IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 日本オペレーター株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-プランター 図1
  • 特開-プランター 図2
  • 特開-プランター 図3
  • 特開-プランター 図4
  • 特開-プランター 図5
  • 特開-プランター 図6
  • 特開-プランター 図7
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024028036
(43)【公開日】2024-03-01
(54)【発明の名称】プランター
(51)【国際特許分類】
   A01G 9/02 20180101AFI20240222BHJP
【FI】
A01G9/02 D
A01G9/02 103G
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022131345
(22)【出願日】2022-08-19
(71)【出願人】
【識別番号】397004711
【氏名又は名称】日本オペレーター株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000534
【氏名又は名称】弁理士法人真明センチュリー
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 隆一郎
【テーマコード(参考)】
2B327
【Fターム(参考)】
2B327QA05
2B327QB03
2B327QB11
2B327TA02
2B327TA07
2B327TA12
2B327UB11
2B327UB21
(57)【要約】
【課題】培地の充填および排出を容易にできるプランターを提供すること。
【解決手段】
培地の収納領域(支持面20)の上方には、側板4a,4b及び連結板5の縁によって開口部7が形成され、この開口部7において培地の充填および排出が行われる。この開口部7の開口面積(上面視における開口部7の面積)は、端板6の面積(プランター1の長手方向視における端板6の面積)よりも大きく形成される。これにより、従来技術のように培地の出し入れ口を管体6の長手方向両端側に形成する場合に比べ、開口部7の面積を大きくできる。よって、プランター1に対する培地の充填および排出を容易にできる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1方向に延びる第1通気口と、その第1通気口に繋がる複数の第2通気口を有し、前記第1通気口の上方側で前記第1方向に延びる畝状の支持面と、複数の第3通気口を有し、前記第1方向と直交する第2方向で前記支持面を挟んで対面する一対の側壁と、を備え、前記支持面および一対の前記側壁によって培地の収納領域が形成されるプランターにおいて、
前記第1方向における前記収納領域の両端を塞ぐ一対の端壁と、
前記収納領域の上方側に形成され、前記端壁の面積よりも大きい開口面積で形成される開口部と、を備えることを特徴とするプランター。
【請求項2】
前記第2方向において、前記開口部の開口寸法が前記支持面の寸法よりも大きいことを特徴とする請求項1記載のプランター。
【請求項3】
前記端壁は、前記収納領域を外部に繋ぐ複数の第4通気口を備えることを特徴とする請求項1記載のプランター。
【請求項4】
前記支持面の下端と前記側壁の下端とを前記第2方向で接続する底壁を備え、
前記底壁は、複数の排水孔を備えることを特徴とする請求項1記載のプランター。
【請求項5】
前記第1通気口の下部を覆う底板を備えることを特徴とする請求項1記載のプランター。
【請求項6】
前記底板は、前記第1通気口を外部に繋ぐ第5通気口を備えることを特徴とする請求項5記載のプランター。
【請求項7】
地面よりも高い位置で載置台に載置される前記プランターであって、
前記底板は、前記載置台から上方に突出する凸部が嵌め込まれる嵌合穴を備え、
前記凸部と前記嵌合穴との嵌合によって前記載置台に対する前記底板の相対移動が規制されることを特徴とする請求項5記載のプランター。
【請求項8】
矩形の前記底板と、前記側壁を構成する一対の側板と、前記端壁を構成する一対の端板と、が一体に形成された樹脂製の第1板と、
前記底板に取り付けられることで前記支持面を構成する樹脂製の第2板と、を備え、
前記第1板の前記底板、前記側板、及び前記端板の各辺を折り曲げると共に、その折り曲げ状態を固定することによって外郭が形成されることを特徴とする請求項5記載のプランター。
【請求項9】
一対の前記側板は、前記底板の前記第1方向に延びる辺に折り曲げ可能に連結され、
前記端板は、前記底板の前記第2方向に延びる辺に折り曲げ可能に連結され、
前記側板および前記端板のいずれか一方は、いずれか他方の縁が挿入される挿入溝を備えることを特徴とする請求項8記載のプランター。
【請求項10】
前記側板および前記端板のいずれか一方は、弾性変形可能な爪を備え、いずれか他方は、前記爪の弾性変形によって前記爪が係合する係合穴を備え、
前記挿入溝の内部で前記爪および前記係合穴が係合することを特徴とする請求項9記載のプランター。
【請求項11】
前記第1方向における前記側板の寸法は、前記第2方向における前記端板の寸法よりも大きく形成され、
前記端板は、前記挿入溝を備えることを特徴とする請求項9記載のプランター。
【請求項12】
前記第1板は、前記第1方向における一対の前記側板の両端部を連結し、縁が前記挿入溝に挿入される連結板を備え、
一対の前記側板のうち、一方の前記側板のみが前記底板に折り曲げ可能に連結され、他方の前記側板が前記底板に係合され、
前記挿入溝は、上方に凸の湾曲形状であることを特徴とする請求項11記載のプランター。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プランターに関し、特に、培地の充填および排出を容易にできるプランターに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、外側管壁3及び内側管壁4によってトンネル状(U字状)の管体6を形成し、その管体6内の管路5に充填された培地7によって植物を生育させる技術が記載されている。この技術では、U字状の管体6の内周側に中空路8が形成され、この中空路8には、地面よりも高い位置に架設された支持体10が挿入される。よって、外側管壁3に形成された複数の貫通孔2から培地7に植物を植え付けることにより、その植物を高所で栽培する所謂「高設栽培」が可能となる。
【0003】
このような高設栽培においては、管体6が高所に配置されるため、管体6内の培地7の温度が上昇し易い。これに対して特許文献1では、外側管壁3及び内側管壁4の各々に複数の貫通孔2を形成している。この貫通孔2を通した通気によって培地温度の上昇を抑制できるので、培地環境の悪化を抑制できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2014-217286号公報(例えば、段落0032,0047、図1,3)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した従来の技術では、管体6に対して培地7を充填または排出する際には、管体6の長手方向(軸方向)両端側の開口部分から培地7を出し入れする必要がある。よって、培地7の充填および排出に手間を要するという問題点があった。
【0006】
本発明は、上述した問題点を解決するためになされたものであり、培地の充填および排出を容易にできるプランターを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的を達成するために本発明のプランターは、第1方向に延びる第1通気口と、その第1通気口に繋がる複数の第2通気口を有し、前記第1通気口の上方側で前記第1方向に延びる畝状の支持面と、複数の第3通気口を有し、前記第1方向と直交する第2方向で前記支持面を挟んで対面する一対の側壁と、を備え、前記支持面および一対の前記側壁によって培地の収納領域が形成されるものであり、前記第1方向における前記収納領域の両端を塞ぐ一対の端壁と、前記収納領域の上方側に形成され、前記端壁の面積よりも大きい開口面積で形成される開口部と、を備える。
【発明の効果】
【0008】
請求項1記載のプランターによれば、畝状の支持面の延設方向(第1方向)における培地の収納領域の両端が一対の端壁によって塞がれるので、培地の収納領域は、側壁および端壁によって四方から取り囲まれる。この収納領域の上方には、端壁の面積よりも大きい開口面積の開口部が形成されるので、従来のように培地を出し入れするための開口部を管体の軸方向(第1方向)の両端側に形成する場合に比べ、開口部の開口面積を大きくできる。よって、プランターに対する培地の充填および排出を容易にできるという効果がある。
【0009】
請求項2記載のプランターによれば、請求項1記載のプランターの奏する効果に加え、次の効果を奏する。一対の側壁の対向方向(第2方向)において、開口部の開口寸法が支持面の寸法よりも大きいので、開口部の開口面積をより大きく形成できる。よって、培地の充填および排出を容易にできるという効果がある。
【0010】
請求項3記載のプランターによれば、請求項1記載のプランターの奏する効果に加え、次の効果を奏する。端壁は、培地の収納領域を外部に繋ぐ複数の第4通気口を備えるので、第4通気口を通した通気により、培地温度の上昇を抑制できるという効果がある。
【0011】
請求項4記載のプランターによれば、請求項1記載のプランターの奏する効果に加え、次の効果を奏する。支持面の下端と側壁の下端とが底壁によって接続され、底壁には、複数の排水孔が形成される。この排水孔を通した排水により、余分な水分が底壁に留まることを抑制できるので、培地環境の悪化を抑制できるという効果がある。
【0012】
請求項5記載のプランターによれば、請求項1記載のプランターの奏する効果に加え、次の効果を奏する。第1通気口の下部を覆う底板を備えるので、その底板を載置台(架台)などに支持できる。また、公知の支持具を第1通気口に挿入することにより、プランターを高所に吊り下げることもできる。よって、プランターを多様な方法で支持できるという効果がある。
【0013】
請求項6記載のプランターによれば、請求項5記載のプランターの奏する効果に加え、次の効果を奏する。底板は、第1通気口を外部に繋ぐ第5通気口を備えるので、第1通気口、第2通気口、及び第5通気口を通した通気性を確保できる。よって、第1通気口の下部を底板で覆った場合であっても、培地温度の上昇を抑制できるという効果がある。
【0014】
請求項7記載のプランターによれば、請求項5記載のプランターの奏する効果に加え、次の効果を奏する。プランターは、地面よりも高い位置で載置台に載置され、プランターの底板は、載置台から上方に突出する凸部が嵌め込まれる嵌合穴を備える。これにより、凸部と嵌合穴との嵌合(引っ掛かり)によって載置台に対する底板の相対移動を規制できる。よって、載置台にプランターを安定的に支持できるという効果がある。
【0015】
請求項8記載のプランターによれば、請求項5記載のプランターの奏する効果に加え、次の効果を奏する。矩形の底板と、側壁を構成する一対の側板と、端壁を構成する一対の端板と、が一体に形成された樹脂製の第1板を備え、この第1板の底板、側板、及び端板の各辺を折り曲げ、その折り曲げ状態を固定することによってプランターの外郭が形成される。第1板の底板に樹脂製の第2板を取り付けることによって培地の支持面が形成されるので、2枚の樹脂板からプランターを形成できる。即ち、組立前のプランターは2枚の樹脂製の板であるので、組立前のプランターの保管スペースを低減することや、組立前のプランターの搬送を容易にすることができるという効果がある。
【0016】
請求項9記載のプランターによれば、請求項8記載のプランターの奏する効果に加え、次の効果を奏する。底板の各辺のうち、支持面の延設方向(第1方向)に延びる辺に一対の側板が折り曲げ可能に連結され、一対の側板の対向方向(第2方向)に延びる辺に一対の端板が折り曲げ可能に連結される。側板および端板のいずれか一方は、いずれか他方の縁が挿入される挿入溝を備えるので、折り曲げ状態の板(他方の板)が元の形状に戻るような変形を挿入溝によって規制できる。よって、組立て後のプランターの形状が維持され易くなるという効果がある。
【0017】
請求項10記載のプランターによれば、請求項9記載のプランターの奏する効果に加え、次の効果を奏する。側板および端板のいずれか一方は、弾性変形可能な爪を備え、いずれか他方は、爪の弾性変形によって爪が係合する係合穴(孔または凹み)を備える。挿入溝の内部で爪および係合穴が係合するので、爪と係合穴との係合部分が外部に露出することを抑制できる。これにより、かかる係合部分に外力が加わることを抑制できるので、爪と係合穴との係合が外れ難くなるという効果がある。
【0018】
請求項11記載のプランターによれば、請求項9記載のプランターの奏する効果に加え、次の効果を奏する。支持面の延設方向(第1方向)における側板の寸法は、一対の側板の対向方向(第2方向)における端板の寸法よりも大きく形成されるので、培地の重量によって側板に作用する荷重が端板に比べて大きくなり易い。つまり、培地の重量によって側板が押し広げられるように変形し易くなる。これに対し、端板の挿入溝に側板を挿入することにより、上記の変形を側板と挿入溝との引っ掛かりによって規制できる。よって、組立て後のプランターの形状が維持され易くなるという効果がある。
【0019】
請求項12記載のプランターによれば、請求項11記載のプランターの奏する効果に加え、次の効果を奏する。第1板は、支持面の延設方向(第1方向)における一対の側板の両端部を連結する連結板を備え、この連結板の縁は、端板の挿入溝に挿入される。これにより、上述した側板が押し広げられるような変形を、挿入溝に挿入された連結板によって効果的に規制できる。よって、組立て後のプランターの形状が維持され易くなるという効果がある。
【0020】
一対の側板が連結板によって連結され、一対の側板のうち、一方の側板のみが底板に折り曲げ可能に連結され、他方の側板が底板に係合されるので、一方の側板を折り曲げつつ、他方の側板を底板に係合させることにより、プランターの組立てが行われる。この時、底板に他方の側板を係合させた係合状態では、連結板が上方に凸の湾曲形状になるのに対し、端板の挿入溝も同様に、上方に凸の湾曲形状に形成される。よって、底板に他方の側板を係合させた状態で、底板に対して端板を折り曲げることにより、その折り曲げと同時に側板および端板を挿入溝に容易に挿入できる。よって、プランターの組立て作業の作業性を向上できるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】トンネルプランターの斜視図である。
図2図1のII-II線におけるトンネルプランターの断面図である。
図3】支持板の平面図である。
図4】トンネルプランターの外郭を形成する樹脂板を展開した平面図である。
図5】底板に支持板を係合させる方法を示すトンネルプランターの断面図である。
図6】底板に側板を係合させる方法を示すトンネルプランターの断面図である。
図7】(a)は、支持板、側板、及び連結板に端板を係合させる方法を示すトンネルプランターの断面図であり、(b)は、変形例を示すトンネルプランターの部分拡大正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の好ましい実施の形態について、添付図面を参照して説明する。まず、図1及び図2を参照して、トンネルプランター1の全体構成について説明する。図1は、トンネルプランター1の斜視図であり、図2は、図1のII-II線におけるトンネルプランター1の断面図である。なお、図1では、通気口21a,21b,40に形成される複数の貫通孔をドット状のハッチングによって模式的に図示しており、図2では、それらの通気口21a,21b,40の図示を省略している。また、図2では、トンネルプランター1の長手方向(第1方向)と直交する平面で切断した断面を図示している(後述する図5,6においても同様である)。
【0023】
図1及び図2に示すように、トンネルプランター1は、苺などの植物が植栽される培地(例えば、培土)を保持するための容器である。トンネルプランター1は、培地を下方から支持する支持板2を備える。
【0024】
支持板2の上面は、培地を支持する支持面20として構成される。支持面20は、断面視(図2に示す断面)において円弧状に形成され、この円弧状の支持面20がトンネルプランター1の長手方向に連続している。即ち、支持面20は、トンネルプランター1の長手方向に延びる畝状に形成される。
【0025】
トンネルプランター1の幅方向(第2方向)(図2の左右方向)における支持板2の両端は、長方形状の底板3に固定されている(底板3が長方形である点については、図4参照)。支持板2は、底板3の幅方向両端よりも内側に固定されているため、底板3の幅方向両端側の縁部30が支持板2の幅方向両側に露出している。即ち、培地の収納領域の底面は、支持板2(支持面20)と底板3の縁部30とによって形成される。
【0026】
底板3の幅方向両端からは、一対の側板4a,4bが上方に立ち上がっており、これらの一対の側板4a,4bが支持板2を挟んで対面する。トンネルプランター1の長手方向における側板4a,4bの両端(上端)は、連結板5によって連結される。これらの各板2,3,4a,4b,5により、トンネルプランター1の長手方向に延びる培地の収納領域が形成され、この収納領域の両端が一対の端板6によって閉塞される。
【0027】
培地の収納領域(支持面20)の上方には、側板4a,4b及び連結板5の縁によって開口部7が形成され、この開口部7において培地の充填および排出が行われる。この開口部7の開口面積(上面視における開口部7の面積)は、少なくとも端板6の面積(トンネルプランター1の長手方向視における端板6の面積)よりも大きく形成することが好ましい。これにより、従来技術(特開2014-217286号公報)のように培地の出し入れ口を管体6の長手方向両端側に形成する場合に比べ、開口部7の面積を大きくできる。よって、トンネルプランター1に対する培地の充填および排出を容易にできる。
【0028】
なお、本実施形態では、トンネルプランター1の長手方向における開口部7の開口寸法は、同方向における支持面20の略全長にわたる(例えば、支持面20の全長の80%以上の)寸法である。また、トンネルプランター1の幅方向における開口部7の開口寸法は、同方向における支持面20の幅寸法よりも大きくなっている。このように、培地の収納領域の上方に開口面積の大きい開口部7を設けることにより、トンネルプランター1に対する培地の充填および排出を容易にできる。
【0029】
このように、開口部7の面積が大きいほど培地の充填および排出は容易になるため、例えば、開口部7の開口面積は、上面視において、支持面20の面積の40%以上が開口部7と重なる面積であることが好ましく、支持面20の面積の60%以上が開口部7と重なる面積であることが更に好ましい。また、開口部7の開口面積は、上面視において、支持面20の面積の80%以上が開口部7と重なる面積であることが最も好ましい。
【0030】
開口部7から培地が充填されたトンネルプランター1は、載置台100(図2参照)に載置されることによって高設栽培が行われる。この種の載置台100は、地面から立ち上がる複数の脚部101と、それら複数の脚部101の上端側に架設される複数の梁102a,102bと、を備えるものである。
【0031】
梁102aは、トンネルプランター1の長手方向(図2の紙面垂直方向)に延びる梁である。梁102aは、トンネルプランター1の幅方向(図2の左右方向)で所定間隔を隔てて一対に設けられ、これら一対の梁102aが梁102bによって接続される。
【0032】
梁102aの上面には、トンネルプランター1を固定するための複数の凸部103が設けられる。この凸部103は、梁102aから上方に延びる円柱状の小径部103aと、その小径部103aの上部に設けられ、小径部103aよりも外径の大きい大径部103bと、を備えるボルトであるが、他の公知の部材を用いて凸部103を形成することは当然可能である。
【0033】
一方、トンネルプランター1の底板3には、載置台100の凸部103を嵌合させるための嵌合穴31(図1参照)が形成され、この嵌合穴31は、底板3の4隅に配置されている(図4参照)。嵌合穴31は、凸部103の大径部103bを挿入するための挿入部31a(図1参照)と、大径部103bを引っ掛けるための係止部31bと、を備える。挿入部31aは、凸部103の大径部103bよりも直径が大きい円形の孔である。
【0034】
係止部31bは、挿入部31aからトンネルプランター1の長手方向に延びる長孔であり、係止部31bの幅寸法は、凸部103の小径部103aを挿入可能な寸法であって、大径部103bの外径よりも小さい寸法で形成される。
【0035】
よって、載置台100にトンネルプランター1を載置する際には、嵌合穴31の挿入部31aに凸部103を挿入した後、トンネルプランター1をその長手方向にスライドさせ、係止部31bに凸部103の小径部103aを嵌め込む。これにより、嵌合穴31と凸部103との嵌合(引っ掛かり)によって載置台100に対する底板3の相対移動を規制できる。よって、載置台100にトンネルプランター1を安定的に支持できる。なお、係止部31bに凸部103の小径部103aを嵌め込んだ後、凸部103(ボルト)をねじ込むことによって梁102aに底板3を固定しても良い。
【0036】
地面よりも高い梁102a,102bにトンネルプランター1を載置すると、トンネルプランター1内の培地温度が上昇し易くなるため、支持板2(支持面20)には培地を冷却するための通気口21a,21b(図1参照)が形成される。通気口21aは、支持板2の上面に形成され、通気口21bは、支持板2の側面に形成される。
【0037】
通気口21aは、トンネルプランター1の長手方向に延びる長円形の領域に貫通孔を複数設けることによって形成され、この長円形の通気口21aは、トンネルプランター1の長手方向に沿って複数(本実施形態では、2箇所に)設けられる。通気口21bは、円形の領域に貫通孔を複数設けることによって形成され、この円形の通気口21aは、トンネルプランター1の長手方向に沿って複数(本実施形態では、支持板2の各側面に6箇所ずつの合計12箇所に)設けられる。通気口21a,21bを長円形や円形に形成することにより、トンネルプランター1の外観を向上できる。
【0038】
また、支持板2及び底板3の間には、トンネルプランター1を長手方向に貫通するトンネル状の通気口8が形成される。これらの通気口8,21a,21bを通した通気により、トンネルプランター1内の培地温度の上昇を抑制できる。よって、培地環境を向上できる。
【0039】
また、載置台100には、各梁102a,102bによって取り囲まれる隙間104が形成され、トンネルプランター1の底板3には、載置台100の隙間104に繋がる通気口32(図1参照)が形成される。なお、通気口32は、トンネルプランター1の長手方向に延びる長円形に形成され(図4参照)、この長円形の通気口32がトンネルプランター1の長手方向に複数(本実施形態では、2箇所に)並べられている(図4参照)。このような通気口32を底板3に形成することにより、底板3の通気口32と載置台100の隙間104とを通した通気路を通気口8の下方側にも形成できる。これにより、各通気口8,21a,21b,32や載置台100の隙間104を通した通気性を確保できるので、培地の温度上昇を効果的に抑制できる。
【0040】
また、一対の側板4a,4bにも複数の通気口40が形成されている。通気口40は、円形の領域に複数の貫通孔を設けることによって形成され、この円形の通気口40は、トンネルプランター1の長手方向に沿って複数(本実施形態では、各側板4a,4bに6箇所ずつの合計12箇所に)設けられる。側板4a,4bの通気口40を通した通気によっても培地温度の上昇を抑制できる。また、通気口40を支持板2の通気口21bと同一の形状(円形)にすることにより、トンネルプランター1の外観を向上できる。
【0041】
なお、本実施形態の端板6は、通気口を有さない1枚の板であるが、端板6に複数の通気口を形成しても良い。端板6に通気口を設けることにより、培地温度の上昇をより効果的に抑制できる。
【0042】
このように、本実施形態では、載置台100にトンネルプランター1を載置して植栽することを想定しているが、例えば従来技術のように、地面よりも高い位置に架設された支持具(棒又は紐状のもの)を通気口8に挿入することにより、該支持具に吊り下げたトンネルプランター1で高設栽培を行うことも可能である。このような支持具は公知の構成が採用可能であるので詳細な説明を省略するが、例えば特開2014-217286号公報の支持体10や吊り下げ索13が例示される。
【0043】
即ち、本実施形態のトンネルプランター1は、上記の公知の支持具を通気口8に挿入することによってトンネルプランター1を吊り下げることも可能であるし、通気口8の下部を覆う底板3を載置台100などに支持することも可能である。よって、トンネルプランター1を多様な方法で支持できるので、トンネルプランター1の汎用性が向上する。
【0044】
また、上記の公知の支持具によってトンネルプランター1を吊り下げて使用する場合には、底板3の下方側が開放する(底板3を支持する部材が存在しない)ため、底板3の通気口32を通した通気によって培地の温度上昇を抑制できる。
【0045】
なお、上記の公知の支持具に吊り下げられたトンネルプランター1の姿勢が安定しない(例えば、支持体10に対してトンネルプランター1が回転する)場合には、トンネルプランター1の長手方向両端と吊り下げ索13とを連結する部材(支持体10にするトンネルプランター1の回転を規制する手段)を別途設ければ良い。
【0046】
ここで、トンネルプランター1に保持された培地には、図示しない供給手段(例えば、図7(b)に示される灌水管200など)から水や培養液などの水分が供給される。この水分は、支持板2と側板4a,4bとの間に位置する底板3の縁部30(底壁)に留まり易くなるので、本実施形態では、底板3の縁部30に複数の排水孔33を形成している。複数の排水孔33は、トンネルプランター1の長手方向で等間隔に並べられており、これらの排水孔33を通した排水により、余分な水分が底板3の縁部30に留まることを抑制できる。よって、培地環境の悪化を抑制できる。更に、排水孔33を通した通気性も確保できるので、培地温度の上昇も抑制できる。
【0047】
次いで、図3以降の各図を参照して、トンネルプランター1の詳細構成および組立て方法について説明する。まず、図3から図5を参照して、支持板2の詳細構成と、支持板2を底板3に係合させる方法とについて説明する。図3は、支持板2の平面図であり、図4は、トンネルプランター1の外郭を形成する樹脂板10を展開した平面図である。図5は、底板3に支持板2を係合させる方法を示すトンネルプランター1の断面図である。
【0048】
図3及び図4に示すように、トンネルプランター1は、長方形に形成される平板状の支持板2(図3参照)と、底板3、側板4a,4b、連結板5、及び端板6が一体に形成された樹脂板10(図4参照)との2枚の樹脂製(合成樹脂など)の板から組立てられる。
【0049】
図3に示すように、支持板2は、その長辺から支持板2の幅方向に突出する矩形の係合片22と、その係合片22から支持板2の板厚方向(支持面20側)に突出する爪23(図1の拡大部分参照)と、を備える。これらの係合片22及び爪23は、支持板2と一体に形成されている。
【0050】
係合片22は、支持板2の各長辺に沿って等間隔に複数(本実施形態では、各長辺に5箇所ずつの合計10箇所に)並べて形成されている。これらの各係合片22に形成される爪23は、支持板2の長手方向に直線状に延びる突起であり、この爪23によって係合片22が底板3(図4参照)に固定される。
【0051】
図4に示すように、底板3には、係合片22を係合させるための係合穴34が形成される。係合穴34は、底板3の長手方向に延びる矩形の長穴であり、支持板2の係合片22(図3参照)を挿入可能な位置に複数(本実施形態では、10箇所に)形成される。底板3の幅方向における各係合穴34の間隔は、同方向における係合片22同士の間隔(係合片22を含めた支持板2の幅寸法)よりも小さくなっている。
【0052】
よって、図5に示すように、支持板2を底板3に固定する際には、支持板2の幅方向両端部を下方に曲げるようにして支持板2を湾曲させつつ、支持板2の各係合片22を底板3の係合穴34に挿入する。
【0053】
底板3の幅方向における係合穴34の外側(図5の拡大部分における右側)の縁部には、支持板2の爪23を引っ掛けるための係合片35が底板3と一体に形成されている。係合片35は、係合穴34の一部を上方から覆っており、係合穴34に係合片22を挿入した際には、爪23(係合片22)が弾性変形することによって係合片35に爪23が係合する。これらの爪23と係合片35との引っ掛かりにより、係合穴34から係合片22が抜けることを抑制できる。
【0054】
支持板2が上方に凸の湾曲形状に曲げられた状態で底板3に係合されるため、その湾曲形状から支持板2が元の(底板3に係合される前の)平板状に戻ろうとする復元力が支持板2と底板3との係合部分に作用する。この復元力は、爪23と係合片35と引っ掛かり代を大きくする(図5の拡大部分の爪23を右側に押し込む)方向に働くので、爪23と係合片35との係合状態が外れ難くなる。
【0055】
次いで、図4及び図6を参照して、側板4a,4bの詳細構成と、側板4bを底板3に係合させる方法とについて説明する。図6は、底板3に側板4bを係合させる方法を示すトンネルプランター1の断面図である。
【0056】
図4に示すように、樹脂板10の底板3の一方(図4の左側)の長辺には、一対の略長方形状の側板4a,4bのうち、一方の側板4aが一体に連結されている。側板4aの2つの長辺のうち、底板3に連結される辺を長辺41aとし、それとは反対側の辺(組立て後に側板4aの上端となる辺)を長辺42aとして説明する。
【0057】
側板4aの長手方向における長辺42aの両端部には、帯状の連結板5が一体に連結され、この連結板5を介して側板4bが側板4aに一体に連結される。即ち、トンネルプランター1の組立て前の状態では、側板4a,4bおよび連結板5が全体として略矩形の板状に形成され、この板の中央部分を矩形にくり抜くようにして開口部7が形成される。
【0058】
側板4bの2つの長辺のうち、連結板5に連結される辺(組立て後に側板4bの上端となる辺)を長辺41bとし、それとは反対側の辺を長辺42bとして説明する。側板4bには、長辺42bから側板4bの幅方向に突出する係合片43bが一体に形成される。係合片43bは、側板4bの長手方向に沿って等間隔に複数(本実施形態では、5箇所に)並べて形成され、この係合片43bが底板3の係合穴36に係合される。係合穴36は、底板3の長手方向に延びる矩形の長穴であり、側板4bの係合片43bを挿入可能な位置に複数(本実施形態では、5箇所に)形成される。
【0059】
図6に示すように、底板3の係合穴36に側板4bの係合片43b係合させる際には、側板4a,4b及び連結板5を湾曲させつつ、底板3に対して側板4aを折り曲げる。この底板3に対する側板4aの曲げを可能にするために、底板3及び側板4aは、それらの各板3,4aよりも板厚が薄い帯状の曲げ辺11(図6の左下の拡大部分参照)を介して一体に連結されている。
【0060】
係合片43bの先端には、その厚み方向(組立て後の側板4bの外面側)に突出する爪44bが一体に形成されている。係合穴36に係合片43bを挿入した際には、爪44b(係合片43b)が弾性変形しつつ係合穴36を通過することにより、底板3の下面に爪44bが係合する。この底板3の下面と爪44bとの引っ掛かりにより、係合穴36から係合片43bが抜けることを抑制できる。
【0061】
側板4a,4b及び連結板5がトンネル状(上方に凸の湾曲形状)に曲げられた状態で底板3に固定されるため、その湾曲形状から元の(底板3に係合される前の)平板状に戻ろうとする復元力が底板3と側板4bとの係合部分に作用する。この復元力は、底板3の下面と爪44bとの引っ掛かり代を大きくする(図6の右側の拡大部分の爪44bを右側に押し込む)方向に働くので、底板3の下面と爪44bとの係合状態が外れ難くなる。
【0062】
底板3の幅方向(図6の左右方向)における係合穴36の内側(図6の右下の拡大部分における係合穴36の左側)には、係合穴36から上下に延びるガイド壁37が形成される。ガイド壁37は、係合穴36よりも上下に長く、且つ係合穴36の内周面に沿って形成されるので、係合穴36に向けた係合片43bの挿入をガイド壁37で案内できる。よって、係合穴36に係合片43bを挿入する(底板3と爪44bとを係合させる)作業を容易にできる。なお、このようなガイド壁37に相当する壁を、支持板2の係合片22(図5参照)と底板3との係合部分に形成しても良い。
【0063】
底板3に側板4bを係合させた後、支持板2、側板4a,4b、及び連結板5に端板6を係合させることにより(図7(a)参照)、トンネルプランター1の組立てが完了する。
【0064】
次いで、図4及び図7(a)を参照して、端板6の詳細構成と、支持板2、側板4a,4b、及び連結板5に端板6を係合させる方法とについて説明する。図7(a)は、支持板2、側板4a,4b、及び連結板5に端板6を係合させる方法を示すトンネルプランター1の断面図である。なお、図7(a)では、トンネルプランター1の幅方向と直交する平面で切断した断面であって、トンネルプランター1の幅方向中央で切断した断面を図示している。
【0065】
図4に示すように、底板3の2つの短辺には、曲げ辺12を介して端板6が折り曲げ可能に連結される。この曲げ辺12は、底板3及び端板6よりも厚みが薄い帯状の板である。端板6は、曲げ辺12との接続部分(曲げ辺12に接続される端板6の辺)の一部をくり抜くように形成される貫通孔60を備える。貫通孔60は、曲げ辺12から離れる方向に凸の円弧状の内周面を有し、この貫通孔64の内周面の円弧形状は、底板3に支持板2を係合させた時(図5又は図6の状態)の支持板2の湾曲形状(即ち、通気口8の半円形状)と略一致している。
【0066】
また、端板6には、その縁に沿って半楕円状に延びる挿入溝61が形成される。この挿入溝61の半楕円形状は、底板3に側板4bを係合させた状態(図6参照)における側板4a,4b及び連結板5の湾曲形状と略一致している。
【0067】
よって、底板3に支持板2及び側板4bを係合させた状態(図6の状態)で、図7(a)に示すように端板6を曲げ辺12に沿って折り曲げることにより、その折り曲げと同時に貫通孔60の内周側に支持板2を嵌め込みつつ、側板4a,4b及び連結板5の縁を挿入溝61に容易に挿入できる。
【0068】
側板4a,4b及び連結板5が挿入溝61に挿入された状態では、それらの各板4a,4b,5が元の(トンネルプランター1の組立て前の)平板状に戻ろうとする変形が挿入溝61によって規制される。よって、組立て後のトンネルプランター1の形状が維持され易くなる。
【0069】
図7(a)の下側の拡大部分に示すように、支持板2の外周面(上面)には、端板6を係合させるための爪24が形成される。爪24は、端板6の貫通孔60の内周面に向けて突出する突起であり、貫通孔60の内周面には、爪24と対応する位置に係合穴62(凹み)が形成される。よって、貫通孔60の内周側に支持板2を嵌め込んだ際には、爪24(支持板2)が弾性変形することによって係合穴62に爪24が係合する。この爪24と係合穴62との引っ掛かりにより、支持板2と端板6との係合が外れることを抑制できる。よって、組立て後のトンネルプランター1の形状が維持され易くなる。
【0070】
また、図7(a)の上側の拡大部分に示すように、挿入溝61の内部には、連結板5の縁を引っ掛けるための爪63が形成される。爪63は、挿入溝61に挿入された連結板5の外周面に向けて突出する突起であり、連結板5の外周面には、爪63と対応する位置に複数の係合穴50が形成される。
【0071】
これにより、挿入溝61に連結板5を挿入した際には、爪63が弾性変形することによって係合穴50に爪63が係合する。なお、図示は省略するが、この係合穴50及び爪63による係合は、挿入溝61における側板4a,4bの挿入部分にも設けられている。よって、この係合穴50及び爪63の引っ掛かりにより、挿入溝61から側板4a,4b及び連結板5が抜けることを抑制できる。よって、組立て後のトンネルプランター1の形状が維持され易くなる。
【0072】
爪63が形成される領域では、挿入溝61(端板6)を貫通する貫通孔64が形成されている。この場合、例えば係合穴50及び爪63を省略すると共に、貫通孔64を貫く(図7(a)の右側に通過する)ように延長させた係合片を連結板5に形成し、その係合片に設けた爪を端板6の外面に係合させることも可能である。しかしながら、このような構成であると、端板6と爪との係合部分が外部に露出するため、かかる係合部分に外力が加わり易くなる。
【0073】
これに対して本実施形態のように、挿入溝61の内部で係合穴50及び爪63を係合させることにより、係合穴50及び爪63の係合部分に外力が加わることを抑制できる。よって、それらの係合が外れることを抑制できるので、組立て後のトンネルプランター1の形状が維持され易くなる。
【0074】
ここで、トンネルプランター1の長手方向(図7(a)の左右方向)における側板4a,4bの寸法は、トンネルプランター1の幅方向(図7(a)の紙面垂直方向)における端板6の寸法よりも大きく形成されるので、培地の重量によって側板4a,4bに作用する荷重が端板6に比べて大きくなり易い。つまり、底板3から折り曲げられた状態の側板4a,4bを押し広げるように変形させる荷重が側板4a,4bに作用し易くなる。
【0075】
これに対し、端板6に形成した挿入溝61に側板4a,4bを挿入することにより、上記のような側板4a,4bの変形を挿入溝61と側板4a,4bとの引っ掛かりによって規制できる。よって、組立て後のトンネルプランター1の形状が維持され易くなる。
【0076】
また、連結板5を省略して側板4a,4bのみを挿入溝61に挿入することも可能であるが、本実施形態では、一対の側板4a,4bの長手方向の両端部が連結板5によって連結され、この連結板5も挿入溝61に挿入される構成である。これにより、連結板5を省略して側板4a,4bのみを挿入溝61に挿入する場合に比べ、上記のような側板4a,4bの変形を連結板5によって効果的に規制できる。よって、組立て後のトンネルプランター1の形状が維持され易くなる。
【0077】
以上の通り、本実施形態のトンネルプランター1は、支持板2及び樹脂板10(図3及び図4参照)の2枚の樹脂板を組立てることによって形成される。よって、組立前のトンネルプランター1の保管スペースを低減することや、組立前のトンネルプランター1の搬送を容易にすることができる。また、支持板2や樹脂板10の各板の係合部分を外すことにより、トンネルプランター1を2枚の板に分解することもできる。
【0078】
次いで、図7(b)を参照して、トンネルプランター1の変形例について説明する。図7(b)は、変形例を示すトンネルプランター1の部分拡大正面図である。なお、図7(b)は、図7(a)の矢印VIIb方向視におけるトンネルプランター1の正面図に対応しており、端板6の上端部分のみを部分的に拡大して図示している。
【0079】
図7(b)に示す変形例のトンネルプランター1は、端板6によって灌水管200が保持される。灌水管200は、トンネルプランター1に収納される培地に対して水や培養液などの水分を供給する管である。灌水管200は、トンネルプランター1の長手方向(図7(b)の紙面垂直方向)に延びる筒状に形成される。
【0080】
端板6の上端部には、円弧状の凹部65が形成され、トンネルプランター1の幅方向(図7(b)の左右方向)における凹部65の両端からは、一対の係止片66が上方に突出している。係止片66は、円弧状の凹部65と同心の円弧状に形成される円弧部66aと、その円弧部66aの上端から屈曲する屈曲部66bと、を備える。これらの円弧部66a及び屈曲部66bは、端板6と一体に形成される。
【0081】
一対の円弧部66aの上端同士の間隔は、灌水管200の直径よりも狭く形成される一方、それら一対の円弧部66aの対向間から離れるように一対の屈曲部66bが上昇傾斜している。よって、灌水管200を屈曲部66b同士の間に挿入することにより、各係止片66が互いの間隔を広げるように弾性変形し、この弾性変形によって灌水管200を各係止片66の円弧部66aの内周側に嵌め込むことができる。これにより、灌水管200をトンネルプランター1に固定できるので、トンネルプランター1に収納される培地に対して灌水管200からの水分を適切に供給できる。
【0082】
なお、この変形例では、凹部65の縁に係止片66が形成されているが、係止片66を省略して凹部65に灌水管200を単に引っ掛ける(置く)だけでも良い。
【0083】
以上、上記実施形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上記形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の変形改良が可能であることは容易に推察できるものである。
【0084】
上記実施形態では、トンネルプランター1が高設栽培に用いられる場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、地面や他の公知の支持手段にトンネルプランター1を載置して使用しても良い。
【0085】
上記実施形態では、底板3の嵌合穴31と載置台100の凸部103との嵌合によって載置台100に対するトンネルプランター1の相対変位を規制する場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、嵌合穴(孔または凹み)を載置台100側に設け、その嵌合穴に嵌合する凸部を底板3側に設けても良い。また、載置台100の梁102a,102b自体を嵌め込むための嵌合穴(凹み)を底板3に形成し、その嵌合穴(凹み)と梁102a,102b(凸部)とを嵌合させても良い。また、嵌合穴31を省略しても良い。
【0086】
上記実施形態で説明した通気口や排水孔の形状や個数は例示であり、適宜設定できる。よって、例えば通気口8の断面形状を円形、矩形または他の多角形状に形成しても良いし、通気口8を2以上形成しても良い。また、底板3の通気口32及び排水孔33のいずれか(又は両方)を省略しても良い。
【0087】
上記実施形態では、支持板2の支持面20の形状(トンネルプランター1の長手方向と直交する平面での断面形状)が半円である場合を説明したが、支持面20の形状は矩形や他の多角形状であっても良い。
【0088】
上記実施形態では、底板3の幅方向両端よりも内側に支持板2が固定され、支持板2(支持面20)と底板3の縁部30とによって培地の収納領域の底面が形成される場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、支持板2の幅方向における一端を一対の側板4a,4bのいずれか一方に固定しても良い。また、支持板2の幅方向両端を側板4a,4bに固定し、培地の収納領域の底面を支持板2(支持面20)のみによって形成しても良い。
【0089】
上記実施形態では、底板3によって通気口8が下方から覆われる場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、底板3を省略し、通気口8の全体を開放させても良い。底板3を省略する場合には、支持板2を樹脂板10の一部とし、トンネルプランター1を1枚の板から組立てる構成でも良い。
【0090】
上記実施形態では、支持板2、底板3、側板4a,4b、連結板5、及び端板6の各板(以下「各板」という)を折り曲げることや係合させることによってトンネルプランター1を組立てる場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。各板を組立ててトンネルプランター1を形成するのではなく、例えばトンネルプランター1を一体的に金型成形する(即ち、図1に示されるような形状のトンネルプランターを金型成形によって一体に形成し、トンネルプランターの分解が実質的に不可能である)構成でも良い。
【0091】
また、トンネルプランター1の底壁、側壁、及び端壁の各壁を構成する部位(培地の収納領域を取り囲む各部)が平板状である必要もなく、少なくとも培地の収納領域を取り囲む壁状に形成されていれば、それらの各壁の厚み(断面形状)は適宜設定できる。
【0092】
また、各板の一部または全部を別体に形成し、上記実施形態で説明した係合片(爪)と係合穴との係合によって連結する構成でも良いし、各板を接着や溶着などの公知の接合方法で連結しても良い。また、収納領域を取り囲む各板の一部(例えば、端板)を、樹脂板ではなくメッシュなどの他の公知の素材(培地の保持が可能であるもの)に置き換えても良い。
【0093】
上記実施形態では、一方の部材(例えば、支持板2)に係合片(爪)を形成し、他方の部材(例えば、底板3)に係合穴を形成する場合を説明したが、それらの関係を逆にする(例えば、底板3に係合片を形成し、支持板2に係合穴を形成する)ことは当然可能である。また、爪を突出させる方向も適宜設定できる(例えば、図5の拡大部分に示される爪23を、図5の左側や、図5の紙面垂直方向に突出させることもできる)し、係合穴は、貫通孔ではなく凹みであっても良い。
【0094】
上記実施形態では、底板3に対して側板4b及び端板6が折り曲げ可能に連結される場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、側板4a,4bの各々を底板3に折り曲げ可能に連結しても良い。また、底板3ではなく、側板4a,4bに端板6を折り曲げ可能に連結する構成や、端板6に側板4a,4bを折り曲げ可能に連結する構成でも良い。
【0095】
上記実施形態では、側板4a,4bが連結板5で連結される場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、連結板5に替えて(或いは連結板5に加えて)、連結板5よりもトンネルプランター1の長手方向中央側で側板4a,4bを連結する連結部を設けても良い。このよう連結部は、側板4a,4bと一体であっても良いし、側板4a,4bとは別体の連結部をトンネルプランター1の組立て後に取り付ける構成でも良い。また、連結板5を省略しても良く、連結板5を省略する場合には、側板4a,4bの各々を底板3に折り曲げ可能に連結すれば良い。
【0096】
上記実施形態では、端板6の挿入溝61に側板4a,4b及び連結板5が挿入される場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、端板6を挿入可能な挿入溝を側板4a,4b及び連結板5側に形成しても良いし、挿入溝61を省略しても良い。
【0097】
上記実施形態では、挿入溝61の内部で係合穴50及び爪63を係合させる場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、挿入溝61の貫通孔64を貫くように(図7(a)の右側に)延長させた係合片を連結板5に形成し、その係合片に設けた爪を端板6の外面に係合させても良い。
【0098】
上記実施形態では、トンネルプランター1が上面視で長方形に形成される(トンネルプランター1の幅方向における端板6の寸法よりもトンネルプランター1の長手方向における側板4a,4bの寸法が大きい)場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、トンネルプランター1が上面視で正方形に形成される構成でも良い。また、トンネルプランター1の上面視における形状は矩形に限定されるものではなく、適宜設定できる。
【0099】
上記実施形態では、端板6が半楕円状である場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、端板6を円形や矩形または他の多角形状に形成しても良い。
【符号の説明】
【0100】
1 トンネルプランター(プランター)
2 支持板(第2板)
20 支持面
21a,21b 通気口(第2通気口)
3 底板
30 底板の縁部(底壁)
31 嵌合穴
32 通気口(第5通気口)
33 排水孔
4a,4b 側板(側壁)
40 通気口(第3通気口)
5 連結板
50 係合穴
6 端板(端壁)
61 挿入溝
63 爪
7 開口部
8 通気口(第1通気口)
10 樹脂板(第1板)
100 載置台
103 凸部

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7