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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024028046
(43)【公開日】2024-03-01
(54)【発明の名称】炭化珪素半導体装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 29/78 20060101AFI20240222BHJP
   H01L 29/12 20060101ALI20240222BHJP
   H01L 29/06 20060101ALI20240222BHJP
【FI】
H01L29/78 652S
H01L29/78 652T
H01L29/78 653A
H01L29/78 652J
H01L29/06 301V
H01L29/06 301M
H01L29/06 301G
H01L29/78 652P
H01L29/78 652F
H01L29/78 657D
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022131373
(22)【出願日】2022-08-19
(71)【出願人】
【識別番号】000005234
【氏名又は名称】富士電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104190
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 昭徳
(72)【発明者】
【氏名】辻 崇
(57)【要約】
【課題】バイポーラ劣化を抑制することができる炭化珪素半導体装置を提供すること。
【解決手段】p++型外周コンタクト領域43は、エッジ終端領域に設けられ、コーナーを円弧状に湾曲させた矩形状に活性領域の周囲を囲む。p++型外周コンタクト領域43は、絶縁層を介して半導体基板30のおもて面上のゲートランナーに対向する。活性領域には、絶縁層を介して半導体基板30のおもて面上のゲートパッドに対向して、p++型領域44が設けられている。p++型外周コンタクト領域43およびp++型領域44は、ソース電極とソースコンタクトを形成するp++型コンタクト領域6と離れて設けられている。p++型コンタクト領域6と、ソースコンタクトが形成されるコンタクトホール11aと、は活性領域の中央側および端部側ともに同じレイアウトとなるように、活性領域の全域にわたって均一なレイアウトで配置されている。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
炭化珪素からなる半導体基板に設けられた活性領域と、
前記半導体基板の内部に設けられた第1導電型の第1半導体領域と、
前記活性領域において前記半導体基板の第1主面と前記第1半導体領域との間に設けられた第2導電型の第2半導体領域と、
前記第1主面と前記第2半導体領域との間に選択的に設けられた第1導電型の第3半導体領域と、
前記第1主面と前記第2半導体領域との間に選択的に設けられた、前記第2半導体領域よりも不純物濃度の高い第2導電型の第4半導体領域と、
前記第3半導体領域および前記第2半導体領域を貫通して前記第1半導体領域に達するトレンチと、
前記トレンチの内部にゲート絶縁膜を介して設けられたゲート電極と、
前記第1主面に設けられ、前記ゲート電極を覆う層間絶縁膜と、
深さ方向に前記層間絶縁膜を貫通して前記第1主面に達し、前記第4半導体領域および前記第3半導体領域を露出するコンタクトホールと、
前記コンタクトホールを介して前記第3半導体領域および前記第4半導体領域に接する第1電極と、
前記半導体基板の第2主面に接する第2電極と、
を備え、
前記第4半導体領域は、前記活性領域の全域にわたって均一なレイアウトで配置され、
前記コンタクトホールは、前記活性領域の全域にわたって均一なレイアウトで配置されていることを特徴とする炭化珪素半導体装置。
【請求項2】
前記トレンチは、前記第1主面に平行な第1方向にストライプ状に延在し、
前記第4半導体領域は、互いに隣り合うすべての前記トレンチ間にそれぞれ配置され、前記第1主面に平行でかつ前記第1方向と直交する第2方向に同じ幅を有し、前記第1方向に同じ長さで直線状に延在することを特徴とする請求項1に記載の炭化珪素半導体装置。
【請求項3】
前記トレンチは、前記第1主面に平行な第1方向にストライプ状に延在し、
前記第4半導体領域は、互いに隣り合うすべての前記トレンチ間にそれぞれ配置され、同じ寸法および同じ平面形状で前記第1方向に等間隔に点在することを特徴とする請求項1に記載の炭化珪素半導体装置。
【請求項4】
前記第1主面と前記第1半導体領域との間に、前記第4半導体領域と離れて選択的に設けられ、前記活性領域の周囲を囲み、前記第1電極に電気的に接続された第2導電型の第5半導体領域を備え、
互いに隣り合うすべての前記トレンチ間で、前記第1方向に前記第4半導体領域から前記第5半導体領域までの最短距離が等しいことを特徴とする請求項2または3に記載の炭化珪素半導体装置。
【請求項5】
前記活性領域は、コーナーを円弧状に湾曲させた矩形状の平面形状を有し、
前記第5半導体領域は、コーナーを円弧状に湾曲させた矩形状に前記活性領域の周囲を囲むことを特徴とする請求項4に記載の炭化珪素半導体装置。
【請求項6】
前記第1主面と前記第2半導体領域との間に、前記第4半導体領域と離れて選択的に設けられ、前記第1電極に電気的に接続された、前記第2半導体領域よりも不純物濃度の高い第2導電型の第6半導体領域を備え、
互いに隣り合うすべての前記トレンチ間のうち、前記第1方向に前記第6半導体領域に対向する当該トレンチ間で、前記第1方向に前記第4半導体領域から前記第6半導体領域までの最短距離が等しいことを特徴とする請求項2または3に記載の炭化珪素半導体装置。
【請求項7】
前記層間絶縁膜の上に、前記第1電極と離れて設けられ、前記ゲート電極が電気的に接続されたゲートパッドを備え、
前記ゲートパッドの全面が前記層間絶縁膜を介して前記第6半導体領域に対向することを特徴とする請求項6に記載の炭化珪素半導体装置。
【請求項8】
前記活性領域は、コーナーを円弧状に湾曲させた矩形状の平面形状を有し、
前記第1主面に平行な第1方向に前記活性領域のコーナーに対向する前記第4半導体領域と、前記第1方向に前記活性領域のコーナー間をつなぐ外周に対向する前記第4半導体領域と、は前記第1方向に前記活性領域の当該外周までの最短距離が等しいことを特徴とする請求項1に記載の炭化珪素半導体装置。
【請求項9】
前記半導体基板は、
前記第1半導体領域よりも不純物濃度の高い第1導電型の第7半導体領域となる、炭化珪素からなる出発基板と、
前記出発基板の上に設けられた、前記第1半導体領域となる第1導電型エピタキシャル層と、を有することを特徴とする請求項1に記載の炭化珪素半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、炭化珪素半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、MOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor:金属-酸化膜-半導体の3層構造からなる絶縁ゲートを備えたMOS型電界効果トランジスタ)は、半導体基板にボディダイオードを内蔵する。MOSFETのボディダイオードは、p++型コンタクト領域およびp型ベース領域とn-型ドリフト領域およびn+型ドレイン領域とのpn接合(主接合)で形成される寄生のpin(p-intrinsic-n)ダイオードである。
【0003】
炭化珪素(SiC)を半導体材料として用いた従来のSiC-MOSFETの構造について説明する。図8は、従来の炭化珪素半導体装置を半導体基板のおもて面側から見たレイアウトを示す平面図である。図9~11は、図8の一部を拡大して示す平面図である。図9~11には、p++型コンタクト領域111の異なるレイアウト例を示す。図9~11はともに、(a)に図8の矩形枠AAの部分(活性領域101のコーナー近傍)を示し、(b)に図8の矩形枠BBの部分(p+型領域114のコーナー近傍)を示す。
【0004】
図8~11に示す従来の炭化珪素半導体装置110は、活性領域101において半導体基板100のおもて面側に一般的なトレンチゲート構造(不図示)を備えた縦型SiC-MOSFETである。トレンチゲート構造は、p型ベース領域、n+型ソース領域、p++型コンタクト領域111(図9~11参照)、ゲートトレンチ、ゲート絶縁膜およびゲート電極で構成される。p++型コンタクト領域111およびp型ベース領域とn-型ドリフト領域およびn+型ドレイン領域とのpn接合(不図示)でボディダイオードが形成される。
【0005】
ゲートトレンチは、半導体基板100のおもて面に平行な第1方向Xにストライプ状に延在する。互いに隣り合うゲートトレンチ間(メサ部)において、半導体基板100のおもて面とp型ベース領域との間に、p型ベース領域に接して、n+型ソース領域およびp++型コンタクト領域111が選択的に設けられている。n+型ソース領域およびp++型コンタクト領域111は、層間絶縁膜(不図示)のコンタクトホール112を介して半導体基板100のおもて面でソース電極(不図示)にオーミック接触する。
【0006】
++型コンタクト領域111は、互いに隣り合うゲートトレンチ(不図示)間において半導体基板100のおもて面に平行な第1方向Xと直交する第2方向Yの中央に、ゲートトレンチから離れて設けられ、第1方向Xに所定ピッチで島状に点在する(図9~11)。島状の1つのp++型コンタクト領域111を含むトレンチゲート構造でSiC-MOSFETの1つの単位セル(素子の機能単位:図9に矩形枠103で囲む部分)が構成され、第1,2方向X,Yにそれぞれ隣接して複数の単位セルが配置される。
【0007】
++型コンタクト領域111を島状に点在させることで、p++型コンタクト領域111をゲートトレンチの長手方向(第1方向X)にゲートトレンチと略同じ長さでストライプ状に延在させる場合と比べてセルピッチ(単位セルの配置間隔)の縮小化が可能である。活性領域101の中央(チップ中央:半導体基板100の中央)側と比べて、活性領域101の周囲を囲むp++型外周コンタクト領域113の内周近傍やゲートパッド(不図示)直下のp+型領域114の外周近傍に相対的に表面積の大きいp++型コンタクト領域111が配置される。
【0008】
++型コンタクト領域111のレイアウト例として、p++型外周コンタクト領域113に対向する部分104a,104bやゲートパッド直下のp++型領域114に対向する部分105a,105bで、p++型コンタクト領域111を第1方向Xに相対的に長く延在させた構造が知られている(図9~11)。また、第2方向Yにp++型外周コンタクト領域113やp++型領域114に対向する部分104b,105bで、p++型コンタクト領域111の第2方向Yの幅w101を相対的に広くした構造が知られている(図9,10(a),11(a))。
【0009】
また、第2方向Yに最も外側(チップ端部側:半導体基板100の端部側)のp++型コンタクト領域111の端部111aを、p++型外周コンタクト領域113のコーナー113aに対向する部分104cで当該コーナー113aの内周に沿って湾曲した円弧を有する中心角90度の扇状の平面形状にした構造が知られている。また、この部分104cにおいて、p++型コンタクト領域111の扇状の平面形状の端部111aに隣り合うp++型コンタクト領域111を、第1方向Xに相対的に長く延在させた構造が知られている(図10(a),11(a))。
【0010】
第2方向Yに最も外側のp++型コンタクト領域111の端部111aは、扇状の平面形状の半径R101に応じた幅で、第2方向Yに内側に隣り合う複数のp++型コンタクト領域111とp++型外周コンタクト領域113との間に突出して配置される(図10(a),11(a))。図11(a)には、図10(a)と比べて、p++型コンタクト領域111の端部111aの半径R101を10倍程度に大きくした場合を示す。コンタクトホール112は、自身に露出されるp++型コンタクト領域111と略同じサイズおよび略同じ形状の平面形状を有する(図11(a)には図示省略)。
【0011】
++型外周コンタクト領域113は、エッジ終端領域102において半導体基板100のおもて面とp型ベース領域(不図示)との間に、p型ベース領域に接して設けられている。p++型外周コンタクト領域113は、ソース電極に電気的に接続されている。p++型外周コンタクト領域113は、活性領域101とエッジ終端領域102との境界に沿って、略矩形状の平面形状の活性領域101の周囲を略矩形状に囲む。p++型外周コンタクト領域113のコーナー113aは、所定の曲率で円弧状に湾曲している。
【0012】
++型領域114は、活性領域101において半導体基板100のおもて面とp型ベース領域との間にp型ベース領域に接して設けられ、半導体基板100のおもて面上のゲートパッドに絶縁層を介して対向する。p++型領域114は、活性領域101とエッジ終端領域102との境界近傍に配置され、p++型外周コンタクト領域113を介してソース電極に電気的に接続されている。p++型領域114は、略矩形状の平面形状のゲートパッドの全面に対向する略矩形状の平面形状を有する。
【0013】
上述した従来の炭化珪素半導体装置110では、通常動作時(ドレイン・ソース間が順バイアスされる状態)と異なり、SiC-MOSFETの同期整流時のデッドタイム中やSiC-MOSFETによる負荷側へのエネルギー回生時にドレイン・ソース間が逆バイアスされる。このため、p++型コンタクト領域111およびp型ベース領域とn-型ドリフト領域およびn+型ドレイン領域とのpn接合(主接合)が順バイアスされてボディダイオードが導通し、当該ボディダイオードに順方向電流(正孔電流)が流れる。
【0014】
従来のSiC-MOSFETとして、p++型外周コンタクト領域を、ゲートトレンチの長手方向にn+型ソース領域と離して配置するか、またはゲートトレンチの短手方向にゲートトレンチと離して配置することで、ゲート電圧制御による電流制御性を向上させた装置が提案されている(例えば、下記特許文献1参照。)。下記特許文献1では、p++型コンタクト領域およびコンタクトホールがゲートトレンチの長手方向に所定間隔で点在し、各コンタクトホールにそれぞれ異なるp++型コンタクト領域が露出されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】特開2020-004876号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
しかしながら、上述した従来の炭化珪素半導体装置110(図8~11参照)では、ボディダイオードが導通(順方向通電)すると、オン電圧Vonの増加や順方向電圧Vfの増加などのいわゆるバイポーラ劣化(ボディダイオードによる順方向通電劣化)が起きる。その理由は、ボディダイオードの導通により、炭化珪素を半導体材料とする半導体基板100内の基底面転位(BPD:Basal Plane Dislocation)が成長して、積層欠陥(SF:Stacking Fault)となることで、導通損失が大きくなるからである。
【0017】
半導体基板100はn+型ドレイン領域となるn+型出発基板上に所定導電型のエピタキシャル層をエピタキシャル成長させてなり、トレンチゲート構造はエピタキシャル層の表面領域に形成される。ボディダイオードの導通によりボディダイオードの順方向電流が流れることで、p++型コンタクト領域111からp型ベース領域を介してn-型ドリフト領域に注入された正孔(ホール)がn-型ドリフト領域内で電子と再結合する。この再結合によって放出される炭化珪素のバンドギャップに近い光等のエネルギーを受けて、半導体基板100のBPDが成長して積層欠陥となる。
【0018】
BPDはn+型出発基板に多く存在し、一般的に、n+型出発基板のBPDは、n+型出発基板とn-型エピタキシャル層(n-型ドリフト領域)との界面からn-型ドリフト領域内へ(0001)面に沿って<11-20>方向にオフ角(通常4度程度)に応じた角度で成長していき積層欠陥となる。積層欠陥はpn接合界面近傍まで成長し、さらにn-型ドリフト領域内を<1-100>方向に拡張する。この積層欠陥の拡張は、正孔が臨界濃度1×1015/cm3以上で存在する活性領域の全域にわたって進行する。積層欠陥は電子の流れの抵抗成分となるため、導通損失が大きくなり、バイポーラ劣化が起きる。
【0019】
++型コンタクト領域111およびコンタクトホール112が相対的に著しく長い部分や幅の広い部分104a~104c,105a,105bでは、半導体基板30の内部抵抗が低くなり、ボディダイオードの順方向電流(正孔電流)が流れやすく、正孔電流密度が高くなる。その結果、n+型出発基板とn-型エピタキシャル層との界面での正孔電流密度が増加して積層欠陥成長の閾値を超えてしまう。例えば、従来構造(図8~11参照)では、ボディダイオードの順方向電流の電流密度が200A/cm2~400A/cm2であるときに積層欠陥があらわれることが発明者により確認されている。
【0020】
この発明は、上述した従来技術による課題を解消するため、バイポーラ劣化を抑制することができる炭化珪素半導体装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0021】
上述した課題を解決し、本発明の目的を達成するため、この発明にかかる炭化珪素半導体装置は、次の特徴を有する。炭化珪素からなる半導体基板に、活性領域が設けられている。前記半導体基板の内部に、第1導電型の第1半導体領域が設けられている。前記活性領域において前記半導体基板の第1主面と前記第1半導体領域との間に、第2導電型の第2半導体領域が設けられている。前記第1主面と前記第2半導体領域との間に、第1導電型の第3半導体領域が選択的に設けられている。前記第1主面と前記第2半導体領域との間に、第2導電型の第4半導体領域が選択的に設けられている。前記第4半導体領域は、前記第2半導体領域よりも不純物濃度が高い。トレンチは、前記第3半導体領域および前記第2半導体領域を貫通して前記第1半導体領域に達する。ゲート電極は、前記トレンチの内部にゲート絶縁膜を介して設けられている。層間絶縁膜は、前記第1主面に設けられ、前記ゲート電極を覆う。深さ方向に前記層間絶縁膜を貫通して前記第1主面に達するコンタクトホールが設けられている。前記コンタクトホールは、前記第4半導体領域および前記第3半導体領域を露出する。第1電極は、前記コンタクトホールを介して前記第3半導体領域および前記第4半導体領域に接する。第2電極は、前記半導体基板の第2主面に接する。前記第4半導体領域は、前記活性領域の全域にわたって均一なレイアウトで配置されている。前記コンタクトホールは、前記活性領域の全域にわたって均一なレイアウトで配置されている。
【0022】
また、この発明にかかる炭化珪素半導体装置は、上述した発明において、前記トレンチは、前記第1主面に平行な第1方向にストライプ状に延在する。前記第4半導体領域は、互いに隣り合うすべての前記トレンチ間にそれぞれ配置され、前記第1主面に平行でかつ前記第1方向と直交する第2方向に同じ幅を有し、前記第1方向に同じ長さで直線状に延在することを特徴とする。
【0023】
また、この発明にかかる炭化珪素半導体装置は、上述した発明において、前記トレンチは、前記第1主面に平行な第1方向にストライプ状に延在する。前記第4半導体領域は、互いに隣り合うすべての前記トレンチ間にそれぞれ配置され、同じ寸法および同じ平面形状で前記第1方向に等間隔に点在することを特徴とする。
【0024】
また、この発明にかかる炭化珪素半導体装置は、上述した発明において、前記第1主面と前記第1半導体領域との間に、前記第4半導体領域と離れて選択的に設けられ、前記活性領域の周囲を囲み、前記第1電極に電気的に接続された第2導電型の第5半導体領域を備える。互いに隣り合うすべての前記トレンチ間で、前記第1方向に前記第4半導体領域から前記第5半導体領域までの最短距離が等しいことを特徴とする。
【0025】
また、この発明にかかる炭化珪素半導体装置は、上述した発明において、前記活性領域は、コーナーを円弧状に湾曲させた矩形状の平面形状を有する。前記第5半導体領域は、コーナーを円弧状に湾曲させた矩形状に前記活性領域の周囲を囲むことを特徴とする。
【0026】
また、この発明にかかる炭化珪素半導体装置は、上述した発明において、前記第1主面と前記第2半導体領域との間に、前記第4半導体領域と離れて選択的に設けられ、前記第1電極に電気的に接続された、前記第2半導体領域よりも不純物濃度の高い第2導電型の第6半導体領域を備える。互いに隣り合うすべての前記トレンチ間のうち、前記第1方向に前記第6半導体領域に対向する当該トレンチ間で、前記第1方向に前記第4半導体領域から前記第6半導体領域までの最短距離が等しいことを特徴とする。
【0027】
また、この発明にかかる炭化珪素半導体装置は、上述した発明において、前記層間絶縁膜の上に、前記第1電極と離れて設けられ、前記ゲート電極が電気的に接続されたゲートパッドを備える。前記ゲートパッドの全面が前記層間絶縁膜を介して前記第6半導体領域に対向することを特徴とする。
【0028】
また、この発明にかかる炭化珪素半導体装置は、上述した発明において、前記活性領域は、コーナーを円弧状に湾曲させた矩形状の平面形状を有する。前記第1主面に平行な第1方向に前記活性領域のコーナーに対向する前記第4半導体領域と、前記第1方向に前記活性領域のコーナー間をつなぐ外周に対向する前記第4半導体領域と、は前記第1方向に前記活性領域の当該外周までの最短距離が等しいことを特徴とする。
【0029】
また、この発明にかかる炭化珪素半導体装置は、上述した発明において、前記半導体基板は、炭化珪素からなる出発基板と、第1導電型エピタキシャル層と、を有する。前記出発基板は、前記第1半導体領域よりも不純物濃度の高い第1導電型の第7半導体領域となる。前記第1導電型エピタキシャル層は、前記出発基板の上に設けられ、前記第1半導体領域となることを特徴とする。
【0030】
上述した発明によれば、活性領域の面内での半導体基板の内部抵抗のばらつきを抑制することができる。これによって、活性領域の面内でのボディダイオードの順方向電流(正孔電流)の電流密度のばらつきを抑制することができるため、ボディダイオードが導通しても、半導体基板内での正孔電流密度の増加を抑制することができる。
【発明の効果】
【0031】
本発明にかかる炭化珪素半導体装置によれば、バイポーラ劣化を抑制することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1】実施の形態にかかる炭化珪素半導体装置を半導体基板のおもて面側から見たレイアウトを示す平面図である。
図2図1の切断線A-A’における断面構造を示す断面図である。
図3図1の切断線B-B’における断面構造を示す断面図である。
図4図1の切断線C-C’における断面構造を示す断面図である。
図5図1の一部のレイアウト例を拡大して示す平面図である。
図6図1の一部のレイアウト例を拡大して示す平面図である。
図7A】実験例の各試料のp++型コンタクト領域のレイアウトを示す図表である。
図7B】実験例の各試料の検証結果を示す図表である。
図8】従来の炭化珪素半導体装置を半導体基板のおもて面側から見たレイアウトを示す平面図である。
図9図8の一部を拡大して示す平面図である。
図10図8の一部を拡大して示す平面図である。
図11図8の一部を拡大して示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下に添付図面を参照して、この発明にかかる炭化珪素半導体装置の好適な実施の形態を詳細に説明する。本明細書および添付図面においては、nまたはpを冠記した層や領域では、それぞれ電子または正孔が多数キャリアであることを意味する。また、nやpに付す+および-は、それぞれそれが付されていない層や領域よりも高不純物濃度および低不純物濃度であることを意味する。なお、以下の実施の形態の説明および添付図面において、同様の構成には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。本明細書では、ミラー指数の表記において、“-”はその直後の指数につくバーを意味しており、指数の前に“-”を付けることで負の指数を表している。また、略同じとは、設計上同じとし、製造誤差によって生じるばらつき、例えば±5%以内のばらつきを含む。
【0034】
(実施の形態)
実施の形態にかかる炭化珪素半導体装置の構造について説明する。図1は、実施の形態にかかる炭化珪素半導体装置を半導体基板のおもて面側から見たレイアウトを示す平面図である。図2~4は、それぞれ図1の切断線A-A’、切断線B-B’および切断線C-C’における断面構造を示す断面図である。図2には、活性領域51に配置されたSiC-MOSFETのセル構造を示す。図2には、隣接する4つの単位セル(素子の機能単位)を示す。図3には、エッジ終端領域52の一部の構造を示す。図4には、ゲートパッド14の直下(n+型ドレイン領域1側)の構造を示す。
【0035】
図5,6は、図1の一部のレイアウト例を拡大して示す平面図である。図5,6には、p++型コンタクト領域6の異なるレイアウト例を示す。図5,6ともに、(a)に図1の矩形枠Dの部分(活性領域51のコーナー(矩形の頂点部)51a近傍)を示し、(b)に図1の矩形枠Eの部分(ゲートパッド14の直下のp+型領域44のコーナー近傍)を示す。図5,6では、p++型コンタクト領域6のレイアウトを明確にするため、活性領域51にトレンチゲート構造を構成する各部のうちのp++型コンタクト領域6およびコンタクトホール11aのみを示し、それ以外の各部を図示省略する。
【0036】
図1~6に示す実施の形態にかかる炭化珪素半導体装置10は、活性領域51において、炭化珪素からなる半導体基板(半導体チップ)30のおもて面側にトレンチゲート構造を備えた縦型SiC-MOSFETである。活性領域51は、炭化珪素半導体装置10のオン時に半導体基板30のおもて面に垂直な方向に主電流(ドリフト電流)が流れる領域である。活性領域51には、SiC-MOSFETの同一構造の複数の単位セルが隣接して配置される。活性領域51は、例えばコーナー51aを面取りして円弧状に湾曲させた略矩形状の平面形状を有し、半導体基板30の略中央(チップ中央)に設けられている。
【0037】
エッジ終端領域52は、活性領域51と半導体基板30の端部(チップ端部)との間の領域であり、活性領域51の周囲を略矩形状に囲む。エッジ終端領域52は、半導体基板30のおもて面側の電界を緩和して耐圧を保持する機能を有する。耐圧とは、炭化珪素半導体装置10が使用電圧で誤動作や破壊を起こさない限界の電圧である。エッジ終端領域52には、例えば、p型領域48で構成されるフィールドリミッティングリング(FLR:Field Limiting Ring)や接合終端拡張(JTE:Junction Termination Extension)構造等の一般的な耐圧構造が配置される。
【0038】
半導体基板30は、炭化珪素からなるn+型出発基板31のおもて面上にn-型ドリフト領域(第1半導体領域)2およびp型ベース領域(第2半導体領域)4となる各エピタキシャル層32,33を順にエピタキシャル成長させてなる。半導体基板30は、p型エピタキシャル層33側の第1主面をおもて面とし、n+型出発基板31側の第2主面(n+型出発基板31の裏面)を裏面とする。n+型出発基板31のおもて面は、例えば<11-20>方向に4度程度のオフ角を有する(0001)面である。n+型出発基板31は、n+型ドレイン領域(第7半導体領域)1である。
【0039】
トレンチゲート構造は、p型ベース領域4、n+型ソース領域(第3半導体領域)5、p++型コンタクト領域(第4半導体領域)6、ゲートトレンチ7、ゲート絶縁膜8およびゲート電極9で構成される。ゲートトレンチ7は、半導体基板30のおもて面から深さ方向Zにp型エピタキシャル層33を貫通してn-型エピタキシャル層(第1導電型エピタキシャル層)32に達し、後述するn型JFET領域3の内部で終端する。ゲートトレンチ7は、半導体基板30のおもて面に平行な第1方向Xにストライプ状に延在する。
【0040】
ゲートトレンチ7の長手方向(第1方向X)は例えば<11-20>方向であり、ゲートトレンチ7の短手方向(半導体基板30のおもて面に平行でかつ第1方向Xと直交する第2方向Y)は例えば<1-100>方向である。ゲートトレンチ7の内部に、ゲート絶縁膜8を介してゲート電極9が設けられている。互いに隣り合うゲートトレンチ7間(メサ部)において、半導体基板30のおもて面とn-型ドリフト領域2との間に、p型ベース領域4、n+型ソース領域5およびp++型コンタクト領域6がそれぞれ選択的に設けられている。
【0041】
++型コンタクト領域6、p型ベース領域4および後述するp+型領域21,22と、後述するn型JFET領域3、後述するn型電流拡散領域3a、n-型ドリフト領域2およびn+型ドレイン領域1と、のpn接合(主接合)34でボディダイオード(寄生のpinダイオード)が形成される。n+型ソース領域5およびp++型コンタクト領域6は、p型エピタキシャル層33の内部にイオン注入により形成された拡散領域である。p型エピタキシャル層33のうち、これらイオン注入による拡散領域を除く部分がp型ベース領域4である。p型ベース領域4は、互いに隣り合うゲートトレンチ7間の全域にわたって設けられている。
【0042】
+型ソース領域5およびp++型コンタクト領域6は、半導体基板30のおもて面とp型ベース領域4との間に選択的に設けられている。n+型ソース領域5およびp++型コンタクト領域6は、下面(n+型ドレイン領域1側の面)でp型ベース領域4に接して、半導体基板30のおもて面でソース電極(第1電極)12にオーミック接触する。n+型ソース領域5は、ゲートトレンチ7の側壁でゲート絶縁膜8に接し、第1方向Xにゲートトレンチ7と略同じ長さ(長手方向の長さ)で延在する。p++型コンタクト領域6は、ゲートトレンチ7から離れて設けられ、n+型ソース領域5に隣接する。p++型コンタクト領域6は、活性領域51の全域にわたって均一なレイアウトで配置されている。
【0043】
++型コンタクト領域6が均一なレイアウトで配置されているとは、次の通りである。p++型コンタクト領域6は、すべてのメサ部に略同じ平面形状および略同じ寸法で設けられている。具体的には、p++型コンタクト領域6は、例えば、各メサ部の第2方向Yの略中心において、略同じ幅(第2方向Yの幅)で第1方向Xに略同じ長さで直線状に延在するか(図5)、または略同じ寸法および略同じ平面形状で第1方向Xに所定ピッチで島状に点在する(図6)。すなわち、p++型コンタクト領域6は、第1方向Xにすべて略同じ位置で終端するストライプ状か、または略同じ寸法および略同じ平面形状で第1方向Xに同じ個数で等間隔に点在するドット状(マトリクス状)に設けられている。
【0044】
第1方向Xにp++型コンタクト領域6からエッジ終端領域52の後述するp++型外周コンタクト領域43までの最短距離x1はすべてのメサ部で略同じであることが好ましい。この場合、すべてのゲートトレンチ7が第1方向Xに略同じ位置で終端する。すなわち、活性領域51のコーナー51aが円弧状に湾曲していたとしても、第2方向Yに最も外側(チップ端部側)のp++型コンタクト領域6の端部は、従来構造(図9(a)参照)のように他のp++型コンタクト領域6よりも第1方向Xに内側で終端させずに、第1方向Xに他のp++型コンタクト領域6の端部と同じ位置で終端させる。
【0045】
第1方向Xにp++型コンタクト領域6からp++型外周コンタクト領域43までの最短距離x1が活性領域51のコーナー51a近傍で相対的に若干(例えば1μm~2μm程度)長くなっても、ボディダイオードの順方向電流の電流密度が約1%増となる程度であるため許容される。例えば、p++型コンタクト領域6が第1方向Xに直線状に延在する場合、活性領域51のコーナー51a近傍に端部が位置するp++型コンタクト領域6の長さ(第1方向Xに延在する長さ)について、他のp++型コンタクト領域6の長さの-5%以内であれば、本実施の形態の効果が得られる。
【0046】
第1方向Xにp++型コンタクト領域6からp++型外周コンタクト領域43までの最短距離x1とは、p++型コンタクト領域6(各メサ部においてp++型コンタクト領域6が第1方向Xに島状に点在する場合には第1方向Xに最も外側のp++型コンタクト領域6)からp++型外周コンタクト領域43までの第1方向Xの距離である。また、p++型コンタクト領域6の第2方向Yの幅はすべてのp++型コンタクト領域6で略同じであり、第2方向Yに最も外側のp++型コンタクト領域6の端部で従来構造(図10(a),11(a)参照)のように局所的に幅を広げたレイアウトにはしない。
【0047】
また、第1方向Xに後述するp++型領域44に対向するすべてのメサ部において、第1方向Xにp++型コンタクト領域6からp++型領域44までの最短距離x2は略同じである。第1方向Xにp++型領域44に対向するメサ部における第1方向Xにp++型コンタクト領域6からp++型領域44までの最短距離x2とは、p++型コンタクト領域6(各メサ部においてp++型コンタクト領域6が第1方向Xに島状に点在する場合には第1方向Xに最もp++型領域44側のp++型コンタクト領域6)のp++型領域44側の端部からp++型領域44までの第1方向Xの距離である。
【0048】
また、第2方向Yに最も外側のp++型コンタクト領域6(すなわち第2方向Yにp++型外周コンタクト領域43に対向するp++型コンタクト領域6)や、第2方向Yに最もp++型領域44側のp++型コンタクト領域6(すなわち第2方向Yにp++型領域44に対向するp++型コンタクト領域6)は、活性領域51の中央側のp++型コンタクト領域6と同じレイアウトで配置されており、従来構造(図10,11参照)のように他のp++型コンタクト領域6よりも第2方向Yの幅を広げたレイアウトや平面形状の異なるレイアウトにはしない。
【0049】
このように、活性領域51のコーナー51aが円弧状に湾曲していたり、活性領域51に部分的にp++型領域44が配置されたとしても、活性領域51の中央側および端部側ともにほぼ同じレイアウトとなるように、活性領域51の全域にわたって均一なレイアウトでp++型コンタクト領域6が配置される。実施の形態のp++型コンタクト領域6には、従来構造のように相対的に著しく長い部分や幅の広い部分(図8~11の符号104a~104c,105a,105bで示す部分に相当)は存在しない。略同じ長さ、略同じ形状および略同じ距離とは、それぞれ製造プロセスのばらつきによる許容誤差を含む範囲で同じ長さ、同じ形状および同じ距離であることを意味する。
【0050】
1つのp++型コンタクト領域6を含むトレンチゲート構造でSiC-MOSFETの1つの単位セルが構成される。具体的には、p++型コンタクト領域6が第1方向Xに直線状に延在する場合、SiC-MOSFETの単位セル(図5の二点鎖線53で囲む部分)は第1方向Xに延在する直線状であり、第2方向Yに隣接して複数配置される。p++型コンタクト領域6が島状に点在する場合、SiC-MOSFETの単位セル(図6の二点鎖線53で囲む部分)はp++型コンタクト領域6と同じピッチで島状に点在し、第1,2方向X,Yにそれぞれ隣接して複数配置される。
【0051】
また、活性領域51において、半導体基板30のおもて面とp型ベース領域4との間には、p型ベース領域4に接し、n+型ソース領域5およびp++型コンタクト領域6と離れて、p++型領域(第6半導体領域)44が選択的に設けられている。p++型領域44は、半導体基板100のおもて面上のゲートパッド14に層間絶縁膜11を介して対向する。p++型領域44は、後述するp++型外周コンタクト領域43に連結され、p++型外周コンタクト領域43を介してソース電極12に電気的に接続されている。p++型領域44は、ゲートパッド14と略同じ寸法の略矩形状の平面形状を有し、ゲートパッド14の全面に対向する。
【0052】
++型領域44は、p型エピタキシャル層33の内部にイオン注入により形成された拡散領域である。p++型領域44は、例えば、p++型コンタクト領域6と同時に形成される。p++型領域44と後述するp++型外周コンタクト領域43との間に、SiC-MOSFETの単位セルが配置されてもよい。p++型領域44とp++型外周コンタクト領域43との間に配置された単位セルのp++型コンタクト領域6についても他の単位セルのp++型コンタクト領域6と同じレイアウトで配置されるため、上述したようにp++型コンタクト領域6のレイアウトは活性領域51の全域にわたって均一である。
【0053】
p型ベース領域4とn-型ドリフト領域2との間において、ゲートトレンチ7の底面よりもn+型ドレイン領域1側に深い位置に、p+型領域21,22およびn型JFET領域3がそれぞれ選択的に設けられている。p+型領域21,22およびn型JFET領域3とn-型ドリフト領域2との間において、n型電流拡散領域3aが設けられている。n型電流拡散領域3aは、n型JFET領域3と略同じ不純物濃度か、あるいはn型JFET領域3とn-型ドリフト領域2との間の不純物濃度である。p+型領域21,22、n型JFET領域3およびn型電流拡散領域3aは、n-型エピタキシャル層32の内部にイオン注入により形成された拡散領域である。p+型領域21,22とn型JFET領域3とがn+型ドレイン領域1側に同じ深さ位置で終端してもよいし、p+型領域21,22とn-型ドリフト領域2との間にn型電流拡散領域3aが延在してもよい。
【0054】
+型領域21,22は、ソース電極12の電位に固定されており、SiC-MOSFET(炭化珪素半導体装置10)のオフ時に空乏化して(もしくはn型JFET領域3を空乏化させて、またはその両方)、ゲート絶縁膜8にかかる電界を緩和させる機能を有する。p+型領域21,22は、第1方向Xにゲートトレンチ7と略同じ長さで直線状に延在する。p+型領域21は、p型ベース領域4と離れて設けられ、深さ方向Zにゲートトレンチ7の底面に対向する。p+型領域21は、ゲートトレンチ7の底面でゲート絶縁膜8に接してもよいし、ゲートトレンチ7から離れていてもよい。
【0055】
+型領域22は、互いに隣り合うゲートトレンチ7間において、p型ベース領域4に接し、ゲートトレンチ7およびp+型領域21と離れて設けられている。p+型領域22は、メサ部(互いに隣り合うゲートトレンチ7間)の第2方向Yの略中心に配置され、深さ方向Zにp++型コンタクト領域6に対向する。p+型領域22の第2方向Yの幅は、互いに隣り合うp+型領域21,22間のn型JFET(Junction FET)領域3の第2方向Yの幅に応じて適宜設定され、p++型コンタクト領域6の第2方向Yの幅以上であってもよいし、p++型コンタクト領域6の第2方向Yの幅よりも狭くてもよい。
【0056】
+型領域22は、n+型ドレイン領域1側の部分とn+型ソース領域5側の部分とが略同じ不純物濃度であってもよいし、n+型ドレイン領域1側の部分とn+型ソース領域5側の部分とを異なる不純物濃度で積層した2層構造であってもよい。n型電流拡散領域3aは、キャリアの広がり抵抗を低減させる、いわゆる電流拡散層(CSL:Current Spreading Layer)である。n型JFET領域3は、p+型領域21,22に隣接し、上面(n+型ソース領域5側の面)でp型ベース領域4に接し、下面(n+型ドレイン領域1側の面)でn型電流拡散領域3aに接する。n型JFET領域3は、電子電流を低抵抗で下面の方向に導くための領域である。
【0057】
また、n型JFET領域3は、第2方向Yにゲートトレンチ7まで達してゲート絶縁膜8に接する。n型JFET領域3は設けられていなくてもよい。n型JFET領域3を設けない場合、n型JFET領域3に代えて、n型電流拡散領域3aが互いに隣り合うp+型領域21,22間をp型ベース領域4まで達し、第2方向Yにゲートトレンチ7まで達してゲート絶縁膜8に接する。n-型エピタキシャル層32のうち、イオン注入による拡散領域(p+型領域21,22、n型JFET領域3およびn型電流拡散領域3a)を除く部分がn-型ドリフト領域2である。
【0058】
層間絶縁膜11は、半導体基板30のおもて面の全面に設けられ、ゲート電極9を覆う。層間絶縁膜11には、活性領域51の全域にわたって均一なレイアウトでコンタクトホール11aが設けられている。すなわち、コンタクトホール11aは、すべてのメサ部に略同じ平面形状および略同じ寸法で設けられ、n+型ソース領域5およびp++型コンタクト領域6を露出する。具体的には、コンタクトホール11aは、各メサ部にそれぞれ第1方向Xに直線状(活性領域51の面内においてストライプ状)に略同じ幅(第2方向Yの幅)で第1方向Xに略同じ長さで延在する。各メサ部のコンタクトホール11aにそれぞれ同一メサ部のすべてのp++型コンタクト領域6の全面が露出される。
【0059】
ソース電極12は、層間絶縁膜11のコンタクトホール11aを介して半導体基板30のおもて面でn+型ソース領域5およびp++型コンタクト領域6にオーミック接触して、n+型ソース領域5、p++型コンタクト領域6およびp型ベース領域4に電気的に接続されている。ソース電極12は、活性領域51において半導体基板30のおもて面のほぼ全面を覆う。ソース電極12は、例えば一部を内側(チップ中央側)に凹ませた略矩形状の平面形状(不図示)を有する。ソース電極12は、ソースパッド(電極パッド)を兼ねる。活性領域51における層間絶縁膜11上に、ソース電極12と離れて、ゲートパッド14が設けられている。
【0060】
ゲートパッド14には、後述するゲートランナーを介してすべてのゲート電極9が電気的に接続されている。ゲートパッド14は、例えば、略矩形状の平面形状を有する(不図示)。ゲートパッド14は、例えば活性領域51とエッジ終端領域52との境界近傍においてソース電極12の一部凹んだ凹部内に設けられ、ソース電極12に3辺が対向する。ドレイン電極(第2電極)13は、半導体基板30の裏面(n+型出発基板31の裏面)の全面に設けられている。ドレイン電極13は、半導体基板30の裏面にオーミック接触して、n+型ドレイン領域1(n+型出発基板31)に電気的に接続されている。
【0061】
エッジ終端領域52には、活性領域51と耐圧構造との間において半導体基板30のおもて面とn-型ドリフト領域2との間に、活性領域51からp型ベース領域4が延在している。以下、p型ベース領域4のエッジ終端領域52への延在部をp型ベース延在部42とする。p型ベース延在部42とn-型ドリフト領域2との間にp+型領域41が設けられている。p+型領域41は、例えば、活性領域51のp+型領域22と同時にp型エピタキシャル層33の内部に形成された拡散領域である。p+型領域41は、ゲートパッド14の直下(n+型ドレイン領域1側)におけるp型ベース領域4とn-型ドリフト領域2との間に延在してもよい。
【0062】
半導体基板30のおもて面とp型ベース延在部42との間に、p型ベース延在部42に接してp++型外周コンタクト領域(第5半導体領域)43が設けられている。p++型外周コンタクト領域43は、例えば、活性領域51のp++型コンタクト領域6と同時にp型エピタキシャル層33の内部に形成された拡散領域である。p++型外周コンタクト領域43は、活性領域51とエッジ終端領域52との境界に沿って、活性領域51の周囲を略矩形状に囲む。p++型外周コンタクト領域43のコーナー43aは、所定の曲率で円弧状に湾曲している。p++型外周コンタクト領域43にp++型領域44が連結されている。
【0063】
++型外周コンタクト領域43は、p型ベース延在部42を介してソース電極12に電気的に接続されている。p++型外周コンタクト領域43は、ドレイン電極13にかかる電圧の急峻な上昇によってゲートパッド14の直下の領域(p型外周領域40)の電位が持ち上がることを抑制する機能を有する。p++型外周コンタクト領域43の表面(半導体基板30のおもて面)は、フィールド酸化膜45で覆われている。p++型外周コンタクト領域43、p型ベース延在部42およびp+型領域41を積層してなるp型外周領域40は、活性領域51の周囲を略矩形状に囲む。
【0064】
エッジ終端領域52において半導体基板30のおもて面と層間絶縁膜11との間に、フィールド酸化膜45が設けられている。フィールド酸化膜45は、ゲートパッド14の全面に対向するように、活性領域51における半導体基板30のおもて面と層間絶縁膜11との間に延在してもよい。活性領域51と耐圧構造との間においてフィールド酸化膜45と層間絶縁膜11との間に、ゲートポリシリコン配線層46が設けられている。ゲートポリシリコン配線層46の上には、層間絶縁膜11のコンタクトホール11bを介してゲート金属配線層47が設けられている。
【0065】
ゲート金属配線層47は、ゲートパッド14に連結されている。ゲートポリシリコン配線層46およびゲート金属配線層47は、活性領域51の周囲を囲んでゲートランナーを構成する。ゲートポリシリコン配線層46には、ゲートトレンチ7の長手方向の端部においてゲート電極9が連結されている。ゲートポリシリコン配線層46およびゲート金属配線層47を介してすべてのゲート電極9がゲートパッド14に電気的に接続されている。ゲートランナーの全面が、深さ方向Zに絶縁層(フィールド酸化膜45および層間絶縁膜11)を介してp++型外周コンタクト領域43、p型ベース延在部42およびp+型領域41のすべてに対向する。
【0066】
実施の形態にかかる炭化珪素半導体装置10(SiC-MOSFET)の動作について説明する。通常動作時、ソース電極12に対して正の電圧がドレイン電極13に印加(ドレイン・ソース間が順バイアス)され、p++型コンタクト領域6、p型ベース領域4およびp+型領域21,22と、n型JFET領域3、n型電流拡散領域3a、n-型ドリフト領域2およびn+型ドレイン領域1と、のpn接合34が逆バイアスされる。この状態で、ゲート電極9への印加電圧がゲート閾値電圧未満であると、SiC-MOSFETはオフ状態を維持する。
【0067】
一方、ソース電極12に対して正の電圧がドレイン電極13に印加された状態でゲート電極9にゲート閾値電圧以上の電圧が印加されると、p型ベース領域4の、ゲートトレンチ7の側壁に沿った部分にチャネル(n型の反転層)が形成される。それによって、n+型ドレイン領域1からn-型ドリフト領域2、n型電流拡散領域3a、n型JFET領域3、およびチャネルを通ってn+型ソース領域5へ向かう主電流(ドリフト電流)が流れ、SiC-MOSFET(炭化珪素半導体装置10)がオンする。
【0068】
また、SiC-MOSFETの同期整流時のデッドタイム中や、SiC-MOSFETによる負荷側へのエネルギー回生時には、ドレイン・ソース間が逆バイアスされる。このため、p++型コンタクト領域6、p型ベース領域4およびp+型領域21,22と、n型JFET領域3、n型電流拡散領域3a、n-型ドリフト領域2およびn+型ドレイン領域1のpn接合34が順バイアスされてボディダイオードが導通(順方向通電)し、p++型外周コンタクト領域43よりも内側にボディダイオードの順方向電流が流れる。
【0069】
上述したようにp++型コンタクト領域6およびコンタクトホール11aが活性領域51の全域にわたって均一なレイアウトで配置されていることで、活性領域51の面内での半導体基板30の内部抵抗のばらつきを抑制することができる。これによって、活性領域51の面内でのボディダイオードの順方向電流(正孔電流)の電流密度のばらつきを抑制することができ、ボディダイオードが導通しても、n+型出発基板31とn-型エピタキシャル層32との界面での正孔電流密度が積層欠陥(SF)成長の閾値を超えにくい。
【0070】
したがって、従来構造(図8~11参照)と比べて、ボディダイオード導通時のn+型出発基板31の基底面転位(BPD)からの積層欠陥成長を抑制することができる。具体的には、従来構造では、ボディダイオードの順方向電流の電流密度が200A/cm2~400A/cm2であるときに積層欠陥があらわれたのに対し、本実施の形態においては、ボディダイオードの順方向電流の電流密度が500A/cm2程度まで高くなったときに積層欠陥があらわれることが発明者により確認されている。
【0071】
以上、説明したように、実施の形態によれば、ソース電極とのソースコンタクトを形成するp++型コンタクト領域と、ソースコンタクトが形成されるコンタクトホールと、が活性領域の中央側および端部側ともに同じレイアウトとなるように、活性領域の全域にわたって均一なレイアウトで配置されている。これによって、活性領域の面内での半導体基板の内部抵抗のばらつきを抑制することができ、活性領域の面内でのボディダイオードの順方向電流(正孔電流)の電流密度のばらつきを抑制することができる。このため、ボディダイオードが導通しても、n+型出発基板とn-型エピタキシャル層との界面での正孔電流密度の増加を抑制することができ、バイポーラ劣化を抑制することができる。
【0072】
(実験例)
++型コンタクト領域6のレイアウトとバイポーラ劣化との関係について検証した。図7Aは、実験例の各試料のp++型コンタクト領域のレイアウトを示す図表である。図7Bは、実験例の各試料の検証結果を示す図表である。図7Bには、実験例の各試料(縦型SiC-MOSFETが作製された半導体チップ)のバイポーラ劣化不良の発生確率を、評価した半導体チップの総数(分母)に対してバイポーラ劣化不良が発生した半導体チップの個数(分子)で示す。ボディダイオードの導通前後でオン電圧Vonが10%増加した半導体チップをバイポーラ劣化不良としている。
【0073】
実験例の試料1~7の設計条件を図7Aに示す。試料1~4は、上述した実施の形態にかかる炭化珪素半導体装置10(図1~6参照)の構造を備えたトレンチゲート構造の縦型SiC-MOSFETであり、活性領域51の全域にわたって均一なレイアウトでp++型コンタクト領域6が配置されている。具体的には、試料1~3は、p++型コンタクト領域6を活性領域51の全域にわたって同じ幅および同じ長さで第1方向Xにストライプ状に延在させた(図5)。試料4は、p++型コンタクト領域6を活性領域51の全域にわたって同じ寸法および同じ平面形状で島状(ドット状)に点在させた(図6)。
【0074】
試料1~3は、セルピッチをそれぞれ4.5μm、5μmおよび7μmとし、1単位セルの面積(表面積)に対するp++型コンタクト領域6の面積(以下、p++型コンタクト領域6の面積占有率とする)をそれぞれ22.2%、20%および14.2%とした。試料4は、セルピッチを6μmとし、p++型コンタクト領域6の面積占有率を16.7%とした。試料1~4ともに、p++型コンタクト領域6のレイアウトは、活性領域51の中央側および端部側ともに同じである(「均一」と図示)。試料1~4ともにコンタクトホール11aを同じ幅および同じ長さで第1方向Xに延在するストライプ状に配置した。
【0075】
試料5~7は、活性領域に島状(ドット状)に点在させたp++型コンタクト領域の表面積を局所的に大きくしたプレーナゲート構造の縦型SiC-MOSFETである。試料5~7ともに、セルピッチを10.2μmとし、p++型コンタクト領域の面積占有率を13.7%とした。具体的には、試料5~7は、第2方向Yに最も外側のp++型コンタクト領域のみを、第1方向Xに直線状に延在させ、かつ第2方向Yの幅を相対的に広くした(図9(a),10(a)に示す従来構造のp++型コンタクト領域111の第2方向Yにp++型外周コンタクト領域113に対向する部分104bに相当)。
【0076】
これに加えて、試料6,7は、第2方向Yに最も外側のp++型コンタクト領域の第2方向Yの端部を、活性領域のコーナーに対向する部分で活性領域のコーナーの内周に沿って湾曲した円弧を有する中心角90度の扇状の平面形状にした(図9(a),10(a)に示す従来構造のp++型コンタクト領域111のp++型外周コンタクト領域113のコーナー113aに対向する部分104cに相当)。試料6,7の第2方向Yに最も外側のp++型コンタクト領域の第2方向Yの扇状の平面形状の端部の半径r(R101に相当)を、それぞれ30μmおよび300μmとした。
【0077】
これら実験例の試料1~7のボディダイオードに異なる条件で導通してバイポーラ劣化不良の有無を検証した結果を図7Bに示す(試料4の結果は図示省略)。図7Bの測定1~13は、測定番号(測定No.)が大きいほど概ね電流負荷が大きい厳しい条件となるように設定している。測定1~3では、SiC-MOSFETのボディダイオードに順方向にそれぞれ電流密度100A/cm2、200A/cm2および300A/cm2で直流電流を20分間流した。測定4では、SiC-MOSFETのボディダイオードに順方向に電流密度100A/cm2で直流電流を60分間流した。
【0078】
測定5では、SiC-MOSFETのボディダイオードに順方向に電流密度400A/cm2で直流電流を5分間流すことを2回行った。測定6では、SiC-MOSFETのボディダイオードに順方向に電流密度350A/cm2で直流電流を20分間流した。測定7~13では、SiC-MOSFETのボディダイオードに順方向にそれぞれ電流密度400A/cm2、500A/cm2、600A/cm2、700A/cm2、800A/cm2、900A/cm2および1000A/cm2でパルス(pulse)電流を20分間流した。
【0079】
実験例の各試料について、試料1~3には、測定4から順に測定13まで行った。試料1~3には、測定4よりも電流負荷が小さい測定1~3は行っていない。試料4には、測定4を行った。試料5,6には、測定1から順にすべての評価チップ(評価した半導体チップ)にバイポーラ劣化不良が発生した測定9まで行った。試料5,6には、測定9よりも電流負荷が大きい測定10~13は行っていない。試料7には、測定1から順にすべての評価チップにバイポーラ劣化不良が発生した測定7まで行った。試料7には、測定7よりも電流負荷が大きい測定8~13は行っていない。
【0080】
図7Bには、評価チップへの電流負荷を大きくしていき、不良チップ数が増えた測定条件の結果を太字で示す。図7Bに示す実験例の試料5~7の結果から、活性領域のコーナーに対向する部分でp++型コンタクト領域の表面積を相対的に大きくするほど、低い電流密度で(測定No.の小さい測定条件)バイポーラ劣化不良が発生することが確認された。第2方向Yに最も外側のp++型コンタクト領域の第2方向Yの扇状の平面形状の端部の半径rが300μmと大きい試料7では、当該扇状の平面形状の端部を露出するコンタクトホールから積層欠陥が集中して発生することが確認された。
【0081】
一方、図7Bに示す実験例の試料1~3の結果から、試料1~3は、試料5~7と比べて電流負荷の大きい測定条件であってもバイポーラ劣化不良の発生確率が小さいことが確認された。すなわち、上述した実施の形態にかかる炭化珪素半導体装置10のように、活性領域51の中央側および端部側ともに同じレイアウトとなるように、活性領域51の全域にわたって均一なレイアウトでp++型コンタクト領域6およびコンタクトホール11aを配置することで、n+型出発基板31とn-型エピタキシャル層32との界面での正孔電流密度の増加を抑制して、バイポーラ劣化を抑制することができることが確認された。
【0082】
また、図7Bに示す実験例の試料1~3の結果から、p++型コンタクト領域6の面積占有率が小さいほど、バイポーラ劣化不良の発生確率を小さくすることができることが確認された。このため、p++型コンタクト領域6の面積占有率は小さいほど好ましい。また、図示省略するが、試料4について測定4を行った結果、試料4のすべての評価チップでバイポーラ劣化不良が発生しないことが確認された。なお、試料4については、半導体基板30中のフォトルミネッセンス(PL:Photo Luminescence)に基づいて積層欠陥を検出してバイポーラ劣化不良の有無を推定している。
【0083】
試料4のp++型コンタクト領域6の面積占有率は、試料2のp++型コンタクト領域6の面積占有率と試料3のp++型コンタクト領域6の面積占有率との間に設定されている。このため、試料4に測定5から順に測定13まで行った場合、試料4の検証結果として、試料2の検証結果と試料3の検証結果との間のバイポーラ劣化不良の発生確率が得られると推測される。したがって、活性領域51の全域にわたって均一なレイアウトでp++型コンタクト領域6およびコンタクトホール11aが配置されていれば、そのレイアウトパターンによらず、バイポーラ劣化不良を抑制することができることが確認された。
【0084】
以上において本発明は種々変更可能であり、上述した各実施の形態において、たとえば各部の寸法や不純物濃度、セルピッチ等は要求される仕様等に応じて適宜設定される。例えば、上述した実施の形態にかかる炭化珪素半導体装置(トレンチゲート構造の縦型SiC-MOSFET)に相当する実験例の試料1~4のセルピッチおよびp++型コンタクト領域の面積占有率は一例であり、セルピッチを5.2μm程度として、p++型コンタクト領域の面積占有率を19.2%程度としてもよい。
【0085】
また、活性領域にゲートパッド以外の電極パッドを設けた場合においても、当該電極パッド直下に、ゲートパッド直下と同様にp++型領域が配置される。この電極パッド直下のp++型領域とSiC-MOSFETのp++型コンタクト領域との第1,2方向の位置関係についても、ゲートパッド直下のp++型領域とSiC-MOSFETのp++型コンタクト領域との第1,2方向の位置関係と同様に設定される。
【産業上の利用可能性】
【0086】
以上のように、本発明にかかる炭化珪素半導体装置は、電力変換装置や種々の産業用機械などの電源装置などに使用されるパワー半導体装置に有用である。
【符号の説明】
【0087】
1 n+型ドレイン領域
2 n-型ドリフト領域
3 n型JFET領域
3a n型電流拡散領域
4 p型ベース領域
5 n+型ソース領域
6 p++型コンタクト領域
7 ゲートトレンチ
8 ゲート絶縁膜
9 ゲート電極
10 炭化珪素半導体装置
11 層間絶縁膜
11a,11b コンタクトホール
12 ソース電極
13 ドレイン電極
14 ゲートパッド
21,22,41 p+型領域
30 半導体基板
31 n+型出発基板
32 n-型エピタキシャル層
33 p型エピタキシャル層
34 pn接合(主接合)
40 p型外周領域
42 p型ベース延在部
43 p++型外周コンタクト領域
43a p++型外周コンタクト領域のコーナー
44 p++型領域
45 フィールド酸化膜
46 ゲートポリシリコン配線層
47 ゲート金属配線層
48 耐圧構造のp型領域
51 活性領域
51a 活性領域のコーナー
52 エッジ終端領域
X 半導体基板のおもて面に平行な第1方向
Y 半導体基板のおもて面に平行でかつ第1方向と直交する第2方向
Z 深さ方向
x1 第1方向にp++型コンタクト領域からp++型外周コンタクト領域までの最短距離
x2 第1方向にp++型コンタクト領域からゲートパッド直下のp++型領域までの最短距離
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B
図8
図9
図10
図11