(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024028081
(43)【公開日】2024-03-01
(54)【発明の名称】感熱記録材料の製造方法
(51)【国際特許分類】
B41M 5/337 20060101AFI20240222BHJP
B41M 5/327 20060101ALI20240222BHJP
【FI】
B41M5/337 210
B41M5/337 230
B41M5/327 210
B41M5/327 215
B41M5/337 212
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022196354
(22)【出願日】2022-12-08
(31)【優先権主張番号】P 2022131295
(32)【優先日】2022-08-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000005980
【氏名又は名称】三菱製紙株式会社
(72)【発明者】
【氏名】森田 邦男
【テーマコード(参考)】
2H026
【Fターム(参考)】
2H026AA07
2H026BB13
2H026CC07
2H026DD04
2H026DD23
2H026DD43
2H026DD48
2H026DD53
2H026HH03
(57)【要約】
【課題】高い印字濃度が得られ、地肌の赤かぶりが少なく、製造安定性に優れた感熱記録材料を得ることができる感熱記録材料の製造方法を提供する。
【解決手段】感熱記録層は染料前駆体として3,3-ビス(1-n-ブチル-2-メチル-3-インドリル)フタリド、3-ジエチルアミノ-7-クロロフルオランから選ばれる少なくとも一種と、該染料前駆体の分散剤としてエステル化度が15%以上のマレイン酸系共重合体およびHLB値が10以上のノニオン系界面活性剤を含有し、該染料前駆体に対する該ノニオン系界面活性剤の含有量を0.15質量~4質量%とした条件下で該染料前駆体を湿式粉砕する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持体上に染料前駆体および顕色剤を含有する感熱記録層を有する感熱記録材料の製造方法であって、該感熱記録層は染料前駆体として3,3-ビス(1-n-ブチル-2-メチル-3-インドリル)フタリド、3-ジエチルアミノ-7-クロロフルオランから選ばれる少なくとも一種と、該染料前駆体の分散剤としてエステル化度が15%以上のマレイン酸系共重合体およびHLB値が10以上のノニオン系界面活性剤を含有し、該染料前駆体に対する該ノニオン系界面活性剤の含有量を0.15質量~4質量%とした条件下で該染料前駆体を湿式粉砕することを特徴とする感熱記録材料の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高い印字濃度が得られ、地肌の赤かぶりが少なく、製造安定性に優れた感熱記録材料を得ることができる、感熱記録材料の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
感熱記録材料は、一般に支持体上に電子供与性の染料前駆体(以下、染料前駆体と記載する。)、および電子受容性顕色剤(以下、顕色剤と記載する。)を含有する感熱記録層を設けたものであり、該感熱記録層を熱ヘッド、熱ペン、レーザー光等で加熱することにより、染料前駆体と顕色剤とが瞬時に反応し記録画像が得られるものである。このような感熱記録材料は、比較的簡単な装置で記録画像が得られ、保守が容易なこと、騒音の発生がないこと等の利点があり、計測記録計、ファクシミリ、プリンター、コンピューターの端末機、ラベル印字機、乗車券、チケットの発券機等、広範囲の分野に利用されている。特に近年は、ガス、水道、電気料金等の領収書、金融機関のATMの利用明細書、各種レシート等、財務関係の記録用紙やPOSシステム用の感熱記録ラベルあるいは感熱記録タグ等にも感熱記録材料が用いられている。
【0003】
これらの用途では、高い印字濃度を示す感熱記録材料が要望されている。この要求を満たすために、染料前駆体は、サンドグラインダー、ボールミル、アトライター、ビーズミル等の粉砕機にて湿式粉砕する方法により微粒化して用いられる。微粒化された染料前駆体を用いることで、加熱により染料前駆体が溶融しやすくなり、溶融した染料前駆体が顕色剤と分子レベルで混じり合い発色反応が促進される。
【0004】
また、感熱記録材料については、黒発色のみならず、赤発色の感熱記録材料が使用される場合がある。赤発色の感熱記録材料は、黒発色の感熱記録材料と比較して、地肌の赤かぶりが目立つ傾向であり、地肌の赤かぶりが少ない感熱記録材料が要求されている。
【0005】
赤色に発色する染料前駆体として3,3-ビス(1-n-ブチル-2-メチル-3-インドリル)フタリドや3-ジエチルアミノ-7-クロロフルオランが知られている。例えば、特開2006-281473号公報(特許文献1)には、低温印字部と高温印字部との色分離がよく、各色調の画像部の耐光保存性に優れ、長時間の耐光試験においても発色機能の低下が抑制された多色感熱記録材料として、3,3-ビス(1-n-ブチル-2-メチル-3-インドリル)フタリドと3-ジエチルアミノ-7-クロロフルオランを含有する多色感熱記録材料が記載されている。しかしながら、近年では感熱記録材料の使用環境はより過酷になってきており、感熱記録層に3,3-ビス(1-n-ブチル-2-メチル-3-インドリル)フタリドや3-ジエチルアミノ-7-クロロフルオランを含有する感熱記録材料は地肌の赤かぶりの点で十分満足できるものではなかった。
【0006】
染料前駆体を湿式粉砕する際に、分散剤としてノニオン系界面活性剤を用いることで地肌かぶりが改善できることが知られており、例えば特開平6-206374号公報(特許文献2)や特開2002-283727号公報(特許文献3)に記載される。しかし、この技術を用いて、3,3-ビス(1-n-ブチル-2-メチル-3-インドリル)フタリドや3-ジエチルアミノ-7-クロロフルオランを分散した場合、該染料前駆体を含有する分散液がゲル化したり、分散質が沈降、凝固したりするなど製造安定性に問題を有していた。また、染料前駆体を湿式粉砕する際に、分散剤としてスチレンマレイン酸共重合体を用いることで地肌かぶりが改善できることが知られており、この事は例えば特開平8-39931(特許文献4)に記載される。しかし、この技術を用いた場合、3,3-ビス(1-n-ブチル-2-メチル-3-インドリル)フタリドや3-ジエチルアミノ-7-クロロフルオランを使用する感熱記録材料の地肌の赤かぶりが悪化する問題を有していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2006-281473号公報
【特許文献2】特開平6-206374号公報
【特許文献3】特開2002-283727号公報
【特許文献4】特開平8-39931号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、高い印字濃度が得られ、地肌の赤かぶりが少なく、製造安定性に優れた感熱記録材料を得ることができる感熱記録材料の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
支持体上に染料前駆体および顕色剤を含有する感熱記録層を有する感熱記録材料の製造方法であって、該感熱記録層は染料前駆体として3,3-ビス(1-n-ブチル-2-メチル-3-インドリル)フタリド、3-ジエチルアミノ-7-クロロフルオランから選ばれる少なくとも一種と、該染料前駆体の分散剤としてエステル化度が15%以上のマレイン酸系共重合体およびHLB値が10以上のノニオン系界面活性剤を含有し、該染料前駆体に対する該ノニオン系界面活性剤の含有量を0.15質量~4質量%とした条件下で該染料前駆体を湿式粉砕することを特徴とする感熱記録材料の製造方法。
【発明の効果】
【0010】
本発明によって、高い印字濃度が得られ、地肌の赤かぶりが少なく、製造安定性に優れた感熱記録材料を得ることができる感熱記録材料の製造方法を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の内容を更に具体的に説明する。
【0012】
本発明において、感熱記録層が染料前駆体として含有する3,3-ビス(1-n-ブチル-2-メチル-3-インドリル)フタリド、3-ジエチルアミノ-7-クロロフルオランの少なくとも一種は、分散剤としてエステル化度が15%以上のマレイン酸系共重合体およびHLB値が10以上のノニオン系界面活性剤を用いて、該染料前駆体に対する該ノニオン系界面活性剤の含有量を0.15質量%以上かつ4質量%以下とした条件下で湿式粉砕する。該ノニオン系界面活性剤のHLB値が10未満では、染料前駆体分散液を得る際にゲル化が生じやすく製造安定性が低下する。また、該ノニオン系界面活性剤の含有量が、0.15質量%未満では地肌の赤かぶりが生じ、該界面活性剤の含有量が4質量%を超えると十分な印字濃度が得られない。
【0013】
本発明においてノニオン系界面活性剤は、親水基が水中でイオン解離しない水酸基やエーテル結合などで構成されており、例えばポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン-2-エチルヘキシルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレントリデシルエーテル、ポリオキシエチレンひまし油エーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンオレエート、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ソルビタンラウレート、ソルビタンステアレート、ソルビタンオレエート、ソルビタントリオレエート、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンステアレート、ポリオキシエチレンソルビタンオレエート、ポリオキシエチレンソルビタントリオレエート、ポリオキシエチレンポリスチレンフェニルエーテル、ポリエチレングリコール、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル等が挙げられる。これらは単独で、もしくは2種以上を使用することもできる。このようなノニオン系界面活性剤は市販品を利用することもでき、例えば花王(株)よりエマルゲン(登録商標)MS-110(ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル)、レオドール(登録商標)TW-L120(ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート)等を好適に用いることができる。また、本発明において感熱記録層が含有する3,3-ビス(1-n-ブチル-2-メチル-3-インドリル)フタリドおよび3-ジエチルアミノ-7-クロロフルオランの総量に対するノニオン系界面活性剤の含有量が、0.2質量%~4質量%の範囲では、地肌の赤かぶりが少なく、高い印字濃度と製造安定性に優れる感熱記録材料が得られるため好ましい。さらに該ノニオン系界面活性剤のHLB値が10以上かつ18以下の範囲では、地肌の赤かぶりが少なく、高い印字濃度と製造安定性に優れる感熱記録材料が得られるため好ましい。
【0014】
本発明において染料前駆体の湿式粉砕に用いるマレイン酸系共重合体は、モノマーユニットとしてマレイン酸を含む共重合体であり、該マレイン酸のモノマーユニットの15%以上がエステル化されている(つまりエステル化度が15%以上である)。エステル化度が15%未満の場合、上述したノニオン系界面活性剤を適量で併用しても十分な製造安定性を得ることができない。マレイン酸系共重合体は無水マレイン酸と公知の各種モノマーをラジカル共重合し、該共重合体の無水マレイン酸ユニットをエステル化および加水分解することによって得ることができ、例えば、α-オレフィンとマレイン酸の共重合体、アルキルビニルエーテルとマレイン酸の共重合体、スチレン誘導体とマレイン酸の共重合体等を挙げることができる。特に、本発明におけるマレイン酸系共重合体は、エステル化度15%以上で、かつ質量平均分子量が5000~60000であることが好ましく、これにより3,3-ビス(1-n-ブチル-2-メチル-3-インドリル)フタリドや3-ジエチルアミノ-7-クロロフルオランの分散において高粘度化や粉砕不良を起こさない優れた製造安定性を得ることができる。
【0015】
これらのようなマレイン酸系共重合体は必要に応じて1種、もしくは2種以上を使用することもできる。これらのようなマレイン酸系共重合体は市販品を利用することもでき、例えば荒川化学工業(株)製ポリマロン(登録商標)1318(エステル化度70%、平均分子量50000~60000)、KS-1333(エステル化度70%、平均分子量10000~20000)等を好適に用いることができる。
【0016】
本発明において、3,3-ビス(1-n-ブチル-2-メチル-3-インドリル)フタリドおよび3-ジエチルアミノ-7-クロロフルオランは併用することができる。併用する比率は画像部の色調や画像部の耐光保存性などを考慮して任意に選択できるが、3-ジエチルアミノ-7-クロロフルオランの比率が50%以上の場合、画像部の色調が鮮やかな朱色になるため好ましい。
【0017】
本発明において、3,3-ビス(1-n-ブチル-2-メチル-3-インドリル)フタリド、3-ジエチルアミノ-7-クロロフルオランから選ばれる少なくとも一種は、好ましくは水を分散媒体として使用して湿式粉砕される。水以外の分散媒体としては、水に相溶性のある有機溶媒、例えばメチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、アセトン、メチルエチルケトン、エチレングリコール等が挙げられる。分散媒体全体に占める水の割合は90質量%以上が分散液の安定性の観点から好ましい。なお本発明において、分散剤として使用するとは、湿式粉砕時において上記した分散媒体がこれら化合物を含有することを意味する。
【0018】
本発明において3,3-ビス(1-n-ブチル-2-メチル-3-インドリル)フタリドおよび3-ジエチルアミノ-7-クロロフルオランは、サンドグラインダー、ボールミル、アトライター、ビーズミル等の各種湿式粉砕機によって、3,3-ビス(1-n-ブチル-2-メチル-3-インドリル)フタリド、3-ジエチルアミノ-7-クロロフルオランの少なくとも一種を含む分散質の体積平均粒子径を好ましくは0.1~1.5μmになるまで粉砕した後、感熱記録層の感熱層塗工液の調製に用いられる。感熱記録層が3,3-ビス(1-n-ブチル-2-メチル-3-インドリル)フタリドおよび3-ジエチルアミノ-7-クロロフルオランの少なくとも一種を含有する場合、分散安定性の観点から上記3,3-ビス(1-n-ブチル-2-メチル-3-インドリル)フタリドおよび3-ジエチルアミノ-7-クロロフルオランの湿式粉砕はそれぞれ個別に行う事が好ましい。なお上記した染料前駆体の体積平均粒子径を1.5μmよりも大きくした場合、印字濃度が悪化する場合がある。これは、体積平均粒子径の大きい染料前駆体を用いた場合、加熱により染料前駆体が溶融しにくくなり、溶融した染料前駆体が顕色剤と分子レベルで混じり合いにくく発色反応が抑制されてしまうためである。
【0019】
上記3,3-ビス(1-n-ブチル-2-メチル-3-インドリル)フタリドおよび3-ジエチルアミノ-7-クロロフルオランとしては市販品を利用することもでき、3,3-ビス(1-n-ブチル-2-メチル-3-インドリル)フタリドは、例えば山本化成(株)より市販されるRed-40を例示することができ、3-ジエチルアミノ-7-クロロフルオランは同じく山本化成(株)より市販されるRed-8を例示することができる。また、本発明における体積平均粒子径とは、レーザー回折・散乱法によって得られた粒度分布から算出される体積平均粒子径のことであり、具体的には、マイクロトラック・ベル(株)製MICROTRAC(登録商標)シリーズ、(株)堀場製作所製LAシリーズ、(株)島津製作所製SALD(登録商標)シリーズ、ベックマン・コールター(株)製LSリーズ等によって測定することができる。
【0020】
本発明において3,3-ビス(1-n-ブチル-2-メチル-3-インドリル)フタリドおよび3-ジエチルアミノ-7-クロロフルオランを湿式粉砕する際、HLB値が10以上のノニオン系界面活性剤とエステル化度15%以上のマレイン酸系共重合体以外に併用できる他の分散剤としては、完全ケン化ポリビニルアルコール、部分ケン化ポリビニルアルコール、スルホン酸変性ポリビニルアルコール、シラノール変性ポリビニルアルコール、カルボキシ変性ポリビニルアルコール、ジアセトン変性ポリビニルアルコール、アセトアセチル変性ポリビニルアルコール、リン酸変性ポリビニルアルコール、ブチラール変性ポリビニルアルコール、エポキシ変性ポリビニルアルコール等のポリビニルアルコール類、デンプンまたはその誘導体、セルロース誘導体、ゼラチン、カゼイン等のプロテイン、キトサンの酸中和物、アルギン酸ソーダ、ポリビニルピロリドン、エチレン/アクリル酸共重合体塩、スチレン/アクリル酸共重合体塩、ポリアクリル酸塩等の水溶性高分子化合物、ドデシルベンゼンスルホン酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸塩、脂肪酸金属塩等のアニオン系低分子界面活性剤、HLB値が10よりも低いノニオン系界面活性剤等が挙げられるが、これらに限定されるものではなく、また必要に応じて1種以上を使用することができる。本発明において、エステル化度が15%以上のマレイン酸系共重合体とHLB値が10以上のノニオン系界面活性剤および併用できる他の分散剤の総固形分は、3,3-ビス(1-n-ブチル-2-メチル-3-インドリル)フタリド、3-ジエチルアミノ-7-クロロフルオランの少なくとも一種を含む分散液の分散質総量に対して、3~30質量%の範囲であることが好ましい。
【0021】
本発明において3,3-ビス(1-n-ブチル-2-メチル-3-インドリル)フタリド、3-ジエチルアミノ-7-クロロフルオランの少なくとも一種を湿式粉砕するにあたり、使用するメディアの粒子径は、得ようとする分散質の所望の粒径によって適宜選択すれば良いが、シャープな粒度分布かつ微粒化を進めるためには直径0.2~2.0mmの範囲のビーズが好ましく、材質はガラス、ジルコニア、アルミナなどを例示することができる。また、粉砕室内におけるビーズ充填率は、30~95容積%が好ましい。さらに、3,3-ビス(1-n-ブチル-2-メチル-3-インドリル)フタリド、3-ジエチルアミノ-7-クロロフルオランを粉砕する際の分散液の温度は50℃以下にすることが望ましい。50℃より高い温度で処理した場合、ゲル化を引き起こす場合がある。
【0022】
本発明において、3,3-ビス(1-n-ブチル-2-メチル-3-インドリル)フタリド、3-ジエチルアミノ-7-クロロフルオランの少なくとも一種を湿式粉砕する際、地肌の赤かぶりの改良を目的として、無機の分散質と共に湿式粉砕することも可能である。該無機の分散質としては、ケイソウ土、タルク、カオリン、焼成カオリン、炭酸カルシウム、非晶質珪酸カルシウム、硫酸カルシウム、珪酸カルシウム、炭酸マグネシウム、珪酸マグネシウム、リン酸マグネシウム、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、珪酸アルミニウム、アルミナ、コロイダルアルミナ、二酸化チタン、酸化亜鉛、酸化珪素、非晶質シリカ、コロイダルシリカ、硫酸バリウム、硫化亜鉛、炭酸亜鉛、サチンホワイト、リトポン、ゼオライト、ハイドロタルサイト、加水ハロイサイト等が例示される。全分散質中に占める無機の分散質の割合は、20質量%未満が好ましい。これにより製造安定性に優れた感熱記録材料を得ることができる。さらに、3,3-ビス(1-n-ブチル-2-メチル-3-インドリル)フタリド、3-ジエチルアミノ-7-クロロフルオランの少なくとも一種を粉砕した後の分散液を本発明の効果を阻害しない範囲で加温処理しても良く、粉砕した後の粒子表面に有機高分子より形成される被覆層を設けても良い。
【0023】
本発明における感熱記録材料が含有する3,3-ビス(1-n-ブチル-2-メチル-3-インドリル)フタリド、3-ジエチルアミノ-7-クロロフルオランの合計含有量は、感熱記録層の総固形分に対して1~30質量%の範囲である場合、高い印字濃度と製造安定性に優れる感熱記録材料が得られるため好ましい。
【0024】
本発明における感熱記録材料が有する感熱記録層は、染料前駆体として含有する3,3-ビス(1-n-ブチル-2-メチル-3-インドリル)フタリド、3-ジエチルアミノ-7-クロロフルオランの少なくとも一種以外にも、一般に感圧記録材料や、感熱記録材料に用いられる染料前駆体を適宜組み合わせて含有することができる。具体例としては下記に挙げるものなどがあるが、これらに限定されるものではない。
【0025】
黒系の染料前駆体としては、3-ジ-n-ブチルアミノ-6-メチル-7-アニリノフルオラン、3-ジ-n-ペンチルアミノ-6-メチル-7-アニリノフルオラン、3-ジエチルアミノ-6-メチル-7-アニリノフルオラン、3-ジ-n-ブチルアミノ-7-(2-クロロアニリノ)フルオラン、3-ジエチルアミノ-7-(2-クロロアニリノ)フルオラン、3-ジエチルアミノ-6-メチル-7-キシリジノフルオラン、3-ジエチルアミノ-7-(2-カルボメトキシフェニルアミノ)フルオラン、3-(N-シクロヘキシル-N-メチル)アミノ-6-メチル-7-アニリノフルオラン、3-(N-シクロペンチル-N-エチル)アミノ-6-メチル-7-アニリノフルオラン、3-(N-イソアミル-N-エチル)アミノ-6-メチル-7-アニリノフルオラン、3-(N-エチル-4-トルイジノ)-6-メチル-7-アニリノフルオラン、3-(N-エチル-4-トルイジノ)-6-メチル-7-(4-トルイジノ)フルオラン、3-(N-メチル-N-テトラヒドロフルフリル)アミノ-6-メチル-7-アニリノフルオラン、3-ピロリジノ-6-メチル-7-アニリノフルオラン、3-ピロリジノ-6-メチル-7-(4-n-ブチルフェニルアミノ)フルオラン、3-ピペリジノ-6-メチル-7-アニリノフルオラン、3-(N-エチル-N-イソペンチル)アミノ-6-メチル-7-アニリノフルオラン、
【0026】
赤系の染料前駆体としては、3,3-ビス(1-n-ブチル-2-メチルインドール-3-イル)テトラクロロフタリド、3,3-ビス(1-n-ブチルインドール-3-イル)フタリド、3,3-ビス(1-n-ペンチル-2-メチルインドール-3-イル)フタリド、3,3-ビス(1-n-ヘキシル-2-メチルインドール-3-イル)フタリド、3,3-ビス(1-n-オクチル-2-メチルインドール-3-イル)フタリド、3,3-ビス(1-メチル-2-メチルインドール-3-イル)フタリド、3,3-ビス(1-エチル-2-メチルインドール-3-イル)フタリド、3,3-ビス(1-プロピル-2-メチルインドール-3-イル)フタリド、3,3-ビス(2-メチルインドール-3-イル)フタリド、ローダミンB-アニリノラクタム、ローダミンB-(o-クロロアニリノ)ラクタム、ローダミンB-(p-ニトロアニリノ)ラクタム、3-ジエチルアミノ-5-メチル-7-ジベンジルアミノフルオラン、3-ジエチルアミノ-6-メチル-7-クロロフルオラン、3-ジエチルアミノ-6-メトキシフルオラン、3-ジエチルアミノ-6-メチルフルオラン、3-ジエチルアミノ-6-メチル-7-クロロ-8-ベンジルフルオラン、3-ジエチルアミノ-6,7-ジメチルフルオラン、3-ジエチルアミノ-6,8-ジメチルフルオラン、3-ジエチルアミノ-7-メトキシフルオラン、3-ジエチルアミノ-7-(N-アセチル-N-メチル)アミノフルオラン、3-ジエチルアミノ-7-メチルフルオラン、3-ジエチルアミノ-7-n-プロポキシフルオラン、3-ジエチルアミノ-7-p-メチルフェニルフルオラン、3-ジエチルアミノ-7,8-ベンゾフルオラン、3-ジエチルアミノベンゾ[a]フルオラン、3-ジエチルアミノベンゾ[c]フルオラン、3-ジメチルアミノ-7-メトキシフルオラン、3-ジメチルアミノ-6-メチル-7-クロロフルオラン、3-ジメチルアミノ-7-メチルフルオラン、3-ジメチルアミノ-7-クロロフルオラン、3-(N-エチル-p-トルイジノ)-7-メチルフルオラン、3-(N-エチル-N-イソアミル)アミノ-6-メチル-7-クロロフルオラン、3-(N-エチル-N-イソアミル)アミノ-7,8-ベンゾフルオラン、3-(N-エチル-N-イソアミル)アミノ-7-メチルフルオラン、3-(N-エチル-N-n-オクチル)アミノ-6-メチル-7-クロロフルオラン、3-(N-エチル-N-n-オクチル)アミノ-7,8-ベンゾフルオラン、3-(N-エチル-N-n-オクチル)アミノ-7-メチルフルオラン、3-(N-エチル-N-n-オクチル)アミノ-7-クロロフルオラン、3-(N-エチル-N-4-メチルフェニル)アミノ-7,8-ベンゾフルオラン、3-(N-エトキシエチル-N-エチル)アミノ-7,8-ベンゾフルオラン、3-(N-エトキシエチル-N-エチル)アミノ-7-クロロフルオラン、3-ジ-n-ブチルアミノ-6-メチル-7-クロロフルオラン、3-ジ-n-ブチルアミノ-7,8-ベンゾフルオラン、3-ジ-n-ブチルアミノ-7-クロロフルオラン、3-ジ-n-ブチルアミノ-7-メチルフルオラン、3-ジアリルアミノ-7,8-ベンゾフルオラン、3-ジアリルアミノ-7-クロロフルオラン、3-ジ-n-ブチルアミノ-6-メチル-7-ブロモフルオラン、3-シクロヘキシルアミノ-6-クロロフルオラン、3-ピロリジルアミノ-7-メチルフルオラン、3-エチルアミノ-7-メチルフルオラン、3-(N-エチル-N-イソアミル)アミノ-ベンゾ[a]フルオラン、3-ジ-n-ブチルアミノ-6-メチル-7-ブロモフルオラン、3,6-ビス(ジエチルアミノフルオラン)-γ-(4′-ニトロ)アニリノラクタム、
【0027】
緑系の染料前駆体としては、3-(N-エチル-N-n-ヘキシル)アミノ-7-アニリノフルオラン、3-(N-エチル-N-p-トリル)アミノ-7-(N-フェニル-N-メチル)アミノフルオラン、3-(N-エチル-N-n-プロピル)アミノ-7-ジベンジルアミノフルオラン、3-(N-エチル-N-n-プロピル)アミノ-6-クロロ-7-ジベンジルアミノフルオラン、3-(N-エチル-N-4-メチルフェニル)アミノ-7-(N-メチル-N-フェニル)アミノフルオラン、3-(N-エチル-4-メチルフェニル)アミノ-7-ジベンジルアミノフルオラン、3-(N-エチル-4-メチルフェニル)アミノ-6-メチル-7-ジベンジルアミノフルオラン、3-(N-エチル-4-メチルフェニル)アミノ-6-メチル-7-(N-メチル-N-ベンジル)アミノフルオラン、3-(N-メチル-N-n-ヘキシル)アミノ-7-アニリノフルオラン、3-(N-プロピル-N-n-ヘキシル)アミノ-7-アニリノフルオラン、3-(N-エトキシ-N-n-ヘキシル)アミノ-7-アニリノフルオラン、3-(N-n-ペンチル-N-アリル)アミノ-6-メチル-7-アニリノフルオラン、3-(N-n-ペンチル-N-アリル)アミノ-7-アニリノフルオラン、3-ジ-n-ブチルアミノ-6-クロロ-7-(2-クロロアニリノ)フルオラン、3-ジ-n-ブチルアミノ-6-メチル-7-(2-クロロアニリノ)フルオラン、3-ジ-n-ブチルアミノ-6-メチル-7-(2-フルオロアニリノ)フルオラン、3-ジ-n-ブチルアミノ-7-(2-クロロアニリノ)フルオラン、3-ジ-n-ブチルアミノ-7-(2-クロロベンジルアニリノ)フルオラン、3,3-ビス(4-ジエチルアミノ-2-エトキシフェニル)-4-アザフタリド、3,6-ビス(ジメチルアミノ)フルオレン-9-スピロ-3′-(6′-ジメチルアミノ)フタリド、3-ジエチルアミノ-6-メチル-7-ベンジルアミノフルオラン、3-ジエチルアミノ-6-メチル-7-ジベンジルアミノフルオラン、3-ジエチルアミノ-6-メチル-7-n-オクチルアミノフルオラン、3-ジエチルアミノ-6-メチル-7-(N-シクロヘキシル-N-ベンジル)アミノフルオラン、3-ジエチルアミノ-6-メチル-7-(2-クロロアニリノ)フルオラン、3-ジエチルアミノ-6-メチル-7-(2-トリフルオロメチルアニリノ)フルオラン、3-ジエチルアミノ-6-メチル-7-(3-トリフルオロメチルアニリノ)フルオラン、3-ジエチルアミノ-6-メチル-7-(2-エトキシアニリノ)フルオラン、3-ジエチルアミノ-6-メチル-7-(4-エトキシアニリノ)フルオラン、3-ジエチルアミノ-6-クロロ-7-(2-クロロアニリノ)フルオラン、3-ジエチルアミノ-6-クロロ-7-ジベンジルアミノフルオラン、3-ジエチルアミノ-6-クロロ-7-アニリノフルオラン、3-ジエチルアミノ-6-エトキシエチル-7-アニリノフルオラン、3-ジエチルアミノ-7-アニリノフルオラン、3-ジエチルアミノ-7-メチルアニリノフルオラン、3-ジエチルアミノ-7-ジベンジルアミノフルオラン、3-ジエチルアミノ-7-n-オクチルアミノフルオラン、3-ジエチルアミノ-7-p-クロロアニリノフルオラン、3-ジエチルアミノ-7-p-メチルフェニルアニリノフルオラン、3-ジエチルアミノ-7-(N-シクロヘキシル-N-ベンジル)アミノフルオラン、3-ジエチルアミノ-7-(2-クロロアニリノ)フルオラン、3-ジエチルアミノ-7-(3-トリフルオロメチルアニリノ)フルオラン、3-ジエチルアミノ-7-(2-トリフルオロメチルアニリノ)フルオラン、3-ジエチルアミノ-7-(2-エトキシアニリノ)フルオラン、3-ジエチルアミノ-7-(4-エトキシアニリノ)フルオラン、3-ジエチルアミノ-7-(2-クロロベンジルアニリノ)フルオラン、3-ジメチルアミノ-6-クロロ-7-ジベンジルアミノフルオラン、3-ジメチルアミノ-6-メチル-7-n-オクチルアミノフルオラン、3-ジメチルアミノ-7-ジベンジルアミノフルオラン、3-ジメチルアミノ-7-n-オクチルアミノフルオラン、3-ジ-n-ブチルアミノ-7-(2-フルオロアニリノ)フルオラン、3-アニリノ-7-ジベンジルアミノフルオラン、3-アニリノ-6-メチル-7-ジベンジルアミノフルオラン、3-ピロリジノ-7-ジベンジルアミノフルオラン、3-ピロリジノ-7-(4-シクロヘキシルアニリノ)フルオラン、3-ジベンジルアミノ-6-メチル-7-ジベンジルアミノフルオラン、3,7-ビス(ジベンジルアミノ)フルオラン、3-ジベンジルアミノ-7-(2-クロロアニリノ)フルオラン、
【0028】
青系の染料前駆体としては、3-(1-エチル-2-メチルインドール-3-イル)-3-(4-ジエチルアミノフェニル)フタリド、3-(1-エチル-2-メチルインドール-3-イル)-3-(2-メチル-4-ジエチルアミノフェニル)-4-アザフタリド、3-(1-エチル-2-メチルインドール-3-イル)-3-(2-エトキシ-4-アミノフェニル)-4-アザフタリド、3-(1-エチル-2-メチルインドール-3-イル)-3-(2-エトキシ-4-メチルアミノフェニル)-4-アザフタリド、3-(1-エチル-2-メチルインドール-3-イル)-3-(2-エトキシ-4-エチルアミノフェニル)-4-アザフタリド、3-(1-エチル-2-メチルインドール-3-イル)-3-(2-エトキシ-4-ジメチルアミノフェニル)-4-アザフタリド、3-(1-エチル-2-メチルインドール-3-イル)-3-(2-エトキシ-4-ジエチルアミノフェニル)-4-アザフタリド、3-(1-エチル-2-メチルインドール-3-イル)-3-(2-エトキシ-4-ジ-n-プロピルアミノフェニル)-4-アザフタリド、3-(1-エチル-2-メチルインドール-3-イル)-3-(2-エトキシ-4-ジ-n-ブチルアミノフェニル)-4-アザフタリド、3-(1-エチル-2-メチルインドール-3-イル)-3-(2-エトキシ-4-ジ-n-ペンチルアミノフェニル)-4-アザフタリド、3-(1-エチル-2-メチルインドール-3-イル)-3-(2-エトキシ-4-ジ-n-ヘキシルアミノフェニル)-4-アザフタリド、3-(1-エチル-2-メチルインドール-3-イル)-3-(2-エトキシ-4-ジヒドロキシアミノフェニル)-4-アザフタリド、3-(1-エチル-2-メチルインドール-3-イル)-3-(2-エトキシ-4-ジクロロアミノフェニル)-4-アザフタリド、3-(1-エチル-2-メチルインドール-3-イル)-3-(2-エトキシ-4-ジブロモアミノフェニル)-4-アザフタリド、3-(1-エチル-2-メチルインドール-3-イル)-3-(2-エトキシ-4-ジアリルアミノフェニル)-4-アザフタリド、3-(1-エチル-2-メチルインドール-3-イル)-3-(2-エトキシ-4-ジヒドロキシアミノフェニル)-4-アザフタリド、3-(1-エチル-2-メチルインドール-3-イル)-3-(2-エトキシ-4-ジメトキシアミノフェニル)-4-アザフタリド、3-(1-エチル-2-メチルインドール-3-イル)-3-(2-エトキシ-4-ジエトキシアミノフェニル)-4-アザフタリド、3-(1-エチル-2-メチルインドール-3-イル)-3-(2-エトキシ-4-ジシクロヘキシルアミノフェニル)-4-アザフタリド、3-(1-エチル-2-メチルインドール-3-イル)-3-(2-エトキシ-4-ジ-n-プロポキシアミノフェニル)-4-アザフタリド、3-(1-エチル-2-メチルインドール-3-イル)-3-(2-エトキシ-4-ジ-n-ブトキシアミノフェニル)-4-アザフタリド、3-(1-エチル-2-メチルインドール-3-イル)-3-(2-エトキシ-4-ジ-n-ヘキシルオキシアミノフェニル)-4-アザフタリド、3-(1-エチル-2-メチルインドール-3-イル)-3-(2-エトキシ-4-ジ-メチルシクロヘキシルアミノフェニル)-4-アザフタリド、3-(1-エチル-2-メチルインドール-3-イル)-3-(2-エトキシ-4-ジ-メトキシシクロヘキシルアミノフェニル)-4-アザフタリド、3-(1-エチル-2-メチルインドール-3-イル)-3-(2-エトキシ-4-ピロリジルアミノフェニル)-4-アザフタリド、3-(1-エチル-2-メチルインドール-3-イル)-3-(3-エトキシ-4-ジエチルアミノフェニル)-4-アザフタリド、3-(1-エチル-2-メチルインドール-3-イル)-3-(2,3-ジエトキシ-4-ジエチルアミノフェニル)-4-アザフタリド、3-(1-エチル-2-メチルインドール-3-イル)-3-(4-ジエチルアミノフェニル)-4-アザフタリド、3-(1-エチル-2-メチルインドール-3-イル)-3-(2-クロロ-4-ジエチルアミノフェニル)-4-アザフタリド、3-(1-エチル-2-メチルインドール-3-イル)-3-(3-クロロ-4-ジエチルアミノフェニル)-4-アザフタリド、3-(1-エチル-2-メチルインドール-3-イル)-3-(2-ブロモ-4-ジエチルアミノフェニル)-4-アザフタリド、3-(1-エチル-2-メチルインドール-3-イル)-3-(3-ブロモ-4-ジエチルアミノフェニル)-4-アザフタリド、3-(1-エチル-2-メチルインドール-3-イル)-3-(2-エチル-4-ジエチルアミノフェニル)-4-アザフタリド、3-(1-エチル-2-メチルインドール-3-イル)-3-(2-n-プロピル-4-ジエチルアミノフェニル)-4-アザフタリド、3-(1-エチル-2-メチルインドール-3-イル)-3-(3-メチル-4-ジエチルアミノフェニル)-4-アザフタリド、3-(1-エチル-2-メチルインドール-3-イル)-3-(2-ニトロ-4-ジエチルアミノフェニル)-4-アザフタリド、3-(1-エチル-2-メチルインドール-3-イル)-3-(2-アリル-4-ジエチルアミノフェニル)-4-アザフタリド、3-(1-エチル-2-メチルインドール-3-イル)-3-(2-ヒドロキシ-4-ジエチルアミノフェニル)-4-アザフタリド、3-(1-エチル-2-メチルインドール-3-イル)-3-(2-シアノ-4-ジエチルアミノフェニル)-4-アザフタリド、3-(1-エチル-2-メチルインドール-3-イル)-3-(2-シクロヘキシルエトキシ-4-ジエチルアミノフェニル)-4-アザフタリド、3-(1-エチル-2-メチルインドール-3-イル)-3-(2-メチルエトキシ-4-ジエチルアミノフェニル)-4-アザフタリド、3-(1-エチル-2-メチルインドール-3-イル)-3-(2-シクロヘキシルエチル-4-ジエチルアミノフェニル)-4-アザフタリド、3-(2-エチルインドール-3-イル)-3-(2-エトキシ-4-ジエチルアミノフェニル)-4-アザフタリド、3-(1-エチル-2-クロロインドール-3-イル)-3-(2-エトキシ-4-ジエチルアミノフェニル)-4-アザフタリド、3-(1-エチル-2-ブロモインドール-3-イル)-3-(2-エトキシ-4-ジエチルアミノフェニル)-4-アザフタリド、3-(1-エチル-2-エチルインドール-3-イル)-3-(2-エトキシ-4-ジエチルアミノフェニル)-4-アザフタリド、3-(1-エチル-2-プロピルインドール-3-イル)-3-(2-エトキシ-4-ジエチルアミノフェニル)-4-アザフタリド、3-(1-エチル-2-メトキシインドール-3-イル)-3-(2-エトキシ-4-ジエチルアミノフェニル)-4-アザフタリド、3-(1-エチル-2-エトキシインドール-3-イル)-3-(2-エトキシ-4-ジエチルアミノフェニル)-4-アザフタリド、3-(1-エチル-2-フェニルインドール-3-イル)-3-(2-エトキシ-4-ジエチルアミノフェニル)-4-アザフタリド、3-(1-エチル-2-メチルインドール-3-イル)-3-(2-エトキシ-4-ジエチルアミノフェニル)-7-アザフタリド、3-(1-エチル-2-メチルインドール-3-イル)-3-(2-エトキシ-4-ジエチルアミノフェニル)-4,7-ジアザフタリド、3-(1-エチル-4,5,6,7-テトラクロロ-2-メチルインドール-3-イル)-3-(2-エトキシ-4-ジエチルアミノフェニル)-4-アザフタリド、3-(1-エチル-4-ニトロ-2-メチルインドール-3-イル)-3-(2-エトキシ-4-ジエチルアミノフェニル)-4-アザフタリド、3-(1-エチル-4-メトキシ-2-メチルインドール-3-イル)-3-(2-エトキシ-4-ジエチルアミノフェニル)-4-アザフタリド、3-(1-エチル-4-メチルアミノ-2-メチルインドール-3-イル)-3-(2-エトキシ-4-ジエチルアミノフェニル)-4-アザフタリド、3-(1-エチル-4-メチル-2-メチルインドール-3-イル)-3-(2-エトキシ-4-ジエチルアミノフェニル)-4-アザフタリド、3-(2-メチルインドール-3-イル)-3-(2-エトキシ-4-ジエチルアミノフェニル)-4-アザフタリド、3-(1-クロロ-2-メチルインドール-3-イル)-3-(2-エトキシ-4-ジエチルアミノフェニル)-4-アザフタリド、3-(1-ブロモ-2-メチルインドール-3-イル)-3-(2-エトキシ-4-ジエチルアミノフェニル)-4-アザフタリド、3-(1-メチル-2-メチルインドール-3-イル)-3-(2-エトキシ-4-ジエチルアミノフェニル)-4-アザフタリド、3-(1-メチル-2-メチルインドール-3-イル)-3-(2-エトキシ-4-ジエチルアミノフェニル)-7-アザフタリド、3-(1-n-プロピル-2-メチルインドール-3-イル)-3-(2-エトキシ-4-ジエチルアミノフェニル)-4-アザフタリド、3-(1-n-ブチル-2-メチルインドール-3-イル)-3-(2-エトキシ-4-ジエチルアミノフェニル)-4-アザフタリド、3-(1-n-ブチル-2-インドール-3-イル)-3-(2-エトキシ-4-ジエチルアミノフェニル)-7-アザフタリド、3-(1-n-ペンチル-2-メチルインドール-3-イル)-3-(2-エトキシ-4-ジエチルアミノフェニル)-4-アザフタリド、3-(1-n-ヘキシル-2-メチルインドール-3-イル)-3-(2-エトキシ-4-ジエチルアミノフェニル)-4-アザフタリド、3-(1-n-ヘキシル-2-メチルインドール-3-イル)-3-(2-エトキシ-4-ジエチルアミノフェニル)-7-アザフタリド、3-(1-n-オクチル-2-メチルインドール-3-イル)-3-(2-エトキシ-4-ジエチルアミノフェニル)-4-アザフタリド、3-(1-n-オクチル-2-メチルインドール-3-イル)-3-(2-エトキシ-4-ジエチルアミノフェニル)-7-アザフタリド、3-(1-n-オクチル-2-メチルインドール-3-イル)-3-(2-エトキシ-4-ジエチルアミノフェニル)-4,7-ジアザフタリド、3-(1-n-ノニル-2-メチルインドール-3-イル)-3-(2-エトキシ-4-ジエチルアミノフェニル)-4-アザフタリド、3-(1-メトキシ-2-メチルインドール-3-イル)-3-(2-エトキシ-4-ジエチルアミノフェニル)-4-アザフタリド、3-(1-エトキシ-2-メチルインドール-3-イル)-3-(2-エトキシ-4-ジエチルアミノフェニル)-4-アザフタリド、3-(1-フェニル-2-メチルインドール-3-イル)-3-(2-エトキシ-4-ジエチルアミノフェニル)-4-アザフタリド、3-(1-n-ペンチル-2-メチルインドール-3-イル)-3-(2-エトキシ-4-ジエチルアミノフェニル)-7-アザフタリド、3-(1-n-ヘプチル-2-メチルインドール-3-イル)-3-(2-エトキシ-4-ジエチルアミノフェニル)-7-アザフタリド、3-(1-n-ノニル-2-メチルインドール-3-イル)-3-(2-エトキシ-4-ジエチルアミノフェニル)-7-アザフタリド、3,3-ビス(4-ジメチルアミノフェニル)-6-ジメチルアミノフタリド、3-(4-ジメチルアミノ-2-メチルフェニル)-3-(4-ジメチルアミノフェニル)-6-ジメチルアミノフタリド、3-(1-エチル-2-メチルインドール-3-イル)-3-(4-ジエチルアミノ-2-n-ヘキシルオキシフェニル)-4-アザフタリドなどが挙げられる。これらは、単独もしくは2種以上混合して用いることができる。
【0029】
機能性の染料前駆体として、近赤外領域に吸収を有するものがある。この染料前駆体を高温発色用の染料前駆体として、単独、または他の染料前駆体と併用して用いると、高温発色画像が近赤外領域に吸収のある、近赤外光での自動読み取りが可能な画像とすることができる。本発明にこの染料前駆体を用いると、可視領域のみに吸収のある画像、近赤外領域に吸収のある画像などの併用が可能となり、セキュリティ性の高い記録材料を得ることができる。
【0030】
このような、近赤外領域に吸収を有する染料前駆体としては、3,3-ビス〔1-(4-メトキシフェニル)-1-(4-ジメチルアミノフェニル)エチレン-2-イル〕-4,5,6,7-テトラクロロフタリド、3,3-ビス〔1-(4-メトキシフェニル)-1-(4-ピロリジノフェニル)エチレン-2-イル〕-4,5,6,7-テトラクロロフタリド、3,3-ビス〔1,1-ビス(4-ピロリジノフェニル)エチレン-2-イル〕-4,5,6,7-テトラブロモフタリド、3-〔1,1-ビス(p-ジエチルアミノフェニル)エチレン-2-イル〕-6-ジメチルアミノフタリド、3,6-ビス(ジメチルアミノ)フルオレン-9-スピロ-3′-(6′-ジメチルアミノ)フタリド、3-〔p-(p-ジメチルアミノアニリノ)アニリノ〕-6-メチルフルオラン、3-〔p-(p-ジメチルアミノアニリノ)アニリノ〕-6-メチル-7-クロロフルオラン、3-(p-n-ブチルアミノアニリノ)-6-メチル-7-クロロフルオラン、3-〔p-(p-アニリノアニリノ)アニリノ〕-6-メチル-7-クロロフルオラン、3-〔p-(p-クロロアニリノ)アニリノ〕-6-メチル-7-クロロフルオラン、3-(N-p-トリル-N-エチルアミノ)-6,8,8-トリメチル-9-エチル-8,9-ジヒドロ-(3,2,e)ピリドフルオラン、3-ジ(n-ブチル)アミノ-6,8,8-トリメチル-8,9-ジヒドロ-(3,2,e)ピリドフルオラン、3′-フェニル-7-N-ジエチルアミノ-2,2′-スピロジ(2H-1-ベンゾピラン)、ビス(p-ジメチルアミノスチリル)-p-トリスルホニルメタン、3,7-ビス(ジメチルアミノ)-10-ベンゾイルフェノチアジンなどが挙げられる。これらの染料前駆体は必要に応じて1種、または2種以上組み合わせて用いることもできる。またこれら染料前駆体は、3,3-ビス(1-n-ブチル-2-メチル-3-インドリル)フタリド、3-ジエチルアミノ-7-クロロフルオランと共に湿式分散することもできる。
【0031】
本発明における感熱記録材料が含有する染料前駆体の総含有量は、感熱記録層の総固形分に対して1~30質量%であることが好ましい。これにより十分な熱応答性を得ることができる。
【0032】
本発明における感熱記録材料が有する感熱記録層が含有する顕色剤としては、各種公知のものが使用可能である。例えば、4,4′-ジヒドロキシジフェニルスルホン、2,4′-ジヒドロキシジフェニルスルホン、4-ヒドロキシ-4′-プロポキシジフェニルスルホン、4-ヒドロキシ-4′-イソプロポキシジフェニルスルホン、4-ヒドロキシ-4′-アリルオキシジフェニルスルホン、4-ヒドロキシ-4′-オクチルオキシジフェニルスルホン、4-ヒドロキシ-4′-ドデシルオキシジフェニルスルホン、4-ヒドロキシ-4′-ベンジルオキシジフェニルスルホン、2,2′-ジアリル-4,4′-スルホニルジフェノール、3,4-ジヒドロキシ-4′-メチルジフェニルスルホン、4-ヒドロキシ-4′-ベンゼンスルホニルオキシジフェニルスルホン、2,4-ビス(フェニルスルホニル)フェノール、p-フェニルフェノール、p-ヒドロキシアセトフェノン、1,1-ビス(p-ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1-ビス(p-ヒドロキシフェニル)ペンタン、1,1-ビス(p-ヒドロキシフェニル)ヘキサン、1,1-ビス(p-ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、2,2-ビス(p-ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(p-ヒドロキシフェニル)ヘキサン、1,1-ビス(p-ヒドロキシフェニル)-2-エチルヘキサン、2,2-ビス(3-クロロ-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1-ビス(p-ヒドロキシフェニル)-1-フェニルエタン、1,3-ビス〔2-(p-ヒドロキシフェニル)-2-プロピル〕ベンゼン、1,3-ビス〔2-(3,4-ジヒドロキシフェニル)-2-プロピル〕ベンゼン、1,4-ビス〔2-(p-ヒドロキシフェニル)-2-プロピル〕ベンゼン、4,4′-ジヒドロキシジフェニルエーテル、3,3′-ジクロロ-4,4′-ジヒドロキシジフェニルスルフィド、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)酢酸メチル、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)酢酸ブチル、4,4′-チオビス(2-tert-ブチル-5-メチルフェノール)、4-ヒドロキシフタル酸ジメチル、4-ヒドロキシ安息香酸ベンジル、4-ヒドロキシ安息香酸メチル、没食子酸ベンジル、没食子酸ステアリル、サリチルアニリド、5-クロロサリチルアニリド、サリチル酸、3,5-ジ-tert-ブチルサリチル酸、3,5-ビス(α-メチルベンジル)サリチル酸、4-〔2′-(4-メトキシフェノキシ)エチルオキシ〕サリチル酸、3-(オクチルオキシカルボニルアミノ)サリチル酸あるいはこれらサリチル酸誘導体の金属塩、N-(4-ヒドロキシフェニル)-p-トルエンスルホンアミド、N-(4-ヒドロキシフェニル)ベンゼンスルホンアミド、N-(4-ヒドロキシフェニル)-1-ナフタレンスルホンアミド、N-(4-ヒドロキシフェニル)-2-ナフタレンスルホンアミド、N-(4-ヒドロキシナフチル)-p-トルエンスルホンアミド、N-(4-ヒドロキシナフチル)ベンゼンスルホンアミド、N-(4-ヒドロキシナフチル)-1-ナフタレンスルホンアミド、N-(4-ヒドロキシナフチル)-2-ナフタレンスルホンアミド、N-(3-ヒドロキシフェニル)-p-トルエンスルホンアミド、N-(3-ヒドロキシフェニル)ベンゼンスルホンアミド、N-(3-ヒドロキシフェニル)-1-ナフタレンスルホンアミド、N-(3-ヒドロキシフェニル)-2-ナフタレンスルホンアミド、4,4′-ビス[(4-メチル-3-フェノキシカルボニルアミノフェニル)ウレイド]ジフェニルスルホン、3-(3-トシルウレイド)フェニルp-トルエンスルホナート、N-[2-(3-フェニルウレイド)フェニル]ベンゼンスルホンアミド、N-(2-{[(4-メチルフェニル)カルバモイル]アミノ}フェニル)ベンゼンスルホンアミド、4-メチル-N-{2-[(フェニルカルバモイル)アミノ]フェニル}ベンゼンスルホンアミド、4-メチル-N-(2-{[(4-メチルフェニル)カルバモイル]アミノ}フェニル)ベンゼンスルホンアミド、N-ブチルブチル-4-[3-(p-トルエンスルホニル)ウレイド]ベンゾエート、3,3′-(4,4′メチレンジフェニル)ビス(ウレイドp-トリススルホン)、ビス{3-[3′-(p-トルエンスルホニル)ウレイド]ベンゾエート}、1,5-(3-オキソペンチレン)ビス{3′-[3′-(p-トルエンスルホニル)ウレイド]ベンゾエート}、N-フェニルスルホニル-N′-フェニルウレアの誘導体などが挙げられるが、これに限定されるものではない。これらは、1種もしくは2種以上を混合して用いることができる。
【0033】
染料前駆体と顕色剤の含有比率は、これらの種類とその組み合わせによって適宜決められるものであるが、染料前駆体の総量に対して顕色剤の総量を100~500質量%とすることが好ましく、より好ましくは150~350質量%である。
【0034】
本発明において、感熱記録層は、その熱応答性を更に向上させるために、発色反応を促進する低融点の熱可溶成分(以下、増感剤と記載する。)を含有することができる。この場合、増感剤としては、融点が60~180℃の化合物が好ましい。増感剤の具体例としては、パルミチン酸モノアミド、ステアリン酸モノアミド等の脂肪酸モノアミド類、ジフェニルスルホン、N-ヒドロキシメチルステアリン酸アミド、N-ステアリルステアリン酸アミド、エチレンビスステアリン酸アミド、メチレンビスステアリン酸アミド、メチロールステアリン酸アミド、N-ステアリル尿素、ベンジル-2-ナフチルエーテル、p-トルエンスルホンアミド、m-ターフェニル、4-ベンジルビフェニル、2,2′-ビス(4-メトキシフェノキシ)ジエチルエーテル、α,α′-ジフェノキシ-o-キシレン、ビス(4-メトキシフェニル)エーテル、アジピン酸ジフェニル、蓚酸ジベンジル、蓚酸ビス(4-メチルベンジル)エステル、蓚酸ビス(4-クロロベンジル)エステル、テレフタル酸ジメチル、テレフタル酸ジベンジル、ベンゼンスルホン酸フェニルエステル、ビス(4-アリルオキシフェニル)スルホン、1,2-ビス(3-メチルフェノキシ)エタン、1,2-ジフェノキシエタン、4-アセチルアセトフェノン、アセト酢酸アニリド類、脂肪酸アニリド類等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。かかる増感剤は、1種もしくは2種以上を併用することが可能である。また、十分な熱応答性を得るためには、感熱記録層の総固形分中、増感剤の総量が5~50質量%を占めることが好ましい。
【0035】
また、感熱記録層は、必要に応じて、さらにヒンダードフェノール系化合物、またはヒンダードアミン系化合物、リン酸エステル誘導体、あるいはベンゾトリアゾール誘導体等の保存性改良剤を含有することができる。
【0036】
本発明における感熱記録層に必要に応じて用いられるヒンダードフェノール系化合物の具体的な例としては、1,1,2,2-テトラキス(5-シクロヘキシル-4-ヒドロキシ-2-メチルフェニル)エタン、1,1,2,2-テトラキス(3-フェニル-4-ヒドロキシフェニル)エタン、1,1,2,2-テトラキス(3-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)エタン、1,1,3-トリス(3-シクロヘキシル-4-ヒドロキシフェニル)ブタン、1,1,3-トリス(5-シクロヘキシル-4-ヒドロキシ-ο-トリル)ブタン、1,1,3-トリス(3-シクロヘキシル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)ブタン、1,1,3-トリス(3-フェニル-4-ヒドロキシフェニル)ブタン、1,1,3-トリス(5-フェニル-4-ヒドロキシ-2-メチルフェニル)ブタン、1,1,3-トリス(3-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)ブタン、1,1,3-トリス(5-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-2-メチルフェニル)ブタン、1,1,3,3-テトラキス(5-シクロヘキシル-4-ヒドロキシ-2-メチルフェニル)プロパン、1,1,3,3-テトラキス(3-シクロヘキシル-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1,5,5-テトラキス(5-シクロヘキシル-4-ヒドロキシ-2-メチルフェニル)ペンタン、1,1,3,3-テトラキス(3-シクロヘキシル-4-ヒドロキシフェニル)ペンタン、1,1,3,3-テトラキス(3-フェニル-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1,3,3-テトラキス(5-フェニル-4-ヒドロキシ-2-メチルフェニル)プロパン、1,1,3,3-テトラキス(3-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1,3,3-テトラキス(5-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-2-メチルフェニル)プロパン、2,2′-メチレンビス(4-メチル-6-tert-ブチルフェノ-ル)、2,2′-メチレンビス(4-エチル-6-tert-ブチルフェノ-ル)、2,2′-エチリデンビス(4,6-ジ-tert-ブチルフェノ-ル)、4,4′-チオビス(3-メチル-6-tert-ブチルフェノ-ル)、4,4′-チオビス(2-メチル-6-tert-ブチルフェノ-ル)、4,4′-チオビス(2-メチルフェノ-ル)、4,4′-チオビス(2,6-ジメチルフェノ-ル)、4,4′-チオビス(2,6-ジ-tert-ブチルフェノ-ル)、2,2′-チオビス(4-tert-オクチルフェノ-ル)、2,2′-チオビス(3-tert-オクチルフェノ-ル)、4,4′-ブチリデンビス(6-tert-ブチル-m-クレゾ-ル)、1-[α-メチル-α-(4′-ヒドロキシフェニル)エチル]4-[α′,α′-ビス(4′-ヒドロキシフェニル)エチル]ベンゼン、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジブロモフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジメチルフェニル)プロパン、などを挙げることができるが、これに限定されるものではなく、また、これらの化合物は必要に応じて1種、もしくは2種以上を使用することができる。
【0037】
本発明における感熱記録層に必要に応じて用いられるヒンダードアミン系化合物の具体的な例としては、ビス(2,2,6,6,-テトラメチル-4-ピペリジル)セバケート、コハク酸-ビス(2,2,6,6,-テトラメチル-4-ピペリジル)エステル、ブタン-1,2,3,4-テトラカルボン酸-テトラキス[1,2,2,6,6-ペンタメチル(4-ピペリジル)]エステル、ブタン-1,2,3,4-テトラカルボン酸-テトラキス[2,2,6,6-テトラメチル(4-ピペリジル)]エステルなどを挙げることができるが、これに限定されるものではなく、また、これらの化合物は必要に応じて1種、もしくは2種以上を使用することができる。
【0038】
本発明における感熱記録層に必要に応じて用いられるリン酸エステル誘導体の具体的な例としては、トリフェニルホスフェート、ジフェニルホスフェート、ビス(4-tert-ブチルフェニル)ホスフェート、ビス(4,6-ジ-tert-ブチルフェニル)ホスフェート、ビス(4-クロロフェニル)ホスフェート、ビス(ベンジルオキシフェニル)ホスフェート、2,2′-メチレンビス(4,6-ジ-tert-ブチルフェニル)ホスフェート、ジメチルオキシホスフェート、ジエチルオキシホスフェート、ビス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)ホスフェート、3,5-ジ-tert-ブチルジフェニルホスフェート、ジエチル(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)ホスフェート、及び2,2′-メチレンビス(4,6-ジ-tert-ブチルフェニル)ホスフェートのナトリウム塩、2,2′-メチレンビス(4,6-ジ-tert-ブチルフェニル)ホスフェートのカルシウム塩、2,2′-メチレンビス(4,6-ジ-tert-ブチルフェニル)ホスフェートの亜鉛塩、2,2′-メチレンビス(4,6-ジ-tert-ブチルフェニル)ホスフェートのアンモニウム塩、およびカリウム塩などを挙げることができるが、これに限定されるものではなく、また、これらの化合物は必要に応じて1種、もしくは2種以上を使用することができる。
【0039】
本発明における感熱記録層に必要に応じて用いられるベンゾトリアゾール誘導体の具体的な例としては、2-(2-ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2′-ヒドロキシ-5′-メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2-ヒドロキシ-5-tert-ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2-ヒドロキシ-3,5-ジ-tert-ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2-ヒドロキシ-3-tert-ブチル-5-メチルフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾール、2-(2-ヒドロキシ-3,5-ジ-tert-ブチルフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾール、2-(2-ヒドロキシ-3,5-ジ-tert-アミノフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2-ヒドロキシ-3,5-ジ-tert-ブチルフェニル)-5-tert-ブチルベンゾトリアゾール、2-(2-ヒドロキシ-3-ドデシル-5-メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-[2-ヒドロキシ-4-(2-エチルヘキシル)オキシフェニル]ベンゾトリアゾール、メチル-3-(3-tert-ブチル-5-ベンゾトリアゾリル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート-ポリエチレングリコール(分子量約300)との縮合物、5-tert-ブチル-3-(5-クロロ-ベンゾトリアゾリル)-4-ヒドロキシベンゼン-プロピオン酸オクチル、2-(2-ヒドロキシ-3-sec-ブチル-5-tert-ブチルフェニル)-5-tert-ブチルベンゾトリアゾール、2-(2-ヒドロキシ-4-メトキシ-5-スルホフェニル)ベンゾトリアゾールナトリウム塩、2-(2-ヒドロキシ-4-ブトキシ-5-スルホフェニル)ベンゾトリアゾールナトリウム塩、2,2′-メチレンビス(4-メチル-6-ベンゾトリアゾリルフェノール)、2,2′-メチレンビス[4-メチル-6-(5-メチルベンゾトリアゾリル)フェノール]、2,2′-メチレンビス[4-メチル-6-(5-クロロベンゾトリアゾリル)フェノール]、2,2′-メチレンビス[4-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)-6-ベンゾトリアゾリルフェノール]、2,2′-メチレンビス(4-tert-ブチル-6-ベンゾトリアゾリルフェノール)、2,2′-プロピリデンビス(4-メチル-6-ベンゾトリアゾリルフェノール)、2,2′-イソプロピリデンビス(4-メチル-6-ベンゾトリアゾリルフェノール)、2,2′-イソプロピリデンビス[4-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)-6-ベンゾトリアゾリルフェノール]、2,2′-オクチリデンビス[4-メチル-6-(5-メチルベンゾトリアゾリル)フェノール]などを挙げることができるが、これに限定されるものではなく、また、これらの化合物は必要に応じて1種、もしくは2種以上を使用することができる。
【0040】
前記本発明における感熱記録層に必要に応じて用いられるヒンダードフェノール系化合物、またはヒンダードアミン系化合物、リン酸エステル誘導体、あるいはベンゾトリアゾール誘導体の添加量は合計量で、染料前駆体に対して5~500質量%が好ましい。
【0041】
本発明において、耐スティッキング性向上、白色度向上等の目的に応じて、感熱記録層は各種顔料を含有することができる。例えば、ケイソウ土、タルク、カオリン、焼成カオリン、炭酸カルシウム、非晶質珪酸カルシウム、硫酸カルシウム、珪酸カルシウム、炭酸マグネシウム、珪酸マグネシウム、リン酸マグネシウム、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、珪酸アルミニウム、アルミナ、コロイダルアルミナ、二酸化チタン、酸化亜鉛、酸化珪素、非晶質シリカ、コロイダルシリカ、硫酸バリウム、硫化亜鉛、炭酸亜鉛、サチンホワイト、リトポン、ゼオライト、ハイドロタルサイト、加水ハロイサイト等の白色無機顔料、有機顔料、中空粒子等公知の顔料が挙げられるが、これらに限定されるものではなく、また必要に応じて1種、もしくは2種以上を使用することができる。顔料は感熱記録層の総固形分中5~50質量%の範囲で使用することが好ましい。
【0042】
本発明において、感熱記録層はバインダーとして、通常の塗工で用いられる種々の水溶性高分子化合物、または水分散性高分子化合物を含有することができる。具体的には、デンプンまたはその誘導体、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等のセルロース誘導体、ゼラチン、カゼイン等のプロテイン、完全ケン化ポリビニルアルコール、部分ケン化ポリビニルアルコール、変性ポリビニルアルコール、アルギン酸ソーダ、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミド、アクリルアミド/アクリル酸エステル共重合体、アクリルアミド/アクリル酸エステル/メタクリル酸三元共重合体、ポリアクリル酸塩、ポリマレイン酸塩、スチレン/マレイン酸共重合体塩、エチレン/マレイン酸共重合体塩、イソブチレン/マレイン酸共重合体塩等の水溶性高分子化合物、およびスチレン/ブタジエン共重合体、アクリロニトリル/ブタジエン共重合体、アクリル酸メチル/ブタジエン共重合体、アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン三元共重合体、ポリ酢酸ビニル、酢酸ビニル/アクリル酸エステル共重合体、エチレン/酢酸ビニル共重合体、ポリアクリル酸エステル、スチレン/アクリル酸エステル共重合体、ポリウレタン等の水分散性高分子化合物等が挙げられるが、これらに限定されるものではなく、また必要に応じて1種、もしくは2種以上を使用することができる。バインダーは感熱記録層の総固形分中5~30質量%の範囲で使用することが好ましい。
【0043】
また、感熱記録層は耐スティッキング性向上のためにステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム等の高級脂肪酸金属塩、パラフィン、酸化パラフィン、ポリエチレン、酸化ポリエチレン、カスターワックス等のワックス類を含有することができる。さらに感熱記録層は、耐水性を持たせるために各種の硬膜剤、架橋剤、分散剤、界面活性剤、蛍光染料、着色染料、消泡剤、防腐剤、増粘剤、帯電防止剤等を含有することができる。
【0044】
本発明において感熱記録材料が有する感熱記録層が含有する3,3-ビス(1-n-ブチル-2-メチル-3-インドリル)フタリド、3-ジエチルアミノ-7-クロロフルオランの少なくとも一種以外の種々の成分、例えば前記した3,3-ビス(1-n-ブチル-2-メチル-3-インドリル)フタリド、3-ジエチルアミノ-7-クロロフルオラン以外の染料前駆体、顕色剤、増感剤、保存性改良剤、顔料、滑剤、ワックスなどは、分散液とされた後、感熱記録層塗工液の調整に用いられることが好ましい。その分散液は、3,3-ビス(1-n-ブチル-2-メチル-3-インドリル)フタリド、3-ジエチルアミノ-7-クロロフルオランの少なくとも一種以外の種々の成分を乾式粉砕して分散媒中に分散する方法、または該種々の成分を分散媒に混入し湿式粉砕する方法等により得られる。本発明において、顕色剤、増感剤などはそれぞれ単独、もしくは共に、水を分散媒体として使用し、サンドグラインダー、ボールミル、アトライター、ビーズミル等の各種湿式粉砕機によって分散剤と共に体積平均粒子径を好ましくは0.1~5.0μmに粉砕して微粒子とした後、感熱記録層塗工液の調製に用いられることが好ましい。また、3,3-ビス(1-n-ブチル-2-メチル-3-インドリル)フタリド、3-ジエチルアミノ-7-クロロフルオランの少なくとも一種以外の染料前駆体は、顕色剤とは別に、水を分散媒体として使用し、サンドグラインダー、ボールミル、アトライター、ビーズミル等の各種湿式粉砕機によって分散剤と共に体積平均粒子径を好ましくは0.1~1.5μmに粉砕して微粒子とした後、感熱記録層塗工液の調製に用いられることが好ましい。
【0045】
本発明において、感熱記録層が含有する3,3-ビス(1-n-ブチル-2-メチル-3-インドリル)フタリド、3-ジエチルアミノ-7-クロロフルオランの少なくとも一種以外の種々の成分の分散時に使用する分散剤としては、完全ケン化ポリビニルアルコール、部分ケン化ポリビニルアルコール、スルホン酸変性ポリビニルアルコール、シラノール変性ポリビニルアルコール、カルボキシ変性ポリビニルアルコール、ジアセトン変性ポリビニルアルコール、アセトアセチル変性ポリビニルアルコール、リン酸変性ポリビニルアルコール、ブチラール変性ポリビニルアルコール、エポキシ変性ポリビニルアルコール等のポリビニルアルコール類、デンプンまたはその誘導体、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等のセルロース誘導体、ゼラチン、カゼイン等のプロテイン、キトサンの酸中和物、アルギン酸ソーダ、ポリビニルピロリドン、ジイソブチレン/マレイン酸共重合体塩、スチレン/イソブチレン/マレイン酸共重合体塩、スチレン/マレイン酸共重合体塩、エチレン/アクリル酸共重合体塩、スチレン/アクリル酸共重合体塩、ポリアクリル酸塩等の水溶性高分子化合物、ドデシルベンゼンスルホン酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸塩、脂肪酸金属塩等のアニオン系低分子界面活性剤、アセチレングリコール等のノニオン系界面活性剤等が挙げられるが、これらに限定されるものではなく、また必要に応じて1種、もしくは2種以上を使用することができる。分散剤の総量は、分散液が含有する分散質の総量に対して0.5~30質量%であることが好ましい。
【0046】
上記した感熱記録層に含まれる3,3-ビス(1-n-ブチル-2-メチル-3-インドリル)フタリド、3-ジエチルアミノ-7-クロロフルオランの少なくとも一種以外の種々の成分を粉砕する際、珪酸マグネシウム、珪酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、リン酸マグネシウム、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、酸化チタン、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、カオリン、タルク、ハイドロタルサイト等の無機顔料と共に粉砕しても良い。また、3,3-ビス(1-n-ブチル-2-メチル-3-インドリル)フタリド、3-ジエチルアミノ-7-クロロフルオランの少なくとも一種以外の種々の成分を粉砕した後の分散液を40~80℃の範囲で加温処理しても良く、粉砕した後の粒子表面に有機高分子より形成される被覆層を設けても良い。
【0047】
本発明において、感熱記録層の固形分塗工量としては、2~15g/m2が好ましい。2g/m2より少ないと低熱エネルギー領域の印字濃度が低くなる場合があり、15g/m2より多いと感熱記録層が有する各種性能の向上は飽和に達し、感熱記録層の塗工時の生産効率が低下する場合がある。
【0048】
本発明において、支持体と感熱記録層の間には、支持体の平滑性、断熱性などの向上を目的に、あるいは支持体が含有する各種成分が感熱記録層に悪影響を及ぼすことの抑制を目的に、アンダーコート層を有しても良い。アンダーコート層は、バインダーおよび各種無機や有機の顔料を含み、また中空粒子などを含有させることができる。また、アンダーコート層が含有することができる他の助剤としては、滑剤、消泡剤、界面活性剤、防腐剤、蛍光増白剤、分散剤、増粘剤、着色剤、帯電防止剤、架橋剤等公知のものが挙げられる。
【0049】
本発明において、アンダーコート層を用いる場合は、水等を媒体とし、顔料およびバインダーや助剤とを共に混合攪拌して調製されたアンダーコート層用塗工液を固形分塗工量が好ましくは1~30g/m2、より好ましくは4~20g/m2となるように支持体上に塗布乾燥して形成される。
【0050】
本発明のアンダーコート層が含有することができる顔料としては、例えば、タルク、カオリン、焼成カオリン、クレー、焼成クレー、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、珪酸マグネシウム、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、二酸化チタン、硫酸バリウム、硫酸亜鉛、非晶質シリカ、珪酸カルシウム、珪藻土、コロイダルシリカ等の無機顔料、メラミン樹脂、尿素-ホルムアルデヒド樹脂、ポリエチレン、ポリスチレン、エチレン-酢酸ビニル、スチレンマイクロボール、ナイロンパウダー、ポリエチレンパウダー、尿素-ホルマリン樹脂フィラー、スチレン-メタクリル酸共重合樹脂、ポリスチレン樹脂、生澱粉粒子等が挙げられ、これらを単独または2種以上併用して使用することができるが、これらに限定されるものではなく、また必要に応じて1種、もしくは2種以上を使用することができる。
【0051】
またアンダーコート層にはバインダーとして、通常の塗工で用いられる種々の水溶性高分子化合物、または水分散性高分子化合物を含有することができる。その具体例としては、例えばデンプンまたはその誘導体、ヒドロキシメチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ゼラチン、カゼイン、完全ケン化ポリビニルアルコール、部分ケン化ポリビニルアルコール、変性ポリビニルアルコール、アルギン酸ソーダ、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミド、アクリルアミド/アクリル酸エステル共重合体、アクリルアミド/アクリル酸エステル/メタクリル酸三元共重合体、ポリアクリル酸塩、ポリマレイン酸塩、スチレン/マレイン酸共重合体塩、エチレン/マレイン酸共重合体塩、イソブチレン/マレイン酸共重合体塩等の水溶性高分子化合物、及びスチレン/ブタジエン共重合体、アクリロニトリル/ブタジエン共重合体、アクリル酸メチル/ブタジエン共重合体、アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン三元共重合体、ポリ酢酸ビニル、酢酸ビニル/アクリル酸エステル共重合体、エチレン/酢酸ビニル共重合体、ポリアクリル酸エステル、スチレン/アクリル酸エステル共重合体、ポリウレタン等の水分散性高分子化合物が挙げられるが、これらに限定されるものではない。バインダーは1種、もしくは2種以上を使用することができる。バインダーの使用量はアンダーコート層の総固形量に対して10~30質量%とすることが好ましい。
【0052】
本発明において、アンダーコート層が含有することができる各種成分を、水を媒体として混合攪拌する際には、分散性を良くするために分散剤を使用することができる。使用する分散剤としては、完全ケン化ポリビニルアルコール、部分ケン化ポリビニルアルコール、変性ポリビニルアルコール等のポリビニルアルコール類、デンプンまたはその誘導体、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等のセルロース誘導体、ゼラチン、カゼイン等のプロテイン、キトサンの酸中和物、アルギン酸ソーダ、ポリビニルピロリドン、ジイソブチレン/マレイン酸共重合体塩、スチレン/イソブチレン/マレイン酸共重合体塩、スチレン/マレイン酸共重合体塩、エチレン/アクリル酸共重合体塩、スチレン/アクリル酸共重合体塩、ポリアクリル酸塩等の水溶性高分子化合物、ドデシルベンゼンスルホン酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸塩、脂肪酸金属塩等のアニオン系低分子界面活性剤、アセチレングリコール等のノニオン系界面活性剤、ヘキサメタリン酸ナトリウム等が挙げられるが、これらに限定されるものではなく、また必要に応じて1種、もしくは2種以上を使用することができる。分散剤の総量は、分散液が含有する分散質の総量に対して0.1~30質量%であることが好ましい。
【0053】
本発明において、感熱記録材料が有する支持体としては、透明、半透明、及び不透明のいずれであってもよく、紙、各種不織布、織布、合成樹脂フィルム、合成樹脂ラミネート紙、合成紙、金属箔、セラミック紙、ガラス板など、あるいはこれらを組み合わせた複合シートを目的に応じて任意に用いることができる。
【0054】
本発明において、支持体として紙支持体を用いる場合、紙支持体が含有するパルプとしては、針葉樹晒しクラフトパルプ(NBKP)、広葉樹晒しクラフトパルプ(LBKP)、針葉樹晒し亜硫酸パルプ(NBSP)、広葉樹晒し亜硫酸パルプ(LBSP)、TMP、CTMP、BCTMP、GP、RGP、CGP、木綿パルプ等の各種パルプやDIP等の各種古紙パルプ、ケナフ等の非木材繊維を挙げることができるが、これらに限定されるものではなく、また必要に応じて1種、もしくは2種以上を使用することができる。
【0055】
本発明において、支持体として紙支持体を用いる場合、紙支持体が含有する填料としては公知の填料の中から適宜選択して使用することができる。このような填料としては、例えば炭酸カルシウム、タルク、カオリン、焼成カオリン、非晶質シリカ、イライト、クレー、焼成クレー、二酸化チタン等の無機填料、及びプラスチックピグメント等の有機填料等を挙げることができるが、これらに限定されるものではなく、また必要に応じて1種、もしくは2種以上を使用することができる。
【0056】
本発明において、支持体として紙支持体を用いる場合、紙支持体の灰分は0.1~25質量%であることが好ましい。0.1質量%未満では、良好な地合、平滑性が得にくい。25質量%を超える場合には、平滑性が飽和する一方で、原紙のサイズ性と表面強度が低下し、アンダーコート層や感熱記録層を塗工する際に断紙が発生しやすくなる。また、紙支持体の坪量は、20~300g/m2程度が好ましい。
【0057】
なお、本発明において、支持体として紙支持体を用いる場合、紙支持体中には、内添のためのサイズ剤(内添サイズ剤)として、酸性抄造の場合、強化ロジンサイズ剤、エマルジョンサイズ剤、合成系サイズ剤などが、中性抄造の場合、アルキルケテンダイマー系、アルケニル無水コハク酸系、高級脂肪酸系、中性ロジンサイズ剤などを含有せしめることもできるが、これらに限定されるものではなく、また必要に応じて1種、もしくは2種以上を使用することができる。また、外添のためのサイズ剤(外添サイズ剤)としては、スチレンマレイン酸系共重合体、スチレンアクリル酸系共重合体、スチレン系重合体、イソシアネート系重合体、ロジン、トール油及びフタル酸などのアルキド樹脂ケン化物、石油樹脂とロジンのケン化物などの重合体、α-オレフィン-マレイン酸系共重合体、アクリル酸エステル-アクリル酸系共重合体、アルキルケテンダイマーなどが挙げられるが、これらに限定されるものではなく、また必要に応じて1種、もしくは2種以上を使用することができる。さらに、紙支持体は、上記したサイズ剤、パルプや各種填料以外に、ノニオン性、カチオン性、アニオン性あるいは両性の歩留り向上剤、濾水性向上剤、紙力増強剤等で例示される各種の抄紙用内添助剤を、必要に応じて添加することができる。歩留り向上剤、濾水性向上剤、紙力増強剤の具体例としては、例えば、アルミニウム等の多価金属化合物(具体的には、硫酸アルミニウム、塩化アルミニウム、アルミン酸ソーダ、塩基性アルミニウム化合物等)、非晶質シリカ、各種デンプン類、尿素樹脂、ポリアミド・ポリアミン樹脂、ポリエチレンイミン、ポリアクリルアミド、ポリアミン、ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキサイド等が例示できる。
【0058】
本発明において、感熱記録層上には、耐スティッキング性の向上、スクラッチ傷の防止、耐水性の向上、印刷性の向上、捺印性の向上、インクジェット適性の向上、感熱発色画像の耐可塑剤性や耐薬品性の向上等を目的として保護層を設けることができる。保護層には、各種接着剤、無機顔料、各種硬化剤、各種架橋剤、紫外線吸収剤等を含有させ、単層または二層以上を積層させることができる。また、感熱記録層または保護層の表面にUVインキ等による印刷等を行ってもよい。
【0059】
本発明において、保護層の固形分塗工量としては、0.5~5g/m2が好ましい。0.5g/m2より少ないと保護層が有する各種性能が発揮されず、5g/m2より多いとサーマルヘッドから感熱記録層へ到達する熱エネルギーのロスが多くなり、発色性の低下を招く場合がある。
【0060】
本発明において、支持体の感熱記録層を有する面と反対側の面には、カール防止、帯電防止等を目的としてバックコート層を有してもよく、更に粘着加工等を行ってもよい。また、支持体の感熱記録層を有する面または反対側の面には、電気的、磁気的、または光学的に情報が記録可能な材料を含む層やインクジェット記録層等を有してもよい。また、レーザー光による印字を行うために、感熱記録材料中の任意の層および支持体に光熱変換材料を含有させることもできる。
【0061】
本発明における各層の形成方式については、特に限定されることなく、周知の技術を用いて形成することができ、例えば、エアーナイフコーター、各種ブレードコーター、各種バーコーター、各種カーテンコーター等の塗布装置や、平版、凸版、凹版、フレキソ、グラビア、スクリーン等の各種印刷方式等を用いることができる。更に、表面平滑性を改良するために、マシンカレンダー、スーパーカレンダー、グロスカレンダー、ブラッシング等の装置を利用することができる等、感熱記録材料製造における種々の公知技術を用いることができる。
【実施例0062】
以下に実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれら実施例により何ら限定されるものではない。なお、実施例において、特に注意書きの無い場合は、%および部はすべて質量基準である。また塗工量は固形分塗工量である。
【0063】
実施例1
(1)染料前駆体分散液Aの調製
以下の配合を混合し、DYNO(登録商標)-MILL MULTI-LAB(ウィリー・エ・バッコーフェン社製)にて、粉砕室内におけるビーズ充填率80容積%(直径0.6mmガラスビーズ使用)、分散液の液温20℃の条件で分散質の体積平均粒子径が0.8μmになるまで湿式粉砕して、染料前駆体分散液Aを得た。
3,3-ビス(1-n-ブチル-2-メチル-3-インドリル)フタリド 100部
(山本化成(株)製、Red-40)
10%スルホン酸変性ポリビニルアルコール水溶液 100部
(三菱ケミカル(株)製、ゴーセネックス(登録商標)L-3266を水に溶かしたもの)
10%スチレンマレイン酸共重合体アンモニウム塩水溶液(ブチルエステル化、エステル化度70%) 5部
(荒川化学工業(株)製、ポリマロン1318を水で希釈したもの)
ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル 2部
(花王(株)製ノニオン系界面活性剤、エマルゲンMS-110、HLB値12.7)
アセチレン系ジアルコール組成物 0.5部
(日信化学工業(株)製、サーフィノール(登録商標)104E)
水 170部
【0064】
(2)顕色剤分散液の調製
以下の配合を混合し、DYNO-MILL MULTI-LAB(ウィリー・エ・バッコーフェン社製)にて、粉砕室内におけるビーズ充填率が80容積%(直径0.6mmガラスビーズ使用)、分散液の液温が20℃の条件で分散質の体積平均粒子径が0.8μmになるまで湿式粉砕して、顕色剤分散液を得た。
2,2′-ジアリル-4,4′-スルホニルジフェノール 200部
2-(2′-ヒドロキシ-5′-メチルフェニル)ベンゾトリアゾール 200部
1,1,3-トリス(5-シクロヘキシル-4-ヒドロキシ-ο-トリル)ブタン
40部
10%スルホン酸変性ポリビニルアルコール水溶液 440部
(三菱ケミカル(株)製、ゴーセネックスL-3266を水に溶かしたもの)
アセチレン系ジアルコール組成物 2部
(日信化学工業(株)製、サーフィノール104E)
水 738部
【0065】
(3)顔料分散液の調製
以下の配合を混合攪拌して、顔料分散液を得た。
軽質炭酸カルシウム 150部
(奥多摩工業(株)製、タマパール(登録商標)TP-123)
10%ポリアクリル酸アンモニウム水溶液 15部
(互応化学工業(株)製、ミクロゾールKE-511を水で希釈したもの)
水 340部
【0066】
(4)感熱記録層塗工液の調製
以下の配合を混合し、充分攪拌して、感熱記録層塗工液を得た。
染料前駆体分散液A 377.5部
顕色剤分散液 1620部
顔料分散液 505部
10%完全ケン化ポリビニルアルコール水溶液 1300部
(日本酢ビ・ポバール(株)製、VC-13を水に溶かしたもの)
40%ステアリン酸亜鉛水分散液 175部
(中京油脂(株)製、ハイドリンL-536)
水 775部
【0067】
(5)感熱記録層の形成
上記(4)で調製した感熱記録層塗工液を、坪量200g/m2、JIS P8150に基づく色相a*値が1.6の上質紙(灰分0.3%)に、固形分塗工量として5g/m2となるようにエアーナイフコーターにて塗工、水分率6.5%となるように乾燥して、更にスーパーカレンダーを用いてカレンダー処理を行って感熱記録材料を作製した。なお、カレンダー処理後の感熱記録層表面のベック平滑度は250秒であった。(熊谷理機工業(株)製、HLベック平滑度試験機にて測定)
【0068】
実施例2
実施例1の(1)染料前駆体分散液Aの調製において、配合を以下のように変更した以外は実施例1と同様にして、実施例2の感熱記録材料を作製した。なお、カレンダー処理後の感熱記録層表面のベック平滑度は250秒であった。
3,3-ビス(1-n-ブチル-2-メチル-3-インドリル)フタリド 100部
(山本化成(株)製、Red-40)
10%スルホン酸変性ポリビニルアルコール水溶液 100部
(三菱ケミカル(株)製、ゴーセネックスL-3266を水に溶かしたもの)
10%スチレンマレイン酸共重合体アンモニウム塩水溶液 5部
(荒川化学工業(株)製、ポリマロン1318を水で希釈したもの)
ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート 2部
(花王(株)製ノニオン系界面活性剤、レオドールTW-L120、HLB値16.7)
アセチレン系ジアルコール組成物 0.5部
(日信化学工業(株)製、サーフィノール104E)
水 170部
【0069】
実施例3
実施例1の(1)染料前駆体分散液Aの調製において、配合を以下のように変更した以外は実施例1と同様にして、実施例3の感熱記録材料を作製した。なお、カレンダー処理後の感熱記録層表面のベック平滑度は250秒であった。
3,3-ビス(1-n-ブチル-2-メチル-3-インドリル)フタリド 100部
(山本化成(株)製、Red-40)
10%スルホン酸変性ポリビニルアルコール水溶液 100部
(三菱ケミカル(株)製、ゴーセネックスL-3266を水に溶かしたもの)
10%スチレンマレイン酸共重合体アンモニウム塩水溶液 5部
(荒川化学工業(株)製、ポリマロン1318を水で希釈したもの)
ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル 0.3部
(花王(株)製ノニオン系界面活性剤、エマルゲンMS-110、HLB値12.7)
アセチレン系ジアルコール組成物 0.5部
(日信化学工業(株)製、サーフィノール104E)
水 171.7部
【0070】
実施例4
実施例1の(1)染料前駆体分散液Aの調製において、配合を以下のように変更した以外は実施例1と同様にして、実施例4の感熱記録材料を作製した。なお、カレンダー処理後の感熱記録層表面のベック平滑度は250秒であった。
3,3-ビス(1-n-ブチル-2-メチル-3-インドリル)フタリド 100部
(山本化成(株)製、Red-40)
10%スルホン酸変性ポリビニルアルコール水溶液 100部
(三菱ケミカル(株)製、ゴーセネックスL-3266を水に溶かしたもの)
10%スチレンマレイン酸共重合体アンモニウム塩水溶液 5部
(荒川化学工業(株)製、ポリマロン1318を水で希釈したもの)
ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル 3部
(花王(株)製ノニオン系界面活性剤、エマルゲンMS-110、HLB値12.7)
アセチレン系ジアルコール組成物 0.5部
(日信化学工業(株)製、サーフィノール104E)
水 169部
【0071】
実施例5
(6)スチレンマレイン酸共重合体A塩の合成
攪拌機、温度計、及び還流冷却管を備えた四つ口フラスコに、スチレン45部、無水マレイン酸43部、トルエン300部及びナイパ-(登録商標)BW(日本油脂(株)製)1部を入れ、油浴で加熱して還流下、6時間反応した。この反応液に、さらにブタノール16部とヒドロキノン0.5部を入れ、油浴で加熱して還流下、12時間反応した。次に、このエステル化溶液を冷却後、1500mlのn-ヘキサンの中に注ぎ、樹脂を析出させ、ろ過、乾燥した。この乾燥させた樹脂に水350部と25%アンモニア水溶液20部を加えて60℃で5時間加水分解し、水を加えて固形分濃度を10%に調整した。得られたスチレンマレイン酸共重合体A塩のエステル化度は30%であり、重量平均分子量は50000であった。
【0072】
実施例1の(1)染料前駆体分散液Aの調製において、配合を以下のように変更した以外は実施例1と同様にして、実施例5の感熱記録材料を作製した。なお、カレンダー処理後の感熱記録層表面のベック平滑度は250秒であった。
3,3-ビス(1-n-ブチル-2-メチル-3-インドリル)フタリド 100部
(山本化成(株)製、Red-40)
10%スルホン酸変性ポリビニルアルコール水溶液 100部
(三菱ケミカル(株)製、ゴーセネックスL-3266を水に溶かしたもの)
10%スチレンマレイン酸共重合体A塩水溶液(ブチルエステル化、エステル化度30%) 5部
ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル 2部
(花王(株)製ノニオン系界面活性剤、エマルゲンMS-110、HLB値12.7)
アセチレン系ジアルコール組成物 0.5部
(日信化学工業(株)製、サーフィノール104E)
水 170部
【0073】
実施例6
(7)染料前駆体分散液Bの調製
以下の配合を混合し、DYNO-MILL MULTI-LAB(ウィリー・エ・バッコーフェン社製)にて、粉砕室内におけるビーズ充填率80容積%(直径0.6mmガラスビーズ使用)、分散液の液温20℃の条件で分散質の体積平均粒子径が0.8μmになるまで湿式粉砕して、染料前駆体分散液Bを得た。
3-ジエチルアミノ-7-クロロフルオラン 100部
(山本化成(株)製、Red-8)
10%スルホン酸変性ポリビニルアルコール水溶液 100部
(三菱ケミカル(株)製、ゴーセネックスL-3266を水に溶かしたもの)
10%スチレンマレイン酸共重合体アンモニウム塩水溶液(ブチルエステル化、エステル化度70%) 5部
(荒川化学工業(株)製、ポリマロン1318を水で希釈したもの)
ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル 2部
(花王(株)製ノニオン系界面活性剤、エマルゲンMS-110、HLB値12.7)
アセチレン系ジアルコール組成物 0.5部
(日信化学工業(株)製、サーフィノール104E)
水 170部
【0074】
実施例1の(4)感熱記録層塗工液の調整において、染料前駆体分散液Aを染料前駆体分散液Bに変更した以外は同様にして、実施例6の感熱記録材料を作製した。なお、カレンダー処理後の感熱記録層表面のベック平滑度は250秒であった。
【0075】
実施例7
実施例1の(4)感熱記録層塗工液の調製において、配合を以下のように変更した以外は実施例1と同様にして、実施例7の感熱記録材料を作製した。なお、カレンダー処理後の感熱記録層表面のベック平滑度は250秒であった。
(4)感熱記録層塗工液の調製
以下の配合を混合し、充分攪拌して、感熱記録層塗工液を得た。
染料前駆体分散液A 19部
染料前駆体分散液B 358.5部
顕色剤分散液 1620部
顔料分散液 505部
10%完全ケン化ポリビニルアルコール水溶液 1300部
(日本酢ビ・ポバール(株)製、VC-13を水に溶かしたもの)
40%ステアリン酸亜鉛水分散液 175部
(中京油脂(株)製、ハイドリンL-536)
水 775部
【0076】
比較例1
実施例1の(1)染料前駆体分散液Aの調製において、配合を以下のように変更した以外は実施例1と同様にして、比較例1の感熱記録材料を作製しようとしたが、染料前駆体分散液がゲル化して感熱記録材料を得ることができなかった。
3,3-ビス(1-n-ブチル-2-メチル-3-インドリル)フタリド 100部
(山本化成(株)製、Red-40)
10%スルホン酸変性ポリビニルアルコール水溶液 100部
(三菱ケミカル(株)製、ゴーセネックスL-3266を水に溶かしたもの)
10%スチレンマレイン酸共重合体アンモニウム塩水溶液 5部
(荒川化学工業(株)製、ポリマロン1318を水で希釈したもの)
ポリオキシエチレン脂肪酸モノエステル 2部
(三洋化成(株)製ノニオン系界面活性剤、イオネット(登録商標)MO-200、HLB値8.4)
アセチレン系ジアルコール組成物 0.5部
(日信化学工業(株)製、サーフィノール104E)
水 170部
【0077】
比較例2
実施例1の(1)染料前駆体分散液Aの調製において、配合を以下のように変更した以外は実施例1と同様にして、比較例2の感熱記録材料を作製した。なお、カレンダー処理後の感熱記録層表面のベック平滑度は250秒であった。
3,3-ビス(1-n-ブチル-2-メチル-3-インドリル)フタリド 100部
(山本化成(株)製、Red-40)
10%スルホン酸変性ポリビニルアルコール水溶液 100部
(三菱ケミカル(株)製、ゴーセネックスL-3266を水に溶かしたもの)
10%スチレンマレイン酸共重合体アンモニウム塩水溶液 5部
(荒川化学工業(株)製、ポリマロン1318を水で希釈したもの)
アセチレン系ジアルコール組成物 0.5部
(日信化学工業(株)製、サーフィノール104E)
水 172部
【0078】
比較例3
実施例1の(1)染料前駆体分散液Aの調製において、配合を以下のように変更した以外は実施例1と同様にして、比較例3の感熱記録材料を作製した。なお、カレンダー処理後の感熱記録層表面のベック平滑度は250秒であった。
3,3-ビス(1-n-ブチル-2-メチル-3-インドリル)フタリド 100部
(山本化成(株)製、Red-40)
10%スルホン酸変性ポリビニルアルコール水溶液 100部
(三菱ケミカル(株)製、ゴーセネックスL-3266を水に溶かしたもの)
10%スチレンマレイン酸共重合体アンモニウム塩水溶液 5部
(荒川化学工業(株)製、ポリマロン1318を水で希釈したもの)
ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル 5部
(花王(株)製ノニオン系界面活性剤、エマルゲンMS-110、HLB値12.7)
アセチレン系ジアルコール組成物 0.5部
(日信化学工業(株)製、サーフィノール104E)
水 167部
【0079】
比較例4
(8)スチレンマレイン酸共重合体B塩の合成
攪拌機、温度計、及び還流冷却管を備えた四つ口フラスコに、スチレン45部、無水マレイン酸43部、トルエン300部及びナイパ-BW(日本油脂(株)製)1部を入れ、油浴で加熱して還流下、6時間反応した。この反応液を1500mlのn-ヘキサンの中に注ぎ、樹脂を析出させ、ろ過、乾燥した。この乾燥したスチレン無水マレイン酸共重合体に水350部と25%アンモニア水溶液20部を加えて60℃で5時間加水分解し、水を加えて固形分濃度を10%に調整した。得られたスチレンマレイン酸共重合体B塩のエステル化度は0%であり、重量平均分子量は50000であった。
【0080】
実施例1の(1)染料前駆体分散液Aの調製において、配合を以下のように変更した以外は実施例1と同様にして、比較例4の感熱記録材料を作製しようとしたが、染料前駆体分散液がゲル化して感熱記録材料を得ることができなかった。
3,3-ビス(1-n-ブチル-2-メチル-3-インドリル)フタリド 100部
(山本化成(株)製、Red-40)
10%スルホン酸変性ポリビニルアルコール水溶液 100部
(三菱ケミカル(株)製、ゴーセネックスL-3266を水に溶かしたもの)
10%スチレンマレイン酸共重合体B塩水溶液(エステル化度0%) 5部
ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル 2部
(花王(株)製ノニオン系界面活性剤、エマルゲンMS-110、HLB値12.7)
アセチレン系ジアルコール組成物 0.5部
(日信化学工業(株)製、サーフィノール104E)
水 170部
【0081】
以上の実施例1~7、および比較例1~4で作製した感熱記録材料を下記の評価に供した。各々の結果について表1に示した。なお表1において「‐」を記載した箇所は、染料前駆体分散液のゲル化に伴い感熱記録材料が作製できず、かかる項目の評価ができなかった事を意味する。
【0082】
[製造安定性]
染料前駆体分散液を調製した際の様子を観察し、以下の基準に従い評価した。
○:染料前駆体分散液の粉砕時及び粉砕後にゲル化しない。
×:染料前駆体分散液の粉砕時あるいは粉砕後にゲル化した。
【0083】
[地肌の赤かぶり]
作製した各感熱記録材料それぞれについて、23℃・50%RHの環境下において、JIS P8150:2004に基づいて地肌部の色相a*値を測定し、以下の基準に従い評価した。
◎:地肌部分のa*値が1.0未満
○:地肌部分のa*値が1.0以上、4.0未満
×:地肌部分のa*値が4.0以上
【0084】
[印字濃度]
作製した各感熱記録材料それぞれについて、23℃・50%RHの環境下で大倉電気(株)製ファクシミリ試験機TH-PMDを用いて、0.29mJ/dotの印可エネルギーで赤ベタを印字した。23℃・50%RHの環境下で画像部の光学濃度を濃度計(GretagMacbeth社製、RD19)(マゼンタモード)にて測定し、以下の基準に従い評価した。
◎:印字部分の発色濃度が1.2を超える
○:印字部分の発色濃度が0.9を超えて、1.2以下
×:印字部分の発色濃度が0.9以下
【0085】
【0086】
表1の記載から明らかなように、本発明の感熱記録材料の製造方法によって、高い印字濃度が得られ、地肌の赤かぶりが少なく、製造安定性に優れた感熱記録材料を得ることができる。