特開 2024-28031 パンツ型使い捨てオムツ

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)

(12)【公報種別】公開特許公報(A)

(11)【公開番号】P2024028031

(43)【公開日】2024-03-01

(54)【発明の名称】パンツ型使い捨てオムツ

(51)【国際特許分類】

   A61F 13/494 20060101AFI20240222BHJP

   A61F 13/49 20060101ALI20240222BHJP

   A61F 13/496 20060101ALI20240222BHJP

   A61F 13/532 20060101ALI20240222BHJP

【ＦＩ】

A61F13/494 115

A61F13/49 410

A61F13/49 413

A61F13/49 315A

A61F13/49 315Z

A61F13/494 111

A61F13/496

A61F13/532 210

【審査請求】未請求

【請求項の数】5

【出願形態】ＯＬ

(21)【出願番号】P 2022131335

(22)【出願日】2022-08-19

(71)【出願人】

【識別番号】390029148

【氏名又は名称】大王製紙株式会社

(74)【代理人】

【識別番号】240000327

【弁護士】

【氏名又は名称】弁護士法人クレオ国際法律特許事務所

(72)【発明者】

【氏名】新井 裕喜

【テーマコード（参考）】

3B200

【Ｆターム（参考）】

3B200AA01

3B200BA12

3B200BB11

3B200CA03

3B200CA08

3B200CA09

3B200DA02

3B200DA21

3B200DB01

3B200DB02

3B200DB22

3B200DB24

(57)【要約】

【課題】足周り開口部からの体液の漏れを抑えることができるパンツ型使い捨てオムツを提供すること。
【解決手段】長手方向Ｌに長い吸収体１３と、吸収体１３の幅方向Ｗの両側部に配置された立体ギャザー１５と、を有する内装体１０と、内装体１０の長手方向Ｌの両端部の非肌側を覆う外装体２０と、を備え、ウエスト開口部２及び一対の足周り開口部３が形成されたパンツ型使い捨てオムツ１であって、立体ギャザー１５よりも幅方向Ｗの外側には、長手方向Ｌに延びて、長手方向Ｌの一方の端部３１ａが腹側の外装体２０に連続し、長手方向Ｌの他方の端部３１ｂが背側の外装体２０に連続し、立体ギャザー１５に沿う非伸縮領域３３と、非伸縮領域３３よりも幅方向Ｗの外側に設けられた伸縮領域３４と、を有する防漏部３０が設けられる。
【選択図】図１

【特許請求の範囲】

【請求項1】

着用者の腹側から背側に延びる方向を長手方向とし、前記長手方向に直交する方向を幅方向としたとき、
前記長手方向に長い吸収体と、前記吸収体の前記幅方向の両側部において前記長手方向に延びると共に前記着用者の肌側に起立する立体ギャザーと、を有する内装体と、
前記内装体の少なくとも前記長手方向の両端部を非肌側から覆う外装体と、を備え、
前記腹側における前記外装体の前記幅方向の両側部と、前記背側における前記外装体の前記幅方向の両側部とがそれぞれ接合され、ウエスト開口部及び一対の足周り開口部が形成されたパンツ型使い捨てオムツであって、
前記立体ギャザーよりも前記幅方向の外側には、前記長手方向に延びて、前記長手方向の一方の端部が前記腹側における前記外装体と連続し、前記長手方向の他方の端部が前記背側における前記外装体と連続する防漏部が設けられ、
前記防漏部は、前記立体ギャザーに沿う非伸縮領域と、前記非伸縮領域よりも前記幅方向の外側に設けられた伸縮領域と、を有する
ことを特徴とするパンツ型使い捨てオムツ。

【請求項2】

請求項１に記載されたパンツ型使い捨てオムツにおいて、
前記外装体は、前記幅方向に伸縮する幅方向伸縮領域を有し、
前記防漏部は、前記長手方向の両端部が、いずれも前記外装体の前記幅方向伸縮領域と連続する
ことを特徴とするパンツ型使い捨てオムツ。

【請求項3】

請求項１又は請求項２に記載されたパンツ型使い捨てオムツにおいて、
前記防漏部は、前記内装体及び前記外装体とは別部材の前記長手方向に延びる防漏シート材と、前記防漏シート材に設けられた防漏伸縮材と、によって構成される
ことを特徴とするパンツ型使い捨てオムツ。

【請求項4】

請求項３に記載されたパンツ型使い捨てオムツにおいて、
前記防漏シート材の前記長手方向の両端部は、前記外装体の非肌側に接合される
ことを特徴とするパンツ型使い捨てオムツ。

【請求項5】

請求項１又は請求項２に記載されたパンツ型使い捨てオムツにおいて、
前記防漏部は、前記非伸縮領域の肌側に体液を吸収可能な吸収材が設けられた
ことを特徴とするパンツ型使い捨てオムツ。

【発明の詳細な説明】

【技術分野】

【0001】

本発明は、パンツ型使い捨てオムツに関するものである。

【背景技術】

【0002】

従来、吸収体を有する内装体と、内装体の非肌側に取り付けられた外装体と、を備え、外装体の幅方向の両側部が接合されてウエスト開口部及び一対の足周り開口部が形成されたパンツ型使い捨てオムツが知られている（例えば、特許文献１及び特許文献２参照）。

【0003】

ここで、特許文献１に記載のパンツ型使い捨てオムツは、吸収体の幅方向の両側縁に沿って第１防漏壁が形成され、第１防漏壁の幅方向の外側に第２防漏壁が形成されている。そして、第１防漏壁と第２防漏壁との間には、他の部位よりも剛性の低い低剛性領域が形成されると共に、シャーリング伸縮材が配設されている。これにより、特許文献１に記載のパンツ型使い捨てオムツは、吸収体の幅方向の両側部が着用者の足に沿って下方（外側）に屈曲しやすくなっている。

【0004】

また、特許文献２に記載のパンツ型使い捨てオムツは、吸収体の腹側の端部及び背側の端部の肌側に、幅方向に伸縮可能な防漏シートが配置されている。そして、防漏シートが幅方向の内側（幅方向中心側）に向かって収縮して吸収体から離間することで、長手方向の内側に向かって開放するポケットが形成される。

【先行技術文献】

【特許文献】

【0005】

【特許文献1】特許第４０１４４７１号公報

【特許文献2】特許第３７７１４６６号公報

【発明の概要】

【発明が解決しようとする課題】

【0006】

しかしながら、従来のパンツ型使い捨てオムツでは、着用者が仰臥姿勢になった際、尿等の体液が吸収体の背側の端部を超え、外装体まで達することがある。吸収体の背側の端部を超えて外装体に達した体液は、ウエスト開口部が着用者の背中で圧迫されている等の理由からウエスト開口部からは漏れず、外装体を伝い、着用者の鼠径部に沿って流れていく。そして、鼠径部に沿って流れた体液は、足周り開口部から外部に漏れてしまうことがあった。

【0007】

本発明は、上記問題に着目してなされたもので、足周り開口部からの体液の漏れを抑えることができるパンツ型使い捨てオムツを提供することを目的とする。

【課題を解決するための手段】

【0008】

上記目的を達成するため、本発明は、着用者の腹側から背側に延びる方向を長手方向とし、前記長手方向に直交する方向を幅方向としたとき、前記長手方向に長い吸収体と、前記吸収体の前記幅方向の両側部において前記長手方向に延びると共に前記着用者の肌側に起立する立体ギャザーと、を有する内装体と、少なくとも前記内装体の前記長手方向の両端部の非肌側を覆う外装体と、を備え、前記腹側における前記外装体の前記幅方向の両側部と、前記背側における前記外装体の前記幅方向の両側部とがそれぞれ接合され、ウエスト開口部及び一対の足周り開口部が形成されたパンツ型使い捨てオムツでである。ここで、前記立体ギャザーよりも前記幅方向の外側には、前記長手方向に延びて、前記長手方向の一方の端部が前記腹側における前記外装体に連続し、前記長手方向の他方の端部が前記背側における前記外装体に連続する防漏部が設けられる。前記防漏部は、前記立体ギャザーに沿う非伸縮領域と、前記非伸縮領域よりも前記幅方向の外側に設けられた伸縮領域と、を有する構成とした。

【発明の効果】

【0009】

これにより、本発明のパンツ型使い捨てオムツは、足周り開口部からの体液の漏れを抑えることができる。

【図面の簡単な説明】

【0010】

【図1】実施例１のパンツ型使い捨てオムツを示す展開図である。

【図2】図１におけるＡ－Ａ断面図である。

【図3】図１におけるＢ－Ｂ断面図である。

【図4】実施例１のパンツ型使い捨てオムツを示す外観図である。

【図5】実施例１のパンツ型使い捨てオムツにおける体液の流れを示す説明図である。

【図6】実施例１のパンツ型使い捨てオムツにおける体液の流れを示す説明図である。

【図7】実施例１のパンツ型使い捨てオムツにおける防漏シート材の重なり状態を示す説明図である。

【図8】実施例２のパンツ型使い捨てオムツを示す展開図である。

【図9】図８におけるＣ－Ｃ断面図である。

【図10】第１変形例のパンツ型使い捨てオムツを示す展開図である。

【図11】第２変形例のパンツ型使い捨てオムツを示す展開図である。

【図12】第３変形例のパンツ型使い捨てオムツを示す展開図である。

【図13】図１２におけるＤ－Ｄ断面図である。

【図14】第４変形例のパンツ型使い捨てオムツを示す展開図である。

【発明を実施するための形態】

【0011】

本発明によるパンツ型使い捨てオムツを実施するための形態は、図面に示す実施例１及び実施例２に基づいて以下の通り説明される。なお、以下の説明では、着用者の腹側から背側に延びる方向が「長手方向Ｌ」とされ、長手方向Ｌに直交する方向が「幅方向Ｗ」とされる。また、長手方向Ｌ及び幅方向Ｗの双方に直交する方向が「厚さ方向Ｈ」とされる。厚さ方向Ｈにおいて、装着時に着用者の身体に近い方が「肌側」とされ、装着時に下着に近い方が「非肌側」とされる。

【0012】

（実施例１）
実施例１のパンツ型使い捨てオムツ（以下、「紙パンツ１」という）は、図１に示されたように、内装体１０と、外装体２０と、防漏部３０と、を備えている。

【0013】

内装体１０は、図１に示されたように、厚さ方向Ｈから見た平面視において、長手方向Ｌが幅方向Ｗよりも長い長方形状を呈している。内装体１０は、図２及び図３に示されたように、トップシート１１と、バックシート１２と、吸収体１３と、一対のギャザーシート１４と、を備えている。内装体１０は、トップシート１１とバックシート１２との間に吸収体１３が挟み込まれ、幅方向Ｗの両側部に一対のギャザーシート１４がそれぞれ配置され、周縁部等の適宜の領域がホットメルト等の接着剤や溶着等によって固定されて形成される。

【0014】

トップシート１１は、肌側に配置されたシート材である。トップシート１１は、体液を透過する特性である液透過性を有し、吸収体１３に向けて体液を速やかに通過させる。トップシート１１は、例えば、液透過性の不織布等で形成されている。

【0015】

バックシート１２は、非肌側に配置されたシート材である。バックシート１２は、液体を透過させない特性である液不透過性を有し、吸収体１３が保持した体液の透過を阻止して、衣類等を濡らさないようにする。バックシート１２は、例えば、樹脂フィルム等で形成されている。

【0016】

吸収体１３は、トップシート１１とバックシート１２との間に挟み込まれた液体吸収材である。吸収体１３は、例えば吸収性ポリマー粒子とパルプ繊維を含んで構成され、クレープ紙や不織布等からなる図示しないコアラップシートによって包まれてもよい。吸収体１３は、トップシート１１及びバックシート１２より小さい外形を有する。吸収体１３は、単層であっても複層であってもよい。

【0017】

一対のギャザーシート１４は、長手方向Ｌに延びる細長いシート材である。ギャザーシート１４は、例えば、撥水性又は液不透過性の不織布等によって形成されている。ギャザーシート１４は、ここでは、幅方向Ｗの一端部１４ａが、例えばホットメルト等の接着剤や溶着等によってバックシート１２の非肌側に固定され（図２参照）、幅方向Ｗの他端部１４ｂが自由端になっている。そして、自由端であるギャザーシート１４の幅方向Ｗの他端部１４ｂには、長手方向Ｌに伸縮可能な立体ギャザー伸縮材１４ｃが所定の伸張状態で設けられている。

【0018】

立体ギャザー伸縮材１４ｃは、例えば、幅方向Ｗに並列され、長手方向Ｌに伸縮する複数の糸状又は帯状の合成ゴム等によって構成される。ギャザーシート１４は、立体ギャザー伸縮材１４ｃの伸縮力によって収縮し、着用者に向かって起立して壁様の立体ギャザー１５を形成する。すなわち、内装体１０は、吸収体１３の幅方向Ｗの両側部に配置され、長手方向Ｌに延びると共に、トップシート１１から着用者の肌側に起立する立体ギャザー１５を有する。紙パンツ１は、立体ギャザー１５によって、吸収体１３の幅方向Ｗの両側部からの体液の横漏れが防止される。

【0019】

外装体２０は、内装体１０の少なくとも長手方向Ｌの両端部を非肌側から覆い、内装体１０に接合される。ここで、外装体２０は、厚さ方向Ｈから見た平面視において、幅方向Ｗに長い長方形状を呈し、内装体１０よりも長手方向Ｌの外方に延在している（図１参照）。さらに、外装体２０は、内装体１０よりも幅方向Ｗの外方に延在し、内装体１０の長手方向Ｌの一端部（腹側）における外装体２０（以下、「第１外装体２１」という）の幅方向Ｗの両側部２１ａ、２１ｂと、内装体１０の長手方向Ｌの他端部（背側）における外装体２０（以下、「第２外装体２２」という）の幅方向Ｗの両側部２２ａ、２２ｂとが溶着等でそれぞれ接合される。これにより、紙パンツ１は、図４に示されたように、着用者の胴を通すためのウエスト開口部２と、着用者の足を通すための一対の足周り開口部３と、を有するパンツ型に形成される。

【0020】

なお、実施例１の外装体２０は、内装体１０の長手方向Ｌの両端部、つまり腹側及び背側に別々に設けられ、腹側における第１外装体２１と、背側における第２外装体２２とで構成された二分割タイプである。このため、紙パンツ１がパンツ型に形成された際、着用者の股部を覆う部分では、内装体１０のバックシート１２が露出する。

【0021】

そして、外装体２０（第１外装体２１及び第２外装体２２）は、内側シート材２３ａ及び外側シート材２３ｂ（図２参照）と、これらの間に設けられたシャーリング伸縮材２４と、を有している。

【0022】

内側シート材２３ａ及び外側シート材２３ｂは、それぞれ液体を透過させない特性である液不透過性を有している。なお、内側シート材２３ａ及び外側シート材２３ｂは、個別のシート材によって構成されてもよいし、共通の一枚のシート材によって構成されてもよい。内側シート材２３ａ及び外側シート材２３ｂが一枚のシート材によって構成される場合は、例えば一枚のシート材を折り返し、内側シート材２３ａ及び外側シート材２３ｂとされる。

【0023】

シャーリング伸縮材２４は、幅方向Ｗに伸縮可能な伸縮部材である。シャーリング伸縮材２４は、所定の伸張状態で内側シート材２３ａ及び外側シート材２３ｂに固定され、収縮して自然長に戻ることで、内側シート材２３ａ及び外側シート材２３ｂを収縮させる。なお、シャーリング伸縮材２４は、例えば長手方向Ｌに並列され、幅方向Ｗに伸縮する複数の糸ゴム等の細長状の弾性材によって構成される。外装体２０は、シャーリング伸縮材２４が伸縮することで幅方向Ｗに伸縮し、着用者の胴周りにフィットする。なお、シャーリング伸縮材２４は、糸ゴム等の細長状の弾性材の他、帯状、網状、フィルム状等の弾性材を用いることができる。

【0024】

また、紙パンツ１では、内装体１０の変形を抑制するため、外装体２０のうち、内装体１０が重なる領域及びその周囲領域にはシャーリング伸縮材２４が配置されない。そのため、外装体２０は、シャーリング伸縮材２４が配置された領域、つまり、内装体１０が重なる領域及びその周囲領域以外の領域が、幅方向Ｗに伸縮可能な幅方向伸縮領域Ｓになる。

【0025】

なお、シャーリング伸縮材２４は、内側シート材２３ａ及び外側シート材２３ｂの全面に配置されてもよい。この場合、内装体１０が重なる領域及びその周囲領域では、シャーリング伸縮材２４に破断処理が施されて、シャーリング伸縮材２４が有する伸縮力が阻害されることが好ましい。そして、シャーリング伸縮材２４に破断処理が施されない領域が、幅方向Ｗに伸縮可能な幅方向伸縮領域Ｓになる。また、シャーリング伸縮材２４に対する破断処理は、例えば、シャーリング伸縮材２４が固定された内側シート材２３ａ及び外側シート材２３ｂに多数の細かい貫通孔を形成し、貫通孔によってシャーリング伸縮材２４を破断することで行われる。

【0026】

防漏部３０は、図１に示されたように、立体ギャザー１５よりも幅方向Ｗの外側の位置に配置され、長手方向Ｌに延びている。実施例１の防漏部３０は、内装体１０の幅方向Ｗの両側にそれぞれ配置された防漏シート材３１と、防漏シート材３１に設けられた防漏伸縮材３２と、によって構成されている。

【0027】

防漏シート材３１は、内装体１０及び外装体２０とは別部材のシート材であり、長手方向Ｌに延びる細長い帯状を呈している。防漏シート材３１は、撥水性又は液不透過性の不織布等によって形成されている。

【0028】

また、防漏シート材３１の長手方向Ｌの一方の端部３１ａは、例えばホットメルト等の接着剤や溶着等によって、腹側における外装体２０である第１外装体２１に接合されている。実施例１では、防漏シート材３１の長手方向Ｌの一方の端部３１ａは、第１外装体２１の幅方向伸縮領域Ｓの非肌側に接合されている。これにより、防漏部３０の長手方向Ｌの一端部は、第１外装体２１の幅方向伸縮領域Ｓと連続する。

【0029】

また、防漏シート材３１の長手方向Ｌの他方の端部３１ｂは、例えばホットメルト等の接着剤や溶着等によって、背側における外装体２０である第２外装体２２に接合されている。実施例１では、防漏シート材３１の長手方向Ｌの他方の端部３１ｂは、第２外装体２２の幅方向伸縮領域Ｓの非肌側に接合されている。これにより、防漏部３０の長手方向Ｌの他端部は、第２外装体２２の幅方向伸縮領域Ｓと連続する。

【0030】

そして、防漏シート材３１の長手方向Ｌの中間部は、幅方向Ｗの内側の一端部３１ｃが、例えばホットメルト等の接着剤や溶着等によって内装体１０の非肌側に固定されている（図３参照）。

【0031】

防漏伸縮材３２は、例えば、幅方向Ｗに並列され、長手方向Ｌに伸縮する複数の糸ゴム等によって構成される。防漏伸縮材３２は、所定の伸長状態で防漏シート材３１の幅方向Ｗの外側の他端部３１ｄに固定されている。なお、実施例１では、防漏伸縮材３２は、防漏シート材３１の全長にわたって固定されている。防漏伸縮材３２が伸縮することで、防漏シート材３１の幅方向Ｗの他端部３１ｄが着用者の肌側に起立する（図３参照）。

【0032】

そして、防漏シート材３１のうち、防漏伸縮材３２が設けられておらず、防漏シート材３１が伸縮しない領域が、防漏部３０の非伸縮領域３３となる。また、防漏シート材３１のうち、防漏伸縮材３２の伸縮力によって防漏シート材３１が伸縮する領域が、防漏部３０の伸縮領域３４となる。なお、非伸縮領域３３とは、防漏部３０が長手方向Ｌ及び幅方向Ｗの双方にほとんど伸縮しない領域である。また、伸縮領域３４とは、防漏部３０が長手方向Ｌ或いは幅方向Ｗに伸縮して、着用者の肌側に起立する領域である。

【0033】

さらに、防漏伸縮材３２が防漏シート材３１の幅方向Ｗの他端部３１ｄに固定されたことで、非伸縮領域３３は、立体ギャザー１５に沿って設定され、幅方向Ｗに所定の幅を有することになる。また、伸縮領域３４は、非伸縮領域３３よりも幅方向Ｗの外側に位置する。すなわち、防漏部３０は、立体ギャザー１５に沿う非伸縮領域３３と、非伸縮領域３３よりも幅方向Ｗの外側に設けられた伸縮領域３４と、を有する。

【0034】

実施例１の紙パンツ１の作用は以下の通りに説明される。

【0035】

実施例１の紙パンツ１を着用した着用者が仰臥姿勢になると、尿等の体液の一部は、着用者と内装体１０との間を流れ、図５に矢印で示されたように、内装体１０の長手方向Ｌの一方の端部（背側の端部）を超えて外装体２０（第２外装体２２）に達することがある。外装体２０（第２外装体２２）にまで流れた体液は、ウエスト開口部２が着用者の背中で圧迫されている等の理由により、ウエスト開口部２からは漏れず、外装体２０（第２外装体２２）と着用者の間を伝い、着用者の鼠径部に沿って流れる。

【0036】

ここで、実施例１の紙パンツ１では、内装体１０が有する立体ギャザー１５よりも幅方向Ｗの外側に、防漏部３０が設けられている。防漏部３０は長手方向Ｌに延び、防漏部３０を構成する防漏シート材３１の長手方向Ｌの一方の端部３１ａが腹側の第１外装体２１と連続し、防漏シート材３１の長手方向Ｌの他方の端部３１ｂが背側の第２外装体２２と連続する。また、防漏部３０は、立体ギャザー１５に沿う非伸縮領域３３と、非伸縮領域３３よりも幅方向Ｗの外側に設けられた伸縮領域３４と、を有している。

【0037】

このため、紙パンツ１が着用された際、防漏部３０は、着用者の鼠径部に沿って延びる。また、立体ギャザー１５は、図６に示されたように、立体ギャザー伸縮材１４ｃが収縮することで、着用者の肌側に向かって壁様に立ち上がる。さらに、伸縮領域３４は、図６に示されたように、防漏伸縮材３２が収縮することで、着用者の肌側に向かって壁様に立ち上がる。これにより、実施例１の紙パンツ１では、立体ギャザー１５と伸縮領域３４、及びその間の非伸縮領域３３によって、肌側に開放し、鼠径部に沿って延びる空間（ポケット）Ｋが区画される。

【0038】

これにより、着用者の鼠径部に沿って流れた体液は、図５及び図６において矢印で示されたように、立体ギャザー１５と伸縮領域３４との間の空間Ｋへと流れ込む。この結果、鼠径部に沿って流れた体液を空間Ｋに溜めることができ、実施例１の紙パンツ１は、足周り開口部３からの体液の漏れを抑えることができる。

【0039】

また、実施例１の紙パンツ１では、外装体２０（第１外装体２１及び第２外装体２２）が、幅方向Ｗに伸縮する幅方向伸縮領域Ｓを有している。そして、防漏部３０を構成する防漏シート材３１は、長手方向Ｌの一方の端部３１ａ及び他方の端部３１ｂが、いずれも外装体２０の幅方向伸縮領域Ｓに接合され、防漏部３０は外装体２０の幅方向伸縮領域Ｓと連続する。

【0040】

そのため、防漏シート材３１の長手方向Ｌの端部３１ａ、３１ｂは、外装体２０と一体的に幅方向Ｗに収縮可能である。これにより、防漏部３０の非伸縮領域３３が、着用者の肌から離れる方向に撓みやすくなり、立体ギャザー１５と伸縮領域３４との間の空間Ｋに体液が溜りやすくなる。この結果、実施例１の紙パンツ１は、足周り開口部３からの体液の漏れをさらに抑えることができる。

【0041】

また、実施例１の紙パンツ１では、防漏部３０が、内装体１０及び外装体２０とは別部材の長手方向Ｌに延びるシート材である防漏シート材３１と、防漏シート材３１に設けられた防漏伸縮材３２と、によって構成されている。

【0042】

これにより、実施例１の紙パンツ１は、内装体１０や外装体２０の形状や仕様を、防漏部３０を有していない一般的なパンツ型の使い捨てオムツと共通化させることができる。そのため、資材の多様化を抑制し、製造コストの低減を図ることができる。また、実施例１の紙パンツ１は、防漏部３０を有していない一般的なパンツ型の使い捨てオムツに防漏シート材３１を追加することで製造することが可能となり、容易に製造することができる。

【0043】

また、実施例１の紙パンツ１では、防漏部３０を構成する防漏シート材３１の長手方向Ｌの両端部３１ａ、３１ｂが、いずれも外装体２０の非肌側に接合されている。

【0044】

これにより、実施例１の紙パンツ１は、図７に示されたように、外装体２０と防漏シート材３１との接合位置の端部Ｘにおいて、外装体２０と防漏シート材３１が重なることで生じる段差Ｄを、体液の流れ方向の下流に向かって低くすることができる。このため、段差Ｄが体液の流れを阻害せず、体液は、空間Ｋに向かって円滑に流れることができる。すなわち、実施例１の紙パンツ１は、外装体２０を伝って流れる体液を空間Ｋに向けて誘導することが可能となり、さらに体液の漏れを抑制することができる。

【0045】

（実施例２）
実施例２におけるパンツ型使い捨てオムツ（以下、「紙パンツ１Ａ」という）は、図８及び図９に示されたように、内装体１０と、外装体２０と、防漏部４０と、を備えている。

【0046】

実施例２の紙パンツ１Ａにおいて、内装体１０及び外装体２０の各構成は、実施例１の紙パンツ１における内装体１０及び外装体２０と同様の構成であるため、同一の符号を付し、説明を省略する。

【0047】

一方、実施例２の防漏部４０は、立体ギャザー１５よりも幅方向Ｗの外側の位置に配置され、長手方向Ｌに延びた防漏シート材４１と、防漏伸縮材４２と、防漏吸収体４５と、によって構成されている。

【0048】

防漏シート材４１は、実施例１と同様に、長手方向Ｌの一方の端部４１ａが腹側の第１外装体２１に接合され、長手方向Ｌの他方の端部４１ｂが背側の第２外装体２２に接合されている。実施例２においても、防漏シート材４１の長手方向Ｌの一方の端部４１ａは、第１外装体２１の幅方向伸縮領域Ｓの非肌側に接合されている。また、防漏シート材４１の長手方向Ｌの他方の端部４１ｂは、第２外装体２２の幅方向伸縮領域Ｓの非肌側に接合されている。さらに、防漏シート材４１の長手方向Ｌの中間部は、幅方向Ｗの一端部４１ｃが内装体１０の非肌側に接合されている。

【0049】

防漏伸縮材４２は、実施例１と同様に、長手方向Ｌに伸縮可能であり、防漏シート材４１の幅方向Ｗの他端部４１ｄに固定されている。

【0050】

そして、実施例２の防漏部４０は、防漏伸縮材４２が設けられていない非伸縮領域４３と、防漏伸縮材４２が設けられた伸縮領域４４と、を有し、防漏吸収体４５は、非伸縮領域４３の肌側に設けられている。

【0051】

ここで、防漏吸収体４５は、トップシート４５ａと、バックシート４５ｂと、吸収体４５ｃと、を有している（図９参照）。トップシート４５ａは、内装体１０のトップシート１１と同様の素材から形成され、肌側に配置されたシート材である。また、バックシート４５ｂは、内装体１０のバックシート１２と同様の素材から形成され、非肌側に配置されたシート材である。また、吸収体４５ｃは、内装体１０の吸収体１３と同様の素材から形成され、例えば吸収性ポリマー粒子とパルプ繊維を含んで構成されている。

【0052】

そして、防漏吸収体４５は、トップシート４５ａとバックシート４５ｂの間に吸収体４５ｃが挟み込まれ、トップシート４５ａ及びバックシート４５ｂの周縁部等の適宜の領域が溶着等によって固定されることで形成される。

【0053】

また、防漏吸収体４５は、第１外装体２１から第２外装体２２までにわたり、長手方向Ｌに沿って延びている。そして、防漏吸収体４５は、バックシート４５ｂの非肌側が、防漏シート材４１の肌側に固定され、トップシート４５ａが着用者に対向する。

【0054】

これにより、実施例２の紙パンツ１Ａは、立体ギャザー１５と伸縮領域４４との間に形成された空間Ｋに溜まった体液を、防漏吸収体４５によって吸収することができる。このため、実施例２の紙パンツ１Ａは、実施例１の紙パンツ１よりも足周り開口部３からの体液の漏れを抑制することができる。

【0055】

以上、本発明のパンツ型使い捨てオムツを実施例１及び実施例２に基づいて説明してきたが、具体的な構成については、これらの実施例に限られるものではなく、各請求項に係る発明の要旨を逸脱しない限り、設計の変更や追加等は許容される。

【0056】

実施例１の紙パンツ１では、外装体２０が内装体１０の長手方向Ｌの両端部で別々に設けられ、腹側における第１外装体２１と、背側における第２外装体２２とで構成された二分割タイプである例が示された。しかしながら、外装体５０は、図１０に示された第１変形例のパンツ型使い捨てオムツ１Ｂのように、内装体１０の非肌側を長手方向Ｌの一端部（腹側）から他端部（背側）にわたって一体的に覆うタイプであってもよい。この場合、外装体５０の幅方向Ｗの両側部には、一対の湾曲縁部５１が形成される。各湾曲縁部５１は、外装体５０の長手方向Ｌの中間部に位置し、外装体５０が幅方向Ｗの内側に湾曲するようにカットされることで形成される。一対の湾曲縁部５１は、腹側における外装体５０の幅方向Ｗの両側部５０ａ、５０ｂと、背側における外装体５０の幅方向Ｗの両側部５０ｃ、５０ｄとがそれぞれ接合された際、一対の足周り開口部３を形成する。

【0057】

また、実施例１の紙パンツ１では、防漏部３０が内装体１０及び外装体２０とは別部材のシート材である防漏シート材３１によって構成された例が示された。しかしながら、図１０に示された第１変形例のパンツ型使い捨てオムツ１Ｂのように、防漏部５３が、外装体５０の一部と、外装体５０に設けられた足周り伸縮材５２と、によって構成されてもよい。

【0058】

すなわち、第１変形例のパンツ型使い捨てオムツ１Ｂでは、外装体５０の長手方向Ｌの中間部にシャーリング伸縮材２４が配置されない領域が設定される。また、足周り伸縮材５２が、内装体１０（吸収体１３）から所定の間隔をあけた状態で、湾曲縁部５１に沿って配置される。これにより、第１変形例のパンツ型使い捨てオムツ１Ｂでは、外装体５０のうち、内装体１０（吸収体１３）の幅方向Ｗの両側部において、シャーリング伸縮材２４及び足周り伸縮材５２の双方が配置されない領域が防漏部５３の非伸縮領域５３ａとなる。また、外装体５０のうち、内装体１０（吸収体１３）の幅方向Ｗの両側部において、足周り伸縮材５２が配置された領域が防漏部５３の伸縮領域５３ｂとなる。

【0059】

そして、外装体５０の一部と、外装体５０に設けられた足周り伸縮材５２と、によって防漏部５３が構成されることで、第１変形例のパンツ型使い捨てオムツ１Ｂでは、外装体５０と防漏部５３との間に境界が生じない。そのため、第１変形例のパンツ型使い捨てオムツ１Ｂは、外装体５０を伝って流れる体液を、防漏部５３によって形成される空間Ｋへと円滑に流入させることができ、足周り開口部３からの体液の漏れを抑制することができる。

【0060】

なお、第１変形例のパンツ型使い捨てオムツ１Ｂにおいて、足周り伸縮材５２は、湾曲縁部５１に沿って延びると共に、外装体５０の長手方向Ｌの中央部で外装体５０の幅方向Ｗの中央に向かって湾曲している。さらに、腹側における外装体５０の幅方向Ｗの側部５０ａ、５０ｂから延びる足周り伸縮材５２と、背側における外装体５０の幅方向Ｗの側部５０ｃ、５０ｄから延びる足周り伸縮材５２とは、外装体５０の長手方向Ｌの中央部で重なり合っている。

【0061】

しかしながら、足周り伸縮材５２の配置は、第１変形例のパンツ型使い捨てオムツ１Ｂに限らない。足周り伸縮材５２は、例えば、図１１に示された第２変形例のパンツ型使い捨てオムツ１Ｃのように配置されてもよい。すなわち、足周り伸縮材５２は、腹側における外装体５０の幅方向Ｗの側部５０ａ、５０ｂから、背側における外装体５０の幅方向Ｗの側部５０ｃ、５０ｄに至るまで湾曲縁部５１に沿って円弧状に連続して延びてもよい。第２変形例のパンツ型使い捨てオムツ１Ｃにおいても、外装体５０の幅方向Ｗの両側部のうち、シャーリング伸縮材２４及び足周り伸縮材５２の双方が配置されない領域が防漏部５３の非伸縮領域５３ａになる。そして、外装体５０の幅方向Ｗの両側部のうち、足周り伸縮材５２が配置された領域が防漏部５３の伸縮領域５３ｂになる。

【0062】

また、実施例１の紙パンツ１では、防漏部３０を構成する防漏シート材３１が、外装体２０の非肌側に接合される例が示された。しかしながら、図１２、図１３に示された第３変形例のパンツ型使い捨てオムツ１Ｄのように、防漏シート材６１が、外装体５０の肌側に接合されてもよい。つまり、防漏シート材６１は、内装体１０と外装体５０の間に挟み込まれてもよい。

【0063】

第３変形例のパンツ型使い捨てオムツ１Ｄでは、防漏シート材６１が外装体５０の肌側に接合されたことで、体液は、外装体２０の内側において、防漏部６０によって形成される空間Ｋへと流れこむ。これにより、第３変形例のパンツ型使い捨てオムツ１Ｄは、防漏シート材６１と外装体５０との接合部分での体液の漏れの抑制効果を向上させることができる。

【0064】

さらに、防漏部７０は、図１４に示された第４変形例のパンツ型使い捨てオムツ１Ｅのように、腹側から背側までわたる長手方向Ｌに一体的なタイプの外装体５０に対し、幅方向Ｗに伸縮可能なシャーリング伸縮材２４を全面に配置した上で、シャーリング伸縮材２４の一部を破断することで構成されてもよい。

【0065】

すなわち、第４変形例のパンツ型使い捨てオムツ１Ｅでは、内装体１０（吸収体１３）の幅方向Ｗの両側部において、長手方向Ｌに沿った所定の領域でシャーリング伸縮材２４に破断処理が施され、シャーリング伸縮材２４の伸縮力が阻害されている。なお、シャーリング伸縮材２４に対する破断処理は、例えば、シャーリング伸縮材２４が固定された内側シート材２３ａ及び外側シート材２３ｂに多数の細かい貫通孔を形成し、貫通孔によってシャーリング伸縮材２４を破断することで行われる。

【0066】

また、内装体１０の周囲領域にシャーリング伸縮材２４を固定するための接着剤を塗布せず、内装体１０の周囲領域にシャーリング伸縮材２４を固定しないことで、シャーリング伸縮材２４の伸縮力が阻害されてもよい。この場合、外装体５０に貫通孔を形成するシャーリング伸縮材２４の破断処理が不要となる。そのため、外装体５０に細かい貫通孔が形成されず、外装体５０に形成された貫通孔からの体液の漏れを防止することができる。

【0067】

そして、第４変形例のパンツ型使い捨てオムツ１Ｅでは、内装体１０（吸収体１３）の幅方向Ｗの両側部において、シャーリング伸縮材２４の伸縮力が阻害された領域が、防漏部７０の非伸縮領域７１となる。また、外装体５０に形成された湾曲縁部５１と、非伸縮領域７１との間に配置されたシャーリング伸縮材２４によって伸縮する領域が、防漏部７０の伸縮領域７２となる。

【0068】

なお、第４変形例のパンツ型使い捨てオムツ１Ｅでは、伸縮領域７２が幅方向Ｗに沿って伸縮する。この場合であっても、シャーリング伸縮材２４の伸縮力によって外装体５０のうちの湾曲縁部５１に沿った部分が肌側に立ち上がることができる。そして、防漏部７０による空間Ｋを形成することができ、足周り開口部３からの体液の漏れを抑制することができる。

【符号の説明】

【0069】

１ 紙パンツ（パンツ型使い捨てオムツ）
２ ウエスト開口部
３ 足周り開口部
１０ 内装体
１３ 吸収体
１５ 立体ギャザー
２０ 外装体
２１ 第１外装体
２２ 第２外装体
３０ 防漏部
３１ 防漏シート材
３２ 防漏伸縮材
３３ 非伸縮領域
３４ 伸縮領域
Ｌ 長手方向
Ｗ 幅方向

【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】

【図6】

【図7】

【図8】

【図9】

【図10】

【図11】

【図12】

【図13】

【図14】