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特開2024-28056指固定具付きネイル施術用ハンドピース
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024028056
(43)【公開日】2024-03-01
(54)【発明の名称】指固定具付きネイル施術用ハンドピース
(51)【国際特許分類】
   A45D 29/05 20060101AFI20240222BHJP
【FI】
A45D29/05
【審査請求】有
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022131394
(22)【出願日】2022-08-19
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-11-21
(71)【出願人】
【識別番号】522334195
【氏名又は名称】株式会社ルミナ
(74)【代理人】
【識別番号】100103986
【弁理士】
【氏名又は名称】花田 久丸
(72)【発明者】
【氏名】東口 るみ
(72)【発明者】
【氏名】東口 雄紀
(57)【要約】
【課題】 ドリルビット先端から上下方向(Z軸方向)の第3の作用点をドリルビット先端から近くに置いて、ドリルビットを微細にコントロールし易くする。
【解決手段】 ネイル施術用ハンドピースの軸長方向であるX軸上の重心Oからドリルビットへより近い点に、ドリルビットをZ軸下方へ当接させるための作用点を設定するために、指に係合可能な指固定具を追加した。すなわちハンドピース筐体にZ軸下方に向かって指の末節が係合可能な指固定具を追加し、この指固定具を指によるZ軸下方への当接作用点とすることで、係合させた指の末節でドリルビットの微細な下方操作を可能としたことを最も主要な特徴とする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネイル施術用ハンドピースの図心Oからドリルビット(20)側の筐体に、該筐体から突出するように取り付けた「引っ掛かり」構造としての指固定具(10)を有するハンドピースであって、該ハンドピースを施術者が複数本の指で保持する時に、該指固定具(10)は人差し指、中指、または薬指の何れかの指の末節または中節が係合可能となる位置に取り付けられており、該係合した人差し指、中指、または薬指の末節または中節により該指固定具(10)を操作することで、ハンドピースの先端に取り付けたドリルビット(20)を被施術者の爪または指周りへ微細に当接させることが出来るように構成したことを特徴とする指固定具付きネイル施術用ハンドピース(1)。
【請求項2】
前記「引っ掛かり」構造としての指固定具(10)を、ネジ式指固定具(10a)で構成したことを特徴とする請求項1記載の指固定具付きネイル施術用ハンドピース(1)。
【請求項3】
前記「引っ掛かり」構造としての指固定具(10)を、ラチェット式指固定具(10b)で構成したことを特徴とする請求項1記載の指固定具付きネイル施術用ハンドピース(1)。
【請求項4】
前記「引っ掛かり」構造としての指固定具(10)を、貼付式指固定具(10c)で構成したことを特徴とする請求項1記載の指固定具付きネイル施術用ハンドピース(1)。
【請求項5】
前記「引っ掛かり」構造としての指固定具(10)を、リング式指固定具(10d)で構成したことを特徴とする請求項1記載の指固定具付きネイル施術用ハンドピース(1)。
【請求項6】
前記「引っ掛かり」構造としての指固定具(10)を、ダブルリング式指固定具(10e)で構成したことを特徴とする請求項1記載の指固定具付きネイル施術用ハンドピース(1)。
【請求項7】
前記「引っ掛かり」構造としての指固定具(10)を、キャップ式指固定具(10f)で構成したことを特徴とする請求項1記載の指固定具付きネイル施術用ハンドピース(1)。
【請求項8】
前記「引っ掛かり」構造としての指固定具(10)を、くぼみ式指固定具(10g)で構成したことを特徴とする請求項1記載の指固定具付きネイル施術用ハンドピース(1)。
【請求項9】
請求項1記載の指固定具付きネイル施術用ハンドピース(1)のみに使用する「引っ掛かり」構造としての指固定具(10)。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、ネイル施術の下処理(甘皮処理、角質処理、ジェルネイル、アクリルスカルプチュア)、人工爪の除去に用いるネイル施術用ハンドピースの構造に関する。より具体的には従来例に係るネイル施術用ハンドピースと比較すると、本願では爪の丸みに合わせてより繊細なビット操作を可能とするために、ネイル施術用ハンドピースの筐体に指が係合可能な指固定具を追加したことを特徴とする指固定具付きネイル施術用ハンドピースの構造に関する。本願ではこの指固定具と係合する指は一般的には中指であるが、中指には拘らず他の指、例えば人差し指や薬指と係合する構造でもよい。なおネイル施術用ハンドピースに指固定具を追加装備する主な目的は、指を引っ掛けてドリルビット先端を微細にコントルールできる「引っ掛かり」構造を達成するためである。
【背景技術】
【0002】
一般的にネイルサロンや美容サロンで行われるネイル施術とは、角質化した余分な皮膚の除去、爪の表面についた薄皮(ルーススキン)と呼ばれる物の除去を行った後に、爪にマニキュアやジェルを1色のみ塗るだけでなく、ストーンやホログラムを乗せてみたり、カラフルな模様や絵を描いたり、いわば指の爪をキャンバスに見立てアート感覚で自由にデザインすることを指称する。その際、人工爪接着の下地を準備するために甘皮除去や爪表面を極浅く削る(サンディング)、そのサンディング処理された爪にネイルジェルの塗布及びネイルアートが施される。この甘皮除去やサンディング処理に、近年ネイル施術用ハンドピースが使用されることが多い。すなわちそのネイル施術用ハンドピースに各種形状のビットを装着し、爪の各部位毎の甘皮除去やサンディング処理が行われる。一般的なネイル施術用ハンドピース100は図9(A)に示すような構造となっている。また図9(B)は、実際にハンドピース100を握持した斜視図である。なおネイル施術用のハンドピースはストレート(直線型)が多く、以下の記述ではストレートを例にとり、ネイルサロン(いわば爪の美容院に相当する)で使用されている従来例に係るネイル施術用ハンドピースは、非常に機能的構造を有しているが、使用されて間もない為、詳細な諸点において以下の諸点でなお改良の余地が存在する。
【0003】
従来例に係るネイル施術用ハンドピースの第1の問題点として、ネイルアート業界の主役である比較的若い女性の多くが、正しくハンドピースを握持することが出来ない点である。すなわちハンドピースを正しく握持する以前の問題として、「箸を正しく持って使える」割合は、年齢とともに増える傾向にあるものの、小学校全体で15.7%、中学校全体で23.1%、高校で23.7%と、2割強に止まり、更に親の世代(26歳~50歳)でさえも、いずれも50%台前半で推移しており、約半数の親が箸を正しく使えていないという驚くべき現実がある。また同様に、「鉛筆を正しく持って使える」割合も、どの学齢段階においても1割以下と極端に低く、加齢による増加もあまりみられない。親の世代をみても、30歳代~40歳代の前半までは僅か15%前後、46~50歳は27.5%と、正しく持てる人が3割にも満たないのが現実である。なおこれ等のデータは決して誇張した数字ではなく、1998年文部科学省の「青少年の生きる力を育むための総合的調査研究」から引用した信頼性が高いデータである。従ってこの様な基礎的な生活技術が欠落した若い女性が、いきなりネイル施術用のハンドピースを初めから正しく握持して使いこなすのは至難の業と言わねばならない。特に本願発明者がネイルの講師として多くの講習会で接した受講生には、ハンドピースについて正しい握持の仕方から教授しなければならないのが現実であり、従って既存のハンドピースの構造は、誰でも最初から正しく握持できる構造とはなっていないという欠点を有している。
【0004】
従来例に係るネイル施術用ハンドピースの第2の問題点として、これは本願発明の中心的課題であるが、既存のハンドピース100は先端に装着したドリルビットを下方へ当接させ難い構造である点である。再び図9(A)を参照にして以下具体的に述べる。ハンドピース100の図心Oを通る軸芯をX軸、親指と人差し指で摘まむ点(AおよびB1)を通りX軸と直交する軸をY軸、そしてその交点(図心O)からの垂直方向をZ軸とする。正しいハンドピースの握持の仕方は(A)に示すように、ハンドピースをY軸方向の親指末節との接点であるA点と、人差し指末節との接点であるB1点との2点で摘まみ、さらに人差し指基節近傍のB2点、または(B)に示すように指間部にハンドピースを乗せて安定的に保持する。そして安定的に保持したハンドピース100をネイルアートの施術者は手首Sでスナップを効かせつつ微細にコントロールすることで、先端のドリルビットを被施術者の爪の上や指周りで左右に動かすことになる。このハンドピースの握り方は、上述の鉛筆のコントロール方法と実質上は同一である。しかしながら歯科の医療行為とは異なりネイルアートでは、比較的長時間にわたりこの動作を繰り返しつつ爪の表面を削り(サンディングして)、例えば爪表面の汚れを完全に除去してジェルと爪を密着させる等のネイル処理を行う。この場合、ドリルビットの先端を爪表面上から遠ざけるにはC点で中指を少し押し上げれば済むが、反対にドリルビットの先端を爪表面に当接させる場合、つまりドリルビットで爪に対してサンディング処理等を行う場合には、中指でハンドピースをZ軸下方へ押し下げるには中指は全く無力である。理由はハンドピース100自体に、中指を係合させる「引っ掛かり」構造が全く無いためである。そのためドリルビットの先端を爪表面に当接させる場合には、親指と人差し指でA点とB1点を強く挟持して押し下げるのと同時に、ドリルビット先端から比較的遠いB2点または指間部をスナップ点Sで押し上げることで、ドリルビットを爪に対して当接させることが初めて可能となる。ただしドリルビットから手首のスナップ点Sまでの距離が遠いため、スナップの動きによってドリルビットを微細にコントロールすることは難しく、そのため親指末節との接点であるA点と人差し指末節との接点であるB1点での握持に負荷が集中し易い傾向がある。換言すると現状のネイル施術用ハンドピース100を流用するネイルアート操作では、爪表面での繊細なドリルビット・コントロールを長時間にわたり行うのは困難であるという欠点を有している。そのためX軸方向のドリルビット20からより近い点で、ドリルビット先端を微細にコントロールできる「引っ掛かり」構造が求められる。以上を要約すれば、問題点として、多くの人はハンドピースを強く握り、ドリルビットを爪に対して主に人差し指や親指で上からの圧力を掛け過ぎることにより爪を削り過ぎてしまう点、および人差し指や親指のみで操作することにより、ビット先端の可動域が直線的かつ狭くなるという構造上の問題が存在する。
【0005】
そして更に従来例に係るネイル施術用ハンドピースの第3の問題点は、上記の第2の問題点で述べた構造的な不具合のために、ネイル施術用のハンドピースを長時間使用するとネイルアートでは疲れ易いという不具合を有する点である。すなわち第3の問題点は、ネイル施術用ハンドピースで余分な力を入れてしまう点と、ビット先端の可動域が少なくなることで施術時間が延び長時間施術につながる為、肩こりや腱鞘炎、疲れ易いなどの不具合を有する点である。しかしながら既存のハンドピースには、これ等3つの問題に対する具体的な解決策を開示したものは検索されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2019-076593号公報
【特許文献2】特表2016-538071号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本願発明が解決しようとする第1の課題は、従来のネイル施術用ハンドピース100では特に若い女性が正しくハンドピースを握持することが出来ない点である。また第2の課題は、ドリルビットを上下方向(Z軸方向)に動かすための作用点であるスナップ点Sがドリルビットから遠いため、ドリルビットを微細にコントロールすることが難しい点である。更にまた第3の課題は、ネイル施術用のハンドピースをネイルアートで長時間使用すると疲れ易いという点である。換言すると本願発明が解決しようとする第1の課題は、ネイル施術用ハンドピース100では操作しやすくハンドピースを握持することが出来ない点であり、また第2の課題は、多くの人はハンドピースを強く握り、ドリルビットを被施術者の爪に対して主に人差し指や親指、中指で上からの圧力をかけ過ぎることにより、爪を削り過ぎてしまう点である。更にまた第3の課題は、ネイル施術用ハンドピースを施術で余分な力を入れて長時間使用すると、肩こりや腱鞘炎、疲れ易いなどの不具合を有する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために本願発明では、ドリルビット先端を微細にコントルールロールできる「引っ掛かり」構造として、ネイル施術用ハンドピースの筐体に指が係合可能な指固定具を追加装備したことを最も主要な特徴とする。この指固定具は、ネイル施術用のハンドピースの図心から先端に取付けたドリルビット側の筐体に、この筐体から突出するように取付けられている。そしてハンドピースの筐体を複数本の指で摘まみ、かつこの指固定具に人差し指、中指、または薬指の何れかの指の末節または中節を係合させる。これにより「引っ掛かり」構造を有しない従来例に係る一般的なネイル施術用のハンドピースと比較すると、本願の指固定具付きネイル施術用ハンドピースでは前述の指固定具に所定の指を係合させることにより、ドリルビットの先端を微細にコントロールすることが可能となる。
【発明の効果】
【0009】
このように本願発明に係る指固定具付きネイル施術用ハンドピースでは、筐体から「引っ掛かり」構造としての指固定具が突出するように構成されているためネイル施術の初心者でも扱い易く、それと同時にこの突出した指固定具に指を係合させるため、従来例と比較するとドリルビットに近い点に爪に対する当接作用点を置くこととなり、これによりドリルビット操作を微細に行うことが可能となる。また併せて手首によりドリルビット先端の可動域拡大と爪の丸みに合わせた、ドリルビット操作のより繊細なコントロールが可能となる利点を有する。更にまた、指で「引っ掛かり」構造としての指固定具を軽く押し下げることで、ドリルビットを被施術者の爪表面と当接させることが可能となり、長時間に渡るネイルアート操作でも施術者が疲れにくいという利点を有する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1(A)は本願発明に係る指固定具10を装着した指固定具付きネイル施術用ハンドピース1の概念図であり、(B)は実際に指固定具付きネイル施術用ハンドピース1を握持した概念斜視図である。
図2図2(A)は指固定具10の第1実施例としてのネジ式指固定具10aを装着した指固定具付きネイル施術用ハンドピース1の概念図であり、(B)は複数個所に雌ネジ11を具備した指固定具付きネイル施術用ハンドピース1の概念図である。
図3図3は指固定具10の第2実施例としての取付位置調整機構10b-1にラチェット式指固定具10bを装着した指固定具付きネイル施術用ハンドピース1の概念図である。
図4図4は指固定具10の第3実施例としての貼付式指固定具10cを装着した指固定具付きネイル施術用ハンドピース1の概念図である。
図5図5は指固定具10の第4実施例としてのリング式指固定具10dを装着した指固定具付きネイル施術用ハンドピース1の概念図である。
図6図6は指固定具10の第5実施例としての指を挿入するダブルリング式指固定具10eを装着した指固定具付きネイル施術用ハンドピース1の概念図であり、(B)はダブルリング式指固定具10eの斜視図である。
図7図7は指固定具10の第6実施例としてのキャップ式指固定具10fを装着した指固定具付きネイル施術用ハンドピース1の概念図である。
図8図8は指固定具10の第7実施例としての指が係合する「くぼみ式指固定具10g」を装着した指固定具付きネイル施術用ハンドピース1の概念図である。
図9図9(A)は従来例に係るハンドピース100の概念図であり、(B)は実際にハンドピース100を握持した斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1(A)は本願発明に係る指固定具10を装着した指固定具付きネイル施術用ハンドピース1の概念図である。本願発明の指固定具付きネイル施術用ハンドピース1は、図9に示す従来例に係るネイル施術用のハンドピース100と対比すると、指固定具10を装着した点を除き全て同一である。この実施例では、指固定具10は中指の末節と係合可能な湾曲形状のレバーで構成されている。もちろん係合する指は中指に限定する趣旨ではなく薬指と係合可能であってもよい。また指固定具10の取付位置は、X軸、Y軸、そしてZ軸の交点である指固定具付きネイル施術用ハンドピース1の図心OからX軸のドリルビット20側で、Z軸下方に向け、指が係合する位置に取り付けられる。指固定具10の形状は曲線状のレバーに限定せず、直線状でも円形でも、その形状は指と係合し易ければ特に限定はしない。材質は金属製、樹脂製等でもよい。指固定具付きネイル施術用ハンドピース1の実際の握持方法は、図1(B)に示すように指固定具付きネイル施術用ハンドピース1の筐体を指間部に当接させて握持する場合が多い。
【実施例0012】
次に指固定具10の指固定具付きネイル施術用ハンドピース1への取付は、第1実施例として図2(A)に示すようにハンドピースの筐体にネジで螺合させる湾曲形状のレバーで構成するネジ式指固定具10aとしてもよい。この場合ハンドピースの筐体には雌ネジ11を埋設し、基部に雄ネジを設けたレバーで構成するネジ式指固定具10aを螺合させる。この様にネジ式指固定具10aを指固定具付きネイル施術用ハンドピース1の筐体から下方へ突出させることで、従来例に係るハンドピース100の様な2点操作、すなわち図9(A)に示すY軸方向の親指末節との接点であるA点と、人差し指末節との接点であるB1点とで指固定具付きネイル施術用ハンドピース1を摘まみ、さらに人差し指基節との接点であるB2点でハンドピースを乗せて保持する2点操作ではなく、本願発明では更に指の末節をネジ式指固定具10aに係合させる第3の作用点を加えた3点操作が可能となる。この3点操作により、従来の2点操作と比較して、爪表面へのサンディング動作の微細なコントロールが可能となる利点を有する。
【0013】
なおネイルアーティストは、当然ではあるが各人によって掌および指長は各々異なる。そのため上述の指固定具付きネイル施術用ハンドピース1の筐体にネジ式指固定具10aの雄ネジを取り付ける雌ネジ11を、図2(B)に示すようにドリルビット20方向へ直線状に複数個所に設けてもよい。これによりネイルアートの施術者は自己の掌および指長に合わせて、湾曲形状のレバーで構成したネジ式指固定具10aの取付位置を簡便に変更可能である。
【0014】
従来例に係るネイル施術用のハンドピース100では、Y軸方向の親指末節との接点であるA点と人差し指末節との接点であるB1点と、人差し指基節との接点であるB2点、との2点操作による作用点がドリルビット20から遠い位置に置かれている構造と比較すると、本願発明の指固定具付きネイル施術用ハンドピース1では第3の作用点としてのネジ式指固定具10aが、図2(A)に示すようにドリルビット20から比較的近い点に置かれている構造であるため、指の末節の微細な動きをドリルビット20に伝達させ易く、従ってドリルビット20の先端を微細にコントロールすることが可能となる。そして図2(B)の様に複数個所に雌ネジを設けて、ネジ式指固定具10aの取付位置を使用者であるネイルアーティスト毎に変更可能とすれば、先端のドリルビット20とネジ式指固定具10の距離を自在に変更でき、これにより使い勝手が更に良い構成となるように各自で指固定具付きネイル施術用ハンドピース1をテーラーメイド化することも可能となる。
【実施例0015】
更に上述の実施例1のように指固定具付きネイル施術用ハンドピース1の筐体に複数個の雌ネジを取り付ける構成に代わり、第2実施例として図3に示すように、取付位置調整機構10b-1を埋設したラチェット式指固定具10bとしてもよい。すなわち指固定具付きネイル施術用ハンドピース1の筐体に溝状の取付位置調整機構10b-1を埋設し、これにラチェット式指固定具10bを係合させるラチェット構造として、この溝に沿ってレバーで構成したラチェット式指固定具10bを任意に摺動移動させる構造である。そして例えばラチェット式指固定具10bの取付基部を拡幅するように付勢された構造とし、この拡幅付勢した取付基部が取付位置調整機構10b-1のラチェットと係合することにより、ラチェット式指固定具10bを固定することが出来る。なおこの取付位置調整機構自体は、従来例に多く開示されされているため詳述は割愛する。
【実施例0016】
更にまたネイル施術用のハンドピースが既に広く入手可能である現状を考慮して、既存のネイル施術用ハンドピースに簡便に指固定具10を装着する構造として図4に示すような貼付式指固定具10cがある。この実施例のレバーで構成した指固定具は、粘着層を裏面に有する貼付板に固定されている。そしてこの固定板を既存のネイル施術用ハンドピースの任意の箇所に貼付するという極めて簡便な構成である。従ってこの貼付式指固定具10cは、ハンドピースの筐体とは別個のオプションとして購入可能である。なお粘着層には当然保護膜を有しており、保護膜を剥がして、如何なるタイプの既存のネイル施術用ハンドピースへの後付けが可能である。なお粘着層を裏面に有する貼付板を、ハンドピースの筐体の曲面に合うように構成してもよい。曲面が多少異なっても粘着層が十分にその差を吸収して粘着可能である。こうした粘着タイプの構成は、例えば携帯電話の裏面に貼付する携帯電話保持具等で広く用いられているため、詳述は省略する。
【実施例0017】
同様に既存のハンドピースに簡便に指固定具を装着する他の構造として、図5に示すようなリング式指固定具10dがある。このリング式指固定具10dには、リングが設けられている。このリングにテーパー状のハンドピース先端を挿入することで、このリング式指固定具10dをテーパー状のハンドピースの筐体に固定可能である。またリングの途中に例えばリング径を調整可能とするリング直径調整機構を付加することでリング直径を微調整する構成とし、これにより使用するネイルアーティストの指の長さに応じて、このリング式指固定具10dの取付位置をテーパー状のハンドピースの所定の位置に微調整して取り付けることも可能である。なおこのリングの直径を調整するリング直径調整機構も従来例に数多く存在するため詳細は割愛する。
【実施例0018】
更にまた上記実施例4で述べたようにネイル施術用のハンドピースが既に広く入手可能である現状を考慮して、図6(A)および(B)には既存のハンドピースに指固定具10を簡便に装着する他の構造として、人差し指を挿入するリング1とネイル施術用ハンドピースの筐体へ挿入固定するリング2を有するダブルリング式指固定具10eが開示されている。リング1とリング2は相互に連結され、かつ回動可能であり、挿入する人差し指の挿入角度に応じて回転調整することが可能となっている。上述の実施例1から実施例3では、主として中指または薬指で指固定具10を操作する構成であるが、本実施例4では親指と中指でハンドピースの筐体を保持し、人差し指をリング1へ挿入して操作を行う。なお人差し指を挿入するリング1の形状は、図示するような線状のリングに限定する趣旨ではなく指に自然にフィットする形状であれば如何なる形状でも良い。また上述の筐体へ挿入固定するリング2は、リング状であり筐体に対して回転可能である。そのため任意の回転位置へリング2を回動させ、かつその回転位置でリング1へ挿入可能な任意の指を挿入することで、当該ダブルリング式指固定具10eを使用することが可能である。
【実施例0019】
更にまた上記のようにネイル施術用のハンドピースが既に広く入手可能である現状を考慮して、図7には既存のハンドピースに指固定具10を簡便に装着する他の構造として、円錐台状の基部に取り付けた中空テーパー状のキャップ構造であるキャップ式指固定具10fが開示されている。この中空テーパー状のキャップ式指固定具10fは、一般的なネイル施術用のハンドピースの筐体に被せるようにして装着する。またこのキャップ式指固定具10fはハサミで切断可能な素材、例えばプラスチックで構成し、各ネイルアーティストが所有する既存のネイル施術用ハンドピースの筐体直径に合わせて切取り線(図中の点線)で切り取る構成としてもよい。そしてその切取ったキャップ式指固定具10fにハンドピースの先端を挿入する。ハンドピースは先端に向けてテーパー状となっているため、ハンドピースの直径が切り取ったリング直径に合致するハンドピース筐体の特定の位置で、このキャップ式指固定具10fをハンドピースに固定装着することが可能である。従って各ネイルアーティストは、所有する自己のハンドピースの所定の位置にこのキャップ式指固定具10fが係止するように、円錐台の途中を切り取れば、任意の位置でこのキャップ式指固定具10fをハンドピース筐体に固定装着することが可能である。
【実施例0020】
最後に図8には、ハンドピースの筐体自体に中指または薬指を引っ掛ける窪みを具備する「くぼみ式指固定具10g」が開示されている。この実施例は、「くぼみ」に被施術者の爪が不用意に引っ掛からず、安全を考慮した構成であると共に、全体の構成をコンパクトにするためである。
【産業上の利用可能性】
【0021】
指固定具10をハンドピースの図心Oよりドリルビット20側に取り付けることにより、不慣れな若いネイルアート研修生でも正しくハンドピースを握持できる。またより重要な点として指固定具10に指を係合させることで、Z軸下方への当接作用点がドリルビットに更に近づくため、ドリルビット先端の繊細なコントルールが可能となる。そして指を指固定具に軽く当てるだけで、ドリルビットを爪表面に対して適切に当接させることが可能となるため、長時間に渡るネイルアート操作でも疲れ難いという利点を有する。また既存のネイル施術用ハンドピースにも各種の指固定具10a~10gをオプションとして簡便に取り付けることが可能となり、X軸方向のドリルビット20からより近い点で、ドリルビット先端を微細にコントロール出来るという利点を有する。
【符号の説明】
【0022】
1 指固定具付きネイル施術用ハンドピース
10 指固定具
10a ネジ式指固定具
10b ラチェット式指固定具
10c 貼付式指固定具
10d リング式指固定具
10e ダブルリング式指固定具
10f キャップ式指固定具
10g くぼみ式指固定具

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
【手続補正書】
【提出日】2023-02-27
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネイル施術用ハンドピースの図心Oからドリルビット(20)側の筐体に、該筐体から突出するように取り付けた「引っ掛かり」構造としての指固定具(10)を有するハンドピースであって、該ハンドピースを施術者が複数本の指で保持する時に、該指固定具(10)は、人差し指、中指、または薬指の何れかの指の末節または中節が係合可能となる位置に取り付けられており、該係合した人差し指、中指、または薬指の末節または中節により該指固定具(10)を操作することで、ハンドピースの先端に取り付けたドリルビット(20)を被施術者の爪または指周りへ微細に当接させることが出来るように構成したことを特徴とする指固定具付きネイル施術用ハンドピース(1)。
【請求項2】
前記「引っ掛かり」構造としての指固定具(10)が、基部に雄ネジを有するレバーで構成され、該雄ネジをハンドピースの筐体に埋設した雌ネジ(11)に螺合させるネジ式指固定具(10a)であることを特徴とする請求項1記載の指固定具付きネイル施術用ハンドピース(1)。
【請求項3】
前記「引っ掛かり」構造としての指固定具(10)が、拡幅付勢した取付基部を有するレバーで構成され、該取付基部をハンドピースの筐体に埋設した取付位置調整機構(10b-1)と係合させるラチェット構造のラチェット式指固定具(10b)であることを特徴とする請求項1記載の指固定具付きネイル施術用ハンドピース(1)。
【請求項4】
前記「引っ掛かり」構造としての指固定具(10)が、裏面に粘着層を有する貼付板に固定されたレバーで構成され、該貼付板の粘着層をハンドピースの筐体に貼付する貼付式指固定具(10c)であることを特徴とする請求項1記載の指固定具付きネイル施術用ハンドピース(1)。
【請求項5】
前記「引っ掛かり」構造としての指固定具(10)が、テーパー状のハンドピースの先端から挿入するリングに固定されたレバーで構成され、該リングにハンドピースの筐体を挿入固定するリング式指固定具(10d)であることを特徴とする請求項1記載の指固定具付きネイル施術用ハンドピース(1)。
【請求項6】
前記「引っ掛かり」構造としての指固定具(10)が、人差し指を挿入するリング1とハンドピースの筐体を挿入しかつ筐体に対し回動可能なリング2とを有し、該リング1とリング2は相互に連結された構成であり、リング1に挿入した人差し指の挿入角度に応じてハンドピースの筐体に対し回動調整可能なダブルリング式指固定具(10e)であることを特徴とする請求項1記載の指固定具付きネイル施術用ハンドピース(1)。
【請求項7】
前記「引っ掛かり」構造としての指固定具(10)が、円錐台状の基部にレバーを取り付けた中空テーパー状のキャップ構造で構成し、かつ該円錐台状の基部をハンドピースの筐体に被せるように装着するキャップ式指固定具(10f)であることを特徴とする請求項1記載の指固定具付きネイル施術用ハンドピース(1)。
【請求項8】
前記「引っ掛かり」構造としての指固定具(10)が、ハンドピースの筐体自体に窪み(くぼみ)を具備させ、該窪みに中指または薬指を引っ掛けるくぼみ式指固定具(10g)であることを特徴とする請求項1記載の指固定具付きネイル施術用ハンドピース(1)。
【請求項9】
請求項1記載の指固定具付きネイル施術用ハンドピース(1)のみに使用する「引っ掛かり」構造としての指固定具(10)において、該指固定具(10)は、ハンドピース(1)を施術者が複数本の指で保持する時に人差し指、中指、または薬指の何れかの指の末節または中節が係合可能となる位置に取り付けられ、該係合した人差し指、中指、または薬指の末節または中節により該指固定具(10)を操作することで、ハンドピースの先端に取り付けたドリルビット(20)を被施術者の爪または指周りへ微細に当接させることが出来るように構成したことを特徴とする指固定具(10)。
【請求項10】
前記「引っ掛かり」構造としての指固定具(10)が、基部に雄ネジを有するレバーで構成され、該雄ネジをハンドピースの筐体に埋設した雌ネジ(11)に螺合させるネジ式指固定具(10a)であることを特徴とする請求項9記載の指固定具(10)。
【請求項11】
前記「引っ掛かり」構造としての指固定具(10)が、拡幅付勢した取付基部を有するレバーで構成され、該取付基部をハンドピースの筐体に埋設した取付位置調整機構(10b-1)と係合させるラチェット構造のラチェット式指固定具(10b)であることを特徴とする請求項9記載の指固定具(10)。
【請求項12】
前記「引っ掛かり」構造としての指固定具(10)が、裏面に粘着層を有する貼付板に固定されたレバーで構成され、該貼付板の粘着層をハンドピースの筐体に貼付する貼付式指固定具(10c)であることを特徴とする請求項9記載の指固定具(10)。
【請求項13】
前記「引っ掛かり」構造としての指固定具(10)が、テーパー状のハンドピースの先端から挿入するリングに固定されたレバーで構成され、該リングにハンドピースの筐体を挿入固定するリング式指固定具(10d)であることを特徴とする請求項9記載の指固定具(10)。
【請求項14】
前記「引っ掛かり」構造としての指固定具(10)が、人差し指を挿入するリング1とハンドピースの筐体を挿入しかつ筐体に対し回動可能なリング2とを有し、該リング1とリング2は相互に連結された構成であり、リング1に挿入した人差し指の挿入角度に応じてハンドピースの筐体に対し回動調整可能なダブルリング式指固定具(10e)であることを特徴とする請求項9記載の指固定具(10)。
【請求項15】
前記「引っ掛かり」構造としての指固定具(10)が、円錐台状の基部にレバーを取り付けた中空テーパー状のキャップ構造で構成し、かつ該円錐台状の基部をハンドピースの筐体に被せるように装着するキャップ式指固定具(10f)であることを特徴とする請求項9記載の指固定具(10)。
【請求項16】
前記「引っ掛かり」構造としての指固定具(10)が、ハンドピースの筐体自体に窪み(くぼみ)を具備させ、該窪みに中指または薬指を引っ掛けるくぼみ式指固定具(10g)であることを特徴とする請求項9記載の指固定具(10)。
【手続補正書】
【提出日】2023-07-18
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネイル施術用ハンドピースの重心Oからドリルビット(20)側の筐体に、該筐体の下方から突出するように取り付けた「引っ掛かり」構造としての指固定具(10)を有するハンドピースであって、該ハンドピースを施術者が複数本の指で保持する時に、該指固定具(10)は、人差し指、中指、または薬指の何れかの指の末節または中節が係合可能となる位置に取り付けられており、該係合した人差し指、中指、または薬指の末節または中節により該指固定具(10)を下方へ操作することで、ハンドピースの先端に取り付けたドリルビット(20)を、被施術者の爪の丸みに合わせてコントロールすることが可能となるように構成したことを特徴とする指固定具付きネイル施術用ハンドピース(1)。
【請求項2】
前記「引っ掛かり」構造としての指固定具(10)が、基部に雄ネジを有するレバーで構成され、該雄ネジをハンドピースの筐体に埋設した雌ネジ(11)に螺合させるネジ式指固定具(10a)であることを特徴とする請求項1記載の指固定具付きネイル施術用ハンドピース(1)。
【請求項3】
前記「引っ掛かり」構造としての指固定具(10)が、拡幅付勢した取付基部を有するレバーで構成され、該取付基部をハンドピースの筐体に埋設した取付位置調整機構(10b-1)と係合させるラチェット構造のラチェット式指固定具(10b)であることを特徴とする請求項1記載の指固定具付きネイル施術用ハンドピース(1)。
【請求項4】
前記「引っ掛かり」構造としての指固定具(10)が、裏面に粘着層を有する貼付板に固定されたレバーで構成され、該貼付板の粘着層をハンドピースの筐体に貼付する貼付式指固定具(10c)であることを特徴とする請求項1記載の指固定具付きネイル施術用ハンドピース(1)。
【請求項5】
前記「引っ掛かり」構造としての指固定具(10)が、テーパー状のハンドピースの先端から挿入するリングに固定されたレバーで構成され、該リングにハンドピースの筐体を挿入固定するリング式指固定具(10d)であることを特徴とする請求項1記載の指固定具付きネイル施術用ハンドピース(1)。
【請求項6】
ネイル施術用ハンドピースの重心Oからドリルビット(20)側の筐体に、該筐体から突出するように取り付けた「引っ掛かり」構造としての指固定具(10)を有するハンドピースであって、該「引っ掛かり」構造としての指固定具(10)がダブルリング式指固定具(10e)で構成され、該ダブルリング式指固定具(10e)は、人差し指を挿入するリング1とハンドピースの筐体を挿入しかつ筐体に対し回動可能なリング2とを有し、該リング1とリング2は相互に連結された構成であり、更に該ダブルリング式指固定具(10e)は、リング1に挿入した人差し指の挿入角度に応じてハンドピースの筐体に対し回動調整可能な構成であり、人差し指を挿入したリング1を操作することで、ハンドピースの先端に取り付けたドリルビット(20)を、被施術者の爪の丸みに合わせてコントロールすることが可能となるように構成したことを特徴とする指固定具付きネイル施術用ハンドピース(1)。
【請求項7】
前記「引っ掛かり」構造としての指固定具(10)が、円錐台状の基部にレバーを取り付けた中空テーパー状のキャップ構造で構成し、かつ該円錐台状の基部をハンドピースの筐体に被せるように装着するキャップ式指固定具(10f)であることを特徴とする請求項1記載の指固定具付きネイル施術用ハンドピース(1)。
【請求項8】
ネイル施術用ハンドピースの重心Oからドリルビット(20)側の筐体に「引っ掛かり」構造としての指固定具(10)を有するハンドピースであって、該「引っ掛かり」構造としての指固定具(10)がくぼみ式指固定具(10g)で構成され、該くぼみ式指固定具(10g)は、ハンドピースの筐体自体に具備させた窪み(くぼみ)で構成され、該窪みに中指または薬指を引っ掛けることでハンドピースの先端に取り付けたドリルビット(20)を、被施術者の爪の丸みに合わせてコントロールすることが可能となるように構成したことを特徴とする指固定具付きネイル施術用ハンドピース(1)。
【請求項9】
請求項1記載の指固定具付きネイル施術用ハンドピース(1)のみに使用する「引っ掛かり」構造としての指固定具(10)において、ハンドピース(1)を施術者が複数本の指で保持する時に、該指固定具(10)は、ハンドピース(1)の筐体の下方から突出するように取り付けられ、かつ人差し指、中指、または薬指の何れかの指の末節または中節が係合可能となる位置に取り付けられ、該係合した人差し指、中指、または薬指の末節または中節により該指固定具を下方へ操作することで、ハンドピースの先端に取り付けたドリルビット(20)を、被施術者の爪の丸みに合わせてコントロールすることが可能となるように構成したことを特徴とする指固定具(10)。
【請求項10】
前記「引っ掛かり」構造としての指固定具(10)が、基部に雄ネジを有するレバーで構成され、該雄ネジをハンドピースの筐体に埋設した雌ネジ(11)に螺合させるネジ式指固定具(10a)であることを特徴とする請求項9記載の指固定具(10)。
【請求項11】
前記「引っ掛かり」構造としての指固定具(10)が、拡幅付勢した取付基部を有するレバーで構成され、該取付基部をハンドピースの筐体に埋設した取付位置調整機構(10b-1)と係合させるラチェット構造のラチェット式指固定具(10b)であることを特徴とする請求項9記載の指固定具(10)。
【請求項12】
前記「引っ掛かり」構造としての指固定具(10)が、裏面に粘着層を有する貼付板に固定されたレバーで構成され、該貼付板の粘着層をハンドピースの筐体に貼付する貼付式指固定具(10c)であることを特徴とする請求項9記載の指固定具(10)。
【請求項13】
前記「引っ掛かり」構造としての指固定具(10)が、テーパー状のハンドピースの先端から挿入するリングに固定されたレバーで構成され、該リングにハンドピースの筐体を挿入固定するリング式指固定具(10d)であることを特徴とする請求項9記載の指固定具(10)。
【請求項14】
請求項6記載の指固定具付きネイル施術用ハンドピース(1)のみに使用する「引っ掛かり」構造としての指固定具(10)において、該「引っ掛かり」構造としての指固定具(10)がダブルリング式指固定具(10e)で構成され、該ダブルリング式指固定具(10e)は、人差し指を挿入するリング1とハンドピースの筐体を挿入しかつ筐体に対し回動可能なリング2とを有し、該リング1とリング2は相互に連結された構成であり、更に該ダブルリング式指固定具(10e)は、リング1に挿入した人差し指の挿入角度に応じてハンドピースの筐体に対し回動調整可能な構成であり、人差し指を挿入したリング1を操作することで、ハンドピースの先端に取り付けたドリルビット(20)を、被施術者の爪の丸みに合わせてコントロールすることが可能となるように構成したことを特徴とする指固定具(10)。
【請求項15】
前記「引っ掛かり」構造としての指固定具(10)が、円錐台状の基部にレバーを取り付けた中空テーパー状のキャップ構造で構成し、かつ該円錐台状の基部をハンドピースの筐体に被せるように装着するキャップ式指固定具(10f)であることを特徴とする請求項9記載の指固定具(10)。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0004
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0004】
従来例に係るネイル施術用ハンドピースの第2の問題点として、これは本願発明の中心的課題であるが、既存のハンドピース100は先端に装着したドリルビットを下方へ当接させ難い構造である点である。再び図9(A)を参照にして以下具体的に述べる。ハンドピース100の重心Oを通る軸芯をX軸、親指と人差し指で摘まむ点(AおよびB1)を通りX軸と直交する軸をY軸、そしてその交点(重心O)からの垂直方向をZ軸とする。正しいハンドピースの握持の仕方は(A)に示すように、ハンドピースをY軸方向の親指末節との接点であるA点と、人差し指末節との接点であるB1点との2点で摘まみ、さらに人差し指基節近傍のB2点、または(B)に示すように指間部にハンドピースを乗せて安定的に保持する。そして安定的に保持したハンドピース100をネイルアートの施術者は手首Sでスナップを効かせつつ微細にコントロールすることで、先端のドリルビットを被施術者の爪の上や指周りで左右に動かすことになる。このハンドピースの握り方は、上述の鉛筆のコントロール方法と実質上は同一である。しかしながら歯科の医療行為とは異なりネイルアートでは、比較的長時間にわたりこの動作を繰り返しつつ爪の表面を削り(サンディングして)、例えば爪表面の汚れを完全に除去してジェルと爪を密着させる等のネイル処理を行う。この場合、ドリルビットの先端を爪表面上から遠ざけるにはC点で中指を少し押し上げれば済むが、反対にドリルビットの先端を爪表面に当接させる場合、つまりドリルビットで爪に対してサンディング処理等を行う場合には、中指でハンドピースをZ軸下方へ押し下げるには中指は全く無力である。理由はハンドピース100自体に、中指を係合させる「引っ掛かり」構造が全く無いためである。そのためドリルビットの先端を爪表面に当接させる場合には、親指と人差し指でA点とB1点を強く挟持して押し下げるのと同時に、ドリルビット先端から比較的遠いB2点または指間部をスナップ点Sで押し上げることで、ドリルビットを爪に対して当接させることが初めて可能となる。ただしドリルビットから手首のスナップ点Sまでの距離が遠いため、スナップの動きによってドリルビットを微細にコントロールすることは難しく、そのため親指末節との接点であるA点と人差し指末節との接点であるB1点での握持に負荷が集中し易い傾向がある。換言すると現状のネイル施術用ハンドピース100を流用するネイルアート操作では、爪表面での繊細なドリルビット・コントロールを長時間にわたり行うのは困難であるという欠点を有している。そのためX軸方向のドリルビット20からより近い点で、ドリルビット先端を微細にコントロールできる「引っ掛かり」構造が求められる。以上を要約すれば、問題点として、多くの人はハンドピースを強く握り、ドリルビットを爪に対して主に人差し指や親指で上からの圧力を掛け過ぎることにより爪を削り過ぎてしまう点、および人差し指や親指のみで操作することにより、ビット先端の可動域が直線的かつ狭くなるという構造上の問題が存在する。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0008
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0008】
上記課題を解決するために本願発明では、ドリルビット先端を微細にコントロールできる「引っ掛かり」構造として、ネイル施術用ハンドピースの筐体に指が係合可能な指固定具を追加装備したことを最も主要な特徴とする。この指固定具は、ネイル施術用のハンドピースの重心から先端に取付けたドリルビット側の筐体に、この筐体から突出するように取付けられている。そしてハンドピースの筐体を複数本の指で摘まみ、かつこの指固定具に人差し指、中指、または薬指の何れかの指の末節または中節を係合させる。これにより「引っ掛かり」構造を有しない従来例に係る一般的なネイル施術用のハンドピースと比較すると、本願の指固定具付きネイル施術用ハンドピースでは前述の指固定具に所定の指を係合させることにより、ドリルビットの先端を微細にコントロールすることが可能となる。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0011
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0011】
図1(A)は本願発明に係る指固定具10を装着した指固定具付きネイル施術用ハンドピース1の概念図である。本願発明の指固定具付きネイル施術用ハンドピース1は、図9に示す従来例に係るネイル施術用のハンドピース100と対比すると、指固定具10を装着した点を除き全て同一である。この実施例では、指固定具10は中指の末節と係合可能な湾曲形状のレバーで構成されている。もちろん係合する指は中指に限定する趣旨ではなく薬指と係合可能であってもよい。また指固定具10の取付位置は、X軸、Y軸、そしてZ軸の交点である指固定具付きネイル施術用ハンドピース1の重心OからX軸のドリルビット20側で、Z軸下方に向け、指が係合する位置に取り付けられる。指固定具10の形状は曲線状のレバーに限定せず、直線状でも円形でも、その形状は指と係合し易ければ特に限定はしない。材質は金属製、樹脂製等でもよい。指固定具付きネイル施術用ハンドピース1の実際の握持方法は、図1(B)に示すように指固定具付きネイル施術用ハンドピース1の筐体を指間部に当接させて握持する場合が多い。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0020
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0020】
最後に図8には、ハンドピースの筐体自体に人差し指、中指、または薬指の何れかの指の末節または中節を引っ掛ける窪みを具備する「くぼみ式指固定具10g」が開示されている。この実施例は、「くぼみ」に被施術者の爪が不用意に引っ掛からず、安全を考慮した構成であると共に、全体の構成をコンパクトにするためである。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0021
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0021】
指固定具10をハンドピースの重心Oよりドリルビット20側に取り付けることにより、不慣れな若いネイルアート研修生でも正しくハンドピースを握持できる。またより重要な点として指固定具10に指を係合させることで、Z軸下方への当接作用点がドリルビットに更に近づくため、ドリルビット先端の繊細なコントルールが可能となる。そして指を指固定具に軽く当てるだけで、ドリルビットを爪表面に対して適切に当接させることが可能となるため、長時間に渡るネイルアート操作でも疲れ難いという利点を有する。また既存のネイル施術用ハンドピースにも各種の指固定具10a~10gをオプションとして簡便に取り付けることが可能となり、X軸方向のドリルビット20からより近い点で、ドリルビット先端を微細にコントロール出来るという利点を有する。
【手続補正8】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図1
【補正方法】変更
【補正の内容】
図1
【手続補正9】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図9
【補正方法】変更
【補正の内容】
図9
【手続補正書】
【提出日】2023-10-06
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネイル施術用ハンドピースの重心Oからドリルビット(20)側の筐体に、該筐体から突出するように取り付けた「引っ掛かり」構造としての指固定具(10)を有するハンドピースであって、該ハンドピースを施術者が親指末節と人差し指末節で保持する時に、該指固定具(10)は、中指の末節が係合可能となる位置に取り付けられており、該係合した中指の末節により該指固定具(10)を操作することで、ハンドピースの先端に取り付けたドリルビット(20)を、被施術者の爪の丸みに合わせてコントロールすることが可能となるように構成したことを特徴とする指固定具付きネイル施術用ハンドピースにおいて
前記「引っ掛かり」構造としての指固定具(10)が、基部に雄ネジを有するレバーで構成され、該雄ネジをハンドピースの筐体に埋設した雌ネジ(11)に螺合させるネジ式指固定具(10a)であることを特徴とする指固定具付きネイル施術用ハンドピース(1)。
【請求項2】
ネイル施術用ハンドピースの重心Oからドリルビット(20)側の筐体に、該筐体から突出するように取り付けた「引っ掛かり」構造としての指固定具(10)を有するハンドピースであって、該ハンドピースを施術者が親指末節と人差し指末節で保持する時に、該指固定具(10)は、中指の末節が係合可能となる位置に取り付けられており、該係合した中指の末節により該指固定具(10)を操作することで、ハンドピースの先端に取り付けたドリルビット(20)を、被施術者の爪の丸みに合わせてコントロールすることが可能となるように構成したことを特徴とする指固定具付きネイル施術用ハンドピースにおいて
前記「引っ掛かり」構造としての指固定具(10)が、拡幅付勢した取付基部を有するレバーで構成され、該取付基部をハンドピースの筐体に埋設した取付位置調整機構(10b-1)と係合させるラチェット構造のラチェット式指固定具(10b)であることを特徴とする固定具付きネイル施術用ハンドピース(1)。
【請求項3】
ネイル施術用ハンドピースの重心Oからドリルビット(20)側の筐体に、該筐体から突出するように取り付けた「引っ掛かり」構造としての指固定具(10)を有するハンドピースであって、該ハンドピースを施術者が親指末節と人差し指末節で保持する時に、該指固定具(10)は、中指の末節が係合可能となる位置に取り付けられており、該係合した中指の末節により該指固定具(10)を操作することで、ハンドピースの先端に取り付けたドリルビット(20)を、被施術者の爪の丸みに合わせてコントロールすることが可能となるように構成したことを特徴とする指固定具付きネイル施術用ハンドピースにおいて
前記「引っ掛かり」構造としての指固定具(10)が、裏面に粘着層を有する貼付板に固定されたレバーで構成され、該貼付板の粘着層をハンドピースの筐体に貼付する貼付式指固定具(10c)であることを特徴とする指固定具付きネイル施術用ハンドピース(1)。
【請求項4】
ネイル施術用ハンドピースの重心Oからドリルビット(20)側の筐体に、該筐体から突出するように取り付けた「引っ掛かり」構造としての指固定具(10)を有するハンドピースであって、該ハンドピースを施術者が親指末節と人差し指末節で保持する時に、該指固定具(10)は、中指の末節が係合可能となる位置に取り付けられており、該係合した中指の末節により該指固定具(10)を操作することで、ハンドピースの先端に取り付けたドリルビット(20)を、被施術者の爪の丸みに合わせてコントロールすることが可能となるように構成したことを特徴とする指固定具付きネイル施術用ハンドピースにおいて
前記「引っ掛かり」構造としての指固定具(10)が、テーパー状のハンドピースの先端から挿入するリングに固定されたレバーで構成され、該リングにハンドピースの筐体を挿入固定するリング式指固定具(10d)であることを特徴とする指固定具付きネイル施術用ハンドピース(1)。
【請求項5】
ネイル施術用ハンドピースの重心Oからドリルビット(20)側の筐体に、該筐体から突出するように取り付けた「引っ掛かり」構造としての指固定具(10)を有するハンドピースであって、該ハンドピースを施術者が親指と中指で保持する時に、該指固定具(10)は、人差し指が挿入可能となる位置に取り付けられており、該挿入した人差し指により該指固定具(10)を操作することで、ハンドピースの先端に取り付けたドリルビット(20)を、被施術者の爪の丸みに合わせてコントロールすることが可能となるように構成したことを特徴とする指固定具付きネイル施術用ハンドピースにおいて
前記「引っ掛かり」構造としての指固定具(10)がダブルリング式指固定具(10e)で構成され、該ダブルリング式指固定具(10e)は、人差し指を挿入するリング1とハンドピースの筐体を挿入しかつ筐体に対し回動可能なリング2とを有し、該リング1とリング2は相互に連結された構成であり、更に該ダブルリング式指固定具(10e)は、リング1に挿入した人差し指の挿入角度に応じてハンドピースの筐体に対し回動調整可能な構成であり、人差し指を挿入したリング1を操作することで、ハンドピースの先端に取り付けたドリルビット(20)を、被施術者の爪の丸みに合わせてコントロールすることが可能となるように構成したことを特徴とする指固定具付きネイル施術用ハンドピース(1)。
【請求項6】
ネイル施術用ハンドピースの重心Oからドリルビット(20)側の筐体に、該筐体から突出するように取り付けた「引っ掛かり」構造としての指固定具(10)を有するハンドピースであって、該ハンドピースを施術者が親指末節と人差し指末節で保持する時に、該指固定具(10)は、中指の末節が係合可能となる位置に取り付けられており、該係合した中指の末節により該指固定具(10)を操作することで、ハンドピースの先端に取り付けたドリルビット(20)を、被施術者の爪の丸みに合わせてコントロールすることが可能となるように構成したことを特徴とする指固定具付きネイル施術用ハンドピースにおいて
前記「引っ掛かり」構造としての指固定具(10)が、円錐台状の基部にレバーを取り付けた中空テーパー状のキャップ構造で構成し、かつ該円錐台状の基部をハンドピースの筐体に被せるように装着するキャップ式指固定具(10f)であることを特徴とする指固定具付きネイル施術用ハンドピース(1)。
【請求項7】
ネイル施術用ハンドピースの重心Oからドリルビット(20)側の筐体に「引っ掛かり」構造としての指固定具(10)を有するハンドピースであって、該「引っ掛かり」構造としての指固定具(10)がくぼみ式指固定具(10g)で構成され、該くぼみ式指固定具(10g)は、ハンドピースの筐体自体に具備させた窪み(くぼみ)で構成され、該窪みに中指または薬指を引っ掛けることでハンドピースの先端に取り付けたドリルビット(20)を、被施術者の爪の丸みに合わせてコントロールすることが可能となるように構成したことを特徴とする指固定具付きネイル施術用ハンドピース(1)。
【請求項8】
請求項1記載の指固定具付きネイル施術用ハンドピース(1)のみに使用する「引っ掛かり」構造としての指固定具(10)であって、基部に雄ネジを有するレバーで構成され、該雄ネジをハンドピースの筐体に埋設した雌ネジ(11)に螺合させることを特徴とするネジ式指固定具(10a)。
【請求項9】
請求項2記載の指固定具付きネイル施術用ハンドピース(1)のみに使用する「引っ掛かり」構造としての指固定具(10)であって、拡幅付勢した取付基部を有するレバーで構成され、該取付基部をハンドピースの筐体に埋設した取付位置調整機構(10b-1)と係合させるラチェット構造を有することを特徴とするラチェット式指固定具(10b)。
【請求項10】
請求項3記載の指固定具付きネイル施術用ハンドピース(1)のみに使用する「引っ掛かり」構造としての指固定具(10)であって、裏面に粘着層を有する貼付板に固定されたレバーで構成され、該貼付板の粘着層をハンドピースの筐体に貼付することを特徴とする貼付式指固定具(10c)
【請求項11】
請求項4記載の指固定具付きネイル施術用ハンドピース(1)のみに使用する「引っ掛かり」構造としての指固定具(10)であって、テーパー状のハンドピースの先端から挿入するリングに固定されたレバーで構成され、該リングにハンドピースの筐体を挿入固定することを特徴とするリング式指固定具(10d)
【請求項12】
請求項5記載の指固定具付きネイル施術用ハンドピース(1)のみに使用する「引っ掛かり」構造としての指固定具(10)であって、該「引っ掛かり」構造としての指固定具(10)がダブルリング式指固定具(10e)で構成され、該ダブルリング式指固定具(10e)は、人差し指を挿入するリング1とハンドピースの筐体を挿入しかつ筐体に対し回動可能なリング2とを有し、該リング1とリング2は相互に連結された構成であり、更に該ダブルリング式指固定具(10e)は、リング1に挿入した人差し指の挿入角度に応じてハンドピースの筐体に対し回動調整可能な構成であり、人差し指を挿入したリング1を操作することで、ハンドピースの先端に取り付けたドリルビット(20)を、被施術者の爪の丸みに合わせてコントロールすることが可能となるように構成したことを特徴とするダブルリング式指固定具(10e)。
【請求項13】
請求項6記載の指固定具付きネイル施術用ハンドピース(1)のみに使用する「引っ掛かり」構造としての指固定具(10)であって、円錐台状の基部にレバーを取り付けた中空テーパー状のキャップ構造で構成し、かつ該円錐台状の基部をハンドピースの筐体に被せるように装着するキャップ式指固定具(10f)。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0004
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0004】
従来例に係るネイル施術用ハンドピースの第2の問題点として、これは本願発明の中心的課題であるが、既存のハンドピース100は先端に装着したドリルビットを下方へ当接させ難い構造である点である。再び図9(A)を参照にして以下具体的に述べる。ハンドピース100の重心Oを通る軸芯をX軸、親指と人差し指で摘まむ点(AおよびB1)を通りX軸と直交する軸をY軸、そしてその交点(重心O)からの垂直方向をZ軸とする。正しいハンドピースの握持の仕方は(A)に示すように、ハンドピースをY軸方向の親指末節との接点であるA点と、人差し指末節との接点であるB1点との2点で摘まみ、さらに人差し指基節近傍のB2点、または(B)に示すように指間部にハンドピースを乗せて安定的に保持する。そして安定的に保持したハンドピース100をネイルアートの施術者は手首Sでスナップを効かせつつ微細にコントロールすることで、先端のドリルビットを被施術者の爪の上や指周りで左右に動かすことになる。このハンドピースの握り方は、上述の鉛筆のコントロール方法と実質上は同一である。しかしながら歯科の医療行為とは異なりネイルアートでは、比較的長時間にわたりこの動作を繰り返しつつ爪の表面を削り(サンディングして)、例えば爪表面の汚れを完全に除去してジェルと爪を密着させる等のネイル処理を行う。この場合、ドリルビットの先端を爪表面上から遠ざけるにはC点で中指を少し押し上げれば済むが、反対にドリルビットの先端を爪表面に当接させる場合、つまりドリルビットで爪に対してサンディング処理等を行う場合には、中指でハンドピースをZ軸下方へ押し下げるには中指は全く無力である。理由はハンドピース100自体に、中指を係合させる「引っ掛かり」構造が全く無いためである。そのためドリルビットの先端を爪表面に当接させる場合には、親指と人差し指でA点とB1点を強く挟持して押し下げるのと同時に、ドリルビット先端から比較的遠いB2点または指間部をスナップ点Sで押し上げることで、ドリルビットを爪に対して当接させることが初めて可能となる。ただしドリルビットから手首のスナップ点Sまでの距離が遠いため、スナップの動きによってドリルビットを微細にコントロールすることは難しく、そのため親指末節との接点であるA点と人差し指末節との接点であるB1点での握持に負荷が集中し易い傾向がある。換言すると現状のネイル施術用ハンドピース100を流用するネイルアート操作では、爪表面での繊細なドリルビット・コントロールを長時間にわたり行うのは困難であるという欠点を有している。そのためX軸方向のドリルビット20からより近い点で、ドリルビット先端を微細にコントロールできる「引っ掛かり」構造が求められる。以上を要約すれば、問題点として、多くの人はハンドピースを強く握り、ドリルビットを爪に対して主に人差し指や親指で上からの圧力を掛け過ぎることにより爪を削り過ぎてしまう点、および人差し指や親指のみで操作することにより、ビット先端の可動域が直線的かつ狭くなるという構造上の問題が存在する。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0008
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0008】
上記課題を解決するために本願発明では、ドリルビット先端を微細にコントロールできる「引っ掛かり」構造として、ネイル施術用ハンドピースの筐体に指が係合可能な指固定具を追加装備したことを最も主要な特徴とする。この指固定具は、ネイル施術用のハンドピースの重心から先端に取付けたドリルビット側の筐体に、この筐体から突出するように取付けられている。そしてハンドピースの筐体を複数本の指で摘まみ、かつこの指固定具に人差し指、中指、または薬指の何れかの指の末節または中節を係合させる。これにより「引っ掛かり」構造を有しない従来例に係る一般的なネイル施術用のハンドピースと比較すると、本願の指固定具付きネイル施術用ハンドピースでは前述の指固定具に所定の指を係合させることにより、ドリルビットの先端を微細にコントロールすることが可能となる。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0011
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0011】
図1(A)は本願発明に係る指固定具10を装着した指固定具付きネイル施術用ハンドピース1の概念図である。本願発明の指固定具付きネイル施術用ハンドピース1は、図9に示す従来例に係るネイル施術用のハンドピース100と対比すると、指固定具10を装着した点を除き全て同一である。この実施例では、指固定具10は中指の末節と係合可能な湾曲形状のレバーで構成されている。もちろん係合する指は中指に限定する趣旨ではなく薬指と係合可能であってもよい。また指固定具10の取付位置は、X軸、Y軸、そしてZ軸の交点である指固定具付きネイル施術用ハンドピース1の重心OからX軸のドリルビット20側で、Z軸下方に向け、指が係合する位置に取り付けられる。指固定具10の形状は曲線状のレバーに限定せず、直線状でも円形でも、その形状は指と係合し易ければ特に限定はしない。材質は金属製、樹脂製等でもよい。指固定具付きネイル施術用ハンドピース1の実際の握持方法は、図1(B)に示すように指固定具付きネイル施術用ハンドピース1の筐体を指間部に当接させて握持する場合が多い。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0020
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0020】
最後に図8には、ハンドピースの筐体自体に中指または薬指を引っ掛ける窪みを具備する「くぼみ式指固定具10g」が開示されている。この実施例は、「くぼみ」に被施術者の爪が不用意に引っ掛からず、安全を考慮した構成であると共に、全体の構成をコンパクトにするためである。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0021
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0021】
指固定具10をハンドピースの重心Oよりドリルビット20側に取り付けることにより、不慣れな若いネイルアート研修生でも正しくハンドピースを握持できる。またより重要な点として指固定具10に指を係合させることで、Z軸下方への当接作用点がドリルビットに更に近づくため、ドリルビット先端の繊細なコントルールが可能となる。そして指を指固定具に軽く当てるだけで、ドリルビットを爪表面に対して適切に当接させることが可能となるため、長時間に渡るネイルアート操作でも疲れ難いという利点を有する。また既存のネイル施術用ハンドピースにも各種の指固定具10a~10gをオプションとして簡便に取り付けることが可能となり、X軸方向のドリルビット20からより近い点で、ドリルビット先端を微細にコントロール出来るという利点を有する。
【手続補正8】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図1
【補正方法】変更
【補正の内容】
図1
【手続補正9】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図9
【補正方法】変更
【補正の内容】
図9