(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024028076
(43)【公開日】2024-03-01
(54)【発明の名称】断熱防火構造及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
B32B 5/28 20060101AFI20240222BHJP
E04B 1/94 20060101ALI20240222BHJP
【FI】
B32B5/28 Z
E04B1/94 V
【審査請求】有
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022182732
(22)【出願日】2022-11-15
(31)【優先権主張番号】111131052
(32)【優先日】2022-08-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(71)【出願人】
【識別番号】501296612
【氏名又は名称】南亞塑膠工業股▲分▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】NAN YA PLASTICS CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】廖 ▲徳▼超
(72)【発明者】
【氏名】曹 俊哲
(72)【発明者】
【氏名】顏 世勳
【テーマコード(参考)】
2E001
4F100
【Fターム(参考)】
2E001DE01
2E001FA01
2E001FA02
2E001FA03
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(57)【要約】
【課題】本発明は、防火繊維層と、防火繊維層に設置された少なくとも1つの防火補強層とを備える、断熱防火構造を提供する。
【解決手段】防火繊維層は無機エアロゲルを含み、無機エアロゲルは、繊維の表面に付着するように防火繊維層に含まれ、防火繊維層を100wt%として、無機エアロゲルの含有量は20wt%~50wt%である。それによって、防火繊維層及びそれに含まれた無機エアロゲルは、優れた断熱性及び難燃性を発揮して、断熱防火構造は火災発生時の延焼を防ぎ、危険を軽減することができる。
【選択図】
図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
防火繊維層と、
前記防火繊維層に設置された少なくとも1つの防火補強層とを備える、断熱防火構造であって、
前記防火繊維層は無機エアロゲルを含み、前記無機エアロゲルは繊維の表面に付着するように前記防火繊維層に含まれ、
前記防火繊維層を100wt%として、前記無機エアロゲルの含有量は20wt%~50wt%であることを特徴とする、断熱防火構造。
【請求項2】
前記防火繊維層は、水溶性アルカリ土類繊維又はケイ酸塩繊維で製造される、請求項1に記載の断熱防火構造。
【請求項3】
少なくとも1つの前記防火補強層は、ガラス繊維、炭素繊維、金属繊維、シリコーンゴム(Silicone Rubber)、フッ素ゴム、又はそれらの組み合わせである、請求項1に記載の断熱防火構造。
【請求項4】
前記防火繊維層の厚みは0.2mm~250mmである、請求項1に記載の断熱防火構造。
【請求項5】
少なくとも1つの前記防火補強層の厚みは、0.015mm~0.5mmである、請求項1に記載の断熱防火構造。
【請求項6】
前記無機エアロゲルは、含浸又は塗布で防火繊維層に形成される、請求項1に記載の断熱防火構造。
【請求項7】
前記無機エアロゲルは、多孔質シリカ、若しくはアルミニウム、クロム、酸化スズ、炭素及びそれらの組み合わせである、請求項1に記載の断熱防火構造。
【請求項8】
前記防火繊維層は、第1の表面及び反対側にある第2の表面を含み、前記防火補強層は、1つを有すると共に、前記第1の表面又は前記第2の表面に設置される、請求項1に記載の断熱防火構造。
【請求項9】
前記防火繊維層は、第1の表面及び反対側にある第2の表面を含み、前記防火補強層は、2つを有すると共に、前記第1の表面及び前記第2の表面にそれぞれ設置される、請求項1に記載の断熱防火構造。
【請求項10】
前記防火繊維層及び少なくとも1つの前記防火補強層は、ニードルパンチ又は熱ラミネーションで一体となるように、断熱防火構造として形成される、請求項8又は9に記載の断熱防火構造。
【請求項11】
防火繊維層を提供することと、
少なくとも1つの防火補強層を防火繊維層に形成することと、
無機エアロゲルは、前記防火繊維層に均一に分散するように、前記防火繊維層に含まれることと、を含み、
前記防火繊維層を100wt%として、前記無機エアロゲルの含有量は、20wt%~50wt%であることを特徴とする、断熱防火構造の製造方法。
【請求項12】
前記防火繊維層は、第1の表面及び反対側にある第2の表面を含み、前記防火補強層は、1つを有すると共に、前記第1の表面又は前記第2の表面に設置される、請求項11に記載の断熱防火構造の製造方法。
【請求項13】
前記防火繊維層は、第1の表面及び反対側にある第2の表面を含み、前記防火補強層は、2つを有すると共に、前記第1の表面及び前記第2の表面にそれぞれ設置される、請求項11に記載の断熱防火構造の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、断熱防火構造に関し、特に、無機エアロゲルを含む断熱防火構造及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
通常、住宅やビルの下水管や電線は可燃性プラスチック製品が多く、火災が発生する際に、火に油を注ぐだけでなく、濃い煙や有毒ガスが発生し、火災現場からの脱出を妨げるため、経済的損失及び安全上の危険の主な原因となった。現在、政府は、火災が発生する際に、建物のパイプライン、梁、柱、壁等がそれらの可燃性によって燃焼して、火を更に拡大すること回避するように、一般住宅または建物のパイプラインの断熱または耐火性を規制するための関連する消防規則を策定している。
【0003】
しかしながら、既存の一般住宅や産業用の防火材・防火構造は、単層構造を有するものがほとんどであり、一部は複層構造を有するものがあるが、断熱性や難燃性が不良であるため、一般的な家庭用防火又は溶接火花防止として用いられるが、パイプライン、建物の梁や柱及び壁などの規則・不規則の表面を覆う場合、又は建物の中間層として用いる場合、十分な断熱、防火、難燃効果を得られない。
【0004】
故に、従来の断熱防火構造の問題を解決して、断熱防火構造の断熱性及び耐燃性を向上させることで、上記の欠点を克服することは、この事業の解決しよとした重要な課題の一つとなっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする技術の課題は、従来技術の不足に対し、断熱防火構造を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の技術的課題を解決するために、本発明が採用する一つの技術的手段は、防火繊維層と、防火繊維層に設置された少なくとも1つの防火補強層とを備える、断熱防火構造を提供する。防火繊維層は無機エアロゲルを含み、無機エアロゲルは繊維の表面に付着するように防火繊維層に含まれ、防火繊維層を100wt%として、無機エアロゲルの含有量は20wt%~50wt%である。
【0007】
本発明の一つの実施形態において、防火繊維層は、水溶性アルカリ土類繊維又はケイ酸塩繊維で製造される。
【0008】
本発明の一つの実施形態において、少なくとも1つの防火補強層は、ガラス繊維、炭素繊維、金属繊維、シリコーンゴム(Silicone Rubber)、フッ素ゴム、又はそれらの組み合わせである。
【0009】
本発明の一つの実施形態において、防火繊維層の厚みは0.2~250mmであり、50%~90%であることが好ましい。
【0010】
本発明の一つの実施形態において、少なくとも1つの防火補強層の厚みは、0.015mm~0.5mmであり、5wt%~20wt%であることが好ましい。
【0011】
本発明の一つの実施形態において、無機エアロゲルは、含浸又は塗布で防火繊維層に形成される。
【0012】
本発明の一つの実施形態において、無機エアロゲルは、多孔質シリカ、若しくはアルミニウム、クロム、酸化スズ、炭素及びそれらの組み合わせである。
【0013】
本発明の一つの実施形態において、防火繊維層は、第1の表面及び反対側にある第2の表面を含み、防火補強層は、1つを有すると共に、第1の表面又は第2の表面に設置される。
【0014】
本発明の一つの実施形態において、防火繊維層は、第1の表面及び反対側にある第2の表面を含み、防火補強層は、2つを有すると共に、第1の表面及び第2の表面にそれぞれ設置される。
【0015】
本発明の一つの実施形態において、防火繊維層及び少なくとも1つの防火補強層は、ニードルパンチ又は熱ラミネーションで一体となるように、断熱防火構造として形成される。
【0016】
上記の技術的課題を解決するために、本発明が採用する一つの技術的手段は、従来の技術の不足に対して、断熱防火構造の製造方法を提供する。断熱防火構造の製造方法は、防火繊維層を提供することと、防火補強層を防火繊維層に形成することと、無機エアロゲルは、防火繊維層に均一に分散するように、防火繊維層に含まれることと、を含み、防火繊維層を100wt%として、無機エアロゲルの含有量は、20wt%~50wt%である。
【発明の効果】
【0017】
本発明の有利な効果として、本発明に係る断熱防火構造及びその製造方法は、「少なくとも1つの防火補強層が防火繊維層に設置される」、及び「無機エアロゲルは、繊維の表面に付着するように防火繊維層に含まれ、防火繊維層を100wt%として、無機エアロゲルの含有量は20wt%~50wt%である」といった技術特徴によって、断熱防火構造の機械的強度、支持性及び引張強度を向上すると共に、断熱・防火効果を果たせるため、パイプライン、建物の梁や柱及び壁などの規則・不規則の表面を覆う際や、建物の中間層として用いる際に、火が建物のプラスチックパイプに延焼することを抑制又は遅れさせて、濃い煙と有害ガスの生成を減少すると共に、火災による危害を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1A】本発明の第一実施形態に係る断熱防火構造の第一構造を示す図である。
【
図1B】本発明の第一実施形態に係る断熱防火構造の第二構造を示す図である。
【
図2】本発明の第二実施形態に係る断熱防火構造の構造を示す図である。
【
図3】本発明の第三実施形態に係る断熱防火構造の製造方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の特徴及び技術内容がより一層分かるように、以下の本発明に関する詳細な説明と添付図面を参照されたい。しかし、提供される添付図面は参考と説明のために提供するものに過ぎず、本発明の請求の範囲を制限するためのものではない。
【0020】
以下、所定の具体的な実施態様によって本発明に係る「断熱防火構造及びその製造方法」を説明し、当業者は、本明細書に開示された内容に基づいて本発明の利点と効果を理解することができる。本発明は、他の異なる具体的な実施態様によって実行または適用でき、本明細書における各細部についても、異なる観点と用途に基づいて、本発明の構想から逸脱しない限り、各種の修正と変更を行うことができる。また、事前に説明するように、本発明の添付図面は、簡単な模式的説明であり、実際のサイズに基づいて描かれたものではない。以下の実施形態に基づいて本発明に係る技術内容を更に詳細に説明するが、開示される内容によって本発明の保護範囲を制限することはない。また、本明細書において使用される「または」という用語は、実際の状況に応じて、関連して挙げられる項目におけるいずれか1つまたは複数の組み合わせを含むことがある。
【0021】
[第一実施形態]
図1A及び
図1Bに示すように、本発明の第一実施形態に係る断熱防火構造の第一構造を示す図及び第二構造を示す図である。本発明の第一実施形態は、防火繊維層1と、防火補強層2とを、備えた断熱防火構造Mを提供する。防火繊維層1は、第1の表面11及び反対側にある第2の表面12を有すると共に、防火補強層2は、第1の表面11又は第2の表面12に設置されてもよい。即ち、防火繊維層1及び防火補強層2は、三次元積層構造の断熱防火構造Mを形成するように設置されると共に、良好な被覆性を有するため、例えば、パイプライン、建物の梁や柱及び壁などの規則・不規則の表面に適用できる。説明すべきことは、
図1A及び
図1Bに示すように、断熱防火構造Mは積層構造を呈する態様は、一つの示範例のみであるが、本発明において断熱防火構造Mを制限するものではない。
【0022】
本実施形態において、防火繊維層1は、水溶性アルカリ土類繊維又はケイ酸塩繊維で製造されるが、本発明において繊維の種類を制限するものではない。防火繊維層1は、水溶性アルカリ土類繊維又はケイ酸塩繊維を用いて、平織、ニット及び綾織りで製造されるか、若しくは、水溶性アルカリ土類繊維とケイ酸塩繊維とを1:1の比率となるように混紡されてもよく、それによって、防火繊維層1の機械的強度を向上することができる。更に説明すると、水溶性アルカリ土類繊維及びケイ酸塩繊維の難燃性が優れると共に、自己消火性を有するため、上記の材料は断熱防火構造Mの防火・難燃性を向上することとして用いられる。
【0023】
更に説明すると、防火繊維層1は、水溶性アルカリ土類繊維及びケイ酸塩繊維を用いて短繊維不織布のプロセスで形成された繊維織層であってもよい。このプロセスは、メルトブロー不織布に比べて、密度がより高い繊維織層を形成することができるため、防火繊維層1の機械的強度を更に向上して、支持性及び引張強度を増加することができる。
【0024】
本実施形態において、防火繊維層1は、繊維の表面に付着するように無機エアロゲルを含みと共に、防火繊維層1に連続や均一に分散し、また、防火繊維層1を100wt%として、無機エアロゲルの含有量は、20wt%~50wt%であり、25wt%~40wt%であることが好ましい。例えば、一つの実施形態において、無機エアロゲルの含有量は、25wt%、30wt%、35wt%、40wt%又は45wt%であってもよいが、本発明はこれに制限されるものではない。
【0025】
本実施形態において、無機エアロゲルは、多孔質シリカ、若しくはアルミニウム、クロム、酸化スズ、炭素及びそれらの組み合わせであるが、本発明はこれに制限されるものではない。また、無機エアロゲルは、含浸又は塗布で防火繊維層1に形成される。例えば、一つの実施形態において、無機エアロゲルは、ゾル-ゲル法で製造されると共に、含浸で防火繊維層1の繊維織層に導入される。それによって、本発明において、無機エアロゲルと防火繊維層1との接合力は、無機エアロゲルと従来の断熱発泡材料との接合力より優れると共に、防火及び断熱の相乗効果を発揮する。特筆すべきことは、無機エアロゲルは、熱伝導及び熱対流による熱を効果的にバリアする優れた断熱材であるため、本発明において、無機エアロゲルを防火繊維層1に導入されることで、良好な断熱・防火効果を果たせる。また、無機エアロゲルは、高い機械的強度も有することによって、防火繊維層1の支持性を向上させる。また、無機エアロゲルの分子骨格は、燃焼中又は燃焼後に崩れにくいので、被覆された目標物を保護することができる。
【0026】
実際に応用する際に、無機エアロゲルは高い気孔率及び高い吸水性を有するため、火事が発生する際に、建物の消火スプリンクラーシステムでスプレーされた水を速やかに吸収して、防火繊維層1に大量の水分を含有させることで、断熱防火構造Mの断熱・防火性を向上させる。それによって、断熱防火構造Mは、火事の建物のパイプライン、梁、柱、壁等の重要的な構造又は装備の破壊を低減し、火焔のパイプラインに対するアブレーションを抑制・遅れさせ、更に濃い煙や有毒ガスの発生を低減することによって、火事による危害を低減することができる。
【0027】
本実施形態において、防火繊維層1の厚みは、0.2mm~250mmであり、10mm~100mmであることが好ましい。例えば、一つの実施形態において、防火繊維層1の厚みは、10mm、50mm、100mm、150mm又は200mmである。防火繊維層1の厚みが100mmを超えると、防火繊維層1と防火補強層2との接合力が不足で、結合が困難となることがあり、また、防火繊維層1の厚みが厚すぎると、ニードルパンチ及び熱ラミネーションのプロセスにとって不利となり、製造コストを大幅に向上する。本実施形態において、防火補強層2の材料は、ガラス繊維、炭素繊維層、金属繊維、シリコーンゴム(Silicone Rubber)、フッ素ゴム又はそれらの組み合わせを用いてもよい。防火補強層2は、ガラス繊維、炭素繊維層、シリコーンゴム、又はフッ素ゴムを用いて、平織、ニット及び綾織りで製造されるか、若しくは、金属繊維とガラス繊維とを1:2の比率となるように混紡されてもよく、それによって、防火補強層2と防火繊維層1とが相乗効果を発生させて、断熱防火構造Mの機械的強度を向上すると共に、引張強度を向上することができるが、本発明において、防火補強層2の材料が制限されるものではない。
【0028】
本実施形態において、防火補強層2の厚みは、0.015mm~0.5mmであり、0.05mm~0.2mmであることが好ましい。例えば、一つの実施形態において、防火補強層2の厚みは、0.02mm、0.05mm、0.1mm、0.2mm、0.3mm又は0.4mmであってもよい。上述したように、防火補強層2の厚みが0.5mmを超えると、防火補強層2と防火繊維層1との結合が困難となる。また、防火補強層2は、断熱防火構造M全体の機械的強度及び引張強度を向上することができるが、断熱防火構造M全体の厚みが高すぎると、引張強度、可撓性及び曲げ性がて低減するので、断熱防火構造Mの被覆対象の被覆性及び密着性に影響すると共に、角が大きい曲げ、曲面又はスムーズでない表面に張り合わせることにとって不利となる。
【0029】
本実施形態において、防火繊維層1と防火補強層2とを、ニードルパンチ又は熱ラミネーションで一体となる結合して、断熱防火構造Mを形成する。ニードルパンチで一体成型の断熱防火構造Mを形成する場合、ニードルパンチマシンのニードルロールの粗さ、ニードルパンチの回数及びニードルパンチの深さによって、防火繊維層1及び防火補強層2の機械的強度及び硬さ(柔軟さ)を制御することができる。
【0030】
説明すべきことは、ニードルパンチで防火補強層2と防火繊維層1とを一体成型の断熱防火構造Mを形成する場合、防火補強層2の厚みが0.015mm未満であると、破孔を形成しやすい。一方、防火補強層2の厚みが0.5mmを超えると、ニードルパンチマシンのニードルロールの磨耗が速くなり、ニードルロールの品質が制御しにくい。
【0031】
更に説明すると、熱ラミネーションで防火補強層2と防火繊維層1とを一体成型の断熱防火構造Mを形成する場合、隣接する防火繊維層1と防火補強層2との間に高温でシリコーンゴムを、所定の深さに浸透するように、防火繊維層1及び防火補強層2の機械的強度及び硬さ(柔軟さ)を制御することができる。即ち、必要に応じて、ニードルロール、熱ラミネーション又はそれらの組み合わせで、断熱防火構造Mの機械的強度、硬さ(柔軟さ)及び引張強度を制御する。それによって、断熱防火構造Mをさまざまな状況(例えば、家庭用防火又は溶接火花防止)に応じて、パイプライン、建物の梁や柱の被覆、又は建物の中間層として用いられる。
【0032】
特に、本発明に係る断熱防火構造M自体は、火がつきにくく、燃えにくく、且つ断熱性を有するため、燃えているものを覆って酸素ガスをバリアして火焔を消すための防火用毛布を製造することができる。実際に応用する際に、防火用毛布は、火種や、未だ広がっていない火源を消すこととして用いられるが、制御不能な火事やひどい火事を消すことができない。また、制御不能な火事が発生する際に、防火用毛布を被ることによって、逃げるときに火傷を回避し、身の安全を向上させるのに役に立つ。
【0033】
[第二実施形態]
図2と、
図1A及び
図1Bを参酌されたい。
図2は、本発明の第二実施形態に係る断熱防火構造の構造を示す図である。本発明の第二実施形態において、第1の表面11及び反対側にある第2の表面12を有する防火繊維層1を備える断熱防火構造Mを提供する。本実施形態と第一実施形態との最大の相違点は、「断熱防火構造Mは、2つの防火補強層2を含むと共に、2つの防火補強層2はそれぞれ、防火繊維層1の第1の表面11及び第2の表面12に設置される」ことである。
【0034】
即ち、防火繊維層1及び2つの防火補強層2は、防火補強層2/防火繊維層1/防火補強層2の順に基づいて、三層の積層構造を有する断熱防火構造Mとして設置される。説明すべきことは、
図2に示すように、断熱防火構造Mが積層構造であることがあくまでも一つの市販例であり、本発明において、断熱防火構造Mの形状を制限するものではない。
【0035】
更に説明すると、2つの防火補強層2は、断熱防火構造Mの機械的強度及び引張強度を更に向上させることによって、実際に応用する際に破れにくいと共に、断熱防火構造Mが適用する箇所を増加することができる。また、防火繊維層1及び2つの防火補強層2は、ニードルパンチ又は熱ラミネーションで一体となるように、断熱防火構造Mとして形成される。しかしながら、本発明において、2つの防火補強層2の設置方法は同様であることが限られない。即ち、防火補強層2の一つは、ニードルパンチで防火繊維層1の第1の表面11に形成され、もう1つは、熱ラミネーションで第2の表面12に形成されてもよい。一方、2つの防火補強層2はそれぞれ、ニードルパンチで防火繊維層1の第1の表面11及び第2の表面12に形成されるか、若しくは、防火補強層2は、熱ラミネーションで防火繊維層1の第1の表面11形成されるか、若しくは、その他のニードルパンチと熱ラミネーションとの組み合わせで形成されてもよい。
【0036】
防火繊維層1及び防火補強層2の技術特徴及び実施形態はすでに、第一実施形態に記載されているため、ここで重複に説明しない。
【0037】
[第三実施形態]
本発明の第三実施形態に係る断熱防火構造の製造方法のフローチャートである
図3に示すように、本発明は、断熱防火構造Mの製造方法を提供し、断熱防火構造Mの製造方法は、以下の工程を含む。
工程S1において、第1の表面11及び反対側にある第2の表面12を有する防火繊維層1を提供する。
工程S2において、少なくとも1つの防火補強層2を、防火繊維層1に形成する。
工程S3において、無機エアロゲルは、防火繊維層1に均一に分散するように、防火繊維層1に含まれ、また、防火繊維層1を100wt%として、無機エアロゲルの含有量は、20wt%~50wt%である。
【0038】
更に説明すると、本実施形態において、防火補強層2が一層である場合、防火補強層2は第1の表面11及び第2の表面12のいずれかに形成される。防火補強層2が二層である場合、防火補強層2は第1の表面11及び第2の表面12のそれぞれに形成される。
【0039】
防火繊維層1及び防火補強層2の技術特徴及び実施形態は既に、第一実施形態に記載されているため、ここで重複に説明しない。
【0040】
[測定及び実験方法]
破裂強さ(kg/cm2)試験:まず、縦方向及び横方向に沿ってサイズ(長:100mm、30mm)が同様であるサンプルを取って、クランプ圧を2kg/cm2にする。サンプルを表を上にするように、破裂強さ試験機のテストブロックに放置した上で、圧力計の赤い指針がゼロの位置にあることを確認する。次に、加圧ロッドを押し下げて、加圧シートがサンプルを押すようにし、ゴムフィルムがサンプルを破裂させると、加圧ロッドをすぐに減圧位置に移動して、加圧シートが上昇し、ゴム膜が減圧され、圧力計の赤い指針のポインターの位置データが読み取られると共に、記録される。
【0041】
難燃性測定:ASTME1354の測定基準に基づいて、コーン熱量計でサンプルの異なる加熱時間を経った後の燃焼熱のリリースレートを測定する。50kW/m2の加熱条件において、サンプルに対してそれぞれ、20分、10分及び5分で加熱を行って、以下の標準1~3の加熱条件に基づいて、その耐熱レベルを決める。
1.サンプルの総リリース量は、8MJ/m2以下である。
2.最大熱リリース量が200kW/m2を超える時間は、10秒以上続かない。
3.サンプルの裏に割れや孔が発生しない。
サンプルの耐熱レベルは、以下のような3つのレベルに分ける。
A.耐熱レベル1は、サンプルが20分で加熱を経った後に、前記標準1~3を満たす。
B.耐熱レベル2は、サンプルが10分で加熱を経った後に、前記標準1~3を満たす。
C.耐熱レベル3は、サンプルが5分で加熱を経った後に、前記標準1~3を満たす。
【0042】
[実施形態による有利な効果]
本発明の有利な効果として、本発明に係る断熱防火構造及びその製造方法は、「少なくとも1つの防火補強層が防火繊維層に設置される」、及び「無機エアロゲルは、繊維の表面に付着するように防火繊維層に含まれ、防火繊維層を100wt%として、無機エアロゲルの含有量は20wt%~50wt%である」といった技術特徴によって、断熱防火構造の機械的強度、支持性及び引張強度を向上すると共に、断熱・防火効果を果たせるため、パイプライン、建物の梁や柱及び壁などの規則・不規則の表面を覆うことができるので、火事が発生する際に、火の延焼を防止することによって、危害を低減することができる。
【0043】
更に説明すると、実際の必要に応じて、ニードルロール、熱ラミネーション又はそれらの組み合わせで、防火繊維層と少なくとも一つの防火補強層とを一体化してなる断熱防火構造の機械的強度、硬さ(柔軟さ)及び引張強度を制御することができる。そてによって、断熱防火構造をさまざまな状況(例えば、家庭用防火又は溶接火花防止)に応じて、パイプライン及び建物の梁や柱の被覆、又は建物の中間層として用いられる。
【0044】
更に説明すると、本発明に係る断熱防火構造は、燃えているものを覆って酸素ガスをバリアして火焔を消すための防火用毛布として製造されてもよい。若しくは、防火用毛布を被ることによって、逃げるときに火傷を回避し、身の安全を向上させるのに役に立つ。
【0045】
以上に開示された内容は、ただ本発明の好ましい実行可能な実施態様であり、本発明の請求の範囲はこれに制限されない。そのため、本発明の明細書及び図面内容を利用して成される全ての等価な技術変更は、いずれも本発明の請求の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0046】
M…断熱防火構造
1…防火繊維層
11…第1の表面
12…第2の表面
2…防火補強層