IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社中西製作所の特許一覧

特開2024-28095食器洗浄システムで用いる食器枚数計数方法、食器洗浄方法、食器枚数計数装置、及び食器洗浄システム
<>
  • 特開-食器洗浄システムで用いる食器枚数計数方法、食器洗浄方法、食器枚数計数装置、及び食器洗浄システム 図1
  • 特開-食器洗浄システムで用いる食器枚数計数方法、食器洗浄方法、食器枚数計数装置、及び食器洗浄システム 図2
  • 特開-食器洗浄システムで用いる食器枚数計数方法、食器洗浄方法、食器枚数計数装置、及び食器洗浄システム 図3
  • 特開-食器洗浄システムで用いる食器枚数計数方法、食器洗浄方法、食器枚数計数装置、及び食器洗浄システム 図4
  • 特開-食器洗浄システムで用いる食器枚数計数方法、食器洗浄方法、食器枚数計数装置、及び食器洗浄システム 図5
  • 特開-食器洗浄システムで用いる食器枚数計数方法、食器洗浄方法、食器枚数計数装置、及び食器洗浄システム 図6
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024028095
(43)【公開日】2024-03-01
(54)【発明の名称】食器洗浄システムで用いる食器枚数計数方法、食器洗浄方法、食器枚数計数装置、及び食器洗浄システム
(51)【国際特許分類】
   G06T 7/60 20170101AFI20240222BHJP
   A47L 15/24 20060101ALI20240222BHJP
   A47L 15/46 20060101ALI20240222BHJP
   G06M 9/00 20060101ALI20240222BHJP
【FI】
G06T7/60 110
A47L15/24
A47L15/46 Z
G06M9/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023038428
(22)【出願日】2023-03-13
(31)【優先権主張番号】P 2022130996
(32)【優先日】2022-08-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り (1)令和4年9月18日にYOUTUBEにて公開 (2)令和4年9月28日~令和4年9月30日にフードシステムソリューション(F-SYS)2022にて公開 (3)令和4年9月28日にプレスリリースにて公開 (4)令和4年10月28日に紹介記事にて公開
(71)【出願人】
【識別番号】390007456
【氏名又は名称】株式会社中西製作所
(72)【発明者】
【氏名】大友 秀幸
(72)【発明者】
【氏名】横山 慎一郎
【テーマコード(参考)】
3B082
5L096
【Fターム(参考)】
3B082AA01
3B082AA02
3B082DC01
5L096AA06
5L096BA08
5L096CA02
5L096DA02
5L096DA03
5L096HA08
(57)【要約】
【課題】食器の表面に残菜等が付着している状態であったとしても、食器篭に積み重ねて収納した食器の枚数を正確に計数する。
【解決手段】食器篭5を撮影して画像データを作成する撮影手段22と、画像データ等を記録する記録手段23と、画像データの内、食器篭に積み重ねて収納した全枚数の食器6のそれぞれ一部を含む連続した所定の範囲内で輝度による連続したデータを作成する輝度データ作成手段24と、輝度による連続したデータから、輝度が所定の閾値を上回った値から下回った回数、若しくは下回った値から上回った回数の少なくともいずれか一方の回数をもとに、食器と食器との間の隙間の数を計数する食器間隙間計数手段25と、食器と食器との間の隙間の数から、食器篭に収納した食器の枚数を算出する食器枚数算出手段26と、食器篭に収納した食器の枚数を表示する表示手段15とを備えるものとする。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
大量喫食を前提とした場所で使用される食器洗浄システムで用いる食器枚数計数方法において、
食器を積み重ねて収納する食器篭を撮影手段により撮影し、画像データを作成して記録手段に記録する撮影ステップと、
前記撮影ステップで記録手段に記録した画像データに、前記食器篭に積み重ねて収納した全枚数の食器のそれぞれ少なくとも一部を含む連続した所定の範囲を設定し、前記所定の範囲の食器の積み重ね方向に、輝度による連続したデータを作成する輝度データ作成ステップと、
前記輝度データ作成ステップで作成したデータから、輝度が所定の閾値を上回った値から下回った回数、若しくは下回った値から上回った回数の少なくともいずれか一方の回数をもとに、前記食器篭に積み重ねて収納した食器と食器との間の隙間の数を計数し、前記食器篭に積み重ねて収納した食器と食器との間の隙間の数から、前記食器篭に積み重ねて収納した食器の枚数を算出する食器枚数算出ステップと、
前記食器枚数算出ステップにより算出した食器篭に収納した食器の枚数を表示手段に表示する食器枚数表示ステップと、
を含むことを特徴とする食器洗浄システムで用いる食器枚数計数方法。
【請求項2】
食器枚数算出ステップの後に、記録手段に記録された食器篭に収納すべき食器の枚数と、前記食器枚数算出ステップにより算出した前記食器篭に収納した食器の枚数と、の差分を差分算出手段により算出する差分算出ステップを行い、
前記差分算出ステップの後に行う食器枚数表示ステップでは、前記記録手段に記録された食器篭に収納すべき食器の枚数と、前記食器枚数算出ステップにより算出した食器篭に収納した食器の枚数と、を表示手段に表示するとともに、
前記差分算出ステップで算出した差分が0ではない場合に、警告を前記表示手段に表示する
ことを特徴とする請求項1に記載の食器洗浄システムで用いる食器枚数計数方法。
【請求項3】
撮影ステップの後に、食器篭に添付した、前記食器篭に積み重ねて収納すべき食器の枚数を記載した識別標識を、記録手段に記録した画像データから読取手段により読み取り、前記食器篭に積み重ねて収納すべき食器の枚数を前記記録手段に記録する読取ステップを行い、
前記読取ステップの後に、差分算出ステップを行う
ことを特徴とする請求項2に記載の食器洗浄システムで用いる食器枚数計数方法。
【請求項4】
輝度データ作成ステップでは、記録手段に記録した画像データ内の識別標識を基準とし、前記基準から所定の距離だけ離れた位置までを、食器篭に積み重ねて収納した全枚数の食器のそれぞれ少なくとも一部を含む連続した所定の範囲として設定する
ことを特徴とする請求項3に記載の食器洗浄システムで用いる食器枚数計数方法。
【請求項5】
請求項2~4のいずれか一つの食器洗浄システムで用いる食器枚数計数方法を行う食器洗浄方法において、
差分算出ステップで算出した差分が0である場合に、
撮影ステップを行った食器を積み重ねて収納した食器篭の姿勢のままで、前記食器篭を食器洗浄装置へと搬入し、前記食器篭に積み重ねて収納した食器を離間洗浄する食器洗浄ステップを行う
ことを特徴とする食器洗浄方法。
【請求項6】
大量喫食を前提とした場所で使用される食器枚数計数装置において、
食器を積み重ねて収納する食器篭を撮影して画像データを作成する撮影手段と、
前記画像データを記録する記録手段と、
前記記録手段に記録した画像データの内、前記食器篭に積み重ねて収納した全枚数の食器のそれぞれ少なくとも一部を含む連続した所定の範囲内で、前記食器の積み重ね方向に、輝度による連続したデータを作成する輝度データ作成手段と、
前記輝度データ作成手段が作成したデータから、輝度が所定の閾値を上回った値から下回った回数、若しくは下回った値から上回った回数の少なくともいずれか一方の回数をもとに、前記食器篭に積み重ねて収納した食器と食器との間の隙間の数を計数する食器間隙間計数手段と、
前記食器間隙間計数手段により計数した食器と食器との間の隙間の数から、前記食器篭に収納した食器の枚数を算出する食器枚数算出手段と、
前記食器枚数算出手段により算出した食器篭に収納した食器の枚数を表示する表示手段と、
を備えたことを特徴とする食器枚数計数装置。
【請求項7】
記録手段に記録された食器篭に積み重ねて収納すべき食器の枚数と、食器枚数算出手段により算出した前記食器篭に積み重ねて収納した食器の枚数と、を比較してその差分を算出する差分算出手段をさらに備え、
表示手段では、前記記録手段に記録された食器篭に収納すべき食器の枚数と、前記食器枚数算出手段により算出した食器篭に収納した食器の枚数と、を表示するとともに、前記差分算出手段で算出した差分が0ではない場合に、警告を表示する
ことを特徴とする請求項6に記載の食器枚数計数装置。
【請求項8】
記録手段で記録した画像データから、食器篭に添付された、前記食器篭に積み重ねて収納すべき食器の枚数が記載された識別標識を読み取る読取手段をさらに備え、
前記記録手段は、前記読取手段により読み取った前記食器篭に積み重ねて収納すべき食器の枚数を、前記記録手段に記録する
ことを特徴とする請求項7に記載の食器枚数計数装置。
【請求項9】
輝度データ作成手段は、記録手段に記録した画像データ内の識別標識を基準とし、前記基準から所定の距離だけ離れた位置までを、食器篭に積み重ねて収納した全枚数の食器のそれぞれ少なくとも一部を含む連続した所定の範囲として設定する
ことを特徴とする請求項8に記載の食器枚数計数装置。
【請求項10】
請求項6~9のいずれか一項に記載の食器枚数計数装置を用いる食器洗浄システムにおいて、
撮影手段の下流側に設けられ、積み重ねて食器を収納する食器篭を搬入して、洗浄水を前記食器へと噴射することにより離間洗浄を行う食器洗浄装置をさらに備え、
前記撮影手段で撮影した状態の前記食器篭の姿勢のままで前記離間洗浄を行う食器洗浄装置へと搬入される
ことを特徴とする食器洗浄システム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食器洗浄システムで用いる食器枚数計数方法、食器洗浄方法、食器枚数計数装置、及び食器洗浄システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載されている食器洗浄方法は、喫食で使用した食器を積み重ねて収容した食器篭を食器洗浄装置へと搬入し、食器に洗浄水を噴射することにより離間した食器と食器との間に洗浄水を流動させて食器を洗浄する方法で、一般的には離間洗浄と呼ばれる方式である。このような離間洗浄を採用した食器洗浄装置は、大量喫食を前提とした給食センター等で多く使用されている。
【0003】
離間洗浄を採用した食器洗浄装置を使用する大量喫食を前提とした給食センターでは、学校等から返却されてきたままの、食器篭に食器を積み重ねて収納した状態で食器洗浄装置へと食器篭を搬入し、食器を洗浄することができる。
【0004】
しかしながら、大量喫食を行った場所から食器篭が返却されたとき、その食器篭に積み重ねて収納されている食器は、収納すべき枚数よりも多い枚数の食器が積み重ねて収納されている場合や、収納すべき枚数よりも少ない枚数が積み重ねて収納されている場合がある。
【0005】
収納すべき枚数よりも多い枚数の食器を食器篭に収納している場合は、離間洗浄では食器篭に規定の枚数が収納されていることで最大の効果を発揮するため、食器篭に積み重ねて収納された食器がうまく離間できずに洗浄されないというおそれがある。
【0006】
収納すべき枚数よりも少ない枚数の食器が食器篭に収納されている場合は、個々の食器篭は使用される場所と人数が決まっているために、洗浄後に再び同様の場所へと配送したときに食器が不足してしまうというおそれがある。また、離間洗浄では食器篭に規定の枚数が収納されていることで最大の効果を発揮するため、食器篭に積み重ねて収納された食器がうまく離間できずに洗浄されないというおそれがある。
【0007】
そのため、離間洗浄を採用した食器洗浄装置へと食器篭を搬入する前に、作業員により食器篭に収納すべき枚数の食器が収納されているかを計数している。
【0008】
特許文献2に記載されているのは、積み重ねた容器に、容器の積み重ね方向に移動するセンサーヘッドからレーザを投光し受光することで、容器の表面で反射して受光されるまでの距離を計測し、その距離の変化から積み重ねた容器の枚数を計数する計数装置である。
【0009】
このような計数装置を用いることで、離間洗浄を採用した食器洗浄装置へと食器篭を搬入する前に、食器篭に積み重ねて収納された食器の枚数を計数することができ、過不足ある場合は作業員の手により食器篭に積み重ねて収納された食器の枚数を調整することができる可能性はある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2008-173258号公報
【特許文献2】特開2012-133737号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、出願人が知る限り、大量喫食を前提とした給食センター等で、食器篭に喫食後の食器を積み重ねて収納したまま食器の枚数を計数する技術は、未だ実用化されていない。
【0012】
もし特許文献2に記載の技術を適用し、大量喫食を前提とした給食センターで、喫食後の食器を食器篭に積み重ねて収納したまま、その食器の枚数を計数した場合、以下のような課題がある。
【0013】
例えば、食器篭に積み重ねて収納した食器が洗浄前の状態であった場合は、食器篭に積み重ねて収納した食器の表面に残菜、例えばご飯粒等が付着しており、その残菜により、センサーヘッドにより投光し受光するレーザによる距離の計測がさまたげられ、食器の枚数を計数することができないおそれがある。
【0014】
また、食器篭に積み重ねて収納した食器が洗浄後の状態であった場合は、食器篭に積み重ねて収納した食器が濡れており、その水分により、センサーヘッドにより投光し受光するレーザによる距離の計測がさまたげられ、食器の枚数を計数することができないおそれがある。
【0015】
このように、特許文献2に記載の技術を適用した場合でも、食器篭に積み重ねて収納した食器の枚数を計数することは困難である。そのため、食器篭に積み重ねて収納した食器の枚数は作業員が計数することとなり、その作業は大きな作業負担となっていた。
【0016】
本発明は、食器の表面に残菜等が付着している状態であったとしても、食器篭に積み重ねて収納した食器の枚数を正確に計数することのできる食器洗浄システムで用いる食器枚数計数方法、食器洗浄方法、食器枚数計数装置、及び食器洗浄システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記目的を達成するために本発明に係る食器洗浄システムで用いる食器枚数計数方法は、
大量喫食を前提とした場所で使用される食器洗浄システムで用いる食器枚数計数方法において、
食器を積み重ねて収納する食器篭を撮影手段により撮影し、画像データを作成して記録手段に記録する撮影ステップと、
前記撮影ステップで記録手段に記録した画像データに、前記食器篭に積み重ねて収納した全枚数の食器のそれぞれ少なくとも一部を含む連続した所定の範囲を設定し、前記所定の範囲の食器の積み重ね方向に、輝度による連続したデータを作成する輝度データ作成ステップと、
前記輝度データ作成ステップで作成したデータから、輝度が所定の閾値を上回った値から下回った回数、若しくは下回った値から上回った回数の少なくともいずれか一方の回数をもとに、前記食器篭に積み重ねて収納した食器と食器との間の隙間の数を計数し、前記食器篭に積み重ねて収納した食器と食器との間の隙間の数から、前記食器篭に積み重ねて収納した食器の枚数を算出する食器枚数算出ステップと、
前記食器枚数算出ステップにより算出した食器篭に収納した食器の枚数を表示手段に表示する食器枚数表示ステップと、
を含むことを特徴とするものである。
【0018】
また、本発明に係る食器洗浄方法は、
前記した食器洗浄システムで用いる食器枚数計数方法を行う食器洗浄方法において、
差分算出ステップで算出した差分が0である場合に、
撮影ステップを行った食器を積み重ねて収納した食器篭の姿勢のままで、前記食器篭を食器洗浄装置へと搬入し、前記食器篭に積み重ねて収納した食器を離間洗浄する食器洗浄ステップを行うことを特徴とするものである。
【0019】
また、本発明に係る食器枚数計数装置は、
大量喫食を前提とした場所で使用される食器枚数計数装置において、
食器を積み重ねて収納する食器篭を撮影して画像データを作成する撮影手段と、
前記画像データを記録する記録手段と、
前記記録手段に記録した画像データの内、前記食器篭に積み重ねて収納した全枚数の食器のそれぞれ少なくとも一部を含む連続した所定の範囲内で、前記食器の積み重ね方向に、輝度による連続したデータを作成する輝度データ作成手段と、
前記輝度データ作成手段が作成したデータから、輝度が所定の閾値を上回った値から下回った回数、若しくは下回った値から上回った回数の少なくともいずれか一方の回数をもとに、前記食器篭に積み重ねて収納した食器と食器との間の隙間の数を計数する食器間隙間計数手段と、
前記食器間隙間計数手段により計数した食器と食器との間の隙間の数から、前記食器篭に収納した食器の枚数を算出する食器枚数算出手段と、
前記食器枚数算出手段により算出した食器篭に収納した食器の枚数を表示する表示手段と、
を備えたことを特徴とするものである。
【0020】
また、本発明に係る食器洗浄システムは、
前記した食器枚数計数装置を用いる食器洗浄システムにおいて、
撮影手段の下流側に設けられ、積み重ねて食器を収納する食器篭を搬入して、洗浄水を前記食器へと噴射することにより離間洗浄を行う食器洗浄装置をさらに備え、
前記撮影手段で撮影した状態の前記食器篭の姿勢のままで前記離間洗浄を行う食器洗浄装置へと搬入されることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0021】
本発明の食器洗浄システムで用いる食器枚数計数方法、食器洗浄方法、食器枚数計数装置、及び食器洗浄システムによれば、食器の表面に残菜等が付着している状態であったとしても、食器篭に積み重ねて収納した食器の枚数を正確に計数することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明の一実施形態の食器洗浄システムの全体的な構成を示す概略正面図。
図2】上記食器洗浄システムで洗浄する食器を積み重ねて収納した食器篭の外観を示す概略斜視図。
図3】上記食器洗浄システムの食器枚数計数装置の外観を示した概略正面側斜視図。
図4】上記食器洗浄システムの食器枚数計数装置におけるブロック図。
図5】(a)上記食器枚数計数装置の撮影手段により撮影し、作成して記録手段に記録した画像データを示す概略図、(b)上記食器枚数計数装置の記録手段に記録した画像データから輝度データ作成手段により作成した、輝度と食器積み重ね方向における位置との関係を示す輝度データのグラフ。
図6】上記食器洗浄システムにおける食器枚数計数方法を実施するステップを示すステップ図。
【発明を実施するための形態】
【0023】
第1の発明は、
大量喫食を前提とした場所で使用される食器洗浄システムで用いる食器枚数計数方法において、
食器を積み重ねて収納する食器篭を撮影手段により撮影し、画像データを作成して記録手段に記録する撮影ステップと、
前記撮影ステップで記録手段に記録した画像データに、前記食器篭に積み重ねて収納した全枚数の食器のそれぞれ少なくとも一部を含む連続した所定の範囲を設定し、前記所定の範囲の食器の積み重ね方向に、輝度による連続したデータを作成する輝度データ作成ステップと、
前記輝度データ作成ステップで作成したデータから、輝度が所定の閾値を上回った値から下回った回数、若しくは下回った値から上回った回数の少なくともいずれか一方の回数をもとに、前記食器篭に積み重ねて収納した食器と食器との間の隙間の数を計数し、前記食器篭に積み重ねて収納した食器と食器との間の隙間の数から、前記食器篭に積み重ねて収納した食器の枚数を算出する食器枚数算出ステップと、
前記食器枚数算出ステップにより算出した食器篭に収納した食器の枚数を表示手段に表示する食器枚数表示ステップと、
を含むことを特徴とする食器洗浄システムで用いる食器枚数計数方法としたものである。
【0024】
これにより、食器の表面に残菜等が付着している状態であったとしても、正確に食器篭に積み重ねて収納した食器の枚数を計数することができる。
【0025】
そして、食器篭に積み重ねて収納した食器の枚数を表示し作業員へと知らせ、作業員は食器篭に積み重ねて収納した食器の枚数を確認することができる。
【0026】
第2の発明は、第1の発明において、
食器枚数算出ステップの後に、記録手段に記録された食器篭に収納すべき食器の枚数と、前記食器枚数算出ステップにより算出した前記食器篭に収納した食器の枚数と、の差分を差分算出手段により算出する差分算出ステップを行い、
前記差分算出ステップの後に行う食器枚数表示ステップでは、前記記録手段に記録された食器篭に収納すべき食器の枚数と、前記食器枚数算出ステップにより算出した食器篭に収納した食器の枚数と、を表示手段に表示するとともに、
前記差分算出ステップで算出した差分が0ではない場合に、警告を前記表示手段に表示することを特徴とする食器洗浄システムで用いる食器枚数計数方法としたものである。
【0027】
これにより、食器篭に積み重ねて収納した食器の枚数が、収納すべき食器の枚数と異なる場合に作業員へと知らせ、作業員により食器篭に積み重ねて収納した食器の枚数を調整することができる。
【0028】
第3の発明は、第2の発明において、
撮影ステップの後に、食器篭に添付した、前記食器篭に積み重ねて収納すべき食器の枚数を記載した識別標識を、記録手段に記録した画像データから読取手段により読み取り、前記食器篭に積み重ねて収納すべき食器の枚数を前記記録手段に記録する読取ステップを行い、
前記読取ステップの後に、差分算出ステップを行う
ことを特徴とする食器洗浄システムで用いる食器枚数計数方法としたものである。
【0029】
これにより、食器篭ごとに積み重ねて収納すべき食器の枚数が異なっている場合でも、食器篭ごとに、積み重ねて収納した食器の枚数が収納すべき枚数であるかを正確に確認することができる。
【0030】
第4の発明は、第3の発明において、
輝度データ作成ステップでは、記録手段に記録した画像データ内の識別標識を基準とし、前記基準から所定の距離だけ離れた位置までを、食器篭に積み重ねて収納した全枚数の食器のそれぞれ少なくとも一部を含む連続した所定の範囲として設定する
ことを特徴とする食器洗浄システムで用いる食器枚数計数方法としたものである。
【0031】
これにより、識別標識の位置を基準にして、確実に所定の範囲を設定することができ、食器篭に積み重ねて収納した食器の枚数を正確に確認することができる。
【0032】
第5の発明は、第2~4のいずれか一つの発明に記載の食器洗浄システムで用いる食器枚数計数方法を行う食器洗浄方法において、
差分算出ステップで算出した差分が0である場合に、
撮影ステップを行った食器を積み重ねて収納した食器篭の姿勢のままで、前記食器篭を食器洗浄装置へと搬入し、前記食器篭に積み重ねて収納した食器を離間洗浄する食器洗浄ステップを行う
ことを特徴とする食器洗浄方法としたものである。
【0033】
これにより、食器の表面に残菜等が付着している状態であったとしても、食器篭に積み重ねて収納した食器の枚数を正確に計数してから、食器を洗浄することができる。そして、収納すべき枚数の食器を積み重ねて収納する食器篭を、撮影手段で撮影したときの、そのままの姿勢で食器洗浄装置へと搬入し、効果的に離間洗浄を行うことができる。
【0034】
第6の発明は、
大量喫食を前提とした場所で使用される食器枚数計数装置において、
食器を積み重ねて収納する食器篭を撮影して画像データを作成する撮影手段と、
前記画像データを記録する記録手段と、
前記記録手段に記録した画像データの内、前記食器篭に積み重ねて収納した全枚数の食器のそれぞれ少なくとも一部を含む連続した所定の範囲内で、前記食器の積み重ね方向に、輝度による連続したデータを作成する輝度データ作成手段と、
前記輝度データ作成手段が作成したデータから、輝度が所定の閾値を上回った値から下回った回数、若しくは下回った値から上回った回数の少なくともいずれか一方の回数をもとに、前記食器篭に積み重ねて収納した食器と食器との間の隙間の数を計数する食器間隙間計数手段と、
前記食器間隙間計数手段により計数した食器と食器との間の隙間の数から、前記食器篭に収納した食器の枚数を算出する食器枚数算出手段と、
前記食器枚数算出手段により算出した食器篭に収納した食器の枚数を表示する表示手段と、
を備えたことを特徴とする食器枚数計数装置としたものである。
【0035】
これにより、食器の表面に残菜等が付着している状態であったとしても、正確に食器篭に積み重ねて収納した食器の枚数を計数することができる。
【0036】
そして、食器篭に積み重ねて収納した食器の枚数を表示し作業員へと知らせ、作業員は食器篭に積み重ねて収納した食器の枚数を確認することができる。
【0037】
第7の発明は、第6の発明において、
記録手段に記録された食器篭に積み重ねて収納すべき食器の枚数と、食器枚数算出手段により算出した前記食器篭に積み重ねて収納した食器の枚数と、を比較してその差分を算出する差分算出手段をさらに備え、
表示手段では、前記記録手段に記録された食器篭に収納すべき食器の枚数と、前記食器枚数算出手段により算出した食器篭に収納した食器の枚数と、を表示するとともに、前記差分算出手段で算出した差分が0ではない場合に、警告を表示する
ことを特徴とする食器枚数計数装置としたものである。
【0038】
これにより、食器篭に積み重ねて収納した食器の枚数が、収納すべき食器の枚数と異なる場合に作業員へと知らせ、作業員により食器篭に積み重ねて収納した食器の枚数を調整することができる。
【0039】
第8の発明は、第7の発明において、
記録手段で記録した画像データから、食器篭に添付された、前記食器篭に積み重ねて収納すべき食器の枚数が記載された識別標識を読み取る読取手段をさらに備え、
前記記録手段は、前記読取手段により読み取った前記食器篭に積み重ねて収納すべき食器の枚数を、前記記録手段に記録する
ことを特徴とする食器枚数計数装置としたものである。
【0040】
これにより、食器篭ごとに積み重ねて収納すべき食器の枚数が異なっている場合でも、食器篭ごとに、積み重ねて収納した食器の枚数が収納すべき枚数であるかを正確に確認することができる。
【0041】
第9の発明は、第8の発明において、
輝度データ作成手段は、記録手段に記録した画像データ内の識別標識を基準とし、前記基準から所定の距離だけ離れた位置までを、食器篭に積み重ねて収納した全枚数の食器のそれぞれ少なくとも一部を含む連続した所定の範囲として設定する
ことを特徴とする食器枚数計数装置としたものである。
【0042】
これにより、識別標識の位置を基準にして、確実に所定の範囲を設定することができ、食器篭に積み重ねて収納した食器の枚数を正確に確認することができる。
【0043】
第10の発明は、第6~9のいずれか一つの発明に記載の食器枚数計数装置を用いる食器洗浄システムにおいて、
撮影手段の下流側に設けられ、積み重ねて食器を収納する食器篭を搬入して、洗浄水を前記食器へと噴射することにより離間洗浄を行う食器洗浄装置をさらに備え、
前記撮影手段で撮影した状態の前記食器篭の姿勢のままで前記離間洗浄を行う食器洗浄装置へと搬入される
ことを特徴とする食器洗浄システムとしたものである。
【0044】
これにより、食器の表面に残菜等が付着している状態であったとしても、食器篭に積み重ねて収納した食器の枚数を正確に計数してから、食器を洗浄することができる。そして、収納すべき枚数の食器を積み重ねて収納する食器篭を、撮影手段で撮影したときの、そのままの姿勢で食器洗浄装置へと搬入し、効果的に離間洗浄を行うことができる。
【0045】
(実施形態1)
(食器洗浄システムの構成)
まず、本実施形態の食器洗浄システム1について、基本的な構成を説明する。
【0046】
図1に示すように、食器洗浄システム1は、
食器篭5に積み重ねて収納した食器6の枚数を計数する食器枚数計数装置10と、
積み重ねて収納する食器6の枚数を計数した食器篭5を、浸漬槽52に貯水した所定の温度の浸漬水へと浸漬して、食器篭5に積み重ねて収納した食器6の浸漬洗浄を行う浸漬洗浄装置(洗浄装置)50と、
浸漬洗浄装置50で浸漬洗浄を行った食器篭5に積み重ねて収納した食器6に洗浄水及び清水を噴射して、食器篭5に積み重ねて収納した食器6の離間洗浄を行う食器洗浄装置(洗浄装置)60と、
を備える。
【0047】
また、図2に示すように、食器洗浄システム1により離間洗浄する食器6を積み重ねて収納した食器篭5は、金属製の線材を折り曲げて各箇所を溶接して製造した篭であり、内部には一種類の複数の食器6を、喫食面を一方向に揃えて積み重ねて収納する。
【0048】
また、食器篭5に積み重ねて収納した食器6のうち、喫食面が開放された一端側の食器6の縁と、その縁に当接することで食器篭5から積み重ねて収納した食器6が脱落しないように設けた線材と、の間に設けた隙間の距離を所定の距離Lとし、例えば10~20mmとする。
【0049】
このように、所定の距離Lを例えば10~20mmとすることにより、食器篭5に積み重ねて収納した食器6に洗浄水を噴射したとき、隣接する食器6の喫食面と、食器6の喫食面と対向する側の面との間に洗浄水を入り込ませることができる。そして、食器6と食器6との間を押し広げ、押し広げた隙間から残菜7等を排出しながら食器6を効果的に洗浄することができる。そのため、所定の距離Lを所定の範囲とした状態で離間洗浄することが肝要である。
【0050】
また、食器篭5の大きさと細部の仕様は、使用される場所に応じて、積み重ねて収納すべき食器6の枚数と、その食器6の種類や大きさから決定される。例えば、本実施形態の食器洗浄システム1を学校給食の給食センターで使用する場合、1クラス30人で、1人あたりに使用する食器6が、ご飯茶碗1枚、汁碗1枚、平皿1枚である場合を想定する。
【0051】
その場合は、食器篭5は一種類の食器6のみを積み重ねて収納するので、1クラスあたりに3つの食器篭5を用意することとなる。つまり、ご飯茶碗30枚を積み重ねて収納する食器篭5と、汁碗30枚を積み重ねて収納する食器篭5と、平皿30枚を積み重ねて収納する食器篭5である。
【0052】
そして、その三種類の食器篭5のうち、例えばご飯茶碗30枚を積み重ねて収納する食器篭5の大きさは、ご飯茶碗30枚を積み重ねた縦、横、高さの寸法に加え、ご飯茶碗の積み重ね方向に約10~20mmの所定の距離Lを加えた寸法を内部に収納することのできるものとする。
【0053】
同じように、その三種類の食器篭5のうち、例えば汁碗ならば汁碗30枚、平皿ならば平皿30枚を積み重ねて収納する食器篭5の大きさは、それぞれの食器6を30枚積み重ねた縦、横、高さの寸法に加え、積み重ね方向に約10~20mmの所定の距離Lを加えた寸法を内部に収納することのできるものとする。
【0054】
そして、食器篭5には、その食器篭5に積み重ねて収納すべき食器6の枚数を示す、例えば識別標識であるバーコードを添付した識別プレート8を取り付ける。
【0055】
なお、当然のことながら、食器篭5は一部を開放することにより、積み重ねて収納する食器6を取り出すことができ、また、開放した一部をロックすることにより、食器篭5の内部から食器6が脱落しないようにすることができる公知のロック機構、例えば食器篭5を構成する線材同士を係合させてロックする機構を有している。
【0056】
以下、本発明の説明では分かりやすさのために、単に食器篭5と記載した場合は、食器6を積み重ねて収納した食器篭5を意味する。また、単に食器6と記載した場合は、食器篭5に積み重ねて収納された食器6を意味する。
【0057】
(食器枚数計数装置)
次に、食器枚数計数装置10について、基本的な構成を説明する。
【0058】
図3に示すように、食器枚数計数装置10は、
下部に転動自在に固定したキャスタ13を有するフレーム12の上部に、食器6の枚数を計数するための機器を収納するハウジング14を設けた食器枚数計数部11と、
下部に転動自在に固定したキャスタ33を有するフレーム32の上部に、載置面に載置した食器篭5を下流側へと搬送する搬送手段31を設けた搬送部30と、
により構成している。
【0059】
食器枚数計数部11と搬送部30とは、それぞれ別個のフレーム12,32により構成されているため、分離して移動することができる。また、公知の技術を使用してフレーム12とフレーム32を結合し、一体とすることもできるよう構成している。
【0060】
また、食器枚数計数部11は、
搬送手段31により搬送する食器篭5の上方を覆い、食器篭5の搬送方向に直交する方向である両側側面からの光の侵入を遮る遮光板14aを有するハウジング14と、
搬送手段31により搬送する食器篭5に向けてレーザを投光する投光手段(センサ)16と、投光手段16から投光したレーザを受光しないことで食器篭5が所定の位置に配置されたことを検知する受光手段(センサ)17と、
より成り立っている。
【0061】
また、図4に示すように、ハウジング14内には、処理部20である、
食器枚数計数装置10の各機器の運転及び停止や、駆動及び停止を制御し、例えば受光手段17が投光手段16から投光されたレーザを受光しないことで食器篭5が所定の位置に配置されたとして搬送手段31の駆動を停止する制御部21と、
食器篭5が所定の位置に配置されて搬送が停止した後に、食器篭5を撮影して画像データを作成する撮影手段22と、
撮影手段22により作成された画像データ、及び食器篭5に積み重ねて収納すべき食器6の枚数等を記録する記録手段23と、
記録手段23に記録された画像データから、食器6の積み重ね方向に連続した輝度によるデータを作成する輝度データ作成手段24と、
輝度データ作成手段24が作成した輝度データから、食器篭5に積み重ねて収納した食器6の、食器6と食器6との間の隙間の数を計数する食器間隙間計数手段25と、
食器間隙間計数手段25により計数した食器6と食器6との間の隙間の数から、食器篭5に積み重ねて収納した食器6の枚数を算出する食器枚数算出手段26と、
記録手段23に記録した画像データから、食器篭5に取り付けた識別プレート8に添付した例えば識別標識であるバーコードを読み取り、記録手段23に記録する読取手段27と、
読取手段27により読み取り、記録手段23に記録された食器篭5に積み重ねて収納すべき食器6の枚数と、食器枚数算出手段26により算出した食器篭5に積み重ねて収納した食器6の枚数と、の差分を算出する差分算出手段28と、
記録手段23に記録された食器篭5に積み重ねて収納すべき食器6の枚数と、食器枚数算出手段26により算出した食器篭5に積み重ねて収納した食器6の枚数と、差分算出手段28により算出した差分と、を表示し、さらに差分算出手段28により算出した差分が0ではない場合に警告を表示する表示手段15と、
を備えている。
【0062】
また、ハウジング14内には図示しない照明手段を有し、撮影手段22により撮影して画像データを作成する際には、照明手段により食器篭5及び食器6に光を照射する。照明手段は、ハウジング14内の上方で、食器篭5の搬送方向の上流側から下流側へと向けて光を照射している。
【0063】
本実施形態では、図3に示すように、積み重ね収納した食器6の喫食面側を搬送方向の下流側、底面側を搬送方向の上流側へと向けて搬送する。ハウジング14内で照明手段により光を照射しながら撮影手段22により撮影すると、積み重ね収納した食器6の底面側から光を照射することとなる。
【0064】
これにより、隣り合う食器6と食器6との間にできる食器6の喫食面の縁部の影を鮮明にすることができる。これにより、後述する輝度データ作成ステップS300で、撮影手段22により撮影した画像データからより正確な輝度データを作成することができる。
【0065】
撮影手段22、例えばモノクロ256階調にて画像データを作成するカメラは、作成した画像データを記録手段23へと記録する。ここでは、一例として画像解像度1600×1200画素のものを使用している。
【0066】
記録手段23は、例えばSSD(ソリッドステートドライブ)やHDD(ハードディスクドライブ)、USBメモリ等のデジタルデータを記録するものである。
【0067】
表示手段15は、例えば4.5インチの小型ディスプレイであり、文字や数値等の情報をその画面に表示することができるものである。
【0068】
図3に示す搬送部30に設けた搬送手段31は、制御部21により駆動される無端状のベルトコンベア、ネットコンベア、駆動ローラーコンベア、又はチェーンコンベア等の公知のコンベアで、食器篭5を食器枚数計数装置10の搬送方向に沿って搬送できるものであればよい。
【0069】
なお、ハウジング14内には、搬送手段31により搬送する食器篭5の移動をガイドする摺動性の高い樹脂材を、ガイド部材として設けるのが好ましい。
【0070】
(浸漬洗浄装置)
次に、食器枚数計数装置10の下流側に設置した浸漬洗浄装置50について、基本的な構成を説明する。
【0071】
図1に示すように、浸漬洗浄装置50は、
浸漬洗浄装置50を覆い、食器篭5を搬入する搬入口51aと食器篭5を搬出する搬出口51bとを有するハウジング51と、
所定の温度、例えば40~60度Cの浸漬水を貯水する浸漬槽52と、
食器枚数計数装置10により収納する食器6の枚数を計数した食器篭5を、浸漬槽52に貯水した浸漬水内へと滑らせて搬入する傾斜部52aと、
浸漬槽52に貯水した浸漬水内で、下流側へと食器篭5を搬送する搬送手段53と、
浸漬槽52に貯水した浸漬水を循環ポンプ55により吸い込み吐出して、循環配管54を介して食器篭5の上方から食器6へと噴射する循環ノズル56と、
を備える。
【0072】
(食器洗浄装置)
次に、浸漬洗浄装置50の下流側に設置した食器洗浄装置60について、基本的な構成を説明する。
【0073】
食器洗浄装置60は、
食器洗浄装置60を覆い、食器篭5を搬入する搬入口61aと食器篭5を搬出する搬出口61bとを有するハウジング61と、
食器篭5を搬入口61aから搬入し、搬出口61bから搬出する無端状のコンベアである搬送手段62と、
所定の温度、例えば60~70度Cの洗浄水を貯水する洗浄タンク63と、
洗浄タンク63に貯水した洗浄水を洗浄ポンプ64により吸い込み吐出して、洗浄配管65を介して食器6へと洗浄水を噴射し、離間洗浄を行う洗浄ノズル66と、
水道に接続し、仕上すすぎ配管67を通じて清水を食器6へと噴射する仕上すすぎノズル68と、
洗浄タンク63へと下方傾斜し、仕上すすぎノズル68から噴射し食器6を洗浄した清水を洗浄タンク63へと流動させる流動部69と、
を備える。
【0074】
なお、食器洗浄装置60は少なくとも洗浄タンク63、洗浄ポンプ64、洗浄配管65、洗浄ノズル66等を1セットとして、その1セットを複数備える構成としてもよい。また、その1セットを備えない構成としてもよい。またさらに、清水を貯水する仕上すすぎタンクを設け、仕上すすぎタンクに貯水する清水を仕上すすぎポンプにより吸い込み吐出して、仕上すすぎノズル68から食器6へと清水を噴射する構成としてもよい。
【0075】
(食器洗浄システムの動き)
次に、食器洗浄システム1での動きについて説明する。
【0076】
図6に示すように、食器洗浄システム1での動きは、
食器篭5を搬送手段31に載置し、撮影手段22により撮影することのできる所定の位置へと食器篭5を搬入する搬入ステップS100と、
搬入ステップS100により搬入した食器篭5が所定の位置に搬入されたときに制御部21により搬送手段31を停止し、撮影手段22で食器篭5を撮影して画像データを作成し、記録手段23に記録する撮影ステップS200と、
撮影ステップS200で作成し、記録手段23に記録した画像データの内、食器篭5に積み重ねて収納した全枚数の食器6のそれぞれ一部を含む連続した所定の範囲A1(図5参照)内で、食器6の積み重ね方向に、輝度による連続したデータを輝度データ作成手段24により作成する輝度データ作成ステップS300と、
輝度データ作成ステップS300で作成した輝度データの内、輝度が所定の閾値Tを上回った値から所定の閾値Tを下回った値となった回数を、1つの食器6と食器6との間の隙間として食器間隙間計数手段25により計数し、食器枚数算出手段26により、計数した食器6と食器6との間の隙間の数から食器6の枚数を算出する食器枚数算出ステップS400と、
撮影ステップS200で記録手段23に記録した画像データから、食器篭5に取り付けた識別プレート8に添付した食器篭5に積み重ねて収納すべき食器6の枚数を記載した、例えば識別標識であるバーコードを、読取手段27により読み取り、食器篭5に積み重ねて収納すべき食器6の枚数を記録手段23に記録する読取ステップS500と、
読取ステップS500で記録手段23に記録された食器篭5に積み重ねて収納すべき食器6の枚数と、食器枚数算出ステップS400で算出した食器6の枚数と、の差分を差分算出手段28により算出する差分算出ステップS600と、
読取ステップS500で記録手段23に記録された食器篭5に収納すべき食器6の枚数と、食器枚数算出ステップS400により算出した食器6の枚数と、差分算出ステップS600で算出した差分と、を表示手段15に表示する食器枚数表示ステップS700と、
食器枚数表示ステップS700で、差分算出ステップS600で算出して表示手段15に表示された差分が0ではない場合に、食器篭5に積み重ねて収納する食器6の枚数を調整する食器枚数調整ステップS750と、
浸漬洗浄装置50の浸漬槽52に貯水した所定の温度の浸漬水に食器篭5を浸漬して、食器6の浸漬洗浄を行う浸漬洗浄ステップS800と、
浸漬洗浄ステップS800により浸漬洗浄を行った食器6に洗浄水及び清水を噴射することにより、食器6の離間洗浄を行う食器洗浄ステップS900と、
により構成される。
【0077】
(搬入ステップ)
図6に示すように、最初に行う搬入ステップS100について説明する。
【0078】
図3に示すように、搬送手段31の食器篭5の搬送方向で、食器枚数計数部11の上流側に位置する搬入位置Pに食器篭5を載置する。そして、制御部21により搬送手段31を駆動し、食器篭5を食器枚数計数部11内の所定の位置へと搬入する。
【0079】
ここで所定の位置とは、食器枚数計数部11のハウジング14内の位置であり、撮影手段22により撮影することで、食器篭5に積み重ねて収納した食器6のすべてを範囲に収め、かつ食器篭5の識別プレート8に添付したバーコードを読み取ることができるような画像データを作成できる食器篭5の位置である。
【0080】
搬送手段31によりハウジング14内へと搬入された食器篭5は、所定の位置に位置したときに、投光手段16から受光手段17へと投光するレーザをさえぎる。レーザがさえぎられると、受光手段17により制御部21は食器篭5が所定の位置に搬入されたと認識し、搬送手段31を停止する。
【0081】
これにより、食器篭5を搬送手段31の搬入位置Pに載置し、搬送手段31を駆動させるだけで、人手を介さず食器篭5を所定の位置へと搬入することができる。
【0082】
(撮影ステップ)
図6に示すように、搬入ステップS100の次に行う撮影ステップS200について説明する。
【0083】
図4に示す制御部21は、食器篭5が所定の位置に搬入されたことを受光手段17により認識し、搬送手段31の駆動を停止した後に、照明手段及び撮影手段22を作動させる。そして、撮影手段22により食器篭5の上面側を撮影し、画像データを作成する。作成した画像データは、記録手段23へと記録される。
【0084】
図5(a)に示すように、撮影手段22により作成し、記録手段23へと記録した画像データは、食器篭5に積み重ねて収納する全枚数の食器6のそれぞれ一部を含む連続した所定の範囲A1と、食器篭5に積み重ねて収納すべき食器6の枚数を示す識別プレート8に添付されたバーコードを囲う所定の範囲A2と、を含む画像データである。
【0085】
(輝度データ作成ステップ)
図6に示すように、撮影ステップS200の次に行う輝度データ作成ステップS300について説明する。
【0086】
図4に示す輝度データ作成手段24は、撮影ステップS200で記録手段23に記録した図5(a)に示す画像データから、図5(b)に示す食器6の積み重ね方向に連続した輝度データを作成する。
【0087】
具体的には、輝度データ作成手段24は、図5(a)に示す画像データのうち、食器篭5に積み重ねて収納した全枚数の食器6のそれぞれ一部を含む連続した所定の範囲A1内で、食器6の積み重ね方向であるX方向の一画素につき、Y方向の所定の画素数、例えば200画素に含まれる輝度を公知の手法により平均化して1つの輝度を定め、そのX方向の一画素の代表的な輝度と定める。
【0088】
そして、図5(b)に示すように、X方向の一画素の代表的な輝度を所定の範囲A1内の食器6の積み重ね方向の全画素について取得し、X方向に連続する輝度データを作成する。そして、その作成したX方向に連続した輝度データは、記録手段23に記録される。
【0089】
なお、本実施形態ではY方向の所定の画素数に含まれる輝度を公知の手法により平均化したが、平均化以外に、当該Y方向の所定の画素数に含まれる輝度の内、中央値や最頻値を算出して代表的な輝度と定めてもよい。又は、他の公知の計算方法を用いて代表的な輝度を定めて輝度データを作成してもよい。
【0090】
(食器枚数算出ステップ)
図6に示すように、輝度データ作成ステップS300の次に行う食器枚数算出ステップS400について説明する。
【0091】
図5(b)に示す輝度データ作成ステップS300で作成した輝度データをもとに、食器篭5に積み重ねて収納した食器6と食器6との間の隙間の数を食器間隙間計数手段25により計数する。
【0092】
具体的には、図5(b)に示すように、輝度データ作成手段24により作成した食器6の積み重ね方向に連続した輝度データの内、あらかじめ定めた所定の閾値T、例えば256階調の輝度のうちの200を上回った値から、閾値Tを下回った回数を1つの食器6と食器6との間の隙間として計数する。図5(b)では、輝度データのグラフに描かれた丸印の箇所が、その計数される箇所となる。
【0093】
図4に示す食器間隙間計数手段25は、図5(b)でその計数された箇所の内で最初に閾値Tを上回った値から下回った箇所を0として計数し、次に閾値Tを上回った値から下回った箇所を1として計数する。そして、すべての箇所を計数する。例えば図5(b)で実際に計数すると、その箇所は17箇所となる。
【0094】
すべての箇所を計数し終えた後に、計数した食器6と食器6との間の隙間の数に、図4に示す食器枚数算出手段26により1を足し合わせて、食器6の枚数を算出し、記録手段23に記録する。例えば図5(b)で実際に算出すると、その箇所は18箇所となる。
【0095】
このようにして、食器枚数算出手段26は、食器間隙間計数手段25で計数した食器6と食器6との間の隙間の数をもとに、食器6の枚数を算出して記録手段23に記録する。
【0096】
また、この食器枚数算出ステップS400は、輝度データ作成ステップS300を行うことにより、食器6に残菜7が付着していたとしても食器6の枚数を正確に計数することができるものとなっている。
【0097】
例えば、輝度データ作成ステップS300で平均化等の処理を行わない場合、輝度データ作成手段24は、X方向の1画素につき、Y方向も1画素だけの輝度を用いて輝度データを作成することになる。そのため、撮影ステップS200で撮影し、記録手段23へと記録される画像データ内の図5(a)に示す所定の範囲A1は、X方向は食器篭5に積み重ねた全枚数の食器6のそれぞれ一部を含む連続した範囲で、Y方向は1画素とした範囲となる。
【0098】
例えば食器6の残菜7が付着した部分の輝度が残菜7の輝度よりも高い場合には、残菜7により本来記録されるべき輝度よりも低い輝度が記録される。そして、そのように本来記録されるべき輝度よりも低い輝度が記録された画素が増えると、輝度データが閾値Tを下回った値から、閾値Tを上回る回数が減少する可能性がある、若しくは食器6と食器6との間の隙間ではない部分で輝度データが閾値Tを上回った値から、閾値Tを下回る可能性があり、食器6を正確に計数することができないおそれがある。
【0099】
また、例えば逆に食器6の残菜7が付着した部分の輝度が残菜7の輝度よりも低い場合には、残菜7により本来記録されるべき輝度よりも高い輝度が記録される。そして、そのように本来記録されるべき輝度よりも高い輝度が記録された画素が増えると、輝度データが閾値Tを上回った値から、閾値Tを下回る回数が減少する可能性がある、若しくは輝度データが閾値Tを下回った値から閾値Tを上回り、食器6と食器6との間の隙間の部分で閾値Tを上回る可能性があり、食器6を正確に計数することができないおそれがある。
【0100】
本実施形態のように輝度データ作成ステップS300で平均化等の処理を行うことにより、例え食器6に残菜7が付着していたとしても、食器6の積み重ね方向であるX方向に連続する輝度データを作成する際には、X方向の一画素につき、Y方向の所定の画素数に含まれる輝度を平均化して1つの輝度を定めるため、食器6の積み重ね方向であるX方向に連続する輝度データに残菜7の影響を与えにくくすることができ、食器6の枚数を正確に計数することができる。
【0101】
なお、所定の閾値Tは、食器6の色相や彩度や輝度、食器6に付着する残菜7の種類、ハウジング14内で食器篭5及び食器6に照明手段から照射する光の強さにより、あらかじめ定めるとよい。
【0102】
なお、食器6と食器6との間の隙間は、閾値Tを下回った値から、閾値Tを上回った回数をその数として計数してもよい。
【0103】
なお、本実施形態では、食器間隙間計数手段25により計数した食器6と食器6との間の隙間の数を0から数え始めたが、1から数え始めてもよい。その場合は、計数した食器6と食器6との間の隙間の数に1を足し合わせる必要はない。
【0104】
また、閾値Tを下回った値から閾値Tを上回った回数と、閾値Tを上回った値から閾値Tを下回った回数とを足し合わせ、2で除した数を食器6と食器6との間の隙間として計数してもよい。ただし、その場合は、食器6と食器6との間の隙間の数と、食器6の枚数とが不一致となるおそれがあるため、食器6と食器6との間の隙間の数に1を足し合わせた上で2で除する等の工程を必要とする。
【0105】
なお、輝度データ作成ステップS300と食器枚数算出ステップS400では、図5(a)に示す画像データの輝度をもとに食器6の枚数を算出したが、画像データの色相や彩度等によりX方向に連続するデータを作成して記録手段23に記録し、そのデータから食器6の枚数を算出してもよい。
【0106】
(所定の範囲A1について)
ここで、撮影ステップS200で撮影手段22により作成し、記録手段23へと記録した図5(a)に示す画像データのうちの、所定の範囲A1について説明する。
【0107】
所定の範囲A1は、輝度データ作成ステップS300及び食器枚数算出ステップS400で、食器篭5に積み重ねて収納した食器6の枚数を算出するために使用する範囲である。
【0108】
また、所定の範囲A1の最小の範囲は、食器篭5に積み重ねて収納した全枚数の食器6のそれぞれ一部のみを含む連続した範囲である。一方、所定の範囲A1の最大の範囲は、食器篭5に積み重ねて収納した全枚数の食器6の、画像データに写った全てを含む連続した範囲である。
【0109】
まずは所定の範囲A1の最小の範囲について説明する。
【0110】
所定の範囲A1の最小の範囲としては、例えば食器6の積み重ね方向であるX方向に連続し、Y方向は1画素である範囲が含まれる。その場合は、その所定の範囲A1の輝度をそのままX方向に連続した輝度データとして用いることができる。また、輝度データ作成ステップS300でX方向の一画素につき、Y方向の所定の画素数に含まれる輝度を平均化する必要がなく、簡便である。
【0111】
しかし、食器枚数算出ステップS400で食器6の枚数を算出する際に正確さを欠いてしまう可能性があるため、例えば記録手段23に記録した画像データのなかに、所定の範囲A1とは異なる所定の範囲として、所定の範囲B1を設定してもよい。
【0112】
これにより、所定の範囲A1に所定の範囲B1を加えた所定の範囲で、X方向の一画素につき、Y方向の全ての画素に含まれる輝度を平均化することで、X方向に連続した輝度データを作成し、食器枚数算出ステップS400で食器6の枚数を正確に算出することができる。
【0113】
なお、所定の範囲B1は、所定の範囲A1とは異なり、全枚数の食器6のそれぞれ一部を含む必要はなく、食器6の一部を含む範囲であればよく、食器枚数算出ステップS400で食器6の枚数をより正確に算出したい範囲に設定すればよい。例えば、残菜7が多く付着している食器6の多くの部分を含むように所定の範囲B1を設定する。これにより、自由度を高めた食器枚数計数装置10とし、より柔軟な食器洗浄システム1で用いる食器枚数計数方法を行うことができる。
【0114】
なお、所定の範囲A1がどのような範囲、例えばY方向の画素数が1画素よりも多い範囲であったともしても、所定の範囲B1を補助的に用いることができる。所定の範囲B1は、制御部21に接続した表示手段15をタッチセンサー式のディスプレイとして直接入力してもよいし、制御部21に接続した端末等から入力するようにしてもよい。
【0115】
次に所定の範囲A1の最大の範囲について説明する。
【0116】
所定の範囲A1の最大の範囲としては、例えば画像データ全体が含まれる。その場合は、所定の範囲A1をどの範囲とするか考える必要がなく、設定が容易である。
【0117】
しかし、輝度データ作成ステップS300で、食器6の積み重ね方向であるX方向に連続した輝度データを作成する際には、データ量が多くなり輝度データ作成手段24にかかる負荷が増大するおそれがある。
【0118】
そのため、X方向に連続した輝度データを作成する際に、X方向の一画素につき、Y方向の全画素に含まれる輝度のうち、最大の値を代表的な輝度と定めることで輝度データ作成手段24の負荷を軽減し、X方向に連続する輝度データを作成してもよい。
【0119】
なお、所定の範囲A1は、どのような形状でもよく、例えば図5(a)に示すような矩形状の範囲の他に、楕円形状や、食器6の外形に沿った不定形であってもよい。
【0120】
なお、所定の範囲A1は、画像データ内に複数設定してもよい。これにより、積み重ねて収納した食器6が、食器篭5内で食器6の積み重ね方向に二分されて収納されている場合においても、正確に食器6の枚数を計数することができる。また、複数個の食器篭5を少なくとも、食器6の積み重ね方向に組合せ、又は食器6の積み重ね方向に直交する方向に組合せ、その組み合わせた集合体に収納された食器6の枚数を計数する場合においても、正確に食器6の枚数を計数することができる。
【0121】
例えば食器篭5内で積み重ね方向に二分されて収納されている場合、識別プレート8に添付した例えば識別標識であるバーコードには、食器篭5に積み重ねて収納すべき食器6の二分されたそれぞれの枚数を記載する。
【0122】
また、例えば複数個の食器篭5を少なくとも、食器6の積み重ね方向に組合せ、又は食器6の積み重ね方向に直交する方向に組合せ、その組み合わせた集合体に収納された食器6の枚数を計数する場合にも、識別プレート8に添付した例えば識別標識であるバーコードには、それぞれの食器篭5に積み重ねて収納すべき食器6の枚数を記載する。
【0123】
そして、それぞれの場合で同様に、複数設定した所定の範囲A1ごとに、輝度データ作成ステップS300、食器枚数算出ステップS400、読取ステップS500及び差分算出ステップS600を行う。そして、食器枚数表示ステップS700で、それぞれの食器篭5について、積み重ねて収納すべき食器6の枚数と、積み重ねて収納した食器6の枚数と、差分算出ステップS600で算出した差分と、を表示する。
【0124】
なお、所定の範囲A1の位置と大きさは、例えば、食器篭5の大きさに合わせて、作成される画像データ内の一定の範囲を所定の範囲A1としてあらかじめ設定しておいてもよい。
【0125】
又は、画像データ内で基準を設定し、その基準をもとに所定の範囲A1を設定するようにしてもよい。
【0126】
具体的には、画像データ内の識別プレート8の中心位置をX方向とY方向の原点側の基準とし、X方向とY方向の原点側の基準から所定の距離だけ離れた位置までを所定の範囲A1と設定してもよい。
【0127】
若しくは、画像データ内の識別プレート8の中心位置をX方向とY方向の原点側の基準とし、X方向は原点とは対向する側の画像データの端や、原点とは対向する側の画像データの端から原点側に所定の距離だけ移動した位置までとする。そして、Y方向は画像データの対向する両端や、画像データの対向する両端から原点側に所定の距離だけ移動した位置、画像データの中心座標から所定の距離だけ対向する両端に移動した位置までとして、所定の範囲A1と設定してもよい。
【0128】
これにより、識別プレート8の位置を基準にして、確実に所定の範囲A1を設定することができ、食器篭5に積み重ねて収納した食器6の枚数を正確に確認することができる。なお、識別プレート8の位置を基準として説明したが、識別プレート8に添付された識別標識であるバーコードの位置を基準としてもよく、同様の効果が得られる。
【0129】
なお、図2に示すように、識別プレート8は食器篭5の上面側に取付けているため、搬入ステップS100では、識別プレート8を取り付けた食器篭5の上面側を上にして食器篭5を食器枚数計数装置10の搬入位置Pに載置する。これにより、撮影ステップS200から食器枚数表示ステップS700までを行う食器枚数計数装置10内、浸漬洗浄ステップS800を行う浸漬洗浄装置50内、食器洗浄ステップS900を行う食器洗浄装置60内で、食器篭5は識別プレート8を取り付けた上面側を上にしたまま、同じ姿勢で搬送される。
【0130】
なお、ここで例示した所定の範囲A1の設定方法は一例であり、本実施形態を実施できるのであれば、どのような設定の方法をとってもよい。
【0131】
(読取ステップ)
図6に示すように、輝度データ作成ステップS300の次に、食器枚数算出ステップS400と並行して行う読取ステップS500について説明する。
【0132】
読取手段27は、図5(a)に示す画像データのうち、食器篭5に積み重ねて収納すべき食器6の枚数を示す識別プレート8に添付されたバーコードを囲う所定の範囲A2内で、食器篭5の識別プレート8に添付されたバーコードを読み取り、食器篭5に積み重ねて収納すべき食器6の枚数を読み取って、記録手段23に記録する。
【0133】
これにより、食器篭5に積み重ねて収納すべき食器6の枚数を正確に確認することができる。
【0134】
なお、食器篭5の識別プレート8に添付されたバーコードには、食器篭5に積み重ねて収納すべき食器6の種類や大きさに関するデータを記載してもよい。その場合は、記録手段23に記録した画像データから食器6の種類や大きさを読み取り、照合し、後述する食器枚数表示ステップS700でその結果を表示してもよい。
【0135】
なお、食器篭5に添付された識別標識であるバーコードは、いわゆる一次元コードや二次元コードでもよい。また、食器篭5に積み重ねて収納すべき食器6の枚数を示すバーコードをICタグやRFIDタグとしてもよく、その場合は、読取手段27はICタグやRFIDタグを読み取るリーダとするとよい。本実施形態では、一次元コードや二次元コード、ICタグやRFIDタグを総称する識別標識の一例として、バーコードと記載している。
【0136】
なお、食器枚数計数装置10により計数する食器6を積み重ねて収容する食器篭5が、すべて同じ枚数の食器6を収納すべき食器篭5である場合、読取ステップS500を行わず、あらかじめ制御部21に別途設けた入力手段を通じて記録手段23に入力して記録した食器6の枚数を、食器篭5に積み重ねて収納すべき食器6の枚数としてもよい。
【0137】
読取ステップS500を行わない場合で、積み重ねて収納すべき食器6の枚数と、記録手段23に入力して記録した食器6の枚数とが異なる場合は、改めて入力手段から食器6の枚数を入力するようにするとよい。
【0138】
(差分算出ステップ)
図6に示すように、並行して行う食器枚数算出ステップS400と読取ステップS500の次に行う差分算出ステップS600について説明する。
【0139】
図4に示す差分算出手段28は、読取手段27により読み取り、記録手段23に記録した食器篭5に積み重ねて収納すべき食器6の枚数と、食器枚数算出手段26により算出し、記録手段23に記録した食器6の枚数との差分を算出する。
【0140】
具体的には、食器篭5に積み重ねて収納した食器6の枚数から食器篭5に積み重ねて収納すべき食器6の枚数を引き、その数を算出する。例えば、食器篭5に積み重ねて収納すべき食器6の枚数が18枚であったとき、食器6の枚数が16枚であった場合は、その差分であるマイナス2を算出する。また、食器6の枚数が18枚であった場合には、その差分である0を算出する。そして、食器6の枚数が20枚であった場合には、その差分であるプラス2を算出する。
【0141】
算出された差分と、読取ステップS500で記録手段23に記録された食器篭5に積み重ねて収納すべき食器6の枚数と、食器枚数算出ステップS400で記録手段23に記録された食器篭5に積み重ねて収納した食器6の枚数とは、制御部21へと出力される。
【0142】
(食器枚数表示ステップ)
図6に示すように、差分算出ステップS600の次に行う食器枚数表示ステップS700について説明する。
【0143】
図4に示す表示手段15は、差分算出ステップS600で制御部21へと出力された差分と、食器篭5に積み重ねて収納すべき食器6の枚数と、食器篭5に積み重ねて収納した食器6の枚数とを表示する。
【0144】
差分算出ステップS600で制御部21へと出力された差分が0である場合は、制御部21は搬送手段31を駆動して食器篭5を下流側に設けた浸漬洗浄装置50へと搬送する。
【0145】
これにより、食器6の枚数が食器篭5に積み重ねて収納すべき食器6の枚数と同じである場合に、人手を介さず、撮影ステップS200を行った食器篭5の姿勢のままで、食器篭5を浸漬洗浄装置50へと搬送することができる。
【0146】
もし、差分算出ステップS600で制御部21へと出力された差分が0ではない場合には、警告を表示して、周囲の作業員に注意を促す。そして、作業員は食器6の枚数が食器篭5に積み重ねて収納すべき枚数となるように、食器篭5から食器6を取り出す、若しくはあらかじめ用意していた食器6を加えることにより調整する食器枚数調整ステップS750を行う。
【0147】
食器枚数調整ステップS750で積み重ねて収納する食器6の枚数を調整された食器篭5は、再び作業員の手により搬送手段31の搬入位置Pへと載置され、制御部21により搬送手段31を駆動して図6に示す搬入ステップS100を行う。
【0148】
これにより、食器6の枚数が食器篭5に収納すべき食器6の枚数と異なっていたとしても作業員へと知らせ、作業員の人手により食器6の枚数を調整することができる。そして、食器篭5に積み重ねて収納すべき食器6の枚数を収納した食器篭5を、人手を介さず浸漬洗浄装置50へと搬送することができる。
【0149】
なお、作業員の手により食器6の枚数が調整された食器篭5は、ロボットやコンベア等により搬送手段31の搬入位置Pへと載置してもよいし、浸漬洗浄装置50へと搬送してもよい。
【0150】
なお、差分算出ステップS600では、差分が0であるか、そうでないかだけを算出し、制御部21へと出力してもよい。そして、食器枚数表示ステップS700では、表示手段15に、食器篭5に積み重ねて収納すべき食器6の枚数と、食器篭5に積み重ねて収納した食器6の枚数とを表示するとともに、差分が0でない場合には警告を表示すればよい。
【0151】
なお、輝度データ作成ステップS300で、所定の範囲A1が複数設定されている場合は、差分算出ステップS600で制御部21へと出力された差分が0でない所定の範囲A1が一つでもある場合に、警告を表示するようにしてもよい。
【0152】
(浸漬洗浄ステップ)
図6に示すように、食器枚数表示ステップS700の次に行う浸漬洗浄ステップS800について説明する。
【0153】
図1に示すように、食器枚数表示ステップS700を終えた後、食器篭5は食器枚数計数装置10の搬送手段31により下流側の浸漬洗浄装置50へと搬送される。
【0154】
浸漬洗浄装置50へと搬送された食器篭5は、浸漬洗浄装置50の搬入口51aからハウジング51内へと搬入され、傾斜部52aを滑り落ちるようにして浸漬槽52内へと搬送される。
【0155】
食器篭5を浸漬槽52に貯水した所定の温度の浸漬水に浸漬することで、食器6に付着した汚れや残菜7に水分を与えるとともに昇温して、食器6から汚れや残菜7を分離しやすくすることができる。
【0156】
食器篭5は、浸漬洗浄を行いながら搬送手段53により下流側へと搬送されていき、下流側で浸漬槽52に貯水した浸漬水より引き上げられて、食器洗浄装置60の搬送手段62へと載置されるよう搬送される。
【0157】
これにより、食器篭5に積み重ねて収納すべき食器6の枚数を収納した食器篭5を、人手を介さず、撮影ステップS200を行った食器篭5の姿勢のままで、浸漬洗浄装置50へと搬入し、食器6の浸漬洗浄を行うことができる。
【0158】
(食器洗浄ステップ)
図6に示すように、浸漬洗浄ステップS800の次に行う食器洗浄ステップS900について説明する。
【0159】
図1に示すように、浸漬洗浄ステップS800を終えた後、食器篭5は浸漬洗浄装置50の搬送手段53から食器洗浄装置60の搬送手段62へと乗り継ぎ、載置される。
【0160】
食器洗浄装置60の搬送手段62に載置されて搬送される食器篭5は、食器洗浄装置60の搬入口61aからハウジング61内へと搬入される。そして、ハウジング61内で食器篭5を搬送しつつ、食器篭5の上方に位置する洗浄ノズル66から洗浄水を噴射し、食器6の離間洗浄を行う。
【0161】
離間洗浄は、洗浄タンク63に貯水した洗浄水を洗浄ポンプ64が吸込み吐出して、洗浄配管65を通じて流動し、洗浄ノズル66から食器6に向けて噴射することにより離間した食器6と食器6との間に、洗浄水を流動させて食器6を洗浄する。食器6を洗浄した洗浄水は洗浄タンク63へと流動し、再び洗浄ポンプ64により吸い込み吐出されて循環使用される。
【0162】
食器篭5に積み重ねて収納すべき食器6の枚数を収納した食器篭5を食器洗浄装置60へと搬送しているので、所定の距離Lで離間しながら食器6を効果的に洗浄することができる。
【0163】
洗浄ノズル66から食器6に向けて洗浄水を噴射することで離間洗浄における食器6の本洗浄工程が終了する。本洗浄工程の下流側ではさらに、仕上すすぎノズル68から食器6に向けて清水を噴射することにより、食器6の表面に清水を流動させて食器6の仕上すすぎ工程を行う。食器6を仕上すすぎした清水は流動部69を通じて洗浄タンク63へと流動し、洗浄ポンプ64により吸い込み吐出して次に搬入される食器篭5の離間洗浄に循環使用される。
【0164】
これにより、食器篭5に積み重ねて収納すべき食器6の枚数を収納した食器篭5を、人手を介さず、撮影ステップS200を行った食器篭5の姿勢のままで、食器洗浄装置60へと搬入し、食器6の離間洗浄を行うことができる。
【0165】
そして、仕上すすぎ工程を終えた食器篭5は、搬送手段62により搬出口61bからハウジング61の外へと搬出される。これにより、食器洗浄システム1の食器洗浄ステップS900を終える。
【0166】
食器洗浄ステップS900を終えた食器篭5は、一般的に使用される消毒保管庫の略密閉した庫内へと運び込まれ、翌朝使用するまでに、庫内に流動する熱風により食器篭5及び食器6を加熱して消毒し、乾燥する。
【0167】
本実施形態では、図3に示す搬入ステップS100にて、食器篭5の姿勢を、食器6の積み重ね方向を食器篭5の搬送方向と平行とし、食器篭5に積み重ねて収納される食器6の喫食面側を食器篭5の搬送される方向に向けた姿勢として、搬送手段31の搬入位置Pへと食器篭5を載置した。なお、搬入位置Pへと載置する食器篭5を、食器6の積み重ね方向を上下方向とし、食器篭5に積み重ねて収納される食器6の喫食面側を鉛直方向のうちの上方に向けた姿勢として、搬送手段31の搬入位置Pへと載置してもよい。
【0168】
ここで、図3に示す食器篭5が搬送される方向を前方とし、前方の側の食器篭5の面を前面としたときに、水平平面上で前面に対し、搬送方向に直交する左側の食器篭5の面を左面と記載する。また、左面と対向する側を右面と記載する。そして、搬送手段31に載置した食器篭5を中心として、食器篭5の左面が向く側を左面側とし、左面側に対向する側を右面側と記載する。
【0169】
この場合、搬入ステップS100では、搬送手段31の搬入位置Pに載置する食器篭5は、識別プレート8の取り付けた面を左面となるよう載置する。そして、搬送手段31により、食器篭5をハウジング14内の所定の位置へと搬入する。
【0170】
撮影ステップS200では、ハウジング14内の所定の位置に位置した食器篭5の左面側に位置させた撮影手段22により、食器篭5の左面を撮影する。これにより、食器篭5に積み重ねて収納した全枚数の食器6のそれぞれ一部を含む連続した所定の範囲A1と、食器篭5に積み重ねて収納すべき食器6の枚数を示す識別プレート8に添付されたバーコードを囲う所定の範囲A2と、を含む画像データを作成することができる。
【0171】
そして撮影ステップS200の後の、輝度データ作成ステップS300から食器洗浄ステップS900では、本実施形態と同様に食器洗浄システム1を動かす。
【0172】
さらになお、ここでは識別プレート8を取り付けた面を左面として搬送手段31の搬入位置Pへと載置しているが、右面としてもよいし、前面としてもよいし、前方に対向する面である後面としてもよい。若しくは、搬送手段31を複数の隙間を有する構成とする、若しくは搬送手段31の搬送面を光が透過する素材で形成することにより、食器篭5の識別プレート8を取り付けた面を鉛直方向のうちの下方(図2における底面)に向けてもよい。
これらの場合には、識別プレート8を取り付けた面をどの面とするかにより、食器枚数計数装置10に取り付ける撮影手段22の位置を変更するとよい。又は、食器枚数計数装置10の複数個所に撮影手段22を取り付けることにより、識別プレート8を取り付けた面をいずれの面としたとしても、所定の範囲A1と、所定の範囲A2とを含む画像データを作成することができるようにするとよい。
【0173】
また、食器篭5の複数の面に識別プレート8を取り付けておくことにより、食器枚数計数装置10の複数箇所に取り付ける撮影手段22の数を減らすことができる。さらに食器篭5の全ての面に識別プレート8を取り付ければ、取り付ける撮影手段22は1つとしながら、食器篭5をいずれの向きとして搬入位置Pへと載置しても、食器篭5をハウジング14内の所定の位置へと搬入し、所定の範囲A1と、所定の範囲A2とを含む画像データを作成することができる。
【0174】
本実施形態では、浸漬洗浄ステップS800にて、食器篭5の姿勢を、食器6の積み重ね方向を食器篭5の搬送方向と平行とし、食器篭5に積み重ねて収納される食器6の喫食面側を食器篭5の搬送される方向に向けた姿勢として、浸漬洗浄装置50の搬送手段53で搬送しながら浸漬水に浸漬した。なお、浸漬洗浄装置50の搬送手段53で搬送する食器篭5の姿勢を、食器6の積み重ね方向を上下方向とし、食器篭5に積み重ねて収納される食器6の喫食面側を鉛直方向のうちの上方に向けた姿勢として、浸漬洗浄装置50の搬送手段53で搬送しながら食器を浸漬水で浸漬してもよい。
【0175】
この場合、浸漬洗浄装置50は、搬送手段53を略水平方向に延在させ、搬送する食器篭5に積み重ねて収納される食器6の上方から浸漬水を積み重ねた食器6へと供給し、積み重ねた食器6に浸漬水を貯水することで浸漬するよう構成する。
【0176】
また、食器洗浄ステップS900にて、食器篭5の姿勢を、食器6の積み重ね方向を食器篭5の搬送方向と平行とし、食器篭5に積み重ねて収納される食器6の喫食面側を食器篭5の搬送される方向に向けた姿勢として、食器洗浄装置60の搬送手段62で搬送しながら洗浄水及び清水を噴射することにより食器6を離間洗浄した。なお、食器洗浄装置60の搬送手段62で搬送する食器篭5の姿勢を、食器6の積み重ね方向を上下方向とし、食器篭5に積み重ねて収納される食器6の喫食面側を鉛直方向のうちの上方に向けた姿勢として、食器洗浄装置60の搬送手段62で搬送しながら食器を洗浄水及び清水で離間洗浄してもよい。
【0177】
この場合、食器洗浄装置60は、搬送手段62で搬送する食器篭5に積み重ねて収納される食器6の側方から洗浄水を積み重ねた食器6へと噴射し、積み重ねた食器6の隣接する食器6間に洗浄水を流動させて離間洗浄するよう構成する。
【0178】
なお、食器枚数調整ステップS750では、食器篭5の姿勢は、食器6の積み重ね方向を食器篭5の搬送方向と平行としても、食器6の積み重ね方向を上下方向としてもどちらでもよい。食器6の積み重ね方向を食器篭5の搬送方向と平行とすれば、食器篭5を安定して載置した状態で食器6の枚数の調整をすることができる。食器6の積み重ね方向を上下方向とすれば、上下方向に積み重ねた姿勢のまま食器6を食器篭5から引き出し、積み重ねた食器6の最上段部分で容易に枚数の調整をすることができる。いずれの姿勢で食器6の枚数を調整するかは、食器洗浄システム1の構成等により選択すれば良い。
【0179】
これらにより、搬送手段31に載置する食器篭5の姿勢を自由に選択することができ、さらなる自由度の高い食器枚数計数装置10、及び食器洗浄システム1を提供することができる。
【0180】
以上のように、本実施形態に係る食器洗浄システム1で用いる食器枚数計数方法、食器洗浄方法、食器枚数計数装置10、及び食器洗浄システム1によれば、食器6の表面に残菜7等が付着している状態であったとしても、食器篭5に積み重ねて収納した食器6の枚数を正確に計数し、積み重ねて収納する食器6の枚数を調整することができる。
【0181】
さらに、本実施形態に係る食器洗浄方法、及び食器洗浄システム1によれば、食器6の枚数が正確に計数された食器篭5を食器洗浄装置60へと搬入して、効果的に離間洗浄を行うことができる。
【0182】
なお、差分算出ステップS600にて、食器篭5に積み重ねて収納すべき食器6の枚数と、食器篭5に積み重ねて収納した食器6の枚数との差分が0ではない場合には、食器枚数表示ステップS700にて電気信号を制御部21へと送り、制御部21からさらに別途用意したロボットの制御部へと電気信号を送って、食器篭5に積み重ねて収納した食器6の枚数をロボットにより調整するようにしてもよい。
【0183】
ロボットにより食器篭5に積み重ねて収納した食器6の枚数を調整した後は、食器篭5を搬送手段31の搬入位置Pへと載置する。そして、制御部21により搬送手段31を駆動し、食器篭5を所定の位置へと搬入する搬入ステップS100を行う。
【0184】
なお、本実施形態では、搬送手段53,62により搬送しつつ浸漬洗浄、及び離間洗浄を行う浸漬洗浄装置50、及び食器洗浄装置60を記載したが、いわゆるバッチ式の浸漬洗浄装置、及び食器洗浄装置としてもよい。
【0185】
なお、図1に示すそれぞれの食器篭5に積み重ねて収納した食器6の枚数は同数として記載しているが、食器篭5ごとに異なっていてもよい。
【0186】
なお、食器篭5に積み重ねて収納するものは食器6に限らず、積み重ねて収納するトレイ(お盆)や、スプーンやフォーク等の喫食用の用具でもよい。それらを食器篭5に収納する場合も、積み重ねて収納するトレイや、喫食用の用具の縦、横、高さの寸法に加え、積み重ね方向に所定の距離Lを加えた寸法を内部に収納することができる食器篭5とするとよい。この場合の所定の距離Lも、食器6の場合と同様で10~20mmとするのが好ましい。
【0187】
なお、食器枚数計数装置10を浸漬洗浄装置50と食器洗浄装置60との間に位置させて、食器6の浸漬洗浄ステップS800が終了した後に食器6の枚数を計数するようにしてもよい。
【0188】
また、食器枚数計数装置10を食器洗浄装置60の下流側に位置させて、食器洗浄ステップS900で食器洗浄装置60にて食器6の離間洗浄を終えた後に、食器6の枚数を計数するようにしてもよい。
【0189】
さらにまた、消毒保管庫の略密閉した庫内にて加熱し消毒した後に、搬送手段31の搬入位置Pへと食器篭5を載置して、食器篭5を所定の位置へと搬入し、食器6の枚数を計数してもよい。
【0190】
なお、浸漬洗浄ステップS800を行わなくとも食器洗浄ステップS900を行うだけで食器6に付着した残菜7や汚れを洗い落とすことができるのであれば、浸漬洗浄装置50を設けず、食器枚数計数装置10の下流側に隣接するように食器洗浄装置60を設けてもよい。
【0191】
このように本実施形態の食器洗浄システム1は、食器枚数計数装置10、浸漬洗浄装置50、及び食器洗浄装置60を設置する位置を自由に変更することができ、大量喫食を前提とした給食センター等の運用に合わせて、最適な形の食器洗浄システム1に柔軟に組み替えることができるものである。
【0192】
なお、本実施形態の食器洗浄システム1の食器枚数計数装置10を設置する位置を変更した場合に、浸漬洗浄装置50の浸漬槽52に貯水した浸漬水、又は食器洗浄装置60で噴射した洗浄水若しくは清水が食器6に付着している場合がある。
【0193】
その場合でも、食器6に付着した浸漬水、又は洗浄水若しくは清水は食器6の表面の輝度を低下させるほど濁ることがないため、輝度データ作成ステップS300で画像データの輝度から輝度データを作成する工程に影響を及ぼしにくい。そのため、本実施形態の食器洗浄システム1では、浸漬水、又は洗浄水若しくは清水が食器6に付着していたとしても正確に食器6の枚数を計数することができるものである。
【0194】
なお、搬送部30に設けた搬送手段31として、駆動部を持たないフリーローラーコンベア、摺動性の良いレール等を設け、これらに載置した食器篭5を作業員により移動させてもよい。この場合、搬入位置Pから、ハウジング14内のセンサ検知したところで一旦移動を止めて、撮影ステップS200を行い、食器枚数表示ステップS700で表示手段15の表示を確認してから、次のステップへと移動させる。
【0195】
なお、食器枚数計数部11へと搬入する前に、食器篭5に収納された食器6の所定の範囲A1を含む範囲と、食器篭5に取り付けられた識別プレート8に添付したバーコードを洗浄する予備洗浄をしてもよい。予備洗浄では、所定の範囲A1を含む範囲と、識別プレート8に添付したバーコードに向けて洗浄水を噴射して洗浄すればよい。
【0196】
これにより、輝度データ作成ステップS300でより正確な輝度データを作成し、食器篭5に積み重ねて収納した食器6の枚数を確実に算出することができるとともに、読取ステップS500で、食器篭5の識別プレート8に添付されたバーコードを確実に読み取り、食器篭5に積み重ねて収納すべき食器6の枚数を読み取って、記録手段23に記録することができる。また、食器洗浄ステップS900を行うより先に、食器6の汚れを予備的に取り除くことも可能となる。
【0197】
なお、本願発明は、実施形態や変形例に記載した内容を適宜組み合わせることができるものである。
【符号の説明】
【0198】
1 食器洗浄システム

5 食器篭
6 食器
7 残菜
8 識別プレート

10 食器枚数計数装置
11 食器枚数計数部
12 フレーム
13 キャスタ
14 ハウジング
14a 遮光板
15 表示手段
16 投光手段(センサ)
17 受光手段(センサ)

20 処理部
21 制御部
22 撮影手段
23 記録手段
24 輝度データ作成手段
25 食器間隙間計数手段
26 食器枚数算出手段
27 読取手段
28 差分算出手段

30 搬送部
31 搬送手段
32 フレーム
33 キャスタ

50 浸漬洗浄装置(洗浄装置)
51 ハウジング
51a 搬入口
51b 搬出口
52 浸漬槽
52a 傾斜部
53 搬送手段
54 循環配管
55 循環ポンプ
56 循環ノズル

60 食器洗浄装置(洗浄装置)
61 ハウジング
61a 搬入口
61b 搬出口
62 搬送手段
63 洗浄タンク
64 洗浄ポンプ
65 洗浄配管
66 洗浄ノズル
67 仕上すすぎ配管
68 仕上すすぎノズル
69 流動部

A1 所定の範囲
A2 所定の範囲
B1 所定の範囲
L 所定の距離
P 搬入位置
T 閾値

S100 搬入ステップ
S200 撮影ステップ
S300 輝度データ作成ステップ
S400 食器枚数算出ステップ
S500 読取ステップ
S600 差分算出ステップ
S700 食器枚数表示ステップ
S750 食器枚数調整ステップ
S800 浸漬洗浄ステップ
S900 食器洗浄ステップ
図1
図2
図3
図4
図5
図6