IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ソニーセミコンダクタソリューションズ株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-光検出装置 図1
  • 特開-光検出装置 図2
  • 特開-光検出装置 図3
  • 特開-光検出装置 図4
  • 特開-光検出装置 図5
  • 特開-光検出装置 図6
  • 特開-光検出装置 図7
  • 特開-光検出装置 図8
  • 特開-光検出装置 図9
  • 特開-光検出装置 図10
  • 特開-光検出装置 図11
  • 特開-光検出装置 図12
  • 特開-光検出装置 図13
  • 特開-光検出装置 図14
  • 特開-光検出装置 図15
  • 特開-光検出装置 図16
  • 特開-光検出装置 図17
  • 特開-光検出装置 図18
  • 特開-光検出装置 図19
  • 特開-光検出装置 図20
  • 特開-光検出装置 図21
  • 特開-光検出装置 図22
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024028045
(43)【公開日】2024-03-01
(54)【発明の名称】光検出装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 31/10 20060101AFI20240222BHJP
   H01L 31/107 20060101ALI20240222BHJP
   H01L 27/146 20060101ALI20240222BHJP
【FI】
H01L31/10 G
H01L31/10 B
H01L27/146 A
H01L27/146 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022131371
(22)【出願日】2022-08-19
(71)【出願人】
【識別番号】316005926
【氏名又は名称】ソニーセミコンダクタソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112874
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邊 薫
(72)【発明者】
【氏名】中邑 良一
(72)【発明者】
【氏名】津川 英信
【テーマコード(参考)】
4M118
5F149
5F849
【Fターム(参考)】
4M118AA10
4M118AB01
4M118BA01
4M118BA14
4M118CA03
4M118CB01
4M118CB02
4M118FA06
4M118FA27
4M118FA28
4M118GA08
4M118GC07
4M118GD03
4M118GD04
4M118GD15
4M118HA25
4M118HA30
4M118HA33
5F149AA07
5F149AB03
5F149BA01
5F149BA04
5F149BA05
5F149BA10
5F149BB03
5F149BB07
5F149DA05
5F149EA04
5F149EA07
5F149EA11
5F149HA09
5F149KA11
5F149XB01
5F149XB38
5F849AA07
5F849AB03
5F849BA01
5F849BA04
5F849BA05
5F849BA10
5F849BB03
5F849BB07
5F849DA05
5F849EA04
5F849EA07
5F849EA11
5F849HA09
5F849KA11
5F849XB01
5F849XB38
(57)【要約】      (修正有)
【課題】煩雑な回路を要することなく光電変換素子の特性変動を抑制することができる光検出装置を提供する。
【解決手段】アバランシェ増倍領域103を有する光電変換素子が設けられ、相対する第1面S1及び第2面S2を有する第1半導体基板100と、第1面S1側に配置され、少なくとも第1絶縁層200a、第2絶縁層200b及び導電層200cが第1面S1に近い側からこの順に積層された積層構造200と、導電層200cに電位を印加するための電位印加構造PASと、を備える。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アバランシェ増倍領域を有する光電変換素子が設けられ、相対する第1及び第2面を有する第1半導体基板と、
前記第1面側に配置され、少なくとも絶縁層及び導電層が前記第1面に近い側からこの順に積層された積層構造と、
前記導電層に電位を印加するための電位印加構造と、
を備える、光検出装置。
【請求項2】
前記電位印加構造は、
前記積層構造の前記第1半導体基板側とは反対側に配置され、前記導電層と電気的に接続された第1配線層と、
前記第1配線層の前記積層構造側とは反対側に配置され、前記第1配線層と電気的に接続された回路基板と、
を含む、請求項1に記載の光検出装置。
【請求項3】
前記回路基板は、
前記第1配線層に向かい合わせに接合された第2配線層と、
前記第2配線層の前記第1配線層側とは反対側に配置され、回路素子が設けられた第2半導体基板と、
を含む、請求項2に記載の光検出装置。
【請求項4】
前記回路基板から前記電位を供給する、請求項2に記載の光検出装置。
【請求項5】
前記電位を生成する外部電源と接続される外部接続端子が前記回路基板に設けられている、請求項2に記載の光検出装置。
【請求項6】
前記電位印加構造は、少なくとも前記積層構造内に設けられ、前記導電層と前記第1配線層とを電気的に接続するビアを含む、請求項2に記載の光検出装置。
【請求項7】
前記第1配線層と前記光電変換素子のアノードとが少なくとも前記積層構造内に設けられた第1ビアを介して電気的に接続され、
前記第1配線層と前記光電変換素子のカソードとが少なくとも前記積層構造内に設けられた第2ビアを介して電気的に接続されている、請求項6に記載の光検出装置。
【請求項8】
前記導電層は、少なくとも前記光電変換素子を含む画素に対応して設けられ、
前記ビアは、前記導電層の前記画素に対応する部分と前記第1配線層とを電気的に接続する、請求項6に記載の光検出装置。
【請求項9】
前記光電変換素子を含む画素及び前記光電変換素子を含まないダミー画素が前記第1半導体基板の面内方向に沿って並べて設けられ、
前記導電層は、少なくとも前記画素及び前記ダミー画素に対応して設けられ、
前記ビアは、前記導電層の前記ダミー画素に対応する部分と前記第1配線層とを電気的に接続する、請求項6に記載の光検出装置。
【請求項10】
前記導電層は、ポリシリコン、W、Ti、Ta、Ni、Coから選択される少なくとも一種を含む、請求項1に記載の光検出装置。
【請求項11】
前記積層構造は、前記絶縁層及び前記導電層が前記第1面に近い側からこの順に交互に積層されたフローティングゲート構造を有する、請求項1に記載の光検出装置。
【請求項12】
前記積層構造では、少なくとも前記絶縁層、強誘電体層及び前記導電層が前記第1面に近い側からこの順に積層されている、請求項1に記載の光検出装置。
【請求項13】
前記電位をVr、前記絶縁層の厚さをdとすると、
2M[V/cm]<|Vr|/d<8M[V/cm]
が成立する、請求項1に記載の光検出装置。
【請求項14】
前記電位をVrとすると、
前記光電変換素子のアノード電極及びカソード電極の各々と、前記導電層との距離は、|Vr|[V]/1M[V/cm]以上である、請求項1に記載の光検出装置。
【請求項15】
前記光電変換素子を含む画素が前記第1半導体基板の面内方向に沿って複数設けられ、
前記導電層は、複数の前記画素に対応して設けられている、請求項1に記載の光検出装置。
【請求項16】
前記光電変換素子を含む画素が前記第1半導体基板の面内方向に沿って複数設けられ、
前記導電層は、電気的に分離された複数の領域であって異なる前記画素に対応する複数の領域を有する、請求項1に記載の光検出装置。
【請求項17】
前記光電変換素子に電圧を印加する電圧源により前記電位が生成される、請求項1に記載の光検出装置。
【請求項18】
前記電位印加構造は、前記電位の大きさを可変とする分圧器を含む、請求項1に記載の光検出装置。
【請求項19】
前記光電変換素子は、前記アバランシェ増倍領域を形成するp型半導体層及びn型半導体層を有し、
前記p型半導体層の前記積層構造側に前記n型半導体層が位置し、
前記電位は、負電位である、請求項1に記載の光検出装置。
【請求項20】
前記第1半導体基板の前記第2面側から光が入射される、請求項1に記載の光検出装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示に係る技術(以下「本技術」とも呼ぶ)は、光検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、アバランシェ増倍領域を有する光電変換素子(例えばAPD:avalanche photodiode、SPAD:Single Photon Avalanche Diode等)を備える光検出装置が知られている。
【0003】
従来の光検出装置では、光電変換素子の動作によりブレイクダウン電圧(降伏電圧)が変動し、例えば感度等の特性が変動することが懸念される。
【0004】
この対策として、光電変換素子に印加する電圧を制御することにより、該光電変換素子の特性変動を抑制するバイアス調整回路を備える光検出装置が提案されている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2021-89962号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、例えば特許文献1に記載された光検出装置では、煩雑な回路を要することなく光電変換素子の特性変動を抑制することに関して改善の余地があった。
【0007】
そこで、本技術は、煩雑な回路を要することなく光電変換素子の特性変動を抑制することができる光検出装置を提供することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本技術は、アバランシェ増倍領域を有する光電変換素子が設けられ、相対する第1及び第2面を有する第1半導体基板と、
前記第1面側に配置され、少なくとも絶縁層及び導電層が前記第1面に近い側からこの順に積層された積層構造と、
前記導電層に電位を印加するための電位印加構造と、
を備える、光検出装置を提供する。
前記電位印加構造は、前記積層構造の前記第1半導体基板側とは反対側に配置され、前記導電層と電気的に接続された第1配線層と、前記第1配線層の前記積層構造側とは反対側に配置され、前記第1配線層と電気的に接続された回路基板と、を含んでいてもよい。
前記回路基板は、前記第1配線層に向かい合わせに接合された第2配線層と、前記第2配線層の前記第1配線層側とは反対側に配置され、回路素子が設けられた第2半導体基板と、を含んでいてもよい。
前記回路基板から前記電位を供給してもよい。
前記電位を生成する外部電源と接続される外部接続端子が前記回路基板に設けられていてもよい。
前記電位印加構造は、少なくとも前記積層構造内に設けられ、前記導電層と前記第1配線層とを電気的に接続するビアを含んでいてもよい。
前記第1配線層と前記光電変換素子のアノードとが少なくとも前記積層構造内に設けられた第1ビアを介して電気的に接続され、前記第1配線層と前記光電変換素子のカソードとが少なくとも前記積層構造内に設けられた第2ビアを介して電気的に接続されていてもよい。
前記導電層は、少なくとも前記光電変換素子を含む画素に対応して設けられ、前記ビアは、前記導電層の前記画素に対応する部分と前記第1配線層とを電気的に接続してもよい。
前記光電変換素子を含む画素及び前記光電変換素子を含まないダミー画素が前記第1半導体基板の面内方向に沿って並べて設けられ、前記導電層は、少なくとも前記画素及び前記ダミー画素に対応して設けられ、前記ビアは、前記導電層の前記ダミー画素に対応する部分と前記第1配線層とを電気的に接続してもよい。
前記導電層は、ポリシリコン、W、Ti、Ta、Ni、Coから選択される少なくとも一種を含んでいてもよい。
前記積層構造は、前記絶縁層及び前記導電層が前記第1面に近い側からこの順に交互に積層されたフローティングゲート構造を有していてもよい。
前記積層構造では、少なくとも前記絶縁層、強誘電体層及び前記導電層が前記第1面に近い側からこの順に積層されていてもよい。
前記電位をVr、前記絶縁層の厚さをdとすると、2M[V/cm]<|Vr|/d<8M[V/cm]が成立してもよい。
前記電位をVrとすると、前記光電変換素子のアノード電極及びカソード電極の各々と、前記導電層との距離は、|Vr|[V]/1M[V/cm]以上であってもよい。
前記光電変換素子を含む画素が前記第1半導体基板の面内方向に沿って複数設けられ、前記導電層は、複数の前記画素に対応して設けられていてもよい。
前記光電変換素子を含む画素が前記第1半導体基板の面内方向に沿って複数設けられ、前記導電層は、電気的に分離された複数の領域であって異なる前記画素に対応する複数の領域を有していてもよい。
前記光電変換素子に電圧を印加する電圧源により前記電位が生成されてもよい。
前記電位印加構造は、前記電位の大きさを可変とする分圧器を含んでいてもよい。
前記光電変換素子は、前記アバランシェ増倍領域を形成するp型半導体層及びn型半導体層を有し、前記p型半導体層の前記積層構造側に前記n型半導体層が位置し、前記電位は、負電位であってもよい。
前記第1半導体基板の前記第2面側から光が入射されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本技術の第1実施形態に係る光検出装置の平面構成例を示す図である。
図2図2Aは、図1の光検出装置の画素毎の回路構成例を示す図である。図2Bは、リカバリー電位印加によるブレイクダウン電圧の回復作用の一例を示す図である。
図3図1の光検出装置の第1画素についての断面構成例を示す図である。
図4図1の光検出装置の第2画素についての断面構成例を示す図である。
図5図1の光検出装置の導電層の平面構成例を示す図である。
図6】リカバリー電位印加による負電荷除去作用の一例を示す図である。
図7】本技術の第2実施形態に係る光検出装置の第1画素及びダミー画素についての断面構成例を示す図である。
図8図7の光検出装置の導電層の平面構成例を示す図である。
図9】本技術の第3実施形態に係る光検出装置の第1画素、ダミー画素及び外部接続端子についての断面構成例を示す図である。
図10】本技術の第4実施形態に係る光検出装置の第1画素についての断面構成例を示す図である。
図11】本技術の第5実施形態に係る光検出装置の第1画素についての断面構成例を示す図である。
図12】本技術の第6実施形態に係る光検出装置の導電層の平面構成例を示す図である。
図13図13Aは、図12の光検出装置の画素毎の回路構成例1を示す図であり、図13Bは、図12の光検出装置の画素毎の回路構成例2を示す図である。
図14】本技術の第7実施形態に係る光検出装置の第1画素についての断面構成例を示す図である。
図15】本技術の第8実施形態に係る光検出装置の第1画素についての断面構成例を示す図である。
図16】本技術の第9実施形態に係る光検出装置の画素毎の回路構成を示す図である。
図17】本技術を適用した光検出装置の使用例を示す図である。
図18】本技術を適用した光検出装置を備える電子機器の一例の機能ブロック図である。
図19】車両制御システムの概略的な構成の一例を示すブロック図である。
図20】車外情報検出部及び撮像部の設置位置の一例を示す説明図である。
図21】内視鏡手術システムの概略的な構成の一例を示す図である。
図22】カメラヘッド及びCCUの機能構成の一例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に添付図面を参照しながら、本技術の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。以下に説明する実施形態は、本技術の代表的な実施形態を示したものであり、これにより本技術の範囲が狭く解釈されることはない。本明細書において、本技術に係る光検出装置が複数の効果を奏することが記載される場合でも、本技術に係る光検出装置は、少なくとも1つの効果を奏すればよい。本明細書に記載された効果はあくまで例示であって限定されるものではなく、また他の効果があってもよい。
【0011】
また、以下の順序で説明を行う。
0.導入
1.本技術の第1実施形態に係る光検出装置
2.本技術の第2実施形態に係る光検出装置
3.本技術の第3実施形態に係る光検出装置
4.本技術の第4実施形態に係る光検出装置
5.本技術の第5実施形態に係る光検出装置
6.本技術の第6実施形態に係る光検出装置
7.本技術の第7実施形態に係る光検出装置
8.本技術の第8実施形態に係る光検出装置
9.本技術の第9実施形態に係る光検出装置
10.本技術の変形例
11.本技術を適用した光検出装置の使用例
12.本技術を適用した光検出装置の他の使用例
13.移動体への応用例
14.内視鏡手術システムへの応用例
【0012】
<0.導入>
従来、アバランシェ増倍領域を有する光電変換素子(例えばAPD、SPAD等)を備える光検出装置では、該光電変換素子に印加するバイアス電圧を調整(バイアス調整)することにより、該光電変換素子の特性変動を抑制していた(例えば特許文献1参照)。しかし、従来の光検出装置では、バイアス調整回路のような煩雑な回路を要する。
【0013】
そこで、発明者らは、鋭意検討の末、煩雑な回路を要することなく光電変換素子の特性変動を抑制することができる光検出装置として、本技術に係る光検出装置を開発した。
【0014】
また、従来の光検出装置では、以下のような幾つかの課題もあった。
・ブレイクダウン電圧(降伏電圧)の大きさが大きくなると、バイアス電圧源の最大供給電圧によってはバイアス調整が困難となり、光電変換素子の特性変動を十分に抑制できないおそれがある。
・特に光電変換素子がSPADの場合に、ブレイクダウン電圧の大きさが大きくなると、SPADに印加されるエクセスバイアス電圧(ブレイクダウン電圧以上の電圧)も大きくなり、消費電力が増加してしまう。
・特に光検出装置が画素アレイを有する場合に、画素毎にバイアス調整することが困難であり、各画素の光電変換素子の特性変動を十分に抑制できないおそれがある。
【0015】
本技術に係る光検出装置では、以上のような課題も解決することが可能である。
【0016】
以下、本技術に係る光検出装置の幾つかの実施形態について、図面を用いて詳細に説明する。
【0017】
<1. 本技術の第1実施形態に係る光検出装置>
[光検出装置の概要]
図1は、本技術の第1実施形態に係る光検出装置10の平面構成例を示す図である。図1に示すように、光検出装置10は、画素アレイ12及びバイアス電圧印加部13を備えている。
【0018】
画素アレイ12では、図示しない光学系により集光される光を受光する受光面を有する画素100Aが行列状に複数配置されている。
【0019】
バイアス電圧印加部13は、画素アレイ12の画素100A毎にバイアス電圧を印加する。
【0020】
図2Aは、図1の光検出装置の画素毎の回路構成例を示す図である。図2Aに示すように、各画素100Aは、アバランシェ増倍領域を有する光電変換素子100a、p型MOSFET(Metal-Oxide-Semiconductor Field-Effect Transistor)500a及びCMOSインバータ500bを含んで構成される。
【0021】
光電変換素子100aは、入射された光を光電変換により電気信号に変換して出力する。光電変換素子100aは、例えばSPADであり、例えば、カソードにアバランシェ増倍が発生する大きな負電圧(例えばエクセスバイアス電圧:ブレイクダウン電圧VBDの絶対値以上の絶対値の負電圧)が印加されると、1フォトンの入射に応じて発生した電子がアバランシェ増倍を生じ、大電流が流れる特性を有している。p型MOSFET500aは、光電変換素子100aでアバランシェ増倍された電子による電圧がブレイクダウン電圧VBD に達すると、光電変換素子100aで増倍された電子を放出して、初期電圧に戻すクエンチング(quenting)を行う。CMOSインバータ500bは、光電変換素子100aで増倍された電子により発生する電圧を整形することで、1フォトンの到来時刻を始点としてパルス波形が発生する検出信号(APD OUT)を出力する。
【0022】
以上のように構成された光検出装置10からは、画素100A毎に検出信号(受光信号)が出力され、図示しない後段の演算処理部に供給される。例えば、演算処理部は、それぞれの受光信号において1フォトンの到来時刻を示すパルスが発生したタイミングに基づいて、被写体までの距離を求める演算処理を行って、画素100A毎に距離を求める。そして、それらの距離に基づいて、複数の画素100Aにより検出された被写体までの距離を平面的に並べた距離画像が生成される。
【0023】
(ブレイクダウン電圧の変動)
図2Bは、リカバリー電位印加によるブレイクダウン電圧VBDの回復作用の一例を示す図である。図2Bの横軸はSPADのアノードとカソードとの間の電圧を示し、縦軸はSPADに流れる電流を示す。
【0024】
図2Bに示すように、例えば光電変換素子100aのブレイクダウン電圧VBDが負の場合であって|VBD|が設計値(初期設定値(図2中のinitial))より大きくなっている場合(図2B中のaging)、負電荷e(エレクトロン)がカソードに注入されていると考えられる。この状態は、クエンチング後もほとんど解消されず、|VBD|が設計値より大きい状態(図2B中のagingの状態)で次のフォトンの検出が行われることとなる。そこで、この負電荷eを除去できれば、ブレイクダウン電圧VBDの設計値からの変動を抑制すること、すなわちブレイクダウン電圧VBDを回復させること(図2B中のinitialに戻すこと)が可能である。
【0025】
(リカバリー電位)
光電変換素子100aのカソードには、一例として、後述する電位印加構造PASによりブレイクダウン電圧VBDを回復させるためのリカバリー電位Vrが印加されるようになっている。リカバリー電位Vrは、光電変換素子100aのカソードに注入された負電荷eを飛ばす負の電位である。
【0026】
光検出装置10では、一例として、光電変換素子100aのカソード付近に配置された導電層にリカバリー電位Vrとしての負電位を印加することにより、カソード側の負電荷eを反発により飛ばし、ブレイクダウン電圧VBDの変動を抑制する。
【0027】
[光検出装置の詳細]
(全体構成)
図3は、光検出装置10の第1画素100A1(画素100Aの一例)についての断面構成例を示す図である。図4は、光検出装置10の第2画素100A2(画素100Aの他の例)についての断面構成例を示す図である。図5は、光検出装置10の導電層の平面構成例を示す図である。図6は、リカバリー電位印加による負電荷除去作用の一例を示す図である。以下では、特に断りがない限り、第1及び第2画素100A1、100A2について共通の説明を行う。また、便宜上、図3図4等の断面図における上側を「上」、下側を「下」として説明する。
【0028】
光検出装置10は、一例として、図3及び図4に示すように、アバランシェ増倍領域103を有する光電変換素子100aが設けられた第1半導体基板100と、導電層200cを含む積層構造200と、導電層200cに電位を印加するための電位印加構造PASとを備える。
【0029】
光電変換素子100aを有する画素100Aが、第1半導体基板100の面内方向に沿って並べて複数設けられている。複数の画素100Aは、少なくとも2つの第1画素100A1及び少なくとも1つの第2画素100A2を含む。複数の画素100Aは、例えば、1つの画素100Aが第2画素100A2であり、且つ、残りの全ての画素100Aが第1画素100A1であってもよい。
【0030】
第1半導体基板100は、一例として、厚さ方向(上下方向)に相対する第1面S1(下面)及び第2面S2(上面)を有する。第1半導体基板100は、例えば、単結晶のシリコンを薄くスライスした半導体基板であって、p型またはn型の不純物濃度が制御されており、画素100A毎に光電変換素子100aが形成されている。第1半導体基板100は、第2面S2が光入射面となっている。
【0031】
第1半導体基板100は、例えばSi基板、Ge基板、GaAs基板、InGaAs基板等である。
【0032】
積層構造200は、一例として、第1半導体基板100の第1面S1側(下面側、表面側)に配置されている。積層構造200は、第1絶縁層200a、第2絶縁層200b及び導電層200cが第1面S1に近い側(上側)からこの順に積層されている。すなわち、光検出装置10は、第1半導体基板100の裏面側である第2面S2側から光が入射(照射)される裏面照射型の光検出装置である。第1及び第2絶縁層200a、200bを併せて「絶縁層」とも呼ぶ。ここでは、絶縁層は、多層構造を有している。
【0033】
電位印加構造PASは、積層構造200の第1半導体基板100側とは反対側(下側)に配置され、導電層200cと電気的に接続された第1配線層300と、該第1配線層300の積層構造200側とは反対側(下側)に配置され、第1配線層300と電気的に接続された回路基板SBとを含む。電位印加構造PASは、少なくとも積層構造200内に設けられ、導電層200cと第1配線層300とを電気的に接続するビアv3を含む(図4参照)。導電層200cは、少なくとも各画素100Aに対応して設けられ、ビアv3は、導電層200cの第2画素100A2に対応する部分と第1配線層300とを電気的に接続する(図4参照)。第1半導体基板100、積層構造200及び第1配線層300を併せて「画素基板」又は「センサ基板」と呼んでもよい。
【0034】
回路基板SBは、第1配線層300に向かい合わせに接合された第2配線層400と、該第2配線層400の第1配線層300側とは反対側(下側)に配置され、回路素子が設けられた第2半導体基板500とを含む。ここでは、回路基板SBから光電変換素子100aのカソードにリカバリー電位Vrを供給する。回路基板SBは、光電変換素子100aの非動作時(例えばクエンチング後且つエクセスバイアス電圧の印加前)に光電変換素子100aにリカバリー電位Vrを供給する。リカバリー電位Vrの大きさは、例えば、光電変換素子100aのブレイクダウン電圧の大きさと同等とされるが、ブレイクダウン電圧未満であってもよいし、ブレイクダウン電圧超であってもよい。回路基板SBは、「処理基板」と呼んでもよい。リカバリー電位Vrは、光電変換素子100aの駆動毎に印加されてもよいし、光電変換素子100aを複数回駆動する毎に印加されてもよい。
【0035】
第2半導体基板500は、一例としてロジック基板(ロジック回路が形成された半導体基板)である。第2半導体基板500には、例えば、回路素子としてのバイアス電圧印加部13、p型MOSFET500a、CMOSインバータ500b等が設けられている。
【0036】
第2半導体基板500は、例えばSi基板、Ge基板、GaAs基板、InGaAs基板等である。
【0037】
バイアス電圧印加部13は、光電変換素子100aにバイアス電圧を印加するとともに、該光電変換素子100aの非動作時(非駆動時)に導電層200cにリカバリー電位Vrを印加することとしてもよい。この場合に、バイアス電圧及びリカバリー電位Vrを生成する電源(例えば図2A中の符号E)に共通のものを用いてもよいし、別々のものを用いてもよい。例えば、該電源は、回路基板SBに設けられている。
【0038】
また、電位印加構造PASは、バイアス電圧印加部13とは別に、リカバリー電位Vrを印加するためのリカバリー電位印加部を回路基板SBに有していてもよい。この場合も、バイアス電圧及びリカバリー電位Vrを生成する電源に共通のものを用いてもよいし、別々のものを用いてもよい。例えば、該電源は、回路基板SBに設けられている。
【0039】
第1及び第2配線層300、400は、光電変換素子100aに印加される電圧を供給するための配線、光電変換素子100aで発生した電子を第1半導体基板100から取り出すための配線等を内部に有する。
【0040】
(光電変換素子)
光電変換素子100aは、第1半導体基板100に形成されたp型拡散層101(p型半導体層)、n型拡散層102(n型半導体層)、高濃度n型拡散層104、高濃度p型拡散層105、nウェル106、ホール蓄積層107及びピニング層108を含んで構成される。光電変換素子100aでは、p型拡散層101とn型拡散層102との接合部であるpn接合に形成される空乏層によって、アバランシェ増倍領域103が形成される。
【0041】
nウェル106は、第1半導体基板100の不純物濃度がn型に制御されることにより形成され、光電変換素子100aにおける光電変換により発生する電子をアバランシェ増倍領域103へ転送する電界を形成する。なお、nウェル106に代えて、第1半導体基板100の不純物濃度をp型に制御してpウェルを形成してもよい。
【0042】
p型拡散層101は、第1半導体基板100の第1面S1近傍であってn型拡散層102の積層構造200側とは反対側(上側)に配置された高濃度のp型の拡散層(p+)であり、光電変換素子100aのほぼ全面に亘るように形成されている。
【0043】
n型拡散層102は、第1半導体基板100の第1面S1近傍であってp型拡散層101の積層構造200側(下側)に配置された高濃度のn型の拡散層(n+)であり、光電変換素子100aのほぼ全面に亘るように形成されている。
【0044】
高濃度n型拡散層104は、第1半導体基板100の第1面S1近傍であってn型拡散層102の第1面S1側(下側)に配置された高濃度のn型の拡散層(n++)であり、光電変換素子100aの面内の中央部近傍に形成されている。高濃度n型拡散層104は、光電変換素子100aのカソード電極として機能する。なお、n型拡散層102及び高濃度n型拡散層104は、一体に構成されてもよい。
【0045】
高濃度p型拡散層105は、第1半導体基板100の第1面S1近傍においてnウェル106の外周を囲むように形成されたp型の拡散層(p++)であり、光電変換素子100aのアノード電極として機能する。
【0046】
ホール蓄積層107は、nウェル106の側面及び底面(上面)を覆うように形成されたp型の拡散層(p)であり、ホールを蓄積している。また、ホール蓄積層107は、光電変換素子100aのアノードと電気的に接続されており、バイアス調整を可能とする。これにより、ホール蓄積層107のホール濃度が強化され、ピニング層108を含むピニングが強固になることによって、例えば、暗電流の発生を抑制することができる。
【0047】
ピニング層108は、ホール蓄積層107の外表面を覆うように形成された高濃度のp型(p+)の拡散層であり、ホール蓄積層107と同様に、例えば、暗電流の発生を抑制する。
【0048】
アバランシェ増倍領域103は、高濃度n型拡散層104を介してn型拡散層102に印加される大きな負電圧(例えばエクセスバイアス電圧)によってp型拡散層101及びn型拡散層102の境界面(pn接合)に形成される高電界領域であって、光電変換素子100aに入射される1フォトンで発生する電子を増倍する。
【0049】
(画素間分離部)
光検出装置10では、隣接する光電変換素子100a同士の間に形成されたメタル膜109及び絶縁膜110から成る二重構造の画素間分離部111によって、各光電変換素子100aが絶縁されて分離されている。例えば、画素間分離部111は、第1半導体基板100の第2面S2から第1面S1まで貫通するように形成される。
【0050】
メタル膜109は、光を反射する金属(例えばW等)からなる膜である。絶縁膜110は、例えばSiO等の絶縁性を有する膜である。例えば、メタル膜109が絶縁膜110で覆われるように第1半導体基板100に埋め込まれることで画素間分離部111が形成され、画素間分離部111によって、隣接する光電変換素子100a同士が電気的及び光学的に分離される。
【0051】
(積層構造)
第1絶縁層200aは、一例として、SiOからなる。第2絶縁層200bは、一例として、SiNからなる。
【0052】
導電層200cは、複数の画素100Aに対応して設けられている(図5参照)。導電層200cには、高濃度p型拡散層105に対応する位置(各画素100Aの4隅)に第1貫通孔th1が形成され、高濃度n型拡散層104に対応する位置に第2貫通孔th2が形成されている。導電層200cは、例えば、複数の第1貫通孔th1が平面視においてマトリクス配置で形成されることにより、平面視において格子状となっており、格子の交点に第2貫通孔th2が形成されている。導電層200cは、第2面S2側から入射された光のうち光電変換素子100aを透過した光を、光電変換素子100aへ反射する。なお、導電層200cの端部に形成される第1貫通孔th1は、切り欠き状であってもよい。
【0053】
導電層200cは、p-Si(ポリシリコン)、W、Ti、Ta、Ni、Coから選択される少なくとも一種を含むことが好ましい。例えばW、Ti、Ta,Ni、Co等の金属であってもよいし、例えば多結晶Siであるp-Siや、WSi、TiSi、TaSi、NiSi、CoSi、TiN、TaN等の化合物であってもよい。
【0054】
第1配線層300と光電変換素子100aのアノードとが少なくとも積層構造200内に設けられた第1ビアv1を介して電気的に接続されている。第1配線層300と光電変換素子100aのカソードとが少なくとも積層構造200内に設けられた第2ビアv2を介して電気的に接続されている。第1及び第2ビアv1、v2は、例えば、W、Cu、Al等により形成されている。
【0055】
導電層200cにリカバリー電位Vrとしての負電位が印加されると、光電変換素子100aのカソードに注入された負電荷eが反発により飛ばされ(図6参照)、該光電変換素子100aのブレイクダウン電圧を回復させることができる。
【0056】
ここで、光電変換素子100aに所望のリカバリー電位Vrを印加するために、リカバリー電位Vrと絶縁層の厚さd(ここでは、第1及び第2絶縁層200a、200bの厚さの合計)との間に、次の(1)式が成立することが好ましい。
2M[V/cm]<|Vr|/d<8M[V/cm]・・・(1)
【0057】
例えば所望のリカバリー電位Vrが-20Vである場合には、(1)式より、dを25nm~100nmに設定することが好ましい。
【0058】
また、導電層200cに比較的大きな負電位を印加することによる悪影響を抑制するために、光電変換素子100aのアノード電極としての高濃度p型拡散層105及びカソード電極としての高濃度n型拡散層104の各々と、導電層200cとの積層方向(上下方向)の距離(ここでは、絶縁層の厚さd)は、|Vr|[V]/1M[V/cm]以上であることが好ましい。例えば、所望のリカバリー電位Vrが-20Vである場合には、d=200nm以上とすることが好ましい。
【0059】
(第1配線層)
第1配線層300は、絶縁膜301と、該絶縁膜301内に形成されたメタル配線302a、302b、メタルパッド304a、304bを有する。絶縁膜301は、例えば、例えばSiO、SiN、SiON等からなる。各メタル配線及び各メタルパッドは、例えばCu、Al、W等からなる。
【0060】
メタル配線302aは、少なくともアバランシェ増倍領域103に重なるように形成されている。
【0061】
メタル配線302bは、メタル配線302aの外周を囲むように、且つ、高濃度p型拡散層105と重なるように形成されている。
【0062】
第1ビアv1は、積層構造200の第1絶縁層200a、第2絶縁層200b及び導電層200cと、第1配線層300の積層構造200側の表層(絶縁膜301の上層)とを貫通するように形成され、高濃度p型拡散層105とメタル配線302bとを電気的に接続する。第1ビアv1は、導電層200cの第1貫通孔th1を該第1貫通孔th1の内壁面に接することなく(導電層200cと絶縁された状態で)貫通している。ここでは、第1及び第2貫通孔th1、th2内は、空隙となっているが、少なくとも一方が例えば絶縁材料で埋め込まれてもよい。
【0063】
メタル配線302bとメタルパッド304bとが、ビア303を介して電気的に接続されている。メタル配線302b及びメタルパッド304bは、隣接する画素100A間で共有されている。すなわち、光検出装置10の画素アレイ12では、画素100A間でアノードが電気的に接続されている(アノードコモン)。ビア303は、例えば、W、Cu、Al等により形成されている。
【0064】
第2ビアv2は、積層構造200の第1絶縁層200a、第2絶縁層200b及び導電層200cと、第1配線層300の積層構造200側の表層(絶縁膜301の上層)とを貫通するように形成され、高濃度n型拡散層104とメタル配線302aとを電気的に接続する。第2ビアv2は、導電層200cの第2貫通孔th2を該第1貫通孔th2の内壁面に接することなく(導電層200cと絶縁された状態で)貫通している。
【0065】
メタル配線302aとメタルパッド304aとが、ビア303を介して電気的に接続されている。メタル配線302a及びメタルパッド304aは、画素100A毎に独立して(電気的に分離して)設けられている。すなわち、光検出装置10の画素アレイ12では、画素100A間でカソードが電気的に分離されている。これにより、画素100A毎に独立駆動可能となっている。
【0066】
図4に示す第2画素100A2では、第1配線層300の絶縁膜301内にさらにメタル配線302a1、メタルパッド304a1を有する。各メタルパッド及び各電極パッドは、例えばCu、Al、W等からなる。
【0067】
メタル配線302a1とメタルパッド304a1とがビア303を介して電気的に接続されている。
【0068】
メタル配線302a1は、ビアv3を介して導電層200cと電気的に接続されている。ビアv3は、例えば、W、Cu、Al等により形成されている。
【0069】
(第2配線層)
第2配線層400は、絶縁膜401と、該絶縁膜401内に形成されたメタルパッド402a、402b、電極パッド404a、404bを有する。絶縁膜401は、例えば、SiO2、SiN、SiON等からなる。各メタルパッド及び各電極パッドは、例えばCu、Al、W等からなる。
【0070】
メタルパッド402aは、第1配線層300のメタルパッド304aと金属接合(例えばCu-Cu接合等)により電気的及び機械的に接合されている。メタルパッド402bは、第1配線層300のメタルパッド304bと金属接合(例えばCu-Cu接合等)により電気的及び機械的に接合されている。
【0071】
メタルパッド402aと電極パッド404aとがビア403を介して電気的に接続されている。メタルパッド402bと電極パッド404bとがビア403を介して電気的に接続されている。ビア403は、例えば、W、Cu、Al等により形成されている。
【0072】
電極パッド404a、404bは、第2半導体基板500としてのロジック基板と電気的に接続されている。
【0073】
図4に示す第2画素100A2では、第2配線層400の絶縁膜401内にさらにメタルパッド402a1、電極パッド404a1を有する。各メタルパッド及び各電極パッドは、例えばCu、Al、W等からなる。
【0074】
メタルパッド402a1は、第1配線層300のメタルパッド304a1と金属接合(例えばCu-Cu接合等)により電気的及び機械的に接合されている。
【0075】
メタルパッド402a1と電極パッド404a1とがビア403を介して電気的に接続されている。
【0076】
以上の説明から分かるように、電極パッド404aは、ビア403、メタルパッド402a、メタルパッド304a、ビア303、メタル配線302a及びビアv2を介して高濃度n型拡散層104に電気的に接続されている。よって、光電変換素子100aでは、第2半導体基板500としてのロジック基板から大きな負電圧(例えばエクセスバイアス電圧)をn型拡散層102に供給することができる。
【0077】
また、電極パッド404bは、ビア403、メタルパッド402b、メタルパッド304b、ビア303、メタル配線302b、ビアv1及び高濃度p型拡散層105を介してホール蓄積層107に電気的に接続されている。よって、光電変換素子100aでは、ホール蓄積層107と電気的に接続される光電変換素子100aのアノードが電極パッド404bに接続されることで、電極パッド404bを介してホール蓄積層107に対するバイアス調整を可能とすることができる。
【0078】
また、第2画素100A2において、電極パッド404a1は、ビア403、メタルパッド402a1、メタルパッド304a1、ビア303、メタル配線302a1及びビアv3を介して導電層200cに電気的に接続されている。よって、第2半導体基板500としてのロジック基板から導電層200cにリカバリー電位Vrを供給することができる。
【0079】
また、画素100Aは、導電層200cが、アバランシェ増倍領域103の略全域を覆い、且つ、メタル膜109が第1半導体基板100を貫通するように形成されている。すなわち、画素100Aは、導電層200c及びメタル膜109により光電変換素子100aの光入射面以外の略全ての面を取り囲んだ反射構造を有している。これにより、光学的なクロストークの発生を抑制することができるとともに、光電変換素子100aの感度を向上させることができる。
【0080】
以上説明した第1実施形態に係る光検出装置10は、アバランシェ増倍領域103を有する光電変換素子100aが設けられ、相対する第1及び第2面S1、S2を有する第1半導体基板100と、第1面S1側に配置され、少なくとも絶縁層(第1及び第2絶縁層200a、200b)及び導電層200cが第1面S1に近い側からこの順に積層された積層構造200と、導電層200cに電位を印加するための電位印加構造PASと、を備える。
【0081】
光検出装置10では、例えばバイアス調整回路のような煩雑な回路を要しない。
【0082】
すなわち、光検出装置10によれば、煩雑な回路を要することなく光電変換素子100aの特性変動を抑制可能な光検出装置を提供することができる。
【0083】
さらに、光検出装置10によれば、バイアス調整回路によらず、導電層200cに電位を印加する電位印加構造PASにより光電変換素子100aのブレイクダウン電圧の変動を抑制するので、例えばブレイクダウン電圧の大きさが一時的に大きくなっても、その大きさによらずブレイクダウン電圧を即座に回復させることができ、ひいては光電変換素子100aの特性変動を十分に抑制することができる。
【0084】
さらに、光検出装置10によれば、特に光電変換素子100aがSPADの場合に、ブレイクダウン電圧の大きさが継続的に大きくなることを抑制できるので、SPADに印加されるエクセスバイアス電圧(ブレイクダウン電圧以上の電圧)の大きさが継続的に大きくなることも抑制でき、ひいては消費電力の増加を抑制できる。
【0085】
また、光検出装置10によれば、画素アレイを有する場合であっても、複数画素の光電変換素子100aのブレイクダウン電圧の変動を一律に抑制することができ、ひいては各画素の光電変換素子の特性変動を十分に抑制することができる。
【0086】
<2. 本技術の第2実施形態に係る光検出装置>
図7は、本技術の第2実施形態に係る光検出装置20の第1画素100A1及びダミー画素150についての断面構成例を示す図である。図8は、光検出装置20の導電層200cの平面構成例を示す図である。
【0087】
光検出装置20は、図8に示すように、第2画素100A2に代えてダミー画素150が設けられている点を除いて、第1実施形態に係る光検出装置10と概ね同様の構成を有する。
【0088】
光検出装置20では、図7に示すように、光電変換素子100aを含む第1画素100A1と光電変換素子100aを含まないダミー画素150とが第1半導体基板100の面内方向に沿って並べて設けられている。導電層200cは、少なくとも第1画素100A1及びダミー画素150に対応して設けられている。ビアv3は、導電層200cのダミー画素150に対応する部分と第1配線層300とを電気的に接続する。
【0089】
ダミー画素150は、光電変換素子100a及び該光電変換素子100aのカソードに接続される多層配線を有しない点を除いて、第2画素100A2(図4参照)と概ね同様の構成を有する。ダミー画素150は、例えば、画素アレイの外周部に沿って複数並べて設けられている(図8参照)。なお、ダミー画素150は、複数に限らず、要は、少なくとも1つ設けられればよい。
【0090】
光検出装置20では、導電層200cのダミー画素150に対応する部分と、メタル配線302a1とがビアv3を介して電気的に接続されている。光検出装置20では、第2半導体基板500としてのロジック基板から電極パッド404a1、ビア403、メタルパッド402a1、メタルパッド304a1、ビア303、メタル配線302a1及びビアv3を介して導電層200c全体にリカバリー電位Vrとしての負電位が印加可能となっている。導電層200cにリカバリー電位Vrとしての負電位が印加されると、第1画素100A1の光電変換素子100aのカソードに注入された負電荷eが反発により飛ばされ、該光電変換素子100aのブレイクダウン電圧を回復することができる。
【0091】
光検出装置20によれば、導電層200cと第2半導体基板500としてのロジック基板とを接続する多層配線がダミー画素150に設けられており配線の設置スペースに余裕があるので、多層配線の形成が容易である。
【0092】
<3. 本技術の第3実施形態に係る光検出装置>
図9は、本技術の第3実施形態に係る光検出装置30の第1画素100A1、ダミー画素150及び外部接続端子600についての断面構成例を示す図である。
【0093】
光検出装置30は、図9に示すように、リカバリー電位Vrを生成する外部電源と接続される外部接続端子600が回路基板SBに設けられている点を除いて、第2実施形態に係る光検出装置20と概ね同様の構成を有する。
【0094】
光検出装置30では、画素アレイにおけるダミー画素150の外周側の一部に第2配線層400と外部電源との接続スペースが形成されている。外部接続端子600は、この接続スペースに露出するように絶縁膜401に設けられている。外部接続端子600の積層方向の位置は、例えば、電極パッド404a1の積層方向(上下方向)の位置と略同一となっている。
【0095】
絶縁膜401内における外部接続端子600及び電極パッド404a1の第2半導体基板500側には、メタル配線406が形成されている。メタル配線406は、複数のビア407を介して外部接続端子600に電気的に接続され、且つ、ビア405を介して電極パッド404a1と電気的に接続されている。よって、外部接続端子600は、複数のビア407、メタル配線406、ビア405、電極パッド404a1、ビア403、メタルパッド402a1、メタルパッド304a1、ビア303、メタル配線302a1及びビアv3を介して導電層200cに電気的に接続されている。
【0096】
光検出装置30では、外部接続端子600に接続された外部電源でリカバリー電位Vrとしての負電位が生成されると、該リカバリー電位Vrが導電層200cに印加され、光電変換素子100aのカソードに注入された負電荷eが反発により飛ばされ、該光電変換素子100aのブレイクダウン電圧を回復することができる。
【0097】
光検出装置30によれば、リカバリー電位Vrを外部電源により生成するので、第2半導体基板500としてのロジック基板にリカバリー電位Vrを生成する電源を設ける必要がない。
【0098】
<4. 本技術の第4実施形態に係る光検出装置>
図10は、本技術の第4実施形態に係る光検出装置40の第1画素100A1についての断面構成例を示す図である。
【0099】
光検出装置40では、図10に示すように、積層構造200は、絶縁層及び導電層が第1面S1に近い側(上側)からこの順に交互に積層されたフローティングゲート構造を有する。詳述すると、積層構造200では、例えば、第1絶縁層200a、第1導電層200c1、第2絶縁層200b、第2導電層200c2が第1面S1に近い側(上側)からこの順に積層されている。積層構造200において、第1及び第2絶縁層200a、200bの間に位置する第1導電層200c1をフローティングゲートとして機能させることにより、EEPROM(フラシュメモリ)と同様のキャリア注入効果を得ることができる。第1及び第2導電層200c1、200c2には、上述した導電層200cの材料と同様の材料を用いることができる。第1及び第2導電層200c1、200c2の材料は、同一でもよいし、異なっていてもよい。ここでは、積層構造200は、第1面S1に近い側から順に積層された絶縁層及び導電層の組を2組有しているが、3組以上有していてもよい。
【0100】
光検出装置40では、第1導電層200c1に第1貫通孔th1が形成され、第2導電層200c2に第1貫通孔th1に対応する第3貫通孔th3が形成されている。ここでは、ビアv1は、第1及び第3貫通孔th1、th3内をいずれの内壁面にも接することなく貫通して、メタル配線302bと高濃度p型拡散層105とを電気的に接続している。ここでは、第1及び第3貫通孔th1、th3内は、いずれも空隙であるが、少なくとも一方が、例えば絶縁材料で埋め込まれてもよい。
【0101】
光検出装置40では、第1導電層200c1に第2貫通孔th2が形成され、第2導電層200c2に第2貫通孔th2に対応する第4貫通孔th4が形成されている。ここでは、ビアv2は、第2及び第4貫通孔th2、th4内をいずれの内壁面にも接することなく貫通して、メタル配線302aと高濃度n型拡散層104とを電気的に接続している。ここでは、第2及び第4貫通孔th2、th4内は、いずれも空隙であるが、少なくとも一方が、例えば絶縁材料で埋め込んでもよい。
【0102】
光検出装置40は、リカバリー電位Vrを印加するための、導電層200cと多層配線との接続部であるビアv3を持つ第2画素100A2又はダミー画素150を有する。光検出装置40では、第2導電層200c2がビアv3を介して第1配線層300に電気的に接続されている。光検出装置40では、第2導電層200c2にリカバリー電位Vrとしての負電位を印加することにより光電変換素子100aのカソードに注入された負電荷eを離散させるとともにフローティングゲートとしての第1導電層200c1に正電荷h(ホール)の注入を促すことにより、該光電変換素子100aのブレイクダウン電圧を回復させる。この場合、リカバリー電位Vrの大きさを上記各実施形態よりも小さくすることが期待できる。
【0103】
光検出装置40においても、第1及び第2絶縁層200a、200bの厚さの合計をdとしたときに、上記(1)式が成立することが好ましい。例えば所望のリカバリー電位Vrが-20Vである場合には、上記(1)式より、dを25nm~100nmに設定することが好ましい。
【0104】
<5. 本技術の第5実施形態に係る光検出装置>
図11は、本技術の第5実施形態に係る光検出装置50の第1画素100A1についての断面構成例を示す図である。
【0105】
光検出装置50では、図11に示すように、積層構造200は、少なくとも第1絶縁層200a(絶縁層)、強誘電体層200d及び導電層200cが第1面S1に近い側(上側)からこの順に積層されている。この場合に、FeRAMと同様に残留分極効果が期待でき、リカバリー電位Vrの大きさ(絶対値)を小さくすることが可能である。
【0106】
強誘電体層200dに用いる強誘電体としては、例えばHfO、HZO、PZT、SBT、Hf及びZrの酸化物、Pb及びZrTiの酸化物、Sr、Bi及びTaの酸化物等が挙げられる。強誘電体層200dの厚さは、例えば10nm~100nmである。
【0107】
光検出装置50は、リカバリー電位Vrを印加するための、導電層200cと多層配線との接続部であるビアv3を持つ第2画素100A2又はダミー画素150を有する。具体的には、光検出装置50では、導電層200cにリカバリー電位Vrとしての正電位(例えば+5V以下の正電位)を印加することにより、強誘電体層200dに導電層200c側から第1絶縁層200a側へ向かう方向を分極方向とする分極を発生させ、光電変換素子100aのカソードに注入された負電荷eを、分極電荷としての正電荷h(ホール)で中和することにより、該光電変換素子100aのブレイクダウン電圧を回復させる。
【0108】
光検出装置50において、第1絶縁層200aの厚さをdとしたときに、上記(1)式が成立することが好ましい。例えば所望のリカバリー電位Vrが+5Vである場合には、上記(1)式より、dを25nm~100nmに設定することが好ましい。
【0109】
<6. 本技術の第6実施形態に係る光検出装置>
図12は、本技術の第6実施形態に係る光検出装置60の導電層200cの平面構成例を示す図である。図13Aは、光検出装置60の画素毎の回路構成例1を示す図であり、図13Bは、光検出装置60の画素毎の回路構成例2を示す図である。
【0110】
光検出装置60では、光電変換素子100aを含む第1画素100A1が第1半導体基板100の面内方向に沿って複数並べて設けられ、導電層200cは、電気的に分離された複数の領域であって異なる第1画素100A1に対応する複数の領域(例えば第1及び第2領域R1、R2)を有する。光検出装置60は、複数のダミー画素150を有している。
【0111】
導電層200cの第1領域R1は、複数の第1画素100A1及び複数のダミー画素150に対応して設けられている。
【0112】
導電層200cの第2領域R2は、複数の第1画素100A1及び複数のダミー画素150に対応して設けられている。
【0113】
第1及び第2領域R1、R2は、異なる第1及び第2電源E1、E2に接続され、第1領域R1にリカバリー電位Vr1が印加されるようになっており(図13A参照)、第2領域R2にリカバリー電位Vr2が印加されるようになっている(図13B参照)。第1及び第2電源E1、E2の少なくとも一方は、電位印加構造PASの内部電源であってもよいし、外部電源であってもよい。リカバリー電位Vr1、Vr2の印加タイミングは、同一であってもよいし、異なっていてもよい。
【0114】
ここで、例えば第1領域R1に対応する第1画素100A1及び第2領域R2に対応する第1画素100A1の駆動回数が異なるように使用される場合には、ブレイクダウン電圧の変動量が異なることが想定される。
【0115】
光検出装置60によれば、第1及び第2領域R1、R2に個別にリカバリー電位Vr1、Vr2を印加することができるので、上記のように駆動回数が異なるように使用される場合でも、第1及び第2領域R1、R2の各々に適切な大きさのリカバリー電位を印加することができ、ひいては各第1画素100A1の光電変換素子100aの特性変動を十分に抑制することができる。なお、導電層200cは、異なる画素100Aに対応する電気的に分離された3つ以上の領域を有していてもよい。
【0116】
<7. 本技術の第7実施形態に係る光検出装置>
図14は、本技術の第7実施形態に係る光検出装置70の第1画素100Aについての断面構成例を示す図である。
【0117】
光検出装置70は、絶縁層が第1絶縁層200aから成る単層構造を有する点を除いて、第1実施形態に係る光検出装置10と概ね同様の構成を有する。
【0118】
光検出装置70においても、絶縁層としての第1絶縁層200aの厚さをdとしたときに、上記(1)式が成立することが好ましい。例えば所望のリカバリー電位Vrが-20Vである場合には、上記(1)式より、dを25nm~100nmに設定することが好ましい。
【0119】
光検出装置70によれば、第1実施形態に係る光検出装置10と同様の効果を得ることができるとともに、絶縁層が単層構造を有するので層構成を簡素化することができる。
【0120】
<8. 本技術の第8実施形態に係る光検出装置>
図15は、本技術の第8実施形態に係る光検出装置80の第1画素100Aについての断面構成例を示す図である。
【0121】
光検出装置80は、強誘電体層200dと導電層200cとの間に第2絶縁層200bが配置されている点を除いて、第5実施形態に係る光検出装置80(図11参照)と同様の構成を有する。
【0122】
光検出装置80によれば、第5実施形態に係る光検出装置50と同様の効果を得ることができるとともに、第2絶縁層200bによるパッシベーション効果を得ることができる。
【0123】
<9. 本技術の第9実施形態に係る光検出装置>
図16は、第9実施形態に係る光検出装置の画素毎の回路構成例を示す図である。
【0124】
第9実施形態に係る光検出装置は、図16に示すように、電位印加構造PASが、リカバリー電位Vrの大きさを可変とする分圧器vdを含む点を除いて、第1実施形態に係る光検出装置10と同様の構成を有する。
【0125】
第9実施形態に係る光検出装置によれば、リカバリー電位Vrの大きさが可変なので、ブレイクダウン電圧の変動に応じてリカバリー電位Vrを調整することができ、ブレイクダウン電圧の変動を確実に抑制することができる。
【0126】
<10.本技術の変形例>
以上説明した各実施形態に係る光検出装置の構成は、適宜変更可能である。
【0127】
上記各実施形態に係る光検出装置において、アバランシェ増倍領域を有する光電変換素子として、SPADに代えてAPD(avalanche photo Diode)を用いてもよい。この場合にも、同様にリカバリー電位を導電層に印加することにより、ブレイクダウン電圧の変動を抑制でき、ひいては光電変換素子の特性変動を十分に抑制することができる。なお、APDを用いる場合は、APDにブレイクダウン電圧の絶対値未満の絶対値のバイアス電圧が印加される。
【0128】
上記各実施形態に係る光検出装置において、光電変換素子を構成する層の導電型(p型及びn型、アノード及びカソード)を入れ替えてもよい。この場合、光電変換素子のブレイクダウン電圧VBDが正電圧となり、|VBD|が大きくなる場合、正電荷hがアノードに注入されていると考えられる。この正電荷hを除去できれば、ブレイクダウン電圧VBDの変動を抑制することが可能である。そこで、アノードにリカバリー電位としての正電位を印加することにより、アノードに注入された正電荷hを除去し、ブレイクダウン電圧VBDの変動を抑制することができる。
【0129】
回路基板SBは、ロジック回路に加えて、例えばメモリ回路、AI回路、インターフェース回路等を有していてもよい。なお、インターフェース回路は、信号の入出力を行う回路である。AI回路は、AI(人工知能)による学習機能を有する回路である。回路基板SBは、上記いずれかの回路を構成する回路素子が設けられた半導体基板が配線層を介して複数積層された構造を有していてもよい。
【0130】
本技術に係る光検出装置は、第2画素100A2及びダミー画素を有していてもよい。この場合に、導電層200cと多層配線との接続部であるビアv3をダミー画素に設けてもよいし、設けなくてもよい。
【0131】
上記各実施形態に係る光検出装置は、画素が設けられた基板(第1半導体基板100、積層構造200及び第1配線層300を含む画素基板)と、回路素子が設けられた回路基板SBとが積層された構造を有しているが、例えば、画素と回路素子とが同一基板に面内方向に並べて設けられた構造を有していてもよい。
【0132】
上記各実施形態に係る光検出装置は、測距等のセンシング用途又は白黒イメージングに用いられる場合には、第1半導体基板100の第2面S2側(光入射面側)に画素100A毎のマイクロレンズを含むマイクロレンズアレイを有していてもよい。
【0133】
上記各実施形態に係る光検出装置は、カラーイメージング用途に用いられる場合には、第1半導体基板100の第2面S2側(光入射面側)に画素100A毎のカラーフィルタを含むカラーフィルタアレイを有していてもよい。さらに、上記各実施形態に係る光検出装置は、カラーフィルタアレイ上に画素100A毎のマイクロレンズを含むマイクロレンズアレイを有していてもよい。
【0134】
上記各実施形態に係る光検出装置では、第1配線層300と第2配線層400とが例えば金属接合で電気的に接続されているが、これに加えて又は代えて、例えばTSV(貫通電極)で電気的に接続されてもよい。
【0135】
上記各実施形態に係る光検出装置は、裏面照射型であるが、第1半導体基板100の光入射面側に第1配線層300が設けられる表面照射型であってもよい。この場合に、第1半導体基板100の第1配線層300側とは反対側に積層構造200を配置してもよい。さらに、電位印加構造PASは、積層構造200の第1半導体基板100側とは反対側から導電層200cに電位を供給するようにしてもよい。
【0136】
上記各実施形態に係る光検出装置は、光電変換素子100aが設けられた第1半導体基板100とロジック回路が設けられた第2半導体基板500とが積層された積層型の光検出装置であるが、光電変換素子100aとロジック回路とが同一の半導体基板に形成される非積層型の光検出装置にも本技術は適用可能である。
【0137】
上記各実施形態に係る光検出装置は、画素アレイを有しているが、これに限らず、要は、少なくとも1つの画素を有していればよい。例えば、本技術は、単一画素を持つ光検出装置にも適用可能である。
【0138】
例えば、上記各実施形態に係る光検出装置の構成を技術的に矛盾しない範囲内で相互に組み合わせてもよい。
【0139】
上記各実施形態の説明で用いた数値、材料、形状等は、一例であって、これらに限定されるものではない。
【0140】
<11.本技術を適用した光検出装置の使用例>
図17は、本技術に係る光検出装置(例えば各実施形態に係る光検出装置)が固体撮像装置(イメージセンサ)を構成する場合の使用例を示す図である。
【0141】
上述した各実施形態は、例えば、以下のように、可視光や、赤外光、紫外光、X線等の光をセンシングするさまざまなケースに使用することができる。すなわち、図17に示すように、例えば、鑑賞の用に供される画像を撮影する鑑賞の分野、交通の分野、家電の分野、医療・ヘルスケアの分野、セキュリティの分野、美容の分野、スポーツの分野、農業の分野等において用いられる装置に使用することができる。
【0142】
具体的には、鑑賞の分野においては、例えば、デジタルカメラやスマートフォン、カメラ機能付きの携帯電話機等の、鑑賞の用に供される画像を撮影するための装置に、本技術に係る光検出装置を使用することができる。
【0143】
交通の分野においては、例えば、自動停止等の安全運転や、運転者の状態の認識等のために、自動車の前方や後方、周囲、車内等を撮影する車載用センサ、走行車両や道路を監視する監視カメラ、車両間等の測距を行う測距センサ等の、交通の用に供される装置に、本技術に係る光検出装置を使用することができる。
【0144】
家電の分野においては、例えば、ユーザのジェスチャを撮影して、そのジェスチャに従った機器操作を行うために、テレビ受像機や冷蔵庫、エアーコンディショナ等の家電に供される装置で、本技術に係る光検出装置を使用することができる。
【0145】
医療・ヘルスケアの分野においては、例えば、内視鏡や、赤外光の受光による血管撮影を行う装置等の、医療やヘルスケアの用に供される装置に、本技術に係る光検出装置を使用することができる。
【0146】
セキュリティの分野においては、例えば、防犯用途の監視カメラや、人物認証用途のカメラ等の、セキュリティの用に供される装置に、本技術に係る光検出装置を使用することができる。
【0147】
美容の分野においては、例えば、肌を撮影する肌測定器や、頭皮を撮影するマイクロスコープ等の、美容の用に供される装置に、本技術に係る光検出装置を使用することができる。
【0148】
スポーツの分野において、例えば、スポーツ用途等向けのアクションカメラやウェアラプルカメラ等の、スポーツの用に供される装置に、本技術に係る光検出装置を使用することができる。
【0149】
農業の分野においては、例えば、畑や作物の状態を監視するためのカメラ等の、農業の用に供される装置に、本技術に係る光検出装置を使用することができる。
【0150】
次に、本技術に係る光検出装置(例えば各実施形態に係る光検出装置)の使用例を具体的に説明する。例えば、上述で説明をした各実施形態に係る光検出装置は、固体撮像装置501として、例えばデジタルスチルカメラやビデオカメラ等のカメラシステムや、撮像機能を有する携帯電話など、撮像機能を備えたあらゆるタイプの電子機器に適用することができる。図18に、その一例として、電子機器510(カメラ)の概略構成を示す。この電子機器510は、例えば静止画または動画を撮影可能なビデオカメラであり、固体撮像装置501と、光学系(光学レンズ)502と、シャッタ装置503と、固体撮像装置501およびシャッタ装置503を駆動する駆動部504と、信号処理部505とを有する。
【0151】
光学系502は、被写体からの像光(入射光)を固体撮像装置501の画素領域へ導くものである。この光学系502は、複数の光学レンズから構成されていてもよい。シャッタ装置503は、固体撮像装置501への光照射期間および遮光期間を制御するものである。駆動部504は、固体撮像装置501の転送動作およびシャッタ装置503のシャッタ動作を制御するものである。信号処理部505は、固体撮像装置501から出力された信号に対し、各種の信号処理を行うものである。信号処理後の映像信号Doutは、メモリなどの記憶媒体に記憶されるか、あるいは、モニタ等に出力される。
【0152】
<12.本技術を適用した光検出装置の他の使用例>
本技術に係る光検出装置(例えば各実施形態に係る光検出装置)は、例えば、TOF(Time Of Flight)センサなど、光を検出する他の電子機器(例えば測距装置)へ適用することもできる。TOFセンサへ適用する場合は、例えば、直接TOF計測法による距離画像センサ、間接TOF計測法による距離画像センサへ適用することが可能である。直接TOF計測法による距離画像センサでは、フォトンの到来タイミングを各画素において直接時間領域で求めるため、短いパルス幅の光パルスを送信し、高速に応答する受信機で電気的パルスを生成する。その際の受信機に本開示を適用することができる。また、間接TOF法では、光で発生したキャリアの検出と蓄積量が、光の到来タイミングに依存して変化する半導体素子構造を利用して光の飛行時間を計測する。本開示は、そのような半導体構造としても適用することが可能である。TOFセンサへ適用する場合は、カラーフィルタ及びマイクロレンズアレイを設けることは任意であり、これらを設けなくても良い。
【0153】
<13.移動体への応用例>
本開示に係る技術(本技術)は、様々な製品へ応用することができる。例えば、本開示に係る技術は、自動車、電気自動車、ハイブリッド電気自動車、自動二輪車、自転車、パーソナルモビリティ、飛行機、ドローン、船舶、ロボット等のいずれかの種類の移動体や、低消費電力機器(例えばスマートフォン、スマートウォッチ、タブレット、アイウェア(例えばヘッドマウントディスプレイ)等)に搭載される装置として実現されてもよい。
【0154】
図19は、本開示に係る技術が適用され得る移動体制御システムの一例である車両制御システムの概略的な構成例を示すブロック図である。
【0155】
車両制御システム12000は、通信ネットワーク12001を介して接続された複数の電子制御ユニットを備える。図19に示した例では、車両制御システム12000は、駆動系制御ユニット12010、ボディ系制御ユニット12020、車外情報検出ユニット12030、車内情報検出ユニット12040、及び統合制御ユニット12050を備える。また、統合制御ユニット12050の機能構成として、マイクロコンピュータ12051、音声画像出力部12052、及び車載ネットワークI/F(interface)12053が図示されている。
【0156】
駆動系制御ユニット12010は、各種プログラムにしたがって車両の駆動系に関連する装置の動作を制御する。例えば、駆動系制御ユニット12010は、内燃機関又は駆動用モータ等の車両の駆動力を発生させるための駆動力発生装置、駆動力を車輪に伝達するための駆動力伝達機構、車両の舵角を調節するステアリング機構、及び、車両の制動力を発生させる制動装置等の制御装置として機能する。
【0157】
ボディ系制御ユニット12020は、各種プログラムにしたがって車体に装備された各種装置の動作を制御する。例えば、ボディ系制御ユニット12020は、キーレスエントリシステム、スマートキーシステム、パワーウィンドウ装置、あるいは、ヘッドランプ、バックランプ、ブレーキランプ、ウィンカー又はフォグランプ等の各種ランプの制御装置として機能する。この場合、ボディ系制御ユニット12020には、鍵を代替する携帯機から発信される電波又は各種スイッチの信号が入力され得る。ボディ系制御ユニット12020は、これらの電波又は信号の入力を受け付け、車両のドアロック装置、パワーウィンドウ装置、ランプ等を制御する。
【0158】
車外情報検出ユニット12030は、車両制御システム12000を搭載した車両の外部の情報を検出する。例えば、車外情報検出ユニット12030には、撮像部12031が接続される。車外情報検出ユニット12030は、撮像部12031に車外の画像を撮像させるとともに、撮像された画像を受信する。車外情報検出ユニット12030は、受信した画像に基づいて、人、車、障害物、標識又は路面上の文字等の物体検出処理又は距離検出処理を行ってもよい。
【0159】
撮像部12031は、光を受光し、その光の受光量に応じた電気信号を出力する光センサである。撮像部12031は、電気信号を画像として出力することもできるし、測距の情報として出力することもできる。また、撮像部12031が受光する光は、可視光であっても良いし、赤外線等の非可視光であっても良い。
【0160】
車内情報検出ユニット12040は、車内の情報を検出する。車内情報検出ユニット12040には、例えば、運転者の状態を検出する運転者状態検出部12041が接続される。運転者状態検出部12041は、例えば運転者を撮像するカメラを含み、車内情報検出ユニット12040は、運転者状態検出部12041から入力される検出情報に基づいて、運転者の疲労度合い又は集中度合いを算出してもよいし、運転者が居眠りをしていないかを判別してもよい。
【0161】
マイクロコンピュータ12051は、車外情報検出ユニット12030又は車内情報検出ユニット12040で取得される車内外の情報に基づいて、駆動力発生装置、ステアリング機構又は制動装置の制御目標値を演算し、駆動系制御ユニット12010に対して制御指令を出力することができる。例えば、マイクロコンピュータ12051は、車両の衝突回避あるいは衝撃緩和、車間距離に基づく追従走行、車速維持走行、車両の衝突警告、又は車両のレーン逸脱警告等を含むADAS(Advanced Driver Assistance System)の機能実現を目的とした協調制御を行うことができる。
【0162】
また、マイクロコンピュータ12051は、車外情報検出ユニット12030又は車内情報検出ユニット12040で取得される車両の周囲の情報に基づいて駆動力発生装置、ステアリング機構又は制動装置等を制御することにより、運転者の操作に拠らずに自律的に走行する自動運転等を目的とした協調制御を行うことができる。
【0163】
また、マイクロコンピュータ12051は、車外情報検出ユニット12030で取得される車外の情報に基づいて、ボディ系制御ユニット12020に対して制御指令を出力することができる。例えば、マイクロコンピュータ12051は、車外情報検出ユニット12030で検知した先行車又は対向車の位置に応じてヘッドランプを制御し、ハイビームをロービームに切り替える等の防眩を図ることを目的とした協調制御を行うことができる。
【0164】
音声画像出力部12052は、車両の搭乗者又は車外に対して、視覚的又は聴覚的に情報を通知することが可能な出力装置へ音声及び画像のうちの少なくとも一方の出力信号を送信する。図19の例では、出力装置として、オーディオスピーカ12061、表示部12062及びインストルメントパネル12063が例示されている。表示部12062は、例えば、オンボードディスプレイ及びヘッドアップディスプレイの少なくとも一つを含んでいてもよい。
【0165】
図20は、撮像部12031の設置位置の例を示す図である。
【0166】
図20では、車両12100は、撮像部12031として、撮像部12101,12102,12103,12104,12105を有する。
【0167】
撮像部12101,12102,12103,12104,12105は、例えば、車両12100のフロントノーズ、サイドミラー、リアバンパ、バックドア及び車室内のフロントガラスの上部等の位置に設けられる。フロントノーズに備えられる撮像部12101及び車室内のフロントガラスの上部に備えられる撮像部12105は、主として車両12100の前方の画像を取得する。サイドミラーに備えられる撮像部12102,12103は、主として車両12100の側方の画像を取得する。リアバンパ又はバックドアに備えられる撮像部12104は、主として車両12100の後方の画像を取得する。撮像部12101及び12105で取得される前方の画像は、主として先行車両又は、歩行者、障害物、信号機、交通標識又は車線等の検出に用いられる。
【0168】
なお、図20には、撮像部12101ないし12104の撮影範囲の一例が示されている。撮像範囲12111は、フロントノーズに設けられた撮像部12101の撮像範囲を示し、撮像範囲12112,12113は、それぞれサイドミラーに設けられた撮像部12102,12103の撮像範囲を示し、撮像範囲12114は、リアバンパ又はバックドアに設けられた撮像部12104の撮像範囲を示す。例えば、撮像部12101ないし12104で撮像された画像データが重ね合わせられることにより、車両12100を上方から見た俯瞰画像が得られる。
【0169】
撮像部12101ないし12104の少なくとも1つは、距離情報を取得する機能を有していてもよい。例えば、撮像部12101ないし12104の少なくとも1つは、複数の撮像素子からなるステレオカメラであってもよいし、位相差検出用の画素を有する撮像素子であってもよい。
【0170】
例えば、マイクロコンピュータ12051は、撮像部12101ないし12104から得られた距離情報を基に、撮像範囲12111ないし12114内における各立体物までの距離と、この距離の時間的変化(車両12100に対する相対速度)を求めることにより、特に車両12100の進行路上にある最も近い立体物で、車両12100と略同じ方向に所定の速度(例えば、0km/h以上)で走行する立体物を先行車として抽出することができる。さらに、マイクロコンピュータ12051は、先行車の手前に予め確保すべき車間距離を設定し、自動ブレーキ制御(追従停止制御も含む)や自動加速制御(追従発進制御も含む)等を行うことができる。このように運転者の操作に拠らずに自律的に走行する自動運転等を目的とした協調制御を行うことができる。
【0171】
例えば、マイクロコンピュータ12051は、撮像部12101ないし12104から得られた距離情報を元に、立体物に関する立体物データを、2輪車、普通車両、大型車両、歩行者、電柱等その他の立体物に分類して抽出し、障害物の自動回避に用いることができる。例えば、マイクロコンピュータ12051は、車両12100の周辺の障害物を、車両12100のドライバが視認可能な障害物と視認困難な障害物とに識別する。そして、マイクロコンピュータ12051は、各障害物との衝突の危険度を示す衝突リスクを判断し、衝突リスクが設定値以上で衝突可能性がある状況であるときには、オーディオスピーカ12061や表示部12062を介してドライバに警報を出力することや、駆動系制御ユニット12010を介して強制減速や回避操舵を行うことで、衝突回避のための運転支援を行うことができる。
【0172】
撮像部12101ないし12104の少なくとも1つは、赤外線を検出する赤外線カメラであってもよい。例えば、マイクロコンピュータ12051は、撮像部12101ないし12104の撮像画像中に歩行者が存在するか否かを判定することで歩行者を認識することができる。かかる歩行者の認識は、例えば赤外線カメラとしての撮像部12101ないし12104の撮像画像における特徴点を抽出する手順と、物体の輪郭を示す一連の特徴点にパターンマッチング処理を行って歩行者か否かを判別する手順によって行われる。マイクロコンピュータ12051が、撮像部12101ないし12104の撮像画像中に歩行者が存在すると判定し、歩行者を認識すると、音声画像出力部12052は、当該認識された歩行者に強調のための方形輪郭線を重畳表示するように、表示部12062を制御する。また、音声画像出力部12052は、歩行者を示すアイコン等を所望の位置に表示するように表示部12062を制御してもよい。
【0173】
以上、本開示に係る技術(本技術)が適用され得る車両制御システムの一例について説明した。本開示に係る技術は、以上説明した構成のうち、例えば、撮像部12031等に適用され得る。具体的には、本開示の固体撮像装置501は、撮像部12031に適用することができる。撮像部12031に本開示に係る技術を適用することにより、歩留まりを向上させ、製造に係るコストを低減させることが可能となる。
【0174】
<14.内視鏡手術システムへの応用例>
本技術は、様々な製品へ応用することができる。例えば、本開示に係る技術(本技術)は、内視鏡手術システムに適用されてもよい。
【0175】
図21は、本開示に係る技術(本技術)が適用され得る内視鏡手術システムの概略的な構成の一例を示す図である。
【0176】
図21では、術者(医師)11131が、内視鏡手術システム11000を用いて、患者ベッド11133上の患者11132に手術を行っている様子が図示されている。図示するように、内視鏡手術システム11000は、内視鏡11100と、気腹チューブ11111やエネルギー処置具11112等の、その他の術具11110と、内視鏡11100を支持する支持アーム装置11120と、内視鏡下手術のための各種の装置が搭載されたカート11200と、から構成される。
【0177】
内視鏡11100は、先端から所定の長さの領域が患者11132の体腔内に挿入される鏡筒11101と、鏡筒11101の基端に接続されるカメラヘッド11102と、から構成される。図示する例では、硬性の鏡筒11101を有するいわゆる硬性鏡として構成される内視鏡11100を図示しているが、内視鏡11100は、軟性の鏡筒を有するいわゆる軟性鏡として構成されてもよい。
【0178】
鏡筒11101の先端には、対物レンズが嵌め込まれた開口部が設けられている。内視鏡11100には光源装置11203が接続されており、当該光源装置11203によって生成された光が、鏡筒11101の内部に延設されるライトガイドによって当該鏡筒の先端まで導光され、対物レンズを介して患者11132の体腔内の観察対象に向かって照射される。なお、内視鏡11100は、直視鏡であってもよいし、斜視鏡又は側視鏡であってもよい。
【0179】
カメラヘッド11102の内部には光学系及び撮像素子が設けられており、観察対象からの反射光(観察光)は当該光学系によって当該撮像素子に集光される。当該撮像素子によって観察光が光電変換され、観察光に対応する電気信号、すなわち観察像に対応する画像信号が生成される。当該画像信号は、RAWデータとしてカメラコントロールユニット(CCU: Camera Control Unit)11201に送信される。
【0180】
CCU11201は、CPU(Central Processing Unit)やGPU(Graphics Processing Unit)等によって構成され、内視鏡11100及び表示装置11202の動作を統括的に制御する。さらに、CCU11201は、カメラヘッド11102から画像信号を受け取り、その画像信号に対して、例えば現像処理(デモザイク処理)等の、当該画像信号に基づく画像を表示するための各種の画像処理を施す。
【0181】
表示装置11202は、CCU11201からの制御により、当該CCU11201によって画像処理が施された画像信号に基づく画像を表示する。
【0182】
光源装置11203は、例えばLED(Light Emitting Diode)等の光源から構成され、術部等を撮影する際の照射光を内視鏡11100に供給する。
【0183】
入力装置11204は、内視鏡手術システム11000に対する入力インタフェースである。ユーザは、入力装置11204を介して、内視鏡手術システム11000に対して各種の情報の入力や指示入力を行うことができる。例えば、ユーザは、内視鏡11100による撮像条件(照射光の種類、倍率及び焦点距離等)を変更する旨の指示等を入力する。
【0184】
処置具制御装置11205は、組織の焼灼、切開又は血管の封止等のためのエネルギー処置具11112の駆動を制御する。気腹装置11206は、内視鏡11100による視野の確保及び術者の作業空間の確保の目的で、患者11132の体腔を膨らめるために、気腹チューブ11111を介して当該体腔内にガスを送り込む。レコーダ11207は、手術に関する各種の情報を記録可能な装置である。プリンタ11208は、手術に関する各種の情報を、テキスト、画像又はグラフ等各種の形式で印刷可能な装置である。
【0185】
なお、内視鏡11100に術部を撮影する際の照射光を供給する光源装置11203は、例えばLED、レーザ光源又はこれらの組み合わせによって構成される白色光源から構成することができる。RGBレーザ光源の組み合わせにより白色光源が構成される場合には、各色(各波長)の出力強度及び出力タイミングを高精度に制御することができるため、光源装置11203において撮像画像のホワイトバランスの調整を行うことができる。また、この場合には、RGBレーザ光源それぞれからのレーザ光を時分割で観察対象に照射し、その照射タイミングに同期してカメラヘッド11102の撮像素子の駆動を制御することにより、RGBそれぞれに対応した画像を時分割で撮像することも可能である。当該方法によれば、当該撮像素子にカラーフィルタを設けなくても、カラー画像を得ることができる。
【0186】
また、光源装置11203は、出力する光の強度を所定の時間ごとに変更するようにその駆動が制御されてもよい。その光の強度の変更のタイミングに同期してカメラヘッド11102の撮像素子の駆動を制御して時分割で画像を取得し、その画像を合成することにより、いわゆる黒つぶれ及び白とびのない高ダイナミックレンジの画像を生成することができる。
【0187】
また、光源装置11203は、特殊光観察に対応した所定の波長帯域の光を供給可能に構成されてもよい。特殊光観察では、例えば、体組織における光の吸収の波長依存性を利用して、通常の観察時における照射光(すなわち、白色光)に比べて狭帯域の光を照射することにより、粘膜表層の血管等の所定の組織を高コントラストで撮影する、いわゆる狭帯域光観察(Narrow Band Imaging)が行われる。あるいは、特殊光観察では、励起光を照射することにより発生する蛍光により画像を得る蛍光観察が行われてもよい。蛍光観察では、体組織に励起光を照射し当該体組織からの蛍光を観察すること(自家蛍光観察)、又はインドシアニングリーン(ICG)等の試薬を体組織に局注するとともに当該体組織にその試薬の蛍光波長に対応した励起光を照射し蛍光像を得ること等を行うことができる。光源装置11203は、このような特殊光観察に対応した狭帯域光及び/又は励起光を供給可能に構成され得る。
【0188】
図22は、図21に示すカメラヘッド11102及びCCU11201の機能構成の一例を示すブロック図である。
【0189】
カメラヘッド11102は、レンズユニット11401と、撮像部11402と、駆動部11403と、通信部11404と、カメラヘッド制御部11405と、を有する。CCU11201は、通信部11411と、画像処理部11412と、制御部11413と、を有する。カメラヘッド11102とCCU11201とは、伝送ケーブル11400によって互いに通信可能に接続されている。
【0190】
レンズユニット11401は、鏡筒11101との接続部に設けられる光学系である。鏡筒11101の先端から取り込まれた観察光は、カメラヘッド11102まで導光され、当該レンズユニット11401に入射する。レンズユニット11401は、ズームレンズ及びフォーカスレンズを含む複数のレンズが組み合わされて構成される。
【0191】
撮像部11402は、撮像素子で構成される。撮像部11402を構成する撮像素子は、1つ(いわゆる単板式)であってもよいし、複数(いわゆる多板式)であってもよい。撮像部11402が多板式で構成される場合には、例えば各撮像素子によってRGBそれぞれに対応する画像信号が生成され、それらが合成されることによりカラー画像が得られてもよい。あるいは、撮像部11402は、3D(Dimensional)表示に対応する右目用及び左目用の画像信号をそれぞれ取得するための1対の撮像素子を有するように構成されてもよい。3D表示が行われることにより、術者11131は術部における生体組織の奥行きをより正確に把握することが可能になる。なお、撮像部11402が多板式で構成される場合には、各撮像素子に対応して、レンズユニット11401も複数系統設けられ得る。
【0192】
また、撮像部11402は、必ずしもカメラヘッド11102に設けられなくてもよい。例えば、撮像部11402は、鏡筒11101の内部に、対物レンズの直後に設けられてもよい。
【0193】
駆動部11403は、アクチュエータによって構成され、カメラヘッド制御部11405からの制御により、レンズユニット11401のズームレンズ及びフォーカスレンズを光軸に沿って所定の距離だけ移動させる。これにより、撮像部11402による撮像画像の倍率及び焦点が適宜調整され得る。
【0194】
通信部11404は、CCU11201との間で各種の情報を送受信するための通信装置によって構成される。通信部11404は、撮像部11402から得た画像信号をRAWデータとして伝送ケーブル11400を介してCCU11201に送信する。
【0195】
また、通信部11404は、CCU11201から、カメラヘッド11102の駆動を制御するための制御信号を受信し、カメラヘッド制御部11405に供給する。当該制御信号には、例えば、撮像画像のフレームレートを指定する旨の情報、撮像時の露出値を指定する旨の情報、並びに/又は撮像画像の倍率及び焦点を指定する旨の情報等、撮像条件に関する情報が含まれる。
【0196】
なお、上記のフレームレートや露出値、倍率、焦点等の撮像条件は、ユーザによって適宜指定されてもよいし、取得された画像信号に基づいてCCU11201の制御部11413によって自動的に設定されてもよい。後者の場合には、いわゆるAE(Auto Exposure)機能、AF(Auto Focus)機能及びAWB(Auto White Balance)機能が内視鏡11100に搭載されていることになる。
【0197】
カメラヘッド制御部11405は、通信部11404を介して受信したCCU11201からの制御信号に基づいて、カメラヘッド11102の駆動を制御する。
【0198】
通信部11411は、カメラヘッド11102との間で各種の情報を送受信するための通信装置によって構成される。通信部11411は、カメラヘッド11102から、伝送ケーブル11400を介して送信される画像信号を受信する。
【0199】
また、通信部11411は、カメラヘッド11102に対して、カメラヘッド11102の駆動を制御するための制御信号を送信する。画像信号や制御信号は、電気通信や光通信等によって送信することができる。
【0200】
画像処理部11412は、カメラヘッド11102から送信されたRAWデータである画像信号に対して各種の画像処理を施す。
【0201】
制御部11413は、内視鏡11100による術部等の撮像、及び、術部等の撮像により得られる撮像画像の表示に関する各種の制御を行う。例えば、制御部11413は、カメラヘッド11102の駆動を制御するための制御信号を生成する。
【0202】
また、制御部11413は、画像処理部11412によって画像処理が施された画像信号に基づいて、術部等が映った撮像画像を表示装置11202に表示させる。この際、制御部11413は、各種の画像認識技術を用いて撮像画像内における各種の物体を認識してもよい。例えば、制御部11413は、撮像画像に含まれる物体のエッジの形状や色等を検出することにより、鉗子等の術具、特定の生体部位、出血、エネルギー処置具11112の使用時のミスト等を認識することができる。制御部11413は、表示装置11202に撮像画像を表示させる際に、その認識結果を用いて、各種の手術支援情報を当該術部の画像に重畳表示させてもよい。手術支援情報が重畳表示され、術者11131に提示されることにより、術者11131の負担を軽減することや、術者11131が確実に手術を進めることが可能になる。
【0203】
カメラヘッド11102及びCCU11201を接続する伝送ケーブル11400は、電気信号の通信に対応した電気信号ケーブル、光通信に対応した光ファイバ、又はこれらの複合ケーブルである。
【0204】
ここで、図示する例では、伝送ケーブル11400を用いて有線で通信が行われていたが、カメラヘッド11102とCCU11201との間の通信は無線で行われてもよい。
【0205】
以上、本開示に係る技術が適用され得る内視鏡手術システムの一例について説明した。本開示に係る技術は、以上説明した構成のうち、内視鏡11100や、カメラヘッド11102(の撮像部11402)等に適用され得る。具体的には、本開示の固体撮像装置111は、撮像部10402に適用することができる。内視鏡11100や、カメラヘッド11102(の撮像部11402)等に本開示に係る技術を適用することにより、歩留まりを向上させ、製造に係るコストを低減させることが可能となる。
【0206】
ここでは、一例として内視鏡手術システムについて説明したが、本開示に係る技術は、その他、例えば、顕微鏡手術システム等に適用されてもよい。
【0207】
また、本技術は、以下のような構成をとることもできる。
(1)アバランシェ増倍領域を有する光電変換素子が設けられ、相対する第1及び第2面を有する第1半導体基板と、前記第1面側に配置され、少なくとも絶縁層及び導電層が前記第1面に近い側からこの順に積層された積層構造と、前記導電層に電位を印加するための電位印加構造と、を備える、光検出装置。
(2)前記電位印加構造は、前記積層構造の前記第1半導体基板側とは反対側に配置され、前記導電層と電気的に接続された第1配線層と、前記第1配線層の前記積層構造側とは反対側に配置され、前記第1配線層と電気的に接続された回路基板と、を含む、(1)に記載の光検出装置。
(3)前記回路基板は、前記第1配線層に向かい合わせに接合された第2配線層と、前記第2配線層の前記第1配線層側とは反対側に配置され、回路素子が設けられた第2半導体基板と、を含む、(2)に記載の光検出装置。
(4)前記回路基板から前記電位を供給する、(2)又は(3)に記載の光検出装置。
(5)前記電位を生成する外部電源と接続される外部接続端子が前記回路基板に設けられている、(2)~(4)のいずれか1つに記載の光検出装置。
(6)前記電位印加構造は、少なくとも前記積層構造内に設けられ、前記導電層と前記第1配線層とを電気的に接続するビアを含む、(2)~(5)のいずれか1つに記載の光検出装置。
(7)前記第1配線層と前記光電変換素子のアノードとが少なくとも前記積層構造内に設けられた第1ビアを介して電気的に接続され、前記第1配線層と前記光電変換素子のカソードとが少なくとも前記積層構造内に設けられた第2ビアを介して電気的に接続されている、(2)~(6)のいずれか1つに記載の光検出装置。
(8)前記導電層は、少なくとも前記光電変換素子を含む画素に対応して設けられ、前記ビアは、前記導電層の前記画素に対応する部分と前記第1配線層とを電気的に接続する、(2)~(7)のいずれか1つに記載の光検出装置。
(9)前記光電変換素子を含む画素及び前記光電変換素子を含まないダミー画素が前記第1半導体基板の面内方向に沿って並べて設けられ、前記導電層は、少なくとも前記画素及び前記ダミー画素に対応して設けられ、前記ビアは、前記導電層の前記ダミー画素に対応する部分と前記第1配線層とを電気的に接続する、(6)~(8)のいずれか1つに記載の光検出装置。
(10)
前記導電層は、ポリシリコン、W、Ti、Ta、Ni、Coから選択される少なくとも一種を含む、(1)~(9)のいずれか1つに記載の光検出装置。
(11)前記積層構造は、前記絶縁層及び前記導電層が前記第1面に近い側からこの順に交互に積層されている、(1)~(10)のいずれか1つに記載の光検出装置。
(12)前記積層構造では、少なくとも前記絶縁層、強誘電体層及び前記導電層が前記第1面に近い側からこの順に積層されている、(1)~(11)のいずれか1つに記載の光検出装置。
(13)前記電位をVr、前記絶縁層の厚さをdとすると、2M[V/cm]<|Vr|/d<8M[V/cm]が成立する、(1)~(12)のいずれか1つに記載の光検出装置。
(14)前記電位をVrとすると、前記光電変換素子のアノード電極及びカソード電極の各々と、前記導電層との距離は、|Vr|[V]/1M[V/cm]以上である、(1)~(13)のいずれか1つに記載の光検出装置。
(15)前記光電変換素子を含む画素が前記第1半導体基板の面内方向に沿って複数設けられ、前記導電層は、複数の前記画素に対応して設けられている、(1)~(14)のいずれか1つに記載の光検出装置。
(16)前記光電変換素子を含む画素が前記第1半導体基板の面内方向に沿って複数設けられ、前記導電層は、電気的に分離された複数の領域であって異なる前記画素に対応する複数の領域を有する、(1)~(15)のいずれか1つに記載の光検出装置。
(17)前記光電変換素子に電圧を印加する電圧源により前記電位が生成される、(1)~(16)のいずれか1つに記載の光検出装置。
(18)前記電位印加構造は、前記電位の大きさを可変とする分圧器を含む、(1)~(17)のいずれか1つに記載の光検出装置。
(19)前記光電変換素子は、前記アバランシェ増倍領域を形成するp型半導体層及びn型半導体層を有し、前記p型半導体層の前記積層構造側に前記n型半導体層が位置し、
前記電位は、負電位である、(1)~(18)のいずれか1つに記載の光検出装置。
(20)前記半導体基板の前記第2面側から光が入射される、(1)~(19)のいずれか1つに記載の光検出装置。
(21)(1)~(20)のいずれか1つに記載の光検出装置を備える、電子機器。
(22)(1)~(20)のいずれか1つに記載の光検出装置を備える、測距装置。
(23)(1)~(20)のいずれか1つに記載の光検出装置を備える、固体撮像装置。
【符号の説明】
【0208】
10、20、30、40、50、60、70、80:光検出装置
100:第1半導体基板
100A:画素
100A1:第1画素(画素)
100A2:第2画素(画素)
100a:光電変換素子
101:p型拡散層(p型半導体層)
102:n型拡散層(n型半導体層)
103:アバランシェ増倍領域
150:ダミー画素
200:積層構造
200a:第1絶縁層(絶縁層又はその一部)
200b:第2絶縁層(絶縁層の一部)
200c:導電層
200c1:第1導電層
200c2:第2導電層
200d:強誘電体層
300:第1配線層
400:第2配線層
500:第2半導体基板
510:電子機器
PAS:電位印加構造
SB:回路基板
S1:第1面
S2:第2面
v1:第1ビア
v2:第2ビア
v3:ビア
Vr:リカバリー電位(電位)
R1:第1領域(領域)
R2:第2領域(領域)


図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22