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特開2024-28027情報処理装置、情報処理プログラム、情報処理方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024028027
(43)【公開日】2024-03-01
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理プログラム、情報処理方法
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/01 20060101AFI20240222BHJP
   G06F 3/0346 20130101ALI20240222BHJP
   G06F 3/038 20130101ALI20240222BHJP
   G06F 3/04812 20220101ALI20240222BHJP
   G06F 3/14 20060101ALI20240222BHJP
【FI】
G06F3/01 510
G06F3/0346 423
G06F3/0346 421
G06F3/038 350D
G06F3/04812
G06F3/14 380B
G06F3/14 350A
G06F3/038 310A
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022131330
(22)【出願日】2022-08-19
(71)【出願人】
【識別番号】000000295
【氏名又は名称】沖電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐伯 俊一
【テーマコード(参考)】
5B069
5B087
5E555
【Fターム(参考)】
5B069AA01
5B069AA02
5B069GA07
5B069GA08
5B069JA01
5B069JA02
5B069JA08
5B069KA02
5B087AA09
5B087BC13
5B087BC32
5B087DD06
5B087DD09
5B087DE07
5E555AA06
5E555BA02
5E555BB02
5E555BC07
5E555BC08
5E555CA02
5E555CA10
5E555CA18
5E555CA42
5E555CB02
5E555CB19
5E555CB21
5E555CB65
5E555CB66
5E555CB76
5E555CC01
5E555CC05
5E555DA04
5E555DB06
5E555DC19
5E555DC54
5E555DC63
5E555EA11
5E555EA14
5E555EA22
5E555FA00
(57)【要約】
【課題】複数のディスプレイが配列され、相互に表示内容を確認しながら作業する場合に、オペレータが所望する、複数台のディスプレイ間の指示表示体の移動を実現し、作業性を向上させる。
【解決手段】オペレータ18の視線Lに応じて、オペレータ18が作業するときに目視するディスプレイ20を特定し、自動的に、特定したディスプレイ20の範囲内の視線Lの位置にポインタ22を表示する。モード1では、特定の操作があった場合に、オペレータ18の視線Lを検出して、必要に応じて、ポインタ22を移動させる。モード2では、常時、オペレータ18の視線Lを検出し、ポインタ22を移動させる。モード3では、特定の操作があった場合に、オペレータ18の視線Lを検出して、必要に応じて、ポインタ22を移動させ、一定期間が経過した場合は、このポインタ22の視線Lに対する移動制御を終了する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のディスプレイの各々の表示を制御する表示制御機能を備え、前記複数のディスプレイの何れかに表示される指示表示体の表示位置を目標として、オペレータによる入力操作を含む処理が実行可能な情報処理装置であって、
前記オペレータの視線を検出する視線検出部と、
前記視線検出部で検出した前記オペレータの視線の先に存在するディスプレイを特定する特定部と、
前記特定部で特定したディスプレイ上への前記指示表示体の表示位置の移動を、前記表示制御機能へ指示する移動指示部と、
を有する情報処理装置。
【請求項2】
前記オペレータの少なくとも首又は肩の回転状態を含む姿勢を検出する姿勢検出部をさらに有し、
前記特定部が、前記視線検出部で検出された前記オペレータの視線の情報に加え、前記姿勢検出部で検出された姿勢に基づいて、前記オペレータの視線の先に存在するディスプレイを特定する、請求項1記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記移動指示部が、
前記特定したディスプレイ上における、前記視線検出部で検出した視線の先を含む所定領域内に、前記指示表示体を表示させることを前記表示制御機能へ指示する、請求項1記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記移動指示部が、
前記指示表示体が表示されているディスプレイと、前記特定したディスプレイとが一致する場合に、前記指示表示体を移動させる指示をキャンセルする、請求項1記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記移動指示部が、
前記指示表示体が表示されているディスプレイと、前記特定したディスプレイとの一致期間が、前記オペレータの瞬間視線移動に相当する予め定めたマスキング時間内の場合に、前記指示表示体を移動させる指示をキャンセルする、請求項1記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記移動指示部が、前記オペレータによる特定の入力操作があったときに、単発で前記視線を検出して前記指示表示体の移動を指示する第1モード、及び、常時視線を検出して前記指示表示体の移動を指示する第2モード、並びに、前記オペレータによる特定の入力操作があったときに、単発、かつ一定期間前記視線を検出して前記指示表示体の移動を指示を継続する第3モードを備え、適宜、何れかのモードが選択可能である、請求項1記載の情報処理装置。
【請求項7】
コンピュータを、
請求項1~請求項6の何れか1項記載の情報処理装置の特定部、及び移動指示部として動作させる、
情報処理プログラム。
【請求項8】
複数のディスプレイの各々の表示を制御する表示制御機能を備え、前記複数のディスプレイの何れかに表示される指示表示体の表示位置を目標として、オペレータによる入力操作を含む処理が実行可能な情報処理方法であって、
前記オペレータの視線を検出する第1処理ステップと、
検出した前記オペレータの視線の先に存在するディスプレイを特定する第2処理ステップと、
特定したディスプレイ上への前記指示表示体の表示位置の移動を、前記表示制御機能へ指示する第3処理ステップと、
を備えることを特徴とする情報処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のディスプレイを用いたコンピュータ処理における作業性を改善するための情報処理装置、情報処理プログラム、情報処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
1台の制御装置に、複数台のディスプレイが接続され、各々のディスプレイに対して異なる情報が表示され、適宜、何れかのディスプレイを選択しながら作業を進めることがある。作業は、ディスプレイ上に指示表示体(ポインタ、カーソル等という場合がある)を表示することで、入力操作位置を指示している。
【0003】
複数のディスプレイが設置された場合、指示表示体は単一であり、何れかのディスプレイ(特定ディスプレイという)に表示されている状態で、視線を特定ディスプイ以外のディスプレイに移動しても、別途、操作対象のディスプレイを指定する操作等を実行しなければ、指示表示体は特定ディスプレイに留まることになる。
【0004】
特許文献1には、見失った指示表示体の発見の容易化を行う際の操作性を改善する情報処理装置が開示されている。
【0005】
特許文献1では、指示表示体に対する特定操作(例えば、マウスを小刻みに動かす操作)を検出し、移動制御部は、指示表示体の表示位置が特定領域の外側にあるときに、特定操作を検出した場合に、指示表示体を特定領域の内側に移動する構成となっており、これにより、指示表示体が特定領域の内側にあるときの特定操作が通常の入力操作となり、指示表示が特定領域の外側にあるときの特定操作が指示表示を捜す操作となる。
【0006】
なお、参考として、特許文献2には、ユーザの視線を認識してインタラクションモードに進入し、視線の位置をカーソルで表示するディスプレイ装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2013-210742号公報
【特許文献2】特開2014-086085号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、従来技術では、1台のディスプレイでの指示表示体の移動制御に特化されたものであり、かつ、予め定めた領域(特定領域)の内側に移動するものである。これにより、オペレータは、指示操作体を確認することができるが、その後、異なるディスプレイ領域に指示表示体を移動させたい場合は、オペレータが、再度、指示操作体の移動を手動で操作する必要がある。
【0009】
言い換えれば、1台のディスプレイでの指示表示体の移動制御は、そのまま複数のディスプレイ構成の情報処理装置において、オペレータが所望する位置への指示表示体の移動制御(ディスプレイ間を跨ぐ移動制御)に転用するのは技術的に困難である。
【0010】
本発明は、複数のディスプレイが配列され、相互に表示内容を確認しながら作業する場合に、オペレータが所望する、複数台のディスプレイ間の指示表示体の移動を実現し、作業性を向上させることができる情報処理装置、情報処理プログラム、情報処理方法を得ることが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係る情報処理装置は、複数のディスプレイの各々の表示を制御する表示制御機能を備え、前記複数のディスプレイの何れかに表示される指示表示体の表示位置を目標として、オペレータによる入力操作を含む処理が実行可能な情報処理装置であって、前記オペレータの視線を検出する視線検出部と、前記視線検出部で検出した前記オペレータの視線の先に存在するディスプレイを特定する特定部と、前記特定部で特定したディスプレイ上への前記指示表示体の表示位置の移動を、前記表示制御機能へ指示する移動指示部と、を有している。
【0012】
本発明に係る情報処理プログラムは、コンピュータを、情報処理装置の特定部、及び移動指示部として動作させることを特徴としている。
【0013】
本発明に係る情報処理方法は、複数のディスプレイの各々の表示を制御する表示制御機能を備え、前記複数のディスプレイの何れかに表示される指示表示体の表示位置を目標として、オペレータによる入力操作を含む処理が実行可能な情報処理方法であって、前記オペレータの視線を検出する第1処理ステップと、検出した前記オペレータの視線の先に存在するディスプレイを特定する第2処理ステップと、特定したディスプレイ上への前記指示表示体の表示位置の移動を、前記表示制御機能へ指示する第3処理ステップと、を備えることを特徴としている。
【発明の効果】
【0014】
以上説明した如く本発明によれば、複数のディスプレイが配列され、相互に表示内容を確認しながら作業する場合に、オペレータが所望する、複数台のディスプレイ間の指示表示体の移動を実現し、作業性を向上させることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】(A)及び(B)は、本実施の形態に係る情報処理装置の外観を示す斜視図である。
図2】本実施の形態に係る情報処理装置のハード構成図である。
図3】本実施の形態に係る情報処理装置におけるポインタ表示制御機能に特化した機能ブロック図である。
図4】本実施の形態に係る情報処理装置において、第1制御部の稼働中に実行される、第2制御部のポインタ表示制御のメインルーチンを示すフローチャートである。
図5図4のステップ102における、ポインタ表示制御処理(モード1)の詳細を示す制御フローチャートである。
図6図4のステップ104における、ポインタ表示制御処理(モード2)の詳細を示す制御フローチャートである。
図7図4のステップ106における、ポインタ表示制御処理(モード3)の詳細を示す制御フローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1は、本実施の形態に係る情報処理装置10の外観を示す斜視図である。
【0017】
情報処理装置10は、処理装置本体12を備えている。処理装置本体12には、入力デバイスとして、キーボード14及びマウス16が接続されており、オペレータ18が、このキーボード14及びマウス16を操作可能な位置に着座している。
【0018】
また、オペレータ18の正面方向には、それぞれがオペレータ18に対峙するように、出力デバイスとして、複数台のディスプレイ20が配列され、それぞれ、処理装置本体12に接続されている。
【0019】
本実施の形態では、図1の左、中央、及び右の順に、第1ディスプレイ20A、第2ディスプレイ20B、第3ディスプレイ20Cとするが、これらを総称する場合は、ディスプレイ20という。
【0020】
3台のディスプレイ20は、1台の処理装置本体12により管理されており、それぞれの表示画面には、処理装置本体12からの独立した画像情報に基づいて、画像が表示されるようになっている。
【0021】
オペレータ18は、3台のディスプレイ20の表示画面を目視する場合、視線Lを変えたり、姿勢を変える(首や肩を回転させる)ことで、それぞれのディスプレイ20の表示画面に表示された情報を把握し、キーボード14及びマウス16を操作して、作業(入力操作等)を実行する。
【0022】
この作業において、目視しているディスプレイ20の表示画面の何れかに、オペレータ18の作業位置を指示するための、単一の指示表示体(以下、ポインタ22という)が表示されるようになっている。すなわち、ポインタ22は、マウス16の移動や、キーボード14による文字等の入力操作を補助する役目を有している。
【0023】
図1(A)は、オペレータ18が左側に位置する第1ディスプレイ20Aの表示画面に視線Lを向けている状態である。
【0024】
また、図1の(B)は、図1(A)の状態から右側に位置する第3ディスプレイ20Cの表示画面に視線Lを移動した状態である。
【0025】
この図1(A)から図1(B)におけるオペレータ18の動作は、視線Lが移動し、かつ、姿勢も移動(首も回転)しているが、視線Lのみを移動することも可能である。
【0026】
ところで、3台のディスプレイ20において、オペレータ18が作業するときに目視するのは1台であり、オペレータ18の作業上、常に、目視しているディスプレイ20の表示画面にポインタ22を表示させることが好ましい。
【0027】
この場合、同一の表示画面において、ポインタ22の位置を探すのは比較的容易であるが、オペレータ18が、必要に応じて、目視するディスプレイ20を変更することがある。この場合、例えば、キーボード14等の操作等によって、ポインタ22を表示するディスプレイ20を選択する必要があった。
【0028】
また、選択しても、オペレータ18の視線と、ポインタ22の表示位置(表示座標)が異なっていると、ディスプレイ20の表示画面内でポインタ22を検索する必要があった。
【0029】
そこで、本実施の形態では、オペレータ18の視線Lに応じて、オペレータ18が作業するときに目視するディスプレイ20を特定し、自動的に、特定したディスプレイ20の範囲内の視線Lの位置にポインタ22を表示するようにした。
【0030】
この視線Lに基づくポインタ22の移動制御のため、本実施の形態の情報処理装置10は、中央の第2ディスプレイ20Bの上部に、視線検出部として機能するカメラ24が取り付けられている。
【0031】
カメラ24の撮影範囲は、図1(A)及び(B)に示される、一対の矢印A-Aの間の所定の角度θで囲まれた扇型の範囲であり、少なくとも、処理装置本体12に対峙して着座するオペレータ18が含まれるようになっている。本実施の形態に係るカメラ24では、オペレータ18の上半身を常に撮影することができる。
【0032】
なお、カメラ24は、第2ディスプレイ20Bの上部に限定されず、オペレータ18の視線Lを監視可能であれば、他のディスプレイ20に設置、或いは独立して設置してもよい。また、視線検出部として、オペレータ18のヘッドセットを装着し、オペレータ18の視線や姿勢を監視するようにしてもよい。
【0033】
図2は、本実施の形態に係る情報処理装置10のハード構成図である。情報処理装置10は、マイクロコンピュータ50を備えている。マイクロコンピュータ50は、CPU(Central Processing Unit)52、RAM(Random Access Memory)54、ROM(Read Only Memory)56、入出力部(I/O)58、及びこれらを接続するデータバスやコントロールバス等のバス60で構成されている。
【0034】
I/O58には、入力デバイスとしてのキーボード14及びマウス16がそれぞれ接続されている。また、I/O58には、出力デバイスとしての第1ディスプレイ20A、第2ディスプレイ20B、第3ディスプレイ20C、並びに、記憶装置62(例えば、HDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)等の大規模記憶装置)が接続されている。
【0035】
また、I/O58には、入力デバイスとして、カメラ24が接続されている。
【0036】
上記構成の情報処理装置10は、マイクロコンピュータ50のROM56等に格納された処理プログラムに基づいて、CPU52が、通常業務機能及びポインタ表示制御機能として動作するようになっている。
【0037】
なお、通常業務機能とは、オペレータ18が情報処理装置10を使用して定常的に行う作業である。
【0038】
通常業務としては、例えば、複数のデータベース等を複数のディスプレイ20に表示して、逐次確認しながら事務処理を行う業務や、株式等の値動きをリアルタイムに監視しながら売買を行うデイトレーダー業務等が挙げられる。このような通常業務では、オペレータ18は、適宜、3台のディスプレイ20間で視線Lを移動しながら業務することになる。
【0039】
一方、上記通常業務において、視線Lの移動に応じて、ポインタ22を3台のディスプレイ20の間を跨いで移動させる機能が、ポインタ表示制御機能である。
【0040】
図3は、情報処理装置10におけるポインタ表示制御機能に特化した機能ブロック図である。
【0041】
情報処理装置10は、第1制御部64(通常業務機能)と第2制御部66(ポインタ制御機能)を備えている。
【0042】
第1制御部64には、キーボード14及びマウス16が接続されると共に、第1ディスプレイ20A、第2ディスプレイ20B、第3ディスプレイ20Cが接続されている。
【0043】
カメラ24は、第2制御部66の画像情報取得部68に接続されている。画像情報取得部68は、カメラ24から取得した画像情報を画像情報解析部70へ送出する。
【0044】
画像情報解析部70では、画像情報を解析し、オペレータ18の目の向きから、視線Lを認識する。
【0045】
視線検出技術は、カメラ24で撮影した画像から、オペレータ18の目の中の動かない部分を基準点とし、動く部分を動点(瞳孔)とし、基準点に対する動点の位置に基づいて、視線検出を行なう技術である。
【0046】
なお、視線Lの認識精度は、少なくとも、視線Lの先が、第1ディスプレイ20A、第2ディスプレイ20B、第3ディスプレイ20Cの何れの範囲内にあるか、或いは、範囲外かを認識できればよいが、可能であれば、第1ディスプレイ20A、第2ディスプレイ20B、第3ディスプレイ20Cの各々の複数分割された領域まで特定することが好ましい。
【0047】
例えば、ディスプレイ20の表示画面サイズに関わらず、オペレータ18がポインタ22を容易に見つけることができる認識解像度(具体的数値としては、10cm角程度の範囲)が好ましい。
【0048】
画像情報解析部70での解析結果は、視線方向ディスプレイ特定部72に送出される。視線方向ディスプレイ特定部72では、少なくとも、視線Lの先にあるディスプレイ20(ここでは、ディスプレイXとする)を特定し、特定した情報(ディスプレイX)を照合部74へ送出する。
【0049】
一方、第2制御部66は、ポインタ表示中ディスプレイ特定部76を備えている。ポインタ表示中ディスプレイ特定部76は、第1制御部64から、現在ポインタ22が表示されているディスプレイ20(ここでは、ディスプレイYとする)を特定し、特定した情報(ディスプレイY)を照合部74へ送出する。
【0050】
照合部74では、ディスプレイXとディスプレイYとを照合し、照合結果を判定部78へ送出する。
【0051】
判定部78では、ディスプレイXとディスプレイYとの一致又は不一致の結果によって、ポインタ22を表示するディスプレイ20の変更可否を判定する。
【0052】
判定部78は、ポインタ座標演算部80に接続されており、ディスプレイXとディスプレイYとの照合結果が不一致の場合に、ディスプレイXの表示画面の範囲内におけるポインタ22の座標位置を演算する。座標位置は、視線Lの到達位置と合致することになる。
【0053】
ポインタ座標演算部80は、ポインタ表示指示部82に接続されており、演算結果(ディスプレイXにおける座標)に関する情報を送出する。
【0054】
ポインタ表示指示部82は、第1制御部64に接続され、ポインタ位置(ディスプレイX、座標)を指示する。これにより、第1制御部64では、通常業務機能に割り込んで、ポインタ22の位置を、指示されたディスプレイXの表示画面の座標に変更する。
【0055】
以下に本実施の形態の作業を、図4図7のフローチャートに従い説明する。
【0056】
(ポインタ表示制御メインルーチン)
図4は、第1制御部64の稼働中に実行される、第2制御部66のポインタ表示制御のメインルーチンを示すフローチャートである。
【0057】
ステップ100では、現在の設定モードを判別する。設定モードの変更は、例えば、キーボード14又はマウス16の操作等でいつでも可能である。
【0058】
ステップ100において、モード1と判定された場合は、特定操作時検出モードであると判断し、ステップ102へ移行し、ポインタ表示制御処理(モード1)を実行し(図5参照)、ステップ100へ戻る。
【0059】
ステップ100において、モード2と判定された場合は、常時検出モードであると判断し、ステップ104へ移行し、ポインタ表示制御処理(モード2)を実行し(図6参照)、ステップ100へ戻る。
【0060】
ステップ100において、モード3と判定された場合は、所定期間継続検出モードであると判断し、ステップ106へ移行し、ポインタ表示制御処理(モード3)を実行し(図7参照)、ステップ100へ戻る。
【0061】
(モード1「特定操作時検出ポインタ表示制御処理」)
図5は、ステップ102における、ポインタ表示制御装置(モード1)の詳細な流れを説明する制御フローチャートである。
【0062】
ステップ108では、特定の操作(例えば、マウス16を小刻みに動かす等)があったか否かを判断し、否定判定された場合は、このルーチンは終了する(図4のステップ100へ戻る)。また、ステップ108で肯定判定された場合は、ステップ110へ移行する。
【0063】
ステップ110では、カメラ24から画像情報を取得し、次いで、ステップ112へ移行して、画像解析により、オペレータ18の視線Lを認識し、ステップ114へ移行する。
【0064】
ステップ114では、視線Lの先に対峙するディスプレイXを特定し、ステップ116へ移行する。
【0065】
ステップ116では、第1制御部64からポインタ22を表示中のディスプレイYを特定し、ステップ118へ移行する。
【0066】
ステップ118では、視線Lの先にあるディスプレイXと、ポインタ22が表示されているディスプレイYとを照合し、次いで、ステップ120で照合結果を判定(ディスプレイXとディスプレイYとの一致又は不一致)する。
【0067】
ステップ120の判定の結果、一致(ディスプレイX=ディスプレイY)と判定されると、オペレータ18の視線Lの先にあるディスプレイ20に、ポインタ22が表示されていると判断し、このルーチンは終了する(図4のステップ100へ戻る)。なお、同一ディスプレイ20内において、視線Lの先にピンポイントに移動させる(同一ディスプレイ20内での移動)制御を選択可能としてもよい。
【0068】
一方、ステップ120の判定の結果、不一致(ディスプレイX≠ディスプレイY)と判定されると、オペレータ18の視線Lの先にあるディスプレイ20に、ポインタ22が表示されていないと判断し、ステップ122へ移行して、視線Lの先に対峙するディスプレイ20(すなわち、ディスプレイX)の領域内における、視線Lの到達位置座標を演算する。
【0069】
次のステップ124では、第1制御部64へ、ポインタ22を表示するディスプレイ種情報、及びステップ122で演算したポインタ位置に関する座標情報を指示し、このルーチンは終了する。
【0070】
このステップ124の指示により、第1制御部64では、現在表示されているポインタ22を、指示されたディスプレイ(ディスプレイXに対応するディスプレイ20)の所定の座標にポインタ22を表示する。
【0071】
なお、図5のフローチャートのステップ120では、単純にディスプレイXとディスプレイYとの一致/不一致の判定を1回だけ行っているが、例えば、一瞬だけ視線Lをずらしたときを排除(マスキング)するため、一定時間(例えば、1~2秒程度のマスキング時間)、ディスプレイXの判定を継続して行い、最終的(一定時間経過後)にディスプレイXとディスプレイYとの一致/不一致の判定を行うようにしてもよい(マスキング時間内の一致のキャンセル)。
【0072】
以上説明したように、モード1では、特定の操作(ステップ108)があった場合に、オペレータ18の視線Lを検出して、必要に応じて、ポインタ22を移動させるようにした。これにより、オペレータ18の意思が尊重され、不要なポインタ22の移動が回避できる。
【0073】
(モード2「常時検出ポインタ表示制御処理」)
図6は、ステップ104における、ポインタ表示制御装置(モード2)の詳細な流れを説明する制御フローチャートである。なお、図5と同一処理ステップについては、同一の符号の末尾に「A」を付して説明する。
【0074】
ステップ110Aでは、カメラ24から画像情報を取得し、次いで、ステップ112Aへ移行して、画像解析により、オペレータ18の視線Lを認識し、ステップ114Aへ移行する。
【0075】
ステップ114Aでは、視線Lの先に対峙するディスプレイXを特定し、ステップ116Aへ移行する。
【0076】
ステップ116Aでは、第1制御部64からポインタ22を表示中のディスプレイYを特定し、ステップ118Aへ移行する。
【0077】
ステップ118Aでは、視線Lの先にあるディスプレイXと、ポインタ22が表示されているディスプレイYとを照合し、次いで、ステップ120Aで照合結果を判定(ディスプレイXとディスプレイYとの一致又は不一致)する。
【0078】
ステップ120Aの判定の結果、一致(ディスプレイX=ディスプレイY)と判定されると、オペレータ18の視線Lの先にあるディスプレイ20に、ポインタ22が表示されていると判断し、このルーチンは終了する(図4のステップ100へ戻る)。なお、同一ディスプレイ20内において、視線Lの先にピンポイントに移動させる(同一ディスプレイ20内での移動)制御を選択可能としてもよい。
【0079】
一方、ステップ120Aの判定の結果、不一致(ディスプレイX≠ディスプレイY)と判定されると、オペレータ18の視線Lの先にあるディスプレイ20に、ポインタ22が表示されていないと判断し、ステップ122Aへ移行して、視線Lの先に対峙するディスプレイ20(すなわち、ディスプレイX)の領域内における、視線Lの到達位置座標を演算する。
【0080】
次のステップ124Aでは、第1制御部64へ、ポインタ22を表示するディスプレイ種情報、及びステップ122Aで演算したポインタ位置に関する座標情報を指示し、このルーチンは終了する。
【0081】
このステップ124Aの指示により、第1制御部64では、現在表示されているポインタ22を、指示されたディスプレイ(ディスプレイXに対応するディスプレイ20)の所定の座標にポインタ22を表示する。
【0082】
なお、図6のフローチャートのステップ120Aでは、単純にディスプレイXとディスプレイYとの一致/不一致の判定を1回だけ行っているが、例えば、一瞬だけ視線Lをずらしたときを排除(マスキング)するため、一定時間(例えば、1~2秒程度のマスキング時間)、ディスプレイXの判定を継続して行い、最終的(一定時間経過後)にディスプレイXとディスプレイYとの一致/不一致の判定を行うようにしてもよい(マスキング時間内の一致のキャンセル)。
【0083】
以上説明したように、モード2では、常時、オペレータ18の視線Lを検出し、ポインタ22を移動させるようにした。これにより、オペレータ18が操作入力したいディスプレイ20に、ポインタ22を速やかに移動させることができる。
【0084】
(モード3「所定期間検出ポインタ表示制御処理」)
図7は、ステップ106における、ポインタ表示制御装置(モード3)の詳細な流れを説明する制御フローチャートである。なお、図5と同一処理ステップについては、同一の符号の末尾に「B」を付して説明する。
【0085】
ステップ108Bでは、特定の操作(例えば、マウス16を小刻みに動かす等)があったか否かを判断し、否定判定された場合は、このルーチンは終了する(図4のステップ100へ戻る)。また、ステップ108Bで肯定判定された場合は、ステップ110Bへ移行する。
【0086】
ステップ110Bでは、カメラ24から画像情報を取得し、次いで、ステップ112Bへ移行して、画像解析により、オペレータ18の視線Lを認識し、ステップ114Bへ移行する。
【0087】
ステップ114Bでは、視線Lの先に対峙するディスプレイXを特定し、ステップ116Bへ移行する。
【0088】
ステップ116Bでは、第1制御部64からポインタ22を表示中のディスプレイYを特定し、ステップ118Bへ移行する。
【0089】
ステップ118Bでは、視線Lの先にあるディスプレイXと、ポインタ22が表示されているディスプレイYとを照合し、次いで、ステップ120Bで照合結果を判定(ディスプレイXとディスプレイYとの一致又は不一致)する。
【0090】
ステップ120Bの判定の結果、一致(ディスプレイX=ディスプレイY)と判定されると、オペレータ18の視線Lの先にあるディスプレイ20に、ポインタ22が表示されていると判断し、ステップ126へ移行する。なお、同一ディスプレイ20内において、視線Lの先にピンポイントに移動させる(同一ディスプレイ20内での移動)制御を選択可能としてもよい。
【0091】
一方、ステップ120Bの判定の結果、不一致(ディスプレイX≠ディスプレイY)と判定されると、オペレータ18の視線Lの先にあるディスプレイ20に、ポインタ22が表示されていないと判断し、ステップ122Bへ移行して、視線Lの先に対峙するディスプレイ20(すなわち、ディスプレイX)の領域内における、視線Lの到達位置座標を演算する。
【0092】
次のステップ124Bでは、第1制御部64へ、ポインタ22を表示するディスプレイ種情報、及びステップ122Bで演算したポインタ位置に関する座標情報を指示し、ステップ126へ移行する。
【0093】
このステップ124Bの指示により、第1制御部64では、現在表示されているポインタ22を、指示されたディスプレイ(ディスプレイXに対応するディスプレイ20)の所定の座標にポインタ22を表示する。
【0094】
ステップ126では、ステップ108Bにおいて、特定の操作有りと判定されてから一定期間が経過したか否かが判断され、肯定判定された場合は、このルーチンは終了し(モード3の終了)、図4のステップ100へ戻る。また、ステップ126で否定判定された場合は、ステップ128へ移行する。
【0095】
ステップ128では、継続解除の有無を判断し、否定判定(継続解除無し)された場合は、ステップ110Bへ戻り、上記工程を繰り返す。また、ステップ128で肯定判定(継続解除有り)された場合は、このルーチンは終了する(図4のステップ100へ戻る)。
【0096】
以上説明したように、モード3では、特定の操作(ステップ108B)があった場合に、オペレータ18の視線Lを検出して、必要に応じて、ポインタ22を移動させるようにした。また、一定期間が経過した場合は、このポインタ22の視線Lに対する移動制御を終了するようにした。これにより、オペレータ18の意思が尊重され、不要なポインタ22の移動が回避でき、かつ、オペレータ18が所望しない、必要以上にポインタ22の移動を回避することができる。
【0097】
なお、図7のフローチャートのステップ120Bでは、単純にディスプレイXとディスプレイYとの一致/不一致の判定を1回だけ行っているが、例えば、一瞬だけ視線Lをずらしたときを排除(マスキング)するため、一定時間(例えば、1~2秒程度のマスキング時間)、ディスプレイXの判定を継続して行い、最終的(一定時間経過後)にディスプレイXとディスプレイYとの一致/不一致の判定を行うようにしてもよい(マスキング時間内の一致のキャンセル)。
【0098】
(変形例)
なお、本実施の形態では、視線Lを検出して、視線Lの先にあるディスプレイ20の表示画面にポインタ22を移動させるようにしたが、視線Lの検出と共に、オペレータ18の姿勢(主として、首や肩の回転)を検出し、ポインタ22を視線Lの先に移動するか否かを判定する要件を追加してもよい。
【0099】
姿勢(例えば、首や肩の回転)は、カメラ24で撮影された画像の解析により、視線と共に検出可能であるため、別途、姿勢検出のためのデバイスは必須ではないが、カメラ24とは別のデバイスを追加することを否定するものではない。
【0100】
視線と姿勢とは、以下のような関係がある。例えば、図1(A)の状態から、中央の第2ディスプレイ20Bの表示画面に視線Lを移動する場合のオペレータ18は、姿勢(首や肩)を変化させて(姿勢も第2ディスプレイ20Bに向けて)、視線Lを移動するパターン1、或いは、オペレータ18が姿勢(首や肩)を変化させずに(姿勢は第1ディスプレイ20Aに向けたまま)、視線Lを移動するパターン2が考えらえる。
【0101】
そこで、変形例では、以下のようにポインタ22の移動を制御するようにした。
【0102】
すなわち、パターン1は、中央の第2ディスプレイ20Bの表示画面を目視しながら作業を進めると推測でき、視線Lの先、すなわち、第2ディスプレイ20Bの範囲内の視線Lの位置にポインタ22を移動させる。
【0103】
一方、パターン2は、中央の第2ディスプレイ20Bに視線Lを移動させているが、姿勢を見ると、元の左の第1ディスプレイ20Aの方向に向いたままであるため、第2ディスプレイ20Bへの視線Lの移動は一瞬(所謂、ちら見)であり、左側の第1ディスプレイ20Aの表示画面を目視しながら作業を進めると推測でき、視線Lの移動に応じたポインタ22の移動をしない(第1ディスプレイ20Aの範囲内のままとする)。
【0104】
このように、視線Lと姿勢との組み合わせることで、オペレータ18の作業状況(何れのディスプレイ20を目視して作業しているか等)を明確に把握でき、ポインタ22を、より適正な位置に移動させる(移動しないことを含む)ことができる。
【符号の説明】
【0105】
10 情報処理装置
12 処理装置本体
14 キーボード
16 マウス
18 オペレータ
20 ディスプレイ
20A 第1ディスプレイ
20B 第2ディスプレイ
20C 第3ディスプレイ
22 ポインタ(指示表示体)
24 カメラ(視線検出部)
50 マイクロコンピュータ
52 CPU
54 RAM
56 ROM
58 入出力部(I/O)
60 バス
62 記憶装置
64 第1制御部(表示制御機能)
66 第2制御部
68 画像情報取得部
70 画像情報解析部(視線検出部)
72 視線方向ディスプレイ特定部(特定部)
74 照合部
76 ポインタ表示中ディスプレイ特定部(特定部)
78 判定部
80 ポインタ座標演算部(移動指示部)
82 ポインタ表示指示部(移動指示部)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7