定枚数に達した場合、アシストが規定回数実行された場合、または、特定の役(例えば、押し順ベル)にかかるアシストが規定回数実行された場合に、第2遊技状態は、ATから一般遊技状態へと移行する。これにより、ATは終了する。
【0074】
<遊技区間について>
前述した遊技区間とは、指示機能にかかる処理が行われるか否かを決定するための状態(区間)である。
図4に示すように、遊技区間は、通常区間と有利区間とで構成される。通常区間と有利区間とは排他的な関係にあり、遊技区間は、通常区間または有利区間のいずれかをとりうる。
【0075】
指示機能にかかる処理とは、例えば、指示機能を発揮させる(アシストを行う)処理、モード(ATの当せん確率が定められたモード)抽せん、モード移行処理、CZ抽せん処理、CZ処理、AT抽せん処理(ATの継続に関する処理を含む)、AT処理、などのことである。
【0076】
通常区間は、指示機能にかかる処理を実行することができないが、有利区間への区間移行抽せんが行われる区間である。通常区間にて遊技が行われた結果、内部当せんした役に応じて、遊技区間は通常区間から有利区間へと移行する。なお、遊技区間が通常区間である間は、第2遊技状態は一般遊技状態である。
【0077】
有利区間は、指示機能にかかる処理を実行することが可能な区間である。有利区間には、第2遊技状態が一般遊技状態で進行する有利区間と、CZまたはATで進行する有利区間とが含まれる。遊技区間が有利区間に移行してから所定の終了条件が満たされるまでの間、遊技区間が有利区間である状態は維持される。
【0078】
<制御部6の構成>
図2に示すように、制御部6は、主に、メイン制御部61およびサブ制御部62を備える。
【0079】
メイン制御部61は、内部抽せん、および、回転リール20の制御など、遊技を進行させるための制御を行う。
【0080】
サブ制御部62は、メイン制御部61から送信された信号に基づいて、演出に関する制御を行う。
【0081】
メイン制御部61およびサブ制御部62それぞれは、CPU、RAMおよびROMで構成される。
【0082】
メイン制御部61のROMには、遊技進行に直接的(例えば、回転リール20の制御、転送処理、出玉制御)にかかわるプログラムが記憶されている。
【0083】
また、サブ制御部62のROMには、遊技進行に間接的(例えば、液晶画面3の演出制御、電飾部102のLED発光制御、スピーカ101の音声出力制御)にかかわるプログラムが記憶されている。
【0084】
メイン制御部61のRAMには、遊技進行に必要な遊技データ(遊技の進行に関する情報)が記憶される。
【0085】
遊技データには、クレジット数、差枚数、現在のゲーム数のほか、各遊技状態および遊技区間がどの状態または区間であるかを示すデータなどが含まれる。したがって、本実施形態における遊技データには、第1遊技状態が特別役非持ち越し状態、ボーナス内部状態などであることを示すデータが含まれる。
【0086】
サブ制御部62のRAMには、演出制御に関する各種データが記憶される。
【0087】
CPUがROM内のプログラムを読み出して実行することにより、メイン制御部61およびサブ制御部62として機能する。
【0088】
メイン制御部61は、内部抽せん部610、回転リール制御部611(遊技制御部の一部)、遊技結果判定部612(遊技制御部の一部)、媒体管理部613(価値管理部に相当)、設定値制御部614(遊技制御部の一部)、区間制御部615(遊技制御部の一部)、遊技状態制御部616(遊技制御部の一部)、RT状態制御部617(遊技制御部の一部)、判定部618、および、機能作動部619(遊技制御部の一部)として機能する。
【0089】
サブ制御部62は、演出制御部620(出力部に相当)として機能する。
【0090】
<内部抽せん部610>
内部抽せん部610は、レバー42の操作に基づいて内部抽せんを行い、複数の役のフラグのうち1つのフラグを当せんフラグとして当せんさせる。具体的には、内部抽せん部610は、レバー42が操作されたときの第1遊技状態および第2遊技状態と遊技区間とRT状態とに基づいて、内部抽せんテーブル(図示略)およびレバー42が操作されたときに取得される乱数に従って内部抽せんを行う。
【0091】
そして、内部抽せん部610は、内部抽せんの結果に基づいて、内部抽せん結果信号を生成する。内部抽せん結果信号(遊技の進行に関する情報の一例)は、内部抽せん部610から、回転リール制御部611、遊技結果判定部612、遊技状態制御部616、および演出制御部620などに送信される。
【0092】
内部抽せんテーブルは、内部抽せんにより当せんする可能性のある役の情報を示したものである。内部抽せん部610は、内部抽せんテーブルをもとに、レバー42が操作されたときのRT状態(後述)およびボーナスの種類などの組み合わせに応じて内部抽せんを行う。
【0093】
なお、内部抽せんテーブルに示された役の情報には、図柄の組み合わせと、その組み合わせに対応する役とが、関連づけられて1以上設定されている。その役には、メダルの払い出しが行われないはずれ役のほか、ストップスイッチ40の押し順が正しければメダルが払い出される押し順役(例えば、押し順リプ、押し順ベル)が含まれる。
【0094】
押し順役が当せんし、その正解の押し順どおりにストップスイッチ40が押下された場合には、その押し順役が入賞し、その役に応じた複数枚(例えば8枚)のメダルを獲得することができる。押し順役が当せんしたにもかかわらず、正解の押し順どおりにストップスイッチ40が押下されなかった場合には、その押し順役は入賞しないか、またはそのほかの役(1枚役など)が入賞する。
【0095】
なお、押し順役は、一般遊技状態(例えば、ATおよびCZ以外)中にも当せんし成立している。しかしながら、一般遊技状態中に押し順役が当せんした場合には、基本的には正解押し順の報知はなされないため、押し順役は取りこぼされたり、払い出し枚数が1枚となったりする。一方、AT中は、正解押し順が報知されるため、複数枚(例えば8枚)のメダルが払い出される可能性が高くなる。
【0096】
<回転リール制御部611>
回転リール制御部611は、レバー42または各ストップスイッチ40の操作に基づいて、ステッピングモータ21の駆動を制御し、各回転リール20の回転を開始させる回転開始制御または回転を停止させる回転停止制御を行う。
【0097】
具体的には、すべての回転リール20回転が停止している状態にて、レバー42が操作された場合には、回転リール制御部611は、すべての回転リール20の回転を開始させる。少なくとも1つの回転リール20の回転中に、回転中の回転リール20に対応するストップスイッチ40が操作された場合には、回転リール制御部611は、操作されたストップスイッチ40に対応する回転リール20の回転を停止させる。
【0098】
遊技者による遊技中の回転停止制御では、回転リール制御部611は、ストップスイッチ40の操作に基づいて、内部抽せん結果である当せんフラグ(ただし、特別役のフラグを除く)が示す役に対応する図柄の組み合わせが、回転リール20の有効ラインL上に配置されることでその役が入賞するように、回転リール20の回転を停止させることができる。
【0099】
また、遊技者による遊技中の回転停止制御では、回転リール制御部611は、内部抽せんにより当せんした役と、操作されたストップスイッチ40に対応する回転リール40の位置と、に応じて、引き込み制御または蹴飛ばし制御を行う。引き込み制御とは、当せんした役に対応する図柄を有効ラインL上に引き込むようにして、回転リール20の回転を停止させる制御である。蹴飛ばし制御とは、当せんしていない役に対応する図柄が有効ラインL上に揃わないように、回転リール20の回転を停止させる制御である。
【0100】
なお、特別役が当せんした場合に、回転リール制御部611は、その特別役が当せんする直前のレバー42の操作およびその直後のストップスイッチ40の操作に基づいて、回転リール20の回転および停止はさせるものの、その特別役を入賞させないようにすることもできる。
【0101】
<遊技結果判定部612の説明>
遊技結果判定部612は、内部抽せん部610から出力された内部抽せん結果信号と、各回転リール20の回転が停止したときにリール窓200を通して見える図柄とに基づいて、遊技の結果を判定する。遊技の結果は、有効ラインL上に揃った図柄に基づいて、当せん役が入賞したか否かによって判定される。
【0102】
具体的には、有効ラインL上に停止した図柄の組み合わせと、あらかじめ定められている所定の図柄の組み合わせとが一致した場合に、当せん役が入賞したと判定される。この判定結果(遊技の進行に関する情報の一例)は、遊技結果判定信号として遊技結果判定部612から媒体管理部613、判定部618、およびサブ制御部62などへ送信される。
【0103】
<媒体管理部613の説明>
媒体管理部613は、メダルのクレジット数およびベット枚数を管理する。
【0104】
具体的には、媒体管理部613は、遊技者の操作に基づいてメダルがベットされた場合にはメダルのベット枚数に応じてクレジット数(遊技の進行に関する情報の一例)を減少させ、遊技者の操作に基づいてメダルがクレジットされた場合にはクレジット数を増加させる。
【0105】
また、媒体管理部613は、内部抽せんによって獲得フラグが当せんフラグとして成立し、かつ、遊技者の操作に基づいて獲得当せん役が入賞した場合には入賞した獲得当せん役の種類に基づくメダルの払い出し枚数に応じてクレジット数を増加させる。
【0106】
また、媒体管理部613は、
図7のとおり、通常区間および有利区間のいずれかにかかわらず、また、一般遊技状態およびATのいずれかにかかわらず、メダルの払い出し枚数からメダルのベット枚数を差し引いた枚数の累積値であるメダルの差枚数(遊技の進行に関する情報の一例)を算出する。
【0107】
また、媒体管理部613は、
図7のとおり、有利区間における(遊技区間が通常区間から有利区間へ移行したのち、再度通常区間へ移行するまでの間の)メダルの差枚数である、有利区間差枚数を算出する。
【0108】
本実施形態において、この有利区間差枚数が+2400枚となった場合に、媒体管理部613は、有利区間差枚数を0(ゼロ)に初期化する。例えば、遊技を開始してから差枚数が-300枚となったときに遊技区間が有利区間に移行した場合には、媒体管理部613は、その-300枚を基準として、差枚数が+2100枚となったとき(この場合には、有利区間差枚数が+2400枚となる)に、有利区間差枚数を初期化する。なお、媒体管理部613は、有利区間差枚数が+2400枚となった場合に、その旨の信号を区間制御部615に送信する。これにより、区間制御部615は、遊技区間を通常区間へ移行させる。
【0109】
また、媒体管理部613は、有利区間差枚数が+2400枚となった場合以外で所定の条件が満たされて有利区間が終了したときに、有利区間差枚数を0(ゼロ)に初期化することができる。
【0110】
媒体管理部613は、遊技区間が再度有利区間へ移行したときに、有利区間差枚数の算出を開始する。
【0111】
また、媒体管理部613は、
図7のとおり、前回スロットマシン1の電源がオンにされてからの、メダルの払い出し枚数からメダルのベット枚数を差し引いた枚数の累積値であるメダルの差枚数を用いて、差枚数の最大値と最小値との差であるレンジ(MY)を算出する。このレンジ(MY)は、前述の有利区間差枚数とは異なり、すべての遊技区間(有利区間および通常区間)を対象として、すなわちスロットマシン1の電源がオンし続けられている限りは継続して算出される。
【0112】
このレンジ(MY)に関する情報は、機能作動部619に送信され、後述するコンプリート機能に用いられる。
【0113】
媒体管理部613は、コンプリート機能が作動したのちに店舗スタッフによりスロットマシン1の電源がオフにされた場合に、レンジ(MY)をリセットする。
【0114】
なお、媒体管理部613にて算出されるメダルのベット数、クレジット数、差枚数などは、遊技の進行に関する情報として、判定部618へと送信される。
【0115】
<設定値制御部614の説明>
設定値制御部614は、店舗スタッフの操作に基づいて、遊技の進行制御の有利度が異なる複数種類の設定値(例えば、1~6)のうちいずれか1つの設定値を用いて遊技進行を行う。この設定値は、スロットマシン1ごとに設定される。設定値制御部614によって設定された設定値の情報は、内部抽せん部610などに送信される。
【0116】
いずれの設定値が用いられているかによって、遊技進行の有利度、例えば、機械割、共通ベルなど特定の小役の当せん確率、CZの当せん確率あるいはATの当せん確率などが異なる。例えば、設定値は数字が大きくなるほど(例えば、6に近づくほど)、遊技進行の有利度が大きく(例えば、機械割が大きくなる)なる。
【0117】
なお、図示はしていないが、スロットマシン1は、設定キーをさらに備える。設定キーは、設定変更モードへの切り替えキーである。設定値制御部614は、店舗スタッフが設定キーをオフにすることで、設定変更モードをオフにし、店舗スタッフが設定キーをオンにすることで、設定変更モードをオンにする。
【0118】
<区間制御部615>
区間制御部615は、
図4のとおり、遊技の際に、複数の遊技区間(通常区間および有利区間)のうちいずれかを設定する。
【0119】
区間制御部615は、遊技区間が通常区間である場合に、通常区間の状態を維持するか、それとも有利区間に移行するかの区間移行抽せんを行う。区間制御部615は、区間移行抽せんに当せんした場合に遊技区間を有利区間に設定(移行)する。所定の抽せん対象役(例えば、チェリー、チャンス目などのレア役)が当せんした際に、区間移行抽せんを行うか否かの抽せんが行われ、その結果当せんした場合に、区間移行抽せんが行われる。
【0120】
また、区間制御部615は、遊技区間が有利区間である場合には、有利区間の状態を維持するか、通常区間に移行するか否か(有利区間を終了させるか否か)を決定する。例えば、区間制御部615は、遊技区間が有利区間のときに、第2遊技状態がATから一般遊技状態に移行したか否かを判定する。例えば第2遊技状態が一般遊技状態に移行した場合に、区間制御部615は、遊技区間を有利区間から通常区間に移行させることができる。
【0121】
また、区間制御部615は、媒体管理部613から有利区間差枚数が+2400枚に達した旨の信号を受信した場合、あるいは、+2400枚となった場合以外で所定の条件が満たされた場合に、遊技区間を、有利区間から通常区間に強制的に移行させる。なお、例えば、有利区間となった以降に有利区間差枚数が-1000枚となった場合には、操作者は、1000枚+2400枚=3400枚まで獲得することができる。
【0122】
また、区間制御部615は、スロットマシン1の電源がオンされた場合、あるいは、RAMがクリアされた場合などに、直前の遊技区間いかんにかかわらず、遊技区間を通常区間に設定する。
【0123】
なお、区間制御部615は、遊技区間に関する情報(通常区間、有利区間のいずれであるか)を、遊技の進行に関する情報として、判定部618および演出制御部620などへ送信することもできる。本実施形態には記載されていないが、判定部618は、これらの遊技区間に関する情報を用いて、後述の適正判定を行うこともできる。
【0124】
<遊技状態制御部616>
遊技状態制御部616は、第1遊技状態および第2遊技状態それぞれの設定を行う。
【0125】
具体的には、遊技状態制御部616は、第1遊技状態を、特別役非持ち越し状態、ボーナス内部状態、および、特別役実施状態のいずれかに設定し、第2遊技状態を、一般遊技状態およびATのいずれかに設定する。
【0126】
遊技状態制御部616は、例えば、メイン制御部61のRAMがクリアされた直後などにおいて、第1遊技状態を特別役非持ち越し状態に設定する。
【0127】
そして、内部抽せんにより特別役が当せんした場合であって、特別役が入賞しなかった場合に、遊技状態制御部616は、第1遊技状態をボーナス内部状態に設定する。
【0128】
ボーナス内部状態において、所定条件が満たされた場合(例えば、RAMがクリアされた場合、または設定値が変更された場合)に、遊技状態制御部616は、第1遊技状態をボーナス内部状態から特別役非持ち越し状態に移行させる。
【0129】
特別役非持ち越し状態において、特別役が当せんし、かつ、特別役が入賞した場合に、遊技状態制御部616は、第1遊技状態を特別役非持ち越し状態から特別役実施状態へ移行させる。
【0130】
また、ボーナス内部状態において、特別役が入賞した場合に、遊技状態制御部616は、第1遊技状態をボーナス内部状態から特別役実施状態へ移行させる。
【0131】
また、特別役実施状態において、所定条件が満たされた場合あるいは所定枚数を超えてメダルが払い出された場合に、遊技状態制御部616は、第1遊技状態を特別役実施状態から特別役非持ち越し状態へと移行させる。
【0132】
また、
図6に示すように、遊技状態制御部616は、AT抽せんの結果に基づいて、第2遊技状態をATに設定するか否かを判定する。具体的には、遊技区間が有利区間である場合に行われるAT抽せんに当せんした場合に、遊技状態制御部616は、第2遊技状態をATに設定する。
【0133】
一方、AT抽せんに当せんしなかった場合には、遊技状態制御部616は、第2遊技状態を一般遊技状態に設定する。
【0134】
また、ATが終了した場合には、遊技状態制御部616は、第2遊技状態をATから一般遊技状態に移行させる。
【0135】
また、遊技状態制御部616は、第2遊技状態について、遊技の進行状況に関する複数種類のモード(例えば、AT抽せんに当せんしにくい通常モード、AT抽せんに当せんしやすい高確率モード)のうちいずれか1つのモードを選択する。そして、遊技状態制御部616は、選択したモードに関連づけられたAT当せん確率にて、AT抽せんを実行する。
【0136】
なお、遊技状態制御部616は、第1遊技状態に関する情報および第2遊技状態に関する情報を、遊技の進行に関する情報として、判定部618および演出制御部620などへ送信することもできる。本実施形態には記載されていないが、判定部618は、これらの遊技状態に関する情報を用いて適正判定を行うこともできる。
【0137】
<RT状態制御部617の説明>
RT状態制御部617は、複数のRT状態のうちの1つのRT状態を用いて遊技進行を行うことが可能である。複数のRT状態には、それぞれ、リプレイのフラグが当せんフラグとして成立する確率(リプレイ確率)があらかじめ定められており、RT状態制御部617は、所定の役(例えば、特別役)が当せんした場合などに、RT状態を遷移させることができる。
【0138】
本実施形態において、RT状態制御部617は、特別役実施状態とそれ以外の状態(特別役非持ち越し状態、ボーナス内部状態)とで、RT状態を異ならせる。また、RT状態制御部617は、特別役非持ち越し状態とボーナス内部中とでは、同じRT状態を維持する。そして、RT状態制御部617は、ATが実行されるボーナス内部中では、RT状態を遷移させない。
【0139】
なお、RT状態制御部617は、RT状態に関する情報(RT0、リプレイの当せん確率がRT0よりも高いRT1、などのうちのいずれのRT状態であるか)を、遊技の進行に関する情報として、判定部618および演出制御部620などへ送信することもできる。本実施形態には記載されていないが、判定部618は、RT状態に関する情報を用いて適正判定を行うこともできる。
【0140】
<判定部618>
判定部618は、遊技進行に関する操作(例えば、ベットスイッチ41の押下、レバー42の操作、ストップスイッチ40の押下、計数ボタン44の押下など)が行われたか否かを判定することができる。
【0141】
遊技進行に関する操作が行われたと判定した場合には、判定部618は、スロットマシン1が遊技実行状態になっていると判定する。遊技実行状態とは、遊技が実行されている状態をいい、具体的には少なくとも1ゲームをプレイするための遊技操作が実際に実行されている状態を意味する。
【0142】
一方、遊技進行に関する操作が全く行われていないと判定した場合には、判定部618は、スロットマシン1が非遊技状態になっていると判定する。非遊技状態は、遊技実行状態とは反対に、遊技がなんら実行されていない状態を意味する。
【0143】
また、判定部618は、スロットマシン1が非遊技状態となった以降に、スロットマシン1が非遊技状態となってからの時間である非遊技時間をタイマー1で計測することが可能である。
【0144】
また、判定部618は、非遊技時間が1分を経過した場合に、アトラクト画面表示信号を生成する。このアトラクト画面(非遊技演出処理の一例)とは、例えば、
図8(a)に示すような、一定時間(この例では、1分間)、操作者が遊技進行に関する操作を全くしないときに始まるゲームの実演あるいは演出に関するデモ画面である。デモ画面としては、例えば、スロットマシン1のタイトルの概要、登場するキャラクタの紹介、スロットマシン1のゲーム性の紹介、遊技中に表示される演出のダイジェスト動画像、などが含まれる。アトラクト画面表示信号は、メイン制御部61のRAMに記憶されるとともに、演出制御部620へと送信される。
【0145】
また、判定部618は、非遊技時間に基づく経過時間(タイマー1による非遊技時間の計測が開始されてから5分が経過したのちに計測が開始される時間)をタイマー2で計測することが可能である。
【0146】
より詳細には、判定部618は、アトラクト画面が表示されてからさらに非遊技時間が4分経過した場合に、タイマー2によって経過時間の計測を開始するとともに、離席時間表示信号を生成する。この離席時間表示(非遊技演出処理の一例)とは、タイマー2が経過時間の計測を開始してからの時間表示(
図8(b)の例では、「3分」、
図8(c)の例では、「45分」)である。なお、離席時間は、例えば、60分経過以降は、実際の離席時間が表示される代わりに、「60分経過」と表示されてもよい。離席時間表示信号は、メイン制御部61のRAMに記憶されるとともに、演出制御部620へ送信される。
【0147】
なお、前述のように、60分経過以降に実際の離席時間が表示される代わりに「60分経過」と表示される理由としては、例えば、離席時間が数時間である場合に、ありのままの離席時間が表示されると、来店した客はその店舗の繁盛状況を疑ってしまい、店舗としての稼働低下の原因となる可能性があるためである。したがって、離席時間がある程度の時間を超えた場合には、実際の離席時間が表示されないようにすることが好ましい。
【0148】
また、判定部618は、タイマー2によって計測される経過時間が25分経過した場合に、空き台報知信号を生成する。なお、空き台報知(空き台表示処理の一例)とは、例えば、
図8(c)に示すような、「空き台!!」の文字である。空き台報知信号は、メイン制御部61のRAMに記憶されるとともに、演出制御部620へと送信される。
【0149】
本実施形態においては、タイマー2によって計測される経過時間が25分経過したことは、広義的には、後述の不適正状態の一例となる。すなわち、操作者が遊技に関する操作を全く行うことなくタイマー2による経過時間が25分経過した(スロットマシン1において、所定条件が満たされた遊技が実行されていない状態の一例)か否かは、適正判定条件の1つであるともいえる。
【0150】
また、判定部618は、液晶画面3にアトラクト画面など(離席時間および空き台報知を含む)が表示されているときに遊技進行に関する操作がなされた場合には、アトラクト画面などを消去するための消去信号を生成する。この消去信号は、演出制御部620へと送信される。これにより、液晶画面3からアトラクト画面などが消去される。アトラクト画面が消去された以降は、液晶画面3には、遊技に関する演出が表示される。
【0151】
なお、判定部618は、非遊技状態から遊技実行状態(アトラクト画面などが消去された状態)へと遷移した以降においても、タイマー2によって経過時間の計測を継続することが可能であるが、さらに以下の適正判定条件が満たされた場合には、経過時間の計測を停止するとともに経過時間を0(ゼロ)に初期化する。
【0152】
また、適正判定条件が満たされた場合には、判定部618は、メイン制御部61のRAMに記憶されたアトラクト画面表示信号など(離席時間表示信号、空き台報知信号を含む)を消去させる。これにより、その後1分間非遊技状態が継続しても、再度アトラクト画像表示信号などが生成、記憶されるまで、判定部618は、後述の第1再表示信号および第2再表示信号を生成しない。
【0153】
以下に、適正判定条件に基づく適正判定について説明する。判定部618は、前述の遊技の進行に関する情報(例えば、メダルのクレジット数、差枚数)を用いて、スロットマシン1が不適正状態となっているか否かを判定する適正判定を実行することが可能である。
【0154】
この“不適正状態”とは、スロットマシン1において適正に遊技がなされていない状態、所定条件が満たされた状態の遊技がなされていない状態、および、スロットマシン1が不正に確保されている状態、の少なくともいずれか1つである。本実施形態では、スロットマシン1において適正に遊技がなされていない、および、スロットマシン1において所定条件が満たされた状態の遊技がなされていないために、スロットマシン1が不正に確保されていると判定される状態、を不適正状態としている。
【0155】
具体的には、判定部618は、遊技の進行に関する情報を用いた適正判定条件に基づいて、適正判定を実行することができる。遊技進行状態にかかる適正判定条件には、例えば、以下のものがある。
(1)単位数量(例えば、1000円)の通貨で貸し出されるメダルの数量(例えば、50枚)以上のメダルを使って遊技がなされたこと
(2)単位数量(例えば、1000円)の通貨で貸し出されるメダルの数量(例えば、50枚)を使って最低限消化することのできるゲーム数(例えば、16ゲーム)以上遊技がなされたこと
(3)遊技進行に関する操作開始から所定時間(例えば、5分)の間のゲーム消化速度が所定速度(例えば、3ゲーム/分)以上であること
(4)遊技進行に関する操作開始から所定時間(例えば、5分)の間のメダルの差枚数が所定枚数(例えば、±30枚)以上であること
(5)遊技進行に関する操作開始から所定時間(例えば、5分)の間のメダルのクレジット数の変動量が所定枚数(±30枚)以上であること
【0156】
判定部618は、前記の適正判定条件の少なくともいずれか1つを用いて、スロットマシン1が不適正状態であるか否かを判定することができる。前記の適正判定条件は、いずれも、数ゲームだけ遊技されたようなものではなく、ある程度遊技が確実にされていることを意味するものである。判定部618は、適正判定条件のいずれもが満たされないことによりスロットマシン1が不適正状態であると判定した場合には、メイン制御部61のRAMにおけるアトラクト画像表示信号などの記憶状態によって、後述の第1再表示信号および第2再表示信号のいずれかを生成する。
【0157】
具体的には、液晶画面3にアトラクト画面および離席時間が表示されている(メイン制御部61のRAMにアトラクト画面表示信号および離席時間表示信号が記憶されている)ときに操作者によって遊技進行に関する操作がなされてアトラクト画面および離席時間が消去されたが、適正判定条件が満たされず、かつ、その後1分以上非遊技状態が継続した場合に、判定部618は、液晶画面3にアトラクト画面および離席時間を再表示させるための第1再表示信号を生成する。第1再表示信号は、演出制御部620へ送信される。
【0158】
また、液晶画面3にアトラクト画面、離席時間、および空き台報知が表示されている(メイン制御部61のRAMにアトラクト画面表示信号、離席時間表示信号、および空き台報知信号が記憶されている)ときに操作者による遊技進行に関する操作がなされてアトラクト画面、離席時間表示、および空き台報知が消去されたが、適正判定条件が満たされず、かつ、その後1分以上非遊技状態が継続した場合に、判定部618は、液晶画面3にアトラクト画面、離席時間、および空き台報知を再表示させるための第2再表示信号を生成する。第2再表示信号は、演出制御部620へ送信される。
【0159】
つまり、液晶画面3にアトラクト画面あるいは離席時間などが表示されている状態で、例えばスロットマシン1があたかも確保されているかのように見せるために数ゲーム(例えば、1ゲーム)遊技が行われただけにすぎない場合であっても、いったんは遊技が行われているために離席時間などの表示が消去される。しかしながら、前記(1)~(5)の少なくとも1つの適正判定条件が満たされていない場合には遊技が確実になされているとはいえないため、再び非遊技状態となれば、スロットマシン1は、アトラクト画面などを再び表示するとともに、直前に表示していた離席時間の続きを表示する。
【0160】
<機能作動部619>
機能作動部619は、媒体管理部613から送信されたレンジ(MY)に関する情報を受信する。
【0161】
そして、機能作動部619は、レンジ(MY)が例えば18500である第1レンジ以上となったときに、コンプリート機能の作動が近いことを示す事前通知に関する情報を生成する。
【0162】
このコンプリート機能とは、いわゆる打ち止めの機能であり、コンプリート機能が作動した場合には、スロットマシン1は遊技に関する操作を受けつけなくなり、店舗スタッフによって電源がオフ、オンされない限り、操作者は遊技を続行することができなくなる。
【0163】
ここでいう遊技に関する操作とは、1ゲームを消化するための操作を意味し、回転リール20を始動させるための操作として特にメダルをベットするためのベットスイッチ41の操作が含まれる。コンプリート機能が作動した場合には、このような遊技に関する操作が受けつけられなくなるため、コンプリート機能が作動した状態のもとで、ベットスイッチ41が操作されたとしても、メダルのベット処理はなされない。
【0164】
事前通知に関する情報は、例えば、この情報が機能作動部619にて生成されている間、毎ゲーム、演出制御部620へと送信される。これにより、演出制御部620にて事前通知がなされる。
【0165】
また、レンジ(MY)が第1レンジである18500未満となったときには、機能作動部619は、事前通知に関する情報の生成を停止する。これにより、演出制御部620で事前通知がなされなくなる。
【0166】
なお、事前通知に関する情報は、事前通知の報知をオンまたはオフにするフラグであってもよい。この場合には、事前通知の報知がオフからオンとなる場合に、フラグが「オン」の情報が演出制御部620に送信され、逆に事前通知の報知がオンからオフとなる場合に、フラグが「オフ」の情報が演出制御部620に送信される。このように、事前通知に関する情報をフラグ式にすることにより、メイン制御部610からサブ制御部620へと伝送する信号が過多となることが抑制することができる。
【0167】
また、機能作動部619は、レンジ(MY)が第2レンジである19000以上となったときに、コンプリート機能を作動させる。
【0168】
機能作動部619は、店舗スタッフがスロットマシン1の電源をオフにしたときに、コンプリート機能を解除する。スロットマシン1の電源がオフから再びオンとなった際に、コンプリート機能が解除されるのみならず、レンジ(MY)はリセットされ、0(ゼロ)となっている。したがって、事前通知の報知はなされておらず、コンプリート機能が再び作動するための条件の成立から遠ざかった状態で、スロットマシン1での遊技が可能となる。
【0169】
<演出制御部620>
演出制御部620は、遊技進行に基づいて、複数種類の演出映像の中から選択された演出映像(以下では、「遊技演出」という)を液晶画面3に表示させるとともに、その演出映像に応じた効果音およびBGMなどをスピーカ101から出力させる。例えば、演出制御部620は、ATに当せんした場合に、その旨を液晶画面3に表示させるための演出パターンを選択し、その演出パターンに従って液晶画面3の表示制御、スピーカ101の音声出力制御、および電飾部102の発光制御を行う。
【0170】
また、演出制御部620は、AT中に、押し順役が当せんしたときの正解押し順の報知を、液晶画面3およびスピーカ101の少なくとも1つに行わせる。
【0171】
また、演出制御部620は、判定部618が生成したアトラクト画面表示信号を受信することで、液晶画面3にアトラクト画面を表示させる。アトラクト画面は、
図8に示すような、いわゆるデモ画面である。
【0172】
また、演出制御部620は、判定部618が生成した離席時間表示信号を受信することで、
図8(b)、(c)に示すように、液晶画面3に離席時間(例えば、
図8(b)の例では「3分経過」の文字)を表示させる。
【0173】
また、演出制御部620は、判定部618が生成した空き台報知信号を受信することで、
図8(c)に示すように、液晶画面3に空き台報知(例えば、
図8(c)の例では、「空き台!!」の文字)を表示させる。
【0174】
また、演出制御部620は、液晶画面3にアトラクト画面、離席時間が表示されているが空き台報知が表示されていない場合において消去信号を受信した場合には、アトラクト画面、離席時間を消去する。
【0175】
また、演出制御部620は、アトラクト画面および離席時間が消去されたのちに、判定部618が生成した第1再表示信号を受信することで、
図8(b)に示すように、液晶画面3にアトラクト画面および離席時間を再表示させる。
【0176】
また、演出制御部620は、液晶画面3にアトラクト画面、離席時間、および空き台報知が表示されている場合において消去信号を受信した場合には、アトラクト画面、離席時間、および空き台報知を消去する。
【0177】
また、演出制御部620は、アトラクト画面、離席時間、および空き台報知が消去されたのちに、判定部618が生成した第2再表示信号を受信することで、
図8(c)に示すように、液晶画面3にアトラクト画面、離席時間、および空き台報知を再表示させる。
【0178】
なお、空き台報知などは、例えば、所定時間以上操作者によって遊技進行に関する操作がなされたこと、店舗スタッフによって解除ボタンが押下されたこと、操作者によってメダルユニットへ紙幣が挿入されたこと、メダルデータがメダルユニットに転送されたこと、などによって消去されてもよい。
【0179】
また、演出制御部620は、のめり込み防止表示(のめり込み防止警告の一例)と、精算忘れ防止表示(精算忘れ防止警告の一例)とを、液晶画面3にて表示(提供の一例)することが可能である。
【0180】
のめり込み防止表示は、遊技にのめり込みすぎないようにすることを操作者に促すための警告である。のめり込み防止表示は、例えば、「パチスロは適度に楽しむ遊びです」あるいは「のめり込みに注意しましょう」などの文字、画像である。
【0181】
精算忘れ防止表示は、遊技を終了させるにあたってクレジットされているメダルデータのすべてをメダルユニット7へ転送する操作が必要な場合に、計数ボタン44への操作を忘れないようにすることを操作者に促すための警告、および、カード70を抜くことを忘れないようにすることを操作者に促すための警告である。精算忘れ防止表示は、例えば、「メダル精算忘れにはご注意ください。」、「メダル精算忘れおよびカードの取り忘れや盗難にはご注意ください。」などの文字、画像である。
【0182】
<スロットマシン1の基本的な動作処理の流れ>
図9を用いて、スロットマシン1の基本的な動作処理の流れを説明する。
【0183】
スロットマシン1の電源がオンにされており、かつ、設定値が変更された状態で、機能作動部619が、スロットマシン1が遊技可能な状態か否か(コンプリート機能作動中か否か)を判定する(ステップS101)。
【0184】
スロットマシン1が遊技可能な状態ではない場合(S101:NO)には、処理は、後述のステップS115へと進む。
【0185】
一方、スロットマシン1が遊技可能な状態である場合(S101:YES)には、メダルユニット7からメダルデータが送信されていることを条件として、スロットマシン1のメイン制御部61が、クレジットされているメダルの数量をデジタルカウンタ43に表示させ、操作者によるベットスイッチ41、レバー42などの操作を受けつける。これにより、スロットマシン1が遊技開始状態となる(ステップS102)。
【0186】
ついで、媒体管理部613が、レンジ(MY)の計数を開始する(ステップS103)。その後、媒体管理部613は、通常区間および有利区間にかかわらず、毎遊技、レンジ(MY)を計数する。
【0187】
ついで、区間制御部615が、通常区間にて遊技を進行させる(ステップS104)。
【0188】
ついで、遊技状態制御部616が、一般遊技状態にて遊技を進行させる(ステップS105)。
【0189】
ついで、区間制御部615が、遊技区間が有利区間であるか否か(区間移行抽せんに当せんしたか否か、有利区間の状態が維持されるか否か、を含む)を判定する(ステップS106)。
【0190】
遊技区間が有利区間ではない場合(S106:NO)には、処理はステップS104へと戻る。
【0191】
一方、遊技区間が有利区間である場合(S106:YES)には、区間制御部615が、有利区間差枚数を計数(有利区間に移行したゲームにおいては、有利区間差枚数の計数を開始)する(ステップS107)。これ以降、区間制御部615は、遊技区間が有利区間である間(一般遊技状態およびATいずれにおいても)、有利区間差枚数の計数を継続する。
【0192】
ついで、遊技状態制御部616が、第2遊技状態をATへ移行させるか否かを判定する(ステップS108)。
【0193】
第2遊技状態がATへ移行しない場合(S108:NO)には、処理はステップS105へと戻る。
【0194】
一方、第2遊技状態がATへ移行する場合(S108:YES)には、遊技状態制御部616が、ATで遊技を進行させる(ステップS109)。
【0195】
ついで、機能作動部619が、コンプリート機能を作動させるか否かを判定する(ステップS110)。具体的には、機能作動部619は、レンジ(MY)が19000以上となったか否かを判定する。
【0196】
コンプリート機能が作動する場合(S110:YES)には、処理は、後述のステップS113へと移行する。
【0197】
一方、コンプリート機能が作動しない場合(S110:NO)には、区間制御部615が、有利区間差枚数が+2400枚以上となったか否かを判定する(ステップS111)。
【0198】
有利区間差枚数が+2400枚以上となった場合(S111:YES)には、区間制御部615は、遊技区間を通常区間へ移行させ、遊技状態制御部617は、ATを終了させ、かつ、媒体管理部613は、有利区間差枚数をゼロ(0)に初期化し、その後、処理はステップS104へと戻る。
【0199】
一方、有利区間差枚数が+2400枚以上でない場合(S111:NO)には、遊技状態制御部616が、ATを終了させるか否かを判定する(ステップS112)。
【0200】
ATが終了する場合(S112:YES)には、処理はステップS105へと戻る。
【0201】
一方、ATが終了しない場合(S112:NO)には、処理は、ステップS109へと戻る。
【0202】
ステップS110に戻って、コンプリート機能が作動した場合(S110:YES)には、機能作動部619が、操作者がスロットマシン1で遊技を進行することができないように制御する(ステップS113)。
【0203】
ついで、操作者(遊技を終えたユーザ)が計数ボタン44を押下したことに応じて、媒体管理部613およびメダルユニット7が必要な情報を送受信することで、転送処理を実行する(ステップS114)。
【0204】
ついで、店舗スタッフの電断操作に応じて、スロットマシン1の電源がオフとされた(ステップS115)ことに応じて、媒体管理部613がレンジ(MY)を0(ゼロ)に初期化するとともに、機能作動部619がコンプリート機能を解除する(ステップS116)。なお、スロットマシン1が電断復帰のみされた場合には、レンジ(MY)が初期化されるとともにコンプリート機能は解除されるが、有利区間および有利区間差枚数は引き継がれる。
【0205】
ついで、店舗スタッフの電断復帰操作に応じて、スロットマシン1の電源がオンとなる(ステップS117)。その後、処理は、ステップS102へと戻る。
以上が、スロットマシン1の基本的な動作処理の流れとなる。
【0206】
<貸出処理および転送処理>
つぎに、
図10を用いて、貸出処理および転送処理の流れを詳細に説明する。
【0207】
まず、メダルユニット7が、操作者による紙幣(例えば、1000円)の投入を受けつける(ステップS201)。このとき、メダルユニット7は、投入信号を生成し、それをスロットマシン1に送信する。
【0208】
ついで、メダルユニット7が、操作者による貸出ボタン71の押下に応じて、スロットマシン1(媒体管理部613)に、貸出信号、および、50枚分のメダルデータを送信する(ステップS202)。
【0209】
ついで、媒体管理部613が、スロットマシン1にクレジットされているメダルの数量をデジタルカウンタ43に表示させ、操作者によるベットスイッチ41、レバー42などの操作を受けつける。これにより、スロットマシン1が遊技開始状態となる(ステップS203)。
【0210】
つぎに、クレジットされているメダルが2枚以下でない場合(S204:NO)には、計数ボタン44が押下されたこと(転送信号が生成されたこと)に基づいて(ステップS205)、メダルユニット7は、転送信号、および、スロットマシン1にクレジットされていたメダルデータ(例えば、105枚分のメダルデータ)を受信する(ステップS206)。
【0211】
ついで、メダルユニット7が、スロットマシン1にクレジットされていたメダルデータを、カード70に記録する(ステップS207)。
【0212】
ついで、メダルユニット7が、操作者による排出ボタン72への押下に応じて、カード70をメダルユニット7から排出する(ステップS208)。
【0213】
ステップS204に戻って、クレジットされているメダルが2枚以下である場合(S204:YES)であって、かつ、操作者が遊技を継続する場合(S209:YES)には、処理はステップS201へと戻る。
【0214】
一方、操作者が遊技を継続しない場合(S209:NO)には、操作者による計数ボタン44への押下(ステップS205)に応じて、処理は、ステップS206へと移行する。
以上が、貸出処理および転送処理の流れである。
【0215】
<適正判定処理>
つぎに、
図11を用いて、適正判定処理の流れを詳細に説明する。
【0216】
まず、判定部618が、遊技進行に関する操作(例えば、ベットスイッチ41の押下、レバー42の操作、ストップスイッチ40の押下、メダルの転送など)が行われたか否かを判定する(ステップS301)。なお、判定部618が判定する遊技進行に関する操作の操作主体は、主に操作者であるが、遊技進行に関する操作には、店舗スタッフによって行われる操作が含まれていてもよい。
【0217】
遊技進行に関する操作が行われた判定された場合(S301:YES)には、判定部618は、スロットマシン1が遊技実行状態となっていると判定し、処理は、ステップS301を繰り返す。
【0218】
一方、操作者が遊技進行に関する操作を行っていないと判定された場合(S301:NO)には、判定部618は、スロットマシン1が非遊技状態となっていると判定し、タイマー1による非遊技時間の計測を開始する(ステップS302)。
【0219】
なお、スロットマシン1が非遊技状態となった以降に遊技に関する操作が行われた場合(
図11の例では、ステップS301、S303、S306、S310、S313でYESの場合)には、タイマー1による非遊技時間の計測が停止され、非遊技時間が0(ゼロ)に初期化される。以下では、操作者が遊技に関する操作を行ったことによる、タイマー1の計測停止および非遊技時間の初期化についての説明は省略する。
【0220】
ついで、判定部618が、遊技に関する操作が行われたか否かを引き続き判定する(ステップS303)。
【0221】
遊技に関する操作が行われたと判定された場合(S303:YES)には、判定部618は、スロットマシン1が遊技実行状態となっていると判定し、処理は、ステップS301へと戻る。
【0222】
一方、遊技に関する操作が行われていないと判定された場合(S303:NO)には、判定部618は、非遊技時間が1分を経過したか否かを判定する(ステップS304)。
【0223】
非遊技時間が1分を経過していないと判定された場合(S304:NO)には、処理は、ステップS303へと戻る。
【0224】
一方、非遊技時間が1分を経過したと判定された場合(S304:YES)には、演出制御部620は、判定部618が生成したアトラクト画面表示信号を受信して、液晶画面3にアトラクト画面を表示させる(ステップS305)。
【0225】
ついで、判定部618が、遊技進行に関する操作が行われたか否かを引き続き判定する(ステップS306)。
【0226】
遊技進行に関する操作が行われたと判定された場合(S306:YES)には、演出制御部620は、判定部618が生成した消去信号を受信して、液晶画面3におけるアトラクト画面の表示を停止する(ステップS315)。この場合には、判定部618は、スロットマシン1が遊技実行状態となっていると判定する。その後、処理は、ステップS301へと戻る。
【0227】
一方、遊技進行に関する操作が行われていないと判定された場合(S306:NO)には、判定部618が、アトラクト画面が表示されてから4分経過したか(タイマー1による非遊技時間の開始から5分が経過したか)否かを判定する(ステップS307)。
【0228】
アトラクト画面が表示されてから4分経過していない場合(S307:NO)には、処理は、ステップS306へと戻る。
【0229】
一方、アトラクト画面が表示されてから4分経過している場合(S307:YES)には、判定部618は、タイマー2による経過時間の計測を開始する(ステップS308)。
【0230】
ついで、演出制御部620は、判定部618が生成した離席時間表示信号を受信して、液晶画面3に離席時間を表示させる(ステップS309)。なお、この処理順序に限られず、ステップS308とステップS309とは同じタイミングに実行されてもよく、処理順序が逆転していてもよい。
【0231】
ついで、判定部618が、遊技進行に関する操作が行われたか否かを引き続き判定する(ステップS310)。
【0232】
遊技進行に関する操作が行われたと判定された場合(S310:YES)には、演出制御部620は、判定部618が生成した消去信号を受信して、液晶画面3におけるアトラクト画面および離席時間の表示を停止する(ステップS316)。スロットマシン1が遊技実行状態となっているためである。
【0233】
ついで、判定部618が、操作者による操作が適正判定条件を満たすか否かを判定する(ステップS317)。
【0234】
操作者による操作が適正判定条件を満たすと判定された場合(S317:YES)には、判定部618は、タイマー2による経過時間の計測を停止し、経過時間を0(ゼロ)に初期化する(ステップS318)。その後、処理は、ステップS301へと戻る。
【0235】
一方、操作者による操作が適正判定条件を満たさないと判定された場合(S317:NO)には、その後に非遊技状態となってから1分が経過したのちに、演出制御部610が、判定部618が生成した第1再表示信号を受信して、液晶画面3にアトラクト画面および離席時間を表示させる(ステップS319)。その後、処理は、ステップS310へと戻る。なお、この場合において、判定部618は、非遊技状態となってから1分が経過したか否かを判定するにあたって、タイマー1を使用してもよいし、タイマー2を併用してもよい。
【0236】
ステップS310に戻って、遊技進行に関する操作が行われていないと判定された場合(S310:NO)には、判定部618が、経過時間が25分経過したか否かを判定する(ステップS311)。
【0237】
経過時間が25分経過していないと判定された場合(S311:NO)には、処理は、ステップS310へと戻る。
【0238】
一方、経過時間が25分経過したと判定された場合(S311:YES)には、演出制御部620は、判定部618が生成した空き台報知信号を受信して、液晶画面3に空き台報知を表示する(ステップS312)。なお、この空き台報知が表示されたのちは、店舗スタッフは、他のユーザ(来店した顧客)からの要求に応じて、該当するスロットマシン1を、要求したユーザへ開放することができる。
【0239】
ついで、判定部618が、遊技進行に関する操作が行われたか否かを引き続き判定する(ステップS313)。
【0240】
遊技進行に関する操作が行われたと判定された場合(S313:YES)には、演出制御部620は、判定部618が生成した消去信号を受信して、液晶画面3におけるアトラクト画面、離席時間、および空き台報知の表示を停止する(ステップS320)。
【0241】
ついで、判定部618が、操作者による操作が適正判定条件を満たすか否かを判定する(ステップS321)。
【0242】
操作者による操作が適正判定条件を満たすと判定された場合(S321:YES)には、判定部618は、経過時間の計測を停止し、経過時間を0(ゼロ)に初期化する(ステップS322)。その後、処理は、ステップS301へと戻る。
【0243】
一方、操作者による操作が適正判定条件を満たさないと判定された場合(S321:NO)には、非遊技状態となってから1分が経過したのちに、演出制御部610が、判定部618が生成した第2再表示信号を受信して、液晶画面3にアトラクト画面、離席時間、および空き台報知を表示させる(ステップS323)。その後、処理は、ステップS313へと戻る。
【0244】
ステップS313に戻って、遊技進行に関する操作が行われていないと判定された場合(S313:NO)には、判定部618が、経過時間が60分を経過したか否かを判定する(ステップS314)。
【0245】
経過時間が60分を経過していないと判定された場合(S314:NO)には、処理は、ステップS313へと戻る。
【0246】
経過時間が60分を経過していると判定された場合(S314:YES)には、演出制御部620は経過時間をそれ以上カウントアップすることなく「60分」で固定し、処理は終了する。
以上が、適正判定処理の流れである。
【0247】
以上をまとめると、本発明のスロットマシン1は、
スロットマシン1での遊技の進行を制御することが可能なRT状態制御部617、遊技状態制御部616などと、
遊技に関する情報を報知することが可能な演出制御部620と、
遊技の進行に関する情報(例えば、所定時間における差枚数)を用いて、スロットマシン1が不適正状態となっているか否かを判定する適正判定を実行することが可能な判定部618と、
を備え、
不適正状態は、スロットマシン1において適正に遊技がなされていない、および、スロットマシン1において所定条件が満たされた状態の遊技がなされていないため、スロットマシン1が不正に確保されていると判定される状態であり、
演出制御部620は、適正判定の結果に応じた処理(例えば、空き台報知表示)を実行することが可能である。
【0248】
<発明の効果>
例えば同一店舗内において、1以上のスロットマシン1が、特定のユーザによって不正に確保される場合がある。この場合には、本当に遊技を楽しみたいと考えている他のユーザは、そのスロットマシン1を使用することができない。
【0249】
本実施形態によれば、例えば、1000円で貸し出される50枚以上のメダルを使って遊技がなされたこと、1000円で貸し出される50枚を使って最低限消化することのできるゲーム数(例えば、16ゲーム)以上遊技がなされたこと、などの適正判定条件が満たされない場合には、判定部618が、スロットマシン1において適正に遊技が実行されていないと判定する。
【0250】
これにより、スロットマシン1の前に置かれた椅子にペットボトルなどが置かれているだけの状態など、全く遊技されずにスロットマシン1が確保されているだけの場合のみならず、当該ユーザが1ゲームだけ遊技した場合、あるいは、回転リール20を回転させたまま放置した場合、などのような、あたかも遊技をしているかのように見せかけて、不正に確保されているスロットマシン1を見分けることができる。
【0251】
以上により、本実施形態によれば、不適正な状態となっていることを簡易な方法で判定することのできる遊技機を提供することができる。
【0252】
[他の実施形態]
前記実施形態において説明した各種制御手段および処理手順は一例であって、本発明、その適用物、またはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。各種制御手段および処理手順は、本発明の要旨を変更しない範囲で適宜設計変更することができる。また、各実施形態において説明した各種制御手段および処理手順、処理内容は、単体で構成したり、適宜組み合わせたりすることも可能である。
【0253】
また、本明細書にて使用される各種定義は、実施例ごとに特段の断りがなされない限り、明細書全体で共通に使用されるものである。
【0254】
前記実施形態では、判定部はメイン制御部に設けられていたが、本発明はこれには限られない。例えば、判定部は、サブ制御部に設けられていてもよく、また、メイン制御部およびサブ制御部のいずれでもない箇所(例えば、基板、手段、CPU)に設けられていてもよい。また、判定部は、例えば、媒体管理部あるいは演出制御部がその機能を兼ねていてもよい。
【0255】
また、前記実施形態では、離席時間表示および空き台報知表示は、タイマー2の計測時間に基づいてなされていたが、タイマー1の計測値(非遊技時間)に基づいてなされてもよい。この場合には、一時的に数ゲームだけ遊技がなされたような場面ではタイマー1の計測値はリセットされず、カウントが続けられる。タイマー1は、適正判定条件が満たされた場合に、カウントが停止(および、計測値がリセット)される。
【0256】
また、タイマー1に基づいて離席時間などの表示制御がされる場合は、タイマー1のみが設けられており、タイマー2が設けられなくてもよい。この場合には、CPUの処理負荷が軽減される、あるいは、CPUのプログラムが軽減される。
【0257】
また、回転リールが回転している状態でスロットマシンが放置された場合には、回転リールが回転している間の時間が計測されてもよい。この場合には、回転リールを回転させて不正確保しているユーザがいると判断された際に、スロットマシンがその旨を報知することができてもよい。また、不正確保の報知とは別にスロットマシンが回転リールの回転を自動で停止させてもよい。
【0258】
また、不正判定がなされる際に、店舗のホールコンピュータにエラーとして通知することができてもよい。
【0259】
また、前記実施形態に限られず、スロットマシンが不正に確保されていることではなく、スロットマシンにおいて所定条件が満たされた状態の遊技がなされていないこと(あるいは、適正に遊技が実行されていないこと)をもって、判定部が、スロットマシンが不適正状態となっていると判定することができてもよい。
【0260】
また、前記実施形態において、第1遊技状態および第2遊技状態がどのような状態であるかにかかわらず、判定部が適正判定を実行することができる例が記載されているが、本発明はこれには限られない。例えば、AT、CZなどの特別遊技状態の実行中、あるいは特別役実施状態中は、判定部は、適正判定を実行しなくてもよい。ATなどの特別遊技状態の実行中に適正判定が実行されない理由としては、例えば、ATなどにおいて判定処理がなされると遊技の邪魔になる可能性があり、また、ATなどの実行中に遊技者が休憩に入ったりすることがあるためである。
【0261】
また、前記に限られず、適正判定が実行されて離席時間表示および空き台報知それぞれの表示条件が満たされている場合であっても、遊技状態がATなどの実行中などの特別遊技状態の場合に、演出制御部はこれらの表示を行わないようにすることもできる。
【0262】
また、ATなどの実行中の適正判定条件は、一般遊技状態の実行中の適正判定条件と異なっていてもよい。一般遊技状態の実行中の適正判定条件が、遊技進行に関する操作開始から所定時間(例えば、5分)の間のゲーム消化速度が所定速度(例えば、3ゲーム/分)以上であることであるのに対して、ATなどの実行中の適正判定条件は、例えば、1時間のゲーム消化速度が1ゲーム/分以上であること、などであってもよい。
【0263】
適正判定条件(特に所定時間、所定速度などの数字部分について)は、スロットマシン1の仕様に応じて適宜変更されてもよい。これは、リール演出としてショートフリーズ、ロングフリーズなどを備える台であれば、フリーズがかかる可能性を考慮して、ゲーム消化速度を遅めに設定する必要があるためである。
【0264】
また、前記実施形態に限られず、離席時間が60分経過した以降も、離席時間が表示されてもよい。
【0265】
また、離席時間そのものが表示されることに代えて、離席時間に対応する演出が表示されてもよい。例えば、離席時間が1分経過するとアトラクト1が表示され、5分経過すると別のアトラクト2が表示され、60分経過するとさらに別のアトラクト3が表示されてもよい。
【0266】
また、前記実施形態において、第1所定時間の一例は5分であり、第2所定時間の一例が1分であったが、本発明はこれには限られない。例えば、第1所定時間の一例は10分であり、第2所定時間の一例が3分であってもよい。
【0267】
また、前記実施形態に限られず、タイマー2の計測が開始された場合に、タイマー1は、停止(または、リセット)されてもよい。
【0268】
空き台表示処理は、空き台であることを報知する空き台報知に限られず、空き台である可能性を示唆する空き台示唆であってもよい。この場合には、例えば、「この台は空き台の可能性があります。物品等が残っている場合には、スタッフにお尋ねください。」、「この台で遊技を実行することができます。」などのメッセージであってもよい。
【0269】
また、判定部が、ユーザが最後に遊技を終了した時間(時刻)をメイン制御部の記憶部に記憶させておき、その時刻とタイマー2が計測している経過時間とを、ホールコンピュータ等に送信することができてもよい。この場合には、経過時間を、店舗スタッフが情報分析に使ったり、店舗スタッフの空き台見回りの際の基準(ルール)に使ったりすることができる。
【0270】
また、前記実施形態に限られず、不適正状態の種類に応じて、メッセージが変更されてもよい。例えば、スロットマシンにおいて適正に遊技がなされていない場合には「この台では適正に遊技がなされていません」と表示され、スロットマシンが不正に確保されている場合には「この台は不正に確保されています」と表示されてもよい。文言の表示に代えて、または文言の表示に加えて、電飾のLEDが点灯されることで、スロットマシンにおいて適正に遊技がなされていないことが報知されてもよい。
【0271】
また、前記実施形態に限られず、メダルユニットに紙幣が投入されてから所定時間が経過した場合、スロットマシンにメダルが転送されて(メダルがクレジットされて)から所定時間が経過した場合、メダルがベットされた場合、メダルがベットされてから所定時間が経過した場合、店舗スタッフがスロットマシンの内部または外部に設けられた監視スイッチをONにした場合、などの少なくともいずれか1つが満たされたことを条件として、本願発明の適正判定処理が実行されるようになっていてもよい。これにより、実際に空き台(実際に誰も遊技していない状態)になっているにもかかわらず適正判定が実行されることを抑制することができる。
【0272】
また、スロットマシンに人感センサ、カメラなどが取りつけられており、スロットマシンの前に人がいないにもかかわらず、ペットボトルなどが置いたままの状態となっている、メダルがベットされたままとなっている、などの状態が検出されたこと(不正確保判定条件が満たされている場合)を条件として、判定部が適正判定を行うようになっていてもよい。このカメラ、人感センサなどは、エアコンの人感センサ、店内の監視カメラなど、スロットマシン以外に取り付けられたものが使用されてもよい。
【0273】
また、スロットマシンにメダルがクレジットされており、かつ、スロットマシンの前に人がいないにもかかわらず、ペットボトルなどが置かれたままの状態となっていることがカメラなどによって検出されたことを条件として、判定部が適正判定を行うようになっていてもよい。
【0274】
また、前記実施形態においては、スロットマシンがメダルレス機である例が記載されているが、本発明はこれには限られない。スロットマシンは、現実物品であるメダルが遊技に使用されうるように、例えば、メダル投入口、ホッパーユニット、メダル払い出し口、下皿などを備えていてもよい。
【0275】
前記実施形態に限られず、メダルのベット数は、デジタル表記に代えて、LEDによる表示がなされてもよい。
【0276】
また、スロットマシンは、所定のタイミング(例えば、5ゲームごと、10分ごと)で、その時点でスロットマシンにクレジットされているメダルデータをメダルユニットに送信すること(メダルユニットを介してホールコンピュータ、ユニット管理コンピュータなどにメダルデータが送信されることを含む)ができてもよい。
【0277】
この場合において、メダルユニット(および/または、ホールコンピュータ、ユニット管理コンピュータ。以下、同じ)は、送信されたデータを記録し、最終的に計数ボタンが押下されたときに転送信号とともに送信されるメダルデータと比較して、メダルデータが不正な情報となっていないかを確認することもできる。
【0278】
さらには、メダルユニットは、所定のタイミングで受信するメダルデータが、スロットマシンでの遊技進行(AT中か否か、ボーナス中か否か、通常区間か否かなど)に基づいて、不正な情報となっていないかを確認することもできてもよい。具体的には、スロットマシンのスペックとしてAT中の1ゲームの純増枚数が2枚であるにもかかわらず、100ゲームで1000枚増えている場合などに、メダルユニットは、メダルデータが不正な状態であることを検知することができる。
【0279】
なお、ユニット管理コンピュータで管理されるメダルデータは、さらに遊技情報コンピュータに集約され、すべてのスロットマシンのメダルデータを管理することができてもよい。
【0280】
また、前記実施形態において、操作者は、遊技中の任意のタイミングで休憩をすることができる。この場合において、店舗スタッフは、他のユーザが操作することができないよう、スロットマシンおよび/またはメダルユニットをロックすることができてもよい。
【0281】
また、前記実施形態においてボーナスは、第一種特別役物にかかる役物連続作動装置である例が記載されているが、本発明はこれには限られない。ボーナスは、第一種特別役物、第一種特別役物にかかる役物連続作動装置、第二種特別役物、または第二種特別役物にかかる役物連続作動装置の少なくともいずれか1つであればよい。
【0282】
また、前記実施形態では、スロットマシンがAT機である例が記載されているが、スロットマシンはART(アシストリプレイタイム)機であってもよい。
【0283】
また、遊技区間の種類を表す信号が区間制御部からデジタルカウンタに送信されることで、デジタルカウンタにおいて、例えばドットが表示されるか否かで、遊技区間が有利区間であるか否かを表示することができてもよい。
【0284】
また、前記実施形態に限られず、例えば、ATが終了した場合、あるいは、有利区間の継続ゲーム数が3000ゲームに到達した場合などに、区間制御部は、遊技区間を有利区間から通常区間へと強制的に移行させてもよい。また、スロットマシンは、遊技区間(有利区間および通常区間)を備えていなくてもよい。
【0285】
また、前記実施形態では、一般遊技状態以外の特別遊技状態がATである例が記載されているが、特別遊技状態はCZであってもよい。
【0286】
また、前記実施形態においては記載されていないが、モードは特定条件が満たされた場合(例えば、CZに当せんしたがATに当せんしなかった場合、ATが終了した場合、または、有利区間が終了した場合)に、変更されてもよい。
【0287】
また、前記実施形態においては、コンプリート機能を作動させるにあたって、レンジ(MY)が用いられていたが、これには限られず、メダルの差枚数がコンプリート機能を作動させるか否かの判定に用いられてもよい。
【0288】
また、前記実施形態では、遊技機は、スロットマシンであったが、これには限られず、パチンコであってもよい。このパチンコは、例えば、遊技球(弾球)を射出するためのハンドル、弾球が入球可能な主遊技始動口、開放状態/閉鎖状態に変位可能な可変部材、可変入賞口、可変入賞口開放遊技を行うか否かの判定を行う特別遊技判定手段など、を備える。
【0289】
この場合において、適正判定条件は、例えば、以下のとおりとすることができる。
(1)単位数量(例えば、1000円)の通貨で貸し出される弾球の数量(例えば、250個)以上の弾球を使って遊技がなされたこと
(2)遊技進行に関する操作(ハンドル回転操作)開始から所定時間(例えば、10分)の間の弾球の払い出し数量と射出数量との差が所定個数(例えば、200個)以上であること
(3)遊技進行に関する操作開始から所定時間(例えば、5分)の間の弾球の変動量が所定個数(例えば、100個)以上であること
【0290】
この場合であっても、不適正な状態となっていることを簡易な方法で判定することのできるパチンコを提供することができる。
【0291】
また、その他の例として、
遊技機での遊技の進行を制御することが可能な遊技制御部と、
前記遊技の進行に関する情報を用いて、前記遊技機が不適正状態となっているか否かを判定する適正判定を実行することが可能な判定部と、
を備え、
前記不適正状態は、前記遊技機において適正に遊技がなされていない状態、前記遊技機において所定条件が満たされた状態の遊技が実行されていない状態、および、前記遊技機が不正に確保されている状態、の少なくともいずれか1つであり、
前記遊技制御部は、前記適正判定の結果に応じた処理を実行することが可能である、
遊技機がある。
【0292】
遊技機が不適正状態となっていると判定された場合に、例えば、遊技制御部としての設定値制御部が設定値を変更(例えば、設定値を6から4に下げる)したり、遊技制御部としての遊技状態制御部が第2遊技状態を変更(例えば、モードを高確率モードから通常モードへと降格させる)したりしてもよい。このように、特定のユーザが遊技機を不正に確保することにより、その遊技機での遊技が不利に進行することになるため、遊技機の不正な確保を抑制することができる。
【0293】
さらには、それとは逆に、不正に確保されているわけではないが空き台となっている時間が長いスロットマシンの稼働率を高めるため、遊技制御部が遊技進行を有利にすることもできる。この場合には、遊技制御部としての遊技状態制御部が、例えば第2遊技状態を一般遊技状態からATへと移行させやすくすることができる。
【0294】
また、その他の例として、
遊技機での遊技の進行を制御することが可能な遊技制御部と、
所定期間(例えば、3時間、1日間など)における前記遊技の進行に関する情報(例えば、内部抽せんの結果、メダルのベット数、消化ゲーム数)を用いて、前記遊技機において所定条件(例えば、ゲームの消化速度が5ゲーム/分以上であること、2000ゲーム以上遊技がされること)が満たされるように前記遊技が実行されているか否かを判定する使用判定を実行することが可能な判定部と、
を備え、
前記遊技制御部は、前記使用判定の結果に応じた処理(例えば、ATへの移行確率を上げる、有利区間を継続させやすくする)を実行することが可能である、
遊技機がある。
【0295】
この場合には、天井ゲーム数などとは無関係に、例えば1日のうちで遊技される回数が多い(あるいは少ない)遊技機ほど、遊技状態制御部が、一般遊技状態からATあるいはCZへ移行させやすくしたり、区間制御部が、通常区間から有利区間へ移行させやすくしたりすることができる。これにより、多様なゲーム性を備えた遊技機を提供することができる。また、店舗スタッフが、この機能を発揮させるか否かを事前に設定(機能をON/OFFするスイッチへの押下)することができてもよい。
【0296】
また、前記の場合において、使用判定の結果に応じた処理(遊技機への指示)は、当該遊技機ではなく、ホールコンピュータあるいはユニット管理コンピュータが行ってもよい。
【0297】
また、その他の例として、
遊技機での遊技の進行を制御することが可能な遊技制御部と、
前記遊技に関する情報を報知することが可能な出力部と、
所定期間(例えば、午前中、1日間など)における前記遊技の進行に関する情報(例えば、内部抽せんの結果、メダルのベッド数、消化ゲーム数)を用いて、前記遊技機において所定条件(例えば、ゲームの消化速度が5ゲーム/分以上であること、2000ゲーム以上遊技がされること)が満たされるように前記遊技が実行されているか否かを判定する使用判定を実行することが可能な判定部と、
を備え、
前記出力部は、前記使用判定の結果に応じた処理(例えば、演出内容のパリエーションを増やす)を実行することが可能である、
遊技機がある。
【0298】
この場合には、例えば午前中のうちで遊技された回数が多い(あるいは少ない)遊技機ほど、それ以降、演出制御部(出力部)が、カットイン演出の種類を増やしたり、通常とは異なる演出を実行したりすることができる。これにより、多様な演出内容を備えた遊技機を提供することができる。
【符号の説明】
【0299】
1 スロットマシン(遊技機)
610 内部抽せん部(遊技制御部)
611 回転リール制御部(遊技制御部)
612 遊技結果判定部(遊技制御部)
613 媒体管理部(価値管理部)
614 設置値制御部(遊技制御部)
615 区間制御部(遊技制御部)
616 遊技状態制御部(遊技制御部)
617 RT状態制御部(遊技制御部)
618 判定部
619 機能作動部(遊技制御部)
620 演出制御部(出力部)