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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024028013
(43)【公開日】2024-03-01
(54)【発明の名称】情報処理装置及び情報処理プログラム
(51)【国際特許分類】
   H04N 1/00 20060101AFI20240222BHJP
   H04N 1/10 20060101ALI20240222BHJP
【FI】
H04N1/00 350
H04N1/10
H04N1/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022131308
(22)【出願日】2022-08-19
(71)【出願人】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士フイルムビジネスイノベーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 栄里
(72)【発明者】
【氏名】海原 浩平
(72)【発明者】
【氏名】桑野 綾
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 満
【テーマコード(参考)】
5C062
5C072
【Fターム(参考)】
5C062AA05
5C062AB17
5C062AB20
5C062AB25
5C062AB41
5C062AB42
5C062AC02
5C062AC04
5C062AC05
5C062AC24
5C062AC64
5C062AC66
5C062AE15
5C062AF14
5C072AA01
5C072BA02
5C072EA08
5C072FA08
5C072LA02
5C072LA12
5C072RA07
5C072VA07
5C072XA04
(57)【要約】
【課題】マーカを用いて原稿に対する処理対象領域を指定する場合において、マーカの下に位置された情報の欠落を防止することができる情報処理装置及び情報処理プログラムを得る。
【解決手段】画像処理装置10は、マーカが原稿の表面に配置されている場合は、当該マーカの配置位置を用いて処理対象領域を特定して当該処理対象領域を示す領域情報を登録し(登録部11A)、マーカが原稿の表面に配置されていない場合で、かつ、領域情報が登録されている場合は、当該領域情報が示す処理対象領域を対象として、予め定められた処理を実行し(実行部11B)、マーカが原稿の表面に配置されていない場合で、かつ、領域情報が登録されていない場合は、原稿の表面における予め定められた領域を対象として登録した後、領域情報が登録された場合に、当該領域情報が示す処理対象領域を上記処理の対象とする領域として特定する(特定部11C)。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロセッサを備え、
前記プロセッサは、
原稿における処理対象領域を当該原稿の表面に配置されたマーカの位置を用いて特定する場合において、
前記マーカが前記原稿の表面に配置されている場合は、当該マーカの配置位置を用いて前記処理対象領域を特定して当該処理対象領域を示す領域情報を登録し、
前記マーカが前記原稿の表面に配置されていない場合で、かつ、前記領域情報が登録されている場合は、当該領域情報が示す処理対象領域を対象として、予め定められた処理を実行し、
前記マーカが前記原稿の表面に配置されていない場合で、かつ、前記領域情報が登録されていない場合は、前記原稿の表面における予め定められた領域を対象として登録した後、前記領域情報が登録された場合に、当該領域情報が示す処理対象領域を前記処理の対象とする領域として特定する、
情報処理装置。
【請求項2】
前記プロセッサは、
前記原稿及び前記マーカが静止した場合に、前記マーカの前記原稿の表面への配置の有無を特定する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記プロセッサは、
前記原稿の配置対象とされる領域に対する撮影画像を用いて、前記原稿及び前記マーカが静止したか否かを特定する、
請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記プロセッサは、
前記領域情報を登録する第1動作モード、及び前記処理を実行する第2動作モードの何れの動作モードで動作しているのかを示す動作モード情報を提示する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記プロセッサは、
前記第1動作モードが終了した場合に、前記マーカを前記原稿から離隔する旨を示す情報を提示する、
請求項4に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記マーカは、前記処理の内容が特定可能とされている、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記マーカは、当該マーカの外観的な特徴により、前記処理の内容が特定可能とされている、
請求項6に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記外観的な特徴は、色、濃淡度、及び形状の少なくとも1つである、
請求項7に記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記プロセッサは、
前記マーカが複数であり、かつ、最後のマーカの検出が終了した場合、前記領域情報を登録する動作モードを終了する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項10】
前記処理は、書画カメラを用いた処理である、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項11】
前記書画カメラを用いた処理は、画像読取処理に関する処理である、
請求項10に記載の情報処理装置。
【請求項12】
原稿における処理対象領域を当該原稿の表面に配置されたマーカの位置を用いて特定する場合において、
前記マーカが前記原稿の表面に配置されている場合は、当該マーカの配置位置を用いて前記処理対象領域を特定して当該処理対象領域を示す領域情報を登録し、
前記マーカが前記原稿の表面に配置されていない場合で、かつ、前記領域情報が登録されている場合は、当該領域情報が示す処理対象領域を対象として、予め定められた処理を実行し、
前記マーカが前記原稿の表面に配置されていない場合で、かつ、前記領域情報が登録されていない場合は、前記原稿の表面における予め定められた領域を対象として登録した後、前記領域情報が登録された場合に、当該領域情報が示す処理対象領域を前記処理の対象とする領域として特定する、
処理をコンピュータに実行させるための情報処理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、情報処理装置及び情報処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
原稿における処理対象領域を特定することに関する技術として以下の技術があった。
【0003】
特許文献1には、カメラと、撮影したデータを処理するプロセッサと、メモリとを有する携帯電話機にインストール可能であり、画像としての保存を希望するために4つのマーカを配置することにより形成された矩形状の仮想枠で囲まれた原稿上の領域を、前記カメラによって前記4つのマーカと共に撮影して得られた写真データを処理する携帯電話機用トリミングプログラムが開示されている。
【0004】
この携帯電話機用トリミングプログラムは、前記写真データから前記4つのマーカを自動で検出する手順と、検出された4つのマーカにて画定される矩形領域を前記写真データから自動でトリミングして画像データを生成する手順と、を含む。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2013-161425号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、この技術では、原稿における各マーカの配置位置の下に文字や図形等の情報が隠れている場合に、当該情報が欠落してしまう、という問題点があった。
【0007】
本開示の目的は、マーカを用いて原稿に対する処理対象領域を指定する場合において、マーカの下に位置された情報の欠落を防止することができる情報処理装置及び情報処理プログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、第1態様に係る情報処理装置は、プロセッサを備え、前記プロセッサは、原稿における処理対象領域を当該原稿の表面に配置されたマーカの位置を用いて特定する場合において、前記マーカが前記原稿の表面に配置されている場合は、当該マーカの配置位置を用いて前記処理対象領域を特定して当該処理対象領域を示す領域情報を登録し、前記マーカが前記原稿の表面に配置されていない場合で、かつ、前記領域情報が登録されている場合は、当該領域情報が示す処理対象領域を対象として、予め定められた処理を実行し、前記マーカが前記原稿の表面に配置されていない場合で、かつ、前記領域情報が登録されていない場合は、前記原稿の表面における予め定められた領域を対象として登録した後、前記領域情報が登録された場合に、当該領域情報が示す処理対象領域を前記処理の対象とする領域として特定する。
【0009】
また、第2態様に係る情報処理装置は、第1態様に係る情報処理装置において、前記プロセッサが、前記原稿及び前記マーカが静止した場合に、前記マーカの前記原稿の表面への配置の有無を特定するものである。
【0010】
また、第3態様に係る情報処理装置は、第2態様に係る情報処理装置において、前記プロセッサが、前記原稿の配置対象とされる領域に対する撮影画像を用いて、前記原稿及び前記マーカが静止したか否かを特定するものである。
【0011】
また、第4態様に係る情報処理装置は、第1態様に係る情報処理装置において、前記プロセッサが、前記領域情報を登録する第1動作モード、及び前記処理を実行する第2動作モードの何れの動作モードで動作しているのかを示す動作モード情報を提示するものである。
【0012】
また、第5態様に係る情報処理装置は、第4態様に係る情報処理装置において、前記プロセッサが、前記第1動作モードが終了した場合に、前記マーカを前記原稿から離隔する旨を示す情報を提示するものである。
【0013】
また、第6態様に係る情報処理装置は、第1態様に係る情報処理装置において、前記マーカが、前記処理の内容が特定可能とされているものである。
【0014】
また、第7態様に係る情報処理装置は、第6態様に係る情報処理装置において、前記マーカが、当該マーカの外観的な特徴により、前記処理の内容が特定可能とされているものである。
【0015】
また、第8態様に係る情報処理装置は、第7態様に係る情報処理装置において、前記外観的な特徴が、色、濃淡度、及び形状の少なくとも1つであるものである。
【0016】
また、第9態様に係る情報処理装置は、第1態様に係る情報処理装置において、前記プロセッサが、前記マーカが複数であり、かつ、最後のマーカの検出が終了した場合、前記領域情報を登録する動作モードを終了するものである。
【0017】
また、第10態様に係る情報処理装置は、第1態様に係る情報処理装置において、前記処理が、書画カメラを用いた処理であるものである。
【0018】
また、第11態様に係る情報処理装置は、第10態様に係る情報処理装置において、前記書画カメラを用いた処理が、画像読取処理に関する処理であるものである。
【0019】
更に、上記目的を達成するために、第12態様に係る情報処理プログラムは、原稿における処理対象領域を当該原稿の表面に配置されたマーカの位置を用いて特定する場合において、前記マーカが前記原稿の表面に配置されている場合は、当該マーカの配置位置を用いて前記処理対象領域を特定して当該処理対象領域を示す領域情報を登録し、前記マーカが前記原稿の表面に配置されていない場合で、かつ、前記領域情報が登録されている場合は、当該領域情報が示す処理対象領域を対象として、予め定められた処理を実行し、前記マーカが前記原稿の表面に配置されていない場合で、かつ、前記領域情報が登録されていない場合は、前記原稿の表面における予め定められた領域を対象として登録した後、前記領域情報が登録された場合に、当該領域情報が示す処理対象領域を前記処理の対象とする領域として特定する、処理をコンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0020】
第1態様及び第12態様によれば、マーカを用いて原稿に対する処理対象領域を指定する場合において、マーカの下に位置された情報の欠落を防止することができる。
【0021】
第2態様によれば、マーカの原稿の表面への配置の有無を特定するまでの手順を簡略化することができる。
【0022】
第3態様によれば、書画カメラ等のカメラを用いる処理を行う場合における、当該カメラを静止状態の特定に共用することができる。
【0023】
第4態様によれば、ユーザに対して動作モードを把握させることができる。
【0024】
第5態様によれば、ユーザに対してマーカの離隔のタイミングを指示することができる。
【0025】
第6態様によれば、マーカによって処理対象領域に対する処理を設定することができる。
【0026】
第7態様によれば、処理の内容を直感的に把握することができる。
【0027】
第8態様によれば、適用した特徴を用いて、処理の内容を把握することができる。
【0028】
第9態様によれば、領域情報を登録する動作モードを自動的に終了させることができる。
【0029】
第10態様によれば、書画カメラによる処理において、マーカの下に位置された情報の欠落を防止することができる。
【0030】
第11態様によれば、書画カメラによる画像読取処理に関する処理において、マーカの下に位置された情報の欠落を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1】実施形態に係る画像処理装置の全体的な構成の一例を示す斜視図である。
図2】実施形態に係る画像処理装置の電気系のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
図3】実施形態に係る画像処理装置の機能的な構成の一例を示すブロック図である。
図4】実施形態に係る画像処理装置に対するマーカの配置状態の一例を示す平面図である。
図5】実施形態に係るマーカ関連情報データベースの構成の一例を示す模式図である。
図6】実施形態に係る処理関連情報データベースの構成の一例を示す模式図である。
図7】実施形態に係る情報処理の一例を示すフローチャートである。
図8】実施形態に係るプレビュー画面の一例を示す正面図である。
図9】実施形態に係るプレビュー画面の一例を示す正面図である。
図10】実施形態に係るプレビュー画面の一例を示す正面図である。
図11】実施形態に係る情報処理が対応可能な状況の具体的な事例の説明に供する図であり、マーカによって文字が隠れてしまう一例を示す図である。
図12】実施形態に係る情報処理が対応可能な状況の具体的な事例の説明に供する図であり、期待される処理状態の一例を示す図である。
図13】実施形態に係る情報処理が対応可能な状況の具体的な事例の説明に供する図であり、マーカによって文字が隠れてしまう一例を示す図である。
図14】実施形態に係る情報処理が対応可能な状況の具体的な事例の説明に供する図であり、原稿とマーカの配置状態の一例を示す図である。
図15】実施形態に係る情報処理が対応可能な状況の具体的な事例の説明に供する図であり、マーカによって文字が隠れてしまう一例を示す図である。
図16】他の実施形態に係る画像処理装置の全体的な構成の一例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、本開示の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。なお、本実施形態では、本開示の技術の情報処理装置を、オフィス内に設けられ、かつ、書画カメラを有する画像処理装置を対象として適用した場合の形態例について説明する。但し、本開示の技術の適用対象は、オフィスに限るものではなく、学校、家庭内等といった画像処理装置が設置され得る場所であれば、如何なる場所でも適用対象となり得る。また、本開示の技術の適用対象は、画像処理装置に限るものではなく、画像を読み取る画像読取装置や、読み取った画像を他の装置に送信する画像送信装置等、複数枚の原稿に対して何らかの処理を実行する装置であれば、如何なる装置でも適用対象となり得る。
【0033】
まず、図1を参照して、本実施形態に係る画像処理装置10の構成を説明する。図1は、本実施形態に係る画像処理装置10の全体的な構成の一例を示す斜視図である。
【0034】
図1に示すように、本実施形態に係る画像処理装置10は、上面に原稿が置かれる原稿台30、各種情報の表示や各種情報の入力を行うユーザ・インタフェース部(以下、「UI部」という。)40、画像が形成された用紙を排紙するトレイ50、及び各種用紙を給紙する給紙部60を備えている。
【0035】
また、本実施形態に係る画像処理装置10は、原稿台30の上面側を撮影可能に構成された書画カメラ70が設けられている。本実施形態に係る書画カメラ70は、一端部が原稿台30の奥手側に固定されたアーム72の他端部に設けられており、その撮影画角が、原稿台30における原稿配置領域32にほぼ一致するように位置決めされている。
【0036】
なお、本実施形態では、書画カメラ70としてカラーの動画像を撮影するものを適用しているが、これに限るものではない。例えば、モノクロやグレイスケールの動画像を撮影するものを書画カメラ70として適用する形態としてもよい。
【0037】
一方、本実施形態に係るUI部40は、各種スイッチ類を有する入力部14、及び液晶ディスプレイ等により構成された表示部15を備えている。本実施形態に係る表示部15は、ディスプレイの表面側に光透過性を有するタッチパネルが設けられた、所謂タッチパネル・ディスプレイとして構成されている。
【0038】
なお、本実施形態では、画像処理装置10として、画像印刷機能、画像読取機能、及び画像送信機能等を有するデジタル複合機を適用している。但し、この形態に限るものではなく、画像印刷機能のみを有する画像処理装置や、画像印刷機能及び画像読取機能のみを有する画像処理装置等の他の画像処理装置を画像処理装置10として適用する形態としてもよい。
【0039】
次に、図2を参照して、本実施形態に係る画像処理装置10の電気系の構成を説明する。図2は、本実施形態に係る画像処理装置10の電気系のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【0040】
図2に示すように、本実施形態に係る画像処理装置10は、プロセッサとしてのCPU(Central Processing Unit)11、一時記憶領域としてのメモリ12、不揮発性の記憶部13、及び上述した入力部14及び表示部15を有するUI部40を備えている。また、本実施形態に係る画像処理装置10は、媒体読み書き装置(R/W)16、通信インタフェース(I/F)部18、及び上述した書画カメラ70を備えている。CPU11、メモリ12、記憶部13、UI部40、媒体読み書き装置16、通信I/F部18、及び書画カメラ70はバスBを介して互いに接続されている。媒体読み書き装置16は、記録媒体17に書き込まれている情報の読み出し及び記録媒体17への情報の書き込みを行う。
【0041】
本実施形態に係る記憶部13はHDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、フラッシュメモリ等によって実現される。記憶媒体としての記憶部13には、情報処理プログラム13Aが記憶されている。情報処理プログラム13Aは、情報処理プログラム13Aが書き込まれた記録媒体17が媒体読み書き装置16に接続され、媒体読み書き装置16が記録媒体17からの情報処理プログラム13Aの読み出しを行うことで、記憶部13へ記憶(インストール)される。CPU11は、情報処理プログラム13Aを記憶部13から読み出してメモリ12に展開し、情報処理プログラム13Aが有するプロセスを順次実行する。
【0042】
また、記憶部13には、マーカ関連情報データベース13B及び処理関連情報データベース13Cが記憶されている。なお、マーカ関連情報データベース13B及び処理関連情報データベース13Cについては、詳細を後述する。
【0043】
次に、図3を参照して、本実施形態に係る画像処理装置10の機能的な構成について説明する。図3は、本実施形態に係る画像処理装置10の機能的な構成の一例を示すブロック図である。
【0044】
図3に示すように、本実施形態に係る画像処理装置10は、登録部11A、実行部11B、特定部11C、及び提示部11Dを含む。画像処理装置10のCPU11が情報処理プログラム13Aを実行することで、登録部11A、実行部11B、特定部11C、及び提示部11Dとして機能する。
【0045】
本実施形態に係る登録部11Aは、原稿における処理対象領域を当該原稿の表面に配置されたマーカの位置を用いて特定する場合において、マーカが原稿の表面に配置されている場合に、当該マーカの配置位置を用いて処理対象領域を特定して当該処理対象領域を示す領域情報を登録する。
【0046】
また、本実施形態に係る実行部11Bは、マーカが原稿の表面に配置されていない場合で、かつ、領域情報が登録されている場合に、当該領域情報が示す処理対象領域を対象として、予め定められた処理を実行する。
【0047】
更に、本実施形態に係る特定部11Cは、マーカが原稿の表面に配置されていない場合で、かつ、領域情報が登録されていない場合に、原稿の表面における予め定められた画像領域を対象として登録した後、領域情報が登録された場合に、当該領域情報が示す処理対象領域を上記処理の対象とする領域として特定する。本実施形態では、上記予め定められた画像領域として、原稿の全領域を適用しているが、これに限るものではない。例えば、原稿における文字が記載されている領域を、上記予め定められた画像領域として適用する形態としてもよい。
【0048】
また、本実施形態に係る特定部11Cは、原稿及びマーカが静止した場合に、マーカの原稿の表面への配置の有無を特定する。更に、本実施形態に係る特定部11Cは、原稿の配置対象とされる領域に対する撮影画像(本実施形態では、書画カメラ70による撮影画像)を用いて、原稿及びマーカが静止したか否かを特定する。
【0049】
一方、本実施形態に係る提示部11Dは、領域情報を登録する第1動作モード、及び上記処理を実行する第2動作モードの何れの動作モードで動作しているのかを示す動作モード情報を提示する。また、本実施形態に係る提示部11Dは、第1動作モードが終了した場合に、マーカを原稿から離隔する旨を示す情報を提示する。
【0050】
なお、本実施形態では、提示部11Dによる提示として、UI部40における表示部15による表示による提示を適用しているが、これに限るものではない。例えば、画像処理装置10による画像形成による提示や、音声再生装置による音声による提示を、提示部11Dによる提示として適用する形態としてもよい。
【0051】
また、本実施形態では、マーカが、上記処理の内容が特定可能とされている。本実施形態では、マーカとして、バーコード、2次元コード、または所定のルールで記述されたパターン画像等の機械可読コードによるマーカを適用している。また、本実施形態では、上記機械可読コードとして、上記処理の内容を示す情報を含むコードを適用している。但し、マーカは、これらの形態に限るものではなく、機械可読コード等のコードを含まないマーカを適用してもよい。この場合、上記処理の内容を、マーカの外観的な特徴により特定可能とする形態としてもよい。この形態の場合、上記外観的な特徴が、色、濃淡度、及び形状の少なくとも1つである形態としてもよい。更に、マーカとして機械可読コードを用いる場合であっても、当該マーカの色等の外観的な特徴によって処理の内容を特定可能とするものとしてもよい。
【0052】
また、本実施形態では、上記処理として、書画カメラ70を用いた処理を適用し、特に当該書画カメラ70を用いた処理として画像読取処理に関する処理を適用しているが、これに限るものではない。例えば、画像処理装置10による画像形成処理等といった、書画カメラ70とは無関係の処理を、上記処理として適用する形態としてもよい。
【0053】
次に、図4を参照して、画像処理装置10に対するマーカの配置方法について説明する。図4は、本実施形態に係る画像処理装置10に対するマーカの配置状態の一例を示す平面図である。
【0054】
図4に示すように、本実施形態に係る画像処理装置10では、書画カメラ70を用いて各種処理を行うにあたり、ユーザは、まず、原稿80を原稿台30の原稿配置領域32における任意の位置に載せる。
【0055】
上述したように、本実施形態に係るマーカ90A、90B、・・・は機械可読コードが用いられている。なお、以下では、マーカ90A、90B、・・・を区別せずに説明する場合には「マーカ90」と総称する。
【0056】
本実施形態に係るマーカ90は、配置した位置によって処理対象領域を指定する領域指定用のマーカや、実行する処理の内容を指定する実行処理の指定用のマーカ等、複数の種別に分類されており、各種マーカ90が予め用意されている。
【0057】
そして、ユーザは、図4に示すように、原稿台30に載せた原稿80に対して、処理対象領域を指定する場合は、領域指定用のマーカ90A~90Dを、当該処理対象領域の4角点の位置に載せる。このように、本実施形態では、処理対象領域の形状として矩形を適用し、処理対象領域の指定方法として、矩形状の処理対象領域の4角点にマーカ90を載せる場合について説明するが、これに限るものではない。例えば、処理対象領域の形状として矩形を適用し、処理対象領域の指定方法として、矩形状の処理対象領域の一対の対角にマーカ90を載せる形態としてもよい。また、処理対象領域の形状も矩形に限らず、三角形、台形、五角形以上の多角形や、円形等を適用する形態としてもよい。
【0058】
本実施形態では、領域指定用のマーカ90として、指定した処理対象領域に対して実行する処理の内容も指定するものを適用しており、この場合の処理の内容の例としては、切り出し処理、マスク処理、OCR(Optical Character Recognition/Reader)処理等が例示される。なお、上記実行処理の指定用のマーカ90における、処理の内容の例としては、電子メールでの添付や通知による転送処理、印刷(画像形成)処理等が例示される。
【0059】
図4に示す例では、マーカ90A~90Dとしてマスク処理を示す領域指定用のマーカ90を適用しており、この場合、これらのマーカ90によって囲まれた処理対象領域(図4に示す例では、マイナンバーの数字を囲む領域)92に対してマスク処理を行う。
【0060】
また、図4に示す例において、マーカ90Eは実行処理の指定用のマーカ90であり、この場合は、マーカ90Eが載せられる位置に特に制限はなく、原稿配置領域32であれば、原稿80の上面の内外に関わらず、どの位置に載せても構わない。
【0061】
本実施形態に係る画像処理装置10は、上述したように、原稿80における処理対象領域92を当該原稿80の表面に配置されたマーカ90の位置を用いて特定する場合において、以下のように動作する。
【0062】
まず、画像処理装置10は、領域指定用のマーカ90が原稿80の表面に配置されている場合に、当該マーカ90の配置位置を用いて処理対象領域を特定して当該処理対象領域を示す領域情報を登録する。
【0063】
また、画像処理装置10は、領域指定用のマーカ90が原稿80の表面に配置されていない場合で、かつ、領域情報が登録されている場合に、当該領域情報が示す処理対象領域を対象として、予め定められた処理を実行する。
【0064】
更に、画像処理装置10は、領域指定用のマーカ90が原稿80の表面に配置されていない場合で、かつ、領域情報が登録されていない場合に、原稿80の表面における予め定められた領域を対象として登録する。そして、画像処理装置10は、当該登録を行った後、領域情報が登録された場合に、当該領域情報が示す処理対象領域を上記処理の対象とする領域として特定する。
【0065】
次に、図5を参照して、本実施形態に係るマーカ関連情報データベース13Bについて説明する。図5は、本実施形態に係るマーカ関連情報データベース13Bの構成の一例を示す模式図である。
【0066】
本実施形態に係るマーカ関連情報データベース13Bは、上述したマーカ90に関する情報が登録されたデータベースである。本実施形態に係るマーカ関連情報データベース13Bは、一例として図5に示すように、マーカ種別、配置方法、マーカID(Identification)、及び処理内容の各情報が関連付けられて記憶される。
【0067】
上記マーカ種別は、上述したマーカ90の種別を示す情報であり、上記配置方法は、上述したマーカ90の配置方法を示す情報である。また、上記マーカIDは、対応するマーカを特定するために、マーカの種別及び処理内容の各々毎に異なるものとして予め付与された情報であり、上記処理内容は、対応するマーカ90が表す処理の内容を示す情報である。
【0068】
図5に示す例では、例えば、マーカIDとして「A01」が付与されたマーカ90は、種別が領域指定であり、配置方法として処理対象領域を囲う方法が採られ、処理の内容として画像の切り出しを行う、との情報が登録されている。従って、マーカ関連情報データベース13Bを参照することにより、当該データベースに予め登録されたマーカ90の種別、配置方法、及び処理の内容を把握することができる。
【0069】
即ち、本実施形態では、マーカ90に処理の内容そのものを示す情報は含めず、マーカ90に対してマーカIDを示す情報を含めておく。そして、本実施形態では、当該マーカIDに対応する処理の内容を示す情報をマーカ関連情報データベース13Bから取得することで、対応する処理の内容を特定している。但し、この形態に限るものではなく、マーカ90に対して、処理の内容そのものを示す情報を含める形態としてもよい。この場合、マーカ関連情報データベース13Bは不要となる。
【0070】
次に、図6を参照して、本実施形態に係る処理関連情報データベース13Cについて説明する。図6は、本実施形態に係る処理関連情報データベース13Cの構成の一例を示す模式図である。
【0071】
本実施形態に係る処理関連情報データベース13Cは、ユーザによりマーカ90を用いて指定された処理に関する情報が登録されるデータベースである。本実施形態に係る処理関連情報データベース13Cは、一例として図6に示すように、処理内容及び設定値の各情報が関連付けられて記憶される。
【0072】
上記処理内容は、対応する処理の内容を示す情報であり、マーカ関連情報データベース13Bの処理内容に相当する情報である。また、上記設定値は、対応する処理に対して設定される情報である。
【0073】
なお、マーカ90が領域指定用のマーカである場合は、4つのマーカ90を一組として一箇所の処理対象領域が指定されるが、この場合の設定値(上述した「領域情報」に相当。)は、当該一組のマーカ90の配置位置によって指定された処理対象領域を示す単一の座標情報が適用される。本実施形態では、当該座標情報として、原稿80の左上角点を原点とした2次元座標系の座標を示す情報を適用しているが、これに限るものではない。例えば、原稿80の4角点の左下角点、右上角点、右下角点の何れかの角点を原点とした2次元座標系の座標を示す情報を、上記座標情報として適用する形態としてもよい。また、本実施形態では、図6に示すように、処理対象領域を示す座標情報として、処理対象領域の一対の対角の位置を示す情報を適用しているが、これに限るものでないことは言うまでもない。
【0074】
このように、本実施形態では、処理対象領域の位置を示す座標系として、原稿80の何れかの角点を適用しているため、原稿80を、原稿配置領域32における任意の位置に配置することができる。
【0075】
また、マーカ90が領域指定用以外のマーカである場合、1つのマーカ90に対して1つの設定値が設定され得る。例えば、処理の内容が電子メールでの添付による転送処理である場合、その転送先を示す情報(本実施形態では、装置名)が設定値となる一方、処理の内容がプリントであった場合、設定値は不要となる。
【0076】
なお、本実施形態では、錯綜を回避するために、上記転送先を示す情報等といった必要とされる設定値が予め登録されている場合について説明するが、これに限るものではない。例えば、ユーザ等に対して設定値を適宜入力させる形態としてもよい。
【0077】
図6に示す例では、例えば、原稿80を示す画像について、一対の対角の位置が(X1,Y1)-(X2,Y2)である矩形の領域に対してマスク処理を行う情報が登録されている。また、図6に示す例では、当該原稿80を示す画像に対する処理として、上記マスク処理を経た原稿80を示す画像情報を、サーバAに対して電子メールによる添付ファイルとして送信することが登録されている。
【0078】
次に、図7図10を参照して、情報処理を実行する場合の本実施形態に係る画像処理装置10の作用を説明する。図7は、本実施形態に係る情報処理の一例を示すフローチャートである。
【0079】
図7に示す情報処理は、ユーザにより、UI部40を介して情報処理の実行が指示された場合に、画像処理装置10のCPU11が情報処理プログラム13Aを実行することで、実行される。なお、情報処理を実行させる方法は、このようなユーザによる指定による方法に限るものではない。例えば、最後に情報処理の実行が終了してから予め定められた期間(本実施形態では、10分間)以上経過した後に、原稿80及びマーカ90が原稿台30の原稿配置領域32に置かれた場合に、情報処理を実行する形態としてもよい。また、以下では、錯綜を回避するために、ユーザがマーカ90を配置する場合には、領域指定用のマーカ90も必ず用いるものとする。
【0080】
図7のステップ100で、CPU11は、書画カメラ70に対して動画像の撮影を開始させる指示を送信する。この指示に応じて、書画カメラ70は動画像の撮影を開始する。
【0081】
一方、ユーザは、情報処理の実行指示を行った後、原稿80を原稿配置領域32に配置し、かつ、必要に応じて所望の処理に対応するマーカ90を配置した状態とする。
【0082】
そこで、ステップ102で、CPU11は、書画カメラ70から得られる、カラーの動画像である撮影画像(以下、単に「撮影画像」という。)における、この時点の画像(静止画像であり、以下、「参照画像」という。)を参照する。そして、CPU11は、当該参照画像の被写体にマーカ90が含まれるか否かを判定して、否定判定となった場合はステップ108に移行する一方、肯定判定となった場合はステップ104に移行する。なお、本実施形態では、上記被写体にマーカ90が含まれるか否かの判断を、従来既知の技術を用いて、上記被写体に、上述した機械可読コードを示す画像が含まれるか否かを判断することにより行っているが、これに限るものではない。例えば、マーカ90の形状を示す情報を予め登録しておき、当該情報を用いたパターンマッチングによりマーカ90が存在するか否かを判断することで、上記被写体にマーカ90が含まれるか否かを判断する形態としてもよい。また、例えば、予め機械学習されたセマンティック・セグメンテーションモデルやインスタンス・セグメンテーションモデル等のセグメンテーションモデルを用いたAI(Artificial Intelligence、人工知能)により、マーカ90の画像を検出する形態としてもよい。
【0083】
ステップ104で、CPU11は、ユーザによるマーカ90の配置に伴う、全てのマーカ90の移動が静止するまで待機する。なお、本実施形態では、予め定められた期間(本実施形態では、5秒間)、撮影画像における被写体に動きがない状態となったことをもって、全てのマーカ90の移動が静止したと判断しているが、これに限るものではない。例えば、マーカ90として、最後に配置されるマーカ90であることを示すものを用意しておき、当該マーカ90が撮影画像から検出され、かつ、静止した場合に、全てのマーカ90の移動が静止したと判断する形態としてもよい。
【0084】
ステップ106で、CPU11は、上述した参照画像を参照して、当該参照画像に含まれる全てのマーカ90の配置位置を検出する。なお、本実施形態では、上記全てのマーカ90の配置位置の検出を、上記被写体に含まれる、上述した機械可読コードを示す画像の位置を特定することにより行っているが、これに限るものではない。例えば、マーカ90の形状を示す情報を予め登録しておき、当該情報を用いたパターンマッチングによりマーカ90が存在する位置を特定することで、上記全てのマーカ90の配置位置を検出する形態としてもよい。
【0085】
ステップ108で、CPU11は、参照画像から原稿80を示す画像(以下、「原稿画像」という。)を検出する。なお、本実施形態では、原稿画像の検出を、画像処理装置10で対応している原稿80の種類毎に、外郭形状及び寸法の各情報を予め登録しておき、当該登録している外郭形状及び寸法に合致する領域を検出することで行っているが、これに限るものではない。例えば、上記外郭形状及び寸法に加えて、原稿80の地色も用いて、原稿画像を検出する形態としてもよい。
【0086】
ステップ110で、CPU11は、マーカ90が原稿80の表面に配置されているとの条件が成立するか否かを判定し、肯定判定となった場合はステップ112に移行する。
【0087】
ステップ112で、CPU11は、予め定められた構成とされたプレビュー画面を表示(プレビュー画面が既に表示されている場合は、更新)するように表示部15を制御する。図8には、本実施形態に係るプレビュー画面の一例が示されている。
【0088】
図8に示すように、本実施形態に係るプレビュー画面では、参照画像に含まれる原稿画像15Aが、マーカ90の各々の画像に対してマーカA、マーカBといったように個別に割り当てられた名称と共に表示される。また、本実施形態に係るプレビュー画面では、検出したマーカ90の各々と、対応する処理の内容及び設定値とがテーブル形式とされた画像(以下、「テーブル画像」という。)15Bが表示される。更に、本実施形態に係るプレビュー画面では、この時点の動作モード(上述した第1動作モード)を示す動作モード提示メッセージ15Dが表示される。なお、この時点におけるプレビュー画面では、図8に示す状況提示メッセージ15Cは表示されていない。
【0089】
ここで、CPU11は、直近のステップ106の処理によって検出したマーカ90の機械可読コードが表すマーカIDを特定し、特定したマーカIDに対応するマーカ種別及び処理内容の各情報をマーカ関連情報データベース13Bから取得する。なお、CPU11は、マーカ種別が領域指定用とされている4つ一組のマーカ90については、各々の配置位置を用いて上述した処理対象領域を特定する。
【0090】
ステップ114で、CPU11は、特定した処理対象領域を設定値として処理関連情報データベース13Cの対応する記憶領域に登録する。
【0091】
ステップ116で、CPU11は、ステップ112の処理によって取得した全てのマーカ90の処理内容を示す情報を、処理関連情報データベース13Cの対応する記憶領域に登録する。この際、CPU11は、4つ一組の領域指定用のマーカ90については、ステップ112の処理で登録した、対応する処理対象領域を示す設定値に関連付けて処理内容を登録する。
【0092】
ステップ118で、CPU11は、表示部15に表示中のプレビュー画面に対して、一例として図8に示すように、状況提示メッセージ15Cを追加して表示するように更新し、その後にステップ138に移行する。図8に示すように、本実施形態に係る状況提示メッセージ15Cでは、テーブル画像15Bに示した内容を処理関連情報データベース13Cに登録した旨を示すメッセージが表示される。また、本実施形態に係る状況提示メッセージ15Cでは、マーカ90を原稿80から離隔する旨を示すメッセージが表示される。従って、ユーザは、状況提示メッセージ15Cを参照することで、自身が配置したマーカ90に関する情報が登録されたことを把握することができると共に、マーカ90を原稿台30から離隔させることになる。
【0093】
一方、ステップ110において否定判定となった場合はステップ120に移行する。ステップ120で、CPU11は、マーカ90が原稿80の表面に配置されておらず、かつ、処理対象領域を示す設定値が登録されているとの条件が成立するか否かを判定し、肯定判定となった場合はステップ122に移行する。
【0094】
ステップ122で、CPU11は、予め定められた構成とされたプレビュー画面を表示(プレビュー画面が既に表示されている場合は、更新)するように表示部15を制御する。図9には、この時点における、本実施形態に係るプレビュー画面の一例が示されている。
【0095】
図9に示すように、この時点のプレビュー画面では、参照画像に含まれる原稿80の原稿画像15Aが表示される。また、この時点のプレビュー画面では、登録されている内容で処理を行う旨を示すメッセージ15Eが表示されると共に、この時点の動作モード(上述した第2動作モード)を示す動作モード提示メッセージ15Dが表示される。
【0096】
ステップ124で、CPU11は、処理関連情報データベース13Cから全ての処理内容及び設定値を読み出し、ステップ126で、読み出した処理内容及び設定値に応じた処理を実行する。
【0097】
本ステップ126の処理により、マーカ90が表面上に配置された状態で当該マーカ90が示す処理に関する情報が登録された原稿80については、マーカ90が離隔された状態で、登録された処理に関する情報を用いて、当該処理が実行されることになる。また、ステップ126の処理により、マーカ90が配置されていない状態で原稿台30に配置された原稿80についても、登録された処理に関する情報を用いて、当該処理が実行される。
【0098】
一方、ステップ120において否定判定となった場合はステップ128に移行する。ステップ128で、CPU11は、マーカ90が原稿80の表面に配置されておらず、かつ、処理対象領域を示す設定値が登録されていないとの条件が成立するか否かを判定し、否定判定となった場合はステップ138に移行する一方、肯定判定となった場合はステップ130に移行する。
【0099】
ステップ130で、CPU11は、予め定められた構成とされたプレビュー画面を表示(プレビュー画面が既に表示されている場合は、更新)するように表示部15を制御する。図10には、この時点における、本実施形態に係るプレビュー画面の一例が示されている。
【0100】
図10に示すように、この時点のプレビュー画面では、参照画像に含まれる原稿80の原稿画像15Aが表示される。また、この時点のプレビュー画面では、処理内容が登録されていないため、原稿画像の登録のみを行う旨、及び処理内容を示すマーカ90の配置を促す旨のメッセージ15Fが表示される。更に、本実施形態に係るプレビュー画面では、この時点の動作モード(本実施形態では、第3動作モード)を示す動作モード提示メッセージ15Dが表示される。
【0101】
ステップ132で、CPU11は、参照画像を示す画像情報から、上記予め定められた画像領域を対象として記憶部13に登録する。
【0102】
一方、メッセージ15Fを参照すると、ユーザは、自身が配置した原稿80の原稿画像の登録のみが行われることを把握した後、当該原稿80に関して実行させる処理を指示するべく、対応するマーカ90を配置する。
【0103】
そこで、ステップ134で、CPU11は、上述したステップ104の処理と同様に、ユーザによるマーカ90の配置に伴う、全てのマーカ90の移動が静止するまで待機する。
【0104】
ステップ136で、CPU11は、ステップ132の処理によって登録した画像情報を記憶部13から読み出し、当該画像情報に対して、ユーザによって配置されたマーカ90によって指定された処理を実行し、その後にステップ138に移行する。なお、ステップ136の処理を実行するにあたり、CPU11は、上述したステップ112の処理と同様に、ユーザによって配置されたマーカ90によって指定された処理の内容及び設定値を特定する。
【0105】
ステップ138で、CPU11は、本情報処理を終了するタイミングとして予め定められた終了タイミングが到来したか否かを判定し、否定判定となった場合はステップ102に戻る一方、肯定判定となった場合はステップ140に移行する。本実施形態では、上記終了タイミングとして、ユーザにより、次の原稿80がないことを示すマーカ90が用いられたタイミングを適用しているが、これに限るものではない。例えば、ユーザにより、UI部40を介して情報処理の終了を指示する指示入力が行われたタイミングを上記終了タイミングとして適用する形態としてもよい。
【0106】
ステップ140で、CPU11は、書画カメラ70に対して動画像の撮影を停止させる指示を送信し、その後に本情報処理を終了する。この指示に応じて、書画カメラ70は動画像の撮影を停止する。
【0107】
次に、図11図15を参照して、本実施形態に係る情報処理が対応可能な状況の具体的な事例について説明する。まず、図11図13を参照して、第1の事例について説明する。なお、図11は、マーカによって文字が隠れてしまう一例を示す図であり、図12は、期待される処理状態の一例を示す図であり、図13は、マーカによって文字が隠れてしまう一例を示す図である。
【0108】
図11に示すように、第1の事例では、原稿80が契約書である場合を想定する。また、図12に示すように、第1の事例では、処理の内容として、契約書に記載されている年月日をOCR処理によってテキストデータ化し、当該年月日をファイル名として使用する一方、原稿80の画像81の添付資料として、身分証82を高解像度でスキャンした画像83を添付する場合を想定する。
【0109】
この場合、マーカ90を正しく読み取るためには、マーカ90は或る程度の大きさで用意する必要がある。図11に示すように、原稿80の上に身分証82を重ねて置いてスキャンを行うフォーマットの場合、身分証82の外にマーカ90を配置すると、契約書に記載されている文字が隠れてしまう。なお、図11に示す例では、マーカ90A、90C、90D、90Eによって文字が隠れている。
【0110】
また、身分証82の外に置いたマーカ90の近くにOCR処理したい領域があると、OCR処理用のマーカ90を適切に配置することができない。なお、図11に示す例では、マーカ90Cが適切に配置されていない。
【0111】
一方、身分証82はカードサイズであることが多いため、身分証82の上にマーカ90を配置すると、一例として図13に示すように、スキャンしたい情報が隠れてしまう。なお、図13の上図に示す例では、マーカ90Bがスキャンしたい情報を隠しているマーカ90であり、図13の下図に示す例では、マーカ90Aがスキャンしたい情報を隠しているマーカ90である。
【0112】
このため、従来の技術では、マーカ90による指示毎にマーカ90の配置とスキャンとを複数回実施して、当該指示を行わなければならなかった。
【0113】
これに対し、本実施形態に係る情報処理では、マーカ90による指示を登録する処理を追加し、複数回に分けて登録可能にすることで、マーカ90が配置されていない状態でスキャンを実行した場合に、登録しておいたマーカ90による指示に従って、加工処理や転送処理を行うことができる。
【0114】
次に、図14図15を参照して、第2の事例について説明する。なお、図14は、原稿とマーカの配置状態の一例を示す図であり、図15は、マーカによって文字が隠れてしまう一例を示す図である。なお、第2の事例では、マーカ90として、マーカ90の外観的な特徴(ここでは、色)により、処理の内容が特定可能とされている場合について説明する。但し、図14及び図15に示す例では、便宜上、マーカ90の色をグレイスケールの濃淡で表している。
【0115】
図14に示すように、第2の事例では、原稿80として、フォントサイズが比較的小さな見積書を想定する。また、第2の事例では、上記見積書が示す見積もりを行った商品の一覧部分をスキャンし、PDF文書に変換後、見積もり日と見積番号と納品元会社名とをファイル名に設定して、購買担当者にメールで送信する場合を想定する。
【0116】
原稿80に対してOCR処理を行う場合、書画カメラ70から離れた位置に原稿80を置くと文字が読み取れなくなるため、一例として図14に示すように、OCR処理が可能な近さに原稿80を配置する必要がある。
【0117】
この場合、一例として図15に示すように、読み取りたい範囲をマーカ90で指定すると、指定したい領域の大きさによってはマーカ90が文字の上に配置されてしまうため、読み取りたい情報がマーカ90で隠れてしまい、当該情報を読み取ることができなくなる。なお、図15に示す例では、マーカ90A及びマーカ90Dによって文字が隠れている。
【0118】
従来の技術では、マーカ90を配置せずにスキャンを行うと、マーカ90の指示がないため、読み取り位置(処理対象領域)を特定することができなくなる。
【0119】
これに対し、本実施形態に係る情報処理では、マーカ90の読み取りと、原稿80の読み取りを同時に行うのではなく、マーカ90が配置されたことを自動的に検知し、マーカ90による指示を登録する処理を追加している。このため、マーカ90が配置されていない状態でスキャンを実行した場合に、登録しておいたマーカ90による指示に従って、加工処理や転送処理を行うことができる。
【0120】
なお、上記実施形態では、本開示の技術を、一例として図1に示す、UI部40が装置の前面側に設けられた画像処理装置10に適用した場合について説明したが、これに限定されるものではない。例えば、本開示の技術を、一例として図16に示す、UI部40が装置の後面側(図10に示す例では、書画カメラ70のアーム72)に設けられた画像処理装置10に適用する形態としてもよい。
【0121】
また、上記実施形態では、プレビュー画面におけるテーブル画像15Bにおいて、適用された全てのマーカ90に関する情報を表示する場合について説明したが、これに限定されるものではない。例えば、ユーザにより、表示されている原稿画像15Aに対して指定されたマーカ90に対応する情報のみをテーブル画像15Bとして表示する形態としてもよい。
【0122】
また、上記実施形態では、マーカの型式については特に言及しなかったが、マグネット型、おはじき型、付箋型、シール型等の各種型式を適用する形態としてもよい。
【0123】
また、上記実施形態では言及しなかったが、例えば、マーカ90に対して処理内容等を示す文字を記載する形態としてもよい。
【0124】
また、上記実施形態では、マーカ90に処理の内容を示す情報のみを含めた場合について説明したが、これに限定されるものではない。例えば、処理の内容を示す情報に加えて、設定値もマーカ90に含める形態としてもよい。
【0125】
また、上記実施形態では、第1動作モードの実行開始時の条件とは異なる条件が成立した場合に、第1動作モードを終了する場合について説明したが、これに限定されるものではない。例えば、マーカ90が複数であり、かつ、最後のマーカ90の検出が終了した場合、第1動作モードを終了する形態としてもよい。
【0126】
また、上記実施形態では、各種データベースを画像処理装置10に登録した場合について説明したが、これに限定されるものではない。例えば、画像処理装置10と通信可能に構成されたサーバ装置等の外部装置に各種データベースを登録しておき、当該外部装置に対して適宜アクセスする形態としてもよい。
【0127】
以上、実施形態を説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態に記載の範囲には限定されない。発明の要旨を逸脱しない範囲で上記実施形態に多様な変更又は改良を加えることができ、該変更又は改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
【0128】
また、上記実施形態は、クレーム(請求項)にかかる発明を限定するものではなく、また実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。前述した実施形態には種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件の組み合わせにより種々の発明が抽出される。実施の形態に示される全構成要件から幾つかの構成要件が削除されても、効果が得られる限りにおいて、この幾つかの構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。
【0129】
また、上記実施形態において、プロセッサとは広義的なプロセッサを指し、汎用的なプロセッサ(例えば、CPU等)や、専用のプロセッサ(例えば、GPU: Graphics Processing Unit、ASIC: Application Specific Integrated Circuit、FPGA: Field Programmable Gate Array、プログラマブル論理デバイス、等)を含むものである。
【0130】
更に、上記実施形態では、情報処理を、プログラムを実行することにより、コンピュータを利用してソフトウェア構成により実現する場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、情報処理を、ハードウェア構成や、ハードウェア構成とソフトウェア構成の組み合わせによって実現する形態としてもよい。また、書画カメラ70は、原稿台30の上面側を撮影可能に構成されたものとして説明したが、これに限られず、スマートフォンやノートパソコンに備えられたカメラで原稿画像を撮影して得られる画像を撮影データとして発明の処理を行うように構成してもよい。
【0131】
その他、上記実施形態で説明した画像処理装置10の構成は一例であり、本発明の主旨を逸脱しない範囲内において不要な部分を削除したり、新たな部分を追加したりしてもよいことは言うまでもない。
【0132】
また、上記実施形態で説明した情報処理の流れも一例であり、本発明の主旨を逸脱しない範囲内において不要なステップを削除したり、新たなステップを追加したり、処理順序を入れ替えたりしてもよいことは言うまでもない。
【0133】
(付記)
(((1)))
プロセッサを備え、
前記プロセッサは、
原稿における処理対象領域を当該原稿の表面に配置されたマーカの位置を用いて特定する場合において、
前記マーカが前記原稿の表面に配置されている場合は、当該マーカの配置位置を用いて前記処理対象領域を特定して当該処理対象領域を示す領域情報を登録し、
前記マーカが前記原稿の表面に配置されていない場合で、かつ、前記領域情報が登録されている場合は、当該領域情報が示す処理対象領域を対象として、予め定められた処理を実行し、
前記マーカが前記原稿の表面に配置されていない場合で、かつ、前記領域情報が登録されていない場合は、前記原稿の表面における予め定められた領域を対象として登録した後、前記領域情報が登録された場合に、当該領域情報が示す処理対象領域を前記処理の対象とする領域として特定する、
情報処理装置。
(((2)))
前記プロセッサは、
前記原稿及び前記マーカが静止した場合に、前記マーカの前記原稿の表面への配置の有無を特定する、
(((1)))に記載の情報処理装置。
(((3)))
前記プロセッサは、
前記原稿の配置対象とされる領域に対する撮影画像を用いて、前記原稿及び前記マーカが静止したか否かを特定する、
(((2)))に記載の情報処理装置。
(((4)))
前記プロセッサは、
前記領域情報を登録する第1動作モード、及び前記処理を実行する第2動作モードの何れの動作モードで動作しているのかを示す動作モード情報を提示する、
(((1)))から(((3)))の何れか1項に記載の情報処理装置。
(((5)))
前記プロセッサは、
前記第1動作モードが終了した場合に、前記マーカを前記原稿から離隔する旨を示す情報を提示する、
(((4)))に記載の情報処理装置。
(((6)))
前記マーカは、前記処理の内容が特定可能とされている、
(((1)))から(((5)))の何れか1項に記載の情報処理装置。
(((7)))
前記マーカは、当該マーカの外観的な特徴により、前記処理の内容が特定可能とされている、
(((6)))に記載の情報処理装置。
(((8)))
前記外観的な特徴は、色、濃淡度、及び形状の少なくとも1つである、
(((7)))に記載の情報処理装置。
(((9)))
前記プロセッサは、
前記マーカが複数であり、かつ、最後のマーカの検出が終了した場合、前記領域情報を登録する動作モードを終了する、
(((1)))から(((8)))の何れか1項に記載の情報処理装置。
(((10)))
前記処理は、書画カメラを用いた処理である、
(((1)))から(((9)))の何れか1項に記載の情報処理装置。
(((11)))
前記書画カメラを用いた処理は、画像読取処理に関する処理である、
(((10)))に記載の情報処理装置。
【0134】
(((1)))に係る情報処理装置によれば、マーカを用いて原稿に対する処理対象領域を指定する場合において、マーカの下に位置された情報の欠落を防止することができる。
(((2)))に係る情報処理装置によれば、マーカの原稿の表面への配置の有無を特定するまでの手順を簡略化することができる。
(((3)))に係る情報処理装置によれば、書画カメラ等のカメラを用いる処理を行う場合における、当該カメラを静止状態の特定に共用することができる。
(((4)))に係る情報処理装置によれば、ユーザに対して動作モードを把握させることができる。
(((5)))に係る情報処理装置によれば、ユーザに対してマーカの離隔のタイミングを指示することができる。
(((6)))に係る情報処理装置によれば、マーカによって処理対象領域に対する処理を設定することができる。
(((7)))に係る情報処理装置によれば、処理の内容を直感的に把握することができる。
(((8)))に係る情報処理装置によれば、適用した特徴を用いて、処理の内容を把握することができる。
(((9)))に係る情報処理装置によれば、領域情報を登録する動作モードを自動的に終了させることができる。
(((10)))に係る情報処理装置によれば、書画カメラによる処理において、マーカの下に位置された情報の欠落を防止することができる。
(((11)))に係る情報処理装置によれば、書画カメラによる画像読取処理に関する処理において、マーカの下に位置された情報の欠落を防止することができる。
【符号の説明】
【0135】
10 画像処理装置
11 CPU
11A 登録部
11B 実行部
11C 特定部
11D 提示部
12 メモリ
13 記憶部
13A 情報処理プログラム
13B マーカ関連情報データベース
13C 処理関連情報データベース
14 入力部
15 表示部
15A 原稿画像
15B テーブル画像
15C 状況提示メッセージ
15D 動作モード提示メッセージ
15E メッセージ
15F メッセージ
16 媒体読み書き装置
17 記録媒体
18 通信I/F部
30 原稿台
32 原稿配置領域
40 UI部
50 トレイ
60 給紙部
70 書画カメラ
72 アーム
80 原稿
90 マーカ
図1
図2
図3
図4
図5
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