特開 2024-2805 島設備

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)

(12)【公報種別】公開特許公報(A)

(11)【公開番号】P2024002805

(43)【公開日】2024-01-11

(54)【発明の名称】島設備

(51)【国際特許分類】

   A63F 7/02 20060101AFI20231228BHJP

【ＦＩ】

A63F7/02 349Z

A63F7/02 301C

【審査請求】未請求

【請求項の数】4

【出願形態】ＯＬ

(21)【出願番号】P 2022102228

(22)【出願日】2022-06-24

(71)【出願人】

【識別番号】591011546

【氏名又は名称】株式会社京楽

(74)【代理人】

【識別番号】100095614

【弁理士】

【氏名又は名称】越川 隆夫

(72)【発明者】

【氏名】金澤 秀彦

(72)【発明者】

【氏名】永田 慶吾

【テーマコード（参考）】

2C088

【Ｆターム（参考）】

2C088BC79

2C088EA46

(57)【要約】

【課題】電源からの配線を必要最小限とすることができるとともに、レイアウトの自由度を向上させることができる島設備を提供する。
【解決手段】パチンコ遊技機Ｐ（封入式遊技機）を設置しつつ移動可能とされた複数の単独島（Ｙ１、Ｙ２）を有し、複数の単独島（Ｙ１、Ｙ２）が任意レイアウトで配設されて設置可能な島設備１であって、隣接する単独島（Ｙ１、Ｙ２）どうしを連結する締結具２（連結手段）と、特定の単独島Ｙ１に配設され、電源Ｅと接続可能な配電盤３とを具備し、特定の単独島Ｙ１の配電盤３と他の単独島Ｙ２とが電気的に接続され、特定の単独島Ｙ１の配電盤３を介して供給された電力を他の単独島Ｙ２にそれぞれ供給可能とされたものである。
【選択図】図２

【特許請求の範囲】

【請求項1】

封入式遊技機を設置しつつ移動可能とされた複数の単独島を有し、前記複数の単独島が任意レイアウトで配設されて設置可能な島設備であって、
隣接する単独島どうしを連結する連結手段と、
特定の単独島に配設され、電源と接続可能な配電盤と、
を具備し、前記特定の単独島の配電盤と他の単独島とが電気的に接続され、前記特定の単独島の配電盤を介して供給された電力を他の単独島に供給可能とされたことを特徴とする島設備。

【請求項2】

前記特定の単独島は、制御信号を送受信可能な制御部を有し、他の単独島に制御信号を順次送受信可能とされたことを特徴とする請求項１記載の島設備。

【請求項3】

前記連結手段は、隣接する単独島を連結すると同時に電気的接続されることを特徴とする請求項１記載の島設備。

【請求項4】

各単独島にて投入された紙幣を搬送する紙幣搬送装置を具備するとともに、当該紙幣搬送装置が隣接する単独島に亘って延設されたことを特徴とする請求項１記載の島設備。

【発明の詳細な説明】

【技術分野】

【0001】

本発明は、封入式遊技機を設置しつつ移動可能とされた複数の単独島を有し、複数の単独島が任意レイアウトで配設されて設置可能な島設備に関するものである。

【背景技術】

【0002】

一般に「単独島」や「単島」と呼ばれる遊技機島（本明細書では、主に単独島と称する）では、設置される遊技機１台毎に対応する遊技球の循環装置や、封入式遊技機とよばれる遊技機内部で遊技球を循環させるものを設置し、島単独でホールの任意場所に移動させることができるため、従来、複数の単独島（遊技機取付ユニット）を連結させ、パチンコ店内のホールにおいて所望のレイアウトで設置する島設備が提案されている（例えば、特許文献１参照）。かかる従来の島設備においては、隣接する遊技機取付ユニットを互いに連結する連結部材を具備しており、任意の台数及びレイアウトにて設置可能とされている。

【先行技術文献】

【特許文献】

【0003】

【特許文献1】特開平１０－２１１３４５号公報

【発明の概要】

【発明が解決しようとする課題】

【0004】

しかしながら、従来の単独島においては、隣接する遊技機取付ユニットを連結部材を用いて連結し得るものの、電気的配線や制御信号の配線を中央の管理部から各パチンコ遊技機にそれぞれ配線しなければならず、レイアウトの自由度が限定されてしまう虞がある。特に、ホール内の電源は、特定位置に固定されている場合が多く、その特定位置から遠いパチンコ遊技機に対する配線が困難になってしまい、レイアウトの自由度が高い封入式遊技機の有利な点を最大限活かすことができないことがあった。

【0005】

本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、その目的は、電源からの配線を必要最小限とすることができるとともに、レイアウトの自由度を向上させることができる島設備を提供することにある。

【課題を解決するための手段】

【0006】

請求項１記載の発明は、封入式遊技機を設置しつつ移動可能とされた複数の単独島を有し、前記複数の単独島が任意レイアウトで配設されて設置可能な島設備であって、隣接する単独島どうしを連結する連結手段と、特定の単独島に配設され、電源と接続可能な配電盤とを具備し、前記特定の単独島の配電盤と他の単独島とが電気的に接続され、前記特定の単独島の配電盤を介して供給された電力を他の単独島に供給可能とされたことを特徴とする。

【0007】

請求項２記載の発明は、請求項１記載の島設備において、前記特定の単独島は、制御信号を送受信可能な制御部を有し、他の単独島に制御信号を順次送受信可能とされたことを特徴とする。

【0008】

請求項３記載の発明は、請求項１記載の島設備において、前記連結手段は、隣接する単独島を連結すると同時に電気的接続されることを特徴とする。

【0009】

請求項４記載の発明は、請求項１記載の島設備において、各単独島にて投入された紙幣を搬送する紙幣搬送装置を具備するとともに、当該紙幣搬送装置が隣接する単独島に亘って延設されたことを特徴とする。

【発明の効果】

【0010】

本発明によれば、電源からの配線を必要最小限とすることができるとともに、レイアウトの自由度を向上させることができる。

【図面の簡単な説明】

【0011】

【図1】本発明の実施形態に係る島設備を示す全体正面図

【図2】同島設備における特定の単独島を含む領域を示す拡大図

【図3】同島設備における単独島の詳細を示す斜視図

【図4】同島設備における単独島どうしの連結を説明するための斜視図

【図5】本発明の他の実施形態に係る島設備における特定の単独島を含む領域を示す拡大図

【発明を実施するための形態】

【0012】

以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら具体的に説明する。
本実施形態に係る島設備は、パチンコ遊技店内のホール等、遊技場の床に固定されるもので、図１～４に示すように、パチンコ遊技機Ｐを設置しつつ移動可能とされた複数の単独島（Ｙ１、Ｙ２）を有し、複数の単独島（Ｙ１、Ｙ２）が任意レイアウトで配設されて設置可能なものである。

【0013】

本実施形態に適用されるパチンコ遊技機Ｐは、封入式遊技機から成り、複数の遊技球が遊技機内部に封入されて構成されている。すなわち、封入式遊技機は、遊技者が遊技球を触ることができないようにその内部空間に遊技球が封入され、封入された遊技球が遊技に用いられるとともに、遊技により獲得した遊技球の数や遊技者が保有する遊技に用いることが可能な遊技球の数を計数して表示し得るようになっている。

【0014】

具体的には、封入式遊技機から成るパチンコ遊技機Ｐは、遊技球が通過する遊技球通路の一側面に研磨材を介在（固定）させて遊技球を研磨する研磨機構と、研磨機構にて研磨された遊技球を遊技盤上に打ち出し可能な打ち出し機構と、遊技者が遊技にて獲得した遊技球及び遊技者が保有する遊技球を計数する計数装置とを具備して構成されている。また、各パチンコ遊技機Ｐは、遊技機を統括的に制御するユニット制御基板、パチンコ遊技機Ｐ内を循環する遊技球の管理を行う球データ管理基板、演出装置を制御する出球・持球制御基板、洗浄装置を制御する洗浄制御基板、遊技球の発射制御を行う発射基板など、図示しない各種基板等が取り付けられている。

【0015】

本実施形態に係る島設備１は、特定の単独島Ｙ１と複数の他の単独島Ｙ２とが並べられて構成されており、それぞれの単独島（Ｙ１、Ｙ２）は、図３、４に示すように、パチンコ遊技機Ｐを設置して独立に移動可能とされる。かかる単独島（Ｙ１、Ｙ２）は、紙幣の投入口５ａを有した台間装置５と、パチンコ遊技機Ｐが取り付けられる遊技機設置枠６と、幅狭の台間柱７及び幅広の台間柱８と、これら台間装置５、遊技機設置枠６及び台間柱７、８が取り付けられる単独島本体Ｆとを具備している。

【0016】

台間装置５は、図２に示すように、パチンコ遊技機Ｐ近傍に配設されて紙幣の投入口５ａが形成されたもので、隣接したパチンコ遊技機Ｐと電気的に接続されるとともに、投入口５ａから紙幣が投入されると、その金額に応じた遊技球がパチンコ遊技機Ｐに供給されるよう構成されている。なお、単独島本体Ｆと遊技機設置枠６との間の空間であって、台間装置５が設置される側（図２中左側）の空間は、台間柱７にて覆われるとともに、台間装置５が設置されない側（図２中右側）の空間は、台間柱８にて覆われるようになっている。

【0017】

単独島本体Ｆは、ボルト等の締結具２（連結手段）を挿通可能とされており、図４に示すように、締結具２及びナットＮにて隣接する単独島（Ｙ１、Ｙ２）どうしを連結可能とされている。これにより、独立して移動可能な単独島（Ｙ１、Ｙ２）を連結して任意のレイアウトで設置可能とされている。また、所定台数の単独島（Ｙ１、Ｙ２）が締結具２（連結手段）にて連結された状態において、紙幣搬送装置９が隣接する単独島（Ｙ１、Ｙ２）に亘って延設されている。

【0018】

紙幣搬送装置９は、図１に示すように、島設備１内に取り付けられ、各単独島（Ｙ１、Ｙ２）の台間装置５の投入口５ａから投入された紙幣を島設備１の端部に設置された金庫１０まで搬送可能とされたものである。具体的には、紙幣搬送装置９は、島設備１を構成する各単独島（Ｙ１、Ｙ２）を横断するように島設備１の長手方向に対して直線状に延設されるとともに、その先端部が金庫１０の内部に至るよう構成されている。

【0019】

なお、各単独島（Ｙ１、Ｙ２）における単独島本体Ｆの上部には、図４に示すように、紙幣搬送装置９を挿通するための開口部Ｈ２が形成されるとともに、当該単独島本体Ｆの下部には、後述する配線を挿通させるための開口部Ｈ１が形成されている。これにより、隣接する単独島（Ｙ１、Ｙ２）に亘って、上部にて紙幣搬送装置９を延設させるとともに、下部にて配線（ｔ２～ｔ４）を延設させるようになっている。

【0020】

ここで、本実施形態に係る島設備１は、特定の単独島Ｙ１を含む複数の他の単独島Ｙ２にて構成されており、特定の単独島Ｙ１には電源Ｅと接続可能な配電盤３が配設されるとともに、特定の単独島Ｙ１の配電盤３と他の単独島Ｙ２とが電気的に接続され、特定の単独島Ｙ１の配電盤３を介して電源Ｅから供給された電力を他の単独島Ｙ２に供給可能とされている。

【0021】

電源Ｅは、例えばホールと隣接する事務室に設置され、配線ｔ１を介して特定の単独島Ｙ１における配電盤３に接続されている。また、特定の単独島Ｙ１は、コンセントＣ及び変圧器４をそれぞれ具備しており、配電盤３から分配された電力がコンセントＣを介して変圧器４に供給されると、当該変圧器４にて所定の値に変圧され、その変圧された電力がパチンコ遊技機Ｐに供給されるようになっている。

【0022】

一方、他の単独島Ｙ２は、コンセントＣ及び変圧器４をそれぞれ具備しており、それぞれのコンセントＣが配線ｔ２～ｔ５を介して配電盤３と電気的に接続されている。そして、特定の単独島Ｙ２の配電盤３から分配された電力がコンセントＣを介して各変圧器４に供給されると、当該変圧器４にて所定の値に変圧され、その変圧された電力が各パチンコ遊技機Ｐに供給されるようになっている。

【0023】

なお、特定の単独島Ｙ１及び他の単独島Ｙ２に設置されたそれぞれのパチンコ遊技機Ｐは、電源基板（不図示）が配設されている。かかる電源基板は、変圧器４（トランス）で例えばＡＣ１００ＶをＤＣ２４Ｖに変換されたＤＣ電源を、ユニット制御基板、発射基板、表示灯および盤電源中継端子板等に出力するようになっている。また、盤電源中継端子板は、遊技盤及び遊技制御基板のそれぞれに供給されたＤＣ電源を出力可能とされている。

【0024】

次に、島設備１から各単独島（Ｙ１、Ｙ２）を分離して移動させる手順について説明する。
先ず、島設備１を構成する腰板や巾木を取り外した後、腰板の取り外しにより外部に臨んだ配線の接続を離脱させる。その後、金庫１０や紙幣搬送装置９を取り外し、締結具２（連結手段）による連結を解除し、リフタ（例えばハンドリフタ等）により各単独島（Ｙ１、Ｙ２）を所望位置まで搬送する。

【0025】

本実施形態によれば、パチンコ遊技機Ｐ（封入式遊技機）を設置しつつ移動可能とされた複数の単独島（Ｙ１、Ｙ２）を有し、複数の単独島（Ｙ１、Ｙ２）が任意レイアウトで配設されて設置可能な島設備１であって、隣接する単独島（Ｙ１、Ｙ２）どうしを連結する締結具２（連結手段）と、特定の単独島Ｙ１に配設され、電源Ｅと接続可能な配電盤３とを具備し、特定の単独島Ｙ１の配電盤３と他の単独島Ｙ２とが電気的に接続され、特定の単独島Ｙ１の配電盤３を介して供給された電力を他の単独島Ｙ２にそれぞれ供給可能とされたので、電源Ｅからの配線を必要最小限とすることができるとともに、レイアウトの自由度を向上させることができる。

【0026】

また、本実施形態に係る島設備１によれば、各単独島（Ｙ１、Ｙ２）にて投入された紙幣を搬送する紙幣搬送装置９を具備するとともに、当該紙幣搬送装置９が隣接する単独島に亘って延設されたので、紙幣搬送装置９を含めた単独島全体のレイアウトを自由に設定できる。なお、各単独島（Ｙ１、Ｙ２）に亘って取り付けられる紙幣搬送装置９に代えて、それぞれの単独島（Ｙ１、Ｙ２）に独立した紙幣搬送装置及び金庫を取り付けるようにしてもよい。

【0027】

以上、本実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、図５に示すように、特定の単独島Ｙ１は、制御信号を送受信可能な制御部１１を有し、他の単独島Ｙ２に制御信号を順次送受信可能とされたものとしてもよい。この場合、ホールとは別の事務室に設置された制御システムＧから特定の単独島Ｙ１における制御部１１に遊技に関わる情報が配線ｔ６にて送信され、そこから順次、他の単独島Ｙ２における制御部１１に当該情報が送信されるよう構成されるのが好ましい。これにより、電源Ｅからの配線を必要最小限とすることができることに加え、特定の単独島Ｙ１と他の単独島Ｙ２とで遊技に関わる情報を容易に共有化することができる。

【0028】

また、隣接する単独島（Ｙ１、Ｙ２）を連結するために適用される連結手段は、ボルト等の締結具２とされているが、隣接する単独島（Ｙ１、Ｙ２）を連結すると同時に電気的接続される構成（例えばドロワコネクタ等）を具備したものであってもよい。この場合、隣接する単独島（Ｙ１、Ｙ２）の連結と同時に電気的接続も行われるため、連結のための作業と電気的接続のための作業とを同時に行うことができ、島設備１の設置作業時の作業性を向上させることができる。

【0029】

さらに、本実施形態においては、封入式遊技機として封入式のパチンコ遊技機Ｐが適用されているが、封入式のスロットマシンとしてもよく、封入式のパチンコ遊技機Ｐと封入式のスロットマシンとを混合させた島設備１としてもよい。また、特定の単独島Ｙ１は、一つの島設備１に少なくとも１台配設されていれば足り、例えば一つの島設備１に複数台の特定の単独島Ｙ１が設置されたものであってもよい。

【0030】

また、本実施形態においては、ハンドリフターによって単独島を持ち上げて店舗内を移動可能とされているが、単独島の下部にキャスターを設けて移動可能とするものであってもよい。さらに、各単独島を分離して設置する場合には、単独島（Ｙ１、Ｙ２）の側面の開口部（Ｈ１やＨ２等）を塞ぐ塞ぎ板等を取り付けるようにしてもよい。

【0031】

加えて、本実施形態においては、単独島（Ｙ１、Ｙ２）両者ともに前後面に遊技機を設置可能な構造としているが、どちらか一方の面に遊技機を設置するようにして、他面側を塞ぎ板等によって塞ぐ構造であってもよい。このような構成にすれば、単独島Ｙ１、Ｙ２の塞いだ面をホールの壁面に合わせて配置することが可能となる。

【産業上の利用可能性】

【0032】

本発明と同等の趣旨の島設備であれば、他の形態のものであってもよい。

【符号の説明】

【0033】

１ 島設備
２ 締結具（連結手段）
３ 配電盤
４ 変圧器
５ 台間装置
５ａ 投入口
６ 遊技機設置枠
７、８ 台間柱
９ 紙幣搬送装置
１０ 金庫
１１ 制御部
Ｐ パチンコ遊技機（封入式遊技機）
Ｅ 電源
Ｃ コンセント
Ｙ１ 単独島（特定の単独島）
Ｙ２ 単独島（他の単独島）
Ｆ 単独島本体
Ｎ ナット

【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】