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特開2024-28009情報処理システム、情報処理端末、情報処理方法、及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024028009
(43)【公開日】2024-03-01
(54)【発明の名称】情報処理システム、情報処理端末、情報処理方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   A61J 7/00 20060101AFI20240222BHJP
   G16H 20/10 20180101ALI20240222BHJP
【FI】
A61J7/00 Z
G16H20/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022131302
(22)【出願日】2022-08-19
(71)【出願人】
【識別番号】000130581
【氏名又は名称】サトーホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002468
【氏名又は名称】弁理士法人後藤特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】品田 英俊
(72)【発明者】
【氏名】新島 大樹
【テーマコード(参考)】
4C047
5L099
【Fターム(参考)】
4C047AA24
4C047NN20
5L099AA25
(57)【要約】
【課題】錠剤パックの個包装部を簡便に検出すること。
【解決手段】情報処理システムは、複数の個包装部を有する錠剤パックに設けられた無線通信媒体に記憶された錠剤パックの固有情報を取得する取得手段と、錠剤パックを撮像するための撮像手段と、固有情報と錠剤パックの画像とが紐付けて記憶された記憶手段と、固有情報に紐付けられた錠剤パックの画像と、撮像された錠剤パックの画像とに基づいて、複数の個包装部の状態を判定する判定手段と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
錠剤がそれぞれ包装された複数の個包装部を有する錠剤パックに設けられた無線通信媒体に記憶された前記錠剤パックの固有情報を取得する取得手段と、
前記錠剤パックを撮像するための撮像手段と、
前記錠剤パックの前記固有情報と前記錠剤パックの画像とが紐付けて記憶された記憶手段と、
前記取得手段により前記無線通信媒体から読み取られた前記錠剤パックの前記固有情報に紐付けられた前記錠剤パックの前記画像と、前記撮像手段によって撮像された前記錠剤パックの前記画像とに基づいて、前記複数の個包装部の状態を判定する判定手段と、
を備える、
情報処理システム。
【請求項2】
請求項1に記載の情報処理システムであって、
前記撮像手段により撮像された画像を表示する表示手段を備え、
前記撮像手段による前記錠剤パックの撮像の際に、撮像中の画像とともに前記表示手段に撮影を補助するための案内情報を表示する表示制御手段をさらに備える、
情報処理システム。
【請求項3】
請求項2に記載の情報処理システムであって、
前記案内情報が前記固有情報に紐付けされて前記記憶手段に記憶されている、
情報処理システム。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項に記載の情報処理システムであって、
前記判定手段は、前記検出された開封済みの個包装部の位置を判定する、
情報処理システム。
【請求項5】
請求項4に記載の情報処理システムであって、
前記判定手段は、前記判定された前記開封済みの前記個包装部の位置を前記記憶手段に記憶する、
情報処理システム。
【請求項6】
請求項1から3のいずれか1項に記載の情報処理システムであって、
前記判定手段は、前記複数の個包装部の状態として、開封済みの個包装部の数を判定する、
情報処理システム。
【請求項7】
請求項6に記載の情報処理システムであって、
前記判定手段は、前記判定された前記開封済みの前記個包装部の数を前記記憶手段に記憶する、
情報処理システム。
【請求項8】
請求項1に記載の情報処理システムであって、
前記固有情報は、特定の使用頻度に関する情報を含み、
前記判定手段は、前記複数の個包装部における第一の読み取り時の状態と、第二の読み取り時の状態とを比較し、前記特定の使用頻度に応じた状態と異なる場合には、使用者に通知するための通知情報を生成する、
情報処理システム。
【請求項9】
請求項1に記載の情報処理システムであって、
前記無線通信媒体は、近距離無線通信に準拠したラベルである、
情報処理システム。
【請求項10】
錠剤がそれぞれ包装された複数の個包装部を有する錠剤パックに設けられた無線通信媒体に記憶された前記錠剤パックの固有情報を取得する取得部と、
前記錠剤パックを撮像するための撮像部と、
前記錠剤パックの前記固有情報と前記錠剤パックの画像とが紐付けて記憶された記憶部と、
前記取得部により前記無線通信媒体から読み取られた前記錠剤パックの前記固有情報に紐付けられた前記錠剤パックの前記画像と、前記撮像部によって撮像された前記錠剤パックの前記画像とに基づいて、前記複数の個包装部の状態を判定する判定部と、
を備える、
情報処理端末。
【請求項11】
錠剤がそれぞれ包装された複数の個包装部を有する錠剤パックに設けられた無線通信媒体に記憶された前記錠剤パックの固有情報を取得する取得部と、前記錠剤パックを撮像するための撮像部と、を備えた情報処理端末と、
前記錠剤パックの前記固有情報と前記錠剤パックの画像とが紐付けて記憶された記憶部と、を有する情報処理システムのコンピュータが実行する情報処理方法であって、
前記無線通信媒体から読み取られた前記錠剤パックの前記固有情報に紐付けられた前記錠剤パックの前記画像と、前記撮像部によって撮像された前記錠剤パックの前記画像とに基づいて、前記複数の個包装部の状態を判定する、
情報処理方法。
【請求項12】
錠剤がそれぞれ包装された複数の個包装部を有する錠剤パックに設けられた無線通信媒体に記憶された前記錠剤パックの固有情報を取得する取得部と、前記錠剤パックを撮像するための撮像部と、を備えた情報処理端末と、
前記錠剤パックの前記固有情報と前記錠剤パックの画像とが紐付けて記憶された記憶部と、を有する情報処理システムのコンピュータが実行可能なプログラムであって、
前記無線通信媒体から読み取られた前記錠剤パックの前記固有情報に紐付けられた前記錠剤パックの前記画像と、前記撮像部によって撮像された前記錠剤パックの前記画像とに基づいて、前記複数の個包装部の状態を判定する手順を、
前記コンピュータに実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理システム、情報処理端末、情報処理方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、カメラやLEDを備えた装置を、薬剤を包装する薬剤パックに取り付けて、LEDの点灯により使用者に薬剤の服用を促したり、薬剤パックに取り付けた装置のカメラにより撮像した画像に基づいて使用者が薬剤を服用したか否かを判定したりする技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2019-506940号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1では、薬剤等の錠剤パックにカメラやLEDを備えた装置を設ける必要があるため、簡易でない。また、このような装置を錠剤パック毎に準備するコストも嵩む。
【0005】
そこで、本発明は、錠剤パックの個包装部を簡便に検出することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のある態様によれば、錠剤がそれぞれ包装された複数の個包装部を有する錠剤パックに設けられた無線通信媒体に記憶された前記錠剤パックの固有情報を取得する取得手段と、前記錠剤パックを撮像するための撮像手段と、前記錠剤パックの前記固有情報と前記錠剤パックの画像とが紐付けて記憶された記憶手段と、前記取得手段により前記無線通信媒体から読み取られた前記錠剤パックの前記固有情報に紐付けられた前記錠剤パックの前記画像と、前記撮像手段によって撮像された前記錠剤パックの前記画像とに基づいて、前記複数の個包装部の状態を判定する判定手段と、を備える情報処理システムが提供される。
【発明の効果】
【0007】
本態様によれば、錠剤パックの個包装部を簡便に検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、本発明の実施形態に係る情報処理システムを説明する模式図である。
図2図2は、本実施形態に係る無線通信媒体が貼り付けられた錠剤パックの一例を説明する構成図である。
図3図3は、本実施形態に係る情報処理端末の一例を説明する構成図である。
図4図4は、タッチパネル付きディスプレイに表示される案内情報を説明するための模式図である。
図5図5は、本実施形態に係る情報処理装置の一例を説明する構成図である。
図6図6は、情報処理システムにおいて実行される処理を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[情報処理システム]
以下、本発明の実施形態に係る情報処理システム1について、図面を参照して詳細に説明する。図1は、本発明の実施形態に係る情報処理システム1を説明する模式図である。
【0010】
図1に示される情報処理システム1は、無線通信媒体2と、無線通信媒体2が貼り付けられ錠剤を包装する錠剤パック200と、無線通信媒体2と非接触通信が可能な情報処理端末3と、情報処理端末3とネットワークNWを介して通信可能な情報処理装置4とを有し、錠剤パック200を撮像した画像データに基づいて、錠剤パック200の開封又は未開封等の特定状態を検出するシステムである。
【0011】
本実施形態において、錠剤には、薬剤、サプリメント、機能性食品等が含まれる。
【0012】
<無線通信媒体>
図2は、本実施形態に係る無線通信媒体2の一例を説明する構成図である。
【0013】
図2に示されるように、無線通信媒体2は、インレット基材21と、インレット基材21に配置されたループアンテナ22と、ループアンテナ22に接続されたICチップ23とを備える。
【0014】
本実施形態においては、無線通信媒体2は、インレット基材21の裏面に粘着剤層が形成され、検出対象としての錠剤パック200に貼り付けて使用されるラベルである。
【0015】
インレット基材21として、紙や合成樹脂、又はフィルム状に成形可能なエンジニアリングプラスチックを用いることができる。紙としては、クラフト紙、上質紙、アート紙及びコート紙、光沢のあるグロス紙、感熱紙等を用いることができる。
【0016】
また、フィルムとしては、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、塩化ビニル、ポリスチレン、合成樹脂を主原料とした紙状フィルム等を用いることができる。
【0017】
ループアンテナ22及びICチップ23は、非接触通信によって情報を送受するRFID(Radio Frequency Identification)技術に対応したものである。
【0018】
本実施形態においては、ループアンテナ22は、3MHzから30MHzのHF帯、特に、13.56MHzの特定周波数帯域を利用する通信距離10cm程度の近距離無線通信(Near Field Communication:NFC)に対応したものである。
【0019】
ループアンテナ22は、銅やアルミニウム等の金属膜、導電性インキ、又は金属線により形成することができる。ループアンテナ22は、異方導電性ペースト又は導電性フィルムを用いた焼付け接合によりICチップ23に電気的及び物理的に接続されている。
【0020】
ループアンテナ22の一部の表面には、絶縁層24が形成されている。絶縁層24の表面には、導線部25が形成されており、ループアンテナ22の終端と、ICチップ23との連結部を接続している。
【0021】
ICチップ23は、ループアンテナ22と電気的に接続されるとともに、ループアンテナ22を介してインレット基材21の表面に接合されている。ICチップ23には、錠剤パック200を識別するための固有情報(以下、錠剤パックIDと記す)が記憶されている。
【0022】
錠剤パックIDとは、錠剤パックを特定するために用いられる情報であり、本実施形態においては、錠剤パックIDに基づいて、開封又は未開封の判定に使用される基準となる画像データ、薬局によって記録される処方に関する情報等が用意される。
【0023】
また、錠剤パックIDには、特定の使用頻度に関する情報が含まれていてもよい。本実施形態において、特定の使用頻度に関する情報とは、例えば、一日に一回一錠、或いは、一日三回、一回につき二錠のような服薬回数に関する情報である。
【0024】
本実施形態に係る無線通信媒体2は、リーダ/ライタ(本実施形態では、情報処理端末3)を近づけることにより、情報処理端末3との間で近距離無線通信を行って、錠剤パック200の錠剤パックIDを情報処理端末3に送信することができる。
【0025】
<錠剤パック>
図2に示すように、錠剤パック200は、シート基材211を有し、シート基材211に、カプセルや錠剤等の錠剤が封入される個包装部211a,211b,211c,211d,211e,211f,211g,211h,211i,211j,211k,211lが形成された、いわゆるブリスタパックである。
【0026】
錠剤パック200では、例えば、個包装部211a~211lのいずれかから錠剤が取り出されると、個包装部が押し潰されて変形する。このため、錠剤が封入された個包装部の形状と、錠剤が取り出された後の個包装部の形状とを比較することにより、開封又は未開封を判別することができる。
【0027】
<情報処理端末>
図3は、本実施形態に係る情報処理端末3の一例を説明する構成図である。
【0028】
図3に示されるように、情報処理端末3は、ネットワークインタフェース31(以下、NWインタフェース31と記す)と、近距離無線通信インタフェース32(以下、NFCインタフェース32と記す)とを有する。
【0029】
NWインタフェース31は、ネットワークNWを介して、情報処理端末3と情報処理装置4との間で情報の送受を行う。
【0030】
NFCインタフェース32は、近距離無線通信により錠剤パック200に貼り付けられた無線通信媒体2からの信号を読み取る。無線通信媒体2からの信号には、錠剤パックIDが含まれる。
【0031】
情報処理端末3は、表示手段としてのタッチパネル付きディスプレイ33を有する。タッチパネル付きディスプレイ33は、例えば、液晶ディスプレイ(LCD)であって、LCDを起動するLCDドライブによって、無線通信媒体2からの信号を取得するための操作手順の表示や、錠剤パック200の状態に関する判定結果が表示される。
【0032】
情報処理端末3は、音声入出力部34を有する。音声入出力部34は、図示しないが、デジタルデータを音声に変換する回路、スピーカ、及びマイクを有する。
【0033】
情報処理端末3は、錠剤パック200を撮像するための撮像手段としての撮像部35を有する。撮像部35としては、CMOS(Complementary Metal-Oxide-Semiconductor)カメラ、CCD(Charge Coupled Device)カメラ等を適用できる。
【0034】
情報処理端末3は、処理部36を有する。処理部36は、CPU(Central Processing Unit)によって構成されている。
【0035】
処理部36は、無線通信媒体2から錠剤パックIDを取得する処理を行う。また、ネットワークNWを介して、情報処理装置4による錠剤パック200の状態判定の結果を受信する処理を行う。
【0036】
また、処理部36は、CPUの機能構成として、取得手段としての信号取得モジュール361と、表示制御手段としての表示制御モジュール362を備える。信号取得モジュール361及び表示制御モジュール362は、CPUによって実現される機能構成であるが、各モジュールの機能を実行する物理的構成であってもよい。
【0037】
信号取得モジュール361は、NFCインタフェース32において無線通信媒体2から錠剤パックIDを取得する処理を行う。すなわち、NFCインタフェース32と信号取得モジュール361は、錠剤パックIDを取得する取得手段として機能する。
【0038】
信号取得モジュール361は、NFCインタフェース32による無線通信媒体2からの信号の読み取りを実行する。
【0039】
表示制御モジュール362は、撮像部35による錠剤パック200の撮像の際、撮像中の画像とともに、タッチパネル付きディスプレイ33に、錠剤パック200の撮影を補助するための案内情報331を表示する。
【0040】
図4は、タッチパネル付きディスプレイ33に表示される案内情報331を説明するための模式図である。
【0041】
図4には、情報処理端末3のタッチパネル付きディスプレイ33に、情報処理端末3の撮像部35によって撮像された錠剤パック200が映し出されている様子が示されている。
【0042】
錠剤パック200の個包装部211a~211lは、封入される錠剤の形状やサイズに適合するように作製されている。このため、錠剤パック200の撮像のしかたによっては、画像の歪みや錠剤パック200の表面における反射などにより、錠剤パック200及びその個包装部211a~211lの状態を判定するために十分な画像データが取得できない場合がある。
【0043】
これに対して、本実施形態においては、図4に示されるように、タッチパネル付きディスプレイ33に、案内情報331が点線枠として表されている。案内情報331(点線枠)は、錠剤パック200の外形と合う形状とされている。
【0044】
また、図4には、タッチパネル付きディスプレイ33に表示される錠剤パック200の撮像画像がタッチパネル付きディスプレイ33に表示される案内情報331の枠内に収まるように促すガイダンスも表示されている。
【0045】
したがって、案内情報331によれば、ユーザは、錠剤パック200の状態の判定するために十分な画像データが取得できるように案内されるため、撮像データのばらつきによる状態判定結果の精度低下を防止することができる。
【0046】
本実施形態では、案内情報331は、錠剤パック200の種類毎に用意されている。案内情報331は、情報処理装置4において予め準備され、記憶部45に記憶されている。案内情報331は、情報処理装置4から情報処理端末3に送られる。
【0047】
処理部36は、記憶部37に保存された各種制御プログラムに従って、NWインタフェース31、NFCインタフェース32、タッチパネル付きディスプレイ33、音声入出力部34、撮像部35の各部を制御する。
【0048】
情報処理端末3は、記憶部37を有する。記憶部37は、各種制御プログラムを記憶するROM(Read Only Memory)やCPUのワークエリアとしてのRAM(Random Access Memory)を含む。記憶部37としては、SSD(Solid State Drive)等を用いることができる。
【0049】
また、記憶部37には、無線通信媒体2から錠剤パックIDを取得する処理を実行するためのプログラム、情報処理装置4へ画像データを送信する処理を実行するためのプログラム、情報処理装置4から状態判定の結果を受信し、表示する処理を実行するためのプログラム等が保存されている。
【0050】
記憶部37には、処理部36がNWインタフェース31、NFCインタフェース32、タッチパネル付きディスプレイ33、音声入出力部34の各部を制御するための各種制御プログラムも保存されている。
【0051】
NWインタフェース31、NFCインタフェース32、タッチパネル付きディスプレイ33、音声入出力部34、処理部36及び記憶部37は、内部バス38によって互いに接続されている。
【0052】
以上の構成を有することにより、情報処理端末3は、無線通信媒体2との間で近距離無線通信に準拠する非接触通信を行って、無線通信媒体2から信号を取得することができる。
【0053】
また、情報処理端末3は、錠剤パック200に貼り付けられた無線通信媒体2から錠剤パックIDを取得することができる。また、錠剤パック200の画像データを情報処理装置4に送信することができる。
【0054】
<情報処理装置>
図5は、本実施形態に係る情報処理装置4を説明する構成図である。
【0055】
図5に示されるように、情報処理装置4は、ネットワークNWに無線接続するためのネットワークインタフェース41(以下、NWインタフェース41と記す)を有する。これにより、情報処理装置4は、ネットワークNWを介して情報処理端末3との間で無線通信を行う、いわゆるサーバとして機能する。
【0056】
情報処理装置4は、管理者からの入力を受け付ける入力部42と、表示部43と、処理部44とを有する。
【0057】
処理部44は、CPUによって構成されている。処理部44は、CPUの機能構成として、判定手段としての判定モジュール441を備える。
【0058】
判定モジュール441は、無線通信媒体2から取得された錠剤パック200の錠剤パックIDに紐付けられた錠剤パック200の画像データと、撮像部35によって撮像された錠剤パック200の画像データとに基づいて、複数の個包装部の状態を判定する。
【0059】
具体的には、判定モジュール441は、複数の個包装部の状態として、検出された開封済みの個包装部の位置及び数を判定する。
【0060】
一例として、判定モジュール441は、複数の個包装部における第一の読み取り時(前回の読み取り時)における錠剤パック200の状態として取得した画像データを基準となる画像データとし、当該基準データと、第二の読み取り時(今回の読み取り時)における錠剤パックの状態として取得した画像データとを比較し、特定の使用頻度に応じた状態と異なる場合には、使用者に注意を促すための通知情報を生成する。
【0061】
判定モジュール441は、上述した「前回の読み取り時」が初回の場合には、初回の開封判定処理として、情報処理装置4の記憶部45に予め記憶された、未開封状態の錠剤パック200の画像データと、情報処理端末3によって取得された錠剤パック200の画像データとを比較する。判定後、情報処理端末3によって取得された錠剤パック200の画像データは、錠剤パック200の錠剤パックIDと紐付けられて記憶部45に記憶され、次回の開封判定処理のための基準となる画像データとして使用される。
【0062】
また、判定モジュール441は、第二の読み取り以降の開封判定処理においては、記憶部45に、錠剤パック200の錠剤パックIDと紐付けられて記憶された画像データと、情報処理端末3によって新たに取得された錠剤パック200の画像データとを比較する。判定後、情報処理端末3によって新たに取得された錠剤パック200の画像データが錠剤パック200の錠剤パックIDと紐付けられて記憶部45に記憶され、次回の開封判定処理のための基本画像データとして使用される。
【0063】
また、処理部44は、NWインタフェース41、入力部42、表示部43の各部を制御する。
【0064】
情報処理装置4は、記憶部45を有する。記憶部45は、各種制御プログラムを記憶するROMやCPUのワークエリアとしてのRAMを含む。記憶部45としては、HDD(Hard Disk Drive)或いはSSD等を用いることができる。
【0065】
記憶部45には、錠剤パック200を特定するために用いられる錠剤パックIDに基づいて、開封又は未開封の判定に使用される基準となる画像データや、薬局によって記録される処方に関する情報等が記憶される。
【0066】
また、記憶部45には、錠剤パック200の現状態が錠剤パックIDと紐付けて保存されている。ここで、現状態とは、錠剤パック200の使用頻度(服用頻度)に関する情報を含む。例えば、一日に一回一錠等のように、一回の服用数や一日に服用する回数等の情報が含まれる。
【0067】
本実施形態において、基準となる画像データとは、初回の判定に使用される基準となる画像データは、錠剤パック200の錠剤パックIDに紐付けられて、予め記憶部45に記憶された未開封の錠剤パック200の画像データである。また、二回目以降の判定に使用される基準となる画像データは、前回の開封判定に使用された、情報処理端末3によって取得された画像データである。すなわち、基準となる画像データは、開封判定が行われる都度、情報処理端末3によって取得された画像データに更新されている。
【0068】
NWインタフェース41、入力部42、表示部43、処理部44及び記憶部45は、内部バス46によって互いに接続されている。
【0069】
以上の構成を有することにより、情報処理装置4は、無線通信媒体2に記憶された錠剤パックIDに関連する判定に用いる情報を、ネットワークNWを介して情報処理端末3から送信することができる。また、情報処理端末3から受信した錠剤パックID及び錠剤パック200の画像データに基づいて、錠剤パック200における個包装部211a~211lの開封又は未開封を判定することができる。
【0070】
[錠剤パックの状態判定処理]
図6は、情報処理システム1において実行される処理を説明するためのフローチャートである。
【0071】
使用者は、情報処理端末3にインストールされている錠剤パック200を読み取るためのプログラムを立ち上げて、情報処理端末3を錠剤パック200にかざして、読み取りを開始する。
【0072】
ステップS1において、情報処理端末3は、無線通信媒体2に錠剤パックIDを要求する。
【0073】
ステップS2において、無線通信媒体2は、情報処理端末3に錠剤パックIDを通知する。
【0074】
ステップS3において、情報処理端末3は、錠剤パックIDを受信すると、ネットワークNWを介して、情報処理装置4に錠剤パックIDを送信する。
【0075】
ステップS4において、情報処理装置4は、錠剤パックIDを受信し、受信した錠剤パックIDと記憶部45に保存された錠剤パックIDとを照合できた場合には、情報処理端末3に照合できた旨の信号を通知する。また、錠剤パックIDに紐付けて記憶された錠剤パック200に対応する案内情報331を情報処理端末3に送信する。
【0076】
ステップS5において、情報処理端末3は、照合通知を受信すると、撮像部35を起動する。
【0077】
続いて、情報処理端末3は、ステップS6において、タッチパネル付きディスプレイ33に、情報処理端末3を用いて錠剤パック200を撮影するように使用者に促す案内表示を行う。
【0078】
情報処理端末3は、ステップS6において、撮像部35による錠剤パック200の撮像の際に、撮像中の画像をタッチパネル付きディスプレイ33に表示するとともに、撮像を補助するための案内情報331を撮像中の画像に重ねて表示する。
【0079】
ステップS7において、使用者により、情報処理端末3を用いて錠剤パック200の画像が取得される。
【0080】
ステップS8において、情報処理端末3は、取得した画像データを、ネットワークNWを介して情報処理装置4に送信する。
【0081】
ステップS9において、情報処理装置4は、ネットワークNWを介して、情報処理端末3から錠剤パック200の画像データを受信する。
【0082】
ステップS10において、情報処理装置4は、第一の読み取り時(前回の読み取り時)における錠剤パックの状態と、第二の読み取り時(今回の読み取り時)における錠剤パックの状態とを比較し、錠剤パックの状態を判定する。
【0083】
「前回の読み取り時」が初回の場合には、情報処理装置4は、初回の開封判定処理として、記憶部45に予め記憶された未開封状態の錠剤パック200の画像データと、情報処理端末3によって取得された錠剤パック200の画像データとを比較する。また、第二の読み取り以降の開封判定処理においては、情報処理装置4は、初回の開封判定において更新された画像データと、情報処理端末3によって新たに取得された錠剤パック200の画像データとを比較する。
【0084】
個包装部から錠剤が取り出されると、個包装部は押し潰されるため、錠剤が封入された個包装部の形状と錠剤の形状、錠剤が取り出された後の個包装部の形状とを比較することにより、開封又は未開封を判別することができる。
【0085】
すなわち、情報処理装置4は、判定モジュール441により、錠剤パックIDに紐付けられた錠剤パック200の画像データと、撮像部35によって撮像されて情報処理端末3から送られた錠剤パック200の画像データとに基づいて、複数の個包装部の状態を判定する。
【0086】
具体的には、情報処理装置4は、錠剤パック200の個包装部211a~211lのうち変形した個包装部を画像処理及び画像認識により開封したと判定する。
【0087】
具体的には、基準となる画像データの特徴部分(錠剤パックの輪郭形状、個別の包装の形状、位置、個数など)を、情報処理端末3から取得された画像データの特徴部分と比較する。一例として、情報処理端末3から取得された画像データにおける上記特徴部分を画像データに基づいて数値化し、数値同士を比較し、開封を判定する。
【0088】
特徴部分における比較対象としては、例えば、錠剤パック200におけるシート基材211におけるアルミ部分の禿げ方、錠剤パック200における個包装部211a,211b,211c,211d,211e,211f,211lの変形具合、個包装部の錠剤形状、大きさ、色等がある。これらの中から少なくとも1つの指標を使用することができる。
【0089】
このようにして、情報処理装置4は、開封された個包装部の数を判定することができる。
【0090】
例えば、判定のために使用される画像データの品質が判定処理を実行できるレベルに達していない場合や、判定処理が実行できなかった場合などには、情報処理装置4は、エラー信号を生成し、情報処理端末3に送信する。
【0091】
情報処理端末3は、ステップS11において、情報処理装置4からエラー信号を受信した場合には(ステップS11;Yes)、錠剤パック200の画像データの取得工程(ステップS6)から繰り返す。
【0092】
情報処理装置4は、錠剤パックIDに紐付けて記憶された、特定の使用頻度と、判定結果とを比較し、特定の使用頻度に応じた状態と異なる場合には、使用者に通知するための通知情報を生成し、情報処理端末3に送信する。
【0093】
例えば、一日に3錠服用するところ、朝の所定時間に読み取った時の状態と、夜の所定時間に読み取った時の状態とを比較して、2錠分しか開封されていないと判定された場合には、情報処理装置4は、使用者に「処方通りの服用ができていない」ことを通知する通知情報を生成し、情報処理端末3に送信する。
【0094】
また、情報処理装置4は、判定結果としての、開封済みの個包装部の位置、開封済みの個包装部の数、及び通知情報等のデータを情報処理端末3に送信する。なお、未開封の個包装部の位置及び数も同様に判定することができる。
【0095】
ステップS12において、情報処理端末3において取得され、情報処理端末3から送られた画像データと、判定された開封済みの個包装部の位置及び数とを記憶部45に記憶する。情報処理端末3において取得され、情報処理端末3から送られた画像データは、次回の錠剤パックの状態判定の際に、基準となる画像データとして使用される。
【0096】
情報処理端末3は、ステップS11において、情報処理装置4からエラー信号を受信することなく、通知信号を受信した場合には、ステップS13において、情報処理端末3は、情報処理装置4から受信した開封済みの個包装部の位置及び開封済みの個包装部の数等のデータに基づいて、ユーザの服薬を管理するための通知情報を表示する。
【0097】
例えば、情報処理端末3は、情報処理装置4から受信したデータに通知情報に関するデータが含まれる場合には、通知情報に基づいて、情報処理端末3は、使用者に「処方通りの服用ができていない」ことを通知する通知情報を表示する。
【0098】
ステップS14において、情報処理端末3は、情報処理装置4から受信した開封済みの個包装部の位置及び開封済みの個包装部の数等のデータを記憶部37に保存する。
【0099】
<作用効果>
本実施形態に係る情報処理システム1は、錠剤パック200に貼り付けられる無線通信媒体2と、無線通信媒体2と非接触通信が可能であるとともに錠剤パック200を撮像する情報処理端末3と、情報処理端末3から送られた錠剤パック200の画像データに基づいて、錠剤パックの状態を判定する情報処理装置4と、を備える。
【0100】
本実施形態によれば、無線通信媒体2を錠剤パック200に貼り付けることにより、錠剤パック200を特定することができ、特定された錠剤パック200の基準となる画像データと、情報処理端末3において撮像された錠剤パック200の画像データとに基づいて、錠剤パック200の個包装部の状態を判定することができる。
【0101】
したがって、錠剤パック200の個包装部の開封又は未開封を簡便に検出することができる。
【0102】
情報処理装置4は、錠剤パックIDに紐付けられた錠剤パック200の画像データと、撮像部35によって撮像されて情報処理端末3から送られた錠剤パック200の画像データとに基づいて、複数の個包装部の状態を判定することができる。
【0103】
具体的には、情報処理装置4は、判定モジュール441により、錠剤パックIDに紐付けられた錠剤パック200の画像データと、情報処理端末3から送られた撮像部35によって撮像された錠剤パック200の画像データとに基づいて、錠剤パック200の、個包装部211a~211lのうち変形した個包装部を検出する。
【0104】
具体的には、情報処理装置4は、錠剤パック200の個包装部211a~211lのうち変形した個包装部を画像処理により開封したと判定する。また、これにより、情報処理装置4は、開封された個包装部の数を判定することができる。
【0105】
また、情報処理装置4は、錠剤パックIDに紐付けて記憶された、特定の使用頻度と、判定結果とを比較し、特定の使用頻度に応じた状態と異なる場合には、使用者に通知するための通知情報を生成し、情報処理端末3に送信する。
【0106】
具体的には、一日に3錠服用するところ、朝の所定時間に読み取った時の状態と、夜の所定時間に読み取った時の状態とを比較して、2錠分しか開封されていないと判定された場合には、使用者の情報処理端末3に「処方通りの服用ができていない」ことを通知することができる。
【0107】
[その他の実施形態]
以上、本実施形態について説明したが、上記実施形態は本発明の適用例の一つを示したものに過ぎず、本発明の技術的範囲を上記実施形態の具体的構成に限定する趣旨ではない。
【0108】
本実施形態において、「錠剤」とあるのは、カプセル形態も含まれる。
【0109】
本実施形態では、無線通信媒体2が備えるアンテナは、ループアンテナ以外に、ダイポールアンテナであってもよい。また、UHF帯(300MHz~3GHz、特に860MHz~960MHz)に対応したアンテナであってもよい。
【0110】
本実施形態においては、無線通信媒体2は、リーダ/ライタ(本実施形態では、情報処理端末3)が近づけられた際に、リーダ/ライタによる誘導起電力によってループアンテナ22に生じる電流を電流源として起動する。このほか、電界の作用、又は電波等により、ICチップ23を起動するための電源を得る方式を適用することもできる。
【0111】
本実施形態において、処理部36及び処理部44は、それぞれ複数のマイクロコンピュータによって構成されていてもよい。
【0112】
記憶部37は、処理部36の動作プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記憶媒体であり、情報処理端末3に対して着脱可能に構成されていてもよい。記憶部45も同様に、情報処理装置4に対して着脱可能に構成されていてもよい。
【0113】
図6に示された処理において、情報処理端末3及び情報処理装置4において実行されるステップは、全て、情報処理端末3において実行されてもよい。また、情報処理装置4が無線通信媒体2のリーダ/ライタを備える場合には、情報処理端末3及び情報処理装置4において実行されるステップは、全て、情報処理装置4において実行されてもよい。
【0114】
また、図6に示されたステップのいくつかは、ネットワークNWに接続された図示しない別の端末或いは別の装置において実行されてもよい。
【0115】
本実施形態において、情報処理システム1における各処理を実行するための各種プログラムは、例えばCD-ROM、半導体メモリ等の非一過性の記録媒体に記憶されたものを用いてもよい。
【符号の説明】
【0116】
1 情報処理システム
2 無線通信媒体
3 情報処理端末
4 情報処理装置
21 インレット基材
22 ループアンテナ
23 ICチップ
24 絶縁層
25 導線部
31 ネットワークインタフェース(NWインタフェース)
32 近距離無線通信インタフェース(NFCインタフェース)
33 タッチパネル付きディスプレイ(表示手段)
34 音声入出力部
35 撮像部(撮像手段)
36 処理部
37 記憶部(記憶手段)
37 内部バス
41 ネットワークインタフェース(NWインタフェース)
42 入力部
43 表示部
44 処理部
45 記憶部(記憶手段)
46 内部バス
200 錠剤パック
211 シート基材
211a,211b,211c,211d,211e,211f,211g,211h,211i,211j,211k,211l 個包装部
331 案内情報
361 信号取得モジュール(取得手段)
362 表示制御モジュール(表示制御手段)
441 判定モジュール(判定手段)
図1
図2
図3
図4
図5
図6